説明

画像形成装置

【課題】プロセスカートリッジの交換時期を安定して精度よく検出することができ、長期にわたって安定して画像形成が可能な画像形成装置を提供する。
【解決手段】接触端子71に、記録媒体70との接触部74よりもプロセスカートリッジ側へ突出した突出部71bを設ける。プロセスカートリッジ6の挿入動作によって、プロセスカートリッジの摺接面部77が接触端子71の突出部に摺接する状態となって、突出部71bが記録媒体70から離間する方向に押圧されて、接触端子71の記録媒体70への接触が規制される。所定装着位置では突出部71bが嵌合用凹部76に嵌合して、接触端子71が記録媒体70に接触する。プロセスカートリッジ6の取り出し動作によって、突出部71bが嵌合用凹部76から抜け出して摺接面部77に摺接する状態となる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プリンタ、複写機、ファックス、スキャナー等、画像形成装置、特に記憶媒体を搭載したプロセスカートリッジを備える画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、一般的な画像形成装置、特に小型の所謂ローエンド機においては、電子写真プロセス手段を画像形成装置本体に対し着脱可能とするプロセスカートリッジ方式が用いられている(特許文献1及び特許文献2)。この際、プロセス手段は、帯電手段、現像手段、クリーニング手段の少なくとも一つと像担持体としての感光体(これらは静電画像形成プロセス機構部材である)を一体的にカートリッジ化したものである。プロセスカートリッジ方式を採用することで感光体が消耗した時や現像剤を消費した時、感光体の交換や現像剤の補給といった作業を専門のサービスマンによらずユーザ自身が行うことができるので、操作性が大いに向上する。
【0003】
このようなプロセスカートリッジは使用回数等によって寿命が定められており、このため使用回数等のプロセスカートリッジ状態を把握した管理を行う必要がある。そこで、前記特許文献2等に記載のプロセスカートリッジには記憶媒体として不揮発性メモリ(ROM)が搭載され、この不揮発性メモリに画像形成装置本体で使用された量を記憶させ、この情報を元にプロセスカートリッジの使用限界を判断してユーザに交換時期を促すことが行われている。このような機能・目的から、画像形成前後やプロセスカートリッジ交換後といったタイミングにおいて画像形成装置本体からプロセスカートリッジの不揮発性メモリへアクセスが行われるようになっている。
【0004】
この場合、図9に示すように、装置本体の装置ケーシング100に接触端子102が設けられるとともに、プロセスカートリッジ103に不揮発性メモリ等からなる記録媒体101が設けられている。この際、通常、記録媒体101がプロセスカートリッジ103の側面103aよりも僅かに突出している。
【0005】
このように、プロセスカートリッジ103を装置本体に装着する場合、図10に示すように、プロセスカートリッジ103を装置ケーシング100に対して矢印A方向に沿って挿入する。すなわち、記録媒体101が付設されたプロセスカートリッジ103の側面103aと、接触端子102が付設された装置ケーシング100の内面100aとを平行状態に維持したまま、プロセスカートリッジ103を矢印A方向に沿って挿入するものである。
【0006】
なお、従来には、インクジェット式プリンタにおいて、情報を記録する記憶手段とこの記憶手段に外部回路を接続するための接点端子とを有して前記容器本体に設けられる回路基板とを備えるものがある(特許文献3)。この際、回路基板は、前記容器装着部側に設けられた接続端子に対して接点端子が所定の押圧荷重を有するように、弾性変位可能に保持されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
前記図9等に示すものでは、プロセスカートリッジ103を挿入すれば、接触端子102が記録媒体101のレジスト上を摺動することになる。しかしながら、このように、摺動すれば、摩耗粉が発生して、その摩耗粉が接触端子102に付着するおそれがある。摩耗粉が接触端子102に付着すれば、接触端子102と記録媒体101との接触不良や、接触による接触端子102の破損等が起きる可能性がある。
【0008】
また、前記特許文献3に記載のインクジェット式プリンタのように、回路基板が弾性変位可能に保持されていたとしても、装着時において、回路基板の接点端子に対して、接続端子が摺接(摺動)するものである。このため、摩耗が多少減少されるが、摩耗が無くなることがない。このため、前記図9等に示すものと同様の問題点がある。
【0009】
本発明は、斯かる事情に鑑み、プロセスカートリッジの交換時期を安定して精度よく検出することができ、長期にわたって安定して画像形成が可能な画像形成装置を提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の画像形成装置は、像担持体を有するプロセスカートリッジが装置本体に着脱可能に装着されるとともに、このプロセスカートリッジには、装置本体に設けられる接触端子が物理的に接触して、プロセスカートリッジの状態情報を入手するための記録媒体が付設される画像形成装置であって、前記接触端子に、前記記録媒体との接触部よりもプロセスカートリッジ側へ突出した突出部を設けるとともに、プロセスカートリッジの側面に、プロセスカートリッジの装置本体への出し入れ動作中に前記突出部に対して摺接する摺接面部と、前記突出部が嵌合する嵌合用凹部とを設け、プロセスカートリッジの所定装着位置への挿入動作によって、前記摺接面部が接触端子の突出部に摺接する状態となって、突出部が記録媒体から離間する方向に押圧されて、接触端子の記録媒体への接触が規制され、所定装着位置では突出部が嵌合用凹部に嵌合して、接触端子が記録媒体に接触し、プロセスカートリッジが所定装着位置に固定されている状態からのプロセスカートリッジの取り出し動作によって、突出部が嵌合用凹部から抜け出して摺接面部に摺接する状態となるものである。
【0011】
本発明の画像形成装置によれば、プロセスカートリッジを装置本体へ挿入する場合、接触端子の突出部がプロセスカートリッジの摺接面部に対して摺接する。この際、突出部が記録媒体から離間する方向に押圧されて、接触端子の記録媒体への接触が規制される。そして、プロセスカートリッジが所定装着位置に達した際には、突出部が嵌合用凹部に嵌合して、接触端子の記録媒体への接触規制が解除される。これによって、接触端子が記録媒体に接触する。また、プロセスカートリッジを装置本体から取り出す動作に入れば、接触端子の突出部がプロセスカートリッジの摺接面部に対して摺接する状態となる。この際、突出部が記録媒体から離間する方向に押圧されて、接触端子の記録媒体への接触が規制されることになる。
【0012】
このため、この画像形成装置では、突出部が嵌合用凹部に嵌合している状態のときのみ、接触端子が記録媒体に接触することになる。しかも、接触端子が記録媒体に接触している場合、摺動が生じない。また、プロセスカートリッジの出し入れ動作においては、接触端子側および記録媒体側の摩耗が生じない。
【0013】
接触端子を、弾性体である板バネ部材にて構成することができる。このように、板バネ部材にて構成すれば、構成の簡略化を図ることができる。また、前記接触端子は、板バネ部材からなる本体部と、この本体部に付設される前記突出部とを備え、この突出部は本体部と別部材であって、前記摺接面部に摺接するカム部材にて構成したものであってもよい。突出部を本体部とは別部材であるカム部材にて構成した場合、カム部材の交換が可能となる。
【0014】
前記接触端子の接触部を記録媒体側へ押圧する弾性部材を備えたものであってもよい。このように、弾性部材を備えたものであれば、接触端子の接触部を記録媒体側へ押圧することができ、接触端子の接触部と記録媒体との接触圧力の安定化を図ることができる。
【0015】
前記接触端子は記録媒体への接触部を複数個備えているのが好ましい。接触部を複数個備えることによって、接触端子の記録媒体への接触信頼性を向上することができる。突出部を一つのカム部材にて構成し、このカム部材の前記摺接面部の摺接及び嵌合用凹部の嵌合によって、複数個の接触部の接触規制と接触規制解除とを行うようにできる。このようにすることによって、複数個の接触部に対して突出部(カム部材)の共用化を図ることができる。
【発明の効果】
【0016】
本発明では、プロセスカートリッジの出し入れ動作においては、接触端子側および記録媒体側の摩耗が生じない。このため、異物付着等による接触不良を防止でき、プロセスカートリッジの交換時期を安定して精度よく検出することができて、長期にわたって安定して画像形成が可能となる。
【0017】
プロセスカートリッジの挿入動作においては、突出部が嵌合用凹部に嵌合し、プロセスカートリッジの取り出し動作においては、突出部が嵌合用凹部から抜け出すことができる。このため、プロセスカートリッジの安定した挿入及び取り出しが可能となって、プロセスカートリッジの交換作業等を迅速にかつ安定して行うことができる。
【0018】
接触端子を、板バネ部材にて構成すれば、構成の簡略化を図ることができて、コスト低減を図ることができる。しかも、単純な構成であっても安定した弾性力を発揮することができ、記録媒体への信頼性の向上を図ることができる。また、突出部を本体部とは別部材であるカム部材にて構成した場合、カム部材の交換が可能となるので、カム部材が損傷した場合等には、この接触端子全体を交換することなく、カム部材のみを交換することができ、低コスト化を達成できる。また、カム部材としては、弾性を有する必要がないので、潤滑性に優れた材質とすることができ、このように潤滑性に優れた材質とすることによって、プロセスカートリッジの滑らかな出し入れが可能となり、プロセスカートリッジの交換作業の安定化を図ることができるとともに、プロセスカートリッジの摩耗や接触端子の破損等を防止できる。
【0019】
前記接触端子の接触部を記録媒体側へ押圧する弾性部材を備えたものであれば、接触端子の接触部を記録媒体側へ押圧することができ、接触端子の接触部と記録媒体との接触圧力の安定化を図ることができる。
【0020】
前記接触端子は記録媒体への接触部を複数個備えたものでは、一の接触部が異物等にて接触不良を起しても、他の接触部にて記録媒体との接触が可能であり、全体として、接触不良を起しにくくなって、接触端子の記録媒体への接触信頼性を向上することができる。
【0021】
複数個の接触部に対して突出部(カム部材)の共用化を図るようにしたものでは、接触端子の記録媒体への接触信頼性を向上することができて、部品点数の減少を図ることができ、構造の単純化を達成できる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本発明の画像形成装置の全体構成を示す簡略図である。
【図2】前記画像形成装置のプロセスカートリッジの要部簡略図である。
【図3】前記プロセスカートリッジが所定装着位置に装着されている状態の簡略図である。
【図4】前記プロセスカートリッジの所定装着位置への挿入方法を示す簡略図である。
【図5】前記プロセスカートリッジの所定装着位置からの取り出し方法を示す簡略図である。
【図6】他の接触端子を用いた画像形成装置のプロセスカートリッジが所定装着位置に装着されている状態の簡略図である。
【図7】別の接触端子を用いた画像形成装置のプロセスカートリッジが所定装着位置に装着されている状態の簡略図である。
【図8】さらに別の接触端子の簡略図である。
【図9】従来の画像形成装置のプロセスカートリッジが所定装着位置に装着されている状態の簡略図である。
【図10】従来の画像形成装置のプロセスカートリッジが所定装着位置に装着される方法を示す簡略図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、図に示す実施例による本発明を実施するための形態を説明する。
【実施例】
【0024】
本発明に係る画像形成装置の一例であるカラープリンタの概略を示す断面構成図である。この図に示すカラープリンタはタンデム方式を採用してフルカラー画像を形成可能なカラープリンタであり、装置本体のほぼ中央部に4つのプロセスカートリッジ6Y,6M,6C,6Kを並べており、プロセスカートリッジ6Y,6M,6C,6Kの上方には、プロセスカートリッジの感光体ドラムに潜像を形成するための露光装置5が配置されている。
【0025】
プロセスカートリッジ6Y,6M,6C,6Kの下方には、駆動ローラ23,従動ローラ24及び複数の一次転写ローラ4に巻き掛けられた中間転写手段としての中間転写ベルト3が配置されている。この中間転写ベルト3の図で見て右側に、二次転写装置11と中間転写体クリーニング装置14が配されている。中間転写ベルト3の下方には、転写ベルトに対する廃トナー回収容器15、記録媒体7を積載・収容する給紙カセット8が配置されている。給紙ローラ9にて給紙された記録媒体7は中間転写ベルト3と二次転写装置11との間を通り、定着装置12へ導かれて、記録媒体7にトナー像を熱定着させるようになっている。
【0026】
図1のプロセスカートリッジ6Y,6M,6C,6Kは、形成するトナー像の色がイエロー、マゼンタ、シアン、黒と相違し、トナー像を形成する構成や作用は全て同じであるので、図2において一つのプロセスカートリッジ6をY,M,C,Kを外して説明する。
【0027】
プロセスカートリッジ6の下部には、中間転写ベルト3(図1参照)に対向するように感光体である感光体ドラム61が配置され、作像時は時計方向CWに回転駆動される(この矢印CW方向へ回転する場合を正回転とする)。なお、この実施形態では、感光体をドラム形状で示すが、無端ベルトより成る感光体であってもよい。感光体ドラム61の周りには、1次転写後の残トナーを掻き取るクリーニング装置としてのクリーニングブレード62、及び感光体ドラム61に当接する帯電装置としての帯電ローラ63が設けられている。
【0028】
クリーニングブレード62の近傍には、掻き取られたトナーを廃トナーとして水平に搬送するトナー搬送コイル64が設けられ、これにより水平方向に搬送された廃トナーは搬送ベルト65によって汲み上げ、現像装置50の廃トナー回収室66に回収するようになっている。フィルム等の可撓性を有する材料から作られた仕切部材68によって廃トナー回収室66から仕切られる現像装置16の中央領域は未使用トナー室67とされ、この未使用トナー室67に所定色のトナーが充填されている。
【0029】
現像装置16は現像ローラ51と、未現像のトナーを攪拌するためのアジテータ52と、現像ローラにトナーを供給するためのトナー補給ローラ53と、現像ローラ上のトナー量を所定の量に規制するための現像ブレード54とを備えている。現像ローラ51は感光体ドラム61に対し、微小ギャップを伴って、あるいは接触して配置されている。
【0030】
次に電子写真画像形成プロセスを説明する。図2において、感光体ドラム61は画像形成装置本体に設置された駆動装置(図示せず)により正回転し、その表面感光層が帯電ローラ63により一様な高電位に帯電される。一様帯電された感光層は、露光装置5により矢印方向Wから画像データに基づいて選択的に露光され、この露光により電位の減衰した低電位部と初期化による高電位部とから成る静電潜像が形成される。
【0031】
次いで、当該静電潜像の低電位部(又は高電位部)が感光体ドラム・現像ローラとの対向位置にくると、表面にトナー薄層を形成した現像ローラ51からトナーが転移されてトナー像を形成(現像)する。後に言及する一次転写の後、感光体ドラム61に当接するクリーニングブレード62によって感光体ドラム61の表面に残留するトナーがクリーニングされ、不図示の除電装置によってドラム表面の残留電荷が除去され、次のトナー像の形成に備えられる。
【0032】
図1に戻って、一次転写のための一次転写ローラ4が、プロセスカートリッジ6と転写ベルト3とが接する位置に設置されており、一次転写ローラ4に高電位を印加することによって感光体ドラム61と転写ベルト3に電位差を設けて、感光体ドラム61表面に形成されたトナー像が転写される。プロセスカートリッジ6において、色毎のトナー像が順次転写ベルト3に転写され、転写ベルト3上に単色トナー像を重ね合わせた複数色のカラートナー像が形成される。
【0033】
一方、紙などの記録媒体7はタイミングをとって給紙ローラ9と用紙搬送装置10から二次転写装置11へ供給される。転写ベルト3の表面に形成されたトナー像(場合によっては単色トナー像)は、二次転写装置11に高電位を印加することによって転写ベルト3と二次転写装置11に電位差を設けて、記録媒体7上に転写される。
【0034】
トナー像が転写された記録媒体7は、転写ベルト3から剥離され、定着装置12によってトナー像が記録媒体7に溶融定着され、排紙コロ対13を介してプリンタ筐体上面の排紙トレイ2へ排紙される。記録媒体7へトナー像を転写した後の転写ベルト3の表面に残っている余剰トナーは、中間転写体クリーニング装置14(一般に感光体のクリーニング装置と同様、ゴム製のブレードが用いられる)によってクリーニングされ、廃トナー回収容器15に回収される。クリーニングされた転写ベルト3は、次のトナー像の転写に備えられる。
【0035】
ところで、上記のような作像動作を長期間繰り返すと、記録媒体7である紙などに付着している紙粉が転写ベルト3上に付着し、中間転写体クリーニング装置やクリーニングブレード62のエッジ部に堆積し、転写ベルト3と中間転写体クリーニング装置の当接部もしくは、感光体61とクリーニングブレード62の当接部に紙粉が挟み込まれる現象が発生する。紙粉の大きさはトナー粒径よりも大きいため、クリーニングブレード先端の紙粉が挟み込まれた近傍では、感光体(もしくは転写ベルト)との当接状態が不均一になり、クリーニング不良が発生してしまう。この現象を防止するために、予め設定された印字枚数毎に画像形成装置の駆動源であるモーター(図示せず)を逆回転させることで感光体を矢印CWとは逆方向に回転させること(逆回転)で挟み込まれた紙粉を吐き出し、良好なクリーニング性を保つことが出来る。
【0036】
以下で説明する実施形態のプロセスカートリッジ6は、感光体ドラム61、現像装置50、帯電ローラ63、クリーニングブレード62を一体化したプロセスカートリッジとして構成されており、現像装置50は独立した別のユニットで構成されている。そして、このプロセスカートリッジ6もしくは現像装置50は現像装置50の未使用トナー室67のトナーがトナーエンドとなったとき、新しいユニット等と交換しなければならない。
【0037】
そこで、プロセスカートリッジ6の使用回数等のプロセスカートリッジ状態を把握管理するために、図3に示すように、プロセスカートリッジ6の側面6aに不揮発性メモリ(ROM)(電源を切っても記憶内容を保持することができる半導体メモリ)等からなる記録媒体70が付設されている。また、装置ケーシング1側には、すなわち、プロセスカートリッジ6の記録媒体70に相対面する壁1aに接続端子71が設けられている。
【0038】
記録媒体70には、この不揮発性メモリに画像形成装置本体で使用された量を記憶させ、接続端子71がこの記録媒体70に接続されることによって、この情報を元にプロセスカートリッジ6の使用限界を判断してユーザに交換時期を促すことが行われている。
【0039】
接続端子71は板ばね部材からなり、本体部71aと、この本体部71aの下端に連続して形成される突出部71bとを備える。本体部71aは、壁1aから斜めに延びる第1部72と、この第1部72から壁1aと平行に延びる第2部73とからなり、第2部73に装置内部側に突出する接触部74が設けられている。
【0040】
また、突出部71bは断面U字状部にて構成される。すなわち、プロセスカートリッジ側に向かって接近する一対の傾斜部75a,75bと、傾斜部75a,75bを連結する凸曲部75cとからなる。図3に示す状態から、凸曲部75cが壁1a側へ押圧されれば、この接続端子71は、本体部71aの反突出部側を支点として、矢印X方向へ弾性的に揺動し(撓み)、この押圧力が解除されれば、矢印Y方向に揺動して、元の状態に復帰する。
【0041】
プロセスカートリッジ6の側面6aには、前記突出部71bが嵌合する嵌合用凹部76と、プロセスカートリッジ6の出し入れ動作時に突出部71bに摺接する摺接面部77とが設けられている。
【0042】
嵌合用凹部76は、記録媒体側の壁1aと直交する方向に延びる平面部76aと、この平面部76aの奥部から延びて平面部76aと直交する平坦面76bと、この平坦面76bから延びる凹湾曲状面76cとからなる。
【0043】
摺接面部77は、プロセスカートリッジ6の挿入動作で、突出部71bに対して摺接して突出部71bの嵌合用凹部76への嵌合を案内し、プロセスカートリッジ6の取り出し動作で、突出部71bが嵌合用凹部76から抜け出して突出部71bに摺接していくガイド面となる。
【0044】
このため、摺接面部77は、壁1aと平行となる第1部77aと、この第1部77aから反記録媒体側に延びる凸円弧部の第2部77bとからなる。また摺接面部77の第1部77aと、嵌合用凹部76の凹湾曲状面76cとの間のコーナにアール部78が設けられている。このように、嵌合用凹部76は摺接面部77と記録媒体70との間に連続して形成される。
【0045】
このようなプロセスカートリッジ6をこの装置に装着する場合、図4に示すように、装置ケーシング1の壁1aとプロセスカートリッジ6の側面6aとを平行状態に維持しつつプロセスカートリッジ6を矢印Aのように壁1aと直交する壁1b側へ挿入することになる。
【0046】
プロセスカートリッジ6を矢印A方向へ挿入していけば、突出部71bは、まず摺接面部77の第2部77bに摺接することになる。その後さらに、矢印A方向へ挿入していけば、摺接面部77の第1部77aに摺接することになる。すなわち、突出部71bの凸曲部75cが、摺接面部77の第2部77bと第1部77aとに順次摺接することになる。このように、摺接している状態では、突出部71bが矢印X方向に押圧されている。
【0047】
この状態では、接続端子71の接触部74は記録媒体70よりも壁1a側に位置して、記録媒体70に接触することはない。そして、さらにA方向に沿って挿入されることによって、嵌合用凹部76が突出部71bに対応する状態となる。このように、嵌合用凹部76が突出部71bに対応すれば、突出部71bは、摺接面部77の矢印X方向の押圧力が解除されることになる。この押圧力が解除されれば、接続端子71が撓んで突出部71bは矢印Y方向に揺動し、これによって、図3に示すように、嵌合用凹部76に嵌合することになる。
【0048】
突出部71bが嵌合用凹部76に嵌合した状態では、接続端子71は、その弾性力でもって、接触部74が記録媒体70に接触する。このように突出部71bが嵌合用凹部76に嵌合した状態では、このプロセスカートリッジ6が所定装着位置に固定(セット)した状態である。接触部74が記録媒体70に接触することによって、記録媒体70の情報を読み取ることができる。このように、記録媒体70の情報を読み取れば、この情報を元に、プロセスカートリッジ6の使用限界を判断してユーザ等に交換時期を促すようにしたりできる。
【0049】
また、図3に示すように、所定装着位置に固定(セット)した状態から、プロセスカートリッジ6を取り出す場合、図5に示すように、装置ケーシング1の壁1aとプロセスカートリッジ6の側面6aとを平行状態に維持しつつプロセスカートリッジ6を矢印Bのように引き出すことになる。
【0050】
プロセスカートリッジ6を矢印Bのように引き出せば、図5に示すように、突出部71bの傾斜部75bが嵌合用凹部76の凹湾曲状面76cに接触する。この状態からさらに矢印B方向へ引き出せば、傾斜部75bと凹湾曲状面76cとが、壁1a側に向かって壁1b(壁1aと直交する壁)側に傾斜しているので、プロセスカートリッジ6の矢印Bの引き出しによって、突出部71bが矢印X方向に押圧される。この際、接続端子71の接触部74は矢印X1方向に揺動して、記録媒体70から離間していくことになる。
【0051】
この図5に示す状態からさらにプロセスカートリッジ6を矢印Bのように引き出せば、接続端子71の突出部71bが嵌合用凹部76を乗り越えた状態となって、摺接面部77の第1部77aが突出部71bに対応する状態となる。すなわち、図4に示す状態となる。このように、図4に示す状態となれば、接続端子71の接触部74が記録媒体70から離れた状態となって、このプロセスカートリッジ6の取り出しが可能となる。
【0052】
このため、突出部71bと嵌合用凹部76と摺接面部77とは、摺接面部77に対して突出部71bが摺動して、嵌合用凹部76に嵌合するとなった際には、接続端子71の接触部74が記録媒体70に対して摺動せず、また、突出部71bが嵌合用凹部76に嵌合している状態から摺接面部77へ移動する際にも、接続端子71の接触部74が記録媒体70に対して摺動しないような形状・寸法に設定することになる。
【0053】
本発明の画像形成装置では、プロセスカートリッジ6を装置本体へ挿入する場合、接触端子71の突出部71bがプロセスカートリッジ6の摺接面部77に対して摺接する。この際、突出部71bが記録媒体70から離間する方向に押圧されて、接触端子71の記録媒体70への接触が規制される。そして、プロセスカートリッジ6が所定装着位置に達した際には、突出部71bが嵌合用凹部76に嵌合して、接触端子71の記録媒体70への接触規制が解除される。これによって、接触端子71が記録媒体70に接触する。また、プロセスカートリッジ6を装置本体から取り出す動作に入れば、接触端子の突出部71bがプロセスカートリッジ6の摺接面部77に対して摺接する状態となる。この際、突出部71bが記録媒体70から離間する方向に押圧されて、接触端子71の記録媒体70への接触が規制されることになる。
【0054】
このように、この画像形成装置では、突出部71bが嵌合用凹部76に嵌合している状態のときのみ、接触端子71が記録媒体70に接触することになる。しかも、接触端子71が記録媒体70に接触している場合、摺動が生じない。また、プロセスカートリッジ6の出し入れ動作においては、接触端子側および記録媒体70側の摩耗が生じない。このため、異物付着等による接触不良を防止でき、プロセスカートリッジ6の交換時期を安定して精度よく検出することができて、長期にわたって安定して画像形成が可能となる。
【0055】
また、プロセスカートリッジ6の取り出し動作においては、突出部71bが嵌合用凹部76から抜け出すことができる。このため、プロセスカートリッジ6の安定した挿入及び取り出しが可能となって、プロセスカートリッジ6の交換作業等を迅速にかつ安定して行うことができる。なお、前記実施形態では、接続端子71の突出部71bにおける摺接面部77への摺接部は凸曲部75cであるので、突出部71bは摺接面部77に対して滑らかに摺接することになる。このため、摺接面部77や突出部71bの摩耗や損傷等を有効に防止できる。
【0056】
接触端子71を、板バネ部材にて構成しているので、構成の簡略化を図ることができて、コスト低減を図ることができる。しかも、単純な構成であっても安定した弾性力を発揮することができ、記録媒体への信頼性の向上を図ることができる。
【0057】
ところで、接続端子71の接触部74として、図6に示すように、複数個有するものであってもよい。この図6における接触端子71、及び嵌合用凹部76、摺接面部77等の構成は図3等に示すものと同様であるので、同一構成のものは図3等と同一に符号を附してそれらの説明を省略する。
【0058】
このため、この図6に示すものであっても、図3等に示すものと同様の作用効果を奏する。しかも、接触部74を複数個備えることによって、一の接触部が異物等にて接触不良を起しても、他の接触部74にて記録媒体70との接触が可能であり、全体として、接触不良を起しにくくなって、接触端子71の記録媒体70への接触信頼性を向上することができる。なお、接触部74の数を増加させる場合、図6では、接続端子71の長手方向に沿って配設していたが、長手方向と直交する幅方向に沿って配設するものであっても、長手方向及び幅方向に沿って配設するものであってもよい。また、接続端子71の数も任意である。
【0059】
次に図7は接続端子71の変形例を示し、この場合の接続端子71は、板バネ部材からなる本体部80と、この本体部80に付設される突出部81とを備えたものである。本体部80は、突出部81が嵌合用凹部76に嵌合した状態において、湾曲部となる第1部80aと、この第1部80aから連設されて壁1aと略平行をなす第2部80bとを形成する。また、この状態では、本体部80に設けられた接触部74が弾性的に記録媒体70に接触する。
【0060】
突出部81は、先端部が円弧部81aとされたいわゆる弾丸形状のカム部材からなる。また、この突出部81の端面81bにコイルばね等からなる弾性部材82が付設されている。そして、この弾性部材82によって、突出部81を矢印Y方向へ押圧することができ、これによって、突出部81が嵌合用凹部76に対応した状態となれば、突出部81が嵌合用凹部76に嵌合する。なお、この突出部81としては非導電物質で構成するこが好ましい。
【0061】
このため、このような接続端子71を用いても、図3等に示す接続端子71を用いた場合と同様の機能を発揮する。すなわち、プロセスカートリッジ6を挿入していけば、まず、突出部81の円弧部81aが摺接面部77の第2部77bと第1部77aとに順次摺接することになる。このように、摺接している状態では、突出部81が矢印X方向に押圧されている。
【0062】
この状態では、接続端子71の接触部74は記録媒体70よりも壁1a側に位置して、記録媒体70に接触することはない。そして、さらにA方向に沿って挿入されることによって、嵌合用凹部76が突出部81に対応する状態となる。このように、嵌合用凹部76が突出部81に対応すれば、突出部81は、摺接面部77の矢印X方向の押圧力が解除されることになる。この押圧力が解除されれば、突出部81は矢印Y方向に揺動し、これによって、嵌合用凹部76に嵌合することになる。
【0063】
また、図7に示すように、所定装着位置に固定(セット)した状態から、プロセスカートリッジ6を取り出す場合、装置ケーシング1の壁1aとプロセスカートリッジ6の側面6aとを平行状態に維持しつつプロセスカートリッジ6を矢印Bのように引き出すことになる。
【0064】
このように、プロセスカートリッジ6を矢印Bのように引き出せば、突出部81の円弧部81aが嵌合用凹部76の凹湾曲状面76cに接触する。この状態からさらに矢印B方向へ引き出せば、本体部80が撓み、円弧部81aが嵌合用凹部76の凹湾曲状面76cに対して摺動して、突出部81が矢印X方向に押圧される。この際、接続端子71の接触部74は矢印X1方向に揺動して、記録媒体70から離間していくことになる。
【0065】
さらにプロセスカートリッジ6を矢印Bのように引き出せば、接続端子71の突出部81が嵌合用凹部76を乗り越えた状態となって、摺接面部77の第1部77aが突出部81に対応する状態となる。これによって、接続端子71の接触部74が記録媒体70から離れた状態となって、このプロセスカートリッジ6の取り出しが可能となる。
【0066】
このため、図7に示す接続端子71を用いても、前記図3等に示す接続端子71を用いた場合と同様の作用効果を奏する。特に、突出部81を本体部80とは別部材であるカム部材にて構成した場合、カム部材の交換が可能となるので、カム部材が損傷した場合には、この接触端子全体を交換することなく、カム部材のみを交換することができ、低コスト化を達成できる。また、カム部材としては、弾性を有する必要がないので、潤滑性に優れた材質とすることができ、このように潤滑性に優れた材質とすることによって、プロセスカートリッジ6の滑らかな出し入れが可能となり、プロセスカートリッジ6の交換作業の安定化を図ることができる。
【0067】
前記接触端子71の接触部74を記録媒体70側へ押圧する弾性部材82を備えたものであれば、接触端子71の接触部74を記録媒体70側へ押圧することができ、接触端子71の接触部74と記録媒体70との接触圧力の安定化を図ることができる。
【0068】
ところで、図8は、一つのカム部材にて、複数個の接触部の接触規制と接触規制解除とを行うものである。すなわち、カム部材を構成する突出部81に、複数の本体部80を付設するようにしている。これによって、本体部80を複数個備えることによって、記録媒体70が複数個並んでいる場合、カム部材を構成する突出部81を共用することができ、部品点数の減少を図って、コスト低減を達成するものである。この突出部81も非導電物質で構成するこが好ましい。
【0069】
なお、本発明は上述の実施例に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変更を加え得ることは勿論である。本発明に係る画像形成装置は、電子写真複写機、レーザービームプリンタ、ファクシミリ装置等がある。また、記録媒体としては、不揮発性メモリ以外、磁性記録媒体や光記憶媒体等であってもよい。また、摺接面部77は前記実施形態では、第1部77aと第2部77bとで構成していたが、このような第1部77aと第2部77bとで構成することなく、一つの曲面又は一つの傾斜面等で構成しても、さらには、2個以上の曲面等で構成してもよい。嵌合用凹部76の断面形状としても、図3等に示す断面形状のものに限らず、プロセスカートリッジ6を挿入する際において、突出部71b、81が摺接面部77に案内されて、嵌合用凹部76に嵌合し、かつ、嵌合用凹部76に突出部71b、81が嵌合している状態から、プロセスカートリッジ6を取り出す際において、突出部71b、81が嵌合用凹部76から抜け出して摺接面部77に摺接するものであればよい。
【符号の説明】
【0070】
6 プロセスカートリッジ
70 記録媒体
71 接続端子
71b 突出部
74 接触部
76 嵌合用凹部
77 摺接面部
80 本体部
81 突出部
82 弾性部材
【先行技術文献】
【特許文献】
【0071】
【特許文献1】特開2009−109854号公報
【特許文献2】特開2008−185971号公報
【特許文献3】特開2007−237657号公報

【特許請求の範囲】
【請求項1】
像担持体を有するプロセスカートリッジが装置本体に着脱可能に装着されるとともに、このプロセスカートリッジには、装置本体に設けられる接触端子が物理的に接触して、プロセスカートリッジの状態情報を入手するための記録媒体が付設される画像形成装置であって、
接触端子に、前記記録媒体との接触部よりもプロセスカートリッジ側へ突出した突出部を設けるとともに、プロセスカートリッジの側面に、プロセスカートリッジの装置本体への出し入れ動作中に前記突出部に対して摺接する摺接面部と、前記突出部が嵌合する嵌合用凹部とを設け、プロセスカートリッジの所定装着位置への挿入動作によって、前記摺接面部が接触端子の突出部に摺接する状態となって、突出部が記録媒体から離間する方向に押圧されて、接触端子の記録媒体への接触が規制され、所定装着位置では突出部が嵌合用凹部に嵌合して、接触端子が記録媒体に接触し、プロセスカートリッジが所定装着位置に固定されている状態からのプロセスカートリッジの取り出し動作によって、突出部が嵌合用凹部から抜け出して摺接面部に摺接する状態となることを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
接触端子を、弾性体である板バネ部材にて構成したことを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記接触端子は、板バネ部材からなる本体部と、この本体部に付設される前記突出部とを備え、この突出部は本体部と別部材であって、前記摺接面部に摺接するカム部材にて構成したことを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記接触端子の接触部を記録媒体側へ押圧する弾性部材を備えたことを特徴とする請求項3に記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記接触端子は記録媒体への接触部を複数個備えていることを特徴とする請求項1〜請求項4のいずれか1項の画像形成装置。
【請求項6】
前記突出部を一つのカム部材にて構成し、このカム部材の前記摺接面部の摺接及び嵌合用凹部の嵌合によって、複数個の接触部の接触規制と接触規制解除とを行うことを特徴とする請求項5に記載の画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2011−53410(P2011−53410A)
【公開日】平成23年3月17日(2011.3.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−201598(P2009−201598)
【出願日】平成21年9月1日(2009.9.1)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】