説明

画像形成装置

【課題】本発明は、ケース本体の側面部に取り付けられた回路基板に実装された電子部品及び回路から発生する高周波ノイズに対するシールド性が向上された画像形成装置を提供することを目的とする。
【解決手段】コピー機1は、外側面111を有する側面部112及び側面部112の外縁に連続して外側面111側に延びるように形成される本体側壁部113を有するケース本体110と、複数の電子部品601が実装され外側面111に取り付けられる回路基板600と、外縁における第1辺703が本体側壁部113に連結される天板701及び天板701の本体側壁部113に連結されていない辺に連続して側面部112側に延びるように形成され側面部112に連結されると共に本体側壁部113と協同して回路基板600を囲むように配置されるシールドケース側壁部702を有するシールドケース700と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、コピー機やプリンタ等の画像形成装置として、用紙に画像を形成する画像形成部と、画像形成部を収容するケース本体と、ケース本体の外側に取り付けられる回路基板とを備えるものが多く存在する。回路基板には、画像形成部を構成する各種部材を制御するための電子部品等が実装されている。
回路基板に実装された電子部品のうち、ASIC等の所定の電子部品は、その周辺の回路を含め高周波ノイズを発生させる要因となる。
【0003】
ここで、所定の電子部品や回路から発生された高周波ノイズの伝播や輻射を抑制するため、ケース本体における回路基板を、全面的に覆うようにシールド板金が取り付けられた画像形成装置が存在する。
しかし、この場合には、ケース本体の一面を覆うような大きな板金を取り付ける必要がるため、画像形成装置は、コスト高になると共に、外観意匠の自由度が小さくなる場合があった。
【0004】
これに対し、発生された高周波ノイズをシールドするためのシールドケースを備える画像形成装置が存在する。
例えば、回路基板(電装基板)がノイズシールド部材により作られたシールドボックス(筐体)内に配置されると共に、このシールドボックスが交換可能に構成された画像形成装置が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】実開平3−112754号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、特許文献1に開示された画像形成装置は、別部材のシールドボックスを用いるので、コスト高になる場合がある。
【0007】
ここで、コスト高を解消するために、完全なボックスではなく、一面が開口した箱状のシールド部材をケース本体の一面に取り付ける構造もある。
しかし、この場合において、グランド部材であるケース本体の外面と、取り付けられたシールドケースとによりシールド構造が形成されるが、該シールド構造が異なる2つの部材により構成されているため、電子部品の種類や実装位置によっては、シールド性が十分ではない場合があった。当該シールド構造においても更なるシールド性の向上が望まれている。
【0008】
本発明は、ケース本体の側面に取り付けられた回路基板を覆うように配置されるシールドケースを有し、回路基板に実装された電子部品及び回路から発生する高周波ノイズに対するシールド性が向上された画像形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、被画像形成材に画像を形成する画像形成部と、前記画像形成部を収容する導電性のケース本体であって、外側面を有する側面部と、前記側面部の外縁に連続して前記外側面側に延びるように形成される1又は複数の本体側壁部と、を有するケース本体と、複数の電子部品及び回路が実装された回路基板であって、前記側面部における前記外側面に取り付けられる共に、前記側面部に電気的に接続される回路基板と、前記回路基板を覆うように配置される導電性のシールドケースであって、前記回路基板と所定距離だけ離間して配置される略四角形状の天板であって、外縁における第1辺及び/又は前記第1辺に連続する第2辺が前記本体側壁部に連結される天板と、前記天板の外縁における前記本体側壁部に連結されていない辺に連続して前記側面部側に延びるように形成され、前記側面部に連結されると共に前記本体側壁部と協同して前記回路基板を囲むように配置されるシールドケース側壁部と、を有するシールドケースと、を備える画像形成装置に関する。
【0010】
また、前記回路基板は、高周波ノイズを輻射する要因となる所定の電子部品及び回路を含み、前記所定の電子部品及び回路は、前記回路基板における前記本体側壁部側に配置されることが好ましい。
【0011】
また、前記天板における前記回路基板の前記本体側壁部側の外縁に対応する第1対応位置から前記本体側壁部までの最短距離は、前記第1対応位置から前記側面部における前記外側面までの距離よりも短いことが好ましい。
【0012】
また、前記天板における前記所定の電子部品に対応する第2対応位置から前記本体側壁部までの最短距離は、前記第2対応位置から前記天板及び前記シールドケース側壁部を通り前記側面部の外側面までの最短距離よりも短いことが好ましい。
【0013】
また、前記天板は、前記第1辺及び前記第2辺が前記本体側壁部に連結され、前記側面部と平行に配置されることが好ましい。
【0014】
また、前記本体側壁部は、前記側面部における外縁側を折り曲げて形成されることが好ましい。
【0015】
また、前記シールドケースの外側に、前記天板の外面と対向すると共に、前記側面部の外側面と対向して配置される意匠カバーと、を備えることが好ましい。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、ケース本体の側面に取り付けられた回路基板を覆うように配置されるシールドケースを有し、回路基板に実装された電子部品及び回路から発生する高周波ノイズに対するシールド性が向上された画像形成装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明の画像形成装置の第1実施形態としてのコピー機1における各構成要素の配置を説明するための左側面図である。
【図2】第1実施形態のコピー機1の装置本体105におけるケース本体110に回路基板600を取り付けた状態を示す斜視図である。
【図3】第1実施形態におけるコピー機1の回路基板600を囲むようにシールドケース700を配置した状態を示す斜視図である。
【図4】図3に示すA−A断面図である。
【図5】図3に示すB−B断面図である。
【図6】本発明の画像形成装置の第2実施形態としてのコピー機1の装置本体105におけるケース本体110に回路基板600を取り付けた状態を示す斜視図である。
【図7】第2実施形態におけるコピー機1の回路基板600を囲むようにシールドケース700を配置した状態を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。
図1により、画像形成装置の一実施形態としてのコピー機1における全体構造を説明する。図1は、本発明の画像形成装置の第1実施形態としてのコピー機1における各構成要素の配置を説明するための左側面図である。
【0019】
図1に示すように、本実施形態のコピー機1は、コピー機本体100と、コピー機本体100の垂直方向下側に配置され、コピー機本体100に増設される増設ユニット300(第2筐体)とを備える。増設ユニット300は、シート状の被画像形成材である用紙Tを後述のケース本体110に給紙可能に収容するユニットである。増設ユニット300は、ユーザの要望により、適宜、コピー機本体100に増設される。
【0020】
図1に示すように、コピー機本体100は、画像読取装置200と、装置本体105(第1筐体)とを備える。
画像読取装置200は、画像読取部201と、画像読取部201の垂直方向上側に配置され画像読取部201に原稿G(シート材)を自動的に搬送するシート材給送装置690とを備える。
【0021】
図1に示すように、シート材給送装置690は、給送機構筐体691と、原稿載置部710と、原稿集積部720と、中間トレイ730とを備える。
【0022】
給送機構筐体691は、シート材給送装置690における給送機構が収納された筐体である。
原稿載置部710は、画像が読み取られる前の原稿G(シート材)が載置される部分である。
原稿集積部720は、原稿載置部710の垂直方向下側に位置し、所定の画像読取位を通過した原稿Gが集積される部分である。
【0023】
中間トレイ730は、原稿載置部710と原稿集積部720との間に配置され、原稿載置部710と原稿集積部720との間の空間を原稿集積部720側の第1空間と原稿載置部710側の第2空間とに仕切るトレイである。
【0024】
画像読取部201は、光源を含む照明部と、光路を形成する複数のミラーと、結像レンズと、読取手段としてのCCDと、CCDにより読み取られた画像情報に対して所定の処理をすると共に該画像情報を装置本体105側に出力させるCCD基板とを備える。
シート材給送装置690において、読取位置に搬送された原稿Gに形成された画像は、CCDにより読み取られる。
【0025】
図1に示すように、装置本体105は、画像読取装置200(画像読取部201)の垂直方向下側に配置される。
装置本体105は、所定の画像情報に基づいて用紙Tに所定の画像を形成する画像形成部GKと、用紙Tを画像形成部GKに給紙すると共に画像が形成された用紙Tを排紙する給排紙部とを有する。
【0026】
また、装置本体105は、該装置本体105の外形を構成すると共に、画像形成部GKや給排紙部を収容する導電性のケース本体110と、増設ユニット用本体310と、を有する。
装置本体105のケース本体110には、外面(図1において左側)に、CPU、メモリやクロック等の複数の電子部品及び所定の回路が実装された回路基板が取り付けられている。また、ケース本体110は、回路基板に電気的に接続された装置本体側コネクタ121を有する。
また、ケース本体110の外面には、装置本体105の外面を形成する樹脂性の意匠カバー800が配置される。
ここで、回路基板及び電子部品については後述する。
【0027】
図1に示すように、画像形成部GKは、感光体ドラム2と、帯電部10と、レーザスキャナユニット4と、現像器16と、トナーカートリッジ5と、トナー供給装置6と、転写ローラ8と、ドラムクリーニング装置11と、定着部としての定着装置9とを備える。
また、給排紙部は、給紙カセット52と、手差しトレイ65と、レジストローラ対80と、用紙Tの搬送路Lとを備える。
【0028】
感光体ドラム2は、円筒形状の部材からなり、像担持体として機能する。感光体ドラム2は、図1の紙面に対して垂直な回転軸を中心に回転可能な態様で装置本体105に配置される。感光体ドラム2の表面には、静電潜像が形成される。
【0029】
帯電部10は、感光体ドラム2の垂直方向上側(上方)に配置される。帯電部10は、感光体ドラム2の表面を一様に正(プラス極性)帯電させる。
【0030】
レーザスキャナユニット4は、感光体ドラム2の垂直方向上側(上方)に感光体ドラム2から離間して配置される。レーザスキャナユニット4は、不図示のレーザ光源、ポリゴンミラー、ポリゴンミラー駆動用モータ等を有して構成される。
【0031】
レーザスキャナユニット4は、画像読取装置200から出力された画像情報に基づいて、感光体ドラム2の表面を走査露光する。レーザスキャナユニット4により走査露光されることによって、感光体ドラム2の表面に帯電した電荷が除去される。これにより、感光体ドラム2の表面に静電潜像が形成される。
【0032】
レーザスキャナユニット4は、画像読取装置200から出力された画像情報に基づいて、感光体ドラム2の表面を走査露光する。レーザスキャナユニット4により走査露光されることによって、感光体ドラム2の表面に帯電した電荷が除去される。これにより、感光体ドラム2の表面に静電潜像が形成される。
【0033】
現像器16は、感光体ドラム2の前方(図1における右側)に配置される。現像器16は、感光体ドラム2に形成された静電潜像に単色(通常はブラック)のトナー画像を現像する。現像器16は、感光体ドラム2に対向配置可能な現像ローラ17と、トナー攪拌用の攪拌ローラ18と、を有して構成される。
【0034】
トナーカートリッジ5は、現像器16に供給されるトナーを収容する。
トナー供給装置6は、トナーカートリッジ5に収容されたトナーを、現像器16に供給する。
【0035】
ドラムクリーニング装置11は、感光体ドラム2の後方(図1における左側)に配置される。ドラムクリーニング装置11は、感光体ドラム2の表面に残留したトナーや付着物を除去する。
【0036】
転写ローラ8は、感光体ドラム2の表面に現像されたトナー画像を用紙Tに直接的に転写させる。転写ローラ8には、不図示の電圧印加手段により、感光体ドラム2に現像されたトナー画像を用紙Tに転写させるための転写バイアスが印加される。
【0037】
なお、感光体ドラム2の表面に現像されたトナー画像は、中間転写ベルト等を介して、用紙Tに間接的に転写させることができる。
【0038】
転写ローラ8は、感光体ドラム2に当接される当接位置と、感光体ドラム2から離間する離間位置とに移動可能に構成される。詳細には、転写ローラ8は、感光体ドラム2に現像されたトナー画像を用紙Tに転写させる場合には当接位置に移動され、他の場合には離間位置に移動される。
ここで、用紙Tは、感光体ドラム2と転写ローラ8とによって挟み込まれ、感光体ドラム2の表面(トナー画像が現像された側)に押し当てられる。このようにして転写部としての転写ニップNが形成され、感光体ドラム2に現像されたトナー画像は、用紙Tに転写される。
【0039】
定着装置9は、用紙Tに転写されたトナー画像を構成するトナーを溶融させて、用紙Tに定着させる。定着装置9は、ヒータにより加熱される加熱ローラ9aと、加熱ローラ9aに圧接される加圧ローラ9bと、を備える。加熱ローラ9aと加圧ローラ9bとは、トナー画像が転写された用紙Tを挟持するようにして搬送する。用紙Tが加熱ローラ9aと加圧ローラ9bとの間に挟持されるように搬送されることによって、用紙Tに転写されたトナーは、溶融されると共に該用紙Tの表面に定着される。
【0040】
給紙カセット52は、装置本体105の下部(垂直方向における下側)に配置される。給紙カセット52は、装置本体105の前側(図1における右側)に水平方向に引き出し可能に配置される。給紙カセット52は、用紙Tが載置される載置板60を備えており、給紙カセット52には、載置板60に用紙Tが積層された状態で、用紙Tが収容される。カセット給紙部51は、給紙カセット52の用紙送り出し側端部(図1における右側端部)に配置される。カセット給紙部51は、給紙カセット52に収容された用紙Tを搬送路Lに送り出す。
【0041】
カセット給紙部51は、載置板60に載置された用紙Tを取り出す前送りコロ61と、用紙Tを1枚ずつ搬送路Lに送り出すローラ対63とからなる重送防止機構を備える。
【0042】
カセット給紙部51又は手差し給紙部64と排紙部50との間には、用紙Tを搬送する搬送路Lが形成される。搬送路Lは、カセット給紙部51から第1合流部P1までの第1搬送路L1と、第1合流部P1からレジストローラ対80までの第2搬送路L2と、レジストローラ対80から転写ローラ8までの第3搬送路L3と、転写ローラ8から定着装置9までの第4搬送路L4と、定着装置9から分岐部P3までの第5搬送路L5と、分岐部P3から排紙部50までの第6搬送路L6と、を有する。
【0043】
また、搬送路Lは、手差しトレイ65から第1合流部P1までの第7搬送路L7を有する。第1合流部P1は、カセット給紙部51から用紙Tを搬送する第1搬送路L1と、手差しトレイ65から用紙Tを搬送する第7搬送路L7との合流部である。
【0044】
また、本実施形態の搬送路Lは、カセット給紙部51から第1合流部P1までの第1搬送路L1から増設ユニット300側に延長形成され、増設ユニット300から給紙される用紙Tを第1搬送路L1に搬送する増設ユニット用搬送路L8を有する。
【0045】
増設ユニット300は、垂直方向に(2段になるよう)並んだ給紙カセット52、52を備える。増設ユニット300は、給紙カセット52、52に対応して配置されるカセット給紙部51、51を備える。増設ユニット300は、不図示の連結機構を介してケース本体110と連結される。
ケース本体110と連結された増設ユニット300は、ケース本体110側の不図示の電源部から供給される電力や不図示の画像形成制御部からの制御信号を装置本体側コネクタ121を介して受信する増設ユニット側コネクタ321を有する。
また、増設ユニット300は、カセット給紙部51、51から繰り出される用紙Tを、装置本体105側の増設ユニット用搬送路L8に送り出す連絡搬送路L9を有する。
【0046】
第2搬送路L2の途中には、第2合流部P2が配置される。更に、搬送路Lは、分岐部P3から第2合流部P2までの戻し搬送路Lbを有する。第2合流部P2は、第2搬送路L2と戻し搬送路Lbとの合流部である。
【0047】
ここで、転写ローラ8における用紙Tの搬送方向の上流側(図1における右側)には、レジストローラ対80が配置される。レジストローラ対80は、用紙Tのスキュー(斜め給紙)補正や、トナー画像とのタイミング調整を行うためのローラ対である。
【0048】
戻し搬送路Lbは、用紙Tの両面印刷を行う際に、既に印刷されている面とは反対面(非印刷面)を感光体ドラム2に対向させるために設けられる搬送路である。
【0049】
戻し搬送路Lbによれば、分岐部P3から排紙部50側に搬送された用紙Tを表裏反転させて第2搬送路L2に戻すことができる。戻し搬送路Lbにより表裏反転された用紙Tは、感光体ドラム2により非印刷面に対して所定のトナー画像が転写される。
【0050】
ケース本体110の前面側(図1における右側)であって、給紙カセット52の上方には、手差し給紙部64が設けられる。手差し給紙部64は、手差しトレイ65と、給紙コロ66とを備える。手差しトレイ65は、その基端部が第7搬送路L7の入口近傍に回動自在(開閉自在)に取り付けられる。手差しトレイ65は、その閉状態において、ケース本体110の前面の一部を構成する。給紙コロ66は、手差しトレイ65に載置された用紙Tを取り出し、第7搬送路L7に向けて送り出す。
【0051】
手差し給紙部64は、開状態の手差しトレイ65に載置された用紙Tを、第7搬送路L7及び第1合流部P1を介して、第2搬送路L2に給紙する。
【0052】
第6搬送路L6における端部には、排紙部50が形成される。排紙部50は、装置本体105における上方側に配置される。排紙部50は、装置本体105の前方(図1における右方)に向けて開口している。排紙部50は、定着装置9によりトナーが定着された用紙Tを装置本体105の外部に排紙する。
【0053】
排紙部50における開口側には、排紙集積部M1が形成される。排紙集積部M1は、装置本体105における上面(外面)に形成される。排紙集積部M1は、装置本体105における上面が下方(垂直方向下側)に窪んで形成された部分である。排紙集積部M1の底面は、装置本体105における上面の一部を構成する。排紙集積部M1には、排紙部50から排紙された、所定画像が転写された用紙Tが積層して集積される。
【0054】
次に、図2から図5により、第1実施形態のコピー機1における特徴部分である回路基板600及びシールドケース700に係る構成について説明する。
図2は、装置本体105におけるケース本体110に回路基板600を取り付けた状態を示す斜視図である。図3は、回路基板600を囲むようにシールドケース700を配置した状態を示す斜視図である。図4は、図3に示すA―A断面図である。図5は、図3に示すB―B断面図である。
【0055】
図2及び図3に示すように、装置本体105のケース本体110は、装置本体105の外形を形成するケース体である。ケース本体110は、上述の通り、画像形成部GKや給排紙部を収容する。
【0056】
ケース本体110は、外側面111を有する略四角形状の側面部112と、側面部112の外縁(図3において上側の外縁)に連続する本体側壁部113と、を有する。本実施形態において、本体側壁部113は、側面部112における垂直方向上側の外縁に対応する部分を外側面111側に延びる(突出する)ように折り曲げて形成される。
ここで、本実施形態において、本体側壁部113及び側面部112は、後述する高周波ノイズをキャッチするグランド部材となる。
【0057】
ケース本体110における側面部112の外側面111には、回路基板600が取付けられる。これにより、回路基板600は、ケース本体110の側面部112に電気的に接続される。
【0058】
回路基板600には、複数の電子部品601が実装されている。複数の電子部品601は、例えば、ASIC等のような高周波ノイズを輻射する要因となる所定の電子部品601a及び回路を含む。高周波ノイズを輻射する要因となるASIC等の所定の電子部品601a及び回路は、回路基板600における本体側壁部113に近い側に配置されることが好ましい(図4参照)。
【0059】
図3に示すように、シールドケース700は、回路基板600を覆うように配置される。シールドケース700は、ケース本体110の側面部112のうち、本体側壁部113に近く、且つ、ケース本体110の後面の1つの角部付近(図1における左側)に配置される。シールドケース700は、導電性材料により形成される。シールドケース700は、金属板等を加工して形成される。
【0060】
シールドケース700は、天板701と、シールドケース側壁部702と、を有する。
天板701は、回路基板600と所定距離だけ離間して配置される略四角形状の天板である。天板701は、側面部112と平行となるよう配置される。天板701の外縁における上辺(第1辺)703側には、本体側壁部113側に向けて側面部112と平行に延びる延長天板部704が一体的に形成されている。延長天板部704は、ケース本体110の本体側壁部113にネジ706を介して連結されている。天板701は、延長天板部704を含めて平面状に形成される。
【0061】
シールドケース側壁部702は、シールドケース700の天板701における外縁のうち、本体側壁部113に固定連結されていない3つの辺に連続してケース本体110の側面部112に向かうように延びている。これらシールドケース側壁部702、702、702は、ケース本体110の側面部112にネジ705を介して固定連結されると共に、本体側壁部113と協同して回路基板600の全周を囲むように配置される。ここで、本実施形態において、本体側壁部113は、シールドケース700におけるシールドケース側壁部702が形成されていない側に位置し、シールドケース側壁部702の代わりに回路基板600の周囲を囲む側壁部として機能する。
また、シールドケース側壁部702、702、702のうち、一部のシールドケース側壁部702には、内部から外部に配線等を挿通させる開口部708が切り欠き形成されている。
【0062】
ここで、ケース本体110における本体側壁部113、回路基板600(外縁)、回路基板600に実装された電子部品601a等におけるそれぞれの位置関係は、以下のように設定されることが好ましい。
図4に示すように、天板701における回路基板600の本体側壁部113側の外縁602に対応する第1対応位置S1から本体側壁部113までの最短距離A2は、第1対応位置S1からケース本体110における側面部112の外側面111に至るまでの距離(高さ)A3よりも短いことが好ましい。つまり、A2<A3の関係に設定されていることが好ましい。
【0063】
また、図4及び図5に示すように、天板701における所定の電子部品601aに対応する第2対応位置S2から本体側壁部113までの最短距離(総距離A)A1+A2は、第2対応位置S2から天板701及びシールドケース側壁部702を通りケース本体110における側面部112の外側面111に至るまでの最短距離(総距離B)B1+B2+B3よりも短いことが好ましい。つまり、A1+A2<B1+B2+B3の関係に設定されていることが好ましい。
【0064】
次に、各部の距離関係が上述のように設定されたケース本体110、回路基板600、シールドケース700を有するコピー機1において、回路基板600に実装された所定の電子部品601a及び回路から輻射される高周波ノイズに対するシールド作用について説明する。
【0065】
図4に矢印を付して示すように、所定の電子部品601a及び回路からはあらゆる方向に向けて高周波ノイズが輻射される。そのうち、矢印a、矢印bの方向に向けて輻射される高周波ノイズは、ケース本体110におけるグランド部材である本体側壁部113により直接キャッチされる(シールドされる)。
【0066】
また、矢印cの方向に向けて輻射される高周波ノイズは、シールドケース700の天板701にキャッチされたのち、天板701の延長天板部704を含むルートR1を通ってケース本体110における本体側壁部(グランド部)113に流れ込む(戻される、シールドされる)。
【0067】
ここで、延長天板部704における高周波ノイズのグランド部材に流れ込むルートR1は距離A1+A2を介してネジ706で本体側壁部(グランド部)113に連結されている。このルートR1の最短距離A1+A2は、側壁部が回路基板600の外縁602に当接又は近接する箱状のシールドケースを用いる従来の場合において図4に点線で示す高周波ノイズのルートR3の最短距離A1+A3よりも短い。つまり、本実施形態におけるルートR1は、従来に比べてルートR1、R3の距離差Δ(A3−A2)の分だけインピーダンスが低くなる。
【0068】
また、図5に示すように、所定の電子部品601a及び回路から矢印c方向に向けて輻射される高周波ノイズは、天板701にキャッチされたのち、一部の高周波ノイズが天板701内をシールドケース側壁部702側に向かって流れると共に、シールドケース側壁部702を通ってケース本体110の側面部112に流れ込む(ルートR2)。
【0069】
ここで、高周波ノイズのルートR2の最短距離(総距離B)B1+B2+B3よりも本実施形態における高周波ノイズのルートR1の最短距離(総距離A)A1+A2の方が短く設定されているので、ルートR2におけるインピーダンスよりルートR1におけるインピーダンスの方が低い。そのため、天板701にキャッチされた高周波ノイズは、インピーダンスの高いルートR2にはほとんど流れることがなく、インピーダンスの低いルートR1に集まってケース本体110における本体側壁部(グランド部)113に流れ込む(戻されシールドされる)。
【0070】
第1実施形態のコピー機1によれば、例えば、次のような効果が奏される。
本実施形態のコピー機1は、導電性のケース本体110の側面部112における外側面111に電気的に接続されて(グランドを取って)取り付けられ、複数の電子部品601、601aを実装した回路基板600と、回路基板600を覆うように配置される導電性のシールドケース700であって、回路基板600と所定距離だけ離間して配置され、外縁における第1辺703がケース本体110の側面部112に連続して外側面111側に延びる本体側壁部113に連結される略四角形状の天板701及び天板701の本体側壁部113に連結されていない辺に連続して側面部112側に延びるように形成され、側面部112に連結されるシールドケース側壁部702を有するシールドケース700と、を備えている。
【0071】
そのため、電子部品601a及び回路から輻射される多くの高周波ノイズは、回路基板600と同じグランドにあるケース本体110の本体側壁部113に直接キャッチされる。グランド部材である本体側壁部113により電子部品610aから輻射された高周波のノイズが直接キャッチされるので、本実施形態のコピー機1は、高周波ノイズに対するシールド機能が向上される。
また、電子部品601aから天板701に向けて輻射される高周波ノイズは、従来のシールドボックスの構成に比べて天板701を通る低インピーダンスのルートR1を経て本体側壁部113に流す(戻す)ことが可能である。これにより、本実施形態のコピー機1は、高周波ノイズに対するシールド機能が向上される。
【0072】
また、シールドケース700自体は、箱状に形成する必要がなく、外縁における少なくとも1辺側(本体側壁部に対向する側の側壁に対応する部分)は開口させている。これにより、当該辺側におけるシールドケース側壁部は不要とすることが可能であるので、シールドケース700の加工を容易にすることができると共に、製造コストを低くすることができる。
【0073】
また、本実施形態においては、天板701における高周波ノイズのルートR1の最短距離A1+A2を、高周波ノイズのルートR3の最短距離A1+A3よりも短く設定している。そのため、コピー機1は、インピーダンスが低い高周波ノイズのルート(R1)を提供することができる。また、これにより、コピー機1は、高周波ノイズにおける不要輻射を抑えてシールド性を一層向上することができる。
【0074】
また、本実施形態においては、高周波ノイズのルートR1の最短距離(総距離A)A1+A2を、高周波ノイズのルートR2の最短距離(総距離B)B1+B2+B3よりも短く設定している。そのため、ルートR1のインピーダンスがルートR2のインピーダンスよりも低い。これにより、コピー機1は、インピーダンスが低い高周波ノイズのルート(R1)を提供することができる。また、これにより、コピー機1は、高周波ノイズにおける不要輻射を抑えてシールド性を一層向上することができる。
【0075】
更に、本実施形態においては、本体側壁部113は、ケース本体110の側面部112における外縁部側を折り曲げて形成されている。そのため、本体側壁部113と側面部112との間には、繋ぎやネジ等の連結部材が存在しない同じグランド部材となる。従って、本体側壁部113をより低インピーダンス化している。これにより、コピー機1におけるシールド性は更に向上されている。
【0076】
次に、図6及び図7により、本発明の第2実施形態について説明する。
図6は、本発明の画像形成装置の第2実施形態としてのコピー機1の装置本体105におけるケース本体110に回路基板600を取り付けた状態を示す斜視図である。図7は、第2実施形態におけるコピー機1の回路基板600を囲むようにシールドケース700を配置した状態を示す斜視図である。
第2実施形態については、主として、第1実施形態と異なる点を説明し、第1実施形態と同様な構成については、同じ符号を付して、詳細な説明を省略する。第2実施形態において、特に説明及び図示しない点は、第1実施形態における説明及び図示が適宜適用又は援用される。
【0077】
図6に示すように、第2実施形態においては、装置本体105におけるケース本体110は、外側面111を有する略四角形状の側面部112と、側面部112における垂直方向上側の外縁に連続する(第1の)本体側壁部113と、側面部112における水平方向右側の外縁に連続する(第2の)本体側壁部114と、を有する。
本体側壁部113及び本体側壁部114は、側面部112における垂直方向上側の外縁部分及び水平方向右側の端縁部分を外側面111側に延びるように折り曲げて形成される。本体側壁部113及び本体側壁部114並びに側面部112は、後述する高周波ノイズをキャッチするグランド部材となる。
【0078】
ケース本体110における側面部112の外側面111には、回路基板600が取付けられる。これにより、回路基板600は、ケース本体110の側面部112に電気的に接続される。
【0079】
回路基板600には、複数の電子部品601が実装されている。複数の電子部品601は、例えば、電子クロック等のような高周波ノイズを輻射する所定の電子部品601aを含む。
図6に示すように、高周波ノイズを輻射する電子クロック等の所定の電子部品601aは、回路基板600における本体側壁部113及び本体側壁部114に近い側に配置されることが好ましい。
【0080】
図7に示すように、シールドケース700は、回路基板600を覆うように配置される。シールドケース700は、ケース本体110の側面部112のうち、本体側壁部113と本体側壁部114とにより形成される角部付近に配置される。
【0081】
天板701は、回路基板600と所定距離だけ離間して配置される略四角形状の天板である。天板701は、側面部112と平行となるよう配置される。天板701は、平面状に形成される。天板701は、全体が側面部112と平行な面一の略四角形状に形成される。
【0082】
天板701の外縁における上辺703(第1辺)及び上辺703に連続する右側縦辺707(第2辺)が、ケース本体110の本体側壁部113及び本体側壁部114にそれぞれネジ706を介して固定連結されている。
【0083】
シールドケース側壁部702は、シールドケース700の天板701における外縁のうち、本体側壁部113及び本体側壁部114に固定連結されていない2つの辺に連続してケース本体110の側面部112に向かうように延びている。これら2つのシールドケース側壁部702、702は、ケース本体110の側面部112にネジ705を介して固定連結されると共に、本体側壁部113及び本体側壁部114と協同して回路基板600の全周を囲むように配置される。
なお、シールドケース側壁部702のうち、天板701の上辺703及び上辺703に連続する右側縦辺707は共に開口している。
ここで、本実施形態において、本体側壁部113及び本体側壁部114は、シールドケース700におけるシールドケース側壁部702、702が形成されていない側に位置し、シールドケース側壁部702の代わりに回路基板600の周囲を囲む側壁部として機能する。
【0084】
また、シールドケース側壁部702、702のうち、一部のシールドケース側壁部702には、内部から外部に配線等を挿通させる開口部708が切り欠き形成されている。
【0085】
第2実施形態のコピー機1によれば、第1実施形態で述べた効果の他に、例えば、次のような効果が奏される。
第2実施形態においては、シールドケース700の天板701の上辺703及び右側縦辺707は、ケース本体110の本体側壁部113及び114に連結される。そのため、ケース本体110の2つの側壁部である本体側壁部113及び本体側壁部114がシールドケース700の一部として機能する。
第2実施形態のコピー機1は、電子部品601aから輻射された高周波ノイズを直接キャッチする本体側壁部を2つ有する。
また、第2実施形態のコピー機1は、第1実施形態における総距離が短いルートとして、本体側壁部113を通るルートに加え、本体側壁部114を通るルートを提供できる。
これにより、第2実施形態におけるコピー機1は、更にシール機能が向上される。
【0086】
また、第2実施形態において、シールドケース700自体は、箱状に形成する必要がなく、外縁における2辺側(本体側壁部113及び本体側壁部114に対向する側の側壁に対応する部分)は開口させている。これにより、これら2辺におけるシールドケース側壁部は不要とすることが可能であるので、シールドケース700の加工を一層容易にすることができると共に、製造コストの一層の低減を図ることができる。
【0087】
以上、好適な実施形態について説明したが、本発明は前述した実施形態に限定されることなく、種々の形態で実施することができる。
【0088】
本発明の画像形成装置の種類は、特に限定がなく、コピー機のほか、プリンタ、ファクシミリ、又はこれらの複合機等であってもよい。
シート状の被画像形成材は、用紙に制限されず、例えば、フィルムシートであってもよい。
【0089】
また、コピー機は、シールドケース700の外側に、天板701に外面に対向すると共に、側面部112の外側面111に対向する樹脂製の意匠カバー800(図1参照)を備えてもよい。
意匠カバー800は、シールドケース700の天板701の外面に一部が載置されると共に、一部が側面部112を覆うように側面部112と対向して配置される。
シールドケース700の天板701が互いに対向する本体側壁部の上端同士をつなぐ平面に沿って配置される場合、意匠カバー800を好適に配置できるので好ましい。
意匠カバー800を有する場合、意匠カバー800及び上述のシールドケース700の組み合わせにより、コピー機1は、低コスト化と、外観の意匠性の向上とを両立できる。
【符号の説明】
【0090】
1……コピー機(画像形成装置)、100……コピー機本体、105……装置本体、110……ケース本体、111……外側面、112……側面部、113…本体側壁部、114……本体側壁部、600……回路基板、601……電子部品、601a……所定の電子部品、602、603……回路基板外縁、700……シールドケース、701……天板、702……シールドケース側壁部、703……上辺(第1辺)、707……右側縦辺(第2辺)、800……意匠カバー、GK…画像形成部、T…用紙(被画像形成材)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被画像形成材に画像を形成する画像形成部と、
前記画像形成部を収容する導電性のケース本体であって、
外側面を有する側面部と、
前記側面部の外縁に連続して前記外側面側に延びるように形成される1又は複数の本体側壁部と、を有するケース本体と、
複数の電子部品が実装された回路基板であって、前記側面部における前記外側面に取り付けられる共に、前記側面部に電気的に接続される回路基板と、
前記回路基板を覆うように配置される導電性のシールドケースであって、
前記回路基板と所定距離だけ離間して配置される略四角形状の天板であって、外縁における第1辺及び/又は前記第1辺に連続する第2辺が前記本体側壁部に連結される天板と、
前記天板の外縁における前記本体側壁部に連結されていない辺に連続して前記側面部側に延びるように形成され、前記側面部に連結されると共に前記本体側壁部と協同して前記回路基板を囲むように配置されるシールドケース側壁部と、を有するシールドケースと、を備える
画像形成装置。
【請求項2】
前記回路基板は、高周波ノイズを輻射する要因となる所定の電子部品及び回路を含み、
前記所定の電子部品及び回路は、前記回路基板における前記本体側壁部側に配置される
請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記天板における前記回路基板の前記本体側壁部側の外縁に対応する第1対応位置から前記本体側壁部までの最短距離は、前記第1対応位置から前記側面部における前記外側面までの距離よりも短い
請求項2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記天板における前記所定の電子部品及び/又は回路に対応する第2対応位置から前記本体側壁部までの最短距離は、前記第2対応位置から前記天板及び前記シールドケース側壁部を通り前記側面部の外側面までの最短距離よりも短い
請求項2又は3に記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記天板は、前記第1辺及び前記第2辺が前記本体側壁部に連結され、前記側面部と平行に配置される
請求項1から4のいずれかに記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記本体側壁部は、前記側面部における外縁側を折り曲げて形成される
請求項1から5のいずかに記載の画像形成装置。
【請求項7】
前記シールドケースの外側に、前記天板の外面と対向すると共に、前記側面部の外側面と対向して配置される意匠カバーと、を備える
請求項1から6のいずれかに記載の画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2012−118277(P2012−118277A)
【公開日】平成24年6月21日(2012.6.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−267665(P2010−267665)
【出願日】平成22年11月30日(2010.11.30)
【出願人】(000006150)京セラドキュメントソリュ−ションズ株式会社 (13,173)
【Fターム(参考)】