説明

画像形成装置

【課題】 蓄積している電子メールを従来より適切に印刷することができる画像形成装置を提供する。
【解決手段】 通常状態と、省エネ状態とを有しているMFP10は、電子メールを受信するメール受信手段31と、受信された電子メールを蓄積する不揮発性記憶装置55と、蓄積された電子メールを通常状態において印刷するメール印刷手段21と、電子メールの印刷の判断のための値である判断値を記憶する判断値カウンタ32と、判断値カウンタ32に記憶されている判断値を変更する判断値変更手段33と、判断値カウンタ32に記憶されている判断値に基づいてメール印刷手段21に電子メールを印刷させるか否かを省エネ状態において判断するメール印刷判断手段34とを備えており、判断値変更手段33は、電子メールが受信される度に、受信された電子メールの受信者に応じた変更量を判断値に加えることによって、判断値を変更することを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、通常状態よりエネルギーの消費が少ない省エネ状態に移行することができる画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、通常状態よりエネルギーの消費が少ない省エネ状態に移行することができる画像形成装置として、通常状態である印刷可能状態から省エネ状態であるスリープ状態に移行することができる画像出力装置が知られている(例えば、特許文献1参照。)。従来の画像出力装置は、スリープ状態において、印刷の緊急性を有しない印刷モード情報のヘッダ情報を有した印刷情報がホスト装置から送信されてきた場合には、スリープ状態を維持したまま印刷情報を蓄積する。そして、従来の画像出力装置は、スリープ状態において、印刷の緊急性を有する印刷モード情報のヘッダ情報を有した印刷情報がホスト装置から送信されてきた場合には、スリープ状態から印刷可能状態に移行して、蓄積していた印刷情報と一緒に纏めて印刷出力する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2003−84935号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来の画像出力装置は、スリープ状態において、印刷の緊急性を有する印刷モード情報のヘッダ情報を有した印刷情報がホスト装置から送信されてこない限り、たとえ長期間蓄積している印刷情報であっても印刷出力しない。ここで、印刷の緊急性を有しない印刷モード情報のヘッダ情報を有した印刷情報は、印刷の緊急性を有しない印刷情報ではあるが、利用者が印刷出力を希望している印刷情報であるという点においては、印刷の緊急性を有する印刷モード情報のヘッダ情報を有した印刷情報と同じである。したがって、印刷の緊急性を有しない印刷モード情報のヘッダ情報を有した印刷情報であっても、あまりに長期間印刷されなければ、利用者にとって不都合が生じる場合がある。
【0005】
そこで、本発明は、蓄積している電子メールを従来より適切に印刷することができる画像形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の画像形成装置は、通常状態と、前記通常状態よりエネルギーの消費が少ない省エネ状態との少なくとも2つの状態を有している画像形成装置であって、電子メールを受信するメール受信手段と、前記メール受信手段によって受信された前記電子メールを蓄積するメール蓄積手段と、前記メール蓄積手段によって蓄積された前記電子メールを前記通常状態において印刷するメール印刷手段と、前記電子メールの印刷の判断のための値である判断値を記憶する判断値記憶手段と、前記判断値記憶手段に記憶されている前記判断値を変更する判断値変更手段と、前記判断値記憶手段に記憶されている前記判断値に基づいて前記メール印刷手段に前記電子メールを印刷させるか否かを前記省エネ状態において判断するメール印刷判断手段とを備えており、前記判断値変更手段は、前記電子メールが前記メール受信手段によって受信される度に、前記メール受信手段によって受信された前記電子メールの受信者に応じた変更量を前記判断値に加えることによって、前記判断値を変更することを特徴とする。
【0007】
この構成により、本発明の画像形成装置は、電子メールの受信者に応じて変更される判断値に基づいて電子メールを印刷するか否かを判断するので、蓄積している電子メールを従来より適切に印刷することができる。
【0008】
また、本発明の画像形成装置は、前記変更量を変更する変更量変更手段を備えており、前記変更量変更手段は、前記メール印刷手段によって前記電子メールが印刷されたとき、前記メール印刷手段によって印刷された前記電子メールの前記受信者に対する前記変更量を変更しても良い。
【0009】
この構成により、本発明の画像形成装置は、同一の受信者であっても電子メールが印刷された実績によって印刷の実行への影響に軽重を付けることができるので、省エネ性能を向上することができる。
【0010】
また、本発明の画像形成装置の前記変更量変更手段は、前記メール印刷手段によって前記受信者宛の前記電子メールが印刷されていない現在までの連続時間に応じて、前記受信者に対する前記変更量を、前記メール印刷手段によって前記受信者宛の前記電子メールが印刷されたときと反対の方向に変更しても良い。
【0011】
この構成により、本発明の画像形成装置は、電子メールが印刷された実績に応じて変更した変更量を、電子メールが印刷されていない現在までの連続時間に応じて自動的に戻すことができるので、省エネ性能を向上することができる。
【0012】
また、本発明の画像形成装置の前記メール印刷判断手段は、前記メール受信手段によって受信された前記電子メールに所定の文字が含まれているとき、前記判断値記憶手段に記憶されている前記判断値に関わらず前記メール印刷手段に前記電子メールを印刷させると判断しても良い。
【0013】
この構成により、本発明の画像形成装置は、蓄積している電子メールを強制的に印刷することができる。
【0014】
また、本発明の画像形成装置の前記判断値変更手段は、前記メール受信手段によって受信された前記電子メールの印刷予定の枚数に応じて前記判断値を変更しても良い。
【0015】
この構成により、本発明の画像形成装置は、電子メールの印刷予定の枚数によって印刷の実行への影響に軽重を付けることができるので、省エネ性能を向上することができる。
【0016】
また、本発明の画像形成装置は、前記メール受信手段によって受信された前記電子メールを前記メール印刷手段による印刷用にデータ形式を変化させる印刷用データ処理手段を備えており、前記メール蓄積手段は、前記メール受信手段によって受信されて前記印刷用データ処理手段によってデータ形式が変化させられた前記電子メールを蓄積しても良い。
【0017】
この構成により、本発明の画像形成装置は、省エネ状態から通常状態に復帰したときに短時間で印刷を開始することができる。
【0018】
また、本発明の画像形成装置の前記メール印刷手段は、前記受信者に対する前記変更量に応じた順番で前記電子メールを印刷しても良い。
【0019】
この構成により、本発明の画像形成装置は、重要度が高い受信者に早期に電子メールの印刷物を提供することができる。
【0020】
また、本発明の画像形成プログラムは、通常状態と、前記通常状態よりエネルギーの消費が少ない省エネ状態との少なくとも2つの状態を有している画像形成装置を、電子メールを受信するメール受信手段、前記メール受信手段によって受信された前記電子メールを蓄積するメール蓄積手段、前記メール蓄積手段によって蓄積された前記電子メールを前記通常状態において印刷するメール印刷手段、前記電子メールの印刷の判断のための値である判断値を記憶する判断値記憶手段、前記判断値記憶手段に記憶されている前記判断値を変更する判断値変更手段、および、前記判断値記憶手段に記憶されている前記判断値に基づいて前記メール印刷手段に前記電子メールを印刷させるか否かを前記省エネ状態において判断するメール印刷判断手段として機能させるための画像形成プログラムであって、前記判断値変更手段は、前記電子メールが前記メール受信手段によって受信される度に、前記メール受信手段によって受信された前記電子メールの受信者に応じた変更量を前記判断値に加えることによって、前記判断値を変更することを特徴とする。
【0021】
この構成により、本発明の画像形成プログラムを実行する画像形成装置は、電子メールの受信者に応じて変更される判断値に基づいて電子メールを印刷するか否かを判断するので、蓄積している電子メールを従来より適切に印刷することができる。
【発明の効果】
【0022】
本発明の画像形成装置は、蓄積している電子メールを従来より適切に印刷することができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】本発明の一実施の形態に係るMFPのブロック図である。
【図2】図1に示す不揮発性記憶装置に記憶されているアドレス帳を示す図である。
【図3】省エネ状態において電子メールを受信するときの図1に示すMFPの動作のフローチャートである。
【図4】不揮発性記憶装置に記憶されている変更量を増加させるときの図1に示すMFPの動作のフローチャートである。
【図5】不揮発性記憶装置に記憶されている変更量を減少させるときの図1に示すMFPの動作のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、本発明の一実施の形態について、図面を用いて説明する。
【0025】
まず、本実施の形態に係るMFP(Multifunction Peripheral)の構成について説明する。
【0026】
図1は、本実施の形態に係るMFP10のブロック図である。
【0027】
図1に示すように、本発明の画像形成装置としてのMFP10は、通常状態において画像処理を行って省エネ状態において画像処理を行うことができないメインコントローラ20と、省エネ状態においてMFP10を制御する省エネコントローラ30と、メインコントローラ20に接続されていて用紙などの記録媒体に印刷を実行するプリンタ41と、メインコントローラ20に接続されていて原稿を読み込んで画像データを生成する読込デバイスであるスキャナ42と、省エネコントローラ30に接続されていて利用者によって種々の操作が入力される操作部51と、省エネコントローラ30に接続されていて種々の情報を表示するディスプレイ52と、省エネコントローラ30に接続されていてMFP10の電源切断時にも内蔵電池によって時間を計るRTC(Real Time Clock)53と、省エネコントローラ30に接続されていてPC(Personal Computer)や電子メールサーバなどの外部の装置とLAN(Local Area Network)やインターネットなどのネットワーク経由でネットワーク通信を行うネットワーク通信部54と、省エネコントローラ30に接続されているEEPROM(Electrically Erasable Programmable Read Only Memory)、HDD(Hard Disk Drive)などの不揮発性記憶装置55とを備えている。
【0028】
MFP10は、印刷可能な通常状態と、通常状態よりエネルギーの消費が少ない省エネ状態との少なくとも2つの状態を有している。
【0029】
メインコントローラ20は、CPU(Central Processing Unit)と、本発明の画像形成プログラムを含むプログラムおよび各種のデータを予め記憶しているROM(Read Only Memory)と、CPUの作業領域として用いられる書き換え可能な揮発性の記憶装置であるRAM(Random Access Memory)とを備えている。CPUは、ROMに記憶されているプログラムを実行することによって制御部を動作させる演算処理装置である。RAMは、CPUによってプログラムが実行されるときにプログラムや各種のデータを一時的に記憶するようになっている。メインコントローラ20は、省エネ状態であるとき完全に電源が切断される。メインコントローラ20は、画像形成プログラムを実行することによって、不揮発性記憶装置55によって蓄積された電子メールを通常状態においてプリンタ41によって印刷するメール印刷手段21として機能する。
【0030】
省エネコントローラ30は、CPUと、本発明の画像形成プログラムを含むプログラムおよび各種のデータを予め記憶しているROMと、CPUの作業領域として用いられる書き換え可能な揮発性の記憶装置であるRAMとを備えている。CPUは、ROMに記憶されているプログラムを実行することによって制御部を動作させる演算処理装置である。RAMは、CPUによってプログラムが実行されるときにプログラムや各種のデータを一時的に記憶するようになっている。省エネコントローラ30は、画像形成プログラムを実行することによって、電子メールを受信するメール受信手段31、電子メールの印刷の判断のための値である判断値を記憶する本発明の判断値記憶手段としての判断値カウンタ32、判断値カウンタ32に記憶されている判断値を変更する判断値変更手段33、判断値カウンタ32に記憶されている判断値に基づいてメール印刷手段21に電子メールを印刷させるか否かを省エネ状態において判断するメール印刷判断手段34、メール受信手段31によって受信された電子メールをメール印刷手段21による印刷用にデータ形式を変化させる印刷用データ処理手段35、および、判断値の変更量を変更する変更量変更手段36として機能する。
【0031】
判断値カウンタ32は、最低値が0であり、最高値が100である整数のカウンタである。
【0032】
プリンタ41は、例えば、スキャナ42によって生成された画像データや、外部の装置からネットワーク通信部54を介して受信された電子メールのデータなどの各種のデータを印刷する印刷デバイスである。
【0033】
操作部51は、ディスプレイ52とともにタッチパネルを形成するボタンなどの入力デバイスである。
【0034】
ディスプレイ52は、例えばLCD(Liquid Crystal Display)などの表示デバイスである。
【0035】
ネットワーク通信部54は、例えば、スキャナ42によって生成された画像データを外部の装置に送信したり、プリンタ41で印刷されるための印刷データを外部の装置から受信したりする。
【0036】
不揮発性記憶装置55は、メール受信手段31によって受信された電子メールを蓄積するようになっており、本発明のメール蓄積手段を構成している。
【0037】
図2は、不揮発性記憶装置55に記憶されているアドレス帳を示す図である。
【0038】
図2に示すように、不揮発性記憶装置55は、判断値の変更量を含んでいるアドレス帳を記憶している。図2に示すアドレス帳において、変更量のデフォルト値は、例えば操作部51を介して、利用者によって変更されることが可能である。
【0039】
次に、MFP10の動作について説明する。
【0040】
図3は、省エネ状態において電子メールを受信するときのMFP10の動作のフローチャートである。
【0041】
MFP10は、省エネ状態において、3分間毎などのように定期的に図3に示す動作を実行する。
【0042】
図3に示すように、省エネコントローラ30のメール受信手段31は、ネットワーク通信部54を介して外部の電子メールサーバに電子メールを確認し(S101)、受信すべき電子メールが電子メールサーバに存在したか否かを判断する(S102)。ここで、受信すべき電子メールとは、MFP10によって自動で受信されて印刷されるべき電子メールの条件として予め利用者によって設定されて不揮発性記憶装置55に記憶されている条件を満たす電子メールである。例えば、受信すべき電子メールとは、MFP10に登録されている利用者が受信者である電子メールであって、特定のデータ形式のファイルが添付されている電子メールである。
【0043】
メール受信手段31は、受信すべき電子メールが電子メールサーバに存在しなかったとS102において判断すると、図3に示す処理を終了する。
【0044】
一方、メール受信手段31は、受信すべき電子メールが電子メールサーバに存在したとS102において判断すると、受信すべき電子メールを電子メールサーバから受信する(S103)。
【0045】
次いで、印刷用データ処理手段35は、S103においてメール受信手段31によって受信された電子メールをメール印刷手段21による印刷用にデータ形式を変化させる(S104)。つまり、印刷用データ処理手段35は、RIP(Raster Image Processor)として機能する。
【0046】
次いで、省エネコントローラ30は、S104においてデータ形式を変化させた電子メールを不揮発性記憶装置55に蓄積する(S105)。
【0047】
次いで、メール印刷判断手段34は、S103においてメール受信手段31によって受信された電子メールの件名に所定の文字が含まれているか否かを判断する(S106)。ここで、所定の文字は、予め利用者によって設定されて不揮発性記憶装置55に記憶されている文字である。例えば、所定の文字は、“強制印刷命令”などの文字である。
【0048】
判断値変更手段33は、電子メールの件名に所定の文字が含まれていないとS106において判断されると、S103においてメール受信手段31によって受信された電子メールの受信者に応じた変更量を、判断値カウンタ32に記憶されている判断値に加えることによって、判断値カウンタ32に記憶されている判断値を変更する(S107)。
【0049】
例えば、判断値変更手段33は、判断値カウンタ32に記憶されている判断値が20であって、S103においてメール受信手段31によって受信された電子メールの受信者が“田中二郎”であるとき、“田中二郎”に対する変更量が図2に示すように7であるので、判断値カウンタ32に記憶されている判断値である20に、“田中二郎”に対する変更量である7を加えて、判断値カウンタ32に記憶されている判断値を27に変更する。
【0050】
ここで、判断値変更手段33は、S103においてメール受信手段31によって受信された電子メールの印刷予定の枚数に応じて判断値を変更しても良い。例えば、判断値変更手段33は、S103においてメール受信手段31によって受信された電子メールの印刷予定の枚数が20枚などの所定の枚数以上である場合、上述した受信者に対する変更量の他に、判断値に値を加えても良い。このとき加えられる値は、20などの一定の値であっても良いし、上述した受信者に対する変更量の2倍の値というように変動する値であっても良い。
【0051】
次いで、メール印刷判断手段34は、判断値カウンタ32に記憶されている判断値が100に達したか否かを判断する(S108)。
【0052】
判断値が100に達していないとS108において判断されると、省エネコントローラ30は、図3に示す処理を終了する。
【0053】
一方、判断値が100に達したとS108において判断されると、判断値変更手段33は、判断値カウンタ32に記憶されている判断値を0にする(S109)。
【0054】
次いで、メール印刷判断手段34は、メインコントローラ20のメール印刷手段21に電子メールを印刷させると判断してMFP10を省エネ状態から通常状態に復帰させる(S110)。つまり、メール印刷判断手段34は、メインコントローラ20の電源を投入して、メインコントローラ20を起動する。
【0055】
したがって、メインコントローラ20のメール印刷手段21は、不揮発性記憶装置55に蓄積されている電子メールをプリンタ41によって印刷して(S111)、図3に示す処理を終了する。
【0056】
なお、S111において、メール印刷手段21は、不揮発性記憶装置55に蓄積されている電子メールを、上述した受信者に対する変更量が大きい順に、プリンタ41によって印刷するようになっていても良い。そのようになっている場合、MFP10は、重要度が高い受信者に早期に電子メールの印刷物を提供することができる。
【0057】
電子メールの件名に所定の文字が含まれているとS106において判断されると、MFP10は、S109〜S111の処理を行った後、図3に示す処理を終了する。
【0058】
なお、アドレス帳に含まれている変更量は、最初、変更量のデフォルト値と同じ値である。以下、アドレス帳に含まれている変更量の変更について説明する。
【0059】
図4は、不揮発性記憶装置55に記憶されている変更量を増加させるときのMFP10の動作のフローチャートである。
【0060】
メール印刷手段21によって電子メールが印刷される度に、変更量変更手段36は、図4に示す処理を実行する。
【0061】
図4に示すように、変更量変更手段36は、メール印刷手段21によって印刷された電子メールの受信者を特定する(S121)。
【0062】
次いで、変更量変更手段36は、S121において特定した受信者の変更量を1増加させて(S122)、図4に示す処理を終了する。
【0063】
例えば、アドレス帳に含まれている“高橋太郎”の変更量が3であるとき、変更量変更手段36は、メール印刷手段21によって印刷された電子メールの受信者が“高橋太郎”である場合、S122において、アドレス帳に含まれている“高橋太郎”の変更量を1増加させて4にする。
【0064】
図5は、不揮発性記憶装置55に記憶されている変更量を減少させるときのMFP10の動作のフローチャートである。
【0065】
変更量変更手段36は、1分間毎などのように定期的に図5に示す動作を実行する。
【0066】
図5に示すように、変更量変更手段36は、アドレス帳に利用者として登録されている全ての利用者のうち1人の利用者を特定する(S141)。
【0067】
次いで、変更量変更手段36は、不揮発性記憶装置55に記憶されている印刷履歴と、RTC53によって計測された現在時刻とに基づいて、S141において特定した利用者宛の電子メールが印刷されていない現在までの連続時間を求める(S142)。
【0068】
次いで、変更量変更手段36は、S142において求めた連続時間が10分間などの所定の時間以上であるか否かを判断する(S143)。
【0069】
変更量変更手段36は、所定の時間以上であるとS143において判断すると、S141において特定した利用者の変更量を1減少させる(S144)。
【0070】
例えば、アドレス帳に含まれている“高橋太郎”の変更量が3であるとき、変更量変更手段36は、S141において特定した利用者が“高橋太郎”である場合、S144において、アドレス帳に含まれている“高橋太郎”の変更量を1減少させて2にする。なお、変更量変更手段36は、アドレス帳に含まれている利用者の変更量がデフォルト値である場合、S144において利用者の変更量を減少させない。
【0071】
変更量変更手段36は、S144の処理の実行したとき、または、所定の時間以上ではないとS143において判断したとき、アドレス帳に利用者として登録されている全ての利用者について図5の処理を実行したか否かを判断する(S145)。
【0072】
変更量変更手段36は、図5の処理を実行していない利用者が存在するとS145において判断すると、図5の処理を実行していない利用者の1人についてS141の処理を実行する。
【0073】
一方、変更量変更手段36は、アドレス帳に利用者として登録されている全ての利用者について図5の処理を実行したとS145において判断すると、図5に示す処理を終了する。
【0074】
以上に説明したように、MFP10は、電子メールの受信者に応じて変更される判断値に基づいて電子メールを印刷するか否かを判断するので、蓄積している電子メールを従来より適切に印刷することができる。
【0075】
また、MFP10は、図4に示すように、メール印刷手段21によって印刷された電子メールの受信者に対する変更量を増加させるので、同一の受信者であっても電子メールが印刷された実績によって印刷の実行への影響に軽重を付けることができる。したがって、MFP10は、省エネ性能を向上することができる。
【0076】
また、MFP10は、図5に示すように、メール印刷手段21によって受信者宛の電子メールが印刷されていない現在までの連続時間に応じて、受信者に対する変更量を、メール印刷手段21によって受信者宛の電子メールが印刷されたときと反対の方向である負の方向に変更するので、電子メールが印刷された実績に応じて増加させた変更量を、電子メールが印刷されていない現在までの連続時間に応じて自動的に戻すことができる。したがって、MFP10は、省エネ性能を向上することができる。
【0077】
また、MFP10は、メール受信手段31によって受信された電子メールに所定の文字が含まれているとき(S106でYES)、判断値カウンタ32に記憶されている判断値に関わらずメール印刷手段21に電子メールを印刷させると判断する(S110)ので、蓄積している電子メールを強制的に印刷することができる。
【0078】
また、MFP10は、メール受信手段31によって受信された電子メールの印刷予定の枚数に応じて判断値を変更する(S107)ので、電子メールの印刷予定の枚数によって印刷の実行への影響に軽重を付けることができる。したがって、MFP10は、省エネ性能を向上することができる。
【0079】
また、MFP10は、メール受信手段31によって受信されて印刷用データ処理手段35によってデータ形式が変化させられた電子メールを蓄積する(S105)ので、省エネ状態から通常状態に復帰したときに短時間で印刷を開始することができる。なお、MFP10は、メール受信手段31によって受信された電子メールを印刷用にデータ形式を変化させずに蓄積して、実際の印刷時に印刷用にデータ形式を変化させるようになっていても良い。
【0080】
なお、不揮発性記憶装置55は、判断値の変更量をアドレス帳に記憶するようになっているが、判断値の変更量を利用者毎に記憶するようになっていれば、判断値の変更量をアドレス帳に記憶していなくても良い。
【0081】
また、判断値の変更量は、利用者毎ではなく、グループ毎に設定されるようになっていても良い。
【0082】
また、MFP10は、判断値カウンタ32の最小値や最大値、図2に示すアドレス帳中の変更量のデフォルト値、S108における判断に使用される判断値カウンタの値など、各種の設定値を例えば操作部51を介して利用者に設定させることができる。
【0083】
また、本発明の画像形成装置は、本実施の形態においてMFPであるが、コピー機、プリンタなど、MFP以外の画像形成装置であっても良い。
【符号の説明】
【0084】
10 MFP(画像形成装置)
21 メール印刷手段
31 メール受信手段
32 判断値カウンタ(判断値記憶手段)
33 判断値変更手段
34 メール印刷判断手段
35 印刷用データ処理手段
36 変更量変更手段
55 不揮発性記憶装置(メール蓄積手段)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
通常状態と、前記通常状態よりエネルギーの消費が少ない省エネ状態との少なくとも2つの状態を有している画像形成装置であって、
電子メールを受信するメール受信手段と、前記メール受信手段によって受信された前記電子メールを蓄積するメール蓄積手段と、前記メール蓄積手段によって蓄積された前記電子メールを前記通常状態において印刷するメール印刷手段と、前記電子メールの印刷の判断のための値である判断値を記憶する判断値記憶手段と、前記判断値記憶手段に記憶されている前記判断値を変更する判断値変更手段と、前記判断値記憶手段に記憶されている前記判断値に基づいて前記メール印刷手段に前記電子メールを印刷させるか否かを前記省エネ状態において判断するメール印刷判断手段とを備えており、
前記判断値変更手段は、前記電子メールが前記メール受信手段によって受信される度に、前記メール受信手段によって受信された前記電子メールの受信者に応じた変更量を前記判断値に加えることによって、前記判断値を変更することを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記変更量を変更する変更量変更手段を備えており、
前記変更量変更手段は、前記メール印刷手段によって前記電子メールが印刷されたとき、前記メール印刷手段によって印刷された前記電子メールの前記受信者に対する前記変更量を変更することを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記変更量変更手段は、前記メール印刷手段によって前記受信者宛の前記電子メールが印刷されていない現在までの連続時間に応じて、前記受信者に対する前記変更量を、前記メール印刷手段によって前記受信者宛の前記電子メールが印刷されたときと反対の方向に変更することを特徴とする請求項2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記メール印刷判断手段は、前記メール受信手段によって受信された前記電子メールに所定の文字が含まれているとき、前記判断値記憶手段に記憶されている前記判断値に関わらず前記メール印刷手段に前記電子メールを印刷させると判断することを特徴とする請求項1から請求項3までの何れかに記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記判断値変更手段は、前記メール受信手段によって受信された前記電子メールの印刷予定の枚数に応じて前記判断値を変更することを特徴とする請求項1から請求項4までの何れかに記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記メール受信手段によって受信された前記電子メールを前記メール印刷手段による印刷用にデータ形式を変化させる印刷用データ処理手段を備えており、
前記メール蓄積手段は、前記メール受信手段によって受信されて前記印刷用データ処理手段によってデータ形式が変化させられた前記電子メールを蓄積することを特徴とする請求項1から請求項5までの何れかに記載の画像形成装置。
【請求項7】
前記メール印刷手段は、前記受信者に対する前記変更量に応じた順番で前記電子メールを印刷することを特徴とする請求項1から請求項6までの何れかに記載の画像形成装置。
【請求項8】
通常状態と、前記通常状態よりエネルギーの消費が少ない省エネ状態との少なくとも2つの状態を有している画像形成装置を、電子メールを受信するメール受信手段、前記メール受信手段によって受信された前記電子メールを蓄積するメール蓄積手段、前記メール蓄積手段によって蓄積された前記電子メールを前記通常状態において印刷するメール印刷手段、前記電子メールの印刷の判断のための値である判断値を記憶する判断値記憶手段、前記判断値記憶手段に記憶されている前記判断値を変更する判断値変更手段、および、前記判断値記憶手段に記憶されている前記判断値に基づいて前記メール印刷手段に前記電子メールを印刷させるか否かを前記省エネ状態において判断するメール印刷判断手段として機能させるための画像形成プログラムであって、
前記判断値変更手段は、前記電子メールが前記メール受信手段によって受信される度に、前記メール受信手段によって受信された前記電子メールの受信者に応じた変更量を前記判断値に加えることによって、前記判断値を変更することを特徴とする画像形成プログラム。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate


【公開番号】特開2012−125950(P2012−125950A)
【公開日】平成24年7月5日(2012.7.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−277254(P2010−277254)
【出願日】平成22年12月13日(2010.12.13)
【出願人】(000006150)京セラドキュメントソリュ−ションズ株式会社 (13,173)
【Fターム(参考)】