説明

画像形成装置

【課題】 記録材の分離を押し上げ手段を用いて行う場合にも、分離後の記録材を除電針によって除電する効果が低減する。
【解決手段】 除電針80は、分離補助コロ41を用いずに分離張架ローラ26の曲率によって記録材を分離する場合に所定の位置(第1の位置)に配置されて、分離補助コロ41を用いて記録材を分離する場合に第1の位置よりも高い位置(第2の位置)に配置される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複写機やレーザプリンタ等の電子写真の技術を用いて像担持体に担持されたトナー像を記録材に転写する画像形成装置に関する。詳しくは、記録材の転写、搬送を行う転写ベルトを有する画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
複数のローラにより張架した転写ベルトにより記録材を担持搬送する電子写真装置では、転写ベルト上の記録材は、転写ニップ部を通過すると転写ベルトに静電的に吸着される。
【0003】
しかし、記録材の剛度が弱いと、転写ベルトを張架する分離張架部材としての分離ローラの曲率と記録材の剛度を利用するだけでは、記録材を転写ベルトから分離することができない。すなわち、記録材が分離ローラの位置で転写ベルトに張り付いたままとなり、分離不良が生ずる。そこで、分離位置において転写ベルトにうねりをつける構成としては、転写ベルトを張架する分離ローラ表面に一様に突起物を形成して、記録材を分離させる方法がある(特許文献1)。このような構成を用いることによって、分離位置において転写ベルトにうねりを形成することができるが、転写ベルトに常に局所的に大きな張力を働かせてしまう。その結果、転写ベルトの局所的な磨耗が生じることによる抵抗ムラの影響で転写性が安定しなくなる。
【0004】
記録材を担持するシートを、記録材分離のために変形させつつも、変形による磨耗を低減する方法が特許文献2に記載されている。特許文献2には、内側から転写シートを押し上げる位置と押し上げない位置に動くことができる押し上げ手段としてコロを設けた構成が記載されている。特許文献2に記載の方法では、記録材の分離を転写シートをコロで押し上げることによって行い、記録材を分離しない間は転写シートを押し上げない。必要以上に記録材シートを変形させずに、様々な厚さの記録材を分離するために、特許文献3には、薄い記録材を大きな押し上げ量で分離して、厚い記録材を小さい押し上げ量で分離する方法が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平9−015987
【特許文献2】特開平5−119636
【特許文献3】特開平5−341664
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
このような構成を転写ベルトに適用すると、転写ベルト上の記録材にトナー像を転写する転写部材から記録材搬送方向において下流側に、分離工程時に転写ベルトを局所的にコロで押し上げる動作をすることができる押し上げ手段を配置する構成になる。薄い紙等の記録材の剛度が弱い場合に、転写ベルトが局所的に押し上げられた状態で記録材を搬送することにより記録材にうねりをつけて、分離工程時の記録材のこしの強さを大きくすることができる。
【0007】
また必要以上に転写ベルトを押し上げて局所的な負荷を与えるのを抑制するために、厚い記録材の分離は分離張架部材の曲率を用いて行い、薄い記録材の分離は押し上げ手段を用いて行う構成が望ましい。
【0008】
ところで、記録材を分離張架部材を用いて分離した後に剥離放電が生じるのを抑制するために、記録材搬送方向において分離張架部材の下流側に、記録材の裏側を除電する除電針を配置した構成がある。しかし、記録材の分離を押し上げ手段を用いて行う場合には、記録材の分離位置が上流側になる。押し上げ手段を用いる場合の分離後の記録材の姿勢は、分離張架部材を用いる場合の分離後の記録材の姿勢よりも押し上げられていない状態のベルト面に対して垂直な方向において高くなる。その結果除電針との間隔が広がり、除電針による分離後の記録材の除電効果が低減してしまう。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するために本願発明は、トナー像を担持する像担持体と、記録材を担持搬送する移動可能なベルト部材と、前記ベルト部材に担持搬送された記録材に前記像担持体に形成されたトナー像を静電的に転写する転写部材と、前記ベルト部材の幅方向において局所的にベルト面が突出するように、記録材の搬送方向において前記転写部材よりも下流側の前記ベルト部材を内面側から押し上げる押し上げ手段と、記録材の搬送方向において前記押し上げ手段よりも下流側で前記ベルト部材を張架して、記録材を前記ベルト部材から分離するための分離張架部材と、記録材の搬送方向において前記分離張架部材よりも下流側に配置されて、記録材を裏側から除電するための除電針と、を有する画像形成装置において、前記第1の厚みの記録材が前記ベルト部材で搬送されて、前記押し上げ手段によって前記ベルト部材を押し上げずに、前記分離張架部材により記録材を分離する第1のモードと、第1の厚みよりも小さい第2の厚みの記録材が前記ベルト部材で搬送されて、前記押し上げ手段によって前記ベルト部材を押し上げる第2のモードとを実行可能であって、前記除電針は、前記第1のモードでは第1の位置に配置されて、前記第2のモードでは、前記押し上げ手段によって押し上げられていない状態の前記転写部材と前記分離張架部材の間のベルト面に対して垂直な垂直方向において前記第1の位置よりも高い第2の位置に配置することを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本願発明により、記録材の分離を押し上げ手段を用いて行う場合にも、分離後の記録材を除電針によって除電する効果が低減するのを抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】画像形成装置を説明する図である。
【図2】分離補助コロの動作を説明する図である。
【図3】分離補助装置の構成を説明する図である。
【図4】第1実施形態における制御回路のブロック図である。
【図5】除電針の動作を説明する図である。
【図6】フローチャートを説明する図である。
【図7】分離張架ローラの動作を説明する図である。
【図8】第1実施形態における制御回路のブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
<第1実施形態>
(画像形成装置)
図1(a)を用いて第1実施形態の画像形成装置の構成及び動作について説明する。
【0013】
1Y、1M、1C、1Kは、感光ドラムであり、矢線A方向へ回転駆動する。感光体ドラムは像担持体として機能する。その表面は帯電装置2Y、2M、2C、2Kにより所定の電圧に一様に帯電される。帯電された感光ドラム表面は、レーザービームスキャナーからなる露光装置3Y、3M、3C、3Kによって露光されて、静電潜像が形成される。レーザービームスキャナーの出力が画像情報に基づいてオンオフされることによって、画像に対応した静電潜像が各感光ドラム上に形成される。現像装置4Y、4M、4C、4Kはそれぞれ有彩色トナーのイエロ(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)とブラック(K)トナーを内包する。現像装置には所定の電圧が印加されており、前述の静電潜像はそれら現像装置4Y、4M、4C、4Kを通過すると現像されて、各感光ドラム1Y、1M、1C、1K面上にトナー像が形成される。静電潜像の露光部にトナーを付着させて現像する反転現像方式が用いられる。
【0014】
感光ドラム1Y、1M、1C,1K上に形成されたトナー像は、各々が対応する1次転写ローラ5Y,5M,5C,5Kで中間転写ベルト6上に一次転写される。こうして、中間転写ベルト6上に4色のトナー像が重畳して転写される。中間転写ベルト6はトナー像を担持して像担持体として機能する。中間転写ベルト6は感光体ドラム1の表面に当接されるよう配設されており、複数の張架部材としての張架ローラ20、21、22に張架されて矢印Gの方向へ300mm/secで回動するようになっている。本実施の形態では、張架ローラ20は中間転写ベルト6の張力を一定に制御するようにしたテンションローラである。張架ローラ22は中間転写ベルト6の駆動ローラである。
【0015】
転写ベルト24は記録材を担持搬送するベルト部材として機能する。転写ベルト24は、複数の張架部材としての張架ローラ25、26、27に張架されて矢印Bの方向へ300mm/secで移動可能なベルト部材である。張架ローラ25は搬送ベルト24の駆動ローラである。駆動ローラ24は、外径φ20mmのSUS製芯金の周囲に厚み1.5mmの導電性(体積抵抗値<10Ωcm以下)のゴムを成形したものを用いた。26は記録材を分離するための分離ローラである。分離ローラ26には外径はφ19mmのSUS製のローラを用いた。転写ベルト24として、ポリイミド、ポリカーボネートなどの樹脂または各種ゴム等に帯電防止剤としてカーボンブラックを適当量含有させたものを用いる。転写ベルト24の体積抵抗率は5.0×10〜1.0×1012[Ω・cm](JIS K6911法準拠プローブを使用、印加電圧100V、印加時間60sec、23℃50%RH)であり、厚みは0.05[mm]である。また、ゴム硬度(JIS K6253準拠)の値が60°以上75°以下となり、転写ベルト24として、引っ張り試験法(JIS K 6301)で測定したヤング率の値が0.5MPa以上10MPa以下となるような弾性体のものを使用している。
【0016】
転写ベルト24の引っ張り試験におけるヤング率を0.5MPa以上の部材を使用することで、ベルトの形状を十分に保って回転駆動ができる。一方で、10MPa以下の十分に弾性変形が可能な部材を使用することで、後述する分離補助装置40によって記録材Pに効果的にうねり発生させて、より効果的な転写ベルト24からの記録材Pの分離を達成することが可能になる。また、十分に弾性変形が可能な部材は、部材が変形した状態から変形量を減らした際の部材の緩和現象が起こりやすいため、分離補助装置40による転写ベルト24の磨耗を低減することが可能になる。
【0017】
記録材は不図示のカセットに収納されている。記録材Pは、供給開始信号が出力されると、供給開始信号に基づいてカセットから不図示のローラによって搬送されてレジストローラ8へ導かれる。レジストローラ8は、記録材Pを一旦停止させて、中間転写ベルト6上のトナー像が搬送されてくるのと同期して転写ベルト24に記録材Pを供給する。
【0018】
レジストローラ8から記録材搬送方向(矢印Bの方向)において下流側には、中間転写ベルト張架ローラ21と対向して、トナー像を転写ベルト24に担持された記録材に転写する転写ニップNを形成する2次転写ローラ9が配置されている。すなわち、2次転写ローラ9は、像担持体(中間転写ベルト6)に対してベルト部材(転写ベルト24)を圧して、像担持体からベルト部材に担持された記録材上にトナー像を転写する転写部材として機能する。
【0019】
2次転写ローラ9はイオン導電系発泡ゴム(NBRゴム)の弾性層と芯金からなる。外径が24mm,ローラ表面粗さRz=6.0〜12.0(μm)、抵抗値がN/N(23℃、50%RH)測定、2kV印加で1E+5〜1E+7Ωの転写ローラを使用している。2次転写ローラ9には、供給バイアスが可変となっている2次転写高圧電源13が取り付けられている。
【0020】
記録材Pの先端が転写ニップNに到達する前に、二次転写ローラ9にトナーと逆極性の電圧が、中間転写ベルト6上のトナー像を記録材に転写するための二次転写バイアスとして印加される。記録材が転写ニップNに搬送されると、中間転写ベルト6上のトナー像が記録材P上へ一括して静電的に転写される。転写は二次転写バイアスが定電圧制御されて行われる。定電圧の目標値は記録材の乾燥状態、環境、転写するトナーの量等の要因によって決まる。定電圧の目標値は1000Vから5000Vの範囲になる。
【0021】
転写後に転写ベルト24から分離した記録材Pは除電針80により裏側から除電される。その後記録材ガイド29の案内面、記録材搬送装置70を経て定着装置60に搬送される。記録材が定着装置60に搬送されると定着ローラと加圧ローラによる加熱加圧工程によってトナー像が記録材に定着される。トナー像を定着した後に、記録材Pは機械の外に排出される。
【0022】
(分離補助装置40の構成)
本実施形態では転写ベルト24からの分離を補助するために転写ベルト24を押し上げる手段として、記録材の分離を局所的に転写ベルト24を押し上げて変形させることにより行う分離補助装置40が設けられている。後で詳細は説明するが、分離補助装置40が転写ベルト24を押し上げると、転写ベルト24、記録材Pは図1(b)のような状態になる。分離補助装置40は、記録材搬送方向において2次転写ローラ9より下流側で分離張架ローラ26より上流側で、転写ベルト24の内面側に設けられている。
【0023】
分離補助装置40の詳細な構成および、動作を示しているのが図2(a)、図2(b)である。分離補助装置40は押し上げ部材である分離補助コロ41と、分離補助コロ41を回転可能に支持するコロフレーム42と、分離補助コロ41の揺動中心となるコロ揺動中心軸43を有する。さらに、コロ揺動中心軸43を中心にして分離補助コロ41を揺動するためのコロ駆動ギア44と、コロ駆動ギア44に駆動力を伝達するためのモータ駆動伝達ギア45と、駆動源であるモータ46を有する。モータ46の回転運動がモータ駆動伝達ギア45によって、コロ駆動ギア44に伝達される。ここで、コロ駆動ギア44とコロ揺動中心軸43の間にはベアリングを設けているため、コロ揺動中心軸43は、モータ46による回転駆動の影響は受けず位置が動かないようになっている。
【0024】
図2(a)は、分離補助コロ41が転写ベルト24から離間しており、分離補助コロ41が押し上げ位置から退避するための退避位置を示す。図2(b)は、分離補助コロ41が転写ベルト24の内面に当接して転写ベルト24を局所的に押し上げる押し上げ位置を示す。分離補助コロ41は、コロ揺動中心軸43を中心にモータ46の所定量の正回転により、図2(a)で示されるコロ退避位置から、Y1方向へ図2(b)で示される押し上げ位置まで動くことができる。さらに、モータ46の所定量の逆回転により、分離補助コロ41は、図2(b)の押し上げ位置からY2方向へ移動して、図2(a)で示される退避位置へ動くことができる。すなわち、分離補助コロ41は、正逆回転により、このような揺動運動を行うようになっている。
【0025】
分離補助コロ41はエチレン−プロピレンゴム(EPDM)からなり、外径は6〜10mm、幅は5〜15mmである。このような分離補助コロ41が転写ベルト24を押し上げると、幅方向に局所的な突出部が転写ベルト24に形成される。ここで、幅方向とは、移動するベルト面の、移動方向と直交する方向である。
【0026】
図2(a)の状態で、分離補助コロ41から分離張架ローラ26までの距離は4〜8mmであり、図2(b)の状態では分離補助コロ41は転写ベルト24のベルト面を内面側から図2(a)の平面状態から3〜6mm押し上げている。
【0027】
分離補助装置40による分離補助効果について説明する。2次転写ローラ9によりトナーと逆極性の電荷が転写ベルト24の内面に付与されるので、転写ニップN以降で記録材は転写ベルト24に吸着している状態にある。そうすると薄い紙等の剛度の弱い記録材は分離張架部材26の曲率だけでは分離不良が生じるおそれがある。そこで本実施形態では、分離補助装置40により転写ベル24を押し上げる。薄い紙等の剛度の弱い記録材は変形しやすいので、図1(b)に示されるように押し上げによって転写ベルト24に生じる幅方向に局所的な変形に沿って、記録材Pにうねりが生じる。その結果、記録材の断面二次モーメント、すなわち記録材のこしの強さが大きくなり、薄紙等のこしの弱い記録材に有効な分離効果が得られる。
【0028】
分離補助装置40が有する分離補助コロ41は記録材が通過する領域にひとつであってもよい。しかしこの場合、記録材の幅方向において記録材がうねる範囲が狭くなってしまう。記録材の幅方向にうねりをつけるためには、記録材が通過する範囲内で幅方向に複数あった方が好ましい。
【0029】
図3は分離補助装置40の斜視図を示す。本実施形態では分離補助コロ41が3つ幅方向に並んで設けられている。隣同士の分離補助コロ41の間隔は、125mmである。両端の分離補助コロ41と分離補助コロ41の間の間隔は250mmである。中央部の分離補助コロ41は、どの幅のサイズの記録材も幅方向の中央が共通の基準線に実質的に一致するように搬送される記録材の略中央部に位置するように配置されている。特に、幅方向のサイズが297mmのAサイズの薄い記録材が搬送された場合には、A4サイズの記録材に対して三箇所が押し上げられる。A4サイズの記録材の分離性をより高めるのに有効である。
【0030】
(分離補助装置40の制御)
分離補助装置40の動作位置は、制御回路50に設けられた分離補助装置制御回路51によって制御される。この制御の関係を示すのが図4である。分離補助装置40の動作位置信号の制御は、ユーザーに指定された記録材Pの坪量情報、レジストローラ対8の記録材送りタイミングと記録材の搬送速度に基づいて得られる記録材先端位置情報に基づく。ユーザーが画像形成部を操作する操作部102からの情報は制御回路50に入力される。レジストローラ8の動作タイミングは制御回路50に入力される。二次転写高圧電源からの二次転写電流値の情報が制御回路50に入力される。制御回路50はCPU、ROM、RAMを含む。詳細は後で説明するが制御回路50には、除電針80の動作位置を制御する除電針制御回路52も設けられている。
【0031】
なお坪量とは、単位面積当りの重さ(g/m)を示す単位で、記録材の厚みを示す値として一般的に用いられる。
【0032】
本実施形態では、分離補助装置40の動作位置の制御について以下の二通りのパターンがROMに予め記憶されている。
・記録材が坪量40g/m以下の場合には、分離補助コロ41が押し上げ位置に位置して転写ベルト24を幅方向で局所に突出させる。記録材の転写ベルト24からの分離は、押し上げによって局所的な突出を形成することによって行われる。
・記録材が坪量40g/mより大きい場合には、分離補助コロ41が退避位置に位置する。退避位置において分離補助コロ41は転写ベルト24から離間している。記録材の転写ベルト24からの分離は、分離張架ローラ26の曲率を利用することによって行われる。
【0033】
すなわち、特定の坪量(第2の坪量)の記録材に対して分離補助コロ41を押し上げる動作のモード(第2のモード)を実行する。また、第2の坪量より大きい第1の坪量の記録材に対しては分離補助コロ41を押し上げる動作を行わずに、張架ローラ26により記録材を分離する動作のモード(第1のモード)を実行する。このように二つのモードを実行可能である。
【0034】
坪量は、操作部102でユーザーが入力する場合や、記録材を収容する収容部に記録材の坪量を入力する場合があり、それらにより画像形成装置に入力された坪量の情報に基づいて、制御部50が分離補助装置40の動作を決定する。
【0035】
(除電針80の構成)
本実施形態では、記録材が転写ベルト24から分離する際に放電が生じて記録材上のトナーを散らすのを抑制するために、記録材を除電する除電針80が設けられている。除電針80は記録材搬送方向において分離張架ローラ26より下流側で記録材ガイド29より上流側に配置される。本実施形態では除電針80の位置が移動可能な構成になっている。本実施形態では除電針80は電気的には接地されている。もちろん除電針80にバイアスが印加される構成であってもよい。
【0036】
除電針80の詳細な動作・制御を示すのが図5(a)、図5(b)である。81は不図示のモータの駆動力を受けて回転するカムであり、ばね82を介して除電針80を保持するホルダーの台座となっている。カム81が回転すると除電針80が押し上げられていないベルト面に対して垂直な垂直方向に平行移動する。
【0037】
図5(a)は、分離補助コロ41により転写ベルト24が押し上げられない場合の除電針80の位置(第1の位置)を示す。図5(b)は、分離補助コロ41により転写ベルトが押し上げられた場合の除電針80の位置(第2の位置)を示す。除電針80は、カム81の回転により、図5(a)で示される第1の位置から図5(b)で示される第2の位置まで移動することができる。また除電針80は、カム81の回転により、図5(b)で示される第2の位置から図5(a)で示される第1の位置まで移動することができる。
【0038】
記録材の裏面と除電針80の間隔が狭くなると、除電効果が過剰になりトナー乱れが生じるおそれがある。一方で記録材の裏面と除電針80の間隔が広くなると、除電効果が薄れて除電効果が発揮されなくなる。すなわち記録材の裏面と除電針80の間隔は所定の値に設定する必要がある。しかし分離補助コロ41を用いて記録材を分離する場合には、記録材は分離張架ローラ26に到達する前に分離する。その結果分離補助コロ41を用いる場合の分離後の記録材の姿勢は、分離補助コロ41を用いない場合の分離後の記録材の姿勢よりも、転写後のベルト面に垂直な方向において高くなる。除電針80の配置を、分離補助コロ41を用いない場合の記録材の姿勢に合わせると、分離補助コロを用いる場合に記録材の裏面と除電針80との間隔が広がり、除電針80による記録材の除電効果が低減してしまう。
【0039】
そこで本実施形態では除電針80は、分離補助コロ41を用いずに分離張架ローラ26の曲率によって記録材を分離する場合に所定の位置(第1の位置)に配置されて、分離補助コロ41を用いて記録材を分離する場合に第1の位置よりも高い位置(第2の位置)に配置される。
【0040】
ここで高さとは分離補助コロ41によって押し上げられていない状態の二次転写部から分離張架ローラ26にかけての転写ベルト24のベルト面に垂直な方向(垂直方向)における高さをいう。高低については、中間転写ベルト6側が高く、二次転写ローラ側が低いものとする。
【0041】
まずは図5(a)で示される除電針80の第1の位置について説明する。m1は、押し上げられていない状態の転写ベルト24のベルト面の延長線である。記録材は、転写ベルト24と分離張架ローラ26が接触する領域のベルト回転方向における上流側端部C1に到達すると、転写ベルト24から分離する。分離後の記録材はm1に沿って搬送される。そこで本実施形態では、押し上げられていない状態の転写ベルト24のベルト面に垂直な垂直方向において、m1と除電針80の先端との間隔L1が所定の値(7.9mm)に設定される。その結果、記録材の裏面と除電針80の間隔が狭くなることで除電効果が過剰になったり、記録材の裏面と除電針80の間隔が広くなることで除電効果が薄れたりするといった事態が生じるのを抑制する。もちろんこれらの数値に限定する意図ではなく、L1は7.2mmから8.7mm程度の範囲で適宜設定すればよい。
【0042】
また本実施形態では、第1の位置で除電針80の先端がC1を向くように配置される。その結果、記録材が分離する位置で除電するのに有効な電界を形成することができる。
【0043】
d1は除電針80の記録材搬送方向における上流側端部からC1までの距離であり、θ1は、除電針80先端の向きが分離後の記録材裏面に対して成す角度である。分離後の記録材の搬送はm1に沿うので、θ1は除電針80の向きがm1に対して成す角度のことをいう。本実施形態では、d1=10.4mm、θ1=50°に設定される。その結果、θ1やd1が小さいことに起因して除電が過剰になったり、θ1やd1が大きいことに起因して除電効果が低減するといった事態が生じるのを抑制することができる。もちろんこれらの数値に限定する意図ではなく、d1は9.4mmから11.4mm、θ1は50°から55°程度の範囲で適宜設定すればよい。
【0044】
次に図5(b)で示される除電針80の第2の位置について説明する。転写ベルト24が分離補助コロ41によって押し上げられる場合、記録材には記録材凹部と記録材凸部が形成されて、記録材の高さは幅方向において不均一になる。記録材の高さは、記録材凸部で高さは最大値をとり、記録材凹部で最小値となり、幅方向において記録材凹部と記録材凸部の間の中央(中間部)で中点となる。そこで本実施形態では、除電針80の上流側端部の配置を分離後の記録材の中間部の軌道m2に合わせる。この理由は、除電針80の上流側端部の配置を記録材の凹部に合わせると記録材の凸部と間隔が広くなりすぎ、記録材の凸部に合わせると記録材の凹部との間隔が広くなりすぎるからである。
【0045】
分離後の記録材は、転写ベルト24に形成されたベルト凹部とベルト凸部によって剛度が付与された状態にあるので、記録材凸部はベルト凸部に支えられて、記録材凹部はベルト凹部に支えられた状態にある。そうすると記録材の中間部の軌道m2の高さは、転写ベルト24に形成された凹部と凸部の中点と同じ程度になる。垂直方向における除電針80の先端と記録材の中点との間隔L2は、垂直方向における、転写ベルトに形成された凹部と凸部の中点と、除電針80の先端との間隔と等しいとみなすことができる。そこで垂直方向における、転写ベルトに形成された凹部と凸部の中点と、除電針80の先端との間隔が所定の値(7.9mm)になるように除電針80の位置を設定する。その結果、除電針80の先端と記録材の中点との間隔L2が所定の値(7.9mm)になる。L2はL1と同じ値になるように設定される。もちろんこれらの数値に限定する意図ではなく、L2は7.2mmから8.7mm程度の範囲で適宜設定すればよい。
【0046】
本実施形態では、押し上げられていない状態のベルト面を基準として、転写ベルトに形成される凸部の高さは6mmで、転写ベルトに形成される凹部の高さは0mmである。従ってm2の高さhは、押し上げられていない状態の転写ベルト24のベルト面を基準として、h=(6+0)÷2=3mmとなる。もちろんこれらの数値に限定する意図ではない。凸部の高さを3〜10mm程度の範囲で設定すればよい。hは凸部の高さによって決まり、1〜5mm程度の範囲になる。
【0047】
また本実施形態では第2の位置で除電針80は、C1を通ってm2に対して垂直な垂線とm2との交点C3に向くように配置される。
【0048】
この理由について説明する。分離補助コロ41を用いて記録材を分離する場合、記録材の中間部が転写ベルト24から分離する位置C2は、記録材搬送方向においてC1より上流側である。しかし除電針80の先端を記録材の中間部が分離するC2に向けると、分離張架ローラ26に邪魔されて電界が形成されにくいことがわかった。そこで本実施形態では第2の位置で除電針80の先端が、記録材搬送方向において、記録材の中間部が分離するC2よりも下流側に離れた位置を向くように配置される。その結果、分離張架ローラ26が電界形成を妨げて除電効果を低減するのを抑制することができる。
【0049】
d2は、除電針80の記録材搬送方向における上流側端部から点C3までの距離である。θ2は、除電針80の向きが分離後の記録材の中間部の裏面に対して成す角度である。分離後の記録材の中間部の搬送はm2に沿うので、θ2は除電針80の向きがm2に対して成す角度のことをいう。本実施形態では、d2=10.4mm、θ2=50°に設定される。すなわちd1=d2、θ1=θ2の関係を満たす。もちろん第1の位置におけるd1やθ1と同様に、d2やθ2はこれらの数値に限定する意図ではなく適宜設定すればよい。
【0050】
なお本実施形態では除電針80が垂直方向に平行移動する構成であるがこれに限定する意図ではない。除電針80の先端が垂直に移動可能であればよく、除電針80が回動する構成であってもよい。
【0051】
また本実施形態では記録材の中点の高さをベルト凹部とベルト凸部の中点とみなした構成となっているが、これに限定する意図ではない。分離補助コロ41が転写ベルト24を押し上げた場合の、転写ベルト24の幅方向における高さ分布を算出して、高さ分布から正確な平均値を求めて、求められた平均値を記録材の中点の高さとして設定する構成であってもよい。
【0052】
また本実施形態ではθ1=θ2とするが、これに限定する意図ではない。第2の位置で除電針80の先端が、記録材搬送方向において、記録材の中間部が分離するC2よりも下流側に離れた位置を向くように、θ1<θ2となるように除電針80を回動させてもよい。その結果、分離張架ローラ26が電界形成を妨げて除電効果を低減するのが抑制される。
【0053】
(除電針80の制御)
除電針80の動作位置は、制御回路50に設けられた除電針制御回路52によって制御される。除電針80の動作位置信号の制御は、分離補助装置40の動作に基づく。除電針80の動作位置の制御について以下の二通りのパターンがROMに予め記憶されている。
・分離補助装置40が退避位置で、記録材を分離張架ローラ26の曲率のみを利用して行う場合には、除電針80は転写後のベルト面に垂直な方向にいて低い位置(第1の位置)に配置される。
・分離補助装置40が押し上げ位置で転写ベルト24に幅方向に局所的な突出を形成する場合には、除電針80は転写後のベルト面に垂直な方向において第1の位置より高い位置(第2の位置)に配置される。
【0054】
このように二通りのパターンが設定される理由について説明する。記録材の分離を分離補助装置40を用いて行う場合には、分離後の記録材の姿勢が記録材の分離を分離張架ローラ26を用いて行う場合より高くなる。その結果除電針80との間隔が広がり、除電針80による分離後の記録材の除電効果が低減してしまうからである。
【0055】
第1の位置と第2の位置間での除電針80の先端の垂直方向における移動量について説明する。本実施形態では除電針80の先端の垂直方向における移動量が、転写ベルトに形成された凹部と凸部の中点の、押し上げられていない状態の転写ベルト24のベルト面からの間隔と同じになるように設定される。その結果、第1の位置での除電針80の先端から押し上げられていない状態の転写ベルト24のベルト面までの垂直方向における間隔L1が、第2の位置での除電針80の先端から転写ベルトに形成された凹部と凸部の中点までの垂直方向における間隔L2と同じになるように設定される。
【0056】
分離補助コロ41が転写ベルトを押し上げる量が大きくなると、転写ベルトに形成される凹部や凸部の高さは高くなるので、除電針80の移動量を大きくするのが望ましい。分離補助コロ41が転写ベルト24を押し上げる量を多段階に設定する構成では、転写ベルト24を押し上げる量が大きくなるほど、除電針80の移動量を大きく設定すればよい。
【0057】
(分離補助装置40と除電針80の制御フローチャート)
次に分離補助装置40と除電針80の制御フローについて図6を用いて説明する。画像形成動作がスタートする(S1)と、ユーザー操作部102でユーザーが設定した記録材の坪量情報が読み取られる(S2)、坪量が40g/mより大きいかどうかが判断される(S03)。S03で記録材の坪量が40g/mより大きい場合には、分離補助コロ41は退避位置に配置されたまま、除電針80は第1の位置に配置されたままの状態で、感光体ドラム上にトナー像の作像が開始する(S05)。ユーザーによって設定された記録材Pの坪量が40g/m以下の場合、こしが小さい記録材を転写ベルト24から分離するために、分離補助コロ41により転写ベルト24を押し上げて局所的な突出を形成する動作が必要になる。分離補助コロ41はY1方向へ動かされて、転写ベルト24を押し上げた、押し上げ位置に配置される(S04)。分離補助コロ41が押し上げ位置に配置されるのと同時に除電針80が第1の位置より高い第2の位置に配置される。その後感光体ドラム上にトナー像の作像が開始する(S05)。トナー像とタイミングが同期する様に、レジローラ対を駆動させるレジ駆動モータを動作させる(S6)ことで記録材Pを転写ベルト24に給送する。記録材Pは、転写部にて感光ドラム上のトナー像が転写される(S7)。その後、記録材Pは、転写ベルト24により搬送され、転写ベルト24を押し上げている分離補助コロ部にて、転写ベルト24から分離され、定着部を通過後、本体外へ排紙される(S8)。S9で次の画像形成丈夫があるかどうかが判断される。後続する画像形成ジョブが有る場合には、次の記録材Pは給送カセットより給紙され(S10)、記録材Pの剛性検知動作は省略されて、S5に戻る。S9で次の画像形成ジョブがないと判断されると、分離補助コロ41を退避位置に配置する。分離補助コロ41を退避位置に配置するのと同時に、除電針80を第2の位置から第1の位置に配置して(S11)、終了する(S12)。
【0058】
なお本実施形態では分離補助コロ41を退避位置から押し上げ位置へ移動するのと、除電針80を第1の位置から第2の位置へ移動するタイミングは同じとしたがこれに限定する意図ではない。分離補助コロ41を退避位置から押し上げ位置へ移動するタイミングが先で、除電針80を第1の位置から第2の位置へ移動するタイミングを後にしてもよい。
【0059】
なお本実施形態では分離補助コロ41を押し上げ位置から退避位置へ移動するタイミングと、除電針80を第2の位置から第1の位置へ移動するタイミングは同じとしたがこれに限定する意図ではない。分離補助コロ41を押し上げ位置から退避位置へ移動するタイミングが先で、除電針80を第2の位置から第1の位置へ移動するタイミングを後にしてもよい。このような設定にすると、分離補助コロ41が転写ベルト24を押し上げる期間が減少して、転写ベルト24の摩耗を抑制するのに有利である。
【0060】
なお本実施形態では、押し上げられていない状態の二次転写ローラ9から分離張架ローラ26にかけての転写ベルト24のベルト面が水平方向になるように配置されている。押し上げられていない状態の転写ベルト24のベルト面に垂直な方向は鉛直方向と一致するので、垂直な方向における高低は鉛直方向における位置を表す。もちろんこの実施形態に限定する意図ではない。押し上げられていない状態の二次転写ローラ9から分離張架ローラ26にかけての転写ベルト24のベルト面が鉛直方向になるように配置されている構成であってもよい。このような構成では、押し上げられていない状態の転写ベルト24のベルト面に垂直な方向は水平方向と一致するので、垂直な方向における高低は水平方向における位置を表すことになる。
【0061】
<第2実施形態>
第1実施形態と重複する点については説明を省略する。第1実施形態では除電針80が動く構成であるのに対して、本実施形態では不図示のモータによる駆動力を受けて、分離張架部材26が動く構成である。
【0062】
図7(a)は、分離補助コロ41が転写ベルト24を押し上げずに記録材を分離する場合の分離張架ローラ26の位置(第1の分離張架ローラ位置)を示す。第1の分離張架ローラ位置では、分離張架部材26、除電針80、転写ベルト24間の位置関係が第1実施形態と同じになる。
【0063】
図7(b)は、分離補助コロ41が転写ベルトを押し上げて記録材を分離する場合の分離張架ローラ26の位置(第2の分離張架ローラ位置)を示す。
【0064】
m3は、分離張架ローラ26が第2の位置にいる場合の、分離補助コロ41に押し上げられていない状態の転写ベルトのベルト面及びその延長面を示す。m2は、分離張架ローラ26が第2の位置にいる場合の、分離補助コロ41が転写ベルトを押し上げて記録材を分離する場合の記録材の中間部の軌道を示し、m3と平行となる。h´はm2とm3の間隔であり、分離補助コロ41が転写ベルト24を押し上げ量によって決まる。分離補助コロ41の押し上げ量が大きくなるほど、h´は大きくなる。φは第1の分離張架ローラ位置での転写ベルト24のベルト面と第2の分離張架ローラ位置での転写ベルト24のベルト面との成す角度をいう。
【0065】
本実施形態では、第2の分離張架ローラ位置は、m1に垂直な方向において、第1の分離張架ローラ位置よりも低くなるように設定される。すなわち分離後の記録材の軌道が低くなり、除電針80と記録材の間隔が広がるのが抑制される。その結果、記録材の分離を押し上げ手段を用いて行う場合にも、分離後の記録材を除電針によって除電する効果が低減するのを抑制することができる。
【0066】
また本実施形態では第2の分離張架ローラ位置での転写ベルト24のベルト面の延長m3と除電針80の間隔がL1―h´となるように、φ及びm1に垂直な方向にける分離張架ローラ26の位置が設定される。その結果、分離補助コロ41を用いて記録材を分離する場合の記録材の中間部と除電針80の距離がL1となる。すなわち除電針80を動かすことなく、分離補助コロ41を用いる場合に記録材の中間部と除電針80の間隔を最適化することができる。
【0067】
本実施形態における制御回路50について図8を用いて説明する。本実施形態では、制御回路50には、除電針80を制御する除電針制御回路52の代わりに分離張架ローラ26の動作を制御する分離張架ローラ制御回路53が設けられている。分離張架ローラ26の動作位置の制御について以下の二通りのパターンがROMに予め記憶されている。
・分離補助装置40が退避位置で、記録材を分離張架ローラ26の曲率を利用して行う場合には、分離張架ローラ26は転写後のベルト面に垂直な方向にいて高い位置(第1の分離張架ローラ位置)に配置される。
・分離補助装置40が押し上げ位置で転写ベルト24に幅方向に局所的な突出を形成する場合には、分離張架ローラ26は転写後のベルト面に垂直な方向において第1の位置より低い位置(第2の分離張架ローラ位置)に配置される。
【0068】
さらに上述した通り分離補助コロ41を用いて記録材を分離する場合の記録材の中間部と除電針80の距離がL1となる。その結果、分離補助コロ41を用いる場合に記録材の中間部と除電針80の間隔を最適化することができる。
【符号の説明】
【0069】
1 感光ドラム
2 1次帯電器
3 露光装置
4 現像器
5 1次転写ローラ
6 中間転写ベルト
8 レジストローラ
9 2次転写ローラ
11 ドラムクリーニング装置
12 ベルトクリーニング装置
13 2次転写高圧電源
20 中間転写ベルト張架ローラ(テンションローラ)
21 中間転写ベルト張架ローラ(2次転写ローラの対向ローラ)
22 中間転写ベルト張架ローラ(駆動ローラ)
24 転写ベルト
25 転写ベルト張架ローラ
26 転写ベルト張架ローラ(分離張架ローラ)
27 転写ベルト張架ローラ(テンションローラ)
29 記録材ガイド
40 分離補助装置
50 制御回路
60 定着装置
80 除電針
P 記録材・用紙・紙
A 感光ドラムの回転方向
B 転写ベルトの回転方向
G 中間転写ベルト回転方向
N 転写ニップ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
トナー像を担持する像担持体と、
記録材を担持搬送する移動可能なベルト部材と、
前記ベルト部材に担持搬送された記録材に前記像担持体に形成されたトナー像を静電的に転写する転写部材と、
前記ベルト部材の幅方向において局所的にベルト面が突出するように、記録材の搬送方向において前記転写部材よりも下流側の前記ベルト部材を内面側から押し上げる押し上げ手段と、
記録材の搬送方向において前記押し上げ手段よりも下流側で前記ベルト部材を張架して、記録材を前記ベルト部材から分離するための分離張架部材と、
記録材の搬送方向において前記分離張架部材よりも下流側に配置されて、記録材を裏側から除電するための除電針と、を有する画像形成装置において、
前記第1の厚みの記録材が前記ベルト部材で搬送されて、前記押し上げ手段によって前記ベルト部材を押し上げずに、前記分離張架部材により記録材を分離する第1のモードと、第1の厚みよりも小さい第2の厚みの記録材が前記ベルト部材で搬送されて、前記押し上げ手段によって前記ベルト部材を押し上げる第2のモードとを実行可能であって、
前記除電針は、前記第1のモードでは第1の位置に配置されて、前記第2のモードでは、前記押し上げ手段によって押し上げられていない状態の前記転写部材と前記分離張架部材の間のベルト面に対して垂直な垂直方向において前記第1の位置よりも高い第2の位置に配置する画像形成装置。
【請求項2】
前記第2のモードで、前記垂直方向における、前記除電針の先端から、前記ベルト部材に形成される凹部の高さと凸部の高さの中点となる高さを有するベルト部材までの間隔が所定の間隔に前記除電針は配置されることを特徴とする請求項1に記載された画像形成装置。
【請求項3】
前記第2のモードでの前記除電針の先端の向きと前記押し上げ手段によって押し上げられていない状態の前記転写部材と前記分離張架部材の間のベルト面とのなす角度が所定の角度に設定されることを特徴とする請求項1乃至2のいずれかに記載された画像形成装置。
【請求項4】
前記第2のモードで、前記垂直方向における、前記除電針の先端から、前記ベルト部材に形成される凹部の高さと凸部の高さの中点となる高さを有するベルト部材までの間隔が、前記第1のモードでの前記除電針の先端から記録材までの間隔と同じになるように前記除電針は配置されることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載された画像形成装置。
【請求項5】
前記第2のモードでの前記除電針の先端の向きと前記押し上げ手段によって押し上げられていない状態の前記転写部材と前記分離張架部材の間のベルト面とのなす角度が、前記第1のモードでの前記除電針の先端の向きと前記押し上げ手段によって押し上げられていない状態の前記転写部材と前記分離張架部材の間のベルト面との成す角度と同じになるように設定されることを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載された画像形成装置。
【請求項6】
トナー像を担持する像担持体と、
記録材を担持搬送する移動可能なベルト部材と、
前記ベルト部材に担持搬送された記録材に前記像担持体に形成されたトナー像を静電的に転写する転写部材と、
前記ベルト部材の幅方向において局所的にベルト面が突出するように、記録材の搬送方向において前記転写部材よりも下流側の前記ベルト部材を内面側から押し上げる押し上げ手段と、
記録材の搬送方向において前記押し上げ手段よりも下流側で前記ベルト部材を張架して、記録材を前記ベルト部材から分離するための分離張架部材と、
記録材の搬送方向において前記分離張架部材よりも下流側に配置されて、記録材を裏側から除電するための除電針と、を有する画像形成装置において、
前記第1の厚みの記録材が前記ベルト部材で搬送されて、前記押し上げ手段によって前記ベルト部材を押し上げずに、前記分離張架部材により記録材を分離する第1のモードと、第1の厚みよりも小さい第2の厚みの記録材が前記ベルト部材で搬送されて、前記押し上げ手段によって前記ベルト部材を押し上げる第2のモードとを実行可能であって、
前記第1のモードでは前記分離張架部材を第1の位置に配置して、前記第2のモードでは、前記押し上げ手段によって押し上げられていない状態の前記転写部材と前記第1の位置の前記分離張架部材の間のベルト面に対して垂直な垂直方向において、前記分離張架部材を前記第1の位置より低い位置に配置する画像形成装置。
【請求項7】
トナー像を担持する像担持体と、
記録材を担持搬送する移動可能なベルト部材と、
前記ベルト部材に担持搬送された記録材に前記像担持体に形成されたトナー像を静電的に転写する転写部材と、
前記ベルト部材の幅方向において局所的にベルト面が突出するように、記録材の搬送方向において前記転写部材よりも下流側の前記ベルト部材を内面側から押し上げる押し上げ手段と、
記録材の搬送方向において前記押し上げ手段よりも下流側で前記ベルト部材を張架して、記録材を前記ベルト部材から分離するための分離張架部材と、
記録材の搬送方向において前記分離張架部材よりも下流側に配置されて、記録材を裏側から除電するための除電針と、を有する画像形成装置において、
前記第1の厚みの記録材が前記ベルト部材で搬送されて、前記押し上げ手段によって前記ベルト部材を押し上げずに、前記分離張架部材により記録材を分離する第1のモードと、第1の厚みよりも小さい第2の厚みの記録材が前記ベルト部材で搬送されて、前記押し上げ手段によって前記ベルト部材を押し上げる第2のモードとを実行可能であって、
前記除電針の向きが、前記第1のモードよりも前記第2のモードで、記録材搬送方向においてより下流側となることを特徴とする画像形成装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate


【公開番号】特開2012−128031(P2012−128031A)
【公開日】平成24年7月5日(2012.7.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−277322(P2010−277322)
【出願日】平成22年12月13日(2010.12.13)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】