画像形成装置
【課題】画像形成部で発生した廃トナーを廃トナーボトルまで搬送する経路中に付着した廃トナーを剥離・崩壊させて搬送力を高めることを目的とする。
【解決手段】画像形成部で発生した廃トナーをスクリューコンベヤからなる搬送パイプ42で廃トナーボトルBまで搬送して回収する画像形成装置において、その搬送パイプ42は、筐体1に対して上下方向に回動可能に設けられた廃トナーアセンブリ10に組み込んで構成される。
【解決手段】画像形成部で発生した廃トナーをスクリューコンベヤからなる搬送パイプ42で廃トナーボトルBまで搬送して回収する画像形成装置において、その搬送パイプ42は、筐体1に対して上下方向に回動可能に設けられた廃トナーアセンブリ10に組み込んで構成される。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、電子写真法による複写機、プリンタ、ファクシミリ装置等の画像形成装置においては、レーザスキャニングユニットを用いてドラム状の感光体上に電気的潜像を形成するようにしている。そして、得られた潜像をトナーを用いて現像し、紙などの転写材にトナー像を転写した後、加熱・加圧により定着させて複写あるいは記録画像を得る一方、転写されずに感光体上に残留したトナーは、クリーナによりクリーニングされ、再び感光体上に電気的潜像を形成できるようにしている。感光体上に残留したトナーをクリーニングするためのクリーナは、感光体上に付着しているトナーをクリーニングブレードにより除去し、その除去したトナーはスクリューコンベヤを介して廃トナーボトルに搬送させて回収するように構成されている(特許文献1参照)。
【0003】
上記画像形成装置がフルカラー式の場合、画像形成装置には、イエロー(Y)、マゼンダ(M)、シアン(C)及びブラック(BK)の各色にそれぞれ対応した複数の感光体が用意されている。そして、各感光体の周面には、レーザスキャニングユニットを用いて電気的潜像が形成されると共に、各感光体の周面には、供給された各色のトナーによって各色のトナー像がそれぞれ生成されるように構成されている。各感光体の周面に生成された各色のトナー像は、回転駆動する無端ベルトからなる転写ベルトに順次重畳転写され、これにより、転写ベルト上にはカラー画像が合成される。次いで、この転写ベルト上に合成されたカラー画像は用紙等の記録媒体に転写された後、定着装置で加圧・加熱されて定着処理されるように構成されている。また、転写ベルト上に残留したトナーは、感光体上に残留したトナーをクリーニングする要領でクリーニングされるように構成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2008−37543号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、従来のトナーを用いる画像形成装置において、残留したトナーをクリーニングするためのクリーナユニットは、クリーニングブレードで除去したトナーをスクリューコンベヤを介して廃トナーボトルに搬送するようにしているので、クリーナユニットが長時間使用されると、スクリューコンベヤ周囲の壁面にトナーが付着してトナーの搬送力が損なわれるおそれがあった。特に、従来のクリーナユニットは、上記特許文献1に示されるように、感光体上に電気的潜像を形成するトナー像形成装置内に一体的に組み込まれているので、スクリューコンベヤの周囲の壁面に付着したトナーが剥離・崩壊される機会がなく、トナーの搬送力が損なわれるおそれがあった。このような欠点を解決するために、上記特許文献1に示されるような、トナーの供給系に設けられている振動手段をクリーナユニット内にも設けることも考えられるが、装置が複雑化するだけでなく、コスト高になるのでそのまま採用することはできなかった。
【0006】
また、クリーナユニットの近傍の筐体には、廃トナーボトルが着脱自在に設けられるが、この廃トナーボトルは、装置内のわずかなスペースを利用して設置される関係上、廃トナーボトルに隣接するカバーのとの関係においては、廃トナーボトルを外してからカバーが開閉されるように構成されている。しかし、廃トナーボトルが筐体から外される前にカバーが開かれると、カバーが廃トナーボトルに接して拗れ、カバーを損傷するおそれがあった。
【0007】
本発明は、上述する問題点に鑑みてなされたもので、画像形成装置において、廃トナーの搬送系に生成される廃トナーの固着を効果的に防止すると共に、廃トナーボトルを筐体から外されなければカバーを開けることができないようにすることを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、上記課題を解決するための手段として、以下の構成を採用する。
【0009】
第1の発明は、 筐体内に設けられた複数の画像形成部から排出される廃トナーを搬送手段を介して上記筐体に着脱可能に設けられた廃トナーボトルまで搬送して回収する画像形成装置であって、上記搬送手段が、上記筐体に対して上下方向に回動可能に設けられた廃トナーアセンブリに組み込まれているという構成を採用する。
【0010】
第2の発明は、上記第1の発明において、上記廃トナーアセンブリが上記筐体と係合して閉止状態に維持される係合手段と、上記係合手段の係合状態を解除するための解除手段とを有し、上記廃トナーボトルが上記筐体に装着されてない場合のみ上記解除手段による上記係合手段の係合状態が解除可能とされているという構成を採用する。
【0011】
第3の発明は、上記第1または2の発明において、上記搬送手段が、搬送パイプ内にて軸周りに回転駆動されるスパイラルブレードを有するスクリューコンベヤからなり、上記廃トナーボトルは上記搬送パイプの下方に装着されているという構成を採用する。
【0012】
第4の発明は、上記第3の発明において、上記搬送パイプは略水平方向に延設されており、上記廃トナーアセンブリは上記搬送パイプの軸と平行に下方に所定距離離れた支軸の周りに上下方向に回動可能に設けられているという構成を採用する。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、搬送手段が筐体に対して上下に回動可能に設けられた廃トナーアセンブリに組み込まれているので、廃トナーアセンブリが回動されると、廃トナーアセンブリの姿勢が変化して搬送手段内部のトナーに作用する重力方向が変化する。このため、搬送手段に付着している廃トナーが剥離・崩壊し、搬送力が高められる。
また、廃トナーボトルが筐体に装着されていないときのみ開動作が行われるロック部が設けられているので、廃トナーボトルが筐体から外される前に廃トナーアセンブリが開かれることがないから、廃トナーアセンブリの損傷を未然に防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の一実施形態における画像形成装置を適用した複写機を正面側から見たときの斜視図である。
【図2】本発明の一実施形態における画像形成装置を適用した複写機のフロントカバーが開かれ、かつ、筐体に廃トナーボトルが装着されている状態の斜視図である。
【図3】本発明の一実施形態における画像形成装置を適用した複写機で、廃トナーボトルが筐体から外され、かつ、フロントカバーが開かれ、さらに、廃トナーアセンブリが閉じられている状態の斜視図である。
【図4】本発明の一実施形態における画像形成装置を適用した複写機で、筐体から廃トナーボトルが外され、かつ、フロントカバーが開かれ、さらに、廃トナーアセンブリが開かれている状態の斜視図である。
【図5】廃トナーボトルの斜視図である。
【図6】(a)は、廃トナーアセンブリを正面側から見たときの斜視図、(b)は、その廃トナーアセンブリを裏面側から見たときの斜視図である。
【図7】(a)は、廃トナーアセンブリからカバー体を外し、かつ、解除レバーが固定されているときを正面側から見たときの斜視図、(b)は、その解除レバーが解除されているときを正面側から見たときの斜視図である。
【図8】(a)は、解除レバーが固定されているときの連結棒の斜視図、(b)は、その解除レバーが解除されているときの連結棒の斜視図である。
【図9】廃トナーアセンブリからカバー体を外し、かつ、解除レバー及び連結棒を外したときのフレームを正面側から見たときの斜視図である。
【図10】廃トナーボトルにロック部が当接している状態を示す斜視図である。
【図11】廃トナーボトルにロック部が当接している状態を示す拡大斜視図である。
【図12】受渡口収納部に廃トナーボトルの受口を装着した状態を模式的に示した図面である。(a)は装置の上方からみた平面図、(b)は(a)のX−X断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、図面を参照して、本発明に係る画像形成装置の一実施形態について説明する。なお、以下の図面において、各部材を認識可能な大きさとするために、各部材の縮尺を適宜変更している。また、以下の説明においては、本発明の画像形成装置の一例として電子写真方式からなる複写機を挙げて説明する。
【0016】
図1は、複写機Pを正面側から見たときの斜視図である。この複写機Pの筐体1の正面中央部にはフロントカバー1aが設けられ、このフロントカバー1aは、図2に矢印イで示されるように、下辺部を回転中心軸として上辺部側が前方側に回動して筐体1の正面中央部分が露出できるように構成されている。また、この複写機Pの筐体1の上部には原稿読取部1bが設けられ、その原稿読取部1bの下方には排紙トレイ1cが設けられ、筐体1の上部正面右側にはユーザが入力操作する操作部1dが設けられ、そして、筐体1の下部には給紙トレイ1eが設けられている。
【0017】
以下、フロントカバー1aが開かれている状態を示す図2〜図4を用いて説明する。
フロントカバー1aの内側に当たる複写機Pの筐体1の正面中央部には、廃トナーボトルBと廃トナーアセンブリ10とが設けられている。
【0018】
廃トナーボトルBは、図5に示されるように、内部に所定の容量を有する直方体状を呈していて、その上面中央部には、上面側が開口している肉厚に形成された受口bが設けられている。そして、この廃トナーボトルBは、廃トナーアセンブリ10の下部の一方側(図示の例では左側)の筐体1に設けられている廃トナーボトル収納部1fに着脱自在に設けられている。図2は、廃トナーボトル収納部1fに廃トナーボトルBを装着した状態を示し、図3及び図4は、廃トナーボトル収納部1fから廃トナーボトルBを外した状態を示している。
この廃トナーボトルBは、後述する搬送パイプ42の下方に装着されている。
【0019】
廃トナーアセンブリ10は、外形的にはカバー体11と、解除レバー20とを備えている。
カバー体11は、廃トナーアセンブリ10の外枠を形成している。そして、このカバー体11は、図2及び図3に示されるように、フロントカバー1aの内側の筐体1の前面を覆うように設けられていると共に、図4に矢印ロで示されるように、下辺部を回転中心軸として上辺部側が前方側に回動して画像形成部のリテーナRが露出できるように構成されている。このように、このカバー体11の奥の筐体1には画像形成部としての感光体ユニット2a〜2dおよび現像ユニット3a〜3dが設けられている。また、各感光体ユニット2a〜2dには廃トナーを排出するための排出口4a〜4が設けられている。
【0020】
廃トナーアセンブリ10を正面側から見たときの斜視図である図6(a)、それを裏面側から見たときの斜視図である同図(b)を用いて、さらに、カバー体11を説明すると、カバー体11の下辺左右部には、廃トナーアセンブリ10を回動自在に軸支する支軸12a,12bがそれぞれ設けられている。そして、これら支軸12a,12bは、筐体1の図示しない開孔にそれぞれ挿入できるように構成されている。
そして、廃トナーアセンブリ10は、後述する搬送パイプ42の軸と平行に下方に所定距離離れた支軸12a,12b周りに上下方向に回動可能とされている。
【0021】
カバー体11の下辺左部側(図6(a)参照)には、受渡口収納部13が設けられていると共に、その裏面の中央水平部分には、互いに所定の間隔を保って複数(図示の例では5個)の受口収納部14a〜14eが設けられている。
受渡口収納部13は、廃トナーボトルBが筐体1に装着したときの廃トナーボトルBの受口bに対応した位置に設けられ、受口収納部14a〜14eは、カバー体11が図2又は図3のように閉じられたとき、感光体ユニット2a〜2dの排出口4a〜4dから排出される廃トナーの位置に対応して設けられている。また、このカバー体11の裏面の受口収納部14a〜14eの下方には、後述する搬送パイプを収納する収納部15が水平状に設けられている。
【0022】
解除レバー20は、カバー体11の正面右側に設けられている(図6(a)参照)。この解除レバー20には、カバー体11の正面側のカバーを貫通して設けられている回転軸(図示せず)が設けられていて、後述するフレームに回動自在に設けられている。
【0023】
また、本実施形態の複写機Pには、廃トナーアセンブリ10を着脱自在とするための一対の係止片30a,30bが備えられている。
一対の係止片30a,30bは、カバー体11の上辺部の左右両端側からそれぞれ突出自在に設けられている。そして、これら係止片30a,30bは、筐体1の図示しない開孔にそれぞれ挿入できるように構成されている。なお、これら係止片30a,30bは、筐体1と係合して廃トナーアセンブリ10を閉止状態に維持し、後述する連結棒を介して解除レバー20に接続されている。そして、廃トナーボトルBが筐体1に装着されていない場合のみ解除レバー20による係止片30a,30bの筐体1に対する係合状態が解除可能とされている。
【0024】
図7〜図9は、廃トナーアセンブリ10からカバー体11を除いた廃トナーアセンブリ10の内部構造を示している。すなわち、この廃トナーアセンブリ10の内部には、フレーム40が設けられている。そして、このフレーム40には、上述した解除レバー20が設けられている以外に、受口41a〜41e、本発明の「搬送手段」を担う搬送パイプ42及び受渡口43が設けられている。
【0025】
フレーム40には、上述したように解除レバー20(解除手段)が回動自在に設けられている。そして、この解除レバー20の中心点を通る軸心の上部には、先端が係止片30a(係止手段)に形成され、かつ、バネ50aにより付勢される連結棒50がスライド自在に連結されている。また、その下部には、先端が係止片30b(係止手段)に形成され、かつ、バネ51aにより付勢される連結棒51がスライド自在に連結されている。さらにその下部には、連結棒51と一体的に形成され、かつ、連結棒50の下方に位置し、連結棒51と反対方向に伸びる、先端がロック部52に形成された連結棒53がスライド自在に連結されている。
【0026】
図7(a)及び図8(a)は、解除レバー20が反時計方向に固定されているとき、すなわち解除レバー20の反時計方向に回動が阻止されているときの各連結棒50,51,53の位置をそれぞれ示している。このときの係止片30aは、図8(a)に矢印ハに示されるように、解除レバー20の位置から離れるようにバネ50a,51aにより外側に向けて付勢されている。また、係止片30bも、同図(a)に矢印ニに示されるようにバネ50a,51aにより外側に向けて付勢されている。
【0027】
図7(b)及び図8(b)は、解除レバー20をバネ50a及びバネ51aに抗して90度時計方向に回動させたときの各連結棒50,51,53の位置を示している。このときの係止片30aは、図8(b)に矢印ヘに示されるように、解除レバー20の位置する中心に向けて移動される。また、係止片30bも、同図(b)に矢印トに示されるように、同様に中心に向けて移動される。
【0028】
図10及び図11は、解除レバー20が固定されているときの状態、すなわち、解除レバー20が上記図7(a)及び図8(a)に示される状態における連結棒53のロック部52と廃トナーボトルBとの位置関係を示している。廃トナーボトルBは、図2に示されるように、筐体1の廃トナーボトル収納部1fに装着されているときは、その廃トナーボトルBの肉厚に形成された受口bが受渡口43(カバー体11に設けられている受渡口収納部13)に位置している。そして、このときの受口bと連結棒53のロック部52との位置関係は、連結棒53のロック部52が受口bの側面に当接できるように決められている。したがって、廃トナーボトルBが廃トナーボトル収納部1fに装着されているときは、連結棒53のロック部52が廃トナーボトルBの受口bの側面に当接しているので、連結棒53の外側方向(図11の矢印チ参照)に向けての移動が阻止され、解除レバー20の回転が阻止され、ロック状態に保たれている。
【0029】
受口41a〜41eは、カバー体11に設けられている受口収納部14a〜14eの位置に対応して設けられ、また、搬送パイプ42は、カバー体11に設けられている搬送パイプ収納部15の位置に対応して設けられている。
【0030】
搬送パイプ42はスクリューコンベヤで構成されている。すなわち、搬送パイプ42内には、図示しないが、パイプの軸心方向にモータによって回転駆動されるスパイラルブレードが設けられている。そして、このスクリューコンベヤからなる搬送パイプ42は、受口41a〜41eから投入されてきた廃トナーを受渡口43側に搬送できるように略水平方向に延設されて構成されている。
【0031】
フレーム40に設けられている搬送パイプ42は、このフレーム40がカバー体11に装着されたとき、カバー体11の回転軸の支軸12a,12bの位置から所定距離(図6(b)の「H」参照)上方に位置している。したがって、この搬送パイプ42は、カバー体11が開閉されるとその動作に従って姿勢を変化させることができる。
【0032】
受渡口43は、カバー体11に設けられている受渡口収納部13の位置に対応して設けられている。この受渡口43からは、搬送パイプ42で搬送されてきた廃トナーが落下する形で排出され、この受渡口43の下方に位置する廃トナーボトルBの受口bに廃トナーを投入できるように構成されている。
【0033】
図12(a)(b)は受渡口収納部13に廃トナーボトルBの受口bを装着した状態を模式的に示した図面である。(a)は装置の上方からみた平面図、(b)は(a)のX−X断面図である。受渡口収納部13には、搬送パイプ42の下面に形成された開口部42aを覆うシャッタ部材13aが圧縮バネ13bにより廃トナーボトルBの装着方向と反対方向に付勢された状態で保持されている。シャッタ部材13aは不透明の部材で成形されており、開口部42aを覆う蓋部13cと、廃トナーボトルBの受口bと当接する当接部13dと、満杯センサfを遮蔽する遮蔽部13eで構成されている。満杯センサ13fは発光部から発光される光を受光部で検知する構成である。
【0034】
廃トナーボトルBはタンク部60と、タンク部60の頭部に固定されたキャップ部61で構成されており、キャップ部61が受口bになっている。キャップ部61は透明性を有し弾性のある材料で成形され、搬送パイプ42の開口部42aの下方に対向する首部61aとその下部でタンク部60と係合する肩部61bとを備える。更に、肩部61bには円周方向の対向する位置の周面から、2本のツマミ部61c、61dが延設されている。一方のツマミ61dには楔形状をした突起部61eが形成されている。
【0035】
受渡口収納部13に廃トナーボトルBが装着されていない状態では、シャッタ13aは圧縮バネ13bにより図12において右方向に移動して、搬送パイプ42の開口部42aを塞いだ状態になっている。廃トナーボトルBを廃トナーボトル収納部1fに装着すると、シャッタ部材13aが首部61aに当接して圧縮バネ13bの付勢に抗して左方向に移動して開口部42aから退避し、変わりに首部61aが開口部42aに対向配置する。この位置で、ツマミ部61dの突起62eが受渡口収納部13に形成された係合部13fと係合して右方向への移動が規制される。
受渡口収納部13に装着された状態の廃トナーボトルBを抜き出す場合には、ツマミ部61c、61dを指で挟むと互いに弾性変形し、突起部61eが係合部13fから退避して係合が解除される。そして、圧縮バネ13bの付勢力により抜き出し方向に押し出される。
【0036】
上記構成からなる複写機Pの廃トナーの搬送動作について説明する。
複写機Pにおいて、複写が行われると画像形成部から廃トナーが発生する。その発生した廃トナーは、受口41a〜41eを介して搬送パイプ42内に投入される。そして、その搬送パイプ42内に投入された廃トナーは、スパイラルブレードの回転を介して受渡口43に搬送され、受口bから廃トナーボトルB内に回収される。廃トナーボトルBが首部61aまで廃トナーで満杯になり満杯センサ13fの発光部の光が遮られて受光量が減少することで検出されると、空の廃トナーボトルBと交換される。
【0037】
廃トナーボトルBの交換は、フロントカバー1aが開かれ(図2の矢印イ参照)、図3に示されるように、筐体1の廃トナーボトル収納部1fから廃トナーボトルBが抜き出され、新しい空の廃トナーボトルBと交換される。また、画像形成部の保守点検時には、フロントカバー1aが開かれて廃トナーボトル収納部1fから廃トナーボトルBが抜き出されたのち、解除レバー20の回動が行われる。すなわち、この解除レバー20の回動は、廃トナーボトル収納部1fから廃トナーボトルBが抜き出されることにより、連結棒53のロック部52がフリーとなって解除レバー20のロック状態が解除され、図7(b)及び図8(b)に示されるように、解除レバー20は90度時計方向(上下方向)に回動させることが可能となる。
【0038】
上述のようにして解除レバー20が回動されると、係止片30a及び係止片30bは、筐体1に設けられている図示しない係合部から外れ、廃トナーアセンブリ10の開動が可能となる(図4の矢印ロ参照)。このように、廃トナーアセンブリ10の開動が、廃トナーボトル収納部1fから廃トナーボトルBが抜き出されたときのみ可能となるので、廃トナーボトルBが装着した状態で廃トナーアセンブリ10が不用意に回動されたときのように、廃トナーアセンブリ10が廃トナーボトルBと接触して拗れるのを未然に防止することができる。また、廃トナーボトルBを受渡口収納部13から抜き出す際に搬送パイプ42の開口部42aがシャッタ部材13aで塞がれるため、廃トナーが外に漏れるのを防止できる。
【0039】
しかも、この複写機Pにおいては、廃トナーアセンブリ10の回動によって廃トナーアセンブリ10自身に多少の衝撃が加えられると共に、搬送パイプ42の姿勢が変化するので、すなわち、搬送パイプ42の位置がカバー体11の支軸12a,12bの位置から所定距離(図6(b)の「H」参照)上方に位置しているので、アセンブリ10が回動されると搬送パイプ42の姿勢が変化し、搬送パイプ42内部の廃トナーに作用する重力方向が変化する。この結果、搬送パイプ42の内壁面等に付着していた廃トナーが剥離・崩壊して搬送パイプ42の目詰り状態を効果的に解消することができる。これにより、搬送パイプ42の搬送力を良好に保つことができる。
【0040】
以上、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明は、上記実施形態に限定されないことは言うまでもない。上述した実施形態において示した各構成部材の諸形状や組み合わせ等は一例であって、本発明の主旨から逸脱しない範囲において設計要求等に基づき種々変更可能である。
また、上述の例では、画像形成装置を複写機としたが、プリンタ、ファクシミリ装置又はこれらの機能を備えた複合機とすることもできる。
【符号の説明】
【0041】
P……複写機(画像形成装置)、B……廃トナーボトル、1……筐体、1a……フロントカバー、1f……廃トナーボトル収納部、10……廃トナーアセンブリ、20……解除レバー、30a,30b……係止片、40……フレーム、42……搬送パイプ(搬送手段,スクリューコンベヤ)、52……ロック部、53……連結棒
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、電子写真法による複写機、プリンタ、ファクシミリ装置等の画像形成装置においては、レーザスキャニングユニットを用いてドラム状の感光体上に電気的潜像を形成するようにしている。そして、得られた潜像をトナーを用いて現像し、紙などの転写材にトナー像を転写した後、加熱・加圧により定着させて複写あるいは記録画像を得る一方、転写されずに感光体上に残留したトナーは、クリーナによりクリーニングされ、再び感光体上に電気的潜像を形成できるようにしている。感光体上に残留したトナーをクリーニングするためのクリーナは、感光体上に付着しているトナーをクリーニングブレードにより除去し、その除去したトナーはスクリューコンベヤを介して廃トナーボトルに搬送させて回収するように構成されている(特許文献1参照)。
【0003】
上記画像形成装置がフルカラー式の場合、画像形成装置には、イエロー(Y)、マゼンダ(M)、シアン(C)及びブラック(BK)の各色にそれぞれ対応した複数の感光体が用意されている。そして、各感光体の周面には、レーザスキャニングユニットを用いて電気的潜像が形成されると共に、各感光体の周面には、供給された各色のトナーによって各色のトナー像がそれぞれ生成されるように構成されている。各感光体の周面に生成された各色のトナー像は、回転駆動する無端ベルトからなる転写ベルトに順次重畳転写され、これにより、転写ベルト上にはカラー画像が合成される。次いで、この転写ベルト上に合成されたカラー画像は用紙等の記録媒体に転写された後、定着装置で加圧・加熱されて定着処理されるように構成されている。また、転写ベルト上に残留したトナーは、感光体上に残留したトナーをクリーニングする要領でクリーニングされるように構成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2008−37543号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、従来のトナーを用いる画像形成装置において、残留したトナーをクリーニングするためのクリーナユニットは、クリーニングブレードで除去したトナーをスクリューコンベヤを介して廃トナーボトルに搬送するようにしているので、クリーナユニットが長時間使用されると、スクリューコンベヤ周囲の壁面にトナーが付着してトナーの搬送力が損なわれるおそれがあった。特に、従来のクリーナユニットは、上記特許文献1に示されるように、感光体上に電気的潜像を形成するトナー像形成装置内に一体的に組み込まれているので、スクリューコンベヤの周囲の壁面に付着したトナーが剥離・崩壊される機会がなく、トナーの搬送力が損なわれるおそれがあった。このような欠点を解決するために、上記特許文献1に示されるような、トナーの供給系に設けられている振動手段をクリーナユニット内にも設けることも考えられるが、装置が複雑化するだけでなく、コスト高になるのでそのまま採用することはできなかった。
【0006】
また、クリーナユニットの近傍の筐体には、廃トナーボトルが着脱自在に設けられるが、この廃トナーボトルは、装置内のわずかなスペースを利用して設置される関係上、廃トナーボトルに隣接するカバーのとの関係においては、廃トナーボトルを外してからカバーが開閉されるように構成されている。しかし、廃トナーボトルが筐体から外される前にカバーが開かれると、カバーが廃トナーボトルに接して拗れ、カバーを損傷するおそれがあった。
【0007】
本発明は、上述する問題点に鑑みてなされたもので、画像形成装置において、廃トナーの搬送系に生成される廃トナーの固着を効果的に防止すると共に、廃トナーボトルを筐体から外されなければカバーを開けることができないようにすることを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、上記課題を解決するための手段として、以下の構成を採用する。
【0009】
第1の発明は、 筐体内に設けられた複数の画像形成部から排出される廃トナーを搬送手段を介して上記筐体に着脱可能に設けられた廃トナーボトルまで搬送して回収する画像形成装置であって、上記搬送手段が、上記筐体に対して上下方向に回動可能に設けられた廃トナーアセンブリに組み込まれているという構成を採用する。
【0010】
第2の発明は、上記第1の発明において、上記廃トナーアセンブリが上記筐体と係合して閉止状態に維持される係合手段と、上記係合手段の係合状態を解除するための解除手段とを有し、上記廃トナーボトルが上記筐体に装着されてない場合のみ上記解除手段による上記係合手段の係合状態が解除可能とされているという構成を採用する。
【0011】
第3の発明は、上記第1または2の発明において、上記搬送手段が、搬送パイプ内にて軸周りに回転駆動されるスパイラルブレードを有するスクリューコンベヤからなり、上記廃トナーボトルは上記搬送パイプの下方に装着されているという構成を採用する。
【0012】
第4の発明は、上記第3の発明において、上記搬送パイプは略水平方向に延設されており、上記廃トナーアセンブリは上記搬送パイプの軸と平行に下方に所定距離離れた支軸の周りに上下方向に回動可能に設けられているという構成を採用する。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、搬送手段が筐体に対して上下に回動可能に設けられた廃トナーアセンブリに組み込まれているので、廃トナーアセンブリが回動されると、廃トナーアセンブリの姿勢が変化して搬送手段内部のトナーに作用する重力方向が変化する。このため、搬送手段に付着している廃トナーが剥離・崩壊し、搬送力が高められる。
また、廃トナーボトルが筐体に装着されていないときのみ開動作が行われるロック部が設けられているので、廃トナーボトルが筐体から外される前に廃トナーアセンブリが開かれることがないから、廃トナーアセンブリの損傷を未然に防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の一実施形態における画像形成装置を適用した複写機を正面側から見たときの斜視図である。
【図2】本発明の一実施形態における画像形成装置を適用した複写機のフロントカバーが開かれ、かつ、筐体に廃トナーボトルが装着されている状態の斜視図である。
【図3】本発明の一実施形態における画像形成装置を適用した複写機で、廃トナーボトルが筐体から外され、かつ、フロントカバーが開かれ、さらに、廃トナーアセンブリが閉じられている状態の斜視図である。
【図4】本発明の一実施形態における画像形成装置を適用した複写機で、筐体から廃トナーボトルが外され、かつ、フロントカバーが開かれ、さらに、廃トナーアセンブリが開かれている状態の斜視図である。
【図5】廃トナーボトルの斜視図である。
【図6】(a)は、廃トナーアセンブリを正面側から見たときの斜視図、(b)は、その廃トナーアセンブリを裏面側から見たときの斜視図である。
【図7】(a)は、廃トナーアセンブリからカバー体を外し、かつ、解除レバーが固定されているときを正面側から見たときの斜視図、(b)は、その解除レバーが解除されているときを正面側から見たときの斜視図である。
【図8】(a)は、解除レバーが固定されているときの連結棒の斜視図、(b)は、その解除レバーが解除されているときの連結棒の斜視図である。
【図9】廃トナーアセンブリからカバー体を外し、かつ、解除レバー及び連結棒を外したときのフレームを正面側から見たときの斜視図である。
【図10】廃トナーボトルにロック部が当接している状態を示す斜視図である。
【図11】廃トナーボトルにロック部が当接している状態を示す拡大斜視図である。
【図12】受渡口収納部に廃トナーボトルの受口を装着した状態を模式的に示した図面である。(a)は装置の上方からみた平面図、(b)は(a)のX−X断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、図面を参照して、本発明に係る画像形成装置の一実施形態について説明する。なお、以下の図面において、各部材を認識可能な大きさとするために、各部材の縮尺を適宜変更している。また、以下の説明においては、本発明の画像形成装置の一例として電子写真方式からなる複写機を挙げて説明する。
【0016】
図1は、複写機Pを正面側から見たときの斜視図である。この複写機Pの筐体1の正面中央部にはフロントカバー1aが設けられ、このフロントカバー1aは、図2に矢印イで示されるように、下辺部を回転中心軸として上辺部側が前方側に回動して筐体1の正面中央部分が露出できるように構成されている。また、この複写機Pの筐体1の上部には原稿読取部1bが設けられ、その原稿読取部1bの下方には排紙トレイ1cが設けられ、筐体1の上部正面右側にはユーザが入力操作する操作部1dが設けられ、そして、筐体1の下部には給紙トレイ1eが設けられている。
【0017】
以下、フロントカバー1aが開かれている状態を示す図2〜図4を用いて説明する。
フロントカバー1aの内側に当たる複写機Pの筐体1の正面中央部には、廃トナーボトルBと廃トナーアセンブリ10とが設けられている。
【0018】
廃トナーボトルBは、図5に示されるように、内部に所定の容量を有する直方体状を呈していて、その上面中央部には、上面側が開口している肉厚に形成された受口bが設けられている。そして、この廃トナーボトルBは、廃トナーアセンブリ10の下部の一方側(図示の例では左側)の筐体1に設けられている廃トナーボトル収納部1fに着脱自在に設けられている。図2は、廃トナーボトル収納部1fに廃トナーボトルBを装着した状態を示し、図3及び図4は、廃トナーボトル収納部1fから廃トナーボトルBを外した状態を示している。
この廃トナーボトルBは、後述する搬送パイプ42の下方に装着されている。
【0019】
廃トナーアセンブリ10は、外形的にはカバー体11と、解除レバー20とを備えている。
カバー体11は、廃トナーアセンブリ10の外枠を形成している。そして、このカバー体11は、図2及び図3に示されるように、フロントカバー1aの内側の筐体1の前面を覆うように設けられていると共に、図4に矢印ロで示されるように、下辺部を回転中心軸として上辺部側が前方側に回動して画像形成部のリテーナRが露出できるように構成されている。このように、このカバー体11の奥の筐体1には画像形成部としての感光体ユニット2a〜2dおよび現像ユニット3a〜3dが設けられている。また、各感光体ユニット2a〜2dには廃トナーを排出するための排出口4a〜4が設けられている。
【0020】
廃トナーアセンブリ10を正面側から見たときの斜視図である図6(a)、それを裏面側から見たときの斜視図である同図(b)を用いて、さらに、カバー体11を説明すると、カバー体11の下辺左右部には、廃トナーアセンブリ10を回動自在に軸支する支軸12a,12bがそれぞれ設けられている。そして、これら支軸12a,12bは、筐体1の図示しない開孔にそれぞれ挿入できるように構成されている。
そして、廃トナーアセンブリ10は、後述する搬送パイプ42の軸と平行に下方に所定距離離れた支軸12a,12b周りに上下方向に回動可能とされている。
【0021】
カバー体11の下辺左部側(図6(a)参照)には、受渡口収納部13が設けられていると共に、その裏面の中央水平部分には、互いに所定の間隔を保って複数(図示の例では5個)の受口収納部14a〜14eが設けられている。
受渡口収納部13は、廃トナーボトルBが筐体1に装着したときの廃トナーボトルBの受口bに対応した位置に設けられ、受口収納部14a〜14eは、カバー体11が図2又は図3のように閉じられたとき、感光体ユニット2a〜2dの排出口4a〜4dから排出される廃トナーの位置に対応して設けられている。また、このカバー体11の裏面の受口収納部14a〜14eの下方には、後述する搬送パイプを収納する収納部15が水平状に設けられている。
【0022】
解除レバー20は、カバー体11の正面右側に設けられている(図6(a)参照)。この解除レバー20には、カバー体11の正面側のカバーを貫通して設けられている回転軸(図示せず)が設けられていて、後述するフレームに回動自在に設けられている。
【0023】
また、本実施形態の複写機Pには、廃トナーアセンブリ10を着脱自在とするための一対の係止片30a,30bが備えられている。
一対の係止片30a,30bは、カバー体11の上辺部の左右両端側からそれぞれ突出自在に設けられている。そして、これら係止片30a,30bは、筐体1の図示しない開孔にそれぞれ挿入できるように構成されている。なお、これら係止片30a,30bは、筐体1と係合して廃トナーアセンブリ10を閉止状態に維持し、後述する連結棒を介して解除レバー20に接続されている。そして、廃トナーボトルBが筐体1に装着されていない場合のみ解除レバー20による係止片30a,30bの筐体1に対する係合状態が解除可能とされている。
【0024】
図7〜図9は、廃トナーアセンブリ10からカバー体11を除いた廃トナーアセンブリ10の内部構造を示している。すなわち、この廃トナーアセンブリ10の内部には、フレーム40が設けられている。そして、このフレーム40には、上述した解除レバー20が設けられている以外に、受口41a〜41e、本発明の「搬送手段」を担う搬送パイプ42及び受渡口43が設けられている。
【0025】
フレーム40には、上述したように解除レバー20(解除手段)が回動自在に設けられている。そして、この解除レバー20の中心点を通る軸心の上部には、先端が係止片30a(係止手段)に形成され、かつ、バネ50aにより付勢される連結棒50がスライド自在に連結されている。また、その下部には、先端が係止片30b(係止手段)に形成され、かつ、バネ51aにより付勢される連結棒51がスライド自在に連結されている。さらにその下部には、連結棒51と一体的に形成され、かつ、連結棒50の下方に位置し、連結棒51と反対方向に伸びる、先端がロック部52に形成された連結棒53がスライド自在に連結されている。
【0026】
図7(a)及び図8(a)は、解除レバー20が反時計方向に固定されているとき、すなわち解除レバー20の反時計方向に回動が阻止されているときの各連結棒50,51,53の位置をそれぞれ示している。このときの係止片30aは、図8(a)に矢印ハに示されるように、解除レバー20の位置から離れるようにバネ50a,51aにより外側に向けて付勢されている。また、係止片30bも、同図(a)に矢印ニに示されるようにバネ50a,51aにより外側に向けて付勢されている。
【0027】
図7(b)及び図8(b)は、解除レバー20をバネ50a及びバネ51aに抗して90度時計方向に回動させたときの各連結棒50,51,53の位置を示している。このときの係止片30aは、図8(b)に矢印ヘに示されるように、解除レバー20の位置する中心に向けて移動される。また、係止片30bも、同図(b)に矢印トに示されるように、同様に中心に向けて移動される。
【0028】
図10及び図11は、解除レバー20が固定されているときの状態、すなわち、解除レバー20が上記図7(a)及び図8(a)に示される状態における連結棒53のロック部52と廃トナーボトルBとの位置関係を示している。廃トナーボトルBは、図2に示されるように、筐体1の廃トナーボトル収納部1fに装着されているときは、その廃トナーボトルBの肉厚に形成された受口bが受渡口43(カバー体11に設けられている受渡口収納部13)に位置している。そして、このときの受口bと連結棒53のロック部52との位置関係は、連結棒53のロック部52が受口bの側面に当接できるように決められている。したがって、廃トナーボトルBが廃トナーボトル収納部1fに装着されているときは、連結棒53のロック部52が廃トナーボトルBの受口bの側面に当接しているので、連結棒53の外側方向(図11の矢印チ参照)に向けての移動が阻止され、解除レバー20の回転が阻止され、ロック状態に保たれている。
【0029】
受口41a〜41eは、カバー体11に設けられている受口収納部14a〜14eの位置に対応して設けられ、また、搬送パイプ42は、カバー体11に設けられている搬送パイプ収納部15の位置に対応して設けられている。
【0030】
搬送パイプ42はスクリューコンベヤで構成されている。すなわち、搬送パイプ42内には、図示しないが、パイプの軸心方向にモータによって回転駆動されるスパイラルブレードが設けられている。そして、このスクリューコンベヤからなる搬送パイプ42は、受口41a〜41eから投入されてきた廃トナーを受渡口43側に搬送できるように略水平方向に延設されて構成されている。
【0031】
フレーム40に設けられている搬送パイプ42は、このフレーム40がカバー体11に装着されたとき、カバー体11の回転軸の支軸12a,12bの位置から所定距離(図6(b)の「H」参照)上方に位置している。したがって、この搬送パイプ42は、カバー体11が開閉されるとその動作に従って姿勢を変化させることができる。
【0032】
受渡口43は、カバー体11に設けられている受渡口収納部13の位置に対応して設けられている。この受渡口43からは、搬送パイプ42で搬送されてきた廃トナーが落下する形で排出され、この受渡口43の下方に位置する廃トナーボトルBの受口bに廃トナーを投入できるように構成されている。
【0033】
図12(a)(b)は受渡口収納部13に廃トナーボトルBの受口bを装着した状態を模式的に示した図面である。(a)は装置の上方からみた平面図、(b)は(a)のX−X断面図である。受渡口収納部13には、搬送パイプ42の下面に形成された開口部42aを覆うシャッタ部材13aが圧縮バネ13bにより廃トナーボトルBの装着方向と反対方向に付勢された状態で保持されている。シャッタ部材13aは不透明の部材で成形されており、開口部42aを覆う蓋部13cと、廃トナーボトルBの受口bと当接する当接部13dと、満杯センサfを遮蔽する遮蔽部13eで構成されている。満杯センサ13fは発光部から発光される光を受光部で検知する構成である。
【0034】
廃トナーボトルBはタンク部60と、タンク部60の頭部に固定されたキャップ部61で構成されており、キャップ部61が受口bになっている。キャップ部61は透明性を有し弾性のある材料で成形され、搬送パイプ42の開口部42aの下方に対向する首部61aとその下部でタンク部60と係合する肩部61bとを備える。更に、肩部61bには円周方向の対向する位置の周面から、2本のツマミ部61c、61dが延設されている。一方のツマミ61dには楔形状をした突起部61eが形成されている。
【0035】
受渡口収納部13に廃トナーボトルBが装着されていない状態では、シャッタ13aは圧縮バネ13bにより図12において右方向に移動して、搬送パイプ42の開口部42aを塞いだ状態になっている。廃トナーボトルBを廃トナーボトル収納部1fに装着すると、シャッタ部材13aが首部61aに当接して圧縮バネ13bの付勢に抗して左方向に移動して開口部42aから退避し、変わりに首部61aが開口部42aに対向配置する。この位置で、ツマミ部61dの突起62eが受渡口収納部13に形成された係合部13fと係合して右方向への移動が規制される。
受渡口収納部13に装着された状態の廃トナーボトルBを抜き出す場合には、ツマミ部61c、61dを指で挟むと互いに弾性変形し、突起部61eが係合部13fから退避して係合が解除される。そして、圧縮バネ13bの付勢力により抜き出し方向に押し出される。
【0036】
上記構成からなる複写機Pの廃トナーの搬送動作について説明する。
複写機Pにおいて、複写が行われると画像形成部から廃トナーが発生する。その発生した廃トナーは、受口41a〜41eを介して搬送パイプ42内に投入される。そして、その搬送パイプ42内に投入された廃トナーは、スパイラルブレードの回転を介して受渡口43に搬送され、受口bから廃トナーボトルB内に回収される。廃トナーボトルBが首部61aまで廃トナーで満杯になり満杯センサ13fの発光部の光が遮られて受光量が減少することで検出されると、空の廃トナーボトルBと交換される。
【0037】
廃トナーボトルBの交換は、フロントカバー1aが開かれ(図2の矢印イ参照)、図3に示されるように、筐体1の廃トナーボトル収納部1fから廃トナーボトルBが抜き出され、新しい空の廃トナーボトルBと交換される。また、画像形成部の保守点検時には、フロントカバー1aが開かれて廃トナーボトル収納部1fから廃トナーボトルBが抜き出されたのち、解除レバー20の回動が行われる。すなわち、この解除レバー20の回動は、廃トナーボトル収納部1fから廃トナーボトルBが抜き出されることにより、連結棒53のロック部52がフリーとなって解除レバー20のロック状態が解除され、図7(b)及び図8(b)に示されるように、解除レバー20は90度時計方向(上下方向)に回動させることが可能となる。
【0038】
上述のようにして解除レバー20が回動されると、係止片30a及び係止片30bは、筐体1に設けられている図示しない係合部から外れ、廃トナーアセンブリ10の開動が可能となる(図4の矢印ロ参照)。このように、廃トナーアセンブリ10の開動が、廃トナーボトル収納部1fから廃トナーボトルBが抜き出されたときのみ可能となるので、廃トナーボトルBが装着した状態で廃トナーアセンブリ10が不用意に回動されたときのように、廃トナーアセンブリ10が廃トナーボトルBと接触して拗れるのを未然に防止することができる。また、廃トナーボトルBを受渡口収納部13から抜き出す際に搬送パイプ42の開口部42aがシャッタ部材13aで塞がれるため、廃トナーが外に漏れるのを防止できる。
【0039】
しかも、この複写機Pにおいては、廃トナーアセンブリ10の回動によって廃トナーアセンブリ10自身に多少の衝撃が加えられると共に、搬送パイプ42の姿勢が変化するので、すなわち、搬送パイプ42の位置がカバー体11の支軸12a,12bの位置から所定距離(図6(b)の「H」参照)上方に位置しているので、アセンブリ10が回動されると搬送パイプ42の姿勢が変化し、搬送パイプ42内部の廃トナーに作用する重力方向が変化する。この結果、搬送パイプ42の内壁面等に付着していた廃トナーが剥離・崩壊して搬送パイプ42の目詰り状態を効果的に解消することができる。これにより、搬送パイプ42の搬送力を良好に保つことができる。
【0040】
以上、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明は、上記実施形態に限定されないことは言うまでもない。上述した実施形態において示した各構成部材の諸形状や組み合わせ等は一例であって、本発明の主旨から逸脱しない範囲において設計要求等に基づき種々変更可能である。
また、上述の例では、画像形成装置を複写機としたが、プリンタ、ファクシミリ装置又はこれらの機能を備えた複合機とすることもできる。
【符号の説明】
【0041】
P……複写機(画像形成装置)、B……廃トナーボトル、1……筐体、1a……フロントカバー、1f……廃トナーボトル収納部、10……廃トナーアセンブリ、20……解除レバー、30a,30b……係止片、40……フレーム、42……搬送パイプ(搬送手段,スクリューコンベヤ)、52……ロック部、53……連結棒
【特許請求の範囲】
【請求項1】
筐体内に設けられた複数の画像形成部から排出される廃トナーを搬送手段を介して前記筐体に着脱可能に設けられた廃トナーボトルまで搬送して回収する画像形成装置であって、
前記搬送手段は、前記筐体に対して上下方向に回動可能に設けられた廃トナーアセンブリに組み込まれていることを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記廃トナーアセンブリが前記筐体と係合して閉止状態に維持される係合手段と、前記係合手段の係合状態を解除するための解除手段とを有し、
前記廃トナーボトルが前記筐体に装着されてない場合のみ前記解除手段による前記係合手段の係合状態が解除可能とされている
ことを特徴とする請求項2記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記搬送手段は、搬送パイプ内にて軸周りに回転駆動されるスパイラルブレードを有するスクリューコンベヤからなり、前記廃トナーボトルは前記搬送パイプの下方に装着されていることを特徴とする請求項1または2記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記搬送パイプは略水平方向に延設されており、前記廃トナーアセンブリは前記搬送パイプの軸と平行に下方に所定距離離れた支軸の周りに上下方向に回動可能に設けられていることを特徴とする請求項3に記載の画像形成装置。
【請求項1】
筐体内に設けられた複数の画像形成部から排出される廃トナーを搬送手段を介して前記筐体に着脱可能に設けられた廃トナーボトルまで搬送して回収する画像形成装置であって、
前記搬送手段は、前記筐体に対して上下方向に回動可能に設けられた廃トナーアセンブリに組み込まれていることを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記廃トナーアセンブリが前記筐体と係合して閉止状態に維持される係合手段と、前記係合手段の係合状態を解除するための解除手段とを有し、
前記廃トナーボトルが前記筐体に装着されてない場合のみ前記解除手段による前記係合手段の係合状態が解除可能とされている
ことを特徴とする請求項2記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記搬送手段は、搬送パイプ内にて軸周りに回転駆動されるスパイラルブレードを有するスクリューコンベヤからなり、前記廃トナーボトルは前記搬送パイプの下方に装着されていることを特徴とする請求項1または2記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記搬送パイプは略水平方向に延設されており、前記廃トナーアセンブリは前記搬送パイプの軸と平行に下方に所定距離離れた支軸の周りに上下方向に回動可能に設けられていることを特徴とする請求項3に記載の画像形成装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2012−141373(P2012−141373A)
【公開日】平成24年7月26日(2012.7.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−292662(P2010−292662)
【出願日】平成22年12月28日(2010.12.28)
【出願人】(000006150)京セラドキュメントソリューションズ株式会社 (13,173)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年7月26日(2012.7.26)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年12月28日(2010.12.28)
【出願人】(000006150)京セラドキュメントソリューションズ株式会社 (13,173)
【Fターム(参考)】
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