説明

画像形成装置

【課題】現像ローラと感光体との間に形成するバイアスと現像ローラと磁気ローラとの間に形成するバイアスとのバランスを容易に取ることができる現像装置を備えた画像形成装置を提供する。
【解決手段】画像形成装置20は、潜像を形成する感光体3に対向配置し、第1のバイアスによって感光体3上に形成された潜像を現像する現像ローラ2と、キャリアとトナーとを有する2成分現像剤で磁気ブラシを形成し、第2のバイアスよって現像ローラ2にトナー薄層を形成する磁気ローラ1と、バイアスを印加する第1の電源7及び第2の電源8と、を備える。現像ローラ2は、第1の電源7のバイアスによって第1のバイアスが印加され、磁気ローラ1は、第1の電源7のバイアスに第2の電源8のバイアスを重畳することで第2のバイアスが印加される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子写真方式を利用した複写機、プリンタ、ファクシミリ、それらの複合機等の画像形成装置に関し、特に、磁性キャリアと非磁性トナーとを有する2成分現像剤を用いて、現像ローラ上にトナーを保持させて静電潜像を現像するようにした現像装置を備えた画像形成装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
画像形成装置における現像方式には、トナーとキャリアを用いた2成分現像方式、キャリアを使用しない1成分現像方式があるが、2成分現像方式はキャリアによるトナーの帯電性に優れ、長寿命化が可能である反面、現像装置が大きく複雑になること、キャリアの耐久性によって画質が変化するなどの欠点がある。また非磁性1成分現像方式は、現像装置がコンパクトになり、またドット再現性にも優れているが、現像ローラ、補給ローラの耐久性が概して低く、定期的に現像装置を交換するため消耗品価格が高価になる。また、現像ローラへの現像可能な帯電特性を有したトナーの供給性が高速機には適しておらず、高速化には問題があった。
【0003】
こうした双方の現像方式の特徴を生かし、トナーとキャリアを有する2成分現像剤を使用して十分に帯電したトナーを有する磁気ブラシで現像ローラ上にトナー層を形成し、現像ローラ上に保持されたトナーで感光体上に形成した静電潜像を非接触で現像するようにした所謂タッチダウン現像方式がある。特にこのタッチダウン現像方式は、高速の画像形成が可能な現像方式として、感光体上に複数のカラー画像を順次形成する1ドラム色重ね方式、複数の電子写真プロセス部材を並べて配置し、転写部材の送りに同期させてカラー画像を形成して転写部材上で色重ねを行うタンデム方式、複数の電子写真プロセス部材を中間転写部材に並べて配置し中間転写部材上で色重ねを行うタンデム方式用などの現像装置として、適用することができる。
【0004】
このうちタンデム方式の画像形成装置の場合には、複数の電子写真プロセス部材を並べて配置するため、感光体に対して現像ローラや磁気ローラを横に配置すると電子写真プロセス部材そのものの幅が大きくなり、小型化の妨げになる。そのため、電子写真プロセス部材を構成する現像ローラや磁気ローラを感光体の上方または下方に配置して現像装置を縦型とし、小型化した画像形成装置が提案されている。
【0005】
こういった技術に関する従来技術としては、特許文献1に磁気ローラを用いて現像剤をドナーローラ(現像ローラ)に進ませ、このドナーローラ上にトナーを移送させてトナー薄層を形成する現像装置が示されている。しかしながらこの方式では、トナーの帯電制御が複雑で、感光体に高い表面電位と大きな現像電界を印加することを必要としており、さらにドナーローラ上の未現像トナーをリフレッシュすることが困難で、ドナーローラ上にトナーの消費領域と非消費領域とが生じると、そのドナーローラ上におけるトナーの付着状態とトナーの電位差にばらつきが生じる関係から、前の現像画像の一部が次の現像時に残像(ゴースト)として現れる現象、いわゆる履歴現象が発生しやすいという不具合がある。
【0006】
そのため例えば特許文献2、3には、内部に固定された磁極部材によりキャリアとトナーを有する2成分現像剤で形成した磁気ブラシを保持する磁気ローラと、この磁気ローラに保持された磁気ブラシによる摺擦でトナー薄層を形成する現像ローラと、この現像ローラと感光体との間に交流バイアスを形成する電源とを設け、この交流バイアスにより、現像ローラ上に形成されたトナー薄層から飛翔させたトナーで感光体上の潜像を現像して、カブリの発生を回避しつつ現像時の残像(ゴースト)の発生を防止するようにした現像装置が示されている。しかしながら、この方式では、現像ローラと感光体との間に形成される交流バイアスと、現像ローラと磁気ローラのそれぞれに印加される直流バイアスなどのバランスを取るためには精度の高い制御が要求される。
【0007】
また特許文献4には、内部に固定された磁極部材によりキャリアとトナーを有する2成分現像剤で形成した磁気ブラシを保持する磁気ローラと、この磁気ローラに保持された磁気ブラシによる摺擦でトナー薄層を形成する現像ローラとを備え、この現像ローラに直流バイアスを重畳させた交流バイアスを印加するが、この交流バイアスのデューティ比を10〜50%に設定することにより、トナー引き戻しが行えるようになるとともに現像ローラから磁気ローラへの引き戻し(回収)が増大して現像ローラへのトナーの汚染を解消するようにした現像装置が示されている。しかしながら、この方式の現像装置においても、現像ローラに印加する交流バイアスと、現像ローラと磁気ローラのそれぞれに印加される直流バイアスなどのバランスを取るためには精度の高い制御が要求され、一層制御精度に余裕のある技術が望まれている。
【0008】
また特許文献5には、1成分現像剤を用い、感光体に接触した現像ローラとその現像ローラに接触した供給ローラとを備えて、供給ローラでトナーを現像ローラに供給し、現像ローラ上で規制ブレードによって摩擦帯電させてトナーを薄層状態にして感光体上の潜像を現像する現像装置において、現像ローラに交流電圧を印加して、低濃度画像や細線画像が現像されにくい問題及びトナー帯電量の上昇により濃度ムラが生じる問題を防止するとともに、現像未消費のトナーを掻き落とし(回収し)やすくしている。しかし現像電界を形成する現像ローラの交流電圧を高くするとカブリが発生し、低いと現像未消費のトナーを掻き落とす効果が小さくなるという問題が発生するので、その問題を解決するため、供給ローラにも交流電圧を印加して、両者の交流電圧を同周波数で異なる位相とした現像装置が示されている。しかしながらこの方式では、現像ローラに感光体と供給ローラとが接触する1成分現像剤を用いた形式の現像装置であり、このような感光体と現像ローラが接触する形式の現像装置をタンデム型の画像形成装置に用いると、転写ベルトのトルク変動をきたしてタンデム型の弱点である色ズレを助長する恐れがある。
【0009】
そこで、特許文献6には、内部に固定された磁極部材によりキャリアとトナーを有する2成分現像剤で形成した磁気ブラシを保持する磁気ローラと、この磁気ローラに保持された磁気ブラシによる摺擦でトナー薄層を形成する現像ローラと、この現像ローラに交流バイアスを形成する電源とを設け、さらにこの交流バイアスと同周波数、逆位相であり、かつデューティ比を逆転させた矩形波からなる交流バイアスを磁気ローラに形成する電源を設けている。このことにより、現像ローラの交流バイアスと磁気ローラの交流バイアスと電位差を大きくして、現像ローラへのトナー薄層を形成し易くし、現像ローラからのトナー回収をし易くしている。このようにしてタンデム型の画像形成装置に用いても感光体と現像ローラ間の電位差は文献2乃至4と同様に何も変化させずに、現像性を維持することができるように、現像ローラと感光体間及び現像ローラと磁気ローラ間に形成する各バイアスとのバランスを取っている。
【0010】
しかしながら、近年の画像形成装置における印刷の高速化、さらに装置の小型化、一層の画像の高画質化に対応すべく、感光体の高速回転及び小径化、またトナー粒径の小径化が要望されている。感光体の小径化や高速回転及び現像ローラの小径化により現像領域を通過する時間が短くなると感光体への現像性を向上させるために、現像電界を増大させるか、現像ローラのトナー付着力を低減させなくてはならない。また現像ローラの小径化や高速回転及び磁気ローラの小径化によりトナー層形成領域を通過する時間が短くなると、現像ローラからトナーを回収する電界を強くしながら現像ローラへの付着力を低減させなくてはならない。さらにトナー粒径を小径化すると、やはり現像ローラ表面へのトナーの付着力が増大するのを抑制しながら、感光体と現像ローラ間に強い電界を形成して現像ローラから感光体に飛翔する力を大きくしなくてはならず、また現像ローラと磁気ローラ間では現像ローラから磁気ローラへトナーを回収する電界も強くしなければならない。しかしながら、現像ローラと磁気ローラに印加するバイアスは現像ローラと磁気ローラ間で合成バイアスとなるため、現像性、回収性を維持し、放電を抑制するために印加できるバイアスは位相、周期、波形などが制限されていまい、小型化、高速化の妨げとなっていた。具体的には、現像ローラ上のトナーは、磁気ブラシによって現像ローラに供給された後も現像ローラの回転に従って何度も磁気ブラシと接触し、その都度、磁気ブラシと現像ローラとの間に印加されている電界にさらされる。そのために高速化などによって、この現像ローラ側に供給される方向の電界を強くした場合には、現像ローラにトナーが強固に付着しやすくなり、現像ローラから感光体へ現像するときの妨げとなり、且つ現像ローラから磁気ローラへの回収も困難となるなど、現像ローラと感光体との間に形成するバイアスと現像ローラと磁気ローラとの間に形成するバイアスとをバランスさせる範囲が一層狭くなってくる。
【0011】
上述した特許文献では、感光体の高速回転及び小径化、またトナー粒径の小径化が要望される現像プロセスにおいて、現像ローラへのトナー薄層の形成及び現像ローラからのトナー回収に対応させながら、感光体への現像性を向上させるために、現像ローラと感光体との間に形成するバイアスと、現像ローラと磁気ローラとの間に形成するバイアスとをバランスさせることが困難であった。また現像ローラへのトナー薄層の形成及び現像ローラのトナー回収に対応させると感光体への現像性が低下して、繰り返し現像による現像剤の劣化や現像ローラと感光体とのニップ幅の変動により、低階調画像の画像ムラが発生するという問題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【特許文献1】米国特許第3,929,098号公報(2欄10行〜43行)
【特許文献2】特開2003−21961号公報(段落[0026]、[0027]、図2)
【特許文献3】特開2003−21966号公報(段落[0035]、図1)
【特許文献4】特開2003−280357号公報(段落[0027]、図2)
【特許文献5】特開2001−134050号公報(段落[0026]、[0046]、図1)
【特許文献6】特開2005−242281号公報(段落[0018]、図1)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
本発明は、上記のような課題を解決するためになされたものであり、現像ローラと感光体との間に形成するバイアスと現像ローラと磁気ローラとの間に形成するバイアスとのバランスを容易に取ることができ、かつ、現像ローラ上にトナー薄層を良好に形成して現像ローラのトナーを良好に回収し、感光体への現像性を向上させ、また低階調画像の画像ムラ等の画像不良を抑制する現像装置を備えた画像形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
上記目的を達成するために本発明は、潜像を形成する感光体に対向配置し、第1のバイアスによって前記感光体上に形成された潜像を現像する現像ローラと、キャリアとトナーとを有する2成分現像剤で磁気ブラシを形成し、第2のバイアスよって前記現像ローラにトナー薄層を形成する磁気ローラと、バイアスを印加する第1の電源及び第2の電源と、を備えた画像形成装置において、前記現像ローラは、前記第1の電源のバイアスによって前記第1のバイアスが印加され、前記磁気ローラは、前記第1の電源のバイアスに前記第2の電源のバイアスを重畳することで前記第2のバイアスが印加されることを特徴としている。この構成によると、第1のバイアスに関わらず、現像ローラと磁気ローラ間の電位差が磁気ローラに印加する第2の電源の電圧に等しくなる。
【発明の効果】
【0015】
本発明によると、第1のバイアスが現像ローラに印加する第1の電源により設定され、第2のバイアスが磁気ローラに印加する第2の電源により設定され、互いのバイアスに影響を及ぼすことがない。そのために、第1のバイアスによる感光体への現像性、第2のバイアスによる現像ローラへのトナー薄層形成及び現像ローラ上の残トナーの回収をバランスさせるのに、各バイアスのデューティ比及び周波数を互いに独立して設定しても、現像ローラと磁気ローラ間のバイアス印加時間が短くなったり、またその矩形波の波形が乱れたりして、未現像トナーの回収及びトナー薄層の形成が不具合になるということがない。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】は、本発明の実施形態である画像形成装置の全体構成を示す概略図である。
【図2】は、本発明の実施形態である現像装置の構成を示す側面断面図である。
【図3】は、本発明の実施形態である現像装置の模式図である。
【図4】は、本発明の実施形態である現像装置の現像ローラと磁気ローラに印加する電源のバイアス波形を示した図である。
【図5】は、本発明の実施形態である現像装置の現像ローラと感光体及び現像ローラと磁気ローラのそれぞれへ形成される交流バイアスと直流バイアスを示した図である。
【図6】は、本発明の実施形態である現像装置のデューティ比に対する画像濃度を示す図である。
【図7】は、本発明の実施形態である現像装置のデューティ比に対する画像ムラを示す図である。
【図8】は、本発明の実施形態である現像装置の周波数に対する画像濃度を示す図である。
【図9】は、本発明の実施形態である現像装置の周波数に対する画像ムラを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下に本発明の実施形態について図面を参照して説明するが、本発明は、この実施形態に限定されない。本発明の実施形態は発明の最も好ましい形態を示すものであり、また発明の用途やここで示す用語等はこれに限定されるものではない。
【0018】
図1は、本発明の画像形成装置20の全体構成を示す概略図である。回転自在である感光体3a〜3dは、感光層を形成する感光材料としては、アモルファスシリコン感光体や有機感光体(OPC感光体)が用いられ、ブラック(B)、イエロー(Y)、シアン(C)及びマゼンタ(M)の各色に対応し、各感光体3a〜3dの周囲に、現像器11a〜11d、光学露光器12a〜12d、帯電器13a〜13d及び除電器14a〜14dが配置される。現像器11a〜11dは現像ローラと各色のトナーの収容容器とを有する。露光ユニット12は、パーソナルコンピュータ等から画像入力部(図示せず)に入力された原稿画像データに基づいて、光学露光器12a〜12dから感光体3a〜3d上にレーザビームを照射する。
【0019】
中間転写ベルト17がテンションローラ6、駆動ローラ25及び従動ローラ27に張架されており、中間転写ベルト17に接触するように各感光体3a〜3dが中間転写ベルト17の搬送方向(図1中矢印方向)に沿って上流側から隣り合うように対向して配列されている。各1次転写ローラ26a〜26dは、中間転写ベルト17を挟んで各感光体3a〜3dと対向して中間転写ベルト17に接触するよう配置されている。また、2次転写ローラ23は、中間転写ベルト17を挟んで駆動ローラ25と対向して中間転写ベルト17に接触するよう配置されている。また、クリーニングローラ24は、中間転写ベルト17を挟んで従動ローラ27と対向して中間転写ベルト17に接触するよう配置されている。
【0020】
また、中間転写ベルト17は、基材である弾性ベルトと、その表面に設けられたフッ素樹脂層と、弾性ベルトを挟んでフッ素樹脂層と反対側に設けられた補強用樹脂層とを有し、この補強用樹脂層により弾性ベルトの伸縮による転写ずれを有効に防止している。これに限らず中間転写ベルト17は、樹脂フィルム単層構造であってもよい。また、1次転写ローラ26a〜26dおよび2次転写ローラ23は発泡EPDM等の導電性ゴムから形成されている。また、クリーニングローラ24はローラの替わりにクリーニングブレードやクリーニングブラシ等を使用してもよい。
【0021】
画像形成開始操作がされると、各感光体3a〜3dは図1中反時計周りに回転し、各帯電器13a〜13dが各感光体3a〜3d表面を一様に帯電し、次いで各光学露光器12a〜12dが画像データに基づき各感光体3a〜3d表面に光を照射し、各感光体3a〜3d表面に静電潜像が形成される。次いで各現像器11a〜11dが有する現像ローラに印加された現像バイアス電圧により、各感光体3a〜3d表面に形成された静電潜像に各色トナーが付着し、トナー像が形成される。
【0022】
各感光体3a〜3d表面に形成された各色のトナー像は、1次転写バイアス電位(トナーの帯電極性と逆極性)を印加された1次転写ローラ26a〜26dにより、図1中矢印方向に搬送されている中間転写ベルト17に順次1次転写されて色重ねされ、中間転写ベルト17上にフルカラーのトナー像が形成される。
【0023】
用紙搬送部22は、給紙カセット21に積載された用紙Pを1枚ずつ繰り出し、搬送ローラ22a、22b、レジストローラ22c、22dが用紙Pを中間転写ベルト17と2次転写ローラ23の間に搬送する。そして、2次転写バイアス電位(トナーの帯電極性と逆極性)が印加された2次転写ローラ23により、中間転写ベルト17上に形成されたフルカラーのトナー像が用紙Pに2次転写される。
【0024】
フルカラーのトナー像が転写された用紙Pは、定着器18に搬送され、定着ローラにより加熱および加圧されてトナー像が用紙Pの表面に定着され、フルカラー画像が形成される。フルカラー画像が形成された用紙Pは、その後排出ローラ19a、19bによって装置本体外に排出される。
【0025】
各感光体3a〜3dから中間転写ベルト17に1次転写されずに残ったトナーがクリーニング装置によって除去されると共に、除電器14a〜14dが感光体3a〜3d表面に残った電荷を除電する。また、中間転写ベルト17から用紙Pに2次転写されずに残ったトナーは、クリーニングバイアス電位(トナーの帯電極性と逆極性)が印加されたクリーニングローラ24により除去され、次の画像形成に備えられる。
【0026】
図2は、上述の画像形成装置に用いられる現像装置の構成を示す側面断面図である。なお、以下の説明では、図1の感光体3aと相対する現像器11aの構成及び動作について説明するが、現像器11b〜11dの構成及び動作については同様であり説明を省略する。
【0027】
現像器11a内の第1、第2攪拌スクリュー31a、31bが図示しないトナーコンテナから供給されるトナーをキャリアと混合して撹拌することにより、トナーとキャリアを帯電させる。この帯電されたトナーとキャリアからなる現像剤によって磁気ローラ1上に磁気ブラシが形成され、この磁気ブラシが一定の層厚で現像ローラ2に接触し、磁気ローラ1と現像ローラ2間に形成されるバイアスにより現像ローラ2上にトナー薄層が形成される。現像ローラ2と感光体3間に形成されるバイアスにより現像ローラ2上のトナー薄層からトナーが感光体3に飛翔して、移送されたトナーが感光体3表面に形成された静電潜像に付着し、トナー像が形成される。現像ローラ2と感光体3間に形成されるバイアスを第1のバイアス、現像ローラ2と磁気ローラ1間に形成されるバイアスを第2のバイアスとする。
【0028】
図3の現像装置の模式図を用いて現像装置を以下に詳しく説明する。
【0029】
感光体3は、アモルファスシリコン(a−Si)感光体、有機感光体(OPC)などを用いることができる。感光体3の感光材料としてa−Si感光体を用いた場合、その表面の露光後電位が20V以下の非常に低いという特徴を有しているが、その膜厚を薄くすると飽和帯電電位が低下し、絶縁破壊に至る耐電圧が低下する。その一方で、潜像形成した時における感光体3の表面の電荷密度は向上し、現像性能は向上する傾向がある。この特性は、誘電率が約10程度と高いa−Si感光体では、膜厚を25μm以下、さらに好ましくは20μm以下とした場合に特に顕著である。感光体3として正帯電の有機感光体(OPC)を用いた場合、正帯電有機感光体(正OPC)は、オゾンなどの発生が少なくて帯電が安定しており、特に単層構造の正帯電有機感光体は、長期にわたる使用によって膜厚が変化した場合においても感光特性に変化が少なく、画質も安定するため長寿命のシステムには好適である。そして、正帯電有機感光体を長寿命のシステムに用いる場合、残留電位を100V以下にするため、感光層の膜厚を25μm以上に設定し、電荷発生材料の添加量を増やすことが特に重要である。特に単層構造のOPCは、感光層の中に電荷発生材を添加することから感光層の膜減りによっても感度変化が少なく、有利である。感光体3の周速を180mm/sec以上にすると、感光体3への帯電、露光、現像及び除電等のプロセス時間が短くなり、画像形成装置の印刷を高速にすることができるが、現像ニップ時間が短く、より現像性を高める必要があり、現像ローラ2へのトナー5の付着力を低減させることが重要となる。この対応は後述する。
【0030】
トナー5は、選択現像性を回避するために粒度分布を規定することが重要である。一般的にトナー5の粒度分布の広がりはマルチサイザーIII(ベックマン・コールター社製)、アパチャー径100μm(測定範囲2.0〜60μm)で測定され、粒度分布の広がりは、その体積分布平均粒径と個数分布平均粒径の比でもって表現される。選択現像を防止するためにはその比率を小さくすることが重要である。分布が広いと、連続印刷時に現像ローラ2に比較的粒度の小さなトナー5が堆積し、現像性を低下させる。また、高画質化においてトナー体積平均粒子径を小さくすることが一般的によく知られており、トナー体積平均粒子径を小さくするとファンデルワールス力の影響が強くなるために、現像ローラ2への付着力が増し、トナー5をキャリア4から引き離す、或いは現像ローラ2表面から引き剥がすことが困難となることが知られている。そこで、トナー5の体積平均粒子径Dtを4μm≦Dt≦7μmの範囲に規定すると良い。この範囲の下限に達しないと、付着力が強固過ぎるため、現像性及び現像ローラからのトナーの回収性において好ましくない。逆に、この範囲の上限を越えると、1ドットの再現性が困難となり、高画質を達成することが難しい。また、トナー5の個数粒度分布におけるCV値を25%以下に規定すると良い。この範囲超えると、粒子径の分布の広がりが大きく選択現像性が顕著になるため、好ましくない。個数粒度分布におけるCV値は22%以下であれば更に好ましい。
【0031】
キャリア4としては、マグネタイトキャリア、Mn系フェライト、Mn−Mg系フェライト、Cu−Zn系、樹脂中に磁性体を分散した樹脂キャリアなどを用いることができ、適正な抵抗値を上げない範囲で表面処理して用いることも可能である。このキャリア4は、現像ローラ2上の現像残トナーの回収とその後のトナー供給の役割を有し、体積固有抵抗率が106Ωcm〜1014Ωcmの範囲のキャリア4であれば、現像ローラ2と磁気ローラ1間のニップで強固に静電的に付着したトナー5を磁気ブラシ10で引き剥がし、現像に必要なトナー5を供給することができる。また、高画質化においてキャリア4の重量平均粒子径を小さくして、磁気ブラシ10の密度を大きくし現像ローラ2上のトナー薄層6を低層厚・高密度とすることで、高画質となるが、キャリア4の重量平均粒子径を小さくすると、キャリア4の保持力が弱まるために、現像ローラ2と磁気ローラ1間のバイアスを大きくするとキャリア飛びが発生してしまう。そこでキャリア4の重量平均粒子径Dcを25μm≦Dc≦45μmの範囲に規定すると良い。小粒子径のトナー5を用いるときには、キャリア4の重量平均粒子径Dcが45μm以下であることにより、現像ローラ2上のトナー薄層6を密に形成することができて、より高画質なり、キャリア4の重量平均粒子径Dcが25μm未満では、キャリア飛びが発生しやすくなり、好ましくはない。
【0032】
現像ローラ2は、磁気ブラシ10から供給されたトナー5によるトナー薄層6を担持して、トナー薄層6からトナー5を飛翔させて感光体3上の静電潜像を現像する。現像ローラ2の表面は、均一な導電性のアルミニウム、SUS、導電樹脂被覆などからなるスリーブで構成する。現像ローラ2をアルミニウムで形成する場合には、その表面を酸水溶液中で陽極酸化処理し酢酸ニッケル溶液で封孔処理した後に酸(硫酸)洗浄してフッ素微粒子又は/及びフッ素含有微粒子により表面処理すると良い。こうすることによりトナー付着性を低減させることができるために、現像ローラ2からトナー5が飛翔しやすくなって現像性を向上させ、また現像ローラ2から磁気ローラ1へのトナーの引き剥がし性(回収性)を向上させることができる。そして現像ローラ2のシャフト部には、第1の電源7を接続している。回転する現像ローラ2と感光体3との間には第1の電源7の直流と交流を重畳したバイアスが作用するようにして、感光体3上の潜像に対する現像性を高める。
【0033】
また現像ローラ2は、表面に樹脂コートを全面均一に塗布するとリークマージンを確保することができる。樹脂コートとしては、トナー5の離形性が良いフッ素樹脂やウレタン系樹脂を塗布することでより効果的であり、トナー5がプラス帯電性の場合は同極性であるウレタン系樹脂を使用することでより低い電圧で感光体3上に現像することが可能であり、膜厚20μm以下の薄膜のアモルファスシリコン感光体ドラムを用いた場合でも、リークを抑制することができ、感光体ドラムの黒点などの不具合を抑制することができる。また、現像ローラ2表面層に存在する抵抗層は、トナー5と同極性の帯電性を持つことが好ましい。例えば、現像ローラ2表面にフッ素樹脂を塗布した場合、トナー5がプラス極性を有する場合には逆極性であるので静電的な付着力が発生してしまう。そこで、絶縁層である中間層にトナー5と同極性の材料を使用することにより、トナー5との結着性を低下させることができる。現像ローラ2表面の固有抵抗値pvを105Ω・cm≦pv≦109Ω・cmにすると良い。この範囲に規定することにより、現像ローラ2上のトナー5が感光体3に飛翔しやすく、現像性が向上し、また現像ローラ2から磁気ローラ1へのトナー5の引き剥がし性(回収性)を良好にする。また現像ローラ2表面の算術平均粗さRaを0.4μm≦Ra≦1.5μmにすると良い。この範囲に規定することにより、現像ローラ2上へのトナー薄層6が密に形成され、画像ムラを抑制させることができ、またトナー5の現像ローラ2への付着性が低減するので、画像濃度の不良、ゴースト現象を抑制させることができる。算術表面粗さRaが0.4μm未満では、デューティ比を低めに設定した場合、トナー薄層6が密に形成されず、画像ムラが発生するおそれがあり、逆に算術表面粗さRaが1.5μmより大きいとトナー5との付着性が強まり、画像濃度不良、ゴースト現象が発生するおそれがある。
【0034】
磁気ローラ1は、非磁性金属材料で回転可能な円筒状に形成され、内部に複数の固定磁石が配設されて、その磁石によって現像剤に含まれるキャリア4による磁気ブラシ10を発生させ、磁気ブラシ10の層厚が規制ブレード9により規制されている。そしてそのシャフト部には、第1の電源7に加えて第2の電源8を接続している。現像ローラ2と磁気ローラ1との間に、現像ローラ2に接続した第1の電源7のバイアスとともに、磁気ローラ1に接続した第1の電源7と第2の電源8のバイアスが作用するようにして、現像ローラ2上へのトナー薄層6の形成及び現像ローラ2上の現像残トナーの磁気ローラ1への回収が行われる。トナー薄層6の厚みTは7μm≦T≦13μmにすると良い。トナー薄層6の厚みTをこの範囲に収めることにより、潜像を現像するときの現像ローラ2上に残留する未現像トナー量が低減するので、ゴースト現象及び画像ムラを抑制させることができる。
【0035】
連続印刷での画像濃度を安定させるためには、定期的に現像ローラ2からトナー5を磁気ローラ1に回収し、現像ローラ2の表面をリフレッシュしても良い。これは、磁気ローラ1を現像ローラ2に対して1倍超2倍以下の速度に設定すると、現像ローラ2上の現像残トナーは、磁気ローラ1上に形成された磁気ブラシ10が現像ローラ2上のトナー薄層6に接触することで、磁気ローラ1及び現像ローラ2の周速差で生じるブラシ効果で回収され、回収されたトナー5が攪拌スクリュー31aで撹拌されて、トナー5の入れ替えが促進される。この時、磁気ブラシ10の幅が、現像ローラ2上のトナー5を回収する幅であるために、現像ローラ2の幅を磁気ブラシ10の幅より短くすることにより、確実にトナー5の未回収領域をなくすことができる。そうすることにより、磁気ブラシ10領域外の現像ローラ2のスリーブに付着するトナー5がなくなり、現像ローラ2の両端部のトナー飛散をなくすことができる。
【0036】
現像ローラ2と磁気ローラ1に印加するバイアスについて、図3及び図4を用いて説明する。図4(a)は、第1の電源7から印加するバイアス波形であり、図4(b)は第2の電源8から印加するバイアス波形を示す図である。
【0037】
第1の電源7は、直流電源7aと交流電源7bを備え、直流電源7aの電圧がVdc1であり、交流電源7bのバイアスが図4(a)に示すように電圧V ac1で、(a1/(a1+a2))×100(以下、「a%」と記すことがある)のデューティ比の矩形波である。
【0038】
第2の電源8は、直流電源8aと交流電源8bを備え、直流電源8aの電圧がVdc2であり、交流電源8bのバイアスが図4(b)に示すように電圧V ac2で、(b1/(b1+b2))×100(以下、「b%」と記すことがある)のデューティ比の矩形波である。交流電源8bのバイアスは、第1の電源7の交流電源7bとは同周波数、逆位相であり、交流電源7bよりデューティ比が大きい。
【0039】
図3に示す現像ローラ2は、第1の電源7の直流電源7aに交流電源7bを重畳したバイアスが印加される。磁気ローラ1は、第1の電源7のバイアスに、第2の電源8の直流電源8aと交流電源8bのバイアスが重畳して印加される。これにより現像ローラ2と感光体3間及び現像ローラ2と磁気ローラ1間には、図5に示す各第1及び第2のバイアスのみが形成される。
【0040】
図5(a)は現像ローラ2と感光体3間に形成される第1のバイアスを示し、図5(b)は現像ローラ2と磁気ローラ1間に形成される第2のバイアスを示す。
【0041】
図5(a)に示す第1のバイアスは、その第1の直流バイアスの電圧Vdsが第1の電源7における直流電源7aの電圧Vdc1となり、第1の交流バイアスの電圧Vppが第1の電源7における交流電源の電圧Vac1であり、そのデューティ比D1が(a1/(a1+a2))×100であり、交流電源7bのバイアスのデューティ比に等しくなる。
【0042】
図5(b)に示す第2のバイアスは、現像ローラ2に印加したバイアスと磁気ローラ1に印加したバイアスの差分である。つまり第2の直流バイアスの電圧Vmag_dcが第2の電源8における直流電源7bの電圧Vdc2であり、第2の交流バイアスの電圧Vppが第2の電源8における交流電源の電圧Vac2であり、そのデューティ比D2が(b1/(b1+b2))×100であり、交流電源8bのバイアスのデューティ比に等しくなる。第1の交流バイアスと第2の交流バイアスとのデューティ比D1、D2の関係はD1>100−D2となる。
【0043】
次に、本発明の現像装置の動作について図3及び図5を用いて説明する。図3に示した帯電されたトナー5とキャリア4からなる現像剤によって磁気ローラ1上に磁気ブラシ10を形成し、磁気ブラシ10は規制ブレード9によって層規制され、図5(b)に示す第2の直流バイアスVmag_dcと第2の交流バイアスVpp、デューティ比(b1/(b1+b2))×100が印加されて、現像ローラ2にトナー5のみの薄層6を形成する。
【0044】
次に、露光されて感光体3上に形成された潜像は、図5(a)に示す第1の直流バイアスVdsと第1の交流バイアスVpp、デューティ比(a1/(a1+a2))×100が印加されて、感光体3へトナー5が飛翔して現像され、トナー像が感光体3上に形成される。このとき第1の交流バイアスは現像の直前に印加すると、トナー5が現像ローラ2の両端部から飛散することを防ぐことができる。そして、感光体3のトナー像が中間転写ベルトに1次転写され、中間転写ベルトに搬送された用紙にトナー像が2次転写されて、定着装置で定着されて排紙される。
【0045】
その後、図5(b)に示す第2の直流バイアスVmag_dcと第2の交流バイアスVpp、デューティ比(b1/(b1+b2))×100により現像ローラ2上の現像残トナーを剥ぎ取って磁気ローラ1に回収する。
【0046】
現像ローラ2には第1の電源7のバイアスを印加して、磁気ローラ1には第1の電源7のバイアスに第2の電源8のバイアスを重畳して印加しているために、現像ローラ2と磁気ローラ1間に形成される合成バイアス波形が第2の電源8のバイアスに等しくなり、現像ローラ2に印加する第1の電源8のバイアスによる影響を受けることがない。また現像ローラ2と感光体3間に形成される第1のバイアスも第2の電源8のバイアスによる影響を受けることなく、第1の電源7のバイアスのみで制御することになり、第1及び第2のバイアスは、互いに独立させて各バイアスの電圧とデューティ比を設定することができる。このために、現像ローラ2と感光体3間のバイアス電圧とともにデューティ比D1を大きく設定して現像性を向上させ、また現像ローラ2へのトナー薄層6の形成及び現像ローラ2からのトナー回収を良好に維持するように、現像ローラ2と磁気ローラ1間のバイアス電圧及びデューティ比を設定することができ、現像ローラ2と感光体3間及び現像ローラ2と磁気ローラ1間とのバイアスのバランスを容易に取ることができる。
【0047】
現像ローラ2と感光体3間における第1の交流バイアスのデューティ比D1を35%≦D1≦75%、好ましくは40%≦D1≦60%とすることで、トナーが感光体3側に移動させる電界の現像時間を増加させることになり、現像性が向上させることができる。デューティ比D1が35%未満であると、感光体3の周速が180mm/sec以上で、トナー体積平均粒子径が7.0μm以下の場合、現像性が不十分になり、十分な画像濃度を得ることが困難になり、また画像ムラが発生する恐れがある。逆にデューティ比D1が75%を超えると、感光体3上の静電潜像の非露光部(白紙部)にもトナー5が付着して、画像カブリが発生する恐れがある。また、デューティ比D1を上記のように規定して現像性が向上すると、小粒径トナーを用いることが可能になり、より高画質を達成することができ、また現像ローラ2から剥ぎ取るトナー量が減少し、更に現像ローラ2へのトナー付着性が低減しているために、電気的な剥ぎ取り力を低減させることができる。また飽和磁化が小さく小粒径のキャリア4を用いても、キャリア飛びが発生せず、剥ぎ取りが可能となる。また、小粒径トナーと小粒径キャリアを用いることで現像ローラ2上のトナー薄層6も均一となり一層高画質な画像を得ることができ、また画像ムラを抑制することができる。
【0048】
ここまでの実施形態では、現像ローラ2と感光体3間及び現像ローラ2と磁気ローラ1間の第1及び第2の交流バイアスの周波数を等しくしていたが、これに替えて、第1の交流バイアスの周波数f1と第2の交流バイアスの周波数f2とにおける関係を、f2>f1にすると、現像ローラ2へのトナー薄層6の形成を安定させることができ、またキャリア引きを抑制することができ、この範囲を超えると現像ローラ2上のトナー薄層6が減少する恐れがある。
【実施例】
【0049】
これまで述べた実施形態において、画像形成装置を下記に示す試験条件に設定して、現像ローラ2と感光体3間の第1のバイアスにおけるデューティ比D1と周波数f1を変化させて画像性能を評価した。
【0050】
感光体3はアモルファスシリコンドラムを用いその外径が30mm、現像ローラ2の外径が20mm及び磁気ローラ1の外径が25mmにして、それらの周速については感光体3が300mm/sec、現像ローラ2が450mm/sec及び磁気ローラ1が675mm/secである。現像ローラ2と磁気ローラ1間のギャップが350μmであり、現像ローラ2と磁気ローラ1間では、第2の交流バイアスの電圧Vppが1.8kV、周波数f2が4kHz、デューティ比D2が70%及び直流バイアスVmag_dcを100〜300Vの間で変えた。感光体3の暗電位は350V、その明電位は20Vに設定した。
【0051】
現像ローラ2と感光体3間では、第1の交流バイアスのデューティ比D1を30%、40%及び50%と変化させて、画像濃度と画像ムラの性能を評価した。なお、デューティ比D1を変化させる場合に第1の交流バイアスの最大交流バイアスVpp(max)と最小交流バイアスVpp(min)を維持させたままでもよいが、第1の交流バイアスのデューティ比D1を大きくしていくと、Vpp(min)の印加時間が短くなり非画像部のカブリが悪化する場合あるため、非画像部のカブリが一定になるようにデューティ比D1を変化させるにしたがって最大交流バイアスVpp(max)を一定に維持しながら、最小交流バイアスVpp(min)を可変させてもよい。
【0052】
デューティ比D1の変化に伴う画像濃度の変化を図6に示し、デューティ比D1の変化に伴う画像ムラの変化を図7に示す。図6は、横軸が直流バイアスVmag_dc、縦軸が100%網点面積率(600dpi)のベタ画像における画像濃度I.Dを示す。画像濃度I.Dは、ベタ画像をポータブル反射濃度計RD−19(サカタインクスエンジニアリング社製)で測定した反射濃度を示している。図7は、横軸が直流バイアスVmag_dc、縦軸が25%網点面積率(600dpi)のハーフトーン画像における画像ムラを示している。画像ムラAは、A=σD/Daにより算出した。算出の方法は、25%網点面積率(600dpi)のハーフトーン画像を、カラースキャナES8500(セイコーエプソン社製)を用いて3000dpiで取り込み、Dot Analyzer DA−6000(王子計測機器社製)を用いて輝度を測定した。測定した輝度Piを式Di=Log[(Pmax−Pi)/Pmin]により画像濃度に換算して、[数1]で画像上での画像濃度の平均値を算出し、[数2]で画像濃度の平均値に対する偏差を算出して、A=σD/Daを画像ムラ評価指数として評価した。なお、なおPmaxはベタ画像の輝度を示し、Pminは白紙の輝度示す。
【数1】


【数2】

【0053】
図6に示す結果では、直流バイアスVmag_dcを大きくすると現像ローラ2上のトナー薄層厚が厚くなっていくが、低トナー層厚でもデューティ比D1を30%、40%及び50%と可変させることでトナー層厚に関わらず画像濃度I.Dがほぼ一定であることを示している。図7に示す結果では、デューティ比D1を大きくすると画像ムラが向上し、デューティ比D1が40%及び50%では、直流バイアスVmag_dcの値に係らず、顕著に向上している。これは、Vmag_dcを大きくし現像ローラ2上に形成されるトナー薄層を厚くすることで画像ムラを低減することができるが、同時にトナー薄層が厚くなっていることにより磁気ローラ1による現像ローラ2上のトナーの回収が困難となるのに対し、Vmag_dcを小さくしトナー薄層を薄くすることで画像ムラが低減でき且つ、更に図6に示す結果と合わせて画像濃度I.Dを維持することが出来る。更に従来の方法ではデューティ比D1を大きくすると磁気ローラ1への回収性が低下していたが、デューティ比D1が磁気ローラ1への回収性に影響を及ぼさないため、ゴースト現象やトナー帯電の上昇による画像濃度不良も低減できることを示している。すなわち、第1の交流バイアスのデューティ比D1を大きくすると、画像濃度I.Dを維持しつつ画像ムラを抑制することができることを示し、第2の交流バイアスのデューティ比D2の70%に対して第1の交流バイアスのデューティ比D1が40%及び50%、つまりD1>100−D2の関係を満たすことにより、ゴースト現象やトナー帯電の上昇による画像濃度不良も低減できることを示している。
【0054】
次の評価では、現像ローラ2と感光体3間で第1の交流バイアスの周波数f1を3kHz、4kHz及び5kHzと変化させて、画像濃度と画像ムラの性能を評価した。試験条件は上記のデューティ比D1の変化に伴う評価と同じある。第1の交流バイアスにおける周波数f1の変化に伴う画像濃度の変化を図8に示し、周波数f1の変化に伴う画像ムラの変化を図9に示す。グラフの座標軸は図6及び図7と同じである。
【0055】
図8に示す結果では、周波数f1を5kHz、4kHz及び3kHzと小さくしていくと各バイアスVmag_dcにおいて画像濃度I.Dが高くなることを示している。図9示す測定結果では、周波数f1を5kHz、4kHz及び3kHzと小さくしていくと各バイアスVmag_dcにおいて画像ムラが向上することを示している。
【0056】
次の評価では、現像ローラ2と磁気ローラ1間で第2の交流バイアスの周波数f2を3kHz、4kHz及び5kHzと変化させて、キャリア引きを評価した。試験条件は、第1の交流バイアスの電圧Vppが1.6kV、周波数f1が3kHz、デューティ比D1が40%であり、直流バイアスVmag_dcを350〜500Vの間で変えた。他の試験条件は、上記のデューティ比D1の変化に伴う評価と同じある。
【0057】
評価結果を表1に示す。キャリア引きは、現像ローラ2にトナー薄層6を形成するときに、現像ローラ2上に付着して残るキュリアを磁石で採取しその重量を測定した。○は現像ローラ2上に残るキャリア4が30mg未満、△は同じくキャリア4が30mg以上で50mg未満及び×が同じく50mg以上を示す。
【表1】

【0058】
表1に示す結果から、直流バイアスVmag_dcを小さくするとキャリア引きが良好になり、また周波数f2を大きくしてもキャリア引きが良好になり、特に直流バイアスVmag_dcが350Vから400Vであると、周波数f2を4kHz及び5kHzと、第1の交流バイアスの周波数f1より大きくするとキャリア引きが良好になる。
【0059】
次の評価では、デューティ比D1、デューティ比D2及びトナー薄層6の厚みを変化させて、画像性能を評価した。試験条件については、感光体3はアモルファスシリコンドラムを用い、感光体径は30mm、現像ローラ径は20mm、磁気ローラ径は25mmで、各周速は、感光体3が300mm/sec、現像ローラ2が450mm/sec及び磁気ローラ1が675mm/secであり、現像ローラ2と磁気ローラ1間のギャップは350μmである。実施例1において、現像ローラ2と感光体3間の第1のバイアスは、第1の直流バイアスの電圧Vdsが300V、第1の交流バイアスの電圧Vppが1.6kV、周波数f1が2.7kHz、デューティ比D1が35%である。現像ローラ2と磁気ローラ1間の第2のバイアスは、第2の直流バイアスVmag_dcが400V、第2の交流バイアスが第1の交流バイアスと同周期で逆位相の電圧Vppが2.8kV、周波数f2が2.7kHz、デューティ比D2が70%である。トナー5は体積平均粒子径が6.5μm、個数分布のCV値が25%以下であり、キャリア4の重量平均粒子径は45μm、飽和磁化が65emu/gのものを用いた。なお、トナー薄層6の厚さは、トナー薄層6が形成された現像ローラ径とトナー薄層6が形成されていない現像ローラ径をLASER SCAN DIAMETER LS−3100(キーエンス社製)を用いて測定することにより算出した。
なお、実施例2〜6、比較例1、2において、デューティ比D1はVpp(max)が実施例1と等しくなるようにVpp及びVdcを適宜変更し、デューティ比D2はVpp(min)が実施例1と等しくなるようにVpp及びVdcを適宜変更したバイアスを印加した。また実施例7、8は実施例3、1のデューティ比D2のVpp(max)を適宜変更してトナー層厚を調整した。
【0060】
トナー薄層厚の変化に伴う画像性能の評価結果を表2に示す。表2の画像濃度IDでは○は画像濃度IDが1.3以上、×は1.3未満を示し、画像ムラの◎は画像ムラ評価係数が0.13未満、○が0.13以上で0.15未満、△が0.15以上で0.165未満、×が0.165以上を示す。ゴースト現象については、ゴースト現象評価画像を試験機から出力し、出力した画像を目視で評価した。○はゴースト現象がない、△はゴースト現象が僅かにある、×はゴースト現象が明らかにある、を示す。画像カブリについては、各現像条件において出力された画像のベタ部と白紙部をポータブル反射濃度計RD−19(サカタインクスエンジニアリング社製)を用いて測定し、○は0.005以下であり、×は0.005を超えることを示す。
【表2】

【0061】
表2に示す結果から、比較例1では画像ムラが発生し、比較例2では画像ムラが大きく、またゴースト現象が僅かに発生したが、実施例1から8では、画像濃度、画像ムラ、ゴースト現象及び画像カブリがすべて良好な画像性能であった。
【産業上の利用可能性】
【0062】
本発明は、複写機、プリンタ、ファクシミリ等の画像形成装置に利用することができ、特に磁性キャリアと非磁性トナーとを有する2成分現像剤を用いた現像装置を備えた画像形成装置に利用することができる。
【符号の説明】
【0063】
1 磁気ローラ
2 現像ローラ
3 感光体
4 キャリア
5 トナー
6 トナー薄層
7 第1の電源
7a、8a 直流電源
7b、8b 交流電源
8 第2の電源
9 規制ブレード
10 磁気ブラシ
11a〜11d 現像器
12a〜12d 光学露光器
13a〜13d 帯電器
14a〜14d 除電器
17 中間転写ベルト
18 定着器
19a、19b 排出ローラ
20 画像形成装置
31a、31b 攪拌スクリュー
P 用紙

【特許請求の範囲】
【請求項1】
潜像を形成する感光体に対向配置し、第1のバイアスによって前記感光体上に形成された潜像を現像する現像ローラと、キャリアとトナーとを有する2成分現像剤で磁気ブラシを形成し、第2のバイアスよって前記現像ローラにトナー薄層を形成する磁気ローラと、バイアスを印加する第1の電源及び第2の電源と、を備えた画像形成装置において、
前記現像ローラは、前記第1の電源のバイアスによって前記第1のバイアスが印加され、
前記磁気ローラは、前記第1の電源のバイアスに前記第2の電源のバイアスを重畳することで前記第2のバイアスが印加されることを特徴とする画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2012−177947(P2012−177947A)
【公開日】平成24年9月13日(2012.9.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−137154(P2012−137154)
【出願日】平成24年6月18日(2012.6.18)
【分割の表示】特願2007−72784(P2007−72784)の分割
【原出願日】平成19年3月20日(2007.3.20)
【出願人】(000006150)京セラドキュメントソリューションズ株式会社 (13,173)
【Fターム(参考)】