説明

画像形成装置

【課題】カラー画像形成装置において、単色画像形成時の高速化と安定化を図ることを課題とする。
【解決手段】感光体と、複数の画像形成ユニットとからなり、感光体が一方向に移動する環状構造の静電潜像担持体であり、1つの画像形成ユニットが、帯電ユニットと、感光体表面に静電潜像を形成する露光ユニットと、静電潜像に非接触で現像剤を供給することにより現像する1つ以上の現像ユニットとを備え、複数の画像形成ユニットによって形成された各単色画像を感光体表面上で重ね合わせた多色画像を生成する第1画像生成モードと、複数の画像形成ユニットのうち感光体の移動方向に対し最上流側以外の画像形成ユニットに属する現像ユニットAと、現像ユニットAが属する画像形成ユニットよりも上流側に配置される他の何れかの画像形成ユニットに属する帯電ユニットおよび露光ユニットを用いて単色画像を生成する第2画像生成モードとを有することを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子写真方式を採用する画像形成装置に関する。さらに詳しくは、1つの環状感光体周囲に複数の画像形成ユニットを配置し、感光体上に各色の静電潜像の色重ねを行って、カラー画像形成を行う画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、カラーインクジェット方式の画像形成装置の普及により、電子写真方式を利用したカラー画像形成装置においても、小型化・低価格化が求められている。
今日の一般的な電子写真方式でのカラー画像形成装置では、感光体ドラムと、その周囲に帯電、露光、現像、クリーニングの各工程を実行する画像形成ユニットとを3組以上並置し、各画像形成ユニットで形成した異なる色のトナー画像を、紙等の印字媒体もしくは中間転写媒体上に順次画像を重ねていく、いわゆるタンデム方式が主流となっている。
【0003】
この方式では各画像形成ユニットで作像した画像を逐次直接印字媒体上に重ねていくため、1パスでのカラー画像形成が可能であり、印字速度が速く、かつ高品位な画像を高い生産効率で得ることができる。
しかしながらタンデム方式では、3ないし4組以上の画像形成ユニットと、各画像形成ユニットで形成されたトナー像を重ねるための転写ベルトユニット、場合によっては印字媒体への2次転写ユニットも必要となるため、部品点数が多く、小型化、低コスト化に対して不利な点がある。
【0004】
一方、上記課題を解決するために、複数色の画像を1つの感光体上に直接重ねて形成し、これを一括して印字媒体に転写してカラー画像を形成する方式(IOI(Image on Image)方式)の画像形成装置も開発されている(特許文献1、2参照)。
IOI方式の装置では、感光体自身が従来のタンデム方式での感光体ドラムと転写ベルト機能を担うため、3ないし4本の感光体ドラムに相当する部分が省略化され、小型化、低価格化を達成することができる。
【0005】
IOI方式の感光体としては、ドラム状、ベルト状のいずれも使用可能である。
ドラム状の場合は、複数の現像装置を円筒体周囲に配置しなければならないため、各画像形成ユニットの形状を配置位置に適した構造とする必要があり、構成ユニットの共通化が難しい。さらに比較的大きな径のドラムを使用する必要があり、ドラム内部空間の体積が無駄になる場合がある。
【0006】
一方、ベルト状の感光体の場合は、帯電、露光、現像手段が配置される領域を略直線状に構成することが可能であり、各画像形成ユニットを共通設計することが容易である。さらにはベルト内周部の体積も必要最小限に構成することも容易であり、低コスト化や小型化に有利である。
【0007】
またIOI方式では感光体上で色重ねを行うため、現像工程での画像のかき乱しや混色を防止する必要があり、感光体と現像ローラを非接触状態にして現像を行う非接触現像方式が用いられる。
非接触現像方式としてはいくつかの技術が開発されている。例えば、トナーとキャリヤから成る2成分現像剤を用い、トナーとキャリヤの混合体を担持した現像ローラに直流電圧と交流電圧の重畳電圧を印加してトナーのみを飛翔させて現像を行うものがある。また、2成分現像剤からトナーのみを現像ローラ上に移動させて1成分のトナー薄層を形成し、現像ローラと感光体間にワイヤー電極を張架し、ワイヤー電極に交番電圧を印加することで現像ローラ上のトナーを飛翔させて現像を行うものがある。さらには、1成分現像剤を用いて、トナーを現像ローラ上に直接形成して、これを感光体と現像ローラ間に直流電界のみを印加して飛翔させて現像を行うもの(1成分DC非接触現像方式)などが開発されている。
【0008】
IOI方式においては、帯電、露光、および現像という一連の工程を実行する画像形成ユニットを、複数台連続して並列に配置すれば、1パスの画像形成工程でカラー画像形成が可能であり、タンデム方式と同等の生産効率を実現できる。
【0009】
また、1対の帯電および露光手段と、2つの現像装置からなる画像形成ユニットを2つ連続して配置すれば、2パスでフルカラー像を形成することもできる。この場合、フルカラー画像形成の生産効率は上記1パスに比べて半分になるが、感光体は1つで済み、かつ帯電および露光装置の数を半減できるため、大きく生産性を落とすことなく、安価にフルカラー画像装置を提供することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】特開平8−95335公報
【特許文献2】特開平10−69142公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
このような従来のIOI方式の画像形成装置においても、単色画像、例えばモノクロ画像の画像形成モードを設定することができる。この単色画像形成モードでは、一般に1パス方式と2パス方式のどちらも、同等の印字速度で画像形成が可能である。
例えば、黒色のみを使用するモノクロ画像形成モードでは、カラー印字時に比べて使用するトナー量が少なく、転写工程や定着工程での処理速度を増加させることが可能であるため、感光体の移動周速度(以下プロセス速度と記す。)を上げて高速印字処理を行うことができる。
【0012】
特に非接触の現像方式を用いて感光体上で直接像重ねを行う画像形成装置では、感光体と摺擦する部材が少なく、プロセス速度を容易に上げることが可能である。
しかしながらプロセス速度を上げた場合には、露光手段により感光体に静電潜像を形成した後、その感光体上の潜像形成位置が現像手段の位置に到達するまでの時間(以下、露光−現像時間と記す)が短くなる。
そのため、感光体の露光した部分の電位が十分に低下した安定状態で、現像を行うことが困難となり、安定した画像形成状態を得ることが困難になる。
これを回避するためには、露光手段と現像手段の距離を予め大きく設定して、両手段をできるだけ離して配置することが考えられる。しかし、両手段間の距離が長くなるため、装置本体が大型化するという問題がある。
【0013】
本発明は、上記のような課題を解決するためになされたものであり、装置の大型化やコストアップを招くことなく、IOI方式の画像形成装置の単色画像形成時における実質的な露光−現像時間を長くすることにより、単色画像形成の生産効率を高め、安定した画像形成を行うことが可能な画像形成装置を提供することを目的としたものである。
【課題を解決するための手段】
【0014】
この発明は、感光体と、前記感光体と非接触状態で対向配置される複数の画像形成ユニットとからなり、前記感光体が、一方向に移動する環状構造の静電潜像担持体であり、前記1つの画像形成ユニットが、前記感光体の表面を所定電位に帯電させる帯電ユニットと、前記帯電された感光体表面に光を照射することにより、感光体表面に静電潜像を形成する露光ユニットと、前記形成された静電潜像に、非接触で現像剤を供給することにより、その静電潜像を現像する少なくとも1つ以上の現像ユニットとを備え、前記複数の画像形成ユニットのそれぞれによって形成された単色画像を前記感光体表面上で重ね合わせた多色画像を生成する第1画像生成モードと、前記複数の画像形成ユニットのうち前記感光体の移動方向に対し最上流側に配置された画像形成ユニット以外の画像形成ユニットに属する現像ユニットAと、前記現像ユニットAが属する画像形成ユニットよりも上流側に配置される他の何れかの画像形成ユニットに属する帯電ユニットおよび露光ユニットとを用いて単色画像を生成する第2画像生成モードとを有することを特徴とする画像形成装置を提供する。
これによれば、単色画像を生成する第2画像生成モードにおいて、露光−現像間距離を比較的長くしているので、画像形成に必要な露光−現像時間を十分に確保することができ、感光体を移動させるプロセス速度を高速化しても、安定した画像形成ができる。
【0015】
また、前記第2画像生成モードは、黒色の単色画像を生成するための現像ユニットを用いることを特徴とする。
さらに、前記現像ユニットAは、前記感光体の移動方向に対し最下流側に配置されている画像形成ユニットに属することを特徴とする。
これによれば、黒色の単色画像を、高速かつ安定に生成することができる。
また、単色画像を生成するための現像ユニットを最下流に配置することにより、上流側に配置された複数の画像形成ユニットのうち、より適切な帯電ユニットと露光ユニットを選択することが可能となる。
【0016】
また、この発明は、前記複数の画像形成ユニットが、4つのユニットからなり、前記感光体の移動方向に対し上流側に配置される3つの画像形成ユニットが、それぞれイエロー、マゼンダおよびシアンのいずれか一色で互いに異なる単色画像を形成するための現像ユニットを有し、前記現像ユニットAは、前記感光体の移動方向に対し最下流に配置される画像形成ユニットに属し、黒色の単色画像を形成するための現像ユニットであることを特徴とする画像形成装置を提供する。
これによれば、カラー画像の生成を1パスで行うことができ、さらに、単色画像の生成をする場合に十分な露光−現像時間を確保できるので、単色画像形成の生産効率を高め、より高速かつ安定した画像生成ができる。
【0017】
また、この発明において、前記複数の画像形成ユニットが、前記感光体の移動方向に対し上流側に配置される第1の画像形成ユニットと、下流側に配置される第2の画像形成ユニットとからなり、前記第1の画像形成ユニットが、第1の帯電ユニットと、第1の露光ユニットと、イエロー、マゼンダおよびシアンのうち任意の2色の単色画像をそれぞれ形成する2つの現像ユニットとから構成され、前記第2の画像形成ユニットが、第2の帯電ユニットと、第2の露光ユニットと、前記第1の画像形成ユニットで形成されない残りの1色と、黒色の単色画像をそれぞれ形成する2つの現像ユニットとから構成されることを特徴とする画像形成装置を提供する。
これによれば、単色画像を生成する場合に、その生産性を高め、より高速かつ安定した画像形成ができる。また、カラー画像生成のために用いる帯電ユニットと露光ユニットの数を削減しているので、画像形成装置の低コスト化が可能となる。
【0018】
さらに、この発明において、前記複数の画像形成ユニットが、前記感光体の移動方向に対し上流側に配置される第1の画像形成ユニットと、下流側に配置される第2の画像形成ユニットとからなり、前記第1の画像形成ユニットが、第1の帯電ユニットと、第1の露光ユニットと、イエロー、マゼンダおよびシアンの3色の単色画像をそれぞれ形成する3つの現像ユニットとから構成され、前記第2の画像形成ユニットが、第2の帯電ユニットと、第2の露光ユニットと、黒色の単色画像を形成する1つの現像ユニットとから構成されることを特徴とする画像形成装置を提供する。
これによれば、単色画像を生成する場合に、その生産性を高め、より高速かつ安定した画像形成ができる。また、カラー画像生成のために用いる帯電ユニットと露光ユニットの数を削減しているので、画像形成装置の低コスト化が可能となる。
【0019】
また、前記第2画像生成モードで用いられる帯電ユニットは、その帯電ユニットが属する画像形成ユニット以外の画像形成ユニットに属する帯電ユニットよりも、帯電能力が高いことを特徴とする。
さらに、前記第2画像生成モードで用いられる帯電ユニットは、前記第1画像生成モードで用いられる場合よりも、前記第2画像生成モードで用いられる場合の方が、その帯電能力が高くなるように設定可能なことを特徴とする。
これによれば、単色画像を生成する場合において、帯電能力を高く設定することによって、プロセス速度を上げても、より安定した画像形成が可能となる。
【0020】
また、前記第2画像生成モードで用いられる露光ユニットは、前記第1画像生成モードで用いられる場合よりも、前記第2画像生成モードで用いられる場合の方が、その露光量が大きくなるように設定可能なことを特徴とする。
これによれば、単色画像を生成する場合において、露光量を高く設定することによって、プロセス速度を上げても、より安定した画像形成が可能となる。
【0021】
また、この発明において、前記感光体が、透明基体の一方の表面上に感光体層を形成した環状部材であり、前記複数の画像形成ユニットの各露光ユニットを前記感光体層が形成されていない感光体の裏面側に対向配置し、前記複数の画像形成ユニットの帯電ユニットおよび現像ユニットを、前記感光体層が形成された感光体の表面側に対向配置することを特徴とする画像形成装置を提供する。
これによれば、1つの画像形成ユニット内の帯電ユニットと現像ユニットとの距離を短くすることが可能となるので、画像形成装置の小型化と低コスト化ができる。
【0022】
さらに、前記感光体としては、有機感光体を用いる。
特に有機感光体を用いた場合において、単色画像生成時において、露光−現像時間を長くすることができるので、その単色画像形成の高速化と安定化が可能となる。
【発明の効果】
【0023】
この発明によれば、単色画像を生成する第2画像生成モードにおいて、使用する現像ユニットが属する画像形成ユニットよりも、感光体の移動方向に対し上流側に配置される他の画像形成ユニットに属する帯電ユニット及び露光ユニットを用いるので、感光体表面の露光を行う位置と現像を行う位置とを離すことができ、画像形成に必要な露光−現像時間を確保することが可能となり、感光体を移動させるプロセス速度を高速化しても、安定した単色画像の形成を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】この発明の画像形成装置の一実施例の概略断面図である。
【図2】この発明の現像装置の一実施例の概略構成図である。
【図3】この発明の1つの画像形成ユニットの一実施例の構成を示す概略説明図である。
【図4】この発明の感光体の光感度を示す特性図である。
【図5a】この発明の実施例1の画像形成装置の概略構成図である。
【図5b】この発明の実施例1の画像形成装置のモノクロ画像生成モードの説明図である。
【図6a】この発明の実施例2の画像形成装置の概略構成図である。
【図6b】この発明の実施例2の画像形成装置のモノクロ画像生成モードの説明図である。
【図7a】この発明の実施例3の画像形成装置の概略構成図である。
【図7b】この発明の実施例3の画像形成装置のモノクロ画像生成モードの説明図である。
【図8a】この発明の実施例4の画像形成装置の概略構成図である。
【図8b】この発明の実施例4の画像形成装置のモノクロ画像生成モードの説明図である。
【図9】この発明の帯電ユニットの一実施例の概略説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下添付図面を参照しながら,本発明の実施の形態について説明する。尚,以下の実施の形態は,本発明を具体化した一例であって,本発明の技術的範囲を限定するものではない。
【0026】
<この発明の画像形成装置の構成>
図1に、本発明の画像形成装置Zの一実施例の全体構成の概略断面図を示す。
図1において、本発明の画像形成装置Zは、主として、帯電ユニット34(34−1〜34−4)、露光ユニット33(33−1〜33−4)、現像ユニット(X1〜X4)、ベルト感光体30,転写ユニット36、定着ユニット38、クリーニングユニット37を備える。
【0027】
ここで、この発明の画像形成装置は、1つのベルト感光体30(単に、感光体とも呼ぶ)と、この感光体と非接触状態で対向配置される複数の画像形成ユニットとから構成される。
感光体30は、後述するように一方向に移動する環状構造の静電潜像担持体である。
1つの画像形成ユニットは、主として、帯電ユニット34と、露光ユニット33と、現像ユニットとを備え、所定の色の単色画像を感光体上に生成するものである。
【0028】
図1には、4つの画像形成ユニットを、感光体表面に対して並列配置したものを示している。この4つの画像形成ユニットを構成する各ユニットは、同一のものを用いることができるが、現像ユニットに収容されるトナーの色彩と材料が異なり、生成される画像の色が異なる。
また、図1では、1つの画像生成ユニットに、1つの現像ユニットを有するものを示しているが、1つに限定するものではなく、後述する実施例2や実施例3に示すように、1つの画像形成ユニットに2つ以上の現像ユニットを備えてもよい。
【0029】
また、画像形成装置Zは,印刷モードとしてコピアモード(複写モード),プリンタモード,FAXモードを有するものとし、不図示の操作部からの操作入力や,パーソナルコンピュータ等の外部ホスト装置からの印刷ジョブを受信することにより、所望の印刷モードが選択される。
【0030】
以下に,上記印刷モードのうち、コピアモードについて説明する。
従来のコピー機と同様に、ユーザが,原稿読み取り部上に原稿を載置し,給紙カセット或いは装置側面に設けられた手差しトレイに用紙を装着した後,装置の操作パネル上の条件入力キー(印刷枚数/印刷倍率等々)を入力し,操作パネルのスタートキーを操作すると、コピー動作が開始される。
【0031】
スタートキーが操作されると,メイン駆動モータが始動し,各駆動ギヤが回転する。その後,給紙ローラが回転して用紙が装置内へ送出(給紙)される。
【0032】
一方,原稿読み取り部においては,コピーランプが点灯し,コピーランプにより原稿に照射された照射光は,原稿の画像情報を含む反射光(原稿からの反射光)となり,該反射光は,ミラーや光学レンズを通過してCCDへ入力される。これにより、原稿の画像が読み取られる。
このようにして読み取られた画像情報は,CCDにおいて光信号から電気信号に変換される。その画像情報に対応する電気信号は,設定された所定条件に基づいて画像処理が行われて印刷データが生成され,露光ユニット33へ送信される。
【0033】
露光ユニット33は、読み取られた画像情報に対応した印刷データを反映したレーザ光を出射する装置であり、レーザスキャナユニット(LSU)とも呼ぶ。このレーザスキャナユニット33は、従来から用いられているものと同じものを用いてもよい。
帯電ユニット34は、ベルト感光体30の表面を負電位に帯電させるものである。
帯電ユニット34により帯電された感光体ベルト30の表面に、露光ユニット33から出射された光を照射することにより、感光体表面に静電潜像が形成される。
現像ユニット(X1からX4)は、帯電及び露光によってベルト感光体30の表面に形成された静電潜像に対して、非接触で現像剤を供給してその静電潜像を現像するものである。
【0034】
ベルト感光体30は、一方向に移動する環状構造の静電潜像担持体であって、その表面に静電潜像が形成されるものであり、環状のベルト形状の部材により構成される。
転写ユニット36は、ベルト感光体30の表面にある現像された画像を、用紙P上に転写するものである。
定着ユニット38は、用紙P上に転写された画像を定着させるものである。
【0035】
図1において、環状のベルト感光体30は、3本のローラ(R1,R2,R3)間で支持されており、不図示の駆動系によってこれらのローラを時計方向に回転して、感光体ベルト30を矢印の方向へと移動させている。
【0036】
ベルト感光体30の近傍には、感光体の移動方向に沿って並列に配置された複数の帯電ユニット34と、帯電ユニット34の下流側にレーザ光を照射する複数のレーザスキャナユニット(LSU)33が配置される。図1において、4つの露光ユニット33−1、−2、−3、−4、及び4つの帯電ユニット34−1、−2、−3、−4を示しているが、ここで、−1、−2、−3、−4は、それぞれイエロー、マゼンタ、シアン、ブラックの各色の画像を形成するユニットであることを示している。
【0037】
また、この発明の画像形成装置は、従来の装置と同様に、カラー印字モードと、モノクロ印字モードを有する。
カラー印字モードは、複数の画像形成ユニットのそれぞれによって形成された単色画像を、感光体表面上で重ね合わせた多色画像を生成するモードであり、第1画像生成モードに相当する。
【0038】
モノクロ印字モード(モノクロ画像生成モードとも呼ぶ)は、原則として、1つの画像形成ユニットに属する帯電ユニットと露光ユニットと現像ユニットとを用いて、単色画像を生成するモードである。
【0039】
ただし、この発明では、単色画像を生成するモードとして、複数の画像形成ユニットのうち、ベルト感光体の移動方向に対し最上流側に配置された画像形成ユニット以外の画像形成ユニットに属する現像ユニットAと、その現像ユニットAが属する画像形成ユニットよりも上流側に配置される他の何れかの画像形成ユニットに属する帯電ユニットおよび露光ユニットとを用いて単色画像を生成するモードを備える。これが第2画像生成モードに相当する。
【0040】
図1においては、ベルト感光体30は、時計回りの方向に回転しているので、4つの画像形成ユニットと対向する部分では、ベルト感光体30は下方向に移動している。
ここで、4つの画像形成ユニットのうち図1の最も上方に位置する画像形成ユニット(33−1,34−1,X1)が最上流側に配置された画像形成ユニットである。画像ユニット(33−4,34−4,X4)が最下流側のユニットである。上記した現像ユニットAは、最上流側に配置された画像形成ユニット以外の画像形成ユニットに属するものであるので、図1では、X1を除く3つの現像ユニット(X2,X3,X4)のうちいずれかの現像ユニットを意味する。
【0041】
また、第2画像生成モードで用いられる帯電ユニットと露光ユニットとしては、用いる現像ユニットAが決定されれば、その現像ユニットAが属する画像形成ユニットよりも上流側に配置される他の何れかの画像形成ユニットに属するものが選択される。
たとえば、現像ユニットAとして、図1のX4を用いる場合には、帯電および露光ユニットとしては、それよりも上流側の画像形成ユニットに属するもの(たとえば、34−1,33−1)が選択される。
また、現像ユニットX3を用いる場合は、たとえば、帯電ユニット34−2と露光ユニット33−2とを用いる。
【0042】
また、図1において、黒色の単色画像を生成するための現像ユニットが、感光体の移動方向に対し最下流側に配置されている画像形成ユニットに属する場合、第2画像生成モードで黒色の単色画像(即ちモノクロ画像)を生成するときは、現像ユニットAとして図1の現像ユニットX4を用いる。
このとき、黒色の単色画像を形成するために用いる帯電および露光ユニットとしては、最下流の画像形成ユニットに属するもの(34−4,33−4)は使用せず、他の画像形成ユニットに属するもの(たとえば、34−3,33−3)を用いる。
【0043】
画像形成装置のコピアモードでは、まず帯電工程が実行される。
感光体ベルト30は、感光体ベルトを支持するローラ(R1,R2)が回転することによって一方向に回転させられ、帯電ユニット34により,感光体ベルト30のその周面全体が所定の負の帯電電位に帯電される。帯電した感光体表面は,ローラの回転により次工程(露光及び現像)の位置へ移動させられる。
【0044】
次に,露光工程が実行される。
レーザスキャナユニット33では,回転方向に複数の反射面を有したポリゴンミラー(回転多面鏡)及び各種光学系により,そのユニット33内の半導体レーザから出射されたレーザ光が偏向されながら感光体ベルト30へ照射される。
照射されたレーザ光が帯電ユニット34により帯電した感光体ベルト上を走査することにより、感光体ベルト30上に所望の静電潜像が形成される。
【0045】
その後,現像工程が実行される。
ここでは、各現像ユニットX1、X2,X3,X4が備える現像槽61内の負の直流電位に印加された現像ローラ62により,所定の現像剤が感光体ベルト30の表面上に供給される。感光体ベルト30上の静電潜像は、現像剤に含まれるトナーによって顕像化(現像)される。
【0046】
次に、転写工程が実行される。
作像される用紙P(記録紙)は,感光体ベルト30の移動とタイミングを合わせて、感光体ベルトとの接触位置方向へ搬送され,転写ユニット36の転写ローラにより、感光体ベルト30上のトナーが用紙Pに転写される。感光体ベルト30上の残留したトナーはクリーニングユニット37内のクリーニングブレードによってかきとられ,クリーニングユニット37の内部に回収される。
【0047】
最後に、定着工程が実行される。
トナーの転写が終了した用紙Pは,定着ユニット38の加熱ローラと加圧ローラとの間を通過して,熱と圧力が加えられ,用紙上の未定着トナーが用紙Pに溶融・固着される。その後、排紙ローラにより排紙トレイに排出される。
【0048】
<この発明の現像装置の構成>
図2に,現像装置Xの概略構成断面図を示す。
現像装置Xは、主として、現像剤60を担持する現像剤担持体としての現像ローラ62と、現像剤を収容する現像槽61と、現像槽61の中で現像剤60を撹拌搬送する搬送部材63と、ドクターブレード68と、トナー供給ローラ66とを含む。それぞれ矢印で示す反時計方向に回転している。
現像剤担持体は、現像槽内で回転自在に設けられるアルミ製の現像ローラ62である。現像ローラ62は、図1のベルト感光体30を臨み、ベルト感光体30と現像ローラ62との間隙が一定になるように配置され、現像槽61本体のフレーム部に支持される。
【0049】
現像ローラに担持される現像剤としては、例えば非磁性の一成分トナーが用いられる。現像ローラ上流に設けられたトナー供給ローラ66は、その表面にトナーを吸着し、現像ローラ62上に一定量のトナーを供給する。
【0050】
現像ローラ62の上方には、前記一定量のトナー層を形成する為の現像剤規制部材であるドクターブレード68が設けられている。ドクターブレード68の一端にはブレードと一体化されたウレタンゴム67が装着され、もう一方の他端は固定用の板金71及び72によってブレードをはさみ、ビス73によって現像槽61本体に固定されている。
ドクターブレード68は薄く、ばね性を有した金属板金であり、このばね性によってウレタンゴム67を一定の圧力で、接触点p位置において現像ローラ62上に押圧している。
【0051】
ブレードの押圧の状態は以下に示す方法で調整した。
規制部であるゴム67と現像剤担持体との間に短冊状にカットしたPET製の部材の一端をはさんでおき、他端をテンションゲージに繋いで一定の速度で前記PET部材を引き抜いた時の引抜力で評価している。前記テンションゲージには、アイコーエンジニアリング(株)製RX-5 を使用している。本発明では、引抜力を 0.03〜0.05kgf/cm 程度となるよう調整した。なお、同じ測定方法で一般的な接触型の1成分現像装置(例えばシャープ製 ARC-262S)のブレード押圧を測定すると、0.1〜0.2kgf/cmであり、本発明のトナー層規制圧はかなりソフトな条件としている。
【0052】
これにより、現像ローラ62上に一定の帯電を有したトナー層が担持される。このように電荷を有したトナーが、現像ローラ62とベルト感光体30との電位差に応じて、現像ローラ62からベルト感光体30に供給されて静電潜像を現像し、ベルト感光体30上にトナー像を形成する。
【0053】
現像槽61は、たとえば硬質の合成樹脂などからなり、外観が略直方体形状を有する容器部材である。
撹拌搬送部材63は、主として回転軸の周囲に設けられた薄い樹脂(例えばPET)のらせん羽根を有し、現像槽内のトナーを撹拌しながら一方向に搬送する。
【0054】
トナー供給ローラ66は、芯金のまわりに円筒状のたとえば発泡ウレタンなどの多孔性弾性部材が設けられたものであり、この穴部にトナーを吸着させつつ、現像ローラを摺擦することでトナーを現像ローラに供給し、且つ現像後、現像ローラに残った余分のトナー層をクリーニングする役割も持つ。
【0055】
4つの現像装置X1〜X4は上記したような同一の構成を有するが、それぞれ異なる色彩のトナー(例えば、シアンC、マゼンダM,イエローY,ブラックK)を収容し、その色の現像を行う。ベルト感光体30が所定の速度で移動することにより、1パスで現像された各色の画像の色重ねが、感光体上で行われ、カラー画像が形成される。
【0056】
<この発明の画像形成装置の印字処理>
以下に、この発明のカラー印字と、特徴となる単色印字時の動作について、いくつかの実施例を説明する。
<実施例1>
図3に、図1における1つの画像形成ユニットの主要構成部分を拡大した説明図を示す。
ここでは、スコロトロン型の帯電ユニット34によってベルト感光体30表面を一様に帯電した後、レーザースキャナーユニット(LSU)33による露光により静電潜像を形成し、非接触の現像ユニットX1からトナー45をベルト感光体30に供給して静電潜像を現像し、トナー像を生成する。
【0057】
図3において、露光位置をE(露光ビーム32が感光体30に照射される位置)、現像位置をDとしたとき、E−D間距離を露光―現像間距離Lとする。ベルト感光体30の移動周速度をV(プロセス速度)としたとき、L/Vが露光―現像時間tとなり、感光体の光感度に適するように設定されている。
【0058】
図5aに、この実施例1の画像形成装置の概略構成図を示す。
図5aにおいて、4つの画像形成ユニットは、感光体30の移動方向に対し、上流側からイエロー、マゼンダ、シアン及びブラックの各色の単色画像をそれぞれ形成するため現像ユニットを有している。
【0059】
ただし、上流側に配置される3つの画像形成ユニットは、それぞれ、イエロー、マゼンダ、及びシアンの何れか一色で互いに異なる単色画像を形成する現像ユニットを有すればよく、現像色の順番は図の配置順序に限るものではない。
黒色については、感光体の移動方向に対し最下流に配置される画像形成ユニットに属する現像ユニットX4を用いればよい。
この実施例1では、4つの画像形成ユニットのそれぞれについて、いずれも露光―現像間距離Lは、例えば、15mmとする。
【0060】
図4に、感光体の光感度を表す特性グラフの一実施例を示す。縦軸が感光体の表面電位であり、横軸が時間である。
図4において、初期帯電電位をVo、所定の露光を行った後の電位をVLとしたとき、時間Aで露光を行い、表面電位がほぼVLに低下する時間Bまでの時間差(B−A)を表面電位の光減衰時間Δtとする。
この光減衰時間Δtよりも露光−現像時間(t=L/V)を大きく設定することにより、所望の露光電位となった状態で現像を行うことができ、安定した画像形成が可能となる。
【0061】
この実施例では、カラー画像形成時のプロセス速度Vを150mm/sとし、露光−現像間距離を15mmとし、露光−現像時間t(=L/V)を100msとする。
さらに、一実施例として、初期帯電電位Voを−900V、露光電位VLを−50Vとし、現像電位を−900V、現像ギャップを150μmとする。
ここでは、露光時の光減衰時間△tが約70msの有機感光体を用いた場合を示している。
【0062】
また、この発明では、有機感光体に使用が好適である。有機感光体は近年の電子写真装置に広く用いられており、低コストである。しかしながら有機感光体は、フォトキャリアの移動度が小さく、光照射後に帯電電位が減衰するまでの時間が長いという特性を有しており、露光―現像時間が短いと露光電位が十分に下がらないという問題がある。
しかし、この発明の場合、後述するように、露光−現像時間を比較的長くすることができるので、有機感光体を用いたとしても、安定した高速の画像形成が可能である。
【0063】
有機感光体としては、以下のものが挙げられる。
有機感光体は、主として電荷発生層と、電荷輸送層とから構成される。
電荷発生層は、電荷発生物質と結着剤とから形成され、電荷輸送層は、電荷輸送物質と結着剤とから形成される。
電荷発生物質としては、たとえばペリレンイミドやペリレン酸無水物などのペリレン系顔料、キナクリドンやアントラキノンなどの多環キノン系顔料、金属および無金属フタロシアニンやハロゲン化無金属フタロシアニンなどのフタロシアニン系顔料、スクエアリウム色素、アズレニウム色素、チアピリリウム色素、およびカルバゾール骨格、スチリルスチルベン骨格、トリフェニルアミン骨格、ジベンゾチオフェン骨格、オキサジアゾール骨格、フルオレノン骨格、ビススチルベン骨格、ジスチリルオキサジアゾール骨格またはジスチリルカルバゾール骨格を有するアゾ顔料が挙げられる。特に高い電荷発生能を有する顔料としては、無金属フタロシアニン顔料、オキソチタニルフタロシアニン顔料、フローレン環およびフルオレノン環を含有するビスアゾ顔料、芳香族アミンから成るビスアゾ顔料およびトリスアゾ顔料が挙げられ、高い感度を有する感光体を提供することができる。
【0064】
また、電荷発生層の結着剤としては、たとえばメラミン樹脂、エポキシ樹脂、シリコン樹脂、ポリウレタン樹脂、アクリル樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合樹脂、ポリカーボネイト樹脂、フェノキシ樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、ポリアリレート樹脂、ポリアミド樹脂およびポリエステル樹脂が挙げられる。
【0065】
また、電荷輸送物質としては、たとえばポリ−N−ビニルカルバゾールおよびその誘導体、ポリ−γ−カルバゾリルエチルグルタメートおよびその誘導体、ピレン−ホルムアルデヒド縮合物およびその誘導体、ポリビニルピレン、ポリビニルフェナントレン、オキサゾール誘導体、オキサジアゾール誘導体、イミダゾール誘導体、9−(p−ジエチルアミノスチリル)アントラセン、1,1−ビス(4−ジベンジルアミノフェニル)プロパン、スチリルアントラセン、スチリルピラゾリン、ピラゾリン誘導体、フェニルヒドラゾン類、ヒドラゾン誘導体、トリフェニルアミン系化合物、トリフェニルメタン系化合物、スチルベン系化合物、および3−メチル−2−ベンゾチアゾリン環を有するアジン化合物などの電子供与性物質、あるいはフルオレノン誘導体、ジベンゾチオフェン誘導体、インデノチオフェン誘導体、フェナンスレンキノン誘導体、インデノピリジン誘導体、チオキサントン誘導体、ベンゾ[c]シンノリン誘導体、フェナジンオキサイド誘導体、テトラシアノエチレン、テトラシアノキノジメタン、ブロマニル、クロラニル、およびベンゾキノンなどの電子受容性物質が挙げられる。
【0066】
電荷輸送層の結着剤としては、電荷輸送物質と相溶性を有するものであればよく、たとえばポリカーボネイトおよび共重合ポリカーボネイト、ポリアリレート、ポリビニルブチラール、ポリアミド、ポリエステル、ポリケトン、エポキシ樹脂、ポリウレタン、ポリビニルケトン、ポリスチレン、ポリアクリルアミド、フェノール樹脂、フェノキシ樹脂、ポリスルホン樹脂およびこれらの共重合樹脂が挙げられる。これらを単独または2種以上混合して用いても構わない。特に、ポリスチレン、ポリカーボネイトおよび共重合ポリカーボネイト、ポリアリレートおよびポリエステルは、体積抵抗率が1013Ω以上あり、また成膜性および電位特性に優れているので、好ましい。
【0067】
また必要に応じて下引き層を設けてもよい。下引き層としては、ポリアミド、共重合ナイロン、ポリビニルアルコール、ポリウレタン、ポリエステル、エポキシ、フェノール樹脂、カゼイン、セルロースおよびゼラチンなどの樹脂を用いることができ、特にアルコール可溶性の共重合ナイロンが多く用いられる。また必要に応じて、特に下引き層の体積抵抗率の設定、低温/低湿環境下での繰返しエージング特性の改善などを目的として、酸化亜鉛、酸化チタン、酸化錫、酸化インジウム、シリカおよび酸化アンチモンなどの無機顔料を分散含有させてもよい。
カラー画像形成時においては、光減衰時間△tよりも露光−現像時間(L/V)が長く設定されているので、安定した露光電位となった状態で現像を行うことができる。
【0068】
次に、モノクロ単色画像を生成する場合には、図5aの最下流側のブラック用現像ユニットX4を用いる。モノクロ印字では、プロセス速度Vを250mm/sとする。モノクロ印字では、他の現像ユニット(X1〜X3)は使用しないので、印字速度をカラー印字よりも増加させても画像の安定化が可能である。感光体の表面電位、現像電位はカラー印字時と同様に設定すればよい。
ただし、プロセス速度が増加したことに対応するため、帯電電位や現像電位差を増加させてもよい。
【0069】
ブラック用の画像形成ユニットの露光ユニット33−4と現像ユニットX4との露光−現像間距離Lをたとえば15mmとした場合、露光−現像時間L/Vは60ms(=15/250)となる。従って、ブラック用の画像形成ユニットのみを用いて単色印字をした場合は、時間L/Vは感光体の光減衰時間Δt(=70ms)よりも短くなってしまうので、安定した画像形成を行うことができない。
【0070】
そこで、この実施例1のモノクロ画像生成モードでは、図5bに示すように、ブラック用の画像形成ユニットの上流側に配置されたシアン用画像形成ユニットの帯電ユニット34−3と露光ユニット33−3とを用いて、静電潜像を形成するようにする。
この場合、シアン用の露光ユニット33−3による露光位置と、ブラック用現像ユニットX4の現像位置までの距離は約65mmであり、この距離が実質的な露光―現像間距離Lとなり、露光−現像時間(L/V)は260ms(=65/250)となる。よって感光体の光減衰時間(Δt=70ms)に比べて、露光−現像時間(L/V)は十分長いので、安定した露光電位となった状態で現像を行うことができる。
【0071】
なお、この実施例1では、最下流側のブラック用の画像形成ユニットの現像ユニットX4を使用し、隣接する上流側のシアン用画像形成ユニットの帯電ユニット34−3および露光ユニット33−3を用いて単色印字を行う構成としているが、これに限定されるものではなく、その他の組み合わせを用いてもよい。例えば、最上流のイエロー用の帯電ユニット34−1と露光ユニット33−1を用いてもよい。
【0072】
また単色印字での印字速度アップに対応するため、単色印字時に使用する帯電ユニットとして、以下の特徴を有するものを用いてもよい。
たとえば、帯電ユニットとして、図9に示すようなスコロトロン型の帯電装置を用いてもよい。これは、感光体と非接触状態で使用でき、感光体上のトナー像を乱すことなく、かつ所望の電位に安定して帯電できるので、IOI方式の帯電装置として好ましい。
【0073】
図9において、シールドケース41はステンレスやメッキ処理した鉄板等の金属板を略コの字に折り曲げた形状であり、例えば、幅Wは約12mm、高さHも約12mmのものを用いることができる。シールドケース41内部には、直径50〜100μm程度で、タングステン等の材料からなる放電用ワイヤー電極42が配置される。シールドケース41の開口部にはグリッド43が配置される。グリッド43はメッシュ状パターンを金属板のエッチング加工で形成したものを用い、例えば、メッシュ部分の幅Gは約10mmとする。これ以外のパターンも適用可能であり、エッチング以外の方法として、金属線をロウ付けしたものや、打ち抜き加工したものなども用いることができる。
【0074】
実施例1では、シールドケース41とグリッド43とを絶縁体支持部材46に取り付け、シールドケース41と、グリッド43とが電気的に同電位となるように接続する。また、放電ワイヤー電極42には、例えば、約−4〜7kVの高電圧を印加し、シールドケース41とグリッド43には−500〜−1500Vの電圧を印加する。
このような電圧印加により、図3に示したように、感光体帯電のためのイオン流44が発生し、帯電が行われる。
【0075】
さらに、第2画像生成モードにおいて単色印字をする場合は、高速プロセスでの帯電を行なう必要があるため、単位時間当たりの電荷供給能力を高める必要があるので、単色印字に用いる帯電ユニットは、その帯電ユニットが属する画像形成ユニット以外の画像形成ユニットに属する帯電ユニットよりも、帯電能力が高い方が好ましい。
あるいは、単色印字に用いる帯電ユニットは、帯電能力の可変機構を有し、第1画像生成モード(カラー印字)で用いられる場合よりも第2画像生成モードで用いられる場合の方が、その帯電能力が高くなるように設定変更できるようにすることが好ましい。
単色印字時の帯電能力が高くなるようにするためには、たとえば、グリッド電極幅Gを大きく設定したり、ワイヤー電極42の数を増やした帯電装置を用いればよい。
【0076】
また、露光ユニットとして、最大露光量を設定可能なものを用いることにより、適切な露光量を選択できるようにしてもよい。
たとえば、第2画像生成モードで用いられる露光ユニットは、露光量調整機構を有し、第1画像生成モード(カラー印字)で用いられる場合よりも第2画像生成モード(モノクロ印字)で用いられる場合の方が、その露光量が大きくなるように設定変更できるようにすることが好ましい。
これにより、さらに安定した高速の単色画像形成を行うことができる。
【0077】
<実施例2>
ここでは、2パスタイプの画像形成装置の一実施例について説明する。
図6aに、2パス型のIOI方式の画像形成装置の一実施例の概略構成図を示す。
この実施例2の画像形成装置は、イエローとマゼンタのそれぞれの単色画像を形成する現像ユニット(X1,X2)を有し、1対の帯電ユニット34−1および露光ユニット33−1を有する第1の画像形成ユニットと、その下流側に配置され、シアンとブラックのそれぞれの単色画像を形成する現像ユニット(X3,X4)と、1対の帯電ユニット34−3および露光ユニット33−3とを有する第2の画像形成ユニットとから構成される。
【0078】
この装置でカラー画像を形成するためには、2回の画像形成工程を実行する。
まず1回目の画像形成工程として、第1画像形成ユニットではイエロー色の画像を感光体30上に形成し、その後イエロー色の画像と重なり合うように第2画像形成ユニットでシアン色の画像の形成を行う。この第1回目の工程では、転写ユニットおよびクリーニングユニットは、感光体から離間した状態となっている。
【0079】
次に、2回目の画像形成工程として、上記2色の形成画像と重なり合うように、第1画像形成ユニットでマゼンタ画像を重ね、次いで第2画像形成ユニットでブラック画像を重ねて、フルカラー化した画像を感光体30上に形成する。
2回目の画像形成工程の際は、クリーニングユニット37を感光体30に当接させ、未転写トナーを回収する。その後、転写ユニット36で記録紙P上に一括転写し、定着ユニット38でトナー像を紙面に固定化する。
【0080】
また、この2パス型の画像形成装置において、モノクロ画像を形成する場合は、図6bに示すように、上流側の第1画像形成ユニットの帯電ユニット34−1と露光ユニット33−1とを用い、ブラック用の現像ユニットX4を用いる。
これにより、露光−現像間距離がかなり長くなり、十分な露光−現像時間を確保できるので、単色印字を行う場合に、高速化した条件であっても、安定した露光状態で画像形成を行うことができる。
【0081】
<実施例3>
ここでは、3パスタイプの画像形成装置の一実施例について説明する。
図7aに、3パス型のIOI方式の画像形成装置の一実施例の概略構成図を示す。
この実施例3の画像形成装置は、イエロー、マゼンタおよびシアンの3色の単色画像をそれぞれ形成する3つの現像ユニット(X1,X2,X3)を有し、1対の帯電ユニット34−1および露光ユニット33−1を有する第1の画像形成ユニットと、その下流側に配置され、ブラックの単色画像を形成する1つの現像ユニットX4と、1対の帯電ユニット34−4および露光ユニット33−4とを有する第2の画像形成ユニットとから構成される。
【0082】
この装置のカラー画像形成は、3回の画像形成工程を実行する。
まず1回目の画像形成工程として、第1画像形成ユニットで、イエローの画像をベルト感光体30上に形成する。
次に、2回目の画像形成工程では、第1画像形成ユニットでマゼンタ色の画像を、イエロー画像上に重ねて、感光体30上に形成する。
ここで、1回目と2回目の画像形成工程では、転写ユニットおよびクリーニングユニットは、感光体から離間した状態となっている。
【0083】
さらに、3回目の画像形成工程として、上記2色の形成画像と重なり合うように、第1画像形成ユニットでシアン色の画像を重ね、次いで第2画像形成ユニットでブラックの画像を重ねてフルカラー化した画像を感光体上に形成する。
3回目の画像形成工程の際は、クリーニングユニット37は感光体30に当接させ、未転写トナーを回収する。
その後、転写ユニット36で記録紙P上に一括転写し、定着ユニット38でトナー像を紙面に固定化する。
【0084】
この3パス型の画像形成装置において、モノクロ画像を形成する場合は、図7bに示すように、上流側の第1画像形成ユニットの帯電ユニット34−1および露光ユニット33−1を用い、ブラック用の現像ユニットX4を用いる。
これにより、露光−現像間距離がかなり長くなり、十分な露光−現像時間を確保できるので、単色印字を行う場合に、高速化した条件であっても、安定した露光電位を保持して画像形成を行うことが可能となる。
【0085】
<実施例4>
ここでは、露光ユニットの配置を変更し、背面露光を行う画像形成装置について説明する。これにより、画像形成装置の小型化が可能となる。
図8aに、実施例4における画像形成装置の一実施例の概略構成図を示す。
この実施例4では、図1などに示した装置と比べて、ベルト感光体30の構成と、露光ユニット33の配置が異なる。
【0086】
静電潜像担持体であるベルト感光体30は、透明基体の一方の表面上に感光体層を形成した環状部材である。透明基体としては、たとえば、PET(ポリエチレンテレフタレート)フィルムやPMMA(ポリメタクリル酸メチル)等のアクリル樹脂フィルムなどを用いることができる。
感光体層は、帯電ユニットと現像ユニットが配置されている表面側(図8aではベルト感光体の外側表面)に設ける。
また、4つの画像形成ユニットの各露光ユニット33(33−1〜33−4)は、感光体層が形成されていないベルト感光体30の裏面側(図8aではベルト感光体の内側表面)に対向配置し、ベルト感光体30に光を照射できるようにする。
4つの画像形成ユニットの帯電ユニット(34−1〜34−4)と現像ユニット(X1〜X4)は、実施例1などと同様に、感光体層が形成された感光体の表面側に対向配置すればよい。ただし、両ユニットの間に、露光ユニット33が配置されないので、帯電ユニットと現像ユニットとをより近接するように配置してもよい。これにより、各画像形成装置の紙面の上下方向の長さを、短くすることができる。
【0087】
露光ユニット33としてはLEDヘッドなどを用いることができる。
図8aのような構成にすることで、感光体内部空間を有効に利用でき、感光体表面側の帯電ユニットと現像ユニットも近接して配置可能となるため、装置の小型化や低コスト化が可能となる。
【0088】
この実施例4では、露光―現像間距離Lを、実施例1の図3や図5などよりも短くし、例えば約12mmにすることができる。このとき、カラー画像形成時において、プロセス速度Vを150mm/sとした場合、露光−現像時間(L/V)は80ms(=12/150)となる。
実施例1に示したように感光体の光減衰時間Δtは70msであるので、たとえこの距離Lを短くしたとしても、露光−現像時間(L/V)をΔtよりも大きくなるようにすれば、所望の露光電位を得て、安定した画像形成を行うことができる。
【0089】
また、単色印字では、実施例1と同様に、プロセス速度Vを250mm/sとする。
このとき、図8bに示すように、現像ユニットとして最下流のユニットX4を用い、隣接する上流側の画像形成ユニットの帯電ユニット34−3と露光ユニット33−3とを用いる。この場合、露光−現像間距離Lは、例えば52mmとすることができる。
この実施例4の構成では、実施例1に比べ、帯電ユニットと現像ユニットとの間隔が短くなっているので、単色印刷の場合の実質的な露光―現像間距離Lも短くなる。
しかし、距離Lが短くなっても露光―現像時間(L/V)は208ms(=52/250)となり、感光体の光減衰時間(Δt=70)に比べ、十分余裕を持った大きな数値であるので、安定した高速画像形成を行うことができる。
即ち、実施例4の画像形成装置においては、装置の小型化と、低コスト化と、単色印字の場合においては、安定かつ高速の画像形成が可能である。
【符号の説明】
【0090】
30 ベルト感光体
32 露光ビーム
33 露光ユニット(レーザスキャナユニットLSU)
34 帯電ユニット
36 転写ユニット
37 クリーニングユニット
38 定着ユニット
41 シールドケース
42 ワイヤー電極
43 グリッド
44 イオン流
45 トナー
46 絶縁体支持部材
60 現像剤
61 現像槽
62 現像ローラ
63 搬送部材
66 トナー供給ローラ
68 ドクターブレード
VO 初期帯電電位
VL 露光後電位
D 現像位置
E 露光位置
L 露光−現像間距離
V プロセス速度
X1 イエロー用現像ユニット
X2 マゼンダ用現像ユニット
X3 シアン用現像ユニット
X4 ブラック用現像ユニット

【特許請求の範囲】
【請求項1】
感光体と、前記感光体と非接触状態で対向配置される複数の画像形成ユニットとからなり、
前記感光体が、一方向に移動する環状構造の静電潜像担持体であり、
前記1つの画像形成ユニットが、
前記感光体の表面を所定電位に帯電させる帯電ユニットと、前記帯電された感光体表面に光を照射することにより、感光体表面に静電潜像を形成する露光ユニットと、前記形成された静電潜像に、非接触で現像剤を供給することにより、その静電潜像を現像する少なくとも1つ以上の現像ユニットとを備え、
前記複数の画像形成ユニットのそれぞれによって形成された単色画像を前記感光体表面上で重ね合わせた多色画像を生成する第1画像生成モードと、
前記複数の画像形成ユニットのうち前記感光体の移動方向に対し最上流側に配置された画像形成ユニット以外の画像形成ユニットに属する現像ユニットAと、前記現像ユニットAが属する画像形成ユニットよりも上流側に配置される他の何れかの画像形成ユニットに属する帯電ユニットおよび露光ユニットとを用いて単色画像を生成する第2画像生成モードとを有することを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記第2画像生成モードは、黒色の単色画像を生成するための現像ユニットを用いることを特徴とする請求項1記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記現像ユニットAは、前記感光体の移動方向に対し最下流側に配置されている画像形成ユニットに属することを特徴とする請求項1または2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記複数の画像形成ユニットは、4つのユニットからなり、
前記感光体の移動方向に対し上流側に配置される3つの画像形成ユニットは、それぞれイエロー、マゼンダおよびシアンのいずれか一色で互いに異なる単色画像を形成するための現像ユニットを有し、
前記現像ユニットAは、前記感光体の移動方向に対し最下流に配置される画像形成ユニットに属し、黒色の単色画像を形成するための現像ユニットであることを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記複数の画像形成ユニットは、前記感光体の移動方向に対し上流側に配置される第1の画像形成ユニットと、下流側に配置される第2の画像形成ユニットとからなり、
前記第1の画像形成ユニットは、第1の帯電ユニットと、第1の露光ユニットと、イエロー、マゼンダおよびシアンのうち任意の2色の単色画像をそれぞれ形成する2つの現像ユニットとから構成され、
前記第2の画像形成ユニットは、第2の帯電ユニットと、第2の露光ユニットと、前記第1の画像形成ユニットで形成されない残りの1色と、黒色の単色画像をそれぞれ形成する2つの現像ユニットとから構成されることを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記複数の画像形成ユニットは、前記感光体の移動方向に対し上流側に配置される第1の画像形成ユニットと、下流側に配置される第2の画像形成ユニットとからなり、
前記第1の画像形成ユニットは、第1の帯電ユニットと、第1の露光ユニットと、イエロー、マゼンダおよびシアンの3色の単色画像をそれぞれ形成する3つの現像ユニットとから構成され、
前記第2の画像形成ユニットは、第2の帯電ユニットと、第2の露光ユニットと、黒色の単色画像を形成する1つの現像ユニットとから構成されることを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載の画像形成装置。
【請求項7】
前記第2画像生成モードで用いられる帯電ユニットは、
その帯電ユニットが属する画像形成ユニット以外の画像形成ユニットに属する帯電ユニットよりも、帯電能力が高いことを特徴とする請求項1ないし6のいずれかに記載の画像形成装置。
【請求項8】
前記第2画像生成モードで用いられる帯電ユニットは、
前記第1画像生成モードで用いられる場合よりも、前記第2画像生成モードで用いられる場合の方が、その帯電能力が高くなるように設定可能なことを特徴とする請求項1ないし7のいずれかに記載の画像形成装置。
【請求項9】
前記第2画像生成モードで用いられる露光ユニットは、
前記第1画像生成モードで用いられる場合よりも、前記第2画像生成モードで用いられる場合の方が、その露光量が大きくなるように設定可能なことを特徴とする請求項1ないし8のいずれかに記載の画像形成装置。
【請求項10】
前記感光体は、透明基体の一方の表面上に感光体層を形成した環状部材であり、
前記複数の画像形成ユニットの各露光ユニットを前記感光体層が形成されていない感光体の裏面側に対向配置し、
前記複数の画像形成ユニットの帯電ユニットおよび現像ユニットを、前記感光体層が形成された感光体の表面側に対向配置することを特徴とする請求項1ないし9のいずれかに記載の画像形成装置。
【請求項11】
前記感光体は、有機感光体を用いることを特徴とする請求項1ないし10のいずれかに記載の画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5a】
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【図5b】
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【図6a】
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【図6b】
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【図7a】
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【図7b】
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【図8a】
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【図8b】
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【図9】
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【公開番号】特開2012−234134(P2012−234134A)
【公開日】平成24年11月29日(2012.11.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−104587(P2011−104587)
【出願日】平成23年5月9日(2011.5.9)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】