画像形成装置
【課題】省スペース、かつシンプルな構成で効率よく透過部材上の異物を清掃することが可能な画像形成装置を提供する。
【解決手段】感光体ドラム1と、感光体ドラム1に光照射をするための開口部80を有し、前記開口部80に光が透過するカバーガラス34を備えたレーザスキャナ3と、レーザスキャナ3の開口部80から感光体ドラム1に照射される光の光路を遮る閉鎖位置と開放する開放位置とに移動可能なレーザシャッタ35と、カバーガラス34を清掃する清掃部材61と、を有する画像形成装置であって、清掃部材61は、レーザシャッタ35に沿って移動可能なようにレーザシャッタ35に支持されており、レーザシャッタ35が閉鎖位置にあるとき、清掃部材61がレーザシャッタ35に沿って移動することによりカバーガラス34を清掃することを特徴とする。
【解決手段】感光体ドラム1と、感光体ドラム1に光照射をするための開口部80を有し、前記開口部80に光が透過するカバーガラス34を備えたレーザスキャナ3と、レーザスキャナ3の開口部80から感光体ドラム1に照射される光の光路を遮る閉鎖位置と開放する開放位置とに移動可能なレーザシャッタ35と、カバーガラス34を清掃する清掃部材61と、を有する画像形成装置であって、清掃部材61は、レーザシャッタ35に沿って移動可能なようにレーザシャッタ35に支持されており、レーザシャッタ35が閉鎖位置にあるとき、清掃部材61がレーザシャッタ35に沿って移動することによりカバーガラス34を清掃することを特徴とする。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は複写機、プリンタ、ファクシミリ等の画像形成装置に関し、特に光学ユニットの光照射開口部に設けた透過部材を清掃可能な画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
レーザビームプリンタや複写機等の画像形成装置は、像担持体である感光体ドラムに画信号に応じたレーザ光を照射して静電潜像を形成し、この静電潜像をトナーによって現像して可視像化する。このような画像形成装置は、動作中にレーザ光が外部に漏出しないように、開閉可能な開閉カバーを有する本体カバーによって覆っている。
【0003】
しかし、プロセスカートリッジ等の消耗品の交換や、操作上紙詰まりを除去する場合、あるいは保守点検の際など、メインスイッチの入力中に開閉カバーを開けることがある。特にレーザ光の場合は、開閉カバーが開いた状態において、インターロックスイッチが誤作動してもレーザ光が装置外に漏れないようにする必要がある。
【0004】
そこで、レーザシャッタ装置が用いられている。レーザシャッタ装置はレーザ光学走査装置又はそれを用いた画像形成装置内に配置され、感光体ドラムを含むプロセスカートリッジの着脱や、その際開閉される画像形成装置の開閉カバーの開閉動作に連動してシャッタが動作するように構成されている。すなわち、レーザシャッタ装置は、ユーザ、サービスマンがプロセスカートリッジの着脱、紙詰まりの処理等の目的で画像形成装置の開閉カバーを開けたときに、レーザ光の光路を遮ることで、ユーザがレーザ光にさらされるのを防ぐためのものである。
【0005】
例えば、特許文献1に開示されているように、レーザ光を反射する折り返しミラーの全長を覆う形状のレーザシャッタを回動可能に取り付け、プロセスカートリッジの着脱や紙詰まりを除去する時に開閉する開閉カバーに連動して前記レーザシャッタを回動させて折り返しミラーに至るレーザ光路を遮断するようにしたものがある。
【0006】
一方、近年の電子写真方式の画像形成装置は、現像剤としてトナーを使用するため、画像形成装置内でトナーが飛散し、塵や埃が浮遊することがある。画像形成装置の露光手段であるレーザスキャナは、トナー、塵、埃等を嫌うため、レーザスキャナ内部へトナー、塵、埃等が侵入しないように、その内部を密閉状態としている。
【0007】
画像形成装置は、レーザスキャナから出射されるレーザ光が通過する開口部を有している。この開口部からトナー、塵、埃等がレーザスキャナ内部へ侵入するのを防止することを目的として、開口部にレーザ光が通過可能なカバーガラスを取り付けている。
【0008】
このような構成から、プロセスカートリッジ内の現像器から落下・浮遊するトナー、塵、埃がレーザ光の光路内に侵入し、カバーガラスに付着して光路を遮ることで、印字画像の濃度低下や画像の欠落が発生することがあった。よって、濃度低下や画像の欠落を防止するためには、カバーガラス上にトナーや塵、埃等が付着しない構成、もしくは付着したものを清掃する構成が必要となる。
【0009】
そこで、ユーザやサービスマンが画像形成装置内部にアクセスし、カバーガラスを柔らかい布等でクリーニングを行うことされていた。しかし、カバーガラスのエリアはその面積が小さい上に、カバーガラス表面を傷つけないようにクリーニングしなければならなかったため、非常にやりにくく、確実にクリーニングすることに苦労していた。
【0010】
この課題を解決するために、特許文献2に開示されているように、防塵ガラスに付着したトナー、塵、埃等を除去できるクリーニング構成が提案されている。具体的には、ユーザやサービスマンが光走査装置に備わっている清掃部材を防塵ガラスに沿ってスライドさせることで、防塵ガラスに付着したトナー、塵、埃等を除去することができる構成を実現している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】特開平11−337859号
【特許文献2】特開2005−246901号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
近年、タンデム型カラー画像形成装置は小型化、高速出力化が進み、画像形成の主要な要素をコンパクトに配置、構成することが重要なテーマとなっている。特に、複数の感光体ドラム、複数のレーザ光を使用するタンデム式カラー画像形成装置においては、各色の画像形成部が必要になり、画像形成部をいかにコンパクト設計を行うかが課題であった。
【0013】
当然タンデム式カラー画像形成装置では、ユーザ保護のためのレーザシャッタ装置も複数必要になり、機構が複雑になってしまう。また、レーザシャッタ機構を配置するスペースが感光体ドラムとレーザスキャナの間に必要となり、作像エリアの各要素の配置自由度が失われ、装置の小型化の障害になってしまっていた。
【0014】
また、特許文献2に示すように、清掃部材をスライドさせて防塵ガラスを清掃する構成では、清掃時にスライドさせた清掃部材を防塵ガラスの一方側端であって、レーザ光の照射領域外に位置させておく。
【0015】
しかし、清掃部材をスライドさせる場合、これをガイドするための部材が必要となり、これを構成するために部品点数の増加及びスペースが必要となっていた。
【0016】
本発明は上記点に鑑みてなされたものであり、その目的は、省スペース、かつシンプルな構成で効率よく透過部材上の異物を清掃することが可能な画像形成装置を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0017】
上記課題を解決するための本発明における代表的な手段は、トナー像を担持する回転可能な像担持体と、前記像担持体に光照射をするための開口部を有し、前記開口部に光が透過する透過部材を備えた光学ユニットと、前記光学ユニットの開口部から前記像担持体に照射される光の光路を遮る閉鎖位置と開放する開放位置とに移動可能な光シャッタ部材と、前記透過部材を清掃する清掃部材と、を有する画像形成装置であって、前記清掃部材は、前記光シャッタ部材に沿って移動可能なように前記光シャッタ部材に支持されており、前記光シャッタ部材が該閉鎖位置にあるとき、前記清掃部材が前記光シャッタ部材に沿って移動することにより前記透過部材を清掃することを特徴とする。
【発明の効果】
【0018】
本発明にあっては、清掃部材が光シャッタ部材に沿って移動するために、清掃部材の動きをガイドする専用の部材が不要となり、限られたスペースの中で光シャッタ機能、清掃機能を構成できるようになる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】多色画像形成装置の実施形態を示す断面図である。
【図2】プロセスカートリッジの着脱、シートカセットの装着説明図である。
【図3】レーザシャッタと清掃部材の断面説明図である。
【図4】レーザシャッタの枢着部分の断面説明図である。
【図5】レーザシャッタが閉鎖位置にあるときの説明図である。
【図6】スライダーの付勢構成説明図である。
【図7】レーザシャッタが開放位置にあるときの説明図である。
【図8】画像形成装置を左側面側からみた断面図である。
【図9】プロセスカートリッジの挿入と清掃部材のスライド状態を示す説明図である。
【図10】プロセスカートリッジの挿入状態説明図である。
【図11】プロセスカートリッジの引き抜きと清掃部材のスライド状態を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
次に本発明の一実施形態に係る画像形成装置について、図面を参照して具体的に説明する。
【0021】
〔第1実施形態〕
図1は第1実施形態に係る画像形成装置の一態様であるカラーレーザプリンタ100の全体構成を示す縦断面図である。まず、画像形成装置の全体構成について概略説明する。
【0022】
[画像形成装置の全体構成]
図1に示すカラーレーザプリンタ100は、第1から第4画像形成部を構成する4個のプロセスカートリッジ7(7a,7b,7c,7d)が装着されている。各画像形成部は、順にイエロー、マゼンタ、シアン、ブラックの各色画像を形成するものであり、トナーの色が異なる以外は同じ構成である。そこで、図1に示した符号a,b,c,dはそれぞれ、イエロー、マゼンタ、シアン、ブラックの各画像形成部に対応した部材を示すが、以下の説明では、特に色を区別する必要がない場合には、符号a,b,c,dは省略する。
【0023】
各プロセスカートリッジ7は像担持体としての感光体ドラム1を備えており、感光体ドラム1の周囲には、その回転方向に従って順に、帯電手段としての帯電手段2、現像ユニット4、クリーニング手段8が一体的にカートリッジ化されて画像形成装置本体に着脱可能に装着されている。
【0024】
プロセスカートリッジ7は現像手段となる現像ユニット4とクリーナユニット5で構成されている。現像ユニット4は、現像ローラ24と、現像剤塗布ローラ25、及びトナー容器を有している。クリーナユニット5は、感光体ドラム1と、帯電ローラ2と、クリーニング手段となるドラムクリーニングブレード8及び廃トナー容器とを有している。
【0025】
また、プロセスカートリッジ7の上方には、感光体ドラム1に当接して回転可能な中間転写ベルトユニット30が配置され、プロセスカートリッジ7の下方には光学ユニットとしてのレーザスキャナ3が配置されている。
【0026】
像担持体としての感光体ドラム1は、アルミニウム製シリンダの外周面に有機光導伝体層(OPC)を塗布して構成したものであり、その両端部をフランジによって回転自在に支持されている。そして、一方の端部に駆動モータ(不図示)から駆動力を伝達することにより、図1の矢印に示す時計回り方向に回転駆動される。
【0027】
帯電手段2は、ローラ状に形成された導電性ローラで、このローラを感光体ドラム1表面に当接させるとともに、電源(不図示)によって帯電バイアス電圧を印加することにより、感光体ドラム1表面を一様に帯電させるものである。
【0028】
レーザスキャナ3は、プロセスカートリッジ7の鉛直下方に配置され、画像信号に基づく露光を各感光体ドラム1に対して行う。
【0029】
現像ユニット4a,4b,4c,4dは、それぞれイエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)の各色のトナーを収納したトナー収納部、感光体表面に隣接し、駆動部(不図示)により回転駆動されると共に、現像バイアス電源(不図示)により現像バイアス電圧を印加することにより現像を行う現像ローラ等から構成される。
【0030】
上述の構成により,感光体ドラム1は、帯電ローラ2によって所定の負極性の電位に帯電された後、レーザスキャナ3によってそれぞれ静電潜像が形成される。この静電潜像は現像ユニット4によって反転現像されて負極性のトナーが付着され、それぞれY、M、C、Kのトナー像が形成される。
【0031】
中間転写ベルトユニット30は、中間転写ベルト12eが駆動ローラ12f、テンションローラ12gに張架されており、該テンションローラ12gが矢印E方向に張力をかけている。また、各感光体ドラム1に対向して、中間転写ベルト12eの内側に一次転写ローラ12が配設されており、バイアス印加手段(不図示)により転写バイアスを印加する構成となっている。
【0032】
感光体ドラム1上に形成されたトナー像は、各感光体ドラム1が図1の矢印方向に回転し、中間転写ベルト12eが矢印F方向に回転し、さらに一次転写ローラ12に正極性のバイアスを印加することにより、感光体ドラム1a上のトナー像から順次、中間転写ベルト12e上に一次転写される。そして、4色のトナー像が重なった状態で二次転写部15まで搬送される。
【0033】
給送装置13は、シートSを収納するシートカセット11内からシートSを給送する給送ローラ9と、給送されたシートSを搬送する搬送ローラ対10とを有している。
【0034】
シートカセット11は、図1中本体手前方向へ引き抜くことができるよう構成されており、ユーザはシートカセット11を引き抜き、装置本体から取り外した後、シートSをセットし装置本体へ挿入することでシート補給が完了する。
【0035】
シートカセット11に収納されたシートSは、給送ローラ9に圧接され、分離パッド23によって一枚ずつ分離され(摩擦片分離方式)搬送される。
【0036】
そして、給送装置13から搬送されたシートSはレジストローラ対17によって二次転写部15に搬送される。
【0037】
二次転写部15において、二次転写ローラ16に正極性のバイアスを印加することにより、搬送されたシートSに、中間転写ベルト12e上の4色のトナー像を二次転写する。
【0038】
トナー像が転写されたシートは定着手段である定着部14において、熱及び圧力が印加されてトナー像が定着され、排出ローラ対20によって排出トレイ21に排出される。
【0039】
一方、トナー像転写後に、感光体ドラム1表面に残ったトナーは、クリーニングブレード8によって除去され、除去されたトナーはクリーナユニット5内の廃トナー容器に回収される。
【0040】
また、シートSへの二次転写後に中間転写ベルト12e上に残ったトナーは、転写ベルトクリーニング装置22によって除去され、除去されたトナーは、廃トナー搬送路(不図示)を通過し、装置奥面部に配置された廃トナー回収容器(不図示)へと回収される。
【0041】
[プロセスカートリッジの着脱構成]
次にカラーレーザプリンタ100におけるプロセスカートリッジ7の着脱構成について説明する。図2は第1実施形態に係る画像形成装置における、プロセスカートリッジ7の着脱方法、シートカセット11の着脱方法を示した斜視図である。
【0042】
カラーレーザプリンタ100においては、シートカセット11へのシートの補給、プロセスカートリッジ7の着脱、プリントされたシートの回収は、装置正面側から操作可能となっている。また、プロセスカートリッジ7の着脱は、感光体ドラム1の回転軸方向、かつ装置本体正面側に着脱できる構成となっている。
【0043】
図2に示すように、装置本体内にはカートリッジ装着部60が形成され、プロセスカートリッジ7の挿入、抜き取りをガイドするガイド部が設けられている。プロセスカートリッジ7の着脱は、開閉カバー(図示せず)を開き、前記ガイド部に沿わせてプロセスカートリッジ7を感光体ドラムの長手方向に挿抜することによって行う。
【0044】
図3に示すように、ガイド部33はプロセスカートリッジ7の下部をガイドするガイドレールとして構成されている。このガイド部33は、プロセスカートリッジ7とレーザスキャナ3を仕切る仕切り板31に設けられ、プロセスカートリッジ7に一体的に形成された挿入リブ18をガイドする溝が形成されている。また、ガイド部33はカートリッジ挿入方向の奥側端部が他の部分よりも上方へ湾曲している(図10参照)。このため、後述するようにガイド部33に沿わせてプロセスカートリッジ7を挿入すると、挿入終期には下から上へ僅かに移動するように装着される。
【0045】
[レーザシャッタと清掃部材]
次に、図3を用いてプロセスカートリッジ7、レーザシャッタ35、及び清掃部材61について説明をする。
【0046】
本実施形態のレーザスキャナ3は、プロセスカートリッジ7の下方に配置され、上方に位置する感光体ドラム1に光照射するために、ユニット上部であって感光体ドラム1の長手方向に細長い開口部80が設けられている。ユニット上部に設けられた開口部80からレーザスキャナ3の内部に塵、埃、トナー等が落下し易いため、この開口部80には光が透過する透過部材であるカバーガラス34が取り付けられ、開口部80を塞いで密閉している。ここで、カバーガラス34は、長尺形状であり、感光体ドラム1に向けて出射された光を透過するために感光体ドラム1の回転軸方向と長尺状のカバーガラス34の長手方向が略一致するように配置されている。
【0047】
また、カバーガラス34の直上にはレーザ光を遮る位置に、黒色のABS樹脂で成形された光シャッタ部材であるレーザシャッタ35が配置されている。このレーザシャッタ35はカバーガラス34を覆うように細長形状に形成され、レーザスキャナ3から感光体ドラム1に照射される光の光路を遮る位置(閉鎖位置)と開放する位置(開放位置)とに移動可能となっている。図3に示すように、レーザシャッタ35が閉鎖位置にあるときは、カバーガラス34を透過したレーザ光はレーザシャッタ35で遮られ、感光体ドラム1に照射されることはない。
【0048】
そして、このレーザシャッタ35は、弾性部材で構成され、弾性変形可能に構成されている。本実施形態ではレーザシャッタ35をABS樹脂で構成している。
【0049】
また、レーザシャッタ35には、その外周を囲うような形態でカバーガラス34を清掃するための清掃部材61が嵌められている。清掃部材61は主にベース部材62、拭き取り部材64で構成されている。本実施形態のベース部材62は、約20mm程度の長さのABS樹脂で形成されたものであり、レーザシャッタ35の長手方向にスライド移動自在にレーザシャッタ35によって支持されている。そして、清掃部材61がレーザシャッタ35にガイドされて長尺状のカバーガラス34の長手方向に移動することでカバーガラス34を拭き取り可能となっている。
【0050】
清掃部材61のベース部材62上部にはタブ63が一体的に形成されている。このタブ63は、プロセスカートリッジ7を着脱する際、プロセスカートリッジ7の一部と係合するものであり、これによりプロセスカートリッジの挿抜動作に連動して清掃部材61がレーザシャッタ35の長手方向に沿ってスライドする。
【0051】
ベース部材62の下面部には、拭き取り部材64が貼り付けられている。本実施形態の拭き取り部材64は、厚さ2mm、硬度100N前後の発泡ウレタンと厚さ1.5mmのポリエステル不織布とを溶着処理で接着したものを用いている。図3に示すように、プロセスカートリッジ7が装着された状態においては、拭き取り部材64のポリエステル不織布とカバーガラス34とは離間した位置に配置されている。
【0052】
(レーザシャッタの支持構成)
次にレーザシャッタ35の支持方法について、図4、図5を用いて説明する。図4は図3と同様にカラーレーザプリンタ100を正面側からみた部分断面図であり、図5は装置上方よりみた断面図である。
【0053】
図5に示すように、レーザシャッタ35はリンク部材によって開放位置と閉鎖位置とに移動可能となっている。具体的には、レーザシャッタ35の長手方向両端部は、その下方に配置されたリンク部材を構成する揺動アーム38,39によって支持されている。前記揺動アーム38,39は揺動支点ボス42,43を中心に回動可能であって、回動端部側が軸部によりレーザシャッタ35の両端部と枢着されている。
【0054】
また、図4に示すように、レーザシャッタ35と揺動アーム38,39の間には、レーザシャッタ35をカバーガラス34と離れる方向へ付勢するような圧縮バネ65が取り付けられている。つまりレーザシャッタ35は、図4の上方へ付勢されており、揺動アーム38,39の軸端部に取り付けられたEリング66によって抜け方向に規制されて位置決めされている。
【0055】
(レーザシャッタの開閉機構)
次に、レーザシャッタ35開閉機構について図5乃至図7を用いて説明する。図5はレーザシャッタ35がレーザ光路を遮る閉鎖位置に配置された状態を示している。図5中の破線部は、レーザシャッタ35でその上方を覆われたカバーガラス34の位置を示している。
【0056】
図5に示すように、レーザシャッタ35の長手方向両端部には丸穴36,37が設けられており、前述した揺動アーム38,39に設けられた円筒状のボス40,41が丸穴36,37に嵌り込むことで、レーザシャッタ35は揺動自在に支持されている。また、揺動アーム38,39には、その下面に揺動支点ボス42,43を一体的に形成している。揺動支点ボス42,43は、前述した仕切り板31に設けられた穴(不図示)に嵌り込み、このボスを中心に回動自在に支持されている。このような構成とすることでレーザシャッタ35は、装置本体に固定されたレーザスキャナ上のカバーガラス34に対して、リンク部材を介して移動可能に構成されていることになる。
【0057】
レーザシャッタ35の左端部には、前述した清掃部材61が支持されている。清掃部材61はプロセスカートリッジ7の装着により、カバーガラス34の表面を摺擦しながらレーザシャッタ35の右側から左側へ移動してきた状態となっている。
【0058】
また、揺動アーム38の上面には、前記揺動支点ボス42を挟んでボス40の反対側の端部に円筒状の係合ボス44が一体的に形成されている。そして、前記係合ボス44が揺動アーム38の上部に配置されたスライダー45に形成された異形穴46に係合している。
【0059】
スライダー45は、その動作を規制するよう、仕切り板31の一部を曲げ起こし形成されたガイド47,48によって、図5の上下方向の移動が規制され、且つ左右方向にスライド可能に取り付けられている。また、スライダー45の長手方向一方側端部は、装置本体の前側板49に設けられた規制穴(不図示)を貫通し、装置本体前面側に飛び出すよう配置されている。さらに、スライダーの中央部に形成された開口穴50の端部には凸形状部51が形成され、この凸形状部51に圧縮バネ52の右端が嵌められている。
【0060】
図6はスライダー45と圧縮バネ52を装置左側面から矢視した断面図である。図6に示すように、圧縮バネ52の左端は仕切り板31の一部を曲げ起こして形成されたバネ支持形状部53に嵌められている。従って、スライダー45は圧縮バネ52のバネ圧によって、図6の右方向に付勢されていることになる。そして、スライダー45は、その側面に段形状部54を有しており(図5)、その段形状部54が前側板49に突き当たることによって静止している。
【0061】
次に、レーザシャッタ35の開閉動作について説明する。図7は画像形成可能な状態、つまり、装置の開閉カバーである前ドア26が閉められ、レーザシャッタ35がレーザ光の光路から退避した開放位置にある状態を示している。
【0062】
スライダー45がスライドすると、異形穴46に嵌っている係合ボス44が移動する。例えば、図7に示すように、前ドア26が閉じられると前ドア26の内面に形成された凸形状部27がスライダー45の端部を押し込む。これにより、スライダー45が矢印A方向にスライドすると、係合ボス44が異形穴46に沿って移動する。そのため、揺動アーム38は揺動支点ボス42を中心に図7の矢印B方向に回転することになる。その結果、円筒状ボス40に枢支されたレーザシャッタ35は図7の位置に移動することになる。また、レーザシャッタ35を支持する他方の揺動アーム39は、レーザシャッタ35の動きに従い揺動支点ボス43を中心に矢印C方向に回転する。
【0063】
上記のように、前ドア26が閉じられるとレーザシャッタ35は、カバーガラス34の直上から退避し、レーザスキャナ3から出射されるレーザ光は感光体ドラム1に照射可能となる。
【0064】
図7の状態から前ドア26が開けられると、スライダー45の端部は凸形状部27による押圧がなくなるために、圧縮バネ52の付勢力によって図中右方向にスライドする。このスライドによって異形穴46に嵌っている係合ボス44が移動させられ、揺動アーム38,39が前記矢印B、C方向の逆方向に回転してレーザシャッタ35が移動し、図5の状態になる。これにより、レーザシャッタ35はカバーガラス34の直上に移動してレーザ光の光路を遮る閉鎖位置になる。
【0065】
図8はカラーレーザプリンタ100の左側面側からみた断面図である。図8中右側(装置正面側)には、前ドア26が設けられている。前ドア26は、装置のカバーであると同時に、プロセスカートリッジ7を着脱する際に開閉するドアである。前ドア26は、その下部に設けられた支点軸28を中心にして装置本体に回転自在に支持されている。一方、その上部ではラッチ(不図示)により、装置本体に引掛けられている。
【0066】
ユーザは、プロセスカートリッジ7を交換する際、把手29をつかみ、手前に引っ張ることで前ドア26を開けることができる。前ドア26が開けられると、前述したようにスライダー45が図8の右側へスライド移動してレーザシャッタ35が閉鎖位置に移動する。
【0067】
上記のように、プロセスカートリッジ7を着脱するために前ドア26を開くと、レーザシャッタ35がカバーガラス34の直上に配置されるため、着脱時の衝撃によって浮遊、落下する塵、埃、トナー等がカバーガラス34表面に付着することを防止できる。
【0068】
(プロセスカートリッジの着脱と清掃部材の移動)
次に、プロセスカートリッジ7の着脱と清掃部材61の動作について、図9乃至図11を用いて説明する。
【0069】
図9(a)〜(d)は、カバーガラス34、及びレーザシャッタ35を装置側面よりみた図であり、図中右側は装置正面側、つまりプロセスカートリッジ7を装着する側である。図9(a)の状態は、プロセスカートリッジ7を装着する前の状態を示している。
【0070】
前述したように、レーザシャッタ35は、その両端部の圧縮バネ65により上方に付勢されており、レーザシャッタ35に支持された清掃部材61は、拭き取り部材64がカバーガラス34から離れた状態で配置されている。また、プロセスカートリッジの挿入方向先端側であって下端には、リブ68が形成されている。
【0071】
プロセスカートリッジ7が挿入されてくると、図9(b)に示すように、前記リブ68がベース部材62と干渉する。しかし、リブ68はベース部材62に形成された斜面67により、引っかかることなく、清掃部材61を下方へ押し下げてタブ63と係合する。この押し下げにより、レーザシャッタ35が圧縮バネ65の付勢力に抗して下方へ移動し、清掃部材61がカバーガラス34に接触した状態になる。
【0072】
つまり、レーザシャッタ35は、下方向に凸となるよう変形し、それによって拭き取り部材64がカバーガラス34に接触している状態を作っている。
【0073】
次に図9(c)に示すように、清掃部材61がカバーガラス34に当接した状態のまま、プロセスカートリッジ7は矢印D方向に挿入されていく。プロセスカートリッジ7が挿入されていくときに、拭き取り部材64がカバーガラス34に接触したまま、プロセスカートリッジ7に押されてレーザシャッタ35に沿ってスライドする。これにより、カバーガラス34が清掃部材61によって清掃される。そして、レーザシャッタ35が清掃部材61のスライドをガイドする部材を兼ねる構成となっている。
【0074】
このとき、図9(c)に示すように、レーザシャッタ35は、その両端部の圧縮バネ65の付勢力により上方に付勢され、プロセスカートリッジ7と係合する清掃部材61の位置において下方向に凸となるように変形していることがわかる。
【0075】
プロセスカートリッジ7をさらに挿入していくと、図9(d)の状態となる。図9(d)は、拭き取り部材64が清掃を完了した状態である。プロセスカートリッジ7は、その挿入軌跡の規制によって、図9(d)の矢印方向(斜め上方向)に移動していく。この軌跡により、リブ68はタブ63からリリースされ、清掃部材61は、図9(d)の左端部である清掃終了位置に、プロセスカートリッジ7は図中矢印方向に位置決めされるようになる。
【0076】
このように、清掃部材61を支持し、ガイドするレーザシャッタ35を弾性体で形成し、弾性変形を利用しながら清掃部材61とカバーガラス34との相対位置関係を一定に保つように構成している。この構成にすることで、被清掃物であるカバーガラス34とプロセスカートリッジ7の挿入軌跡を平行とするような寸法管理を行うことで拭き取り部材64のカバーガラス34に対する進入量を一定に保つことができるようになる。
【0077】
そして、清掃部材61とカバーガラス34とが離間している状態をシンプルな構成で容易に構成できる。また、清掃が必要でない状態において、清掃部材61の拭き取り部材64には何も触れていない状態を作ることができ、拭き取り部材64の劣化等の懸念を払拭できるようになった。
【0078】
つまり、清掃部材61のスライドガイドを兼ねるレーザシャッタ35を高剛性、高精度で形成する必要がなくなり、低コスト、シンプル、省スペースで信頼性の高い清掃機構を配置できるようになる。
【0079】
また、カバーガラス34の長手方向に清掃を行う構成となるため、拭き取り部材64がコンパクトになり、清掃性能の信頼性を維持しながら装置のコストダウン、小型化を実現している。
【0080】
ここで、上記のようにプロセスカートリッジ7の挿入軌跡が挿入完了直前に斜め上方に移動する構成について、図10を参照して説明する。
【0081】
プロセスカートリッジ7は、図10(a)に示すように、装置本体に設けられたガイド部33にガイドされて挿入される。このガイド部33は、挿入されるプロセスカートリッジ7をガイドする第1ガイド33aが形成されている。そして前記第1ガイド33aと連続してプロセスカートリッジ7の挿入終端部分には第1ガイド33aから斜め上方へ傾斜した第2ガイド33b、第2ガイド33bと連続して第1ガイドよりも上方に位置する第3ガイド33cが形成されている。
【0082】
このため、挿入されるプロセスカートリッジ7は第1ガイド33aにガイドされて装置内へ挿入され、このとき清掃部材61がカバーガラス34を摺擦して清掃する。そして、図10(b)に示すように、プロセスカートリッジ7は挿入完了直前に第2ガイド33bから第3ガイド33cに乗り上げる。このとき、図10(c)に示すように、プロセスカートリッジ7の挿入方向後端側の下端に形成された凸部90が第1ガイド33aに乗り上げる。これによりプロセスカートリッジ7は上方に移動してリブ68がタブ63からリリースされる。
【0083】
さらに、プロセスカートリッジ7が上方に移動したときに、吊上バネ91,92によって上方に引き上げられる。すなわち、カートリッジ装着部60のプロセスカートリッジ挿入手前側には端部に係止ボス93を有する吊上バネ91が設けられており、この係止ボス93がプロセスカートリッジ7に形成された係止穴94に係止してプロセスカートリッジ7を上方へ引き上げる。また、プロセスカートリッジ挿入奥側にも吊上バネ92が設けられており、上方へ移動したプロセスカートリッジ7の一部が前記吊上バネ92に押し上げられて上方へ引き上げられる。
【0084】
次に装置本体に装着されたプロセスカートリッジ7を引き抜く場合について、図11を参照して説明する。
【0085】
図11(a)の状態は、カラーレーザプリンタ100がカラー画像形成を行う状態を示している。拭き取り部材64はカバーガラス34から離間した状態で保持されている。また、レーザシャッタ35は、その両端部の圧縮バネ65によりカバーガラス34から確実に一定の距離を保った状態で支持されている。
【0086】
また、プロセスカートリッジが装置本体に装着された状態では清掃部材61は装着部内の奥側に移動している。この状態からプロセスカートリッジ7を引き抜くと、前述した傾斜した第2ガイド33bにガイドされてプロセスカートリッジ7が下降する。これにより、プロセスカートリッジ下端のリブ68が清掃部材上端のタブ63の左側面に係合する。なお、図11(b)に示すように、プロセスカートリッジ7の下面であって、前記リブ68が設けられている部分には凹部95が形成されており、プロセスカートリッジ7が第2ガイド33bにガイドされて下降してきたとき、清掃部材61の上部に前記凹部95が位置するため、プロセスカートリッジ7は清掃部材61を押し下げない。このため、清掃部材61はカバーガラス34から離間した状態を維持する。
【0087】
その状態のまま、プロセスカートリッジ7は清掃部材61を伴いながら図中右方向に移動していく。その際、拭き取り部材64がカバーガラス34から離間した状態で移動する。このように拭き取り部材64にカバーガラス34から離間して戻ることによって、次のような効果を生み出している。
【0088】
まず第1に、拭き取り部材64がカバーガラス34から当接した状態で移動することに起因して再びカバーガラス34を汚してしまうことを抑制できる。
【0089】
次に、清掃時はカバーガラス34に対して、拭き取り部材64は押し付けた状態で使用しているので、拭き取り部材64にはストレスや摺動抵抗を受けている。そのため、仮に、清掃開始位置に戻るときにも拭き取り部材64がカバーガラス34に当接していると、拭き取り部材64には清掃回数の2倍の耐久性が必要となる。
【0090】
そのため、清掃部材61が清掃開始位置に戻るとき、拭き取り部材64がカバーガラス34に対して離間する構成にすることで、摺擦の耐久性を必要としない材質によって拭き取り部材64を構成できるようになる。
【0091】
さらに、清掃部材として不織布等による拭き取り部材以外にも、ブレードやスクレーパ等、清掃能力に方向性を有する清掃部材を適用することが可能となる。
【0092】
プロセスカートリッジ7をさらに引き抜くと、図11(c)の状態となり、レーザシャッタ35を支持する揺動アーム38,39が回転移動し、レーザシャッタ35が図11(c)の手前方向に移動することでタブ63とリブ68の係合が外れ、プロセスカートリッジ7が装置本体から取り外されることになる。
【0093】
揺動アーム38,39を回転移動させるための力に対して、レーザシャッタ35と清掃部材61の摺動抵抗は小さく設定しており、清掃部材61がレーザ光の光路上の位置にてタブ63とリブ68との係合が外れることはない。
【0094】
なお、本実施形態では、レーザシャッタ35の材質をABS樹脂としているが、ステンレスバネ用ステンレス鋼のような金属部材であってもよい。レーザシャッタ35の弾性変形を利用し、清掃部材の姿勢を安定化させることで同様の効果が得られる。
【0095】
また、本実施形態ではプロセスカートリッジ7のタブ63と清掃部材61とを直接係合させて清掃を行っているが、プロセスカートリッジ7の着脱に連動し清掃部材61が移動するのであれば、装置本体の部材を介して行う構成であってもよい。
【符号の説明】
【0096】
1 …感光体ドラム(像担持体)
3 …レーザスキャナ(光学ユニット)
7 …プロセスカートリッジ
34 …カバーガラス(透過部材)
35 …レーザシャッタ(光シャッタ部材)
60 …カートリッジ装着部
61 …清掃部材
80 …開口部
【技術分野】
【0001】
本発明は複写機、プリンタ、ファクシミリ等の画像形成装置に関し、特に光学ユニットの光照射開口部に設けた透過部材を清掃可能な画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
レーザビームプリンタや複写機等の画像形成装置は、像担持体である感光体ドラムに画信号に応じたレーザ光を照射して静電潜像を形成し、この静電潜像をトナーによって現像して可視像化する。このような画像形成装置は、動作中にレーザ光が外部に漏出しないように、開閉可能な開閉カバーを有する本体カバーによって覆っている。
【0003】
しかし、プロセスカートリッジ等の消耗品の交換や、操作上紙詰まりを除去する場合、あるいは保守点検の際など、メインスイッチの入力中に開閉カバーを開けることがある。特にレーザ光の場合は、開閉カバーが開いた状態において、インターロックスイッチが誤作動してもレーザ光が装置外に漏れないようにする必要がある。
【0004】
そこで、レーザシャッタ装置が用いられている。レーザシャッタ装置はレーザ光学走査装置又はそれを用いた画像形成装置内に配置され、感光体ドラムを含むプロセスカートリッジの着脱や、その際開閉される画像形成装置の開閉カバーの開閉動作に連動してシャッタが動作するように構成されている。すなわち、レーザシャッタ装置は、ユーザ、サービスマンがプロセスカートリッジの着脱、紙詰まりの処理等の目的で画像形成装置の開閉カバーを開けたときに、レーザ光の光路を遮ることで、ユーザがレーザ光にさらされるのを防ぐためのものである。
【0005】
例えば、特許文献1に開示されているように、レーザ光を反射する折り返しミラーの全長を覆う形状のレーザシャッタを回動可能に取り付け、プロセスカートリッジの着脱や紙詰まりを除去する時に開閉する開閉カバーに連動して前記レーザシャッタを回動させて折り返しミラーに至るレーザ光路を遮断するようにしたものがある。
【0006】
一方、近年の電子写真方式の画像形成装置は、現像剤としてトナーを使用するため、画像形成装置内でトナーが飛散し、塵や埃が浮遊することがある。画像形成装置の露光手段であるレーザスキャナは、トナー、塵、埃等を嫌うため、レーザスキャナ内部へトナー、塵、埃等が侵入しないように、その内部を密閉状態としている。
【0007】
画像形成装置は、レーザスキャナから出射されるレーザ光が通過する開口部を有している。この開口部からトナー、塵、埃等がレーザスキャナ内部へ侵入するのを防止することを目的として、開口部にレーザ光が通過可能なカバーガラスを取り付けている。
【0008】
このような構成から、プロセスカートリッジ内の現像器から落下・浮遊するトナー、塵、埃がレーザ光の光路内に侵入し、カバーガラスに付着して光路を遮ることで、印字画像の濃度低下や画像の欠落が発生することがあった。よって、濃度低下や画像の欠落を防止するためには、カバーガラス上にトナーや塵、埃等が付着しない構成、もしくは付着したものを清掃する構成が必要となる。
【0009】
そこで、ユーザやサービスマンが画像形成装置内部にアクセスし、カバーガラスを柔らかい布等でクリーニングを行うことされていた。しかし、カバーガラスのエリアはその面積が小さい上に、カバーガラス表面を傷つけないようにクリーニングしなければならなかったため、非常にやりにくく、確実にクリーニングすることに苦労していた。
【0010】
この課題を解決するために、特許文献2に開示されているように、防塵ガラスに付着したトナー、塵、埃等を除去できるクリーニング構成が提案されている。具体的には、ユーザやサービスマンが光走査装置に備わっている清掃部材を防塵ガラスに沿ってスライドさせることで、防塵ガラスに付着したトナー、塵、埃等を除去することができる構成を実現している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】特開平11−337859号
【特許文献2】特開2005−246901号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
近年、タンデム型カラー画像形成装置は小型化、高速出力化が進み、画像形成の主要な要素をコンパクトに配置、構成することが重要なテーマとなっている。特に、複数の感光体ドラム、複数のレーザ光を使用するタンデム式カラー画像形成装置においては、各色の画像形成部が必要になり、画像形成部をいかにコンパクト設計を行うかが課題であった。
【0013】
当然タンデム式カラー画像形成装置では、ユーザ保護のためのレーザシャッタ装置も複数必要になり、機構が複雑になってしまう。また、レーザシャッタ機構を配置するスペースが感光体ドラムとレーザスキャナの間に必要となり、作像エリアの各要素の配置自由度が失われ、装置の小型化の障害になってしまっていた。
【0014】
また、特許文献2に示すように、清掃部材をスライドさせて防塵ガラスを清掃する構成では、清掃時にスライドさせた清掃部材を防塵ガラスの一方側端であって、レーザ光の照射領域外に位置させておく。
【0015】
しかし、清掃部材をスライドさせる場合、これをガイドするための部材が必要となり、これを構成するために部品点数の増加及びスペースが必要となっていた。
【0016】
本発明は上記点に鑑みてなされたものであり、その目的は、省スペース、かつシンプルな構成で効率よく透過部材上の異物を清掃することが可能な画像形成装置を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0017】
上記課題を解決するための本発明における代表的な手段は、トナー像を担持する回転可能な像担持体と、前記像担持体に光照射をするための開口部を有し、前記開口部に光が透過する透過部材を備えた光学ユニットと、前記光学ユニットの開口部から前記像担持体に照射される光の光路を遮る閉鎖位置と開放する開放位置とに移動可能な光シャッタ部材と、前記透過部材を清掃する清掃部材と、を有する画像形成装置であって、前記清掃部材は、前記光シャッタ部材に沿って移動可能なように前記光シャッタ部材に支持されており、前記光シャッタ部材が該閉鎖位置にあるとき、前記清掃部材が前記光シャッタ部材に沿って移動することにより前記透過部材を清掃することを特徴とする。
【発明の効果】
【0018】
本発明にあっては、清掃部材が光シャッタ部材に沿って移動するために、清掃部材の動きをガイドする専用の部材が不要となり、限られたスペースの中で光シャッタ機能、清掃機能を構成できるようになる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】多色画像形成装置の実施形態を示す断面図である。
【図2】プロセスカートリッジの着脱、シートカセットの装着説明図である。
【図3】レーザシャッタと清掃部材の断面説明図である。
【図4】レーザシャッタの枢着部分の断面説明図である。
【図5】レーザシャッタが閉鎖位置にあるときの説明図である。
【図6】スライダーの付勢構成説明図である。
【図7】レーザシャッタが開放位置にあるときの説明図である。
【図8】画像形成装置を左側面側からみた断面図である。
【図9】プロセスカートリッジの挿入と清掃部材のスライド状態を示す説明図である。
【図10】プロセスカートリッジの挿入状態説明図である。
【図11】プロセスカートリッジの引き抜きと清掃部材のスライド状態を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
次に本発明の一実施形態に係る画像形成装置について、図面を参照して具体的に説明する。
【0021】
〔第1実施形態〕
図1は第1実施形態に係る画像形成装置の一態様であるカラーレーザプリンタ100の全体構成を示す縦断面図である。まず、画像形成装置の全体構成について概略説明する。
【0022】
[画像形成装置の全体構成]
図1に示すカラーレーザプリンタ100は、第1から第4画像形成部を構成する4個のプロセスカートリッジ7(7a,7b,7c,7d)が装着されている。各画像形成部は、順にイエロー、マゼンタ、シアン、ブラックの各色画像を形成するものであり、トナーの色が異なる以外は同じ構成である。そこで、図1に示した符号a,b,c,dはそれぞれ、イエロー、マゼンタ、シアン、ブラックの各画像形成部に対応した部材を示すが、以下の説明では、特に色を区別する必要がない場合には、符号a,b,c,dは省略する。
【0023】
各プロセスカートリッジ7は像担持体としての感光体ドラム1を備えており、感光体ドラム1の周囲には、その回転方向に従って順に、帯電手段としての帯電手段2、現像ユニット4、クリーニング手段8が一体的にカートリッジ化されて画像形成装置本体に着脱可能に装着されている。
【0024】
プロセスカートリッジ7は現像手段となる現像ユニット4とクリーナユニット5で構成されている。現像ユニット4は、現像ローラ24と、現像剤塗布ローラ25、及びトナー容器を有している。クリーナユニット5は、感光体ドラム1と、帯電ローラ2と、クリーニング手段となるドラムクリーニングブレード8及び廃トナー容器とを有している。
【0025】
また、プロセスカートリッジ7の上方には、感光体ドラム1に当接して回転可能な中間転写ベルトユニット30が配置され、プロセスカートリッジ7の下方には光学ユニットとしてのレーザスキャナ3が配置されている。
【0026】
像担持体としての感光体ドラム1は、アルミニウム製シリンダの外周面に有機光導伝体層(OPC)を塗布して構成したものであり、その両端部をフランジによって回転自在に支持されている。そして、一方の端部に駆動モータ(不図示)から駆動力を伝達することにより、図1の矢印に示す時計回り方向に回転駆動される。
【0027】
帯電手段2は、ローラ状に形成された導電性ローラで、このローラを感光体ドラム1表面に当接させるとともに、電源(不図示)によって帯電バイアス電圧を印加することにより、感光体ドラム1表面を一様に帯電させるものである。
【0028】
レーザスキャナ3は、プロセスカートリッジ7の鉛直下方に配置され、画像信号に基づく露光を各感光体ドラム1に対して行う。
【0029】
現像ユニット4a,4b,4c,4dは、それぞれイエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)の各色のトナーを収納したトナー収納部、感光体表面に隣接し、駆動部(不図示)により回転駆動されると共に、現像バイアス電源(不図示)により現像バイアス電圧を印加することにより現像を行う現像ローラ等から構成される。
【0030】
上述の構成により,感光体ドラム1は、帯電ローラ2によって所定の負極性の電位に帯電された後、レーザスキャナ3によってそれぞれ静電潜像が形成される。この静電潜像は現像ユニット4によって反転現像されて負極性のトナーが付着され、それぞれY、M、C、Kのトナー像が形成される。
【0031】
中間転写ベルトユニット30は、中間転写ベルト12eが駆動ローラ12f、テンションローラ12gに張架されており、該テンションローラ12gが矢印E方向に張力をかけている。また、各感光体ドラム1に対向して、中間転写ベルト12eの内側に一次転写ローラ12が配設されており、バイアス印加手段(不図示)により転写バイアスを印加する構成となっている。
【0032】
感光体ドラム1上に形成されたトナー像は、各感光体ドラム1が図1の矢印方向に回転し、中間転写ベルト12eが矢印F方向に回転し、さらに一次転写ローラ12に正極性のバイアスを印加することにより、感光体ドラム1a上のトナー像から順次、中間転写ベルト12e上に一次転写される。そして、4色のトナー像が重なった状態で二次転写部15まで搬送される。
【0033】
給送装置13は、シートSを収納するシートカセット11内からシートSを給送する給送ローラ9と、給送されたシートSを搬送する搬送ローラ対10とを有している。
【0034】
シートカセット11は、図1中本体手前方向へ引き抜くことができるよう構成されており、ユーザはシートカセット11を引き抜き、装置本体から取り外した後、シートSをセットし装置本体へ挿入することでシート補給が完了する。
【0035】
シートカセット11に収納されたシートSは、給送ローラ9に圧接され、分離パッド23によって一枚ずつ分離され(摩擦片分離方式)搬送される。
【0036】
そして、給送装置13から搬送されたシートSはレジストローラ対17によって二次転写部15に搬送される。
【0037】
二次転写部15において、二次転写ローラ16に正極性のバイアスを印加することにより、搬送されたシートSに、中間転写ベルト12e上の4色のトナー像を二次転写する。
【0038】
トナー像が転写されたシートは定着手段である定着部14において、熱及び圧力が印加されてトナー像が定着され、排出ローラ対20によって排出トレイ21に排出される。
【0039】
一方、トナー像転写後に、感光体ドラム1表面に残ったトナーは、クリーニングブレード8によって除去され、除去されたトナーはクリーナユニット5内の廃トナー容器に回収される。
【0040】
また、シートSへの二次転写後に中間転写ベルト12e上に残ったトナーは、転写ベルトクリーニング装置22によって除去され、除去されたトナーは、廃トナー搬送路(不図示)を通過し、装置奥面部に配置された廃トナー回収容器(不図示)へと回収される。
【0041】
[プロセスカートリッジの着脱構成]
次にカラーレーザプリンタ100におけるプロセスカートリッジ7の着脱構成について説明する。図2は第1実施形態に係る画像形成装置における、プロセスカートリッジ7の着脱方法、シートカセット11の着脱方法を示した斜視図である。
【0042】
カラーレーザプリンタ100においては、シートカセット11へのシートの補給、プロセスカートリッジ7の着脱、プリントされたシートの回収は、装置正面側から操作可能となっている。また、プロセスカートリッジ7の着脱は、感光体ドラム1の回転軸方向、かつ装置本体正面側に着脱できる構成となっている。
【0043】
図2に示すように、装置本体内にはカートリッジ装着部60が形成され、プロセスカートリッジ7の挿入、抜き取りをガイドするガイド部が設けられている。プロセスカートリッジ7の着脱は、開閉カバー(図示せず)を開き、前記ガイド部に沿わせてプロセスカートリッジ7を感光体ドラムの長手方向に挿抜することによって行う。
【0044】
図3に示すように、ガイド部33はプロセスカートリッジ7の下部をガイドするガイドレールとして構成されている。このガイド部33は、プロセスカートリッジ7とレーザスキャナ3を仕切る仕切り板31に設けられ、プロセスカートリッジ7に一体的に形成された挿入リブ18をガイドする溝が形成されている。また、ガイド部33はカートリッジ挿入方向の奥側端部が他の部分よりも上方へ湾曲している(図10参照)。このため、後述するようにガイド部33に沿わせてプロセスカートリッジ7を挿入すると、挿入終期には下から上へ僅かに移動するように装着される。
【0045】
[レーザシャッタと清掃部材]
次に、図3を用いてプロセスカートリッジ7、レーザシャッタ35、及び清掃部材61について説明をする。
【0046】
本実施形態のレーザスキャナ3は、プロセスカートリッジ7の下方に配置され、上方に位置する感光体ドラム1に光照射するために、ユニット上部であって感光体ドラム1の長手方向に細長い開口部80が設けられている。ユニット上部に設けられた開口部80からレーザスキャナ3の内部に塵、埃、トナー等が落下し易いため、この開口部80には光が透過する透過部材であるカバーガラス34が取り付けられ、開口部80を塞いで密閉している。ここで、カバーガラス34は、長尺形状であり、感光体ドラム1に向けて出射された光を透過するために感光体ドラム1の回転軸方向と長尺状のカバーガラス34の長手方向が略一致するように配置されている。
【0047】
また、カバーガラス34の直上にはレーザ光を遮る位置に、黒色のABS樹脂で成形された光シャッタ部材であるレーザシャッタ35が配置されている。このレーザシャッタ35はカバーガラス34を覆うように細長形状に形成され、レーザスキャナ3から感光体ドラム1に照射される光の光路を遮る位置(閉鎖位置)と開放する位置(開放位置)とに移動可能となっている。図3に示すように、レーザシャッタ35が閉鎖位置にあるときは、カバーガラス34を透過したレーザ光はレーザシャッタ35で遮られ、感光体ドラム1に照射されることはない。
【0048】
そして、このレーザシャッタ35は、弾性部材で構成され、弾性変形可能に構成されている。本実施形態ではレーザシャッタ35をABS樹脂で構成している。
【0049】
また、レーザシャッタ35には、その外周を囲うような形態でカバーガラス34を清掃するための清掃部材61が嵌められている。清掃部材61は主にベース部材62、拭き取り部材64で構成されている。本実施形態のベース部材62は、約20mm程度の長さのABS樹脂で形成されたものであり、レーザシャッタ35の長手方向にスライド移動自在にレーザシャッタ35によって支持されている。そして、清掃部材61がレーザシャッタ35にガイドされて長尺状のカバーガラス34の長手方向に移動することでカバーガラス34を拭き取り可能となっている。
【0050】
清掃部材61のベース部材62上部にはタブ63が一体的に形成されている。このタブ63は、プロセスカートリッジ7を着脱する際、プロセスカートリッジ7の一部と係合するものであり、これによりプロセスカートリッジの挿抜動作に連動して清掃部材61がレーザシャッタ35の長手方向に沿ってスライドする。
【0051】
ベース部材62の下面部には、拭き取り部材64が貼り付けられている。本実施形態の拭き取り部材64は、厚さ2mm、硬度100N前後の発泡ウレタンと厚さ1.5mmのポリエステル不織布とを溶着処理で接着したものを用いている。図3に示すように、プロセスカートリッジ7が装着された状態においては、拭き取り部材64のポリエステル不織布とカバーガラス34とは離間した位置に配置されている。
【0052】
(レーザシャッタの支持構成)
次にレーザシャッタ35の支持方法について、図4、図5を用いて説明する。図4は図3と同様にカラーレーザプリンタ100を正面側からみた部分断面図であり、図5は装置上方よりみた断面図である。
【0053】
図5に示すように、レーザシャッタ35はリンク部材によって開放位置と閉鎖位置とに移動可能となっている。具体的には、レーザシャッタ35の長手方向両端部は、その下方に配置されたリンク部材を構成する揺動アーム38,39によって支持されている。前記揺動アーム38,39は揺動支点ボス42,43を中心に回動可能であって、回動端部側が軸部によりレーザシャッタ35の両端部と枢着されている。
【0054】
また、図4に示すように、レーザシャッタ35と揺動アーム38,39の間には、レーザシャッタ35をカバーガラス34と離れる方向へ付勢するような圧縮バネ65が取り付けられている。つまりレーザシャッタ35は、図4の上方へ付勢されており、揺動アーム38,39の軸端部に取り付けられたEリング66によって抜け方向に規制されて位置決めされている。
【0055】
(レーザシャッタの開閉機構)
次に、レーザシャッタ35開閉機構について図5乃至図7を用いて説明する。図5はレーザシャッタ35がレーザ光路を遮る閉鎖位置に配置された状態を示している。図5中の破線部は、レーザシャッタ35でその上方を覆われたカバーガラス34の位置を示している。
【0056】
図5に示すように、レーザシャッタ35の長手方向両端部には丸穴36,37が設けられており、前述した揺動アーム38,39に設けられた円筒状のボス40,41が丸穴36,37に嵌り込むことで、レーザシャッタ35は揺動自在に支持されている。また、揺動アーム38,39には、その下面に揺動支点ボス42,43を一体的に形成している。揺動支点ボス42,43は、前述した仕切り板31に設けられた穴(不図示)に嵌り込み、このボスを中心に回動自在に支持されている。このような構成とすることでレーザシャッタ35は、装置本体に固定されたレーザスキャナ上のカバーガラス34に対して、リンク部材を介して移動可能に構成されていることになる。
【0057】
レーザシャッタ35の左端部には、前述した清掃部材61が支持されている。清掃部材61はプロセスカートリッジ7の装着により、カバーガラス34の表面を摺擦しながらレーザシャッタ35の右側から左側へ移動してきた状態となっている。
【0058】
また、揺動アーム38の上面には、前記揺動支点ボス42を挟んでボス40の反対側の端部に円筒状の係合ボス44が一体的に形成されている。そして、前記係合ボス44が揺動アーム38の上部に配置されたスライダー45に形成された異形穴46に係合している。
【0059】
スライダー45は、その動作を規制するよう、仕切り板31の一部を曲げ起こし形成されたガイド47,48によって、図5の上下方向の移動が規制され、且つ左右方向にスライド可能に取り付けられている。また、スライダー45の長手方向一方側端部は、装置本体の前側板49に設けられた規制穴(不図示)を貫通し、装置本体前面側に飛び出すよう配置されている。さらに、スライダーの中央部に形成された開口穴50の端部には凸形状部51が形成され、この凸形状部51に圧縮バネ52の右端が嵌められている。
【0060】
図6はスライダー45と圧縮バネ52を装置左側面から矢視した断面図である。図6に示すように、圧縮バネ52の左端は仕切り板31の一部を曲げ起こして形成されたバネ支持形状部53に嵌められている。従って、スライダー45は圧縮バネ52のバネ圧によって、図6の右方向に付勢されていることになる。そして、スライダー45は、その側面に段形状部54を有しており(図5)、その段形状部54が前側板49に突き当たることによって静止している。
【0061】
次に、レーザシャッタ35の開閉動作について説明する。図7は画像形成可能な状態、つまり、装置の開閉カバーである前ドア26が閉められ、レーザシャッタ35がレーザ光の光路から退避した開放位置にある状態を示している。
【0062】
スライダー45がスライドすると、異形穴46に嵌っている係合ボス44が移動する。例えば、図7に示すように、前ドア26が閉じられると前ドア26の内面に形成された凸形状部27がスライダー45の端部を押し込む。これにより、スライダー45が矢印A方向にスライドすると、係合ボス44が異形穴46に沿って移動する。そのため、揺動アーム38は揺動支点ボス42を中心に図7の矢印B方向に回転することになる。その結果、円筒状ボス40に枢支されたレーザシャッタ35は図7の位置に移動することになる。また、レーザシャッタ35を支持する他方の揺動アーム39は、レーザシャッタ35の動きに従い揺動支点ボス43を中心に矢印C方向に回転する。
【0063】
上記のように、前ドア26が閉じられるとレーザシャッタ35は、カバーガラス34の直上から退避し、レーザスキャナ3から出射されるレーザ光は感光体ドラム1に照射可能となる。
【0064】
図7の状態から前ドア26が開けられると、スライダー45の端部は凸形状部27による押圧がなくなるために、圧縮バネ52の付勢力によって図中右方向にスライドする。このスライドによって異形穴46に嵌っている係合ボス44が移動させられ、揺動アーム38,39が前記矢印B、C方向の逆方向に回転してレーザシャッタ35が移動し、図5の状態になる。これにより、レーザシャッタ35はカバーガラス34の直上に移動してレーザ光の光路を遮る閉鎖位置になる。
【0065】
図8はカラーレーザプリンタ100の左側面側からみた断面図である。図8中右側(装置正面側)には、前ドア26が設けられている。前ドア26は、装置のカバーであると同時に、プロセスカートリッジ7を着脱する際に開閉するドアである。前ドア26は、その下部に設けられた支点軸28を中心にして装置本体に回転自在に支持されている。一方、その上部ではラッチ(不図示)により、装置本体に引掛けられている。
【0066】
ユーザは、プロセスカートリッジ7を交換する際、把手29をつかみ、手前に引っ張ることで前ドア26を開けることができる。前ドア26が開けられると、前述したようにスライダー45が図8の右側へスライド移動してレーザシャッタ35が閉鎖位置に移動する。
【0067】
上記のように、プロセスカートリッジ7を着脱するために前ドア26を開くと、レーザシャッタ35がカバーガラス34の直上に配置されるため、着脱時の衝撃によって浮遊、落下する塵、埃、トナー等がカバーガラス34表面に付着することを防止できる。
【0068】
(プロセスカートリッジの着脱と清掃部材の移動)
次に、プロセスカートリッジ7の着脱と清掃部材61の動作について、図9乃至図11を用いて説明する。
【0069】
図9(a)〜(d)は、カバーガラス34、及びレーザシャッタ35を装置側面よりみた図であり、図中右側は装置正面側、つまりプロセスカートリッジ7を装着する側である。図9(a)の状態は、プロセスカートリッジ7を装着する前の状態を示している。
【0070】
前述したように、レーザシャッタ35は、その両端部の圧縮バネ65により上方に付勢されており、レーザシャッタ35に支持された清掃部材61は、拭き取り部材64がカバーガラス34から離れた状態で配置されている。また、プロセスカートリッジの挿入方向先端側であって下端には、リブ68が形成されている。
【0071】
プロセスカートリッジ7が挿入されてくると、図9(b)に示すように、前記リブ68がベース部材62と干渉する。しかし、リブ68はベース部材62に形成された斜面67により、引っかかることなく、清掃部材61を下方へ押し下げてタブ63と係合する。この押し下げにより、レーザシャッタ35が圧縮バネ65の付勢力に抗して下方へ移動し、清掃部材61がカバーガラス34に接触した状態になる。
【0072】
つまり、レーザシャッタ35は、下方向に凸となるよう変形し、それによって拭き取り部材64がカバーガラス34に接触している状態を作っている。
【0073】
次に図9(c)に示すように、清掃部材61がカバーガラス34に当接した状態のまま、プロセスカートリッジ7は矢印D方向に挿入されていく。プロセスカートリッジ7が挿入されていくときに、拭き取り部材64がカバーガラス34に接触したまま、プロセスカートリッジ7に押されてレーザシャッタ35に沿ってスライドする。これにより、カバーガラス34が清掃部材61によって清掃される。そして、レーザシャッタ35が清掃部材61のスライドをガイドする部材を兼ねる構成となっている。
【0074】
このとき、図9(c)に示すように、レーザシャッタ35は、その両端部の圧縮バネ65の付勢力により上方に付勢され、プロセスカートリッジ7と係合する清掃部材61の位置において下方向に凸となるように変形していることがわかる。
【0075】
プロセスカートリッジ7をさらに挿入していくと、図9(d)の状態となる。図9(d)は、拭き取り部材64が清掃を完了した状態である。プロセスカートリッジ7は、その挿入軌跡の規制によって、図9(d)の矢印方向(斜め上方向)に移動していく。この軌跡により、リブ68はタブ63からリリースされ、清掃部材61は、図9(d)の左端部である清掃終了位置に、プロセスカートリッジ7は図中矢印方向に位置決めされるようになる。
【0076】
このように、清掃部材61を支持し、ガイドするレーザシャッタ35を弾性体で形成し、弾性変形を利用しながら清掃部材61とカバーガラス34との相対位置関係を一定に保つように構成している。この構成にすることで、被清掃物であるカバーガラス34とプロセスカートリッジ7の挿入軌跡を平行とするような寸法管理を行うことで拭き取り部材64のカバーガラス34に対する進入量を一定に保つことができるようになる。
【0077】
そして、清掃部材61とカバーガラス34とが離間している状態をシンプルな構成で容易に構成できる。また、清掃が必要でない状態において、清掃部材61の拭き取り部材64には何も触れていない状態を作ることができ、拭き取り部材64の劣化等の懸念を払拭できるようになった。
【0078】
つまり、清掃部材61のスライドガイドを兼ねるレーザシャッタ35を高剛性、高精度で形成する必要がなくなり、低コスト、シンプル、省スペースで信頼性の高い清掃機構を配置できるようになる。
【0079】
また、カバーガラス34の長手方向に清掃を行う構成となるため、拭き取り部材64がコンパクトになり、清掃性能の信頼性を維持しながら装置のコストダウン、小型化を実現している。
【0080】
ここで、上記のようにプロセスカートリッジ7の挿入軌跡が挿入完了直前に斜め上方に移動する構成について、図10を参照して説明する。
【0081】
プロセスカートリッジ7は、図10(a)に示すように、装置本体に設けられたガイド部33にガイドされて挿入される。このガイド部33は、挿入されるプロセスカートリッジ7をガイドする第1ガイド33aが形成されている。そして前記第1ガイド33aと連続してプロセスカートリッジ7の挿入終端部分には第1ガイド33aから斜め上方へ傾斜した第2ガイド33b、第2ガイド33bと連続して第1ガイドよりも上方に位置する第3ガイド33cが形成されている。
【0082】
このため、挿入されるプロセスカートリッジ7は第1ガイド33aにガイドされて装置内へ挿入され、このとき清掃部材61がカバーガラス34を摺擦して清掃する。そして、図10(b)に示すように、プロセスカートリッジ7は挿入完了直前に第2ガイド33bから第3ガイド33cに乗り上げる。このとき、図10(c)に示すように、プロセスカートリッジ7の挿入方向後端側の下端に形成された凸部90が第1ガイド33aに乗り上げる。これによりプロセスカートリッジ7は上方に移動してリブ68がタブ63からリリースされる。
【0083】
さらに、プロセスカートリッジ7が上方に移動したときに、吊上バネ91,92によって上方に引き上げられる。すなわち、カートリッジ装着部60のプロセスカートリッジ挿入手前側には端部に係止ボス93を有する吊上バネ91が設けられており、この係止ボス93がプロセスカートリッジ7に形成された係止穴94に係止してプロセスカートリッジ7を上方へ引き上げる。また、プロセスカートリッジ挿入奥側にも吊上バネ92が設けられており、上方へ移動したプロセスカートリッジ7の一部が前記吊上バネ92に押し上げられて上方へ引き上げられる。
【0084】
次に装置本体に装着されたプロセスカートリッジ7を引き抜く場合について、図11を参照して説明する。
【0085】
図11(a)の状態は、カラーレーザプリンタ100がカラー画像形成を行う状態を示している。拭き取り部材64はカバーガラス34から離間した状態で保持されている。また、レーザシャッタ35は、その両端部の圧縮バネ65によりカバーガラス34から確実に一定の距離を保った状態で支持されている。
【0086】
また、プロセスカートリッジが装置本体に装着された状態では清掃部材61は装着部内の奥側に移動している。この状態からプロセスカートリッジ7を引き抜くと、前述した傾斜した第2ガイド33bにガイドされてプロセスカートリッジ7が下降する。これにより、プロセスカートリッジ下端のリブ68が清掃部材上端のタブ63の左側面に係合する。なお、図11(b)に示すように、プロセスカートリッジ7の下面であって、前記リブ68が設けられている部分には凹部95が形成されており、プロセスカートリッジ7が第2ガイド33bにガイドされて下降してきたとき、清掃部材61の上部に前記凹部95が位置するため、プロセスカートリッジ7は清掃部材61を押し下げない。このため、清掃部材61はカバーガラス34から離間した状態を維持する。
【0087】
その状態のまま、プロセスカートリッジ7は清掃部材61を伴いながら図中右方向に移動していく。その際、拭き取り部材64がカバーガラス34から離間した状態で移動する。このように拭き取り部材64にカバーガラス34から離間して戻ることによって、次のような効果を生み出している。
【0088】
まず第1に、拭き取り部材64がカバーガラス34から当接した状態で移動することに起因して再びカバーガラス34を汚してしまうことを抑制できる。
【0089】
次に、清掃時はカバーガラス34に対して、拭き取り部材64は押し付けた状態で使用しているので、拭き取り部材64にはストレスや摺動抵抗を受けている。そのため、仮に、清掃開始位置に戻るときにも拭き取り部材64がカバーガラス34に当接していると、拭き取り部材64には清掃回数の2倍の耐久性が必要となる。
【0090】
そのため、清掃部材61が清掃開始位置に戻るとき、拭き取り部材64がカバーガラス34に対して離間する構成にすることで、摺擦の耐久性を必要としない材質によって拭き取り部材64を構成できるようになる。
【0091】
さらに、清掃部材として不織布等による拭き取り部材以外にも、ブレードやスクレーパ等、清掃能力に方向性を有する清掃部材を適用することが可能となる。
【0092】
プロセスカートリッジ7をさらに引き抜くと、図11(c)の状態となり、レーザシャッタ35を支持する揺動アーム38,39が回転移動し、レーザシャッタ35が図11(c)の手前方向に移動することでタブ63とリブ68の係合が外れ、プロセスカートリッジ7が装置本体から取り外されることになる。
【0093】
揺動アーム38,39を回転移動させるための力に対して、レーザシャッタ35と清掃部材61の摺動抵抗は小さく設定しており、清掃部材61がレーザ光の光路上の位置にてタブ63とリブ68との係合が外れることはない。
【0094】
なお、本実施形態では、レーザシャッタ35の材質をABS樹脂としているが、ステンレスバネ用ステンレス鋼のような金属部材であってもよい。レーザシャッタ35の弾性変形を利用し、清掃部材の姿勢を安定化させることで同様の効果が得られる。
【0095】
また、本実施形態ではプロセスカートリッジ7のタブ63と清掃部材61とを直接係合させて清掃を行っているが、プロセスカートリッジ7の着脱に連動し清掃部材61が移動するのであれば、装置本体の部材を介して行う構成であってもよい。
【符号の説明】
【0096】
1 …感光体ドラム(像担持体)
3 …レーザスキャナ(光学ユニット)
7 …プロセスカートリッジ
34 …カバーガラス(透過部材)
35 …レーザシャッタ(光シャッタ部材)
60 …カートリッジ装着部
61 …清掃部材
80 …開口部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
トナー像を担持する回転可能な像担持体と、
前記像担持体に光照射をするための開口部を有し、前記開口部に光が透過する透過部材を備えた光学ユニットと、
前記光学ユニットの開口部から前記像担持体に照射される光の光路を遮る閉鎖位置と開放する開放位置とに移動可能な光シャッタ部材と、
前記透過部材を清掃する清掃部材と、
を有する画像形成装置であって、
前記清掃部材は、前記光シャッタ部材に沿って移動可能なように前記光シャッタ部材に支持されており、
前記光シャッタ部材が該閉鎖位置にあるとき、前記清掃部材が前記光シャッタ部材に沿って移動することにより前記透過部材を清掃することを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記像担持体を有するプロセスカートリッジが前記像担持体の回転軸方向に挿抜されて着脱するためのカートリッジ装着部を有し、
前記透過部材は長尺状であり、
前記光シャッタ部材が該閉鎖位置にあるとき、前記清掃部材は、装着されるプロセスカートリッジに押圧されて前記光シャッタ部材に沿って前記透過部材の長手方向に移動することを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記光シャッタ部材は弾性部材であり、前記清掃部材が前記透過部材を清掃するときに弾性変形することを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記清掃部材は、清掃開始位置から清掃終了位置まで移動するときは前記透過部材に接触した状態で移動し、清掃終了位置から清掃開始位置に戻るときは、前記透過部材から離間した状態で移動することを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記光シャッタ部材は、前記透過部材から離れる方向に付勢されていることを特徴とする請求項4記載の画像形成装置。
【請求項1】
トナー像を担持する回転可能な像担持体と、
前記像担持体に光照射をするための開口部を有し、前記開口部に光が透過する透過部材を備えた光学ユニットと、
前記光学ユニットの開口部から前記像担持体に照射される光の光路を遮る閉鎖位置と開放する開放位置とに移動可能な光シャッタ部材と、
前記透過部材を清掃する清掃部材と、
を有する画像形成装置であって、
前記清掃部材は、前記光シャッタ部材に沿って移動可能なように前記光シャッタ部材に支持されており、
前記光シャッタ部材が該閉鎖位置にあるとき、前記清掃部材が前記光シャッタ部材に沿って移動することにより前記透過部材を清掃することを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記像担持体を有するプロセスカートリッジが前記像担持体の回転軸方向に挿抜されて着脱するためのカートリッジ装着部を有し、
前記透過部材は長尺状であり、
前記光シャッタ部材が該閉鎖位置にあるとき、前記清掃部材は、装着されるプロセスカートリッジに押圧されて前記光シャッタ部材に沿って前記透過部材の長手方向に移動することを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記光シャッタ部材は弾性部材であり、前記清掃部材が前記透過部材を清掃するときに弾性変形することを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記清掃部材は、清掃開始位置から清掃終了位置まで移動するときは前記透過部材に接触した状態で移動し、清掃終了位置から清掃開始位置に戻るときは、前記透過部材から離間した状態で移動することを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記光シャッタ部材は、前記透過部材から離れる方向に付勢されていることを特徴とする請求項4記載の画像形成装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2012−234200(P2012−234200A)
【公開日】平成24年11月29日(2012.11.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−170731(P2012−170731)
【出願日】平成24年8月1日(2012.8.1)
【分割の表示】特願2008−90198(P2008−90198)の分割
【原出願日】平成20年3月31日(2008.3.31)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年11月29日(2012.11.29)
【国際特許分類】
【出願日】平成24年8月1日(2012.8.1)
【分割の表示】特願2008−90198(P2008−90198)の分割
【原出願日】平成20年3月31日(2008.3.31)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】
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