説明

画像形成装置

【課題】開閉部材をロックするために特別の部材を追加することなく、片閉まりを効果的に防止することができる画像形成装置を提供する。
【解決手段】装置本体に対して回動して開口部を開閉可能な開閉部材10と、開閉部材に係止して開閉部材をロックするための、少なくとも2つ以上のロック部材14と、開閉部材の開閉状態を検知する検知手段と、装置本体に設けられ回転可能なカム部材15と、開閉部材10に設けられカム部材に当接して反力を受ける二次転写ローラ5と、を有し、カム部材15は、回転すると二次転写ローラ5を押圧して開閉部材10をロック部材に係止する方向に引き込む力を付与するように配置されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シートに画像を形成する画像形成装置であって、より詳しくは開閉部材のロックを確実に行うことができる画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
プリンタなどの画像形成装置では、搬送されるシートが装置内で詰まったとき(ジャム)にユーザがジャムしたシートを除去するため、あるいはカートリッジを交換するとき等のために、外装カバーの一部が開閉部材として回動可能である。開閉部材が回動することで、開口部を開閉する構成である。
【0003】
開閉部材は、画像形成中に不用意に開かないように、ロック部材(係止部材)により閉じた状態でロック(係止)されるようにしている。そして、開閉部材が大きい場合、あるいは開閉部材に開き方向の反力がかかる場合は、前記ロックを確実にするために、複数のロック部材を設けるようにしていることが多い。
【0004】
開閉部材に対して複数のロック部材を設置した場合、ユーザが開閉部材の端部を持って開閉部材を閉じた場合に、一部のロック部材はロックしたものの、すべてのロック部材がロックしない、いわゆる「片閉まり」の状態になってしまうことがある。
【0005】
図6は開閉部材の片閉まり状態を説明する図で、(a)は斜視図、(b)は(a)の左視図、(c)は(a)の右視図である。この開閉部材100は水平方向に長手であって、回動中心101を中心に回動して開口部を開閉する構成である。そして、長手方向の両側に係止突起102a,102bが形成されている。一方、装置本体には前記係止突起102a,102bと対向する位置にロック部材103a,103bが設けられている。開閉部材100を閉じると、左右の係止突起102a,102bがそれぞれのロック部材103a,103bにロックされる。
【0006】
上記のような複数のロック部材103a,103bを有する構成にあっては、例えばユーザが図6(a)に示す開閉部材100の右側を押して閉めようとした場合に、片閉まり状態になることがある。これは、開閉部材100が左右に長いために剛性が不足し、図6(b)(c)の左右視図に示すように、右側のロック部材103bと係止突起102bは係止してロック状態となるが、左側のロック部材103aと係止突起102aは係止せずにロックできない、片閉まり状態になってしまうことがある。これは、図中左側をユーザが押して閉めようとした場合も、同様に右側がロックされない片閉まり状態になる可能性がある。
【0007】
この片閉まり防止対策の一つの方法として、特許文献1が提案されている。これは、開閉部材が閉じられて片側のロック部材がロックされると、それに連動して補助ロック部材が動作し、開閉部材に引き込み力を与え、他方のロック部材もロックさせるというものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2000−79739
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、片閉まり防止のために別部材を設けることは、部品点数が増加し、その結果としてコストアップ、本体サイズの大型化を招くことになる。
【0010】
本発明は上記課題を解決するものであり、その目的は、開閉部材をロックするために特別の部材を追加することなく、片閉まりを効果的に防止することができる画像形成装置を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記目的を達成するための本発明に係る代表的な構成は、シートに画像を形成する画像形成装置において、装置本体に対して回動して開口部を開閉可能な開閉部材と、前記開閉部材に係止して前記開閉部材を閉じた状態でロックするための、少なくとも2個以上のロック部材と、開閉部材の開閉状態を検知する検知手段と、前記装置本体に設けられた回転可能なカム部材と、前記開閉部材に設けられ、前記カム部材に当接して反力を受ける力受け部と、を有し、前記カム部材は、回転すると前記力受け部を押圧して前記開閉部材が前記ロック部材によってロックされる方向へ引き込む力を付与するように配置されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明にあっては、カム部材を回転させると開閉部材がロック部材によってロックされる方向へ引き込まれる。このため、仮に開閉部材が片閉まり状態にあっても、確実にロックされるようになる。そして、前記カム部材として他の部材を動作させる部材を兼用させることで、特別な部材を追加することなく片閉まりを防止することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】カム部材の回転と開閉部材が受ける反力の説明図である。
【図2】カム部材の回転と開閉部材が受ける反力の説明図である。
【図3】イニシャル動作のフローチャートである。
【図4】画像形成装置の概略説明図である。
【図5】開閉部材のロック機構の説明図である。
【図6】片閉まり状態の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
次に本発明の一実施形態に係る画像形成装置について、図面を参照して具体的に説明する。
【0015】
<画像形成装置の全体構成>
図4は本発明の実施の形態に係る画像形成装置の一例であるレーザプリンタの概略構成を示す図である。
【0016】
図4を参照して、画像形成装置Aの全体構成を説明する。図4において、装置本体1には画像形成部2、この画像形成部2にシートSを給送するシート給送装置3が設けられている。
【0017】
ここで、画像形成部2には、感光体ドラム2a、ロータリ現像器2b、レーザ露光光学系2c等が配設されている。なお、ロータリ現像器2bは、トナーカートリッジと一体となったイエロー用現像器、マゼンタ用現像器、シアン用現像器、ブラック用現像器の4色の現像器を有している。また、このロータリ現像器2bは、回転して必要時に所望の色の現像器を感光体ドラム2aと対向する現像位置へと移動させることが可能となっている。
【0018】
さらに、画像形成部2には、4色のトナー像を重ねて転写作像した後、シートSへ多色画像を一次転写する中間転写体である無端状の中間転写ベルト4、該ベルト4からシートSへトナー画像を転写する二次転写部を構成する二次転写ローラ5が設けられている。
【0019】
前記中間転写ベルト4は張架ローラ6a,6b,6cに張架され、図4の時計回り方向へ回転可能となっている。そして、1つの張架ローラ6aと対向する位置に二次転写部材である二次転写ローラ5が配置され、この二次転写ローラ5が後述する付勢手段によって張架ローラ6aに支持された中間転写ベルト4に圧接している。この中間転写ベルト4と二次転写ローラ5とのニップ部が二次転写部であり、このニップ部をシートが搬送されるときに二次転写ローラ5に二次転写バイアスを印加して中間転写ベルト4上のトナー像をシートに転写する。
【0020】
二次転写部のシート搬送方向下流側には、シート上の未定着画像を定着する定着部7、画像が定着されたシートSを装置本体外に排出する排出ローラ対8等が配設されている。
【0021】
シート給送装置3は、装置本体1の下部に設けられた給送カセット3aと、この給送カセット3aに収納されたシートSを給送する給送ローラ3bを備えている。また、シート給送装置3は、給送ローラ3bにより送り出されたシートSを分離する分離パッド3cで構成されたシート分離部を備えている。そして、このシート給送装置3の給送ローラ3bにより、給送カセット3aから画像形成部2に向けてシートSが給送される。
【0022】
次に、このような構成の画像形成装置の画像形成動作について説明する。装置本体1の制御部から画像形成信号が出力されると、レーザ露光光学系2cから光信号に変換された1色目の光像が感光体ドラム2a上に投影される。なお、このとき感光体ドラム2aの表面は、予め帯電されており、光像が投影されることによって感光体ドラム2a表面に静電潜像が形成される。
【0023】
次に、ロータリ現像器2b内に配された複数の現像器のうち選択された1色目の色に対応した現像器により静電潜像が現像され、感光体ドラム2a上に1色目のトナー像が形成される。この後、感光体ドラム2a上に形成されたトナー像は中間転写ベルト4上に転写される。ここで、カラーモードの場合には、トナー像が転写された中間転写ベルト4は次のトナー像が形成されて転写されるように更に回転する。なお、この間、ロータリ現像器2bは次の指定カラーの現像器を感光体ドラム2aに対向するよう90°回転し、次の静電潜像を現像する準備をする。また、一次転写が終わった感光体ドラム2aは、1色目同様、2色目、3色目、4色目と潜像、現像、一次転写を繰り返し、中間転写ベルト4上に各色のトナー画像を順次重ねていく。
【0024】
このとき、二次転写部の二次転写ローラ5は4色のトナー画像が中間転写ベルト4上に完成するまで、中間転写ベルト4上に形成されたトナー画像をみださないように、中間転写ベルト4から後述する構成によって離間されている。
【0025】
一方、このような画像形成動作に並行して、給送カセット3aに収納されたシートSは、給送ローラ3bにより送り出された後、シート分離部により1枚ずつに分離される。そして、中間転写ベルト4上のトナー像と一致するタイミングで二次転写部に送られる。
【0026】
次に、二次転写部に送られたシートSは、中間転写ベルト4当接位置に移動した二次転写ローラ5によりトナー像が転写された後、定着部7に搬送される。この後、定着部7により加熱及び加圧されることにより、シートSに未定着転写画像が永久定着され、このように画像が定着されたシートSは排出ローラ対8により装置本体の上面の排出トレイ9に排出される。
【0027】
<開閉部材のロック構成>
本実施形態の画像形成装置は、搬送されるシートがジャムしたときに装置本体から取り除くことができるように、二次転写部近傍の外装カバー部分に開口部が形成され、この開口部が開閉部材10によって開閉可能に構成されている。
【0028】
開閉部材10は、図5に示すように、回動軸10aを中心に装置本体1に対して回動可能に取り付けられている。二次転写ローラ5は、開閉部材10に設けられている。二次転写ローラ5は画像形成の画像精度に大きな影響を持ち、開閉部材10を閉じた状態において、確実に二次転写ニップを形成する必要がある。そのために、二次転写ローラ5は、両端部を軸受11によって回転可能に支持され、この軸受11は支持部12にスライド可能に取り付けられ、かつ、圧縮バネ等の弾性部材13によって張架ローラ6aの方向に付勢されている。このため、二次転写ローラ5は、開閉部材10が閉じた状態にあっては、張架ローラ6aに支持された中間転写ベルト4に圧接し、確実に二次転写ニップを形成する位置に移動可能である。
【0029】
一方、開閉部材10は閉じた状態にあっては前記弾性部材13の付勢力により、開く方向へ反力を受けるため、閉じた状態で確実に装置本体に対してロック(係止)される必要がある。そのため、本実施形態では開閉部材10の長手方向の両側の2箇所でロックされるように、長手方向の両側に2個のロック部材が設けられている(図6(a)参照)。
【0030】
図5はロック部材14による開閉部材10のロック構成を示すものであり、長手方向の一方側のみを示しているが、反対側にも同一構成のロック部材14が対称に設けられている。
【0031】
ロック部材14は、図5(a)に示すように、先端がフック形状をした部材であって、装置本体1に軸14aを中心に回動可能に取り付けられ、図示しない弾性部材によって図5(a)の矢印方向(反時計回り方向)に付勢されている。一方、開閉部材10には、前記ロック部材14の対向位置に、ロック部材のフック部14bが係止するための係止突起10bが設けられている。
【0032】
また、開閉部材10には、係止突起10bの下方に、開閉部材10を開閉するときにロック部材14を押し下げるためのテーパー部10cが設けられている。そして、ロック部材14にはフック部14bから下方に垂下したアーム部14cが形成され、アーム部14cの先端に前記テーパー部10cと係合する突起部14dが設けられている。
【0033】
開閉部材10を閉じる際には、図5(a)に示すように、テーパー部10cが突起部14dと係合し、ロック部材14を押し下げる。さらに開閉部材10を押し込むと、図5(b)に示すように、テーパー部10cと突起部14dとの係合が外れてロック部材14が上昇してフック部14bが係止突起10bに係止して開閉部材10をロックする。
【0034】
開閉部材10の長手方向の反対側にも同様のロック部材14が設けられているために、開閉部材10を閉じると、長手方向の両側がロック部材14によってロックされる。
【0035】
本実施形態の画像形成装置には、開閉部材10の開閉状態を検知する図示しない検知手段としての開閉検知センサが設置されている。この開閉検知センサが、開閉部材10が開いている状態を検知すると、装置本体は画像形成装置の動作を停止させる。ここでは、開閉検知センサが開閉部材10が開いている状態を検知し、その検知結果から装置本体が画像形成装置の動作を停止させることを、インターロック機能という。
【0036】
前述のように、開閉部材10は2箇所がロック部材14でロックされる構成となっている。このために、ユーザが開閉部材10の長手方向の一方側端を持って閉じた場合に片側のロック部材のみでロックされる「片閉まり」の状態になってしまうことがある。このとき、開閉検知センサはコストとスペースの制約のため、この開閉部材10に対し1個設置されてのみであるため、開閉部材10が完全に閉じられているのか、片閉まり状態なのかを検知することはできない。例えば、開閉検知センサが設置された側の開閉部材10のロック部材14は係止突起に係止した状態であっても、開閉検知センサが設置されていない側の開閉部材10のロック部材14が係止突起に係止してない状態が考えられる。この場合、開閉検知センサが開閉部材10がロックされていると検知してしまうが、実際は、片閉まり状態である。
【0037】
そこで、本実施形態では中間転写ベルト4に対する二次転写ローラ5の当接・離間機構を用いて片閉まりを確実に防止するようにしている。
【0038】
<二次転写ローラと中間転写ベルトの当接・離間機構とロック機構との関係>
ここで、中間転写ベルト4に対する二次転写ローラ5の当接・離間機構と開閉部材10のロック機構について説明する。
【0039】
前述したように、二次転写ローラ5はカラー画像を形成するときには4色のトナー画像が中間転写ベルト4上に完成するまで、中間転写ベルト4から離間している。そのための当接・離間機構として、カム部材15が張架ローラ6aの回転軸を中心に図示しないモータからの駆動により回動可能に取り付けられている。このカム部材15は、偏心カムであり、回転することで開閉部材10に設けられた二次転写ローラ5の両端を支持する軸受11に当接・離間する。なお、前記軸受11にはカム部材15に当接し、その反力を受ける力受け部にコロ11aが設けられている。このコロは、カム部材15との擦動抵抗を減らす機能を有する。
【0040】
二次転写ローラ5の当接・離間動作の際には、カム部材15を回転させ、カム部材15が弾性部材13によって付勢されている二次転写ローラ5の軸受11を押し込むことで、中間転写ベルト4から二次転写ローラ5を離間する。カム部材15がコロ11aに当接していないときは二次転写ローラ5は弾性部材13の付勢力により中間転写ベルト4に圧接して二次転写ニップを形成する。
【0041】
そして、本実施形態にあってはカム部材15が回転すると軸受11を介して二次転写ローラ5を押圧し、開閉部材10がロック部材14によってロックされる方向へ引き込む力を付与するように構成している。次にその構成について説明する。
【0042】
図1(a)に示すように、二次転写ローラ5と中間転写ベルト4が当接している場合は、二次転写ローラ5の回転中心5aと中間転写ベルト4を支持する張架ローラ6aの回転中心6a1を結んだ線分の方向に弾性部材の反力16を受ける。この方向は、回動軸10aの下方へ向かうため、開閉部材10には回動軸10aを中心にして時計回り方向、すなわち閉じる方向のモーメント17が働いている。
【0043】
次に、図1(b)に示すように、カム部材15が図1の時計方向に回転し、カム部材15と軸受のコロ11aが当接すると、コロ11aとカム部材15の接触する角度により、開閉部材10は反力16を受ける。このときの反力16の方向は、回動軸10aよりも上方に向かうため、開閉部材10には反時計回り方向、すなわち開く方向のモーメント17が働く。
【0044】
このとき、開閉部材10が片閉まり状態にあった場合、開閉部材10に対して開き方向の力が働くため、開閉部材10の長手方向両端2箇所に設置してあるロック部材14のロックされていない側が開いてしまう場合がある。
【0045】
さらにカム部材15が回転して、図2(a)に示すように、二次転写ローラ5が中間転写ベルト4から完全に離間した状態では、画像形成上の理由で中間転写ベルト4を支持する張架ローラ6aと二次転写ローラ5の可動方向がオフセットしている。このとき、反力16の方向は回動軸10aよりも下方へ向かい、開閉部材10には閉じる方向のモーメント17が働く。
【0046】
さらにカム部材15が回転し、図2(b)に示すように、二次転写ローラ5が中間転写ベルト4に近づいているときには、コロ11aとカム部材15の接触する角度の関係から、開閉部材10は閉じる方向の反力16を受ける。そして、図2(b)の位置にカム部材15がきたときに開閉部材10の閉じる方向のモーメント17は最大になる。本実施形態では、このときの開閉部材10を閉じる力は、開閉部材10をロック部材14にロックするために付勢するのに要する力よりも十分に大きくなるように構成している。
【0047】
上記のように、本実施形態にあっては、二次転写ローラ5を中間転写ベルト4から当接・離間させるためのカム部材15が回転し、二次転写ローラ5の当接・離間動作を行うと、開閉部材10に対する反力の向き・大きさが変化する。そして、前記反力によって開閉部材10はロック部材14にロックされるのに必要な力を受けるようにカム部材15及び二次転写ローラ5、回動軸10aが配置されている。このため、開閉部材10は、片開き状態にあっても確実に左右のロック部材14でロックされるようになる。
【0048】
ここで、二次転写ローラ5の当接・離間動作を利用した開閉部材10の片閉まり防止シーケンスを図3に示す。
【0049】
ジャム処理等が終了して開いた開閉部材10が閉じられたことを開閉検知センサが検知した場合には、カム部材15をホームポジションに戻すイニシャル動作が行われるようになっている。これは、開閉部材10はジャム処理等のためにユーザによっていつでも強制的に開くことが可能になっており、開閉部材10が開けられると開閉検知センサが開状態を検知し、インターロック機能が働き、画像形成装置のすべての動作が停止する。このため、カム部材15もホームポジション以外の位置で停止してしまうことがあり、これをホームポジションに戻す必要があるからである。
【0050】
このため、開閉部材10が閉じられたことを検知すると、必ず画像形成を行う前にカム部材15をホームポジションに戻すイニシャル動作を行う。本実施形態の画像形成装置は、開閉部材10が片閉まり状態であったとしても、前記イニシャル動作中に片閉まり状態から復帰させることが可能である。
【0051】
開いた開閉部材10が閉じられたことを開閉検知センサが検知すると、カム部材15を1回転させてからホームポジションに戻すイニシャル動作を行う(S1、S2)。このとき、開閉検知センサは開閉部材10が開かれるか否かを検知している(S3)。
【0052】
開閉部材10が両ロック部材14によって確実にロックされていると、開閉検知センサはイニシャル動作の間に開閉部材10が開かれたことを検知することはない。このため、開閉部材10はしっかりと閉じられていると判断し、そのまま印刷ジョブ待ち状態になる(S4)。
【0053】
一方、開閉部材10が片閉まりの状態であるにもかかわらず、開閉検知センサが開閉部材10が閉じられたことを検知した場合、通常と同様にイニシャル動作を開始する。しかし、このときはカム部材15が回転する際には、前述したように開閉部材10に対して開く方向の力が加わるポジションがあり、そのときに開閉検知センサが開閉部材10が開かれたと検知する場合がある。しかし、開閉部材10が片閉まりであった場合は、さらにカム部材15が回転することで、開閉部材10をロック部材14に引き込むことが可能である。このため、開閉検知センサが開状態を検知した場合でも動作を停止させることなく、そのままカム部材15を回転させ、イニシャル動作を続行する(S5、S6)。即ち、イニシャル動作中にカム部材15が回転中は、開閉検知センサが開状態を検知した場合があっても、装置本体の動作を停止しないように制御している。
【0054】
カム部材15の回転終了後、開閉検知センサが開閉部材10が閉じているか否かを検知し(S7)、開閉部材10が閉じられていることを検知すれば、印刷ジョブ待ちになる(S4)。
【0055】
イニシャル動作終了後でも開閉部材10が開いていると検知した場合は、はじめに閉状態を検知したときに開閉部材10が両側のロック部材に半掛り状態でユーザが押さえていただけの場合や、何かが挟まっていて片閉まりから復帰できなかった等が考えられる。そこで、その場合はユーザに対し開閉部材10が開かれていることを通知する処理をし、開閉検知センサはインターロック機構として働き、画像形成装置本体のすべての動作を停止させる(S8)。
【0056】
その後、開閉部材10をユーザが再度閉めると、同様のイニシャルシーケンスを行い、ジョブ待ち状態になる。
【0057】
上述のように、本実施形態にあっては、二次転写ローラ5を中間転写ベルト4から当接・離間させるカム部材15を用いることで新たな部材を追加することなく、部材の配置と、イニシャルシーケンスのみで、開閉部材10が片閉まり状態になっていても、ロック状態にすることが可能である。
【0058】
なお、前述した説明では、カム部材からの反力を受ける加圧部材として開閉部材10に二次転写ローラ5を設けた例を示した。しかし、これに限定する必要はなく、例えばマルチ給送の開閉ドアで給送中板が上下する構成など、カム部材の回転により反力を受ける加圧部材を有する開閉部材であればよい。
【0059】
また、ロック部材14は本実施形態では開閉部材10の長手方向の両端に2個設けた例を示した。しかし、このロック部材も2個に限定する必要はなく、前述した構成にあってはロック部材が2個以上であっても片閉まり状態を防止することができる。
【符号の説明】
【0060】
1 …装置本体
4 …中間転写ベルト
5 …二次転写ローラ
5a …回転中心
6a,6b,6c …張架ローラ
10 …開閉部材
10a …回動軸
10b …係止突起
11 …軸受
11a …コロ
12 …支持部
13 …弾性部材
14 …ロック部材
14b …フック部
15 …カム部材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
シートに画像を形成する画像形成装置において、
装置本体に対して回動して開口部を開閉可能な開閉部材と、
前記開閉部材に係止して前記開閉部材を閉じた状態でロックするための、少なくとも2個以上のロック部材と、
開閉部材の開閉状態を検知する検知手段と、
前記装置本体に設けられた回転可能なカム部材と、
前記開閉部材に設けられ、前記カム部材に当接して反力を受ける力受け部と、
を有し、
前記カム部材は、回転すると前記力受け部を押圧して前記開閉部材が前記ロック部材によってロックされる方向へ引き込む力を付与するように配置されていることを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記画像形成装置は、前記検知手段により前記開閉部材が開いたことを検知すると画像形成装置の動作を停止し、
前記検知手段が開いていた前記開閉部材が閉じたことを検知したときに、前記カム部材を回転させるイニシャル動作を行うことを特徴とする請求項1記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記イニシャル動作中は、前記検知手段が前記開閉部材が開いたことを検知しても画像形成装置の動作を停止させない
ことを特徴とする請求項2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記画像形成装置は、画像形成部で形成したトナー像を一次転写する中間転写体と、前記中間転写体にシートを押圧して二次転写バイアスを印加する二次転写部材とを有し、
前記カム部材は、前記二次転写部材に形成された力受け部に当接し、前記二次転写部材を前記中間転写体に対して離間、当接させるための部材であることを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載の画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2012−42775(P2012−42775A)
【公開日】平成24年3月1日(2012.3.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−184653(P2010−184653)
【出願日】平成22年8月20日(2010.8.20)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】