説明

画像形成装置

【課題】 転写速度よりも定着速度を速くして画像をシートに形成可能な画像形成装置であり、転写ニップと定着ニップとの間に複数の搬送ベルトを備えた従来の画像形成装置においては、転写ニップから定着ニップまでシートが送られる時間が長く、生産性が低かった。
【解決手段】 転写ニップによってトナー像が転写されている搬送されるシートを、第1搬送ベルトの周速を転写速度に設定し、第1搬送ベルトよりもシート搬送方向における下流側に設けられた第2搬送ベルトの周速を、転写速度よりも高速な定着速度に設定したままで、シートを搬送していき、第1搬送ベルトと第2搬送ベルトに跨ったシートは、第1搬送ベルト上を滑るように第2搬送ベルトによって引っ張られて高速で搬送される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シートに画像を形成する画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の画像形成装置として、感光体や中間転写体等の像担持体上に形成されたトナー像を転写部によってシート上に転写し、シート上に転写されたトナー像を定着部で加熱定着するようにしたものが知られている。
【0003】
ここで、定着部においてトナーを溶融してシートに定着するのに適した、定着部がシートに与える熱量は、シートの種類によって異なる。そこで、定着部におけるシートの搬送速度をシートの種類に応じて変更することで、シートに与える熱量をシート種類に応じて変更する装置がある。
【0004】
特許文献1では、シートが普通紙(厚さが普通のシート)の場合に、転写部よりも定着部のシート搬送速度を高速にする画像形成装置が開示されている。この画像形成装置は、転写部と定着部との間に、搬送方向に並んで2つの搬送ベルトを配置している。この2つの搬送ベルトは、未定着のトナーを保持したシートを定着部へ搬送するためにシートを吸引して搬送する。ここで、2つの搬送ベルトのシート搬送方向における長さは、いずれも、使用可能なシートの最大長さよりも大きくしている。そして、特許文献1に記載された構成においては、以下のようにシートを搬送していく。
【0005】
転写部から送り出されたシートを、転写部での搬送速度で駆動されている上流側の搬送ベルトが受けて、上流側の搬送ベルトが、同じく転写部の搬送速度で駆動されている下流側の搬送ベルトへシートを搬送する。シートの先端が定着部に到達する前であって且つシートの後端が下流側の搬送ベルトに達したところで、下流側の搬送ベルトの搬送速度を定着速度に変更する。そして定着速度で駆動される下流側の搬送ベルトによってシートを定着部へ搬送する。
【0006】
つまり、下流側の搬送ベルトのシート搬送方向における長さが、使用可能なシートの最大長さよりも長いので、下流側搬送ベルトのみによってシートを担持、搬送するときがあり、このときに下流側搬送ベルトの搬送速度を定着速度に変更する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2006−251441号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら上記の画像形成装置では、搬送されるシートの後端が下流側の搬送ベルトに達した後に、下流側の搬送ベルトの搬送速度を高速な定着速度に変更する。つまり、搬送されるシートの後端が上流側の搬送ベルトから離れるまでは、低速な転写速度でシートが搬送される。したがって、シートの搬送速度が高速な定着速度に変更されるタイミングが遅い。転写部から進行してきたシートの速度が高速な速度に変更されるタイミングが遅いので、転写部から進行してきたシートが定着部に達するまでに長い時間かかり、生産性が低かった。
【0009】
本願発明の目的は、定着速度が転写速度よりも高速とした状態でシートに画像形成することが可能な画像形成装置において、転写部から進行してきたシートが定着部にシートが達するまでの時間を短くして、生産性を高めることである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本願発明は、転写速度で搬送されているシートにトナー像を転写する転写ニップと、前記転写ニップにおいてトナー像が転写されたシートを搬送する第1搬送ベルトと、前記第1搬送ベルトよりもシートの搬送方向の下流側に設けられ、吸引されたシートを搬送する第2搬送ベルトと、前記第2搬送ベルトよりもシートの搬送方向の下流側に設けられ、シートを搬送しながらシートにトナー像を定着する定着ニップと、を備え、前記転写速度よりも高速な速度で前記定着ニップがシートを搬送しながらトナー像をシートに定着する高速定着モードを有する画像形成装置であって、前記高速定着モードにおいて、前記第1搬送ベルトの周速を、前記転写ニップから進行してくるシートを受ける第1速度に、前記第2搬送ベルトの周速を、シート先端を前記定着ニップに進入させる、前記第1速度よりも高速な第2速度に、設定したままで、前記転写ニップから前記定着ニップへシートを搬送させ、前記第1搬送ベルトと前記第2搬送ベルトに跨ったシートが、前記第1搬送ベルト上を滑るように前記第2搬送ベルトによって引っ張られて前記第1速度よりも高速で搬送されることを特徴する画像形成装置である。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、定着速度が転写速度よりも高速とした状態でシートに画像形成することが可能な画像形成装置において、生産性を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明に係る画像形成装置の概略構成図である。
【図2】第1実施形態における2次転写部から定着部までの間の拡大図である。
【図3】第1実施形態における第2搬送ベルト部の上視図である。
【図4】定着速度と、シートの種類および坪量の関係を示した表である。
【図5】第1実施形態に係る画像形成装置の制御部を説明するためのブロック図である。
【図6】第1実施形態に係る画像形成装置の動作を説明するためのフローチャートである。
【図7】第1実施形態に係る画像形成装置におけるラージサイズ搬送制御を説明するためのフローチャートである。
【図8】第1実施形態において、転写速度よりも定着速度が速いモードであって、ラージサイズのシートを搬送する場合の動作を説明する図である。
【図9】第1実施形態において、転写速度よりも定着速度が速いモードであって、スモールサイズのシートを搬送する場合の動作を説明する図である。
【図10】第1実施形態において、転写速度と定着速度とが同じ速度のモードであって、ラージサイズのシートを搬送する場合の動作を説明する図である。
【図11】第2実施形態における2次転写部から定着部までの間の拡大図である。
【図12】第2実施形態における第2搬送ベルト部の上視図である。
【図13】第2実施形態における第2搬送ベルト部の斜視図である。
【図14】第2実施形態に係る画像形成装置の制御部を説明するためのブロック図である。
【図15】第2実施形態に係る画像形成装置の動作を説明するためのフローチャートである。
【図16】第2実施形態に係る画像形成装置におけるラージサイズ搬送制御を説明するためのフローチャートである。
【図17】第2実施形態において、転写速度よりも定着速度が速いモードであって、ラージサイズのシートを搬送する場合の動作を説明する図である。
【図18】第2実施形態において、転写速度よりも定着速度が速いモードであって、ラージサイズのシートを搬送する場合の動作を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
(第1実施形態)
図1は、本発明に係る画像形成装置の第1実施形態の断面図である。まず図1によって画像形成装置の概略構成について説明する。
【0014】
画像形成装置100は、収納されたシートを給送する給送部110と、給送部110によって給送されたシートにトナー像を形成するための画像形成部920と、トナー像が形成されたシートを定着部50へ搬送するベルト搬送ユニット904と、を備える。さらに画像形成装置100は、定着部50によってトナー像が定着されたシートを搬送する後搬送部903を備える。
【0015】
給送部110は、シートを収納するシートカセット111、シートカセット111からシートをピックアップするピックアップローラ112、ピックアップローラ112によってピックアップされたシートを分離給送する分離装置113を備える。さらに給送部110は、分離装置113によって分離給送されたシートが搬送される給送パス901内でシートを搬送する送り出しローラ114ならびにレジストローラ115を備える。
【0016】
画像形成部920は、Y(イエロー),M(マゼンタ),C(シアン),K(ブラック)の各色に対応する画像形成ステーション200Y,200M,200C,200Kを直列に配置した、タンデム方式の画像形成部である。各画像形成ステーション200Y,200M,200C,200Kは、感光ドラム120と、一次帯電装置121と、露光装置122と、そして現像装置123を有している。
【0017】
画像形成部920は、更に、各画像形成ステーション200Y,200M,200C,200Kによって可視化されたトナー像が転写される中間転写ベルト125を備える。中間転写ベルト125は、駆動ローラ126、テンションローラ127、及び対向ローラ128に掛け渡して支持され、駆動ローラ126に駆動されて矢印R2方向に回転する。
【0018】
131は、対向ローラ128によって内側から支持された中間転写ベルト125に圧接して、中間転写ベルト125との間に2次転写ニップN2を形成する2次転写ローラである。2次転写ローラ131、中間転写ベルト125、対向ローラ128によって2次転写部130が構成される。ベルトクリーニング装置129は、中間転写ベルト125にクリーニングウエブを摺擦させて、2次転写ニップN2を通過した中間転写ベルト125の表面に残留した転写残トナー、紙粉等を除去する。
【0019】
2次転写部130よりもシート搬送方向の下流側に配置された定着部50は、熱と圧力によってシートにトナー像を定着するものである。定着部50は、内部にヒータを備えた、加熱ローラ52と加圧ローラ53とによって構成される。定着部50は、加熱ローラ52の表面温度を検知するための加熱ローラ温度センサ70と、加圧ローラ53の表面温度を検知するための加圧ローラ温度センサ71と、を備える。この加熱温度センサ70と、加圧ローラ温度センサ71は、それぞれ加熱ローラ52、加熱ローラ52の表面温度が適正な温度に維持するために供されている。
【0020】
2次転写部130と定着部50との間には、ベルト搬送ユニット904が配置されている。このベルト搬送ユニット904は、搬送方向の上流側に配置された第1ベルト搬送部10と、下流側に配置された第2ベルト搬送部20によって構成されている。ベルト搬送ユニット904の構成については後に詳述する。
【0021】
後搬送部903は、定着部50から排出されたシートを機外に排出する排出ローラ911を備える。後搬送部903は、さらに、シートを反転搬送する反転ローラ912と、反転部によって反転されたシートを搬送し、下流側において給送パス901に合流する両面搬送路913を備えている。
【0022】
画像形成装置100における画像形成に係る動作の概略について説明する。
【0023】
露光装置122が感光ドラム120を露光して感光ドラム120上に静電潜像を形成する。感光ドラム120上の静電潜像は、現像装置123によって現像され、トナー像として可視画像化される。
【0024】
感光ドラム120の表面に担持されたトナー画像は、1次転写装置124によって中間転写ベルト125の上に順次重ねて1次転写とされる。Y,M,C,K全色が1次転写された中間転写ベルト125上のトナー画像は、その後に、転写ニップとしての2次転写ニップN2において、給送部110によって給送されたシートSの上に2次転写される。なお、中間転写ベルト125は、一定速度で回転する駆動ローラ126によって回転駆動され、その周速度が一定な転写速度に維持されて回転されている。したがって、トナー像が転写されるシートは、2次転写ニップN2によって転写速度で搬送される。本実施形態では、転写速度は300mm/secに設定されている。なお、転写速度とはトナー像が転写されるときのシートの速度である。
【0025】
給送部110のレジストローラ115は、停止状態でシートSを受け止めて待機させ、中間転写ベルト125のトナー像にタイミングをあわせて、2次転写ニップN2へシートSを送り出す。
【0026】
2次転写ニップN2で転写されたトナー画像を担持したシートSは、ベルト搬送ユニット904によって、定着部50に搬送される。定着部50では、定着ニップNにてシートSを挟持して未定着のトナー画像に熱と圧を加えることでシートに定着させる。定着処理を終えて定着部50から送り出されたシートSは、排出ローラ911によって機外に排出される。
【0027】
両面に画像を形成する場合には、定着部50から送り出されたシートを反転ローラ912へ搬送し、反転ローラ912によって反転した後に両面搬送路913を経由させて、給送パス901へ導く。そして1面目と同様にシートの2面目にトナー像が形成される。
【0028】
次に、2次転写部130、ベルト搬送ユニット904および定着部50を示した拡大図である図2およびベルト搬送ユニット904の上視図である図3を用いて、ベルト搬送ユニット904ならびにその周辺の詳細な構成について説明する。
【0029】
ベルト搬送装置904は、2次転写ニップN2よりもシート搬送方向の下流側に配置された第1ベルト搬送部10と、第1ベルト搬送部10の下流側且つ定着ニップNよりも上流側に配置された第2ベルト搬送部20を備える。
【0030】
ベルト搬送部904と2次転写ニップN2との間には、2次転写ニップN2から進行してくるシートをベルト搬送部904にガイドする転写ガイド951が設けられている。またベルト搬送部904と定着ニップNとの間には、ベルト搬送部904によって搬送されるシートを定着ニップNへガイドする定着前ガイド952が設けられている。
【0031】
第1ベルト搬送部10は、多数の穴が設けられた無端状の第1搬送ベルト11と、この第1搬送ベルト11を張架する第1駆動ローラ12および従動ローラ13とを備えている。第1ベルト搬送部10は、第1駆動ローラ12を介して第1搬送ベルト11を回動させる第1搬送ベルト駆動モータ14を備える。第1搬送ベルト11の内側には、この第1搬送ベルト11によって搬送されるシートを、第1搬送ベルト11に形成された多数の穴を介して第1搬送ベルト11の周面に吸着させる第1吸引装置としての第1吸引ファン15が配置されている。即ち、第1吸引ファン15は、空気を第1搬送ベルト11の上面側から吸い込んで、搬送されるシートを第1搬送ベルト11の上面に吸着させる。第1搬送ベルト駆動モータ14は、第1搬送ベルト11の周速V1(以下、第1ベルト搬送部10の搬送速度V1という)が、転写速度VTと同一速度である300mm/secとなるように駆動を行っている。
【0032】
第2ベルト搬送部20は、上述した第1ベルト搬送部10と概ね同じ構成である。図3に示すような多数の穴が設けられた無端状の第2搬送ベルト21と、この第2搬送ベルト21を張架する第2駆動ローラ22および従動ローラ23とを第2ベルト搬送装置20は備えている。第2ベルト搬送部20は、第2駆動ローラ22を介して第2搬送ベルト21を回動させる第2搬送ベルト駆動モータ24を有する。第2搬送ベルト21の内側には、この第2搬送ベルト21によって搬送されるシートを、第2搬送ベルト21に形成された多数の穴を介して、第2搬送ベルト21の周面に吸着させる第2吸引装置としての第2吸引ファン25が配置されている。即ち、第2吸引ファン25が、第2搬送ベルト21の上面側から空気を吸い込んで、搬送されるシートが第2搬送ベルト21の上面に吸着させる。第2搬送ベルト駆動モータ24は、第2搬送ベルト21の周速V2(以下、第2ベルト搬送部20の搬送速度V2という)を変更できるようになっている。
【0033】
第2搬送ベルト21における定着部50の側には、シートの先端を、定着ニップNよりも上流側である検知位置Pにて検知するシート先端検知センサー26が設けられている。シート先端検知センサー26がシートを検知する検知位置Pは、シートの先端が検知位置Pに到達したときにシートの後端が2次転写ニップN2を既に通過しているような位置に設定されている。本実施形態では、2次転写ニップN2から検知位置Pまでの距離が、画像形成装置が使用可能な最も搬送方向における長さの長いシートSの長さL(最大シートの長さと以下では呼ぶ)よりも長く設定している。また、本実施形態においては、シート先端検知センサー26がシートを検知する検知位置Pは、第2搬送ベルト21の下流側端部に設定してある。
【0034】
定着部50では、加熱ローラ駆動モータ54(例えばDCブラシレスモータ)によって加熱ローラ52が回転駆動される。加熱ローラ52の周速度(以下、定着速度VFという)は、変更できるようになっている。ここで定着速度とは、定着部50によってトナー像が定着されているシートが搬送されるときのシートの速度である。加熱ローラ52と加圧ローラ53との間に形成された定着ニップNで搬送されるシートSは定着速度VFで搬送される。
【0035】
また、2次転写ニップN2と定着ニップNとの間のシート搬送路の長さは、最大シートの長さLよりも長く設定されている。シート先端検知センサー26から定着ニップNまでのシート搬送路の長さLBは、第2搬送ベルト21の速度変更に必要な距離よりも長く設定されている。
【0036】
また、第1搬送ベルト11と第2搬送ベルト21のシートS搬送方向長さBは同一であり、最大シートの長さLの半分よりもやや小さい。なお、本実施形態では、共通部品を使用するために第1搬送ベルト11と第2搬送ベルト21を同構成のものとしている。しかしながら、本発明は、第1搬送ベルト11と第2搬送ベルト21が同じ長さ(同じ構成)であることに限定されるものではない。例えば、第1搬送ベルト11の搬送方向における長さを、最大シートの長さLの2/3にし、第2搬送ベルト21の搬送方向における長さを、最大シートの長さLの1/3にしてもよい。
【0037】
図5は、画像形成装置100の制御関係を示すブロック図である。制御部170は、CPU、メモリなどを含めた演算処理ユニットとI/Oポート、通信インターフェイスなどの外部とのデータのやり取りを行う回路などで構成されている。制御部170は、メモリに格納された複数のプログラムを状況に応じて逐次実行することにより、画像形成装置の動作を制御する。
【0038】
制御部170は、外部機器から送られてきたプリントジョブに応じて、給送部110、画像形成部920などの各部を制御する。制御部170には操作部が接続されており、操作部からシートの種類に関する情報(坪量、サイズ、普通紙かコート紙か)が送られる。なお外部機器からプリントジョブとして送られた情報に、シートの種類に関する情報も含まれる。ここで、コート紙とは樹脂コーティングされたシートのことである。また、制御部170にはシート先端検知センサー26からの信号が入力される。制御部170は、第1、第2搬送ベルト駆動モータ14、24や、第1、2吸引ファン15、25および加熱ローラ駆動モータ54の動作を制御する。
【0039】
なお、制御部170は、定着部50の加熱ローラ温度センサー70および加圧ローラ温度センサー71からの信号が入力される。制御部170は、加熱ローラ52、加圧ローラ53の温調制御も行う。つまり、制御部170は、加熱ローラ温度センサー70からの出力に基づいて、加熱ローラ52の内部の設けられたヒータへの通電を、温調部を介して制御することによって、加熱ローラ52の表面温度が予め設定された温度になるように制御している。制御部170は、加圧ローラ温度センサー71からの出力に基づいて、加圧ローラ53の内部にヒータへの通電を制御することによって、加圧ローラ53の表面温度が予め設定された温度になるように温調部を介して制御している。本実施形態では、加熱ローラ52の表面温度は170℃になるように、加圧ローラ53の表面温度が100℃になるように制御部170が温調している。
【0040】
ここで、制御部170は、シートの種類に関する情報のうち、坪量と、種別(普通紙かコート紙か)に応じて定着速度が変更されるように定着部50の加熱ローラ駆動モータ54の動作を制御する。図4は、シートSの種別およびシートの坪量と、設定される定着速度VFとの対応を示した表である。図4におけるモード1よりもモード2の方がシートの単位面積あたりに定着部50がシートに与える熱量が大きい。モード2よりもモード3の方がシートの単位面積あたりに定着部50がシートに与える熱量が大きい。モード3よりもモード4の方がシートの単位面積あたりに定着部50がシートに与える熱量が大きい。
【0041】
図4に示した表のように、例えば60gsm程度の普通紙は定着速度を480mm/secに設定する。60gsm程度の普通紙は、例えば200gsm程度の普通紙に比べて熱容量が小さい。よって、60gsm程度の普通紙に画像を定着する場合には、200gsm程度の普通紙に設定される300mm/secよりも高速な480mm/secに定着速度を設定し、シートSが定着ニップNを通過している時間を小さくしている。これによって、60gsm程度の普通紙に画像を定着する場合には、200gsm程度の普通紙に画像を定着する場合よりも単位面積あたりにシートが受ける熱量を小さくしている。
【0042】
シートの坪量が大きくなる程、熱容量が大きくなるので、シートの坪量が大きくなる程、トナーがシートに定着する温度にシートが加熱されるのに、シートの単位面積あたりに必要な熱量が大きくなる。よって、図4に示したように坪量が大きいほど定着速度を遅くしてシートの単位面積あたりに与える熱量が増えるようにしている。また、普通紙よりもコート紙の方が、シートの単位面積あたりに画像の定着に要する熱量が大きいので、図4の表のように普通紙かコート紙かによって定着速度を変えている。
【0043】
また、制御部170は、定着速度VFの速度調整に対応して、第2搬送ベルト部20の搬送速度V2も300〜480mm/secの範囲で調整するようになっている。この第2搬送ベルト部20の搬送速度V2は、制御部170が第2搬送ベルト駆動モータ24を制御することによって行われる。
【0044】
以下では、2次転写ニップN2から定着部50にいたるまでのシート搬送の制御および動作について、図6、図7のフローチャートおよびシートの搬送状態を示した図8乃至図10の動作説明図を用いて詳述する。
【0045】
図6のフローチャートにおいて、制御部170は、操作部等より入力されたシートに関する情報のうちの種別と坪量から図4でのいずれのモードかを判断する。即ち、制御部170は、図4のテーブルを参照し、転写速度と定着速度とが同じモード(モード4)であるかどうかを判断する(ステップ1(以下ステップをSと省略して記す))。
【0046】
モード4以外のモード(転写速度よりも定着速度が速い高速定着モード)であった場合には(S1でNO)、シートの種類に関する情報のうちサイズ情報から、シートのサイズがラージサイズかスモールサイズかを制御部170は判断する(S2)。本実施形態では、搬送されるシートの搬送方向の長さが、2次転写ニップN2から第2搬送ベルト21の上流端までの長さより短くかつ第1搬送ベルト15の下流端から定着ニップNまでの長さよりも短い場合に、スモールサイズであると判断する。S2においてスモールサイズでないと制御部170が判断した場合は、図7で示したラージサイズ搬送制御を制御部170は実行する。図8は、転写速度よりも定着速度が速いモードであってシートのサイズがラージサイズの場合の制御(以下ラージサイズ搬送制御)を行ったときのシート搬送の動作を時系列的に示した説明図である。
【0047】
図7に示したラージサイズ搬送制御では、シートの種別と坪量に応じて図4で示した定着速度VFとなるように加熱ローラ駆動モータ54を制御部170が制御する(S21)。そして、制御部170は、第1吸引ファン15の動作を停止(OFF)させ、第2吸引ファン25を回転動作(ON)させる。また、制御部170は、第1ベルト搬送部10の搬送速度V1が、転写ニップN2から進行してくるシートを受け入れるときの第1速度である、転写速度と同じ300mm/secになるように、第1搬送ベルト駆動モータ14を制御する。制御部170は、第2ベルト搬送部20の搬送速度V2が、転写ニップN2から進行してくるシートを受け入れるときの第1速度である、転写速度と同じ300mm/secとなるように、第2搬送ベルト駆動モータ24を制御する(S21)。
【0048】
なお、転写ニップN2から進行してくるシートを受けるときの、第1ベルト搬送部10と第2ベルト搬送部20の第1速度として、転写速度と等速であることをここでは例示している。しかしながら、第1ベルト搬送部10と第2ベルト搬送部20の上記第1速度としては、転写ニップN2から進行してくるシートをトナー像の転写に影響が少ない状態でスムースに搬送でき得る速度であればよく、転写速度と必ずしも一致していなくてもよい。例えば、転写ニップN2から進行してくるシートを受けるときの第1速度として、転写速度よりも4%程度高速な速度にしてもよい。転写ニップN2によってシートを挟持して搬送するので第1搬送ベルト11や第2搬送ベルト12とシートとを滑らせながら搬送できるからである。また、第1速度として、転写速度よりもやや低速な速度に設定しても転写に影響の少ない程度であればよい。
【0049】
このような動作状態で、2次転写ニップN2から送り出されてきたシートが第1ベルト搬送部10によって搬送される。そして、第1ベルト搬送部10によってシートが第2ベルト搬送部20へ送られ、シートの先端側が第2ベルト搬送部20によって搬送される。このとき、第1搬送ベルト11の周速(第1ベルト搬送部10の搬送速度V1)は、転写ニップN2から進行してくるシートを受け入れるときの第1速度(本実施形態では、転写速度である300mm/secと同速)に設定されている。また第2搬送ベルト21の周速(第2ベルト搬送部20の搬送速度V2)も転写ニップN2から進行してくるシートを受け入れるときの第1速度(300mm/sec)に設定されている。したがって、図8(a)に示すように、シートS1が第1搬送ベルト11および第2搬送ベルト21上にあり、一方でそのシートS1の後端側がまだ2次転写ニップN2に挟持されている状態においても、シートS1はスムースに搬送される。シートがスムースに搬送されるので、2次転写ニップN2でのトナー像の転写が良好に行われる。
【0050】
そして、第1ベルト搬送部10と第2ベルト搬送部20によって搬送されているシートの先端がシート先端検知センサー26によって検知されたかどうかを制御部170が判断する(S22)。図8(b)は、第1ベルト搬送部10と第2ベルト搬送部20によって搬送されているシートの先端がシート先端検知センサー26に到達したときの状態を示している。
【0051】
第1ベルト搬送部10と第2ベルト搬送部20によって搬送されているシートの先端が、検知位置Pに到達したら(S22のYES)、制御部170は、第2ベルト搬送部20の搬送速度V2を、第1速度としての300mm/secから、シートの先端を定着ニップNに進入させる第2速度としての、定着速度VFとなるように、第2搬送ベルト駆動モータを制御する(S23)。なお、ここでの定着速度VFは、上述したように図4のテーブルを参照してシートの種別と坪量とに応じて設定した速度である。
【0052】
なお、シートの先端を定着ニップNに進入させるときの、第2ベルト搬送部20の第2速度として、定着速度と等速であることをここでは例示している。しかしながら、第2ベルト搬送部20の第2速度としては、シートの先端を定着ニップNに進入させるときにトナー像の定着が良好に行われるように搬送でき得る速度であればよく、定着速度と必ずしも一致していなくてもよい。例えば、シートの先端を定着ニップNに進入させるときの第2速度としては、定着速度よりも数%低速若しくは数%高速な速度にしてもよい。第2搬送ベルト21の上記第2速度を定着速度よりも数%高速な速度とした場合には、シートの先端が定着ニップNに進入後の搬送に伴って第2搬送ベルト21と定着ニップNとの間でシートに撓みが形成される。また第2搬送ベルト21の上記第2速度を定着速度よりも数%低速とした場合にはシートの先端が定着ニップNに進入後の搬送時に第2搬送ベルト21を滑りながらシートが搬送されていくことになる。
【0053】
既述のようにシート先端検知センサー26がシートの先端を検知する検知位置Pは、シートの先端が検知位置Pに到達したときにシートの後端が2次転写ニップN2を既に通過しているような位置に設定されている。よって、第2ベルト搬送部20の搬送速度を300mm/secから第2速度(本実施形態では定着速度VF)に引き上げたとき、シートの後端は既に2次転写ニップN2を通過している。したがって、第2ベルト搬送部20の搬送速度を第1速度から第2速度に引き上げることに起因したシートへのトナー像の転写に対する影響はない。また、検知位置Pは、シートS1の先端が定着部50の定着ニップNに到達するまでに第1速度から第2速度への増速を、第2ベルト搬送部20が完了できる位置に設定されている。
【0054】
ここで、本第1実施形態では、第1吸引ファン15の動作を停止させるとともに第2吸引ファン25を動作させていることによって、以下のようにシート搬送がなされる。即ち、第1吸引ファン15が停止しているのでシートは第1搬送ベルト11の周面に吸引されず、第2吸引ファン25が動作しているのでシートは第2搬送ベルト21の周面に吸引される。よって、第2搬送ベルト21の搬送力が第1搬送ベルト11の搬送力よりも大きい状態となっている。したがって、第1搬送ベルト11の周速よりも速い第2速度に変更されている第2搬送ベルト21によって、シートは、第1搬送ベルト11上を滑りながら第2速度で搬送され、その状態で先端が定着ニップNに到達する。
【0055】
なお第2搬送ベルト21によって、第1搬送ベルト11上を滑らさせながらシートを搬送している最中に、図8(c)示したように、2次転写ニップN2によって搬送されて来た後続シートS2が、第1搬送ベルト11によって搬送される。第1ベルト搬送部10の搬送速度は第1速度(転写速度)に設定されているので安定して後続シートS2は搬送される。つまり、第1搬送ベルト11の周速は第1速度(転写速度)を維持したままであることで、連続するシート同士の間隔を短くして搬送できるので画像形成の生産性が高い。このように、後端が第1搬送ベルト11上にある先行シートS1に定着ニップNがトナー像を定着している状態で、後続シートS2の先端側を、第1搬送ベルト11上に位置させることを、安定した搬送を実現しながら行っている。したがって、安定してシートを搬送しながらも先行シートS1の後端と後続シートS2と先端との間隔を短くできるので生産性が高い。
【0056】
また、第2ベルト搬送部20によって搬送されているシートS1の先端が定着ニップNに到達する際、シートS1は、シートの先端を定着ニップNに進入させるときの第2速度(本実施形態では定着速度VF)で搬送されている。仮にシート先端の定着ニップNへの進入時に第2ベルト搬送部20の搬送速度と、定着ニップNでの定着速度VFとが大きく異なっていると定着不良が発生する。第2ベルト搬送部20によって第1搬送ベルト11上を滑りながら搬送されているシートは、シートの先端を定着ニップNに進入させるときの第2速度(定着速度VF)で搬送されるので、トナー像の定着に際して不具合が発生することがない。
【0057】
その後、制御部170がシートの先端が定着ニップNに到達したと判断した後に(S24のYES)、制御部170は、第2ベルト搬送部20の搬送速度を、第2速度である定着速度VFから第1速度である300mm/secとなるように、第2搬送ベルト駆動モータ24を制御する(S25)。シートの先端が定着ニップNに到達したかどうかは以下のように制御部170が判断している。即ち、シート先端検知センサー26からシートの先端を検知したことを示す信号を制御部170が受信する。シート先端検知センサー26からの信号を受信してからシートの先端が定着ニップNに到達するのに要する所定時間が経過したかどうかをタイマー666で計測し、シートの先端が定着ニップNに到達したかどうかを制御部170が判断する。
【0058】
このようにシートの先端が定着ニップNに挟持された後に第2ベルト搬送部20の搬送速度を第1速度である転写速度に減速するのは、シートの先端が定着ニップNに挟持された後、第2ベルト搬送部20に必要とされる機能は、補助的な搬送で充分だからである。第2ベルト搬送部20の搬送速度が、転写速度に減速されてからは、定着ニップNによって搬送されるシートは第2搬送ベルト21上を滑りながら搬送される。定着ニップNでの挟持圧力は高圧なので、定着部50の搬送力が第2搬送ベルト21の搬送力よりも強いからである。
【0059】
このようにシートの先端が定着ニップNに挟持された後であってそのシートの後側が第2搬送ベルト21上にある状態で、第2ベルト搬送部20の搬送速度を第1速度である転写速度に減速するのは、以下の更なる理由がある。即ち、先行するシートS1が定着ニップNによって搬送されているときに、後続シートS2の先端を第2搬送ベルト21に到達させることができるようにするためである。これによって連続するシート同士の間隔を短くして搬送できるので生産性の高い画像形成装置を提供できる。後続シートの後端側は2次転写ニップN2にあるものの、第1搬送ベルト11、第2搬送ベルト21の周速はいずれも、転写ニップN2から進行してくるシートを受けるときの第1速度となっていることによって安定した後続シートS2の搬送ができるので、転写不良の発生が防がれている。
【0060】
制御部170は、S25で第2ベルト搬送部20の搬送速度を、第1速度である300mm/secに減速してから、ジョブが終了したかどうかを判断し(S26)、ジョブが終了していなければ、S22に戻り、ジョブが終了していれば、図6のS3に戻って終了する。
【0061】
図6のS1での判断で、モード4である場合、即ち、定着速度VFが転写速度VTと同じ速度であると制御部170が判断した場合には、S4に移行する。そして、S4において、制御部170は、第1吸引ファン15の動作(ON)させ、第2吸引ファン25の動作を動作(ON)させる。また、制御部170は、第1ベルト搬送部10の搬送速度が、第1速度(転写速度と同等な300mm/sec)となるように、第1搬送ベルト駆動モータ14を制御する。また、制御部170は、第2ベルト搬送部20の搬送速度が、第1速度(転写速度と同等な300mm/sec)となるように、第2搬送ベルト駆動モータ24を制御する。この状態のまま、連続するシートを搬送していく。図10は、定着速度が転写速度と同じ速度の場合であって、ラージサイズのシートを搬送するときの状態を時系列的に示したものである。
【0062】
図6のS1で、モード4でない場合(定着速度が転写速度よりも速い場合)であって、シートのサイズがスモールサイズである場合(S2のYES)には、S5に移行する。そして、S5において、制御部170は、第1吸引ファン15の動作(ON)させ、第2吸引ファン25の動作を動作(ON)させる。また、制御部170は、第1ベルト搬送部1011の搬送速度が、第1速度(転写速度と同等な300mm/sec)となるように、第1搬送ベルト駆動モータ14を制御する。制御部170は、第2ベルト搬送部20の搬送速度が、第2速度(定着速度VFと同等な速度)となるように第2搬送ベルト駆動モータ24を制御する。この状態のまま、連続するシートを搬送していく。
【0063】
図9は、定着速度が転写速度よりも速く、スモールサイズのシートを連続的に搬送していくときの動作を時系列的に示した図である。なお、スモーサイズとは、上述したように、シートの先端が第2搬送ベルト21に達したとき、そのシートの後端は2次転写ニップN2を通過した後になり、シートの先端が定着ニップNに達したとき、そのシートの後端が第1搬送ベルト11を通過した後になるサイズである。以下では、図9を用いて、定着速度が転写速度よりも速く、且つ、搬送されるシートがスモールサイズである場合の搬送状態を説明する。
【0064】
図9(a)は、転写ニップN2においてトナー像が転写されているシートが、周速が転写速度VTに設定されているとともに吸引動作が行われている第1搬送ベルト11によって搬送されている状態を示している。
【0065】
第1搬送ベルト11によって搬送されているシートの先端が第2搬送ベルト11に到達する前に、シートの後端が転写ニップN2から離れる(図9(b)参照)。つまり、転写速度よりも高速な第2速度で回転していて且つ吸引動作が行なわれている第2搬送ベルト21にシートの先端側が接するときには、既にそのシートへの2次転写ニップN2でのトナー像の転写は終了している。よって、シートが吸引される第2搬送ベルト21を、転写速度よりも高速な第2速度にしたままであっても、第2搬送ベルト21がトナー像の転写に悪影響を与えることはない。
【0066】
図9(c)は、シートの先端が第2搬送ベルト21上に達した後であって、シートが第1搬送ベルト11と第2搬送ベルト21にまたがって搬送されている過渡状態を示している。この過渡状態の初期において、即ちシートの大部分が第1搬送ベルト11上にありシートの先端側の一部が第2搬送ベルト21と接した状態においては、以下のようにシートは搬送される。シートは第1搬送ベルト11に吸着されて第1搬送ベルト11によって第1速度で搬送され、高速な第2速度で回転する第2搬送ベルト21とシートの先端側の一部とは滑る。その後、シートの搬送が進んで、シートのうちの第2搬送ベルト21と接する領域が増えていくと、第2搬送ベルト21にシートが吸着され、第1搬送ベルト11上を滑るように第2搬送ベルト21によって引っ張られてシートは搬送されていく。シートの後端が第1搬送ベルト11の下流端を過ぎる前の早いタイミングで、シートは第2搬送ベルト21によって高速で搬送されるので、転写ニップN2から進行してきたシートが定着ニップNに達するまでの時間を短く、生産性が高い。
【0067】
その後、シートの後端が第1搬送ベルト11を過ぎてから、定着ニップNにシートの先端が到達する(図9(d)参照)。定着ニップNにシートの先端が到達するときには、シートの後端は既に第1搬送ベルト11の下流端を通過した後なので、第1搬送ベルト11の影響を受けることなく第2搬送ベルト21によって第2速度でシートは搬送される。
【0068】
ところで、上述の本実施の形態では、ラージサイズ搬送制御において、第1ベルト搬送部10の第1吸引ファン15の回転を停止(OFF)させ、第2ベルト搬送部20の第2吸引ファン25を動作(ON)させている。これによって、第1搬送ベルト11のシートS搬送力よりも第2搬送ベルト21のシートS搬送力が大きく作用させるようにして、第1搬送ベルト11上を滑るように第2搬送ベルト21によって引っ張られながらシートが搬送されていくようにした。しかしながら、例えば第1吸引ファン15を半速回転し、第2吸引ファン25は全速回転することによって、第1吸引ファン15と第2吸引ファン25とで吸引力に差を設け、第1搬送ベルト11の搬送力よりも第2搬送ベルト21の搬送力を大きくして第1搬送ベルト11上をシートが滑るようにしてもよい。また、第1吸引ファン15の回転を停止させる形態に変えて、第1吸引ファン15と第1搬送ベルト11との間にシャッタを設けるように構成してもよい。即ち、第1搬送ベルト11の搬送力を減らすために、シャッタによって第1吸引ファン15による気流を遮って第1搬送ベルト11によるシートの吸引力を少なくすることで第1搬送ベルト11の搬送力を減らすようにする。
【0069】
また、ラージサイズ搬送制御において、第2吸引ファン25を動作させたままにして、以下のように構成することで第1搬送ベルト11のシート搬送力よりも第2搬送ベルト21のシート搬送力を大きくして第1搬送ベルト11上をシートが滑るようにしてもよい。例えば、第1搬送ベルト11と第2搬送ベルト21に形成されている、穴の数や穴の大きさ、つまり開口率を調整しておくことによって、それぞれの搬送力を設計時に調整しておいてもよい。つまり、第2搬送ベルト21の開口率を第1搬送ベルト11の開口率より大きくすることで、第1吸引ファン25が第1搬送ベルト11にシートを吸引する力と第2吸引ファン25が第2搬送ベルト21にシートを吸引する力に差を設ける。これによって、第1搬送ベルト11のシート搬送力よりも第2搬送ベルト21のシート搬送力を大きくして第1搬送ベルト11上をシートが滑るようにしてもよい。また、第1搬送ベルト11の搬送面の摩擦係数を第2搬送ベルト11の搬送面の摩擦係数よりも小さくすることで、シートを吸引した状態の第1搬送ベルト11のシート搬送力よりもシートを吸引した状態の第2搬送ベルト21のシート搬送力を大きくして、第2搬送ベルト21によって引っ張られて第1搬送ベルト11上をシートが滑るようにしてもよい。例えば、搬送ベルトのシート搬送面にテフロン(登録商標)でコーティングを施すことによって、シート搬送面の摩擦係数が1.0〜1.2程度から0.3〜0.4程度まで小さくすることができる。そこで、第1搬送ベルト11のシート搬送面にテフロン(登録商標)でコーティングを施し、一方で、第2搬送ベルトを、例えば摩擦係数の高いゴムで構成する。このように、第1搬送ベルト11のシート搬送面の摩擦係数を、第2搬送ベルト21のシート搬送面の摩擦係数よりを小さく設定する。このように構成することで、シートを吸引した状態の第1搬送ベルト11のシート搬送力よりもシートを吸引した状態の第2搬送ベルト21のシート搬送力が大きくなり、より確実に第2搬送ベルト21によって引っ張られて第1搬送ベルト11上をシートが滑るように搬送させるようにしてもよい。
【0070】
ところで、上記のように第1搬送ベルト11と第2搬送ベルト21の開口率を調整する。または第1搬送ベルト11の摩擦係数を、第2搬送ベルト21の摩擦係数よりを小さく設定する。このように構成すると、定着速度が転写速度よりも速いモードであってスモールサイズのシートを搬送する際にも有利である。第1搬送ベルト11と第2搬送ベルト21にまたがってシートが搬送されている過渡状態(図9(c)参照)中における早い時期に、シートの速度が高速な第2搬送ベルト21に依存するようになる。よって、転写ニップN2からのシートが定着ニップNに到達するのが早くなるからである。なお、定着速度が転写速度よりも速いモードであってスモールサイズのシートを搬送する際、第1ベルト搬送部10の第1吸引ファン15による吸引を少なくして第1搬送ベルト11のシート搬送力を小さくするように制御してよい。この制御によっても、過渡状態(図9(c)参照)中におけるより早い時期に、シートの速度が高速な第2搬送ベルト21に依存する。
【0071】
また、上述の本実施の形態では、ラージサイズ搬送制御において、第2ベルト搬送部20搬送速度を、第1速度(転写速度)から第2速度(定着速度VF)に変更するタイミングを、シートの先端がシート先端検知センサー26によって検知されかどうかで制御部170が判断した。しかしながら、第2ベルト搬送部20の搬送速度を、第1速度から第2速度に速めるタイミングは、搬送されているシートの後端が2次転写ニップN2を通過した後であればよいので上記のような構成に限らない。例えば、レジストローラ115の近傍にシートを検知するセンサを設ける。そして、このセンサからの信号を受信してから、シートの後端が2次転写ニップN2までに要する時間が経過したどうかをタイマー666で計測する。このようにして、シートの後端が2次転写ニップN2を通過したことを制御部170が判断するようにしてもよい。また、転写ニップN2と第1搬送ベルト11との間にシートの後端が転写ニップN2を通過したことを検知するためのセンサを設け、そのセンサの信号に基づいて第2ベルト搬送部20の搬送速度を変更してもよい。
【0072】
以上説明した本第1実施の形態では以下の効果を奏する。
【0073】
(1)シートSの種類や坪量に応じて定着速度VFを変更している。このため、定着部の温度を一定な温調温度にしたままでシートの坪量と種別応じて適切な熱量を定着部がシートに与えることができる。
【0074】
(2)搬送方向の並んだ第1ベルト搬送部10および第2ベルト搬送部20を、2次転写ニップN2と定着ニップNとの間に備えている。そして、第1ベルト搬送部10の搬送速度V1は転写ニップN2から進行してくるシートを受ける第1速度にする。第2ベルト搬送部20の搬送速度V2を、第1速度と、第1速度よりも高速なシート先端を定着ニップNに進入させる第2速度の間で可変とした。したがって、2次転写ニップN2から定着ニップNまで、シートSをスムースに搬送することができる。2次転写ニップN2から定着ニップNの間でシートSの搬送速度が切り替えられるので、定着速度VFの設定値とは無関係に、転写速度VTを一定に保つことができる。
【0075】
(3)定着速度VFが転写速度よりも高速なモードであって、ラージサイズを搬送する場合でも、搬送方向に長さの短い搬送ベルトを用いて高い生産性で安定してシートを搬送できる。
【0076】
即ち、シート先端を定着ニップに進入させる第2速度に設定された第2搬送ベルト21によって、周速が第1速度である第1搬送ベルト11上を滑らせながら、高速な第2速度でシートを搬送させ、その状態でシートの先端を定着ニップNに到達させる。よって、第1搬送ベルト11の下流端から定着ニップNまでの搬送経路の長さが搬送されるシートの長さよりも小さくなるように第2搬送ベルト21を小型化しつつ、シートの速度を増速させることができる。そして、第2搬送ベルト21を小型化するとともにシートの後端が第1搬送ベルト11から離れる前の早い時期にシートの速度が高速な第2速度に変更されるので、2次転写ニップN2から進行してくるシートが定着ニップNに到達するのが早い。したがって、2次転写ニップN2から定着ニップNの間の長さを縮小できて画像形成装置を小型化できるとともに、生産性も高い。
【0077】
また、第1搬送ベルト11と第2搬送ベルト21とにまたいでいる先行シートを第2搬送ベルト21によって第2速度(定着速度)で搬送させながら、2次転写ニップN2から送られてくる後続シートを、第1速度で回転する第1搬送ベルト11で受け取ることができる。したがって、トナー像の転写が良好に行われながらも連続して搬送されるシート同士の間隔が狭いので生産性が高い。
【0078】
また、転写ニップN2から第2搬送ベルト21の上流端までの搬送経路の長さを小さくして画像形成装置の小型化を実現するために、ラージサイズのシートの場合には、シートの後端が転写ニップN2を通過するまでは、第2搬送ベルト21の周速を第1速度に設定し、その後に第2搬送ベルト21の周速を高速することで対応している。このように転写ニップN2から第2搬送ベルト21の上流端までの搬送経路の長さを小さくした上で、更に第1搬送ベルト11の下流端からシートの後端が脱するより早いタイミングでシートの速度が高速に変更されるので、転写ニップN2から定着ニップNにシートが到達するまでの時間が短い。
【0079】
以上のように、2次転写ニップN2と定着ニップNの間の長さが小さい構成とし、また転写速度VTに対して定着速度VFが速い場合において高い生産性でスムースにシートを搬送することが可能となる。
【0080】
(4)転写ニップN2から第2搬送ベルト21の上流端までの長さより短くかつ第1搬送ベルト12の下流端から定着ニップNまでの長さよりも短いスモールサイズのシートの場合には定着速度が転写速度よりも早いモードであっても以下のように制御している。即ち、シートの搬送中に第1、第2搬送ベルトの周速や吸引状態を変更することなくシートを搬送していく。よって、この場合には、シートの搬送過程における複雑な制御を要さずに、より早いタイミングでシートの速度が高速に変更されて生産性が高い。
【0081】
(5)搬送可能な最大サイズのシートの長さよりも2次転写ニップN2と定着ニップNとの間の距離が長い。したがって未定着トナー像を担持したシートS1は、例えば図9(b)に示すように、シートS1の後端が2次転写ニップN2を抜けた後、シートS1の先端が定着ニップNに到達する。したがって、厚紙が定着ニップNに突入する際に発生するショックが発生しても、シートS1後端が2次転写ニップN2を抜けているため、画像不良を抑制できる。
【0082】
(第2実施形態)
第1実施形態では、ラージサイズ搬送制御においてシートの搬送中に、第2ベルト搬送部20の搬送速度を変更し、ラージサイズ搬送制御においてシートの搬送中に、第1吸引ファン15や第2吸引ファン25の吸引動作は変更していない。以下で説明する第2実施形態では、ラージサイズ搬送制御において、シートの搬送中に第2ベルト搬送部20の搬送速度を変更せずに、第1ベルト搬送部10や第2ベルト搬送部20での吸引動作を変更する点が第1実施形態と異なる。第1実施形態の同様の構成に関しては詳細な説明を省略し、第1実施形態と異なる点について詳述する。
【0083】
図11は、第2実施形態の画像形成装置における2次転写部131から定着部50までの間の拡大図である。図11に示したように、第1搬送ベルト11における定着部50の側には、シートの先端を上流側検知位置P1にて検知する、上流側シート先端検知センサー16が設けられている。
【0084】
次に、第1、第2ベルト搬送部10、20において搬送ベルトにシートを吸引するための構成について、図12および図13を用いて詳述する。第1ベルト搬送部10と第2ベルト搬送部20の構成は同じ構成であるため、ここでは第2ベルト搬送部20について説明し、第1ベルト搬送部10についての詳細な説明は省略する。
【0085】
図13は、構成の理解を容易にするために第2搬送ベルト21の描図を省略した状態での第2ベルト搬送部20の斜視図である。第2搬送ベルト21の内側に、第2吸引ファン25を内包したフレーム951が設けられている。フレーム951の上面には、一対の吸引口25aが形成されている。第2搬送ベルト21と第2吸引ファン25の間でスライド移動可能に一対の第2シャッタ27がフレーム951に保持されている。第2シャッタ27は、吸引口25aを開放する位置(図12(a)、図13(a)参照))と、吸引口25aを閉じた位置(図12(b)、図13(b)参照))の間を、スライド移動することができるようにフレーム951に保持されている。
【0086】
つまり、第2吸引ファン25やフレーム951とともに第2吸引装置を構成する第2シャッタ27をスライド移動させることで、第2ベルト搬送部20において、第2搬送ベルト21に対するシートの吸引状態を変更できるようになっている。なお、以下では、吸引口25aを開放したときの第2シャッタ27の位置(図12(a)、図13(a)参照))を開き位置とよび、吸引口25aを閉じる第2シャッタ27の位置(図12(b)、図13(b)参照))を閉じ位置とよぶ。第2シャッタ27が図12(a)や図13(a)に示した開き位置にあるとき、第2搬送ベルト21にシートが吸引され、第2シャッタ27が、第2シャッタ27が図12(b)や図13(b)に示した閉じ位置にあるとき、第2搬送ベルト21にシートが吸引されない。
【0087】
第2シャッタ27にはそれぞれラックギアが設けられている。ラックギアと噛合うピニオンギア28を介して、第2シャッタ駆動モータ30からの駆動力を第2シャッタ27に伝達することによって、第2シャッタ27をシートの幅方向にスライドさせ、第2吸引ファン25の吸引口25aを開閉するようになっている。
【0088】
また、第2シャッタ27にはそれぞれフラグ27bが設けられている。第2シャッタ27を図12(a)、図13(a)のような開き位置へ移動させる場合には、以下のようにする。即ち、第2シャッター駆動モータ30を駆動し、第2シャッタ検知センサー29の光軸をフラグ28bが遮って第2シャッタ検知センサー29からの信号がOFFからONになったときに第2シャッタ駆動モータ30を停止させる。逆に、図12(b)、図13(b)のように第2シャッタ27を閉じ位置へ移動させる場合には、第2シャッター駆動モータ30を所定のパルス数だけ逆に回転させる。
【0089】
シャッターならびにそれを移動させるための機構についても第1ベルト搬送部10と第2ベルト搬送部20とは同様である。即ち、第1搬送ベルト11の内側であって、第1吸引ファン15と第1搬送ベルト11との間に、第1吸引ファン15とともに第1吸引装置を構成する第1シャッタが設けられている。そして、第1シャッタは第1シャッタ駆動モータによってスライド移動される。
【0090】
図14に示したように本第2実施形態では、制御部1170に、上流側先端検知センサー16およびシート先端検知センサー26からの信号が入力される。第1、第2搬送ベルト駆動モータ14、24や、加熱ローラ駆動モータ54の動作を制御部1170は制御する。制御部1170には、第1シャッタ検知センサー19、第2シャッタ検知センサー29からの信号が入力される。制御部1170は、第1シャッタ検知センサー19、第2シャッタ検知センサー29からの信号に基づいて、第1、第2シャッタ駆動モータ31、30を動作させて、シャッタを閉じ位置と開き位置との間を移動させるように制御する。つまり、制御部1170は、第1吸引ファン15、第1シャッタ駆動モータ31、第1シャッタ17を含む第1吸引装置と、第2吸引ファン25、第2シャッタ駆動モータ30、第2シャッタ27等を含む第2吸引装置とで構成される吸引手段の吸引動作を制御する。
【0091】
また、制御部1170は、定着速度VFの速度調整に対応して、第2ベルト搬送部20の搬送速度である第2速度も、300〜480mm/secの範囲で変更するように制御する。この第2ベルト搬送部20の搬送速度の変更は、制御部1170が第2搬送ベルト駆動モータ24を制御することによって行われる。
【0092】
以下、2次転写ニップN2から定着部50にいたるまでのシート搬送の動作および制御について、図15、図16のフローチャートおよびシートの搬送状態を示した図17、図18の動作説明図を用いて詳述する。
【0093】
制御部1170は、操作部等より入力されたシートに関する情報のうちの種別と坪量から図4でのいずれのモードかを判断する。即ち、制御部170は、図4のテーブルを参照し、転写速度と定着速度とが同じモード(モード4)であるかどうかを判断する(ステップ101(以下ステップをSと省略して記す))。
【0094】
モード4以外のモード(転写速度よりも定着速度が速いモード)であった場合には(S101でNO)、シートの種類に関する情報のうちサイズ情報から、シートのサイズがスモールサイズか否かを制御部1170が判断する(S102)。本実施形態では、搬送されるシートの搬送方向の長さが、2次転写ニップN2から第2搬送ベルト25の上流端までの長さより短くかつ第1搬送ベルト15の下流端から定着ニップNまでの長さよりも短い場合に、スモールサイズであると判断する。スモールサイズでない場合は、図16で示したラージサイズ搬送制御を制御部1170は実行する。図17および図18は、転写速度よりも定着速度が速いモードであってシートのサイズがラージサイズの場合の制御(以下ラージサイズ搬送制御)を行ったときのシート搬送の動作を時系列的に示した説明図である。
【0095】
図16に示したラージサイズ搬送制御では、シートの種別と坪量に応じて図4で示した定着速度VFとなるように加熱ローラ駆動モータ54を制御部1170が制御する(S121)。また、制御部1170は、第1ベルト搬送部10の搬送速度が、転写ニップN2から進行してくるシートを受け入れて搬送する第1速度として、転写速度と同じ300mm/secになるように、第1搬送ベルト駆動モータ14を制御する(S121)。制御部170は、第2ベルト搬送部20の搬送速度が、シートの先端を定着ニップNに進入させるときの第2速度として、定着速度VFと同じ速度になるように、第2搬送ベルト駆動モータ24を制御する(S121)。そして、制御部1170は、第1ベルト搬送部10において第1搬送ベルト11にシートが吸引されるように(ON)制御する。具体的は、第1吸引ファン15が第1搬送ベルト11にシートを吸引するように第1シャッタ17を開き位置に移動させるべく、第1シャッタ駆動モータ31の動作を制御部1170が制御する。一方、制御部1170は、第2ベルト搬送部20での第2搬送ベルト21にシートが吸引されないように(OFF)、制御する。つまり、第2吸引ファン25が第2搬送ベルト21へシートを吸引しないように、第2シャッタ27を閉じ位置に移動させるべく、第2シャッタ駆動モータ30の動作を制御部1170が制御する(S121)。
【0096】
なお、転写ニップN2から進行してくるシートを受けて搬送するときの第1ベルト搬送部10の第1速度として、転写速度と同じ速度であることをここでは例示しているが、しかし、第1ベルト搬送部10の第1速度としては、転写ニップN2から進行してくるシートをトナー像の転写に影響が少ない状態でスムースに搬送でき得る速度であればよく、転写速度と必ずしも一致していなくてもよいことは既述の第1実施形態と同様である。
【0097】
また、シートの先端を定着ニップNに進入させるときの第2ベルト搬送部20の第2速度として、定着速度VFと等速であることをここでは例示している。しかし、第2ベルト搬送部20の上記第2速度としては、シートの先端を定着ニップNに進入させるときにトナー像の定着が良好に行われるように搬送でき得る速度であればよく、定着速度VFと必ずしも一致していなくてもよいことは、既述の第1実施形態と同様である。
【0098】
S121において設定した動作状態で、2次転写ニップN2から送り出されてきたシートが第1ベルト搬送部10によって搬送される。このとき、第1搬送ベルト11の周速(第1ベルト搬送部10の搬送速度)は、転写ニップN2から進行してくるシートを受け入れて搬送するときの第1速度(本実施形態では、転写速度である300mm/secと同じ速度)に設定されているとともに第1搬送ベルト11への吸引が行われているので、スムースにシートが搬送される(図17(a)参照)。
【0099】
やがて、第1ベルト搬送部10によってシートが第2ベルト搬送部20へ送られ、シートの先端側が第2ベルト搬送部20上に到達する(図17(b)参照)。ここで、第2搬送ベルト21へのシートの吸引はされていない。よって、吸引動作の行なわれている第1ベルト搬送部10の第1搬送ベルト11の搬送力は第2ベルト搬送部20の第2搬送ベルト21の搬送力よりも大きい。したがって、第1搬送ベルト11と第2搬送ベルト21とにまたがっているシートの先端側と、周速が転写速度よりも高速な第2速度に設定されている第2搬送ベルト21の周面とは滑り、シート自体は第1搬送ベルト11の周速である第1速度で搬送される。このように、第1速度よりも高速な第2速度となっている第2搬送ベルト21に、2次転写ニップN2においてトナー像が転写されている最中のシートの先端側が接しているものの、シートは第1搬送ベルト11によって第1速度で搬送される。したがって、2次転写ニップN2でのトナー像の転写は良好に行われる。なお、吸引手段の動作を制御することで、第1ベルト搬送部10の搬送力よりも第2ベルト搬送部20の搬送力は小さくして、第2搬送ベルト21とシートを滑らせて第1搬送ベルト11の周速で搬送する状態を以下では第1吸引状態と呼ぶ。
【0100】
その後、第1ベルト搬送部10と第2ベルト搬送部20によって搬送されているシートの先端が検知位置Pにおいてシート先端検知センサー26によって検知されたかどうかを制御部1170が判断する(S122)。第1ベルト搬送部10と第2ベルト搬送部20によって搬送されているシートの先端がシート先端検知センサー26によって検知されたら(S122のYES)、S123に移行する。S123では、制御部1170は、第1搬送ベルト11にシートの吸引がなされないように、第1シャッタ駆動モータ31の動作を制御して、第1シャッタ17を閉じ位置に移動させる。さらに、制御部1170は、第2搬送ベルト21にシートの吸引がされるように第2シャッタ駆動モータ30の動作を制御して、第2シャッタ27を開き位置に移動させる。
【0101】
この状態では、第1搬送ベルト11へのシートの吸引はされておらず、第2搬送ベルト21へのシートの吸引はされている(第2吸引状態)。よって、吸引動作の行なわれている第2ベルト搬送部20の第2搬送ベルト21の搬送力は第1ベルト搬送部10の第1搬送ベルト11の搬送力よりも大きい。図17(c)は、第1ベルト搬送部10と第2ベルト搬送部20によって搬送されているシートの先端が第2シート先端検知センサー26に到達し、シート吸引の動作状態の変更が完了したときの状態を示している。
【0102】
ここで、検知位置Pは、シートの先端が検知位置Pに到達したときにそのシートの後端が2次転写ニップN2を既に通過しているような位置に設定されている。よって、シート吸引の動作状態を第1吸引状態から第2吸引状態に変更するとき、シートの後端は既に2次転写ニップN2を通過している。したがって、吸引状態を第2吸引状態に変更することに起因したシートへのトナー像の転写に対する影響はない。また、検知位置Pは、シートS1の先端が定着部50の定着ニップNに到達するまでに、第1シャッタ17を閉じ位置に、第2シャッタ27を開き位置に、移動させることができる位置に設定されている。
【0103】
ここで、第1搬送ベルト11へのシートの吸引が行なわれず、第2搬送ベルト21へのシートの吸引が行われた状態となることで以下のようにシートは搬送されていく。即ち、吸引動作の行われている第2搬送ベルト11の搬送力は、吸引動作が行なわれていない第1搬送ベルト11の搬送力よりも大きい。したがって、周速が第1搬送ベルト11の周速よりも速い第2速度に設定された第2搬送ベルト21によって、第1搬送ベルト11および第2搬送ベルト21の上にあるシートは、第2搬送ベルト21によって引っ張られて第1搬送ベルト11の外周を滑りながら、シートの先端を定着ニップNに進入させるときの第2速度(本実施形態では定着速度VF)で搬送される。そしてシートは、第2搬送ベルト21によって引っ張られて第1搬送ベルト11の外周を滑りながら第2速度で、先端が定着ニップNに到達する。
【0104】
このように、第2搬送ベルト21によって搬送されているシートS1の先端が定着ニップNに到達する際、シートは、第2搬送ベルト21によってシートの先端を定着ニップNに進入させるときの第2速度で搬送されている。仮にシート先端の定着ニップNへの進入時にシートの速度と、定着ニップNでの定着速度とが大きく異なっていると定着不良が発生する。第2搬送ベルト21によって引っ張られて第1搬送ベルト11上を滑りながら搬送されているシートは、シートの先端を定着ニップNに進入させるときの第2速度(定着速度VF)で搬送されるので、トナー像の定着に際して不具合が発生することがない。
【0105】
次に、制御部1170はシートの先端が定着ニップNに到達したかどうかを判断する(S24)。シートの先端が定着ニップNに到達した後に(S124のYES)、制御部1170は、第1搬送ベルト11にシートの吸引がされるように第1シャッタ駆動モータ31の動作を制御して、第1シャッタ17を開き位置に移動させる(S125)。なお、本実施形態では、シートの先端が定着ニップNに到達したかどうかは以下のように制御部1170が判断している。即ち、シート先端検知センサー26からシートの先端を検知したことを示す信号を制御部1170が受信する。制御部170は、シート先端検知センサー26からの信号を受信してからシートの先端が定着ニップNに到達するのに要する所定時間が経過したかどうかをタイマー666で計測する。このようにしてシートの先端が定着ニップNに到達したかどうかを制御部1170が判断する。
【0106】
シートの先端が定着ニップNに挟持された後、定着ニップNで挟持されているシートが、定着速度よりも低速な第1速度で回転している第1搬送ベルト11に吸引がされる(図18(a)参照)。しかし、定着ニップNでの挟持圧力は高圧なので、定着部50の搬送力は第1搬送ベルト11の搬送力よりも強い。よって、定着速度VFよりも低速な第1速度で回転している第1搬送ベルト11によって定着ニップNにバックテンションが仮にかかったとしても、定着部50はシートを定着速度VFで安定して搬送していくことができるので、定着不良は生じない。
【0107】
また、シートの先端が定着ニップNに挟持された後であってそのシート後側が第1搬送ベルト11上にある状態で、第1搬送ベルト11にシートが吸引されるようにするのは、以下の更なる理由がある。即ち、先行するシートS1が定着ニップNによって搬送されている最中に、後続シートS2の先端を第1搬送ベルト11に到達させることができるようにするためである(図18(a)参照)。つまり、2次転写ニップN2に挟持されている後続シートS2は、シートの吸引が行われていて、転写ニップN2から進行してくるシートを受け入れて搬送するときの第1速度に設定されている第1搬送ベルト11によって搬送されるので、安定して後続シートS2の搬送ができ、転写不良の発生は生じない。これによって連続するシート同士の間隔を短くして搬送できるので生産性の高い画像形成装置を提供できる。
【0108】
次に、制御部1170が後続シートS2の先端が上流側検知位置P1に到達したかどうかを上流側シート先端検知センサ16からの信号に基づいて判断する(S126)。後続シートS2の先端が上流側検知位置P1に到達したら(S126のYES)、制御部1170は、第2搬送ベルト21にシートが吸引されなくするために第2シャッタ27を閉じ位置に移動させるように第2シャッタ駆動モータ30の動作を制御する(S127)。
【0109】
このように先行シートの先端が定着ニップNに挟持された後であってそのシートの一部が第2搬送ベルト21上にある状態で、第2搬送ベルト21にシートの吸引がされなくしている(第1吸引状態)。これは、シートの先端が定着ニップNに挟持された後、第2搬送ベルト21に必要とされる機能は、補助的な搬送で充分だからである。つまり、定着ニップNでの挟持圧力は高圧であって、定着ニップNによって挟持されてシートは定着速度VFで搬送されるので定着に不良が発生することはない。
【0110】
また、このように定着ニップNに挟持されているシートの後側が第2搬送ベルト21上にある状態で、第2搬送ベルト21にシートの吸引がされなくなるように制御するのには、以下の理由がある。先行するシートS1が定着ニップNによって搬送されているときに、後続シートS2の先端を第2搬送ベルト21に到達させることができるようにするためである。これによって連続するシート同士の間隔を短くして搬送できるので生産性の高い画像形成装置を提供できる。つまり、後続シートS2の後端側が2次転写ニップN2にあって且つこの後続シートS2の先端側が第2搬送ベルト21上に載るものの、第2搬送ベルト21にシートの吸引がされていないので、第1搬送ベルト11によって後続シートS2を安定して第1速度で搬送ができるので、転写不良の発生が防がれている。
【0111】
その後、制御部1170は、ジョブが終了したかどうかを判断し(S128)、ジョブが終了していなければ、S122に戻り、ジョブが終了していれば、図15のS103に戻って終了する。
【0112】
以上のように、第1搬送ベルト11および第2搬送ベルト21の搬送方向の長さを小さくして装置を小型した装置が提供できている。そして、転写速度VTよりも定着速度VFが速い場合であっても、第1搬送ベルト11および第2搬送ベルト21へのシートの吸引状態を変更してシートを搬送していくことで安定したシート搬送が実現される。また、第1搬送ベルト11および第2搬送ベルト21へのシートの吸引状態を変更することで、先行するシートS1の後端と後続シートS2との先端の間隔を小さくして、シートを搬送することが可能となる。
【0113】
図15のS101での判断で、モード4である場合、即ち、定着速度が転写速度と同じ速度であると制御部1170が判断した場合には、S104に移行する。そして、S104において、制御部1170は、第1ベルト搬送部10および第2ベルト搬送部20でのシートの吸引動作が行なわれるように第1、第2シャッタ駆動モータ30、31を制御する。また、制御部1170は、第1ベルト搬送部10の搬送速度が、第1速度(本実施形態では、転写速度と同等な300mm/sec)となるように、第1搬送ベルト駆動モータ14を制御する。制御部1170は、第2ベルト搬送部20の搬送速度が、第1速度(本実施形態では、転写速度と同等な300mm/sec)となるように、第2搬送ベルト駆動モータ24を制御する。この状態のまま、連続してシートを搬送していく。このときの搬送状態は、既述の第1実施形態で図10での状態と同様なので、説明を省略する。
【0114】
図15のS101で、モード4でない場合(定着速度が転写速度よりも速い場合)であって、シートのサイズがスモールサイズである場合(S102のYES)には、S105に移行する。そして、S105において、制御部1170は、第1ベルト搬送部10および第2ベルト搬送部20でのシートの吸引動作が行なわれるように第1、第2シャッタ駆動モータ30、31を制御する。また、制御部1170は、第1ベルト搬送部10の搬送速度が、第1速度(転写速度と同等な300mm/sec)となるように、第1搬送ベルト駆動モータ14を制御する。また、制御部1170は、第2ベルト搬送部20の搬送速度が、第2速度(定着速度VFと同等な速度)となるように、第2搬送ベルト駆動モータ24を制御する。この状態のまま、連続するシートを搬送していく。このときの搬送状態は、既述の第1実施形態において、図9で説明した状態と同様なので、説明を省略する。
【0115】
なお、上述の実施形態では、第1ベルト搬送部10において、閉じ位置にある第1シャッタ17が第1吸引ファン15と第1搬送ベルト11の間の開口を概ね完全に覆っている。そして、閉じ位置にある第2シャッタ27が開口を概ね完全に覆っている。しかし、ラージサイズ搬送制御において、シートにトナー像を転写している最中では、第1搬送ベルト11の搬送力が第2搬送ベルト21の搬送力よりも大きくしてシートと第2搬送ベルト21が滑るように第1吸引装置及び第2吸引装置が動作すればよい。また、シートへのトナー像の転写が終了してそのシートを定着ニップNに進入させる際には、第2搬送ベルト21の搬送力が第1搬送ベルト11の搬送力が大きくなって第1搬送ベルト11とシートが滑るように第1吸引装置及び第2吸引装置が動作すればよい。したがって、例えば、第1シャッタ17が閉じ位置において開口を完全には覆わずに開口の過半を覆い、第2ベルト搬送装置20では第2シャッタ27が開口を閉じ位置において完全には覆わずに開口の過半を覆うようにしてもよい。
【0116】
また、この第2実施形態では、第1ベルト搬送部10および第2ベルト搬送部20においてシャッタを用いてシートの吸引状態を変更する形態を例示した。しかし、第1ベルト搬送部10および第2ベルト搬送部20において、第1吸引ファン15と第2吸引ファンの回転を制御することでシートの吸引状態を変更するように構成してもよい。例えば、ラージサイズ搬送制御において、シートへトナー像を転写している最中では、第1吸引ファン15を最大速で回転させるとともに第2吸引ファン25の回転を停止(若しくは最大速の半速で回転)させる。シートへトナー像が終了してそのシートを定着ニップNに進入させる際には、第2吸引ファン15を最大速で回転させるとともに第1吸引ファン25の回転を停止若しくは最大速の半速で回転させる。
【0117】
また、ラージサイズ搬送制御において、第1ベルト搬送部10および第2ベルト搬送部20において第1吸引状態から第2吸引状態に切り換えるタイミングを、シートの先端がシート先端検知センサー26によって検知されかどうかで制御部1170が判断した。しかしながら、第2吸引状態に切り換えるタイミングは、搬送されているシートの後端が2次転写ニップN2を通過した後であればよいので上記のような構成に限らない。例えば、レジストローラ115の近傍にシートを検知するセンサを設ける。そして、このセンサからの信号を受信してから、シートの後端が2次転写ニップN2を通過するのに要する時間が経過したかどうかをタイマー666で計測する。このようにして、シートの後端が2次転写ニップN2を通過したことを制御部1170が判断するようにしてもよい。また、転写ニップN2と第1搬送ベルト11との間にシートの後端が転写ニップN2を通過したことを検知するためのセンサを設け、そのセンサの信号に基づいて吸引状態を第1吸引状態から第2吸引状態に変更してもよい。
【0118】
同様に、ラージサイズ搬送制御において、後続のシートの先端を上流側シート先端検知センサー16によって検知したタイミングで、第2ベルト搬送部20での吸引動作をなくして第1吸引状態に戻す形態を例示したが、これに限らない。第1ベルト搬送部10および第2ベルト搬送部20の吸引状態を第1吸引状態に戻すタイミングは、後続のシートS2が第2搬送ベルト21に到達するより早いタイミングであればよい。例えば、レジストローラ115の近傍にシートを検知するセンサを設け、このセンサからの信号に基づいて、第2搬送ベルト21に到達するより早いタイミングで第2ベルト搬送部20での吸引動作をなくして、吸引状態を第1吸引状態に戻すようにしてもよい。
【0119】
以上説明した本第2実施の形態では以下の効果を奏する。
【0120】
(1)シートSの種類や坪量に応じて定着速度VFを変更している。定着部の温度を一定な温調温度にしたままでシート種類に応じて適切な熱量を定着部がシートに与えることができる。
【0121】
(2)搬送方向の並んだ第1ベルト搬送部10および第2ベルト搬送部20を2次転写ニップN2と定着ニップNとの間に備えている。そして、第1ベルト搬送部10の搬送速度V1を転写ニップN2から進行してくるシートを受ける第1速度する。一方で、第2ベルト搬送部20の搬送速度V2を、定着速度VFに応じて変更している。したがって、シートの種別と坪量に応じて変更される定着速度VFの設定値とは無関係に、転写速度VTを一定に保ってシートを搬送していくことができる。
【0122】
(3)定着速度VFが転写速度よりも高速なモードであって、ラージサイズを搬送する場合でも、搬送方向に長さの短い搬送ベルトを用いて高い生産性で安定してシートを搬送できる。
【0123】
即ち、2次転写ニップN2においてトナー像が転写されているシートを搬送しているときには、第1搬送ベルト11の搬送力が第2搬送ベルト21の搬送力よりも大きくしてシートと第2搬送ベルト21とが滑るようにしている。(第1吸引状態)。したがって、第1搬送ベルト11と第2搬送ベルト21とにまたいだ状態にある、トナー像が転写されている最中のシートSを、第1速度で搬送することができるので、トナー像のシートへの転写が良好に行われる。
【0124】
そして、シートの後端が2次転写ニップN2を通過した後に、第1搬送ベルト11の搬送力よりも第2搬送ベルト21の搬送力が大きくして、シートと第1搬送ベルト11とが滑るようにしている(第2吸引状態)。したがって、第1搬送ベルト11と第2搬送ベルト21に跨いだ状態にある、トナー像の転写が終了したシートの搬送速度を、第2速度にすることができる。そして、第1搬送ベルト11と第2搬送ベルト21とにまたいだ状態にあるシートの先端を第2速度で搬送しながら定着ニップNに到達させることができる。
【0125】
以上のように、転写ニップN2から第2搬送ベルト21の上流端までの長さや第1搬送ベルト11の下流端から定着ニップNまでの搬送経路の長さを、最大シートの長さよりも小さくして装置を小型化できている。このように小型な装置構成をとりながらも、トナー像の転写中は第1速度でシートを搬送し、転写後には高速な第2速度で安定してシートを搬送することができる。
【0126】
さらに、先行するシートの先端が定着ニップNに到達した後であって、シートの後側が未だ第1搬送ベルト11上にある状態で、第1搬送ベルト11にシートを吸着させるように第1吸引装置の動作を制御している(図18(a)参照)。この制御によって、定着ニップNで搬送されている先行するシートの後側が第1搬送ベルト11にある状態でも、2次転写ニップN2から送られてくる後続シートを、第1搬送ベルト11によって第1速度で安定して搬送することができる。したがって、トナー像の後続シートへの転写が良好に行われながらも連続して搬送されるシート同士の間隔が狭くして生産性を向上できる。
【0127】
また、先行するシートの先端が定着ニップNに到達した後であってその先行シートの後側が未だ第2搬送ベルト21上にある状態で且つ後続シートS2が第2搬送ベルト21に到達する前に、第1状態に吸引状態が変更されるように制御している(図18(b)参照)。つまり、第2ベルト搬送部20の搬送力よりも第1ベルト搬送部10の搬送力が大きくなるようにそれぞれの吸引状態を変更する。この制御によって、先行するシートの後側が第2搬送ベルト21にある状態でも、2次転写ニップN2から送られてくる後続シートを、第1搬送ベルト11と第2搬送ベルト21を跨がせた状態で、第1速度で安定して搬送することができる。したがって、トナー像の後続シートへの転写が良好に行われながらも連続して搬送されるシート同士の間隔が狭くして生産性を向上できる。
【0128】
以上のように、本実施形態の画像形成装置では、小型な装置でありながら、転写速度VTに対して定着速度VFが速い場合であっても、先行シートの後端と後続シートの先端の間隔が小さい状態で、スムースなシート搬送をすることが可能となる。
【0129】
(4)トナー像の転写終了後のシートが第1搬送ベルト11と第2搬送ベルト21にまたがって搬送されているときに、シートの後端側と第1搬送ベルト11を滑らせるように第2搬送ベルトがシートを引っ張りながら、転写速度よりも高速にシートを搬送させる。よって、シートの後端が第1搬送ベルト11の下流端から脱するより早いタイミングでシートの速度が高速に変更される。したがって、転写ニップN2から進行してきたシートが定着ニップNに達するまでに要する時間が短く、生産性が高い。
【0130】
(5)搬送可能な最大サイズのシートの長さよりも2次転写ニップN2と定着ニップNとの間の距離が長い。したがって未定着トナー像を担持したシートS1は、例えば図10(b)に示すように、シートS1の後端が二次転写ニップN2を抜けた後、シートS1の先端が定着ニップNに到達する。したがって、厚紙が定着ニップNに突入する際に発生するショックが発生しても、シートS1後端が2次転写ニップN2を抜けているため、画像不良を抑制できる。
【0131】
(6)また、第1ベルト搬送部10の吸引ファン15による吸引の有無をシャッタ17の開閉に行い、第2ベルト搬送装置20でもシャッタ27を用いる形態では更に以下の効果がある。即ち、応答性よく吸引ファンによる吸引状態を変更できる。
【0132】
また、シャッタ17、27を用いずに第1、第2吸引ファンの回転動作を制御することで第1、第2搬送ベルト11、21へのシートの吸引状態を変更する形態では、吸引状態の変更のために別途のデバイスを追加する必要がないので低コストである。
【0133】
以上説明した第1、第2実施形態では、一例としてフルカラーのトナー像をシートに形成する画像形成装置を説明したが、モノクロ画像を形成する画像形成装置にも適用できる。
【符号の説明】
【0134】
N2 2次転写ニップ
11 第1搬送ベルト11
15 第1吸引ファン
21 第2搬送ベルト
25 第2吸引ファン
50 定着部
170、1170 制御部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
転写速度で搬送されているシートにトナー像を転写する転写ニップと、
前記転写ニップにおいてトナー像が転写されたシートを搬送する第1搬送ベルトと、
前記第1搬送ベルトよりもシートの搬送方向の下流側に設けられ、吸引されたシートを搬送する第2搬送ベルトと、
前記第2搬送ベルトよりもシートの搬送方向の下流側に設けられ、シートを搬送しながらシートにトナー像を定着する定着ニップと、を備え、
前記転写速度よりも高速な速度で前記定着ニップがシートを搬送しながらトナー像をシートに定着する高速定着モードを有する画像形成装置であって、
前記高速定着モードにおいて、前記第1搬送ベルトの周速を、前記転写ニップから進行してくるシートを受ける第1速度に、前記第2搬送ベルトの周速を、シート先端を前記定着ニップに進入させる、前記第1速度よりも高速な第2速度に、設定したままで、前記転写ニップから前記定着ニップへシートを搬送させ、前記第1搬送ベルトと前記第2搬送ベルトに跨ったシートが、前記第1搬送ベルト上を滑るように前記第2搬送ベルトによって引っ張られて前記第1速度よりも高速で搬送されることを特徴する画像形成装置。
【請求項2】
前記高速定着モードにおいて、前記転写ニップから前記第2搬送ベルトの上流端までの長さよりも搬送方向の長さが長いシートを搬送する場合には、前記転写ニップをシートが通過中、前記第2搬送ベルトの周速が前記第1速度に設定し、該シートの後端が前記転写ニップを脱した後であって且つ該シートの先端が前記定着ニップに到達するまでに、前記第2搬送ベルトの周速が前記第1速度から前記第2速度に変更されることを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記第1搬送ベルトおよび前記第2搬送ベルトのそれぞれにシートを吸引するための吸引手段と、
前記吸引手段の吸引動作を制御する制御部と、を備え、
前記高速定着モードにおいて、前記転写ニップから前記第2搬送ベルトの上流端までの長さよりも搬送方向の長さが長いシートを搬送する場合には、前記転写ニップをシートが通過中、前記第1搬送ベルトへのシートの吸引動作を行い前記第2搬送ベルトへのシートの吸引動作を行わない状態とし、該シートの後端が前記転写ニップを脱した後であって且つ該シートの先端が前記定着ニップに到達するまでに、前記第1搬送ベルトへのシートの吸引動作を行わず前記第2搬送ベルトへのシートの吸引動作を行なわせるように前記吸引手段の吸引動作を前記制御部が制御することを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記第1搬送ベルトの下流端から前記定着ニップまでの長さよりも搬送方向の長さが長いシートを搬送する場合には、前記第1搬送ベルト上を滑るように前記第2搬送ベルトによって引っ張られてシートが搬送されながら、該シートの先端が前記定着ニップに到達することを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記第1搬送ベルトおよび前記第2搬送ベルトのそれぞれにシートを吸引するための吸引手段を有し、
前記第2搬送ベルトの周面の摩擦係数が、前記第1搬送ベルトの周面の摩擦係数よりも大きくなるように構成され、前記吸引手段によって該シートが吸引された前記第2搬送ベルトが、前記吸引手段によってシートが吸引された前記第1搬送ベルト上をシートが滑るように引っ張って搬送することを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【公開番号】特開2012−83416(P2012−83416A)
【公開日】平成24年4月26日(2012.4.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−227529(P2010−227529)
【出願日】平成22年10月7日(2010.10.7)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】