説明

画像形成装置

【課題】誤装着であることを認識しやすく、装置の大型化を抑制しつつ、装置本体やプロセスカートリッジの変形を抑制できる画像形成装置の提供
【解決手段】着脱可能なプロセスカートリッジ7と、プロセスカートリッジ7を装着する装着部101と、を有し、プロセスカートリッジ7の種類ごとに固有の識別形状の識別切欠き73を有する画像形成装置において、装着部101は、プロセスカートリッジ7を装着方向と反対方向へと付勢する識別付勢手段(識別部16、圧縮バネ17)を有し、識別付勢手段は、識別切欠き73に対応した固有の識別部16を有し、装着するプロセスカートリッジ7の種類が適切な場合は、識別部16は識別切欠き73と干渉せず、装着するプロセスカートリッジ7の種類が適切でない場合は、識別部16が識別切欠き73と当接して、プロセスカートリッジ7を装着方向と反対方向へと付勢することを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複写機、プリンタ、ファクシミリ等の画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、複数のプロセスカートリッジを一列に並べたインライン型の画像形成装置がある。この種の画像形成装置に用いる複数のプロセスカートリッジは、それぞれ画像形成装置本体の所定の位置に装着される必要がある。そのため、このプロセスカートリッジは、それぞれ指定された装着位置以外には装着できない構造になっている。また、1つのプロセスカートリッジを用いる単色の画像形成装置においても、装置本体の仕様や型式に対応したプロセスカートリッジのみを装着可能とし、機能の異なるプロセスカートリッジを装着できない構成になっている。
【0003】
そこで、従来からプロセスカートリッジを誤った位置に誤装着することを抑制する多くの構成が提案されている。例えば、プロセスカートリッジの画像形成装置への装着位置に装着キーなどの凹凸形状を設け、収容する現像剤の色毎に装着キーの位置を変えておく方法がある(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2003−084534号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1では、ユーザーが誤装着であることを認識しにくく、誤装着であることを認識せずに強引にプロセスカートリッジを挿入すると、装置本体やプロセスカートリッジが変形してしまうおそれがある。これに対し、誤装着の場合に干渉する範囲を大きくして、装置本体やプロセスカートリッジの変形を抑制することもできるが、装置の大型化を招くといった課題がある。
【0006】
そこで本発明は、誤装着であることを認識しやすく、装置の大型化を抑制しつつ、装置本体やプロセスカートリッジが変形を抑制できる画像形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために本発明に係る画像形成装置の代表的な構成は、着脱可能なカートリッジと、前記カートリッジを装着する装着部と、を有し、前記カートリッジは、カートリッジの種類ごとに固有の識別形状のカートリッジ側識別部を有する画像形成装置において、前記装着部は、前記カートリッジを装着方向と反対方向へと付勢する識別付勢手段を有し、前記識別付勢手段は、前記カートリッジ側識別部に対応した固有の装着部側識別部を有し、前記カートリッジを装着する際に、装着するカートリッジの種類が適切な場合は、前記装着部側識別部は前記カートリッジ側識別部と干渉せず、装着するカートリッジの種類が適切でない場合は、前記装着部側識別部が前記カートリッジ側識別部と当接して、前記カートリッジを装着方向と反対方向へと付勢することを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明は、誤装着であることを認識しやすく、装置の大型化を抑制しつつ、装置本体やプロセスカートリッジの変形を抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】第1実施形態に係る画像形成装置の構成図である。
【図2】第1実施形態に係るプロセスカートリッジの断面説明図である。
【図3】第1実施形態に係るプロセスカートリッジ装着の斜視説明図である。
【図4】第1実施形態に係るプロセスカートリッジ装着の斜視説明図である。
【図5】第1実施形態に係るプロセスカートリッジ装着の動作説明図である。
【図6】第1実施形態に係る誤装着防止の斜視説明図である。
【図7】第1実施形態に係る誤装着防止の斜視説明図である。
【図8】第2実施形態に係る誤装着時の動作説明図である。
【図9】第2実施形態に係るプロセスカートリッジおよび画像形成装置の構成説明用斜視図である。
【図10】第2実施形態に係る誤装着防止の斜視説明図である。
【図11】第3実施形態に係るプロセスカートリッジおよび画像形成装置の構成説明用斜視図である。
【図12】第3実施形態に係るプロセスカートリッジ装着の斜視説明図である。
【図13】第3実施形態に係るプロセスカートリッジの適切な装着時の動作説明図である。
【図14】第3実施形態に係るプロセスカートリッジの不適切な装着時の動作説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
[第1実施形態]
本発明に係る画像形成装置の第1実施形態について、図を用いて説明する。図1は本実施形態に係る画像形成装置の構成図である。図1に示すように、本実施形態の画像形成装置100は、鉛直方向に並設された像担持体である感光体ドラム1(1a〜1d)を備えている。感光体ドラム1(1a〜1d)は、不図示の駆動手段によって回転駆動される。全ての感光体ドラム1に対向し、接するように循環移動する静電転写ベルト11が配設されている。
【0011】
図2に示すように、感光体ドラム1の周囲には、その回転方向に従って順に、帯電ローラ2、スキャナユニット3(3a〜3d)、現像ユニット4、静電転写装置5、クリーニング装置6が配設される。感光体ドラム1、帯電ローラ2、現像ユニット4、クリーニング装置6は、一体的にカートリッジ化されプロセスカートリッジ7(7a〜7d)を形成している。
【0012】
図1、図2に示すように、プロセスカートリッジ7が、画像形成のタイミングに合わせて順次駆動され、その駆動に応じて感光体ドラム1(1a〜1d)が反時計回りに回転駆動される。そして、各々のプロセスカートリッジに対応するスキャナユニット3(3a〜3d)が順次駆動される。この駆動により、感光体ドラム1表面に対し、帯電ローラ2が一様な電荷を付与し、スキャナユニット3がレーザービーム30(30a〜30d)を照射して潜像形成を行い、現像ユニット4内の現像ローラ40がトナー像を形成(現像)する。
【0013】
一方、トナー像の形成と同期して、給送カセット8にセットした記録媒体9が静電転写装置5へと搬送され、転写ローラ12(12a〜12d)に電圧を印加することによって、感光体ドラム1(1a〜1d)上のトナー像が順次記録媒体9に転写される。4色のトナー像の転写を受けた記録媒体9は、定着装置10へと搬送され、定着装置10によって熱および圧力を印加されて、転写されたトナー像が記録媒体9上に定着する。記録媒体9は、その後、画像形成装置100の上面に設けられる排出トレイ13へ排出される。
【0014】
[プロセスカートリッジ7の装置本体への着脱]
図3に示すように、画像形成装置100は、着脱可能な複数のプロセスカートリッジ7を装着する装着部101(101a〜101d)を有している。プロセスカートリッジ7は、各画像プロセスに関連する部材(感光体ドラム1やトナーT、帯電ローラ2、現像ローラ40など)の寿命やトナーTの使用量等を考慮して、ある所定量の画像形成の後は新しいものと交換される。プロセスカートリッジ7の交換の際、画像形成装置100の前カバー14を開ける。そして、画像形成装置100の装着部101(101a〜101d)へ、感光体ドラム1を手前にして感光体ドラム1の軸線方向と直交する方向に抜脱(矢印E方向)および装着(矢印D方向)する。
【0015】
画像形成装置100には、プロセスカートリッジ7(7a〜7d)の装入口102が設けられている。装入口102の両側面にはプロセスカートリッジ7を正規の位置へ導くための左ガイド110(110a〜110d)および右ガイド120(120a〜120d)が、各プロセスカートリッジ7(7a〜7d)毎に設けられている。
【0016】
図4に示すように、プロセスカートリッジ7の側面には、位置決め突起部71、ボス72が設けられている。突起部71は、感光体ドラム1と同軸上に設けられており、画像形成装置100との位置決めを行う。ボス72は、プロセスカートリッジ7の装入方向の先端側に設けられており、画像形成装置100に対する姿勢を決める。装着部101へプロセスカートリッジ7を装着する際は、ボス72を左ガイド110の溝部111に入れて装入していき、次いで突起部71を左ガイド110に設けられる突き当て面112に載せることで装着を行う。最終的には、装置本体に設けられるねじりコイルバネ(位置決め付勢手段)15により、突起部71を左ガイド110に設けられた突き当て面112、113に突き当てることによりプロセスカートリッジ7の装着完了位置が決められる。
【0017】
図5(e)に示すように、ねじりコイルバネ15の固定端156は、左ガイド110の穴117に挿入されて固定されている。バネ15の中央のねじり部158は、左ガイド110に設けられたボス114を回転中心として支持されている。バネ15は、突き当て面112、113側へ付勢力が働くように(矢印P方向にモーメントがかかるように)設けられている。バネ15の支持端157は、装入口102に設けられる溝部103によって支持され、矢印P方向への回動が制限されている。バネ15は、ねじり部158と支持端157との間でくの字状に折り曲げられており、屈曲点よりねじり部158側に位置決め付勢部151を有し、屈曲点より支持端157側に押上げ部152を有している。
【0018】
プロセスカートリッジ7の装着時は、まず図5(a)に示すように、突起部71が押上げ部152に当接する。さらにプロセスカートリッジ7を装入すると、図5(b)に示すように、突起部71がバネ15の付勢力に抗してバネ15を矢印R方向に押し上げる。そして、図5(c)に示すように、突起部71が屈曲点を超えて位置決め付勢部151に当接し、装着完了位置へと装着される。装着完了位置においては、図5(d)に示すように、突起部71が位置決め付勢部151によって突当て面112、113に突き当たる方向(矢印P方向)に付勢されることで、プロセスカートリッジ7が装着部101に対して位置決め固定される。支持端157および溝部103の形状は、図5(d)のように突起部71が装着完了位置にある状態で支持端157が溝部103から浮いた状態になるように設定されている。これにより、位置決め付勢部151が突起部71を突当て面112、113に突き当てた状態を維持でき、プロセスカートリッジ7が装着部101に対して位置決め固定される。
【0019】
[プロセスカートリッジ7の誤装着防止手段]
図6に示すように、プロセスカートリッジ7(7a〜7d)は、識別切欠き(カートリッジ側識別部)73(73a〜73d)を有している。識別切欠き73は、装着方向(矢印D方向)の先端側の面に設けられており、各トナー色固有の識別形状となっている。本実施形態では、識別切欠き73(73a〜73d)の位置を感光体ドラム1の軸線方向に異なる位置(各トナー色固有の位置)とすることで、各トナー色固有の識別形状としている。
【0020】
一方、装着部101(101a〜101d)は、各識別切欠き73(73a〜73d)に対応した各色固有の位置に、識別部(識別付勢手段、装着部側識別部)16(16a〜16d)を有している。識別部16は、圧縮バネ(識別付勢手段)17(17a〜17d)を介して画像形成装置100の支持部18(18a〜18d)に取り付けられている。圧縮バネ17は、プロセスカートリッジ7を装着方向と反対方向(矢印E方向)へ付勢する。
【0021】
図6(a)に示すように、プロセスカートリッジ7bを適切な装着部101bに装着すると、識別部16bが識別切欠き73bにはまり込み、圧縮バネ17bは圧縮されない。これと同時に、ねじりコイルバネ15bが位置決め突起部71bを突当て面112b、113bに付勢してカートリッジの装着が完了される。
【0022】
一方、図6(b)に示すように、プロセスカートリッジ7bを適切でない装着部101aに装着すると、識別部16aがプロセスカートリッジ7bの識別切欠き73bと一致せずに、プロセスカートリッジ7bの先端面74bに当接する。さらに装入すると、圧縮バネ17aの付勢力に抗して先端面74bが識別部16aを押し込みながら、ねじりコイルバネ15aが位置決め突起部71bを突当て面112a、113aに付勢して装着完了位置まで装着される。このとき、圧縮バネ17aの装着入口側(矢印E方向)への付勢力がバネ15aの装着部奥側(矢印D方向)への付勢力を上回るように、圧縮バネが設定されている。この状態でユーザーが装着する力を解除すると、圧縮バネ17aの付勢力により、バネ15aの付勢力に抗してプロセスカートリッジ7bが装着入口方向(矢印E方向)へと押し戻される。
【0023】
本実施形態によれば、図6(b)に示すようなプロセスカートリッジ7a〜7dを異なった装着部101a〜101dに装着した誤装着である場合にも、プロセスカートリッジ7を一度は完全な装着完了位置まで装着することを許容する。このため、ユーザーの強引な装着を招きにくい。また、圧縮バネ17a〜17dの付勢力によりプロセスカートリッジ7a〜7dが装着入口側へと押し戻されるため、誤装着であることを認識しやすい。さらに、誤装着を阻止する部材が弾性部材であるため、仮にユーザーの強引な装着が行われても、装置本体やプロセスカートリッジの破損を招きにくい。
【0024】
なお、本実施形態では識別形状として装着方向(矢印D方向)の先端側に識別切欠き73を設けたが、図7に示すように、識別形状として識別突起(カートリッジ側識別部)731を設けても良い。この場合、圧縮バネ(識別付勢手段)171を介して画像形成装置100に取り付けられた板状の識別部(識別付勢手段、装着部側識別部)161(161a〜161d)に、識別突起731(731a〜731d)と対応する位置に貫通孔(装着部側識別部)162(162a〜162d)を設ける。これにより、適切なプロセスカートリッジ7を装着した場合には、識別突起731が貫通孔162に挿入され、圧縮バネ171は圧縮されない。これと同時に、ねじりコイルバネ15が位置決め突起部71を突当て面112、113に付勢してカートリッジの装着が完了される。一方、適切でないプロセスカートリッジ7を装着した場合、識別突起731と識別部161が当接して圧縮バネ171が圧縮される。そして、ユーザーが装着する力を解除すると、圧縮バネ171の付勢力により、バネ15の付勢力に抗してプロセスカートリッジ7が装着入口方向(矢印E方向)へと押し戻される。
【0025】
なお、この誤装着防止手段は単色の電子写真画像形成装置やロータリー型のカラー電子写真画像形成装置など、本実施形態に示したインライン型のカラー画像形成装置以外にも、機種や仕様の異なるプロセスカートリッジを識別するために用いることもできる。そして、本実施形態のようなインライン型のカラー電子写真画像形成装置においては、次の特有な効果が顕れる。すなわち、複数のプロセスカートリッジが隣接して並ぶ構成においては、誤装着カートリッジは他の適切なプロセスカートリッジに比べて一段飛び出るため、識別付勢手段による誤装着カートリッジの移動量が小さくても、誤装着であることを容易に認識できる。
【0026】
また、本実施形態では誤装着防止手段を、感光体ドラムを有するプロセスカートリッジの誤装着防止に用いたが、現像装置や、現像剤補給容器など、装置本体に対してユーザーが着脱交換するものであれば、感光体ドラムを含むものに限定されない。
【0027】
[第2実施形態]
次に本発明に係る画像形成装置の第2実施形態について図を用いて説明する。上記第1実施形態と説明の重複する部分については、同一の符号を付して説明を省略する。図9(a)は本実施形態にかかるプロセスカートリッジ7の斜視図である。図9(b)は本実施形態にかかる左ガイド110の斜視図である。
【0028】
図9(a)に示すように、本実施形態は、上記第1実施形態の識別切欠き73に変えて識別突起(カートリッジ側識別部)75を設け、ねじりコイルバネ15に変えてねじりコイルバネ19を設けたものである。
【0029】
各識別突起75は、プロセスカートリッジ7の装着方向(矢印D方向)と感光体ドラム1の軸線方向の両方に略直交する矢印F方向において異なる位置(各トナー色固有の位置)とすることで、各トナー色固有の識別形状としている。
【0030】
図9(b)に示すように、ねじりコイルバネ19は、第1実施形態のねじりコイルバネ15と同様に、位置決め付勢部191、押上げ部192および固定端196、支持端197を有している。本実施形態では、ねじりコイルバネ19は、さらに各トナー色固有の識別部(識別付勢手段、装着部側識別部)193を有している。識別部193は、押上げ部192と支持端197の間に形成されており、プロセスカートリッジ7の誤装着を防止する。識別部193は、当接部194、曲げ部(通過部)195を有している。曲げ部195は、適切なカートリッジの識別突起75のみを通過させるため、各トナー色固有の位置で、識別突起75と干渉しないように曲げられている。当接部194は、適切でないプロセスカートリッジ7の識別突起75と当接し、適切でないプロセスカートリッジ7の装着を阻止する。
【0031】
図10(a)に示すように、プロセスカートリッジ7aを適切な装着部101aに装着すると、識別突起75aが当接部194aに引っかかることなく、曲げ部195aを通過する。次いで、第1実施形態と同様に、位置決め突起部71aがねじりコイルバネ19aの押上げ部192aを押し上げて、装着完了位置まで装着される。
【0032】
一方、図10(b)、図8(a)に示すように、プロセスカートリッジ7aを適切でない装着部101bに装着しようとすると、位置決め突起部71aが押し上げ部192bに当接する前に、識別突起75aが当接部194bと当接する。さらに、プロセスカートリッジ7aを装入していくと、図8(b)に示すように、ねじりコイルバネ19bの回動では当接部194bと識別突起75aの干渉が解消されない。このため、ねじりコイルバネ19bは当接部194bと押し上げ部192bの連結部198bを中心として支持端197bが押し込まれるように矢印Q方向に弾性的に曲げられる。さらに装入していくと、矢印Q方向の曲げ量が増すと同時に、識別突起75aと当接部194bの当接により、当接部194bも矢印S方向に押し込まれる。これにより、図8(c)に示すように、ねじりコイルバネ19bは押上げ部192bが突起部71aを突き当て面112bに付勢する方向(矢印P方向)に回動する。そして、位置決め突起部71aが押し上げ部192bと当接する。この時点で、ねじりコイルバネ19bがそれ以上変形および回動ができなくなり、プロセスカートリッジ7aの装着が阻止される。このときに装着力を解除すると、ねじりコイルバネ19bの矢印Q方向への弾性的な曲げ変形により、当接部194bが識別突起75aを装着方向入口方向(矢印E方向)へと押し戻す力が発生し、プロセスカートリッジ7aは装着入口方向(矢印E方向)へと移動する。
【0033】
なお、識別部193と突起部71の形状や位置を各トナー色固有のものにすることで、プロセスカートリッジ7a〜7dが、それぞれ適切な装着部101a〜101dのみに装着可能となり、全ての誤装着パターンにおいて上述と同じ動作を得ることができる。
【0034】
本実施形態においては、ねじりコイルバネ19は適切なプロセスカートリッジ7を位置決めする位置決め付勢手段の役割と、適切でないプロセスカートリッジ7を装着入口側へ付勢する識別付勢手段の役割とを兼ねている。
【0035】
本実施形態によれば、誤装着である場合にもプロセスカートリッジ7を一度は装着完了位置付近まで装着することができるため、ユーザーの強引な装着を招きにくい。また、第1実施形態においては、誤装着時に、位置決め付勢手段(ねじりコイルバネ15)よりも強い付勢力を有する識別付勢手段(圧縮バネ17)に抗して装着する必要があった。これに対し本実施形態では、誤装着時にプロセスカートリッジ7を押し戻す際に、識別付勢手段が位置決め付勢手段に抗する必要がない。従って、識別付勢手段の付勢力を第1実施形態に比べて低く設定することができるため、誤装着時にユーザーが装着する装着力や識別付勢手段の周辺の部品への負荷を低減することができる。さらに、位置決め付勢手段と識別付勢手段を同一部品としているため、部品点数を削減することができる。
【0036】
なお、本実施形態ではねじりコイルバネ15を装着口の左側面に設けたが、両側面に設けても良い。この場合、プロセスカートリッジ7を装置に平行に押し戻すことができる。また、両側面のねじりコイルバネ15をそれぞれ別の形状にしても良い。この場合には、プロセスカートリッジ7の識別種類を更に増やすことができる。
【0037】
[第3実施形態]
次に本発明に係る画像形成装置の第3実施形態について図を用いて説明する。上記第1実施形態と説明の重複する部分については、同一の符号を付して説明を省略する。図11(a)は本実施形態にかかるプロセスカートリッジ7の斜視図である。図11(b)は本実施形態にかかる左ガイド110の斜視図である。
【0038】
図11(a)、図11(b)に示すように、本実施形態は、上記第1実施形態の識別切欠き73に変えて識別突起(カートリッジ側識別部)76を設け、ねじりコイルバネ15に変えてロック部材20、引っ張りバネ(識別付勢手段)21を設けたものである。
【0039】
識別突起76は、プロセスカートリッジ7の側面の位置決め突起部71よりも装着方向(矢印D方向)の下流側に設けられている。各プロセスカートリッジ7の識別突起76は、感光体ドラム1の回転軸と、プロセスカートリッジ7の装着方向(矢印D方向)の両方に略直交する矢印F方向において異なる位置(各トナー色固有の位置)に形成された識別形状となっている。
【0040】
一方、図11(b)に示すように、左ガイド110には、ロック部材20が支持軸116を中心に回動可能に支持されている。引っ張りバネ21は、画像形成装置100に設けられるバネかけ部104とロック部材20の一端との間に設けられている。ロック部材20の他端側には、位置決め付勢部201、押上げ部202が設けられている。ロック部材20の一端は、引っ張りバネ21により引っ張られており、装着完了位置においてロック部材20の位置決め付勢部201が突起部71を突き当て面112、113へ(矢印P方向へ)付勢するようになっている。押上げ部202は、装着時に位置決め突起部71と当接して、引っ張りバネ21の付勢力に抗して矢印R方向に回動する。
【0041】
ロック部材20の一端と支持軸116との間には、識別部203が設けられている。識別部203は、当接部204、切欠き部(通過部)205を有している。切欠き部205は、適切なカートリッジの識別突起76のみを通過させるため、各トナー色固有の位置に設けられている。当接部204は、適切でないプロセスカートリッジ7の識別突起76と当接し、適切でないプロセスカートリッジ7の装着を阻止する。
【0042】
図12および図13(a)に示すように、プロセスカートリッジ7aを適切な装着部101aに装着すると、位置決め突起部71aがロック部材20aの押上げ部202aに当接する。次いで、引っ張りバネ21aの付勢力に抗してロック部材20aを矢印R方向へ回動させ、図13(b)に示すように、ロック部材20aを乗り越える境界点210aまで到達する。このとき、識別突起76aと切欠き205aの位置が一致するため、図13(c)、図13(d)に示すように、識別突起76aは識別部203aを通過して、ロック部材20aが矢印P方向に回動すると共に、位置決め突起部71aが装着完了位置まで装着される。
【0043】
一方、プロセスカートリッジ7aを適切でない装着部101bに装着しようとすると、図14(a)、図14(b)に示すように、位置決め突起部71aがロック部材20bを乗り越える境界点210bまで到達する。このとき、識別突起76aが識別部203bの切欠き205bと一致しないため、プロセスカートリッジ7aをさらに装着すると、図14(c)に示すように、識別突起76aがロック部材20bを矢印R方向にさらに回動させる。そして、図14(d)に示すように、遂には位置決め突起部71aが突き当て面113bに当接し、プロセスカートリッジ7aが一度、装着完了位置まで装着される。ここで装着力を解除すると、引っ張りバネ21の付勢力によりロック部材20bが矢印P方向に回動し、識別突起76aを介してプロセスカートリッジ7aが装着入口方向(矢印E方向)へと押し戻される。このとき、位置決め突起部71aがロック部材20bを乗り越える境界点210bまでは、識別突起76aと当接部204bが当接し続けるため、ロック部材20bは位置決め突起部71aの装着入口方向(矢印E方向)への移動を阻害しない。従って、プロセスカートリッジ7の誤装着である場合は、少なくとも図14(a)の状態までプロセスカートリッジ7aを押し戻すことができる。
【0044】
なお、識別部203と識別突起76の形状や位置を各トナー色固有のものにすることで、プロセスカートリッジ7a〜7dが、それぞれ適切な装着部101a〜101dのみに装着可能となり、全ての誤装着パターンにおいて上述と同じ動作を得ることができる。
【0045】
本実施形態においては、引っ張りバネ21は適切なプロセスカートリッジを位置決めする位置決め付勢手段の役割と、適切でないプロセスカートリッジを装着入口側へ付勢する識別付勢手段の役割とを兼ねている。
【0046】
本実施形態によれば、第1実施形態と同様に誤装着時に完全な装着位置まで装着させることと、第2実施形態と同様に識別付勢手段の付勢力を低減することが同時に達成される。従って、より強引な装着を招きにくく、かつユーザーの負荷の小さい誤装着防止手段を備えた画像形成装置を提供できる。
【符号の説明】
【0047】
T …トナー
1 …感光体ドラム
7 …プロセスカートリッジ
15 …ねじりコイルバネ
16 …識別部(識別付勢手段、装着部側識別部)
17 …圧縮バネ(識別付勢手段)
18 …支持部
19 …ねじりコイルバネ(識別付勢手段、位置決め付勢手段)
20 …ロック部材(識別付勢手段、装着部側識別部、位置決め付勢手段)
21 …引っ張りバネ(識別付勢手段、位置決め付勢手段)
71 …突起部
72、114 …ボス
73 …識別切欠き(カートリッジ側識別部)
731、75、76 …識別突起(カートリッジ側識別部)
74 …先端面
100 …画像形成装置
101 …装着部
102 …装入口
103、111 …溝部
110 …左ガイド
112、113 …突き当て面
120 …右ガイド
156 …固定端
116 …支持軸
117 …穴
151 …位置決め付勢部
157、197 …支持端
158 …ねじり部
161 …識別部(識別付勢手段、装着部側識別部)
162 …貫通孔(装着部側識別部)
171 …圧縮バネ(識別付勢手段)
192、202 …押上げ部
193 …識別部(識別付勢手段、装着部側識別部)
194、204 …当接部
195 …曲げ部
205 …切欠き部
210 …境界点

【特許請求の範囲】
【請求項1】
着脱可能なカートリッジと、
前記カートリッジを装着する装着部と、を有し、
前記カートリッジは、カートリッジの種類ごとに固有の識別形状のカートリッジ側識別部を有する画像形成装置において、
前記装着部は、
前記カートリッジを装着方向と反対方向へと付勢する識別付勢手段を有し、
前記識別付勢手段は、
前記カートリッジ側識別部に対応した固有の装着部側識別部を有し、
前記カートリッジを装着する際に、
装着するカートリッジの種類が適切な場合は、前記装着部側識別部は前記カートリッジ側識別部と干渉せず、
装着するカートリッジの種類が適切でない場合は、前記装着部側識別部が前記カートリッジ側識別部と当接して、前記カートリッジを装着方向と反対方向へと付勢することを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記識別付勢手段は、装着するカートリッジの種類が適切でない場合であっても、前記カートリッジの装着を装着完了位置まで許容することを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記装着部は、前記カートリッジを装着完了位置へ付勢する位置決め付勢手段を有し、
前記位置決め付勢手段の付勢力は、装着するカートリッジの種類が適切でない場合に働く前記識別付勢手段の付勢力よりも弱く、装着するカートリッジの種類が適切である場合に働く前記識別付勢手段の付勢力よりも強いことを特徴とする、請求項1又は2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記装着部は、前記カートリッジを装着完了位置へ付勢する位置決め付勢手段を有し、
前記位置決め付勢手段は、装着するカートリッジの種類が適切である場合のみ、前記カートリッジを装着完了位置へと付勢することを特徴とする請求項1又は2に記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記位置決め付勢手段と前記識別付勢手段は一体的に形成されることを特徴とする請求項4に記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記装着部側識別部は、適切なカートリッジに設けられるカートリッジ側識別部のみを通過させる通過部と、適切でないカートリッジに設けられるカートリッジ側識別部と当接する当接部と、を有することを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項に記載の画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2012−88395(P2012−88395A)
【公開日】平成24年5月10日(2012.5.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−232848(P2010−232848)
【出願日】平成22年10月15日(2010.10.15)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】