説明

画像形成装置

【課題】転写モード切り替えの際に電流が逆流して誤動作したり電源基板が破損することを防止する。
【解決手段】直流電圧による転写バイアスを印加して画像転写を行なう直流転写モードと、直流電圧に交流電圧を重畳した転写バイアスを印加して画像転写を行なう重畳転写モードとを切り替え可能な画像形成装置において、直流転写バイアスを印加するための直流電源201と、重畳転写バイアスを印加するための交流電源202を備え、転写モードを切り替える際に、直流電源201および交流電源202の出力をオフした状態で転写モードを切り替える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子写真方式を用いた複写機、プリンタ等の画像形成装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
電子写真方式の画像形成装置においては、あらかじめ一様に帯電された感光体等の像担持体上に光学的な画像情報を形成することによって得た帯電潜像を、現像装置からのトナーによって可視化し、この可視像を転写紙等の記録媒体上に直接又は中間転写ベルト等の中間転写体を介して転写し、記録媒体上に定着することによって画像形成を行っている。
【0003】
このような画像形成装置において、従来、DC電源を用いて転写手段に印加する直流転写バイアスを定電流制御する方法が広く採用されている。通常、定電流制御では、バイアス印加回路での出力電圧を、バイアス印加回路に設けられる検知回路において検知し、その出力電圧から例えば転写ローラ側の抵抗値(像担持体や用紙を含む抵抗値)を算出して、転写電流値を決定し制御するようにしている。
【0004】
ところで、近年、画像形成装置において用いられる記録媒体として、多種多様な用紙が用いられるようになり、高級感を備えた皮革模様をイメージしたものや和紙調のものなどが市販されている。このような用紙では、高級感を出すため、エンボス加工等により表面に凹凸が存在している。凹部は凸部に比べてトナーが転写しにくく、特に凹凸の大きい記録用紙にトナーを転写させる場合、凹部にトナーが充分に転写せず画像の抜けが発生する場合がある。
【0005】
用紙凹部への転写不良に関しては、直流電圧に交流電圧を重畳することで転写率の向上や中抜けなどの異常画像を改善できることが知られており、例えば特開2006−267486号公報(特許文献1)、特開2008−058585号公報(特許文献2)、特開平09−146381号公報(特許文献3)、特開平04−086878号公報(特許文献4)等において提案されている。
【0006】
したがって、通紙する用紙に応じて転写モードを直流転写モード又は直流交流重畳転写モード(以下、重畳転写モードという)に切り替えることで、多様な用紙に対しても良好な転写姓を得ることが可能となる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、直流バイアスを印加するための直流電源と、重畳バイアスを印加するための交流電源(重畳電源)を備え、直流転写モードと重畳転写モードを切り替え可能とした場合には、転写モードを切り替える際に、一方の電源から他方の電源に電流が逆流して(回り込んで)誤動作したり電源基板が破損する恐れがある。また、電流が逆流することを想定して耐圧を高くすると大幅なコスト高にななってしまう。
【0008】
転写バイアスの切り替えに関しては、例えば、特開2010−281907号公報(特許文献5)に、通常バイアス(転写側電位)と逆バイアス(逆転写側電位)とを切り替えることが記載されているが、これは電源としては1つ(重畳バイアスを印加できる電源80:特許文献5の図2及び図6参照)だけを備える構成であり、バイアス切り替えも1つの転写モード(特許文献5では直流電圧に交番電圧が重畳された重畳バイアス印加モード)の中で切替を行うものである。
【0009】
本発明は、直流電源と交流電源を備え、直流転写モードと重畳転写モードを切り替え可能に構成した場合の、転写モード切り替えの際に電流が逆流して誤動作したり電源基板が破損する恐れがあるという上述の問題を解決し、電源への電流の逆量を防止することができ、コストの上昇を招くことのない画像形成装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
前記の課題は、本発明により、直流電圧による転写バイアスを印加して画像転写を行なう直流転写モードと、直流電圧に交流電圧を重畳した転写バイアスを印加して画像転写を行なう重畳転写モードとを切り替え可能な画像形成装置において、直流電圧を出力する直流電源と、交流直流重畳電圧を出力する交流電源を備え、前記転写モードを切り替える際に、前記直流電源および前記交流電源の出力をオフした状態で転写モードを切り替えることにより解決される。
【発明の効果】
【0011】
本発明の画像形成装置によれば、転写バイアスを印加する電源として直流電源と交流電源(重畳電源)を備える装置構成において、転写モードを切り替える際に、直流電源および交流電源の出力をオフした状態で転写モードを切り替えるので、直流電源から交流電源に、あるいは交流電源から直流電源に電流が逆流することを防止でき、誤動作や電源の破損を防ぐことができる。また、電源への電流の逆流を防止できることから、逆流に備えて電源の耐圧を高める必要がないため、転写電源のコスト上昇を招くことがない。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の第1実施形態であるカラー画像形成装置の概略を示す断面構成図である。
【図2】そのカラー画像形成装置の画像形成ユニットを示す構成図である。
【図3】直流バイアスと重畳バイアスとを切り替えて二次転写部に印加する様子を示す模式図である。
【図4】交流電源から出力される重畳バイアスの波形の一例を示す波形図である。
【図5】二次転写バイアス印加部の構成例を示すブロック図である。
【図6】直流転写モードにおける電源制御の様子を示すタイミングチャートである。
【図7】作像動作を停止した後に電源を切り替える方式における電源制御の様子を示すタイミングチャートである。
【図8】作像動作を継続した状態で電源を切り替える方式における電源制御の様子を示すタイミングチャートである。
【図9】高圧電源出力の立ち上がり/立下り時の作用について説明する模式図である。
【図10】転写モード切り替え時の電源制御の一例を示すフローチャートである。
【図11】転写モード切替の具体的な制御例を示すタイミングチャートである。
【図12】二次転写手段として転写チャージャを用いた第2実施形態の二次転写部付近を示す模式図である。
【図13】直接転写方式のカラープリンタの概略を示す断面構成図である。
【図14】1ドラム型のカラー画像形成装置の概略を示す断面構成図である。
【図15】トナージェット方式の画像形成装置の一例を示す断面構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
まず、本発明を適用した画像形成装置の第1実施形態として、中間転写方式を採用したカラー画像形成装置について説明する。
【0014】
図1は、本発明の第1実施形態であるカラー画像形成装置(以下、単にプリンタと呼ぶ)の概略を示す断面構成図である。この図に示すプリンタは、中間転写体としての無端状ベルト(中間転写ベルト51)を有しており、その中間転写ベルト51の上部走行辺に沿って、イエロー(Y),マゼンタ(M),シアン(C),ブラック(K)の各色トナー画像を形成するための4つの画像形成ユニット1Y,1M,1C,1Kが並設され、タンデム作像部を構成している。
【0015】
各画像形成ユニット1Y,1M,1C,1Kは扱うトナーの色が異なるのみで構成は同一であるため、図2を参照して一つの画像形成ユニットについてのみ説明する。図2に示すように、画像形成ユニットは、像担持体としての感光体ドラム11、感光体ドラム11の表面を帯電ローラによって帯電する帯電装置21、感光体ドラム11上の潜像を可視化する現像装置31、感光体ドラム11から中間転写ベルト51にトナー像を転写させる一次転写手段としての転写ローラ55、感光体ドラム11表面をクリーニングするクリーニング装置41等を備えている。本実施形態では、各画像形成ユニット1Y,1M,1C,1Kは、プリンタ本体に対して脱着可能に設けられている。
【0016】
本例の感光体11は、ドラム基体の表面上に有機感光層が形成された外径60mm程度のドラム形状のものであって、図示しない駆動手段によって図中時計回りに回転駆動される。帯電装置21は、帯電バイアスが印加される帯電ローラを感光体ドラム11に接触あるいは近接させながら、帯電ローラと感光体11との間に放電を発生させることで、感光体表面を一様帯電せしめる。本実施形態では、トナーの正規帯電極性と同じマイナス極性に一様帯電せしめる。帯電バイアスとしては、直流電圧に交流電圧を重畳したものを採用している。帯電ローラを用いる方式に変えて、帯電チャージャによる方式を採用しても良い。
【0017】
現像装置31は、トナーとキャリアからなる2成分現像剤が収容される収容容器内に、現像剤担持体としての現像スリーブ31a及び現像剤を攪拌しながら搬送する攪拌部材としての2本のスクリュー部材31b,31cを備えている。なお、1成分現像剤を用いる現像装置を採用することも可能である。
【0018】
クリーニング装置41は、クリーニングブレード41aと、クリーニングブラシ41bを備えている。クリーニングブレード41aは、感光体ドラム11の回転方向に対してカウンタ方向から感光体ドラム11と当接している状態で、クリーニングブラシ41bは感光体ドラム11と逆方向に回転しながら接触している状態で感光体ドラム11表面をクリーニングする。
【0019】
図1に戻り、画像形成ユニット1Y,1M,1C,1Kの上方には、潜像書込手段たる光書込ユニット80が配設されている。この光書込ユニット80は、パーソナルコンピュータ等の外部機器から送られてくる画像情報に基づいてレーザーダイオードから発したレーザー光により、感光体11Y,11M,11C,11Kを光走査する。この光走査により、感光体11Y,11M,11C,11K上にY,M,C,K用の静電潜像が形成される。具体的には、感光体11の一様帯電した表面の全域のうち、レーザー光が照射された箇所は、電位を減衰せしめる。これにより、レーザー照射箇所の電位が、それ以外の箇所(地肌部)の電位よりも小さい静電潜像となる。なお、光書込ユニット80は、光源から発したレーザー光Lを、図示しないポリゴンモータによって回転駆動したポリゴンミラーで主走査方向に偏光せしめながら、複数の光学レンズやミラーを介して感光体に照射するものである。LEDアレイの複数のLEDから発したLED光によって光書込を行うものを採用してもよい。
【0020】
画像形成ユニット1Y,1M,1C,1Kの下方には、無端状の中間転写ベルト51を張架しながら図中反時計回り方向に無端移動せしめる転写装置としての転写ユニット50が配設されている。転写ユニット50は、像担持体たる中間転写ベルト51の他に、駆動ローラ52、二次転写裏面ローラ53、クリーニングバックアップローラ54、4つの一次転写ローラ55、ニップ形成ローラ56、ベルトクリーニング装置57、電位センサ58などを有している。
【0021】
中間転写ベルト51は、そのループ内側に配設された駆動ローラ52、二次転写裏面ローラ53、クリーニングバックアップローラ54、及び4つの一次転写ローラ55によって張架されており、図示しない駆動手段によって図中反時計回り方向に回転駆動される駆動ローラ52の回転力により、同方向に無端移動せしめられる。中間転写ベルト51としては、次のような特性を有するものを用いている。即ち、厚みは20[μm]〜200[μm]、好ましくは60[μm]程度である。また、体積抵抗率は1e6[Ωcm]〜1e12[Ωcm]、好ましくは約1e9[Ωcm]程度である(三菱化学製ハイレスタ−UP MCP HT45にて、印加電圧100Vの条件で測定)。また、材料は、カーボン分散ポリイミド樹脂からなる。
【0022】
4つの一次転写ローラ55は、無端移動せしめられる中間転写ベルト51を感光体11(Y,M,C,K)との間に挟み込んでいる。これにより、中間転写ベルト51のおもて面と、感光体11(Y,M,C,K)とが当接するY,M,C,K用の一次転写ニップが形成されている。一次転写ローラ55には、図示しない転写バイアス電源によってそれぞれ一次転写バイアスが印加されている。これにより、感光体11(Y,M,C,K)上の各色トナー像と、各色一次転写ローラ55との間に転写電界が形成され、転写電界やニップ圧の作用により、感光体11上から中間転写ベルト51上にトナー像が一次転写される。Yトナー像上にM,C,Kトナー像が、順次重ね合わせて一次転写されることにより、中間転写ベルト51上には4色重ね合わせトナー像が形成される。
【0023】
モノクロ画像を形成する場合には、転写ユニット50におけるY,M,C用の一次転写ローラ55Y,M,Cを支持している図示しない支持板を移動せしめて、一次転写ローラ55Y,M,Cを、感光体11Y,M,Cから遠ざける。これにより、中間転写ベルト51のおもて面を感光体11Y,M,Cから引き離して、中間転写ベルト51をK用の感光体11Kだけに当接させる。この状態で、4つの画像形成ユニット1Y,M,C,Kのうち、K用の画像形成ユニット1Kだけを駆動して、Kトナー像を感光体11K上に形成する。
【0024】
一次転写ローラ55は、金属製の芯金と、これの表面上に固定された導電性のスポンジ層とを具備している弾性ローラからなり、次のような特性を有している。即ち、外形は16[mm]である。また、心金の径は10[mm]である。また、接地された外径30[mm]の金属ローラを10[N]の力でスポンジ層に押し当てた状態で、一次転写ローラ心金に1000[V]の電圧を印加したときに流れる電流Iから、オームの法則(R=V/I)に基づいて算出したスポンジ層の抵抗Rは、約3E7Ωである。このような一次転写ローラ55に対して、一次転写バイアスを定電流制御で印加する。なお、転写ローラに代えて、転写チャージャーや転写ブラシなどを採用してもよい。
【0025】
転写ユニット50のニップ形成ローラ56は、中間転写ベルト51のループ外側に配設されており、ループ内側の二次転写裏面ローラ53との間に中間転写ベルト51を挟み込んでいる。これにより、中間転写ベルト51のおもて面と、ニップ形成ローラ56とが当接する二次転写ニップが形成されている。ニップ形成ローラ56は接地されているのに対し、二次転写裏面ローラ53には、二次転写バイアス電源200によって二次転写バイアスが印加される。これにより、二次転写裏面ローラ53とニップ形成ローラ56との間に、トナーを二次転写裏面ローラ53側からニップ形成ローラ56側に向けて静電移動させる二次転写電界が形成される。
【0026】
転写ユニット50の下方には、記録紙Pを複数枚重ねた紙束の状態で収容している給紙カセット100が配設されている。この給紙カセット100は、紙束の一番上の記録紙Pに給紙ローラ101を当接させており、これを所定のタイミングで回転駆動させることで、その記録紙Pを給紙路に向けて送り出す。給紙路の末端付近には、レジストローラ対102が配設されている。このレジストローラ対102は、給紙カセット100から送り出された記録紙Pをローラ間に挟み込むとすぐに両ローラの回転を停止させる。そして、挟み込んだ記録紙Pを二次転写ニップ内で中間転写ベルト51上のトナー像に同期させ得るタイミングで回転駆動を再開して、記録紙Pを二次転写ニップに向けて送り出す。二次転写ニップで記録紙Pに密着せしめられた中間転写ベルト51上のトナー像は、二次転写電界やニップ圧の作用によって記録紙P上に一括二次転写される。このようにして表面にフルカラートナー像またはモノクロトナー像が形成された記録紙Pは、二次転写ニップを通過すると、ニップ形成ローラ56や中間転写ベルト51から曲率分離する。
【0027】
二次転写裏面ローラ53は、ステンレスやアルミニウム等からなる芯金に抵抗層を積層したものである。抵抗層は、ポリカーボネート,フッ素系ゴム,シリコン系ゴム等にカーボンや金属錯体等の導電粒子を分散させたもの、あるいはNBRやEPDM等のゴム、NBR/ECO共重合のゴム、ポリウレタンの半導電性ゴム等よりなる。その体積抵抗は10〜1012[Ω]、望ましくは10〜10[Ω]である。また、硬度20度〜50度の発泡タイプでも、ゴム硬度30度〜60度のゴムタイプでもよいが、中間転写ベルト51を介してニップ形成ローラ56と接触するので、小さな接触圧力でも非接触部分が生じないスポンジタイプが望ましい。中間転写ベルト51と二次転写裏面ローラ53の接触圧力が大きいほど、文字や細線の中抜けが生じ易いので、これを防止するためである。
【0028】
また、ニップ形成ローラ56は、ステンレスやアルミニウム等からなる芯金上に導電性ゴム等からなる抵抗層と表層を積層して形成してある。本例では、ローラの外径は20[mm]、芯金は直径16[mm]のステンレスである。抵抗層はNBR/ECOの共重合体よりなる硬度40〜60度[JIS−A]のゴムである。表層は、含フッ素ウレタンエラストマーからなり、その厚みは8〜24[μm]が望ましい。その理由としては、ローラの表層は塗装工程により製造されることが多いので、表層の厚みが8μm以下では、塗布ムラによる抵抗ムラの影響が大きく、抵抗の低い箇所でリークが発生する可能性があり好ましくない。また、ローラ表面にシワが生じて、表層がひび割れるという問題も生じ易い。一方、表層の厚みが24μm以上に厚くなると抵抗が高くなり、体積抵抗率が高い場合には二次転写裏面ローラ53の芯金に定電流を印加したときの電圧が上昇することがあり、定電流電源の電圧可変範囲を超えるので目標の電流以下の電流になったり、電圧可変範囲が十分高い範囲の場合には定電流電源から二次転写裏面ローラ芯金までの高圧経路や二次転写裏面ローラ芯金が高電圧になることによるリークが発生し易くなる。また、ニップ形成ローラ56の表層の厚みが24μm以上に厚いと硬度が高くなり、記録媒体(紙等)や中間転写ベルトとの密着性が悪くなるという問題もある。ニップ形成ローラ56の表面抵抗は106.5[Ω]以上であり、ニップ形成ローラ56の表層の体積抵抗は1010[Ωcm]以上、より好ましくは、1012[Ωcm]以上である。
【0029】
電位センサ58は、中間転写ベルト51のループ外側に配設されている。そして、中間転写ベルト51の周方向における全域のうち、接地された駆動ローラ52に対する掛け回し箇所に対して、約4[mm]の間隙を介して対向している。そして、中間転写ベルト51上に一次転写されたトナー像が自らとの対向位置に進入した際に、そのトナー像の表面電位を測定する。なお、電位センサ58としては、TDK(株)社製のEFS−22Dを用いている。
【0030】
二次転写ニップの図中右側方には、定着装置90が配設されている。この定着装置90は、ハロゲンランプ等の発熱源を内包する定着ローラ91と、これに所定の圧力で当接しながら回転する加圧ローラ92とによって定着ニップを形成している。定着装置90内に送り込まれた記録紙Pは、その未定着トナー像担持面を定着ローラ91に密着させる姿勢で、定着ニップに挟まれる。そして、加熱や加圧の影響によってトナー像中のトナーが軟化さしめられて、フルカラー画像が定着せしめられる。定着装置90内から排出された記録紙Pは、定着後搬送路を経由した後、機外へと排出される。
【0031】
本実施形態のプリンタが備える二次転写バイアス出力手段としての二次転写バイアス電源200は、直流成分を出力する直流電源と、直流成分に交流成分を重畳したものを出力する交流電源(重畳電源)とから構成されており、二次転写バイアスとして、直流電圧(以下、直流バイアスと称す)と、直流電圧に交流電圧を重畳せしめたもの(以下、重畳バイアスと称す)とを出力することができる。
【0032】
図3は、直流バイアスと重畳バイアスとを切り替えて二次転写部(本例では二次転写裏面ローラ53)に印加する様子を示す模式図である。この図において、二次転写バイアス電源200は、直流電源201と交流電源(重畳電源)202とから構成されている。
【0033】
さて、同図(a)では直流電源201から直流バイアスを印加し、同図(b)では交流電源202から重畳バイアスを印加する様子を示している。なお、図3では直流電源201と交流電源202の切り替えを概念的に示すためにスイッチで切り替えるように示しいるが、図5で後述するように、本実施形態では2つのリレーを用いて切り替えるように構成している。
【0034】
図4は、交流電源202から出力される重畳バイアスの波形の一例を示す波形図である。
同図において、オフセット電圧Voffは、重畳バイアスの直流成分の値である。また、ピークツウピーク電圧Vppは、重畳バイアスの交流成分のピークツウピーク電圧である。重畳バイアスは、オフセット電圧Voffとピークツウピーク電圧Vppとを重畳したものであり、その時間平均値はオフセット電圧Voffと同じ値になる。図示のように、重畳バイアスは正弦波状の形状をしており、プラス側のピーク値と、マイナス側のピーク値とを具備している。Vtで示されているのは、それら2つのピーク値のうち、二次転写ニップ内でトナーをベルト側から記録紙側に移動させる方(本例ではマイナス側)のピーク値である。また、Vrで示されているのは、トナーを記録紙側からベルト側に戻す方(本例ではプラス側)ののピーク値である。直流成分を含む重畳バイアスを印加してその時間平均値であるオフセット電圧Voffをトナーと同じ極性(本例ではマイナス)にすることで、トナーを往復移動させながら、相対的にはベルト側から記録紙側に移動させて記録紙上に転移させることが可能になる。交流電圧としては、正弦波形状の波形のものを採用しているが、矩形波状の波形のものを用いても良い。
【0035】
和紙調の用紙やエンボス加工が施された用紙など、表面の凹凸の大きい記録用紙を用いる場合には、重畳バイアスを印加することにより、上述のように、トナーを往復移動させながら相対的にはベルト側から記録紙側に移動させて記録紙上に転移させることで、用紙凹部への転写性を向上させ、転写率の向上や中抜けなどの異常画像を改善させることができる。一方、通常の転写紙など、凹凸の小さい記録用紙を用いる場合には、直流成分のみによる二次転写バイアスを印加することで、充分な転写性が得られる。
【0036】
本実施形態では、二次転写バイアスとして、直流バイアスを印加して画像転写を行なう直流転写モードと、直流に交流を重畳せしめた重畳バイアスを印加して画像転写を行なう重畳転写モードとを有しており、両者を切替可能に構成している。そして、通紙する用紙の種類に応じて、転写モードを直流転写モード又は重畳転写モードに切り替えることで、凹凸の小さい用紙および凹凸の大きい用紙のどちらにも良好な画像転写を行なうことができる。転写モードの切り替えは、用紙種類の設定により自動的にモードが切り替わるようにしても良い。あるいは、ユーザが転写モードを指定できるようにしても良い。これらの設定は、画像形成装置の操作パネル上から設定可能に設ける。
【0037】
図5は、二次転写バイアス印加部の構成例を示すブロック図である。本例では2つのリレーを用いてバイアスを印加する電源を切り替える構成となっている。
この図に示すように、直流電源201はリレー1を介して直流バイアスを二次転写裏面ローラ53に印加する。また、交流電源202はリレー2を介して重畳バイアスを二次転写裏面ローラ53に印加する。2つのリレー(リレー1、リレー2)は、リレー駆動手段205を介して制御手段300によって接続と遮断が制御され、二次転写バイアスとしての直流バイアス又は重畳バイアスが切り替えられる。直流電源201及び交流電源202からはフィードバック電圧が制御手段300に入力される。
【0038】
本実施形態では、二次転写バイアスとして直流バイアスを印加して画像転写を行なう直流転写モードにおいて、直流電源201からのフィードバック電圧に基づき、二次転写部での抵抗値(中間転写ベルト51や用紙を含む抵抗値)を算出して、転写電流値を決定し制御している(本例では定電流制御)。
【0039】
図6に、直流転写モードにおける電源制御の様子をタイミングチャートにて示す。この図に示すように、二次転写部に画像が移動して来る(用紙が通紙されて来る)タイミングに合わせて直流電源201がオンされ、中間転写ベルト51上のトナー像が用紙上に転写される。通紙する用紙が同じで、同じ転写モードが用いられる場合、電源の切替は行われない。ここでは交流電源202はオフされたままである。
【0040】
通紙される用紙の種類が変わる場合、例えば凹凸の小さな普通紙から凹凸の大きな用紙に変わる場合は、電源を直流電源201から交流電源202に切り替え、転写モードを直流転写モードから重畳転写モードへと切り替える。逆に、凹凸の大きな用紙から凹凸の小さな普通紙に用紙種類が変わる場合は、先ほどとは逆に、電源を交流電源202から直流電源201に切り替え、転写モードを重畳転写モードから直流転写モードへと切り替える。電源の切り替えはジョブ中でも可能であり、例えば、1枚目の用紙と2枚目の用紙で転写モードを変更する、などである。
【0041】
電源を切り替える態様として、作像動作を停止(画像形成部の駆動を停止)した後に電源を切り替える方式と、作像動作を継続した(画像形成部の駆動を維持した)状態で二次転写部の出力をオフした後に電源を切り替える方式がある。図7,8に、各方式における、転写モードを直流転写モードから重畳転写モードへと切り替える場合の電源制御の様子をタイミングチャートにて示す。
【0042】
図7は、作像動作を停止(画像形成部の駆動を停止)した後に電源を切り替える方式の場合であり、図8は、作像動作を継続した(画像形成部の駆動を維持した)状態の画像間(紙間)で二次転写部の出力をオフした後に電源を切り替える方式の場合である。図7の方式では切り替えに必要な時間は約5秒である。作像動作を継続する図8の方式では画像と画像の間(紙間に相当する)の約1秒の間で切替が行われる。
【0043】
図8の方式の場合、電源を切り替えない(転写モードを変更しない)図6の場合と比べて、画像間(紙間)を長く設定している。図6では、画像間は約200msecであるのに対し、図8の方式では約1秒となっている。転写モードを変更しない場合に比べて画像間を長くすることにより、モード変更が画像及び通紙に影響しないようにしている。なお、図6〜8における画像タイミングは、二次転写部に画像が移動してくる(二次転写部に画像が有る)タイミングを表しており、画像と画像の間(画像間)は用紙と用紙の間(紙間)に相当するものである。
【0044】
図7の方式の場合、紙間(画像間)は長くなるが、駆動を停止するため制御は容易である。また、用紙種類の変更に応じて装置線速を変更する場合の対応が容易である。一方、図8の方式の場合は、紙間は電源を切り替えない図6の場合と比べれば長くなるとはいえ、ほんの僅かの時間(約1秒)であり、生産性に与える影響を最小限に抑えることができる。
【0045】
なお、図7,8では直流バイアスから重畳バイアスに転写モードを切り替える場合を示しているが、逆方向に転写バイアスを切り替える、すなわち、電源を交流電源202から直流電源201に切り替える場合も同様にして可能であり、それぞれ図7,8において、ON→OFFになる電源と、OFF→ONになる電源が入れ替わるだけである。
【0046】
このように、本実施形態のプリンタにおいては、二次転写部の転写モードとして、直流バイアスを印加する直流転写モードと重畳バイアスを印加する重畳転写モードとを有しており、その転写モードを切り替える際に二次転写部の出力(二次転写バイアス電源200)をオフにしている。これにより、直流電源201から交流電源202に、あるいは交流電源202から直流電源201に電流が逆流することを防止でき、誤動作や電源の破損を防ぐことができる。また、電源への電流の逆流を防止できることから、逆流に備えて電源の耐圧を高める必要がないため、二次転写電源のコスト上昇を招くことがない。
【0047】
ここで、高圧電源出力の立ち上がり/立下り時の作用について図9を参照して詳しく説明する。出力値が大きい直流電圧に交流電圧を重畳する電源構成においては、どうしても高圧出力の立ち上がり及び立下り時間が遅くなってしまう。図9に一例を示すように、直流電源の立ち上がり/立下り時間が50msであるのに対し、AC+DC重畳電源の場合には立ち上がり時間が600ms、立下り時間が400msとなっている。したがって、上記のように電源を切り替える(転写モードを切り替える)場合、電源のオン/オフに際して上記立ち上がり及び立下り時間を考慮する必要がある。これにより、他方の電源への電流の回り込み(逆流)を確実に防ぐことができ、好適である。
【0048】
図10のフローチャートに、高圧電源出力の立ち上がり及び立下り時間を考慮して電源を切り替えるようにした電源制御の一例を示す。
このフローチャートにおいて、まず、S(ステップ)1で電源の切り替え方向を調べ、直流電源201から交流電源202への切り替えであればS2に進み、そうでなければS8に進む。S8でも電源の切り替え方向を調べ、交流電源202から直流電源201への切り替えであればS9に進む。そうでない場合は処理を終了する。
【0049】
S2及びS9では、直流電源201の出力をオフする。また、S3及びS10で交流電源202の出力をオフする。そして、S4では、直流電源201の立下り時間(図9に示すように50ms程度)を考慮して100msを待機する。S11では、交流電源202の立下がり時間に相当する400msを待機する。
【0050】
それぞれの待ち時間が経過したら、S4からS5に、また、S11からS12に進む。そして、S5,S6ではリレー1をオフするとともにリレー2をオンして(リレー1,2は図5参照)、二次転写バイアス電源200の出力を直流バイアスから重畳バイアスに切り替える。一方、S12,S13ではリレー2をオフするとともにリレー1をオンして二次転写バイアス電源200の出力を重畳バイアスから直流バイアスに切り替える。そして、S6及びS13からS7に進み、リレー動作時間に相当する50msを待機して処理を終了する。
【0051】
上記図10の処理において、S4及びS11では、S1とS8での電源切替の方向に応じた待機時間を設定している。すなわち、S1→S4の流れでは直流電源201から交流電源202への切り替えであるため、直流電源201の立下り時間を考慮して100msを待機時間に設定している。一方、S8→S11の流れでは交流電源202から直流電源201への切り替えであるため、交流電源202の立下がり時間を考慮した400msを待機時間に設定している。そして、それぞれの待機時間経過後に、転写モード切替方向に応じてリレーを制御している。そのため、出力が0に下りきる前に他方の電源に電流が回り込むことがない。
直流から交流へのモード変更時には直流電源201の立下り時間を考慮した100ms待機後にリレー2(交流出力用)をオンしているので、リレー2が接続した時点では直流側の電荷は抜け切っており、交流電源202に電流が回り込むことがない。
また、交流から直流へのモード変更時には交流電源202の立下がり時間を考慮した400ms後にリレー1(直流出力用)をオンしているので、リレー1が接続した時点では交流側の電荷は抜け切っており、直流電源201に電流が回り込むことがない。
このように、電源(転写モード)切替えに際して、電源出力オフ後(オフ信号出力後)に、電源切替の方向に応じた待機時間を設定し、その待機時間経過後に切替方向に応じたリレーをオンすることにより、電荷が抜け切った後に二次転写バイアス電源200の出力が切り替わるため、電流が逆流する(他方の電源に回りこむ)ことによる誤動作や電源の回路破損などを確実に防止することができる。
【0052】
重畳モードから直流モードへの切り替えに際しては、交流電源202の立下りに時間がかかる(直流電源201に比べて)ため、この方向の切替に際する待機時間を長くすることで、電流の逆流を確実に防止するようにしている。
【0053】
また、リレーを用いて電源出力を切り替える構成において上記のような制御を実施することによって、電流の逆流を確実に防止している。
さらに、各電源の出力オフを指令するオフ信号出力後に、待機時間が経過したら、転写モード切替の方向に応じた各電源の出力オンを指令するオン信号を出力するよう制御することで、電流の逆流をより確実に防止するようにしている。
【0054】
なお、上記説明では、図5に示すように、直流成分を出力する直流電源201および直流に交流を重畳したものを出力する交流電源(重畳電源)202を備える電源構成と、その構成における切替制御(図10)を例示したが、バイアス印加部の構成は直流バイアスと重畳バイアスを切替可能であれば適宜な構成を採用可能であり、その場合には、その構成に応じた切り替え制御を採用すればよい。
【0055】
図11は、通紙する用紙種類の変更に応じて二次転写部の転写モードを切り替える場合の、電源制御の具体例を示すタイミングチャート図である。なお、ここでは、用紙を、普通紙(凹凸が少ない用紙)→レザック紙(商品名、凹凸の大きな用紙)→普通紙に切り替える場合で説明する。
【0056】
図11のチャートに示される出力信号は、上から順に、直流電源を制御するための制御信号(図ではDC転写高圧出力信号)、DC出力のオン/オフを切り替える高圧リレーDC(図5のリレー1に相当)を動作させる制御信号(24Vでリレー:ON,0でリレー:OFF)、直流電源(図5の直流電源201に相当)からのDC出力(図では高圧(DC))、重畳電源を制御するための制御信号(図ではAC転写高圧出力信号)、AC出力(重畳出力)のオン/オフを切り替える高圧リレーAC(図5のリレー2に相当)を動作させる制御信号(24Vでリレー:ON,0でリレー:OFF)、重畳電源(図5の重畳電源202に相当)からの重畳出力(図では高圧(AC))である。なお、直流電源及び重畳電源の制御はPWMのDUTYを制御するものとする。
【0057】
さて、普通紙を通紙して二次転写する場合は、直流電源を制御するための制御信号であるDC転写高圧出力信号がハイになっており、高圧リレーDCがオンしており、直流電源からは−10kVの高圧DCが出力されている。このとき、重畳電源を制御するための制御信号であるAC転写高圧出力信号はローになっており、高圧リレーACはオフしており、重畳電源からの出力は0(ゼロ)である。
【0058】
通紙される用紙が普通紙からレザック紙に変更されるのに対応して、DC転写高圧出力信号がハイからローに変更され、これにより直流電源からの高圧DC出力が約50msで−10kVから0になる。高圧リレーDCは、上記DC転写高圧出力信号の切替から100ms後にオフされる。実際のリレーの動作時間は30〜40ms程度の短時間である(本例で使用しているリレーの場合の動作時間)。一方、高圧リレーDCがオフされた後のタイミングで高圧リレーACがオンされ、さらにその後のタイミングでAC転写高圧出力信号がオンされる。このAC転写高圧出力信号のオンにより重畳電源が立ち上がり、レザック紙を通紙している間、重畳電源から−10kVの重畳出力(高圧AC)が印加される。なお、上述したように、重畳電源(交流電源)の立ち上がり時間は600ms程度である。
【0059】
そして、通紙される用紙がレザック紙から再び普通紙に変更されるのに対応して、AC転写高圧出力信号がオフされる。これにより重畳電源からの高圧ACが立ち下がって0になる。高圧リレーACは、高圧ACの立下りに必要な時間(ここでは400ms)経過後にオフされ、その高圧リレーACがオフした後のタイミングで(約50ms程度経過後に)高圧リレーDCがオンされ、さらにその後に、DC転写高圧出力信号がハイになり、直流電源からの高圧DCが出力される。
【0060】
図12は、二次転写手段として非接触方式の転写手段である転写チャージャを用いた第2実施形態の二次転写部付近を示す模式図である。
この図に示すように、本第2実施形態では、中間転写ベルト51が掛け渡されている二次転写裏面ローラ53に対向するように、非接触方式の転写手段である転写チャージャ156を配置した構成となっている。この転写チャージャ156に二次転写バイアス電源200から、直流バイアスと重畳バイアスを切り替えて印加可能に構成している。二次転写バイアス電源としては、上記第1実施形態の二次転写バイアス電源200を使用可能である。なお、本第2実施形態では、転写チャージャ156に印加する転写バイアスの直流成分の極性はトナー帯電極性と逆極性とし、中間転写ベルト51上のトナー像を、二次転写裏面ローラ53及びベルト51と転写チャージャ156間に通紙される用紙(図示せず)上に、吸引転写させる。
【0061】
本第2実施形態でも、二次転写部の転写モードを切り替える際には、上記第1実施形態の場合と同様にして、直流電源201及び交流電源(重畳電源)202の出力をオフにした状態で転写モードを切り替えることにより、直流電源201から交流電源202に、あるいは交流電源202から直流電源201に電流が逆流することを防止でき、電源の破損を防ぐことができる。また、電源への電流の逆流を防止できることから、逆流に備えて電源の耐圧を高める必要がないため、二次転写電源のコスト上昇を招くことがない。
【0062】
ところで、本発明は中間転写方式(間接転写方式)の画像形成装置に限らず、例えば、図13に示すような、感光体上のトナー像を直接記録用紙に転写する直接転写方式の装置にも適用できる。この直接転写方式のカラープリンタは、記録用紙が給紙ローラ32により搬送ベルト131へ送られ、各色の感光体ドラム2(2Y,2C,2M,2K)から記録用紙へ各色の画像が順次直接転写され、定着装置50により定着される。各転写部に転写バイアスを印加する電源として、直流バイアスを印加する直流電源と交流バイアス(交流直流重畳バイアス)を印加する交流電源の2つの電源を備え、直流バイアスと重畳バイアスを切り替えて印加可能に構成する。転写バイアスを切り替える際には、上記各実施形態で説明したように、直流電源201及び交流電源202の出力をオフにした状態で転写モードを切り替えることにより、上記各実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0063】
また、図14に示すように、所謂1ドラム型のカラー画像形成装置にも本発明を適用できる。この1ドラム型のカラー画像形成装置は、1つの感光体101の周囲に、それぞれ、帯電手段103、イエロー,シアン,マゼンタ,黒の各色に対応した現像ユニット104(Y,C,M,K)などを有している。画像形成を行う場合、まず、感光体101の表面を帯電手段103で一様に帯電した後、感光体101の表面に対してY用画像データで変調されたレーザ光Lを照射して、感光体101の表面にY用静電潜像を形成する。そして、このY用静電潜像を現像ユニット104YによりYトナーで現像を行う。これにより得られたY用トナー像は、中間転写ベルト106上に一次転写される。その後、感光体101の表面に残留した転写残トナーをクリーニング装置120で除去した後、再び感光体101の表面を帯電手段103で一様に帯電する。次に、感光体101の表面に対してM用画像データで変調されたレーザ光Lを照射して、感光体101の表面にM用静電潜像を形成する。そして、このM用静電潜像を現像ユニット104MによりMトナーで現像を行う。これにより得られたM用トナー像は、中間転写ベルト106上に既に一次転写されているY用トナー像と重なり合うようにして、中間転写ベルト106上に一次転写される。以後、C及びKについても、同様に中間転写ベルト106上に一次転写する。このようにして互いに重なり合った状態の中間転写ベルト106上の各色トナー像は、二次転写ニップに搬送されてきた記録用紙上に転写される。トナー像が転写された記録用紙は、定着ユニット190に搬送される。この定着ユニット190で、記録用紙を加熱、加圧して、記録用紙上のトナー像を記録用紙に定着させる。定着後の記録用紙は、図示しない排紙トレイ上に排出する。この1ドラム型のカラー画像形成装置においても、二次転写部に転写バイアスを印加する電源として、直流バイアスを印加する直流電源と交流バイアス(交流直流重畳バイアス)を印加する交流電源の2つの電源を備え、直流バイアスと重畳バイアスを切り替えて印加可能に構成する。転写バイアスを切り替える際には、上記各実施形態で説明したように、直流電源201及び交流電源202の出力をオフにした状態で転写モードを切り替えることにより、上記各実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0064】
また、図15は、特開2003−118158号公報(特許文献6)に開示された画像形成装置の作像部を示す構成図であるが、本発明は、このような中間転写を使用したトナージェット方式の画像形成装置にも適用することができる。図15の画像形成装置は、トナージェット方式により中間転写ベルト3に画像を形成し、転写領域において記録用紙に転写される。この二次転写部に転写バイアスを印加する電源として、直流バイアスを印加する直流電源と交流バイアス(交流直流重畳バイアス)を印加する交流電源の2つの電源を備え、直流バイアスと重畳バイアスを切り替えて印加可能に構成する。転写バイアスを切り替える際には、上記各実施形態で説明したように、直流電源201及び交流電源202の出力をオフにした状態で転写モードを切り替えることにより、上記各実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0065】
以上、本発明を図示例により説明したが、本発明はこれに限定されるものではない。転写部の構成は適宜な構成を採用可能であり、対向部材側をベルトで構成しても良い。また、転写手段としてはニップを形成する方式に限らず、チャージャを用いた非接触方式も採用可能である。電源の構成も本発明の範囲内で適宜な構成を採用可能である。
【0066】
また、画像形成装置の構成も任意であり、タンデム式における各色作像ユニットの並び順などは任意である。また、4色機に限らず、3色のトナーを用いるフルカラー機や、2色のトナーによる多色機、あるいはモノクロ装置にも本発明を適用することができる。もちろん、画像形成装置としてはプリンタに限らず、複写機やファクシミリ、あるいは複数の機能を備える複合機であっても良い。
【符号の説明】
【0067】
1 画像形成ユニット
11 感光体ドラム(像担持体)
31 現像装置
50 転写ユニット
51 中間転写ベルト(像担持体)
53 二次転写裏面ローラ
56 ニップ形成ローラ
80 光書込ユニット
90 定着装置
156 転写チャージャ
200 二次転写バイアス電源
201 直流電源
202 交流電源(重畳電源)
300 制御手段
【先行技術文献】
【特許文献】
【0068】
【特許文献1】特開2006−267486号公報
【特許文献2】特開2008−058585号公報
【特許文献3】特開平09−146381号公報
【特許文献4】特開平04−086878号公報
【特許文献5】特開2010−281907号公報
【特許文献6】特開2003−118158号公報

【特許請求の範囲】
【請求項1】
直流電圧による転写バイアスを印加して画像転写を行なう直流転写モードと、直流電圧に交流電圧を重畳した転写バイアスを印加して画像転写を行なう重畳転写モードとを切り替え可能な画像形成装置において、
前記直流転写バイアスを印加するための直流電源と、前記重畳転写バイアスを印加するための交流電源を備え、
前記転写モードを切り替える際に、前記直流電源および前記交流電源の出力をオフした状態で転写モードを切り替えることを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記転写モードを切り替える際に、作像部の動作を停止させた状態で切り替えを行うことを特徴とする、請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記転写モードを切り替える際に、作像部の動作を継続した状態の画像間に相当するタイミングで切り替えを行うことを特徴とする、請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記転写モードを切り替える際の画像間が、転写モード切替を行わない場合の画像間よりも長く設定されていることを特徴とする、請求項3に記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記転写モードを切り替える際に、モード切替の方向に応じた待機時間が設定されていることを特徴とする、請求項1〜4のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記待機時間は、直流転写モードから重畳転写モードへ切り替える場合の待機時間よりも、重畳転写モードから直流転写モードへ切り替える場合の待機時間の方が長く設定されていることを特徴とする、請求項5に記載の画像形成装置。
【請求項7】
前記直流電源および前記交流電源がリレーを介して出力するよう構成されており、前記転写モードを切り替える場合、前記待機時間経過後に前記リレーを動作させることを特徴とする、請求項5又は6に記載の画像形成装置。
【請求項8】
記録媒体として表面の凹凸の大きい記録用紙を用いる場合に、前記重畳転写モードでの画像転写を行なうことを特徴とする、請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項9】
前記直流電源が定電流制御されることを特徴とする、請求項1に記載の画像形成装置。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【公開番号】特開2013−11835(P2013−11835A)
【公開日】平成25年1月17日(2013.1.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−179488(P2011−179488)
【出願日】平成23年8月19日(2011.8.19)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】