説明

画像形成装置

【課題】感光体が装置本体から取り外しできない画像形成装置であっても、ジャム処理が容易に行えるようにする。
【解決手段】感光体カートリッジ1を支持軸13を中心として揺動自在とし、現像カートリッジ3を装置本体70から取り外すと、現像カートリッジ3と感光体カートリッジ1との当接が解除され、感光体カートリッジ1が転写位置から離間位置に移動する。ここで、感光体カートリッジ1を離間位置から、定着装置6の近傍の第1退避位置又は露光装置2の近傍の第2退避位置にさらに移動可能としてもよい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子写真方式の画像形成装置に関し、より詳細には、装置本体に対して現像カートリッジが着脱自在の画像形成装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
プリンタ、複写機、ファクシミリ及びそれら機能を複合的に備えた電子写真方式の画像形成装置では、帯電装置によって感光体の表面を一様に帯電させた後、露光装置によって感光体表面に静電潜像を形成する。そして、現像装置によって感光体表面の静電潜像にトナーを供給してトナー画像として可視化し、転写部材によって、このトナー画像を用紙などの被転写材に転写した後、被転写材を加熱・加圧してトナー画像を被転写材に溶融定着している。
【0003】
近年、画像形成装置の機能の複合化及び装置の一層の小型・軽量化を図るために、従来は開閉可能であった、転写ローラーを支持する本体カバーを開閉不能にしたり、感光体を備えた感光体カートリッジを装置本体から取り外し不能とする装置が開発検討されている。このような装置の場合、感光体と転写部材との間で紙詰まり(ジャム)が生じた場合、感光体と転写部材とは接触又は近接しているため、詰まった被転写材を除去することは容易ではない。また、被転写材の除去作業中に感光体や転写部材をキズ付けるおそれもある。
【0004】
特許文献1には、転写ローラーを屈曲可能な保持体で支持し、ジャム処理時には保持体を屈曲させて、感光体と転写ローラーとの間に大きなジャム処理空間を確保する技術が提案されている。また、特許文献2には、感光体に対して転写ローラーを離接させるスライダーを設けると共に、現像装置の着脱に連動させてスライダーを移動させて、転写ローラーを転写位置から退避位置に移動させる技術が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平9-236995号公報
【特許文献2】特開2005-157186号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
前記提案技術は、いずれも転写ローラーを移動させて感光体と転写ローラーとの間にジャム処理用の空間を確保しようというものであり、装置の小型化や低価格化の面から実使用には不向きと考えられる。
【0007】
本発明はこのような従来の問題に鑑みてなされたものであり、その目的は、感光体が装置本体から取り外しできない装置であっても、ジャム処理が容易に行える画像形成装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明によれば、静電潜像が表面に形成される感光体を有する感光体カートリッジと、前記静電潜像に現像剤を供給しトナー画像として可視像化する、装置本体に対して着脱自在の現像カートリッジと、前記感光体の表面に形成されたトナー画像を被転写材に転写する転写部材とを備えた画像形成装置であって、前記装置本体に対して前記現像カートリッジを着脱するのに連動して、前記感光体カートリッジが、前記感光体から被転写材にトナー画像を転写可能な転写位置と、前記感光体と前記転写部材との間が充分に離れた離間位置とに移動することを特徴とする画像形成装置が提供される。
【0009】
ここで、前記感光体カートリッジを支持軸を中心として揺動自在とし、前記現像カートリッジを前記装置本体に装着すると、前記現像カートリッジが前記感光体カートリッジに当接して、前記感光体カートリッジが離間位置から転写位置に移動するようにしてもよい。
【0010】
また、被転写材に転写されたトナー画像を溶融定着させる定着装置をさらに設け、前記現像カートリッジが前記装置本体から取り外されたとき、前記感光体カートリッジを離間位置から前記定着装置の近傍の第1退避位置に移動可能としてもよい。
【0011】
そしてまた、一様に帯電された前記感光体に光を照射して静電潜像を形成する露光装置をさらに設け、前記現像カートリッジが前記装置本体から取り外されたとき、前記感光体カートリッジを離間位置から前記露光装置の近傍の第2退避位置に移動可能としてもよい。
【発明の効果】
【0012】
本発明の画像形成装置では、現像カートリッジの着脱に連動して、感光体カートリッジが転写位置と離間位置との移動するので、感光体と転写部材との間に被転写材が詰まった場合には、現像カートリッジを装置本体から取り外すことにより、感光体と転写部材との間に空間が形成され、詰まった被転写材を容易に取り除くことができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明に係る画像形成装置の一例を示す概説図。
【図2】感光体カートリッジと、現像カートリッジ、転写ローラーとの位置関係を説明する図。
【図3】現像カートリッジを装置本体から取り外す途中段階の状態図。
【図4】現像カートリッジを装置本体から取り外す途中段階の状態図。
【図5】現像カートリッジを装置本体から取り外し、用紙を取り除いている状態図。
【図6】本発明に係る画像形成装置の他の例を示す概説図。
【図7】本発明に係る画像形成装置のさらに他の例を示す概説図。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明を図に基づいてより詳細に説明するが本発明はこれらの実施形態に何ら限定されるものではない。
【0015】
図1に、本発明に係る画像形成装置の一実施形態を示す概説図を示す。図1に示す画像形成装置7は、反時計回りに回転する円筒状の感光体Dの周囲に、感光体Dの表面を一様に帯電させる帯電装置11と、感光体D表面に光を照射して静電潜像を形成する露光装置2と、感光体Dにトナーを供給し感光体D上の静電潜像を現像してトナー画像を形成する現像カートリッジ3と、現像カートリッジ3によって現像されたトナー画像を感光体Dから用紙(被転写材)Pに転写する転写ローラー(転写部材)4と、用紙Pに転写されずに感光体D上に残留した未転写トナーを除去するクリーニングブレード12とを備えている。
【0016】
感光体D、帯電ローラー11、クリーニングブレード12及び不図示の廃トナー収容部は1つのケースに収められ感光体カートリッジ1を構成する。
【0017】
帯電装置11は、高電圧を印加した帯電ローラーを図示したが、帯電方式の種類を限定するものではなく、感光体Dの表面を一様に帯電する機能を有するものであればよい。
【0018】
露光装置2は、帯電装置11によって一様に帯電された感光体Dの表面に、例えばパソコンなどの外部装置から入力される画像データに基づいて、選択的に光を照射して感光体Dの表面に所定の静電潜像を形成する。
【0019】
現像カートリッジ3は、ハウジング31と、感光体Dに対して離隔対向し、回転可能な現像ローラー32と、現像剤を撹拌混合する複数の搬送ローラー33と、現像剤を収容し順次現像ローラー32に補給する収容室34とを有する。現像ローラー32には、現像バイアス電圧が印加され、現像ローラー32に印加される電圧と感光体Dの静電潜像の電圧との電位差によって、帯電したトナーが感光体Dに移動し、感光体D上の静電潜像がトナーによって可視像化される。現像カートリッジ3は装置本体70に対して着脱自在であり、収容室34にトナーがなくなると、現像カートリッジ3は新しいものと交換される。
【0020】
転写ローラー4は、転写ローラー4に連結された駆動モータ(不図示)によって回転可能に設けられるとともに付勢部材(不図示)によって感光体Dに圧接している。また転写ローラー4には、不図示の電圧印加手段によって、トナーの帯電極性と逆極性の電圧が印加される。感光体Dと転写ローラー4との間を用紙Pが通過する際に、転写ローラー4に前記電圧が印加され、感光体Dに形成されたトナー画像が用紙Pに転写する。
【0021】
現像カートリッジ3の下部には、用紙Pを収納した給紙カセット51が装置本体70に対して着脱自在に収納されており、用紙Pは給紙カセット51の上方側部に配置された給紙ローラー52の回転によって最上紙から順に1枚ずつ搬送路Wに送り出される。給紙カセット51から送り出された用紙Pは、感光体Dの回転とタイミングを合わせて転写ローラー4と感光体Dの間へ送り出され、前述の通りトナー画像が用紙Pに転写される。
【0022】
画像形成装置7は、感光体Dから用紙Pに転写されたトナー画像を溶融定着させる定着装置6を備えている。定着装置6は、ハロゲンヒータHを内蔵した定着ローラー61と、定着ローラー11に圧接する加圧ローラー62とで構成されている。定着ローラー61と加圧ローラー62とのニップ部を用紙Pが通過する際に、トナー画像が加熱及び加圧されて用紙Pに溶融定着する。そして、用紙Pは排紙トレイ72へ排出される。
【0023】
また、画像形成装置7には、画像形成に関係する構成要素を総合的に制御する制御装置71が設けられ、この制御装置71は、感光体D、帯電ローラー11、現像ローラー32、転写ローラー4、給紙ローラー52、定着ローラー61などの回転駆動、及び露光装置2、現像カートリッジ3、ハロゲンヒータH、電圧印加手段などの作動を制御する。さらに、画像データの処理や格納などの機能を備えている。
【0024】
図2に、感光体カートリッジ1と現像カートリッジ3、転写ローラー4との状態を示す概説図を示す。図2に示す状態は、感光体Dと転写ローラー4とが圧接した転写可能状態である。転写ローラー4は装置本体70に回動自在に軸支されている。感光体カートリッジ1は、幅方向両側面から外方に突出した支持軸13が、装置本体の幅方向両側面に形成された半円筒状の受け部73aに係合され揺動自在に支持されている。
【0025】
現像カートリッジ3のハウジング31の上面には現像カートリッジ3を着脱するための把手36が設けられ、感光体カートリッジ1に対向する側面には突起35が設けられ、そして幅方向両側面の下部には、着脱案内部8が形成されている。着脱案内部8は、2つの係合凹部81a,81bを有する。一方、現像カートリッジ3が装着される、装置本体70の対応位置には、圧縮コイルばね92によって上方に付勢された押圧ローラー91が設けられている。
【0026】
図2は、押圧ローラー91が、着脱案内部8の係合凹部81bに係合し、圧縮コイルばね92によって、現像カートリッジ3が突起35を中心として反時計回りに回転して、感光体カートリッジ1に当接し、感光体カートリッジ1を支持軸13を中心として反時計回りに回転させて、感光体Dと転写ローラー4とが圧接した転写位置とした状態である。
【0027】
図2に示す、感光体カートリッジ1が転写位置のときに、感光体Dと転写ローラー4との間で紙詰まりが発生した場合には、現像カートリッジ3を取り外すことによって、感光体カートリッジ1を、感光体Dと転写ローラー4とが離れた離間位置とし、詰まった用紙を除去する。図3及び図4に、現像カートリッジ3を装置本体70から取り外す場合の状態図を示す。
【0028】
図2に示す状態から、把手36を用いて現像カートリッジ3を時計回りに少し回転させると、図3に示すように、現像カートリッジ3が突起35を中心として時計回りに回転し、押圧ローラー91は係合凹部81bから外れて係合凹部81aに係合する。すると、感光体カートリッジ1も自重によって支持軸13を中心として時計回りに回転して、感光体Dが転写ローラー4から離間する。次に、図4に示すように、現像カートリッジ3を上方に引き上げる。そして図5に示すように、感光体Dと転写ローラー4との間に詰まった用紙Pを、現像カートリッジ3を外した後の空間を利用して除去する。
【0029】
なお、現像カートリッジ3を装置本体70に装着する場合は前述と逆の手順となる。すなわち、現像カートリッジ3を装置本体70に挿入し、案内壁8の係合凹部81aに押圧ローラー91を係合させる(図3)。次いで、現像カートリッジ3の把手36を左下方向に操作して係合凹部81bに押圧ローラー91を係合させる。これにより、現像カートリッジ3が突起35を中心として反時計回りに回転し、感光体カートリッジ1に当接して感光体カートリッジ1を支持軸13を中心として反時計回りに回動させて、感光体Dと転写ローラー4とを圧接させる。
【0030】
図6に、本発明に係る画像形成装置の他の実施形態を示す。画像形成装置7の装置本体70は高温になる定着装置6を備えており、ジャム処理のとき使用者が誤って触れると危険である。そこで、本実施形態では、離間位置となった感光体カートリッジ1を、定着装置6の近傍の第1退避位置までさらに移動可能として、感光体カートリッジ1で定着装置6を覆い隠し、使用者が誤って定着装置6に触れることのないようにした。具体的には、感光体カートリッジ1を軸支する受け部73aの他に、定着装置6の近傍に受け部73bを装置本体70に設けると共に、受け部73aと受け部73bとの間の支持軸13の移動を案内する一対のガイド板74を設けた。感光体カートリッジ1の離間位置から第1退避位置への移動は、掴み部16を持って一対のガイド板74の間を支持軸13が通るように感光体カートリッジ1を移動させる。
【0031】
図7に、本発明に係る画像形成装置のさらに他の実施形態を示す。画像形成動作の即応性を重視する画像形成装置の中には、ジャム処理時であっても露光装置2をオフしないものがある。このような装置では、ジャム処理のときにレーザー光が使用者の眼に誤って入るおそれがある。そこで、本実施形態では、離間位置となった感光体カートリッジ1を、露光装置2の近傍の第2退避位置までさらに移動可能として、感光体カートリッジ1で露光装置2を覆い隠し、露光装置2から出射されたレーザー光が使用者の眼に誤って入らないようにした。具体的には、感光体カートリッジ1を軸支する受け部73aの他に、露光装置2の近傍に受け部73cを装置本体70に設けると共に、受け部73aと受け部73cとの間の支持軸13の移動を案内する一対のガイド板75を設けた。感光体カートリッジ1の離間位置から第2退避位置への移動は、掴み部16を持って一対のガイド板75の間を支持軸13が通るように感光体カートリッジ1を移動させる。
【0032】
以上説明した実施形態に加えて、現像カートリッジ3が装置本体70から取り外され、感光体カートリッジ1が離間位置になったとき、感光体カートリッジ1の動きに連動して感光体Dの露出部分を遮光カバーが覆うようにしてもよい。これにより、感光体Dに外光が照射されるのを防ぐことができ、感光体Dの光劣化を抑制できる。
【産業上の利用可能性】
【0033】
本発明の画像形成装置によれば、現像カートリッジ3の着脱に連動して、感光体カートリッジ1が転写位置と離間位置との移動するので、感光体Dと転写ローラー4との間に用紙Pが詰まった場合に、現像カートリッジ3を装置本体70から取り外すことによって、感光体Dと転写ローラー4との間に空間が形成され、詰まった用紙Pを容易に取り除くことができ有用である。
【符号の説明】
【0034】
1 感光体カートリッジ
2 露光装置
3 現像カートリッジ
4 転写ローラー(転写部材)
6 定着装置
7 画像形成装置
8 着脱案内部
D 感光体
P 用紙(被転写材)
13 支持軸
70 装置本体
73a 受け部
73b、73c 受け部
91 押圧ローラー

【特許請求の範囲】
【請求項1】
静電潜像が表面に形成される感光体を有する感光体カートリッジと、前記静電潜像に現像剤を供給しトナー画像として可視像化する、装置本体に対して着脱自在の現像カートリッジと、前記感光体の表面に形成されたトナー画像を被転写材に転写する転写部材とを備えた画像形成装置であって、
前記装置本体に対して前記現像カートリッジを着脱するのに連動して、前記感光体カートリッジが、前記感光体から被転写材にトナー画像を転写可能な転写位置と、前記感光体と前記転写部材との間が充分に離れた離間位置とに移動することを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記感光体カートリッジが支持軸を中心として揺動自在であり、前記現像カートリッジを前記装置本体に装着されると、前記現像カートリッジが前記感光体カートリッジに当接して、前記感光体カートリッジが離間位置から転写位置に移動する請求項1記載の画像形成装置。
【請求項3】
被転写材に転写されたトナー画像を溶融定着させる定着装置をさらに備え、前記現像カートリッジが前記装置本体から取り外されたとき、前記感光体カートリッジを離間位置から前記定着装置の近傍の第1退避位置に移動可能とした請求項1又は2記載の画像形成装置。
【請求項4】
一様に帯電された前記感光体に光を照射して静電潜像を形成する露光装置をさらに備え、前記現像カートリッジが前記装置本体から取り外されたとき、前記感光体カートリッジを離間位置から前記露光装置の近傍の第2退避位置に移動可能とした請求項1〜3のいずれかに記載の画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2013−3191(P2013−3191A)
【公開日】平成25年1月7日(2013.1.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−131049(P2011−131049)
【出願日】平成23年6月13日(2011.6.13)
【出願人】(303000372)コニカミノルタビジネステクノロジーズ株式会社 (12,802)
【Fターム(参考)】