説明

画像形成装置

【課題】給紙トレイの切り替えが行われた際に、ユーザの望まない転写紙に切り替えられて印刷が継続されてしまうことを防止する画像形成装置を提供する。
【解決手段】印刷中に、第1の給紙トレイから給紙されていた転写紙がなくなったときに、第2の給紙トレイから給紙するように切り替えて、印刷を継続する画像形成装置において、転写紙の搬送経路に設けられ、転写紙の厚み方向の透過光量を測定する透過光量測定手段と、透過光量測定手段の測定結果に基づく制御を行う制御手段と、を有し、第1の給紙トレイから第2の給紙トレイへ切り替えられる場合、透過光量測定手段は、第1の給紙トレイから給紙された第1の転写紙の透過光量、及び、第2の給紙トレイから給紙された第2の転写紙の透過光量を測定し、制御手段は、第1の転写紙の透過光量と第2の転写紙の透過光量との差分が予め定められた範囲ではない場合、実行中の印刷を中断するように制御する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、印刷中に、所定の給紙トレイの転写紙がなくなったとき、別の給紙トレイに切り替えて印刷を継続する画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
画像形成装置において、印刷中に、給紙中の給紙トレイの転写紙(用紙)がなくなった場合、他の給紙トレイに切り替え、その給紙トレイから転写紙の給紙を行うようにすることで、印刷を継続する技術が既に知られている。
【0003】
上記技術において、画像形成装置は、給紙トレイ毎に予め設定される転写紙の属性(例えば、サイズ、紙種、紙厚等)を基に、切り替え先の給紙トレイとして適切かどうかを判断する。よってユーザは、印刷を実行する前に、画像形成装置において、給紙トレイ毎に、格納(セット)されるべき転写紙の属性を設定しておく必要がある。
【0004】
しかしながら、上述した設定が行われた後で、例えば、別のユーザが、所定の給紙トレイにおいて、予め設定された属性とは別の属性の用紙を格納し、予めなされた設定の変更を行わないような場合、その給紙トレイにおいて、予め設定された用紙の属性と、実際に格納された用紙の属性とが異なる(一致しない)事態が生じる。このとき、画像形成装置は、予め設定された用紙の属性だけを考慮するので、実際にはその属性とは異なる属性の用紙が格納されている給紙トレイを、切り替え先として適切であると判断してしまうことが起こる。その結果、ユーザの望まない(ユーザが予期せぬ)用紙が給紙されて、印刷が継続されることになるという問題が生じる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1には、画像形成装置において、印刷中に給紙トレイの転写紙がなくなったときに別の給紙トレイに切り替えて印刷を継続するにあたり、ユーザの望まない転写紙を給紙してしまうことを防止する目的で、特定の紙種や給紙トレイを切り替えの対象にしないようにする技術が開示されている。
【0006】
しかし、この特許文献1の技術では、切り替え先となる給紙トレイにおいて予め設定された転写紙の属性と実際に格納された転写紙の属性とが異なる場合に、ユーザの望まない転写紙に切り替えられて印刷が継続されてしまうという問題を解決することはできない。
【0007】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、印刷中に所定の給紙トレイの転写紙がなくなり、別の給紙トレイに切り替えて印刷を継続するにあたり、ユーザの望まない転写紙に切り替えられて印刷が継続されてしまうことを防止できる技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
かかる目的を達成するために、本発明の画像形成装置は、印刷中に、第1の給紙トレイから給紙されていた転写紙がなくなったときに、以後第2の給紙トレイから給紙されるように切り替える画像形成装置において、転写紙の搬送経路に設けられ、転写紙の厚み方向の透過光量を測定する透過光量測定手段と、透過光量測定手段の測定結果に基づく制御を行う制御手段と、を有し、第1の給紙トレイから第2の給紙トレイへ切り替えられる場合、透過光量測定手段は、第1の給紙トレイから給紙された第1の転写紙の透過光量、及び、第2の給紙トレイから給紙された第2の転写紙の透過光量を測定し、制御手段は、第1の転写紙の透過光量と第2の転写紙の透過光量との差分が予め定められた範囲ではない場合、実行中の印刷を中断するように制御することを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、印刷中に、所定の給紙トレイの転写紙がなくなり、別の給紙トレイに切り替えて印刷を継続するにあたり、ユーザの望まない転写紙に切り替えられて印刷が継続されてしまうことを防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明の一実施形態に係る画像形成システムの要部構成の一例を示す側断面図である。
【図2】本発明の一実施形態に係る画像形成システムの要部構成の一例を示す機能ブロック図である。
【図3】本発明の一実施形態に係る画像形成システムに備えられる透過光量測定装置の要部構成の一例を示す側面図である。
【図4】本発明の一実施形態に係る画像形成装置の給紙トレイ切り替え時の動作の一例を示すフローチャートである。
【図5】本発明の一実施形態に係る画像形成装置の特徴的な動作の一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明を実施するための形態(実施形態)について添付図面を参照して詳細に説明する。
【0012】
本実施形態は、印刷中に、第1の給紙トレイから給紙されていた転写紙がなくなったときに、第2の給紙トレイに切り替えて、以後第2の給紙トレイから給紙された転写紙に対し、印刷を行う画像形成装置において、以下の特徴を有する。
【0013】
要するに、第1から第2の給紙トレイに切り替える際、第1の給紙トレイから給紙された第1の転写紙の透過光量及び第2の給紙トレイから給紙された第2の転写紙の透過光量を測定し、その測定結果を基に、第1の転写紙と第2の転写紙とが異なる属性であるかを判断し、異なる属性である場合に、印刷動作を中断することが特徴になっている。この特徴について、以下、具体例を用いて詳細に解説する。
【0014】
図1は、本実施形態の画像形成システムの構成例について説明する図である。
【0015】
画像形成システムは、図1に示すように、画像形成装置U1、給紙装置U2、後処理装置U3で構成されている。
【0016】
画像形成装置U1としては、例えば電子写真式記録装置やインクジェット式記録装置が挙げられる。画像形成装置U1は、画像情報を用紙(転写紙)へ印刷し、その用紙を後処理装置U3に搬送する。なお、本実施形態では、記録媒体の一例を用紙として説明するが、紙以外の記録媒体であってもよい。
【0017】
また、画像形成装置U1は、印刷前の用紙を格納する給紙トレイT1、T2と、印刷後の用紙を排出するための排紙トレイT3と、を備える。給紙トレイT1、T2は比較的小容量の用紙を格納する。排紙トレイT3には、ジャムや用紙の重送給紙、給紙する用紙の用紙切れが発生した際に、搬送路に存在する無効な用紙を排出することができる。
【0018】
なお、画像形成装置U1は、図1には図示していないが、単体の画像形成装置としての機能を成すため、セットされた原稿を読み取り位置に搬送する読み取り給紙装置、原稿の画像情報を読み取るスキャナ装置、テンキー、スタートキー、ファンクションキー、ワンタッチキー等の各種操作キーを備えた操作パネル及び液晶ディスプレイ等で構成される操作部(後述する表示部19に相当)も備えている。
【0019】
給紙装置U2は、用紙を格納する装置であり、比較的大容量の用紙を格納できる給紙トレイT4〜T6を備え、上部には手差し給紙するための給紙トレイT7を備えている。給紙装置U2は、画像形成装置U1と並んでその上流側に接続され、画像形成装置U1へ用紙を搬送する。図1の例では、給紙装置を1台のみ接続しているが、複数の給紙装置を多段的に連結して接続することもできる。
【0020】
ユーザは、印刷の実行前に、画像形成装置U1が備える給紙トレイT1、T2、及び、給紙装置U2が備える給紙トレイT4〜T7毎に、それぞれの給紙トレイに格納する用紙の属性(例えば、サイズ、紙種、紙厚等)を操作部から指定して、画像形成装置U1(の所定の記憶手段。例えばハードディスク等)に記憶させるようにする。このようにして、画像形成装置U1において、給紙トレイ(の識別情報)毎に、格納されるべき用紙の属性が設定される。なお、用紙のサイズについては、給紙トレイ側に検知するセンサを設け、自動検知する構成とするようにしてもよい。
【0021】
後処理装置U3は、画像形成装置U1の下流側に接続され、画像形成装置U1から排出された用紙に対して後処理を施す装置である。図1の例では、後処理装置U3を1台のみ接続しているが、複数の後処理装置を連結して接続することもできる。
【0022】
後処理装置U3は、ステープラー処理やパンチ処理を施すフィニッシャーであり、印刷物を排紙するための排紙トレイT8〜T10を備えている。後処理装置U3は、実施する後処理の種類に応じて、排出先となる排紙トレイT8〜T10を切り替える。
【0023】
ステープラー処理では、印刷用紙の綴じ枚数によってステープルをカットする際にステープル切り屑が発生し、パンチ処理では、印刷用紙にパンチ穴を開ける際にパンチ屑が発生する。図1では示していないが、後処理装置U3は、ステープル切り屑やパンチ屑といった残滓を格納するための残滓回収ユニットも備えている。
【0024】
なお、図1の画像形成システムにおいて、例えば、製本用に印刷された表紙あるいは仕切り紙のような画像形成を必要としない用紙を挿入するためのインサーター、リング製本やくるみ製本を実施する製本機、用紙をZ折りや2つ・3つ・4つ折り等する多機能フォルダー、大量の印刷物を積載するスタッカー等の後処理装置、等を備えるようにしてもよい。
【0025】
図2は、図1に示す画像形成システムの機能ブロックの例を示す図である。
【0026】
図2に示す画像形成システムにおいて、画像形成装置10は図1の画像形成装置U1、給紙装置20は図1の給紙装置U2、後処理装置30は図1の後処理装置U3にそれぞれ該当する。
【0027】
画像形成装置10は、システム制御部11、シリアル通信部12、13、給紙部14、用紙搬送部15、画像処理部16、画像形成部17、後処理制御部18、表示部19を備えており、これら11〜19の各部はバスにより相互に接続されている。
【0028】
システム制御部11(制御手段の一例)は、CPU(Central Processing Unit)等を備えており、その他の各部12〜19を制御して画像形成動作や用紙搬送動作を行う。
【0029】
シリアル通信部12は、後処理装置30と通信ケーブルを介してシリアル通信を行う。
【0030】
シリアル通信部13は、給紙装置20と通信ケーブルを介してシリアル通信を行う。
【0031】
給紙部14は、格納されている用紙を給紙する。給紙部14は、例えば、図1の画像形成装置U1におけるT1、T2に該当する。給紙装置20から用紙を給紙する場合は、システム制御部11が、シリアル通信部13を介して給紙装置20に対し、給紙装置20から用紙を給紙するように指示する。
【0032】
用紙搬送部15は、画像形成時の用紙搬送、両面印刷時の用紙反転搬送、排紙、あるいは後処理装置30への用紙搬送等を行う。
【0033】
画像処理部16は、画像データに印刷に適した画像処理を施す。
【0034】
画像形成部17は、画像処理部16により画像処理された画像データを用紙に記録する。
【0035】
後処理制御部18は、シリアル通信部12を介して後処理装置の動作や電力モードの状態遷移を指示する。
【0036】
表示部19は、テンキー、スタートキー、ファンクションキー、ワンタッチキー等の各種操作キーを備え、操作キーで入力された各種操作命令や画像形成装置10からオペレータに通知する各種情報を表示する。
【0037】
なお、図2には図示していないが、画像形成装置10は、予め設定された、給紙トレイ毎の用紙の属性を示す情報を格納する記憶部を有する。この情報は、例えば、給紙トレイの識別情報と、その給紙トレイに格納される用紙の属性情報(サイズ、紙種、紙厚等)とが対応付けられた形式である。
【0038】
給紙装置20は、システム制御部21、シリアル通信部22および23、給紙部24、用紙搬送部25を備えており、これら21〜25の各部はバスにより相互に接続されている。
【0039】
システム制御部21は、CPU等を備えており、22〜25の各部を制御して用紙の給紙を行う。
【0040】
シリアル通信部22は、画像形成装置10と通信ケーブルを介してシリアル通信を行う。
【0041】
シリアル通信部23は、給紙装置20の前段に別の給紙装置(図示せず)を接続する場合に、その別の給紙装置と通信ケーブルを介してシリアル通信を行う。
【0042】
給紙部24は、格納されている用紙を給紙する。給紙部24は、例えば、図1の給紙装置U2におけるT4〜T7に該当する。
【0043】
用紙搬送部25は、画像形成装置10への用紙搬送を行う。
【0044】
後処理装置30は、ステープラー処理やパンチ処理を施すフィニッシャーであり、システム制御部31、シリアル通信部32、33、ステープラー処理部34、パンチ処理部35、用紙搬送部36を備えている。31〜36の各部はバスにより相互に接続されている。
【0045】
システム制御部31は、CPU等を備えており、32〜36の各部を制御してステープル処理やパンチ処理および用紙の排出処理を行う。
【0046】
シリアル通信部32は、画像形成装置10と通信ケーブルを介してシリアル通信を行う。
【0047】
シリアル通信部33は、後処理装置30の後段に別の後処理装置(図示せず)を接続する場合に、その後処理装置と通信ケーブルを介してシリアル通信を行う。
【0048】
ステープラー処理部34は、画像画形成装置10から搬送されてくる用紙にステープラー処理を施す。
【0049】
パンチ処理部35は、画像形成装置10から搬送されてくる用紙にパンチ処理を施す。パンチ処理は、用紙を束にしてパンチ穴を開ける構成でもよいし、用紙1枚毎にパンチ穴を開ける構成でもよい。
【0050】
用紙搬送部36は、画像形成装置10から搬送されてくる用紙をステープラー処理やパンチ処理を施すために搬送して排出したり、後処理を何も実施せずに排出したりするための搬送動作を行う。排出先の例としては、図1に示す排紙トレイT8〜T10が挙げられる。後段に別の後処理装置が接続される場合には、後処理装置20に用紙を排出しないときに、後段の別の後処理装置に用紙を搬送する。
【0051】
なお、図2の例では、画像形成装置10に給紙装置20及び後処理装置30を連結する場合の接続形態をデイジーチェーン接続で説明したが、バス接続にして画像形成装置10が複数台の給紙装置及び後処理装置を制御する形式でもよい。
【0052】
図3は、本実施形態の画像形成システムが備える透過光量測定装置の構成例を示す図である。
【0053】
透過光量測定装置(透過光量測定手段の一例)は、発光部C1と受光部C2より構成され、用紙搬送路C3に垂直に対向配置されている。
【0054】
用紙搬送路C3には、転写紙C6の有無を検知する搬送センサC4と、転写紙C6を搬送するための搬送ローラC5と、が設けられている。搬送ローラC5によって転写紙C6が用紙搬送路C3に進入すると、転写紙C6の先端を搬送センサC4が検知してから所定の時間後に、発光部C1が発光して転写紙C6を透過した光の光量を受光部C2で測定する。
【0055】
この図3に示す透過光量測定装置は、複数の給紙トレイから搬送されてくる用紙が合流する位置の直後に設けられる。例えば図1において、透過光量測定装置は、全ての給紙トレイT1〜T7から搬送されてくる転写紙が合流する位置の直後(P1に示す範囲)に設けられてもよいし、又は、給紙トレイT4〜T7から搬送されてくる転写紙が合流する位置の直後(P2に示す範囲)に設けられてもよい。図1に示すように、透過光量測定装置は、画像形成装置10(U1)又は給紙装置20(U2)のいずれに設けられてもよい。P1に示す範囲の方が、1つの透過光量測定装置で、給紙トレイT1〜T7から搬送されてくる全ての用紙の透過光量を測定できるので、より望ましい。
【0056】
次に、上記のように構成された本実施形態の画像形成システム及び画像形成装置の動作例について以下に説明する。
【0057】
まず、印刷中に、給紙中の給紙トレイにおいて用紙切れが発生したときの画像形成装置10(画像形成装置U1)の動作例について、図4を参照して説明する。なお、ここでは例として、給紙中の給紙トレイA(A=Tn)を図1に示すT1とする。また、画像形成装置U1においては、図1に示すT1、T2、T4〜T7のそれぞれについて、上述した、格納される用紙の属性を示す情報が予め設定されているとする。
【0058】
画像形成装置10において、システム制御部11は、給紙中の給紙トレイT1(給紙部14の一例)の用紙切れを検知すると、予め用紙の属性が設定されている給紙トレイT2、T4〜T7に対し、切り替え先の給紙トレイとして適切か否かの判断を開始する。まずシステム制御部11は、判断対象の給紙トレイとして、給紙トレイT2、T4〜T7の中から1つ選択する(S1)。ここでは、番号順として、給紙トレイT2が選択されたとする。
【0059】
システム制御部11は、給紙トレイT2に用紙があるか否かを判断する(S2)。給紙トレイT2に用紙が無い場合は(S2/No)、後述するS7へ進む。給紙トレイT2に用紙がある場合(S2/Yes)、後述するS3へ進む。
【0060】
次に、システム制御部11は、予め設定されている給紙トレイT1、T2の用紙の属性を基に、給紙トレイT1に格納されていた用紙のサイズと、給紙トレイT2に格納されている用紙のサイズとが同じか否かを判断する(S3)。用紙のサイズが同じではない場合は(S3/No)、後述するS7へ進む。用紙のサイズが同じである場合は(S3/Yes)、後述するS4へ進む。
【0061】
次に、システム制御部11は、予め設定されている給紙トレイT1、T2の用紙の属性を基に、給紙トレイT1に格納されていた用紙の種類(紙種)と、給紙トレイT2に格納されている用紙の種類(紙種)とが同じか否かを判断する(S4)。紙種が同じではない場合は(S4/No)、後述するS7へ進む。紙種が同じである場合は(S4/Yes)、後述するS5へ進む。
【0062】
次に、システム制御部11は、予め設定されている給紙トレイT1、T2の用紙の属性を基に、給紙トレイT1に格納されていた用紙の厚さ(紙厚)と、給紙トレイT2に格納されている用紙の厚さ(紙厚)とが同じか否かを判断する(S5)。紙厚が同じではない場合は(S5/No)、後述するS7へ進む。紙厚が同じである場合は(S5/Yes)、後述するS6へ進む。
【0063】
給紙トレイT2に用紙があり(S2/Yes)、かつ、その給紙トレイT2に予め設定されている用紙の属性(サイズ、紙種、紙厚)が全て、給紙トレイT1に予め設定されている用紙の属性(サイズ、紙種、紙厚)と一致する場合(S3/Yes〜S4/Yes〜S5/Yes)、システム制御部11は、給紙トレイT2を切り替え先の給紙トレイとして適切であると判断し、給紙トレイT1からT2への切り替えを行うように制御する(S6)。これにより、給紙トレイT2からの給紙が行われ、印刷が継続される。
【0064】
給紙トレイT2に用紙がない(S2/No)、又は、給紙トレイT2に用紙はあるものの、給紙トレイT2に予め設定されている用紙の属性(サイズ、紙種、紙厚)のいずれか1つが、給紙トレイT1に予め設定されている用紙の属性(サイズ、紙種、紙厚)と一致しない場合(S3/No、S4/No、S5/No)、システム制御部11は、T2及びT4〜T7全ての給紙トレイについて、上記S2〜S5の判断を行ったか否かを判断する(S7)。
【0065】
給紙トレイT2の判断の結果、S7へ進んだのであれば、未判断の給紙トレイT4〜T7があるので、システム制御部11は、今度は給紙トレイT4について上記S2〜S5の判断を行う(S7/No)。このようにして、システム制御部11は、切り替え先の給紙トレイとして適切なものが見つかるまで、上記S2〜S5の判断を繰り返す。
【0066】
切り替え先の給紙トレイとして適切なものが見つからないまま、全ての給紙トレイに対する上記S2〜S5の判断が終了した場合(S7/Yes)、システム制御部11は、印刷を中断するように制御するとともに、表示部19に対し、印刷可能な用紙がない旨を表示するように制御する(S8)。
【0067】
以上のようにして、給紙トレイの切り替え、印刷の継続が行われる訳であるが、例えば、上記フローにおいて、切り替え先の給紙トレイとして適切と判断された給紙トレイT2に、実際には、予め設定された属性とは異なる別の属性を持つ用紙が格納されていた場合、その用紙が給紙されて印刷が継続されてしまうことになる。
【0068】
このようなことを防止するために、本実施形態の画像形成装置は、図4のフローに加え、本実施形態の特徴的な動作である図5のフローを実行する。以下、図5について説明する。なお、ここでは例として、図4の例と同様に、給紙中の給紙トレイA(A=Tn)を図1に示すT1(第1の給紙トレイの一例)とする。また、例として、図3に示す透過光量測定装置が図1に示すP1の範囲に設けられているとする。
【0069】
画像形成装置10において、給紙トレイT1から最後の一枚(最終紙。第1の転写紙の一例)が搬送路へ給紙されると、P1に配置された透過光量測定装置が、その最終紙の透過光量L1を測定する(S11)。測定された透過光量L1は、画像形成装置10の所定の記憶手段に記憶される。
【0070】
システム制御部11は、上述した図4のフローの制御により給紙トレイの切り替えを行う(S12)。ここでは例として、給紙トレイT2(第2の給紙トレイの一例)に切り替えられたとする。
【0071】
切り替えられた給紙トレイT2から最初の一枚(先頭紙。第2の転写紙の一例)が搬送路へ給紙されると、P1に配置された透過光量測定装置が、その先頭紙の透過光量L2を測定する(S13)。測定された透過光量L2は、画像形成装置10の所定の記憶手段に記憶される。
【0072】
システム制御部11は、記憶された透過光量L1とL2の差分を求め、その差分の絶対値が予め定められた値(比較値)より小さいかどうかを判断する(S14)。
【0073】
判断の結果、差分の絶対値が比較値よりも小さい場合(S14/Yes)、システム制御部11は、給紙トレイT2からの給紙を続行させ、そのまま印刷を継続するように制御する(S18)。
【0074】
判断の結果、差分の絶対値が比較値以上である場合(S14/No)、システム制御部11は、給紙トレイT2からの給紙を停止させ、印刷を中断するように制御する(S15)。
【0075】
そして、システム制御部11は、先頭紙を排出する排紙トレイを別の排紙トレイに切り替える(S16)。これは、属性の異なる先頭紙が、先に印刷して排出された用紙と混ざらないようにするためである。例えば、図1において、排紙トレイがT9に設定されている場合、システム制御部11は、先頭紙の排出先をT3へ切り替えるように制御する。これにより、先に給紙トレイT1から給紙されて印刷の済んだ用紙群は排紙トレイT9へ排出され、切り替え後に給紙トレイT2から給紙され先頭紙(印刷はされない)は排紙トレイT3へ排出されることになる。
【0076】
システム制御部11は、表示部19に対し、切り替えた給紙トレイから給紙された用紙が、これまでに給紙・印刷されていた用紙と異なるので印刷を中断する旨と、排出トレイを切り替えたのでそこに排出された先頭紙を除去するように促す旨と、を表示するように制御する(S17)。
【0077】
なお、上記図5の説明において、先頭紙を排出するために切り替える排紙トレイは、予め設定されている排紙トレイと別であればT3、T8〜T10のどれでもよいが、無効な用紙の排出用として設けられたT3を選択するのが望ましい。
【0078】
また、最終紙の透過光量L1の測定にあたっては、給紙トレイの用紙が全てなくなって最終紙であることが判断されてから最終紙に限って測定してもよいし、全ての転写紙で毎回透過光量の測定を行い、最後に測定した値を最終紙の透過光量L1としてもよい。特に搬送路のレイアウト上で透過光量測定装置が給紙トレイに近く、転写紙がなくなったことを検知してからでは最終紙の透過光量の測定が間に合わない場合は後者の方法をとるべきである。
【0079】
また、図5のS15において印刷の中断を実行するか否かを、ユーザが予め設定できるようにし、システム制御部11は、その設定に基づいて制御するようにしてもよい。これにより、切り替え後の給紙トレイの用紙が、用紙切れが発生した給紙トレイの用紙と異なる属性のものであっても、ユーザが印刷の続行を希望する場合に対応できる。
【0080】
また、図5のS14で用いられる比較値は、ユーザが任意の値に設定(変更)可能であるようにしてもよい。
【0081】
以上説明してきた本実施形態によれば、以下の効果を奏する。
【0082】
本実施形態の画像形成装置は、印刷中に、第1の給紙トレイから給紙されていた転写紙がなくなったときに、第2の給紙トレイに切り替えて、以後第2の給紙トレイから給紙された転写紙に対し、印刷を行う画像形成装置において、第1の給紙トレイから第2の給紙トレイに切り替える際、第1の給紙トレイから給紙された第1の転写紙(最終紙)の透過光量及び第2の給紙トレイから給紙された第2の転写紙(先頭紙)の透過光量を測定し、その測定結果を基に第1の転写紙と第2の転写紙とが異なる属性であるか(測定結果である2つの透過光量の差分が予め設定された範囲であるか)を判断し、第1の転写紙と第2の転写紙とが異なる属性である(差分が予め設定された範囲ではない)場合に、印刷を中断することを特徴とする。
【0083】
従って、印刷中に所定の給紙トレイの転写紙がなくなり、別の給紙トレイに切り替えて印刷を継続するにあたり、切り替え先となる給紙トレイにおいて予め設定された転写紙の属性と実際に格納された転写紙の属性とが異なる場合に、ユーザの望まない転写紙に切り替えられて印刷が継続されてしまうことを防止できる。
【0084】
また、本実施形態の画像形成装置では、印刷を中断した際に、表示部に警告表示を行うことを特徴とする。
【0085】
従って、切り替えた給紙トレイから給紙された用紙が、これまでに給紙・印刷されていた用紙と異なるので印刷を中断する旨を、ユーザに明確に伝えることができる。
【0086】
また、本実施形態の画像形成装置では、印刷を中断した際に、無効となった転写紙(切り替え後の給紙トレイから給紙された先頭紙)を別の排紙トレイに排紙することを特徴とする。
【0087】
従って、無効となった転写紙がどれであるかユーザが容易に判別できる。また、切り替え前の転写紙を排紙していた排紙トレイを使用する印刷動作を妨げない。
【0088】
また、本実施形態の画像形成装置では、転写紙の透過光量を計測する透過光量測定手段を、複数の給紙トレイから続く用紙搬送路の合流点直後に設けたことを特徴とする。
【0089】
従って、透過光量測定手段1つで複数のトレイの透過光量測定を行うことができるので、それぞれの給紙トレイ毎に設けるのに比べてコストダウンが図れる。
【0090】
また、本実施形態の画像形成装置では、第1の転写紙と第2の転写紙とが異なる属性であると判断した後で印刷を中断するかどうかをユーザが予め設定可能であることを特徴とする。
【0091】
従って、ユーザが意図的に、異なる転写紙であっても印刷を続行したいケースに対応することができる。
【0092】
また、本実施形態の画像形成装置では、転写紙の透過光量の測定結果がどの程度異なれば異なる転写紙と判断するかの検知レベル(上記比較値)を設定可能であることを特徴とする。
【0093】
従って、使用する転写紙の違いや周囲の環境で検出精度が異なるのを補正することで、より精度の高い検出が可能となる。
【0094】
以上、本発明の実施形態について説明したが、上記実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において種々の変形が可能である。
【0095】
例えば、上述した実施形態における動作は、ハードウェア、または、ソフトウェア、あるいは、両者の複合構成によって実行することも可能である。
【0096】
ソフトウェアによる処理を実行する場合には、処理シーケンスを記録したプログラムを、専用のハードウェアに組み込まれているコンピュータ内のメモリにインストールして実行させてもよい。あるいは、各種処理が実行可能な汎用コンピュータにプログラムをインストールして実行させてもよい。
【0097】
例えば、プログラムは、記録媒体としてのハードディスクやROM(Read Only Memory)に予め記録しておくことが可能である。あるいは、プログラムは、CD−ROM(Compact Disc Read Only Memory)、MO(Magneto Optical)ディスク、DVD(Digital Versatile Disc)、USB(Universal Serial Bus)メモリ、磁気ディスク、半導体メモリなどのリムーバブル記録媒体に、一時的、あるいは、永続的に格納(記録)しておくことが可能である。このようなリムーバブル記録媒体は、いわゆるパッケージソフトウエアとして提供することが可能である。
【0098】
なお、プログラムは、上述したようなリムーバブル記録媒体からコンピュータにインストールする他、ダウンロードサイトから、コンピュータに無線転送してもよい。または、LAN(Local Area Network)、インターネットといったネットワークを介して、コンピュータに有線で転送してもよい。コンピュータでは、転送されてきたプログラムを受信し、内蔵するハードディスク等の記録媒体にインストールすることが可能である。
【0099】
また、上記実施形態で説明した処理動作に従って時系列的に実行されるのみならず、処理を実行する装置の処理能力、あるいは、必要に応じて並列的にあるいは個別に実行するように構築することも可能である。
【0100】
また、上記実施形態で説明したシステムは、複数の装置の論理的集合構成にしたり、各装置の機能を混在させたりするように構築することも可能である。
【符号の説明】
【0101】
10、U1 画像形成装置
11 システム制御部
12、13 シリアル通信部
14 給紙部
15 用紙搬送部
16 画像処理部
17 画像形成部
18 後処理制御部
19 表示部
20、U2 給紙装置
21 システム制御部
22、23 シリアル通信部
24 給紙部
25 用紙搬送部
30、U3 後処理装置
31 システム制御部
32、33 シリアル通信部
34 ステープラー処理部
35 パンチ処理部
36 用紙搬送部
T1、T2 給紙トレイ
T3 排紙トレイ
T4、T5、T6、T7 給紙トレイ
T8、T9、T10 排紙トレイ
C1 発光部
C2 受光部
C3 用紙搬送路
C4 搬送センサ
C5 搬送ローラ
C6 転写紙(用紙)
【先行技術文献】
【特許文献】
【0102】
【特許文献1】特開2000−143017号公報

【特許請求の範囲】
【請求項1】
印刷中に、第1の給紙トレイから給紙されていた転写紙がなくなったときに、以後第2の給紙トレイから給紙されるように切り替える画像形成装置において、
前記転写紙の搬送経路に設けられ、前記転写紙の厚み方向の透過光量を測定する透過光量測定手段と、
前記透過光量測定手段の測定結果に基づく制御を行う制御手段と、を有し、
前記第1の給紙トレイから前記第2の給紙トレイへ切り替えられる場合、
前記透過光量測定手段は、
前記第1の給紙トレイから給紙された第1の転写紙の透過光量、及び、前記第2の給紙トレイから給紙された第2の転写紙の透過光量を測定し、
前記制御手段は、
前記第1の転写紙の透過光量と前記第2の転写紙の透過光量との差分が予め定められた範囲ではない場合、実行中の印刷を中断するように制御することを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記制御手段は、
前記実行中の印刷を中断した際に、所定の表示部に警告表示を行うように制御することを特徴とする請求項1記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記制御手段は、
前記実行中の印刷を中断した際に、前記第2の転写紙への印刷を行わないように制御しかつ、前記第1の転写紙を排紙していた排紙トレイとは別の排紙トレイに前記第2の転写紙を排紙するように制御することを特徴とする請求項1又は2記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記透過光量測定手段は、
少なくとも前記第1の給紙トレイ及び前記第2の給紙トレイを含む複数の給紙トレイから続く搬送経路の合流点直後に設けられたことを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記第1の転写紙の透過光量と前記第2の転写紙の透過光量との差分が予め定められた範囲ではない場合に前記実行中の印刷を中断するか否かを、予めユーザが設定可能であることを特徴とする請求項1から4のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記範囲を、予めユーザが設定可能であることを特徴とする請求項1から5のいずれか1項に記載の画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2013−35150(P2013−35150A)
【公開日】平成25年2月21日(2013.2.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−171083(P2011−171083)
【出願日】平成23年8月4日(2011.8.4)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】