説明

画像形成装置

【課題】トナーコンテナ交換時における不必要なリフレッシュ工程の実行によるトナーの浪費を極力防止しつつ、トナーコンテナ交換直後の画像不良を効果的に防止可能な画像形成装置を提供する。
【解決手段】画像形成装置100では、現像ローラー33から感光体ドラム1側にトナーを飛翔させ、トナーの強制消費を行うリフレッシュ工程を、トナーコンテナ6が交換されて現像装置3に未使用トナーが補給され、エージング動作が実行された後に実行することで、選択的に劣化トナーを感光体ドラム1の表面へ移行させる。また、リフレッシュ工程の実行の要否、及びリフレッシュ工程におけるトナーの吐出量は、直近のリフレッシュ工程の実行からトナーコンテナ6の交換までの所定期間内の現像装置3内のトナー消費量に基づいて決定される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子写真プロセスを用いた複写機、プリンター、ファクシミリ等の画像形成装置に関し、特に現像装置へのトナー補給を行う着脱可能なトナーコンテナを備えた画像形成装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般に、一成分現像剤を用いる現像装置においては、画像形成を繰り返し行うことにより、粒径の小さなトナーが高い帯電量による鏡像力のために現像ローラー(トナー担持体)表面に付着し、他のトナー粒子がトナー担持体との間で摩擦帯電することを阻害する。そのため、トナー担持体上で均一な帯電が行われない状態でトナーが感光体ドラム(静電潜像担持体)まで搬送され、画像濃度低下や画像カブリ等の不具合を引き起こすことがある。このような現象は、特に画像上の原稿印字率が低い場合、即ち現像ローラーから感光体ドラムに飛翔するトナーが少ないためにトナー粒子が現像ローラー上に残りやすい場合に発生し易くなる。
【0003】
そこで、非画像形成時において現像ローラーに対し直流バイアスに交流バイアスを重畳して印加することにより、ベタ画像等の印字率が高いパターンを現像して感光体ドラム側に多量のトナーを飛翔させ、現像ローラー上のトナーを強制消費する、いわゆるリフレッシュモードを実行可能な画像形成装置が開発されている。例えば特許文献1には、1枚の画像において印字ドットが少ない(印字率が低い)場合、画像形成後に現像ローラー上のトナーを強制消費するようにバイアスを印加し、現像ローラー上のトナーをリフレッシュする(入れ替える)ことで帯電的に均一なトナー薄層を形成する画像形成装置が開示されている。
【0004】
一方、カラー画像形成装置においては、トナーと磁性キャリアとを含む二成分現像剤を用い、トナーコンテナを用いて現像装置へトナーを補給する方式が多用されている。このような二成分現像方式の画像形成装置では、トナーコンテナ内のトナー残量が空(エンプティー)になる直前はトナー補給が安定して行われない場合があり、現像装置内のトナー濃度が低めに推移し易い。そのため、トナーの帯電量が高くなり易く、その状態でトナーコンテナを交換すると、トナー補給後に画像カブリやトナー飛散が発生する場合がある。
【0005】
また、現像ローラーに対向配置される磁気ローラー(現像剤担持体)を備え、磁気ローラー表面に形成された磁気ブラシを用いて現像ローラー上にトナーを供給する現像方式では、現像ローラー上のトナーの帯電量が高くなってしまい、感光体ドラムへの飛翔性が悪くなって画像濃度が低下するなどの不具合が発生するおそれもある。
【0006】
このような問題を解決するため、特許文献2には、複数の現像装置のうち、平均印字密度(平均印字率)が所定値を下回った現像装置の現像スリーブに対し、非画像形成時に現像スリーブ上のトナーのリフレッシュを行うとともに、2以上の現像装置の現像スリーブに対しトナーのリフレッシュを同時に行うようにしたカラー画像形成装置が開示されている。
【0007】
また、トナーコンテナから補給される未使用トナーは、現像装置内の劣化トナーに比べて帯電能力が高く、キャリアに対する静電付着力が大きい。そこで、特許文献3には、トナー補給前の平均印字率が連続して閾値を下回った回数、または現像装置の駆動時間が予設定値に達している場合は現像装置へのトナー補給及びエージング動作を行った後にリフレッシュを実行し、平均印字率が連続して閾値を下回った回数、または現像装置の駆動時間が予設定値に達していない場合は現像装置へのトナー補給及びエージング動作を行う前にリフレッシュを実行することで、劣化していないトナーが強制消費され廃棄トナーが増加することによるトナーの浪費を抑制する画像形成装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2000−310909号公報
【特許文献2】特開2003−195607号公報
【特許文献3】特開2007−34051号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
ところで、二成分現像剤を用いる画像形成装置では、トナーコンテナが空になり、現像装置へのトナー補給が行われなくなると、現像装置内のトナー濃度T/C(キャリアに対するトナーの割合)が低下する。そこで、透磁率センサー等のトナー濃度センサーを用いてT/Cを検知することで、トナーコンテナの交換時期を判断することができる。
【0010】
ここで、トナーコンテナの交換時における現像装置内のトナーの帯電量は、トナーコンテナが空になる直前の印字条件によって変化する。例えば、トナーコンテナが空になる直前の平均印字率が低い場合はトナーの消費が少なくなり、現像装置内にトナーが長時間滞留するためトナーの帯電量は高くなる。一方、トナーコンテナが空になる直前の平均印字率が高い場合はトナーの消費が多くなり、現像装置内にトナーが滞留する時間が短くなるためトナーの帯電量は低くなる。
【0011】
しかしながら、トナーコンテナの交換後に特許文献3の方法を用いてリフレッシュを行った場合、トナー補給前またはトナー補給後に一律にリフレッシュ動作が実行される。そのため、現像装置内のトナーの帯電量が低くトナーを強制消費する必要がない場合であってもリフレッシュが実行されてしまい、トナーの浪費に繋がるという問題点があった。
【0012】
本発明は、上記問題点に鑑み、トナーコンテナ交換時における不必要なリフレッシュ工程の実行によるトナーの浪費を極力防止しつつ、トナーコンテナ交換直後の画像不良を効果的に防止可能な画像形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記目的を達成するために本発明は、像担持体に対向配置されトナーを担持して像担持体に供給するトナー担持体を有し、像担持体表面に静電潜像に応じたトナー像を形成する現像装置と、該現像装置に補給するトナーを収容する交換可能なトナーコンテナと、該トナーコンテナ内のトナーが空になるトナーエンドを検知可能なトナー残量検知手段と、を備え、非画像形成時に前記トナー担持体側から前記像担持体側へトナーを吐出するリフレッシュ工程を実行可能な画像形成装置において、直近の前記リフレッシュ工程から前記トナーエンドが検知されるまでの所定期間内のトナー消費量に基づいて、前記トナーコンテナの交換直後における前記リフレッシュ工程の実行の要否を決定する制御手段を備えたことを特徴としている。
【0014】
また本発明は、上記構成の画像形成装置において、前記制御手段は、直近の前記リフレッシュ工程から前記トナーエンドが検知されるまでの所定期間内のトナー消費量に基づいて前記トナーコンテナの交換直後に前記リフレッシュ工程が実行されたときのトナー吐出量を決定することを特徴としている。
【0015】
また本発明は、上記構成の画像形成装置において、前記制御手段は、直近の前記リフレッシュ工程から前記トナーエンドが検知されるまでの所定期間内のトナー消費量が小さいほどトナー吐出量を段階的に増加させることを特徴としている。
【0016】
また本発明は、上記構成の画像形成装置において、前記トナー残量検知手段は、前記トナーエンドの検知前に前記トナーコンテナ内のトナーが所定量以下になったニアエンドを検知可能であり、前記制御手段は、前記ニアエンドから前記トナーエンドまでのトナー消費量に基づいて、前記トナーコンテナの交換直後における前記リフレッシュ工程の実行の要否、または前記リフレッシュ工程が実行されたときのトナー吐出量を決定することを特徴としている。
【0017】
また本発明は、上記構成の画像形成装置において、前記制御手段は、直近の前記リフレッシュ工程から前記トナーエンドが検知されるまでの所定期間内の平均印字率を用いてトナー消費量を算出することを特徴としている。
【発明の効果】
【0018】
本発明の第1の構成によれば、トナーコンテナの交換直後におけるリフレッシュ工程の実行の要否を直近のリフレッシュ工程からトナーエンドが検知されるまでの所定期間内のトナー消費量に基づいて決定することにより、トナー消費量が多い場合に不必要なリフレッシュ工程の実行を中止してトナーの浪費を抑制することができる。
【0019】
また、本発明の第2の構成によれば、上記第1の構成の画像形成装置において、トナーコンテナの交換直後におけるリフレッシュ工程の実行が決定されたときは、直近のリフレッシュ工程からトナーエンドが検知されるまでの所定期間内のトナー消費量に基づいてトナー吐出量を決定することにより、リフレッシュ工程実行時のトナー吐出量を適切な量としてトナーの浪費を抑制することができる。
【0020】
また、本発明の第3の構成によれば、上記第2の構成の画像形成装置において、制御手段は、直近のリフレッシュ工程からトナーエンドが検知されるまでの所定期間内のトナー消費量が小さいほどトナー吐出量を段階的に増加させることにより、現像装置内の劣化トナーの割合が多くなる条件ではリフレッシュ工程実行時のトナー吐出量を多くして劣化トナーを十分に排出することができる。
【0021】
また、本発明の第4の構成によれば、上記第1乃至第3のいずれかの構成の画像形成装置において、トナー残量検知手段は、トナーエンドの検知前にトナーコンテナ内のトナーが所定量以下になったニアエンドを検知可能であり、制御手段は、ニアエンドからトナーエンドまでのトナー消費量に基づいて、トナーコンテナの交換直後におけるリフレッシュ工程の実行の要否、またはリフレッシュ工程が実行されたときのトナー吐出量を決定することにより、トナーコンテナの交換時における現像装置内のトナーの状態がより正確に反映されたリフレッシュ工程実行の要否、または適切なトナー吐出量を決定可能となる。
【0022】
また、本発明の第5の構成によれば、上記第1乃至第4のいずれかの構成の画像形成装置において、制御手段は、直近のリフレッシュ工程からトナーエンドが検知されるまでの所定期間内の平均印字率を用いてトナー消費量を算出することにより、トナー消費量を簡単に且つ高精度で算出することができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】本発明の画像形成装置100の全体構成を示す概略断面図
【図2】本発明の画像形成装置100に用いられる現像装置3の一構成例を示す側面断面図
【図3】本発明の現像装置3における攪拌部の一構成例を示す平面断面図
【図4】現像ローラー及び磁気ローラーに印加されるバイアス波形の一例を示す図
【図5】トナーコンテナ6を概略的に示す側面断面図
【図6】本発明の画像形成装置100の制御経路を示すブロック図
【図7】トナーコンテナ6の交換時におけるリフレッシュ工程の制御例を示すフローチャート
【図8】トナーコンテナ6の交換時におけるリフレッシュ工程の他の制御例を示すフローチャート
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、図面を参照しながら本発明の実施形態を詳細に説明する。図1は、本発明の画像形成装置の構成を示す概略図である。図1において、画像形成装置100(ここでは一例としてモノクロ複合機を示す)本体には、帯電、露光、現像及び転写の各工程によりモノクロ画像を形成する画像形成部8が配設されている。
【0025】
次に、画像形成部8について説明する。回転自在に配設された感光体ドラム1の周囲には、感光体ドラム1を帯電させる帯電装置2と、感光体ドラム1に画像情報を露光する露光装置(レーザー走査ユニット等)4と、感光体ドラム1上にトナー像を形成する現像装置3と、感光体ドラム1上に残留したトナーを除去するクリーニング装置5とが配置されている。また、感光体ドラム1の表面の残留電荷を除去する除電装置(図示せず)が感光体ドラム1の回転方向(図1の矢印A方向)に対しクリーニング装置5の上流側あるいは下流側に設けられている。感光体ドラム1を矢印A方向に回転させながら、感光体ドラム1に対する画像形成プロセスが実行される。
【0026】
トナー像が転写される用紙Pは、装置下部の給紙カセット10内に収容されており、給紙ローラー11及びレジストローラー対13を介して感光体ドラム1と転写ローラー9との間のニップ部(転写ニップ部)へと搬送される。
【0027】
画像読取部20は、複写時に原稿を照明するスキャナーランプや原稿からの反射光の光路を変更するミラーが搭載された走査光学系、原稿からの反射光を集光して結像する集光レンズ、及び結像された画像光を電気信号に変換するCCDセンサー等(いずれも図示せず)から構成されており、原稿画像を読み取って画像データに変換する。
【0028】
コピー動作を行う場合、画像読取部20において原稿の画像データを読み取り画像信号に変換する。一方、画像形成装置100本体内の画像形成部8において、帯電装置2により図中のA方向に回転する感光体ドラム1が一様に帯電され、画像読取部20で読み取られた原稿画像データに基づく露光装置4からのレーザービームにより感光体ドラム1上に静電潜像が形成され、現像装置3により静電潜像にトナーが付着されてトナー像が形成される。この現像装置3へのトナーの供給はトナーコンテナ6から行われる。一方、用紙Pが給紙カセット10から給紙ローラー11、用紙搬送路12を経由してレジストローラー対13に搬送される。
【0029】
そして、用紙Pがレジストローラー対13から所定のタイミングで感光体ドラム1と転写ローラー9との間のニップ部へ搬送され、ニップ部において感光体ドラム1の表面に形成されたトナー像が用紙P上に転写される。その後、引き続き行われる新たな静電潜像の形成に備え、感光体ドラム1の表面に残留したトナーがクリーニング装置5により除去される。トナー像が転写された用紙Pは定着部7へと搬送される。
【0030】
定着部7に搬送された用紙Pは、定着ローラー対14のニップ部(定着ニップ部)を通過する際に加熱及び加圧されてトナー像が用紙Pの表面に定着され、所定の画像が形成される。画像が形成された用紙Pは、搬送ローラー対15を経て用紙搬送路12の分岐部に配置された搬送ガイド部材16によって搬送方向が振り分けられ、そのまま(或いは、反転搬送路19に送られて両面コピーされた後に)、排出ローラー対17を介して排出トレイ18に排出される。
【0031】
用紙搬送路12は、具体的には、搬送ローラー対15の下流側において左右二股に分岐し、一方の経路(図1では右方向に分岐する経路)は排出トレイ18に連通するように構成されている。そして、他方の経路(図1では左方向に分岐する経路)は反転搬送路19に連通するように構成されている。
【0032】
図2は、本発明の画像形成装置に搭載される現像装置3の側面断面図であり、図3は、現像装置3の平面断面図(図2におけるXX′矢視断面図)である。図2及び図3に示すように、現像装置3は、トナーと磁性キャリア(以下、単にキャリアとも言う)とを含む二成分現像剤(以下、単に現像剤とも言う)が収納される現像容器30を備えており、現像容器30は仕切壁30aによって第1及び第2攪拌室30b、30cに区画されている。第1及び第2攪拌室30b、30cにはトナーコンテナ6(図1参照)から供給されるトナー(正帯電トナー)をキャリアと混合して攪拌し、帯電させるための第1攪拌スクリュー31a及び第2攪拌スクリュー31bが回転可能に配設されている。
【0033】
そして、第1攪拌スクリュー31a及び第2攪拌スクリュー31bによって現像剤が攪拌されつつ軸方向(図3の矢印B、C方向)に搬送され、仕切壁30aの両端部に形成された現像剤通過路30a、30bを介して第1及び第2攪拌室30b、30c間を循環する。即ち、第1及び第2攪拌室30b、30c、現像剤通過路40a、40bによって現像容器30内に現像剤の循環経路が形成されている。
【0034】
現像容器30は図2の左斜め上方に延在しており、現像容器30内において第1攪拌スクリュー31aの上方には磁気ローラー32が配置され、磁気ローラー32の左斜め上方には現像ローラー33が対向配置されている。そして、現像ローラー33は現像容器30の開口側(図2の左側)において感光体ドラム1に対向しており、磁気ローラー32及び現像ローラー33はそれぞれの回転軸を中心として図2の時計回り方向に回転する。
【0035】
第2攪拌室30cには第2攪拌スクリュー31bと対面してトナー濃度センサー41が配置されており、トナー補給口30dにはトナーコンテナ6の供給口61a(図5参照)が連結されている。図3に示すように、トナー補給口30dは平面的に見て第2攪拌室30cの端部に配置されている。
【0036】
トナー濃度センサー41としては、現像容器30内における二成分現像剤の透磁率を検出する透磁率センサーが用いられる。ここで、トナー濃度とは現像剤中の磁性キャリアに対するトナーの比率(T/C)のことであり、本実施形態においては、トナー濃度センサー41により現像剤の透磁率を検出し、その検出結果に相当する電圧値を後述する制御部90(図6参照)に出力するよう構成されており、制御部90によってトナー濃度センサー41の出力値からトナー濃度が決定されるようになっている。制御部90は、決定されたトナー濃度に応じてトナー補給モーター27(図5参照)に制御信号を送信し、トナー補給口30dから現像容器30内に所定量のトナーを補給する。
【0037】
センサー出力値はトナー濃度に応じて変化し、トナー濃度が高くなるほど磁性キャリアに対するトナーの比率が高くなり、磁気を通さないトナーの割合が増加するため出力値が低くなる。一方、トナー濃度が低くなるほど磁性キャリアに対するトナーの比率が低くなり、磁気を通す磁性キャリアの割合が増加するため出力値が高くなる。
【0038】
磁気ローラー32は、非磁性の回転スリーブ32aと、回転スリーブに内包される複数の磁極(ここでは5極)を有する固定マグネット体32bで構成されている。本実施形態では、固定マグネット体32bの磁極は、主極45、規制極(穂切り用磁極)46、搬送極47、剥離極48、及び汲上極49の5極構成である。
【0039】
現像ローラー33は、円筒状の現像スリーブ33aと、現像スリーブ33a内に固定された現像ローラー側磁極33bで構成されており、磁気ローラー32と現像ローラー33とはその対面位置(対向位置)において所定のギャップをもって対向している。現像ローラー側磁極33bは、固定マグネット体32bの対向する磁極(主極)45と異極性である。
【0040】
また、現像容器30には穂切りブレード35が磁気ローラー32の長手方向(図2の紙面と垂直な方向)に沿って取り付けられており、穂切りブレード35は、磁気ローラー32の回転方向(図2の時計回り方向)において、現像ローラー33と磁気ローラー32との対向位置よりも上流側に位置付けられている。そして、穂切りブレード35の先端部と磁気ローラー32表面との間には僅かな隙間(ギャップ)が形成されている。
【0041】
現像ローラー33には、直流電圧(以下、Vslv(DC)という)及び交流電圧(以下、Vslv(AC)という)が印加され、磁気ローラー32には、直流電圧(以下、Vmag(DC)という)及び交流電圧(以下、Vmag(AC)という)が印加されている。これらの直流電圧及び交流電圧は、現像バイアス電源53からバイアス制御回路51(いずれも図6参照)を経由して現像ローラー33及び磁気ローラー32に印加される。制御部90は、バイアス制御回路51に制御信号を送信して現像バイアス電源53から印加されるVslv(DC)、Vslv(AC)及びVmag(DC)、Vmag(AC)を制御する。
【0042】
前述のように、第1攪拌スクリュー31a及び第2攪拌スクリュー31bによって、現像剤が攪拌されつつ現像容器30内を循環してトナーを帯電させ、第1攪拌スクリュー31aによって現像剤が磁気ローラー32に搬送される。そして、磁気ローラー32上に磁気ブラシ(図示せず)を形成し、磁気ローラー32上の磁気ブラシは穂切りブレード35によって層厚規制された後、磁気ローラー32と現像ローラー33との対向部分に搬送され、磁気ローラー32に印加されるVmag(DC)と現像ローラー33に印加されるVslv(DC)との電位差ΔV、及び磁界によって現像ローラー33上にトナー薄層を形成する。
【0043】
現像装置3内の第1及び第2攪拌スクリュー31a、31bは、ギヤ列を介して現像剤攪拌モーター(図示せず)に連結されており、制御部90からの制御信号に基づいて第1及び第2攪拌スクリュー31a、31bを駆動させる。なお、ギヤ列を介して現像剤攪拌モーターを磁気ローラー32及び現像ローラー33にも連結しておくことで、磁気ローラー32及び現像ローラー33の駆動源と兼用することもできる。
【0044】
現像ローラー33上のトナー層厚は現像剤の抵抗や磁気ローラー32と現像ローラー33との回転速度差等によっても変化するが、ΔVによって制御することができる。ΔVを大きくすると現像ローラー33上のトナー層は厚くなり、ΔVを小さくすると薄くなる。現像時におけるΔVの範囲は一般的に100V〜350V程度が適切である。
【0045】
図4は、現像ローラー33及び磁気ローラー32に印加されるバイアス波形の一例を示す図である。図4(a)に示すように、現像ローラー33には、Vslv(DC)にピークツーピーク値がVpp1である矩形波のVslv(AC)を重畳した合成波形Vslv(実線)が印加される。また、磁気ローラー32には、Vmag(DC)にピークツーピーク値がVpp2であり、且つVslv(AC)と位相の異なる矩形波のVmag(AC)を重畳した合成波形Vmag(破線)が印加される。
【0046】
従って、磁気ローラー32及び現像ローラー33間に印加される電圧は、図4(b)に示すようなVpp(max)とVpp(min)を有する合成波形Vmag−Vslvとなる。なお、Vmag(AC)はVslv(AC)よりもDuty比が大きくなるように設定される。実際には図4で示すような完全な矩形波ではなく、一部が歪んだ形状の交流電圧が印加される。
【0047】
磁気ブラシによって現像ローラー33上に形成されたトナー薄層は、現像ローラー33の回転によって感光体ドラム1と現像ローラー33との対向部分に搬送される。現像ローラー33にはVslv(DC)及びVslv(AC)が印加されているため、感光体ドラム1との電位差によって現像ローラー33から感光体ドラム1へトナーが飛翔し、感光体ドラム1上の静電潜像が現像される。
【0048】
現像に用いられずに残ったトナーは、現像ローラー33の回転によって再度現像ローラー33と磁気ローラー32との対向部分に搬送され、磁気ローラー32上の磁気ブラシによって回収される。そして、磁気ブラシは固定マグネット体32bの同極部分(剥離極48、汲上極49)で磁気ローラー32から引き剥がされた後、第1及び第2攪拌室30b、30c間を循環する二成分現像剤中に戻される。そして、再び適正なトナー濃度で均一に帯電された二成分現像剤として磁気ローラー32上に磁気ブラシを形成し、穂切りブレード35へ搬送される。
【0049】
図5は、トナーコンテナ6を概略的に示す側面断面図である。トナーコンテナ6は、未使用のトナーを貯留するコンテナ容器61、搬送スクリュー62、攪拌パドル63、トナー補給モーター27、攪拌モーター28を備える。
【0050】
コンテナ容器61の底部の長手方向(図5の紙面と垂直な方向)の一端部には、現像容器30のトナー補給口30d(図2参照)に連結される供給口61aが形成されている。攪拌パドル63は、その軸部から径方向の片側に延び、且つ容器の長手方向に展開されるフィルム状の攪拌羽根63aを有する。攪拌羽根63aの回転によって、コンテナ容器61内のトナーが攪拌され、攪拌されたトナーが搬送スクリュー62側に移送される。
【0051】
搬送スクリュー62は、その軸部の周りに長手方向に一定の位相(ピッチ)で螺旋状に形成される螺旋羽62aを有し、コンテナ容器61内の底部に供給口61aに対向して配置されている。搬送スクリュー62が回転すると、攪拌パドル63によって攪拌されたトナーが螺旋羽62aの位相の進行により供給口61aに向かって搬送され、供給口61aを介して現像容器30に補給される。
【0052】
トナー補給モーター27、攪拌モーター28は、それぞれ搬送スクリュー62、攪拌パドル63を回転させるDCモーターからなり、例えば、ブリッジ回路にパルス電圧を印加してパルス電圧のオンとオフを繰り返すことによって回転駆動させられる。攪拌パドル63の攪拌羽根63aは、その軸部から半径方向に搬送スクリュー62の外縁まで延び、螺旋羽62aに接触可能である。
【0053】
コンテナ容器61内にトナーが十分に貯留されている場合には、攪拌パドル63はトナーを攪拌して搬送スクリュー62に供給する。そして、トナー補給モーター27が定速で回転駆動すると、搬送スクリュー62はその回転速度に応じた一定量のトナーを供給口61aから現像容器30内に補給する。これにより、現像容器30内の現像剤のトナー濃度は一定に保持される。また、トナーが補給されたにも係わらず、トナー濃度センサー41により検知された現像容器30内の現像剤中のトナー濃度が上昇しない場合は、制御部90はトナーコンテナ6内のトナーが空であると判断して液晶表示部71(図6参照)にトナーコンテナ6内のトナー残量が空(以下、トナーエンドという)である表示を行い、ユーザーにトナーコンテナ6の交換を促す。
【0054】
しかし、トナーエンドの表示が突然に行われると、交換用のトナーコンテナ6の準備に時間を要する場合、ユーザーは画像形成装置100を使用できないことも生じる。そこで、トナーエンドの表示前にトナーエンド間近の状態(以下、ニアエンドという)を設定して表示し、このニアエンドの表示によって、ユーザーが交換用のトナーコンテナ6を準備する時間を確保している。
【0055】
トナーコンテナ6のトナー補給速度は、トナーコンテナ6内のトナー残量が十分であるときは一定しているが、トナーコンテナ6内のトナー残量が少なくなると補給速度が低下する。そこで、トナーコンテナ6からの単位時間当たりのトナー補給量(トナー補給速度)が所定量に低下するとニアエンドを表示し、トナー補給量がさらに低下するとトナーエンドを表示する。ニアエンドの検知は、トナーエンドと同様にトナー濃度センサー41により検知される現像容器30内の現像剤中のトナー濃度に基づいて行っても良いし、印字される画像の画像信号から算出される印字率を用いて予測することもできる。
【0056】
次に、本発明の画像形成装置の制御経路について説明する。図6は、本発明の画像形成装置に用いられる制御経路の一例を示すブロック図である。なお、画像形成装置100を使用する上で装置各部の様々な制御がなされるため、画像形成装置100全体の制御経路は複雑なものとなる。そこで、ここでは制御経路のうち、本発明の実施に必要となる部分を重点的に説明する。
【0057】
バイアス制御回路51は、帯電バイアス電源52、現像バイアス電源53、及び転写バイアス電源54と接続され、制御部90からの出力信号によりこれらの各電源52〜54を作動させるものであり、各電源52〜54はバイアス制御回路51からの制御信号によって、帯電装置2、磁気ローラー32、現像ローラー33、転写ローラー9に所定のバイアスを印加する。
【0058】
操作部70には、液晶表示部71、LED72、テンキー73が設けられており、ユーザーは操作部70を操作して指示を入力することで、画像形成装置100の各種の設定をし、画像形成等の各種機能を実行させる。液晶表示部71は、画像形成装置100の状態を示したり、画像形成状況や印刷部数を表示したり、タッチパネルとして、両面印刷や白黒反転等の機能や倍率設定、濃度設定など各種設定を行えるようになっている。LED72は、画像形成装置100の状態を示したり、画像形成状況や印刷部数を表示したりするようになっている。テンキー73は、印刷部数の設定や、画像形成装置100がファクシミリ機能も有する場合に相手方のファクシミリ番号を入力等するためのものである。
【0059】
その他、操作部70には、画像形成を中止する際等に使用するストップ/クリアボタン、画像形成装置100の各種設定をデフォルト状態にする際に使用するリセットボタン等が設けられている。
【0060】
制御部90は、中央演算処理装置としてのCPU(Central Processing Unit)91、読み出し専用の記憶部であるROM(Read Only Memory)92、読み書き自在の記憶部であるRAM(Random Access Memory)93、一時的に画像データ等を記憶する一時記憶部94、カウンター95、画像形成装置100内の各装置に制御信号を送信したり操作部50からの入力信号を受信したりする複数(ここでは2つ)のI/F(インターフェイス)96、制御に必要な数値の演算処理を行う演算部97を少なくとも備えている。また、制御部90は、装置本体内部の任意の場所に配置可能である。
【0061】
また、制御部90は、画像形成装置100における各部分、装置に対し、CPU91からI/F96を通じて制御信号を送信する。また、各部分、装置からその状態を示す信号や入力信号がI/F96を通じてCPU91に送信される。制御部90が制御する各部分、装置としては、例えば、露光装置4、定着部7、画像形成部8、転写ローラー9、画像読取部20、トナー補給モーター27、攪拌モーター28、バイアス制御回路51、操作部70等が挙げられる。
【0062】
ROM92には、画像形成装置100の制御用プログラムや、制御上の必要な数値等、画像形成装置100の使用中に変更されることがないようなデータ等が収められている。RAM93には、画像形成装置100の制御途中で発生した必要なデータや、画像形成装置100の制御に一時的に必要となるデータ等が記憶される。また、RAM93(或いはROM92)には、トナー濃度センサー41の出力値や現像容器30内の現像剤循環速度等の、トナー補給制御に必要となるデータや、リフレッシュ工程の実行の要否を判断する印字枚数及びリフレッシュ工程の要否を判断する際に用いられる基準印字率の他、トナー吐出パターンの印字長さを計算するための現像ローラー33及び磁気ローラー32の外周長や感光体ドラム1に対する線速比データ等も格納されている。カウンター95は、印字枚数を積算してカウントする。なお、カウンター95を別途設けなくても、例えばRAM93で印字枚数を記憶するようにしてもよい。
【0063】
演算部97は、トナー濃度センサー41の出力値から現像装置3内のトナー濃度を算出して現像装置3へのトナー補給量(トナー補給モータ27の駆動時間)を決定する。決定されたトナー補給量はCPU91に送信され、CPU91はトナー補給モーター27に制御信号を送信して所定時間(或いは所定回転数)だけ駆動させる。また、CPU91はトナー補給後のトナー濃度センサー41の出力値に基づいてトナーコンテナ6の交換の要否を判定する。即ち、トナー補給後にトナー濃度センサー41の出力値が低下しない場合はトナーコンテナ6が空または空に近い状態であると判断して、液晶表示部71にニアエンドまたはトナーエンドの表示を行う。
【0064】
トナーコンテナ6内のトナーが空になった場合は、トナーコンテナ6が交換され、画像形成中にトナーを補給する場合より長い時間トナーを現像装置3に供給する。攪拌が充分なされないまま補給された直後のトナーが現像ローラー33に供給されると、トナーの帯電量が十分でなく、画像濃度が低下したり、現像ローラー33表面に形成されたトナー薄層の一部が乱れて離脱し、塊となって現像されて画像上にランダムな黒点が発生したりする場合がある。
【0065】
そこで、トナーコンテナ6を交換した直後のトナー補給時に、補給された未使用トナーと現像容器30内の現像剤とを第1及び第2攪拌スクリュー31a、31bを用いて所定時間攪拌するエージング動作を行う。エージング動作の実行時間は特に制限はないが、現像容器30内の現像剤の収容量、トナーコンテナ6の交換までの累積印字枚数、或いは後述する平均印字率の履歴等に基づいて適宜設定される。一般的には、エージング動作は30秒程度実行すれば良い。
【0066】
ところで、現像容器30内に補給される未使用トナーは、現像容器30内に存在する劣化トナーに比べて帯電され易く、キャリアに強く拘束されるため、エージング動作により現像容器30内のキャリアの表面が未使用トナーで占有される。その結果、キャリアからの拘束力が弱い劣化トナーは現像剤中に半浮遊状態で存在することとなる。
【0067】
また、本発明の画像形成装置では、記録媒体への非転写時、例えば、画像形成装置100を電源オフ状態やスリープ(省電力)モードからコピー開始状態まで立ち上げる際、或いは所定枚数の印字が行われた時に、現像ローラー33から感光体ドラム1側にトナーを飛翔させ、トナーの強制消費を行うリフレッシュ工程を実行可能となっている。
【0068】
このリフレッシュ工程を、トナーコンテナ6が交換されて現像装置3に未使用トナーが補給され、エージング動作が実行された後に実行することで、現像剤中に半浮遊状態で存在する劣化トナーを選択的に感光体ドラム1の表面へ移行させる(吐出させる)ことができる。具体的には、リフレッシュ工程の実行時に現像ローラー33に印加される現像バイアスを、現像ローラー33と感光体ドラム1との間の電位差に対する、現像ローラー33から感光体ドラム1へと移行するトナー量の関係を示すグラフ(いわゆる、現像感度曲線)において、劣化トナーの移行量と、未使用トナーの移行量との間に優位な差異が生じる範囲に設定する。
【0069】
ここで、直近のリフレッシュ工程の実行からトナーコンテナ6の交換までの間の現像装置3内のトナー消費量が少ない場合、トナーコンテナ6の交換時に現像装置3内に存在する劣化トナーの量は多くなる傾向にある。一方、直近のリフレッシュ工程の実行からトナーコンテナ6の交換までの間の現像装置3内のトナー消費量が多い場合、トナーコンテナ6の交換時に現像装置3内に存在する劣化トナーの量は少なくなる傾向にある。
【0070】
そこで、本発明では、直近のリフレッシュ工程の実行からトナーコンテナ6の交換までの所定期間内の現像装置3内のトナー消費量に基づいてトナーコンテナ6の交換時におけるリフレッシュ工程の実行の要否を判断することとしている。現像装置3内のトナー消費量は、直近のリフレッシュ工程からトナーエンドまでの全期間に亘って算出しても良いし、直近のリフレッシュ工程からトナーエンドまでの一部の期間におけるトナー消費量を算出しても良い。
【0071】
現像装置3内のトナー消費量は、平均印字率によって求めることができる。直近のリフレッシュ工程からトナーエンドまでの印字枚数をAとすると、制御部90は、画像読取部20で読み取られ、一時記憶部94内に記憶された画像信号に基づいて画像1枚毎の印字率bnを算出し、さらに印字率bnを積算した積算印字率Σbnを算出する。そして、積算印字率Σbnをカウンター95でカウントされた印字枚数Aで除して印字枚数A当たりの平均印字率B(%)を算出する。
【0072】
また、直近のリフレッシュ工程からトナーエンドまでに形成されたトナー画像の濃度を直接測定することによりトナー消費量を求めることもできる。例えば、反射型濃度センサー等を用いて感光体ドラム1の表面に形成されたトナー像や、用紙上に転写されたトナー像の画像濃度を直接計測し、計測された画像濃度、及び画像形成可能領域に対する画像面積の割合を用いて画像1枚毎のトナー消費量cnを算出し、さらにトナー消費量を積算した積算トナー消費量Σcnを算出する。そして、積算トナー消費量Σcnをカウンター95でカウントされた印字枚数Aで除して、印字枚数A当たりの平均トナー消費量Cを算出する。
【0073】
さらに、リフレッシュ工程の実行中に吐出するトナー量も、平均印字率Bまたは平均トナー消費量Cに応じて決定すれば良い。例えば、算出された平均印字率Bまたは平均トナー消費量Cが閾値よりも小さい場合、閾値との差が大きくなるほど直近のリフレッシュ工程からトナーエンドまでのトナー消費量が少なく、現像装置3内の劣化トナーの割合が多いと考えられるため、トナー吐出量を多くする。
【0074】
これにより、トナーコンテナ6の交換時に実行するリフレッシュ工程において、吐出するトナー量を適切に設定してトナーの浪費を必要最小限に抑えることができる。トナー吐出量は、現像ローラー33に印加される現像バイアス、感光体ドラム1に印加される帯電バイアスや、リフレッシュ工程の実行時間によって調整することができる。
【0075】
トナー吐出量を増加させる具体的方法としては、リフレッシュ工程の実行時間(感光体ドラム1及び現像装置3の駆動時間)を長くする方法や、現像ローラー33に印加するVslv(AC)のピークツーピーク値及び/又はDuty値を大きくする方法が挙げられる。また、Vslv(AC)のDuty値を大きくする場合はVslv(DC)も併せて大きくすることが好ましい。
【0076】
なお、リフレッシュ工程の実行時には、感光体ドラム1上へと吐出された劣化トナーが転写ローラー9上に付着することを防止するために、転写ローラー9にトナーの帯電極性と同極性のバイアス(転写逆バイアス)が印加される。
【0077】
図7は、本発明の画像形成装置において実行されるリフレッシュ工程の制御例を示すフローチャートである。図1〜図6を参照しながら、図7のステップに沿ってリフレッシュ工程の実行手順について説明する。先ず、ユーザーにより画像形成が行われると、画像信号を含む画像出力条件が一時記憶部94に記憶され(ステップS1)、カウンター95により累積印字枚数がカウントされる(ステップS2)。そして、制御部90は累積印字枚数が所定枚数に到達したか否かを判断する(ステップS3)。
【0078】
累積印字枚数が所定枚数に到達したときは、制御部90は現像ローラー33上のトナーを感光体ドラム1に吐出するリフレッシュ工程を実行し(ステップS4)、カウンター95の累積カウント値をリセットする。また、ステップS3において累積印字枚数が所定枚数に到達していないときは、リフレッシュ工程を実行せずに次のステップへ進む。
【0079】
次に、制御部90は、トナー濃度センサー41の出力値から現像装置3内のトナー濃度を検知してトナーコンテナ6内のトナー残量がトナーエンドに到達したか否かを判断する(ステップS5)。トナーエンドに到達していないときは、ステップS1に戻って上記と同様の手順を繰り返す。
【0080】
一方、ステップS5でトナーエンドに到達しているときは、一時記憶部94に記憶された画像信号、及びカウンター95によりカウントされた直近のリフレッシュ工程の実行時からトナーエンドまでの累積印字枚数Aに基づいて、直近のリフレッシュ工程の実行時からトナーエンドまでの平均印字率Bを算出する(ステップS6)。また、トナーコンテナ6を交換するとともに(ステップS7)、新たなトナーコンテナ6からのトナー補給(ステップS8)及びエージング動作(ステップS9)を行う。
【0081】
そして、直近のリフレッシュ工程の実行時からトナーエンドまでの平均印字率Bが所定の印字率B0を下回っているか否かが判断され(ステップS10)、B<B0である場合は平均印字率Bに基づいてリフレッシュ工程の実行条件が決定され(ステップS11)、決定された条件でリフレッシュ工程が実行される(ステップS12)。
【0082】
具体的には、バイアス制御回路51からの制御信号によって帯電バイアス電源52から帯電装置2に帯電バイアスを印加して感光体ドラム1表面を帯電させた状態で露光装置4を用いて所定の領域を露光するか、或いは帯電バイアスをオフにして感光体ドラム1の表面電位を0とする。この状態で、現像バイアス電源53から現像ローラー33に現像バイアスを印加する。また、転写ローラー9にはトナーが付着しないように転写バイアス電源54からトナーと同極性の転写逆バイアスを印加する。
【0083】
すると、感光体ドラム1上にトナーがソリッド(ベタ)画像として飛翔し、現像ローラー33上のトナーが強制消費される。その後、感光体ドラム1上のトナーがクリーニング装置5によって全て除去されるまでクリーニングが続行され、クリーニングが終了した場合は転写ローラー9に転写正バイアスを印加して転写ローラー9上の逆極性トナーを感光体ドラム1側に戻し、これをクリーニング装置5によりクリーニングしてリフレッシュ工程を終了する。その後、ステップS1に戻り、以下同様の手順を繰り返す。
【0084】
このような制御によれば、直近のリフレッシュ工程の実行時からトナーコンテナ6の交換までの平均印字率、即ち、直近のリフレッシュ工程からのトナー消費量に応じてリフレッシュ工程の実行の要否、及び実行条件が決定される。その結果、トナー消費量が多い場合には不必要なリフレッシュ工程の実行を抑制することができ、トナー消費量が少ない場合にはリフレッシュ工程を実行するとともに実行時のトナー吐出量を適切な量とすることができる。
【0085】
図8は、本発明の画像形成装置において実行されるリフレッシュ工程の他の制御例を示すフローチャートである。図8の制御では、ユーザーにより画像形成が行われると、画像信号を含む画像出力条件が一時記憶部94に記憶され(ステップS1)、画像信号とカウンター95によりカウントされた累積印字枚数から算出される印字率によってトナーコンテナ6のニアエンドの予測を行う(ステップS2)。そして、制御部90は算出された印字率に基づいてトナーコンテナ6がニアエンドに到達したか否かを判断する(ステップS3)。ニアエンドに到達していないときは、ステップS1に戻って上記と同様の手順を繰り返す。
【0086】
ステップS3においてニアエンドが検出されたときは、カウンター95をリセットして(ステップS4)ニアエンドからの累積印字枚数Aをカウントする(ステップS5)。次に制御部90は、トナー濃度センサー41の出力値から現像装置3内のトナー濃度を検知してトナーコンテナ6内のトナー残量がトナーエンドに到達したか否かを判断する(ステップS6)。
【0087】
トナーエンドに到達したときは、一時記憶部94に記憶された画像信号、及びカウンター95によりカウントされた累積印字枚数Aに基づいて、ニアエンドからトナーエンドまでの平均印字率Bを算出する(ステップS7)。また、トナーコンテナ6を交換するとともに(ステップS8)、新たなトナーコンテナ6からのトナー補給(ステップS9)及びエージング動作(ステップS10)を行う。
【0088】
そして、ニアエンドからトナーエンドまでの平均印字率Bが所定の印字率B0を下回っているか否かが判断され(ステップS11)、B<B0である場合は平均印字率Bに基づいてリフレッシュ工程の実行条件が決定され(ステップS12)、決定された条件でリフレッシュ工程が実行される(ステップS13)。
【0089】
図8の制御例では、トナーコンテナ6の交換時におけるリフレッシュ工程の実行の要否、及びリフレッシュ工程におけるトナーの吐出量は、交換前のトナーコンテナ6内のトナー残量がニアエンドからトナーエンドとなるまでのトナー消費量に基づいて決定される。つまり、ニアエンドからトナーエンドまでのトナー消費量が所定の閾値を超えない場合は、現像装置3内のトナーの劣化が進んでいると考えられるため、未使用トナーの補給及びエージング動作に続いてリフレッシュ工程を実行する。また、ニアエンドからトナーエンドまでのトナー消費量が所定の閾値以上である場合は、現像装置3内のトナーの劣化が進んでいないと考えられるため、未使用トナーの補給及びエージング動作のみを行う。
【0090】
ニアエンドが検知された場合、トナーコンテナが交換されるまでの間は現像装置3内のトナー残量が少なくなる。そのため、少ないトナーを効率良く使用するためにニアエンドの検知からトナーエンドの検知まではリフレッシュ工程を実行しない。この場合、トナーコンテナ6の交換時に現像装置3内に残存しているトナーの状態は通常の画像形成時よりも劣化していると考えられる。本制御例では、ニアエンドの検知からトナーエンドの検知までの平均印字率に基づいてリフレッシュ工程のトナー吐出量を決定するので、トナーコンテナ6の交換時における現像装置3内のトナーの状態がより正確に反映された適切なトナー吐出量を決定可能となる。
【0091】
ニアエンドからトナーエンドまでのトナー消費量は、図8のように平均印字率Bにより求めても良いし、トナー画像の濃度を直接測定することにより平均トナー消費量Cを算出することで求めても良い。また、ここでは印字率によってトナーコンテナ6のニアエンドの予測を行うこととしたが、印字率に代えて、トナー濃度センサー41により検知された現像容器30内の現像剤中のトナー濃度を用いてトナーコンテナ6のニアエンドを検知することもできる。
【0092】
その他本発明は、上記実施形態に限定されず、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。例えば、上記実施形態に記載されている構成部品の寸法、材質、形状、その相対配置などは、特定的な記載がない限りはこの発明の範囲をそれのみに限定する趣旨ではなく、単なる説明例に過ぎない。
【0093】
また、本発明は図1に示すモノクロ複合機に限らず、モノクロプリンターや、ロータリー式或いはタンデム式のカラー複写機、カラープリンター、ファクシミリ等、現像装置にトナーを補給するトナーコンテナを備えた種々の画像形成装置に適用できるのはもちろんである。
【産業上の利用可能性】
【0094】
本発明は、現像装置へトナー補給を行うトナーコンテナを備えた画像形成装置に利用可能である。本発明の利用により、トナーコンテナ交換時のリフレッシュ工程の要否、及びリフレッシュ工程を実行する場合のトナー吐出量を、直近のリフレッシュ工程の実行時からトナーエンドまでの所定範囲内のトナー消費量に基づいて設定できるため、不必要なリフレッシュ工程の実行を抑制することができ、リフレッシュ工程が実行される場合のトナー吐出量も適切な量とすることができる。従って、画像形成以外の無駄なトナー消費を極力抑制できる画像形成装置となる。
【符号の説明】
【0095】
1 感光体ドラム(像担持体)
2 帯電装置
3 現像装置
4 露光装置
5 クリーニング装置
6 トナーコンテナ
7 定着部
8 画像形成部
32 磁気ローラー
33 現像ローラー(トナー担持体)
41 トナー濃度センサー(トナー残量検知手段)
51 バイアス制御回路
52 帯電バイアス電源
53 現像バイアス電源
54 転写バイアス電源
90 制御部(制御手段)
91 CPU
92 ROM
93 RAM
94 一時記憶部
95 カウンター
100 画像形成装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
像担持体に対向配置されトナーを担持して像担持体に供給するトナー担持体を有し、像担持体表面に静電潜像に応じたトナー像を形成する現像装置と、
該現像装置に補給するトナーを収容する交換可能なトナーコンテナと、
該トナーコンテナ内のトナーが空になるトナーエンドを検知可能なトナー残量検知手段と、を備え、
非画像形成時に前記トナー担持体側から前記像担持体側へトナーを吐出するリフレッシュ工程を実行可能な画像形成装置において、
直近の前記リフレッシュ工程から前記トナーエンドが検知されるまでの所定期間内のトナー消費量に基づいて、前記トナーコンテナの交換直後における前記リフレッシュ工程の実行の要否を決定する制御手段を備えたことを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記制御手段は、直近の前記リフレッシュ工程から前記トナーエンドが検知されるまでの所定期間内のトナー消費量に基づいて前記トナーコンテナの交換直後に前記リフレッシュ工程が実行されたときのトナー吐出量を決定することを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記制御手段は、直近の前記リフレッシュ工程から前記トナーエンドが検知されるまでの所定期間内のトナー消費量が小さいほどトナー吐出量を段階的に増加させることを特徴とする請求項2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記トナー残量検知手段は、前記トナーエンドの検知前に前記トナーコンテナ内のトナーが所定量以下になったニアエンドを検知可能であり、前記制御手段は、前記ニアエンドから前記トナーエンドまでのトナー消費量に基づいて、前記トナーコンテナの交換直後における前記リフレッシュ工程の実行の要否、または前記リフレッシュ工程が実行されたときのトナー吐出量を決定することを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれかに記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記制御手段は、直近の前記リフレッシュ工程から前記トナーエンドが検知されるまでの所定期間内の平均印字率を用いてトナー消費量を算出することを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれかに記載の画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2013−37218(P2013−37218A)
【公開日】平成25年2月21日(2013.2.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−173777(P2011−173777)
【出願日】平成23年8月9日(2011.8.9)
【出願人】(000006150)京セラドキュメントソリューションズ株式会社 (13,173)
【Fターム(参考)】