説明

画像形成装置

【課題】被記録媒体の後端部への画像形成のために、下流側の第2の搬送手段(例えば、挟持ローラ・排紙ローラ)のみで被記録媒体を搬送するときの搬送量のズレを、生産性の悪化を最小限に抑え、かつ、リアルタイムで自動的に搬送誤差を補正することで、画像劣化を防止する。
【解決手段】搬送ローラ対10,12と第1および第2の排紙ローラ対20,21とで用紙Pを挟持搬送する第1の搬送状態と、用紙Pの後端部への画像形成のために、第1および第2の排紙ローラ対20,21のみで用紙Pを挟持搬送する第2の搬送状態とを取り得るインクジェットプリンタ100において、第2の搬送状態における補正検出ローラ7の滑り・スリップに関する補正値は、第1の搬送状態での搬送ローラ10の回転量および補正検出ローラ7の回転量と、第2の搬送状態での補正検出ローラ7の回転量とを比較して算出する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成装置に関し、さらに詳しくは、インクを吐出して画像を形成する記録ヘッドに対し、記録ヘッドの上流側および下流側にて被記録媒体を搬送する搬送手段を備えたインクジェット方式の画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、画像の写真画質への高画質化が進み、特にインクジェットプリンタでは、インクジェット記録ヘッド(以下、単に「記録ヘッド」という)から吐出されるインク滴の小液滴化が進み、銀塩写真と同等以上の画像が記録できるようになってきている。このようなインクジェットプリンタにおいては、記録ヘッドと対向する記録位置を通る搬送路に沿って、被記録媒体としてのシートを搬送し、そのシートに対して非接触状態の記録ヘッドからインクを吐出することにより、そのシート上に画像を記録する。
シート搬送方向のシートの後端領域にまで画像を記録するためには、シート搬送方向の上流側に位置する搬送手段(以下、「第1の搬送手段」ともいう)とは別に、シート搬送方向の下流側に位置する搬送手段(以下、「第2の搬送手段」ともいう)を備える必要がある。シート搬送方向の上流側および下流側の第1および第2の搬送手段は、例えば、シートを挟持しつつ回転する挟持回転部材としてのローラを含む構成とされる。
【0003】
このように、シート搬送方向の上流側に第1の搬送手段およびシート搬送方向の下流側に第2の搬送手段を備えた場合、シートは、先ず上流側の第1の搬送手段のみによって搬送される(以下、「初期搬送状態」ともいう)。その後、そのシートの先端が下流側の第2の搬送手段の搬送位置に入ってから、第1および第2の搬送手段の両方によって搬送される(以下、「第1の搬送状態」ともいう)。その後、シートの後端が第1の搬送手段の搬送位置から抜け出てからは、第2の搬送手段のみによってシートが搬送されることになる(以下、「第2の搬送状態」ともいう)。
この際、特にオフィス用途のインクジェットプリンタなどの場合では、画像形成面に画像を形成した際の定着方法として熱や風などの強制的な定着方式の採用では電力消費等の問題があり、さらに溶剤系・UV(紫外線)系インクなどでは臭気などオフィスには向かないために自然乾燥を用いた構成を採用している。
【0004】
このような自然乾燥を用いた構成において、画像形成後(インク吐出後)の画像面を強く押さえることができないことから、第2の搬送手段がシートを挟持しつつ回転する一対の挟持ローラ構成の場合、シートを強く挟持することができず、第1の搬送手段と比べて搬送負荷の変動に対して充分な搬送力が確保できないため、シートと第2の搬送手段における一対の挟持ローラ間とのスリップ(滑り)量が第1の搬送手段のスリップ量と比べて大きくなる。
一方、第1の搬送手段がシートを挟持しつつ回転する一対の挟持ローラ構成の場合、第1の挟持ローラは画像形成前のため充分なニップ(挟持)力を確保できるので、シートの種類や環境に対する搬送量の変動が相対的に小さくなる。
すなわち、シートの後端が第1の搬送手段から抜けた後、第2の搬送手段のみによって搬送される第2の搬送状態では、第1および第2の両方の搬送手段によって搬送される第1の搬送状態よりも搬送精度が低くなり、結果的に画像の記録位置がずれやすく、画像の劣化を招く不具合発生の虞がある。
【0005】
このような状況の元、インクを吐出して画像を形成する記録ヘッドに対し、被記録媒体の搬送経路の上流側および下流側にて被記録媒体を一対のローラで挟持しつつ回転搬送する搬送手段を有する画像形成装置において、上記不具合発生を防止する技術が既に提案されている(例えば、特許文献1および2参照)。
特許文献1の図9および図10等には、上述した不具合に至る原因が異なるものの、被記録媒体の後端部の画像形成のために、下流側の挟持ローラ(排紙ローラ)のみで被記録媒体を搬送する場合に搬送量のズレを補正する(特に上流側の挟持ローラ(搬送ローラ)のニップ部を抜けるときの変動の画像への影響を低減する)目的で、上流側および下流側の挟持ローラ(搬送ローラおよび排紙ローラ)にて被記録媒体を挟持しつつ搬送する時のテストパターンの印字結果と、下流側の挟持ローラ(排紙ローラ)のみで被記録媒体を搬送する時のテストパターンの印字結果とから搬送量を補正する方法・技術が開示されている。
【0006】
また、特許文献1の段落「0062」〜「0065」には、テストパターンなどの記録を行わず、シート(被記録媒体)を搬送するだけでニップ位置情報を得るために、所定の駆動手段によって駆動される上流側の搬送ローラに従動回転するピンチローラの変位を検出し補正する構成が開示されている。さらに、特許文献2の段落「0062」〜「0066」には、ピンチローラの変位を検知し補正する構成に代えて、上流側の搬送ローラの回転状態の変化(回転量、回転速度)を検出し補正する構成や、下流側の排紙ローラの回転状態の変化(回転量、回転速度)を検出し補正する構成が開示されている。
【0007】
特許文献2の図1〜図8等には、被記録媒体の後端が上流側の挟持ローラ(搬送ローラ)を通る範囲・領域に低速領域を設定し、この低速領域を被記録媒体の後端が通過するとき、被記録媒体の送り速度を変更するようにした技術が開示されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、特許文献1記載の技術では、印字パターンを印字しないと搬送量のズレを補正・調整できないため、部品の磨耗や汚れ(インクミストなど)などの経時劣化や使用環境の変化にリアルタイムに対応できないという問題点がある。また、搬送量のズレ調整時にはテストパターンを印字しなければならないことから被記録媒体を無駄に消費し、ユーザやサービス担当者に手間を掛けてしまうとともに、印字結果から特別な測定器なしに(たとえば濃度ムラなどで)補正値を決めようとすると所望の数μm単位の補正値が分からず、マシン側に数μmの誤差を検出できる検出手段を設けると、非常に高額になってしまうという問題点もある。
また、上流側の搬送ローラに従動回転するピンチローラの変位を検出し補正する構成や、上流側の搬送ローラまたは下流側の排紙ローラの回転状態の変化(回転量、回転速度)を検出し補正する構成では、そもそも用紙のスリップによる変動には対応できないという問題点がある。
【0009】
一方、特許文献2記載の技術では、ニップ抜けの影響を低減することはできるが、写真など高画質印字の場合には画像への影響を完全になくすことができないとともに、生産性が著しく悪化するという問題点がある。
【0010】
本発明は、上述した問題点・課題に鑑みてなされたものであり、記録ヘッドの上流側から被記録媒体を回転搬送する第1の搬送手段と、記録ヘッドの下流側に配置され、第1の搬送手段により搬送されてくる被記録媒体を挟持しつつ回転搬送する第2の搬送手段等とを有する画像形成装置において、被記録媒体の後端部への画像形成のために、下流側の第2の搬送手段(例えば、挟持ローラ・排紙ローラ)のみで被記録媒体を搬送するときの搬送量のズレを、生産性の悪化を最小限に抑え、かつ、リアルタイムで自動的に搬送誤差を補正することで、画像劣化を防止することを主な目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上述した課題を解決するとともに上述した目的を達成するために、本発明では、以下のような特徴ある手段・発明特定事項(以下、「構成」という)を採っている。
すなわち、本発明は、搬送されてくる被記録媒体にインクを吐出し画像を形成する記録ヘッドと、前記記録ヘッドの上流側から被記録媒体を回転搬送する第1の搬送手段と、前記記録ヘッドの下流側に配置され、第1の搬送手段により搬送されてくる被記録媒体を挟持しつつ回転搬送する第2の搬送手段と、第1の搬送手段と第2の搬送手段とを駆動する単一の駆動源と、前記記録ヘッドの下流側に配置され、第2の搬送手段での被記録媒体の滑りを検出するための、被記録媒体の移動によって連れ回る検出手段と、を有し、第1の搬送手段と第2の搬送手段とで被記録媒体を搬送する第1の搬送状態と、被記録媒体の後端部への画像形成のために、第2の搬送手段のみで被記録媒体を搬送する第2の搬送状態とを取り得る画像形成装置であって、第2の搬送状態における前記検出手段の前記滑りに関する補正値は、第1の搬送状態での第1の搬送手段の回転量および前記検出手段の回転量と、第2の搬送状態での前記検出手段の回転量とを比較して算出することを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、前記課題を解決して新規な画像形成装置を実現し提供することができる。すなわち、本発明によれば、前記構成により、被記録媒体の後端部への画像形成のために、第2の搬送手段のみで被記録媒体を搬送するときの搬送量のズレを、生産性の悪化を最小限に抑え、かつ、リアルタイムで自動的に搬送誤差を補正することで、画像劣化を未然に防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の実施形態1を示す画像形成装置の一例としてのインクジェットプリンタの全体構成の簡略的な一部破断・断面正面図である。
【図2】実施形態1の駆動系、搬送部、搬送部・排出部の駆動力伝達機構および画像形成部の簡略的な一部断面正面図である。
【図3】実施形態1の駆動系、搬送部、搬送部・排出部の駆動力伝達機構および画像形成部の簡略的な一部断面平面図である。
【図4】実施形態1の制御ブロック図である。
【図5】実施形態1の用紙搬送状態毎に、各エンコーダで検出される回転量と用紙搬送量との関係について補正前後で説明するための図表である。
【図6】実施形態1の用紙搬送補正動作例の手順を示すフローチャートである。
【図7】変形例1を説明する図であって、(a)、(b)は、搬送ローラの速度と補正検出ローラの速度とがそれぞれ異なる速度プロファイルに関する線図である。
【図8】変形例2を説明する図であって、(a)、(b)は、搬送ローラの加速度と補正検出ローラの加速度とがそれぞれ異なる加速度プロファイルに関する線図である。
【図9】変形例2における補正検出ローラの検出値の補正の一例を示す図表である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、図を参照して実施例を含む本発明の実施の形態(以下、「実施形態」という)を詳細に説明する。各実施形態等に亘り、同一の機能および形状等を有する構成要素(部材や構成部品等)については、混同の虞がない限り一度説明した後では同一符号を付すことによりその説明を省略する。図および説明の簡明化を図るため、図に表されるべき構成要素であっても、その図において特別に説明する必要がない構成要素は適宜断わりなく省略することがある。公開特許公報等の構成要素を引用して説明する場合は、その符号に括弧を付して示し、各実施形態等のそれと区別するものとする。
【0015】
(実施形態1)
図1〜図6を参照して、本発明の実施形態1を説明する(請求項1、4)。図1は、本発明の実施形態1を示すインクジェットプリンタ全体の簡略的な一部破断・断面正面図、図2は、本実施形態の駆動系、搬送部および画像形成部の簡略的な一部断面正面図、図3は、本実施形態の駆動系、搬送部および画像形成部の簡略的な一部断面平面図である。
まず、図1〜図3を参照して、本発明の実施形態1を示す画像形成装置の一例としてのインクジェット記録装置(以下、「インクジェットプリンタ」という)の全体構成と全体動作を説明した後に、本発明の特徴的な構成および動作を詳述する。
【0016】
図1に示すインクジェットプリンタ100は、インクジェット方式で画像形成を行うシリアル型のインクジェットプリンタである。インクジェットプリンタ100は、被記録媒体・シートの一例としての用紙Pを給送する給送部(給紙部)1と、用紙Pを画像形成部3に搬送する搬送部2と、搬送されてくる用紙Pにインクを吐出し画像を形成する画像形成手段としての記録ヘッド31等を備えた画像形成部(記録部)3と、画像形成(以下、「印刷」ともいう)された用紙Pを排出する排出部(排紙部)4とからなる各機構部・装置を有する。
また、上記各機構部・装置の他、後述する各機構部・装置の動作を制御し、記録データや収集した各種データに関する処理を行う図4に示す制御部60が制御基板として設けられている。記録ヘッド31のインク吐出方式としては、ピエゾ方式等の公知の全ての方式を含むものである。
【0017】
給送部1は、複数枚の用紙Pを積載して揺動昇降可能な底板29を備えた給紙トレイ5と、底板29上の用紙Pを給送する半月状の給紙コロ28と、給紙コロ28に対向し、給紙コロ28との協働作用により用紙Pを1枚ずつ分離給送する、用紙に対して摩擦係数の大きな材質からなる分離手段としての分離パッド27等とを備えている。分離パッド27は、図示しないバネ等の弾性部材により給紙コロ28側に付勢されている。給紙コロ28は、図示しない接離手段により、分離パッド27に当接する当接位置と、この当接位置から離れる離間位置との間で変位可能に構成されている。
【0018】
給送部1から給送・給紙された用紙Pを画像形成部3の記録ヘッド31に対向する位置に送り込むために、搬送部2が配置されている。
給送部1と搬送部2との間の搬送経路上には、用紙Pの後端位置を検知する被記録媒体後端検知手段としての後端センサ22が配置されている。後端センサ22は、反射型のフォトセンサからなる。
【0019】
搬送部2は、記録ヘッド31におけるシート搬送方向Xの上流側に配置され、給送部1から1枚ずつに分離されて搬送されてくる用紙Pを挟持しつつ回転搬送する第1の搬送手段としての上下一対の回転部材からなる搬送ローラ10および先端加圧コロ12(以下、「搬送ローラ対10,12」ともいう)と、搬送ローラ対10,12から搬送されてくる用紙Pをシート搬送方向Xの下流側に案内する搬送ガイド部材としての搬送ガイド13と、記録ヘッド31におけるシート搬送方向Xの下流側に配置され、搬送ローラ10および先端加圧コロ12により搬送されてくる用紙Pを挟持しつつ回転搬送する第2の搬送手段としての上下一対の回転部材からなる第1排紙ローラ20および拍車16(以下、「第1排紙ローラ対20」で代表する)、ならびに第1排紙ローラ対20から搬送されてくる用紙Pを挟持しつつ回転搬送する第2の搬送手段としての上下一対の回転部材からなる第2排紙ローラ21および拍車16(以下、「第2排紙ローラ対21」で代表する)とを有する。
搬送ガイド13の上面には、搬送されてくる用紙Pをシート搬送方向Xに案内するために、シート搬送方向Xに沿って主走査方向に複数のリブ(図示せず)が一体的に形成されている。
【0020】
搬送ローラ10は、図3に示す装置本体50および装置本体50の左右に固着された本体側板50a,50bに回転可能に支持された軸10aと一体的に形成され、上記主走査方向に延びた長尺状のローラであり、その外周面を含む外周部は用紙Pに対して摩擦係数の大きな材質および表面形状を備えて形成されている。
先端加圧コロ12は、装置本体50側に回転可能に支持された軸(図示せず、搬送ローラ10の軸10aと略平行に設けられている)と一体的に形成され、上記主走査方向に渡り断続的に複数に分割して形成されたローラである。先端加圧コロ12は、図示しないバネ等の付勢手段により搬送ローラ10に当接する向きに付勢されている。これにより、先端加圧コロ12が用紙Pを介して搬送ローラ10に圧接して従動回転し、搬送ローラ10との間に挟持部としてのニップ部を形成するとともに、用紙Pに対する搬送力を生じさせている。
【0021】
搬送ローラ10は、図1に簡略的に示す単一の駆動源としての搬送モータ(副走査モータ)9によって、図中矢印で示す時計回りに回転駆動される。
搬送ローラ10の軸10aの一端部には、搬送ローラ10の回転量を検出するための、外周部に多数のスリットを備えた円盤状のエンコーダ11が固設されている。エンコーダ11の外周部近傍の装置本体50側には、エンコーダ11の外周部を挟む態様でエンコーダセンサ11Aが設けられている。エンコーダセンサ11Aは、透過型のフォトセンサからなり、搬送ローラ10の回転量を検出する搬送手段回転量検出手段として機能する。エンコーダ11およびエンコーダセンサ11Aは、いわゆるパルスエンコーダを構成している。
【0022】
第1、第2排紙ローラ20,21は、本体側板対50a,50bに回転可能に支持された軸20a,21aとそれぞれ一体的に形成され、上記主走査方向に渡り断続的に複数に分割して形成された串刺し状のローラであり、その外周面を含む外周部は用紙Pに対して摩擦係数の大きな材質(例えばゴム等)および表面形状を備えて形成されている。
各拍車16は、拍車ユニット15における主走査方向の両端部に配設されたユニット側板15aに回転可能に支持された軸(図示せず、軸20a,21aと略平行に設けられている)と一体的に形成され、第1、第2排紙ローラ20,21に対応して上記主走査方向に渡り断続的に複数に分割して形成されている。各拍車16は、金属製で断面星形をなす。各拍車16は、図示しないバネ等の付勢手段により第1、第2排紙ローラ20,21に当接する向きに付勢されている。これにより、各拍車16が用紙Pを介して第1、第2排紙ローラ20,21に圧接して従動回転し、各第1、第2排紙ローラ20,21との間に挟持部としてのニップ部を形成するとともに、用紙Pに対する搬送力を生じさせている。
【0023】
本実施形態において、拍車16は、記録ヘッド31の下流側において、記録ヘッド31に対向する用紙Pの面に係わり合う(以下、「係合」という)ものであるが、用紙Pが通常の普通紙の他、OHPシートや、カード、ハガキ、封筒等の厚紙に記録を行う場合においては、用紙Pの送りを単に補助するものであり、第1、第2排紙ローラ20,21と拍車16との間に用紙Pが噛んでいること、すなわち拍車16が用紙Pに係合していることによって用紙P表面と記録ヘッド31とのギヤップを定めるものではない。本発明では、拍車16が用紙Pに係合していることによって用紙P表面と記録ヘッド31とのギヤップを定める構成を採る場合も含まれる。
上述した背景技術で説明したように、本実施形態においても画像形成後の用紙Pの乾燥は自然乾燥を採用しており、これに伴い拍車16を用いて画像形成後(インク吐出後)の画像面を強く押さえることができないようにしている。各拍車16の第1、第2排紙ローラ20,21に対する付勢力を増加させて圧接力(押圧力)を強くした場合には、印字画像の劣化(拍車16へのインクの転写による白抜けや用紙への拍車跡など)や、用紙Pに穴を開けてしまうなどの用紙損傷の問題が新たに発生してしまう。また断面星型のように接触面積を小さくしないで表面摩擦の大きいローラ(例えばゴムなど)にするとこれも同様にローラへのインクの転写による印字画像劣化などの問題が新たに発生してしまう。
【0024】
記録ヘッド31におけるシート搬送方向Xの下流側であって、第1排紙ローラ対20と第2排紙ローラ対21との間の搬送経路には、第1排紙ローラ対20および第2排紙ローラ対21での用紙Pの滑り(スリップ)を検出するための、用紙Pの移動に従動して連れ回る検出手段としての一対の補正検出ローラ7および拍車16(以下、「補正検出ローラ対7」で代表する)が配置されている。
補正検出ローラ7は、装置本体50および本体側板対50a,50bに回転可能に支持された軸7aと一体的に形成され、上記主走査方向に渡り断続的に複数に分割して形成された串刺し状のローラであり、その外周面を含む外周部は用紙Pに対して摩擦係数の大きな材質(例えばゴム等)および表面形状を備えて形成されている。拍車16は、上述したと同様の構成であり、ユニット側板15aに回転可能に支持された軸(図示せず、軸7aと略平行に設けられている)と一体的に形成され、補正検出ローラ7に対応して上記主走査方向に渡り断続的に複数に分割して形成されている。拍車16は、図示しないバネ等の付勢手段により補正検出ローラ7に当接する向きに付勢されている。これにより、拍車16が用紙Pを介して補正検出ローラ7に圧接して従動回転し、挟持部としてのニップ部を形成するとともに、用紙Pの移動に従動して連れ回りすることとなる。
【0025】
補正検出ローラ7は、上記したとおり、拍車16によって用紙Pを挟持しニップ部を形成しているが、搬送モータ9の駆動力が伝達されないように駆動系と非連結で構成されている。補正検出ローラ対7は、その目的から負荷も最小限になるよう構成するのが望ましい。また、補正検出ローラ対7は、その機能から用紙Pの移動に連れ回り従動回転する際に、同一搬送条件での用紙Pに対して一定範囲内のスベリ量を維持する、換言すれば同一搬送条件での用紙Pに対して安定した状態での滑り(スリップ)は許容され、最大値および最小値の差の変動が大きい不連続的・不安定なスベリ量を生じさせない構成であればよい。
【0026】
補正検出ローラ7の軸7aの一端部には、補正検出ローラ7の回転量を検出するための、外周部に多数のスリットを備えた円盤状のエンコーダ8が固設されている。エンコーダ8の外周部近傍の装置本体50側には、エンコーダ8の外周部を挟む態様でエンコーダセンサ8Aが設けられている。エンコーダセンサ8Aは、透過型のフォトセンサからなり、補正検出ローラ7の回転量を検出する検出手段回転量検出手段として機能する。エンコーダ8およびエンコーダセンサ8Aは、いわゆるパルスエンコーダを構成している。
【0027】
画像形成部3は、走査・移動可能な移動体としてのキャリッジ30を備えている。キャリッジ30は、本体側板対50a,50bに横架して固着した状態で設置(以下、「固設」ともいう)されたガイド部材である主従のメインガイドロッド32および図示しないレールまたはサブガイドロッドにより、主走査方向(図中紙面に対して直交する紙面手前側および紙面奥側の方向)に摺動自在に保持されている。キャリッジ30は、図示しないタイミングベルトを介して主走査モータ(図示せず)に連結されており、同主走査モータによって主走査方向に往復移動・走査される。
また、キャリッジ30の上方側には、スリットを形成した図示しないエンコーダスケールを設け、さらにエンコーダスケールのスリットを検出する透過型フォトセンサからなるエンコーダセンサ(図示せず)を設けることによって、キャリッジ30の主走査方向位置を検知するためのエンコーダを構成している。
【0028】
キャリッジ30には、イエロー(Y)、シアン(C)、マゼンタ(M)、ブラック(K)の各色のインク滴を吐出するための液体吐出ヘッドからなる記録ヘッド31が搭載されている。記録ヘッド31は、搬送部2搬送ガイド13と対向して配置され、搬送部2を構成する第1の搬送手段としての上下一対の搬送ローラ10および先端加圧コロ12により搬送されてくる用紙Pに画像を形成する画像形成手段ないし記録手段として機能する。記録ヘッド31は、複数のノズルからなるノズル列を主走査方向と直交する副走査方向Xa(シート搬送方向Xでもある)に配列し、ノズルのインク滴吐出方向を鉛直下方向に向けて装着している。
記録ヘッド31は、例えば、4つのノズル列を有し、ブラック(K)、シアン(C)、マゼンタ(M)、イエロー(Y)のインク液滴をそれぞれ吐出する。
【0029】
また、キャリッジ30は、記録ヘッド31のノズル列に対応して各色のインクを供給するためのヘッドタンク(図示せず)を搭載している。このヘッドタンクには、図示しないカートリッジ装填部に着脱自在に装着される各色の記録液カートリッジから、供給ポンプユニット(図示せず)によって各色の供給チューブを介して、各色の記録液が補充供給されるようになっている。
【0030】
ここで、インクジェットプリンタ100が備えている維持回復装置について補説する。キャリッジ30の主走査方向Yの一方側および他方側の非印字・非画像形成領域には、記録ヘッド31のノズルの状態を維持し、回復するための維持回復機構(維持回復モジュール)35を配置している。この維持回復機構35は、記録ヘッド31のノズル面をキャッピングするための吸引及び保湿用キャップ36と、記録ヘッド31のノズル面をワイピングするためのワイパーブレード37と、空吐出を行うための空吐出受け38などを備えている。
【0031】
搬送ローラ10と記録ヘッド31の印字開始位置(図1に示す記録ヘッド31の左端部)との間の搬送経路上には、用紙Pの先端位置を検知する被記録媒体先端検知手段としてのレジストセンサ23が配置されている。レジストセンサ23は、反射型のフォトセンサからなり、より具体的には記録ヘッド31の印字開始位置上流側近傍のキャリッジ30下端部に固設されている。
【0032】
上記構成において、用紙Pに記録・画像形成を行うときには、搬送ローラ対10,12によって記録する行位置(シート搬送方向Xにおける位置)に用紙Pを所定量搬送した後、用紙Pの搬送を一旦停止する。この状態で、キャリッジ30を移動させながら画像信号に応じて、図4に示す制御部60の制御の下に記録ヘッド31を駆動することにより、停止している用紙Pにインク滴を吐出して1行分を記録し、再び搬送ローラ対10,12により用紙Pを所定量搬送後、次の行の記録を行う。記録終了信号または用紙Pの後端が記録ヘッド31の記録領域である印字領域を抜け出た信号を、制御部60が受けることにより、記録動作を終了する。
【0033】
排出部4は、上記した搬送部2の第1排紙ローラ対20と、第2排紙ローラ対21と、画像形成済みの用紙を積載する排紙トレイ6とを有する。上述のとおり、第1排紙ローラ対20および第2排紙ローラ対21は、搬送部2と排出部4の共通要素となっている。排紙トレイ6は、第1排紙ローラ対20および第2排紙ローラ対21のシート搬送方向Xの下流側に配置されている。
排出部4における第1排紙ローラ20および第2排紙ローラ21への駆動は、図2および図3を参照して後述するように搬送ローラ10のための駆動力が伝達されることにより可能となる。
【0034】
図2および図3を参照して、本実施形態1の駆動系61、駆動系61から排出部4への駆動力伝達機構を説明する。図2は、本実施形態の駆動系61、駆動系61から排出部4への駆動力伝達機構の各構成および動作を説明する図、図3は、本実施形態の駆動系61、キャリッジ30、排出部4の構成および動作を説明する要部の拡大図である。図2においては、図の簡明化のため、図1で説明した各エンコーダ8,11を2点鎖線で図示するとともに各エンコーダセンサ8A,11A、各センサ22,23の図示を省略している。
【0035】
本実施形態1の駆動系61は、図2および図3に示すように、少なくとも、第1の搬送手段としての搬送ローラ10および第2の搬送手段としての第1、第2排紙ローラ20,21を駆動する単一の駆動源・駆動手段としての搬送モータ9と、搬送モータ9の出力軸に固設された歯付きのモータプーリ9Aおよび搬送ローラ10と同軸上に設けられ軸10aの一端部(図3における左端部)に固定された歯付きの搬送ローラ駆動プーリ10Aの間に巻き掛けられたタイミングベルト14とを有する。搬送モータ9は、例えばDCモータである。
【0036】
搬送ローラ10の軸10aの一端部(図3における左端部)には、搬送ローラ駆動プーリ10Aと同軸上で2連をなす(図3の左端部では簡略的に図示)歯付きの搬送ローラプーリ10Bが、第1排紙ローラ20の軸20aの一端部(図3における左端部)には、歯付きの第1排紙ローラプーリ20Aが、それぞれ固定されている。搬送ローラプーリ10Bと第1排紙ローラプーリ20Aとの間には、タイミングベルト17が巻き掛けられている。このため、単一かつ同一駆動源である搬送モータ9によって、駆動力伝達手段としての搬送ローラ駆動プーリ10A、搬送ローラプーリ10B、タイミングベルト17を介して、搬送ローラ10と第1排紙ローラ20とは常に同一方向に回転される。
【0037】
一方、第1排紙ローラ20の軸20aの他端部(図3における右端部)には、第1排紙ローラギヤ20Bが、第2排紙ローラ21の軸21aの他端部(図3における右端部)には、第2排紙ローラギヤ21Aが、それぞれ固定されている。そして、第1排紙ローラ20の軸20aの他端部と第2排紙ローラ21の軸21aの他端部との間には、第1排紙ローラギヤ20Bおよび第2排紙ローラギヤ21Aとそれぞれ噛み合う中間ギヤ18が、図示しないギヤ軸を介して装置本体50側に回転可能に支持されている。
このため、単一かつ同一駆動源である搬送モータ9によって、駆動力伝達手段としての搬送ローラ駆動プーリ10A、搬送ローラプーリ10B、タイミングベルト17を介して、搬送ローラ10と第1排紙ローラ20とは常に同一方向に回転されるとともに、駆動力伝達手段としての第1排紙ローラギヤ20B、中間ギヤ18、第2排紙ローラギヤ21Aを介して、搬送ローラ10と第1排紙ローラ20と第2排紙ローラ21とは常に同一方向に回転される
【0038】
次に、図1〜図4に基づいて、本実施形態1のインクジェットプリンタ100の全体動作を説明する。
図示しない電源スイッチがオン・投入され、使用者による操作部(図示せず)の各種キー操作(印刷枚数や拡大・縮小等のキー操作)が終了すると、インクジェットプリンタ100の動作を制御する図4の制御部60からの制御指令により、図1に示す給送部1が搬送部2および画像形成部3と同期して起動可能状態になる。すなわち、給紙コロ28および分離パッド27の協働作用により、給紙トレイ5の底板29上の用紙Pが1枚に分離されて給送され、給紙搬送路95を通って搬送部2の先端加圧コロ12と搬送ローラ10との間に送り込まれる。
【0039】
この時、図1および図2に示す搬送モータ9により搬送ローラ10が駆動されることによって、用紙Pが先端加圧コロ12と搬送ローラ10との間に給送され、搬送ローラ対10,12の回転駆動によって用紙Pがシート搬送方向Xに搬送される。この際、用紙Pの搬送は記録ヘッド31における印字開始位置(図1に示す記録ヘッド31の左端部寄りの位置)で一旦停止する。
【0040】
次いで、キャリッジ30が図3の主走査方向Y(図1中紙面に直交する紙面手前および奥側)に移動するように駆動されるとともに、画像信号に応じて記録ヘッド31が駆動されることにより、停止している用紙Pにインク滴を吐出して1行分を印字記録し、搬送ベルト11上に保持された用紙Pの所定量搬送後、次の行の印字記録が行われる。
そして、再び搬送ローラ対10,12の回転駆動によって用紙Pが搬送され、この際、印刷済みの用紙P(以下、単に「用紙P」ともいう)は排出部4における第1排紙ローラ対20および第2排紙ローラ対の回転駆動によりシート搬送方向Xの下流側に送り込まれる。
【0041】
上述したとおり、本実施形態1のインクジェットプリンタ100では、第1の搬送手段としての搬送ローラ対10,12と第2の搬送手段としての第1および第2の排紙ローラ対20,21とで用紙Pを挟持搬送する第1の搬送状態と、用紙Pの後端部への画像形成のために、第1および第2の排紙ローラ対20,21のみで用紙Pを挟持搬送する第2の搬送状態とを取り得るように構成されている。
【0042】
排出部4に搬送されてきた印刷済みの用紙Pは、第1、第2排紙ローラ対20,21の回転駆動によってさらにシート搬送方向Xの下流側に搬送される。記録終了信号または印刷済みの用紙Pの後端が記録ヘッド31の記録領域である印字領域を抜け出た信号を、図4の制御部60が受けることにより、記録動作を終了して、用紙Pは排紙トレイ6に排紙・積載される。
【0043】
次に、図4を参照して、本実施形態1のインクジェットプリンタ100の制御構成を説明する。図4は、本実施形態1のインクジェットプリンタ100の制御構成を示す制御ブロック図である。
図4において、制御部60は、内部にそれぞれ図示しない、CPU、ROM、RAMおよびタイマ等を備え、それらが図示しない信号バスによって接続された構成を有するマイクロコンピュータを具備している。制御部60は、上記したように、本体装置50内の図示しない制御基板配置部に設けられている。制御部60は、広義の制御手段として機能する。
上記CPUは、図示しない操作部からの各種信号、および装置本体50に設けられたエンコーダセンサ11A,8Aからの回転量に関するデータ信号や、各種センサ22,23からのオン/オフ検知信号および上記ROMから呼び出された動作プログラムや関係データ(データテーブル等を含む)に基づいて、駆動系61の搬送モータ9、記録ヘッド31、メモリ62、タイミングTa算出部63の作動等を制御し、インクジェットプリンタ100全体の動作を制御する。この意味で、上記CPUは、狭義の制御手段として機能する。
上記ROMには、インクジェットプリンタ100全体の動作プログラム等が記憶されており、この動作プログラムは上記CPUによって適宜呼び出される。上記RAMは、上記CPUの計算結果を一時的に記憶する機能、図示しない操作部上の各種キーおよび各種センサから設定および入力されたデータ信号およびオン/オフ信号を随時記憶する機能等を有している。
なお、タイミングTa算出部63の機能は、本実施形態のように外部に設けたものに限らず、制御部60の上記CPUが有する演算・制御機能に割り当ててもよい。同様に、メモリ62の機能は、本実施形態のように例えばEEPROM(フラッシュメモリ等の不揮発性メモリ)として外部に設けたものに限らず、制御部60の内部に設けたメモリでもよい。
【0044】
制御部60(の上記CPU)は、第1および2の搬送状態におけるエンコーダセンサ11A,8Aからの回転量に関する各データ信号に基づいて、第2の搬送状態における滑りにより減少した補正検出ローラ7の回転量が、第1の搬送状態における補正検出ローラ7の回転量となるように、搬送モータ9を介して搬送ローラ10を制御する制御手段としての機能を有する。
【0045】
図5および図6を参照して、本実施形態の用紙搬送補正動作例を詳述する。図5は、本実施形態の用紙搬送状態毎に、各エンコーダで検出される回転量と用紙搬送量との関係について補正前後で説明するための図表、図6は、本実施形態の用紙搬送補正動作例の手順を示すフローチャートである。
図5において、縦の欄には、第1の搬送状態および第2の搬送状態での用紙搬送状態を簡略図的に示し、符号Pbは、用紙Pの後端を表わしている。横の欄には、エンコーダセンサ11Aにより検出される搬送ローラ10の回転量をエンコーダ11で、エンコーダセンサ8Aにより検出される補正検出ローラ7の回転量をエンコーダ8で、それぞれ代表して示す。第1の搬送状態での用紙搬送量「1000」は、目標・基準搬送量として説明の便宜上設定した数値である。カッコ内の数値は、環境条件(温湿度等)を変えた場合の回転量、用紙搬送量を表わしている。なお、第1の搬送状態および第2の搬送状態でのエンコーダ11、エンコーダ8の各回転量(もしくはスベリ量の比率でもよい)、用紙搬送量は、ある環境・試験条件において、温湿度、紙種(シート種類)、用紙の摩擦係数、各ローラおよび各拍車仕様を一定に設定して行った試験結果をある程度反映している数値であることを付記しておく。
【0046】
ここで、挟持部としてのニップ部を構成する一対の挟持ローラでの被記録媒体・シート(以下、「シート」で代表する)の滑り(スリップ)について補説する。一対の挟持ローラにおいては、粘着性でシートに対する摩擦係数が「1」を超えるものでない限り、大小の差はあるもののシートの滑り(スリップ)が必ず発生する。一対の挟持ローラにおけるシートのスベリ量は、温湿度等の環境条件、挟持ローラのシートに対する表面状態を含む摩擦係数、シート種類、経時劣化、機種等によって異なることが技術常識として知られている。
具体例で説明すると、用紙Pが安定して搬送されているとき、すなわち搬送ローラ対10,12と第1および第2の排紙ローラ対20,21とで用紙Pを挟持搬送する第1の搬送状態において、図5の上欄に示すように、回転量で比較すると、搬送ローラ10の回転量の方が第1および第2排紙ローラ20,21と比較して大きい。換言すれば、第1および第2排紙ローラ20,21での空回りが搬送ローラ10のそれよりも大きい。用紙Pのスベリ量で比較すると、搬送ローラ対10,12でのスベリ量は、第1および第2排紙ローラ対20,21のスベリ量と比較して小さいことが試験結果から裏付けられている。
【0047】
以下、図4の制御部60の制御指令の下に実行される用紙搬送動作の補正例を説明する。先ず、図1において、上述したように給紙トレイ5の底板29上に積載された用紙Pが給紙ローラ28によって分離給紙される。給紙された用紙Pは搬送ローラ10と先端加圧コロ12とのニップ部まで搬送され、その後、用紙Pは搬送ローラ10と先端加圧コロ12とによって挟持され搬送される(初期搬送状態)。この際、図6のステップS1において、給紙された用紙Pの先端がレジストセンサ23がオンとなる位置まで送られたか否かをチェックする。ステップS1において、用紙Pの先端がレジストセンサ23がオンとなる位置まで送られたときには、用紙Pは印字開始位置まで搬送される(ステップS2)。用紙Pの先端がレジストセンサ23がオンとなる位置まで送られていないときには、ステップS1に戻り同様の動作およびチェックが行われる。用紙Pの先端が印字開始位置に来たときには、上記図示しない接離手段の作動によって分離パッド27に対する給紙コロ28の当接が外される。これは、給紙コロ28の分離パッド27に対するニップ抜けの画像への影響を防ぐためである。
【0048】
印字開始位置に搬送された用紙Pは一旦停止され、上述したと同様に、停止している用紙Pに対して記録ヘッド31を搭載したキャリッジ30が図3の主走査方向Yに移動するように駆動されるとともに、画像信号に応じて記録ヘッド31が駆動されることにより、停止している用紙Pにインク滴を吐出して1行分を印字記録し画像を形成する。1行分の印字実行後、再び搬送ローラ対10,12によって用紙Pが所定量搬送された後、次の行の印字記録が行われ、このような改行および印字が繰り返される。
この際、エンコーダセンサ11Aによってエンコーダ11の回転量が検出されることで、搬送ローラ10の回転搬送による用紙搬送量がフィードバック制御され、用紙Pが一定量ずつ正確に搬送される(ステップS3)。
【0049】
ステップS3において、上記の印字実行→改行が画像データ分に応じて繰り返し行われることにより、図5の上欄に示す第2の搬送状態になる。第2の搬送状態になったか否かは、用紙Pの先端が搬送され移動して来た結果、エンコーダ8が回転を始めてから所定時間経過してエンコーダ8の回転が安定状態(用紙Pが第2排紙ローラ対21でも挟持搬送されている状態)に入ったと制御部60が判断することで行われる。
【0050】
ステップS4に進み、第2の搬送状態における改行時の各エンコーダ11,8の回転量を検出するとともに、その回転量データ(図5のエンコーダ11→「1003」、エンコーダ8→「996」:(A))をメモリ62に一時保存する。この際、図5に示すように、補正検出ローラ7側のエンコーダ8の回転量「996」:(A)は、第1および第2排紙ローラ対20,21での用紙Pの滑り(スリップ)のため、搬送ローラ10側のエンコーダ11の回転量「1003」に対して約0.3パーセント滑っていることを示しているが、用紙搬送状態として安定した第1の搬送状態であるため、用紙搬送量としては基準搬送量としての「1000」が送られていることを表わしている。
次いで、ステップS5に進み、給紙された用紙Pの後端Pbが後端センサ22がオンとなる位置まで送られたか否かをチェックする。ステップS5において、用紙Pの後端Pbが後端センサ22がオンとなる位置まで送られたときには、ステップS6に進み、用紙Pの後端Pbが後端センサ22がオンとなる位置まで送られていないときには、ステップS3に戻り同ステップS3〜ステップS5までの上記動作および上記チェックを行う。
【0051】
ステップS6〜ステップS7において、用紙Pの後端Pbが搬送ローラ対10,12のニップ部を抜けるタイミングTaを算出しつつ、搬送ローラ対10,12で用紙Pを搬送する。このタイミングTaの算出は、例えば上記ROMに予め格納された「後端センサ22と搬送ローラ対10,12のニップ部との間の距離データと、用紙Pの長さ寸法(例えば操作部等で用紙サイズを設定することにより長さ寸法の認識が可能)との関係データ」、および「搬送ローラ10の回転量と搬送距離データとの関係データ」から算出可能である。
次いで、ステップS8に進んで、タイミングTaになったか否かをチェックする。タイミングTaになったときには、ステップS9へ進み、タイミングTaになっていないときには、ステップS7に戻り、同ステップS7〜ステップS8までの上記動作および上記チェックを行う。
【0052】
ステップS9において、補正検出ローラ7の回転量(エンコーダ8の回転量)を検出するとともに、その回転量データ「992」(図5の(B)参照)をメモリ62に一時保存する。同時に、エンコーダ8の回転量が第1の搬送状態における図5の(A)の「996」になるように搬送モータ9を介して搬送ローラ10を駆動制御する。この制御により、図5の補正後に示すように、エンコーダ11(搬送ローラ10の)回転量が「1006」になるように搬送モータ9を介して搬送ローラ10が駆動制御されることで、第2の搬送状態における第1、第2の排紙ローラ対20,21での用紙Pの滑り・スリップによる用紙搬送量の不足分が補償・補正されて、エンコーダ8の回転量が第1の搬送状態における図5の(A)の「996」と同じ回転量になるとともに、目的とする用紙搬送量「1000」が達成されることとなる。
【0053】
次いで、ステップS10に進んで、印字終了か否かをチェックする。印字終了か否かは、上述したとおり、画像データ分の印字が終了したか否かで判断される。ここで、印字終了していないときには、ステップS9に戻り、同ステップS9〜ステップS10までの上記動作および上記チェックを行う。
複数枚の印字動作時には印字動作が終了すると、給紙コロ28が回転し給紙を開始する。印字動作終了後に給紙動作を行うのは、給紙動作の印字への影響をなくすためである。
その後、第1、第2の排紙ローラ対20,21によって印刷済みの用紙Pが排紙トレイ6に排出積載される排出動作が行われ、一連の用紙搬送補正動作が終了する(ステップS11)。
【0054】
上述したとおり、本実施形態では、補正検出ローラ7を記録ヘッド31の下流側に配置して、用紙Pが安定して搬送されているとき、すなわち搬送ローラ対10,12と第1および第2の排紙ローラ対20,21とで用紙Pを挟持搬送する第1の搬送状態での補正検出ローラ7の回転量と、用紙Pの後端部への画像形成のために、用紙が安定して送られない第1および第2の排紙ローラ対20,21のみで用紙Pを挟持搬送する第2の搬送状態での補正検出ローラ7の回転量とを比較することで、単一駆動源としての搬送モータ9を介して搬送ローラ10の回転量の補正値を算出するものである。
本実施形態によれば、用紙Pの後端部への画像形成のために、第1および第2の排紙ローラ対20,21のみで用紙Pを挟持搬送するときの搬送量のズレを、生産性の悪化を最小限に抑え、かつ、リアルタイムで自動的に搬送誤差を補正することで、画像劣化を未然に防止することができる。
【0055】
(変形例1)
図7を参照して、実施形態1の変形例1を説明する。図7は、搬送ローラ10の角速度(以下、単に「速度」という)と補正検出ローラ7の角速度(以下、単に「速度」という)について説明する図である。
図1〜図6の実施形態1においては、補正検出ローラ7を記録ヘッド31の下流側に配置して、用紙Pが安定して搬送されているとき(第1の搬送状態)の補正検出ローラ7の検出値(回転量)と、用紙Pが安定して送られない第1および第2排紙ローラ対20,21のみで搬送されているとき(第2の搬送状態)の補正検出ローラ7の検出値(回転量)を比較することで、上記したように搬送ローラ10の回転量に関する補正値を算出した。
【0056】
すなわち、搬送ローラ10と先端加圧コロ12、さらに第1排紙ローラ20および第2排紙ローラ21と拍車ユニット15の各拍車16とで挟持して搬送している状態(第1の搬送状態)は、用紙Pと搬送ローラ10との間での滑りはほとんどなく搬送ローラ10の回転量をエンコーダ11で検出することによって、用紙Pの搬送量を決定している。
上記第1の搬送状態状での印字動作中に、用紙Pの移動量として補正検出ローラ7の回転量をエンコーダ8で検出して、搬送ローラ10の2つの速度プロファイル(図7(a)と図7(b))と比較することで補正量を決定する。このように補正量を決定することで、用紙Pの種類や環境によって変化する補正ローラ7の検出値(回転量)を補正することができる。
【0057】
搬送ローラ対10,12のニップ部を用紙Pの後端が抜けた後、第1および第2排紙ローラ対20,21だけで用紙Pを搬送しているときも、用紙搬送量のコントロール、すなわち搬送モータ9の駆動量は搬送ローラ10上のエンコーダ11で行っている。この場合、先に述べたように第1および第2排紙ローラ対20,21のみの搬送では、搬送力が搬送ローラ対10,12に比べて低いため、第1および第2排紙ローラ対20,21と用紙Pのスベリ量も搬送ローラ対10,12での用紙Pの搬送時に比べて相対的に大きくなる。つまり、搬送ローラ対10,12と、第1および第2排紙ローラ対20,21とで挟持搬送している状態(第1の搬送状態)で検出していた補正検出ローラ7の検出値(回転量)は、用紙Pが滑りなく搬送されていたときのものなので、第1および第2排紙ローラ対20,21のみで送っているときの用紙Pの速度よりも大きい。
図7(a)では搬送ローラ10および補正検出ローラ7の速度が相対的に大きく、図8(b)では速度が相対的に小さいが、用紙Pの速度が違うと、第1の搬送状態で搬送ローラ10の搬送速度(図7(a)、図7(b)では「搬送ローラ速度」と記載している)を変えた2つの搬送パターンにおいて、両図には直接的には表わされていないが、補正検出ローラ7と用紙Pのスベリ量も変化する。この誤差を補正するために、第1の搬送状態で挟持搬送している状態で補正ローラ7の補正値を算出する際には、意図的にいくつかの改行(搬送)時の搬送ローラ10の速度を変化させて搬送し、そのときの補正ローラ7の検出値(回転量)から補正するというものである。なお、図7(a)、図7(b)は、加速度が同じでも用紙Pの到達速度、すなわち速度の絶対値が異なることを表わしている。
搬送ローラ10の速度を変えた2つの搬送パターンに関する図7(a)、図7(b)は、データテーブルとして、あるいは数式化して例えばメモリ62に保存しておく。搬送ローラ10の速度を変化させた2つの搬送パターンの実行タイミングは、生産性を著しく悪化しない範囲、すなわち本変形例では記録ヘッド31からの吐出インク滴ドットが隣接しない改行時に設定している。
【0058】
上述したとおり、本変形例1によれば、実施形態1と同様の効果を奏することに加え、用紙Pの速度の相違による補正検出ローラ7と用紙Pのスベリ量の変化誤差を補正することができる。
【0059】
(変形例2)
図8を参照して、変形例1とは別の変形例2を説明する。図8は、搬送ローラ10の速度と補正検出ローラ7の加速度について説明する図である。
変形例2は、図7に示した変形例1と比較して、搬送ローラ10の速度を変えた2つの搬送パターンに関する図7(a)、図7(b)に代えて、搬送ローラ10の加速度を変えた2つの搬送パターンに関する図8(a)、図8(b)を用いて補正する点が主に相違する。
すなわち、本変形例では、上記第1の搬送状態状での印字動作中に、用紙Pの移動量として補正検出ローラ7の回転量をエンコーダ8で検出して、搬送ローラ10の2つの加速度プロファイル(図8(a)と図8(b))と比較することで補正量を決定する。このように補正量を決定することで、用紙Pの種類や環境によって変化する補正ローラ7の検出値(回転量)を補正することができる。
【0060】
搬送ローラ対10,12のニップ部を用紙Pの後端が抜けた後、第1および第2排紙ローラ対20,21だけで用紙Pを搬送しているときも、用紙搬送量のコントロール、すなわち搬送モータ9の駆動量は搬送ローラ10上のエンコーダ11で行っている。この場合、先に述べたように第1および第2排紙ローラ対20,21のみの搬送では、搬送力が搬送ローラ対10,12に比べて低いため、第1および第2排紙ローラ対20,21と用紙Pのスベリ量も搬送ローラ対10,12での用紙Pの搬送時に比べて相対的に大きくなる。つまり、搬送ローラ対10,12と、第1および第2排紙ローラ対20,21とで挟持搬送している状態(第1の搬送状態)で検出していた補正検出ローラ7の検出値(回転量)は、用紙Pが滑りなく搬送されていたときのものなので、第1および第2排紙ローラ対20,21のみで送っているときの用紙Pの加速度よりも大きい。
図8(a)では搬送ローラ10および補正検出ローラ7の加速度が相対的に大きく、図8(b)では加速度が相対的に小さいが、用紙Pの加速度が違うと、第1の搬送状態で搬送ローラ10の搬送加速度(図8(a)、図8(b)では「搬送ローラ加速度」と記載している)を変えた2つの搬送パターンにおいて、両図には直接的には表わされていないが、補正検出ローラ7と用紙Pのスベリ量も変化する。この誤差を補正するために、第1の搬送状態で挟持搬送している状態で補正ローラ7の補正値を算出する際には、意図的にいくつかの改行(搬送)時の搬送ローラ10の加速度を変化させて搬送し、そのときの補正ローラ7の検出値(回転量)から補正するというものである。
例えば、図9の図表に示すように、搬送ローラ10の狙いの加速度を「100」とした場合、搬送ローラ10の加速度プロファイルとして、ゆっくり送るために「90」、「80」に変化させたとき、補正ローラ7の補正したい検出値(回転量)として、搬送ローラ10の加速度90のとき、補正ローラ7の補正したい検出値(回転量)として「92」に、搬送ローラ10の加速度80のとき、補正ローラ7の補正したい検出値(回転量)として「94」に補正するというものである。
【0061】
搬送ローラ10の搬送加速度を変えた2つの搬送パターンに関する図8(a)、図8(b)は、データテーブルとして、あるいは数式化して例えばメモリ62に保存しておく。搬送ローラ10の加速度を変化させた2つの搬送パターンの実行タイミングは、変形例1と同様に、生産性を著しく悪化しない範囲、すなわち本変形例では記録ヘッド31からの吐出インク滴ドットが隣接しない改行時に設定している。
【0062】
上述したとおり、本変形例2によれば、実施形態1と同様の効果を奏することに加え、用紙Pの加速度の相違による補正検出ローラ7と用紙Pのスベリ量の変化誤差を補正することができる。
【0063】
以上述べたとおり、本発明を特定の実施形態、変形例等について説明したが、本発明が開示する技術は、上述した実施例を含む各実施形態、変形例等に例示されているものに限定されるものではなく、それらを適宜組み合わせて構成してもよく、本発明の範囲内において、その必要性および用途等に応じて種々の実施形態や変形例あるいは実施例を構成し得ることは当業者ならば明らかである。
【0064】
本発明に係る画像形成装置における第2の搬送手段は、上記実施形態および変形例における2組の挟持ローラ対からなる第1排紙ローラ対20および第2排紙ローラ対21に限らず、例えば、単一の挟持ローラ対からなるものであってもよく、このような第2の搬送手段としての単一の挟持ローラ対を備えた画像形成装置にも適用可能である。
また、本発明に係る画像形成装置における第1の搬送手段は、上記実施形態および変形例における搬送ローラ10および先端加圧コロ12に限らず、例えば、少なくとも2つの回転部材間に巻き掛けられて回転・走行し、静電吸引力または空気吸引力により被記録媒体を吸着・保持搬送する搬送ベルトであってもよく、このような第1の搬送手段としての搬送ベルトを備えた画像形成装置にも適用可能ないし準用可能である。
さらに、第1の搬送手段から第2の搬送手段を通る搬送経路は、上記実施形態および変形例における水平搬送経路に限らず、例えば、鉛直搬送経路や斜め搬送経路等であってもよい。
【0065】
すなわち、本発明は、搬送されてくる被記録媒体にインクを吐出し画像を形成する記録ヘッドと、前記記録ヘッドの上流側から被記録媒体を回転搬送する第1の搬送手段と、前記記録ヘッドの下流側に配置され、第1の搬送手段により搬送されてくる被記録媒体を挟持しつつ回転搬送する第2の搬送手段と、第1の搬送手段と第2の搬送手段とを駆動する単一の駆動源とを有する画像形成装置に適用可能ないし準用可能である。
【0066】
本発明に係る画像形成装置は、上記実施形態におけるインクジェット方式のインクジェットプリンタ100に限らず、例えば、プリンタ、プロッタ、ワープロ、ファクシミリ、複写機、孔版印刷機を含む印刷装置等またはこれら2つ以上の機能を備えた複合機等においてインクジェット記録装置を含む画像形成装置にも適用可能である。また、本発明に係る画像形成装置は、上記実施形態1におけるシリアル型のインクジェットプリンタ100に限らず、例えばライン型のインクジェット記録装置等にも適用可能である。
また、被記録媒体・シートとしては、用紙Pに限らず、上記したように使用可能な薄紙から厚紙、はがき、封筒、あるいはOHPシート等まで、画像形成可能な全ての記録媒体・シートを含むものである。
【符号の説明】
【0067】
1 給送部
2 搬送部
3 画像形成部
4 排出部
5 給紙トレイ
6 排紙トレイ
7 補正検出ローラ(検出手段)
8 エンコーダ
8A エンコーダセンサ(検出手段回転量検出手段)
9 搬送モータ(単一の駆動源)
10 搬送ローラ(第1の搬送手段)
11 エンコーダ
11A エンコーダセンサ(搬送手段回転量検出手段)
12 先端加圧コロ
16 拍車
20 第1排紙ローラ(第2の搬送手段)
21 第2排紙ローラ(第2の搬送手段)
22 後端センサ(被記録媒体後端検知手段)
23 レジストセンサ(被記録媒体先端検知手段)
30 キャリッジ(移動体)
31 記録ヘッド(画像形成手段、画像形成部)
35 維持回復機構
50 装置本体
60 制御部(制御手段)
61 駆動系
62 メモリ
P 用紙(被記録媒体、シート)
X シート搬送方向
Y 主走査方向
【先行技術文献】
【特許文献】
【0068】
【特許文献1】特許第4464003号公報
【特許文献2】特許第4428377号公報

【特許請求の範囲】
【請求項1】
搬送されてくる被記録媒体にインクを吐出し画像を形成する記録ヘッドと、
前記記録ヘッドの上流側から被記録媒体を回転搬送する第1の搬送手段と、
前記記録ヘッドの下流側に配置され、第1の搬送手段により搬送されてくる被記録媒体を挟持しつつ回転搬送する第2の搬送手段と、
第1の搬送手段と第2の搬送手段とを駆動する単一の駆動源と、
前記記録ヘッドの下流側に配置され、第2の搬送手段での被記録媒体の滑りを検出するための、被記録媒体の移動によって連れ回る検出手段と、
を有し、
第1の搬送手段と第2の搬送手段とで被記録媒体を搬送する第1の搬送状態と、被記録媒体の後端部への画像形成のために、第2の搬送手段のみで被記録媒体を搬送する第2の搬送状態とを取り得る画像形成装置であって、
第2の搬送状態における前記検出手段の前記滑りに関する補正値は、第1の搬送状態での第1の搬送手段の回転量および前記検出手段の回転量と、第2の搬送状態での前記検出手段の回転量とを比較して算出することを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
請求項1記載の画像形成装置において、
前記検出手段の前記滑りに関する補正値は、第1の搬送状態での第1の搬送手段の搬送速度を変えた複数の搬送パターンを実行することにより算出することを特徴とする画像形成装置。
【請求項3】
請求項1または2記載の画像形成装置において、
前記検出手段の前記滑りに関する補正値は、第1の搬送状態での第1の搬送手段の搬送加速度を変えた複数の搬送パターンを実行することにより算出することを特徴とする画像形成装置。
【請求項4】
請求項2または3記載の画像形成装置において、
前記複数の搬送パターンの実行タイミングは、前記記録ヘッドからの吐出インク滴ドットが隣接しない改行時であることを特徴とする画像形成装置。
【請求項5】
請求項1記載の画像形成装置において、
第1の搬送手段の前記回転量を検出する搬送手段回転量検出手段と、
前記検出手段の前記回転量を検出する検出手段回転量検出手段と、
第1および2の搬送状態における前記搬送手段回転量検出手段および前記検出手段回転量検出手段からの各信号に基づいて、第2の搬送状態における前記滑りにより減少した前記検出手段の回転量が、第1の搬送状態における前記検出手段の回転量となるように前記駆動源を介して第1の搬送手段を制御する制御手段と、
を有することを特徴とする画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2013−56482(P2013−56482A)
【公開日】平成25年3月28日(2013.3.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−196495(P2011−196495)
【出願日】平成23年9月8日(2011.9.8)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】