説明

画像成形カートリッジおよび画像形成装置

【課題】感光体に静電メモリーや機械的な痕跡が残るのを有効に防止することができる画像形成カートリッジを提供する。
【解決手段】カバー70の裏面の両側にリブ76をケース50側へ突出して形成する。カバー70をケース50に装着した状態で、リブ76は、感光体41の樹脂52のうち画像を形成しない部分と、帯電ローラ55の軸56との間に配置され、帯電ローラ55と感光体41とを離間させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、感光体を備えた画像形成カートリッジと、該画像成型カートリッジを備えた画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、感光体と帯電ローラを備えた感光体ユニットや、感光体、帯電ローラおよび現像器を備えたプロセスカートリッジが提供されている。これらは、感光体と帯電ローラを互いに接触させた状態で製品として出荷されていた。このため、輸送時の振動などによって感光体と帯電ローラとの間で摩擦帯電し、感光体に静電メモリーが残って画像不良が発生するという不都合があった。
【0003】
そこで、特許文献1には、感光体と帯電ローラとの間に可動式のシート部材を設け、使用開始時にシート部材を感光体と帯電ローラとの間から抜き出す機構を有するプロセスカートリッジが開示されている。また、特許文献2には、感光体に離間部材を巻き付けておき、感光体を回転させることで離間部材が巻きとり部材に巻き取られるようにしたプロセスカートリッジが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2002−258719号公報
【特許文献2】特開2002−311688号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、感光体に静電メモリーや離間部材に起因して機械的な痕跡が残るのを有効に防止することができる画像形成カートリッジと画像形成装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1に係る発明は、感光体と、前記感光体と接触可能な帯電部材を備えた帯電部と、前記感光体および前記帯電部を収容するケースと、前記ケースに着脱自在に取り付けられ少なくとも前記感光体の一部を覆うカバーとを備えた画像形成カートリッジにおいて、前記カバーに、前記感光体の画像形成部以外の部分と前記帯電部との間に介在させて両者を離間させる離間部材を設けたことを特徴とする。
【0007】
請求項2に係る発明は、前記カバーが前記感光体と前記帯電部の全体を覆うことを特徴とする。
【0008】
請求項3に係る発明は、前記帯電部材は軸の外周に帯電層が設けられた帯電ローラであって、前記離間部材は前記軸と前記感光体との間に挿入されていることを特徴とする。
【0009】
請求項4に係る発明は、前記カバーの両端部に、前記カバー側へ突出し前記ケースの両側面に着脱自在に引っ掛かるフックを設けたことを特徴とする。
【0010】
請求項5に係る発明は、前記ケースには前記カバーが取り付けられる側に隣接する第1の取っ手を設け、前記カバーには前記第1の取っ手を避ける凹部を設けるとともに前記第1の取っ手と対向する第2の取っ手を設け、前記カバーは、前記第1、第2の取っ手を掴んだときに弾性変形して前記フックの少なくとも一方が前記ケースの側面から離間することを特徴とする。
【0011】
請求項6に係る発明は、請求項1または2に係る発明において、前記帯電ローラが軸受によって前記ケースに回転自在に支持され、前記軸受は、前記感光体に対して接近離間可能であるとともに該感光体側へ押し付けられ、前記離間部材は、前記軸受と前記感光体との間に挿入されていることを特徴とする。
【0012】
請求項7に係る発明は、請求項6に係る発明において、前記カバーが該カバーを前記ケースに対して前記感光体の軸方向へ移動させることで該ケースに対して着脱可能であることを特徴とする。
【0013】
請求項8に係る発明は、トナー画像を形成する画像形成部と、前記画像形成部で形成されたトナー画像を記録シートに転写する転写部と、前記記録シートに転写された前記トナー画像を定着させる定着部とを備えた画像形成装置において、前記画像形成部は、請求項1〜7のいずれかに記載の画像形成カートリッジから前記カバーを取り外して設けられている画像形成装置であることを特徴とする。
【0014】
請求項9に係る発明は、請求項8に記載の発明において、前記画像形成カートリッジが画像形成装置の本体の上方から前記本体に装着されていることを特徴とする。
【0015】
請求項10に係る発明は、請求項8に記載の発明において、請求項6または7に記載の画像形成カートリッジを備え、該画像形成カートリッジは、画像形成装置の本体の側方から前記感光体の軸方向へ挿入することで前記本体に装着され、その際に前記カバーが前記本体と干渉して前記ケースは前記本体へ挿入される一方前記カバーは前記ケースから外されることを特徴とする。
【発明の効果】
【0016】
請求項1に係る発明によれば、感光体に静電メモリーや離間部材に起因する機械的な痕跡が残るのを有効に防止することができる。
【0017】
請求項2に係る発明によれば、感光体と帯電ローラへの埃や指紋の付着や傷の発生を未然に防止することができる。
【0018】
請求項3に係る発明によれば、帯電ローラの帯電層への傷の発生を防止することができる。
【0019】
請求項4に係る発明によれば、カバーのケースへの着脱を簡単に行うことができる。
【0020】
請求項5に係る発明によれば、一方の手でケースを持ちながら他方の手でカバーをケースから取り外すことができるとともに、不用意に感光体等を触るおそれが少ない。また、カバーのケースからの取り外しが簡単である。
【0021】
請求項6に係る発明によれば、帯電ローラの帯電層への傷の発生を防止することができる。
【0022】
請求項7に係る発明によれば、本体の側面から画像形成カートリッジを挿入する形式の画像形成装置に本発明を適用することができる。
【0023】
請求項8に係る発明によれば、感光体に静電メモリーや離間部材に起因する機械的な痕跡が残るのを有効に防止することができる画像形成装置が提供される。
【0024】
請求項9に係る発明によれば、本体の上方から画像形成カートリッジを挿入する形式の画像形成装置に本発明を適用することができる。
【0025】
請求項10に係る発明によれば、カバーを付けたまま画像形成カートリッジを画像形成装置に装着したままにするミスが防止される。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】本発明の実施形態のプリンタを示す斜視図である。
【図2】本発明の実施形態のプリンタを示す断面図である。
【図3】本発明の実施形態のプリンタのカバーを開けた状態を示す斜視図である。
【図4】本発明の実施形態のプリンタのカバーを開けた状態を示す断面図である。
【図5】本発明の実施形態のプリンタの画像形成カートリッジを示す断面図である。
【図6】本発明の実施形態のプリンタの画像形成カートリッジを示す斜視図である。
【図7】本発明の実施形態における画像形成カートリッジのカバーを裏側から見た斜視図である。
【図8】本発明の他の実施形態のプリンタの画像形成カートリッジを示す断面図である。
【図9】本発明の他の実施形態のプリンタの画像形成カートリッジを示す斜視図である。
【図10】本発明の実施形態における画像形成カートリッジのカバーを裏側から見た斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、図面を参照して本発明の一実施形態を説明する。
(1)プリンタの基本的な構成および動作
まず、一実施形態に係るプリンタ(画像形成装置)の基本的な構成および動作を説明する。
【0028】
図1は一実施形態に係るプリンタ1の外観を示しており、図2はプリンタ1の内部構成を示している。これら図で符号10は筐体11を有する装置本体である。装置本体11は、図3および図4に示すように、上部から前部(図1〜4でF方向が前側)にわたる領域が開口しており、この開口は、前部カバー12と上部カバー13によって開閉される。前部カバー12は、装置本体11の前部および上部前側を覆う断面逆L字状に形成されたもので、図2に示すように、下端が左右方向(図2の図面表裏方向)に延びるヒンジ軸12Aを介して装置本体10にヒンジ結合され、前後に傾倒するように開閉される。また、上部カバー13は、下端がヒンジ軸12Aと平行なヒンジ軸13Aを介して装置本体10にヒンジ結合され、上下方向に回動して開閉される。
【0029】
図2に示すように、装置本体10の下部には、多数の用紙Pを積層して収納する用紙収納部14が設けられている。印字される用紙Pは、用紙収納部14から、装置本体10内の前側に形成された用紙搬送路20を上昇し、上部カバー13の上部に形成された排紙トレー15に排出される。
【0030】
プリンタ1はタンデム型のフルカラープリンタであって、図2に示すように、装置本体10内には、回転自在、かつ前下がり(図2で左下がり)に傾斜して張架された矢印A方向に回転する転写ベルト31と、この転写ベルト31の下方に並列された4色の画像形成ユニット4Y,4M,4C,4Kと、二次転写部23と、定着部24等が組み込まれている。画像形成ユニット4Y,4M,4C,4Kは、転写ベルト31の傾斜方向と平行に配列されている。
【0031】
4つの画像形成ユニット4Y,4M,4C,4Kは、それぞれイエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(B)のトナー画像を形成するものであって基本構成は同じであり、感光体ドラム41を主体とする感光体ユニット(画像形成カートリッジ)40と、現像器5とを具備している。感光体ユニット40は装置本体10に対して上方から着脱自在にセットされ、現像器5は装置本体10側に固定されている。なお、感光体ユニット40は本実施形態の特徴であり、後に詳細に説明する。
【0032】
画像形成ユニット4Y,4M,4C,4Kの下部には、画像形成ユニット4Y,4M,4C,4Kに共通の画像露光装置6が配設されている。この画像露光装置6は、Y,M,C,Kの各色の画像データに応じて変調されたレーザビームを射出する図示せぬ半導体レーザを4つ備えている。
【0033】
プリンタ1には、パーソナルコンピュータ等からカラー画像情報が入力され、カラー画像情報が入力されると、画像露光装置6の半導体レーザから各色に対応した4本のレーザビームが射出される。それらレーザビームは、ポリゴンミラーによって偏向されてからレンズやミラー(いずれも図示せず)を介して画像形成ユニット4Y,4M,4C,4Kの回転している帯電された感光体ドラム41の表面を走査する。これにより各感光体ドラム41の表面には各色の静電潜像が形成される。
【0034】
感光体ドラム41に形成された静電潜像は、現像器5によって各色のトナーを含む現像剤で現像され、現像されたトナー像(色画像)は、回転している転写ベルト31の外周面に対し一次転写ローラ32によって一次転写される。このような感光体ドラム41から転写ベルト31への現像の一次転写動作が各画像形成ユニット4Y,4M,4C,4Kにおいて所定タイミングで順に行われ、最も下流側のブラックの画像形成ユニット4Kを通過する時に、転写ベルト31の外周面にはフルカラートナー像が形成される。
【0035】
転写ベルト31は、図3および図4に示すように上部カバー13側に設けられており、上部カバー13を閉じることにより、図2に示すように各画像形成ユニット4Y,4M,4C,4Kに対向し、かつ一次転写ローラ32が感光体ドラム41との間に転写ベルト31を挟んでニップを形成する位置に配される。転写ベルト31は駆動ローラ33、テンションローラ34および従動ローラ35に巻回されており、駆動ローラ33が回転することにより矢印A方向に回転する。
【0036】
図2により説明を続けると、転写ベルト31に形成されたフルカラートナー像は、用紙収納部14から給紙部21により引き出されて適正なタイミングで用紙搬送路20を上昇する用紙Pに対し、二次転写部23において転写される。給紙部21は、給紙ローラ21aと用紙分離ローラ21bとを備えており、用紙Pは、この給紙部21により1枚ずつ分離されて用紙収納部14からレジストローラ対22まで一旦搬送され、停止される。そして、所定のタイミングで回転駆動されるレジストローラ対22によって、用紙Pは二次転写部23へ送り出される。二次転写部23は、転写ベルト31を張架する上記駆動ローラ33と、この駆動ローラ33とニップを形成する二次転写ローラ23aとを備えており、これらローラ33,23a間を通過することにより、転写ベルト31のフルカラートナー像が用紙Pに転写される。
【0037】
フルカラートナー像が転写された用紙Pは定着部24を通過し、この定着部24でカラートナー像が用紙Pに定着される、定着部24は、加熱ローラ24aと、この加熱ローラ24aとニップを形成する加圧ローラ24bを備えており、これらローラ24a,24b間を用紙Pが通過することにより、フルカラートナー像が用紙Pに対し圧着と加熱の作用で定着される。そして、定着部24を通過した用紙Pは排紙ローラ対25によって排紙トレー15に排出される。用紙搬送路20は、給紙部21から、レジストローラ対22、二次転写部23、定着部44を経て排紙ローラ対25に至る経路で構成される。
【0038】
なお、用紙搬送路20の前側には、用紙Pの表裏を反転させる用紙反転機構26が備えられている。図4に示すように、用紙反転機構26は前部カバー12側に設けられている。また、同図に示すように、用紙搬送路20を形成する二次転写部23の二次転写ローラ23a、定着部24および排紙ローラ対25は、前部カバー12側に支持され、前部カバー12と一体的に傾倒する。
【0039】
(2)感光体ユニットの構成
次に、図5〜図7を参照して実施形態の感光体ユニット40について説明する。図5において符号50は感光体ユニット40のケースである。ケース50には、感光体41が回転自在に支持されている。感光体41は、円筒状の芯金51の外周を所定の樹脂52で被覆したものであり、芯金51の両端部に設けた軸53が軸受54に支持されることにより、回転自在とされている。
【0040】
ケース50には、帯電ローラ55が回転自在に支持されている。帯電ローラ55は、軸56(図5参照)の外周にゴム層56aを設けたものであり、軸56は、軸受57によって回転自在に支持されている。軸受57は、ケース50内に設けたガイド58によって上下方向(感光体41と接近離間する方向)に移動可能に支持されるとともに、バネ59によって感光体41側へ押し付けられている。
【0041】
また、ケース50には、クリーナ61が回転自在に支持されている。クリーナ61は、軸62の外周に布やスポンジなどを設けたもので、その外周は帯電ローラ55と常に接触している。以上の構成のもとに、帯電ローラ55はクリーナ61とともに感光体41に対して接近離間可能であり、帯電ローラ55は感光体41と接触、離間可能である。
【0042】
図6に示すように、ケース50の側面(プリンタ1の前方側の面)には、開口部62が形成され、感光体41、帯電ローラ55およびクリーナ61が露出している。そして、露出した感光体41に現像器5の現像ローラ5aが接触するとともに、画像露光装置6から射出されるレーザビームによって静電潜像が形成されるようになっている。したがって、感光体41のみ露出させて帯電ローラ55およびクリーナ61はケース50の壁で覆ってもよいわけであるが、本実施形態では、そのような壁を設けないことによって感光体ユニット40どうしの間隔や、感光体ユニット40と現像器5との距離を縮め、プリンタ1の小型化を達成している。
【0043】
開口部62の上方のケース50の壁には、前方へ突出する取っ手(第1の取っ手)63が形成されている。なお、図中符号64は蓋であり、感光体ユニット40をプリンタ1に装着した後に図中X方向へ開ける。これにより感光体41の上部が露出され、上部カバー13を閉じたときに転写ベルト31が感光体41に接触するようになっている。
【0044】
図6に示すように、ケース50にはカバー70が着脱自在に取り付けられ、カバー70によって感光体41、帯電ローラ55およびクリーナ61が覆われている。カバー70は、柔軟性のある合成樹脂で形成されている。カバー70の上端中央部には、上記取っ手63を避ける切欠71が形成され、切欠71の下縁部には、突起72が形成されている。一方、取っ手63の下面には、突起72が嵌る凹部(図示略)が形成されている。また、図7に示すように、カバー70の裏面の両端部には、ケース50側へ突出する突起78が形成されている。一方、ケース50には、突起78が嵌る凹部68が形成されている。
【0045】
カバー70の下端中央部には、前方へ突出する取っ手(第2の取っ手)73が形成されている。また、カバー70の両端部には、ケース50側へ突出するフック74a,74bが形成されている。フック74bはフック74aよりも長く形成されている。カバー70をケース50に装着すると、フック74a,74bは、ケース50の側面に形成した突起75a,75bに引っ掛かるようになっている。
【0046】
カバー70の裏面の両側には、リブ(離間部材)76がケース50側へ突出して形成されている。図5に示すように、カバー70をケース50に装着した状態で、リブ76は、感光体41の樹脂52のうち画像を形成しない部分と、帯電ローラ55の軸56との間に配置され、帯電ローラ55と感光体41とを離間させる。
【0047】
(3)感光体ユニットの作用
カバー70を感光体ユニット40のケース50に取り付けるには、ケース50の取っ手63をカバー70の切欠71に挿入しながら、リブ76を感光体41と帯電ローラ55の軸56との間に挿入し、カバー70をケース50側へ移動させる。そして、カバー70の突起72をケース50の凹部に挿入し、かつ突起78をケース50の凹部68に挿入しながらカバー70をケース50に押し付ける。すると、カバー70のフック74a,74bがケース50の突起75a,75bにそれぞれ引っ掛かり、カバー70がケース50に装着される。このようにして完成された感光体ユニット40は製品として出荷されるが、輸送時に振動が加わっても感光体41と帯電ローラ55とが離間しているので、摩擦による静電メモリーは発生しない。また、カバー70によって感光体41、帯電ローラ55およびクリーナ61が覆われているので、埃の進入や指紋の付着、および傷の発生が防止される。
【0048】
感光体ユニット40をプリンタ1に装着するにはカバー70を取り外す。その際には、たとえば左手でケース50を掴み、右手で取っ手63,73を掴む。これにより、カバー70の取っ手73の中央部が押し上げられ、取っ手73の側板73aが内側へ曲げられる。これにより、カバー70が弾性変形し、カバー70の両端部が図6(A)において矢印Y方向へ撓む。このようなカバー70の変形により、長い方のフック74bがケース70の突起75bから外れるので、そちら側(右側)のリブ76を少し抜き出し、次いでカバー70を左側へ少しずらして短い方のフック74aを突起75aから外す。そして、カバー70を前方へ抜き出してケース50から取り外す。これにより、バネ59の作用で軸受57が上昇し、帯電ローラ55が感光体41と接触する。
【0049】
上記構成の感光体ユニット40によれば、リブ76は感光体41のうち画像を形成しない部分と、帯電ローラ55の軸56との間に配置されるので、感光体41に有害な痕が残らない。また、帯電ローラ55のゴム層56aにも有害な痕が残らない。しかも、上記実施形態のように感光体41、帯電ローラ55およびクリーナ61が露出している構成では、カバー70は重要な部品である。そして、そのようなカバー70に感光体41と帯電ローラ55とを離間させる離間部材を兼用させているので、部品点数が増えず製造コストを抑えることができる。
【0050】
上記実施形態では、取っ手63,73を掴むことによりカバー70が弾性変形し、フック74bがケース70の突起75bから外れるので、カバー70をケースから簡単に取り外すことができる。また、その作業は両手で行うから、不用意に感光体41等を触るおそれが少ない。
【0051】
(4)他の実施形態
次に、図8〜図10を参照して本発明の他の実施形態を説明する。この実施形態は、プリンタ1の側面から感光体ユニット40を挿入するようにしたもので、カバー80をケース50に対して左方向へスライドさせることで取り外し可能に構成されている。なお、以下の説明においては、前記実施形態と同等の構成要素には同符号を付してその説明を省略する。
【0052】
図9に示すように、ケース50にはカバー80が着脱自在に取り付けられ、カバー80によって感光体41、帯電ローラ55およびクリーナ61が覆われている。カバー80は、柔軟性のある合成樹脂で形成されている。
【0053】
図10に示すように、カバー80の裏面の中央部には突起82が形成されている。この突起82が嵌るケース50の凹部は、突起82を左側へスライドさせることで凹部から離脱できるように、少なくとも左側が空いた構成である。また、カバー80の裏面の両端部には、ケース50側へ突出して凹部68に嵌る弾性突起87が形成されている。弾性突起87の右側面には、右方向へ傾斜する傾斜部87aが形成されている。また、弾性突起87の周囲には、U字状のスリット88が形成されている。
【0054】
カバー80の下端中央部には、前方へ突出する取っ手83が形成されている。カバー50の裏面の両側には、リブ(離間部材)86がケース50側へ突出して形成されている。図8に示すように、カバー80をケース50に装着した状態で、リブ86は、感光体41の樹脂52のうち画像を形成しない部分と、帯電ローラ55の軸受57との間に配置され、帯電ローラ55と感光体41とを離間させている。
【0055】
カバー80を感光体ユニット40のケース50に取り付けるには、リブ86を感光体41と帯電ローラ55の軸受57との間に挿入し、カバー80をケース50側へ移動させる。そして、カバー80の突起82をケース50の凹部に挿入し、かつカバーの弾性突起78をケース50の凹部68に挿入しながらカバー80をケース50に押し付ける。これにより、カバー70がケース50に装着される。このようにして完成された感光体ユニット40は、輸送に際して前記実施形態と同等の作用、効果を奏する。
【0056】
感光体ユニット40をプリンタ1に装着するには、プリンタ1の側面に設けられた所定の挿入口に感光体ユニット40を挿入する。この場合、プリンタ1には、カバー80と干渉する部材が設けられており、感光体ユニット40をプリンタ1に挿入すると、カバー80に左方向へ向かう力が作用する。すると、弾性突起87の傾斜部87aがケース50の凹部68の壁面に押され、弾性突起87に前方へ向かう力がかかる。
【0057】
これにより、弾性突起87の周囲に形成したスリット88の作用でその内側の部分が前方へ撓み、弾性突起87が凹部68から離脱する。同時に、カバー70の裏面に形成した凸部82がケース50の図示しない凹部から離脱するとともに、リブ86が感光体41と軸受57との間から離脱する。これにより、バネ59の作用で軸受57が上昇し、帯電ローラ55が感光体41と接触する。なお、この状態でカバー80はケース50から外れているので、カバー80を手で持って除去すればよい。
【0058】
上記構成の感光体ユニット40では、感光体ユニット40をプリンタ1に挿入することでカバー80が自動的に外れるので、カバー80を付けたまま装着するというミスが防止される。
【産業上の利用可能性】
【0059】
本発明は、複写機、プリンタ、ファクシミリ、およびこれらの複合機等の画像形成装置に利用することができる。
【符号の説明】
【0060】
40 感光体ユニット(画像形成カートリッジ)
41 感光体
50 ケース
55 帯電ローラ
56 軸
57 軸受
70,80 カバー
74a,74b フック

【特許請求の範囲】
【請求項1】
感光体と、前記感光体と接触可能な帯電部材を備えた帯電部と、前記感光体および前記帯電部を収容するケースと、前記ケースに着脱自在に取り付けられ少なくとも前記感光体の一部を覆うカバーとを備えた画像形成カートリッジにおいて、前記カバーに、前記感光体の画像形成部以外の部分と前記帯電部との間に介在させて両者を離間させる離間部材を設けたことを特徴とする画像形成カートリッジ。
【請求項2】
前記カバーは、前記感光体と前記帯電部の全体を覆うことを特徴とする請求項1に記載の画像形成カートリッジ。
【請求項3】
前記帯電部材は軸の外周に帯電層が設けられた帯電ローラであって、前記離間部材は前記軸と前記感光体との間に挿入されていることを特徴とする請求項1または2に記載の画像形成カートリッジ。
【請求項4】
前記カバーの両端部に、前記カバー側へ突出し前記ケースの両側面に着脱自在に引っ掛かるフックを設けたことを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の画像形成カートリッジ。
【請求項5】
前記ケースには前記カバーが取り付けられる側に隣接する第1の取っ手を設け、前記カバーには前記第1の取っ手を避ける凹部を設けるとともに前記第1の取っ手と対向する第2の取っ手を設け、
前記カバーは、前記第1、第2の取っ手を掴んだときに弾性変形して前記フックの少なくとも一方が前記ケースの側面から離間することを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の画像形成カートリッジ。
【請求項6】
前記帯電ローラは軸受によって前記ケースに回転自在に支持され、前記軸受は、前記感光体に対して接近離間可能であるとともに該感光体側へ押し付けられ、前記離間部材は、前記軸受と前記感光体との間に挿入されていることを特徴とする請求項1または2に記載の画像形成カートリッジ。
【請求項7】
前記カバーは、該カバーを前記ケースに対して前記感光体の軸方向へ移動させることで該ケースに対して着脱可能であることを特徴とする請求項6に記載の画像形成カートリッジ。
【請求項8】
トナー画像を形成する画像形成部と、前記画像形成部で形成されたトナー画像を記録シートに転写する転写部と、前記記録シートに転写された前記トナー画像を定着させる定着部とを備えた画像形成装置において、
前記画像形成部は、請求項1〜7のいずれかに記載の画像形成カートリッジから前記カバーを取り外して設けられていることを特徴とする画像形成装置。
【請求項9】
前記画像形成カートリッジは、画像形成装置の本体の上方から前記本体に装着されていることを特徴とする請求項8に記載の画像形成装置。
【請求項10】
請求項6または7に記載の画像形成カートリッジを備え、該画像形成カートリッジは、画像形成装置の本体の側方から前記感光体の軸方向へ挿入することで前記本体に装着され、その際に前記カバーが前記本体と干渉して前記ケースは前記本体へ挿入される一方前記カバーは前記ケースから外されることを特徴とする請求項8に記載の画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2011−191427(P2011−191427A)
【公開日】平成23年9月29日(2011.9.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−56395(P2010−56395)
【出願日】平成22年3月12日(2010.3.12)
【出願人】(000005496)富士ゼロックス株式会社 (21,908)
【Fターム(参考)】