説明

画像撮像装置及びそれを備えた細胞画像解析システム

【課題】全ての撮像対象領域から目的とするシグナルを確実且つ高速に抽出して、詳細な解析を行うことができ、しかも、装置が大掛かりにならずコストを低減可能な画像撮像装置及びそれを備えた細胞画像解析システムの提供。
【解決手段】容器1内の全ての撮像対象領域に対し、冷却CCDカメラ4の電子増倍ゲインを高く、解像度を低く、且つ光源3の露光時間を短くして、ハイスループットモードでの撮像を行うとともに、該ハイスループットモードで撮像された画像群から所定の抽出条件に基づいて、目的とするシグナルの抽出を行い、次いで、容器内において該目的とするシグナルが抽出された画像における当該シグナルが抽出された領域に対応する当該撮像対象領域のみに対し、冷却CCDカメラの電子増倍ゲインを低く、解像度を高く、且つ光源の露光時間を長くして、高精細モードでの撮像を行うことができるように構成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、新薬の開発又は、病気の早期発見を目的として、細胞を顕微鏡で撮影し細胞の特性を定量的に解析する分野において用いる、画像撮像装置及びそれを備えた細胞画像解析システムに関する。
【背景技術】
【0002】
細胞を顕微鏡で撮影し細胞の特性を定量的に解析する分野においては、大量のサンプルを迅速に解析することが求められている。しかるに、従来からの人為的な解析手法では、大量のサンプルを解析するために時間が長くかかりすぎ、経済的なコストも膨大なものとなってしまう。このため、近年、大量のサンプルの画像を自動的に撮像し、解析を行うハイスループットスクリーニングが行われるようになっている。
従来、この種の分野における、ハイスループットスクリーニングを行う画像撮像装置としては、例えば、次の特許文献1に記載のものがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第4011936号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、特許文献1に記載の画像撮像装置では、ハイスループットスクリーニングでスクリーニングを行う場合、1ウェルあたりの総蛍光で検出するため、集団の中の弱いシグナルの蛍光を見逃してしまうおそれがある。
また、特許文献1に記載の画像撮像装置では、ハイスループットスクリーニングと高精細スクリーニングの両方のスクリーニングを行う場合、それぞれのスクリーニングごとに光学モジュールを切り替えるため、装置が大掛かりで、コスト高になってしまう。
【0005】
本発明は、このような従来の問題点に鑑みてなされたものであり、全ての撮像対象領域から目的とするシグナルを確実且つ高速に抽出して、詳細な解析を行うことができ、しかも、装置が大掛かりになることなくコストを低減可能な画像撮像装置及びそれを備えた細胞画像解析システムを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するため、本発明による画像撮像装置は、容器内における全ての撮像対象領域に対し、冷却CCDカメラの電子増倍ゲインを高く、解像度を低く、且つ光源の露光時間を短くして、ハイスループットモードでの撮像を行うとともに、該ハイスループットモードで撮像された画像群から所定の抽出条件に基づいて、目的とするシグナルの抽出を行い、次いで、容器内において該目的とするシグナルが抽出された画像における当該シグナルが抽出された領域に対応する当該撮像対象領域のみに対し、冷却CCDカメラの電子増倍ゲインを低く、解像度を高く、且つ光源の露光時間を長くして、高精細モードでの撮像を行うことができるように構成されていることを特徴としている。
【0007】
また、本発明による画像撮像装置は、細胞サンプルを搭載する容器と、前記容器を保持し、且つXY方向に移動可能な電動ステージと、電子増倍ゲインとビニングの調整が可能
な冷却CCDカメラと、前記細胞サンプルを照明するための光を発し、且つ該照明するための光の露光時間の調整が可能な光源と、前記冷却CCDカメラの電子増倍ゲイン及びビニングと、前記光源の露光時間を設定可能な撮像条件設定手段と、画像から目的とするシグナルを抽出するための所定の抽出条件を設定可能なシグナル抽出条件設定手段と、前記冷却CCDカメラを介して撮像された細胞サンプルの画像を記憶する画像記憶手段と、前記画像記憶手段に記憶された細胞サンプルの画像群から、前記シグナル抽出条件設定手段を介して設定された前記所定の抽出条件に基づいて、目的とするシグナルを抽出するシグナル抽出手段と、前記シグナル抽出手段を介して前記目的とするシグナルが抽出された細胞サンプルの画像における当該シグナルの位置情報を記憶するシグナル位置情報記憶手段と、前記電動ステージ、前記光源、前記冷却CCDカメラ、前記画像記憶手段、前記シグナル抽出手段、及び前記シグナル位置情報記憶手段の駆動を制御する制御手段を有し、前記制御手段は、前記撮像条件設定手段を介して電子増倍ゲインが高く、解像度が低く、且つ露光時間が短く設定されたときに、前記容器内における全ての細胞サンプルの領域が撮像位置に位置するように、前記電動ステージを移動させながら、該容器内における全ての細胞サンプルの領域に対し、前記冷却CCDカメラの電子増倍ゲインを高く、解像度を低く、且つ前記光源の露光時間を短くして、ハイスループットモードでの撮像を行わせるとともに、該ハイスループットモードで撮像された画像を前記画像記憶手段に記憶させ、次いで、前記シグナル抽出手段を介して、前記ハイスループットモードで撮像されて前記画像記憶手段に記憶された細胞サンプルの画像群から、前記シグナル抽出条件設定手段を介して設定された前記所定の抽出条件に基づいて、目的とするシグナルの抽出を行わせるとともに、前記シグナル位置情報記憶手段を介して、前記目的とするシグナルが抽出された細胞サンプルの画像における当該シグナルの位置情報を記憶させ、その後、前記撮像条件設定手段を介して電子増倍ゲインが低く、解像度が高く、且つ露光時間が長く設定されたときに、前記シグナル位置情報記憶手段を介して記憶された、前記目的とするシグナルが抽出された細胞サンプルの画像における当該シグナルの位置情報に基づいて、前記容器内において対応する当該細胞サンプルの領域のみが撮像位置に位置するように前記電動ステージを移動させながら、該容器内において対応する当該細胞サンプルの領域のみに対し、前記冷却CCDカメラの電子増倍ゲインを低く、解像度を高く、且つ前記光源の露光時間を長くして、高精細モードでの撮像を行わせるとともに、該高精細モードで撮像された画像を前記画像記憶手段に記憶させる、ことを特徴としている。
【0008】
また、本発明の画像撮像装置においては、前記所定の抽出条件を構成するパラメータが、光強度(輝度)、大きさ(面積)、及び形状であるのが好ましい。
【0009】
また、本発明の画像撮像装置においては、前記容器が、ウェルプレート、スライドガラス、又はディッシュであるのが好ましい。
【0010】
また、本発明による細胞画像解析システムは、上記本発明のいずれかの画像撮像装置と、前記高精細モードで撮像されて前記画像記憶手段に記憶された細胞サンプルの画像を用いて所定の解析を行う画像解析ソフトウェアを備えたことを特徴としている。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、全ての撮像対象領域から目的とするシグナルを確実且つ高速に抽出して、詳細な解析を行うことができ、しかも、装置が大掛かりになることなくコストを低減可能な画像撮像装置及びそれを備えた細胞画像解析システムが得られる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の画像撮像装置及びそれを備えた細胞画像解析システムの全体構成の一例を示すブロック図である。
【図2】図1に示した画像撮像装置における撮像条件の設定シーケンスの一例を示すフローチャートである。
【図3】図1に示した画像撮像装置におけるハイスループットモードでの処理シーケンスの一例を示すフローチャートである。
【図4】図1に示した画像撮像装置における高精細モードでの処理シーケンスの一例を示すフローチャートである。
【図5】図1に示した画像撮像装置における撮像動作シーケンスの一例を示すフローチャートである。
【図6】本発明の実施例1にかかる画像撮像装置及びそれを用いた細胞画像解析システムの全体構成を示す説明図である。
【図7】実施例1の画像撮像装置における撮像条件設定入力画面の一例を示す図である。
【図8】実施例1の画像撮像装置における撮像範囲設定入力画面の一例を示す図である。
【図9】実施例1の画像撮像装置におけるシグナル抽出条件設定入力画面の一例を示す図である。
【図10】実施例1の画像撮像装置における冷却CCDカメラ4を介して撮像された一つのウェルにおける各スキャン範囲の画像を一つのウェル内の配置のとおりに隙間無く重ね合わせた、ウェルの全体画像を示す模式図である。
【図11】実施例1の画像撮像装置において、シグナル抽出条件によってシグナルが抽出された一つのスキャン範囲の画像を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
実施形態の説明に先立ち、本発明の作用効果について説明する。
本発明が対象とする画像撮像装置及びそれを備えた細胞画像解析システムは、容器に入った撮像対象としてのサンプルの画像を自動的に繰り返し取得して、サンプルより発せられる所定のシグナルを検出して、解析を行うために用いる装置及びシステムである。
【0014】
本発明の画像撮像装置は、容器内における全ての撮像対象領域に対し、CCDカメラの電子増倍ゲインを高く、解像度を低く、且つ光源の露光時間を短くした、ハイスループットモードの撮像を行うとともに、該ハイスループットモードで撮像された画像群から所定の抽出条件に基づいて、目的とするシグナルの抽出を行い、次いで、容器内において該目的とするシグナルが抽出された画像における当該シグナルが抽出された領域に対応する当該撮像対象領域のみに対し、CCDカメラの電子増倍ゲインを低く、解像度を高く、且つ光源の露光時間を長くした、高精細モードの撮像を行うことができるように構成する。
【0015】
即ち、本発明の画像撮像装置は、容器内における全ての撮像対象領域の画像領域全体から目的のシグナルのみを高速で抽出するために、容器内における全ての撮像対象領域に対し、CCDカメラの電子増倍ゲインを高く、解像度を低く、且つ光源の露光時間を短く設定して、ハイスループットモードで撮像対象領域を撮像することができるように構成する。
また、本発明の画像撮像装置は、撮像された画像の中から目的のシグナルを含んだ画像を自動的に抽出するために、シグナルの、例えば、光強度(輝度)、大きさ(面積)、及び形状などの所定の抽出条件に基づいて、目的とするシグナルの抽出を行うことができるように構成する。また、抽出されたシグナルの位置情報を自動的に記憶するように構成する。
また、本発明の画像撮像装置は、容器内において前記目的とするシグナルが抽出された画像における当該シグナルが抽出されて記憶された位置が撮像位置に位置するように、容器を保持するステージを移動し、容器内において前記目的とするシグナルが抽出された画像における当該シグナルが抽出された領域に対応する当該撮像対象領域のみに対し、CCDカメラの電子増倍ゲインを小さく、解像度を高く、且つ光源の露光時間を長く設定して、高精細モードで画像を撮像することができるように構成する。
【0016】
より具体的には、本発明の画像撮像装置は、例えば、図1に示すように、細胞サンプルを搭載する容器1と、電動ステージ2と、光源3と、冷却CCDカメラ4と、画像記憶手段5と、撮像条件設定手段6と、シグナル抽出条件設定手段7と、シグナル抽出手段8と、シグナル位置情報記憶手段9と、電動ステージ2、光源3、冷却CCDカメラ4、画像記憶手段5、シグナル抽出手段8、及びシグナル位置情報記憶手段9の駆動を制御する制御手段としての制御ソフトウェア10を備えたコンピュータシステムを有する。
【0017】
電動ステージ2は、細胞サンプルを搭載した容器1を保持し、且つXY方向に移動する
ことによって、後述する対物レンズとの相対位置を変動可能に構成されている。
光源3は、細胞サンプルを照明するための光を発する。また、光源3は、例えば、内蔵されたシャッタにより、細胞サンプルに供給する光のON、OFFを切り替えができるように構成されていて、照明するための光の露光時間の調整が可能となっている。
冷却CCDカメラ4は、光の電子増倍ゲインとビニングを内部で調整することが可能に構成されている。
画像記憶手段5は、撮像された細胞サンプルの画像を保存するように構成されている。
撮像条件設定手段6は、撮像条件設定ソフトウェア6aと、撮像条件設定入力画面6bとで構成されている。撮像条件設定入力画面6bは、撮像条件設定ソフトウェア6aの入力インタフェースを構成するとともに、取得された画像を表示するように構成されている。そして、撮像条件設定手段6は、このような構成により光源3の露光時間を設定可能となっている。
シグナル抽出条件設定手段7は、シグナル抽出条件設定ソフトウェア7a及びシグナル抽出条件設定入力画面7bとで構成されている。シグナル抽出条件設定入力画面7bは、シグナル抽出条件設定ソフトウェア7aの入力インタフェースを構成するとともに、取得された画像を表示するように構成されている。そして、シグナル抽出条件設定手段7は、このような構成により画像から目的とするシグナルを抽出するための所定の抽出条件を設定可能となっている。
シグナル抽出手段8は、画像記憶手段5に記憶された細胞サンプルの画像群から、シグナル抽出条件設定手段7を介して設定された所定の抽出条件に基づいて、目的とするシグナルを抽出するように構成されている。
シグナル位置情報記憶手段9は、シグナル抽出手段8を介して目的とするシグナルが抽出された細胞サンプルの画像における当該シグナルの位置情報を記憶するように構成されている。
【0018】
なお、図1中、11は対物レンズ、12は対物レンズ11と容器1との距離を自動的に検出して焦点位置を検出することができる自動焦点合わせシステム、13は光源3からの光を顕微鏡光学系に伝達することができるライトガイド、14は光源3からの光を、波長を選択して細胞サンプルに供給するための励起フィルタ、15は細胞サンプルが発する蛍光の波長を限定して冷却CCDカメラ4に供給するための蛍光フィルタ、16は光源3からの励起光を反射して細胞サンプルに供給するとともに、細胞サンプルからの蛍光を通過して、冷却CCDカメラ4に供給するダイクロイックミラー、17は励起フィルタ14と蛍光フィルタ15とダイクロイックミラー16とを一体に備えたフィルタキューブ、18は高精細モードで撮像されて画像記憶手段5に記憶された細胞サンプルの画像を用いて所定の解析を行う画像解析ソフトウェア、19は画像解析ソフトウェア18の入力インタフェースを構成するとともに、取得された解析結果を表示する画像解析指示入力画面、20は対物レンズ11と励起フィルタ14と蛍光フィルタ15とダイクロイックミラー16を有してなる顕微鏡光学系、21は画像記憶手段5と撮像条件設定ソフトウェア6aとシグナル抽出条件設定ソフトウェア7aとシグナル抽出手段8とシグナル位置情報記憶手段9と制御ソフトウェア10と画像解析ソフトウェア18を有するコンピュータ、22は画像解析ソフトウェア18と画像解析入力画面19を有してなる画像解析手段、23は撮像条件設定入力画面6bとシグナル抽出条件設定入力画面7bと画像解析指示入力画面19とを切り替え可能に備えてなる表示・入力装置、24は対物レンズの切り替えを自動的に行うとともに、自動焦点合わせシステム12を介して検出された焦点位置に対物レンズ11の焦点合わせを自動的に行う電動レボルバ、25はフィルタキューブ17を選択して自動的に切り替えを行うことができる電動フィルタターレットである。また、制御ソフトウェア10は、電動レボルバ24や、電動フィルタターレット25の駆動も制御するように構成されている。
【0019】
制御ソフトウェア10は、撮像条件設定手段6を介して電子増倍ゲインが高く、解像度が低く、且つ露光時間が短く設定されたときに、容器1内における全ての細胞サンプルの領域が撮像位置に位置するように、電動ステージ2を移動させながら、容器1内における全ての細胞サンプルの領域に対し、冷却CCDカメラ4の電子増倍ゲインを高く、解像度を低く、且つ光源3の露光時間を短くして、ハイスループットモードでの撮像を行わせるとともに、ハイスループットモードで撮像された画像を画像記憶手段5に記憶させるように構成されている。
【0020】
また、制御ソフトウェア10は、次いで、シグナル抽出手段8を介して、ハイスループットモードで撮像されて画像記憶手段5に記憶された細胞サンプルの画像群から、シグナル抽出条件設定手段7を介して設定された所定の抽出条件に基づいて、目的とするシグナルの抽出を行わせるとともに、シグナル位置情報記憶手段9を介して、目的とするシグナルが抽出された細胞サンプルの画像における当該シグナルの位置情報を記憶させるように構成されている。
【0021】
また、制御ソフトウェア10は、その後、撮像条件設定手段6を介して電子増倍ゲインが低く、解像度が高く、且つ露光時間が長く設定されたときに、シグナル位置情報記憶手段9を介して記憶された、目的とするシグナルが抽出された細胞サンプルの画像における当該シグナルの位置情報に基づいて、容器1内において対応する当該細胞サンプルの領域のみが撮像位置に位置するように電動ステージ2を移動させながら、容器1内において対応する当該細胞サンプルの領域のみに対し、冷却CCDカメラ4の電子増倍ゲインを低く、解像度を高く、且つ光源3の露光時間を長くして、高精細モードでの撮像を行わせるとともに、高精細モードで撮像された画像を画像記憶手段5に記憶させるように構成されている。
【0022】
図2は図1に示した画像撮像装置における撮像条件の設定シーケンスの一例を示すフローチャートである。
まず、作業者は、細胞サンプルを搭載した容器1をステージ2に載置する(ステップS1)。次いで、作業者は、制御ソフトウェア10を起動する(ステップS2)。次いで、作業者は、表示・入力装置23における表示画面を、表示・入力装置23の撮像条件設定入力画面6bに切り替えて、対物レンズ11を選択する(ステップS3)。次いで、作業者は、撮像条件設定入力画面6bにおいて、フィルタキューブ17を選択する(ステップS4)。
次いで、作業者は、撮像条件設定入力画面6bにおいて、ハイスループットモードで撮像を行うかどうかを決定する(ステップS5)。
制御ソフトウェア10は、ハイスループットモードで撮像を行う決定がなされた場合は、ハイスループットモードの処理に移行し(ステップS6)、ハイスループットモードで撮像を行わない決定がなされた場合は、高精細モードの処理に移行する(ステップS7)。
【0023】
ここで、ハイスループットモードの処理は、次のようにして行う。
図3は図1に示した画像撮像装置におけるハイスループットモードでの処理シーケンスの一例を示すフローチャートである。
ハイスループットモードにおいては、まず、作業者は、撮像条件設定入力画面6bにおいて、冷却CCDカメラ4の電子増倍ゲインを高く(即ち、1×より高く)設定するとともに(ステップS11)、解像度が低くなるように、ビニングを大きく(例えば、2×2以上に)設定する(ステップS12)。
次いで、作業者は、撮像条件設定入力画面6bにおいて、シグナルの輝度が、測定レンジに入るように、光源3が発する光の露光時間と光量の調整入力を行う(ステップS13、S14)。この場合、露光時間は短く設定する。
次いで、作業者は、表示・入力装置23における表示画面を、図示しない撮像範囲設定入力画面に切り替えて、細胞サンプルの撮像範囲を決定する(ステップS15)。
次いで、作業者は、表示・入力装置23における表示画面を、シグナル抽出条件設定入力画面7bに切り替えて、ハイスループットモードで撮像された画像から目的とするシグナルを抽出するための所定の抽出条件を設定する(ステップS16)。
【0024】
制御ソフトウェア10は、作業者によるシグナル抽出条件の設定入力が完了後に、電動ステージ2、電動レボルバ24、電動フィルタターレット25、冷却CCDカメラ4、光源3を駆動して、ハイスループットモードでの撮像を開始させる(ステップS17)。
次いで、制御ソフトウェア10は、全ての撮像対象領域の撮像が終了後、シグナル抽出手段8を介して、撮像された画像から所定の抽出条件に応じた目的とするシグナルを抽出させる(ステップS18、S19)。
次いで、制御ソフトウェア10は、シグナル抽出手段8を介して目的とするシグナルが抽出された場合は、シグナル位置情報記憶手段9を介して、目的とするシグナルが抽出された細胞サンプルの画像における当該シグナルの位置を記憶させ、高精細モードに移行させる(ステップS20〜S22)。
一方、制御ソフトウェア10は、シグナル抽出手段8を介して目的とするシグナルが検出されなかった場合は、結果を表示して(ステップS20、S23)、撮像処理を終了させる。
【0025】
ここで、高精細モードの処理は、次のようにして行う。
図4は図1に示した画像撮像装置における高精細モードでの処理シーケンスの一例を示すフローチャートである。
高精細モードにおいては、まず、作業者は、撮像条件設定入力画面6bにおいて、CCDカメラの電子増倍ゲインを低く(即ち、1×に)設定するとともに(ステップS31)、解像度が高くなるように、ビニングを小さく(即ち、1×1に)設定する(ステップS32)。
次いで、作業者は、撮像条件設定入力画面6bにおいて、シグナルの輝度が、測定レンジに入るように、光源3が発する光の露光時間と光量の調整入力を行う(ステップS33、S34)。この場合、露光時間は長く設定する。
【0026】
制御ソフトウェア10は、作業者による撮像条件の設定入力が完了後に、ハイスプールモードでの撮像の有無をチェックする(ステップS35)。
ハイスプールモードでの撮像を行っている場合には、ハイスループットモードにおいて抽出しシグナル位置情報記憶手段9に記憶されたシグナルの位置情報を自動的に読み込む(ステップS36)。一方、ハイスプールモードでの撮像を行っていない場合(高精細モードのみの場合)は、自動的に撮像領域を設定する(ステップS37)。
次いで、制御ソフトウェア10は、電動ステージ2、電動レボルバ24、電動フィルタターレット25、冷却CCDカメラ4、光源3を駆動して、撮像を開始させる(ステップS38)。
次いで、制御ソフトウェア10は、全ての撮像領域の撮像が終了後、撮像を終了する。
その後、作業者が、表示・入力装置23における表示画面を画像解析指示入力画面19に切り替えて解析指示入力を行うことにより、あるいは制御ソフトウェア10の制御により、画像解析ソフトウェア18が起動して、シグナルが抽出された画像の解析を行う(ステップS39〜S41)。
【0027】
なお、撮像処理は、次のようにして行う。
図5は図1に示した画像撮像装置における撮像動作シーケンスの一例を示すフローチャートである。
まず、制御ソフトウェア10は、撮像条件設定入力画面6bにおいて設定された撮像条件を読み込み(ステップS41)、電動レボルバ24と電動フィルタターレット25を介して、対物レンズ11とフィルタキューブ17を撮像条件に合致したものに切り替えさせる(ステップS42、S43)。
次いで、制御ソフトウェア10は、電動ステージ2を、細胞サンプルの所定領域が撮像位置に位置するように、XY方向に移動させる(ステップS44)。そして、細胞サンプルの所定領域が撮像位置に位置したとき、電動ステージ2を停止させる。
次いで、制御ソフトウェア10は、自動焦点検出システム12及び電動レボルバ24を介して、撮像位置に位置する細胞サンプルの所定領域に対する対物レンズ11の焦点合わせを行わせる(ステップS45)。
次いで、制御ソフトウェア10は、光源3を介してシャッタを開かせて、撮像条件設定入力画面6bにおいて設定された輝度で光を照射させ(ステップS46)、冷却CCDカメラ4を介して撮像を行わせ(ステップS47)、設定された露光時間に到達したときに光源3を介してシャッタを閉じさせる(ステップS48)。
次いで、制御ソフトウェア10は、撮像された細胞サンプルの当該領域の画像を、画像記憶手段5に記憶させる(ステップS49)。これらのステップS44〜S49の動作を全ての撮像領域に対する撮像が終了するまで繰り返す(ステップS50)。
【0028】
このように構成された本発明の画像撮像装置によれば、容器内における全ての撮像対象領域に対し、CCDカメラの電子増倍ゲインを高く、解像度を低く、且つ光源の露光時間を短くして、ハイスループットモードでの撮像を行うことにより、全ての撮像対象領域から目的とするシグナルを確実に高速で見つけ出すことが可能となる。また、目的とする撮像対象領域のみ高解像度で撮像するため、撮像した画像の記憶容量が少なくて済む。また、ハイスループットモードでの撮像時に、電子増倍ゲインを高くすることにより、露光時間を短く設定できるので、シグナルの退色を抑えることができる。
なお、電子増倍ゲインを高くすると、少ない光量でも明るく撮像することが可能となる反面、バックグラウンドの光も同時に増幅されてノイズが大きくなる。このため、目的とする撮像対象領域に対しては、ノイズの少ない画像を撮像するために、電子増倍ゲインを小さく設定することが必要となる。
【0029】
以下、本発明の画像撮像装置の実施例を図面を用いて説明する。
実施例1
図6は本発明の実施例1にかかる画像撮像装置及びそれを用いた細胞画像解析システムの全体構成を示す説明図である。なお、図1と構成が同じ部材については同じ符号を付し詳細な説明は省略する。
実施例1の画像撮像装置は、例えば、オリンパス社製IX81のような、倒立タイプの顕微鏡とパソコンを組み合わせて構成されている。
詳しくは、実施例1の画像撮像装置は、細胞サンプルを搭載する容器1と、電動ステージ2と、光源3と、冷却CCDカメラ4と、パソコン21と、表示・入力装置23を有する。パソコン21は、図1に示した画像記憶手段5、撮像条件設定手段6における撮像条件設定ソフトウェア6a、シグナル抽出条件設定手段7におけるシグナル抽出条件設定ソフトウェア7a、シグナル抽出手段8、シグナル位置情報記憶手段9、制御ソフトウェア10、画像解析手段22における画像解析ソフトウェア18(これらは、いずれも図6において図示省略)と同様の構成要素を備えている。表示・入力装置23は、図1に示した撮像条件設定手段6における撮像条件設定入力画面6b、シグナル抽出条件設定入力画面7b、画像解析手段22における画像解析指示入力画面19、及び図1において図示省略した撮像範囲設定入力画面(これらは、いずれも図6において図示省略)と同様の画面を切り替え可能に備えている。
【0030】
なお、図6中、11は対物レンズ、13は光源3からの光を顕微鏡光学系に伝達することができるライトガイド、14は光源3からの光を、波長を選択して細胞サンプルに供給するための励起フィルタ、15は細胞サンプルが発する蛍光の波長を限定して冷却CCDカメラ4に供給するための蛍光フィルタ、16は光源3からの励起光を反射して細胞サンプルに供給するとともに、細胞サンプルからの蛍光を通過して、冷却CCDカメラ4に供給するダイクロイックミラー、17は励起フィルタ14と蛍光フィルタ15とダイクロイックミラー16とを一体に備えたフィルタキューブ、24は対物レンズ11を備えた電動レボルバ、25はフィルタキューブ17を選択して自動的に切り替えを行うことができる電動フィルタターレット、26は顕微鏡制御装置、27はカメラ制御装置である。
また、制御ソフトウェア(図1における制御ソフトウェア10と同様のソフトウェア。図6において図示省略)は、光源3の駆動、顕微鏡制御装置26を介した、電動ステージ2、電動レボルバ24、電動フィルタターレット25の駆動、及びカメラ制御装置27を介した、冷却CCDカメラ4の駆動を制御するように構成されている。
また、実施例1の画像撮像装置は、図1に示した自動焦点合わせシステム12と同様の自動焦点合わせシステム(図6において図示省略)を備えている。
【0031】
容器1は、96穴マイクロプレート(Corning社製 3596)で構成されている。なお、ここでは、容器1をマイクロプレートで構成したが、細胞サンプルを搭載できるものであれば、例えば、スライドガラス、ペトリディッシュ、シャーレ等で構成しても良い。
光源3は、150Wキセノンランプ又は150W水銀キセノンランプで構成されている。なお、光源3は、LEDやレーザーで構成してもよい。光源3からの光は、ライトガイド13を介して、顕微鏡光学系に伝達される。伝達された光は、フィルタキューブ17に備えられている励起フィルタ14によって、波長が限定されて通過し、ダイクロイックミラー16を介して細胞サンプル側に反射され、対物レンズ11を経て、細胞サンプルに照射される。細胞サンプルで発せられた蛍光は、対物レンズ11を経て、ダイクロイックミラー16を通過し、蛍光フィルタ15を介して、波長が限定されて冷却CCDカメラ4に入射する。
実施例1の画像撮像装置のように、励起フィルタ14とダイクロイックミラー16と蛍光フィルタ15を、ユニットとして一体化したフィルタキューブ17として構成すると、使い易いので望ましい。
フィルタキューブ17は、電動フィルタターレット25を介して切り替えをすることができるようになっている。
【0032】
電動ステージ2は、倒立顕微鏡のステージ部分に備えられており、細胞サンプルを搭載した容器1をXY方向に自由に移動することができるようになっている。
電動レボルバ24は、対物レンズ11の切り替えを行うとともに、図1に示した自動焦点合わせシステム12と同様の自動焦点合わせシステム(図6において図示省略)を介して対物レンズ11と容器1との距離を自動的に制御して、焦点合わせを行うことができるようになっている。
また、電動ステージ2と電動レボルバ24と電動フィルタターレット25は、顕微鏡制御装置26を介して制御されている。
【0033】
冷却CCDカメラ4は、浜松フォトニクス社製 EM-CCDカメラ C9100-13で構成され、顕微鏡のカメラポートに接続されている。冷却CCDカメラ4は、電子増倍ゲインを1×、又は4×〜1200×に調整を行うことができ、ビニングを1×1、2×2、4×4に調整することができるようになっている。また、冷却CCDカメラ4は、カメラ制御装置27を介して制御されている。
【0034】
撮像された画像データはパソコン21の記憶装置であるハードディスク(図1に示した画像記憶手段5に相当)に保存されるようになっている。
制御ソフトウェア(図1に示した制御ソフトウェア10と同様のソフトウェア)、解析ソフトウェア(図1に示した解析ソフトウェア18と同様のソフトウェア)は、パソコン21によって起動され、また、各入力画面(撮像条件設定入力画面、シグナル抽出条件設定入力画面、撮像範囲設定入力画面、画像解析指示入力画面)、撮像された画像は、表示・入力装置23に表示されるようになっている。
【0035】
ここで、撮像条件設定入力画面、撮像範囲設定入力画面、シグナル抽出条件設定入力画面をより詳細に説明する。
図7は実施例1の画像撮像装置における撮像条件設定入力画面の一例を示す図、図8は実施例1の画像撮像装置における撮像範囲設定入力画面の一例を示す図、図9は実施例1の画像撮像装置におけるシグナル抽出条件設定入力画面の一例を示す図である。
【0036】
撮像条件設定入力画面は、図1に示した撮像条件設定入力画面6bに相当する画面であり、図7に示すように、対物レンズ選択ボタン6b−1と、フィルタキューブ選択ボタン6b−2と、モード選択フィールド6b−3と、高精細モード設定項目6b−4と、ハイスループットモード設定項目6b−5と、画像表示領域29と、処理開始指示ボタン30aと、処理中止指示ボタン30bと、撮像条件設定入力画面切替タブ31aと、撮像範囲設定入力画面切替タブ31bと、シグナル抽出条件設定入力画面切替タブ31cを有している。
高精細モード設定項目6b−4は、冷却CCDカメラ4の電子増倍ゲインを設定するための増倍ゲイン設定ボタン6b−4a、冷却CCDカメラ4のビニングを設定するためのビニング選択ボタン6b−4b、光源3の露光時間を設定するための露光時間選択ボタン6b−4c、光源3からの光の輝度を設定する強度設定ボタン6b−4dを有している。
ハイスループットモード設定項目6b−5は、冷却CCDカメラ4の電子増倍ゲインを設定するための増倍ゲイン設定ボタン6b−5a、冷却CCDカメラ4のビニングを設定するためのビニング選択ボタン6b−5b、光源3の露光時間を設定するための露光時間選択ボタン6b−5c、光源3からの光の輝度を設定する強度設定ボタン6b−5dを有している。なお、ハイスループットモード設定項目6b−5は、モード選択フィールド6b−3において、ハイスループットモードの選択がなされたときに入力が可能となるように、撮像条件設定ソフトウェア(図1に示した撮像条件設定ソフトウェア6aと同様のソフトウェア)を介して制御されている。
処理開始指示ボタン30aは、クリックされたときに制御ソフトウェアに対して撮像処理の開始を指示する機能を有する。
処理開始指示ボタン30bは、クリックされたときに制御ソフトウェアに対して撮像処理の中止を指示する機能を有する。
撮像範囲設定入力画面切替タブ31bは、クリックされたときに撮像範囲設定入力画面(図8)に切り替える機能を備えている。
シグナル抽出条件設定入力画面切替タブ31cは、クリックされたときにシグナル抽出条件設定入力画面(図9)に切り替える機能を備えている。
【0037】
撮像範囲設定入力画面は、図8に示すように、撮像範囲設定項目28−1と、容器選択ボタン28−2と、撮像対象選択項目28−3と、視野表示項目28−4と、画像表示領域29と、処理開始指示ボタン30aと、処理中止指示ボタン30bと、撮像条件設定入力画面切替タブ31aと、撮像範囲設定入力画面切替タブ31bと、シグナル抽出条件設定入力画面切替タブ31cを有している。
撮像範囲設定項目28−1は、列方向スキャン範囲設定フィールド28−1aと、行方向スキャン範囲設定フィールド28−1bと、フルスキャン設定フィールド28−1cと、列方向スキャンピッチ設定フィールド28−1dと、行方向スキャンピッチ設定フィールド28−1eを有している。
列方向スキャン範囲設定フィールド28−1aは、一つの細胞サンプル搭載領域における列方向の撮像範囲を列方向における視野数(スキャン回数)で設定可能に構成されている。
行方向スキャン範囲設定フィールド28−1bは、一つの細胞サンプル搭載領域における行方向の撮像範囲を行方向における視野数(スキャン回数)で設定可能に構成されている。
フルスキャン設定フィールド28−1cは、一つの細胞サンプル搭載領域における全範囲を撮像範囲とする設定(フルスキャンの設定)の要否を選択可能に構成されている。なお、制御ソフトウェアは、フルスキャン設定フィールド28−1cにおいてフルスキャンの設定がなされたときには、列方向スキャン設定フィールド28−1a、行方向スキャン設定フィールド28−1bにおける入力を無視するように構成されている。
列方向スキャンピッチ設定フィールド28−1dは、一つの細胞サンプル搭載領域において一回のスキャン範囲を構成する列方向の視野とその隣の視野のピッチ間距離を設定可能に構成されている。
行方向スキャンピッチ設定フィールド28−1eは、一つの細胞サンプル搭載領域において一回のスキャン範囲を構成する行方向の視野とその隣の視野のピッチ間距離を設定可能に構成されている。
なお、一視野の大きさは、対物レンズの倍率によって自動的に決まる。
撮像対象選択項目28−3は、容器選択ボタン28−2において選択された容器1における全ての細胞サンプルの搭載領域をマトリクス状に表示するとともに、撮像を所望する搭載領域を任意に選択可能に構成されている。
視野表示項目28−4は、撮像範囲設定項目28−1において設定された数値に基づいて、容器1における細胞サンプルの一つの搭載領域を複数の視野に線で区分けした状態で表示するように構成されている。
撮像条件設定入力画面切替タブ31aは、クリックされたときに撮像条件設定入力画面(図7)に切り替える機能を備えている。
シグナル抽出条件設定入力画面切替タブ31cは、クリックされたときにシグナル抽出条件設定入力画面(図9)に切り替える機能を備えている。
【0038】
シグナル抽出条件設定入力画面(図1に示したシグナル抽出条件設定入力画面7bに相当する画面)は、図9に示すように、シグナルの大きさ(面積)入力項目7b−1と、シグナルの輝度入力項目7b−2と、シグナルの形状設定項目7b−3と、画像表示領域29と、処理開始指示ボタン30aと、処理中止指示ボタン30bと、撮像条件設定入力画面切替タブ31a、撮像範囲設定入力画面切替タブ31b、シグナル抽出条件設定入力画面切替タブ31cを有している。
シグナルの大きさ(面積)入力項目7b−1は、最小サイズ入力フィールド7b−1aと、最大サイズ入力フィールド7b−1bを有している。
シグナルの輝度入力項目7b−2は、最小輝度入力フィールド7b−2aと、最大輝度入力フィールド7b−2bを有している。
シグナルの形状設定項目7b−3は、形状選択ボタン7b−3aと、閾値入力フィールド7b−3bを有している。
撮像条件設定入力画面切替タブ31aは、クリックされたときに撮像条件設定入力画面(図7)に切り替える機能を備えている。
撮像範囲設定入力画面切替タブ31bは、クリックされたときに撮像範囲設定入力画面(図8)に切り替える機能を備えている。
【0039】
その他の構成は、図1に示した画像撮像装置及びそれを用いた細胞画像解析システムと略同じである。
【0040】
このように構成された実施例1の画像撮像装置を備えた細胞画像解析システムを用いた、細胞の解析例として、乳がん検査の血中遊離がん細胞数(CTC)の検査例を説明する。
遊離がん細胞は、がん組織から遊離して血液中を循環し、他の転移する可能性があるがん細胞である。血液中のCTCの数をカウントすることにより、がんであるかどうかの判定や薬剤の効果の検証に使用することができる。CTCは、乳がん患者でも血液7mL中に数個しかなく、画像による細胞のカウントを行うためには、ウェル領域をくまなく撮像して、CTCがあるかどうか探す必要がある。
CTCの大きさは200μm以下であり、染色して光る抗体の大きさは、それ以下である。このため、一つのウェルにおける大部分の領域を観察するような4×や10×程度の倍率の対物レンズを用いたのでは、CTCを見逃してしまうおそれがある。そこで、CTCの検査においては、対物レンズの倍率は、20×が最適とされている。
【0041】
実施例1の画像撮像装置及びそれを備えた細胞解析装置を用いた検査の前段階の作業として、作業者は、乳がん患者から採取した血液から赤血球を除去し、がんマーカーであるHER2を染色する。
次いで、作業者は、HER2を染色した細胞サンプルを、96穴マイクロプレートに分注する。
次いで、作業者は、細胞サンプルが分注された96穴マイクロプレートを電動ステージ2に取り付ける。
【0042】
次いで、作業者は、制御ソフトウェア10を起動し、表示・入力装置23に所定の画面を表示させる。
次いで、作業者は、制御ソフトウェア10のインタフェースをとるために、夫々の画面切替タブ31a,31b,31cを介して、図7に示した撮像条件設定入力画面、図8に示した撮像範囲設定入力画面、図9に示したシグナル抽出条件設定入力画面に順次切り替えて、所定の入力及び設定を行う。
【0043】
まず、作業者は、図7に示した撮像条件設定入力画面を表示させて、対物レンズ選択ボタン6b−1を介して、対物レンズ11の倍率を20×に設定するとともに、フィルタキューブ選択ボタン6b−2を介して、フィルタキューブ17をU−MWIB3(オリンパス社製)に設定する。
次いで、作業者は、高精細の撮像条件を設定するために、増倍ゲイン設定ボタン6b−4a、ビニング選択ボタン6b−4bを介して、冷却CCDカメラ4の電子増倍ゲインを1×、ビニングを1×1に設定するとともに、露光時間選択ボタン6b−4c、強度設定ボタン6b−4dを介して、光源3の露光時間を1000ms、輝度を10%に設定する。
次いで、作業者は、モード選択フィールド6b−3にチェックを入れて、ハイスループットモードの撮像条件を設定する。そして、作業者は、増倍ゲイン設定ボタン6b−5a、ビニング選択ボタン6b−5bを介して、冷却CCDカメラ4の電子増倍ゲインを1000×、ビニングを4×4に設定するとともに、露光時間選択ボタン6b−5c、強度設定ボタン6b−5dを介して、光源3の露光時間を10ms、輝度を10%に設定する。
【0044】
次いで、作業者は、撮像範囲の設定を行うために、撮像範囲設定入力画面切替タブ31bをクリックして、撮像範囲設定入力画面(図8)に切り替える。
図8に示した撮像範囲設定入力画面において、まず、作業者は、96穴マイクロウェルプレートの全範囲を撮像するために、フルスキャン設定フィールド28−1cに、チェックを入れて、フルスキャンを設定する。次いで、作業者は、容器選択ボタン28−2を介して、96穴マイクロプレートを選択する。
フルスキャンが設定された場合、制御ソフトウェアは、冷却CCDカメラ3の視野範囲でもって、一つのウェルを隙間無く、撮像できるように、列方向及び行方向のスキャンピッチを自動的に設定する。
本検査例においてフルスキャンの設定を行ったところ、一つのウェルにおける視野数は、230であった。
次いで、作業者は、撮像対象選択項目28−3を介して、96穴マイクロプレートにおける96ウェル全てに対して撮像が行われるように、全てのウェルを”Scan”に設定した。
【0045】
次いで、作業者は、シグナルの抽出条件の設定を行うために、シグナル抽出条件設定入力画面切替タブ31cをクリックして、シグナル抽出条件設定入力画面(図9)に切り替える。
図9に示したシグナル抽出条件設定入力画面において、作業者は、シグナルの大きさ(面積)入力項目7b−1における最小サイズ入力フィールド7b−1a、最大サイズ入力フィールド7b−1bを介して、シグナルの大きさ(面積)の抽出条件に関し、抽出条件に合致するシグナルの最小サイズを200ピクセル、最大サイズを2500ピクセルに設定する。
また、作業者は、シグナルの輝度入力フィールド7b−2における最小輝度入力フィールド7b−2a、最大輝度入力フィールド7b−2bを介して、輝度の抽出条件に関し、抽出条件に合致するシグナルの最小輝度を50、最大輝度を4000に設定する。
また、作業者は、シグナルの形状設定項目7b−3における楕円度選択ボタン7b−3a、閾値入力フィールド7b−3bを介して、形状の抽出条件に関し、Elongation(楕円度)(Sin―1(短辺/長辺))が20を超えるシグナルを抽出するように設定する。
【0046】
その後、作業者は、いずれかの画面において処理開始指示ボタン30aをクリックして撮像処理の開始を指示する。
すると、制御ソフトウェアが、まず、ハイスループットモードの条件でもって、図8に示されているA1ウェルから順に撮像処理を開始させる。撮像動作のシーケンスは、図5に示した撮像動作シーケンスと略同じである。
【0047】
即ち、まず、撮像条件設定入力画面6bにおいて設定された撮像条件を読み込み、電動レボルバ24と電動フィルタターレット25を介して、対物レンズ11とフィルタキューブ17を撮像条件に合致したものに切り替えさせる。次いで、自動焦点検出システム及び電動レボルバ24を介して、撮像位置に位置する細胞サンプルの所定領域に対する対物レンズ11の焦点合わせを行わせる。次いで、光源3を介してシャッタを開かせて、撮像条件設定入力画面6bにおいて設定された輝度で光を照射させ、冷却CCDカメラ4を介して撮像を行わせ、設定された露光時間に到達したときに光源3を介してシャッタを閉じさせる。次いで、撮像された細胞サンプルの当該領域の画像を、画像記憶手段であるパソコン21のハードディスクに記憶させる。これらの電動ステージ2の移動〜自動焦点検出システム及び電動レボルバ24による焦点合わせ〜撮像〜画像記憶手段への記憶の一連の動作を、全ての撮像領域に対する撮像が終了するまで繰り返す。
これらの繰り返し動作は、まず、一つのウェルに対して行う。一つのウェル全ての撮像が終了したときには、電動ステージ2を介して次のウェルが撮像位置に位置するように移動させ、全てのウェルの撮影が終わるまで動作を繰り返す。
【0048】
全ての撮像対象領域の撮像が終了後、制御ソフトウェアは、シグナル抽出手段を介して、撮像された画像から所定の抽出条件に応じた目的とするシグナルを抽出させる。
次いで、制御ソフトウェアは、シグナル抽出手段を介して目的とするシグナルが抽出された場合は、シグナル位置情報記憶手段を介して、目的とするシグナルが抽出された細胞サンプルの画像における当該シグナルの位置を記憶させる。
【0049】
次いで、制御ソフトウェアは、高精細モードでの撮像処理を開始させる。
図10は実施例1の画像撮像装置における冷却CCDカメラ4を介して撮像された一つのウェルにおける各スキャン範囲の画像を一つのウェル内の配置のとおりに隙間無く重ね合わせた、ウェルの全体画像を示す模式図である。図10中、四角で囲まれた領域は1視野、丸で囲まれたオブジェクトは一つのシグナルを示している。
図11は実施例1の画像撮像装置において、シグナル抽出条件によってシグナルが抽出された一つのスキャン範囲の画像を示す模式図である。図11中、丸いオブジェクトは抽出されたシグナルである。
【0050】
詳しくは、制御ソフトウェアが、シグナル位置情報記憶手段を読み込み、目的とするシグナルが抽出された細胞サンプルの画像における当該シグナルの位置情報を取得する。
次いで、制御ソフトウェアは、取得した位置情報に対応する当該ウェル内の細胞サンプルの当該領域のみを対象として、作業者により図7に示した撮像条件設定入力画面の高精細モード設定項目6b−4に設定されている高精細モードでの撮像条件に基づいて、撮像処理を開始させる。撮像動作のシーケンスは、シグナルが抽出された領域に対応するウェル内の細胞サンプルの当該領域のみを撮像対象とする点を除いては、図5に示した撮像動作シーケンスと略同じである。
【0051】
高精細モードで撮影されたシグナルが抽出された細胞サンプルの画像に対しては、作業者が、表示・入力装置23における表示画面を、図1に示した画像解析指示入力画面19と同様の画像解析指示入力画面(実施例1においては図示省略)に切り替えて解析指示入力を行うことにより、あるいは制御ソフトウェアの制御により、図1に示した画像解析ソフトウェア18と同様の画像解析ソフトウェアを起動させ、画像解析ソフトウェアを介して輝度、形状のデータ詳細な解析を行わせ、CTC細胞であるかどうかの判定を行う。
【0052】
20×対物レンズを使用して、96ウェルプレートにおける一つのウェルの全体領域を撮像するためには、230視野撮像する必要がある。
高精細モードで、一つのウェルに対し、冷却CCD撮像カメラ4の電子倍増ゲイン1×、カメラビニング1×1、光源3の露光時間1000msで、230視野の全ての撮像を行うと、20分を要した。96ウェル全ての領域を撮影するためには、32時間必要であった。
画像記憶領域の容量は、一つのウェル当たり580Mバイト要し、96ウェルで56Gバイト必要であった。
【0053】
ハイスループットモードで冷却CCD撮像カメラ4の電子増倍ゲインを1000×、カメラビニング4×4、光源3の露光時間10msに設定して撮像を行うと、一つのウェルを撮影するのに16分を要した。96ウェル全ての領域を撮像するためには、26時間必要である。
画像記憶領域の容量は、一つのウェルあたり36MB必要で、96ウェルでは、3.5Gバイト必要であった。各ウェル平均して1視野に特定のシグナルが含まれていたとして、シグナル全てを高精細モードで撮影を行った場合12分必要である。合計して撮像にかかる時間は(26時間+12分)26時間12分必要である。画像の記憶容量は、250Mバイト必要であった。容量は、合計して3.75Gバイト必要である。
【0054】
実施例1の画像撮像装置によれば、高精細モードで全てのウェルの撮像を行った場合に比べて、ハイスループットモードで全てのウェルの撮像を行い、目的とするシグナルを抽出した後に、目的とするシグナル抽出されたウェルの領域に対してのみ高精細モードで撮像を行った場合は、5時間48分の時間を短縮することができるとともに、52.25Gバイトの記憶容量を縮小することができた。
また、露光時間が短縮されたことにより、細胞の退色の影響が軽減できた。
さらに、高精細モードとハイスループットモードの両方のモードに対し、共通の顕微鏡光学系を用いることができるので、その分、従来の画像撮像装置のように装置が大掛かりにならずに済み、製造コストも抑えることができた。
【産業上の利用可能性】
【0055】
本発明の画像撮像装置及びそれを備えた細胞画像解析装置は、例えば、新薬の開発又は、病気の早期発見を目的として、細胞を顕微鏡で撮影し細胞の特性を定量的に解析する分野に有用である。
【符号の説明】
【0056】
1 容器
2 電動ステージ
3 光源
4 冷却CCDカメラ
5 画像記憶手段
6 撮像条件設定手段
6a 撮像条件設定ソフトウェア
6b 撮像条件設定入力画面
6b−1 対物レンズ選択ボタン
6b−2 フィルタキューブ選択ボタン
6b−3 モード選択フィールド
6b−4 高精細モード設定項目
6b−4a 増倍ゲイン設定ボタン
6b−4b ビニング選択ボタン
6b−4c 露光時間選択ボタン
6b−4d 強度設定ボタン
6b−5 ハイスループットモード設定項目
6b−5a 増倍ゲイン設定ボタン
6b−5b ビニング選択ボタン
6b−5c 露光時間選択ボタン
6b−5d 強度設定ボタン
7 シグナル抽出条件設定手段
7a シグナル抽出条件設定ソフトウェア
7b シグナル抽出条件設定入力画面
7b−1 シグナルの大きさ(面積)入力項目
7b−1a 最小サイズ入力フィールド
7b−1b 最大サイズ入力フィールド
7b−2 シグナルの輝度入力項目
7b−2a 最小輝度入力フィールド
7b−2b 最大輝度入力フィールド
7b−3 シグナルの形状設定項目
7b−3a 形状選択ボタン
7b−3b 閾値入力フィールド
8 シグナル抽出手段
9 シグナル位置情報記憶手段
10 制御ソフトウェア
11 対物レンズ
12 自動焦点合わせシステム
13 ライトガイド
14 励起フィルタ
15 蛍光フィルタ
16 ダイクロイックミラー
17 フィルタキューブ
18 画像解析ソフトウェア
19 画像解析指示入力画面
20 顕微鏡光学系
21 コンピュータ(パソコン)
22 画像解析手段
23 表示・入力装置
24 電動レボルバ
25 電動フィルタターレット
26 顕微鏡制御装置
27 カメラ制御装置
28−1 撮像範囲設定項目
28−1a 列方向スキャン範囲設定フィールド
28−1b 行方向スキャン範囲設定フィールド
28−1c フルスキャン設定フィールド
28−1d 列方向スキャンピッチ設定フィールド
28−1e 行方向スキャンピッチ設定フィールド
28−2 容器選択ボタン
28−3 撮像対象選択項目
28−4 視野表示項目
29 画像表示領域
30a 処理開始指示ボタン
30b 処理中止指示ボタン
31a 撮像条件設定入力画面切替タブ
31b 撮像範囲設定入力画面切替タブ
31c シグナル抽出条件設定入力画面切替タブ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
容器内における全ての撮像対象領域に対し、冷却CCDカメラの電子増倍ゲインを高く、解像度を低く、且つ光源の露光時間を短くして、ハイスループットモードでの撮像を行うとともに、該ハイスループットモードで撮像された画像群から所定の抽出条件に基づいて、目的とするシグナルの抽出を行い、次いで、容器内において該目的とするシグナルが抽出された画像における当該シグナルが抽出された領域に対応する当該撮像対象領域のみに対し、冷却CCDカメラの電子増倍ゲインを低く、解像度を高く、且つ光源の露光時間を長くして、高精細モードでの撮像を行うことができるように構成されていることを特徴とする画像撮像装置。
【請求項2】
細胞サンプルを搭載する容器と、
前記容器を保持し、且つXY方向に移動可能な電動ステージと、
電子増倍ゲインとビニングの調整が可能な冷却CCDカメラと、
前記細胞サンプルを照明するための光を発し、且つ該照明するための光の露光時間の調整が可能な光源と、
前記冷却CCDカメラの電子増倍ゲイン及びビニングと、前記光源の露光時間を設定可能な撮像条件設定手段と、
画像から目的とするシグナルを抽出するための所定の抽出条件を設定可能なシグナル抽出条件設定手段と、
前記冷却CCDカメラを介して撮像された細胞サンプルの画像を記憶する画像記憶手段と、
前記画像記憶手段に記憶された細胞サンプルの画像群から、前記シグナル抽出条件設定手段を介して設定された前記所定の抽出条件に基づいて、目的とするシグナルを抽出するシグナル抽出手段と、
前記シグナル抽出手段を介して前記目的とするシグナルが抽出された細胞サンプルの画像における当該シグナルの位置情報を記憶するシグナル位置情報記憶手段と、
前記電動ステージ、前記光源、前記冷却CCDカメラ、前記画像記憶手段、前記シグナル抽出手段、及び前記シグナル位置情報記憶手段の駆動を制御する制御手段を有し、
前記制御手段は、
前記撮像条件設定手段を介して電子増倍ゲインが高く、解像度が低く、且つ露光時間が短く設定されたときに、前記容器内における全ての細胞サンプルの領域が撮像位置に位置するように、前記電動ステージを移動させながら、該容器内における全ての細胞サンプルの領域に対し、前記冷却CCDカメラの電子増倍ゲインを高く、解像度を低く、且つ前記光源の露光時間を短くして、ハイスループットモードでの撮像を行わせるとともに、該ハイスループットモードで撮像された画像を前記画像記憶手段に記憶させ、
次いで、前記シグナル抽出手段を介して、前記ハイスループットモードで撮像されて前記画像記憶手段に記憶された細胞サンプルの画像群から、前記シグナル抽出条件設定手段を介して設定された前記所定の抽出条件に基づいて、目的とするシグナルの抽出を行わせるとともに、前記シグナル位置情報記憶手段を介して、前記目的とするシグナルが抽出された細胞サンプルの画像における当該シグナルの位置情報を記憶させ、
その後、前記撮像条件設定手段を介して電子増倍ゲインが低く、解像度が高く、且つ露光時間が長く設定されたときに、前記シグナル位置情報記憶手段を介して記憶された、前記目的とするシグナルが抽出された細胞サンプルの画像における当該シグナルの位置情報に基づいて、前記容器内において対応する当該細胞サンプルの領域のみが撮像位置に位置するように前記電動ステージを移動させながら、該容器内において対応する当該細胞サンプルの領域のみに対し、前記冷却CCDカメラの電子増倍ゲインを低く、解像度を高く、且つ前記光源の露光時間を長くして、高精細モードでの撮像を行わせるとともに、該高精細モードで撮像された画像を前記画像記憶手段に記憶させる、
ことを特徴とする画像撮像装置。
【請求項3】
前記所定の抽出条件を構成するパラメータが、光強度(輝度)、大きさ(面積)、及び形状であることを特徴とする請求項1又は2のいずれかに記載の画像撮像装置。
【請求項4】
前記容器が、ウェルプレート、スライドガラス、又はディッシュであることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の画像撮像装置。
【請求項5】
請求項2、又は請求項2に従属する請求項3もしくは4に記載の画像撮像装置と、
前記高精細モードで撮像されて前記画像記憶手段に記憶された細胞サンプルの画像を用いて所定の解析を行う画像解析ソフトウェア
を備えたことを特徴とする細胞画像解析システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図11】
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【図10】
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【公開番号】特開2010−216919(P2010−216919A)
【公開日】平成22年9月30日(2010.9.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−62607(P2009−62607)
【出願日】平成21年3月16日(2009.3.16)
【出願人】(000000376)オリンパス株式会社 (11,466)
【Fターム(参考)】