説明

画像生成装置、遊技機、画像生成方法、及びプログラム

【課題】比較的簡単な処理で、画像内画像の乱れを効果的に表現可能な画像生成技術を提供する。
【解決手段】所定のオブジェクトを仮想三次元空間に配置する配置手段(3041)、オブジェクトを二次元画像に展開してオブジェクト画像を生成するオブジェクト画像生成手段(3042)、展開されたオブジェクト画像のうち、所定方向にシフトさせたい一部分を特定するシフト部分特定手段(3043)、特定された一部分を所定方向にシフトするシフト手段(3044)、及び一部分がシフトされたオブジェクト画像を画像表示のために出力する表示制御手段(3045)を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、遊技機で用いられる画像生成装置に係り、特に、仮想三次元空間内に配置されたモニタやプロジェクタ等による画面をリアルに表現することが可能な画像生成技術に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、メイン画像内のサブ画像を表示する技術として、例えば特開2000−218043号公報に開示されているように、大画面と、大画面の一部分の子画面とを表示する表示手段を有し、大画面には操作対象物の動作映像を表示し、子画面には擬似的な操作者の動作映像を表示し、実際の操作者が操作手段を介して擬似的な操作者になりすまして擬似的な操作対象物を操作可能としたゲーム装置が開発されていた(特許文献1、段落0007、0008)。特許文献1に記載されるような子画面は、大画面をマスクし、マスクした領域に、別の三次元画像表示装置により生成された画像データに基づく画像を表示させるものであった。このような子画面表示により、仮想三次元空間に投影されているプロジェクタやモニタ装置の映像を表現することが可能である。このような従来の子画面表示技術による子画面の画像は、大画面と同じ画像表示装置により生成されるものであるため、子画面も大画面と同様の乱れのない、綺麗な画像になっていた。
【特許文献1】特開2000−218043号公報(段落0007、0008)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、子画面の画像に全くの乱れがないと、それがプロジェクタやモニタ等によって表示されているかのような現実感が演出しにくいという問題があった。却って走査線がズレたり、VTRでテレビジョン方式による画面を撮影した時に生じる暗表示帯があったりした方が、それがプロジェクタ等で投影されている雰囲気を表現できるのであるが、意図的に子画面に歪みを生じさせる装置は無かった。
【0004】
また、メモリの容量制限や画像処理能力の限界を無視すれば、意図的に子画面画像に走査線のズレや暗表示帯といった「乱れ」を作ることが可能であるが、「乱れ」を作るためだけに子画面画像を生成し、さらに画像を加工処理することは、効果の程度に比し妥当ではない。
【0005】
そこで、本発明は、比較的簡単な処理で、画像内画像の乱れを効果的に表現可能な画像生成技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明の画像生成装置は、所定のオブジェクトを仮想三次元空間に配置する配置手段と、オブジェクトを二次元画像に展開してオブジェクト画像を生成するオブジェクト画像生成手段と、展開されたオブジェクト画像のうち、所定方向にシフトさせたい一部分を特定するシフト部分特定手段と、特定された一部分を所定方向にシフトするシフト手段と、一部分がシフトされたオブジェクト画像を画像表示のために出力する表示制御手段と、を備えたことを特徴とする。
【0007】
また本発明の画像生成方法は、所定のオブジェクトを仮想三次元空間に配置するステップと、オブジェクトを二次元画像に展開してオブジェクト画像を生成するステップと、展開されたオブジェクト画像のうち、所定方向にシフトさせるべき一部分を特定するステップと、特定された一部分を所定方向にシフトするステップと、一部分がシフトされたオブジェクト画像を画像表示のために出力するステップと、を備えたことを特徴とする。
【0008】
この処理において、仮想三次元空間に配置されたオブジェクトが二次元画像に展開される。これをそのまま表示装置に転送すれば、従来どおりの画像表示となる。しかし、本発明によれば、この二次元画像に展開されたオブジェクト画像について、さらにその一部分が特定され、特定された一部分が所定方向のシフトされた後、その画像が表示されるので、オブジェクトを子画面とした場合の一部の走査線のシフトによる乱れを意図的に作り出すことができる。しかも、本来の表示用の二次元画像に展開後のオブジェクト画像を操作するだけなので、子画面画像データ用の一時的な記憶容量が不要であり、画像メモリの容量も比較的小さくて済む。また、別途、子画面を生成して仮想三次元空間に配置前に一時格納する必要がないので、比較的処理能力の低い装置でも実行可能である。
例えば、シフトする一部分を幅の狭い線状領域とすることにより、擬似的に走査線が同期ズレ等の影響でずれているかのような様子をシミュレーションすることができる。このようなシフト処理により、現実世界のモニター映像やプロジェクタ映像における画面の乱れの様子を、子画面で表現することができる。リアリティのあるゲーム装置や遊技機用のエンターテイメント装置用の画面、シミュレーション装置の画面等に好適である。
【0009】
本発明において、時間の経過に応じて、オブジェクト画像のうち異なる部分がシフトさせたい一部分として特定されることは好ましい。この処理によれば、経時的にシフト状態となる部分が変動するので、走査線の乱れを好適にシミュレーション可能である。
【0010】
また、本発明において、シフトに係る一部分は、時間の経過に応じてシフトされる量が変化することは好ましい。この処理によれば、一部分のシフト量が経時的に変動するので、同期信号の乱れによる走査線位置のズレを意図的にシミュレーション可能である。
【0011】
また、本発明において、好適には、オブジェクト画像は、半透明状態に設定される。半透明状態とすれば、例えばプロジェクタ等からのホログラム映像のような投影画像であることを効果的に表現できるからである。
【0012】
ここで、オブジェクト画像は、画像表示空間における配置が周期的に変動制御されることは好ましい。オブジェクト画像全体が経時的に位置変動すれば、プロジェクタ等からのホログラム映像のような投影画像であることを効果的に表現できるからである。
【0013】
さらに本発明は、オブジェクト画像に暗表示帯を設定する暗表示設定手段と、暗表示帯に設定された領域の輝度を変化させる輝度変更手段とを備える。この発明によれば、オブジェクト画像に暗表示帯が表示されるので、プロジェクタやモニタによるテレビジョン方式による画像をVTRで撮影した時に生じる暗表示を擬似的に表現可能である。
【0014】
ここで、暗表示帯は、オブジェクト画像に対する設定位置が一定方向に経時的に変化するようにすることは好ましい。実際のテレビジョン方式による画像をVTRで撮影した時に生じる暗表示帯は、同期信号の周期の差から一定方向に流れるように移動するが、本発明によれば、経時的に一定方向に暗表示帯が移動するので、現実の暗表示帯を効果的にシミュレーション可能である。
【0015】
ここで、オブジェクト画像の一方の端部から他方の端部まで暗表示帯が一定方向に移動するための所用時間は、オブジェクト画像の大きさに関わらず一定に制御されるようにすることは好ましい。現実のテレビジョン方式による画像をVTRで撮影した時に生じる暗表示帯は、流れる周期が一定である。この点、本発明によれば、テレビジョン方式による画面になぞらえるオブジェクト画像の二次元画像における大きさに関わらず、一端から他端まで流れる時間が同じであるため、現実の暗表示帯と同様の移動速度となり、不自然さを感じさせない。
【0016】
また本発明は、上記本発明の画像生成装置を備えたことを特徴とする遊技機でもある。
ここで「遊技機」に限定は無いが、例えば回動式遊技機(以下、「スロットマシン」という。)、ぱちんこ機(第一種ぱちんこ機、第二種ぱちんこ機を含む)等を含む。
【0017】
また本発明は、本発明の画像生成方法をコンピュータに実行させるためのプログラムでもある。本発明のプログラムは、上記本発明の画像生成方法をコンピュータに実行させるためのプログラムである。このようなプログラムは、記憶媒体に格納されて流通されるものである。このような記憶媒体としては、各種ROM、フラッシュメモリを備えたUSBメモリ、USBメモリ、SDメモリ、メモリスティック、メモリカードや、FD、CD−ROM、DVD−ROM等の物理的な記憶媒体の他、プログラムを伝送可能なインターネット等の伝送媒体をも含むものとする。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、展開されたオブジェクト画像の一部分が所定方向にシフトした状態で表示されるので、走査線のズレによる乱れを意図的に作り出すことができ、仮想三次元空間においてプロジェクタやモニタに表示されている画面の雰囲気をリアリティ豊かに、かつ、比較的簡単な処理で表現することが可能である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
以下、本発明の好適な実施形態として、遊技場等に設置される遊技機(スロットマシン)に、本発明の画像生成装置(方法)を適用したものを例示する。以下の実施形態は本発明の適応例に過ぎず、本発明は実施形態に限定されず種々に変更して適用することが可能である。
(定義)
本明細書における用語を以下のように定義する。
「遊技」とはメダルの投入からストップスイッチの操作を経た次のメダルの投入前までの一連の動作をいう。
「通常遊技」とは、デフォルト状態のために設定された期待値で実行される「遊技」をいう。
「特別遊技」とは、「通常遊技」とは異なる「遊技」であって遊技者に有利な「遊技」をいう。
【0020】
「抽選」とは、遊技機が所定の条件(スイッチの操作状態等)になった場合に、乱数等を用いて、予め定められた期待値でコンピュータがくじを引く処理をいう。
「当選」とは、「抽選」の結果、当たりになった場合をいい、特に、コンピュータによるくじ引きで当たりとなった場合をいう。本実施形態では機械的に定まる「入賞」と区別して用いる。
「入賞」とは、停止したリールにより示される有効ライン上の図柄の組合せが、特定の役を示す状態となっていることをいう。
【0021】
「役」とは、抽選の結果が当選である場合に、その当選の種類を特定するものである。「当選役」または図柄が揃った場合には「入賞役」ともいう。
「特別役」とは、「特別遊技」に移行させるための役である。
「小役」とは、その小役の種類に応じた枚数のメダルを遊技者に払い出すための役である。
【0022】
「リプレイ」とは、前回の遊技で投入されたメダル枚数を維持したまま再遊技を行う権利を与えるための役である。
「有効ライン」とは、停止した図柄の並びを便宜上示すもので、有効ライン上に並んだ図柄の組合せによって特定の「役」であるか「ハズレ」であるかを示すものである。複数の「有効ライン」が設定されている場合には、それらをまとめて「有効ライン群」という。
【0023】
(実施形態)
まず筐体構成から説明する。
図1は、本発明の実施形態に係るスロットマシンの外観を示す正面図である。
図1に示すように、本実施形態に係るスロットマシン10の筐体の前面部は、開閉自在にフロントパネル20が取り付けられている。フロントパネル20の上部に表示機能を有する演出表示装置40が設けられた表示領域となっており、中央部に操作部が設けられている。
【0024】
筐体上部には、表示機能を有する演出表示装置40が設けられている。演出表示装置40は、例えば液晶パネルを含んで構成されており、種々の演出のための画像や遊技に必要な情報を表示可能に構成されている。演出表示装置40には、1つの透明な表示窓21が設けられている。表示窓21の領域には、画像を表示するための液晶や液晶を構成する部材(偏光板など)や液晶を制御する回路などが設けられておらず、光を透過するようになっており、物理的に画像表示できない領域となっている。
【0025】
筐体内部であって表示窓21を通して視認可能な位置には、3つのリール(回胴)が配置されている。正面から見て左側から、左リール31L、中リール31C、右リール31Rの順番で配置されている。
【0026】
リール31L、31C及び31Rは、リング状の中空構造に成形されている。リールの外周は、外周面に貼られるリールテープの幅に成形されており、外周面にはリールテープ上に印刷される図柄の形状に合わせて開口が複数設けられている。リールの内部は中空になっており、外周面から延びるフレームで回転軸が支持されている。
【0027】
リールの外周面には入賞図柄(入賞役を構成する図柄)を印刷したリールテープが各々貼られている。それぞれのリールテープには、例えば21個の図柄が等間隔で配列されて印刷されている。図柄の配列は、リールテープごとに異なるようになっている。リールテープの図柄が、リールの外周面に設けられた開口に対応するようになっている。表示窓21からは、この表示窓を通してリール31L、31C及び31Rが観察されるようになっており、各リール外周面の上下方向で連続する3つの図柄が見えるように表示窓21の大きさが設定されている。図1では、リール群31(リール31L、31C及び31Rのまとまりを意味する)上に示された円が、一つの図柄を示している。
【0028】
リール31L、31C及び31Rのそれぞれの回転軸には、ステッピングモータ(図示せず)が各々連結されている。このステッピングモータは、リール31L、31C及び31Rを任意の速度で回転させたり、任意の角度(位置)で停止させたりすることが可能になっている。各リールが回転する場合には、リール31L、31C及び31Rの図柄が表示窓21内で上下に移動しているように視認されるようになっている。
【0029】
リール31L、31C及び31Rの内側には、バックランプ(図示せず)が設けられている。バックランプはリールごとに3個ずつ配置されており、リールが停止した時に表示窓21から見える総計で9個の図柄に対して、リール外周面の開口を通して光を照射するようになっている。
【0030】
図1に示す表示窓21上の破線は、有効ライン22a、22b及び22cからなる有効ライン群22を示すものである。有効ライン群22は、水平方向の中段の有効ライン22aと、水平方向の上段及び下段の2本の有効ライン22bと、右下がり及び左下がりの斜め方向の2本の有効ライン22cとから構成されている。そして、リール31L、31C及び31Rに付された図柄は、リール31L、31C及び31Rが停止した時に、表示窓21から見える9個の図柄が全てこれらの有効ライン群22上に位置するような間隔で配置されている。
【0031】
スロットマシン10の筐体の中央部において、演出表示装置40の右下側に当たる位置には、メダル投入口23が設けられている。メダル投入口23からメダルが投入されると、投入されたメダル枚数に応じて有効ライン22a、22b及び22cの1ライン乃至5ラインが有効になるように構成されている。すなわち、投入した枚数のメダルが掛け金として徴収される。投入されたメダルが1枚の場合には1つの有効ライン22aが有効になり、2枚のときは水平方向の3つの有効ライン22a及び22bが有効になり、3枚のときはさらに加えて斜め方向の2つの有効ライン22cを含む総計で5つの有効ライン22a〜22cが有効になる。これらの制御は、後述のメインCPU(中央演算装置)51(図2参照)により行われる。例えば、3枚のメダルが投入されている場合には、リール31L、31C及び31Rが停止した時に、少なくとも1つの有効ライン22a〜22cに特定の図柄の組み合わせが停止していれば、その組み合わせに応じた役に入賞したこととなる。
【0032】
また筐体の中央部には、遊技者によって操作される各種の操作スイッチが設けられている。例えば、本実施形態では、スタートスイッチ41、ストップスイッチ群42及びベットスイッチ群43が設けられている。
【0033】
スタートスイッチ41は、リール31L、31C及び31Rの回転をスタートさせるときに遊技者が操作するスイッチ、例えばボタンである。ストップスイッチ群42は、左リール31Lを停止させるときに操作する左ストップスイッチ42Lと、中リール31Cを停止させるときに操作する中ストップスイッチ42Cと、右リール31Rを停止させるときに操作する右ストップスイッチ42Rとから構成されている。これらのストップスイッチ42L、42C及び42Rは、例えばボタンとして並設されている。
【0034】
ベットスイッチ群43は、遊技者がクレジット内のメダルを投入する際にベット数(賭数)を指定するスイッチ群であり、1ベット・2ベットスイッチ43a及びMAXベットスイッチ(3ベットスイッチ)43bから構成されている。これらのベットスイッチ43a及び43bも、例えばボタンとして配置されている。1ベット・2ベットスイッチ43aが操作されると、1枚又は2枚のメダルがベットされ(ゲームの掛け額として徴収され)、MAXベットスイッチ43bが操作されると、最大ベット数である3枚のメダルがベットされる。すなわち、ベットスイッチ群43の操作で指定されるベット数が、クレジットとなっているメダル数から徴収され、クレジットがベット数だけ減算される。
【0035】
さらに、筐体の下部の中央部には、メダル払出口90が設けられ、メダル払出口90の両側には、スピーカ71が設けられている。遊技(ゲーム)中には、種々の演出、例えばバックランプの点灯、演出表示装置40を用いた画像表示及びスピーカ71からの音声の出力等が行われる。さらに、このような演出として、入賞可能性の告知演出が行われることもある。
【0036】
これらの構成を有するスロットマシンにおいて実施される通常遊技の概要を簡単に説明する。
スロットマシン10において、遊技者がメダル投入口23からメダルを投入するか、ベットスイッチ群43を操作すると、有効ライン22a〜22cがベット数に応じて有効化される。
【0037】
ベット数を指定した遊技者がスタートスイッチ41を操作すると、ベット数に応じた役の抽選が行われると共に、リール31L、31C及び31Rが回転し始める。そして、遊技者がストップスイッチ42L、42C及び42Rを操作すると、操作されたボタンに応じてリール31L、31C及び31Rの回転が停止する。このとき、スタートスイッチ41の操作と同時に行われている役の抽選結果が当選であった場合には、有効化されている有効ライン群22上に並ぶ図柄の組み合わせが、予め定められた何らかの役の図柄の組み合わせに一致するようにリールが停止制御され、その入賞役に応じたメダルの払い出し等が行われる。
【0038】
(システム構成)
次に、スロットマシン10の内部構成等のシステム構成について説明する。
図2は、本発明の実施形態に係るスロットマシン10のシステム構成を示すブロック図である。スロットマシン10の筐体内部には、メイン制御基板50、並びにこのメイン制御基板50に接続されたサブ制御基板60、リール基板11、中央表示基板12及び電源装置基板13が配置されている。
【0039】
(メイン制御基板50)
メイン制御基板50には、メインCPU51、ROM52、RAM53及びインタフェース回路(I/F回路)54が設けられており、これらはバス55を介して互いに接続されている。
【0040】
メインCPU51は、プログラムを構成する命令の読み出し(フェッチ)、解釈(デコード)及び実行を行う。そして、メインCPU51は、ROM52に記憶されているプログラム及びデータ等を読み出し、これらに基づいてスロットマシン10全体の制御を行う。
【0041】
ROM52には、メインCPU51に、後述の図6のフローチャートに示すような操作に基づく抽選処理及びその他の遊技の制御に必要なソフトウェアプログラム及びデータ等が記憶されている。また、RAM53は、メインCPU51が各種の制御を行う時に用いられ、データ等を一時的に記憶可能に構成されている。
【0042】
I/F回路54は、メイン制御基板50と、サブ制御基板60、リール基板11、中央表示基板12及び電源装置基板13との間で行われる信号の送受信の際に、タイミングの制御等を行うようになっている。但し、メイン制御基板50とサブ制御基板60との間では、メイン制御基板50からサブ制御基板60への信号の送信は行われるが、サブ制御基板60からメイン制御基板50への信号の送信は行われないように構成されている。
【0043】
(サブ制御基板60)
サブ制御基板60には、サブCPU61、ROM62、RAM63、画像制御プロセッサ64、画像データROM65、ビデオRAM66、音源回路67、アンプ68及びインタフェース回路(I/F回路)69が設けられている。サブCPU61、ROM62、制御用RAM63、画像制御プロセッサ64、音源回路67及びI/F回路69はバス70を介して互いに接続されている。また、画像データROM65及びビデオRAM66は画像制御プロセッサ64に接続され、アンプ68は音源回路67に接続されている。
【0044】
サブCPU61は、プログラムを構成する命令の読み出し(フェッチ)、解釈(デコード)及び実行を行う。そして、サブCPU61は、ROM62に記憶されているプログラム及びデータ等を読み出し、サブ制御基板60全体の制御、特に遊技者に対する演出の制御を行うようになっている。なお、サブCPU61の処理能力や開発言語等には、何らの制約もない。
【0045】
ROM62には、サブCPU61に、後述の図7のフローチャートに示す処理及びその他の遊技中の演出に必要なソフトウェアプログラム及びデータ等が記憶されている。また、RAM63は、サブCPU61が各種の制御を行う時に用いられ、データ等を一時的に記憶可能に構成されている。
【0046】
これらのサブCPU61、ROM62及びRAM63は、夫々メイン制御基板50に設けられたメインCPU51、ROM52及びRAM53と同様の機能を有するものである。なお、ROM62及びRAM63は、夫々ROM52及びRAM53と同一のものを用いてもよいが、これらよりも容量の大きいものを用いても良い。
【0047】
上述の演出表示装置40は画像制御プロセッサ64の制御に基づいてビデオRAM66に記憶されたフレーム画像データが転送可能に接続されている。画像データROM65には、演出表示装置40に表示されるキャラクタ、文字及び背景等の画像データを生成するための元画像データが記憶されている。また、ビデオRAM66は、画像制御プロセッサ64が演出表示装置40に表示しようとする画像データを生成する時に用いられ、画像データROM65から読み出した元画像データ等に基づき生成された画像データがフレーム画像データとしてビデオRAM66に展開されるようになっている。
【0048】
さらに、本実施形態には、演出用周辺機器として、演出表示装置40の他にスピーカ71、上述のバックランプ等が設けられている。スピーカ71はアンプ68に接続されている。これらの演出用周辺機器は、遊技中の演出(役の当選可能性の告知演出等)の出力を行うものであり、サブ制御基板60にのみ接続されており、メイン制御基板50には接続されていない。
【0049】
I/F回路69は、メイン制御基板50からの信号の受信の際に、タイミングの制御等を行う。なお、上述のように、メイン制御基板50からサブ制御基板60への信号の送信は行われるが、サブ制御基板60からメイン制御基板50への信号の送信は行われない。すなわち、一方向の送信のみが可能となっている。
【0050】
(リール基板11)
リール基板11には、左リール31L、中リール31C及び右リール31Rを駆動するためのステッピングモータ(図示せず)が接続されている。各ステッピングモータは、さらに、これらのリール31L、31C及び31Rの回転軸に接続されていく。これらのリール31L、31C及び31Rの動作を制御するための制御信号は、メインCPU51からリール基板11に供給されるようになっている。
【0051】
(中央表示基板12)
中央表示基板12は、例えばフロントパネル20の裏側の中央部に取り付けられる。
中央表示基板12には、セレクタ81、1ベット・2ベットスイッチ43a、MAXベットスイッチ(3ベットスイッチ)43b、スタートスイッチ(レバー)41、左ストップスイッチ(ボタン)42L、中ストップスイッチ(ボタン)42C、右ストップスイッチ(ボタン)42R、設定表示部82及び設定変更スイッチ83が接続されている。
【0052】
セレクタ81は、メダル投入口23から投入されたメダルが正規のものであるか識別し、不正なメダルを排除するように構成されている。設定表示部82は、フロントパネル20の裏側から見えるように配置されており、確率や払い出しに関する設定(例えば、設定1〜設定6)等が表示される。設定変更スイッチ83は、確率や払い出しに関する設定等を変更する際に操作されるスイッチである。
【0053】
(電源装置基板13)
電源装置基板13には、設定変更有効化スイッチ91、電源スイッチ92、ホッパ装置93及び電源装置94が接続されている。
設定変更有効化スイッチ91は、設定変更スイッチ83を用いた設定の変更を可能な状態にする際に操作するスイッチである。すなわち、設定変更有効化スイッチ91がオンの状態になっているときに限り、設定変更スイッチ83を用いた設定の変更が可能になる。電源スイッチ92は、電源装置94のオン/オフを切り替えるためのスイッチである。ホッパ装置93は、メダルの貯蔵及び払い出しを行う装置であり、電源装置基板13を介したメインCPU51からの指示に基づいて、予め貯蔵しておいたメダルから所定枚数のメダルをメダル払出口90に払い出すようになっている。
【0054】
(メイン制御基板における機能ブロック)
次に、メイン制御基板50の機能的な構成について説明する。
図3は、メイン制御基板50の機能的な構成を示す機能ブロック図である。
図3に示すように、本実施形態においては、例えばメインCPU51がROM52内に記録されるプログラムを実行することにより、以下の制御部101、役抽選部103、リール制御部106、入賞判定部107、遊技状態制御部108及び払出制御部109が機能的に実現される。また、例えばRAM53が、以下のフラグ情報記憶部105として機能し、例えばROM52に、以下の抽選テーブル102のデータが記憶されている。
【0055】
(役抽選部103)
役抽選部103は、役(特別役、小役、リプレイ等)の抽選を行う機能ブロックである。役抽選部103は、遊技毎に、内部で乱数を発生させた後に一の乱数を取得し、ROM52に記憶されている抽選テーブル102を参照し、取得した乱数が属する領域に基づいて、役の当選の有無及び当選役を判定するようになっている。
【0056】
例えば、役抽選部103は、スタートスイッチ41が操作された場合に抽選を行い、この「遊技」が「当選」であるか「ハズレ」であるかおよび「当選」である場合の「役」を決定する。すなわち、役抽選部103は、スタートスイッチ41の押下があった場合に、所定の範囲の乱数(例えば、10進法で0〜65535)を発生させ、所定の条件が満たされたときに一の乱数値を取得する。抽選テーブル102には、役抽選部103が取得可能な乱数値に対して、特別役当選領域、小役当選領域、リプレイ当選領域、及び非当選(ハズレ)領域等が、所定の割合で設定されている。
【0057】
さらに役抽選部103は、リール31L、31C、及び31Rは、ストップスイッチ42L,42C,及び42Rのそれぞれが押下された後に、「当選」していた場合にはその当選の役を表す図柄の並びとなるように停止制御され、当選役と同じ役に入賞させる。また、抽選の結果が「ハズレ」(非当選)ていた場合には図柄の並びがいずれかの役を表さないように停止制御される。いずれの場合でも、ストップスイッチ42L,42C,及び42Rの押下タイミングが前後しても、停止図柄が変わることはない。
【0058】
なお、役抽選部103が実施する抽選は、一つの遊技当たりに一回のみ実施して役までを決定してしまってもよいが、複数回の抽選を実施するように構成してもよい。
また、スタートスイッチ41の押下やストップスイッチ42L、42C、及び42Rの押下タイミングで抽選を実施して抽選結果を定めるという役抽選部103主導の構成にする他、特別な引き込み動作をせずにリール群31を停止させ、結果的にリール31L、31C、及び31Rが停止した位置を入賞判定部107が検出して入賞の有無や、入賞役を判定するように構成してもよい。この場合、抽選や当選役という概念は無く、役抽選部103は存在しなくてもよい。また、遊技の種類に応じて、役抽選部103主導か否かを、つまり抽選をするか、リールによる入賞判定をするかを切り替えてもよい。
【0059】
(制御部101)
制御部101は、役抽選部103や、後述のリール制御部106及び入賞判定部107等の動作タイミングを制御する中心的機能ブロックである。
例えば、制御部101は、スタートスイッチ41が操作されたことを条件として、役抽選部103に役の抽選を行わせると共に、リール制御部106にリール群31の回転を開始させ、また、ストップスイッチ群42が操作されたことを条件として、リール制御部106にリール群31の停止制御を行わせ、さらに、リール群31が停止したことを条件として、入賞判定部107に入賞判定を行わせるものである。
なお、制御部101の動作はこれらに限定されるものではなく、メイン制御基板50に必要とされる制御一般を司るものである。
【0060】
(フラグ情報記憶部105)
フラグ情報記憶部105は、役抽選部103の抽選結果によって何らかの役に対するフラグがオンされた場合に、当選した役の種類及びそのフラグがオンになったことを記憶可能に構成されている。
【0061】
(リール制御部106)
リール制御部106は、制御部101からの指示に基づいて、リール群31(リール31L、31C及び31R)の回転及び停止の制御を行う機能ブロックである。
より詳細には、リール制御部106は、遊技状態(例えば、通常遊技状態、特別遊技状態等)、役抽選部103による抽選の結果、及びストップスイッチ群42(ストップスイッチ42L、42C及び42R)が操作されたタイミング等に基づいて、リール31L、31C及び31Rの停止位置を決定すると共に、ステッピングモータの駆動を制御して、その決定した位置でリール31L、31C及び31Rの回転を停止させるようになっている。
【0062】
例えば、役抽選部103による抽選の結果「ハズレ」となり、いずれの役にも当選していないときは、有効になっている有効ライン上にどの役の図柄の組合せも停止しないように、各リール31L、31C及び31Rの停止位置を定め、定められた位置で各リールを停止させる。一方、何らかの役に「当選」している場合には、有効になっている有効ライン上に当選した役の図柄の組合せが停止するように図柄の組合せを定め、その図柄の組合せがその時に有効になっている有効ラインに表れるように各リール31L、31C及び31Rの停止位置を定め、定められた位置で各リールを停止させる。
【0063】
特に、特別役に「当選」している場合には、有効になっている有効ライン上に特別役の図柄の組合せが停止するように、リール31L、31C及び31Rの停止制御の範囲内(例えば、4図柄以内)でできる限り特別役に係る図柄が揃うような引き込み制御を行う。但し、特別役が「当選」している場合であっても、小役やリプレイに「当選」した場合には、有効化されている有効ライン上に特別役の図柄の組合せが停止しないように、リール31L、31C及び31Rの停止位置を定め、停止制御をする。
なお、このようなリール31L、31C及び31Rを停止させる際の制御は、リール制御用のテーブルを用いて行ってもよい。
【0064】
(入賞判定部107)
入賞判定部107は、最終的な入賞状態を判定するための機能ブロックである。
入賞判定部107は、有効ライン群22のうち、有効になっている有効ラインのいずれかに役の図柄の組合せが並んでいるか否かを判定し、並んでいるものがあれば当遊技でその役に入賞したと判定するものである。役の抽選は、役抽選部103によって予め決定されてはいるが、機械的なリールを用いる場合などにはリールが予定どおりに停止できない場合がるため、最終的に停止したリールの位置を検出しなければならないからである。
【0065】
入賞判定部107は、例えばステッピングモータの停止時の角度やステップ数等を検知することにより、有効ラインに位置する図柄を判定し、これに基づいて、役の入賞の有無を判定する。
【0066】
なお、役抽選部103によって予め役を定めて、それに併せてリール31L、31C及び31Rを停止させる代わりに、引き込み可能な位置に各リールを次々停止させ、最終的に停止した実際のリール31L、31C及び31Rの位置を検出して、入賞判定部107が図柄の組合せを判定し、役を決定するように構成してもよい。
【0067】
(遊技状態制御部108)
遊技状態制御部108は、入賞判定部107による判定の結果、特別役に入賞していた場合に、次遊技から所定の終了条件が満たされるまでの間、特別遊技の制御を行うための機能ブロックである。
【0068】
例えば、遊技状態制御部108は、特別遊技中における役抽選部103の抽選結果に応じて、リール制御部106に特別遊技用のリール制御を行わせたり、サブ制御基板60に特別遊技用の演出を行わせたりする。
【0069】
(払出制御部109)
払出制御部109は、入賞判定部107による判定の結果、入賞している役に応じたメダルの払い出しをホッパ装置93に行わせるための機能ブロックである。
【0070】
(サブ制御基板における機能ブロック)
次に、サブ制御基板60の機能的な構成について説明する。
図4は、サブ制御基板60の機能的な構成を示す機能ブロック図である。
図4に示すように、本実施形態においては、例えばサブCPU61がROM62内に記録されたプログラムを実行することにより、演出パターン選択部201が機能的に実現される。また、サブCPU61がROM62内に記録されたプログラムを実行することにより、画像制御プロセッサ64を制御することで演出制御部202が機能的に実現される。
【0071】
このサブ制御基板60によって実施される演出は、演出表示装置40によって表示窓21の周囲の画像表示領域に表示される画像による演出、スピーカ71から発音される音による演出である。これらの演出は、メイン制御基板50における動作と異なり、抽選など、遊技自体の方向性を変化させるものではないが、画像と音との演出により、遊技者に刺激を与え、入賞への期待感を高めたり単調さを解消したりする重要な役割を担っている。
【0072】
(演出パターン選択部201)
演出パターン選択部201は、遊技状態に応じて演出のパターンを選択する機能ブロックである。
具体的には、演出パターン選択部201は、メイン制御基板50の役抽選部103からの信号を受けて、当選した役等に応じた演出パターンを選択したり、メイン制御基板50の入賞判定部107及び特別役遊技制御部108からの信号を受けて、入賞役や遊技状態に応じた演出パターンを選択したりする。
【0073】
ここで演出パターンは、スタートスイッチ41が押下されたかいずれのストップスイッチ42が押下されたか、いずれのリール31L、31C、及び31Rが停止したかといった遊技の進行状態や、抽選の結果、決定した役の種類、通常遊技か特別遊技かといった遊技状態に応じて選択されるものである。
【0074】
(演出制御部202)
演出制御部202は、演出パターン選択部201によって選択された演出パターンに基づく演出の制御を行う機能ブロックである。
演出制御部202は、選択された演出パターンに対して予めプログラムされている画像を表示させるための立体画像データを作成し、それを二次元画像データに変換して演出表示装置40に供給して、画像表示領域上に画像を表示させるように動作する。また、演出制御部202は、選択された演出パターンに対して予めプログラムされている音響を音源回路67に発生させるための制御を実施する。
【0075】
(音源回路67)
音源回路67は、所定のチャネル数、例えば8つの音源チャネルの発音回路を備えており、音源チャネル数分のフレーズの同時再生が可能になっている。音源回路67は、演出制御部202から出力される演出要求コマンドによって制御される。音源回路67は、演出制御部からから送信された演出要求コマンドに対応させて、対応する音源チャネルの音源データを図示しないサウンドROMから読み出して合成して、右チャネル、左チャネル別に発生させる。そしてD/A変換してアナログ音響信号として出力する。アンプ68は、この左右のチャネルそれぞれのアナログ音響信号を増幅し、右スピーカ71R・左スピーカ71Rに、ステレオ音響を送出させる。
【0076】
(演出制御部の詳細な機能ブロック)
次に、演出制御部202の構成について説明する。
特に、この演出制御部202では、本発明に係る画像生成処理として、仮想三次元空間にプロジェクタ投影により表示された画像に、意図的に「乱れ」を表示されるための構成を備える。このプロジェクタ投影画像は、ホログラムのように空間に表現されるイメージをいうが、スクリーンに投影されるプロジェクタの投影画像やモニタ装置のディスプレイに映し出される画像についても同様の処理が適用可能である。本発明の画像生成装置(方法)は、この演出制御部202によって、以下のように機能的に実現されるものである。
【0077】
図5に、演出制御部202の詳細な機能ブロックを示す。
図5に示すように、演出制御部202は、機能ブロックとして、画像制御部301、音制御部302、オブジェクトデータ記憶部3031、テクスチャデータ記憶部3032、画像データ生成部304、画像データ記憶部305、および表示制御手段306を備えている。画像データ生成部304は、オブジェクト配置手段3041、オブジェクト画像生成手段3042、シフト部分特定手段3043、シフト手段3044、暗表示設定手段3045、および輝度変更手段3046を備えている。
【0078】
なお、上記構成のうち、画像制御部301及び音制御部302は、ROM62に格納されたプログラムをサブCPU61が実行することにより機能的に実現される。オブジェクトデータ記憶部3031およびテクスチャデータ記憶部3032は、画像データROM65が相当している。画像データ記憶部305は、ビデオRAM66が相当している。画像データ生成部304の各構成及び表示制御手段306は、サブCPU61の制御に基づいて動作する画像制御プロセッサ64によって機能的に実現される。
【0079】
(画像制御部301)
画像制御部301は、演出パターン選択部201によって選択された演出パターンに応じて、画像データ生成部304に対して、各種演出を指示可能になっている。本願発明に関するプロジェクタ投射画像表示を実行する場合、画像制御部301は、画像データ生成部304に対し、プロジェクタ投射画像表示の対称となるオブジェクト特定情報を指定可能になっている。また、画像制御部301は、仮想三次元空間を二次元画像に展開するための視点(カメラ)の位置等を、フレーム期間ごとに連続的に指示していくようになっている。画像制御部301により、演出パターンに応じた画像上のストーリーが決定され、その展開が制御されるようになっている。
【0080】
(音制御部302)
音制御部302は、演出パターン選択部201によって選択された演出パターンに応じた音信号を生成し発生するように音源回路67を制御するように構成されている。この音制御部302において制御される音は、画像制御部301の制御によって表示される画像の進行と密接な関連性を有するように、画像制御部301との間で時間的な連携がとられている。
【0081】
(オブジェクトデータ記憶部3031)
オブジェクトデータ記憶部3031は、仮想三次元空間において表示対象とさせる各種オブジェクトの形状定義情報を記憶するものである。
各オブジェクトデータは、オブジェクトごとに予め設定された基準座標を原点とするボディ座標系(ローカル座標系、オブジェクト座標系、モデリング座標系)において、オブジェクトの外形を形作る微小多角形(ポリゴン等)の相対位置(向き、大きさを含む)を規定しているデータである。各微小多角形を基準座標からの相対位置に配置していけばオブジェクトの外形が規定される。このオブジェクトはそれぞれ自己完結のボディ座標系で各微小多角形の相対位置(向き、大きさ)が三次元的に定義されている。このボディ座標系で定義されたオブジェクトデータをモデリング変換することにより、ワールド座標系でオブジェクトが定義できることになる。すなわち仮想三次元空間の任意の位置にオブジェクトを配置することができるのである。
【0082】
特に、本実施形態において、オブジェクトデータ記憶部3031には、本発明のプロジェクタ投影(「特定オブジェクト」という。)を定義するオブジェクトデータ、すなわち、プロジェクタ投影を形成するオブジェクトの形状定義データが格納されている。プロジェクタ投影の対象物は何らの限定が無いが、例えば本実施形態の実施例では、弓矢等で射る「的」を表現している。オブジェクトデータとしては、「的」の外形を微小多角形の集合として構成するための集合体データが格納される。
【0083】
図8に、本実施形態における特定オブジェクトを例示する。図8に示すように、仮想三次元空間には、ワールド座標系を視点座標系にビューイング変換したり、透視投影変換するための基準となる視点Cが設定されている。この視点Cから仮想三次元空間を二次元画像に展開して得られる投影面(ビュースクリーン)画像600が概念的に示されている。
【0084】
ここで、本発明のプロジェクタ投影(特定オブジェクト)OBJSは、OBJ1〜3の3つのオブジェクトの集合体として定義されている。これを視点Cから観察した画像として二次元展開して得られた投影面画像におけるレンダリング処理後の画像が特定オブジェクト画像400となっている。この特定オブジェクトは、図8のような複雑な構造をしている必要はなく、球や円盤、角柱や円柱等の単純な形状をしていても無論よい。
【0085】
(テクスチャデータ記憶部3032)
テクスチャデータ記憶部3032は、仮想三次元空間に配置されたオブジェクトに対してマッピング(展開、貼り付け)されるテクスチャデータを記憶するものである。
テクスチャとは、頂点座標の集合でしかないオブジェクトやポリゴンの表面にマッピングされるものである。テクスチャデータは、模様を表すための所定の解像度で作成された画像データであり、例えばビットマップデータである。このテクスチャデータによるテクスチャを所定のポリゴンにテクスチャとして貼り付ける場合には、テクスチャデータに対して、所定の画像変換、例えばアフィン変換を施し、テクスチャをポリゴンの形状に展開するマッピング処理によって実現される。
なお、本実施形態においてテクスチャデータは、ポリゴン面に特別の質感を与えるようなマッピング用データを含むが、このような特別の模様を付与する画像データを含まない場合も本発明におけるテクスチャデータの範囲である。例えば、ポリゴン面に表示される特別のマッピングデータを利用せず、代わりにポリゴンの頂点情報(頂点ごとに設定された色情報や光源情報)等のみに基づいてレンダリング処理して生成した画像データであってもよい。また、特別のテクスチャデータをポリゴンの頂点情報の示す光源情報に基づいてさらにレンダリング処理して生成した画像データも含まれる。
【0086】
特に、このテクスチャデータ記憶部3032に記憶されるテクスチャデータとしては、「的」を構成する各微小多角形にマッピングされる「的」の模様を含んでいる。このテクスチャデータにより表現されるテクスチャが、本発明による意図的な「乱れ」の適用対象となる。なお、「的」に特別な質感や模様付けをしない場合には、特別にテクスチャマッピングをする必要はなく、光源やポリゴンに対する色づけをレンダリング処理の過程で実行すればよい。
【0087】
図8に示す特定オブジェクトOBJSの例では、テクスチャとして第1テクスチャ401、第2テクスチャ402、及び第3テクスチャ403がマッピングされている。
【0088】
(オブジェクト配置手段3041)
オブジェクト配置手段3041は、仮想三次元空間に各オブジェクトを配置するための機能ブロックである。
具体的に、オブジェクト配置手段3041は、オブジェクトデータ記憶部3031に記憶されたオブジェクトデータを読み出す。このオブジェクトデータは、オブジェクトごとに設定されたボディ座標系で定義されているため、このオブジェクトを仮想三次元空間に配置するためのモデリング変換が必要である。オブジェクト配置手段3041は、ボディ座標系で定義されたオブジェクトデータにモデリング変換演算処理を実行し、ワールド座標系で定義された仮想三次元空間における絶対的な配置を定める。その際、オブジェクトの向きや大きさも座標変換処理により定められる。オブジェクト配置手段3041は、さらにワールド座標系で定義された各オブジェクトデータに対し、ビューイング変換して視点Cを基準とした視点座標系に座標変換する。必要に応じて、視点座標系に正規化変換演算を実行し、隠面(線)消去等の正規化処理を実施する。
【0089】
図8に示す特定オブジェクトOBJSの例では、オブジェクト配置手段3041は、仮想三次元空間においてオブジェクトデータによって定義されるオブジェクトOBJ1〜OBJ3を図示のような位置に配置して特定オブジェクトOBJSを構成させている。
【0090】
(オブジェクト画像生成手段3042)
オブジェクト画像生成手段3042は、視点座標系で定義された、仮想三次元空間に配置された各オブジェクトに対して透視投影変換を実施し、仮想三次元世界を所定の視点から投影面に投影した投影面画像にするためレンダリング演算処理を実施する。
【0091】
ここで、オブジェクト画像生成手段3042は、レンダリング処理の過程で、クリッピング、隠面(線)消去、シェーディング処理を実施する。また、オブジェクト画像生成手段3042は、レンダリング処理の一環として、テクスチャデータ記憶部3032から、仮想三次元空間における配置を定めたオブジェクトに展開するテクスチャのためのテクスチャデータを読み出す。そして、オブジェクトを形成する各微小多角形の表面にそれぞれ対応するテクスチャをマッピングする。各テクスチャデータは、所定の単位面積のテクスチャ情報となっているので、選択されたテクスチャデータに対して、所定の画像変換、例えばアフィン変換が施され、各オブジェクトの表面にマッピングされる。
【0092】
ここで、オブジェクト画像生成手段3042は、本発明に係る画像の「乱れ」を表示させる対象となるオブジェクト画像(「特定オブジェクト画像」という。)の画像データについては、画像データ記憶部305の特定オブジェクト画像記憶レイヤ3051に記憶する。それ以外のオブジェクト画像の画像データについては、オブジェクト画像生成手段3042は、画像データ記憶部305の通常オブジェクト画像記憶レイヤ3052に記憶する。
【0093】
図8に示す特定オブジェクトOBJSの例では、仮想三次元空間に配置された特定オブジェクトOBJSを、視点Cを基準として透視投影変換して透視座標系で定義される投影面画像600に展開している。この時、特定オブジェクトOBJSは、視点Cの方向から透視変換された投影後の画像として、「的」形状の特定オブジェクト画像400となっている。また、オブジェクトOBJ1〜OBJ3に該当する第1テクスチャ401、第2テクスチャ402、第3テクスチャ403がマッピングされている。
【0094】
ここで、画像表示空間における特定オブジェクト画像OBJSの位置は、二次元画像600内で周期的に変動制御されることは好ましい。例えば、図8の例では、特定オブジェクトOBJSが投影面画像600のフレーム中で上下にゆっくり往復動するような制御である。この特定オブジェクト画像の位置制御は、オブジェクト配置手段3041が仮想三次元空間における特定オブジェクトの位置を変更制御するようにしても、オブジェクト画像生成手段3042が、二次元展開後の特定オブジェクト画像400の位置を変更制御するようにしてもよい。
【0095】
また、特定オブジェクト画像400は、半透明状態に設定されることは好ましい。すなわちオブジェクト画像生成手段3042は、特定オブジェクトOBJSにマッピングしたテクスチャの透明度(透過率)を0%と100%との間の中間に設定する。この処理により、最終的に画像を合成した場合に背景が特定オブジェクト画像400を透けるようなテクスチャ濃度設定となる。
【0096】
(シフト部分特定手段3043)
シフト部分特定手段3043は、特定オブジェクト画像記憶レイヤ3051に記憶された特定オブジェクト画像のうち、所定方向にシフトさせたい一部分を特定する。
シフトさせた一部分に限定は無いが、走査線のズレにより画像の「乱れ」を表現した場合には、微小幅のライン状にシフトさせる一部分を特定することが好ましい。このシフトさせる一部分は特定オブジェクト画像の一カ所ではなく、複数箇所である方が好ましい。ノイズの発生等による走査線のズレは通常複数箇所に生じるため、複数の部分でシフトが生じていた方が現実的に「乱れ」を表現可能だからである。
【0097】
図9に、特定オブジェクト画像400におけるシフトさせる部分の設定方法を示す。
図9では、判りやすくするために、特定オブジェクト画像400が20ラインの擬似的な「走査線」に分離されるものとしている。実際の走査線は例えば縦方向256本という数になるため、実際にはもっと細分化してシフトすべきラインを定めることが好ましい。図9のように疑似的な「走査線」のラインSL1〜SL20を定めた場合、シフト部分特定手段3043は、この中からシフトさせるべきラインを1以上定める。例えば、図10に示すように、シフト部分特定手段3043は、シフトすべきラインをSL5、SL10、SL16の3ラインに設定する。
【0098】
シフト部分特定手段3043は、時間の経過に応じて、特定オブジェクト画像のうち異なる部分をシフトさせたい一部分として特定するようにすることが好ましい。例えば「走査線」のラインをシフトさせる場合に、シフトされる走査線が次々変化すれば、画像の「乱れ」を好適に表現可能である。例えば、シフト部分特定手段3043は、乱数を発生させて、ランダムにシフトさせるラインの位置を定める。規則的でないが故に「乱れ」を好適に表現可能である。
【0099】
(シフト手段3044)
シフト手段3044は、特定オブジェクト画像記憶レイヤ3051に記憶された特定オブジェクト画像データに対し、特定オブジェクト画像の特定された一部分を所定方向にシフトする操作を実施する。
この所定方向とは、例えば通常の走査線の延在方向であるが、これに限定されるものではない。少なくとも走査線の延在方向と同一の方向にシフトすれば、走査線のズレを模した画像を表示可能である。
【0100】
シフト方向については、複数の部分をシフトさせる場合、同一方向とならないように、ランダムにシフト方向を変化させることが好ましい。不規則にシフトした方が、画像の「乱れ」を表現可能だからである。
【0101】
図11には、図10のようにシフトするラインを定めた場合のシフト例を示している。
図11に示すように、特定オブジェクト画像400のうち、ラインSL5に対応する部分p2が右方向にシフト量Δs1だけシフトされ、ラインSL10に対応する部分p4が左方向にシフト量Δs2だけシフトされ、ラインSL16に対応する部分p6が右方向にシフト量Δs3だけシフトされている。
【0102】
また、シフト手段3044は、シフトさせる一部分のシフト量の最大値を定めておき、その最大値以下となる範囲で任意にシフト量を定めることが好ましい。また、シフト手段3044は、このシフト量を時間の経過に応じて変化させることが好ましい。
【0103】
図12に、図11に例示したラインのシフトにおける経時的なシフト量変動制御を例示している。図12では、右方向へのシフトを正方向(+)、左方向へのシフトを負方向(−)として図示してある。
図12に示すように、いずれのシフト量も最大値から最小値(ゼロ)へ収斂するようなシフト量制御が設定されている。シフト量Δs1は、最大値が最も大きいが最も早く収斂する。シフト量Δs2は、シフト量Δs1と同一周期で変動するが負方向からシフトし、収斂までの時間が長い。シフト量Δs3は、他のシフト量に比べ半分の周期で変動するように設定されている。このように、シフトさせる部分ごとにシフト量とシフト量の変動周期を任意に設定することができる。複数の部分についてシフト量を設定可能な場合には、なるべく周期性の無いようにシフト量を設定することが好ましい。
【0104】
(暗表示設定手段3045)
暗表示設定手段3045は、特定オブジェクト画像に暗表示帯を設定する。
具体的には、特定オブジェクト画像OBJSのうち、輝度を低く暗く表示されるように設定する特定幅の部分(暗表示帯)を特定する。これは、テレビジョン方式で表示されている画像をVTRで撮影した場合に画面に生じる黒い帯を再現するものである。この暗表示帯は、被撮影画像の走査周期とVTRの走査周期とが同期していないが、極めて近いことから生じるものである。
【0105】
ここで、暗表示設定手段3045は、暗表示帯が一定方向にゆっくり移動するように毎回の暗表示帯の位置を変更する。これは、被撮影画像の走査周期とVTRの走査周期とが同期していない場合に走査周期の差が僅かに存在すると、暗表示帯が被撮影画像内を流れるように移動することを再現するものである。この流れの方向は任意であり、一定の速度で移動させてもよいが、同期周波数の変動により流れの方向が途中で変わるように設定してもよい。
【0106】
図13に、図8の例で得られる特定オブジェクト画像400に対する暗表示帯の設定例を示す。暗表示帯は通常一定の幅を有するものである。図13では、「走査線」のラインSL4およびSL5に暗表示帯410が設定されている。
【0107】
図14に、暗表示帯410の設定位置を経時的に変化させた場合の表示例を示している。図14に示すように、暗表示帯410を特定オブジェクト画像400の上から下へ流れるように移動させるとすれば、時刻T0では未表示の暗表示帯を、時刻T1で最上部に設定し、時刻T2〜T7まで順に下に移動させ、時刻T8で再び暗表示帯を非設定にする。このように流れるように暗表示帯を移動させることが好ましい。
【0108】
ここで、暗表示帯設定手段3045は、特定オブジェクト画像400の大きさに無関係に、暗表示帯410が上から下まで移動するに要する時間を一定にすることは好ましい。特定オブジェクト画像の大きさは、単に視点と特定オブジェクトOBJSとの距離によって変わる。一方、現実に被撮影画像内に発生する暗表示帯は、画像の大きさによらず一方の端部から他方の端部までの移動時間が一定である。もしも、暗表示帯の移動速度を絶対的に定めていると、特定オブジェクト画像400の大きさが小さい場合には、表面上、暗表示帯が高速で移動して見えたり、特定オブジェクト画像400の大きさが大きい場合には、表面上、暗表示帯が低速で移動して見えたりする。これではいかにも不自然である。そこで、本実施形態の暗表示帯設定手段3045は、特定オブジェクト画像400の一方の端部から他方の端部まで暗表示帯を移動させる速度を、特定オブジェクト画像の大きさに関わらず一定に設定する。例えば、暗表示帯設定手段3045は、特定オブジェクト画像上の暗表示帯移動時間を予め定め、特定オブジェクト画像400の幅をこの暗表示帯移動時間で除して、一回の描画タイミングごとの暗表示帯移動量を定めるように制御すればよい。
【0109】
(輝度変更手段3046)
輝度変更手段3046は、暗表示帯に設定された領域の輝度を変化させる。
すなわち、輝度変更手段3046は、特定オブジェクト画像記憶レイヤ3051に記憶された特定オブジェクト画像データにおいて、設定された暗表示帯の領域の特定オブジェクト画像の輝度(明度)を低減させ、周囲に比べて暗表示帯に設定された領域のテクスチャが暗く表示されるように設定する。
【0110】
(表示制御手段306)
表示制御手段306は、画像データ記憶部305に記憶されているフレーム画像データをフレーム期間ごとに読み出して演出表示装置40に転送する。具体的には、表示制御手段306は、特定オブジェクト画像記憶レイヤ3051に記憶されたオブジェクト画像データと、通常オブジェクト画像記憶レイヤ3052に記憶されたオブジェクト画像データとを、予め規定された優先順位で合成し、背景画像データと合成して、フレーム画像データとして出力する。この転送されたフレーム画像データに基づいて演出表示装置40は、画像表示領域にフレーム画像データに対応する画像を表示する。
【0111】
(メイン制御基板における動作)
図6は、メイン制御基板50による制御を示すフローチャートである。
図6において、遊技者によってメダルが投入され、スタートスイッチ41が操作されると、制御部101は、スタートスイッチ41がオンになったことを検知し、役抽選部103は役の抽選処理を行う(ステップS101/YES、ステップS102)。一方、遊技者によりスタートスイッチ41が操作されず、制御部101が、スタートスイッチ41がオンとなったことを検知できなかった場合は、スタートスイッチ41がオンとなったことを検知するまでステップS101の処理を繰り返し実行する。
【0112】
ステップS102の役抽選処理においては、役抽選部103は、乱数を取得し、取得した乱数と抽選テーブルとを照らし合わせて役の抽選処理を行う。抽選の結果、何らかの役の当選があった場合、フラグ情報記憶部105内において当役のフラグをオンにさせる。役抽選部103による抽選結果は、当選役情報としてI/F回路54を介してサブ制御基板60に送信される(ステップS103)。
【0113】
リール制御部106は、ストップスイッチ群42の何れか1個が操作されたか否かを判断する(ステップS104)。何れか1個のストップスイッチが操作されると(ステップS104/YES)、当選役が入賞可能となるようなリール制御を行って、操作されたストップスイッチに対応するリールの回転を停止させる(ステップS105)。
【0114】
なお、ステップS102の役抽選処理において何れの役にも当選していなかった場合は(「ハズレ」に当選した場合)、リール制御部106は、ステップS105において何れの役にも当選しなかった場合に対応するリール制御を行う。
【0115】
続いて、リール制御部106は、全てのストップスイッチが操作され、全リールが停止したか否かを判断する(ステップS106)。全リールが未だ停止していない場合には(ステップS106/NO)、ステップS104におけるストップスイッチ操作の有無の検出処理からの処理を繰り返す。
【0116】
全てのリールが停止すると(ステップS106/YES)、入賞判定部107は、有効化された有効ライン上に並んでいる図柄の組合せに基づいて入賞の有無を判断する(ステップS107)。この結果、何らかの入賞がある場合には(ステップS107/YES)、入賞した役に対応する入賞処理が実行される(ステップS108)。
【0117】
入賞役が「特別役」である場合、次の遊技から所定の終了条件が満たされるまでの間「特別遊技」を実行するための移行処理を遊技状態制御部108が行う。
一方、ステップS107において、何も入賞がないと判断された場合には(ステップS107/NO)、処理はステップS101に戻る。
【0118】
続いて、遊技状態制御部108は、「特別遊技」中において、「特別役」であるビッグボーナスゲーム又はレギュラーボーナスゲームに応じた遊技状態を遊技者に提供するよう、リール制御部106に「特別遊技」中のリール制御を行わせたり、サブ制御基板60に「特別遊技」用の演出を行わせたりする。ビックボーナスゲーム又はレギュラーボーナスゲームの規定回数の遊技を終えると、「通常遊技」に移行する処理を行う。
【0119】
入賞役が「特別役」でない場合、フラグ情報記憶部105において特別役のフラグがオンの状態で記憶されていれば、フラグ情報記憶部105でのそのフラグの記憶状態は次の遊技に持ち越される。
【0120】
また、入賞役が「リプレイ」である場合、入賞判定部107は、制御部101に対して当遊技でのベット(賭数)を次の遊技に持ち越させる。一方、入賞役が「特別役」でも「リプレイ」でもない場合には、払出制御部109が入賞役に応じた枚数のメダルの払い出しをホッパ装置93に行わせる。
【0121】
(サブ制御基板における動作)
次に、サブ制御基板60の動作について説明する。
図7は、サブ制御基板60による制御を示すフローチャートである。
図7において、まず、演出パターン選択部201は、メイン制御基板50のからの演出パターンを読み取り、演出制御部202に転送する(ステップS201)。次にステップS202に移行し、演出制御部202の画像制御部301は、描画タイミングになっているか否かを判定し、まだ描画タイミングでない場合(NO)、一旦処理を中断する。
【0122】
ステップS202において描画タイミングである場合(YES)、ステップS203に移行し、オブジェクト配置手段3041は、次回の描画タイミングで表示することを画像制御部301によって指定されたオブジェクトに関するオブジェクトデータをオブジェクトデータ記憶部3031から順次読み出し、仮想三次元空間に配置するモデリング変換処理を実施する。そしてステップS204において、オブジェクト画像生成手段3042は、ビューイング変換され、正規変換されたオブジェクトの各々に対応付けられているテクスチャに関するテクスチャデータをテクスチャデータ記憶部3032から順次呼び出し、オブジェクトの表面にレンダリング処理していく。
【0123】
また同時に、ステップS205において、オブジェクト画像生成手段3042は、仮想三次元空間に視点座標系で定義されたオブジェクトのそれぞれについて、視点座標を基準にして透視投影変換処理を実行する。ステップS206において、透視投影変換されたオブジェクトが本発明に係る特定オブジェクトではなかった場合(NO)、ステップS207に移行し、オブジェクト画像生成手段3042は、生成されたオブジェクト画像データを通常オブジェクト画像レイヤ3052に格納する。特定オブジェクトでなかった場合には、そのままステップS214に移行する。
【0124】
一方、ステップS206において、透視投影変換されたオブジェクトが本発明に係る特定オブジェクトである場合(YES)、ステップS208に移行し、オブジェクト画像生成手段3042は、生成されたオブジェクト画像データを特定オブジェクト画像レイヤ3051に格納する。特定オブジェクト画像レイヤ3051に格納された特定オブジェクト画像データに対しては、さらに以下の処理が実施される。
【0125】
ステップS209において、シフト部分特定手段3043は、特定オブジェクト画像OBJSのうち、シフトさせるべき一部分を特定する。例えば、図9に示すように、「走査線」のズレを模擬する場合には、投影面画像600における水平方向にラインを設定し、そのラインのいずれかをシフトすべきラインとして特定する。
【0126】
次いでステップS210において、シフト部分特定手段3043は、シフトさせるべきとして特定された部分のシフト量を特定する。このシフト量の特定には、図11および図12において説明したように、シフトさせる方向とそのシフト量、シフト量の経時的な変化を含んでいる。
【0127】
シフト量の特定がされたら、ステップS211に移行し、シフト手段3044は、特定されたシフト量となるよう、特定オブジェクト画像の一部分をシフト処理する。このシフト処理は、例えば、特定オブジェクト画像記憶レイヤ3051を直接参照して、その一部分のアドレスを変更することにより実行される。もちろん、画像メモリに余裕があるなら、読み出すアドレスを制御しながら他の領域に特定オブジェクト画像データを転送することでも実現可能である。
【0128】
次にステップS212に移行し、暗表示設定手段3045は、特定オブジェクト画像OBJSに暗表示帯の位置を設定する。この暗表示帯の位置設定については、図13および14で説明したように、一定方向、例えば投影面画像600の縦方向に流れるように、順に表示位置を変更するように処理することができる。また、上述したように、特定オブジェクト画像のOBJSの大きさに対応させて暗表示帯の移動速度を変更制御することもできる。
【0129】
次いでステップS213に移行し、輝度変更手段3046は、設定された暗表示帯部分の輝度(明度)を低減させるようなレンダリング処理を実施する。この処理は、例えば、特定オブジェクト画像記憶レイヤ3051を参照して、暗表示帯の画素データを直接的に変更することにより実行される。また、画像メモリに余裕があるなら、他の領域に特定オブジェクト画像データを転送する際に、暗表示帯の画素データについてのみ輝度変更して格納することでも実現可能である。
【0130】
ステップS214において、他の表示対象オブジェクトがあるか無いかが検査され、他のオブジェクトが存在する場合には(NO)、再びステップS203〜S213が繰り返し実行される。一方、ステップS214において他の表示対象オブジェクトが存在しない場合には(YES)、表示制御手段306は、特定オブジェクト画像記憶レイヤ3051に記憶された特定オブジェクト画像データと通常オブジェクト画像記憶レイヤ3052に記憶されたその他のオブジェクト画像データとを合成し、ステップS216に移行し、フレーム画像データとして演出表示装置40に転送する。以上の処理により、本実施形態の特定オブジェクト画像の「乱れ」が表示されるようになる。
【0131】
図16及び図17に、以上のような処理を行って表示された投影面画像600の表示例を示す。図16と図17とは同じオブジェクトが異なる時間に表示されたものである。
この投影面画像600では、背景を構成するオブジェクト610および612の手前に「的」を表現するための特定オブジェクト画像602が表示されている。この特定オブジェクト画像602は、「的」を表現するためのオブジェクトに「的」を示す模様のテクスチャをマッピングしたものとなっている。
【0132】
ここで、本実施形態のシフト部分特定手段3043により、シフトライン606が特定されている。そして、シフト量が若干量、ランダムに設定され、画面の左右方向にシフトしている。
【0133】
また、本実施形態の暗表示設定手段3045により、特定オブジェクト画像602の一部分に暗表示帯604が設定されている。この暗表示帯604の輝度が周囲に比べて低く設定されている。
【0134】
図16と図17とを比べると判るように、シフトライン606の数や位置、シフト量(方向を含む)は時間の経過とともに変化している。また、暗表示帯604の位置も時間の経過とともに変化している。
【0135】
(変形例)
本発明は、上記に限定されることなく種々に変形して実施することが可能である。
例えば、上記実施形態では、シフト部分特定手段3043によるシフト特定処理と、暗表示設定手段3045による暗表示設定処理とが共に実施されていたが、両者は独立した処理であるため、いずれか一方のみの処理であってもよい。
【0136】
また、上記実施形態では、シフトさせる部分として「走査線」を模擬していたが、これに限定されない。例えば、図15に示すように、特定オブジェクト画像400を大きく二つの部分p10およびp11に分割し、部分p11を部分p10に対して相対的にシフト量Δs10でずらすように設定してもよい。画像が大きく乱れれば、オブジェクトが分断され、ズレが生じたような画像となる場合もあるからである。
【0137】
また、上記実施形態では、「走査線」のズレを模擬するため、横方向(水平方向)へシフトさせていたが、これに限定されるものではない。例え縦方向(垂直方向)、斜め方向へのシフトも、単純にメモリ内部の特定オブジェクト画像データのアドレス変更で対応することができる。また、必ずしもシフトさせる一部分は「ライン」の形状をしていることを要しない。すなわち任意の形状について特定方向へシフトさせることができる。
【0138】
また、上記実施形態では、「暗表示帯」という名称付けによって、特定領域の輝度(明度)を低減させていたが、これに限定されない。特定部分の輝度を増加させて明るい帯を表現させたり、色相や彩度を変化させたりすることによって、色合いや色の濃さの異なる帯を表現させるようにしてもよい。また、必ずしも部分は「帯」の形状をしていることを要しない。すなわち任意の形状について明度、色相、彩度を変更することができる。
【0139】
また、上記実施形態は、コンピュータがプログラムを実行することによって実現することができる。また、プログラムをコンピュータに供給する手段は、プログラムを記録したCD−ROM等のコンピュータ読み取り可能な記録媒体やプログラムを伝送するインターネット等の伝送媒体であってもよい。
【0140】
以上、本発明の実施形態について図面を参照して詳述してきたが、具体的な構成は上記の実施形態に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。
【0141】
(効果)
以上、本実施形態によれば、以下の効果を奏する。
1)本実施形態によれば、二次元画像に展開された特定オブジェクト画像400について、さらにその一部分が特定され、特定された一部分が所定方向のシフトされた後、その画像が表示されるので、走査線のシフトによる乱れを意図的に作り出すことができる。しかも、特定オブジェクト画像記憶レイヤ3051に記憶された展開後のオブジェクト画像を操作するだけなので、子画面画像データ用の一時的な記憶容量が不要であり、画像メモリの容量も比較的小さくて済む。また、別途、子画面を生成して仮想三次元空間に配置前に一時格納する必要がないので、比較的処理能力の低い装置でも実行可能である。
【0142】
2)本実施形態によれば、シフトさせる部分が経時的に変化するので、現実のプロジェクタ等における走査線の乱れを好適にシミュレーション可能である。
【0143】
3)本実施形態によれば、シフトさせる部分のシフト量が経時的に変化するので、現実の同期信号の乱れによる走査線位置のズレを好適にシミュレーション可能である。
【0144】
4)本実施形態によれば、特定オブジェクト画像400が半透明状態に設定されるので、例えばプロジェクタ等からのホログラム映像のような投影画像であることを効果的に表現できる。
【0145】
5)本実施形態によれば、特定オブジェクト画像400は、投影面画像600の画像表示空間における配置が周期的に変動制御されるので、プロジェクタ等からのホログラム映像のような投影画像であることを効果的に表現できる。
【0146】
6)本実施形態によれば、特定オブジェクト画像400に暗表示帯410が設定されるので、プロジェクタやモニタによるテレビジョン方式による画像をVTRで撮影した時に生じる暗表示を擬似的に効果的に表現可能である。
【0147】
7)本実施形態によれば、暗表示帯410の特定オブジェクト画像に対する位置が経時的に変化するので、実際の同期信号の周期の差から一定方向に流れるように移動する暗表示帯を効果的にシミュレーション可能である。
【0148】
8)本実施形態によれば、特定オブジェクト画像400の一方の端部から他方の端部まで暗表示帯410が一定方向に移動するための所用時間が、投影面画像600に対する特定オブジェクト画像400の大きさに関わらず一定に制御されるので、不自然さを感じさせない。
【図面の簡単な説明】
【0149】
【図1】本発明の実施形態に係るスロットマシンの正面図
【図2】本発明の実施形態に係るスロットマシンのシステム構成を示すブロック図
【図3】メイン制御基板の機能的な構成を示す機能ブロック図
【図4】サブ制御基板の機能的な構成を示す機能ブロック図
【図5】演出制御部の詳細な機能構成を示す機能ブロック図
【図6】メイン制御基板による制御を示すフローチャート
【図7】実施形態におけるサブ制御基板の制御を示すフローチャート
【図8】仮想三次元空間における特定オブジェクトOJBSの配置図
【図9】特定オブジェクト画像におけるシフト部分特定の概念図
【図10】シフト部分が特定された特定オブジェクト画像
【図11】特定オブジェクト画像に設定されたシフト部分をシフトさせた場合の例
【図12】シフト量の変動設定の例
【図13】暗表示帯の設定例
【図14】暗表示帯の時間経過に応じた移動を説明する図
【図15】シフト部分設定の変形例
【図16】実施例の特定オブジェクト画像表示例(その1)
【図17】実施例の特定オブジェクト画像表示例(その2)
【符号の説明】
【0150】
10 スロットマシン
21 表示窓
31 リール
31L 左リール
31C 中リール
31R 右リール
40 演出表示装置
50 メイン制御基板
51 メインCPU
52、62 ROM
53、63 RAM
54、69 I/F回路
60 サブ制御基板
101 制御部
102 抽選テーブル
103 役抽選部
105 フラグ情報記憶部
106 リール制御部
107 入賞判定部
108 遊技状態制御部
201 演出パターン選択部
202 演出制御部
301 画像制御部
302 音制御部
3031 オブジェクトデータ記憶部
3032 テクスチャデータ記憶部
304 画像データ生成部
3041 オブジェクト配置手段
3042 オブジェクト画像生成手段
3043 シフト部分特定手段
3044 シフト手段
3045 暗表示設定手段
3046 輝度変更手段
305 画像データ記憶部
3051 特定オブジェクト画像記憶レイヤ
3052 通常オブジェクト画像記憶レイヤ
306 表示制御手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定のオブジェクトを仮想三次元空間に配置する配置手段と、
該オブジェクトを二次元画像に展開してオブジェクト画像を生成するオブジェクト画像生成手段と、
展開された該オブジェクト画像のうち、所定方向にシフトさせるべき一部分を特定するシフト部分特定手段と、
特定された該一部分を該所定方向にシフトするシフト手段と、
該一部分がシフトされた該オブジェクト画像を画像表示のために出力する表示制御手段と、
を備えたことを特徴とする画像生成装置。
【請求項2】
時間の経過に応じて、前記オブジェクト画像のうち異なる部分が前記シフトさせたい一部分として特定される、請求項1に記載の画像生成装置。
【請求項3】
前記一部分は、時間の経過に応じてシフトされる量が変化する、請求項1または2に記載の画像生成装置。
【請求項4】
前記オブジェクト画像は、半透明状態に設定される、請求項1乃至3のいずれか一項に記載の画像生成装置。
【請求項5】
前記オブジェクト画像は、画像表示空間における配置が周期的に変動制御される、請求項1乃至4のいずれか一項に記載の画像生成装置。
【請求項6】
前記オブジェクト画像に暗表示帯を設定する暗表示設定手段と、
該暗表示帯に設定された領域の輝度を変化させる輝度変更手段と、をさらに備える、請求項1乃至5のいずれか一項に記載の画像生成装置。
【請求項7】
前記暗表示帯は、前記オブジェクト画像に対する設定位置が一定方向に経時的に変化する、請求項6に記載の画像生成装置。
【請求項8】
前記オブジェクト画像の一方の端部から他方の端部まで前記暗表示帯が前記一定方向に移動するための所用時間は、前記オブジェクト画像の大きさに関わらず一定に制御される、請求項6または7に記載の画像生成装置。
【請求項9】
請求項1乃至8のいずれか一項に記載の画像生成装置を備えたことを特徴とする遊技機。
【請求項10】
所定のオブジェクトを仮想三次元空間に配置するステップと、
該オブジェクトを二次元画像に展開してオブジェクト画像を生成するステップと、
展開された該オブジェクト画像のうち、所定方向にシフトさせるべき一部分を特定するステップと、
特定された該一部分を該所定方向にシフトするステップと、
該一部分がシフトされた該オブジェクト画像を画像表示のために出力するステップと、
を備えたことを特徴とする画像生成方法。
【請求項11】
請求項10に記載の画像生成方法をコンピュータに実行させるためのプログラム。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【公開番号】特開2007−241949(P2007−241949A)
【公開日】平成19年9月20日(2007.9.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−67345(P2006−67345)
【出願日】平成18年3月13日(2006.3.13)
【出願人】(390031783)サミー株式会社 (5,279)
【Fターム(参考)】