説明

画像表示用透明電極体および画像表示装置

【課題】透明性、耐屈曲性に優れた画像表示用の透明電極体と、それを用いた画像表示装置を提供することを解決課題とする。
【解決手段】透明な基材21の片面に極細導電繊維25を含んだ透明な導電層22を形成して透明電極体とする。導電層22内の極細導電繊維25は凝集することなく分散して互いに接触させるか、1本ずつ分離した状態で若しくは複数本集まって束になったものが1束ずつ分離した状態で分散して互いに接触させる。極細導電繊維としては、カーボンナノチューブが好ましく用いられ、表面抵抗率を10Ω/□以下とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、透明性が高く、着色も少なく、耐屈曲性に優れた透明導電層を有する画像表示用透明電極体、および、それを用いた画像表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
画像表示装置は、テレビ、パソコン、携帯電話、カーナビゲーション、車両や船舶、航空機などの計器盤、各種機器の計器盤、画像看板、その他のディスプレイに使用され、近年更にその他の用途に拡大が図られている。
【0003】
このような画像表示装置の透明電極体として、ポリエチレンテレフタレートフィルムに酸化インジウム−酸化スズ(ITO)が蒸着された電極体が一般に用いられており、またプラスチックフィルム基材の表面に酸化インジウムや酸化錫や酸化亜鉛などから成膜された導電性薄膜を形成した導電性部材も知られているし(特許文献1)、更に脂肪族ポリイミドに酸化インジウムなどの金属酸化物の透明導電層を設けた透明導電性フィルムも知られている(特許文献2)。
【特許文献1】特開平2002−42560号公報
【特許文献2】特開平2003−141936号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記のITOや酸化錫などを用いた透明導電性電極体は、透明導電層がITOなどであるために耐屈曲性に劣り、湾曲した画像表示装置を作製する際に、当該電極体を曲げるとクラックが生じて表面抵抗率が変化し、電極体としての機能を果たせなくなるという問題を有していた。さらに、電極体に衝撃力が加わった時に押圧が電極体の一箇所に加わり局所的に凹むために、当該部分の電極体にクラックが生じるという問題もあった。
また、ITOからなる透明電極体は、スパッタリングなどのバッチ式の製法であるために生産性が悪く、コストが高いという問題もあった。
【0005】
本発明は上記の問題に対処するためになされたもので、ITO透明電極体に代わる新規な透明電極体を提供し、湾曲した画像表示装置にも使用でき、また衝撃が加わってもクラックを生ぜずに使用できる画像表示用透明電極体を提供することを解決課題としている。
また、コストが安く経済的で透明な画像表示用透明電極体と、それを用いた画像表示装置を提供することも解決課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するため、本発明の第一の画像表示用透明電極体は、透明な基材の少なくとも片面に、極細導電繊維を含んだ透明な導電層が形成されていることを特徴とするものである。
【0007】
また、本発明の第二の画像表示用透明電極体は、透明な基材の少なくとも片面に、極細導電繊維を含んだ透明な導電層が形成された電極体であって、上記極細導電繊維が凝集することなく分散して互いに接触していることを特徴とするものである。
【0008】
また、本発明の第三の画像表示用透明電極体は、透明な基材の少なくとも片面に、極細導電繊維を含んだ透明な導電層が形成された電極体であって、上記極細導電繊維が1本ずつ分離した状態で、もしくは、複数本集まって束になったものが1束ずつ分離した状態で、分散して互いに接触していることを特徴とするものである。
【0009】
本発明において、極細導電繊維としてはカーボンナノチューブが好ましく用いられ、これらが1本ずつ分離した状態で分散して互いに接触し、或は、複数本集まって束になった状態で1束ずつ分散して互いに接触していることが好ましい。また、導電層の表面抵抗率は10Ω/□以下の導電性を有していることが好ましく、また550nm波長の光線透過率が75%以上であることも好ましい。そして、この導電層は、曲率半径3mmで曲げた後の表面抵抗率の増大が1.3倍以下であることが好ましい。
【0010】
また、本発明の画像表示装置は、上記の各透明電極体を電極基板として用いたことを特徴とするものである。
【0011】
なお、本発明で「凝集することなく」とは、導電層を光学顕微鏡で観察し、平均径が0.5μm以上の凝集塊がないことを意味する用語である。また、「接触」とは、極細導電繊維が現実に接触している場合と、極細導電繊維が導通可能な微小間隔をあけて近接している場合の双方を意味する用語である。さらに、「導電性」とは、JIS K 7194(ASTM D 991)で測定し、表面抵抗率が10Ω/□以下であることを意味する用語である。
【発明の効果】
【0012】
本発明の第一の画像表示用透明電極体は、極細導電繊維により導電層が形成されているので、表面抵抗率を10Ω/□以下に、且つ導電層の光線透過率を75%以上に容易にコントロールできる。また、耐屈曲性に優れるために、画像表示用透明電極体を湾曲させても表面抵抗率が殆ど変化することがなく、湾曲した画像表示装置に用いることができる。また、電極体が局所的に凹んでもクラックを生じることがなくて、運搬や組み込み工程での作業性を向上させることができるし、これを組み込んだ画像表示装置を湾曲することもできる。
【0013】
そして、極細導電繊維がカーボンナノチューブであると、該カーボンナノチューブが細くて長いので、これら相互の接触がさらに良好に確保でき、さらに高い透明性を付与することが可能となるし、耐屈曲性も良好となり、曲率半径の小さな湾曲にも対応することも可能となる。
【0014】
本発明の第二の画像表示用透明電極体は、導電層に含まれる極細導電繊維が凝集することなく分散して互いに接触しているので、該繊維が凝集していない分だけ、極細導電繊維が解けて相互の十分な導通を確保できる。そのため、極細導電繊維量を少なくしても従来と同じ導電性を確保でき、極細導電繊維量が減少した分だけ透明性を向上させることができる。このように、極細導電繊維量を少なくしても導電層の表面抵抗率を10Ω/□以下にでき、同時に光線透過率を75%以上とすることができるので、透明性に優れた画像表示用透明電極体とすることができる。
【0015】
本発明の第三の画像表示用透明電極体は、導電層に含まれる極細導電繊維が1本ずつ分離した状態で、もしくは、複数本集まって束になったものが1束ずつ分離した状態で分散して互いに接触しているので、分散した1本若しくは1束の極細導電繊維相互の接触機会が多くなり、十分な導通を確保でき良好な導電性と透明性を得ることができる。そのため極細導電繊維量を少なくしても導電層の表面抵抗率が10Ω/□以下で、光線透過率が75%以上の電極体とすることが容易になる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下、図面を参照して本発明の代表的な実施形態を詳述するが、本発明はこれに限定されるものではない。
【0017】
図1は本発明の透明導電層を有する透明電極体を用いた有機EL(エレクトロルミネッセンス)ディスプレイ装置の基本的な構成を示す断面図、図2は同ディスプレイ装置に使用する透明電極体の一実施形態を示す断面図、図3(a)は同透明電極体の導電層内部における極細導電繊維の分散状態を示す模式断面図、図3(b)は同導電層表面における極細導電繊維の他の分散状態を示す模式断面図、図4は同導電層を平面から見た極細導電繊維の分散状態を示す模式平面図である。
【0018】
図1に例示する有機ELディスプレイ装置は、ガラスや透明樹脂などからなる透明基板1と、陽極となる透明電極体2と、正孔輸送層3と、発光層4と、電子輸送層5と、陰極となる金属薄膜電極体6とから構成されている。このような有機ELディスプレイ装置は、陽極透明電極体2と陰極金属薄膜電極体6とに数V(ボルト)の直流電圧を印加すると、陽極透明電極2から正孔輸送層3に注入された正孔が発光層4に侵入すると共に、陰極金属薄膜電極6からは電子が発光層4の中を拡散、移動して、発光層4の内部で正孔と結合し電気的に中和され、その際、エネルギーを放出する。このエネルギーにより発光層4に含まれる発光材料や蛍光材料が一重項励起状態に励起されるが、直ちに基底状態に戻ると共に蛍光の形で光が放出されるのである。
【0019】
なお、陽極透明電極体2と陰極金属薄膜電極体6とは、夫々がパターン化された電極体であってもよいし、或は、どちらか一方の電極はパターン化し他方の電極を全面電極にしてもよいし、或は、両方の電極を共に全面電極にしてもよく、必要とされる電極構成に応じて作製される。
【0020】
上記の有機ELディスプレイ装置において、これを構成する透明基板1がガラスや樹脂板であること、正孔輸送層3がジアミン系化合物などを含んで製されていること、発光層4がキノリノールアルミニウム錯体などを含んで製されていること、電子輸送層5が1,2,4−トリアゾール誘導体などを含んで製されていること、陰極金属薄膜電極体6が合成樹脂フィルム61にアルミニウムの蒸着などで形成した金属薄膜62とで構成されていることなどは公知であるので説明を省略する。さらに、正孔輸送層3と発光層4と電子輸送層5との合計厚みが数100nmであることも公知である。
【0021】
この有機ELディスプレイ装置に使用している透明電極体2は、図2に拡大して示すように、透明合成樹脂などの透明材よりなる基材21の片方の表面に、極細導電繊維25を含んだ透明導電層22を積層形成して一体としたものである。なお、透明導電層22を透明基材21の両面に積層形成してもよい。
【0022】
透明電極体2を構成する基材21としては、透明性を有する熱可塑性樹脂、熱や紫外線や電子線や放射線などで硬化する硬化性樹脂などが使用されている。前記透明熱可塑性樹脂としては、例えばポリエチレン、ポリプロピレン、環状ポリオレフィン等のオレフィン系樹脂、ポリ塩化ビニル、ポリメチルメタクリレート、ポリスチレン等のビニル系樹脂、ニトロセルロース、トリアセチルセルロース等のセルロース系樹脂、ポリカーボネート、ポリエチレンテレフタレート、ポリジメチルシクロヘキサンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリアリレート、芳香族ポリエステル等のエステル系樹脂、ABS樹脂、ポリエーテルサルフォン、ポリエーテルエーテルケトン、これらの樹脂の共重合体樹脂、これらの樹脂の混合樹脂などが使用され、前記透明硬化性樹脂としては、例えばエポキシ樹脂、ポリイミド樹脂、アクリル樹脂などが使用される。
【0023】
上記樹脂のうちでも、80%以上、好ましくは85%以上の全光線透過率と、4%以下のヘーズを備えた基材21を得ることができる樹脂が特に好ましく使用される。このような樹脂としては、環状ポリオレフィン、ポリ塩化ビニル、ポリメチルメタクリレート、ポリスチレン、トリアセチルセルロース、ポリカーボネート、ポリエチレンテレフタレート、ポリジメチルシクロヘキサンテレフタレート、或はその共重合体樹脂、これらの混合樹脂、硬化型アクリル樹脂が用いられる。
【0024】
これらの樹脂からなる基材21は、透明基板1に支持されているので、その厚みを厚くする必要はなく、30〜1000μm程度とされている。この基材21を含む透明電極体2或は有機ELディスプレイ装置を巻いたり湾曲させるためには、この厚みを30〜500μm、更に好ましくは50〜200μmとするのが望ましい。
なお、上記合成樹脂製基材21には可塑剤、安定剤、紫外線吸収剤等が適宜配合され、成形性、熱安定性、耐候性等が高められる。
【0025】
この樹脂製基材21の片面に形成された導電層22は、極細導電繊維25を含んだ透明層であって、その表面抵抗率が10Ω/□以下で、550nm波長の光線透過率が75%以上となるように調整されている。そのためには、上記極細導電繊維25が凝集することなく分散して互いに接触していることが好ましい。換言すれば、極細導電繊維25が絡み合うことなく1本ずつ分離した状態で、もしくは、複数本集まって束になったものが1束ずつ分離した状態で、分散して互いに接触するようになされている。
【0026】
導電層22が主に極細導電繊維25と透明なバインダーとで形成されていると、図3(a)に示すように、極細導電繊維25はバインダーの内部に上記の分散状態で分散して互いに接触しているか、或は図3(b)に示すように、極細導電繊維25の一部がバインダー中に入り込み他の部分がバインダー表面から突出ないし露出して上記分散状態で分散して互いに接触しているか、或は一部の極細導電繊維25が図3(a)のようにバインダーの内部に、他の極細導電繊維25が図3(b)のように表面から突出ないし露出している状態で分散していることとなる。
【0027】
これらの極細導電繊維25の平面から見た分散状態を図4に模式概略的に示す。この図4から理解されるように、極細導電繊維25は多少曲がっているが1本ずつ或は1束ずつ分離し、互いに複雑に絡み合うことなく即ち凝集することなく、単純に交差した状態で導電層22の内部に或は表面に分散され、それぞれの交点で接触している。
【0028】
このように分散していると、凝集している場合に比べて、極細導電繊維25が解れて広範囲に存在しているので、これら繊維同士の接触する機会が著しく増加し、その結果導通して導電性を著しく高めることができる。従来の極細導電繊維が凝集した、即ち0.5μm以上の凝集塊を有する導電層と同じ10Ω/□以下の導電性を得るためには、接触点(導通の密度)を従来のものと同じにすればよいのであるから、上記分散状態にすることで極細導電繊維25の量を減少させても同じ接触機会を得ることができ、その分、極細導電繊維25の量を少なくすることができるのである。その結果、透明性を阻害する極細導電繊維25の量が少なくなった分だけ透明性が向上するし、また、導電層22を薄くすることもでき、一層透明性を向上させることができる。
【0029】
なお、極細導電繊維25は完全に1本ずつ或は1束ずつ分離して分散している必要はなく、一部に絡み合った小さな凝集塊があっても良いが、その大きさは平均径が0.5μm以上でないことが好ましい。
【0030】
一方、従来と同じ量の極細導電繊維25を導電層22に含ませると、上記分散状態にすることで、繊維同士の接触機会を得ることができる。そのため、導電性を著しく向上させることができるので、10Ω/□以下の導電性を容易に得ることができる。
さらに、極細導電繊維25を導電層22に含ませて該導電層22の厚みを5〜500nmと薄くすると、厚み方向に分散していた極細導電繊維25が濃縮され、これら相互の接触する機会が増加するので、一層導電性を高めることが可能となる。従って、導電層22の厚みを上記の範囲で薄くすることが好ましく、更に好ましくは10〜400nmにすることが望ましい。
【0031】
このように、極細導電繊維25が導電層22内で多少曲がっているが1本ずつ或は1束ずつ分離し、互いに複雑に絡み合うことなく即ち凝集することなく分散された状態で接触していると、該導電層22を曲げたりしても、極細導電繊維25が伸びるために切断することが殆どない。そのため、透明電極体2を湾曲させても、或は局所的な凹みが生じても、該導電層22にクラックや剥離を生じることがなく、表面抵抗率が大きく増大したり、断線を生じることのない信頼性、耐久性に優れた透明電極体2とすることができる。後述する実施例からわかるように、本発明の透明電極体2は、曲率半径3mmで曲げても、或は曲率半径1mmで曲げても元の1.3倍以下しか増加しないことが確認されている。
【0032】
導電層22に使用される極細導電繊維25としては、カーボンナノチューブ、カーボンナノホーン、カーボンナノワイヤ、カーボンナノファイバー、グラファイトフィブリルなどの極細長炭素繊維、白金、金、銀、ニッケル、シリコンなどの金属ナノチューブ、ナノワイヤなどの極細長金属繊維、酸化亜鉛などの金属酸化物ナノチューブ、ナノワイヤなどの極細長金属酸化物繊維などの、直径が0.3〜100nmで長さが0.1〜20μm、好ましくは長さが0.1〜10μmである極細導電繊維が好ましく用いられる。これらの極細導電繊維25は、これが凝集することなく1本ずつ或は1束ずつ分散することにより、該導電層22の表面抵抗率が10Ω/□以下でその光線透過率が75%以上のものが得られる。
【0033】
これらの極細導電繊維25の中でも、カーボンナノチューブは、直径が極めて細く0.3〜80nmであるので、1本ずつ或は1束ずつ分散することで該カーボンナノチューブが光透過を阻害することが少なくなり、より透明な導電層22を得るうえで特に好ましい。
【0034】
これらの極細導電繊維25は、導電層22の内部に、或は表面に、凝集することなく、1本ずつ或は1束ずつ分散し、互いに接触して導通性を確保している。そのため、極細導電繊維25を導電層22に15〜450mg/mの目付け量含ませることで、その表面抵抗率を10〜10Ω/□の範囲内で自由にコントロールすることができる。該目付け量は、導電層22の表面を電子顕微鏡で観察し、表面面積に占める極細導電繊維の面積割合を測定し、これに厚みと極細導電繊維の比重(極細導電繊維がカーボンナノチューブである場合は、グラファイトの文献値2.1〜2.3の平均値2.2を採用)を掛けることで計算した値である。
【0035】
ここで、凝集をしていないとは、前記の如く、導電層を光学顕微鏡で観察し、凝集している塊があれば、その長径と短径とを測定し、その平均値が0.5μm以上の塊がないことを意味する用語である。
【0036】
上記カーボンナノチューブには、中心軸線の周りに直径が異なる複数の円筒状に閉じたカーボン壁を同心的に備えた多層カーボンナノチューブや、中心軸線の周りに単独の円筒状に閉じたカーボン壁を備えた単層カーボンナノチューブがある。
【0037】
前者の多層カーボンナノチューブは、中心軸線の周りに多層に重なって構成されたものと、渦巻き状に多層に形成されているものとがある。そのなかでも、好ましい多層カーボンナノチューブは、2〜30層、より好ましくは2〜15層重なったものである。該多層カーボンナノチューブは1本づつ分離した状態で分散しているものが殆どであるが、2〜3層カーボンナノチューブは、束になって分散している場合もある。
【0038】
一方、後者の単層カーボンナノチューブは、中心軸線の周りに円筒状に閉じた単層のチューブである。このような単層カーボンナノチューブは単独で存在することはなく、2本以上が束になった状態で存在し、その束が1束ずつ分離して、束同士が複雑に絡み合うことなく、単純に交差した状態で導電層の内部若しくは表面に分散され、それぞれの交点で接触している。そして、好ましくは10〜50本の単層カーボンナノチューブが集まって束になったものが用いられる。
【0039】
上記のように、極細導電繊維25が絡み合うことなく凝集せずに導電層22中に分散してお互いに接触すると、導電層22の厚みを薄くしても、カーボンナノチューブ相互の十分な導通が確保されるため、極細導電繊維25の目付け量を15〜450mg/mとし、導電層22の厚みを5〜500nmと薄くしても、カーボンナノチューブが解れているので相互の十分な導通が確保され、表面抵抗率を10Ω/□以下にすることが容易であり、良好な導電性を発揮する。そして、極細導電繊維25が解れて凝集塊がなくなり光透過を阻害しないので透明性が良好になると共に、導電層22の厚みを薄くしてカーボンナノチューブの目付け量を少なくした分だけ透明性が向上するようになる。
【0040】
極細導電繊維25を多量に導電層22内に含有し、より良好な導電性及び透明性を発現させるには、極細導電繊維25の分散性を高め、さらに作製した塗液の粘度を下げて塗液のレベリング性を向上させ、薄い導電層22を形成することが重要であり、そのためには、分散剤を併用することが重要である。このような分散剤としては、酸性ポリマーのアルキルアンモニウム塩溶液や3級アミン修飾アクリル共重合物やポリオキシエチレン−ポリオキシプロピレン共重合物などの高分子系分散剤、カップリング剤などが好ましく用いられる。
なお、この導電層22には紫外線吸収剤、表面改質剤、安定剤等の添加剤を適宜加えて、耐候性その他の物性を向上させても良い。
【0041】
導電層22に使用するバインダーとしては、透明な熱可塑性樹脂、特にポリ塩化ビニル、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、ポリメチルメタクリレート、ニトロセルロース、塩素化ポリエチレン、塩素化ポリプロピレン、弗化ビニリデンが、また熱や紫外線や電子線や放射線などで硬化する透明な硬化性樹脂、特にメラミンアクリレート、ウレタンアクリレート、エポキシ樹脂、ポリイミド樹脂、アクリル変性シリケートなどのシリコーン樹脂などが使用され、これらのバインダーと上記極細導電繊維25とからなる導電層22が透明層となるようにされる。なお、これらのバインダーにはコロイダルシリカのような無機材を添加してもよい。特に、基材21を形成する透明熱可塑性樹脂と同種の透明な熱可塑性樹脂、又は相溶性のある異種の透明な熱可塑性樹脂が、互いの積層性に優れ好ましく使用される。
【0042】
上述したように、導電層22における極細導電繊維25の目付け量を15〜450mg/mとし、導電層22の厚みを5〜500nmと薄くして、極細導電繊維25を凝集することなく1本ずつ或は1束ずつ分散させることで、表面抵抗率が10Ω/□以下の良好な導電性及び75%以上の透明性が発現される。より好ましい極細導電繊維25の目付け量は40〜400mg/m、導電層22の厚みは10〜400nmである。なお、カーボンナノチューブの他に導電性金属酸化物などの導電性金属酸化物の粉末を30〜50質量%程度含有させてもよい。
【0043】
上記導電層22は、極細導電繊維25が上記の如く分散して色相に影響をあまり与えないため、黄色味や青色味に偏ることがない。従って、発光層4から放出される光の色調を変えることがなく、画像表示装置の表示色相を正確に表現することができる。
例えば、上記導電層22を上記の樹脂製基材21の片面に形成した透明電極体2は、JIS Z8729に定められたL表色系の透過色度におけるaが−2.5〜2.5及びbが−2.5〜8.0の範囲であることが好ましい。更に好ましくは、aが−1.0〜1.0及びbが−1.0〜6.0の範囲である。また、JIS K7103に基づく透明電極体2の黄色度(YI)を15以下、より好ましくは10以下の範囲にすることも望ましい。
このような導電層22を有する透明電極体2を用いると、これを透過する光の色調を変えることがないため、画像表示装置の表示色相を正確に表現することができるという効果を有する。
【0044】
以上のような透明電極体2は、例えば次の方法で効率良く量産することができる。第一の方法は、導電層形成用の前記バインダーを揮発性溶剤に溶解した溶液に極細導電繊維25を均一に分散させて塗液を調製し、この塗液を基材21の片面に塗布、固化させて導電層22を形成することにより画像表示用透明電極体2を製造する方法である。
第二の方法は、基材21と同種の熱可塑性樹脂フィルム又は相溶性のある異種の熱可塑性樹脂フィルムの片面に、上記塗液を塗布、固化させて導電層22を形成した導電性フィルムを作製し、この導電性フィルムを基材21の片面に重ねて熱プレスやロールプレスで熱圧着することにより画像表示用透明電極体2を製造する方法である。
さらに他の方法は、ポリエチレンテレフタレートなどの剥離フィルムに上記塗料を塗布、固化させて導電層22を形成し、必要であればさらに接着層を形成して転写フィルムを作製し、この転写フィルムを基材21の片面に重ねて圧着して導電層22若しくは接着層と導電層22とを転写することにより画像表示用透明電極体2を製造する方法である。
【0045】
上記製造方法において、第一の方法は、電極体2の厚さが30〜300μmと薄いものを作製するのに適しており、第二、第三の方法は300〜1000μmと厚いものを作製するのに適している。
なお、その他の公知の製法によっても製造されることは言うまでもない。
【0046】
このようにして得られた透明電極体2は、環状に巻いて輸送されても、上記の如く耐屈曲性に優れるので、小さな径に巻いてもクラックが発生することがなく、作業性や輸送性に優れる。また、この際に、透明電極体2に衝撃力が加わり、局所的に凹んでもクラックが発生することもないので、取り扱い性に優れる。
【0047】
このような透明電極体2は、基板1にアクリル系などの透明接着剤などで積層されて、或は基板1に載置されて画像表示装置に提供される。そして、透明基板1が湾曲している場合は、この湾曲面に沿って透明電極体2を湾曲させながら積層乃至載置すればよく、この場合においても透明電極体2にクラックなどの発生が生じることがない。
さらに、透明基板1が合成樹脂板であると、透明電極他体を積層した後であっても、当該積層体を湾曲させることができる。
【0048】
図5は、本発明の他の実施形態を示す有機EL(エレクトロルミネッセンス)ディスプレイ装置の基本的な構成を示す断面図である。図5に例示する有機ELディスプレイ装置は、図1の有機ELディスプレイ装置と異なり透明基板1を使用していおらず、透明電極体2と、正孔輸送層3と、発光層4と、電子輸送層5と、金属薄膜電極体6とから構成されている。
【0049】
このような有機ELディスプレイ装置は、ガラスなどの基板1を用いていないので剛性を有さず、また、有機ELディスプレイ装置を湾曲させても問題を生じることがない。そのため、有機ELディスプレイ装置を巻いて運搬できるし、湾曲した基板に載置乃至支持させることもできるし、他の適当な支持体に載置乃至支持できるし、円筒状の有機ELディスプレイ装置とすることもできる。
【0050】
この実施形態の有機ELディスプレイ装置を構成する陽極透明電極体2、正孔輸送層3、発光層4、電子輸送層5、陰極金属薄膜電極体6は、前記図1に示したものと同じであるので説明を省略する。
【0051】
図6は、本発明の他の実施形態を示す有機EL(エレクトロルミネッセンス)ディスプレイ装置の基本的な構成を示す断面図である。図6に例示する有機ELディスプレイ装置は、図1の有機ELディスプレイ装置と異なり透明基板1を使用していおらず、厚みの厚い透明合成樹脂製基材21aと導電層22とからなる陽極透明電極体2aと、正孔輸送層3と、発光層4と、電子輸送層5と、陰極金属薄膜電極体6とから構成されている。
【0052】
この透明電極体2aは、前記厚みの薄い基材21に使用された透明合成樹脂から製されていて、その厚みを1.0〜3.0mm程度にして剛性を付与した基材21aと、前記導電層22とを積層したものである。
【0053】
このような透明電極体2aは、基材21aも導電層22も共に湾曲することができるので、当該電極体2aも導電層22にクラックを生じさせることなく湾曲させることができ、湾曲した有機ELディスプレイ装置を作製するうえで好ましく用いられる。
【0054】
その他の構成である導電層22、正孔輸送層3、発光層4、電子輸送層5、金属薄膜電極体6とは、前記図1に示したものと同じであるので説明を省略する。
【0055】
上記各実施形態では、基板1に、基材21と導電層22とからなる電極体2を積層乃至載置したが、基板1に直接導電層22を塗布などの方法を用いて形成して透明電極体2としてもよい。この場合は、導電層22のみによって透明電極体2が構成されることとなる。
さらに、各実施形態は有機ELディスプレイ装置を例示して説明したが、当然ながら、他の画像表示装置、例えば液晶ディスプレイ装置などにも、本発明の透明電極体を使用できることは言うまでもない。液晶ディスプレイ装置の場合、透明電極として両側に本発明の透明電極体を使用することができるが、どちらか一方の透明電極体に本発明の透明電極体を使用し、他方の透明電極体にITO電極体を使用してもよい。
【0056】
次に、本発明の更に具体的な実施例を挙げる。
【0057】
[実施例1]
溶媒としてのイソプロピルアルコール/水混合物(混合比3:1)中に単層カーボンナノチューブ(文献Chemical Physics Letters,323(2000)P580−585に基づき合成した物、直径1.3〜1.8nm)と分散剤としてのポリオキシエチレン-ポリオキシプロピレン共重合物を加えて均一に混合、分散させ、単層カーボンナノチューブを0.003質量%、分散剤を0.05質量%含む塗液を調整した。
【0058】
この塗液を、市販の厚さ100μmのポリエチレンテレフタレートフィルム(全光線透過率94.5%、ヘーズ1.5%)の表面に塗布して乾燥後、更に、メチルイソブチルケトンで600分の1に希釈した熱硬化性のウレタンアクリレート溶液を塗布して乾燥することにより導電層を形成し、導電性透明ポリエチレンテレフタレートフィルムを得た。
【0059】
このフィルムの導電層を走査電子顕微鏡(日立製作所社製S800)で観察してカーボンナノチューブの面積割合を測定したところ70.3%であった。また、導電層の厚さは47nmであった。このことより、導電層の単層カーボンナノチューブの目付け量は面積割合70.3%と厚み47nmと比重(2.2)を掛け合せた72.7mg/mであった。
【0060】
この導電性透明ポリエチレンテレフタレートフィルムの表面抵抗率を三菱化学社製のロレスターで測定したところ、表1に示すように、表面抵抗率が5.4×10Ω/□であつた。
また、この導電性フィルムの全光線透過率とヘーズとを、ASTM D1003に準拠して、スガ試験機社製の直読ヘーズコンピューターHGM−2DPで測定したところ、表1に示すように、全光線透過率が90.5%、ヘーズが1.8 %であった。
また、この導電性フィルムの導電層の550nm波長の光線透過率を、島津製作所製島津自記分光光度計UV−3100PCを用いて、導電層付きフィルムと元のポリエチレンテレフタレートフィルムとの波長550nmにおける差で測定し、それらの差を導電層の光線透過率した。この光線透過率は、表1に示すように、90.5%であった。
【0061】
更に、この導電性フィルムの導電層を光学顕微鏡で観察したところ、0.5μ以上の凝集塊は存在しておらず、単層カーボンナノチューブの分散が十分に行われていた。そして、多数のカーボンナノチューブが1束ずつ分離した状態で均一に分散し、単純に交差した状態で接触していることがわかった。
【0062】
また、この導電性フィルムの色相を調べるために、JIS Z8722に基づく日本電色工業株式会社製の色差計 ZE−2000を用いて、導電層付きフィルムの色相を測定した。表1に示すように、この導電層付きフィルムは、L: 92.42、a:−0.15、b:1.52、YI:3.13であった。
【0063】
また、この導電性フィルムを屈曲させたときの表面抵抗率の変化を調べるために、フィルムを3mm、1mmの線材に沿わせ1分間保持した後、沿わせた部分を含んだ表面抵抗率を測定した。その屈曲させる前の表面抵抗率を1(100%)としたときの表面抵抗率の増大率は、表1に記載したように、それぞれ1.15倍、1.16倍であった。
【0064】
[実施例2]
実施例1で用いた塗液を、実施例1で使用したポリエチレンテレフタレートフィルムの表面に塗布して乾燥することにより導電層を形成し、該導電層中のカーボンナノチューブの目付け量が50mg/mである導電性透明ポリエチレンテレフタレートフィルムを得た。
【0065】
この導電性透明ポリエチレンテレフタレートフィルムフィルムの表面抵抗率を、実施例1と同様にして測定したところ、表1に併記するように、表面抵抗率が9.55×10Ω/□であつた。
また、この導電性フィルムの全光線透過率とヘーズとを、実施例1と同様にして測定したところ、表1に併記するように、全光線透過率が87.9%、ヘーズが2.5%であった。
また、このフィルムの導電層の550nm波長の光線透過率を、実施例1と同様にして測定したところ、表1に併記するように、93.0%であった。
また、このフィルムの屈曲させた後の表面抵抗率を、実施例1と同様にして測定したところ、曲率半径3mmで約1.11倍の、また1mmで1.08倍の増加でしかなかった。
【0066】
[実施例3]
実施例1で用いた塗液を、実施例1で使用したポリエチレンテレフタレートフィルムの表面に塗布して乾燥することにより導電層を形成し、該導電層中のカーボンナノチューブの目付け量が267mg/mである導電性透明ポリエチレンテレフタレートフィルムを得た。
【0067】
この導電性透明ポリエチレンテレフタレートフィルムフィルムの表面抵抗率を、実施例1と同様にして測定したところ、表1に併記するように、表面抵抗率が86.0Ω/□であつた。
また、この導電性フィルムの全光線透過率とヘーズとを、実施例1と同様にして測定したところ、表1に併記するように、全光線透過率が69.9%、ヘーズが5.4%であった。
また、このフィルムの導電層の550nm波長の光線透過率を、実施例1と同様にして測定したところ、表1に併記するように、76.0%であった。 また、このフィルムの屈曲させた後の表面抵抗率を、実施例1と同様にして測定したところ、曲率半径3mmで約1.14倍の、1mmで1.18倍の増加でしかなかった。
【0068】
[比較例1]
市販している東洋紡績株式会社製のITOフィルム400Rを用いて、表面抵抗率、全光線透過率とヘーズ、色相、屈曲させたときの表面抵抗の変化を、実施例1と同様にして測定し、その結果を表1に併記した。
【0069】
【表1】

【0070】
表1からわかるように、実施例1〜3は表面抵抗率が86〜955Ω/□であり、比較例1のITO皮膜と同程度の抵抗率を有し、画像表示用電極体として必要な表面抵抗率を有していることがわかる。しかも、全光線透過率は69.9〜87.9%、ヘーズは1.8〜5.4%であり、実用上問題のない透明性を有していることがわかる。特に、比較例1のITO被膜と同程度の表面抵抗率を示す実施例1は、略同じ全光線透過率とヘーズを有し、何ら遜色ない光学特性を有していることもわかる。
【0071】
さらに、実施例1の色相は、aが−0.15、bが1.52YIが3.13であり、比較例1のaが−0.32、bが2.82、YIが5.57であるので、実施例1がより色差が小さく、ITO被膜よりも黄色味を呈していないことがわかる。そのため、実施例1のフィルムを画像表示装置の透明電極体として使用しても、これを透過する光の色相を変えることなく表示できることがわかる。しかし、比較例1のITOフィルムは黄色を帯びているので色相が変化して表示される恐れがあり、色補正を行う別のフィルムを必要とすることとなる。
【0072】
さらに、各実施例の導電性フィルムは、沿わせる線材の曲率半径が3mm、さらには1mmの場合でも1.3倍以下であることがわかる。このことより、各実施例のフィルムを湾曲させても表面抵抗率の増加を小さくでき、湾曲した画像表示装置の透明電極体として使用できることがわかる。さらに、曲率半径が小さくても表面抵抗率の増加率が少ないので、透明電極体に衝撃が加わって局所的な凹みが生じても、表面抵抗率が増加せずに実使用上問題のない抵抗率を保持し、透明電極体として使用できることがわかる。
【図面の簡単な説明】
【0073】
【図1】本発明の透明導電層を有する透明電極体を用いた有機EL(エレクトロルミネッセンス)ディスプレイ装置の基本的な構成を示す断面図である。
【図2】同ディスプレイ装置に使用する透明電極体の一実施形態を示す断面図である。
【図3】(a)は同透明電極体の導電層内部における極細導電繊維の分散状態を示す模式断面図、(b)は同導電層表面における極細導電繊維の他の分散状態を示す模式断面図である。
【図4】同導電層を平面から見た極細導電繊維の分散状態を示す模式平面図である。
【図5】本発明の透明導電層を有する透明電極体を用いた他の実施形態を示す有機ELディスプレイ装置の基本的な構成を示す断面図である。
【図6】本発明の透明導電層を有する透明電極体を用いた更に他の実施形態を示す有機ELディスプレイ装置の基本的な構成を示す断面図である。
【符号の説明】
【0074】
1 透明基板
2 透明電極体
21 陽極透明電極体
22 陰極透明電極体
23 基材
24 導電層
25 極細導電繊維
3 正孔輸送層
4 発光層
5 電子輸送層

【特許請求の範囲】
【請求項1】
透明な基材の少なくとも片面に、極細導電繊維を含んだ透明な導電層が形成されていることを特徴とする画像表示用透明電極体。
【請求項2】
透明な基材の少なくとも片面に、極細導電繊維を含んだ透明な導電層が形成された電極体であって、上記極細導電繊維が凝集することなく分散して互いに接触していることを特徴とする画像表示用透明電極体。
【請求項3】
透明な基材の少なくとも片面に、極細導電繊維を含んだ透明な導電層が形成された電極体であって、上記極細導電繊維が1本ずつ分離した状態で、もしくは、複数本集まって束になったものが1束ずつ分離した状態で分散して互いに接触していることを特徴とする画像表示用透明電極体。
【請求項4】
上記極細導電繊維がカーボンナノチューブであることを特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれかに記載の画像表示用透明電極体。
【請求項5】
上記導電層が10Ω/□以下の表面抵抗率を備えていることを特徴とする請求項1ないし請求項4のいずれかに記載の画像表示用透明電極体。
【請求項6】
上記導電層が10Ω/□以下の表面抵抗率を備えており、その550nm波長の光線透過率が75%以上であることを特徴とする請求項1ないし請求項5のいずれかに記載の画像表示用透明電極体。
【請求項7】
上記導電層が、曲率半径3mmで曲げた後の表面抵抗率の増大が1.3倍以下であることを特徴とする請求項1ないし請求項6のいずれかに記載の画像表示用透明電極体。
【請求項8】
請求項1〜7のいずれかに記載の透明電極体を用いたことを特徴とする画像表示装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2006−171336(P2006−171336A)
【公開日】平成18年6月29日(2006.6.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−363408(P2004−363408)
【出願日】平成16年12月15日(2004.12.15)
【出願人】(000108719)タキロン株式会社 (421)
【Fターム(参考)】