説明

画像表示装置、画像表示観察システム及び画像表示方法

【課題】右目用画像と左目用画像が混ざるクロストークの発生を確実に抑えるとともに、所望の輝度で表示を行うこと。
【解決手段】画像信号の入力を受け、右目用画像及び左目用画像を交互に表示するための信号へ変換する左右映像制御部120と、左右映像制御部120において変換された信号が入力され、右目用画像と左目用画像を交互に表示する液晶表示パネル134と、液晶表示パネル134を背面から照射するバックライト136と、右目用と左目用の液晶シャッター200a,200bを備える鑑賞用メガネ200に対して、右目用画像と左目用画像の切換タイミングを示すタイミング信号を発生させるシャッター制御部122と、右目用画像と左目用画像の切り換えに応じて、液晶シャッター200a,200bのオープン期間よりも短い期間でバックライト136を発光させるバックライト制御部128と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像表示装置、画像表示観察システム及び画像表示方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、例えば下記の特許文献に記載されているように、視差を有する左目用画像及び右目用画像を所定周期で交互にディスプレイに供給し、この画像を所定周期に同期して駆動される液晶シャッターを備える眼鏡で観察する方法が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平9−138384号公報
【特許文献2】特開2000−36969号公報
【特許文献3】特開2003−45343号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上述した立体画像表示観察システムにおいて、液晶シャッター等のシャッターは、開状態と閉状態のコントラストを高く確保することは困難である。このため、シャッター閉状態においても、漏れ光がユーザの目に入射してしまう問題があり、右目用画像と左目用画像とが混ざってユーザに視認されるクロストークの問題が発生する。
【0005】
そこで、本発明は、上記問題に鑑みてなされたものであり、本発明の目的とするところは、右目用画像と左目用画像が混ざるクロストークの発生を確実に抑えるとともに、所望の輝度で表示を行うことが可能な、新規かつ改良された画像表示装置、画像表示観察システム及び画像表示方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明のある観点によれば、画像信号の入力を受け、右目用画像及び左目用画像を交互に表示するための信号へ変換する信号制御部と、前記信号制御部において変換された信号が入力され、右目用画像と左目用画像を交互に表示する表示パネルと、前記表示パネルを背面から照射する面光源と、右目用と左目用のシャッターを備える鑑賞用眼鏡に対して、前記右目用画像と前記左目用画像の切換タイミングを示すタイミング信号を発生させるシャッター制御部と、前記右目用画像と左目用画像の切り換えに応じて、前記シャッターのオープン期間よりも短い期間で前記面光源を発光させる面光源制御部と、を備える画像表示装置が提供される。
【0007】
また、前記信号制御部は、前記右目用映像信号及び前記左目用映像信号のそれぞれを、少なくとも2回連続して表示するための信号に変換するものであってもよい。
【0008】
また、前記面光源制御部は、前記右目用画像及び前記左目用画像の2回目の表示期間の少なくとも一部において前記バックライトを発光させるものであってもよい。
【0009】
また、前記面光源制御部は、前記右目用画像及び前記左目用画像の1回目の表示期間の少なくとも一部において前記バックライトを発光させないものであってもよい。
【0010】
また、前記面光源制御部は、前記表示パネルの一端から他端に向けて、前記面光源をスキャン発光させるものであってもよい。
【0011】
また、前記面光源制御部は、前記右目用画像と前記左目用画像の切り換えに応じて前記面光源を発光させる際に、通常の2次元画像表示の場合よりも高い輝度で発光させるものであってもよい。
【0012】
また、前記面光源は、残光特性が4ms以下の蛍光体を含むものであってもよい。
【0013】
また、前記面光源は、RGBの3色で残光特性が等しい蛍光体を含むものであってもよい。
【0014】
また、前記面光源は、LEDから構成されるものであってもよい。
【0015】
また、上記課題を解決するために、本発明の別の観点によれば、画像信号の入力を受け、右目用画像及び左目用画像を交互に表示するための信号へ変換する信号制御部と、前記信号制御部において変換された信号が入力され、右目用画像と左目用画像を交互に表示する表示パネルと、前記表示パネルを背面から照射する面光源と、右目用と左目用のシャッターを備える鑑賞用眼鏡に対して、前記右目用画像と前記左目用画像の切換タイミングを示すタイミング信号を発生させるシャッター制御部と、前記右目用画像と左目用画像の切り換えに応じて、前記シャッターのオープン期間よりも短い期間で前記面光源を発光させる面光源制御部と、を有する画像表示装置と、右目用と左目用のシャッターを有し、前記タイミング信号に基づいて、前記右目用と左目用の前記シャッターを交互に開く立体映像観察眼鏡と、を備える画像表示観察システムが提供される。
【0016】
また、上記課題を解決するために、本発明の別の観点によれば、画像信号の入力を受け、右目用画像及び左目用画像を交互に表示するための信号へ変換するステップと、前記変換された信号に基づいて右目用画像と左目用画像を交互に表示するステップと、右目用と左目用のシャッターを備える鑑賞用眼鏡に対して、前記右目用画像と前記左目用画像の切換タイミングを示すタイミング信号を発生させるステップと、前記右目用画像と左目用画像の切り換えに応じて、前記シャッターのオープン期間よりも短い期間で前記右目用画像と前記左目用画像を表示する表示パネルの面光源を発光させるステップと、を備える画像表示方法が提供される。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、右目用画像と左目用画像が混ざるクロストークの発生を確実に抑えるとともに、所望の輝度で表示を行うことが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明の一実施形態に係る立体画像表示観察システムの構成を示す模式図である。
【図2】画像表示装置の構成を示すブロック図である。
【図3】左右の映像表示と液晶シャッターの開閉のタイミングを示すタイミングチャートである。
【図4】本実施形態による2度書き込みの原理と、液晶シャッターの開閉を示すタイミングチャートである。
【図5】液晶シャッターの開閉と、バックライトの点灯を同期させた状態を示すタイミングチャートである。
【図6】液晶シャッターの開閉と、バックライトの点灯を同期させた状態を示す図であって、バックライトをスキャン点灯させた場合を示すタイミングチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下に添付図面を参照しながら、本発明の好適な実施の形態について詳細に説明する。なお、本明細書及び図面において、実質的に同一の機能構成を有する構成要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略する。
【0020】
なお、説明は以下の順序で行うものとする。
(1)システム構成例
(2)画像表示装置の構成例
(3)左右の映像表示とシャッター開閉のタイミングについて
(4)本実施形態による2度書き込みの例
(5)バックライトとシャッター開閉の同期について
(6)バックライトのスキャン点灯について
【0021】
[(1)システム構成例]
図1は、本発明の一実施形態に係る立体画像表示観察システムの構成を示す模式図である。図1に示すように、本実施形態に係るシステムはLCDから構成される画像表示装置100と、表示画像鑑賞用メガネ200とを備える。
【0022】
画像表示装置100は、例えば、フィールド毎に右目用画像Rと左目用画像Lを交互に表示する。表示画像鑑賞用メガネ200には、レンズに相当する部分に一対の液晶シャッター200a,200bが設けられている。液晶シャッター200a,200bは、画像表示装置100のフィールド毎の画像切り換えに同期して交互に開閉動作を行う。すなわち、画像表示装置100に右目用画像Rが表示されるフィールドでは、左目用の液晶シャッター200bが閉鎖状態となり、右目用の液晶シャッターが開放状態200aとなる。また、左目用画像Lが表示されるフィールドでは、これと逆の動作を行う。
【0023】
このような動作により、鑑賞用メガネ200を掛けて画像表示装置100を見るユーザの右目には右目用画像Rのみが、また、左目には左目用画像Lのみが入射される。このため、鑑賞者の目の内部で右目用と左目用の画像が合成され、画像表示装置100に表示される画像が立体的に認識される。
【0024】
[(2)画像表示装置の構成例]
次に、画像表示装置100の構成について説明する。図2は、画像表示装置100の構成を示すブロック図である。図2に示すように、画像表示装置100は、左右映像制御部120、シャッター制御部122、エミッタ124、タイミング制御部126、バックライト制御部128、ゲートドライバ130、データドライバ132、液晶表示パネル134を備える。液晶表示パネル134の背後には、バックライト136が配置されている。液晶表示パネル134は、液晶層、液晶層を挟んで対向する透明電極、カラーフィルタ等から構成されている。また、バックライト136を構成する蛍光体の残光特性は、4ms以下に設定されている。また、バックライト136を構成する蛍光体の残光特性は、RGBの3色で等しいものとされている。バックライト136は残光特性の良好なLED等から構成されている。
【0025】
左右映像信号制御部120には、右目用画像R及び左目用画像Lを表示するための左右映像信号が入力される。左右映像信号制御部120は、液晶表示パネル134に右目用画像Rと左目用画像Lを交互に表示させるため、左右映像信号を交互に出力する。また、左右映像信号制御部120は、入力された左右映像信号に基づいて、後述する2度書き込みを行うため、右目用映像信号と左目用映像信号のそれぞれについて、同じ信号が2つ連続するように変換を行う。
【0026】
タイミング制御部126には、左右映像信号制御部120で変換された右目用映像信号及び左目用映像信号が入力される。タイミング制御部126は、入力された右目用映像信号及び左目用映像信号を液晶表示パネル132へ入力するための信号に変換し、ゲートドライバ130およびデータドライバ132の動作に用いられるパルス信号を生成する。
【0027】
タイミング制御部126で変換された信号は、ゲートドライバ130とデータドライバ132のそれぞれに入力される。ゲートドライバ130およびデータドライバ132は、タイミング制御部126で生成されたパルス信号を受け、入力された信号に基づいて液晶表示パネル134の各画素を発光させる。これにより、液晶表示パネル134に映像が表示される。
【0028】
また、左右映像信号制御部120は、2つ連続するように変換された右目用映像信号及び左目用映像信号の切り換わりのタイミングを示すタイミング信号をシャッター制御部122へ送る。シャッター制御部122は、左右映像信号制御部120から送られたタイミング信号に基づいて、エミッタ126を発光させる駆動信号をエミッタ126へ送る。エミッタ126は、左右の映像信号の切り換わりのタイミングを示す光信号を鑑賞用メガネ200に対して送信する。
【0029】
表示画像鑑賞用メガネ200は、詳細は省略するが、光信号を受信するセンサを備えている。光信号を受信した鑑賞用メガネ200は、画像表示装置100の右目用映像信号と左目用映像信号の切り換わりのタイミングに同期して、液晶シャッター200a,200bの開閉動作を交互に行う。
【0030】
また、シャッター制御部122が出力するタイミング信号は、バックライト制御部128へ入力される。バックライト制御部128は、入力されたタイミング信号に基づいて、バックライト136を点灯させるための制御信号を出力する。バックライト136は、バックライト制御部128から入力された制御信号に基づいて点灯を行う。
【0031】
[(3)左右の映像表示とシャッター開閉のタイミングについて]
図3は、左右の映像表示と液晶シャッター200a,200bの開閉のタイミングを示すタイミングチャートである。上述したように、画像表示装置100においては、右目用画像Rと左目用画像Lとを交互に表示させるが、右目用画像R又は左目用画像Lの1フレームが表示される駆動周波数を60[Hz]以下とするとフリッカ(画面のちらつき)が発生する。このため、図3では、右目用画像R又は左目用画像Lの1フレームを120[Hz]で表示した場合を示している。すなわち、図3において、右目用画像Rと左目用画像Lのそれぞれは、120[Hz]の駆動周波数で表示され、右目用画像R又は左目用画像Lが表示される時間は、1/120[Hz]=8.3[ms]である。
【0032】
液晶表示パネル132では、通常、画面の一端から他端へ線順次で表示が行われる。図3(A)では、液晶表示パネルの上辺(Y=Y0)から下辺(Y=0)に向けて線順次で表示が行われ、上辺から下辺に至る縦方向の各位置において、時間とともに輝度が変化している様子を示している。
【0033】
図3(A)に示すように、画面上辺(Y=Y0)では、時刻t0からt1まで右目用画像Rが表示され、所定のブランク期間の後、時刻t2からt3まで左目用画像Lが表示さる。以降、所定のブランク期間を挟んで、時刻t4からt5は右目用画像R、時刻t6からt7までは左目用画像Lが表示される。
【0034】
ここで、右目用画像Rが表示される時刻t0〜t1において、画面上辺(Y=Y0)に着目すると、時刻t0で右目用画像Rの表示を開始すると、時間の経過とともに画面上辺の輝度が上昇し、時刻t1で所望の輝度に到達し、画面上辺における右目用画像Rの表示は終了する。なお、本明細書において、液晶表示パネル136への表示を液晶表示パネル136への表示データの書き込みと称する場合がある。上述したように、液晶表示パネル132では画面上辺から下辺に向けて線順次に表示が成されるため、下辺に向かうほど、右目用画像Rの表示が開始される時刻はt0よりも遅くなり、また、右目用画像Rの表示が終了する時刻もt1よりも遅くなる。
【0035】
同様に、左目用画像Lが表示される時刻t2〜t3において、画面上辺(Y=Y0)に着目すると、時刻t2で左目用画像Lの表示を開始すると、時間の経過とともに画面上辺の輝度が上昇し、時刻t3で所望の輝度に到達する。これにより、画面上辺における左目用画像Lの表示は終了する。左目用画像Lにおいても、下辺に向かうほど、左目用画像Lの表示が開始される時刻はt2よりも遅くなり、また、左目用画像Lの表示が終了する時刻もt3よりも遅くなる。
【0036】
図3(A)に示すように、線順次に表示が成される際に、液晶の応答速度は比較的遅いため、右目用画像Rの書き込みにおいては、時刻t1で画面上辺が所望の輝度に達した時点において、画面下辺では、ようやく書き込みが開始される状態となる。また、左目用画像Lの書き込みにおいても、時刻t3で画面上辺が所望の輝度に達した時点において、画面下辺では、ようやく書き込みが開始される状態となる。
【0037】
図3(B)は、液晶シャッター200a,200bの開閉タイミングを示している。図3(B)に示すように、右目用の液晶シャッターR(液晶シャッター200a)は、時刻t1−t10間、及びt5−t12間で開かれる。また、左目用の液晶シャッターL(液晶シャッター200b)は、時刻t3−t11間、及びt7−t13間で開かれる。
【0038】
時刻t1−t10間で液晶シャッター200aが開かれると、図3(A)に示す画面下辺(Y=0)からY=y1までの領域では、液晶シャッター200aが開かれたタイミングで右目用画像Rが表示されているため、ユーザの右目には右目用画像Rが視認される。しかしながら、Y>y2の領域では、シャッター200aを開いている間に右目用画像Rの表示が終了して、次の左目用画像Lが表示される。また、画面上辺(Y=Y0)では、時刻t1−t10間において、次のフレームの左目用画像Lが表示されている。従って、ユーザは、Y>y2の画面下辺〜上辺の中間近傍では、右目用画像Rから左目用画像Lへ遷移する過渡状態の映像を視認し、画面上辺(Y=Y0)近傍では次のフレームの左目用画像Lを視認することとなる。このため、右目用画像Rと左目用画像Lとが混ざってユーザに視認されるクロストークの問題が発生する。
【0039】
また、画面下辺(Y=0)の近傍では、液晶シャッター200aが開かれる時刻t1−t10間で右目用画像Rは表示されてはいるものの、時刻t1で表示が開始された直後に液晶シャッター200aが開かれるため、液晶が十分に応答していない状態となる。このため、ユーザが画面下辺(Y=0)の近傍で視認する映像は、輝度が十分に高い状態となっておらず、ユーザは所望の輝度の映像を視認することができない。
【0040】
[(4)本実施形態による2度書き込みの例]
上述した液晶の応答速度の不足に起因するクロストークの発生、及び輝度不足等を解消するため、本実施形態では、液晶パネルの駆動周波数を高め、左右の画像の1フレームを液晶表示パネル132に2度表示させる(書き込む)という手法を採用している。
【0041】
図4は、本実施形態による2度書き込みの原理と、液晶シャッター200a,200bの開閉を示すタイミングチャートであって、右目用画像Rと左目用画像Lのそれぞれを240[Hz]の駆動周波数で表示した場合を示している。図4において、1回の書き込みにより右目用画像R又は左目用画像Lが表示される時間は、1/240[Hz]=4.2[ms]である。
【0042】
図4(A)は、図3(A)と同様に、液晶表示パネル132の下辺(Y=0)から上辺(Y=Y0)に至る縦方向の各位置において、時間とともに輝度が変化している様子を示している。また、図4(B)は、液晶表示パネル132のバックライト134が発光している様子を示している。図4(B)に示す例では、バックライト134は常時点灯している。図4(C)は、図3(B)と同様に、液晶シャッター200a,200bの開閉タイミングを示している。
【0043】
図4(A)に示すように、画面上辺(Y=Y0)では、時刻t20からt21までの4.2[ms]間に左目用画像Lが書き込まれ、続けて時刻t21からのt22までの4.2[ms]間に再び左目用画像Lが書き込まれる。ここで、時刻t20からt21の間に書き込まれる左目用画像Lと時刻t21からのt22の間に書き込まれる左目用画像Lは、基本的には同一の画像であるが、オーバードライブ処理などの調整に起因して相違するものであってもよい。また、1回目に書き込まれる左目用画像Lと2回目に書き込まれる左目用画像Lとの間に所定のブランク期間を設けても良い。
【0044】
そして、左目用画像Lを2回書き込んだ後に右目用画像Rが書き込まれる。右目用画像Rについても、画面上辺(Y=Y0)では、時刻t22からt23までの4.2[ms]間に右目用画像Rが書き込まれ、続けて時刻t23からのt24までの4.2[ms]間に再び右目用画像Rが書き込まれる。時刻t22からt23の間に書き込まれる右目用画像Rと時刻t23からのt24の間に書き込まれる右目用画像Rは、基本的には同一の画像であるが、オーバードライブ処理などの調整に起因して相違するものであってもよい。また、1回目に書き込まれる右目用画像Rと2回目に書き込まれる右目用画像Rとの間、または左目用画像Lと右目用画像Rの間に所定のブランク期間を設けても良い。
【0045】
一般に液晶表示装置は、その応答時間が比較的遅いため、書き込み時間が短時間であると、各画素が所望の輝度に達しない。このため、駆動周波数を高くして右目用画像Rと左目用画像Lを交互に書き込むと、1回の書き込み時間(=4.2ms)が短くなり、1回目の書き込み後にしか所望の輝度に到達しないため、画面上辺と下辺の両方が所望の輝度に達しているタイミングが存在しない。
【0046】
本実施形態では、右目用画像Rと左目用画像Lをそれぞれ2度に渡って書き込みしているため、2回目の書き込み時には、所望の輝度を保持することができ、従って、画面の上辺と下辺の両方で所望の輝度に達した状態を実現できる。
【0047】
そして、図4(A)において、時刻t22の時点では、画面上辺から画面下辺に至る全域において、左目用画像Lの輝度は所望のレベルに到達している。このため、図4(C)及び図4(D)に示すように、時刻t22を中心とする所定の期間(例えば2.1ms)だけ液晶シャッター200bを開口させることで、ユーザの左目には左目用画像Lのみが視認され、クロストークの発生を確実に抑えることができる。なお、クロストークと輝度はトレードオフの関係にあるので、どちらを優先するかによってシャッターオープン期間は適宜設定できる。
【0048】
同様に、右目用画像Rにおいても、図4(A)に示す時刻t24の時点では、画面上辺から画面下辺に至る全域において、右目用画像Rの輝度は所望のレベルに到達している。このため、図4(C)及び図4(D)に示すように、時刻t24を中心とする所定の期間(例えば2.1ms)だけ液晶シャッター200bを開口させることで、ユーザの右目には右目用画像Rのみが視認され、クロストークの発生を確実に抑えることができる。
【0049】
上述のように、液晶の駆動周波数を高めると、1回目の書き込み時には、書き込み終了時に画面下部では所望の輝度に到達しないため、液晶表示パネル132の過渡応答中である1回目の書き込み時の少なくとも一部区間では、液晶シャッター200a,200bは閉じられる。より詳細には、右目用画像R又は左目用画像Lが表示されている約8.4msのうち、少なくとも50%に相当する4.2msの区間では、液晶シャッター200a,200bは閉じられる。これにより、1回目の書き込みによる過渡応答中の映像がユーザに視認されることを回避できる。
【0050】
本実施形態では、図4(C)に示すように、右目用の液晶シャッターR(液晶シャッター200a)は、時刻t24を中心とする所定時間(例えば2.1ms)の間だけ開かれる。また、左目用の液晶シャッターL(液晶シャッター200b)は、時刻t22,t26を中心とする所定時間(例えば2.1ms)の間だけ開かれる。
【0051】
時刻t24の時点では、画面下辺においては、右目用画像Rの2回目の書き込みが開始されており、画面上辺においては、右目用画像Rの2回目の書き込みが終了する。従って、時刻t24の時点で液晶シャッター200aを開くことによって、1回目の書き込みによる右目用画像Rがユーザの右目に視認されることがなく、画面下辺から上辺に至る全域において、2回目の書き込みによる右目用画像Rがユーザの右目に視認される。
【0052】
同様に、時刻t22,t26の時点では、画面下辺においては、左目用画像Lの2回目の書き込みが開始されており、画面上辺においては、左目用画像Lの2回目の書き込みが終了する。従って、時刻t22または時刻t26の時点で液晶シャッター200bを開くことによって、1回目の書き込みによる左目用画像Lがユーザの左目に視認されることがない。これにより、画面下辺から上辺に至る全域において、2回目の書き込みによる左目用画像Lがユーザの左目に視認される。
【0053】
このように、1度目の書き込みで所望の輝度に到達し、2度目の書き込みでその輝度を保持することで、画面全体において液晶シャッター200a,200bは、2度目に書き込まれた右目用画像Rまたは左目用画像Lが表示されている一部の区間のみで開かれる。これにより、2度目の書き込みにより所望の輝度に到達した映像をユーザに視認させることが可能となる。従って、図4(C)に示す時刻t22,t24,t26の時点において、必要最小限の所定時間(例えば2.1ms)のみ液晶シャッター200a,200bを開くことで、クロストークの発生を確実に抑えることが可能となる。
【0054】
[(5)バックライトとシャッター開閉の同期について]
次に、液晶シャッター200a,200bのオープン期間をバックライトの発光期間よりも長くした本実施形態の構成について説明する。図5は、液晶シャッター200a,200bの開閉と、バックライト136の点灯を同期させた状態を示すタイミングチャートである。図5において、図5(A)及び図5(C)は、図4(A)及び図4(C)と同様である。
【0055】
図4のようにバックライト136を常時点灯させた場合は、液晶シャッター200a,200bが閉じている期間において、液晶シャッターの閉状態での透過率と液晶表示パネル134の輝度を乗算した値の漏れ光が液晶シャッター200a,200bを透過する。
【0056】
図5(B)に示すように、本実施形態では、液晶シャッター200a,200bの開閉と同期してバックライト136を点灯する。液晶シャッター200bは時刻t40〜t41間で開かれるが、液晶シャッター200bの開閉と同期して、時刻t30〜t31間でバックライト136を点灯させる。図5(B)に示すように、液晶シャッター200bが開状態となる時刻t40〜t41の区間は、バックライト136が点灯する時刻t30〜t31の区間よりも十分に長く設定される。
【0057】
同様に、液晶シャッター200aは時刻t42〜t43間で開かれるが、液晶シャッター200a,200bの開閉と同期して、時刻t32〜t33間でバックライト136を点灯させる。また、液晶シャッター200bは時刻t44〜t45間で開かれるが、液晶シャッター200bの開閉と同期して、時刻t34〜t35間でバックライト136を点灯させる。図5(B)に示すように、液晶シャッター200aが開状態となる時刻t42〜t43の区間は、バックライト136が点灯する時刻t32〜t33の区間よりも十分に長く設定される。同様に、液晶シャッター200aが開状態となる時刻t44〜t45の区間は、バックライト136が点灯する時刻t34〜t35の区間よりも十分に長く設定される。
【0058】
このように、図5に示す本実施形態では、図4の場合に比べて、液晶シャッター200a,200bのオープン期間を十分に長くとっている。図4の場合、液晶シャッター200a,200bのオープン期間が2.1msと短いため、オープン期間に対して液晶シャッター200a,200bが応答する過渡期間の比率が高くなる。このため、オープン期間で十分な光の透過率を確保できないことが想定される。
【0059】
図5に示す本実施形態では、液晶シャッター200a,200bのオープン期間を十分に長くして、2回目の表示により液晶が完全に応答して透過率が十分に高くなったタイミングでバックライト136を点灯している。そして、バックライト136の点灯期間は、図4に示す液晶シャッター200a,200bのオープン期間に対応している。従って、ユーザは、時刻t30〜t31間でバックライト136が点灯することにより、左目用画像Lを視認することができ、また、時刻t32〜t33間、時刻t34〜t35間でバックライト136が点灯することにより、右目用画像Rを視認することができる。
【0060】
また、時刻t40〜t41間、時刻t42〜t43間、及び時刻t44〜t45間以外の区間では、バックライト136は消灯されるか、又はグレー等の暗色で発光される。液晶の応答性は温度に依存するため、例えば使用温度において十分な応答性を有さない液晶を用いる場合には、パックライト136の点灯期間以外においても、バックライト136を完全に消灯させることなく、グレー等の暗色で点灯させておくことが望ましい。これにより、点灯期間以外にバックライト136及び液晶表示パネル134の温度が低下してしまうことを抑止でき、液晶の応答性の低下を確実に抑えることができる。
【0061】
このように、本実施形態では、液晶シャッター200a,200bが開くタイミングに合わせてバックライト136を点灯させ、それ以外の区間でバックライト136の輝度を低下させている。従って、液晶シャッター200a,200bの開状態と閉状態において、液晶表示パネル136のコントラストをより高めることが可能となり、ユーザはバックライト136が点灯している区間でのみ右目用画像R又は左目用画像Lを視認することができる。
【0062】
特に、本実施形態に係る表示画像鑑賞用メガネ200のように、液晶シャッターでユーザの目に入射する光を切換える場合、シャッター開状態での光の透過率は、液晶の透過率によって若干低下してしまう。また、シャッター閉状態においても、漏れ光が液晶シャッターを透過する。このため、液晶シャッターの開状態と閉状態のコントラストを十分に高くすることができない場合がある。この場合、シャッター開状態において映像の輝度が低下するとともに、シャッターの閉状態での漏れ光によるクロストークの発生が懸念される。
【0063】
図5に示す本実施形態の例では、液晶シャッター200a,200bのオープン期間を十分に長くし、液晶シャッター200a,200bが完全に応答して開状態となった後にバックライト136が発光する。従って、液晶シャッター200a,200bの開状態において、ユーザが視認する映像の輝度を十分に高くすることができる。また、時刻t30〜t31、時刻t32〜t33、時刻t34〜t35以外の区間では、バックライト136の輝度を低下させている。このため、液晶シャッター200a又は液晶シャッター200bのいずれかが閉じられた状態において、液晶シャッター200a,200bに光が透過してしまうことを確実に抑えることができる。従って、液晶シャッター200a,200bが閉じた状態で、漏れ光による映像をユーザが視認することを抑えることができ、クロストークの発生を確実に抑えることが可能となる。
【0064】
また、図5の例では、液晶シャッター200a,200bの開閉と同期して、所定区間のみでバックライト136の輝度を高くしている。このため、2次元画像表示の際にバックライト136を常時点灯させる場合と比較すると、点灯時の輝度をより高くすることができる。換言すれば、所定区間のみでバックライト136の輝度を高くしているため、発光時の輝度をより高くしたとしても、常時点灯させる場合と同等の寿命(耐用年数)を確保することができる。従って、本実施形態の構成によれば、バックライト136を常時点灯させる場合よりも点灯時の輝度を高くすることができ、液晶シャッター200a,200bの開状態と閉状態における液晶表示パネル134のコントラストをより高めることが可能となる。
【0065】
以上のように、図5に示す本実施形態によれば、液晶シャッター200a,200bのコントラストの不足分を、バックライト136のコントラストで補償することができる。従って、ユーザは、シャッター開状態においては、バックライト136の発光による輝度の高い所望の映像を視認することができ、シャッター閉状態においては、バックライト136の輝度を低下させたことによるクロストークのない映像を視認することができる。なお、本実施形態では、2度書き込みと、バックライト136とシャッター開閉の同期を併用しているが、2度書き込みを行わずに、バックライト136とシャッター開閉の同期のみを行った場合も、クロストークの発生を抑えることができ、所望の輝度を達成できる。
【0066】
[(6)バックライトのスキャン点灯について]
図6は、液晶シャッター200a,200bの開閉と、バックライト136の点灯を同期させた状態を示すタイミングチャートであって、バックライト136をスキャン点灯させた場合を示している。図6において、図6(A)及び図6(C)は、図5(A)及び図5(C)と同様である。
【0067】
図5では、液晶シャッター200bが開いている区間t40〜t41間を例に挙げると、t40〜t41の区間ではバックライト136を全面で点灯させている。一方、図6の例では、図6(B)に示すように、液晶シャッター200bが開いている区間t40〜t41間において、画面上辺から画面下辺に向けてバックライト136をスキャン点灯させている。すなわち、図6(B)に示すように、バックライト136は、区間t40〜t41よりも短い区間Tの間だけ点灯し、区間t40〜t41において、バックライト136が点灯する区間Tを画面上辺から画面下辺へ移動させている。
【0068】
図3で説明したように、右目用画像R及び左目用画像Lのそれぞれを2度書きすることによって、液晶が応答した状態で液晶シャッター200a,200bが開かれるため、クロストークの発生を抑えることができる。これに加えて、図6の例では、シャッター200a,200bが開いている間にバックライト136をスキャン点灯させているため、クロストークの発生をより確実に抑えることが可能となる。
【0069】
より詳細に説明すると、画面上辺において、図6(A)に示す領域A1は、左目用画像Lから右目用画像Rへ切り換わる過渡期の状態を示している。このため、液晶シャッター200bが閉じるタイミング近傍において、左目用画像Lに対して右目用画像Rが僅かに混ざる可能性がある。しかしながら、図6(B)に示すように、領域A1に対応するタイミングにおいて、画面上辺ではバックライト136が点灯していない。これにより、画面上辺の領域A1において、左目用画像Lから右目用画像Rに切り換わったとしても、右目用画像Rはバックライト136によって点灯されない。従って、左目用画像Lに右目用画像Rが混ざってしまうことを確実に抑止できる。
【0070】
また、バックライト136をスキャン点灯させることにより、液晶が応答した2回目の書き込み時の映像のみをユーザに視認させることができる。詳細に説明すると、画面下辺において、図6(A)に示す区間t30〜t31の近傍の領域A2は、1回目の書き込みによる左目用画像Lから2回目の書き込みによる左目用画像Lへ切り換わる過渡期の状態を示している。このため、液晶シャッター200bが開くタイミングにおいて、1回目の書き込みによる左目用画像Lがユーザにより多く視認される可能性がある。しかしながら、図6(B)に示すように、領域A2に対応するタイミングにおいて、画面下辺ではバックライト132が点灯していない。これにより、画面下辺の領域A2において、1回目の書き込みによる左目用画像Lは、バックライト136によって点灯されない。また、画面下辺において、2回目の書き込みによる左目用画像Lが表示されると、この2回目の書き込みによる左目用画像Lは、スキャン点灯されたバックライト136によって点灯される。従って、画面下辺において、2回目の書き込みによる左目用画像Lをユーザに確実に視認させることができる。そして、画面下辺において、未だ液晶が完全に応答していない1回目の書き込みによる左目用画像Lがユーザに視認されることを確実に抑止することができる。
【0071】
以上、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について詳細に説明したが、本発明はかかる例に限定されない。本発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者であれば、特許請求の範囲に記載された技術的思想の範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、これらについても、当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
【符号の説明】
【0072】
100 画像表示装置
120 左右映像制御部
122 シャッター制御部
128 バックライト制御部
134 液晶表示パネル
136 バックライト
200 鑑賞用メガネ
200a,200b 液晶シャッター

【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像信号の入力を受け、右目用画像及び左目用画像を交互に表示するための信号へ変換する信号制御部と、
前記信号制御部において変換された信号が入力され、右目用画像と左目用画像を交互に表示する表示パネルと、
前記表示パネルを背面から照射する面光源と、
右目用と左目用のシャッターを備える鑑賞用眼鏡に対して、前記右目用画像と前記左目用画像の切換タイミングを示すタイミング信号を発生させるシャッター制御部と、
前記右目用画像と左目用画像の切り換えに応じて、前記シャッターのオープン期間よりも短い期間で前記面光源を発光させる面光源制御部と、
を備える、画像表示装置。
【請求項2】
前記信号制御部は、前記右目用映像信号及び前記左目用映像信号のそれぞれを、少なくとも2回連続して表示するための信号に変換する、請求項1に記載の画像表示装置。
【請求項3】
前記面光源制御部は、前記右目用画像及び前記左目用画像の2回目の表示期間の少なくとも一部において前記バックライトを発光させる、請求項2に記載の画像表示装置。
【請求項4】
前記面光源制御部は、前記右目用画像及び前記左目用画像の1回目の表示期間の少なくとも一部において前記バックライトを発光させない、請求項2に記載の画像表示装置。
【請求項5】
前記面光源制御部は、前記表示パネルの一端から他端に向けて、前記面光源をスキャン発光させる、請求項1に記載の画像表示装置。
【請求項6】
前記面光源制御部は、前記右目用画像と前記左目用画像の切り換えに応じて前記面光源を発光させる際に、通常の2次元画像表示の場合よりも高い輝度で発光させる、請求項1に記載の画像表示装置。
【請求項7】
前記面光源は、残光特性が4ms以下の蛍光体を含む、請求項1に記載の画像表示装置。
【請求項8】
前記面光源は、RGBの3色で残光特性が等しい蛍光体を含む、請求項1に記載の画像表示装置。
【請求項9】
前記面光源は、LEDから構成される、請求項1に記載の画像表示装置。
【請求項10】
画像信号の入力を受け、右目用画像及び左目用画像を交互に表示するための信号へ変換する信号制御部と、前記信号制御部において変換された信号が入力され、右目用画像と左目用画像を交互に表示する表示パネルと、前記表示パネルを背面から照射する面光源と、
右目用と左目用のシャッターを備える鑑賞用眼鏡に対して、前記右目用画像と前記左目用画像の切換タイミングを示すタイミング信号を発生させるシャッター制御部と、前記右目用画像と左目用画像の切り換えに応じて、前記シャッターのオープン期間よりも短い期間で前記面光源を発光させる面光源制御部と、を有する画像表示装置と、
右目用と左目用のシャッターを有し、前記タイミング信号に基づいて、前記右目用と左目用の前記シャッターを交互に開く立体映像観察眼鏡と、
を備える、画像表示観察システム。
【請求項11】
画像信号の入力を受け、右目用画像及び左目用画像を交互に表示するための信号へ変換するステップと、
前記変換された信号に基づいて右目用画像と左目用画像を交互に表示するステップと、
右目用と左目用のシャッターを備える鑑賞用眼鏡に対して、前記右目用画像と前記左目用画像の切換タイミングを示すタイミング信号を発生させるステップと、
前記右目用画像と左目用画像の切り換えに応じて、前記シャッターのオープン期間よりも短い期間で前記右目用画像と前記左目用画像を表示する表示パネルの面光源を発光させるステップと、
を備える、画像表示方法。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2010−217310(P2010−217310A)
【公開日】平成22年9月30日(2010.9.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−61520(P2009−61520)
【出願日】平成21年3月13日(2009.3.13)
【出願人】(000002185)ソニー株式会社 (34,172)
【Fターム(参考)】