説明

画像表示装置およびプログラム

【課題】信号品質を維持しながら画像信号を信号線を介して転送する際のノイズの発生を抑制させる。
【解決手段】画像データをLCDコントローラーから複数の信号線を有する伝送ケーブルを介してLCDに転送して画面表示を行なう場合に、画像データを先頭ラインから順に信号線D0〜D3の数に応じて複数ラインずつ入力し、入力した各ラインにおける画像データのP/T値をそれぞれ計算して割り付け判定用値P/Tとし、割り付け判定用値P/Tが大きい画像データを信号線D0〜D3のうちでグランド線GNDとのループ面積が小さな信号線に割り付けて転送する。これにより、信号の品質を維持しながら、全体で発生する放射ノイズを低減させることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、表示部と、複数本の信号線とグランド線とを介して前記表示部に接続された制御部とを備え、画像信号を前記制御部から前記複数本の信号線を介して前記表示部に転送することにより画像を表示する画像表示装置およびプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、CPUを搭載するメイン制御板と、ヘッドドライバーを制御する印字ヘッド制御板とが伝送ケーブルを介して接続され、二つの制御板間で画像データなどの信号を伝送する場合には、信号電圧を低下させて伝送ケーブルに出力するものが提案されている(例えば、特許文献1参照)。この制御回路では、制御板の内部電圧である5Vの信号を3.3Vに低下させて信号自体のパワーを低減させることにより、放射ノイズや誘導ノイズの発生を抑制することができる、としている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平11−315814号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上述した装置では、ノイズの発生を抑制することができるものの、信号自体のパワーを低減するため、信号品質は低くなり、信号伝送の信頼性を低下させる場合が生じる。
【0005】
本発明の画像表示装置およびプログラムは、信号品質を維持しながら画像信号を信号線を介して転送する際のノイズの発生を抑制させることを主目的とする。
【0006】
本発明の画像表示装置およびプログラムは、上述の主目的を達成するために以下の手段を採った。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の画像表示装置は、
表示部と、複数本の信号線とグランド線とを介して前記表示部に接続された制御部とを備え、画像信号を前記制御部から前記複数本の信号線を介して前記表示部に転送することにより画像を表示する画像表示装置であって
前記信号線に対して前記制御部側に設けられ、前記画像信号を前記信号線の数だけ所定順に分割してそれぞれ解析し、該解析した各画像信号のうち信号変化が多い画像信号ほど前記グランド線に近い信号線に割り付けて各画像信号と割り付けられた信号線との対応関係と共に前記表示部側に転送する送信部と、
前記信号線に対して前記表示部側に設けられ、前記送信部から前記画像信号と前記対応関係とを入力し、該入力した画像信号を前記入力した対応関係を用いて元の順序に戻して前記表示部に出力する受信部と
を備えることを要旨とする。
【0008】
この本発明の画像表示装置では、表示部と制御部とが複数本の信号線とグランド線とを介して接続され、画像信号を制御部から複数本の信号線を介して表示部に転送することにより画像を表示するものにおいて、信号線に対して制御部側に設けられた送信部が、画像信号を信号線の数だけ順次分割してそれぞれ解析し解析した各画像信号のうち信号変化が多い画像信号ほどグランド線に近い信号線に割り付けて各画像信号と割り付けられた信号線との対応関係と共に表示部側に転送し、信号線に対して表示部側に設けられた受信部が、送信部から画像信号と対応関係とを入力し入力した画像信号を入力した対応関係を用いて元の順序に戻して表示部に出力する。これにより、複数本の信号線を用いて画像信号を転送する際に画像信号の品質を維持しながらノイズレベルを低減させることができる。
【0009】
こうした本発明の画像表示装置において、前記送信部は、前記画像信号の1周期当たりのオン信号の割合を演算し、該演算した割合が大きい信号ほど前記グランド線に近い信号線に割り付けて送信する部であるものとすることもできる。こうすれば、簡易な演算により画像信号のうち信号変化が多い信号を特定することができる。
【0010】
また、本発明の画像表示装置において、前記送信部は、前記各画像信号の転送に先立って前記対応関係を転送する部であるものとすることもできる。こうすれば、受信部は受信した画像信号をスムーズに表示部に出力することができる。
【0011】
さらに、本発明の画像表示装置において、前記送信部は、ライン単位で前記画像信号を分割して前記複数本の信号線に割り付けて前記受信部に転送する部であるものとすることもできる。
【0012】
本発明のプログラムは、表示部を備えるコンピューターを上述した各態様のいずれかの本発明の画像表示装置として機能させるためのものである。このプログラムは、コンピュータが読み取り可能な記録媒体(例えばハードディスク、ROM、FD、CD、DVDなど)に記録されていてもよいし、伝送媒体(インターネットやLANなどの通信網)を介してあるコンピュータから別のコンピュータへ配信されてもよいし、その他どのような形で授受されてもよい。このプログラムをコンピュータに実行させれば、上述した画像表示装置と同様の効果を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本実施形態のプリンター20の外観斜視図。
【図2】本実施形態のプリンター20の機能ブロック図。
【図3】LCDコントローラー60とLCD25との間の信号伝送系の概略図。
【図4】画像データの転送の形態を示す説明図。
【図5】信号の周波数とエネルギーとの関係を示す説明図。
【図6】送信部70の機能ブロックを示すブロック図。
【図7】割り付け制御ルーチンの一例を示すフローチャート。
【図8】各種信号や処理の時間変化の様子を示す説明図。
【図9】受信部80の機能ブロックを示すブロック図。
【発明を実施するための形態】
【0014】
次に、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。図1は、本発明の一実施形態であるプリンター20の外観を示す外観斜視図であり、図2は、本実施形態のプリンター20の機能ブロックを示すブロック図である。
【0015】
本実施形態のプリンター20は、印刷機構40(図2参照)を内蔵しL版サイズの用紙に印刷を行なうフォトプリンターとして構成されており、その外観としては、図1に示すように、本体21の上面には本体21を持ち運ぶための取っ手22が、本体21の背面にはセットした用紙を自動給紙するオートシートフィーダー23が、本体21の前面には印刷機構40により印刷された用紙を保持する排紙トレイ24と写真や印刷時の設定を確認するための液晶ディスプレイ(LCD)25が、本体21の側面には電源をオンオフするための電源ボタン26が、それぞれ設けられている。また、本体21の前面には、排紙トレイ24に隣接した位置に赤外線通信ポート28(受光部)が設けられており、この赤外線通信ポート28に発光部30aを向けてリモートコントロール装置30を操作することにより、プリンター20を遠隔操作できるようになっている。なお、リモートコントロール装置30は、プリンター20を遠隔操作するためのボタン類として、電源をオンオフするための電源ボタン31と、印刷中に押されると印刷を中止し写真選択画面で押されると印刷枚数や写真の選択を解除するストップ/設定クリアボタン32と、トップメニュー画面を表示するためのトップメニューボタン33と、印刷枚数を設定するための印刷枚数設定ボタン34と、項目や設定値を選択するための上下左右ボタン35と、項目を決定したり次の画面に進むためのOKボタン36と、一つ前の画面に戻る戻るボタン37と、印刷を開始する印刷ボタン38と、設定画面を表示する設定ボタン39などを備える。
【0016】
印刷機構40は、図2に示すように、左右方向(主走査方向)にループ状に架け渡されたキャリッジベルト43により駆動されガイド42に沿って左右に往復するキャリッジ41と、キャリッジ41にシアン・マゼンタ・イエロー・ブラック等の各色のインクを供給するインクカートリッジ44と、各インクカートリッジ44から供給された各インクに圧力をかけてノズルから用紙Sに向けてインクを吐出する印刷ヘッド45と、副走査方向に用紙Sを搬送する搬送ローラー46とを備える。インクカートリッジ44は、印刷機構40の下方に取り付けられており、インクカートリッジ44がキャリッジ41上に搭載されていない、いわゆるオフキャリッジタイプである。印刷ヘッド45は、ここでは圧電素子に電圧をかけることによりこの圧電素子を変形させてインクを加圧する方式を採用しているが、発熱抵抗体(例えばヒータなど)に電圧をかけインクを加熱して発生した気泡によりインクを加圧する方式を採用してもよい。
【0017】
LCD25は、LCDコントローラー60による表示制御を受けて文字や図形,記号などを表示する。LCD25は、本実施形態では、960ドット×240ドットの画素により構成されており、960ドット分の画像データにより1ラインが形成され、240ラインのラインデータにより1フレーム(1画像)が形成される。
【0018】
また、本実施形態のプリンター20は、その制御系としては、図2に示すように、プリンター全体の制御を司るメインコントローラー50と、印刷機構40を制御するプリンターASIC48と、赤外線通信ポート28を介して入力した赤外線信号を操作信号として処理する赤外線通信コントローラー56と、LCD25を表示制御するLCDコントローラー60と、メモリーカードスロット57に挿入されたメモリーカードMCに対するデータの書き込みや読み出しを制御するメモリーカードコントローラー58と、を備え、これらはバス59を介して互いに電気的に接続されている。
【0019】
メインコントローラー50は、CPU51を中心とするマイクロプロセッサーとして構成されており、各種処理プログラムや各種データ、各種テーブルなどを記憶するROM52と、一時的にデータを記憶するRAM53と、電気的に書き換え可能で電源を切ってもデータは保持されるフラッシュメモリー54と、電源ボタン26からの操作信号を入力するインターフェース55(I/F)とを備える。このメインコントローラー50は、メモリーカードスロット57に挿入されたメモリーカードMCから画像ファイルなどを入力したり、赤外線通信コントローラー56からの操作信号や印刷機構40の各部からの検出信号などを入力したりする。また、メインコントローラー50は、メモリーカードMCに編集画像などを保存したり、プリンターASIC48への指令信号やLCDコントローラー60への制御信号を出力したりする。
【0020】
図3は、LCDコントローラー60とLCD25との間の信号伝送系の構成の概略を示す構成図である。図示するように、LCDコントローラー60側には送信部70が設けられ、LCD25側には受信部80が設けられており、送信部70と受信部80は伝送ケーブル90を介して接続されている。伝送ケーブル90は、図示するように、コネクタピン番号が1番のグランド線GNDと、2番の1画素のデータの読み出しのタイミングを定めるクロック線DCLKと、3番のグランド線GNDと、4番の信号線D0と、5番の信号線D1と、6番の信号線D2と、7番の信号線D3と、8番のグランド線GNDと、9番の水平同期線HSYNCと、10番の垂直同期線VSYNCと、11番のグランド線GNDと、12番の電源線VCCとがこの順に配列されたフレキシブルフラットケーブルとして構成されている。本実施形態では、画像データをコネクタピン番号が4番〜7番の4本の信号線D0〜D3を用いてLCDコントローラー60からLCD25に転送するものとしている。図4に、画像データの転送の形態を示す。図中のP0,0〜P0,n(nは横方向の解像度)は第0ラインの画素データを示し、P1,0〜P1,nは第1ラインの画素データを示し、P2,0〜P2,nは第2ラインの画素データを示し、P3,0〜P3,nは第3ラインの画素データを示す。なお、1画素は、第0〜第7ビットのR(赤)のビットデータであるR0〜R7と、第0〜第7ビットのG(緑)のビットデータであるG0〜G7と、第0〜第7ビットのB(青)のビットデータであるB0〜B7とにより構成されている。データ伝送は、図4に示すように、画像データをライン単位で信号線D0〜D3に順次割り付けて同時に送信することにより行なわれる。
【0021】
図5は、伝送ケーブル90を通過する信号の周波数とエネルギーとの関係を示す説明図である。いま、伝送ケーブル90を通過する信号を、信号が立ち上がる周期をT、信号の立ち上がり時間をτ、信号電圧の振幅をA、オン期間(信号1の期間)をPとする信号波として考える。この信号波をフーリエ変換すると、信号のエネルギーは、図5に示すように、周波数がF1(=1/(πP))までは2A(P/T)であり、周波数がF1を超えると、周波数がF2(=1/(πτ))となるまで20dB/Decadeで減衰し、周波数がF2を超えると、40dB/Decadeで減衰する。したがって、2A(P/T)が大きい信号ほど(振幅Aが固定の場合を考えるとP/Tが大きい信号ほど)、伝送ケーブル90を信号が通過する際に発生する放射ノイズが大きくなることがわかる。
【0022】
LCDコントローラー60は、メインコントローラー50から1フレーム分の画像データ(RGBデータ)を入力してVRAMとしてのSDRAM62に保存し、図示しない同期信号発生部から垂直同期信号VSYNCが出力されると、1フレーム分の画像データの読み出しを先頭ラインから順次行ない、水平同期信号HSYNCが出力される度に、4ライン分の画像データを読み出して送信部70に出力する。4ライン分の画像データを入力した送信部70は、入力した4ライン分の画像データをライン単位で順序を入れ替えながら4本の信号線D0〜D3のいずれかに割り付けて同時に受信部80に転送する。受信部80は、送信部70から4ライン分の画像データを受信すると、画像データの順序を元に戻してLCD25に順次出力することにより画像をLCD25に表示させる。画像データの順序を入れ替えて転送する場合についての詳細は後述する。
【0023】
次に、こうして構成された本実施形態のプリンター20の動作、特に、送信部70と受信部80の動作について説明する。まず、送信部70の動作について説明する。
【0024】
図6は、送信部70の機能ブロックを示すブロック図である。送信部70は、LCDコントローラー60から画像データをライン単位で入力する4つの入力ラインIN0〜IN1にそれぞれ4つのP/T計算部71a〜71dを介して接続された4つのラインバッファー72a〜72dと、4つのP/T計算部71a〜71dの計算結果をそれぞれ格納する4つのP/T値格納部73a〜73dに接続された割り付け制御部74と、割り付け制御部74の割り付け信号用ポートに接続され割り付け信号に応じて4つのラインバッファー72a〜72dを選択的に出力側と接続するセレクター75aと、セレクター75aの出力側と信号線D0との接続と割り付け制御部74の順番指定用ポートと信号線D0との接続とを選択的に行なうセレクター76aと、割り付け制御部74の割り付け信号用ポートに接続され割り付け信号に応じて4つのラインバッファー72a〜72dを選択的に出力側と接続するセレクター75bと、セレクター75bの出力側と信号線D1との接続と割り付け制御部74の順番指定用ポートと信号線D1との接続とを選択的に行なうセレクター76bと、割り付け制御部74の割り付け信号用ポートに接続され割り付け信号に応じて4つのラインバッファー72a〜72dを選択的に出力側と接続するセレクター75cと、セレクター75cの出力側と信号線D2との接続と割り付け制御部74の順番指定用ポートと信号線D2との接続とを選択的に行なうセレクター76cと、割り付け制御部74の割り付け信号用ポートに接続され割り付け信号に応じて4つのラインバッファー72a〜72dを選択的に出力側と接続するセレクター75dと、セレクター75dの出力側と信号線D3との接続と割り付け制御部74の順番指定用ポートと信号線D3との接続とを選択的に行なうセレクター76dと、を備える。ここで、P/T計算部71a〜71dは、本実施形態では、それぞれ対応する入力ラインIN0〜IN3から入力したデータ(ビットデータ)のうち信号が1の数NO1を計測し、計測した1の数NO1を総データ数NOAで除することによりP/T値を計算するものとした。
【0025】
図7は、送信部70の割り付け制御部74により実行される割り付け制御ルーチンの一例を示すフローチャートである。割り付け制御ルーチンが実行されると、割り付け制御部74は、まず、P/T値格納部73a〜73dに格納されている4つのP/T値を入力する(ステップS100)。続いて、入力した4つのP/T値のうち大きい順に上位2つの画像データと下位2つの画像データとを特定し(ステップS110)、上位2つの画像データを信号線D0,D3に割り付けると共に(ステップS120)、下位2つの画像データを信号線D1,D2に割り付け(ステップS130)、各割り付けに応じてラインバッファー72a〜72dと信号線D0〜D3とが接続されるようセレクター75a〜75dに対応する割り付け信号を出力すると共に(ステップS140)、ラインの並び順を受信部80側に通知するための順番指定信号を対応するセレクター76a〜76dに出力して(ステップS150)、本ルーチンを終了する。本実施形態では、図3に示すように、信号線D0,D3はいずれもグランド線GNDに隣接して配置され、信号線D1,D2は信号線D0,D3よりもグランド線GNDから遠い位置に配置されているから、グランド線GNDとの間で形成されるループの面積は信号線D0,D3の方が信号線D1,D2よりも小さい。即ち、信号線D0,D3を通る信号は、信号線D1,D2を通る信号よりも放射ノイズが発生し難くなる。したがって、P/T値が大きい上位2つのライン(画像データ)をループ面積が小さな信号線D0,D3に割り付けると共に下位2つのライン(画像データ)をループ面積が大きな信号線D1,D2に割り付けることにより、全体で発生する放射ノイズを低減させることができる。各画像データのP/T値に基づいて信号線D0〜D4に割り付ける画像データを入れ替えるのは、こうした理由に基づいている。
【0026】
図8は、水平同期信号HSYNCの転送と画像信号(D0〜D4)の転送と割り付け判定用値P/Tの計算と順番指定信号の送信の時間変化の様子を示す説明図である。図示するように、RGBデータの転送は、水平同期信号HSYNCが1から0に反転したときに開始され、順番指定信号の送信は、RGBデータの転送に先立って行なわれる。
【0027】
図9は、受信部80の機能ブロックを示すブロック図である。受信部80は、信号線D0〜D3とラインバッファー84aとの接続を選択的に行なうセレクター82aと、信号線D0〜D3とラインバッファー84bとの接続を選択的に行なうセレクター82bと、信号線D0〜D3とラインバッファー84cとの接続を選択的に行なうセレクター82cと、信号線D0〜D3とラインバッファー84dとの接続を選択的に行なうセレクター82dと、信号線D0〜D3から順番指定信号を入力して各セレクター82a〜82dを制御する順番制御部86と、を備える。いま、送信部70から1番目のラインが信号線D1に割り付けられ、2番目のラインが信号線D3に割り付けられ、3番目のラインが信号線D0に割り付けられ、4番目のラインが信号線D2に割り付けられて各信号線D0〜D3から画像データが送信された場合を考える。この場合、順番制御部86は、送信部70から送信された順番指定信号に基づいて、信号線D1とラインバッファー84aとが接続されるようセレクター82aを制御し、信号線D3とラインバッファー84bとが接続されるようセレクター82bを制御し、信号線D0とラインバッファー84cとが接続されるようセレクター82cを制御し、信号線D2とラインバッファー84dとが接続されるようセレクター82dを制御する。これにより、ラインバッファー84aには1番目のラインの画像データが格納され、ラインバッファー84bには2番目のラインの画像データが格納され、ラインバッファー84cには3番目のラインの画像データが格納され、ラインバッファー84dには4番目のラインの画像データが格納されるため、画像データは元の順番に戻されてLCD25に送られることになる。
【0028】
ここで、本実施形態の構成要素と本発明の構成要素との対応関係を明らかにする。本実施形態の液晶ディスプレイ(LCD)25が本発明の「表示部」に相当し、LCDコントローラー60が「制御部」に相当し、送信部70が「送信部」に相当し、受信部80が「受信部」に相当する。
【0029】
以上説明した本実施形態のプリンター20によれば、画像データをLCDコントローラー60から伝送ケーブル90を介してLCD25に転送して画面表示を行なう場合に、画像データを先頭ラインから順に伝送ケーブル90の信号線D0〜D3の数に応じて複数ラインずつ入力し、入力した各ラインにおける画像データのP/T値をそれぞれ計算して割り付け判定用値P/Tとし、割り付け判定用値P/Tが大きい画像データを信号線D0〜D3のうちでグランド線GNDとのループ面積が小さな信号線に割り付けて転送するから、信号の品質を維持しながら、全体で発生する放射ノイズを低減させることができる。しかも、送信部70は、画像データの転送に先立ってラインの並び順を通知するための順番指定信号を送信するから、受信部80は事前にセレクター84a〜84dにより信号線D0〜D3とラインバッファー84a〜84dとの接続関係を設定することができ、信号線D0〜D3から画像データを入力するだけで、画像データのラインの順序を元に戻すことができる。また、P/T値は、入力ラインIN0〜IN3から入力したデータ(ビットデータ)のうち信号が1の数NO1を計測し、計測した1の数NO1を総データ数NOAで除することにより計算するものとしたから、簡易な処理によりP/T値を導出することができる。
【0030】
上述した実施形態では、画像データを入力する度にP/T値を計算すると共に計算したP/T値に応じて入力した画像データを複数本の信号線D0〜D3のいずれかに割り付けるものとしたが、これに限られず、過去に計算したP/T値を後続する画像データの割り付けに用いるものとしてもよい。
【0031】
上述した実施形態では、信号線D0〜D3にライン単位で画像データを割り付けてLCD25側に転送するものとしたが、これに限られず、1フレーム単位でデータを割り付けて転送するものとするなど、如何なる単位でデータを割り付けるものとしてもよい。
【0032】
上述した実施形態では、4つの信号線D0〜D3に画像データを割り付けて同時に転送するものとしたが、これに限られず、グランド線との間で形成するループの面積が異なる2本以上の信号線を有するものであれば、信号線の本数は如何なる本数であっても構わない。
【0033】
上述した実施形態では、本発明を液晶ディスプレイ25付きのプリンター20に適用して説明したが、これに限られず、ディスプレイを備える機器であれば、例えば、FAX機器やビューワー,パーソナルコンピューターなど如何なる機器に適用するものとしてもよい。また、ディスプレイも液晶ディスプレイに限られず、プラズマディスプレイや有機ELディスプレイなど複数の画素により構成される如何なるディスプレイに適用するものとしてもよい。
【0034】
なお、本発明は上述した実施形態に何ら限定されることはなく、本発明の技術的範囲に属する限り種々の態様で実施し得ることはいうまでもない。
【符号の説明】
【0035】
20 プリンター、21 本体、22 取っ手、23 オートシートフィーダー、24 排紙トレイ、25 液晶ディスプレイ、26 電源ボタン、28 赤外線通信ポート、30 リモートコントロール装置、30a 発光部、31 電源ボタン、32 ストップ/設定クリアボタン、33 トップメニューボタン、34 印刷枚数設定ボタン、35 上下左右ボタン、36 OKボタン、37 戻るボタン、38 印刷ボタン、39 設定ボタン、40 印刷機構、41 キャリッジ、42 ガイド、43 キャリッジベルト、44 インクカートリッジ、45 印刷ヘッド、46 搬送ローラー、48 プリンターASIC、50 メインコントローラー、51 CPU、52 ROM、53 RAM、54 フラッシュメモリー、55 インターフェース(I/F)、56 赤外線通信コントローラー、57 メモリーカードスロット、58 メモリーカードコントローラー、60 LCDコントローラー、62 SDRAM、70 送信部、71a〜71d P/T計算部、72a〜72d ラインバッファー、73a〜73d P/T値格納部、74 割り付け制御部、75a〜75d,76a〜76d セレクター、80 受信部、82a〜82d セレクター、84a〜84d ラインバッファー、86 順番制御部、90 伝送ケーブル、MC メモリーカード。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
表示部と、複数本の信号線とグランド線とを介して前記表示部に接続された制御部とを備え、画像信号を前記制御部から前記複数本の信号線を介して前記表示部に転送することにより画像を表示する画像表示装置であって
前記信号線に対して前記制御部側に設けられ、前記画像信号を前記信号線の数だけ所定順に分割してそれぞれ解析し、該解析した各画像信号のうち信号変化が多い画像信号ほど前記グランド線に近い信号線に割り付けて各画像信号と割り付けられた信号線との対応関係と共に前記表示部側に転送する送信部と、
前記信号線に対して前記表示部側に設けられ、前記送信部から前記画像信号と前記対応関係とを入力し、該入力した画像信号を前記入力した対応関係を用いて元の順序に戻して前記表示部に出力する受信部と
を備える画像表示装置。
【請求項2】
前記送信部は、前記画像信号の1周期当たりのオン信号の割合を演算し、該演算した割合が大きい信号ほど前記グランド線に近い信号線に割り付けて送信する部である請求項1記載の画像表示装置。
【請求項3】
前記送信部は、前記各画像信号の転送に先立って前記対応関係を転送する部である請求項1または2記載の画像表示装置。
【請求項4】
前記送信部は、ライン単位で前記画像信号を分割して前記複数本の信号線に割り付けて前記受信部に転送する部である請求項1ないし3いずれか1項に記載の画像表示装置。
【請求項5】
表示部を備えるコンピューターを、請求項1ないし4いずれか1項に記載の画像表示装置として機能させるためのプログラム。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate


【公開番号】特開2011−227321(P2011−227321A)
【公開日】平成23年11月10日(2011.11.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−97607(P2010−97607)
【出願日】平成22年4月21日(2010.4.21)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】