説明

画像表示装置によって投射された画像を印刷する印刷システムおよびプログラム

【課題】画像表示装置によって投射された画像を画像表示装置における操作で解像度良く画像表示装置にかかる負荷を抑えて印刷すること
【解決手段】プロジェクタ1とPC2を有する印刷システムにおいて、PC2の制御部22は、プロジェクタ1から印刷条件を受信すると、RAM28に保存されている画像データと画像データ保存部24に保存されている画像データのうち解像度の高い方と印刷条件から印刷データを生成してプリンタ3に印刷させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像表示装置によって投射された画像を印刷する印刷システムおよびプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
パーソナルコンピュータ(PC)から画像をプロジェクタで受信および投射してプレゼンテーションを行っている時に視聴者から投射された画像の印刷を要求される場合がある。この場合、従来、発表者はPCまで移動してPCを操作してPCに接続されているプリンタから画像を印刷する必要があった。
【0003】
この場合、投射画像の一部の印刷が要求される場合には発表者はPC上で印刷領域を設定しなければならないが、PCのディスプレイ画面は投射面には投射されないので視聴者の希望に沿った印刷領域を設定する操作に手間取る場合がある。しかも、発表場所に設置してあるPCは発表者自身のものでない場合が多いので操作しにくい場合が多い。
【0004】
そこで、特許文献1、2に開示されているようにプロジェクタをプリンタに直接接続してプロジェクタから印刷データをプリンタに送信して印刷することも考えられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2006−126480号公報
【特許文献2】特開2004−312706号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、PCに格納されている画像の解像度が、プロジェクタが表示している投射画像の解像度よりも高い場合があり、特許文献1、2の構成では視聴者は解像度の良い画像を得られないおそれがある。また、プロジェクタが画像データをプリンタに送信するとプロジェクタが送信するデータ量が増え、また、プリンタが印刷可能な形式にデータを変換しなければならないなどプロジェクタの負荷が増加する。
【0007】
本発明は、画像表示装置によって投射された画像を画像表示装置における操作で解像度良く画像表示装置にかかる負荷を抑えて印刷することが可能な印刷システムを提供することを例示的な目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の印刷システムは、制御部と、第1の画像データを保存する第1の記憶部と、前記第1の画像データを処理して第2の画像データを生成する第1の画像処理部と、前記第2の画像データを一時的に保存する第2の記憶部と、を有するコンピュータと、前記コンピュータから出力された前記第2の画像データに対応する画像を出力する画像出力部と、前記第2の画像データを識別する識別情報と前記画像における印刷領域の座標情報を含む印刷条件を設定する第2の画像処理部と、を有し、前記コンピュータに接続された画像表示装置と、を有し、前記コンピュータの前記制御部は、前記画像表示装置から前記印刷条件を受信すると、前記印刷条件に含まれる前記識別情報に対応する、前記第2の記憶部に保存されている前記第2の画像データと前記第1の記憶部に保存されている第1の画像データのうち解像度の高い画像データと前記印刷条件から前記第1の画像処理部を介して印刷データを生成して、前記コンピュータに接続された印刷装置に送信して印刷させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、画像表示装置によって投射された画像を画像表示装置における操作で解像度良く画像表示装置にかかる負荷を抑えて印刷することが可能な印刷システムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本実施形態の印刷システムのブロック図である。
【図2】図2(a)は図1に示すプロジェクタの動作を説明するためのフローチャートであり、図2(b)はプロジェクタが表示する画面の例である。
【図3】図1に示すPCの動作を説明するためのフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
図1は、画像表示装置によって投射された画像を印刷する印刷システムのブロック図である。以下、画像表示装置の一例としてプロジェクタ(画像投射装置)を例に説明するが、本発明はテレビなど他の画像表示装置にも適用可能である。
【0012】
印刷システムはプロジェクタ(画像表示装置)1と、パーソナルコンピュータ(PC)2と、プリンタ(印刷装置)3と、を有する。PC2はプロジェクタ1とプリンタ3に接続されている。
【0013】
プロジェクタ1は、操作部11、制御部12、画像出力部13、画像入力部14、画像処理部(第2の画像処理部)15、印刷条件データ出力部16を有する。
【0014】
操作部11は、投射された画像の印刷するための印刷条件の入力操作や印刷プレビューの命令を受け付ける操作を行う手段である。例えば、ボタン、ダイヤル、キーパッド、各種のポインティングデバイス等であるが、これらに限定されない。印刷条件とは、投射画像を識別する識別情報、印刷命令、印刷領域、印刷部数、倍率、解像度、カラー/白黒印刷の指定、印刷用紙のサイズや種類、両面印刷の有無を含むが、これらに限定されない。印刷条件は投射画像の画像データの情報は含まない。
【0015】
制御部12はプロジェクタ1の各モジュールを制御し、PC2と通信することができる。
【0016】
画像出力部13は、投射面に画像を投射する投射レンズ(投射部)や液晶ディスプレイなどである。画像出力部13は、投射画像、そこに設定された印刷領域、その他の印刷条件、印刷プレビュー、プロジェクタ1の光学情報(アスペクト比、ズームなど)などを表示することができる。画像出力部13は、投射画像の全体を表示せずに印刷領域に含まれる画像を表示する印刷プレビュー機能も有する。
【0017】
画像入力部14は、PC2などの外部機器から画像データ(第2の画像データ)が入力されるコネクタであり、USB端子、ビデオ入力端子などを含む。
【0018】
画像処理部(第2の画像処理部)15は、入力画像データを変換・処理する機能、投射される画像の倍率を変更(拡大・縮小)するデジタルズーム機能、印刷条件データ等の出力を行う機能などを有する。
【0019】
印刷条件データ出力部16は、画像処理部15から出力された印刷条件のデータをPC2などの外部機器に出力する。本実施例では、プロジェクタ1は印刷条件データ出力部16からPC2に印刷条件を出力するが、PC2が投射画像の画像データを既に保持しているためそれは送信しない。
【0020】
PC2は、操作部21、制御部22、画像データ出力部23、画像データ保存部(第1の記憶部)24、画像処理部(第1の画像処理部)25、印刷データ出力部26、印刷条件データ入力部27、RAM(第2の記憶部)28を有する。
【0021】
操作部21は、各種の入力操作を受け付けるキーボードやポインティングデバイスである。制御部22は、各モジュールを制御すると共に、図3を参照して後述するように、解像度の比較と比較結果に基づいて印刷データに使用される画像データの選択を行う。
【0022】
画像データ出力部23は、不図示のディスプレイやプロジェクタ1に画像データを出力する。画像データ保存部24は、元画像データとしての第1の画像データを保存する記憶手段(第1の記憶部)である。
【0023】
画像処理部25は、画像データ保存部24に保存されている第1の画像データを処理して不図示のディスプレイやプロジェクタ1が表示可能な第2の画像データに変換・生成することができる。また、画像処理部25は、プロジェクタ1から受信した印刷条件と制御部22によって選択された画像データ保存部24またはRAM28に格納されている画像データから印刷データを生成することができる。印刷データは、印刷条件の情報と投射されている画像の全部または一部を表す画像データ(例えば、網点の大きさや密度など)を含む情報である。
【0024】
印刷データ出力部26は、画像処理部25が生成した印刷データをプリンタ3に出力する。印刷条件データ入力部27は、プロジェクタ1の印刷条件データ出力部16から印刷条件の情報を受信する。RAM28は、画像データ出力部23から出力される出力画像データとしての第2の画像データを一時的に保存する記憶手段(第2の記憶部)である。
【0025】
以下、本印刷システムにおいて投射された画像の所望の印刷領域を印刷する場合の動作について説明する。
【0026】
図2(a)はプロジェクタ1の動作を示すフローチャートであり、図2(b)はプロジェクタ1に表示される画面の例である。図3はプロジェクタ1から印刷情報がPC2に送信されてからのPC2の動作を示すフローチャートである。図2及び図3において、「S」はステップ(工程)の略であり、これらのフローはプロセッサ(マイクロコンピュータ)を各ステップの手段として機能させるためのプログラムとして具現化可能である。
【0027】
まず、図2(a)を参照して説明すると、プロジェクタ1は操作部11によって電源がONにされてPC2の画像データ出力部23から出力された画像データを画像入力部14から受信し、制御部12はそれを画像処理部15に処理させる。そして、図2(b)の画面(1)に示すように、画像出力部13が受信した画像データに対応する画像を表示する(S101)。
【0028】
次に、制御部12は、操作部11からの操作と画像処理部15を介して投射画像に希望の印刷領域を設定する(S102)。図2(b)の画面(2)では、一例として、丸と三角が矩形の点線領域Pで囲まれており、これが印刷領域として設定されている。
【0029】
次に、制御部12は、画像処理部15を介して、投射画像における印刷領域の座標情報を取得する(S103)。例えば、図2(b)の画面(2)において、制御部12は、点線領域Pの四つの頂点の位置の座標を取得する。座標の取得方法は、これに限られず、矩形点線領域Pの対角の2点の座標のみを取得してもよい。
【0030】
次に、制御部12は、取得した印刷領域の座標情報に基づいて投射画像から印刷領域を切り取り、デジタルズーム機能によって印刷領域を拡大または縮小して印刷プレビューを作成し画像出力部13で印刷プレビューの表示を行う(S104)。例えば、図2(b)の画面(3)では、制御部12は、点線領域内にある丸と三角を印刷プレビューとして拡大表示している。
【0031】
次に、制御部12は、表示されている印刷プレビューに表示された画像が希望する印刷領域であるかどうかの確認を促し(S105)、必要があれば、S102に戻ってユーザは印刷領域を再度選択することができる(S105のN)。
【0032】
従来、プロジェクタが投射している画面を、PCを操作して印刷する場合には視聴者はPCのディスプレイ上の印刷プレビューを確認することはできなかったため、印刷領域の選択を誤る可能性があった。これに対して、本実施形態によればプロジェクタの視聴者は印刷プレビュー画面を確認することができるため印刷ミスを防止することができる。
【0033】
一方、表示されている印刷プレビューに表示された画像が希望する印刷領域であることが確認されると(S105のY)、制御部12は、その他の印刷条件の設定を促す(S106)。例えば、図2(b)の画面(4)において、制御部12は、印刷用紙のサイズA4の選択を受け付ける。
【0034】
次に、制御部12は、印刷条件の情報を取得した表示画像の印刷領域の座標情報と、印刷条件を含む印刷データを印刷条件データ出力部16からPC2の印刷条件データ入力部27に送信する(S107)。S107は、操作部11においてユーザが「印刷」を命令するボタンを押したりクリックしたりすることによって行われる。
【0035】
このように、本実施形態によればユーザはプロジェクタ1からPC2に移動する必要がないので印刷時の操作性が向上している。この結果、フローは図3に移行する。
【0036】
まず、制御部22は、印刷条件データ入力部27を介してプロジェクタ1から印刷条件の情報を印刷命令と共に受信する(S201)。
【0037】
次に、制御部22は、画像処理部25を介して、RAM28に格納されている第2の画像データの解像度と画像データ保存部24の第1の画像データの解像度の比較を行う(S202)。なお、比較される画像は印刷条件に含まれる画像の識別情報に基づいて特定される。
【0038】
次に、制御部22は、第2の画像データの解像度が第1の画像データの解像度よりも低い場合には(S203のY)、プロジェクタ1から受信した印刷条件と第1の画像データから印刷データを、画像処理部25を介して作成する(S204)。
【0039】
一方、制御部22は、第2の画像データの解像度が第1の画像データの解像度と同じか高い場合には(S203のN)、プロジェクタ1から受信した印刷条件と第2の画像データに基づいて印刷データを、画像処理部25を介して作成する(S205)。
【0040】
このように、制御部22は、第2の画像データと第1の画像データのうち解像度の高い画像データと印刷条件から画像処理部15を介して印刷データを生成する。
【0041】
次に、制御部22は、作成された印刷データを印刷データ出力部26からプリンタ3に送信する(S206)。この結果、プリンタ3は印刷データに従って投射画像の所望の印刷領域を解像度良く印刷する。
【0042】
本実施形態によれば、プロジェクタ1のユーザは投射画像を印刷する際にPC2に移動して操作する必要がなく、PC2が解像度の高い画像データを選択するので印刷される画像の解像度を高めることができる。また、プロジェクタ1は印刷条件を送信するが画像データを送信しないので大きな負荷がかからない。また、例えば、特許文献1、2であれば画像データをプリンタの印刷に適したフォーマットに変換する画像処理が必要であるが、本実施形態ではこの画像処理も不要である。
【0043】
以上、本実施形態について説明したが、本発明は本実施形態に限定されず、その要旨の範囲内で種々の変形及び変更が可能である。
【産業上の利用可能性】
【0044】
本発明の印刷システムはプロジェクタを使用する環境に適用することができる。
【符号の説明】
【0045】
1…プロジェクタ(画像表示装置)、2…パーソナルコンピュータ、3…プリンタ(印刷装置)、13…画像出力部、15…画像処理部(第2の画像処理部)、22…制御部、24…画像データ保存部(第1の記憶部)、25…画像処理部(第1の画像処理部)、28…RAM(第2の記憶部)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
制御部と、第1の画像データを保存する第1の記憶部と、前記第1の画像データを処理して第2の画像データを生成する第1の画像処理部と、前記第2の画像データを一時的に保存する第2の記憶部と、を有するコンピュータと、
前記コンピュータから出力された前記第2の画像データに対応する画像を出力する画像出力部と、前記第2の画像データを識別する識別情報と前記画像における印刷領域の座標情報を含む印刷条件を設定する第2の画像処理部と、を有し、前記コンピュータに接続された画像表示装置と、
を有し、
前記コンピュータの前記制御部は、前記画像表示装置から前記印刷条件を受信すると、前記印刷条件に含まれる前記識別情報に対応する、前記第2の記憶部に保存されている前記第2の画像データと前記第1の記憶部に保存されている第1の画像データのうち解像度の高い画像データと前記印刷条件から前記第1の画像処理部を介して印刷データを生成して、前記コンピュータに接続された印刷装置に送信して印刷させることを特徴とする印刷システム。
【請求項2】
前記印刷条件は、前記印刷装置が印刷する用紙のサイズを含むことを特徴とする請求項1に記載の印刷システム。
【請求項3】
前記画像表示装置の前記画像出力部は、前記印刷領域に含まれる画像を表示する印刷プレビュー機能を有することを特徴とする請求項1または2に記載の印刷システム。
【請求項4】
前記画像表示装置の前記第2の画像処理部は、投射される画像の倍率を変更する機能を有することを特徴とする請求項1乃至3のうちいずれか1項に記載の印刷システム。
【請求項5】
第1の画像データを保存する第1の記憶部と、前記第1の画像データを処理して第2の画像データを生成する第1の画像処理部と、前記第2の画像データを一時的に保存する第2の記憶部と、を有するコンピュータと、
前記コンピュータから出力された前記第2の画像データに対応する画像を出力する画像出力部と、前記第2の画像データを識別する識別情報と前記画像における印刷領域の座標情報を含む印刷条件を設定する第2の画像処理部と、を有し、前記コンピュータに接続された画像表示装置と、
を有する印刷システムにおいて、前記コンピュータを、
前記画像表示装置から前記印刷条件を受信する手段、
前記印刷条件を受信すると前記印刷条件に含まれる前記識別情報に対応する、前記第2の記憶部に保存されている前記第2の画像データと前記第1の記憶部に保存されている第1の画像データのうち解像度の高い画像データを選択する手段、
選択された画像データと前記印刷条件から前記第1の画像処理部を介して印刷データを生成する手段、
前記コンピュータに接続された印刷装置に前記印刷データを送信して印刷させる手段、として機能させることを特徴とするプログラム。

【図3】
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【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2013−20438(P2013−20438A)
【公開日】平成25年1月31日(2013.1.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−153081(P2011−153081)
【出願日】平成23年7月11日(2011.7.11)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】