説明

画像表示装置及び画像表示方法

【課題】色知識がないユーザーでも簡単に色調整を行うことが出来るプロジェクタ等の画像表示方法及び画像表示装置を提供する。
【解決手段】色調整に使用する色調整用画面20とカーソル1を備え、色調整画面20上にカーソル1により指定した色を、指定した色が持つ明るさに対応した色の濃さと色相を第1カラープレーン上51で座標表示し、さらに目標となる目標色も明るさに対応した色の濃さと色相を第2カラープレーン53上で座標表示し、色変換させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プロジェクタ、DVDプレーヤー、パソコン等によってスクリーンやディスプレイ等の表示媒体に表示される画像を色調整する際の表示態様に関する。
【背景技術】
【0002】
入力される映像信号に基づいた画像をスクリーン等に拡大投影するプロジェクタは、映像信号のカラー方式や人間の視覚特性に応じて、ユーザが画像の色調整を行うための色調整手段を備えることが望まれる。
【0003】
特願2004−112817号の画像補正装置は、表示画面に調整色パレットと目標色パレットを含む色調整用画面を表示し、x−y色度図を表示させて色を表示し、目標となる色へコントロールさせる。
【特許文献1】特開2002−262218号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら特願2004−112817号の表示態様では、x−y色度図という2次元空間(彩度、色相)での色表示となっているため、明るさ(Y)をコントロールさせた時の色状態の変化の度合いが3次元的(明るさ、彩度、色相)に捉えにくく、結果としてユーザーが明るさコントールによる色変更を困難になるという課題があった。
【0005】
そこで本発明は、色知識がないユーザーでも簡単に色調整を行うことが出来るよう、調整させる色及び目標とする色を3次元色空間のカラープレーンもしくはカラーサークルで表示させ、その中で座標を表示しながら、色変換の調整を行うことのできる画像表示方法及び画像表示装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この目的を達成する画像表示装置は、画像表示画面にユーザーが指定して色の調整を行う色調整用画面と、前記指定した色の色相、色の濃さ(彩度)、明るさ(明度)を指示する目標色指定手段と、前記目標色指定手段により指示した色の座標を表示する調整色表示手段と、で構成され、前記調整色表示手段は、明るさに対する色の濃さ、色相を示す3次元色空間を示し、前記指定した色の明るさに対応した色の濃さ、色相の色分布を表示する第1カラープレーンと、前記目標色指定手段により決定した色の明るさに対応した色の濃さ、色相の色分布を表示する第2カラープレーンと、を表示する機能を有することを特徴とするものである。
【0007】
この構成によれば、3次元で表現された色空間において、明度に対応した色相・彩度の表示面を表示させることができ、その色相・彩度の表示面で調整色の座標を表示したり、目標色の明度に対応した色相・彩度の表示面を表示させることができるので、色変化の状態軌跡を表示確認しながら色調整できる。
【発明の効果】
【0008】
このような表示態様であれば、色知識がないユーザーでも簡単に現在表示している色から目標とする色への色変更が容易に実現できるという効果がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
以下、本発明の実施形態について説明する。
【0010】
<概要>
図1は、本発明の一実施形態であるプロジェクタの利用形態を示す図である。
【0011】
同図おいてプロジェクタ100は、入力端子に接続されたパソコン150からの映像信号を内部で信号処理し、液晶パネルに展開してスクリーン160に拡大表示する。表示中にユーザ−のマウス130の操作により色調整を行うことが指示されると、プロジェクタ100は、スクリーン160に表示された画像を左右2つの領域に分割し、一方の領域を元の色のままで表示し、他方の領域をユーザ−に指示される色に応じて色変換して表示する。
【0012】
図2に色調整の際の表示態様の一例を示す。
【0013】
画像が表示されている最中にユーザ−がマウス130を動かすと、図2(a)に示すように、画像上にカーソルが表示される。マウス操作でカーソルを動かして適当な位置で左クリックすると、図2(b)に示すように、画像を左右2つの領域に分割する境界線2が表示され、また色調整用画面20が表示される。この色調整用画面20は、色調整の指示をユーザが入力するための画面であり、色調整する対象の色を表示する調整色パレット3と、調整後の色を表示する目標色パレット5と、調整パレット3の色が3次元色空間上でどの座標に位置するかを示す調整色表示手段と、決めようとしている色を色相、色の濃さ(彩度)、明るさ(明度)を指定スケールで指示する目標色指定手段6とをマウス操作で入力できるように構成されている。この画面から色調整が指示されると、図2(c)に示すように、境界線の右側の領域は、調整対象に指定された色の部分が指定された色に変更されて表示され、境界線の左側の領域は、元の色のままで表示される。マウス130が右側の領域を左クリックすることにより、色の変更を認める旨の指示を入力すると、図2(d)に示すように、画面全体が指示された色に基づいて色変換されて表示される。
【0014】
図3は図2(b)に示した色調整画面の詳細を示すものである。調整色表示手段4として、黒から白までの明るさ(縦軸)に対する色の濃さ、色相を示す3次元の色づけされた色空間を示し、カーソルで示した色をその明るさに対応した色分布で第1カラープレーン51に表示し、色調整画面右側の目標色指定手段により決定された色をその明るさに対応した色分布で第2カラープレーン53に表示させる。これにより、色変換前の色の状態から色変換後の色の状態までを3次元に視覚的表示させながら色変換を実現させる。
【0015】
<構成>
このような表示態様を実現する構成について以下に説明する。
【0016】
図5は、プロジェクタ100の外観図を示す。
【0017】
プロジェクタ100は、入力端子として、筐体一側面にマウス130が接続されるUSB接続端子14、ビデオ入力端子11、Sビデオ入力端子12、RGB/YPbPr入力端子13を備え、筐体前面にリモコン140の信号を入力するためのリモコン受光部170とレンズ190を備え、筐体上面には方向キー120、決定ボタン110を備える。
【0018】
図6は、プロジェクタ100の構成を示すブロック図である。
【0019】
プロジェクタ100は、発明の主要部として色変換回路40、オンスクリーン処理回路50、メインマイコン70及び外部インターフェース71を備える。そして色変換回路40の前段には、入力される各種の映像信号について前処理を行う部分を備え、オンスクリーン処理回路50の後段には、表示のために映像信号を液晶パネルに展開する処理部分を備える。
【0020】
以下では、まず前段部分と後段部分の構成について簡単に説明し、後に主要部について説明する。
【0021】
前段部分の構成は、ビデオ入力端子11、Sビデオ入力端子12、RGB/YPbPr入力端子13、カラーデコーダ22、Y/C分離回路23、マトリクス回路24、A/Dコンバータ30、リサイズ回路35、入力セレクタ21、25、26から成る。
【0022】
ビデオ端子11、Sビデオ入力端子12及びRGB/YPbPr入力端子13はそれぞれ、NTSC方式のコンポジットビデオ信号を入力するための端子、Sビデオ信号を入力するための端子、及びRGB信号又はYPbPr信号を入力するための端子である。これらの端子から入力される信号は、その信号のビデオ信号規格の種類に応じて、カラーデコーダ22、Y/C分離回路23、マトリクス回路24で処理されてRGB信号に変換された上で、A/Dコンバータ30に入力される。
【0023】
カラーデコーダ22は、Y/C分離された信号または入力されたY/C信号をYPbPr信号にカラーデコードするためのデコーダである。
【0024】
Y/C分離回路23は、カラーデコーダ22によって入力されたコンポジットビデオ信号を、Y信号とC信号とに分離するための回路である。
【0025】
マトリクス回路24は、YPbPr端子から入力されるYPbPr信号に従来技術である所定の処理を施してRGB信号を再生する回路である。
【0026】
A/Dコンバータ30は、入力セレクタ26によって選択されたアナログ信号を、10bitのデジタル信号へ変換するためのコンバータである。
【0027】
リサイズ回路35は、デジタル信号を、LCDパネル91〜93の画素数に応じてリサイズするための回路である。リサイズ回路35は、リサイズした映像信号を一時的に内部メモリに蓄積し、入力セレクタ26からの同期信号に同期させながら走査順に色変換回路40に出力する。また、メインマイコン70よりフリーズの指示があると、内部メモリの更新を停止し、つまり指示された時に蓄積されている1フレームの映像信号を保持しつづけて、それが次のフレームの映像信号により書きかえられないようにして、その上で、内部メモリに保持されている映像信号を、フレーム周波数に合わせて繰り返し色変換回路40へ出力する。
【0028】
後段部分の構成は、デジタル相展開回路81、82、83、パネル駆動IC90、LCDパネル91、92、93から成る。
【0029】
デジタル相展開回路81〜83は、LCDパネル91〜93の駆動ドライバ(不図示)の動作速度を考慮して、色変換回路40によって色補正されたデジタル信号を相展開するための回路である。
【0030】
パネル駆動IC(Integrated Circuit)90は、LCDパネル91〜93を駆動するための回路である。
【0031】
LCDパネル91〜93は、色変換回路40によって色補正され、デジタル相展開回路81〜83によって相展開されたデジタル信号をカラー表示するためのパネルである。
【0032】
次に、主要部の構成について説明する。
【0033】
色変換回路40は、メインマイコン70より色調整に関する指示に応じて、リサイズ回路35により出力される1フレーム分の映像信号を、メインマイコン70により指示される境界位置で2つの領域に分割し、一方の領域の映像信号をそのまま出力し、他方の領域の映像信号をメインマイコン70より指示される色に応じて色変換して出力する。
【0034】
図7は、色変換回路40の構成を示すブロック図である。
【0035】
同図において色変換回路40は、色変換LUT(Look Up Table)52、出力セレクタ55、取り込み位置制御部58及び切替制御部56から構成される。
【0036】
色変換LUT52は、入力され得るすべての色信号の値それぞれと内部メモリの各アドレスとを対応付けており、各アドレスに出力されるべき色信号の値を保持している。そして色変換LUT52は、1つの色信号が入力されると、その色信号に対応するアドレスに保持される色信号を出力する。
【0037】
各アドレスには、入力される色信号と同じ値の色信号が初期値として保持されており、後に、色調整に伴うメインマイコン70による書き込み操作によってアドレスの内容は書き換えられる。
【0038】
切替制御部56は、メインマイコン70から2分割表示の境界位置の座標が指示されると、その座標を記憶保持し、出力セレクタ55に適宜切替信号を出力して切替を行わせる。
【0039】
図8は、切替制御部56の構成を示すブロック図である。
【0040】
同図において切替制御部56は、主には、ラッチ561とカウンタ562とから構成される。ラッチ561は、メインマイコン70から入力される境界位置の座標を保持する。
【0041】
カウンタ561は、映像信号の1画素又は1ラインが色変換回路40に入力されるタイミングをカウントすることにより、2領域の境界を検出し、当該検出時にキャリーアウト、すなわち切替信号を出力セレクタ55に出力する。
【0042】
出力セレクタ55は、切替制御部56からの切替信号に従って、リサイズ回路35から入力される色信号と、色変換LUT52からの色信号とのどちらか一方を、オンスクリーン処理回路50に出力する。
【0043】
より具体的に、画像を左右に分割する場合、出力セレクタ55は、切替制御部56からリセットによる切替信号が入力されると、リサイズ回路35から入力される色信号をそのまま出力し、ラッチとカウンタの値が同値になったことによる切替信号が入力されると、色変換LUT52からの色信号を出力する。
【0044】
また、画像を上下に分割する場合、出力セレクタ55は、切替制御部56からリセットによる切替信号が入力されると、リサイズ回路35から入力される色信号をそのまま出力し、ラッチとカウンタの値が同値になったことによる切替信号が入力されると、色変換LUT52からの色信号を出力する。
【0045】
取り込み位置制御部58は、メインマイコン70より指定される座標位置にある色信号の値を取得してメインマイコン70に出力する。このメインマイコン70より指定される座標位置とは、すなわち、マウス操作によってユーザから指定される、色調整の対象となる画像部分に相当する。
【0046】
詳しくは、取り込み位置制御部58は、水平同期信号カウンタと画素クロックカウンタで構成されており、これらによりメインマイコン70より指定される座標位置を特定し、特定した位置にある色信号を取得してメインマイコン70に出力する。
【0047】
この構成により例えば、左クリックが押下されたとき、その入力を外部インターフェース71から受けたメインマイコン70は、カーソル位置を中心とする20画素四方に含まれる各座標を、取り込み位置制御部58に通知する。すると、取り込み位置制御部は、その20画素四方の位置を水平同期信号カウンタ及び画素クロックカウンタによるカウントで特定し、そこに含まれる色信号を取得してメインマイコン70に出力する。
【0048】
オンスクリーン処理回路50は、メインマイコン70の指示に基づいて、オンスクリーン表示用の3次元画像を生成し、これと色変換回路40より出力される映像信号の画像とを合成して出力する回路である。オンスクリーン表示用の3次元画像とは、本発明では特に、色調整のための明るさに対応したカラープレーンを表示できる色調整用画像と境界線のことである。
【0049】
図3は、オンスクリーン処理回路50によりオンスクリーン表示される色調整用画像と境界線の一例を示す。
【0050】
図4は図3の調整色表示手段4の調整表示態様を示す図である。
【0051】
図3において、色調整用画面20の調整色パレット3は、カーソル1により選択した色調整の対象となる色を示すものである。
【0052】
調整色表示手段4は、調整パレット3の色が3次元色空間上でどの座標に位置するかを示すものであり、第1カラープレーン51は調整色パレット3の明るさが持つ色分布をプレーン上に表示し、その中での色の濃さと色相に対応した座標を図4(a)の調整色座標54に示す。
【0053】
調整色表示手段4をユーザーが見やすくするために、一旦第1カラープレーン51を消去する。そしてさらに調整色表示手段は目標色指定手段6によって決めようとしている色を第2カラープレーン53に表示し、図4(c)の目標色座標57のように表示する。その時合わせて目標色パレット5に、色変換後の色を表示する。
【0054】
境界線2は、以下のような太さ、明度、彩度で表示される。まず、太さは画面のサイズをSXGA(1280画素×1024画素)とした場合、1%以下の太さであることが望ましい。例えば画面を左右に分割する場合、1280画素の1%、すなわち12画素以下の太さとなる。また彩度については無彩色、明度については可変できることが望ましいが、可変できない場合は白100%の輝度の20〜40%の明るさで表示させることが望ましい。これは、人間の視覚が境界線も画像の1つとして認識して、全体の画像の色の認識に悪影響を及ぼすと考えられるため、できる限り境界線による影響を低減しようとしたものである。
【0055】
外部インターフェース71は、各種ユーザー操作部からの入力、すなわち、USB接続端子14に接続されたマウス130からの入力、リモコン受光部170に入力されるリモコン140からの信号、方向キー120、決定ボタン110の押下を、メインマイコン70に伝えるインターフェースである。
【0056】
メインマイコン70は、電源制御、ファン制御、温度制御、入力切り換え制御など装置全体のあらゆる制御を行い、また特に、色調整時には外部インターフェース71を通じて入力されるユーザーのマウス操作等に応じて、リサイズ回路35、色変換回路40、オンスクリーン処理回路50等に各種の指示を出して、色調整に関する処理の制御を行う。
【0057】
以下、メインマイコン70の色調整に関する処理を列挙する。
【0058】
(1)メインマイコン70は、映像の表示中において、マウス130が動かされたとき、リモコン140の方向キーが押下されたとき、又は方向キー120が押下されたときに、それらに応じた信号が外部インターフェース71より入力されると、オンスクリーン処理回路50に指示してカーソルを表示させる。
【0059】
カーソルを表示させるとはつまり、メインマイコン70が、オンスクリーン処理回路50に、カーソルの画像と映像信号の画像とを合成する旨の指示と、カーソルを表示すべき位置の位置座標とを伝え、オンスクリーン処理回路がそれに応じてカーソルの画像を、映像信号の画像の位置座標上に合成することである。
【0060】
(2)このカーソル表示に続いて、カーソル表示中に、マウス130の左クリック、リモコン140の決定ボタン押下、又は決定ボタン110の押下があると、メインマイコン70は、リサイズ回路35に画像をフリーズするよう指示する。この指示によりリサイズ回路35は、次のフレームの映像信号のリサイズを中断して、内部メモリに保持している1フレーム分の映像信号を色変換回路40に繰り返し出力する。
【0061】
(3)続いて、メインマイコン70は、オンスクリーン処理回路50に指示して境界線を表示させる。より詳しくは、メインマイコン70は、左クリックまたは決定ボタンが押下されたときのカーソルの位置座標を取得し、続いて、その位置座標の付近の位置座標と、境界線の画像を映像信号の画像に合成する旨の指示とをオンスクリーン処理回路50に伝える。するとオンスクリーン処理回路は、指示された位置座標に縦向きの境界線を表示する。
【0062】
ここでカーソルの位置座標の付近の位置座標とは、例えば、カーソルの位置座標から50画素分左にある位置座標とする。
【0063】
要するにこれは、カーソルの座標位置やその近辺の画像を色調整の対象として、それらが境界線より右側の領域に含まれるようにしている。またカーソルの位置座標と境界線の座標との距離を50画素程度にして、色調整の対象とする部分と境界線とが離れ過ぎないようにすることで、色調整の対象部分と境界線の左側の元の色で表示されている部分とを、人間が見比べ易いようにしている。
【0064】
(4)さらに、メインマイコン70は、オンスクリーン処理回路50に指示して色調整用画面を表示させる。
【0065】
より具体的には、メインマイコン70は、色調整用画面の画像と映像信号の画像とを合成させる旨の指示と、色調整用画面の構成内容についての情報とをオンスクリーン処理回路50に伝える。
【0066】
ここで構成内容についての情報とは、色調整用パレット3、調整色指定手段4及び目標色パレット5に表示する色、目標色指定手段6に表示される各スケールのインジケータの位置のことである。
【0067】
メインマイコン70は、以下のようにして構成内容についての情報の初期値を決定してオンスクリーン処理回路60に伝える。
【0068】
すなわち、メインマイコン70は、左クリック又は決定ボタンが押下されたとき、カーソル位置を中心とする20画素四方の色の値、つまり400画素分の色の値を、取り込み制御部58から取得する。そして、400画素中の色のうち最も多い色を、調整色パレット3及び目標色パレット5の初期の色とする。また、その初期の色が持つ明るさを演算し、その明るさに対応した第1カラープレーンと調整色座標53を表示させる。
【0069】
(5)メインマイコン70は、色調整用画面に対してなされたマウス操作等に応じてオンスクリーン処理回路60に指示し、色調整用画面の構成内容を更新させる。
【0070】
より詳しくは、マウス操作等によりカーソル1の取り込み場所が変わる度に小生色パレットの色と第1カラープレーン51を更新するように指示し、目標色指定手段6の指定スケール601〜603のインジケータが、調整色パレット3の更新された色を示すようにする。
【0071】
また指定スケール601〜603のインジケータの位置がマウス操作等に移動されると、移動後のインジケータの位置に応じて色の値、その色が持つ明るさ、表示すべき第2カラープレーン53を計算し、計算された結果として目標色パレット5及び第2カラープレーン53、目標色座標57を表示する。
【0072】
(6)色調整用画面が表示されている最中に、その画面を除く画像部分にカーソルが置かれた状態で左クリックされると、メインマイコン70は、色変換回路40に指示して、境界線より右側の領域を、色調整用画面で指示された色に変換させる。より具体的には、メインマイコン70は、調整色パレット3の色の値と、目標色パレット5の色の値とを取得し、色変換LUT52における調整色パレット3の色の値に対応するアドレスの部分に、目標色パレット5の色の値を書き込む。そしてさらに、メインマイコン70は、切替え制御部56に境界線の座標を伝え、切替えを行うよう指示する。
【0073】
これに応じて色変換回路40は、境界線より左側の映像信号をそのまま出力し、境界線までくるとセレクタ55を切替えて、境界線より右側の映像信号については、色変換LUT52によって変換された映像信号を出力する。
【0074】
(7)この境界線右側の映像信号が色変換されて表示されている状態において、色調整用画面を除く画像部分が再度左クリックされると、メインマイコン70は、色変換回路40の切替え制御部56に指示して、1フレームの映像信号がすべて、色変換LUT52を通って出力されるようにする。
【0075】
これにより1フレームの画像全体が色変換されて表示される。
【0076】
<動作>
このように構成されたプロジェクタ100について以下に動作を説明する。
【0077】
図9は、プロジェクタ100の動作を示すフローチャートである。
【0078】
図1のように画像が表示されている最中にマウス130が動かされると、メインマイコン70は、オンスクリーン処理回路50に指示して図2(a)のようにカーソルを表示させる(ステップS111)。
【0079】
メインマイコン70は、マウス130の移動に応じてカーソルが移動されるようにオンスクリーン処理回路50にカーソルの表示位置を指示する(ステップS112)。
【0080】
マウス130が左クリックされると、メインマイコン70はその時のカーソルの表示位置の座標を取得して、その位置から50画素分左にある位置のx座標と、縦向きの境界線を生成する旨の指示とをオンスクリーン処理回路50に伝える(ステップS113)。
【0081】
またこのときメインマイコン70は、取得したカーソル表示位置の座標を中心とする20画素四方の各座標を取り込み位置制御部58に伝え、各座標の色信号を取り込み位置制御部58から取得する。そして取得された色信号に基づいて色調整用画面の構成内容を決定し、構成内容についての情報をオンスクリーン処理回路50に伝えて色調整用画面を生成させる。
【0082】
ステップS113の処理とほぼ同時に、メインマイコン70は、リサイズ回路35に画像をフリーズするよう指示する(ステップS114)。
【0083】
これらの指示によりリサイズ回路35は、内部メモリに記憶された1フレームの画像を繰り返し出力することにより画像をフリーズさせる。またオンスクリーン処理回路50は、縦向きの境界線と色調整用画面とをリサイズ回路35からの画像に合成して出力する。その結果図2(b)のような表示になる(ステップS115)。
【0084】
色調整用画面に対するマウス130の操作に応じて、メインマイコン70はオンスクリーン処理回路50に調整色パレット3、目標色パレット5及び第1カラープレーン51、第2カラープレーン53、調整色座標54,目標色座標57の構成内容を更新させる(ステップS116)。
【0085】
色調整用画面以外の画像部分が左クリックされると、メインマイコン70は、色調整用画面の内容に応じて色変換LUT52の内容を更新し、切替制御部56に切り替え制御を行わせる。その結果、色変換処理回路40は、境界線より左側の映像信号をそのまま出力し、境界線までくると出力セレクタ55を切替えて、境界線より右側の映像信号については、色変換LUT52によって変換された映像信号を出力する(ステップS117)。
【0086】
このように2分割表示された状態で、色調整用画面がマウス操作されると、ステップS116に戻って処理を繰り返す(ステップS118)。または、色調整用画面以外の画像が左クリックされると、メインマイコン70は、色調整の終了とみなして(ステップS118)、オンスクリーン処理回路50に境界線及び色調整用画面の合成を終了させるとともに、切替制御部56に指示して、1フレームの映像信号がすべて、色変換LUT52を通って出力されるようにし、図2(d)のように色変換LUT52の書き換えのあった部分が色変換されて表示される(ステップS119)。
【0087】
以上のようにして、本実施形態のプロジェクタ100は、3次元で表現された色空間において、明るさに対応した色の濃さと色相平面が表示させることができ、その色平面で調整色の座標を表示したり、目標色の明るさに対応した色の濃さと色相平面が表示させることができるので、色変化の状態軌跡を表示確認しながら色調整でき、色知識がないユーザーでも簡単に現在表示している色から目標とする色への色変更が容易に実現できるという効果がある。
【0088】
<その他の実施形態>
その他、本発明は上記実施形態に限らず、以下のように実施してもよい。
【0089】
(1)本発明の画像表示装置は、プロジェクタに限らず、プラズマディスプレイ、液晶ディスプレイ、CRT等、各種の表示媒体に画像を表示する装置であれば何でも良い。
【0090】
(2)切替制御部56は、図10に示すようにカウントダウン方式の構成にしてもよい。すなわち、メインマイコン70により境界線の座標がラッチに保持されており、水平同期信号が入力されると、カウンタはラッチに保持された値をセットして(ステップS121)、カウントダウンを繰り返し(ステップS122)、カウント値が0になったとき(ステップS123)、切り替え信号を出力する(ステップS124)。
【0091】
(3)調整色表示手段4は、図11に示すように色の濃さと色相の色分布をユーザーに対してより解りやすく見せるため、縦軸を黒から白までの明るさの軸としてラグビーボール型にし、サークル面積最大のところが、赤、緑、青の色の濃さ最大になるように色をマッピングする。このような3次元色空間の表示においても、第1カラープレーン51、第2カラープレーン52を表示することで、視認しやすい調整色座標54や目標色座標57を3次元的に表示できる。
【0092】
(4)調整色表示手段4では図3に示すような輝度−色差の色立体で表示させているが、これに限定することなく、マンセル表色色立体、PCCS色立体、オストワルト色立体、NCS色立体などを表示させて色調整を行うこともできる。
【0093】
さらに、それらの色立体をより視覚的に解りやすく表示させるため2次元表示を適用し、例えば図12(a―1)の色立体を展開して図12(a―2)を図3の調整色表示手段4に適用してもよいし、又は図12(b)のように明度調整に連動する2次元の色相−彩度図を図3の調整色表示手段4に適用、表示させてもよい。
【0094】
(5)カーソル表示、境界線表示において、オンスクリーン処理回路50が画像を表示、合成をしているが、色変換回路40内で取り込み位置に対応したカーソル表示やメインマイコン70からの制御により境界線を表示させ合成してもよい。
【0095】
(6)図4(b)において、第2カラープレーン上の目標色の座標と、第1カラープレーンで指定した色の座標からの変換過程の軌跡を表示する座標軌跡59を表示させ、ユーザーはより色変換の状態を理解しやすくさせてもよい。
【0096】
(7)図7において、色変換LUT52の代わりに演算部を備えるようにしてもよい。
【0097】
演算部は、色信号のRGB値について3×3のマトリクス演算を行う回路と、マトリクス演算された信号のゲインをアンプする回路とからなり、マトリクス係数やゲイン係数はメインマイコン70により設定される。マトリクス係数は、色調整用画面により指定された目標の色信号を近似する値となっている。
【0098】
(8)色変換LUT52は、8×8×8ビットでもよいし、メモリ容量を少なくするために5×5×5ビットにして、残りのビットを補間回路により補間演算するよう構成してもよい。
【0099】
(9)図6、7、8に示す各構成要素の処理をコンピュータが実行可能なプログラムで実現してもよい。
【産業上の利用可能性】
【0100】
本発明にかかる画像表示装置及び画像表示方法は、色知識がないユーザーでも簡単に現在表示している色から目標とする色への色変更が容易に実現できるという効果を有し、プロジェクタ、DVDプレーヤー、パソコン等によってスクリーンやディスプレイ等の表示媒体に表示される画像を色調整する際の表示態様等として有用である。
【図面の簡単な説明】
【0101】
【図1】本発明の一実施形態であるプロジェクタの利用形態を示す図
【図2】色調整の際の表示態様の一例を示す図
【図3】本発明の一実施形態である色調整用画面を示す図
【図4】調整色表示手段の調整表示態様を示す図
【図5】プロジェクタ100の外観図
【図6】プロジェクタ100の構成を示すブロック図
【図7】色変換回路40の構成を示すブロック図
【図8】切替制御部56の構成を示すブロック図
【図9】プロジェクタ100の動作を示すフローチャート
【図10】切替制御部56のバリエーションを表す図
【図11】色調整用画面20のバリエーションを表す図
【図12】色調整用画面20のバリエーションを表す図
【符号の説明】
【0102】
11 ビデオ入力端子
12 Sビデオ入力端子
13 RGB/YPbPr入力端子
14 USB接続端子
21、25、26 入力セレクタ
22 カラーデコーダ
23 Y/C分離回路
24 マトリクス回路
30 A/Dコンバータ
35 リサイズ回路
40 色変換回路
50 オンスクリーン処理回路
51 第1カラープレーン
52 色変換LUT(Look Up Table)
53 第2カラープレーン
54 調整色座標
55 出力セレクタ
56 切替制御部
57 目標色座標
58 位置制御部
59 座標軌跡
70 メインマイコン
71 外部インターフェース
81〜83 デジタル相展開回路
90 パネル駆動IC
91〜93 LCDパネル
100 プロジェクタ


【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像表示画面にユーザーが指定して色の調整を行う色調整用画面と、
前記指定した色の色相、色の濃さ(彩度)、明るさ(明度)を指示する目標色指定手段と、
前記目標色指定手段により指示した色の座標を表示する調整色表示手段と、
で構成され、
前記調整色表示手段は、
明るさに対する色の濃さ、色相を示す3次元色空間を示し、
前記指定した色の明るさに対応した色の濃さ、色相の色分布を表示する第1カラープレーンと、
前記目標色指定手段により決定した色の明るさに対応した色の濃さ、色相の色分布を表示する第2カラープレーンと、
を表示する機能を有することを特徴とする画像表示装置。
【請求項2】
前記調整色表示手段では、
前記第1カラープレーンを表示し、前記指定した色の座標を表示した後、前記第1カラープレーンを消去し、
前記第1カラープレーンを消去後、前記第2カラープレーンを表示し、さらに前記第2カラープレーン上の目標色の座標を表示させることを特徴とする請求項1記載の画像表示装置。
【請求項3】
前記第2カラープレーン上の目標色の座標と、第1カラープレーンで指定した色の座標からの変換過程の軌跡を表示することを特徴とする画像表示装置。
【請求項4】
カーソルの画像を映像信号の画像の位置座標上に合成するステップと、
画像をフリーズするステップと、
色調整を対象とする領域を、色調整の対象部分と、元の色とに分ける境界を示す境界線を表示するステップと、
色調整の対象部分の色調整をする色調整用画面を表示するステップと、
前記色調整用画面に対してなされた操作に対応して前記色調整用画面の構成内容を更新するステップと、
前記境界線によって分けられた色調整の対象部分を指示した色に変換するステップと、
1フレームの映像信号すべてを前記指示した色に変換するステップと、
から成り、
前記色調整用画面を表示するステップでは、
明るさに対する色の濃さ、色相を示す3次元色空間を示し、
前記元の色の明るさに対応した色の濃さ、色相の色分布を表示する第1カラープレーンを表示するステップと、
前記色調整の対象部分の色の明るさに対応した色の濃さ、色相の色分布を表示する第2カラープレーンを表示するステップと、
を含むことを特徴とする画像表示方法。
【請求項5】
前記色調整用画面を表示するステップでは、
前記第1カラープレーンを表示するステップと、
前記前記色調整の対象部分の色座標を表示するステップと、
前記第1カラープレーンを消去するステップと、
第1カラープレーンを消去後、前記第2カラープレーンを表示するステップと、
前記第2カラープレーン上で前記目標色の座標を表示するステップと、
を含む請求項4記載の画像表示方法。
【請求項6】
前記第2カラープレーン上の目標色の座標と、第1カラープレーンで指定した色の座標からの変換過程の軌跡を表示するステップを含む請求項4記載の画像表示方法。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2006−215146(P2006−215146A)
【公開日】平成18年8月17日(2006.8.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−26059(P2005−26059)
【出願日】平成17年2月2日(2005.2.2)
【出願人】(000005821)松下電器産業株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】