説明

画像表示装置用飛散防止フィルムおよびこれを備えた画像表示装置

【課題】画像表示装置を構成するガラス基板に貼着した場合、ガラスの飛散防止性に優れるとともに、表示部の視認性に優れる画像表示装置用飛散防止フィルムおよびこれを備えた画像表示装置を提供する。
【解決手段】本発明の画像表示装置用飛散防止フィルム100は、屈折率が1.45〜1.55の基材フィルム11と、基材フィルム11の一方の面11aに設けられた屈折率が1.45〜1.55の粘着剤層12と、を備えてなることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像表示装置用飛散防止フィルムおよびこれを備えた画像表示装置に関し、さらに詳しくは、携帯電話やモバイル機器などの携帯端末機器の画像表示装置を構成するガラス基板の破損による飛散を防止するために、そのガラス基板の表面に貼着される画像表示装置用飛散防止フィルムおよびこれを備えた画像表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、携帯端末機器は薄型化、軽量化が求められている。従来、携帯端末機器の情報表示部の表面には、表示された情報を見易くするためや、落としても壊れないようにする観点から、光透過性の高いプラスチック板が用いられていた。しかし、プラスチック板で一定以上の薄さを求めると、強度が不足する。これを解消するために、情報表示部の表面には、強化ガラス基板が用いられるようになってきている。
ところが、強化ガラス基板のみで用いると、携帯端末機器を落とした際にガラス基板が破損し、ガラス基板が飛散するという問題があった。そのため、その強化ガラス基板の表面に粘着剤層付きの飛散防止フィルムを貼り合せて、ガラス基板の飛散を防止することが検討されている。
【0003】
飛散防止フィルムとしては、一般に、安価で飛散防止効果のあるポリエチレンテレフタレート(PET)フィルムが用いられている。PETフィルムは一般に粘着剤層との密着性が低いため、密着性を向上させるために、易接着層と呼ばれる薄膜が設けられた易接着層付きPETフィルムが利用されている。
しかし、易接着層付きPETフィルムは、易接着層に起因する鮮明な干渉縞が現れる場合があり、携帯端末機器の情報表示部に表示される情報の視認性が阻害されるという問題があった。この干渉縞は、主に、易接着層付きPETフィルムの外面側において、波長625nm〜780nmの光、すなわち、赤色の光(干渉色)が反射することによって生じるものである。
そこで、干渉縞を低減した飛散防止フィルムとしては、例えば、基材フィルムと、その一方の面に設けられたハードコート層と、その他方の面に設けられた粘着剤層とを備え、ハードコート層の膜厚と基材フィルムの内部ヘイズを掛け合わせた値が4以上であり、かつ、ハードコート層の表面の十点平均粗さ(Rz)が2μm以下であるものが提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2008−216913号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
一方、近年、ガラス基板を剥き出しにしたデザインの携帯端末機器も数多く販売されており、その視認性のよさが好まれている。しかしながら、ガラス基板の飛散を防止するために、このような携帯端末機器のガラス基板に対して、上記の干渉縞を低減した飛散防止フィルムを貼着すると、わずかな干渉色により、ガラス基板を剥き出しにした状態よりも視認性が低くなるという問題があった。
【0006】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであって、画像表示装置を構成するガラス基板に貼着した場合、ガラスの飛散防止性に優れるとともに、表示部の視認性に優れる画像表示装置用飛散防止フィルムおよびこれを備えた画像表示装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の画像表示装置用飛散防止フィルムは、屈折率が1.45〜1.55のトリアセチルセルロースフィルムからなる基材フィルムと、該基材フィルムの少なくとも一方の面に設けられた屈折率が1.45〜1.55の粘着剤層と、を備えてなることを特徴とする。
【0008】
本発明の画像表示装置用飛散防止フィルムにおいて、前記基材フィルムの前記粘着剤層と接している面とは反対側の面に、屈折率が1.45〜1.55のハードコート層が設けられていることが好ましい。
【0009】
本発明の画像表示装置用飛散防止フィルムにおいて、前記基材フィルムの前記粘着剤層と接している面とは反対側の面側における波長380〜780nmの光の視感反射率が8.5%以下であることが好ましい。
【0010】
本発明の画像表示装置用飛散防止フィルムは、携帯情報端末機器の表示画面に用いられることが好ましい。
【0011】
本発明の画像表示装置は、画像表示パネルと、該画像表示パネルの表示部上に配置されるガラス基板と、本発明の画像表示装置用飛散防止フィルムと、を備えてなる画像表示装置であって、前記ガラス基板の前記画像表示パネルと対向している面とは反対側の面に、前記基材フィルムの一方の面に設けられた前記粘着剤層によって、前記画像表示装置用飛散防止フィルムが貼着されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明の画像表示装置用飛散防止フィルムによれば、画像表示パネルの表示部上に配置されたガラス基板に、この飛散防止フィルムが貼着されて、画像表示装置を構成した場合、ガラスの飛散防止性に優れるとともに、基材フィルムの粘着剤層と接している面とは反対側の面側における赤色の光(干渉色)の反射量が少なくなり、画像表示パネルの表示部を良好に視認することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の画像表示装置用飛散防止フィルムの第一の実施形態を示す概略断面図である。
【図2】本発明の画像表示装置の第一の実施形態を示す概略断面図である。
【図3】本発明の画像表示装置用飛散防止フィルムの第二の実施形態を示す概略断面図である。
【図4】本発明の画像表示装置用飛散防止フィルムの第三の実施形態を示す概略断面図である。
【図5】本発明の画像表示装置用飛散防止フィルムの第四の実施形態を示す概略断面図である。
【図6】本発明の画像表示装置の第二の実施形態を示す概略断面図である。
【図7】本発明の画像表示装置用飛散防止フィルムの第五の実施形態を示す概略断面図である。
【図8】本発明の画像表示装置用飛散防止フィルムの第六の実施形態を示す概略断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明の画像表示装置用飛散防止フィルムおよびこれを備えた画像表示装置の実施の形態について説明する。
なお、この形態は、発明の趣旨をより良く理解させるために具体的に説明するものであり、特に指定のない限り、本発明を限定するものではない。
【0015】
(1)画像表示装置用飛散防止フィルムの第一の実施形態および画像表示装置の第一の実施形態
図1は、本発明の画像表示装置用飛散防止フィルムの第一の実施形態を示す概略断面図である。
この実施形態の画像表示装置用飛散防止フィルム(以下、「飛散防止フィルム」と略す。)100は、基材フィルム11と、基材フィルム11の一方の面11aに設けられた粘着剤層12とから概略構成されている。
【0016】
また、図2は、本発明の画像表示装置の第一の実施形態を示す概略断面図である。
この実施形態の画像表示装置130は、画像表示パネル31と、画像表示パネル31の表示部(表示面)31a上に、導電膜用粘着剤層32を介して配置された導電性ガラス基板33と、導電性ガラス基板33の画像表示パネル31と対向している面とは反対側の面(以下、「他方の面」という。)33aに貼着された飛散防止フィルム100とから概略構成されている。
【0017】
導電性ガラス基板33は、ガラス基板34と、その一方の面34aに設けられた透明導電膜35とから構成されている。
したがって、飛散防止フィルム100は、ガラス基板34の画像表示パネル31と対向している面とは反対側の面(以下、「他方の面」という。)34bに、粘着剤層12によって、貼着されている。
なお、導電性ガラス基板33の他方の面33aと、ガラス基板34の他方の面34bは同一面である。
【0018】
すなわち、画像表示装置130は、画像表示パネル31と、導電膜用粘着剤層32と、導電性ガラス基板33と、飛散防止フィルム100とが、この順に積層された構成をなしている。
【0019】
基材フィルム11は、トリアセチルセルロースフィルムである。
トリアセチルセルロースフィルムとすることで、粘着剤などの他の材料との密着性が高く、他の材料との密着性を向上するために、易接着処理を施す必要がなく、また、飛散防止フィルムに十分な光透過性を得ることができる。
【0020】
トリアセチルセルロースフィルムは、トリアセチルセルロースを主成分として、リン酸エステル系、フタル酸系、グリコール酸系などの可塑剤を含むフィルムである。
トリアセチルセルロースは、天然の高分子化合物であるセルロース(cellulose、分子式:(C10)を無水酢酸と反応させて、セルロース分子に含まれる全ての水酸基(−OH)をアセチル基(CHCO−)に置換(アセチル化)することにより得られた高分子化合物である。
【0021】
基材フィルム11は、日本工業規格JIS K7142−2008「プラスチック−屈折率の求め方」に準拠して測定した、波長589nmにおける屈折率が1.45〜1.55のトリアセチルセルロースフィルムが用いられる。
【0022】
基材フィルム11は、上記の条件で測定した屈折率が1.45〜1.55であり、屈折率が1.48〜1.53のものが好ましい。
基材フィルム11の屈折率がこの範囲内であれば、基材フィルム11の屈折率と、飛散防止フィルム100の適用対象物(飛散防止フィルム100を貼着する対象物)であるガラス基板34の屈折率(1.45〜1.55)や粘着剤層(1.45〜1.55)との差が小さくなるので、飛散防止フィルム100を用いた画像表示装置130において、飛散防止フィルム100に干渉縞が現れるのを低減することができる。
【0023】
基材フィルム11の屈折率が1.45未満もしくは1.55を超えると、ガラス基板34の屈折率との差が大きくなるため、波長625nm〜780nmの光、すなわち、赤色の光(干渉色)の反射量が多くなり、画像表示装置130において、画像表示パネル31の表示部31aの視認性が低下する。
【0024】
基材フィルム11の厚みは、飛散防止フィルム100に要求されるガラス飛散防止性能に応じて適宜調整され、20〜150μmが好ましく、40〜100μmがより好ましい。
基材フィルム11の厚みが20μm未満であると、基材としての強度が弱く、加工適正が低下するおそれがある。一方、基材フィルム11の厚みが150μmを超えると、薄膜化の観点から好ましくない。
【0025】
粘着剤層12は、粘着剤からなる光透過性の層であり、日本工業規格JIS K7142−2008「プラスチック−屈折率の求め方」に準拠して測定した、波長589nmにおける屈折率が1.40〜1.55である。
【0026】
粘着剤層12は、上記の条件で測定した屈折率が1.45〜1.55であり、1.45〜1.52であることがさらに好ましい。
粘着剤層12の屈折率は、屈折率に影響を及ぼす分子構造を考慮した分子設計を行うことで調節する。例えば、芳香環を含有させることで屈折率を高くする方法、または、フッ素原子を含有させることで屈折率を低くする方法などで調節できる。
粘着剤層12の屈折率がこの範囲内であれば、粘着剤層12の屈折率と、ガラス基板34の屈折率(1.45〜1.55)との差が小さくなるので、画像表示装置130において、飛散防止フィルム100に干渉縞が現れるのを低減することができる。
【0027】
粘着剤層12の屈折率が1.45未満もしくは1.55を超えると、ガラス基板34の屈折率との差が大きくなるため、波長625nm〜780nmの光、すなわち、赤色の光(干渉色)の反射量が多くなり、画像表示装置130において、画像表示パネル31の表示部31aの視認性が低下する。
【0028】
粘着剤層12の厚みは、飛散防止フィルム100に要求されるガラス飛散防止性能に応じて適宜調整され、5〜30μmが好ましく、10〜25μmがより好ましい。
【0029】
粘着剤層12を構成する粘着剤としては、アクリル系粘着剤、シリコーン系粘着剤、ウレタン系粘着剤、ゴム系粘着剤、ポリエステル系粘着剤などが挙げられる。
これらの粘着剤は、エマルション型、溶剤型、無溶剤型のいずれであってもよい。
また、これらの粘着剤の中でも、粘着力制御の容易性、耐候性の観点から、アクリル系粘着剤が好ましい。
【0030】
アクリル系粘着剤を用いて形成された粘着剤層12は、重量平均分子量50万〜200万程度、好ましくは70万〜170万のアクリル系樹脂を含み、かつ、架橋処理されたアクリル系粘着剤からなる層であることが好適である。
重量平均分子量が上記の範囲にあれば、粘着力および保持力のバランスがとれた飛散防止用フィルムが得られる。
なお、前述の重量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)法により測定したポリスチレン換算の値である。
【0031】
アクリル系粘着剤に含まれるアクリル系樹脂としては、(メタ)アクリル酸エステル系共重合体が用いられる。この(メタ)アクリル酸エステル系共重合体としては、エステル部分のアルキル基の炭素数が1〜20の(メタ)アクリル酸エステルと、活性水素をもつ官能基を有する単量体と、所望により用いられる他の単量体との共重合体を好ましく挙げることができる。
【0032】
ここで、エステル部分のアルキル基の炭素数が1〜20の(メタ)アクリル酸エステルの例としては、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、ペンチル(メタ)アクリレート、ヘキシル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、イソオクチル(メタ)アクリレートなどが挙げられる。これらは単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0033】
一方、活性水素をもつ官能基を有する単量体の例としては、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、3−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキブチル(メタ)アクリレート、3−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレートなどの(メタ)アクリル酸ヒドロキシアルキルエステルや、アクリルアミド、メタクリルアミド、N−メチルアクリルアミド、N−メチルメタクリルアミド、N−メチロールアクリルアミド、N−メチロールメタクリルアミドなどのアクリルアミド類や、メチルアミノエチル(メタ)アクリレート、モノエチルアミノエチル(メタ)アクリレートなどの(メタ)アクリル酸モノアルキルアミノアルキルや、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、マレイン酸、イタコン酸、シトラコン酸などのエチレン性不飽和カルボン酸などが挙げられる。これらの単量体は、単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0034】
また、所望により用いられる他の単量体の例としては、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニルなどのビニルエステル類、エチレン、プロピレン、イソブチレンなどのオレフィン類、塩化ビニル、ビニリデンクロリドなどのハロゲン化オレフィン類、スチレン、α−メチルスチレンなどのスチレン系単量体などが挙げられる。これらの単量体は、単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0035】
アクリル系粘着剤において、樹脂成分として用いられる(メタ)アクリル酸エステル系共重合体は、その共重合形態については特に制限はなく、ランダム、ブロック、グラフト共重合体のいずれであってもよい。また、(メタ)アクリル酸エステル系共重合体は、1種を単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0036】
アクリル系粘着剤層としては、架橋処理されたものが好ましく、この架橋処理に用いられる架橋剤としては特に制限はなく、従来、アクリル系粘着剤において架橋剤として慣用されているものの中から、任意のものを適宜選択して用いることができる。このような架橋剤としては、例えば、ポリイソシアネート化合物、エポキシ化合物、メラミン樹脂、尿素樹脂、ジアルデヒド類、メチロールポリマー、金属キレート化合物、金属アルコキシド、金属塩などが挙げられるが、ポリイソシアネート化合物やエポキシ化合物が好ましく用いられる。
【0037】
本発明においては、この架橋剤は1種を単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。また、その使用量は、架橋剤の種類にもよるが、前記(メタ)アクリル酸エステル系共重合体固形分100質量部に対し、通常0.01〜20質量部、好ましくは、0.1〜10質量部の範囲で選定される。
また、このアクリル系粘着剤には、所望により粘着付与剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、光安定剤、軟化剤、シランカップリング剤、充填剤などを添加することができる。
【0038】
また、基材フィルム11の屈折率と粘着剤層12の屈折率の差(屈折率差)は、0.05以下であることが好ましく、基材フィルム11と粘着剤層12の屈折率差が0、すなわち、基材フィルム11の屈折率と粘着剤層12の屈折率が等しいことがより好ましい。
基材フィルム11と粘着剤層12の屈折率差が0.05を超えると、基材フィルム11と粘着剤層12の界面において反射(屈折)する光の量が多くなり、結果として、画像表示装置130において、画像表示パネル31の表示部31aの視認性が低下する。
【0039】
さらに、飛散防止フィルム100では、基材フィルム11の粘着剤層12に接している面とは反対側の面(以下、「他方の面」という。)11b側における波長380〜780nmの光の視感反射率が8.5%以下であることが好ましく、この視感反射率が8.3〜8.5%であることがより好ましい。なお、基材フィルム11の他方の面11bは、画像表示装置130の外面をなすので、画像表示装置130の使用者は、この面側から画像表示パネル31の表示部31aを目視する。
基材フィルム11の他方の面11b側における波長380〜780nmの光の視感反射率が8.5%以下であれば、この面側において赤色の光(干渉色)の反射量が少なくなり、画像表示装置130において、画像表示パネル31の表示部31aを良好に視認することができる。
【0040】
基材フィルム11の他方の面11b側における波長380〜780nmの光の視感反射率が8.5%を超えると、この面側において赤色の光(干渉色)の反射量が多くなり、画像表示装置130において、画像表示パネル31の表示部31aの視認性が低下する。
【0041】
画像表示パネル31としては、液晶パネル、有機ELパネル(有機エレクトロルミネッセンスパネル)などの携帯端末機器に用いられるフラットパネルが挙げられる。
【0042】
導電膜用粘着剤層32を構成する粘着剤としては、特に限定されないが、公知の粘着剤が用いられ、例えば、アクリル系粘着剤、シリコーン系粘着剤、ウレタン系粘着剤、ゴム系粘着剤、ポリエステル系粘着剤などが挙げられる。
【0043】
導電膜用粘着剤層32の厚みは、導電性ガラス基板33の厚みなどに応じて適宜調整され、5〜30μmが好ましく、10〜25μmがより好ましい。
【0044】
導電性ガラス基板33を構成するガラス基板34としては、フラットパネル用のガラス基板であれば特に限定されないが、光学用の合成石英ガラス、強化ガラスなどが用いられる。
このようなフラットパネルに用いられるガラス基板34の屈折率は、一般に、1.45〜1.55である。
【0045】
ガラス基板34の厚みは、画像表示パネル31の表示部31aの保護を目的とした場合に必要とされる強度などに応じて適宜調整され、0.2〜3.0μmが好ましく、0.3〜2.0μmがより好ましい。
【0046】
導電性ガラス基板33を構成する透明導電膜35としては、スズドープ酸化インジウム(ITO:Indium Tin Oxide)、フッ素ドープ酸化スズ(FTO:Fluoride−doped TinOxide)、アンチモンドープ酸化スズ(ATO:Antimony−doped Tin Oxide)、アルミニウムドープ酸化亜鉛(AZO:Aluminum−doped Zinc Oxide)、ガリウムドープ酸化亜鉛(GZO:Gallium−doped Zinc Oxide)などの導電性金属酸化物の薄膜が挙げられる。
【0047】
前述の画像表示装置用飛散防止フィルム100によれば、屈折率が1.45〜1.55のトリアセチルセルロースフィルムからなる基材フィルム11と、基材フィルム11の一方の面11aに設けられた屈折率が1.45〜1.55の粘着剤層12とから構成されるので、基材フィルム11の他方の面11b側において赤色の光(干渉色)の反射量が少なくなり、画像表示装置において、表示部を良好に視認することができる。
【0048】
また、前述の画像表示装置130によれば、画像表示装置用飛散防止フィルム100が、屈折率が1.45〜1.55の基材フィルム11と、基材フィルム11の一方の面11aに設けられた屈折率が1.45〜1.55の粘着剤層12とから構成されるので、粘着剤層12によって、画像表示パネル31の表示部31a上に配置された導電性ガラス基板33の他方の面33aに、飛散防止フィルム100が貼着されて、画像表示装置130を構成した場合、基材フィルム11の他方の面11b側において赤色の光(干渉色)の反射量が少なくなり、画像表示装置130において、画像表示パネル31の表示部31aを良好に視認することができる。
【0049】
(2)画像表示装置用飛散防止フィルムの第二の実施形態
図3は、本発明の画像表示装置用飛散防止フィルムの第二の実施形態を示す概略断面図である。図3において、図1に示した実施形態の構成要素と同じ構成要素には同一符号を付して、その説明を省略する。
この実施形態の飛散防止フィルム110は、基材フィルム11と、基材フィルム11の一方の面11aに設けられた粘着剤層12とから概略構成され、さらに、粘着剤層12の基材フィルム11に接している面とは反対側の面(以下、「一方の面」という。)12aに、剥離シート21が貼付されている。
すなわち、飛散防止フィルム110は、基材フィルム11と、粘着剤層12と、剥離シート21が、この順に積層された構成をなしている。
【0050】
本発明の画像表示装置用飛散防止フィルムの第二の実施形態に用いられる剥離シート21としては、種々の剥離シートを使用できるが、代表的に剥離性を表面に有する剥離シート用基材から構成される。
剥離シート用基材としては、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブテン、ポリブタジエン、ポリメチルペンテン、ポリ塩化ビニル、塩化ビニル共重合体、ポリブチレンテレフタレート、ポリウレタン、エチレン−酢酸ビニル共重合体、アイオノマー樹脂、エチレン(メタ)アクリル酸共重合体、ポリスチレン、ポリカーボネート、フッ素樹脂、低密度ポリエチレン、直鎖低密度ポリエチレン、トリアセチルセルロースなどの樹脂フィルムや、上質紙、コート紙、グラシン紙、ラミネート紙などが挙げられる。
【0051】
剥離シート用基材の表面に剥離性を持たせるには、その表面にフッ素系樹脂、シリコーン系樹脂、長鎖アルキル基含有カルバメートなどの剥離剤を塗布により付着させる。
剥離シート用基材の厚みは、5μm〜300μmが好ましく、10μm〜200μmがより好ましい。剥離シート用基材としてポリエチレンテレフタレート系フィルムを用いる場合、10μm〜100μmが特に好ましい。
【0052】
この画像表示装置用飛散防止フィルム110によれば、屈折率が1.45〜1.55の基材フィルム11と、基材フィルム11の一方の面11aに設けられた屈折率が1.45〜1.55の粘着剤層12とから構成されるので、基材フィルム11の他方の面11b側において赤色の光(干渉色)の反射量が少なくなり、画像表示装置において、表示部を良好に視認することができる上に、被着体となるガラス基板34に貼付するまでの間、粘着剤層12の粘着面を保護することができる。
【0053】
(3)画像表示装置用飛散防止フィルムの第三の実施形態
図4は、本発明の画像表示装置用飛散防止フィルムの第三の実施形態を示す概略断面図である。図4において、図2に示した実施形態の構成要素と同じ構成要素には同一符号を付して、その説明を省略する。
この実施形態の飛散防止フィルム120が、上述の飛散防止フィルム110と異なる点は、基材フィルム11および粘着剤層12が、被着体(ここでは、上記の導電性ガラス基板33)の形状に合わせて抜き加工されている点である。
【0054】
すなわち、飛散防止フィルム120では、その厚み方向に、基材フィルム11の他方の面11bから、粘着剤層12の一方の面12a(剥離シート21の一方の面21a)にわたり、被着体(ここでは、上記の導電性ガラス基板33)の形状に合わせて、切り込み(スリット)、ミシン目などの分離線41が形成されている。
これにより、分離線41よりも内側の部分を、剥離シート21から剥離すれば、被着体の形状に加工された飛散防止フィルム120が得られる。
【0055】
この抜き加工には、被着体の形状の抜き型(金型)や切断刃を備えた種々の打抜機が用いられる。
【0056】
この飛散防止フィルム120によれば、予め被着体の形状に合わせて抜き加工されているので、このフィルムを被着体に貼着した後、被着体の形状に合わせて余分な部分を切り取る作業が不要となる。
また、第一の実施形態と同様に、粘着剤層12によって、ガラス基板34の他方の面34bに、飛散防止フィルム120を貼着することにより、この実施形態の画像表示装置を構成することができる。
【0057】
次に、飛散防止フィルム100の製造方法を説明する。
まず、基材フィルム11の一方の面11aに、粘着剤層12を形成する(工程A)。
この工程Aにおいて、粘着剤層12を形成する方法としては、(1)別途、剥離シート21の一方の面21aに、上記の粘着剤とその他の添加剤などを溶媒に溶解して溶液状に調製した組成物(粘着剤含有組成物)を塗布し、その組成物を乾燥させて、粘着剤層が設けられた基材レス粘着シートを作製し、この基材レス粘着シートの粘着剤層を、基材フィルム11の一方の面11aに転写して、粘着剤層12を形成する方法、(2)基材フィルム11の一方の面11aに、直接、上記の粘着剤含有組成物を塗布し、その組成物を乾燥させて、粘着剤層12を形成する方法、などが用いられる。
【0058】
上記の(1)または(2)の方法において、粘着剤含有組成物の塗布方法としては、バーコート法、ナイフコート法、ロールコート法、ブレードコート法、ダイコート法、グラビアコート法、カーテンコート法などの公知の方法が用いられる。
【0059】
なお、工程Aにおいて、上記の(1)の方法を採用した場合、粘着剤層12の他方の面11bに剥離シート21が貼付された状態となるので、基材フィルム11の一方の面11aに、粘着剤層12を形成した時点で製造工程が完了し、飛散防止フィルム100の粘着剤層12が剥離シート21で保護された剥離シート付き飛散防止フィルム110が得られる。
【0060】
一方、工程Aにおいて、上記の(2)の方法を採用した場合、次いで、粘着剤層12の他方の面11bに、剥離シート21を貼付して(工程B)、飛散防止フィルム100の粘着剤層12が剥離シート21で保護された剥離シート付き飛散防止フィルム110を得る。
【0061】
次に、画像表示装置130の製造方法を説明する。
まず、画像表示パネル31の表示部(表示面)31aに、導電膜用粘着剤層32を形成する(工程C)。
この工程Cにおいて、導電膜用粘着剤層32を形成する方法としては、上述の工程Aにおける(1)または(2)の方法と同様の方法が用いられる。
【0062】
次いで、この導電膜用粘着剤層32の画像表示パネル31に接している面とは反対側の面32aに、導電性ガラス基板33を、その透明導電膜35が対向するように貼着する(工程D)。
【0063】
次いで、上述のように作製した飛散防止フィルム100から剥離シート21を剥離した後、導電性ガラス基板33の他方の面33aに、粘着剤層12によって、飛散防止フィルム100を貼着し(工程E)、画像表示装置130を得る。
【0064】
(4)画像表示装置用飛散防止フィルムの第四の実施形態および画像表示装置の第二の実施形態
図5は、本発明の画像表示装置用飛散防止フィルムの第四の実施形態を示す概略断面図である。図5において、図1に示した実施形態の構成要素と同じ構成要素には同一符号を付して、その説明を省略する。
【0065】
この実施形態の飛散防止フィルム200が、第一の実施形態の飛散防止フィルム100と異なる点は、基材フィルム11の他方の面11bにハードコート層13が設けられている点である。
すなわち、飛散防止フィルム200は、基材フィルム11と、基材フィルム11の一方の面11aに設けられた粘着剤層12と、基材フィルム11の他方の面11bに設けられたハードコート層13とから概略構成されている。
すなわち、飛散防止フィルム200は、ハードコート層13と基材フィルム11と粘着剤層12とが、この順に積層された構成をなしている。
【0066】
また、図6は、本発明の画像表示装置の第二の実施形態を示す概略断面図である。図6において、図2に示した実施形態の構成要素と同じ構成要素には同一符号を付して、その説明を省略する。
この実施形態の画像表示装置230は、画像表示パネル31と、画像表示パネル31の表示部(表示面)31a上に、導電膜用粘着剤層32を介して配置された導電性ガラス基板33と、導電性ガラス基板33の画像表示パネル31と対向している面とは反対側の面(以下、「他方の面」という。)33aに貼着されたハードコート付き飛散防止フィルム200とから概略構成されている。
【0067】
導電性ガラス基板33は、ガラス基板34と、その一方の面34aに設けられた透明導電膜35とから構成されている。
したがって、飛散防止フィルム200は、ガラス基板34の画像表示パネル31と対向している面とは反対側の面(以下、「他方の面」という。)34bに、粘着剤層12によって、貼着されている。
なお、導電性ガラス基板33の他方の面33aと、ガラス基板34の他方の面34bは同一面である。
【0068】
すなわち、画像表示装置230は、画像表示パネル31と、導電膜用粘着剤層32と、導電性ガラス基板33と、飛散防止フィルム200とが、この順に積層された構成をなしている。
【0069】
ハードコート層13は、樹脂からなる光透過性の層であり、日本工業規格JIS K7142−2008「プラスチック−屈折率の求め方」に準拠して測定した、波長589nmにおける屈折率が1.45〜1.55である。
【0070】
ハードコート層13は、上記の条件で測定した屈折率が1.45〜1.55であることが好ましく、1.46〜1.54であることがさらに好ましい。
ハードコート層13の屈折率がこの範囲内であれば、ハードコート層13の屈折率と、ガラス基板34の屈折率との差が小さくなるので、画像表示装置90において、飛散防止フィルム200に干渉縞が現れるのを低減することができる。
【0071】
ハードコート層13の屈折率が1.45未満もしくは1.55を超えると、ガラス基板34の屈折率との差が大きくなるため、波長625〜780nmの光、すなわち、赤色の光(干渉色)の反射量が多くなり、画像表示装置230において、画像表示パネル31の表示部31aの視認性が低下する。
【0072】
ハードコート層13の厚みは、2〜15μmが好ましく、3〜10μmがより好ましい。
【0073】
ハードコート層13は、基材フィルム11の他方の面11bに塗布した電離放射線硬化型化合物を含有する硬化性組成物(以下、「硬化性組成物」と略す。)を硬化させてなる層、あるいは、基材フィルム11の他方の面11bに塗布した熱硬化性樹脂を加熱、硬化させてなる層である。
熱硬化性樹脂としてはシリコーン系樹脂、メラミン系樹脂、ウレタン系樹脂、エポキシ系樹脂およびアルキッド系樹脂などが挙げられる。ハードコート層の硬度、耐候性、また加熱工程を必要としないという観点から、硬化性組成物がより好ましい。
【0074】
電離放射線硬化型化合物は、電離放射線を照射することにより硬化するものであり、紫外線硬化型化合物、電子線硬化型化合物などが好ましいが、紫外線硬化型化合物が特に好ましい。
【0075】
電離放射線硬化型化合物としては、不飽和モノマー、オリゴマー、樹脂、または、これらを含む組成物などが好ましいが、その具体例としては、多官能アクリレート、ウレタンアクリレートやポリエステルアクリレートなどの2官能基以上を有する多官能の電離放射線硬化型のアクリル系化合物がより好ましく、ウレタンアクリレートやポリエステルアクリレートが特に好ましい。
【0076】
多官能アクリレートとしては、例えば、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ブチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールエタントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、グリセロールトリ(メタ)アクリレート、トリアリル(メタ)アクリレート、ビスフェノールAエチレンオキシド変性ジ(メタ)アクリレートなどが挙げられる。
【0077】
ウレタンアクリレートとしては、例えば、ポリエーテルポリオール、ポリエステルポリオールなどのポリールと、ポリイソシアネートとの反応によって得られるポリウレタンオリゴマーの水酸基と、(メタ)アクリル酸との反応でエステル化することにより得られる。
【0078】
ポリエステルアクリレートは、例えば、多価カルボン酸と多価アルコールの縮合によって得られる両末端に水酸基を有するポリエステルオリゴマーの水酸基を(メタ)アクリル酸でエステル化することにより、または、多価カルボン酸にアルキレンオキシドを付加して得られるオリゴマーの末端の水酸基を(メタ)アクリル酸でエステル化することにより得られる。
【0079】
これらの電離放射線硬化型化合物は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0080】
これらの電離放射線硬化型化合物を硬化させるために用いられる電離放射線としては、種々の電離放射線発生装置から発生する紫外線、電子線、α線、β線などが挙げられる。
例えば、紫外線としては、通常、紫外線ランプから輻射されるものが用いられる。
この紫外線ランプとしては、通常、波長300〜400nmの領域にスペクトル分布を有する紫外線を発光する、高圧水銀ランプ、キセノンランプなどが用いられる。
紫外線の照射量は、通常、50〜3000mJ/cmが好ましい。
【0081】
紫外線を用いる場合、硬化性組成物に、光重合開始剤を添加することが好ましい。
光重合開始剤としては、アセトフェノン系、ベンゾフェノン系などの公知の光重合開始剤や、オリゴマー型光重合開始剤が用いられる。
【0082】
光重合開始剤は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
また、電離放射線硬化型化合物に対する光重合開始剤の配合割合は、電離放射線硬化型化合物100質量部に対して、0.01〜20質量部であることが好ましく、0.1〜10質量部であることがより好ましい。
【0083】
また、硬化性組成物には、必要に応じて、シリカ(コロイド状シリカを含む)、シリコンパウダー、マイカ、ガラスビーズ、アクリル系微粉末、中空粒子などのフィラーを添加してもよい。
また、硬化性組成物には、必要に応じて、光安定剤、紫外線吸収剤、触媒、着色剤、帯電防止剤、滑剤、レベリング剤、消泡剤、重合促進剤、酸化防止剤、難燃剤、赤外線吸収剤、界面活性剤、表面改質剤などを添加してもよい。
【0084】
また、硬化性組成物に、基材フィルム11の他方の面11bに塗布し易くするために、希釈剤を添加して、硬化性組成物を含む塗布液を調製してもよい。
希釈剤としては、例えば、イソブタノール、イソプロパノール、メチルセロソルブ、エチルセロソルブなどのアルコール類、ベンゼン、トルエン、キシレンなどの芳香族炭化水素、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、ノナン、デカンなどの脂肪族炭化水素、メチルエチルケトン、ジエチルケトン、ジイソプロピルケトンなどのケトンなどが挙げられる。
希釈剤の配合量は、この塗布液の粘度が必要とされる範囲内となるように適宜調整される。
【0085】
基材フィルム11の他方の面11bに対する、希釈剤を含む硬化性組成物の塗布方法としては、バーコート法、ナイフコート法、ロールコート法、ブレードコート法、ダイコート法、グラビアコート法、カーテンコート法などの公知の方法が用いられる。
【0086】
また、基材フィルム11の屈折率とハードコート層13の屈折率の差(屈折率差)は、0.05以下であることが好ましく、基材フィルム11とハードコート層13の屈折率差が0、すなわち、基材フィルム11の屈折率とハードコート層13の屈折率が等しいことがより好ましい。
基材フィルム11とハードコート層13の屈折率差が0.05を超えると、基材フィルム11とハードコート層13の界面において反射(屈折)する光の量が多くなり、結果として、画像表示装置230において、画像表示パネル31の表示部31aの視認性が低下する。
【0087】
さらに、飛散防止フィルム200では、ハードコート層13の基材フィルム11に接している面とは反対側の面(以下、「一方の面」という。)13a側における波長380〜780nmの光の視感反射率が8.5%以下であることが好ましく、この視感反射率が8.3〜8.5%であることがより好ましい。なお、ハードコート層13の一方の面13aは、画像表示装置230の外面をなすので、画像表示装置230の使用者は、この面側から画像表示パネル31の表示部31aを目視する。
ハードコート層13の一方の面13a側における波長380〜780nmの光の視感反射率が8.5%以下であれば、この面側において赤色の光(干渉色)の反射量が少なくなり、画像表示装置230において、画像表示パネル31の表示部31aを良好に視認することができる。
【0088】
ハードコート層13の一方の面13a側における波長380〜780nmの光の視感反射率が8.5%を超えると、この面側において赤色の光(干渉色)の反射量が多くなり、画像表示装置230において、画像表示パネル31の表示部31aの視認性が低下する。
【0089】
前述の飛散防止フィルム200によれば、屈折率が1.45〜1.55のトリアセチルセルロースフィルムからなる基材フィルム11と、基材フィルム11の一方の面11aに設けられた屈折率が1.45〜1.55の粘着剤層12と、基材フィルム11の他方の面11bに設けられた屈折率が1.45〜1.55のハードコート層13とから構成されるので、粘着剤層12によって、画像表示パネル31の表示部31a上に配置された導電性ガラス基板33の他方の面33aに貼着されて、画像表示装置230を構成した場合、基材フィルム11の他方の面11b側に赤色の光(干渉色)の反射する量が少なくなり、画像表示装置230において、画像表示パネル31の表示部31aを良好に視認することができる上に、ハードコート層13により、高鉛筆硬度性、耐指紋性、耐光性などの効果が得られる。
【0090】
この画像表示装置230によれば、画像表示装置用飛散防止フィルム200が、屈折率が1.45〜1.55の基材フィルム11と、基材フィルム11の一方の面11aに設けられた屈折率が1.45〜1.55の粘着剤層12と、基材フィルム11の他方の面11bに設けられた屈折率が1.45〜1.55のハードコート層13とから構成されるので、粘着剤層12によって、画像表示パネル31の表示部31a上に配置された導電性ガラス基板33の他方の面33aに、飛散防止フィルム200が貼着されて、画像表示装置230を構成した場合、基材フィルム11の他方の面11b側において赤色の光(干渉色)の反射量が少なくなり、画像表示装置230において、画像表示パネル31の表示部31aを良好に視認することができる上に、ハードコート層13により、高鉛筆硬度性、耐指紋性、耐光性などの効果が得られる。
【0091】
(5)画像表示装置用飛散防止フィルムの第五の実施形態
図7は、本発明の画像表示装置用飛散防止フィルムの第五の実施形態を示す概略断面図である。図7において、図5に示した実施形態の構成要素と同じ構成要素には同一符号を付して、その説明を省略する。
この実施形態の飛散防止フィルム210は、基材フィルム11と、基材フィルム11の一方の面11aに設けられた粘着剤層12と基材フィルム11の他方の面11bに設けられたハードコート層13から概略構成され、さらに、粘着剤層12の基材フィルム11に接している面とは反対側の面(以下、「一方の面」という。)12aに、剥離シート21が貼付されている。
すなわち、飛散防止フィルム210は、ハードコート層13と、基材フィルム11と、粘着剤層12と、剥離シート21が、この順に積層された構成をなしている。
【0092】
この画像表示装置用飛散防止フィルム210によれば、屈折率が1.45〜1.55の基材フィルム11と、基材フィルム11の一方の面11aに設けられた屈折率が1.45〜1.55の粘着剤層12とから構成されるので、基材フィルム11の他方の面11b側において赤色の光(干渉色)の反射量が少なくなり、画像表示装置において、表示部を良好に視認することができる上に、被着体となるガラス基板34に貼付するまでの間、粘着剤層12の粘着面を保護することができる。
【0093】
(6)画像表示装置用飛散防止フィルムの第六の実施形態
図8は、本発明の画像表示装置用飛散防止フィルムの第六の実施形態を示す概略断面図である。図8において、図7に示した第一の実施形態の構成要素と同じ構成要素には同一符号を付して、その説明を省略する。
この実施形態の飛散防止フィルム220が、上述の飛散防止フィルム200および飛散防止フィルム210と異なる点は、基材フィルム11、粘着剤層12およびハードコート層13が、被着体(ここでは、上記の導電性ガラス基板33)の形状に合わせて抜き加工されている点である。
【0094】
すなわち、飛散防止フィルム220では、その厚み方向に、ハードコート層13の一方の面13aから、粘着剤層12の一方の面12a(剥離フィルム21の一方の面21a)にわたり、被着体(ここでは、上記の導電性ガラス基板33)の形状に合わせて、切り込み(スリット)、ミシン目などの分離線41が形成されている。
これにより、分離線41よりも内側の部分を、剥離フィルム21から剥離すれば、被着体の形状に加工された飛散防止フィルム220が得られる。
【0095】
この飛散防止フィルム220によれば、予め被着体の形状に合わせて抜き加工されているので、このフィルムを被着体に貼着した後、被着体の形状に合わせて余分な部分を切り取る作業が不要となる。
また、第五の実施形態と同様に、粘着剤層12によって、ガラス基板34の他方の面34bに、飛散防止フィルム220を貼着することにより、この実施形態の画像表示装置を構成することができる。
【実施例】
【0096】
以下、実施例および比較例により本発明をさらに具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
【0097】
「ハードコート用塗布液の調製」
紫外線硬化型樹脂(商品名:ビームセット575CB、濃度100%、光重合開始剤入り、荒川化学工業社製)100質量部に、レベリング剤(商品名:BYK−355、濃度52%、ビックケミージャパン社製)0.1質量部を添加し、プロピレングリコールモノメチルエーテルで希釈して、紫外線硬化型樹脂の濃度が40質量%のハードコート用塗布液を調製した。
【0098】
「粘着剤含有組成物の調製1」
n−ブチルアクリレート79質量%、メチルアクリレート20質量%、2−ヒドロキシエチルアクリレート1質量%を共重合して得られたアクリル酸エステル共重合体(分子量80万、濃度35質量%)100重量部に、トルエンおよびキシリレンジイソシアネート系3官能性アダクト体(商品名:TD−75、濃度75質量%、綜研化学社製)0.1重量部を添加し、撹拌して、粘着剤含有組成物1を調製した。
【0099】
「粘着剤含有組成物の調製2」
n−ブチルアクリレート77質量%、メチルアクリレート20質量%、アクリル酸3質量%を共重合して得られたアクリル酸エステル共重合体(分子量80万、濃度35質量%)100重量部に、トリス(アクリロキシエチル)イソシアヌレート樹脂(商品名:アロニックスM−315、分子量=423、3官能型、東亜合成社製)15重量部、光重合開始剤(商品名「イルガキュア500」、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製)0.3重量部、トリレンジイソシアネート系3官能性アダクト体(商品名:コロネートL、濃度75質量%、日本ポリウレタン社製)2重量部、シランカップリング剤(商品名:KBM−403、信越化学工業社製)0.1重量部を添加し、撹拌して、粘着剤含有組成物2を調製した。
【0100】
「実施例1」
基材フィルムとして、トリアセチルセルロースフィルム(商品名:TDTAC80UL、厚み80μm、富士フィルム社製)を用い、その一方の面に、マイヤーバー♯12を用いて、乾燥後の厚みが5μmとなるようにハードコート用塗布液を塗布し、乾燥して塗膜を形成した。
次いで、その塗膜に、窒素雰囲気下で紫外線(照度:230mW/cm、光量:200mJ/cm)を照射し、その塗膜を硬化させてハードコート層を形成し、トリアセチルセルロースフィルムと、その一方の面に形成されたハードコート層とからなるハードコートフィルムを得た。
次いで、剥離シート(商品名:SP−PET381031、厚み38μm、リンテック社製)の剥離処理面に、ダイコーターを用いて、乾燥後の厚みが20μmとなるように粘着剤含有組成物1を塗布し、120℃で1分間乾燥して、粘着剤層を形成し、剥離シートと、その剥離処理面に形成された粘着剤層とからなる基材レス粘着シートを得た。
次いで、ハードコートフィルムの非コート面(ハードコート層が設けられている面とは反対側の面)に、基材レス粘着シートの粘着剤層を貼り合せて、実施例1の飛散防止フィルムを得た。
【0101】
「実施例2」
粘着剤層として、粘着剤含有組成物1の代わりに、粘着剤含有組成物2を用いた以外は、実施例1と同様にして、実施例2の飛散防止フィルムを得た。
【0102】
「実施例3」
基材フィルムとして、トリアセチルセルロースフィルム(商品名:KC8UX2M、厚み80μm、コニカミノルタオプト社製)を用いた以外は、実施例1と同様にして、実施例3の飛散防止フィルムを得た。
【0103】
「実施例4」
粘着剤層として、粘着剤含有組成物1の代わりに、粘着剤含有組成物2を用いた以外は、実施例3と同様にして、実施例4の飛散防止フィルムを得た。
【0104】
「実施例5」
基材フィルムとして、トリアセチルセルロースフィルム(商品名:KC8UYW、厚み80μm、コニカミノルタオプト社製)を用いた以外は、実施例1と同様にして、実施例5の飛散防止フィルムを得た。
【0105】
「実施例6」
粘着剤層として、粘着剤含有組成物1の代わりに、粘着剤含有組成物2を用いた以外は、実施例5と同様にして、実施例6の飛散防止フィルムを得た。
【0106】
「実施例7」
基材フィルムとして、トリアセチルセルロースフィルム(商品名:TFY80UL、厚み80μm、富士フイルム社製)を用いた以外は、実施例1と同様にして、実施例7の飛散防止フィルムを得た。
【0107】
「実施例8」
粘着剤層として、粘着剤含有組成物1の代わりに、粘着剤含有組成物2を用いた以外は、実施例7と同様にして、実施例8の飛散防止フィルムを得た。
【0108】
「比較例1」
基材フィルムとして、トリアセチルセルロースフィルムの代わりに、易接着層付きポリエチレンテレフタレートフィルム(商品名:PET50T600E、厚み50μm、三菱樹脂社製)を用いた以外は、実施例1と同様にして、比較例1の飛散防止フィルムを得た。
【0109】
「比較例2」
粘着剤層として、粘着剤含有組成物1の代わりに、粘着剤含有組成物2を用いた以外は、比較例1と同様にして、比較例2の飛散防止フィルムを得た。
【0110】
「比較例3」
基材フィルムとして、トリアセチルセルロースフィルムの代わりに、易接着層付きポリエチレンテレフタレートフィルム(商品名:PET100O300E、厚み100μm、三菱樹脂社製)を用いた以外は、実施例1と同様にして、比較例3の飛散防止フィルムを得た。
【0111】
「比較例4」
粘着剤層として、粘着剤含有組成物1の代わりに、粘着剤含有組成物2を用いた以外は、比較例3と同様にして、比較例4の飛散防止フィルムを得た。
【0112】
「比較例5」
基材フィルムとして、トリアセチルセルロースフィルムの代わりに、ポリカーボネートフィルム(商品名:ピュアエースC110−75、厚み75μm、帝人化成社製)を用いた以外は、実施例1と同様にして、比較例5の飛散防止フィルムを得た。
【0113】
「比較例6」
粘着剤層として、粘着剤含有組成物1の代わりに、粘着剤含有組成物2を用いた以外は、比較例5と同様にして、比較例6の飛散防止フィルムを得た。
【0114】
「評価」
実施例1〜8および比較例1〜6それぞれの飛散防止フィルムについて、全光線透過率、ヘイズ、屈折率、外観、飛散防止性、視感反射率の6項目の評価を下記の方法に基づいて行った。
(1)全光線透過率
日本工業規格JIS K7361−1−1997「プラスチック−透明材料の全光線透過率の試験方法」に準拠し、ヘイズメータ(商品名:NDH2000、日本電飾社製)を用いて、実施例および比較例で得られた飛散防止フィルムの全光線透過率(%)を測定した。
この評価結果を表1に示す。
【0115】
(2)ヘイズ
日本工業規格JIS K7136−2000「プラスチック−透明材料の全光線透過率の試験方法」に準拠し、ヘイズメータ(商品名:NDH2000、日本電飾社製)を用いて、実施例および比較例で得られた飛散防止フィルムのヘイズ(%)を測定した。
この評価結果を表1に示す。
【0116】
(3)屈折率
実施例および比較例で用いたハードコート層、基材フィルムおよび粘着剤層に関し、日本工業規格JIS K7142−2008「プラスチック−屈折率の求め方」に準拠し、多波長アッベ屈折率計(商品名:DR−M2、アタゴ社製)を用いて、波長589nmにおけるハードコート層、基材フィルムおよび粘着剤層それぞれの屈折率を測定した。
この評価結果を表1に示す。
【0117】
(4)外観
厚み1mmのガラス板に、飛散防止フィルムを貼り合せた後、飛散防止フィルムを構成する基材フィルムの一方の面(ハードコート層が設けられている面)と1mの距離をおいて、3波長蛍光灯を配置し、この蛍光灯が発する光を飛散防止フィルムに照射し、基材フィルムの他方の面における反射光の色を目視により観察した。
基材フィルムの他方の面における反射光の色が、同じ光源によるガラス板の一方の面における反射光の色と同等である場合は○、基材フィルムの他方の面における反射光の色が、同じ光源によるガラス板の一方の面における反射光の色と異なる場合は×と評価した。
この評価結果を表1に示す。
【0118】
(5)飛散防止性
長さ150mm×幅170mm×厚み1mmのガラス板に、飛散防止フィルムを貼り合せた後、高さ10mmの台上、このガラス板と飛散防止フィルムからなる積層体を、飛散防止フィルムが上向き(上記の台とは反対側の向き)となり、この積層体の長辺方向の一端から10mmの部分(一端部)がアーチ状に浮いた状態となるように配置し、その一端部に対して、高さ30cmから直径31.75mmの鉄球を落下させ、ガラスの飛散状況を目視により観察した。
飛散防止フィルムが裂けなかった場合は○、飛散防止フィルムが裂けた場合は×と評価した。
この評価結果を表1に示す。
【0119】
(6)視感反射率
分光光度計(商品名:UV−3600、島津製作所社製)を用いて、飛散防止フィルムを構成する基材フィルムの一方の面(ハードコート層が設けられている面)における、紫外・可視・近赤外(UV−VIS−NIR)域の光の視感反射率(%)を測定した。
なお、この視感反射率の測定では、飛散防止フィルムをガラス板(商品名:コーニングガラスXG、エヌ・エス・ジー・プレシジョン社製)に貼付して、飛散防止フィルム側の反射スペクトルを分光光度計で測定し、L表色系を、xy表色系に変換した。
なお、比較のために、参考例として、上記のガラス板のみの視感反射率を測定した。
この評価結果を表2に示す。
【0120】
【表1】

【0121】
【表2】

【0122】
表1の結果から、実施例の飛散防止フィルムは、フィルム基材の屈折率が1.49、粘着剤層の屈折率が1.45〜1.49であるから、全光線透過率、ヘイズおよび飛散防止性が、比較例1〜6の飛散防止フィルムと同等でありながら、外観に優れることが分かった。
また、表2の結果から、実施例の飛散防止フィルムは、L表色系において、赤色の光(干渉色)の反射を比較例に比べて抑制できることが分かった。
【符号の説明】
【0123】
11 基材フィルム
12 粘着剤層
100、110、120 画像表示装置用飛散防止フィルム(飛散防止フィルム)
130 画像表示装置
31 画像表示パネル
32 導電膜用粘着剤層
33 導電性ガラス基板
34 ガラス基板
35 透明導電膜
21 剥離シート
41 分離線
13 ハードコート層
200、210、220 画像表示装置用飛散防止フィルム(飛散防止フィルム)
230 画像表示装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
屈折率が1.45〜1.55のトリアセチルセルロースフィルムからなる基材フィルムと、該基材フィルムの少なくとも一方の面に設けられた屈折率が1.45〜1.55の粘着剤層と、を備えてなることを特徴とする画像表示装置用飛散防止フィルム。
【請求項2】
前記基材フィルムの前記粘着剤層と接している面とは反対側の面に、屈折率が1.45〜1.55のハードコート層が設けられたことを特徴とする請求項1に記載の画像表示装置用飛散防止フィルム。
【請求項3】
前記基材フィルムの前記粘着剤層と接している面とは反対側の面側における波長380〜780nmの光の視感反射率が8.5%以下であることを特徴とする請求項1または2に記載の画像表示装置用飛散防止フィルム。
【請求項4】
携帯情報端末機器の表示画面に用いられることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の画像表示装置用飛散防止フィルム。
【請求項5】
画像表示パネルと、該画像表示パネルの表示部上に配置されるガラス基板と、請求項1〜4のいずれかに記載の画像表示装置用飛散防止フィルムと、を備えてなる画像表示装置であって、
前記ガラス基板の前記画像表示パネルと対向している面とは反対側の面に、前記基材フィルムの一方の面に設けられた前記粘着剤層によって、前記画像表示装置用飛散防止フィルムが貼着されたことを特徴とする画像表示装置。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2011−209512(P2011−209512A)
【公開日】平成23年10月20日(2011.10.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−77366(P2010−77366)
【出願日】平成22年3月30日(2010.3.30)
【出願人】(000102980)リンテック株式会社 (1,750)
【Fターム(参考)】