説明

画像表示装置

【課題】エリアコントロール処理を行う部の後段にオーバードライブ部を配置することにより、動画特性、コントラスト及び消費電力に優れ、また意図しない擬似輪郭や動画ぼやけの発生を防止する。
【解決手段】ゲイン算出部151は、液晶パネルの領域毎にそれぞれ供給される映像信号毎にゲインGmax0/Gmax1を算出する。Gmax1は領域毎に供給される映像信号の1フレーム期間内の最大階調、Gmax0は映像信号のビット数で定まる最大階調である。部乗算器152は、上記のゲインと、フレーム周波数変換部14からのフレーム周波数変換後の映像信号とを、映像信号の領域毎に乗算して、エリアコントロール処理された映像信号faを生成する。オーバードライブ部17は、エリアコントロール処理された映像信号faを、映像信号faを1フレーム期間遅延した映像信号fbを用いて強調する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は画像表示装置に係り、特にバックライトの発光輝度を映像信号の明るさに応じて制御するエリアコントロールと、動画ぼけを低減するためのオーバードライブとの両方の機能を有し、液晶表示素子により画像を表示する画像表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
液晶表示素子により画像を表示する画像表示装置においては、動画特性の向上のためなどの理由により入力映像信号のフレーム周波数よりも高いフレーム周波数に変換して表示することが提案されている。このフレーム周波数変換方法に加えて、一般にオーバードライブと呼ばれる、時間方向に隣り合うフレームの画素毎の映像信号のレベル差により決められた強調係数を映像信号にかける手法を適用すると、動画特性がより良くなる。
【0003】
しかし、フレーム周波数変換方法とオーバードライブとを併せて使用した画像表示装置は、フレーム周波数が高くなるとそれだけオーバードライブ処理に負担がかかることになる。また、上記の画像表示装置は、フレーム周波数を高速化することで、オーバードライブ処理のため少なくとも2フレーム間の比較を行うために用いるフレーム画像を読み書きするメモリとのアクセス速度が増加する。
【0004】
この間題を解決するため、フレーム周波数を高速化する前の映像信号処理部にオーバードライブ部を組み込むことによって、フレーム周波数高速化を施していない装置と信号処理やメモリとのアクセス速度を同じにするようにした画像表示装置が従来知られている(例えば、特許文献1参照)。また、この従来の画像表示装置によれば、フレーム周波数高速化の後にオーバードライブを行う場合に用意していたメモリも、動き情報の検出や、増加フレームを生成するためのフレームデータを使うことにより削減することもできる。
【0005】
一方、動画特性改善とは別に、液晶表示装置等のバックライトを必要とする画像表示装置におけるコントラストと消費電力改善方法として、静止画や動画像の各フレームをある大きさのエリアに分割し、エリア毎の特徴によって、バックライトと映像信号レベルとを個別制御して表示する画像表示装置も従来提案されている(例えば、特許文献2参照)。このバックライトを用いた画像表示装置による改善方法は、エリアコントロールなどと呼ばれている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2006−337448号公報
【特許文献2】特開2007−133051号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、特許文献1記載の従来の画像表示装置では、オーバードライブ部(時間軸強調回路)をフレーム周波数変換部(時系列変換メモリ)の前段に配置しているため、その後段に映像信号レベルを大きく変化させる回路、例えば特許文献2記載の映像信号のゲインを調整する映像信号処理部やバックライト装置の光量を調整するバックライト輝度制御部を配置すると、原画像の信号レベル差に最適なオーバードライブによる強調がエリアコントロールによって崩れ、オーバードライブによる強調が過剰になったり、不足する場合が発生し、動画応答や画質に影響を与えてしまう。なお、以後の説明では、映像信号処理部での映像信号のゲイン調整及びバックライト輝度制御部でのバックライト装置の光量調整を併せて、エリアコントロールという。
【0008】
オーバードライブ処理は、特に液晶表示装置のように、階調変化の度合いによって液晶表示素子の応答速度が異なる場合、強調係数も異なる。そのため、オーバードライブ部で最適な強調係数をかけられた映像信号に、エリアコントロール部での処理を施してしまうと、強調過剰や、強調不足が発生する。その結果、特に自動車など高速に移動する被写体を撮像した画像を表示する場合、強調過多により、表示される画像に被写体の輪郭に本来存在しない擬似輪郭が発生したり、強調不足によるぼやけが発生する。
【0009】
本発明は以上の点に鑑みなされたもので、エリアコントロール処理の後段にオーバードライブ部を配置することにより、動画特性、コントラスト及び消費電力に優れ、また意図しない擬似輪郭や動画ぼやけの発生を防止し得る画像表示装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記の目的を達成するため、第1の発明は、映像信号を表示する液晶パネルと、液晶パネルの背面側に配置され、複数の領域に区画されて複数の領域のそれぞれに液晶パネルに照射する光を発光する光源を備えるバックライト装置と、第1のフレーム周波数の第1の映像信号を1フレーム分遅延させて第2の映像信号を生成する遅延部と、第1の映像信号と第2の映像信号とを用いて、第1の映像信号のフレーム間に内挿するための1または複数の内挿映像信号を生成する内挿映像信号生成部と、第1の映像信号の隣接する実フレーム間に1または複数の内挿映像信号を内挿して、第1のフレーム周波数より高い第2のフレーム周波数の第3の映像信号を生成するフレーム周波数変換部とバックライト装置の複数の領域に対応した液晶パネルの複数の領域それぞれに表示する領域毎に第3の映像信号の1フレーム期間内の最大階調と、映像信号のビット数で定まる最大階調との比に応じたゲインを領域毎に算出するゲイン算出部と、第3の映像信号にゲインを乗じて、ゲインが乗算された第3の映像信号を生成する乗算器と、ゲインが乗算された第3の映像信号を1フレーム期間遅延した遅延映像信号を用いて、ゲインが乗算された第3の映像信号を時間軸方向に強調する処理を行うオーバードライブ部とを有することを特徴とする。
【0011】
また、上記の目的を達成するため、第2の発明は、映像信号を表示する液晶表示パネルと、液晶パネルの背面側に配置され、複数の領域に区画されて複数の領域のそれぞれに液晶パネルに照射する光を発光する光源を備えるバックライト装置と、第1のフレーム周波数の第1の映像信号を1フレーム分遅延させて第2の映像信号を生成する遅延部と、第1の映像信号と第2の映像信号とを用いて、第1の映像信号のフレーム間に内挿するための1または複数の内挿映像信号を生成する内挿映像信号生成部と、バックライト装置の複数の領域に対応した液晶パネルの複数の領域それぞれに表示する領域毎に第1の映像信号の1フレーム期間内の最大階調と、映像信号のビット数で定まる最大階調との比に応じたゲインを領域毎に算出するゲイン算出部と、第1の映像信号、内挿映像信号及び第2の映像信号それぞれにゲインを乗じて、ゲインが乗算された第1の映像信号、内挿映像信号及び第2の映像信号を生成する乗算器と、ゲインが乗算された第1の映像信号及び内挿映像信号を、時系列順における隣のゲインが乗算された内挿映像信号または第2の映像信号を用いて時間軸方向に強調する処理を行って強調処理後の第1の映像信号及び内挿映像信号を生成するオーバードライブ部と、オーバードライブ部より出力される強調処理後の第1の映像信号の隣接する実フレーム間に、オーバードライブ部より出力される強調処理後の1または複数の内挿映像信号を内挿して、第1のフレーム周波数より高い第2のフレーム周波数の映像信号を生成するフレーム周波数変換部とを有することを特徴とする。
【0012】
また、上記の目的を達成するため、第3の発明は、第1又は第2の発明におけるバックライト装置における領域毎に設けられた光源を、ゲイン算出部により算出された領域毎のゲインの逆数の値に応じた光量の光を射出するように制御する制御部を更に有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、エリアコントロール処理を行うゲインとの乗算器の後段に、入力映像信号の時間軸方向の高域成分を強調する-オーバードライブ処理する回路部を配置することにより、動画特性、コントラスト及び消費電力を向上することができると共に、意図しない擬似輪郭や動画ぼやけの発生を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の画像表示装置の第1の実施の形態のブロック図である。
【図2】図1に示す本発明装置の動作説明用タイミングチャートである。
【図3】図1中の内挿映像信号生成部における動き補償補間処理の説明図である。
【図4】フレーム周波数を2倍に変換することによる効果を示す図である。
【図5】バックライト装置の一例の構成図である。
【図6】図1に示す本発明装置のエリアコントロールとオーバードライブの効果の説明図である。
【図7】本発明の画像表示装置の第2の実施の形態のブロック図である。
【図8】図7に示す本発明装置の動作説明用タイミングチャートである。
【図9】図7に示す本発明装置の各部の効果の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
次に、本発明の各実施の形態について図面を参照して詳細に説明する。
【0016】
(第1の実施の形態)
図1は、本発明になる画像表示装置の第1の実施の形態のブロック図を示す。同図において、本実施の形態の画像表示装置10は、入力される映像信号f0を1フレーム遅延するフレームメモリ11(遅延部)と、入力映像信号f0の動きベクトルVを検出する動きベクトル検出部12と、内挿映像信号f0.5を生成する内挿映像信号生成部13と、入力映像信号f0のフレーム周波数を変換するフレーム周波数変換部14と、フレーム周波数変換部14の出力信号に対してエリアコントロールを行うエリアコントロール部15と、エリアコントロール部の出力信号faを1フレーム期間遅延するフレームメモリ(遅延部)16と、エリアコントロール部15の出力信号faに対してオーバードライブ処理を行うオーバードライブ部17とを有する。
【0017】
この画像表示装置10は、部マトリクス状に配列された複数の画素を有し、電気信号を画素毎に所定時間保持して表示するアクティブマトリクス型の液晶パネル(図示せず)に、オーバードライブ部17から出力された映像信号を供給して画像を表示させる液晶表示装置である。上記の画素は液晶表示素子を含んで構成されている。また、上記の液晶パネルの背面には、後述するように複数の分割領域の各々に液晶パネルに光を照射する光源が配置されたバックライト装置が設けられている。
【0018】
次に、本実施の形態の動作について、図2のタイミングチャート等を併せ参照して説明する。フレームメモリ11は、図2(A)にフレーム単位で模式的に示す入力映像信号f0を格納した後、同図(B)に模式的に示す1フレーム期間遅延した遅延映像信号f1を出力し、動きベクトル検出部12と内挿映像信号生成部13とにそれぞれ供給する。なお、図2において、模式的に示すフレーム内の数字はフレーム番号を示す。
【0019】
動きベクトル検出部12は、入力映像信号f0と遅延映像信号f1とから、例えば公知のマッチング法などを用いてフレーム間の動きベクトルVを検出し、その動きベクトルVを内挿映像信号生成部13に供給する。
【0020】
内挿映像信号生成部13は、動きベクトルVを参照して動き補償補間を行って、入力映像信号f0と遅延映像信号f1とから、図2(C)に模式的に示す内挿映像信号f0.5を生成して出力する。内挿映像信号とは、後段のフレーム周波数変換部14において、フレーム周波数を2倍に変換する際に、元々映像信号が存在しない変換前のフレーム周波数におけるフレーム間の中間に挿入すべき補間フレームのことである。従って、図2(C)において、例えば、フレーム番号「0.5」の内挿映像信号f0.5は、同図(A)に示すフレーム番号「1」の入力映像信号f0と、同図(B)に示すフレーム番号「0」の遅延映像信号f1との間に内挿される補間フレームである。
【0021】
ここで、内挿映像信号生成部13における動き補償補間処理について、詳細に説明する。内挿映像信号生成部13における動き補償補間は、フレーム周波数の変換比率が2倍の場合に、図3に示すようなベクトル移動を行う。すなわち、図3(A)は内挿映像信号生成部13の入力映像信号f0を示し、そのフレーム番号をFR1、FR2、FR3で示す。また、図3(B)は内挿映像信号生成部13で生成される内挿映像信号f0.5を示し、そのフレーム番号をfr12、fr23で示す。なお、図3(B)は、説明の便宜上、上記のフレーム番号FR1、FR2、FR3の各フレームを、時間軸上で存在する位置に点線で示している。フレーム番号fr12のフレームは、ベクトル移動を行ってフレーム番号FR1とFR2の各フレームの間に挿入され、フレーム番号fr23のフレームは、ベクトル移動を行ってフレーム番号FR2とFR3の各フレームの間に挿入される。
【0022】
図3(A)、(B)の右側の図は、フレーム番号FR1〜FR3の各フレームと、フレーム番号fr12〜fr23の各フレームによる物体Oの移動の様子を示す。図3(A)において、物体Oはフレーム番号FR1のフレーム位置からフレーム番号FR2のフレーム位置へと動きベクトルv1により移動し、フレーム番号FR2のフレーム位置からフレーム番号FR3のフレーム位置へと動きベクトルv2により移動する。図3(B)におけるフレーム番号FR1〜FR3の各フレームでの物体Oの位置は、同図(A)におけるフレーム番号FR1〜FR3の各フレームでの物体Oの位置と同じである。フレーム番号fr12のフレームは、フレーム番号FR1のフレームをv1/2だけ移動すればよい。同様に、フレーム番号fr23のフレームは、フレーム番号FR2のフレームをv1/2だけ移動すればよい。
【0023】
なお、図3に示す例では、フレーム番号fr12のフレームは、フレーム番号FR1のフレームのみを、フレーム番号fr23のフレームは、フレーム番号FR2のフレームのみを、それぞれv1/2だけ移動しているが、前後のフレームを混合してもよいし、フレーム番号FR1、FR3のフレームを合成してもよい。
【0024】
このように、出力映像信号のフレームを生成する際に、1つのフレームだけでなく複数のフレームを用いて内挿を行うことにより、ノイズを低減することができる。
【0025】
再び図1に戻って説明する。フレーム周波数変換部14は、入力映像信号f0と内挿映像信号f0.5とをそれぞれ書き込んだ後、書き込み周波数の2倍の周波数すなわち、入力映像信号f0の1/2フレーム期間毎に、f0.5、f0の順で交互に読み出す。これにより、フレーム周波数変換部14は、図2(D)に模式的に示すように、入力映像信号はフレーム周波数が2倍に変換した映像信号を出力する。
【0026】
図4は、フレーム周波数を2倍に変換することによる効果を示す。図4(A)は、黒、白、黒と並んで構成される画像が水平方向に平行移動した場合のフレーム周波数60Hzのフレーム画像の表示状態を示す。また、図4(B)は、黒、白、黒と並んで構成される画像が水平方向に平行移動した場合のフレーム周波数120Hzのフレーム画像の表示状態を示す。
【0027】
あるフレームから次のフレームに移って、黒、白、黒と並んで構成される画像が水平方向に移動する際、白から黒、黒から白へと切り替わって表示される部分において、人間の目には画像が積分されて見えるため、図4(A)、(B)にそれぞれ示すように、黒から白へ、及び白から黒へとなだらかに切り替わるように見える。従って、図4(A)、(B)にそれぞれ示す幅の動画ぼやけが発生する。この動画ぼやけの幅は、図4(A)に示すフレーム周波数60Hzの場合よりも、同図(B)に示すフレーム周波数120Hzの方が小さくて済む。
【0028】
再び図1に戻って説明する。エリアコントロール部15は、フレーム周波数変換部14によりフレーム周波数が2倍に変換された映像信号が入力される。このエリアコントロール部15は、フレーム周波数変換部14からの入力映像信号からゲインGV1を算出するゲイン算出部151と、フレーム周波数変換部14からの入力映像信号とゲイン算出部151で算出したゲインGV1とを乗算する乗算器152とを有する。
【0029】
ここで、本実施の形態におけるエリアコントロールとは、液晶パネル及びバックライト装置を複数の領域に分割し、それぞれの分割領域毎にバックライトの発光輝度を映像信号の明るさに応じて個別に制御する方法である。周知のように、バックライト装置は、液晶パネルの背面に配置される。液晶パネルは、液晶パネルに設けられている複数の画素(液晶表示素子)のそれぞれに対する電圧の印加状態が制御されることで、複数の画素のうちバックライト装置からの光を透過する状態に制御された画素を通して画像を表示する。そこで、まず、本実施の形態におけるバックライト装置の一例の構成について説明する。
【0030】
図5は、バックライト装置の一例の構成図を示す。図5(A)はバックライト装置20の上面図、同図(B)はバックライト装置20を垂直方向に切断した断面図、同図(C)は、バックライト装置20を水平方向に切断した断面図を示す。
【0031】
図5(A)〜(C)に示すバックライト装置20は、その前面に配置される液晶パネルの全領域を水平方向と垂直方向の各方向にそれぞれ4分割し、全体として16個の分割領域に分割したときのバックライト装置である。
【0032】
図5(A)〜(C)において、バックライト装置20は、筐体21が水平方向と垂直方向の区画壁23により16個の分割領域に区画されており、各分割領域のそれぞれには光源22が配置されている。光源22としては、例えば発光ダイオード(LED)が用いられるが、冷陰極管(CCFL:Cold Cathode Fluorescent Lamp)や外部電極蛍光ランプ(EEFL)などでもよい。
【0033】
光源22は、その光源22から出力される光が、筐体21の上部に配置された拡散板24に照射されて拡散されるが、その光の一部は光源22が配置されている分割領域を区画している区画壁23の上端と拡散板24との間の空間を通して隣接する周囲の分割領域に若干漏れ出るので、その漏れ出る光を考慮した光量制御が行われる。なお、拡散板24の上面には例えば3枚の光学シート類25が装着されている。光学シート類25は、光を拡散する拡散シート、プリズムシート、DBEF(Dual Brightness Enhancement Film)と称されている輝度上昇フィルム等の複数のシートを組み合わせたものである。
【0034】
前述したように、液晶パネルは、バックライト装置20が16個の分割領域に分割されているのに対応して、水平方向及び垂直方向にそれぞれ4つの領域ずつ計16個の分割領域に分割されている。ただし、この液晶パネルの16個の分割領域の分割は、物理的に分離して区分けしているのではなく、液晶パネル上に16個の分割領域が設定されているということである。そして、液晶パネルに供給する映像信号は、液晶パネルに設定した16個の各分割領域のそれぞれに対応して、その分割領域に表示する分割領域毎の映像信号として処理される。液晶パネルに設定した16個の分割領域は、それぞれバックライト装置20の16個の分割領域に配置された光源22からのバックライトの明るさが分割領域毎に個別に制御される。
【0035】
なお、液晶パネル及びバックライト装置の領域の分割の仕方は、図5のような2次元的な分割方法に限定されるものではなく、水平方向に複数に分割するなどの他の分割方法でもよい。
【0036】
再び図1に戻って説明する。エリアコントロール部15内のゲイン算出部151は、前述したように、液晶パネルが例えば16個の分割領域に分割されているので、液晶パネルの各分割領域にそれぞれ供給される映像信号毎にゲインを算出する。このゲイン算出部151のゲインGV1の算出は、各分割領域に供給される映像信号の1フレーム期間内の最大階調をGmax1とし、映像信号のビット数で定まる最大階調をGmax0とすると、それらの比Gmax0/Gmax1を各分割領域に供給される映像信号に乗じるゲインGV1として算出する。
【0037】
上記のゲインの逆数Gmax1/Gmax0は、図示しないバックライト輝度制御部において、バックライトの輝度を制御する際に用いられる。例えば、バックライト装置20の各分割領域の光源22の最大輝度に上記のゲインの逆数Gmax1/Gmax0を乗じた値を第1の発光輝度とし、この第1の発光輝度を得るためにバックライト装置20における各分割領域の光源22がそれぞれ単独で発光すべき光の輝度を第2の発光輝度としたとき、この第2の発光輝度を、上記第1の発光輝度に各分割領域の光源22から射出された光が自己の分割領域以外の他の分割領域に漏れ出る光量に基づいた係数を乗じる演算式を用いて求める。そして、バックライト輝度制御部は、バックライト装置20における複数の分割領域のそれぞれで、自己の分割領域の光源22から出射された液晶パネルに照射される光の発光量を上記の第2の発光輝度に基づいて算出した発光量で発光させる。 乗算器152は、ゲイン算出部151により算出された上記のゲインGV1と、フレーム周波数変換部14から出力されたフレーム周波数変換後の映像信号とを、上記の各分割領域それぞれで乗算して、エリアコントロール処理された映像信号faとして出力し、フレームメモリ16及びオーバードライブ部17へそれぞれ供給する。図2(E)は、このエリアコントロール処理された映像信号を模式的に示す。ここで、図2(E)中、例えばフレーム番号「0.5ac」は、フレーム周波数変換部14から出力された図2(D)に示すフレーム番号「0.5」の映像信号に対して、エリアコントロール処理された映像信号であることを示す。
【0038】
フレームメモリ16は、上記のエリアコントロール処理された映像信号を1フレーム分格納した後出力することで、図2(F)に模式的に示すように、エリアコントロール部15においてエリアコントロール処理された映像信号を1フレーム期間遅延した遅延映像信号fbを出力する。
【0039】
オーバードライブ部17は、入力映像信号の高域成分を時間軸方向に強調するフィルタであって、入力される2信号fa、fbを用いて、次式にて表される映像信号fcを出力する。
【0040】
fc=fa+k(fa−fb) (1)
上式中、部kは利得係数である。利得係数kは、映像信号を強調する度合いを決定する係数で、液晶表示素子の応答特性に応じて設定される。利得係数kは、応答が速く残像が少ない場合には小さく設定され、応答が遅く残像が多い場合には大きく設定される。
【0041】
図2(G)は、オーバードライブ部17から出力される映像信号fcを模式的に示す。図2(G)中、例えばフレーム番号「0.5ac_od」は、エリアコントロール部15から出力された図2(E)に示すフレーム番号「0.5ac」の映像信号faに対して、オーバードライブ処理された映像信号であることを示す。このオーバードライブ部17に入力される映像信号fa及びfbはエリアコントロール処理後の映像信号であるため、オーバードライブ部17は時間軸強調をしても、意図しない擬似輪郭や動画ぼやけの発生が殆どない映像信号fcを出力することができる。この映像信号fcは図示しない液晶パネルの画素(液晶表示素子)に供給される。
【0042】
次に、本実施の形態のエリアコントロールとオーバードライブの効果について図6と共に説明する。図6(A)は、黒画像のフレームから白画像のフレームに変化する映像信号が入力されたときの、フレーム周波数変換部14の出力映像信号の電圧の変化と、その映像信号の電圧の変化に対応した液晶表示素子の応答特性(透過率対時間特性)を示す。フレーム周波数変換部14から出力される映像信号の電圧が図6(A)にIで示すようにステップ状に上昇しても、この映像信号が入力された場合の液晶表示素子の応答特性はIIに示すように、なだらかに上昇する。
【0043】
図6(B)は、図6(A)にIで示したステップ状に上昇する映像信号が入力されたときの、エリアコントール部15の出力映像信号の電圧の変化と、その映像信号の電圧の変化に対応した液晶表示素子の応答特性(透過率対時間特性)を示す。エリアコントロール部15から出力される映像信号の電圧は図6(B)にIIIで示すように、その入力映像信号と同様にステップ状に上昇する。ただし、図6(B)に楕円IVaで囲んだ部分に示すように、エリアコントロール処理により映像信号にはゲインGV1が乗算されているため、黒画像のフレームの映像信号の電圧が持ち上げられている。
【0044】
このため、この映像信号が入力された場合の液晶表示素子の応答特性は図6(B)にIVで示すように、黒画像のフレームの期間は高い透過率を示し、その後のステップ状に上昇する変化に対してはなだらかに上昇する。なお、エリアコントロール処理により黒画像のフレームの映像信号の電圧が持ち上げられるのに対応して、バックライトの輝度を下げるバックライト装置の制御が行われるので、画像表示装置の消費電力の低減と画像のコントラストの上昇とが実現される。
【0045】
図6(C)は、図6(B)にIIIで示したステップ状に上昇する映像信号が入力されたときの、オーバードライブ部17の出力映像信号の電圧の変化と、その映像信号の電圧の変化に対応した液晶表示素子の応答特性(透過率対時間特性)を示す。オーバードライブ部15から出力される映像信号の電圧は図6(C)にVで示すように、その入力映像信号のステップ状に上昇する部分(高域成分)が、オーバードライブ部17の時間軸方向の強調処理によって、入力映像信号よりも大きく急峻に立ち上がった後、所定時間、入力映像信号よりも大レベルを保持する変化部分を有する。これにより、このオーバードライブ部17から出力された映像信号が入力された場合の液晶表示素子の応答特性は図6(C)にVIで示すように、オーバードライブ部17による時間軸方向の強調処理を行わないときの応答特性IV(これは、図6(B)の応答特性IVと同じ)よりも高速化される。この結果、液晶表示素子の表示画像に残像の発生を抑制することができる。
【0046】
なお、第1の実施の形態では、入力映像信号f0に対して内挿映像信号f0.5を1つ生成し、入力映像信号f0のフレーム周波数を2倍に変換して表示する構成を説明したがこれに限定されるものではない。すなわち、入力映像信号f0のフレーム周波数をm倍に変換するため、入力映像信号f0に対して内挿映像信号を(m−1)個生成する内挿映像信号13を有する構成とするなど、適宜変更可能である。 (第2の実施の形態)
次に、本発明の第2の実施の形態について説明する。図7は、本発明の画像表示装置の第2の実施の形態のブロック図を示す。同図中、図1と同一構成部分には同一符号を付し、その説明を適宜省略する。図7に示すように、本実施の形態の画像表示装置30は、フレームメモリ11、動きベクトル検出部12、内挿映像信号生成部13、ゲイン算出部31、乗算器32、33及び34、オーバードライブ35及び36、フレーム周波数変換部37を有する。また、エリアコントロール部38は、ゲイン算出部31、乗算器32、33及び34を有する。
【0047】
この画像表示装置30は、部マトリクス状に配列された複数の画素を有し、電気信号を各画素に所定時間保持して表示するアクティブマトリクス型の液晶パネル(図示せず)に、フレーム周波数変換部37から出力された映像信号を供給して画像を表示させる液晶表示装置である。上記の画素は液晶表示素子を含んで構成されている。また、上記の液晶パネルの背面には、前述したように複数の分割領域の各々に液晶パネルに光を照射する光源が配置されたバックライト装置が設けられている。
【0048】
前述した第1の実施の形態の画像表示装置10は、部規模が比較的大きなフレームメモリが11と16の2部必要であるため装置全体の規模も比較的大きい。また、画像表示装置10は、オーバードライブ部17がフレーム周波数変換部14によりフレーム周波数変換後の高周波数の映像信号に対してオーバードライブ処理を行うために、オーバードライブ処理に負担がかかり、オーバードライブ処理のため少なくとも2フレーム間の比較を行うために用いるフレーム画像を読み書きするメモリとのアクセス速度が増加する。本実施の形態の画像表示装置30は、上記の画像表示装置10よりも回路規模が小さく、オーバードライブ処理の負担を低減したものである。
【0049】
図7において、ゲイン算出部31は、入力される映像信号f0から液晶パネルの各分割領域にそれぞれ供給される映像信号毎にゲインGV1を算出する。乗算器32は、入力される映像信号f0と、ゲイン算出部31で算出されたゲインGV1とを乗算して、映像信号f0’を出力する。乗算器33は、内挿映像信号生成部13から出力された内挿映像信号f0.5と、ゲイン算出部31で算出されたゲインGV1とを乗算して、映像信号f0.5’を出力する。乗算器34は、フレームメモリ11から出力された入力映像信号f0を1フレーム期間遅延した映像信号f1と、ゲイン算出部31で算出されたゲインGV1とを乗算して、映像信号f1’を出力する。
【0050】
オーバードライブ部35及び36は、それぞれ2入力信号を用いて前述した(1)式で表される信号を生成する。すなわち、オーバードライブ部35は、乗算器32から出力された映像信号f0’を、乗算器33から出力された信号f0.5’に基づいてオーバードライブ処理を行い、映像信号f0”を出力する。もう一つのオーバードライブ部36は、乗算器33から出力された映像信号f0.5’を、乗算器34から出力された信号f1’に基づいて、オーバードライブ処理を行い、映像信号f0.5”を出力する。フレーム周波数変換部37は、上記の映像信号f0”と映像信号f0.5”とを入力として受け、映像信号f0.5”、映像信号f0”の順で入力映像信号f0の1/2フレーム期間毎に交互に出力することで、フレーム周波数を2倍に周波数変換した信号を生成し、液晶パネルへ出力する。
【0051】
次に、本実施の形態の画像表示装置30の動作について、図8のタイミングチャート等を併せ参照して説明する。フレームメモリ11は、図8(A)にフレーム単位で模式的に示す入力映像信号f0を格納した後、同図(B)に模式的に示す1フレーム期間遅延した遅延映像信号f1を出力し、動きベクトル検出部12と内挿映像信号生成部13とにそれぞれ供給する。なお、図8において、模式的に示すフレーム内の数字はフレーム番号を示す。
【0052】
動きベクトル検出部12は、入力映像信号f0と遅延映像信号f1とから、例えば公知のマッチング法などを用いてフレーム間の動きベクトルVを検出し、その動きベクトルVを内挿映像信号生成部13に供給する。内挿映像信号生成部13は、前述したように、動きベクトルVを参照して動き補償補間を行って、入力映像信号f0と遅延映像信号f1とから、図8(C)に模式的に示す内挿映像信号f0.5を生成して出力する。
【0053】
一方、ゲイン算出部31は、図1のゲイン算出部151と同様に、液晶パネルの各分割領域に供給される映像信号f0の1フレーム期間内の最大階調をGmax1とし、映像信号f0のビット数で定まる最大階調をGmax0とすると、それらの比Gmax0/Gmax1を各分割領域に供給される映像信号に乗じるゲインGV1として算出する。上記のゲインの逆数Gmax1/Gmax0は、図示しないバックライト輝度制御部において、バックライトの輝度を制御する際に用いられる。
【0054】
乗算器32は、入力映像信号f0とゲイン算出部31で算出されたゲインGV1とを、上記の各分割領域のそれぞれで乗算してエリアコントロール処理された映像信号f0’を生成して、オーバードライブ部35へ供給する。図8(D)は、このエリアコントロール処理された映像信号f0’を模式的に示す。
【0055】
また、乗算器33は、内挿映像信号f0.5とゲイン算出部31で算出されたゲインGV1とを、上記の各分割領域のそれぞれで乗算してエリアコントロール処理された内挿映像信号f0.5’を生成して、オーバードライブ部35及び36へそれぞれ供給する。図8(E)は、このエリアコントロール処理された内挿映像信号f0.5’を模式的に示す。
【0056】
更に、乗算器34は、遅延映像信号f1とゲイン算出部31で算出されたゲインGV1とを、各分割領域のそれぞれで乗算してエリアコントロール処理された遅延映像信号f1’を生成して、オーバードライブ部36へ供給する。図8(F)は、このエリアコントロール処理された遅延映像信号f1’を模式的に示す。なお、第1の実施の形態と同様に、図8(D),(E),(F)中、例えばフレーム番号「0.5ac」は、エリアコントロール処理された映像信号であることを示す。 オーバードライブ部35は、エリアコントロール処理された映像信号f0’とエリアコントロール処理された内挿映像信号f0.5’とを入力として受け、エリアコントロール処理された映像信号f0’の時間軸方向の高域成分を、エリアコントロール処理された内挿映像信号f0.5’を用いて強調した(オーバードライブ処理した)映像信号f0”を生成する。図8(G)は、このオーバードライブ処理された映像信号f0”を模式的に示したものである。 また、オーバードライブ部36は、エリアコントロール処理された遅延映像信号f1’とエリアコントロール処理された内挿映像信号f0.5’とを入力として受け、エリアコントロール処理された内挿映像信号f0.5’の時間軸方向の高域成分を、遅延映像信号f1’を用いて強調した(オーバードライブ処理した)内挿映像信号f0.5”を生成する。図8(H)は、このオーバードライブ処理された内挿映像信号f0.5”を模式的に示したものである。
【0057】
フレーム周波数変換部37は、オーバードライブ処理された上記の映像信号f0”と内挿映像信号f0.5”とをそれぞれ書き込んだ後、書き込み周波数の2倍の周波数で、f0.5”、 f0”の順で交互に読み出す。これにより、フレーム周波数変換部37は、図8(I)に模式的に示すように、信号f0.5”と信号f0”とが、1/2フレーム期間毎に交互に0.5”、f0”の順で時系列的に合成された、入力映像信号f0の2倍のフレーム周波数(1/2倍のフレーム周期)の映像信号が出力されることになる。フレーム周波数変換による効果は、図4と共に前述した通りである。なお、第1の実施の形態と同様に、図8(G),(H),(I)中、例えばフレーム番号「0.5ac_od」は、エリアコントロール処理された映像信号であることを示す。
【0058】
次に、本実施の形態の画像表示装置30の各部の効果について図9と共に説明する。図9(A)は、黒画像のフレームから白画像のフレームに変化する映像信号が入力されたときの、内挿映像信号生成部13の出力映像信号の電圧の変化と、その映像信号の電圧の変化に対応した液晶表示素子の応答特性(透過率対時間特性)を示す。内挿映像信号生成部13から出力される内挿映像信号f0.5の電圧が図9(A)にVIIで示すようにステップ状に上昇しても、この内挿映像信号f0.5が入力された場合の液晶表示素子の応答特性はVIIIに示すように、なだらかに上昇する。
【0059】
図9(B)は、図9(A)にVIIで示したステップ状に上昇する映像信号が入力されたときの、乗算器33の出力内挿映像信号f0.5’の電圧の変化と、その内挿映像信号f0.5’の電圧の変化に対応した液晶表示素子の応答特性(透過率対時間特性)を示す。乗算器33から出力される内挿映像信号f0.5’の電圧は図9(B)にIXで示すように、その入力映像信号と同様にステップ状に上昇するが、前述したエリアコントロール処理により映像信号にはゲインが乗算されているため、黒画像のフレームの映像信号の電圧部分が持ち上げられているため、ステップ的な電圧変化レベルが内挿映像信号f0.5のそれよりも小さくなる。
【0060】
このため、この内挿映像信号f0.5’が入力された場合の液晶表示素子の応答特性は、図9(B)にXで示すように、前述した応答特性VIIIに比べて更になだらかになる。また、黒画像のフレームの映像信号の電圧が持ち上げられるのに対応して、バックライトの輝度を下げるバックライト装置の制御が行われるので、画像表示装置の消費電力の低減と画像のコントラストの上昇とが実現される。
【0061】
図9(C)に示す特性XIは、同図(B)にIXで示した特性の内挿映像信号f0.5’を用いてオーバードライブ部35において生成した、映像信号f0’の時間軸方向の高域成分を強調した映像信号f0”の電圧の変化を示す。図9(C)にXIで示すように、映像信号f0”の電圧の変化は、映像信号f0’のステップ状に上昇する部分(高域成分)が、オーバードライブ部35の時間軸方向の強調処理によって、映像信号f0’よりも大きく急峻に立ち上がった後、所定時間、入力映像信号f0’よりも大レベルを保持する変化部分を有する。
【0062】
これにより、このオーバードライブ部35から出力された映像信号f0”が入力された場合の液晶表示素子の応答特性は図9(C)にXIIで示すように、オーバードライブ部35による時間軸方向の強調処理を行わないときの応答特性X(これは、図9(B)の応答特性Xと同じ)よりも高速化される。この結果、液晶表示素子の表示画像に残像の発生を抑制することができる。
【0063】
また、本実施の形態の画像表示装置30は、オーバードライブ部35及び36が、フレーム周波数変換前の低い周波数帯域の映像信号f0’及びf0.5’に対してオーバードライブ処理を行うために、フレーム周波数変換後にオーバードライブ処理を行う第1の実施の形態の画像表示装置10に比べてオーバードライブの負担を軽減することができ、また、オーバードライブ処理のため少なくとも2フレーム間の比較を行うために用いるフレーム画像を読み書きするメモリとのアクセス速度を減少させることができる。
【0064】
また、本実施の形態の画像表示装置30は、フレームメモリの個数がフレームメモリ11の1個のみであるので、画像表示装置10に比べて回路規模を小さくすることができる(3個の乗算器の回路規模に比べて、1個のフレームメモリの回路規模の方がかなり大である。)。更に、本実施の形態の画像表示装置30では、画像表示装置10と同様に、オーバードライブ処理する前に、エリアコントロール処理を行うようにしているため、エリアコントロール処理後にオーバードライブ処理した場合に発生する強調過剰や強調不足を抑制することができ、その結果、表示画像に擬似輪郭や強調不足によるぼやけの発生を抑制し、動画特性とコントラストを改善した動画像を得ることができる。
【0065】
なお、第2の実施の形態においても、入力映像信号f0に対して内挿映像信号f0.5を1つ生成し、入力映像信号f0のフレーム周波数を2倍に変換して表示する構成を説明したがこれに限定されるものではない。すなわち、入力映像信号f0のフレーム周波数をm倍に変換するため、入力映像信号f0に対して内挿映像信号を(m−1)個生成する内挿映像信号13を有し、乗算器32〜34の個数及びオーバードライブ回路35,36の個数をそれぞれm個とする構成等に、適宜変更可能である。
【符号の説明】
【0066】
10、30 画像表示装置
11、16 フレームメモリ
12 動きベクトル検出部
13 内挿映像信号生成部
14、37 フレーム周波数変換部
15、38 エリアコントロール部
17、35、36 オーバードライブ部
20 バックライト装置
21 筐体
22 光源
23 区画壁
31、151 ゲイン算出部
32〜34、152 乗算器

【特許請求の範囲】
【請求項1】
映像信号を表示する液晶パネルと、
前記液晶パネルの背面側に配置され、複数の領域に区画されて前記複数の領域のそれぞれに前記液晶パネルに照射する光を発光する光源を備えるバックライト装置と、
第1のフレーム周波数の第1の映像信号を1フレーム分遅延させて第2の映像信号を生成する遅延部と、
前記第1の映像信号と前記第2の映像信号とを用いて、前記第1の映像信号のフレーム間に内挿するための1または複数の内挿映像信号を生成する内挿映像信号生成部と、
前記第1の映像信号の隣接する実フレーム間に前記1または複数の内挿映像信号を内挿して、前記第1のフレーム周波数より高い第2のフレーム周波数の第3の映像信号を生成するフレーム周波数変換部と、
前記バックライト装置の複数の領域に対応した前記液晶パネルの複数の領域それぞれに表示する領域毎に前記第3の映像信号の1フレーム期間内の最大階調と、映像信号のビット数で定まる最大階調との比に応じたゲインを前記領域毎に算出するゲイン算出部と、
前記第3の映像信号に前記ゲインを乗じて、ゲインが乗算された第3の映像信号を生成する乗算器と、
前記ゲインが乗算された第3の映像信号を1フレーム期間遅延した遅延映像信号を用いて、前記ゲインが乗算された第3の映像信号を時間軸方向に強調する処理を行うオーバードライブ部と
を有することを特徴とする画像表示装置。
【請求項2】
映像信号を表示する液晶表示パネルと、
前記液晶パネルの背面側に配置され、前記複数の領域に区画されて前記複数の領域のそれぞれに前記液晶パネルに照射する光を発光する光源を備えるバックライト装置と、
第1のフレーム周波数の第1の映像信号を1フレーム分遅延させて第2の映像信号を生成する遅延部と、
前記第1の映像信号と前記第2の映像信号とを用いて、前記第1の映像信号のフレーム間に内挿するための1または複数の内挿映像信号を生成する内挿映像信号生成部と、
前記バックライト装置の複数の領域に対応した前記液晶パネルの複数の領域それぞれに表示する領域毎に前記第1の映像信号の1フレーム期間内の最大階調と、映像信号のビット数で定まる最大階調との比に応じたゲインを前記領域毎に算出するゲイン算出部と、
前記第1の映像信号、前記内挿映像信号及び前記第2の映像信号それぞれに前記ゲインを乗じて、ゲインが乗算された第1の映像信号、前記内挿映像信号及び前記第2の映像信号を生成する乗算器と、
前記ゲインが乗算された第1の映像信号及び内挿映像信号を、時系列順における隣の前記ゲインが乗算された前記内挿映像信号または前記第2の映像信号を用いて時間軸方向に強調する処理を行って強調処理後の第1の映像信号及び内挿映像信号を生成するオーバードライブ部と、
前記オーバードライブ部より出力される強調処理後の第1の映像信号の隣接する実フレーム間に、前記オーバードライブ部より出力される強調処理後の1または複数の内挿映像信号を内挿して、前記第1のフレーム周波数より高い第2のフレーム周波数の映像信号を生成するフレーム周波数変換部と
を有することを特徴とする画像表示装置。
【請求項3】
前記バックライト装置における前記領域毎に設けられた光源を、前記ゲイン算出部により算出された前記領域毎の前記ゲインの逆数の値に応じた光量の光を射出するように制御する制御部を更に有することを特徴とする請求項1又は2記載の画像表示装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2010−197548(P2010−197548A)
【公開日】平成22年9月9日(2010.9.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−40334(P2009−40334)
【出願日】平成21年2月24日(2009.2.24)
【出願人】(000004329)日本ビクター株式会社 (3,896)
【Fターム(参考)】