説明

画像表示装置

【課題】短焦点レンズにおける収差の抑制。
【解決手段】投写光学系30は、非球面レンズを備え、光軸から離れた光を用いて約60〜約80°という範囲の画角で光を打ち上げ可能に構成されている。こうすることにより、所望のサイズの画像を短い投写距離で得ることができるとともに、非球面レンズにより、光軸から離れた光の利用によって生じる非点収差を効率的に補正できる。よって、投写される画像の歪みやぼけを抑制でき、画質を向上できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、種々の光学素子を用いて画像を表示する画像表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
ライトバルブやデジタルマイクロミラーデバイス(DMD:Digital Micromirror Device)等の空間光変調機器を、光源装置から射出された光線で照射して画像を表示する画像表示装置が利用されている。このような画像表示装置は、短い投写距離で大きな投影画像を得るために、口径の大きな投写レンズを用いるものがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第3727543号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、大口径レンズを用いると、画像表示装置が大型化し重量も増加する。そのため、設置や運搬が容易でないという問題がある。また、大口径レンズを用いると収差が増大し、投写画像の画質が低下するという問題もある。
【0005】
本発明は、上述の課題に鑑みてなされたものであり、投写距離に対する投写画像の大きさの向上とともに、収差の低減を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述した課題の少なくとも一部を解決するために、本発明の第1の態様は、画像表示装置を提供する。第1の態様の画像表示装置は、
光源と、
前記光源からの射出光のうち、光軸より下方の光線を用いて画像を形成する画像形成光学系と、
光線絞りと、非球面ミラーと、前記非球面ミラーにおいて発生する非点収差を相殺するように構成された非球面レンズとを有し、前記画像形成光学系により形成された画像を表示するための表示手段に画像を表示する投写光学系であって、前記投写光学系の焦点距離fと前記投写光学系の光軸からの像高yが、式1となるように構成されている投写光学系を備えることを要旨とする。
1.1|y|/約tan60°≧f≧0.7|y|/約tan80° (式1)
【0007】
第1の態様によれば、画像表示装置は、約60°〜約80°の画角で投写できるため、よりサイズの大きい画像を短い投写距離で投写できる。また、第1の態様の画像表示装置は、画角の拡大につれて増大する収差を補正する非球面レンズを備えるため、収差により像の歪みやぼけを抑制でき画質向上を図ることができる。また、第1の態様の画像表示装置によれば、非球面ミラーを用いて画像を投写できるため、画角に伴って口径が増大する投写用のレンズを用いる必要がなく、画像表示装置を小型化できる。
【0008】
第1の態様の画像表示装置において、
前記投写光学系は、前記画像を形成する光線の対角画角が約150°以上となるように構成されていてもよい。
【0009】
第1の態様によれば、収差を補正しながら投写距離に対する画面の横幅を表すスローレシオを低くでき、同一サイズの画像を短い投写距離で表示できる。
【0010】
第1の態様の画像表示装置において、
前記非球面レンズは、前記非球面ミラーの近傍に配置されていてもよい。
【0011】
画像を表示手段に投写する非球面ミラーに近接するほど光軸から光が遠ざかり収差は増大する。よって、第1の態様によれば、収差を効率的に補正できる。
【0012】
第1の態様の画像表示装置において、
前記画像形成光学系への入射光は、光学系の光軸に略平行な光としてもよい。
【0013】
第1の態様の画像表示装置によれば、主光線に沿った光を用いて画像を形成する光学素子を用いる場合にも同一サイズの画像を短い投写距離で表示できる。
【0014】
第1の態様の画像表示装置において、
前記非球面レンズは、メニスカス形状に形成されていてもよい。
【0015】
メニスカス形状に形成されている非球面レンズはメリジオナル光線とサジタル光線に対するパワーに大きな差を付けることができるため、大きな非点収差を生じさせることができる。よって、第1の態様の画像表示装置によれば、非球面ミラーによって発生する非点収差の補正を効率的行うことができる。
【0016】
本発明において、上述した種々の態様は、適宜、組み合わせたり、一部を省略したりできる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】第1実施例におけるプロジェクタの概略構成について例示する説明図。
【図2】第1実施例における画像形成光学系および投写光学系の詳細構成について例示する説明図。
【図3】第1実施例における投写光学系の原理について説明する模式図。
【図4】第1実施例における光の入射領域について説明する模式図。
【図5】第1実施例における投写光線の角度について説明する説明図。
【図6】第2実施例におけるプロジェクタの構成を例示する説明図。
【発明を実施するための形態】
【0018】
A.第1実施例:
A1.システム構成:
図1を参照して、第1実施例における画像表示装置としてのプロジェクタについて説明する。図1は、第1実施例におけるプロジェクタの概略構成について例示する説明図である。
【0019】
図1に示すように、プロジェクタ1000は、光源装置10、画像形成光学系20、投写光学系30、および表示手段としてのスクリーン90を備える。
【0020】
光源装置10は、プロジェクタ1000の光源として用いられる。光源装置10は、約650nmの波長を有する赤色レーザ光を出力する。なお、プロジェクタ1000は、光源装置10の他に、約540nmの波長を有する緑色レーザ光を出力する光源装置、約430nmの波長を有する青色レーザ光を出力する光源装置を備える。プロジェクタ1000の光源としてランプ光源を用いてもよい。
【0021】
画像形成光学系20は、光源装置10から射出された光を用いて、スクリーン90に表示する画像を形成する。
【0022】
投写光学系30は、種々のレンズやミラーから構成され、画像形成光学系20から投写された画像を、スクリーン90に投影する。表示光学系の詳細については、後に詳述する。
【0023】
以上説明したように、プロジェクタ1000は、光源装置10からの射出光を画像形成光学系20に入射させて画像を形成後、投写光学系30で合成しスクリーン90に投影する。鑑賞者は、スクリーン90に投影された画像を視認する。
【0024】
A2.光学系詳細構成:
図2を参照して、第1実施例の光学系について説明する。図2は、第1実施例における画像形成光学系20および投写光学系30の詳細構成について例示する説明図である。
【0025】
画像形成光学系20は、ライトバルブ60およびダイクロイックプリズム70を備える。
【0026】
ライトバルブ60は、高温ポリシリコン(HTPS:High Temperature Poly−Silicon)を用いて形成されており、アクティブマトリクス駆動方式の透過型液晶パネルである。ライトバルブ60は、入射光を制御して画像を描画する。図示を省略したが、画像形成光学系20は、各光源装置に対応したライトバルブを備える。
【0027】
ダイクロイックプリズム70は、三角プリズムを4つ組み合わせて直方体とした構成を有しており、ライトバルブ60を通過した光を合成して画像を形成し、投写光学系30に向けて射出する。
【0028】
投写光学系30は、非球面レンズ81,87,89、球面レンズ80、82〜86、88、光線絞り90および非球面ミラー95を備える。投写光学系30は、画角(第1実施例では、打ち上げ角度、ともいう)が約60°〜約80°の範囲内に含まれるように、レンズ口径やレンズ表面の曲率、レンズの組合せなどが構成されている。
【0029】
非球面レンズ81、87、89は、レンズの中心付近とレンズの外周付近とで曲率半径が異なるレンズである。球面レンズ80、82〜86、88は、表面形状を一つの曲率半径で表すことができるレンズである。非球面レンズ81、87、89および球面レンズ80、82〜86、88は、いずれも、表面の形状に応じて入射光を屈折させて射出する。一般的に、球面レンズでは、レンズの中央から入射する光とレンズの端から入射する光との焦点がずれることにより像面湾曲、歪曲収差、非点収差などの収差が生じる。第1実施例では、球面レンズにより生じる収差を相殺する収差を発生させるように、各非球面レンズのレンズ表面を形成する。
【0030】
各種収差について説明する。像面湾曲収差は、画角によって集光位置が異なるために生じる収差であり、平面物体が湾曲面に結像した状態となる、すなわち、平面物体の像が湾曲したものとなる。非点収差は、光軸と主光線とを含むメリジオナル平面内に含まれる光線であるメリジオナル光線の結像点と、主光線を含みメリジオナル平面に対して垂直なサジタル平面内に含まれる光線であるサジタル光線の結像点とが異なることにより生じる収差であり、サジタル光線による像がぼけたものとなる。歪曲収差は、光軸中心から離れた位置を通過する光ほど強く屈折されるために画面周辺で像が歪曲する収差であり、物体と像とが相似形状にならない。
【0031】
非球面レンズ81は、主に、像面湾曲収差を補正するように構成されている。
【0032】
非球面レンズ87は、レンズの中央がレンズの周辺部より厚く、一の面が凸状で他方の面が凹状に形成されたメニスカス形状に形成された非球面レンズであり、主に非点収差を補正する。以降、第1実施例では、非球面レンズ87を非球面メニスカスレンズ87と呼ぶ。
【0033】
非球面レンズ89は、主に、歪曲収差を補正するように構成されている。
【0034】
光線絞り90は、開口部を有し、光を吸収する板状の部材である。光線絞り90は、通過する光量を調整するために開口部以外に当たる光を遮蔽する。
【0035】
非球面ミラー95は、反射面が球面でない曲面に形成されたミラーである。非球面ミラー95は、例えば、アクリルやABS樹脂などで形成された光学面に、アルミや、金、鋼などを蒸着して形成される。非球面ミラー95は、入射光を打ち上げ方向に反射してスクリーン90に画像を投写する。
【0036】
第1実施例の光学系(画像形成光学系20,投写光学系30)は、液晶パネルを用いて画像を形成し投写するため、投写レンズ30aの光軸に対して主光線が平行に入射する光を利用して画像を形成する。このような光学系は、テレセントリック光学系とよばれる。テレセントリック光学系は、レンズ光軸に対して主光線が平行に入射する光を利用するため本来は画角を大きく取ることが困難である。しかしながら、第1実施例では、約60〜約80°という範囲の画角で像を投写するために、投写光学系30に含まれる種々の光学素子を用いて、光軸から離れた光を打ち上げている。この結果、非点収差が拡大する。第1実施例では、投写光学系30に非球面レンズを配置することにより、かかる非点収差を補正する。詳細については後述する。
【0037】
A3.投写光学系の原理について:
図3〜図5を参照して、第1実施例における投写光学系30の詳細について説明する。図3は、第1実施例における投写光学系30の原理について説明する模式図である。図4は、第1実施例における光の入射領域について説明する模式図である。図5は、第1実施例における投写光線の角度について説明する説明図である。
【0038】
投写光学系30は、複数の光学素子から構成された一つのレンズと考えることができる。よって、図3に示すように、投写光学系30を、一つの投写レンズ30aとして表す。また、像面90aは、スクリーン90を表す。
【0039】
第1実施例では、プロジェクタ1000は、短い投写距離dで所望の像サイズ(画像サイズ)を投写可能とするために、最大画角θmaxが約80°以下かつ最小画角θminが約60°以下となるように構成されている。一般的に、画角θと焦点距離fと像高yとの間には、式2の関係が成り立つ。なお、焦点距離は、投写レンズ30aから焦点Pまでの距離であり、像高yとは、光軸を含み投写画像に対してほぼ垂直な面に対する、投写画像の任意の点からの垂線の長さ、すなわち、光軸から画像までの距離を表す。
【0040】
y=−ftanθ …(式2)
【0041】
よって、一般的には最大画角θmaxが約80°以下かつ最小画角θminが約60°以下とするためには、焦点距離Fが式3の範囲に含まれることが好ましい。
【0042】
|y|/約tanθmin≧f≧|y|/約tanθmax (式3)
【0043】
しかし、本発明においては、より短い投写距離で所望の画像サイズを投写可能とするために焦点距離が式4の範囲に含まれることが好ましい。
【0044】
1.1|y|/約tanθmin≧f≧0.7|y|/約tanθmax (式4)
【0045】
すなわち、第1実施例では、焦点距離が式5の範囲に含まれることが好ましい。
【0046】
1.1|y|/約tan60°≧f≧0.7|y|/約tan80° (式5)
【0047】
よって、投写光学系30は、各レンズの曲率や配置、組合せ方等により、焦点距離fが上述の式4となるように構成されている。
【0048】
プロジェクタ1000では、最大画角θmaxが約80°以下かつ最小画角θminが約60°以下で画像を表示するために、投写レンズ30aにおいて、最小画角θminが約60°以上で最大画角θmaxが約80°以下となる投写レンズ30aの端部の下方領域200に、ダイクロイックプリズム70からの射出光100が入射するように、ダイクロイックプリズム70が構成されている。下方領域200に入射した光は、図3に示すように画角約60°〜画角約80°で画像を投影する。すなわち、投写光学系30では、ダイクロイックプリズム70から射出され投写光学系30に向かう光が、図4に示すように、投写光学系30の球面レンズ80の下方領域200から投写光学系30に入射し、画角約60°〜80°の範囲で画像を投写する。
【0049】
なお、第1実施例では、厳密にtan60°、tan80°である必要はなく、数%程度の誤差を許容する。
【0050】
また、投写光学系30は、図5に示すように、像面90aの対角画角αが約150°以上かつ像90aを形成する投写光線の最大角度θ1と最小角度θ2との差βが約15°以内となるように構成されている。
【0051】
A4.収差補正:
第1実施例における収差の補正について図3を参照して説明する。図3に、併せて非点収差を表すグラフ300を示す。グラフ300は、横軸に光軸Wからのピントのずれを表し、縦軸に光軸Wからの距離を表す。ここで、サジタル光線とメリジオナル光線の位置ずれ(ピントずれ)が非点収差の大きさを示している。すなわち、非点収差310は、サジタル光線310aとメリジオナル光線310bとの位置ずれの大きさを示しており、非点収差320は、サジタル光線320aとメリジオナル光線320bとの位置ずれの大きさを示している。グラフ300において、非点収差310は、非球面レンズ87が設置されていない場合の投写レンズ30a(投写光学系30)の非点収差を表す。グラフ300が示すように、非点収差310は、光軸W上ではほとんど発生しないことに対し、光軸から離れるにつれて増大する。すなわち、レンズの端部を通過する光ほど、非点収差が大きく生じる。第1実施例では、投写光学系の端部を通過する光を利用して所望の画角を得ているため、非球面レンズ87が設置されていない場合には、投写光学系の中心部を通過する光を用いる場合よりも非点収差が大きくなる。
【0052】
一方、グラフ300において、非点収差320は非球面レンズ87の作用を示すために、非球面レンズ87が設置され、かつ、非球面ミラー95が設置されていない場合の投写レンズ30a(投射光学系30)の非点収差を表す。グラフ300に示すように、非点収差320は、非点収差310と逆方向の収差を生じている。その結果、非点収差320は非点収差310を相殺して補正する。
【0053】
なお、非点収差は、像高ごとに異なるため、像高ごとに適した逆方向の収差を発生させることにより効率的に補正できる。非球面メニスカスレンズ87を通過する光のうち、ほぼ同じ領域を通過する光はほぼ同量の非点収差となるため、全ての像高の光線が非球面メニスカスレンズ87のほぼ同じ領域を通過しても同程度の非点収差しか発生せず、補正効率は低い。従って、非球面メニスカスレンズ87は、画像を投写する非球面ミラー95の近傍に配置することが好ましい。非球面ミラー95近傍では、光線が適度に分散されているため、非球面メニスカスレンズ87を通過する光は、像高ごとに異なる領域を通過でき、像高ごとに異なる収差量を効率的に補正できる。ただし、非点収差は非球面ミラー95に近接するほど大きくなるため、これを補正するためには非球面メニスカスレンズ87の中心厚みも厚くなり、プロジェクタの大型化を招く虞がある。よって、非球面レンズ87は収差量とレンズ厚みに応じて、適宜レンズ位置を考慮することが好ましい。
【0054】
また、主に歪曲収差を補正する非球面レンズ89は、非球面ミラー95に近接する位置に配置することが好ましい。非球面レンズ89はメニスカス形状でないから非点収差の補正量に応じて中心厚みが厚くならない。よって、非球面ミラー95に近接する位置に配置することにより、効率的に歪曲収差を補正できる。
【0055】
また、主に像面湾曲収差を補正する非球面レンズ81は、光線絞り90とライトバルブとの間に配置されることが好ましい。
【0056】
以上説明した第1実施例のプロジェクタによれば、非球面レンズが無い場合の投写光学系で発生する収差と逆方向の収差を発生させる非球面レンズを投写光学系に設置することにより、収差を相殺することができる。従って種々の収差を補正でき、像のぼけや歪みを抑制して画質を向上できる。第1実施例では、投写光学系の端部を通過する光を利用して約60〜約80°の範囲の画角で像を投影しているため、光軸付近の光を用いる場合に比べて大きな収差が生じるが、非球面レンズにより、収差を効率的に補正できる。
【0057】
また、第1実施例のプロジェクタによれば、最大画角が約80°以下、最小画角が約60°以上、かつ、対角画角が約150°以上となるように投写光学系が構成されているため、スローレシオを0.2以下とできる。例えば、投写距離約25cm以下で、約60インチの画像を投写できる。
【0058】
B.第2実施例:
第2実施例では、DMD(DMD:Digital Micromirror Device)を用いたDLPプロジェクタについて説明する。
【0059】
B1.プロジェクタ概略構成:
図6は、第2実施例におけるプロジェクタ2000の構成を例示する説明図である。第2実施例のプロジェクタ1000は、図示しない光源装置と、投写光学系810と、デジタルマイクロミラーデバイス820とを備える。
【0060】
DMD820は、メムス(MEMS:Micro Electro Mechanical Systems)デバイスの一種類であり、多数の微少鏡面(マイクロミラー)を平面に配列した表示用素子である。DMD820は、各マイクロミラーを傾斜させてONとOFFの二つの状態を実現しており、各マイクロミラーを個別に駆動して画像を形成している。
【0061】
投写光学系810は、球面レンズ811〜817と、非球面レンズ818と、非球面ミラー819とを備える。投写光学系810は、DMD820からの入射光を図示しないスクリーンに投写して画像を表示する。第2実施例の投写光学系810は、画角θが約60°〜約80°の範囲に含まれ、かつ、対角画角が150°となるように焦点距離等が構成されている。こうすることにより、スローレシオ0.2以下で画像を表示できる。例えば、投写距離25cmで60インチの画像を表示できるというように、短投写距離で大きな画像を表示できる。
【0062】
非球面レンズ818は、収差を補正するように表面が形成されている。具体的には、非球面レンズ818が無い場合の投写光学系810の収差と逆方向の収差を発生するようにレンズ表面が形成されており、収差を相殺して補正する。
【0063】
プロジェクタ2000は、図示しない光源装置から出力された光がDMD820で反射されて投写光学系に入射する。投写光学系810に入射した光は、種々のレンズで屈折され、非球面ミラー819で画角θで投写されスクリーンに画像を表示する。この際、非球面レンズ818が収差を補正する。非球面レンズを図6に示すように非球面ミラー819の近傍に配置すれば歪曲収差の補正に効果的であり、また、非球面レンズを光線絞りの近傍に配置すれば、球面収差の補正に効果的である。
【0064】
上述した第2実施例のプロジェクタ2000によれば、DMDを用いたDLPプロジェクタにおいても、非球面レンズを用いることにより、短い投写距離で大きな画像を表示できる。DLPプロジェクタにおいて生じやすい歪曲収差や球面収差を補正でき、画質を向上できる。
【0065】
C.変形例
(1)第1実施例のプロジェクタ1000の投写光学系に、更に、光線絞りの近傍に非球面レンズを配置してもよい。こうすれば、球面収差を補正できる。
【0066】
以上、本発明の種々の実施例について説明したが、本発明はこれらの実施例に限定されず、その趣旨を逸脱しない範囲で種々の構成をとることができる。
【符号の説明】
【0067】
10…光源装置
20…画像形成光学系
25…投写距離
30…投写光学系
30a…投写レンズ
60…ライトバルブ
70…ダイクロイックプリズム
80…球面レンズ
81…非球面レンズ
81…球面レンズ
87…非球面レンズ
87…非球面メニスカスレンズ
89…非球面レンズ
90…スクリーン
90a…像面
95…非球面ミラー
100…射出光
200…下方領域
300…グラフ
310…非点収差
320…非点収差
810…投写光学系
811…球面レンズ
818…非球面レンズ
819…非球面ミラー
820…デジタルマイクロミラーデバイス
1000…プロジェクタ
2000…プロジェクタ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像表示装置であって、
光源と、
前記光源からの射出光を用いて画像を形成する画像形成光学系と、
球面ミラーと、前記球面ミラーにおいて発生する収差を相殺するように構成された非球面レンズとを有し、前記画像形成光学系により形成された画像を表示するための表示手段に画像を投写する投写光学系であって、前記投写光学系の焦点距離fと前記投写光学系の光軸からの像高yが、式1となるように構成されている投写光学系とを備える、画像表示装置。
1.1|y|/約tan60°≧f≧0.7|y|/約tan80° (式1)
【請求項2】
請求項1記載の画像表示装置であって、
前記投写光学系は、前記画像を形成する光線の対角画角が約150°以上となるように構成されている、画像表示装置。
【請求項3】
請求項1記載の画像表示装置であって、
前記非球面レンズは、前記非球面ミラーの近傍に配置されている、画像表示装置。
【請求項4】
請求項1記載の画像表示装置であって、
前記画像形成光学系への入射光は、光学系の光軸に略平行な光である、画像表示装置。
【請求項5】
請求項1記載の画像表示装置であって、
前記非球面レンズは、メニスカス形状に形成されている、画像表示装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2012−98754(P2012−98754A)
【公開日】平成24年5月24日(2012.5.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−22772(P2012−22772)
【出願日】平成24年2月6日(2012.2.6)
【分割の表示】特願2007−48687(P2007−48687)の分割
【原出願日】平成19年2月28日(2007.2.28)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】