説明

画像計測装置及びコンピュータプログラム

【課題】計測対象物を撮像した画像に固有の特徴量情報に基づいて計測条件を特定することができる画像計測装置及びコンピュータプログラムを提供する。
【解決手段】計測対象物が載置されるステージ上に照射した光の透過光又は反射光を撮像素子に結像させて得られる画像に基づいて、計測対象物の形状を計測する。計測対象物の計測条件に関する情報に対応付けて、該計測対象物の形状に固有の特徴量情報を記憶しておく。撮像素子にて結像して得られた計測対象物の画像を視野の範囲内で表示し、計測対象物の画像に基づいて特徴量情報を抽出する。抽出された特徴量情報と略一致する特徴量情報が記憶されているか否かを判断し、略一致する特徴量情報が記憶されていると判断した場合、該特徴量情報に対応付けて記憶されている計測条件に関する情報に基づいて計測対象物の形状を計測する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、計測対象物の形状に固有の特徴量情報に基づいて所望の形状を計測する画像計測装置及びコンピュータプログラムに関する。特に、計測対象物が既知である場合に、計測対象物に対する計測条件を容易に特定することができる画像計測装置及びコンピュータプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、計測対象物の形状を計測する装置として、ステージ上に載置した計測対象物に光を照射し、照射した光の透過光又は反射光を受光レンズにより、CCD(Charge Coupled Device)、CMOS(Complementary Metal−Oxide Semiconductor)等の撮像素子に結像させて画像を取得し、取得した画像に基づいて計測対象物の形状を計測する画像計測装置が多々開発されている。
【0003】
計測対象物の形状の計測は、画像上で計測対象物と背景画像との境界部分(以下、エッジ部分)を検出することにより行われる。エッジ部分は、計測対象物の画素と背景画像画素との輝度値変化が激しい箇所である。画像データの中で、例えば隣接する画素間の輝度差が所定の値より大きい箇所(画素間)を、エッジ部分を示す複数のエッジ点として取得し、例えば最小二乗法のような回帰分析法によって近似することにより、例えば直線、円等の幾何学図形に近似され、近似された図形を用いてエッジ間の距離、角度、エッジ自身のパラメータ(座標、直径、中心座標等)を計測することができる。
【0004】
また、同一の形状を有する計測対象物を何度も計測する場合、毎回エッジを抽出する演算処理負荷を軽減するために、一度計測した形状パターンを記憶しておき、パターンマッチングすることにより所望の形状を計測しても良い。例えば特許文献1では、オフラインティーチングにより生成された画像データを用いて、計測対象物の画像とパターンマッチングすることにより形状を計測している。
【特許文献1】特許第3596753号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、計測対象物の画像とパターンマッチングする処理は演算処理負荷が比較的大きい。また、計測対象物の種類が多くなればなるほど、記憶しておくべき形状パターン画像データの数も増大し、メモリ等の記憶容量を圧迫するとともに、全体の演算処理負荷が大きくなることから、計測レスポンスを維持することが困難になるおそれがあるという問題点があった。
【0006】
一方、計測対象物を撮像した画像には、計測対象物の形状に固有の特徴量が存在する。例えば撮像した画像の面積、周囲長さ、重心から輪郭線までの距離等、撮像した画像の形状に固有の特徴量は多々存在する。したがって、これら特徴量に関する特徴量情報に基づいて計測条件を記憶しておけば、少ない演算処理負荷にて確実に形状を計測することができる。
【0007】
本発明は斯かる事情に鑑みてなされたものであり、計測対象物を撮像した画像に固有の特徴量情報に基づいて計測条件を特定することができる画像計測装置及びコンピュータプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために第1発明に係る画像計測装置は、計測対象物が載置されるステージ上に照射した光の透過光又は反射光を撮像素子に結像させて得られる画像に基づいて、計測対象物の形状を計測する画像計測装置において、計測対象物の計測条件に関する情報に対応付けて、該計測対象物の形状に固有の特徴量情報を記憶する特徴量情報記憶手段と、前記撮像素子にて結像して得られた計測対象物の画像を視野の範囲内で表示する表示手段と、前記計測対象物の画像に基づいて特徴量情報を抽出する特徴量情報抽出手段と、抽出された特徴量情報と略一致する特徴量情報が記憶されているか否かを判断する判断手段とを備え、該判断手段で略一致する特徴量情報が記憶されていると判断した場合、該特徴量情報に対応付けて記憶されている計測条件に関する情報に基づいて計測対象物の形状を計測するようにしてあることを特徴とする。
【0009】
また、第2発明に係る画像計測装置は、第1発明において、前記判断手段で略一致する特徴量情報が記憶されていないと判断した場合、前記視野の周縁部に前記計測対象物の画像が存在するか否かを判断する画像存否判断手段と、該画像存否判断手段で前記視野の周縁部に前記計測対象物の画像が存在すると判断した場合、前記計測対象物が前記視野の範囲内に存在するよう前記計測対象物を移動させる旨のメッセージを表示出力するメッセージ出力手段とを備えることを特徴とする。
【0010】
また、第3発明に係る画像計測装置は、第2発明において、前記メッセージ出力手段は、前記画像存否判断手段で前記視野の周縁部に前記計測対象物の画像が存在しないと判断した場合、前記計測対象物の載置された方向を確認する旨のメッセージを表示出力するようにしてあることを特徴とする。
【0011】
また、第4発明に係る画像計測装置は、第1乃至第3発明のいずれか1つにおいて、前記計測対象物の計測条件に関する情報に対応付けた該計測対象物の形状パターン画像データを記憶する形状パターン画像記憶手段と、前記判断手段で略一致する特徴量情報が複数記憶されていると判断した場合、対応する複数の形状パターン画像データに対応する情報を表示する表示手段と、表示されている複数の形状パターン画像データに対応する情報から一の形状パターン画像データに対応する情報の選択を受け付ける選択受付手段とを備えることを特徴とする。
【0012】
また、第5発明に係る画像計測装置は、第1乃至第3発明のいずれか1つにおいて、前記判断手段で略一致する特徴量情報が複数記憶されていると判断した場合、同一の計測対象物の画像に基づいて他の特徴量情報を抽出する再抽出手段と、複数記憶されている特徴量情報に対応する計測条件に関する情報について、前記再抽出手段で抽出された他の特徴量情報と略一致する特徴量情報が記憶されているか否かを判断する再判断手段とを備え、該再判断手段で他の特徴量情報と略一致する特徴量情報が記憶されていると判断した場合、該特徴量情報に対応付けて記憶されている計測条件に関する情報に基づいて計測対象物の形状を計測するようにしてあることを特徴とする。
【0013】
次に、上記目的を達成するために第6発明に係るコンピュータプログラムは、計測対象物が載置されるステージ上に照射した光の透過光又は反射光を撮像素子に結像させて得られる画像に基づいて、計測対象物の形状を計測する画像計測装置で実行することが可能なコンピュータプログラムにおいて、前記画像計測装置を、計測対象物の計測条件に関する情報に対応付けて、該計測対象物の形状に固有の特徴量情報を記憶する特徴量情報記憶手段、前記撮像素子にて結像して得られた計測対象物の画像を視野の範囲内で表示する表示手段、前記計測対象物の画像に基づいて特徴量情報を抽出する特徴量情報抽出手段、抽出された特徴量情報と略一致する特徴量情報が記憶されているか否かを判断する判断手段、及び該判断手段で略一致する特徴量情報が記憶されていると判断した場合、該特徴量情報に対応付けて記憶されている計測条件に関する情報に基づいて計測対象物の形状を計測する手段として機能させることを特徴とする。
【0014】
また、第7発明に係るコンピュータプログラムは、第6発明において、前記画像計測装置を、前記判断手段で略一致する特徴量情報が記憶されていないと判断した場合、前記視野の周縁部に前記計測対象物の画像が存在するか否かを判断する画像存否判断手段、及び該画像存否判断手段で前記視野の周縁部に前記計測対象物の画像が存在すると判断した場合、前記計測対象物が前記視野の範囲内に存在するよう前記計測対象物を移動させる旨のメッセージを表示出力するメッセージ出力手段として機能させることを特徴とする。
【0015】
また、第8発明に係るコンピュータプログラムは、第7発明において、前記メッセージ出力手段を、前記画像存否判断手段で前記視野の周縁部に前記計測対象物の画像が存在しないと判断した場合、前記計測対象物の載置された方向を確認する旨のメッセージを表示出力する手段として機能させることを特徴とする。
【0016】
また、第9発明に係るコンピュータプログラムは、第6乃至第8発明のいずれか1つにおいて、前記画像計測装置を、前記計測対象物の計測条件に関する情報に対応付けた該計測対象物の形状パターン画像データを記憶する形状パターン画像記憶手段、前記判断手段で略一致する特徴量情報が複数記憶されていると判断した場合、対応する複数の形状パターン画像データを表示する形状パターン表示手段、及び表示されている複数の形状パターン画像データから一の形状パターン画像データの選択を受け付ける形状パターン選択受付手段として機能させることを特徴とする。
【0017】
また、第10発明に係るコンピュータプログラムは、第6乃至第8発明のいずれか1つにおいて、前記画像計測装置を、前記判断手段で略一致する特徴量情報が複数記憶されていると判断した場合、同一の計測対象物の画像に基づいて他の特徴量情報を抽出する再抽出手段、複数記憶されている特徴量情報に対応する計測条件に関する情報について、前記再抽出手段で抽出された他の特徴量情報と略一致する特徴量情報が記憶されているか否かを判断する再判断手段、及び該再判断手段で他の特徴量情報と略一致する特徴量情報が記憶されていると判断した場合、該特徴量情報に対応付けて記憶されている計測条件に関する情報に基づいて計測対象物の形状を計測する手段として機能させることを特徴とする。
【0018】
第1発明及び第6発明では、計測対象物の計測条件に関する情報に対応付けて、該計測対象物の形状に固有の特徴量情報を記憶しておく。撮像素子にて結像して得られた計測対象物の画像を視野の範囲内で表示し、計測対象物の画像に基づいて特徴量情報を抽出する。特徴量情報とは、例えば撮像した画像の面積、周囲長さ、重心から輪郭線までの距離等、撮像した画像の形状に固有の数値等の情報を意味している。抽出された特徴量情報と略一致する特徴量情報が記憶されている場合、該特徴量情報に対応付けて記憶されている計測条件に関する情報に基づいて計測対象物の形状を計測する。演算処理負荷の大きい画像間のパターンマッチング処理を実行することなく、画像の形状に固有の特徴量情報が略一致する計測条件に関する情報に基づいて計測対象物の形状を計測することにより、演算処理負荷を大きく軽減することができる。
【0019】
第2発明及び第7発明では、抽出された特徴量情報と略一致する特徴量情報が記憶されていない場合、視野の周縁部に計測対象物の画像が存在するか否かを判断する。視野の周縁部に計測対象物の画像が存在する場合、計測対象物が視野の範囲内に存在するよう計測対象物を移動させる旨のメッセージを表示出力する。視野の周縁部に計測対象物の画像が存在するか否かを判断し、存在すると判断した場合には、計測対象物が視野からはみ出して載置されているものと判断することができる。したがって、その旨を示すメッセージを出力することにより、計測者に対して計測対象物を正しく載置し直すことを促すことができ、手戻り等が生じることなく効率的に形状計測を実行することが可能となる。
【0020】
第3発明及び第8発明では、視野の周縁部に計測対象物の画像が存在しないと判断した場合、計測対象物の載置された方向を確認する旨のメッセージを表示出力する。視野の周縁部に計測対象物の画像が存在しないと判断した場合には、計測対象物が視野からはみ出して載置されておらず、計測者が計測対象物を誤って載置した、本来載置すべき方向に載置されていない等の人為的ミスの可能性が考えられることから、その旨を示すメッセージを出力することにより、計測者に対して正しい計測対象物を正しく載置し直すことを促すことができ、手戻り等が生じることなく効率的に形状計測を実行することが可能となる。
【0021】
第4発明及び第9発明では、計測対象物の計測条件に関する情報に対応付けた該計測対象物の形状パターン画像データを記憶しておき、抽出された特徴量情報と略一致する特徴量情報が複数記憶されている場合、対応する複数の形状パターン画像データに対応する情報を表示し、表示されている複数の形状パターン画像データに対応する情報から一の形状パターン画像データに対応する情報の選択を受け付けることにより、計測条件に関する情報を一意に特定することが可能となる。
【0022】
第5発明及び第10発明では、抽出された特徴量情報と略一致する特徴量情報が複数記憶されている場合、同一の計測対象物の画像に基づいて他の特徴量情報を抽出し、複数記憶されている特徴量情報に対応する計測条件に関する情報について、抽出された他の特徴量情報と略一致する特徴量情報が記憶されているか否かを判断する。他の特徴量情報と略一致する特徴量情報が記憶されていると判断した場合、該特徴量情報に対応付けて記憶されている計測条件に関する情報に基づいて計測対象物の形状を計測する。同一の計測対象物について、異なる特徴量情報を用いて計測条件に関する情報を絞り込むことにより、一の特徴量情報だけでは絞り込むことができない場合であっても確実に計測対象物に対応する計測条件に関する情報を絞り込むことができ、正しく形状を計測することが可能となる。
【発明の効果】
【0023】
上記構成によれば、演算処理負荷の大きい画像間のパターンマッチング処理を実行することなく、画像の形状に固有の特徴量情報が略一致する計測条件に関する情報に基づいて計測対象物の形状を計測することにより、演算処理負荷を大きく軽減することができる。また、一の計測条件に関する情報に絞り込むことができない場合であっても、特徴量情報が略一致する複数の特徴量情報の中から一の特徴量情報の選択を受け付ける、又は異なる特徴量情報を用いて計測条件に関する情報を特定することにより、確実に計測対象物に対応する計測条件に関する情報を絞り込むことができ、正しく形状を計測することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
以下、本発明の実施の形態に係る画像計測装置について、図面に基づいて具体的に説明する。
【0025】
(実施の形態1)
図1は、本発明の実施の形態1に係る画像計測装置の構成を示す模式図である。図1に示すように本実施の形態1に係る画像計測装置1は、計測部2と制御ユニット3とで構成されており、計測部2にて撮像された画像データを制御ユニット3にて演算処理して、所望の形状の寸法等を計測する。
【0026】
計測部2では、計測対象物20を計測部分へ移動させるステージ21を挟んで2組の照明装置が設置されている。まずステージ21上の計測対象物20を上方から照らすリング状の落射照明装置22が受光レンズユニット23に設置されている。落射照明装置22で照射された光は、計測対象物20の表面で反射して、受光レンズユニット23へ戻ってくる。これにより、計測対象物20の表面の凹凸、パターン等を撮像することができる。
【0027】
また、ステージ21の下方には、計測対象物20を下方から照らす透過照明装置24が設置されている。透過照明装置24は、少なくとも光源241、反射機構242及びレンズ243で構成されており、光源241から照射された光を反射機構242にてステージ21側へ反射させ、レンズ243にてステージ21に対して略直交する方向の平行光へと変換する。これにより、計測対象物20が存在しない位置の光のみ透過して撮像することができる。
【0028】
受光レンズユニット23は、少なくとも受光レンズ231、ビームスプリッタ232、高倍側結像レンズ部233、低倍側結像レンズ部236を備えている。高倍側結像レンズ部233は、結像するためのスリット234及び高倍側結像レンズ235で構成され、低倍側結像レンズ部236は、結像するためのスリット237及び低倍側結像レンズ238で構成されている。ビームスプリッタ232は、受光レンズ231からの光を二方向に分岐するプリズムである。例えばキューブ型、プレート型を使用することができる。キューブ型ビームスプリッタは、プレート型と比較して、ビームスプリッタを通過した光が屈折することがないので光軸がずれず、分岐角度のアライメント調整が容易なため好ましい。
【0029】
図1では、落射照明装置22から発光した光が計測対象物20で反射した光及び透過照明装置24から発光して計測対象物20を透過した光を、高倍側結像レンズ部233及び低倍側結像レンズ部236へ誘導する一例を示している。ビームスプリッタ232により分岐された二方向の光は、低倍側結像レンズ部236及び高倍側結像レンズ部233の双方へ誘導される。
【0030】
高倍側の撮像装置25は、高倍側結像レンズ部233へ誘導された光をCCD、CMOS等の撮像素子251で結像させ、高倍画像データとして制御ユニット3へ送信する。同様に低倍側の撮像装置26は、低倍側結像レンズ部236へ誘導された光をCCD、CMOS等の撮像素子261で結像させ、低倍画像データとして制御ユニット3へ送信する。上述の受光レンズ231及びビームスプリッタ232による二分岐光学系の構成により、光学系を機械的に切り替えることなく高倍画像データと低倍画像データとを同時に取得することができる。両画像データは電子的に切り替えて1つの画面上に表示することができ、また2つの画面上に別個に同時に表示することもできる。
【0031】
図2は、本発明の実施の形態1に係る画像計測装置1の制御ユニット3の構成を示すブロック図である。図2に示すように本実施の形態1に係る画像計測装置1の制御ユニット3は、少なくともCPU(中央演算装置)33、メモリ等の記憶装置34、通信手段35及び上述したハードウェアを接続する内部バス36で構成されている。内部バス36を介して、入力装置であるマウス32、キーボード31、出力装置である表示装置27にも接続されている。
【0032】
CPU33は、内部バス36を介して制御ユニット3の上述したようなハードウェア各部と接続されており、上述したハードウェア各部の動作を制御するとともに、記憶装置34に記憶されているコンピュータプログラムに従って、種々のソフトウェア的機能を実行する。記憶装置34は、例えばSRAM、SDRAM等の揮発性メモリで構成され、コンピュータプログラムの実行時にロードモジュールが展開され、コンピュータプログラムの実行時に発生する一時的なデータ等を記憶する。また、記憶装置34には、計測対象物の形状に固有の特徴量情報も記憶する。
【0033】
通信手段35は内部バス36に接続されており、通信線を介して撮像装置25、26に接続され、撮像装置25、26で撮像された画像データを受信する。また、インターネット、LAN、WAN等の外部のネットワークに接続されることにより、外部のコンピュータ等ともデータ送受信を行うことが可能となる。なお、記憶装置34に記憶されているコンピュータプログラムは、通信手段35を介して外部コンピュータからダウンロードされる。
【0034】
制御ユニット3のCPU33は、落射照明装置22を用いて撮像装置25で撮像した落射画像を示す画像データである落射画像データ、及び透過照明装置24を用いて撮像装置26で撮像した透過画像を示す画像データである透過画像データを表示装置27に表示する表示手段331、計測対象物の形状に固有の特徴量情報、例えば撮像した画像の面積、周囲長さ、重心から輪郭線までの距離等を記憶装置34に記憶しておく特徴量情報記憶手段332として機能する。また、CPU33は、撮像された計測対象物20の画像から一の特徴量情報を抽出する特徴量情報抽出手段333、抽出された特徴量情報と略一致する特徴量情報が記憶されているか否かを判断する判断手段334、判断手段334で略一致する特徴量情報が記憶されていると判断した場合、該特徴量情報に対応付けて記憶されている計測条件に関する情報に基づいて計測対象物の形状を計測する計測手段335としても機能する。
【0035】
さらにCPU33は、判断手段334で略一致する特徴量情報が記憶されていないと判断した場合、視野の周縁部に計測対象物20の画像が存在するか否かを判断する画像存否判断手段336、画像存否判断手段336で視野の周縁部に計測対象物20の画像が存在すると判断した場合、計測対象物20が視野の範囲内に存在するよう計測対象物20を移動させる旨のメッセージを表示出力するメッセージ出力手段337としても機能する。
【0036】
表示手段331は、落射照明装置22を用いて撮像装置25で撮像した落射画像を示す画像データである落射画像データ、及び透過照明装置24を用いて撮像装置26で撮像した透過画像を示す画像データである透過画像データを、両画像の視野中心が表示装置27の画面上の略中心に位置するように表示する。高倍画像でも低倍画像でも視野中心が表示装置27の画面上の略中心に位置するように表示する。
【0037】
特徴量情報記憶手段332は、計測対象物20の計測条件に関する情報に対応付けて、該計測対象物20を、計測者が通常ステージ21上に載置した場合に取得される画像の形状に固有の特徴量に関する特徴量情報を記憶する。すなわち特徴量情報が略一致する計測対象物を抽出することにより、対応付けてある計測条件に関する情報に基づいて所定の寸法等を即座に計測することができる。ここで、「計測条件に関する情報」とは、例えば計測対象物のエッジの検出方法、計測対象となるエッジの指定等の他、照明条件、撮像装置の露光時間、自動計測に関する各種設定パラメータ等を含む広い概念である。
【0038】
特徴量情報抽出手段333は、撮像されて表示されている画像から、該画像の形状に固有の特徴量情報を抽出する。具体的には、撮像した画像の面積、周囲長さ、外接する最小の矩形における長辺及び短辺の長さ、穴状の空隙部の数、同一面積の円との一致度(例えば円形度)、重心位置から輪郭線までの距離等を、特徴量情報として抽出する。
【0039】
図3は、本実施の形態1に係る特徴量情報の種類を示す模式図である。図3(a)は、計測対象物20を示す画像の面積を特徴量情報として算出している。図3(b)は、計測対象物20を示す画像の周囲長さを特徴量情報として算出している。図3(c)は、計測対象物20を示す画像に外接する最小の矩形を求め、該矩形の長辺201及び短辺202の長さを特徴量情報として算出している。
【0040】
また、図3(d)は、計測対象物20を示す画像が複数の穴状の空隙部203、203、・・・を有する場合、該空隙部203の数を特徴量情報として抽出している。図3(e)は、計測対象物20を示す画像と同一面積の円204との一致度を特徴量情報として算出している。図3(f)は、計測対象物20を示す画像の重心位置205から輪郭線206までの距離を特徴量情報として算出している。
【0041】
判断手段334は、抽出された特徴量情報と略一致する特徴量情報が記憶装置34に記憶されているか否かを判断する。抽出された特徴量情報と記憶されている特徴量情報とが略一致しているか否かは、例えば図3(a)、(b)、(d)、(e)のように特徴量情報が単一の数値である場合には、差分値が所定の誤差の範囲内の数値であるか否かで判断することができる。図3(c)、(f)のように特徴量情報が複数の数値である場合には、それぞれの相違度合に基づく一致度を算出して判断することができる。
【0042】
計測手段335は、判断手段334で抽出された特徴量情報と略一致する特徴量情報が記憶装置34に記憶されていると判断した場合、該特徴量情報に対応付けて記憶されている計測条件に関する情報に基づいて計測対象物20の形状を計測する。すなわち、特徴量情報が略一致する場合には、計測対象物20の形状が略一致していると判断することができ、該形状に対応する計測条件に関する情報を用いて計測することで、計測の都度エッジを指定して検出することなく所望の形状を計測することができる。なお、計測を実行するタイミングは特に限定されるものではなく、ボタン、スイッチ等により指定を受け付けたタイミングで計測を実行しても良いし、計測条件に関する情報が特定された時点で自動的に計測を実行しても良い。
【0043】
画像存否判断手段336は、判断手段334で略一致する特徴量情報が記憶装置34に記憶されていないと判断した場合、視野の周縁部に計測対象物20の画像が存在するか否かを判断する。視野の周縁部に計測対象物20の画像が存在すると判断した場合には、計測対象物20が視野の境界を跨いで載置されていると判断することができる。
【0044】
メッセージ出力手段337は、画像存否判断手段336で視野の周縁部に計測対象物20の画像が存在すると判断した場合、計測対象物20が視野の範囲内に存在するよう計測対象物20を移動させる旨のメッセージを表示出力する。計測者が計測対象物20を正しく載置することにより、略一致する特徴量情報が記憶されている場合には正しく計測することができ、不要な手戻りが発生することを未然に回避することができる。
【0045】
図4は、計測対象物20の画像が視野の境界を跨いで載置されている状態を示す例示図である。図4に示すように、計測対象物20がステージ21の中央から少し寄った位置に載置された場合、視野40からはみ出ている領域20aが生じるおそれがある。この場合、抽出される特徴量情報は、視野40の範囲内の計測対象物20の画像との間で実行されることから、同一の計測対象物20であっても特徴量情報が一致していないと誤って判断される。
【0046】
上述した構成の本発明の実施の形態1に係る画像計測装置1の動作について、フローチャートに基づいて詳細に説明する。図5は、本発明の実施の形態1に係る画像計測装置1の制御ユニット3のCPU33の特徴量情報の比較処理の手順を示すフローチャートである。
【0047】
図5に示すように制御ユニット3のCPU33は、計測対象物20を撮像した画像を取得し(ステップS501)、取得した画像に基づいて特徴量情報を抽出する(ステップS502)。CPU33は、記憶装置34に記憶してある一の特徴量情報を選択して(ステップS503)、抽出した特徴量情報と選択した特徴量情報とが略一致するか否かを判断する(ステップS504)。なお、特徴量情報が略一致しているか否かは、特徴量情報が数値情報である場合には、適当な算出誤差も含めて所定の範囲内であるか否かで判断すれば良い。
【0048】
CPU33が、抽出した特徴量情報と選択した特徴量情報とが略一致すると判断した場合(ステップS504:YES)、CPU33は、略一致した特徴量情報に対応付けて記憶してある計測条件に関する情報を読み出し(ステップS505)、読み出した計測条件に関する情報に基づいて計測対象物20の形状を計測する(ステップS506)。CPU33が、抽出した特徴量情報と選択した特徴量情報とが一致しないと判断した場合(ステップS504:NO)、CPU33は、全ての特徴量情報を選択したか否かを判断する(ステップS507)。
【0049】
CPU33が、未選択の特徴量情報が存在すると判断した場合(ステップS507:NO)、CPU33は、次の特徴量情報を選択して(ステップS508)、処理をステップS504へ戻して上述した処理を繰り返す。CPU33が、全ての特徴量情報を選択したと判断した場合(ステップS507:YES)、CPU33は、処理を終了する。
【0050】
なお、全ての特徴量情報と比較した場合であっても、略一致する特徴量情報が記憶されていないと判断された場合、計測対象物20が正しく載置されていない可能性がある。図6は、略一致する特徴量情報が記憶されていない場合の、本発明の実施の形態1に係る画像計測装置1の制御ユニット3のCPU33の後処理の手順を示すフローチャートである。
【0051】
制御ユニット3のCPU33が、全ての特徴量情報を選択したと判断した場合(ステップS507:YES)、CPU33は、視野の周縁部に計測対象物20を示す画像が存在するか否かを判断する(ステップS601)。CPU33が、視野の周縁部に計測対象物20を示す画像が存在すると判断した場合(ステップS601:YES)、CPU33は、計測対象物20が視野の中心部からずれて載置されていると判断し、計測対象物20を視野の中心部側へ移動する旨を示すメッセージを表示装置27へ出力して(ステップS602)、計測者に対して計測対象物20を移動させるように促す。
【0052】
CPU33が、視野の周縁部に計測対象物20を示す画像が存在しないと判断した場合(ステップS601:NO)、CPU33は、計測対象物20の載置されている位置は適当であると判断し、計測対象物20の載置されている方向を確認する旨を示すメッセージを表示装置27へ出力して(ステップS603)、計測者に対して計測対象物20が正しく載置されているか否かを確認するよう促す。図7は、計測対象物20の載置方向の相違による一致度の誤算出の例示図である。
【0053】
計測対象物20が図7(a)に示すような六角柱状の物体である場合、通常は底面の六角形がステージ21上面に接するように載置する。したがって、計測対象物20の画像は図7(b)に示すような六角形になることから、特徴量情報として例えば六角形を示す画像の面積を抽出することにより、両者が略一致すると判断される。
【0054】
一方、計測者が誤って、図7(c)に示すように六角柱の側面をステージ21上に載置した場合、計測対象物20の画像は図7(d)に示すような四角形になることから、特徴量情報として例えば六角形を示す画像の面積を抽出したとしても、四角形の面積とは一致しないと誤って判断される。したがって、計測対象物20がステージ21上に正しく載置されているか否かを確認することが重要となる。
【0055】
以上のように本実施の形態1によれば、演算処理負荷の大きい画像間のパターンマッチング処理を実行することなく、画像の形状に固有の特徴量情報が略一致する計測条件に関する情報に基づいて計測対象物の形状を計測することにより、演算処理負荷を大きく軽減することができる。
【0056】
また、視野の周縁部に計測対象物20の画像が存在するか否かを判断し、存在すると判断した場合には、計測対象物20が視野からはみ出して載置されているものと判断することができる。したがって、その旨を示すメッセージを出力することにより、計測者に対して計測対象物を正しく載置し直すことを促すことができ、手戻り等が生じることなく効率的に形状計測を実行することが可能となる。
【0057】
さらに、視野の周縁部に計測対象物20の画像が存在しないと判断した場合には、計測対象物20が視野からはみ出して載置されておらず、計測者が計測対象物20を誤って載置した、本来載置すべき方向に載置されていない等の人為的ミスの可能性が考えられることから、その旨を示すメッセージを出力することにより、計測者に対して正しい計測対象物20を正しく載置し直すことを促すことができ、手戻り等が生じることなく効率的に形状計測を実行することが可能となる。
【0058】
なお、上述した実施の形態1では、視野の周縁部に計測対象物20を示す画像が存在しないと判断した場合、計測対象物20が正しく載置されていないと仮定して処理を続行しているが、特にこれに限定されるものではなく、例えば突発的な障害による偶然的に一致しないと誤って判断された場合には、計測に失敗した旨を示すメッセージを出力しておけば足りる。
【0059】
(実施の形態2)
本発明の実施の形態2に係る画像計測装置1の構成は、実施の形態1と同様であることから、同一の符号を付することにより詳細な説明を省略する。図8は、本発明の実施の形態2に係る画像計測装置1の制御ユニット3の構成を示すブロック図である。図8に示すように本実施の形態2に係る画像計測装置1の制御ユニット3のハードウェア構成は、実施の形態1と同様であることから、同一の符号を付することにより、詳細な説明は省略する。
【0060】
本実施の形態2では、制御ユニット3のCPU33は、計測対象物の計測条件に関する情報に対応付けた該計測対象物の形状パターン画像データを記憶装置34に記憶しておく形状パターン画像記憶手段338として機能する。形状パターン画像記憶手段338は、特徴量情報記憶手段332に記憶してある計測対象物に固有の特徴量情報、例えば画像データの面積、周囲長さ、重心から輪郭線までの距離等も対応付けて記憶する。そして、制御ユニット3のCPU33は、判断手段334で略一致する特徴量情報が複数記憶されていると判断した場合、それぞれの特徴量情報に対応する形状パターン画像データを表示する形状パターン表示手段339、及び表示されている複数の形状パターン画像データから一の形状パターン画像データの選択を受け付ける形状パターン選択受付手段340として機能する点で実施の形態1と相違する。
【0061】
形状パターン表示手段339は、複数記憶されている特徴量情報に対応する形状パターン画像データを表示装置27に、例えばサムネイル画像として表示する。一覧表示する順序の特定方法は特に限定されるものではなく、例えば算出された一致度の高い(低い)順、選択された日時の新しい(古い)順、特徴量情報(計測条件に関する情報)として作成された日時の新しい(古い)順等、様々な条件にてソートしてサムネイル画像を一覧表示すればよい。 形状パターン選択受付手段340は、一覧表示されている形状パターン画像データの中から、計測対象物に最も近接していると考えられる形状パターン画像データの選択を、マウス、ボタン等により受け付ける。
【0062】
なお、上述した実施例では、判断手段334で略一致すると判断した場合、略一致すると判断された複数の形状パターン画像データの各々に対応した計上パターンを表示する形状パターン表示手段339を用いているが、略一致すると判断された複数の形状パターン画像データの各々を示す情報としては、形状パターンに限定されるものではなく、例えば各形状パターンをオペレータが認識できる部品名、オペレータによって形状パターン画像データ登録時に画像データファイルに対して設定されたファイル名、コメント等の各種情報を用いても良い。
【0063】
上述した構成の本発明の実施の形態2に係る画像計測装置1の動作について、フローチャートに基づいて詳細に説明する。図9は、本発明の実施の形態2に係る画像計測装置1の制御ユニット3のCPU33の特徴量情報の比較処理の手順を示すフローチャートである。
【0064】
図9に示すように制御ユニット3のCPU33は、計測対象物20を撮像した画像を取得し(ステップS901)、取得した画像に基づいて特徴量情報を抽出する(ステップS902)。CPU33は、記憶装置34に記憶してある一の特徴量情報を選択して(ステップS903)、抽出した特徴量情報と選択した特徴量情報とが略一致するか否かを判断する(ステップS904)。なお、特徴量情報が略一致しているか否かは、特徴量情報が数値情報である場合には、適当な算出誤差も含めて所定の範囲内であるか否かで判断すれば良い。
【0065】
CPU33が、抽出した特徴量情報と選択した特徴量情報とが略一致すると判断した場合(ステップS904:YES)、CPU33は、該特徴量情報を記憶装置(メモリ)34に一時記憶し(ステップS905)、CPU33が、抽出した特徴量情報と選択した特徴量情報とが一致しないと判断した場合(ステップS904:NO)、CPU33は、ステップS905をスキップする。
【0066】
CPU33は、全ての特徴量情報を選択したか否かを判断し(ステップS906)、CPU33が、未選択の特徴量情報が存在すると判断した場合(ステップS906:NO)、CPU33は、次の特徴量情報を選択して(ステップS907)、処理をステップS904へ戻して上述した処理を繰り返す。CPU33が、全ての特徴量情報を選択したと判断した場合(ステップS906:YES)、CPU33は、記憶装置(メモリ)34に一時記憶された特徴量情報が単数(1つ)であるか否かを判断する(ステップS908)。
【0067】
CPU33が、一時記憶された特徴量情報が複数であると判断した場合(ステップS908:NO)、CPU33は、一時記憶されている複数の特徴量情報に対応する形状パターン画像データを読み出して、表示装置27に一覧表示する(ステップS909)。CPU33は、一覧表示された複数の形状パターン画像データの中から一の形状パターン画像データの選択を受け付けたか否かを判断する(ステップS910)。CPU33が、一の形状パターン画像データの選択を受け付けていないと判断した場合(ステップS910:NO)、CPU33は、選択の受け付け待ち状態となる。
【0068】
CPU33が、一の形状パターン画像データの選択を受け付けたと判断した場合(ステップS910:YES)、又は一時記憶された特徴量情報が単数であると判断した場合(ステップS908:YES)、CPU33は、受け付けた形状パターン画像データに対応付けて記憶してある計測条件に関する情報を読み出し(ステップS911)、読み出した計測条件に関する情報に基づいて計測対象物の形状を計測する(ステップS912)。
【0069】
なお、全ての特徴量情報と比較した場合であっても、略一致する特徴量情報が記憶されていないと判断された場合の後処理については、実施の形態1と同様であることから詳細な説明は省略する。
【0070】
以上のように本実施の形態2によれば、複数の特徴量情報が計測条件に関する情報の選択の候補として記憶されている場合であっても、対応する形状パターン画像データの中から一の形状パターン画像データの選択を受け付けることにより、計測条件に関する情報を一意に特定することが可能となる。
【0071】
なお、上述した実施の形態2で複数の特徴量情報に絞り込まれた場合、特徴量情報に対応付けて記憶してある形状パターン画像データを用いて、取得した計測対象物の画像を示す画像データとの間でパターンマッチング処理を実行して、一致度が最も高い形状パターン画像データに基づいて形状を計測しても良い。パターンマッチング処理の対象となる形状パターン画像データが数個に絞り込まれていることから、パターンマッチング処理の実行による計算機処理負荷の増加は最小限に止めることが可能となる。
【0072】
(実施の形態3)
本発明の実施の形態3に係る画像計測装置1の構成は、実施の形態1及び2と同様であることから、同一の符号を付することにより詳細な説明を省略する。図10は、本発明の実施の形態3に係る画像計測装置1の制御ユニット3の構成を示すブロック図である。図10に示すように本実施の形態3に係る画像計測装置1の制御ユニット3のハードウェア構成は、実施の形態1と同様であることから、同一の符号を付することにより、詳細な説明は省略する。
【0073】
本実施の形態3では、制御ユニット3のCPU33は、判断手段334で略一致する特徴量情報が複数記憶されていると判断した場合、再度、取得した画像に基づいて他の特徴量情報を抽出する再抽出手段341及び抽出された他の特徴量情報と略一致する特徴量情報が記憶装置34に記憶されているか否かを判断する再判断手段342として機能する点で実施の形態1及び2と相違する。
【0074】
再抽出手段341は、撮像されて表示されている画像から、該画像の形状に固有の特徴量情報であって、前回略一致する特徴量情報が記憶されているか否かを判断する基礎となった特徴量情報とは異なる他の特徴量情報を抽出する。例えば、撮像した画像の面積に基づいて略一致する特徴量情報が記憶されているか否かを判断した場合には、他の特徴量情報として画像の周囲長さを抽出する。
【0075】
再判断手段342は、複数記憶されている特徴量情報に対応する計測条件に関する情報について、再抽出手段341で抽出された他の特徴量情報と略一致する特徴量情報が記憶装置34に記憶されているか否かを判断する。抽出された特徴量情報と記憶されている特徴量情報とが略一致しているか否かの判断は、実施の形態1及び2と同様である。
【0076】
上述した構成の本発明の実施の形態3に係る画像計測装置1の動作について、フローチャートに基づいて詳細に説明する。図11は、本発明の実施の形態3に係る画像計測装置1の制御ユニット3のCPU33の特徴量情報の比較処理の手順を示すフローチャートである。 図11に示すように、制御ユニット3のCPU33は、計測対象物20を撮像した画像を取得してから(ステップS901)、全ての特徴量情報を選択したか否かを判断するまで(ステップS906)は、実施の形態2の図9と処理が同一であることから、詳細な説明は省略する。
【0077】
CPU33が、全ての特徴量情報を選択したと判断した場合(ステップS906:YES)、CPU33は、記憶装置(メモリ)34に一時記憶された特徴量情報が単数(1つ)であるか否かを判断する(ステップS1101)。CPU33が、一時記憶された特徴量情報が単数(1つ)であると判断した場合(ステップS1101:YES)、CPU33は、後述するステップS1102乃至ステップS1109の処理をスキップする。
【0078】
CPU33が、一時記憶された特徴量情報が複数であると判断した場合(ステップS1101:NO)、CPU33は、取得した画像に基づいて、前回とは異なる他の特徴量情報を再度抽出する(ステップS1102)。CPU33は、記憶装置34に一時記憶されている、前回用いた特徴量情報に基づく複数の特徴量情報に対応する複数の計測条件に関する情報を読み出し(ステップS1103)、読み出した複数の計測条件に関する情報の中から一の計測条件に関する情報を選択して(ステップS1104)、抽出した他の特徴量情報と選択した計測条件に関する情報に対応付けて記憶してある特徴量情報とが略一致するか否かを再度判断する(ステップS1105)。なお、特徴量情報が略一致しているか否かは、特徴量情報が数値情報である場合には、適当な算出誤差も含めて所定の範囲内であるか否かで判断すれば良い。
【0079】
CPU33が、抽出した他の特徴量情報と選択した計測条件に関する情報に対応付けて記憶してある特徴量情報とが略一致すると判断した場合(ステップS1105:YES)、CPU33は、該特徴量情報を新たに記憶装置34に一時記憶する(ステップS1106)。CPU33が、抽出した他の特徴量情報と選択した計測条件に関する情報に対応付けて記憶してある特徴量情報とが一致しないと判断した場合(ステップS1105:NO)、CPU33は、ステップS1106をスキップし、全ての一時記憶してある計測条件に関する情報を選択したか否かを判断する(ステップS1107)。
【0080】
CPU33が、未選択の計測条件に関する情報が存在すると判断した場合(ステップS1107:NO)、CPU33は、次の計測条件に関する情報を選択して(ステップS1108)、処理をステップS1105へ戻して上述した処理を繰り返す。CPU33が、全ての計測条件に関する情報を選択したと判断した場合(ステップS1107:YES)、CPU33は、記憶装置(メモリ)34に一時記憶された特徴量情報が単数(1つ)であるか否かを判断する(ステップS1109)。
【0081】
CPU33が、一時記憶された特徴量情報が単数(1つ)であると判断した場合(ステップS1109:YES)、CPU33は、該特徴量情報に対応付けて記憶してある計測条件に関する情報を読み出し(ステップS1110)、読み出した計測条件に関する情報に基づいて計測対象物20の形状を計測する(ステップS1111)。CPU33が、一時記憶された特徴量情報が複数であると判断した場合(ステップS1109:NO)、CPU33は、全ての特徴量について比較処理が完了したか否かを判断する(ステップS1112)。CPU33が、まだ完了していない特徴量が存在すると判断した場合(ステップS1112:NO)、CPU33は、処理をステップS1102へ戻し、上述した処理を繰り返す。CPU33が、全ての特徴量について比較処理が完了したと判断した場合(ステップS1112:YES)、CPU33は、対応する複数の計測条件に関する情報から一の計測条件に関する情報の選択を受け付け(ステップS1113)、処理をステップS1110へ戻す。
【0082】
なお、全ての計測条件に関する情報に対応付けて記憶してある特徴量情報と比較した場合であっても、略一致する特徴量情報が記憶されていないと判断された場合の後処理については、実施の形態1と同様であることから詳細な説明は省略する。
【0083】
以上のように本実施の形態3によれば、複数の特徴量情報が候補として残った場合であっても、他の特徴量情報を選択して最終的な候補となる特徴量情報が1つになるまで繰り返し比較処理を続行することにより、計測条件に関する情報に対応する特徴量情報を一意に特定することが可能となる。
【0084】
なお、上述した実施の形態3では、他の特徴量情報を順次選択して特徴量情報を絞り込んでいるが、順次選択するのではなく、当初から複数の特徴量情報を画像から抽出しておき、同時に比較処理を実行して、重複している計測条件に関する情報を選択するようにしても良いし、一致度をそれぞれ算出して、これらを合算して最も一致度が高い特徴量情報を選択するようにしても良い。
【0085】
また、上述した実施の形態3でも複数の特徴量情報に絞り込まれた場合、特徴量情報を1つにまで絞り込まず、数個にまで絞り込んだ段階で、パターンマッチング処理を実行しても良い。すなわち、複数の特徴量情報に絞り込まれた場合、特徴量情報に対応付けて記憶してある形状パターン画像データを用いて、取得した計測対象物の画像を示す画像データとの間でパターンマッチング処理を実行して、一致度が最も高い形状パターン画像データに基づいて形状を計測しても良い。パターンマッチング処理の対象となる形状パターン画像データが数個に絞り込まれていることから、パターンマッチング処理の実行による計算機処理負荷の増加は最小限に止めることが可能となる。
【0086】
その他、本発明は上記実施の形態1乃至3に限定されるものではなく、本発明の趣旨の範囲内であれば多種の変形、置換等が可能であることは言うまでもない。例えば計測条件に関する情報は、一の特徴量情報に対して複数対応付けて記憶されていても良いし、特徴量情報も開示されている数値に限定されず、ヒストグラム的数値のように比較処理を高速に実行することができる数値であれば特に限定されるものではない。
【図面の簡単な説明】
【0087】
【図1】本発明の実施の形態1に係る画像計測装置の構成を示す模式図である。
【図2】本発明の実施の形態1に係る画像計測装置の制御ユニットの構成を示すブロック図である。
【図3】本実施の形態1に係る特徴量情報の種類を示す模式図である。
【図4】計測対象物の画像が視野の境界を跨いで載置されている状態を示す例示図である。
【図5】本発明の実施の形態1に係る画像計測装置の制御ユニットのCPUの特徴量情報の比較処理の手順を示すフローチャートである。
【図6】略一致する特徴量情報が記憶されていない場合の、本発明の実施の形態1に係る画像計測装置の制御ユニットのCPUの後処理の手順を示すフローチャートである。
【図7】計測対象物の載置方向の相違による一致度の誤算出の例示図である。
【図8】本発明の実施の形態2に係る画像計測装置の制御ユニットの構成を示すブロック図である。
【図9】本発明の実施の形態2に係る画像計測装置の制御ユニットのCPUの特徴量情報の比較処理の手順を示すフローチャートである。
【図10】本発明の実施の形態3に係る画像計測装置の制御ユニットの構成を示すブロック図である。
【図11】本発明の実施の形態3に係る画像計測装置の制御ユニットのCPUの特徴量情報の比較処理の手順を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0088】
1 画像計測装置
2 計測部
3 制御ユニット
20 計測対象物
21 ステージ
25、26 撮像装置
27 表示装置
31 キーボード
32 マウス
33 CPU
34 記憶装置
35 通信手段
36 内部バス

【特許請求の範囲】
【請求項1】
計測対象物が載置されるステージ上に照射した光の透過光又は反射光を撮像素子に結像させて得られる画像に基づいて、計測対象物の形状を計測する画像計測装置において、
計測対象物の計測条件に関する情報に対応付けて、該計測対象物の形状に固有の特徴量情報を記憶する特徴量情報記憶手段と、
前記撮像素子にて結像して得られた計測対象物の画像を視野の範囲内で表示する表示手段と、
前記計測対象物の画像に基づいて特徴量情報を抽出する特徴量情報抽出手段と、
抽出された特徴量情報と略一致する特徴量情報が記憶されているか否かを判断する判断手段と
を備え、
該判断手段で略一致する特徴量情報が記憶されていると判断した場合、該特徴量情報に対応付けて記憶されている計測条件に関する情報に基づいて計測対象物の形状を計測するようにしてあることを特徴とする画像計測装置。
【請求項2】
前記判断手段で略一致する特徴量情報が記憶されていないと判断した場合、前記視野の周縁部に前記計測対象物の画像が存在するか否かを判断する画像存否判断手段と、
該画像存否判断手段で前記視野の周縁部に前記計測対象物の画像が存在すると判断した場合、前記計測対象物が前記視野の範囲内に存在するよう前記計測対象物を移動させる旨のメッセージを表示出力するメッセージ出力手段と
を備えることを特徴とする請求項1記載の画像計測装置。
【請求項3】
前記メッセージ出力手段は、前記画像存否判断手段で前記視野の周縁部に前記計測対象物の画像が存在しないと判断した場合、前記計測対象物の載置された方向を確認する旨のメッセージを表示出力するようにしてあることを特徴とする請求項2記載の画像計測装置。
【請求項4】
前記計測対象物の計測条件に関する情報に対応付けた該計測対象物の形状パターン画像データを記憶する形状パターン画像記憶手段と、
前記判断手段で略一致する特徴量情報が複数記憶されていると判断した場合、対応する複数の形状パターン画像データに対応する情報を表示する表示手段と、
表示されている複数の形状パターン画像データに対応する情報から一の形状パターン画像データに対応する情報の選択を受け付ける選択受付手段とを備えることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項に記載の画像計測装置。
【請求項5】
前記判断手段で略一致する特徴量情報が複数記憶されていると判断した場合、同一の計測対象物の画像に基づいて他の特徴量情報を抽出する再抽出手段と、
複数記憶されている特徴量情報に対応する計測条件に関する情報について、前記再抽出手段で抽出された他の特徴量情報と略一致する特徴量情報が記憶されているか否かを判断する再判断手段と
を備え、
該再判断手段で他の特徴量情報と略一致する特徴量情報が記憶されていると判断した場合、該特徴量情報に対応付けて記憶されている計測条件に関する情報に基づいて計測対象物の形状を計測するようにしてあることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項に記載の画像計測装置。
【請求項6】
計測対象物が載置されるステージ上に照射した光の透過光又は反射光を撮像素子に結像させて得られる画像に基づいて、計測対象物の形状を計測する画像計測装置で実行することが可能なコンピュータプログラムにおいて、
前記画像計測装置を、
計測対象物の計測条件に関する情報に対応付けて、該計測対象物の形状に固有の特徴量情報を記憶する特徴量情報記憶手段、
前記撮像素子にて結像して得られた計測対象物の画像を視野の範囲内で表示する表示手段、
前記計測対象物の画像に基づいて特徴量情報を抽出する特徴量情報抽出手段、
抽出された特徴量情報と略一致する特徴量情報が記憶されているか否かを判断する判断手段、及び
該判断手段で略一致する特徴量情報が記憶されていると判断した場合、該特徴量情報に対応付けて記憶されている計測条件に関する情報に基づいて計測対象物の形状を計測する手段
として機能させることを特徴とするコンピュータプログラム。
【請求項7】
前記画像計測装置を、
前記判断手段で略一致する特徴量情報が記憶されていないと判断した場合、前記視野の周縁部に前記計測対象物の画像が存在するか否かを判断する画像存否判断手段、及び
該画像存否判断手段で前記視野の周縁部に前記計測対象物の画像が存在すると判断した場合、前記計測対象物が前記視野の範囲内に存在するよう前記計測対象物を移動させる旨のメッセージを表示出力するメッセージ出力手段
として機能させることを特徴とする請求項6記載のコンピュータプログラム。
【請求項8】
前記メッセージ出力手段を、
前記画像存否判断手段で前記視野の周縁部に前記計測対象物の画像が存在しないと判断した場合、前記計測対象物の載置された方向を確認する旨のメッセージを表示出力する手段として機能させることを特徴とする請求項7記載のコンピュータプログラム。
【請求項9】
前記画像計測装置を、
前記計測対象物の計測条件に関する情報に対応付けた該計測対象物の形状パターン画像データを記憶する形状パターン画像記憶手段、
前記判断手段で略一致する特徴量情報が複数記憶されていると判断した場合、対応する複数の形状パターン画像データに対応する情報を表示する表示手段、及び
表示されている複数の形状パターン画像データに対応する情報から一の形状パターン画像データに対応する情報の選択を受け付ける選択受付手段として機能させることを特徴とする請求項6乃至8のいずれか一項に記載のコンピュータプログラム。
【請求項10】
前記画像計測装置を、
前記判断手段で略一致する特徴量情報が複数記憶されていると判断した場合、同一の計測対象物の画像に基づいて他の特徴量情報を抽出する再抽出手段、
複数記憶されている特徴量情報に対応する計測条件に関する情報について、前記再抽出手段で抽出された他の特徴量情報と略一致する特徴量情報が記憶されているか否かを判断する再判断手段、及び
該再判断手段で他の特徴量情報と略一致する特徴量情報が記憶されていると判断した場合、該特徴量情報に対応付けて記憶されている計測条件に関する情報に基づいて計測対象物の形状を計測する手段
として機能させることを特徴とする請求項6乃至8のいずれか一項に記載のコンピュータプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2010−60528(P2010−60528A)
【公開日】平成22年3月18日(2010.3.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−229201(P2008−229201)
【出願日】平成20年9月8日(2008.9.8)
【出願人】(000129253)株式会社キーエンス (681)
【Fターム(参考)】