説明

画像記録装置、および、画像記録装置の制御方法

【課題】記録媒体の端を検出する動作を行う際に、キャリッジの移動を効率化することでスループットの向上を図ることが可能な画像記録装置、および、画像記録装置の制御方法を提供する。
【解決手段】キャリッジに搭載した記録ヘッド21により記録媒体に画像を記録し、記録媒体を記録位置へ給送する搬送モータ121と、を備え、制御部101により、キャリッジを移動させるとともに、キャリッジに搭載されたPWセンサ27に検出を行わせ、移動中におけるPWセンサ27の検出状態に基づいて記録媒体の端を検出するプリンタ1は、記録媒体への記録終了後に、次に給送される記録媒体の端を検出する場合には、先の記録媒体への記録終了時におけるキャリッジの位置に基づいてキャリッジの移動方向を選択し、選択した方向へキャリッジを移動させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、記録媒体に画像を記録する画像記録装置、および、画像記録装置の制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
記録媒体としての用紙に画像を記録する画像記録装置(プリンタ)においては、画像の記録に先立って、用紙の幅方向のサイズを検出する。例えば、用紙の搬送方向に直交する向きに移動されるキャリッジに用紙を検出するセンサを搭載した構成において、キャリッジを移動させてセンサの検出状態を取得し、用紙が検出されたときのキャリッジの位置に基づいて用紙の端を検出する方法が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特開平5−338333号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
上記の方法では、用紙の端を検出する動作を始めるときには、キャリッジの移動範囲の一端に設けられたホームポジションにキャリッジを移動させ、その後、ホームポジションからキャリッジを移動させてセンサの検出状態を取得していた。このため、キャリッジの位置に関係なくホームポジションへ移動させる必要があり、例えばキャリッジがホームポジションから離れた位置にある場合には、単にキャリッジを移動させるためだけに無視できない時間を要していた。
【0004】
本発明は、記録媒体の端を検出する動作を行う際に、キャリッジの移動を効率化することでスループットの向上を図ることが可能な画像記録装置、および、画像記録装置の制御方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するため、本発明は、記録媒体に画像を記録する記録ヘッドと、前記記録媒体の有無を検出する端検出センサとを搭載し、所定の走査方向に沿って往復移動されるキャリッジと、前記記録媒体を前記記録ヘッドによる記録位置へ給送する搬送手段と、前記キャリッジを移動させるとともに前記端検出センサに検出を行わせ、移動中における前記端検出センサの検出状態に基づいて前記記録媒体の端を検出する端検出手段と、を備え、前記端検出手段は、前記記録媒体への記録終了後に、次に前記搬送手段により給送される前記記録媒体の端を検出する場合には、先の前記記録媒体への記録終了時における前記キャリッジの位置に基づいて前記キャリッジの移動方向を選択し、選択した方向へ前記キャリッジを移動させること、を備えることを特徴とする画像記録装置を提供する。
この構成によれば、記録媒体への画像の記録が終了した後に次の記録媒体を給送して端を検出する際に、キャリッジの位置に基づいてキャリッジの移動方向を選択するので、記録媒体の端を検出する際に、キャリッジを無駄なく、効率よく移動させることができる。
すなわち、往復移動されるキャリッジに搭載された記録ヘッドにより画像を記録する場合、記録媒体への画像の記録が終わった時点で、キャリッジは、画像の最終部分を記録した位置にある。そして、キャリッジを移動させて記録媒体の端を検出するためには、記録媒体の端までキャリッジを移動させればよい。このため、キャリッジを、その移動範囲においてどちらに移動させるかによって、端を検出する際にキャリッジが移動する距離が異なる。従って、本発明のようにキャリッジの位置に基づいて移動方向を選択することで、キャリッジの移動距離がより短くなる方向を選択すれば、キャリッジを無駄なく移動させることが可能となる。
これにより、キャリッジの移動に要する時間を短縮し、スループットの向上を図ることができる。
【0006】
上記構成において、前記端検出手段は、前記記録媒体への記録終了時における前記キャリッジの位置に基づいて、前記キャリッジの移動範囲の両端のうち近い側の端へ移動する方向を選択してもよい。
この場合、キャリッジを、移動範囲の端から端まで移動させて記録媒体の端を検出する場合に、いったん移動範囲の端までキャリッジを移動させるのに要する時間が最短となる。このため、キャリッジの移動をより一層効率化できる。
【0007】
また、上記構成において、前記端検出手段は、前記キャリッジを選択した方向へ移動させ、前記キャリッジが移動範囲の端に達した後に、折り返して逆方向に前記キャリッジを移動させることにより、前記記録媒体の両端を検出してもよい。
この場合、キャリッジを移動範囲の端まで移動させ、さらに折り返して反対側の端まで移動させることで、キャリッジの移動距離を最短に抑え、かつ、記録媒体の端を確実に検出できる。
【0008】
上記構成において、前記記録ヘッドは前記記録媒体にインクを吐出することにより画像を記録するインクジェット式記録ヘッドとして構成され、前記キャリッジの移動範囲内で前記記録媒体から外れた部分に位置し、前記記録ヘッドから吐出されるインクを受けるインク受け部と、前記キャリッジを前記インク受け部の位置に移動させ、前記記録ヘッドからインクを吐出するフラッシング動作を所定時間毎に実行させるフラッシング制御手段と、を備え、前記フラッシング制御手段は、前記搬送手段により記録終了後の前記記録媒体を排出する排出動作中に前記所定時間が経過する場合にのみ、前記排出動作の開始前に前記フラッシング動作を実行させ、前記端検出手段は、前記排出動作の前に前記フラッシング動作が実行された場合には、次に前記搬送手段により給送される前記記録媒体の端を検出する際に、前記インク受け部の位置から前記キャリッジを移動させるものとしてもよい。
この場合、インクジェット式記録ヘッドを用い、このインクジェット式記録ヘッドの吐出性能を維持するためにフラッシング動作を実行する構成とした場合に、排出動作に先立ってフラッシング動作を行った場合は、フラッシング動作位置からキャリッジを移動させ、フラッシング動作を実行しなかった場合はキャリッジの現在位置に基づいてキャリッジの移動方向を選択する。これにより、インクジェット式記録ヘッドを用いてフラッシング動作を行う構成においても、キャリッジの移動距離を常に最短にすることができ、キャリッジの移動を効率化してスループットの向上を図ることができる。
【0009】
また、上記構成において、前記搬送手段により搬送された前記記録媒体の先端を検出する先端検出用センサを備え、前記端検出手段は、前記先端検出用センサにより前記記録媒体の先端が検出されてから、さらに前記搬送手段によって前記記録媒体が所定量搬送されたところで、前記記録媒体の端を検出してもよい。
この場合、次の記録媒体の先端が先端検出用センサによって検出された後に、所定量だけ搬送が行われ、そこで記録媒体の端を検出するので、記録媒体を給送して端を検出する動作を無駄なく速やかに行うことができる。
【0010】
また、上記構成において、前記端検出手段は、前記キャリッジの移動中における前記端検出センサの検出状態と、前記キャリッジの移動方向とに基づいて、前記記録媒体の端を検出してもよい。
この場合、キャリッジの移動中における端検出センサの検出状態に、キャリッジの移動方向を加味することで、キャリッジの移動方向にかかわらず正確に記録媒体の端を検出できる。
【0011】
上記課題を解決するため、本発明は、記録媒体に画像を記録する記録ヘッドと、前記記録媒体の有無を検出する端検出センサとを搭載し、所定の走査方向に沿って往復移動されるキャリッジと、前記記録媒体を前記記録ヘッドによる記録位置へ給送する搬送手段と、前記キャリッジを移動させるとともに前記端検出センサに検出を行わせ、移動中における前記端検出センサの検出状態に基づいて前記記録媒体の端を検出する端検出手段と、を備えた画像記録装置を動作させ、前記端検出手段により、前記記録媒体への記録終了後に、次に前記搬送手段により給送される前記記録媒体の端を検出する場合には、先の前記記録媒体への記録終了時における前記キャリッジの位置に基づいて前記キャリッジの移動方向を選択し、選択した方向へ前記キャリッジを移動させること、を特徴とする画像記録装置の制御方法を提供する。
この方法によれば、記録媒体への画像の記録が終了した後に次の記録媒体を給送して端を検出する際に、キャリッジの位置に基づいてキャリッジの移動方向を選択するので、記録媒体の端を検出する際に、キャリッジを無駄なく、効率よく移動させ、スループットの向上を図ることができる。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、記録媒体の端を検出する際にキャリッジを効率よく移動させることができ、キャリッジの移動時間の短縮によってスループットの向上を図ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、図面を参照して本発明の実施形態について説明する。
図1は、本発明を適用した実施形態に係るプリンタ1の概略構成を示す斜視図である。この図1には、内部構造を明らかにするため本体カバーをはずした状態を示す。また、図2は、プリンタ1の要部構成を示す断面視図であり、特にキャッピング装置30の近傍を示す。
【0014】
本実施形態に係る画像記録装置としてのプリンタ1は、記録媒体としての用紙Pを搬送し、キャリッジ20に搭載された記録ヘッド21により用紙Pにインクを吐出することにより、用紙Pに文字を含む画像を記録するインクジェット式のプリンタである。
プリンタ1において使用可能な記録媒体としては、所定長さに切断されたカットシート、複数枚のシートが連接された連続シート、或いは、ロール状に巻かれたロール紙等が挙げられる。これらのシートは、普通紙、複写紙、厚紙等の紙類、あるいは合成樹脂製のシートであり、これらのシートにコーティングや浸潤等の加工を施したものを用いることもできる。また、カットシートの形態としては、例えば、PPC用紙や葉書等の定形サイズのカット紙に加え、通帳等の複数のシートを綴じた冊子形態のものや、封筒等の袋状に成形されたものが挙げられる。また、連続シートの形態としては、例えば、幅方向両端にスプロケットホールが穿設され、所定長さ毎に折り畳まれた連続紙が挙げられる。本実施形態では、定型サイズにカットされた紙製のカットシート(以下、用紙という)を用いる場合について説明する。この用紙に対するコーティングや浸潤等の加工の有無は問わない。
【0015】
プリンタ1は、本体フレーム10の幅方向に架設されたキャリッジガイド軸24を備え、このキャリッジガイド軸24に沿って図中符号Aで示す主走査方向にキャリッジ20を走査させる。
キャリッジ20には、キャリッジガイド軸24に沿って配設された無端形状の駆動ベルト26に保持される。キャリッジガイド軸24の一端側にはキャリッジ駆動モータ25が配設され、駆動ベルト26は、キャリッジ駆動モータ25の回転軸に繋がるプーリと、キャリッジガイド軸24の他端側に配設されたプーリとの間に掛け渡されている。そして、キャリッジ駆動モータ25の正転および逆転動作により、キャリッジ20は、主走査方向に往復移動される。
さらに、プリンタ1は、主走査方向におけるキャリッジ20の位置を検出可能な構成を備える。この構成は、例えば、キャリッジガイド軸24に平行にリニアスケール(図示略)を配設して、このリニアスケールを基準にキャリッジ20の位置を検出する構成や、キャリッジ駆動モータ25をステッピングモータとし、キャリッジ駆動モータ25の動作ステップ数をもとにキャリッジ20の位置を特定する構成が挙げられる。
【0016】
キャリッジ20の直下には、キャリッジ20の主走査方向に沿って延びるプラテン29が配設されている。
プリンタ1においては、プリンタ1の後方から前方に向かって、図中符号Bで示すように、キャリッジ20の主走査方向とほぼ直交する向きに搬送される。用紙Pは、キャリッジ20の下面に配設された記録ヘッド21と、プラテン29との間を通るように搬送され、プラテン29の上に載った位置で、記録ヘッド21により画像が記録される。上述のようにキャリッジ20は主走査方向に移動可能であり、用紙Pは主走査方向に直交する向きに搬送されるので、キャリッジ20の走査と用紙Pの搬送とを組み合わせて、用紙Pの全面に記録を行うことが可能である。
【0017】
また、キャリッジ20は、記録ヘッド21によって吐出されるインクを貯留したインクカートリッジ23を搭載している。本実施形態のプリンタ1は、例えば黒、シアン、マゼンタ、イエローの4色のインクを用いる。キャリッジ20には、これら4色のインクを各々貯留した4個のインクカートリッジ23が搭載されており、各々のインクカートリッジ23から記録ヘッド21にインクが供給される。
記録ヘッド21は、例えばピエゾ素子を用いて構成されるアクチュエータによって、インクカートリッジ23から供給されるインクを押し出して、記録ヘッド21の下面に開口するノズルから微小粒として吐出する。
【0018】
キャリッジ20の走査範囲の一端側において、用紙Pの搬送路から外れた位置には、ノズルメンテナンス装置3が設けられている。
ノズルメンテナンス装置3は、記録ヘッド21の吐出性能を維持すべく、ノズル形成面22を封止するキャッピング動作、記録ヘッド21からインクを打ち捨てるフラッシング動作、ノズル形成面22の表面を払拭するワイピング動作、記録ヘッド21から強制的にインクを吸い出すクリーニング動作を行うための装置である。ノズルメンテナンス装置3は、キャッピング装置30と、吸引機構40とを備えている。
【0019】
図2に示すように、インク受け部としてのキャッピング装置30は、プラテン29に隣接して配設され、記録ヘッド21のノズル形成面22に対向するよう配設されたキャップ31と、キャップ31を支持するキャップ駆動機構32と、ノズル形成面22に向けて立設された弾性ブレード33とを備えている。
キャップ31は、記録ヘッド21のノズル形成面22に開口するノズルを封止する機能を備え、ゴムやエラストマー等の弾性材料からなる枠体(図示略)と、この枠体の内側に敷設されたインク吸収体(図示略)とを備えている。インク吸収体は、例えばポリビニルアルコール、発泡ウレタンなどの材質からなる多孔質体や、ポリエチレンテレフタレート等の繊維からなる不織布で構成され、所定量のインクを保持する。キャップ31の枠体は、ノズル形成面22に開口するノズルを覆うサイズおよび形状を有し、本実施形態では略矩形である。
キャップ駆動機構32は、後述するキャップ駆動モータ122(図3)の動作により上下に移動して、キャップ31を上昇および下降させる。キャップ31を上昇させて、ノズル形成面22に密着させると、ノズル形成面22を封止し、上記のキャッピングを行うことができる。
このキャッピングを行うと、ノズル形成面22がキャップ31により封止されることで、ノズル形成面22のノズルにおけるインクの乾燥等が防止され、インクの増粘による吐出不良が防止できる。
【0020】
プリンタ1は、記録ヘッド21からインクを吐出する動作を所定時間(例えば、3秒)以上行わない場合には、待機状態に移行して、上述したキャッピングを行う。
この待機状態におけるキャリッジ20の位置、すなわちキャップ31に重なる位置を、ホームポジションと呼ぶ。
また、用紙Pへの記録を開始するために待機状態から復帰する際には、キャップ駆動機構32とともにキャップ31が下降し、ノズル形成面22の封止が解かれる。
【0021】
また、キャップ31は、上述のようにインク吸収体を備えており、記録ヘッド21から吐出されたインクを受けるインク受け部としても機能する。
プリンタ1は、上記のフラッシング動作において、キャリッジ20をノズルメンテナンス装置3の位置まで移動させ、記録ヘッド21のノズルからインクを吐出させる。ここで、キャップ31はノズル形成面22から離隔しているため、記録ヘッド21から吐出されたインクはキャップ31のインク吸収体により吸収される。
ノズル形成面22に開口する多数のノズルのうち、記録動作において使用されないノズルあるいは使用頻度の低いノズルにおいて、インクが乾燥等により増粘して吐出不良を起こすことがある。フラッシング動作は、この吐出不良を防止するため、記録ヘッド21が備える全てのノズルからインクを吐出(噴射)する動作であり、全てのノズルのインクが新しいインクに置き換えられるので、吐出不良が防止される。フラッシング動作は、記録ヘッド21のノズルにおいてインクが過度に増粘しないよう、所定時間毎に実行される。
また、記録ヘッド21により画像が記録された用紙Pを排出する排出動作の最中に、フラッシング動作を開始することはできない。排出動作の実行中に上記の所定時間が経過してしまうと、ノズルにおいてインクが過度に増粘し、吐出不良の原因となりかねない。このため、プリンタ1においては、排出動作を実行する際には、排出動作中に上記所定時間が経過してしまうか否かを判別し、上記所定時間が経過してしまう場合には、排出動作を開始する前にフラッシング動作を行う。また、排出動作中に上記所定時間が経過しない場合は、フラッシング動作を行わずに排出動作を開始する。
【0022】
このフラッシング動作の実行回数が増すにつれて、キャップ31のインク吸収体には相当量のインクが貯留されるが、このインクは、ノズル形成面22を封止していない状態で吸引機構40を動作させることで、吸引機構40へ排出される。
【0023】
さらに、キャッピング装置30と吸引機構40とをともに動作させることで、上記のクリーニング動作が行われる。
クリーニング動作においては、キャップ31が上昇してノズル形成面22を封止した状態で、吸引機構40が備える吸引ポンプ123(図3)が動作することで行われる。
ノズル形成面22を封止した状態で吸引ポンプ123が動作すると、ノズル形成面22に負圧が加わり、ノズルからインクが強制的に吸い出される。吸い出されたインクはインク吸引機構(図示略)によってキャッピング装置30から吸引機構40へ排出される。このクリーニング動作は、記録ヘッド21が備えるノズルのいずれかに詰まりが発生した場合に、この詰まりを解消することができ、また、インクカートリッジ23から記録ヘッド21へインクを供給する経路におけるエア抜きを行えるという効果がある。
【0024】
プリンタ1は、図1および図2に示すように、本体底部に廃インク貯留部45を備えている。この廃インク貯留部45は、吸引機構40により吸引されたインクを貯留する容器である。上述のようにフラッシング動作によりキャップ31に貯留されたインクや、クリーニング動作により記録ヘッド21のノズルから吸い出されたインクが、吸引機構40から廃インク貯留部45へ流れ込む構成となっている。
【0025】
また、キャッピング装置30が備える弾性ブレード33は、ゴムやエラストマー等の弾性材料からなる板状部材である。弾性ブレード33は、キャップ駆動機構32の上下動に伴って上昇および下降して、ノズル形成面22を払拭するワイピング動作に用いられる。
すなわち、キャリッジ20をホームポジションに移動させて、弾性ブレード33を上昇させ、この状態でキャリッジ20をホームポジションから主走査方向に移動させると、弾性ブレード33の上端がノズル形成面22に接する。ここで、さらにキャリッジ20が移動すると、ノズル形成面22が弾性ブレード33により払拭される。このワイピング動作により、ノズル形成面22に良好なメニスカスが形成され、記録ヘッド21の吐出能力が良好に保たれる。
【0026】
また、キャリッジ20の下面、すなわち用紙P側の面には、記録ヘッド21に並ぶように端検出センサとしてのPW(紙幅)センサ27が配設されている。PWセンサ27は、LED等の光源からなる発光部と、発光部が発した光の反射光を検出する受光部とを備えた反射型光センサである。PWセンサ27を用いれば、キャリッジ20の直下に用紙Pが存在するか否かを検出できるので、例えば、キャリッジ20を主走査方向に移動させる間のPWセンサ27の検出状態をもとに、用紙Pの端の位置を特定できる。
プリンタ1には、用紙Pの搬送経路上に、後述するようにPE(紙先端)センサ28(図4)が配設されている。先端検出用センサとしてのPEセンサ28は、用紙Pの有無を検出するセンサであり、例えば、PWセンサ27と同様の反射型光センサである。PEセンサ28は、用紙Pの搬送経路上で記録ヘッド21より上流側に位置し、例えば、記録ヘッド21に給送される用紙Pの先端を検出する。また、PEセンサ28は、用紙Pの幅方向に並べて複数並べて配設され、これら複数のPEセンサ28における検出状態を比較すれば、用紙Pのスキューを検出することもできる。
【0027】
図3は、プリンタ1の制御系の構成を示す機能ブロック図である。
この図3に示すように、プリンタ1は、プリンタ1の各部を制御する制御部101と、制御部101により処理される各種データ等を一時的に記憶するメモリ102と、オペレータによる操作を検出する入力部103と、プリンタ1に外部接続されるホストコンピュータ5との間で制御情報等を送受信する通信インタフェース(I/F)110と、を備えて構成される。
【0028】
この通信インタフェース110は、ホストコンピュータ5に接続されるコネクタと、このコネクタを介して所定の通信プロトコルを実行するインタフェース回路等を備えている。通信インタフェース110とホストコンピュータ5との間は、例えば、IEEE1284、USB(Universal Serial Bus)、IEEE1394等の規格に準じた形式で接続される。なお、通信インタフェース110は、有線または無線通信回線により構成されるLAN(Local Area Network)を介してホストコンピュータ5に接続される構成としてもよい。この場合、プリンタ1に対して複数のホストコンピュータ5が接続されていてもよい。
【0029】
制御部101には、PWセンサ27と、PEセンサ28とがそれぞれ接続され、制御部101は、これらPWセンサ27およびPEセンサ28の検出値を取得する。
また、制御部101には、キャリッジ20を移動させるキャリッジ駆動モータ25、用紙Pを搬送する搬送手段としての搬送モータ121、記録ヘッド21、キャッピング装置30のキャップ駆動機構32を動作させるキャップ駆動モータ122、および、吸引機構40においてインクを吸引する吸引ポンプ123が接続されている。
【0030】
制御部101は、ホストコンピュータ5から印刷開始を指示する制御情報が送信された場合に、この制御情報を、通信インタフェース110を介して受信する。ここで制御部101は、受信した制御情報に基づいて、使用する用紙Pのサイズ、印刷開始位置、印刷終了位置、印刷範囲、印刷枚数等に関する情報を取得するとともに、制御情報とともにホストコンピュータ5から送信された記録用の画像データを取得して、搬送モータ121、キャリッジ駆動モータ25、および記録ヘッド21を動作させて記録動作を実行する。
また、制御部101は、記録ヘッド21、キャリッジ駆動モータ25、キャップ駆動モータ122および吸引ポンプ123を制御して、上記のフラッシング動作、クリーニング動作、ワイピング動作等を実行する。
【0031】
制御部101は、フラッシング動作を制御するためのタイマとして機能し、記録ヘッド21のノズル形成面22がキャップ31により封止されていない時間をカウントして、カウント値が所定値に達するとフラッシング動作を実行させ、カウント値をリセットする。また、制御部101は、排出動作を行う際にカウント値を参照し、排出動作中にカウント値が所定値に達してしまう場合には、排出動作に先立ってフラッシング動作を実行する。
【0032】
制御部101は、用紙Pへの画像の記録が終了した後に、搬送モータ121を動作させて次の用紙Pを給送させ、この用紙Pの先端がPEセンサ28によって検出された場合には、この用紙Pの端の位置を検出する端位置検出動作を行う。
図4は、キャリッジ20の走査位置近傍を示す要部平面図である。また、図5は端位置検出動作の様子を示す図である。これら図4および図5中、符号HPはホームポジションを示し、符号SEは用紙Pの幅方向の端を示し、TEは用紙Pの先端を示す。
上述したように、キャリッジ20が走査される範囲の上流側には、複数のPEセンサ28が、キャリッジ20の主走査方向に沿って並べて配設されている。制御部101は、複数のPEセンサ28によって用紙Pの先端TEが検出されると、搬送モータ121を制御して用紙Pをキャリッジ20の直下まで搬送させる。
【0033】
この図4に示すように、用紙Pに画像を記録する桁方向の位置は、ホームポジションHP側の端が1桁位置、他端が80桁となっている。制御部101は、キャリッジ駆動モータ25を制御してキャリッジ20を走査させ、用紙Pの1桁位置側の端SEと、80桁位置側の端SEとを検出する。
ここで、制御部101は、キャリッジ20がホームポジションHPに位置している状態から端SEを検出する場合、キャリッジ20をホームポジションHPから80桁位置まで移動させ、移動中におけるPWセンサ27の検出値の変化をもとに端SEの位置を特定する。
また、制御部101は、キャリッジ20が1桁位置と80桁位置との間に位置している場合には、その位置からキャリッジ20を移動させ、用紙Pの両側の端SEを検出させる。この場合、制御部101は、キャリッジ20を移動させる前に、キャリッジ20の移動距離が最も短くなるように移動方向を決定する。
【0034】
すなわち、端位置検出動作においては、キャリッジ20を、用紙Pの両側の端SEをまたぐように移動させる必要がある。
図5に示すように、キャリッジ20が1桁位置と80桁位置との間にあって、端位置検出動作を行う場合には、キャリッジ20の移動経路が2通り存在し得る。一つの経路は、図中符号W1で示すように、最初に1桁位置の側に向かい、用紙Pの端SEをまたいでから折り返して80桁位置側に向かう経路である。もう一つの経路は、図中符号W2で示すように、最初に80桁位置の側に向かい、用紙Pの端SEをまたいでから折り返して1桁位置側に向かう経路である。
キャリッジ20が、キャリッジ20の走査範囲の中心位置よりも1桁寄りの位置にある場合、符号W1で示す経路の方が短くなる。逆に、キャリッジ20が80桁寄りの位置にある場合には、符号W2で示す経路の方が短くなる。
つまり、キャリッジ20の移動距離を短くするためには、端位置検出動作を開始する時点におけるキャリッジ20の位置に基づき、経路W1と経路W2のいずれかを選択すれば良い。
また、端位置検出動作の開始前にキャリッジ20がホームポジションHPに位置している場合には、キャリッジ20を80桁側の端部まで移動させる一方向の移動を行わせて、用紙Pの端SEを検出すればよい。
【0035】
図6および図7は、プリンタ1の動作を示すフローチャートである。この図6および図7に示す動作において、制御部101は、端検出手段およびフラッシング制御手段として機能する。
制御部101は、まず、通信インタフェース110を介してホストコンピュータ5からの制御情報と記録用の画像データを受信し(ステップS11)、受信した制御情報をもとに、使用する用紙Pのサイズ、印刷開始位置、印刷終了位置、印刷範囲、印刷枚数等に関する情報を取得する。
続いて、制御部101は、搬送モータ121を制御して用紙Pを記録ヘッド21の位置まで給送させ、ホストコンピュータ5からの画像データに基づく画像の記録を開始する(ステップS12)。制御部101は、キャップ駆動モータ122を制御して、ホームポジションに位置する記録ヘッド21からキャップ31を離脱させるとともに(ステップS13)、タイマとして機能し、カウントを開始する(ステップS14)。
【0036】
そして、制御部101は、記録ヘッド21、キャリッジ駆動モータ25および搬送モータ121を制御して記録を実行させ(ステップS15)、1ページ分の画像を記録するまで動作を継続する(ステップS19)。
制御部101は、記録を実行している間、タイマのカウント値が所定値に達したか否かを常時監視する(ステップS16)。このカウント値が所定値に達した場合(ステップS16;Yes)、制御部101は、キャリッジ駆動モータ25、キャップ駆動モータ122および吸引ポンプ123を制御して、フラッシング動作を実行し(ステップS17)、カウント値をリセットする(ステップS18)。
なお、ステップS17〜S18の処理はタイマのカウント値が所定値に達したことをトリガとして発生すると割り込み処理であり、図6に示すようにステップS15の後に実行されるとは限らない。
【0037】
制御部101は、記録ヘッド21によって1ページ分の画像の記録が終了した場合(ステップS19;Yes)、排出動作に先だってタイマのカウント値を取得し(ステップS20)、このカウント値が、排出動作中に所定値に達するか否かを判別する(ステップS21)。この判別は、例えば、ステップS20で取得したカウント値に、排出動作に要する時間に相当するカウント値を加え、この加算値と、フラッシング動作を実行すべき所定値とを比較することで行われる。
そして、排出動作中にカウント値が所定値に達すると判別した場合(ステップS21;Yes)、制御部101はフラッシング動作を実行し(ステップS22)、カウント値をリセットして(ステップS23)、排出動作に移行する。一方、排出動作中にカウント値が所定値に達しないと判別した場合は、フラッシング動作を実行せず排出動作に移行する。
【0038】
排出動作を行うにあたって、制御部101は、ステップS11で受信した制御情報を参照し、全てのページの記録が完了したか否かを判別する(ステップS24)。ここで、全てのページの記録が完了している場合には(ステップS24;Yes)、制御部101は用紙Pを排出する排出動作を行って(ステップS25)、動作を終了する。
また、全ページの記録が完了していない場合、すなわち、次に記録すべきページがある場合には(ステップS24;No)、制御部101は、用紙Pを排出しつつ次の用紙Pを給送する給排出動作を実行する(ステップS26)。この給排出動作について、図7を参照して詳述する。
【0039】
図7に示す給排出動作において、制御部101は、まず、最終行まで記録を完了した用紙Pを排出し(ステップS31)、続いて、搬送モータ121の動作により次の用紙Pを所定量だけ搬送させ、記録ヘッド21の下まで給送する(ステップS32)。
ここで、前のページの最終行を記録してからフラッシング動作を実行していない場合、キャリッジ20は最終行の最終桁を記録した位置にとどまっている。また、フラッシング動作を実行した場合は、キャリッジ20はホームポジションに位置する。このため、制御部101は、キャリッジ20の現在位置を検出し(ステップS33)、その位置を判別する(ステップS34)。
【0040】
このステップS34で、キャリッジ20がホームポジションに位置する場合、制御部101は、キャリッジ20の移動方向として、80桁側の端部に向かう一方向の経路を選択する(ステップS35)。続いて、制御部101はキャリッジ駆動モータ25を制御して、選択した経路に従ってキャリッジ20を移動させ、移動中のPWセンサ27の検出値に基づいて用紙Pの1桁側の端を検出し、続いて80桁側の端を検出する(ステップS36)。次に制御部101は、ステップS36の検出値をキャリッジ20の移動方向に応じて補正し(ステップS37)、用紙Pの両端の位置を特定し、これにより用紙Pの幅サイズを求める。
【0041】
ステップS34で、キャリッジ20が1桁寄りの位置にある場合、制御部101は、キャリッジ20の移動方向として、1桁側に向かう経路(図5の経路W1)を選択する(ステップS38)。続いて、制御部101はキャリッジ駆動モータ25を制御して、選択した経路に従ってキャリッジ20を移動させ、移動中のPWセンサ27の検出値に基づいて用紙Pの1桁側の端を検出する(ステップS39)。さらに制御部101は、キャリッジ駆動モータ25を制御してキャリッジ20を80桁位置まで移動させ、PWセンサ27の検出値に基づいて用紙Pの80桁側の端を検出する(ステップS40)。その後、制御部101は、ステップS39〜S40の検出値をキャリッジ20の移動方向に応じて補正し(ステップS41)、用紙Pの両端の位置を特定し、これにより用紙Pの幅サイズを求める。
なお、ステップS39〜S40においては、いったんキャリッジ20を1桁側の端部まで移動させ、その後に折り返して80桁側に向かう移動中において用紙Pの1桁側の端と80桁側の端とを検出してもよい。
【0042】
また、ステップS34で、キャリッジ20が80桁寄りの位置にある場合、制御部101は、キャリッジ20の移動方向として、80桁側に向かう経路(図5の経路W2)を選択する(ステップS42)。続いて、制御部101はキャリッジ駆動モータ25を制御して、選択した経路に従ってキャリッジ20を移動させ、移動中のPWセンサ27の検出値に基づいて、用紙Pの80桁側の端を検出する(ステップS43)。さらに制御部101は、キャリッジ駆動モータ25を制御してキャリッジ20を1桁位置まで移動させ、移動中のPWセンサ27の検出値に基づいて、用紙Pの1桁側の端を検出する(ステップS41)。その後、制御部101は、ステップS43〜S44の検出値をキャリッジ20の移動方向に応じて補正し(ステップS42)、用紙Pの両端の位置を特定し、これにより用紙Pの幅サイズを求める。
なお、ステップS43〜S44においては、いったんキャリッジ20を80桁側の端部まで移動させ、その後に折り返して1桁側に向かう移動中において用紙Pの80桁側の端と1桁側の端とを検出してもよい。
【0043】
ステップS37、S41、S45における補正は、側端SEをまたぐ際のキャリッジ20の移動方向によって、PWセンサ27の検出値(検出状態)の変化に生じる差を補正する処理である。PWセンサ27が出力する検出値は、側端SEをまたぐ間に急速に変化するが、この変化状態はキャリッジ20の移動方向の影響を大きく受ける。また、PWセンサ27の検出値は一瞬で変化するとは限らず、制御部101は、PWセンサ27の検出値が変化する間の一点を側端SEとして特定する必要がある。このため、制御部101は、キャリッジ20の移動方向によって、例えば、PWセンサ27の検出値が変化する中でどの点を側端SEとするかを決定するパラメータや、PWセンサ27の検出値自体を補正することで、正確な側端SEの検出を行う。
【0044】
以上のように、本発明を適用した実施形態に係るプリンタ1によれば、用紙Pへの画像の記録が終了して次の用紙Pを搬送モータ121により給送させる給排出動作において、PWセンサ27によって用紙Pの端の位置を検出する際に、前の用紙Pへの記録終了時におけるキャリッジ20の位置に基づいてキャリッジ20の移動方向を選択する。このため、用紙Pの端の位置を検出するためにキャリッジ20を移動させる距離が短くなるよう移動方向を選択して、キャリッジ20を無駄なく移動させることができる。これにより、用紙Pの端を検出する過程におけるキャリッジ20の移動を効率化し、移動に要する時間を短縮して、スループットの向上を図ることができる。
給排出動作において、制御部101は、前ページの用紙Pへの記録が終了したときのキャリッジ20の位置をもとに、図5に示す経路W1と経路W2のいずれかを選択する。経路W1は、キャリッジ20をいったん1桁側の端へ移動させる経路であり、経路W2はキャリッジ20をいったん80桁側の端へ移動させる経路である。制御部101は、キャリッジ20が1桁側に寄った位置にある場合は経路W1を選択し、キャリッジ20が80桁側に寄った位置にある場合は経路W2を選択する。つまり、制御部101は、キャリッジ20を近い側の端に向かって移動させることで、キャリッジ20の移動距離が最短になるよう制御する。また、制御部101は、移動範囲の端まで移動したキャリッジ20を、さらに折り返して反対型の端まで移動させる。これにより、キャリッジ20が移動範囲の端から端まで移動されるので、キャリッジ20の移動をより一層効率化するとともに、用紙Pの両端の位置を確実に検出できる。
【0045】
また、プリンタ1は、記録ヘッド21がインクを吐出するノズルの吐出性能を維持し、吐出不良を防止するためにフラッシング動作を実行可能に構成され、記録が終了した用紙Pを排出する動作において、必要な場合には排出動作に先だってフラッシング動作を実行する。この場合、給排出動作時にはキャリッジ20がノズルメンテナンス装置3の位置にあるため、制御部101は、キャリッジ20をノズルメンテナンス装置3の位置から80桁側の端の位置まで移動させ、キャリッジ20の移動距離を最短に抑えながら用紙Pの端の位置を検出する。また、排出動作に先立ってフラッシング動作が実行されない場合には、制御部101は、通常時と同様にキャリッジ20の位置に基づいてキャリッジ20の移動方向を選択するので、キャリッジ20の移動の効率化を図ることができる。
さらに、プリンタ1は、PEセンサ28によって用紙Pの先端を検出してから所定量だけ用紙Pを搬送して、用紙Pの幅を検出する動作を行うので、用紙Pの給送および端の検出を無駄なく速やかに行うことができる。
また、制御部101は、キャリッジ20の移動中におけるPWセンサ27の検出状態をもとに、キャリッジ20の移動方向に応じた補正を行って用紙Pの端を検出するので、キャリッジ20の移動方向に関わらず正確に端を検出できる。
【0046】
なお、上述した実施形態は、あくまでも本発明の一態様を示すものであり、本発明の範囲内で任意に変形および応用が可能である。
例えば、上記実施形態において、プリンタ1は、黒、シアン、マゼンタ、イエローの4色のインクを使用するインクジェット式プリンタとして説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、例えば、上記4色に加えて濃色および淡色のインクを用いてもよいし、黒および赤の2色のインクのみ、或いは黒インクのみを用いる構成としてもよい。
また、上記実施形態において、プリンタ1として、ピエゾ素子等を用いてインクを吐出するインクジェット式プリンタを例示したが、他の方法によりインクを吐出する記録ヘッドを用いても良い。例えばインク通路に配置したヒータに通電し、インク通路内に発生する泡(バブル)によりインクを吐出する記録ヘッドを用いても良い。
さらに、本発明は、往復移動するキャリッジに搭載された記録ヘッドによって画像を記録する装置であれば、インクジェット式プリンタに限定されることなく適用可能であり、例えば、記録媒体としての感熱シートを過熱する記録ヘッドによって画像を記録するサーマルプリンタ、記録媒体として普通紙等の発色しないシートを用い、加熱により溶融するインクが付着されたインクリボンを上記シートに当接させ、このインクリボンに熱エネルギーを与えて画像を記録する、いわゆる熱転写方式のプリンタにも適用可能である。また、インクを付着させたインクリボンをシートに重ねて打撃または圧力を加えることによりインクをシートに付着させるドットインパクトプリンタ、カプセル状の発色体を付着させたシートに熱や圧力を加えることにより画像を形成するプリンタ等、各種の記録方式を用いるプリンタに対しても適用可能である。
【0047】
また、本発明は、上記実施形態で説明したプリンタ1のように外部のホストコンピュータ5に接続される態様に限らず、ホストコンピュータ5としての機能を備えた特定の装置に内蔵され、或いは組み込まれた画像記録装置に対しても適用可能である。
また、図3に示した制御系の構成は、ハードウェアとソフトウェアとの協働により図3の各機能部を実現するものであって、具体的なハードウェアの実装形態やソフトウェアの仕様等は任意である。その他のプリンタ1の具体的な細部構成についても任意に変更可能である。
【図面の簡単な説明】
【0048】
【図1】実施形態に係るプリンタの概略構成を示す斜視図である。
【図2】プリンタの要部構成を示す断面視図である。
【図3】プリンタの制御系の構成を示す機能ブロック図である。
【図4】キャリッジの走査位置近傍を示す要部平面図である。
【図5】端位置検出動作の様子を示す図である。
【図6】プリンタの動作を示すフローチャートである。
【図7】プリンタの動作を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0049】
1…プリンタ(画像記録装置)、3…ノズルメンテナンス装置、5…ホストコンピュータ、10…本体フレーム、20…キャリッジ、21…記録ヘッド、22…ノズル形成面、23…インクカートリッジ、24…キャリッジガイド軸、25…キャリッジ駆動モータ、26…駆動ベルト、27…PWセンサ(端検出センサ)、28…PEセンサ(先端検出用センサ)、29…プラテン、30…キャッピング装置(インク受け部)、31…キャップ、32…キャップ駆動機構、33…弾性ブレード、40…吸引機構、45…廃インク貯留部、101…制御部(端検出手段、フラッシング制御手段)、102…メモリ、103…入力部、104…表示部、110…通信インタフェース、121…搬送モータ(搬送手段)、122…キャップ駆動モータ、123…吸引ポンプ、P…用紙(記録媒体)。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
記録媒体に画像を記録する記録ヘッドと、前記記録媒体の有無を検出する端検出センサとを搭載し、所定の走査方向に沿って往復移動されるキャリッジと、
前記記録媒体を前記記録ヘッドによる記録位置へ給送する搬送手段と、
前記キャリッジを移動させるとともに前記端検出センサに検出を行わせ、移動中における前記端検出センサの検出状態に基づいて前記記録媒体の端を検出する端検出手段と、を備え、
前記端検出手段は、前記記録媒体への記録終了後に、次に前記搬送手段により給送される前記記録媒体の端を検出する場合には、先の前記記録媒体への記録終了時における前記キャリッジの位置に基づいて前記キャリッジの移動方向を選択し、選択した方向へ前記キャリッジを移動させること、
を備えることを特徴とする画像記録装置。
【請求項2】
前記端検出手段は、前記記録媒体への記録終了時における前記キャリッジの位置に基づいて、前記キャリッジの移動範囲の両端のうち近い側の端へ移動する方向を選択すること、
を特徴とする請求項1記載の画像記録装置。
【請求項3】
前記端検出手段は、前記キャリッジを選択した方向へ移動させ、前記キャリッジが移動範囲の端に達した後に、折り返して逆方向に前記キャリッジを移動させることにより、前記記録媒体の両端を検出すること、
を特徴とする請求項1または2記載の画像記録装置。
【請求項4】
前記記録ヘッドは前記記録媒体にインクを吐出することにより画像を記録するインクジェット式記録ヘッドとして構成され、
前記キャリッジの移動範囲内で前記記録媒体から外れた部分に位置し、前記記録ヘッドから吐出されるインクを受けるインク受け部と、
前記キャリッジを前記インク受け部の位置に移動させ、前記記録ヘッドからインクを吐出するフラッシング動作を所定時間毎に実行させるフラッシング制御手段と、を備え、
前記フラッシング制御手段は、前記搬送手段により記録終了後の前記記録媒体を排出する排出動作中に前記所定時間が経過する場合にのみ、前記排出動作の開始前に前記フラッシング動作を実行させ、
前記端検出手段は、前記排出動作の前に前記フラッシング動作が実行された場合には、次に前記搬送手段により給送される前記記録媒体の端を検出する際に、前記インク受け部の位置から前記キャリッジを移動させること、
を特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の画像記録装置。
【請求項5】
前記搬送手段により搬送された前記記録媒体の先端を検出する先端検出用センサを備え、
前記端検出手段は、前記先端検出用センサにより前記記録媒体の先端が検出されてから、さらに前記搬送手段によって前記記録媒体が所定量搬送されたところで、前記記録媒体の端を検出すること、
を特徴とする請求項1から4のいずれかに記載の画像記録装置。
【請求項6】
前記端検出手段は、前記キャリッジの移動中における前記端検出センサの検出状態と、前記キャリッジの移動方向とに基づいて、前記記録媒体の端を検出すること、
を特徴とする請求項1から5のいずれかに記載の画像記録装置。
【請求項7】
記録媒体に画像を記録する記録ヘッドと、前記記録媒体の有無を検出する端検出センサとを搭載し、所定の走査方向に沿って往復移動されるキャリッジと、
前記記録媒体を前記記録ヘッドによる記録位置へ給送する搬送手段と、
前記キャリッジを移動させるとともに前記端検出センサに検出を行わせ、移動中における前記端検出センサの検出状態に基づいて前記記録媒体の端を検出する端検出手段と、を備えた画像記録装置を動作させ、
前記端検出手段により、前記記録媒体への記録終了後に、次に前記搬送手段により給送される前記記録媒体の端を検出する場合には、先の前記記録媒体への記録終了時における前記キャリッジの位置に基づいて前記キャリッジの移動方向を選択し、選択した方向へ前記キャリッジを移動させること、
を特徴とする画像記録装置の制御方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2008−221526(P2008−221526A)
【公開日】平成20年9月25日(2008.9.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−60378(P2007−60378)
【出願日】平成19年3月9日(2007.3.9)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】