説明

画像記録装置

【課題】サイズの異なる画データを所望に応じて記録紙の両面又は片面に記録することが可能な画像記録装置を提供すること。
【解決手段】設定キー61が操作されると、サイズの異なる画データのコピー様式に関する各項目及びそれら各項目の中から所望の項目を操作者に選択させるためのメッセージを表示部70に表示させている。そして、十字キー62及びソフトキー63の操作によりコピー様式として「大きいサイズに両面コピー」、「小さいサイズに両面コピー」及び「各サイズに応じて片面コピー」のいずれかが予め設定されてRAMに記憶される。従って、サイズの異なる画データを所望に応じて記録紙の両面又は片面に記録することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複写機能付きファクシミリ装置(以下、複合機という)等の画像記録装置に関し、より詳しくは、画データを記録紙の両面に記録する機能を備えた画像記録装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、複合機は、両面原稿の表裏又は2枚の片面原稿の画データを記録紙の両面に記録する機能を備えている。この両面記録機能を用いれば、原稿を読取部で読み取って、読み取りで得られた画データを記録紙に両面コピーすることができる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、両面コピーでは、最初に読み取った原稿サイズに応じて記録紙が選択される。例えば、最初に読み取った原稿サイズがA4で、次に読み取った原稿サイズがA3の場合には、A4の記録紙が選択される。そして、最初のA4の画データが等倍でA4の記録紙の表面に記録された後、次のA3の画データがA4に縮小されてA4の記録紙の裏面に記録されるか又はA3の画データの一部が等倍でA4の記録紙の裏面に記録される。つまり、両面コピーする場合には、ファーストコピーの所要時間を短縮するために、最初に読み取った原稿サイズに応じた記録紙が、いわば強制的に選択されていた。
【0004】
本発明は、このような問題点に着目してなされたものであって、その目的は、サイズの異なる画データを所望に応じて記録紙の両面又は片面に記録することが可能な画像記録装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記の目的を達成するために、請求項1に記載の発明では、画データを記録紙の両面に記録する記録手段と、サイズの異なる画データを大きいサイズに応じた記録紙の両面に記録するか又は小さいサイズに応じた記録紙の両面に記録するか又はそれら画データの中間サイズの記録紙の両面に各々記録するかの記録様式を設定する設定手段と、設定手段で設定された記録様式に基づいて、記録手段にサイズの異なる画データを記録紙の両面に記録させる制御手段とを備えた。
【発明の効果】
【0006】
請求項1に記載の発明によれば、サイズの異なる画データを所望に応じて記録紙の両面に記録することができる。また、サイズの異なる画データの記録に際し、それら画データの中間サイズの記録紙の両面に各々記録する記録様式が設定される場合、例えば最初に読み取った原稿の画データサイズがA4で、次に読み取った原稿の画データサイズがA3の場合に、B4の記録紙が選択される。そして、最初のA4の画データが等倍で又はB4に拡大されてB4の記録紙の表面に記録された後、次のA3の画データの一部が等倍で又はA3の画データがB4に縮小されてB4の記録紙の裏面に記録される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
以下に、本発明に係る画像記録装置を複合機に具体化した一実施形態について図面を用いて説明する。
図1に示すように、複合機1は、MPU10、ROM20、RAM30、読取部40、記録部50、操作部60、表示部70、画像メモリ80、コーデック90、モデム100及びNCU110から構成され、各部10〜110がバス120を介してそれぞれ接続されている。
【0008】
MPU10は、複合機1を構成する各部を制御する。ROM20は、複合機1を制御するためのプログラムを記憶する。RAM30は、複合機1に関する各種情報を一時的に記憶する。
【0009】
読取部40は、原稿上の画像を読み取って、白黒2値の画データをコーデック90に出力する。記録部50は、電子写真方式のプリンタから構成され、FAX動作において受信した画データや、コピー動作において読取部40での読み取りで得た画データを記録紙上に記録する。
【0010】
図1及び図2に示すように、操作部60は、サイズの異なる画データのコピー様式を設定するための設定キー61、表示部70に表示されたコピー様式に関する各項目の中から所望の項目を操作者に選択させるための十字キー62及び表示部70の下部に表示された項目を選択するためのソフトキー63を備えている。ここで、コピー様式とは、サイズの異なる2枚の原稿をコピーするときのコピー方法であって、「大きいサイズに両面コピー」、「小さいサイズに両面コピー」及び「各サイズに応じて片面コピー」をいう。そして、コピー様式が「大きいサイズに両面コピー」に設定されている場合には、サイズの異なる画データが大きいサイズに応じた記録紙に両面コピーされる。また、「小さいサイズに両面コピー」に設定されている場合には、サイズの異なる画データが小さいサイズに応じた記録紙に両面コピーされる。さらに、「各サイズに応じて片面コピー」に設定されている場合には、サイズの異なる画データがそれぞれのサイズに応じた記録紙に片面コピーされる。
【0011】
また、操作部60は、「通信(FAX)」動作又は「コピー」動作を設定するための通信/コピーキー、電話番号(FAX番号を含む)又はコピー部数等を入力するためのテンキー(*,#キーを含む)、原稿の読み取り動作を開始させるためのスタートキー等の各種操作キーを備えている。表示部70は、LCDから構成され、複合機1の動作状態等の各種情報の表示を行う。
【0012】
図1に示す画像メモリ80は、読取部40で読み取られてコーデック90で符号化された画データや、受信画データを一時的に記憶する。コーデック90は、読取部40から入力された画データをMH,MR,MMR,JBIG方式等に従って符号化(エンコード)する。また、コーデック90は、画像メモリ80から読み出された画データを復号(デコード)する。
【0013】
モデム100は、ITU−T勧告T.30に従ったファクシミリ伝送制御手順に基づいて、V.17,V.27ter,V.29等に従った送信データの変調及び受信データの復調を行う。NCU110は、電話回線Lを閉結及び開放するとともに、相手先の電話番号に対応したダイヤル信号を送出する機能及び着信を検出する機能を備えている。
【0014】
次に、サイズの異なる画データのコピー様式を予め設定するときの動作を図2を用いて説明する。
まず、設定キー61が操作されると、MPU10は、コピー様式に関する各項目及びそれら各項目の中から所望の項目を操作者に選択させるためのメッセージを表示部70に表示させる。具体的には、図2に示すように、「大きいサイズに両面コピー」、「小さいサイズに両面コピー」及び「各サイズに応じて片面コピー」の各項目及び「十字キーで項目を選択してください」を表示部70に表示させる。そして、十字キー62の操作によりコピー様式に関する各項目のいずれかが選択された後、ソフトキー63が操作されてコピー様式が設定(セット)されると、その設定されたコピー様式を新たにコピー様式が設定されるまでの間、恒久的にRAM30に記憶させる。その結果、以後、新たにコピー様式が設定されるまで、かかるコピー様式に基づいて、サイズの異なる画データが両面又は片面コピーされる。
【0015】
次に、複合機1の両面コピー時の動作について、図3に示すフローチャートを用いて説明する。尚、この動作は、ROM20に記憶されたプログラムに基づき、MPU10の制御により実行される。
【0016】
さて、両面原稿の表裏又は2枚の片面原稿が読取部40で読み取られると、読み取りで得られた画データに基づいて、最初に読み取った原稿の画データサイズと次に読み取った原稿の画データサイズとが同一であるか否かを判断する(S1)。尚、読取部40に原稿サイズを検出するセンサを設け、そのセンサからの検出信号に基づいて、原稿サイズが同一であるか否かを判断する構成としてもよい。
【0017】
画データサイズが同一である場合には、それらの画データを所定サイズの記録紙に両面コピーさせる(S2)。例えば、最初に読み取った原稿の画データサイズ及び次に読み取った原稿の画データサイズがいずれもA4の場合には、A4の記録紙を選択する。そして、最初のA4の画データを等倍でA4の記録紙の表面に記録させた後、次のA4の画データを等倍でA4の記録紙の裏面に記録させる。一方、画データサイズが異なる場合には(S1で「NO」)、コピー様式が「大きいサイズに両面コピー」に設定されているか否かを判断する(S3)。
【0018】
「大きいサイズに両面コピー」の場合には、サイズの異なる画データを大きいサイズに応じた記録紙に両面コピーさせる(S4)。例えば、最初に読み取った原稿の画データサイズがA4で、次に読み取った原稿の画データサイズがA3の場合には、A3の記録紙を選択する。そして、最初のA4の画データを等倍でA3の記録紙の表面に記録させた後、次のA3の画データを等倍でA3の記録紙の裏面に記録させる。尚、「大きいサイズに両面コピー」の場合には、小さいサイズの画データを大きいサイズに拡大して記録させる構成としてもよい。一方、「大きいサイズに両面コピー」に設定されていない場合には(S3で「NO」)、「小さいサイズに両面コピー」に設定されているか否かを判断する(S5)。
【0019】
「小さいサイズに両面コピー」の場合には、サイズの異なる画データを小さいサイズに応じた記録紙に両面コピーさせる(S6)。例えば、最初に読み取った原稿の画データサイズがA4で、次に読み取った原稿の画データサイズがA3の場合には、A4の記録紙を選択する。そして、最初のA4の画データを等倍でA4の記録紙の表面に記録させた後、次のA3の画データの一部を等倍でA4の記録紙の裏面に記録させる。尚、「小さいサイズに両面コピー」の場合には、大きいサイズの画データを小さいサイズに縮小して記録させる構成としてもよい。一方、「小さいサイズに両面コピー」に設定されていない場合には(S5で「NO」)、「各サイズに応じて片面コピー」に設定されているか否かを判断する(S7)。
【0020】
「各サイズに応じて片面コピー」の場合には、サイズの異なる画データをそれぞれのサイズに応じた記録紙に片面コピーさせる(S8)。例えば、最初に読み取った原稿の画データサイズがA4で、次に読み取った原稿の画データサイズがA3の場合には、A4の記録紙及びA3の記録紙を選択する。そして、最初のA4の画データを等倍でA4の記録紙に片面コピーさせた後、次のA3の画データを等倍でA3の記録紙に片面コピーさせる。一方、いずれのコピー様式にも予め設定されていない場合には(S3、S5及びS7で「NO」)、図2に示すコピー様式に関する各項目及びメッセージを表示部70に表示させる(S9)。その後、十字キー62及びソフトキー63の操作によりコピー様式が設定されると、その設定されたコピー様式を新たにコピー様式が設定されるまでの間、恒久的にRAM30に記憶させる。その結果、以後、新たにコピー様式が設定されるまで、かかるコピー様式に基づいて、サイズの異なる画データを両面又は片面コピーさせる(S3〜S8)。
【0021】
尚、コピー様式の設定を促すメッセージに基づいて(S9)、十字キー62及びソフトキー63でコピー様式が設定された場合には、その設定されたコピー様式を一連のコピー動作が完了するまでの間、一時的にRAM30に記憶させる構成としてもよい。このように構成すれば、所望のコピー様式を一時的に設定して、サイズの異なる画データを両面又は片面コピーすることができる。
【0022】
以上、詳述したように本実施形態によれば、次のような作用、効果を得ることができる。
(1)設定キー61が操作されると、サイズの異なる画データのコピー様式に関する各項目及びそれら各項目の中から所望の項目を操作者に選択させるためのメッセージを表示部70に表示させている。そして、十字キー62及びソフトキー63の操作によりコピー様式として「大きいサイズに両面コピー」、「小さいサイズに両面コピー」及び「各サイズに応じて片面コピー」のいずれかが予め設定されてRAM30に記憶される。従って、サイズの異なる画データを所望に応じて記録紙の両面又は片面に記録することができる。
【0023】
(2)いずれのコピー様式にも予め設定されていない場合には、コピー様式に関する各項目及びそれら各項目の中から所望の項目を操作者に選択させるためのメッセージを表示部70に表示させている。換言すれば、記録紙に両面コピーする画データサイズが異なる場合にコピー様式が予め設定されていないときは、コピー様式の設定を促すメッセージを表示部70に表示させている。そして、上記(1)と同様に、コピー様式が設定されてRAM30に記憶される。即ち、コピー様式が予め設定されていない場合には、コピー様式を設定する機会が付与される。従って、操作者の所望を確実に反映させることができる。
【0024】
尚、前記実施形態は、次のように変更して具体化することも可能である。
・図3において、画データサイズが異なる場合には(S1で「NO」)、コピー様式が予め設定されているか否かに拘わらず、コピー様式の設定を促すメッセージとして図2に示すコピー様式に関する各項目及びメッセージを表示部70に表示させる構成としてもよい。このように構成すれば、画データサイズが異なる場合には、コピー様式が予め設定されているか否かに拘わらず、コピー様式を設定する機会が付与されるため、操作者の所望を確実に反映させることができる。例えば、予め設定されているコピー様式が所望のコピー様式とは異なるときには、コピー様式の設定を促すメッセージに基づいて、十字キー62及びソフトキー63で所望のコピー様式が新たに設定される。従って、所望のコピー様式とは異なる前の設定に基づくコピーが回避されるため、ミスコピーを防止することができる。
【0025】
・上記のようにコピー様式が予め設定されているか否かに拘わらず、コピー様式の設定を促すメッセージを表示部70に表示させる構成において、そのメッセージに基づいて設定されたコピー様式を一連のコピー動作が完了するまでの間、一時的にRAM30に記憶させる構成としてもよい。このように構成すれば、所望のコピー様式を一時的に設定して、サイズの異なる画データを両面又は片面コピーすることができる。
【0026】
・コピー様式に関する項目として「中間サイズに両面コピー」を表示部70に表示させる構成としてもよい。このように構成すれば、例えば最初に読み取った原稿の画データサイズがA4で、次に読み取った原稿の画データサイズがA3の場合に、「中間サイズに両面コピー」に設定されているときには、B4の記録紙が選択される。そして、最初のA4の画データが等倍で又はB4に拡大されてB4の記録紙の表面に記録された後、次のA3の画データの一部が等倍で又はA3の画データがB4に縮小されてB4の記録紙の裏面に記録される。
【0027】
・外部装置(例えばスキャナやパソコン)から通信ネットワーク又はシリアルケーブル(例えば、RS−232C)を介して入力された画データを記録するプリンタ等の画像記録装置に具体化してもよい。
【0028】
さらに、上記各実施形態より把握される技術的思想について、以下にそれらの効果と共に記載する。
〔1〕制御手段は、記録紙の両面に記録する画データサイズが異なる場合には、記録様式の設定を促すメッセージを表示手段に表示させる画像記録装置。このように構成すれば、画データサイズが異なる場合には、記録様式が設定されているか否かに拘わらず、記録様式を設定する機会が付与されるため、操作者の所望を確実に反映させることができる。
【0029】
〔2〕記録様式を記憶する記憶手段を備え、制御手段は、記録様式の設定を促すメッセージに基づいて、設定手段で記録様式が設定された場合には、その設定された記録様式を一時的に記憶手段に記憶させる画像記録装置。このように構成すれば、所望の記録様式を一時的に設定して、サイズの異なる画データを記録紙の両面又は片面に記録することができる。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】複合機の構成を示すブロック図。
【図2】コピー様式を設定するときの動作を示す説明図。
【図3】両面コピー時の動作を示すフローチャート。
【符号の説明】
【0031】
1…画像記録装置としての複合機、10…制御手段を構成するMPU、20…制御手段を構成するROM、30…制御手段及び記憶手段を構成するRAM、50…記録手段としての記録部、61…設定手段を構成する設定キー、62…設定手段を構成する十字キー、63…設定手段を構成するソフトキー、70…表示手段としての表示部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
画データを記録紙の両面に記録する記録手段と、サイズの異なる画データを大きいサイズに応じた記録紙の両面に記録するか又は小さいサイズに応じた記録紙の両面に記録するか又はそれら画データの中間サイズの記録紙の両面に各々記録するかの記録様式を設定する設定手段と、設定手段で設定された記録様式に基づいて、記録手段にサイズの異なる画データを記録紙の両面に記録させる制御手段とを備えた画像記録装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2006−215583(P2006−215583A)
【公開日】平成18年8月17日(2006.8.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−122028(P2006−122028)
【出願日】平成18年4月26日(2006.4.26)
【分割の表示】特願2002−91144(P2002−91144)の分割
【原出願日】平成14年3月28日(2002.3.28)
【出願人】(000006297)村田機械株式会社 (4,916)
【Fターム(参考)】