説明

画像読み取り装置及びこれを備える画像形成装置

【課題】光量立ち上りを早くし、早く安定光量にする光学制御を有する画像読み取り装置及びこれを備えた画像形成装置を提供する。
【解決手段】露光ランプ2と、この露光ランプ2を点灯させるためのインバータ回路80と、このインバータ回路80に入力する露光ランプ点灯信号及び前記露光ランプを点灯するためのパルス周波数を制御する制御回路68と、前記露光ランプ2で照射された光学的な原稿情報を電気信号に変換するため光電変換素子60と、前記露光ランプ2近傍の温度を検出する温度検出手段50を有する画像読み取り装置において、前記露光ランプ2の点灯が最小光量で立ち上る時、前記温度検出手段50からの温度情報により、前記制御回路68からのパルス周波数を、最小光量での点灯パルス周波数より高くするように制御する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、イメージスキャナ、特にPPC、ファクシミリなどの光学制御を有する画像読み取り装置及びこれを備える画像形成装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来の画像読み取り装置の照明装置は、装置システムの様々な読み取り速度、受光素子に対する必要光量に対し、装置毎に固有照度の光源を個別対応で制作していたため、読み取りモード(モノクロ/カラー)で異なる読み取り速度に対応できず、光電素子飽和を防ぐため、速度の遅い(一般的にはカラー)に合わせた光学設計のため、読み取り速度の早いシステムでは必要光量不足を生じて、S/Nの劣化が懸念された。
また、必要光量の異なる装置システムで同じ光源を使用することができず、部品種類数の膨大化が進み、管理が難しくなった。さらに、別の方法として、同じランプを使う場合は、メカシェーディング板を使用し、光量をカットして使用していたが、光電素子に対し過度な光を遮断するので、無駄なエネルギを消費している(例えば、特許文献1及び2参照)。
特許文献1には、ライン同期とランプ点灯/消灯の周期を一定にする技術が開示されている。特許文献2には、希ガス蛍光ランプの点灯装置における周波数変更による調光機能を開示している。
【特許文献1】特開平7−74890号公報
【特許文献2】特開平11−265055号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、ランプの温度特性により、高い光量で調整してあるランプを、低い光量で点灯させると、必要光量に対し徐々に光量が上昇していく不具合がある。また、ランプ温度が一定になるまで照度が安定せず、1スキャン、スキャン毎の濃度ムラとなり、読み取り画像として問題となることがあった。
そこで、本発明の目的は、上述した実情を考慮して、露光ランプの点灯立ち上がり時に、温度検出手段(サーミスタ)により検出される露光ランプ管面温度を検出して、ランプ点灯CLK周波数を高くすることで、光量立ち上りを早くし、早く安定光量にする光学制御を有する画像読み取り装置及びこれを備えた画像形成装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0004】
上記の課題を解決するために、請求項1に記載の発明は、露光ランプと、この露光ランプを点灯させるためのインバータ回路と、このインバータ回路に入力する露光ランプ点灯信号及び前記露光ランプを点灯するためのパルス周波数を制御する制御回路と、前記露光ランプで照射された光学的な原稿情報を電気信号に変換するため光電変換素子と、前記露光ランプ近傍の温度を検出する温度検出手段を有する画像読み取り装置において、前記露光ランプの点灯が最小光量で立ち上る時、前記温度検出手段からの温度情報により、前記制御回路からのパルス周波数を、最小光量での点灯パルス周波数より高くするように制御する画像読み取り装置を特徴とする。
また、請求項2に記載の発明は、前記露光ランプの光量変更が、前記温度検出手段からの温度情報に基づいて、前記制御回路からのパルス周波数を変更して行う請求項1記載の画像読み取り装置を特徴とする。
【0005】
また、請求項3に記載の発明は、前記露光ランプの点灯立ち上がり時、前記光電変換素子からのデータが一定の出力になるように、前記パルス周波数を、前記温度検出手段からの温度情報に基づいて変更する請求項1記載の画像読み取り装置を特徴とする。
また、請求項4に記載の発明は、前記パルス周波数の変更が、数段階に変更していく請求項1乃至3のいずれか1項記載の画像読み取り装置を特徴とする。
また、請求項5に記載の発明は、前記温度検出手段が、第1キャリッジに搭載されている請求項1記載の画像読み取り装置を特徴とする。
また、請求項6に記載の発明は、前記温度検出手段が、露光ランプ中央部の温度を検出する位置に配置されている請求項5記載の画像読み取り装置を特徴とする。
また、請求項7に記載の発明は、請求項1乃至6のいずれか1項記載の画像読み取り装置を備えている画像形成装置を特徴とする。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、露光ランプの最大光量での点灯の立ち上り時には、温度検出手段からの温度情報に基づいて制御回路部からのパルスの周波数を、最小光量での点灯パルス周波数より高くするように制御することで、露光ランプ立ち上がり時の立ち上がり時間を早くし、早く光量が安定するようにできる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
以下、図面を参照して、本発明の実施の形態を詳細に説明する。図1は本発明に係るカラー画像読み取り装置を示す全体構成図である。先ず、スキャナ本体01に関しての構成について説明する。原稿台ガラス8上に置かれた原稿(図示せず)は、第1ミラー3と照明ランプ2により照射される。
第1ミラー3と照明ランプ2は第1キャリッジ31に搭載されており、原稿台下部を移動しながら走査を行う。原稿からの反射光は、第1ミラー3及び第2キャリッジ32上の第2ミラー5、第3ミラー4で走査され、レンズ1により集束され、光電変換素子であるCCDが搭載されたSBU(センサボードユニット)10に照射されることにより電気信号に光電変換される。
第1ミラー3、照明ランプ2及び第2ミラー5、第3ミラー4をそれぞれ搭載する第1及び2キャリッジ31、32は、走行体モータ9を駆動源として、キャリッジホーム位置(ホームポジション)から最大走査領域方向(図の左右方向)に移動可能となっている。
【0008】
次に、ARDF(自動両面原稿搬送装置)02に関する構成について説明する。原稿台11の原稿ガイド12に沿って積載された原稿は、片面原稿読み取りを選択した場合には、呼び出しコロ14、給紙ベルト16により搬送コロ15、分離コロ17、第1搬送ローラ18によりDF(原稿搬送)用読み取りガラス6と反射ガイド板20との間の読み取り位置を経て、第2搬送ローラ21及び排紙ローラ23へ送り込まれ、原稿が排出される。
DF用読み取りガラス6前にはレジストセンサ19が配置されており、読み取り部への原稿の進入(先端)や後端部のタイミングを検知できる。一方、両面原稿読み取りを選択した場合には、先ず、原稿の表面の読み取りを、上記片面原稿読み取りを選択した場合と同様に実施する。
原稿の表面の読み取りに関して説明を行う。呼び出しコロ14、給紙ベルト16により搬送コロ15、分離コロ17、第1搬送ローラ18によりDF用読み取りガラス6と反射ガイド板20との間の読み取り位置を経て、第2搬送ローラ21及び排紙ローラ23へ送り込まれる。
この時、原稿を排出せずに、分岐爪24が下方へ切り換えられて反転ローラ25により反転テーブル26上へ移送される。原稿の後端が排紙ローラ23を抜けた後に分岐爪24が上方へ切り換えられて、いったん、反転ローラ25が停止する。
【0009】
次に、原稿の裏面の読み取りに関して説明を行う。原稿の裏面の読み取りを実施するためには、いったん、停止していた反転ローラ25を上記とは逆方向へ回転させることにより原稿が反転テーブル26から第1搬送ローラ18の方向へ搬送され、さらに第1搬送ローラ18を経て表面と同様にDF用原稿ガラス6と反射ガイド板20との間の読み取り位置を経て、第2搬送ローラ21及び排紙ローラ23へ送り込まれ、その後、原稿が排出される。
原稿は、表面及び裏面の読み取りとともにDF用読み取りガラス6と反射ガイド板20との間の読み取り位置を通過する際に、読み取り位置の近傍に停止されている照明ランプ2により照射され、その反射光は、第1ミラー3及び一体に構成された第2ミラー5、第3ミラー4で走査される。
以下原稿台11の場合と同様に光電変換される。ARDF02の呼び出しコロ14、給紙ベルト16、搬送コロ15、分離コロ17の給紙機構は給紙モータ(図示せず)により駆動されている。また、第1搬送ローラ18、第2搬送ローラ21、排紙ローラ23、反転ローラ25の搬送機構は搬送モータ(図示せず)により駆動されている。
さらに、ARDF02には原稿を検知するために原稿台11へ原稿がセットされているか否かを検知するセットセンサ13、原稿サイズを検知するための幅サイズ検知基板28、第1の原稿長さセンサ29と第2の原稿長さセンサ30、原稿の後端を検知するための原稿後端センサ27が搭載されている。
スキャナ本体01にはこのスキャナ本体01及びARDF02を含めたカラー画像読み取り装置の動作制御を行うSCU(記憶制御ユニット)7が搭載されている。なお、スキャナ本体01の下に点線で囲った部分は画像形成、部、給紙部及び熱定着部を含む画像形成装置本体03を示しているが、本書ではそれ以上の詳細の説明は省略する。
【0010】
図2は本発明に係る画像読み取り装置の全体を示すブロック図である。図3は図2の画像読み取り装置の制御構成を示すブロック図である。図1乃至図3を参照して、SBU10上のCCD60に入光した原稿の反射光は、CCD60内で光の強度に応じた電圧値を持つアナログ信号に変換され、奇数ビットと偶数ビットに分かれて出力される。
上記SBU10のアナログ画像信号は、VIOB(ビデオ入出力ボード)33(図2)上のアナログ処理回路61で暗電位部分が取り除かれ、奇数ビットと偶数ビットが合成され、所定の振幅にゲイン調整された後にA/Dコンバータ62に入力されデジタル信号化される。
デジタル化された画像信号は、シェーディング部63によりシェーディング補正され、VIOB33からSCU(記憶制御ユニット)7上のIPU(画像処理ユニット)64で、ガンマ補正、MTF補正等の画像処理が行なわれる。
その後、画像処理された画像信号は、同期信号画像クロックとともにビデオ信号として、画像データ記憶手段(SDRAM)66を管理するメモリ−コントローラ65に入力され、SDRAM66で構成される画像メモリに蓄えられる。
画像メモリに蓄えられた画像データは、外部I/Fドライバ67に送られ、パソコンやプリンタ等の出力装置へ転送される。
【0011】
実施の形態の外部I/Fドライバ67はSCSI(小型コンピュータシステムインターフェース)、IEEE1394、LANなどドライバやローカルビデオ信号などを総称して記載している。SCU7上には、CPU68、ROM69、RAM70、モータドライバ(コントローラ)72が実装されており、CPU68は、スキャナ本体01のステッピングモータである走行体モータ9、ARDFの給紙モータ(図示せず)、搬送モータ(図示せず)のタイミング制御も行なっている。
ADU(自動原稿搬送ユニット)42は、ARDF02に用いる電装部品の電力供給を中継する機能を有している。SCU7上のCPU68に接続されている入力ポートは、VIOB33を介して本体操作パネル(SOP)43に接続されている。本体操作パネル(SOP)43上にはスタートスイッチ(図示せず)と停止スイッチ(図示せず)が実装されている。それぞれのスイッチが押下されると入力ポートを介してCPU68はスイッチがオンされたことを検出する。
露光ランプ2に近接して配置した温度検出手段(サーミスタ)50からの出力信号は、VIOB33を経由して、SCU7に搭載されるCPU68に接続される。
【0012】
図4はインバータ回路の機能ブロック図である。同期点灯の場合には、図4に示すように、各ラインの読み取り開始タイミングを規定するライン同期信号(TG−INV)75、クロック信号(CLK)76、コントロール信号(CNT)77及びゲート信号(GATE)78を入力すると、点灯制御部79が動作し、インバータ回路80を制御する。
インバータ回路80からの出力は昇圧トランス81を経由して露光ランプ2に印加される。なお、CNT77は露光ランプ2のオン/オフ制御信号、GATE信号78はランプ休止期間の制御信号である。なお、図4には、GND(接地)83、定電圧電源85の出力電圧(−24V)84を示している。
【0013】
図5はインバータ回路構成の一例を示す回路図である。図5に示すように、ランプオン/オフ制御信号(CNT)77がハイ(High)レベルの時、トランジスタTR1がオンし、インバータ制御用ICであるIC1に電力が供給される。
IC1はスイッチング素子FET1を駆動するためのドライバを内蔵しており、クロック信号76に応じて所定の周期で発振し、発振パルスにより内蔵ドライバ(図示せず)を駆動し、この内蔵ドライバの出力によりスイッチング素子FET1が駆動される。
駆動信号によりスイッチング素子FET1がオンになると、定電圧電源85→昇圧トランス81の1次側巻線→スイッチング素子FET1の経路で電流が流れ、昇圧トランス81にエネルギが蓄えられる。
【0014】
次に、スイッチング素子FET1がオフになり、昇圧トランス81に流れていた電流が遮断されると、蓄えられていたエネルギが放出され、昇圧トランス81の1次側及び2次側に急峻な立ち上がりを有する電圧波形が発生する。
この電圧波形は時間とともに減衰し、次に、スイッチング素子FET1がオンになった後オフになると、前記と同様に再び急峻な立ち上がりを有する電圧波形が発生する。なお、図5では、図4と同一部分には同一符号を付して、不要な説明は省略する。
スイッチング素子FET1をオン/オフする毎に再び急峻な立ち上がりを有する電圧波形が発生し、ランプ82に繰り返し電流が流れ、ランプ82が点灯し、光が放出される。またインバータ制御IC1は、GATE信号78が入力される期間は、出力を停止する。
【0015】
図6は非同期である露光ランプオン/オフ信号とライン同期信号のタイミングを示すタイミングチャートである。図7はライン同期信号、ゲート信号及びクロック信号とインバータ出力(光波形)のタイミングを示すタイミングチャートである。
図6はランプオン/オフ制御信号(CNT)77とライン同期信号(TG−INV)75のタイミングを示したもので、CNT77とは別に点灯周波数の位相同期を取るためにTG−INV75を供給する。なお、CNT信号とTG−INV信号は非同期で供給し、CNT信号のオン、オフは任意の時間とする。
TG−INV75、GATE78及びCLK76とインバータ出力(光波形)のタイミングを示す図7において、T1及びT2が休止期間で、必要原稿面照度に応じてこの休止期間を設けることにより1ライン当りの点灯パルス数を任意の値に設定することができる。
【0016】
図7において、GATE信号を制御し、ランプ休止期間の終了タイミング、CLK信号を制御し、ランプ点灯パルス発生タイミングを切り換えることにより主走査方向のランプ点灯パルス発生タイミングを任意に制御する。
図8は光源の制御を示すブロック図である。図9は図8の光源の制御動作について説明するフローチャートである。図8及び図9を参照して、本体制御部(図示せず)からのランプ点灯信号により、光源(露光ランプ)2をインバータ周波数f1で点灯する(S1)。
サーミスタ50の出力をA/D変換器86でA/D変換した取得データであるデジタルデータは(S2)、温度データ比較回路87に入力され、入力された温度データは、予め設定してある温度目標値と比較される(S3)。目標値と温度データが等しくない場合は、再度、温度データを取得する。
目標値と温度データが等しくなった場合は、インバータ80に入力されている周波数をf1→f0へ変更して(切り換えて)から(S4)、コピー動作に入り(S5)、コピー動作終了後ランプが消灯される(S6)。
露光ランプの光量変更は、温度検出手段(サーミスタ)50からの温度情報に基づいて、前記制御部からのパルス周波数を変更することで、必要なCCD出力レベルが早く安定するようにできる。
【0017】
図10は露光ランプ立ち上がり時のCCD出力と時間の関係を比較のためにグラフで示す図である。図11は本発明による露光ランプ立ち上がり時のCCD出力と時間の関係をグラフで示す図である。
図10に示すように従来の露光ランプでは、露光ランプ立ち上がり時には、ランプ光量(CCD出力)が一定になるまでに時間が掛かっていた。しかし、上記フローのように、露光ランプ近傍の温度状態により露光ランプの点灯周波数を点灯時の周波数f1と、温度目標値と一致した後の周波数f0に切り換えることで、図11に示すように、立ち上がり時のランプ光量の立ち上がりを早くし、従来よりも早くランプ光量(CCD出力)を安定させることができる。
【0018】
図12は光源の他の制御を示すブロック図である。図13は図12の光源の制御動作について説明するフローチャートである。図12及び図13を参照して、本体制御部(図示せず)からのランプ点灯信号により、露光ランプを点灯する(S11)。
図8及び図9に関連して説明したと同様に、サーミスタ50の出力をA/D変換器86でA/D変換した取得データであるデジタルデータは(S12)、温度データ比較回路87に入力され、入力された温度データは、予め設定してある温度目標値と比較される(S13)。目標値と温度データが等しくない場合は、再度、温度データを取得する。
目標値と温度データが等しくない場合は、目標値との差分を演算して、次段の周波数演算回路88に送られる。この周波数演算回路88では、ROM(図3の制御ブロック図参照)に予め格納されたプログラムに基づき、次の周波数が決定される。ここで、温度データ比較回路87と周波数演算回路88について、さらに詳しく説明する。
点灯周波数と光源発光量は温度因子を除けば、周波数増→光源発光量増、周波数減→光源発光量減の関係がある。また、温度との関係は、温度高→光源発光量減、温度低→光源発光量増の関係がある。
周波数変更を行う場合、ROM(図3の制御ブロック図参照)に予め格納されたプログラムを用意しておく。サーミスタの温度を読み、A/D変換された後の値の狙い値をα、実測値をβとする。α−βを演算し、狙い値に対する差分Δβを求める。
Δβ=α−β
【0019】
図14はΔβの値を表として示す図である。この表(テーブル)には各Δβ(各数値は**以上)に対する、選択すべき周波数変更量Δf(KHz)が決められている。
例えば、Δβ=−25であると、表内のNo.6の温度−40℃に対応する値、Δf6=−10KHzを選択し、現在の点灯周波数がf=100KHzであると、f+Δf6=90KHzとなり、点灯周波数を減少し、減光するとともに管面温度を下げることが可能である。
一方、Δβ=15であると、テーブル内No.9の温度20°Cに対応する値、Δf9=+5KHzを選択する。現在の点灯周波数がf=100KHzであると、f+Δf9=105KHzとなり、点灯周波数を増加し、増光するとともに管面温度を上げることが可能である。
周波数演算回路88(図12)で決定された結果に基づき、インバータ回路80に入力している周波数を変更し、インバータ80に送られ、ランプ光量を変更し、再び、サーミスタ50からの温度データを確認し、目標値と等しくなるまで、上記動作が繰り返される。
【0020】
図13に戻って、目標値と温度データが等しくなった場合は、コピー動作に入り(S14)、コピー動作終了後露光ランプが消灯される(S15)。上記動作は、露光ランプを点灯時に、行うものとする。
従来の露光ランプでは、露光ランプ立ち上がり時には、図10に示すようにランプ光量立ち上りが遅く、ランプ光量(CCD出力)が一定になるまでに時間が掛かっていた。
図15は本発明による露光ランプの立ち上がりを示す特性図である。図15に示すように、上記フローチャートのように、露光ランプの点灯周波数を制御することで、露光ランプ点灯時のランプ光量立ち上りが早くなり、従来よりも早くランプ光量(CCD出力)を安定させることができる。また、周波数の変更については、高い周波数から低い周波数への変更でも良いし、低い周波数から高い周波数へ変更していっても良い。
【0021】
図16は本発明の第1キャリッジの構成を示す概略斜視図である。露光ランプ2は第1キャリッジ31に搭載されている。温度検出手段(サーミスタ)50は第1キャリッジ31に適宜な手段で搭載されている。温度検出手段50を第1キャリッジ31に搭載するので、露光ランプ2の管面の温度をより近い場所で検出できるようにし、温度に素早く反応できるようにしている。
また、温度検出手段50は、図16に示すように露光ランプ2中央部の温度を検出する位置に配置する。温度検出手段50は、ランプ中央部の温度を検出することで、ランプ管面温度を正確に検出できるようにしている。露光ランプ2は、ランプホルダ2a、2b及び高圧ハーネス2cから構成され、露光ランプ2に対向してリフレクタ(反射板)31aが取り付けられている。
図17は調光時の露光ランプの管面温度−照度特性の一例を示す特性図である。図17の領域1においては、管面温度に比例して照度が増加する。領域2は、目標照度(照度100%)の管面温度である。領域3においては、管面温度に比例して照度が低下する。
【0022】
図18はサーミスタの温度−抵抗特性の一例を示す特性図である。この図において、サーミスタはNTC(負の温度係数の)サーミスタであり、これは、温度が上昇すると抵抗値が減少するという負の温度特性を有する素子である。
本発明による光学制御を有する画像読み取り装置を備えた画像形成装置によれば、露光ランプ2の点灯立ち上がり時に、露光ランプ点灯クロック(CLK)周波数を高くすることで、光量立ち上りを早くし、早く安定光量にすることができる。また、インバータに入力するランプ点灯CLK周波数を、システム側より変更することで、光量を調整できる。
温度検出手段(サーミスタ)により検出される露光ランプ2管面温度を検出して、露光ランプ点灯CLK周波数を制御することで、必要なCCD出力レベル(ランプ光量)が早く安定するようになる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】本発明に係るカラー画像読み取り装置を示す全体構成図である。
【図2】本発明に係る画像読み取り装置の全体を示すブロック図である。
【図3】図2の画像読み取り装置の制御構成を示すブロック図である。
【図4】インバータ回路の機能ブロック図である。
【図5】インバータ回路構成の一例を示す回路図である。
【図6】非同期である露光ランプオン/オフ信号とライン同期信号のタイミングを示すタイミングチャートである。
【図7】ライン同期信号、ゲート信号及びクロック信号とインバータ出力(光波形)のタイミングを示すタイミングチャートである。
【図8】光源の制御を示すブロック図である。
【図9】図8の光源の制御動作について説明するフローチャートである。
【図10】露光ランプ立ち上がり時のCCD出力と時間の関係を比較のためにグラフで示す図である。
【図11】本発明による露光ランプ立ち上がり時のCCD出力と時間の関係をグラフで示す図である。
【図12】光源の他の制御を示すブロック図である。
【図13】図12の光源の制御動作について説明するフローチャートである。
【図14】Δβの値を表として示す図である。
【図15】本発明による露光ランプの立ち上がりを示す特性図である。
【図16】本発明の第1キャリッジの構成を示す概略斜視図である。
【図17】調光時の露光ランプの管面温度−照度特性の一例を示す特性図である。
【図18】サーミスタの温度−抵抗特性の一例を示す特性図である。
【符号の説明】
【0024】
01 スキャナ本体
02 自動両面原稿搬送装置(ARDF)
03 画像形成装置本体
02 露光ランプ
07 記憶制御ユニット(SCU)
10 センサボードユニット(SBU)
31 第1キャリッジ
50 温度検出手段
60 光電変換素子(CCD)
68 制御回路(CPU)
75 ライン同期信号(TG−INV)
76 クロック信号(CLK)
77 コントロール信号(オン/オフ制御信号CNT)
78 ゲート信号(GATE)
80 インバータ回路
f1 最小光量での点灯パルス周波数
f0 パルス周波数

【特許請求の範囲】
【請求項1】
露光ランプと、この露光ランプを点灯させるためのインバータ回路と、このインバータ回路に入力する露光ランプ点灯信号及び前記露光ランプを点灯するためのパルス周波数を制御する制御回路と、前記露光ランプで照射された光学的な原稿情報を電気信号に変換するため光電変換素子と、前記露光ランプ近傍の温度を検出する温度検出手段を有する画像読み取り装置において、前記露光ランプの点灯が最小光量で立ち上る時、前記温度検出手段からの温度情報により、前記制御回路からのパルス周波数を、最小光量での点灯パルス周波数より高くするように制御することを特徴とする画像読み取り装置。
【請求項2】
前記露光ランプの光量変更は、前記温度検出手段からの温度情報に基づいて、前記制御回路からのパルス周波数を変更して行うことを特徴とする請求項1記載の画像読み取り装置。
【請求項3】
前記露光ランプの点灯立ち上がり時、前記光電変換素子からのデータが一定の出力になるように、前記パルス周波数を、前記温度検出手段からの温度情報に基づいて変更することを特徴とする請求項1記載の画像読み取り装置。
【請求項4】
前記パルス周波数の変更は、数段階に変更していくことを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項記載の画像読み取り装置。
【請求項5】
前記温度検出手段は、第1キャリッジに搭載されていることを特徴とする請求項1記載の画像読み取り装置。
【請求項6】
前記温度検出手段は、露光ランプ中央部の温度を検出する位置に配置されていることを特徴とする請求項5記載の画像読み取り装置。
【請求項7】
請求項1乃至6のいずれか1項記載の画像読み取り装置を備えていることを特徴とする画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【公開番号】特開2008−42689(P2008−42689A)
【公開日】平成20年2月21日(2008.2.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−216264(P2006−216264)
【出願日】平成18年8月8日(2006.8.8)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】