説明

画像読み取り装置

【課題】本発明は、広幅原稿の読み取りセットを適切に行う画像読み取り装置に関する。
【解決手段】デジタル複写装置1は、原稿挿入口67から挿入される広幅の原稿Gの先端を原稿挿入センサ61が検出すると、入口ローラ対62を密着センサ64へ原稿Gを送り出す方向に所定量回転駆動させて、該原稿Gの先端部を該入口ローラ対62に咥え込ませて、一旦停止させた後、密着センサ64へ送り出すとともに、所定のタイミングで、原稿Gの原稿挿入口67への逆送を指示する操作部15の原稿逆転排出キーが指示操作されると、入口ローラ対62を逆回転させて原稿Gを原稿挿入口67の方向に逆送させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像読み取り装置に関し、詳細には、広幅原稿を読み取るスキャナ装置、複写装置、複合装置等の画像読み取り装置に関する。
【背景技術】
【0002】
原稿の画像を読み取る画像読み取り装置は、大きく分けてA4サイズ程度までの比較的幅サイズの狭い原稿を、ADF(Auto Document Feeder:原稿自動給紙装置)に複数枚載置して、ADFによって1枚ずつ分離して原稿読み取り部に搬送して、該原稿を主走査及び副走査して原稿の画像を読み取っている。この場合、原稿読み取り部としては、搬送されてきた原稿をコンタクトガラス上に固定して、副走査方向に移動する光学系によって原稿の画像を読み取るブック型読み取りと、原稿読み取り窓ガラス上をADFによって搬送される原稿に読み取り光を照射してその反射光を光電変換して読み取るシートスルー型とがある。
【0003】
一方、A0サイズ等の広幅原稿の画像を読み取る広幅画像読み取り装置においては、幅広原稿を取り扱うことからADFを用いずに、原稿挿入口に手操作で挿入される原稿の先端部を、入口ローラによって咥え込んで、咥え込んだ状態で原稿に傾きやしわ等がなければ、ユーザが読み取り開始指示を行うことで、あるいは、所定時間経過することで、入口ローラによって広幅原稿を原稿読み取り部に送り出し、搬送される原稿画像を固定された原稿読み取り部で読み取るシートスルー型となっている。このシートスルー型の原稿読み取り部は、搬送される原稿の画像を、CIS(Contact Image Sensor:密着イメージセンサ)等の固定された読み取りセンサを用いて読み取っている。
【0004】
そして、画像読み取り装置においては、原稿の搬送において原稿に皴が寄ったり、原稿に傾きが発生したり、ジャムが発生することがある。
【0005】
このような場合の対応策として、従来、広幅画像読み取り装置においては、入口ローラに咥え込まれた広幅原稿を取り除くために、入口ローラの取り付けられている原稿カバーを開いて、入口ローラによる原稿の咥え込みを解除させて原稿を引き抜いて、再度咥え込みをやり直すか、入口ローラに咥え込まれている原稿を力任せに引き抜いて、再度咥え込みをやり直す方法が用いられている。
【0006】
一方、ADFを備えた画像読み取り装置においては、従来、ARDFによってコンタクトガラス上に搬送した原稿を排紙トレイへ排出する際に、排紙経路の入り口付近でジャム発生を検知すると、該原稿が送りローラを逆転させることで、排除可能な位置にあるか否かを判断して、原稿の排除が可能であると、送りローラの逆転による原稿排除を行い、送りローラの逆転による排除が不可能であると、判断結果をオペレータに通知する技術が提案されている(特許文献1参照)。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、上記従来技術にあっては、広幅原稿の入口ローラによる咥え込みが不適切な場合に、容易にかつ安価に原稿の咥え込みをやり直せるようにして、利用性を向上させる上で、改良の必要があった。
【0008】
すなわち、従来の広幅画像読み取り装置にあっては、入口ローラによる原稿先端の咥え込みに傾きやしわ等があると、力任せに原稿を引き抜くか、原稿カバーを開けて原稿の咥え込みを解除する必要があったため、力任せに引き抜く方法では、原稿へのダメージの発生の恐れや操作性が悪いという問題が、また、原稿カバーを開ける方法では、いちいち原稿カバーを開ける必要があり、操作性が悪く、作業性が悪いという問題があった。
【0009】
また、上記公報記載の従来技術にあっては、ADFにより比較的幅サイズの小さい原稿をコンタクトガラス上に搬送して読み取りの完了した原稿を排出する際の送りローラの制御についての技術であり、原稿を挿入する際の技術ではなく、適用することができない。
【0010】
そこで、本発明は、広幅原稿が原稿挿入口に挿入された際の該広幅原稿の咥え込みのやり直しを容易にかつ適切に行うことのできる画像読み取り装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は、上記目的を達成するために、原稿挿入口から挿入される広幅の原稿の先端を挿入原稿検出手段が検出すると、入口ローラを画像読み取り手段へ原稿を送り出す方向に所定量回転駆動させて、該原稿の先端部を該入口ローラに咥え込ませて、一旦停止させた後、該画像読み取り手段へ送り出すとともに、所定のタイミングで、原稿の該原稿挿入口への逆送を指示する原稿逆送指示手段が指示操作されると、該入口ローラを逆回転させて該原稿を該原稿挿入口方向に逆送させることを特徴としている。
【0012】
また、本発明は、前記原稿挿入口から挿入された前記原稿を前記入口ローラが咥え込む前のタイミングに、前記原稿逆送指示手段が操作されると、該入口ローラに該原稿を咥え込ませて一旦停止させた後、該入口ローラを逆回転させることを特徴としてもよい。
【0013】
さらに、本発明は、前記原稿挿入口から挿入された前記原稿を前記入口ローラが咥え込んで、停止させているタイミングで、前記原稿逆送指示手段が操作されると、速やかに該入口ローラを逆回転させることを特徴としてもよい。
【0014】
また、本発明は、前記入口ローラが前記原稿を咥え込んだ後、前記画像読み取り手段方向への送り出しを開始して、所定位置まで該原稿が到達する前のタイミングに、前記原稿逆送指示手段が操作されると、該入口ローラを一旦停止させた後、逆回転させることを特徴としてもよい。
【0015】
さらに、本発明は、前記原稿逆送指示手段が操作されると、前記入口ローラを停止させて、所定の表示手段に、前記原稿の逆送と前記画像読み取り手段への送り出しのいずれかを選択させる動作選択画面を表示させ、該動作選択画面の表示に応じて選択された動作を前記入口ローラに行わせることを特徴としてもよい。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、広幅原稿を原稿挿入口に挿入した際の該広幅原稿の咥え込みのやり直しを容易にかつ適切に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明の一実施例を適用したデジタル複写装置の概略構成図。
【図2】操作部の平面図。
【図3】動作判断問い合わせ画面の一例を示す図。
【図4】原稿挿入時のデジタル複写装置の概略構成図。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の好適な実施例を添付図面に基づいて詳細に説明する。なお、以下に述べる実施例は、本発明の好適な実施例であるので、技術的に好ましい種々の限定が付されているが、本発明の範囲は、以下の説明によって不当に限定されるものではなく、また、本実施の形態で説明される構成の全てが本発明の必須の構成要件ではない。
【実施例1】
【0019】
図1〜図4は、本発明の画像形成装置、画像形成方法、画像形成プログラム及び記録媒体の一実施例を示す図であり、図1は、本発明の画像形成装置、画像形成方法、画像形成プログラム及び記録媒体の一実施例を適用した画像形成装置1の構成図である。
【0020】
図1において、デジタル複写装置1は、本体筐体2内に、給紙部3、搬送部4、画像形成部5、定着部6、排紙部7及び画像読み取り部8等が収納されており、さらに、手差しトレイ10、排紙トレイ11、原稿台12、長尺原稿排紙トレイ13、原稿排紙トレイ14及び操作部15(図2参照)等が設けられている。
【0021】
給紙部3には、複数のロール紙21がセットされ、それぞれ送り出しローラ22によりロール紙21を搬送部4に送り出す。搬送部4は、複数の搬送ローラ31、カッター32及びレジストローラ33等を備えており、適宜の給紙部3から送り出されてきたロール紙21をカッター32で適宜の長さにカットして、搬送ローラ31でレジストローラ33に搬送する。レジストローラ33は、搬送されてきたロール紙を画像形成部5での画像転写タイミングに搬送タイミングを調整した後、画像形成部5に搬送する。また、搬送部4は、手差しトレイ10上にセットされた用紙についても、レジストローラ33でタイミング調整した後、画像形成部5に搬送する。
【0022】
画像形成部5は、図1の反時計方向に回転駆動される感光体41を中心として、帯電部42、光書込部43、現像部44、転写部45及びクリーニング部46等が配設されているとともに、定着部47を備えており、帯電部42は、例えば、グリッド付きのスコロトロンチャージャが用いられていて、感光体41を一様に帯電させる。画像形成部5は、帯電部42により一様に帯電された感光体41に、画像読み取り部8で読み取った原稿の画像データに基づいて点灯制御される光を光書込部43が照射することで、光の照射された部分の感光体41表面の電荷を光導電現象でアースに流して消滅させて静電潜像を形成して、静電潜像の形成された感光体41に現像部44がトナー(現像剤)を付着させてトナー画像(現像剤像)を形成する。すなわち、現像部44内のトナーは、撹拌によって負に帯電されており、バイアスは、−700Vに印加されていて、感光体41の光の照射部分にだけトナーが付着する。画像形成部5は、感光体41上に形成したトナー画像を、給紙部3から搬送部4によって搬送されてきたロール紙21または手指しトレイからの用紙に転写部45で転写し、転写の完了した用紙を定着部6に搬送する。また、画像形成部5は、転写の完了した感光体41上の残留トナーをクリーニング部46でクリーニングし、清浄にクリーニングされた感光体41を図示しない除電部で除電した後、帯電部42で一様に帯電させて、再度画像形成に供する。
【0023】
定着部6は、所定の定着温度に加熱される加熱ローラと、加熱ローラに圧接されている加圧ローラとを備え、画像形成部5から搬送されてくるトナー画像の転写されている用紙を搬送しつつ加熱・加圧して、トナー画像を用紙に定着させて、定着の完了した用紙を排紙部7に排出する。
【0024】
排紙部7は、排紙ローラ51、52を備え、これらの排紙ローラ51、52で、定着の完了した用紙を排紙トレイ11上に排出する。
【0025】
上記画像読み取り部8は、原稿挿入センサ61、入口ローラ対(入口ローラ)62、原稿レジストセンサ63、密着センサ64、密着センサ64と対向する位置に配設されている白基準部材65及び原稿排出ローラ対66等を備えている。画像読み取り部8は、原稿挿入センサ61が原稿挿入口67から挿入された原稿G(図4参照)の先端を検出すると、コントローラ(駆動制御手段)の制御下で、入口ローラ対62を正転方向(原稿Gを密着センサ64へ送り出す回転方向)に所定量回転させて、原稿Gの先端部を入口ローラ対62に咥え込ませる。画像読み取り部8は、入口ローラ対62が原稿Gを咥え込んだ後、スタートキー72が操作されるか、所定時間経過すると、入口ローラ対62の回転を開始して、原稿Gを密着センサ64と白基準部材65の間に搬送する。画像読み取り部8は、この密着センサ64に搬送される原稿Gを原稿レジストセンサ63で検出して、密着センサ64による原稿Gの読み取りタイミングを調整する。画像読み取り部8は、入口ローラ対62により密着センサ64と白基準部材65との間に搬送されてきた原稿Gを白基準部材65、入口ローラ対62及び原稿排出ローラ対66で搬送しつつ密着センサ64で、搬送される原稿Gを主走査及び副走査して、原稿Gの画像を読み取る。すなわち、密着センサ64は、例えば、CIS(Contact Image Sensor:密着イメージセンサ)が用いられており、その光源(例えば、LED)から原稿Gに読み取り光を照射して、原稿Gで反射された画像情報を含む反射光をCCD(Charge Coupled Device)等の光電変換素子で光電変換してアナログの画像信号を出力する。画像読み取り部8は、読み取りの完了した原稿Gを原稿排出ローラ対66により長尺原稿排紙トレイ13または原稿排紙トレイ14上に排出する。なお、白基準部材65は、照明ムラや密着センサ64の画素毎の感度ムラに等に起因するバラツキを補正するシェーディング補正に利用され、デジタル複写装置1は、この白基準部材65を読み取ったときの密着センサ64の出力するデータをシェーディングデータ(白基準データ)として用いてシェーディング補正する。
【0026】
デジタル複写装置1は、画像読み取り部8がA0等の広幅で、かつ、長尺の原稿Gを読み取り可能な構成となっており、原稿読み取り部8の原稿挿入口67が広幅の原稿Gを挿入可能な幅を有しているとともに、密着センサ64が該広幅の原稿Gを読み取り可能な幅を有している。また、上記入口センサ対62と原稿排出ローラ対66の上側のローラ及び白基準部材65はデジタル複写装置1の本体筺体2に対して開閉可能に配設されている読み取り部カバー68側に配設されており、読み取り部カバー68が上方に開かれると、読み取り部カバー68とともに、上方に移動して、読み取り部カバー68が閉じられると、読み取り部カバー68とともに下方に降りて対抗するローラに当接したり、密着センサ64と対向する。したがって、読み取り部8内で原稿Gにジャムが発生した場合等には、読み取り部カバー68を開いて、ジャムの発生した原稿Gを取り除くことができる。
【0027】
そして、操作部15は、図2に示すように、テンキー71、スタートキー72、ストップキー73、原稿緊急停止キー74及び原稿逆転排出キー(原稿逆送指示手段)75等の複数のキーを備えているとともに、表示部(表示手段)76を備えており、表示部76は、液晶ディスプレイと該液晶ディスプレイに重ねられたタッチパネルで構成されていて、液晶ディスプレイに表示される機能ボタンをタッチ操作することで、ボタン操作が可能なタッチパネル付きディスプレイである。
【0028】
スタートキー72は、従来の画像形成装置にも設けられているキーであり、入口ローラ対62に咥え込まれた原稿Gを取り込んで読み取りを開始させる操作を行うのに使用される。
【0029】
ストップキー73は、従来の画像形成装置にも設けられているキーであり、押下操作時に実行中の動作を完了させた後に、該動作を停止させるキーである。例えば、スタートキー72は、原稿Gの読み取り動作中や画像形成動作中に押下操作されると、読み取り中である原稿G1枚の読み取り動作が完了した時点、または、画像形成中の1枚の用紙への画像形成動作が完了した時点で、該動作を停止させるために使用される。
【0030】
原稿緊急停止キー74は、従来の画像形成装置にも設けられているキーであり、原稿Gの搬送動作を速やかに中断して、原稿Gの搬送を停止させるキーである。この原稿緊急停止キー74は、原稿Gの入口ローラ対62による咥え込み後にのみ機能し、入口ローラ対62による原稿Gの咥え込み前に操作されても、機能しない。
【0031】
そして、原稿逆転排出キー75は、入口ローラ対62が咥え込んだ原稿Gを原稿台12上に送り返させるために操作されるキーである。デジタル複写装置1は、入口ローラ対62が原稿Gを咥え込んでいる状態で原稿逆転排出キー75が押下操作されると、入口ローラ対62を逆回転させて原稿Gを原稿台12へ送り返し、入口ローラ対62が原稿Gを咥え込む前に原稿逆転排出キー75が押下操作されると、一旦入口ローラ対62に原稿Gを咥え込ませた後に、入口ローラ対62を逆回転させて原稿Gを原稿台12へ送り返す。また、デジタル複写装置1は、入口ローラ対62が咥え込んだ原稿Gを密着センサ64方向に搬送を開始した後に、原稿逆転排出キー75が押下操作されると、所定の位置まで搬送される前であれば、例えば、原稿レジストセンサ63の位置まで原稿Gが搬送される前であれば、該原稿Gの搬送を一旦入口ローラ対62の回転を停止した後、入口ローラ対62を逆転させて原稿Gを原稿台12へ送り返す。
【0032】
次に、本実施例の作用を説明する。本実施例のデジタル複写装置1は、広幅で長尺の原稿Gを読み取らせる際に、入口ローラ対62での原稿Gの先端の咥え込みを簡単かつ適切にやり直しさせる。
【0033】
すなわち、デジタル複写装置1は、図3に示すように、長尺で広幅の原稿Gを読み取る場合、ユーザが、原稿Gを手に持って、原稿面を下側(原稿台12側)にして原稿Gの先端側を原稿台12上に載せて、原稿Gの先端を原稿挿入口67から画像読み取り部8内に挿入する。このとき、ユーザは、図3に示すように、幅が広く、デジタル複写装置1の全面側まで垂れ下がる長尺で広幅の原稿Gの幅方向両端部を抱えながら原稿挿入口67に原稿Gを挿入することとなる。したがって、原稿挿入口67に、原稿Gの先端を、挿入する際に、原稿Gに傾きやしわ等が発生するおそれがある。
【0034】
デジタル複写装置1は、原稿Gが原稿挿入口67から挿入されてくると、コントローラの制御下で、原稿挿入センサ61が、該原稿Gの先端を検出し、入口ローラ対62を所定量回転駆動させて、原稿Gの先端を咥え込む咥え込み動作を行い、挿入された原稿Gの先端部を入口ローラ対62が固定する状態となる。
【0035】
ユーザは、原稿Gを原稿挿入センサ61が検出した後であって、原稿Gの先端が入口ローラ対62に咥え込まれる前、または、入口ローラ対62に咥え込まれた状態で、原稿Gの挿入状態または原稿Gの咥え込み状態が適切であるか否か、すなわち、原稿Gに皴、傾き等が発生していないか否か等を目視で判断し、原稿Gの挿入状態または原稿Gの咥え込み状態が不適切であると、操作部15の原稿逆転排出キー75を押下操作する。
【0036】
デジタル複写装置1は、原稿Gを原稿挿入センサ61が検出して、入口ローラ対62を駆動させて、入口ローラ対62が原稿Gを咥え込む前、または、入口ローラ対62が原稿Gを咥え込んだ後に、原稿逆転排出キー75が押下されると、入口ローラ対62が原稿Gを咥え込む前には、入口ローラ対62が原稿Gを咥え込むのを待って、入口ローラ対62を逆転させて、原稿Gを原稿台12方向に送り返し、また、入口ローラ対62が既に原稿Gを咥え込んでいるときには、直ちに、入口ローラ対62を逆回転させて、原稿Gを原稿台12方向に送り返す。
【0037】
したがって、ユーザは、原稿Gを原稿挿入口67から挿入した原稿Gの状態が不適切であると、原稿逆転排出キー75を押すことで、従来のように、力任せに原稿Gを引き抜いたり、いちいち読み取り部カバー68を開いて入口ローラ対62の当接を解除して、原稿Gを引き抜く手間をかけることなく、適切かつ容易に原稿Gを原稿台12に戻させることができ、原稿Gの挿入のやり直しを容易に行うことができる。
【0038】
デジタル複写装置1は、原稿挿入センサ61が原稿Gの先端を検出して、入口ローラ対62で原稿Gの先端部を咥え込むと、その後、スタートキー72が操作されるか、予め設定されている所定時間が経過すると、入口ローラ対62を回転駆動させて、入口ローラ対62によって原稿Gを密着センサ64方向に搬送し、原稿レジストセンサ63が原稿先端を検出すると、原稿Gの搬送を一旦停止して、密着センサ64による読み取りタイミングとタイミング調整を行って、原稿Gの搬送を再開する。デジタル複写装置1は、入口ローラ及び原稿排出ローラ66で搬送される原稿Gの画像を、密着センサ64で読み取り、密着センサ64で画像の読み取られた原稿Gを原稿排出ローラ66により長尺原稿排紙トレイ13上に排出する。
【0039】
デジタル複写装置1は、この原稿Gを入口ローラ対62で密着センサ64に搬送している途中で、例えば、原稿Gの先端が原稿レジストセンサ63に到達する前に、原稿逆転排出キー75が押下操作されると、入口ローラ対62を直ちに停止させ、その後、入口ローラ対62を逆回転させて、原稿Gを原稿台12方向に送り返す。
【0040】
したがって、原稿Gの位置が、原稿レジストセンサ63に到達する前等の原稿Gを原稿台12に適切に送り返すことのできる位置であれば、原稿逆転排出キー75を操作することで、原稿Gの送り込みを簡単かつ容易やり直すことができる。
【0041】
また、デジタル複写装置1は、所定タイミングにおいて原稿逆転排出キー75が操作された場合、図4に示すような動作判断問い合わせ画面(処理選択画面)G1を操作部15の表示部(表示手段)76に表示して、ユーザが以降の動作を選択できるようにしてもよい。すなわち、デジタル複写装置1は、原稿逆転排出キー75が操作されると、図4に示すように、「コピーを中断しますか」のメッセージの表示と、「継続」と「中断」の機能ボタン(選択操作手段)を動作判断問い合わせ画面G1として表示部76に表示して、ユーザによる動作(例えば、コピー動作)の継続と中断を選択可能とし、この動作判断問い合わせ画面G1の表示に応じて、ユーザが、「継続」ボタンをタッチ操作すると、入口ローラ対62の回転駆動を再開して、密着センサ64による原稿の読み取り及び原稿排出ローラ対66による原稿Gの原稿排紙トレイ14への排出を行う。また、デジタル複写装置1は、動作判断問い合わせ画面G1で、ユーザが、「中断」ボタンをタッチ操作すると、停止していた入口ローラ対62を逆回転させて、原稿Gを原稿台12方向に送り返す。
【0042】
したがって、ユーザの意図によって、動作の継続と、原稿Gの戻しを選択して、処理させることができる。
【0043】
なお、上記説明においては、操作部15に原稿逆転排出キー75を設けて、原稿逆転排出キー75を用いて、原稿Gの原稿台12への送り返し指示を行っているが、既存の操作キーであるストップキー73と原稿緊急停止キー74を用いて、原稿Gの原稿台12への送り返し指示を行ってもよい。
【0044】
すなわち、デジタル複写装置1は、原稿Gを原稿挿入センサ61が検出して、入口ローラ対62を駆動させて、入口ローラ対62が原稿Gを咥え込む前、または、入口ローラ対62が原稿Gを咥え込んだ後に、ストップキー73が押下されると、入口ローラ対62が原稿Gを咥え込む前には、入口ローラ対62が原稿Gを咥え込んで停止するのを待って、入口ローラ対62を逆転させて、原稿Gを原稿台12方向に送り返し、また、入口ローラ対62が既に原稿Gを咥え込んで停止しているときには、直ちに、入口ローラ対62を逆回転させて、原稿Gを原稿台12方向に送り返す。
【0045】
また、デジタル複写装置1は、入口ローラ対62が原稿Gを咥え込んで、密着センサ64方向に搬送を開始してから所定位置まで搬送される前、例えば、原稿レジストセンサ63に到達する前に、ストップキー73が操作されると、入口ローラ対62を直ちに停止させ、その後、入口ローラ対62を逆回転させて、原稿Gを原稿台12方向に送り返す。
【0046】
さらに、デジタル複写装置1は、入口ローラ対62が原稿Gを咥え込んだ後の所定タイミングにおいて原稿緊急停止キー74が操作された場合、図4に示したような動作判断問い合わせ画面G1を操作部15の表示部76に表示して、ユーザが以降の動作を選択できるようにしてもよい。なお、既存のストップキー73と原稿緊急停止キー74を用いる場合、操作部15の操作によって、上記原稿Gの戻し処理をこれらのキー73、74に割り当てるモードと、本来のキー処理のみを行うモードとを切り替えられるようにしてもよい。
【0047】
このように、既存のストップキー73と原稿緊急停止キー74を用いると、コストを低減することができる。
【0048】
また、上記説明では、密着センサ64で原稿Gの読み取りが開始される前に原稿逆転排出キー75、または、ストップキー73か原稿緊急停止キー74が操作された場合について説明したが、密着センサ64での原稿Gの読み取りが開始された後に、キー操作された場合においても、原稿Gを適切に原稿台12に戻すことができる場合には、同様に、原稿Gを原稿台12に送り返す処理を行ってもよい。
【0049】
このように、本実施例のデジタル複写装置1は、原稿挿入口67から挿入される広幅の原稿Gの先端を原稿挿入センサ(挿入原稿検出手段)61が検出すると、入口ローラ対62を密着センサ(画像読み取り手段)64へ原稿Gを送り出す方向に所定量回転駆動させて、該原稿Gの先端部を該入口ローラ対62に咥え込ませて、一旦停止させた後、密着センサ64へ送り出すとともに、所定のタイミングで、原稿Gの原稿挿入口67への逆送を指示する原稿逆転排出キー(原稿逆送指示手段)75が指示操作されると、入口ローラ対62を逆回転させて原稿Gを原稿挿入口67の方向に逆送させている。
【0050】
したがって、ユーザは、原稿Gを原稿挿入口67から挿入して、入口ローラ対62による原稿Gの状態が不適切であると、原稿逆転排出キー75を押すことで、従来のように、力任せに原稿Gを引き抜いたり、いちいち読み取り部カバー68を開いて入口ローラ対62の当接を解除して、原稿Gを引き抜く手間をかけることなく、適切かつ容易に原稿Gを原稿台12に戻させることができ、原稿Gの挿入のやり直しを容易に行うことができる。
【0051】
また、本実施例のデジタル複写装置1は、原稿挿入口67から挿入された原稿Gを入口ローラ対62が咥え込む前のタイミングに、原稿逆転排出キー75が操作されると、入口ローラ対62に原稿Gを咥え込ませて一旦停止させた後、入口ローラ対62を逆回転させている。
【0052】
したがって、原稿挿入口67から挿入された原稿Gを確実かつ適切に原稿台12に送り返すことができ、利用性を向上させることができる。
【0053】
さらに、本実施例のデジタル複写装置1は、原稿挿入口67から挿入された原稿Gを入口ローラ対62が咥え込んで、停止させているタイミングで、原稿逆転排出キー75が操作されると、速やかに入口ローラ対62を逆回転させている。
【0054】
したがって、原稿Gを速やかに原稿台12に送り返して、原稿Gの挿入のやり直しを速やかに行うことができ、利用性をより一層向上させることができるとともに、皺等が原稿に定着してしまうのを防止することができる。
【0055】
また、本本実施例のデジタル複写装置1は、入口ローラ対62が原稿Gを咥え込んだ後、密着センサ64方向への送り出しを開始して、所定位置(例えば、原稿レジストセンサ63位置)まで原稿Gが到達する前のタイミングに、原稿逆転排出キー75が操作されると、入口ローラ対62を一旦停止させた後、逆回転させている。
【0056】
したがって、原稿Gの先端部を咥え込んだ後、密着センサ64方向に原稿Gの搬送を開始しても、適切に原稿Gを原稿台12に戻すことができるときには、原稿Gを原稿台12に戻すことができ、不要な動作を行わせてしまうことなく、原稿Gの挿入からやり直すことができ、利用性をより一層向上させることができるとともに、コピー動作時等の用紙への画像出力を未然に防止して、資源の無駄が発生することを防止することができる。
【0057】
さらに、本実施例のデジタル複写装置1は、原稿逆転排出キー75が操作されると、入口ローラ対62を停止させて、操作部15の表示部(表示手段)76に、その後の動作指示を要求する処理選択画面を表示させ、該処理選択画面の表示に応じて指示された動作を入口ローラ対62に行わせている。
【0058】
したがって、ユーザの意図する動作を適切に行うことができ、利用性を向上させることができる。
【0059】
また、本実施例のデジタル複写装置1は、原稿逆転排出キー75の代わりに、既存のストップキー73と原稿緊急停止キー74を用いてもよい。
【0060】
このようにすると、コストを削減するとともに、操作部15のキーの数を増加させることなく、原稿Gの挿入のやり直しを速やかに行うことができる。
【0061】
以上、本発明者によってなされた発明を好適な実施例に基づき具体的に説明したが、本発明は上記実施例で説明したものに限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能であることはいうまでもない。
【産業上の利用可能性】
【0062】
本発明は、広幅原稿の読み取りを行うスキャナ装置、複写装置、複合装置等の画像読み取り装置に利用することができる。
【符号の説明】
【0063】
1 デジタル複写装置
2 本体筐体
3 給紙部
4 搬送部
5 画像形成部
6 定着部
7 排紙部
8 画像読み取り部
10 手差しトレイ
11 排紙トレイ
12 原稿台
13 長尺原稿排紙トレイ
14 原稿排紙トレイ
15 操作部
21 ロール紙
22 送り出しローラ
31 搬送ローラ
32 カッター
33 レジストローラ
41 感光体
42 帯電部
43 光書込部
44 現像部
45 転写部
46 クリーニング部
47 定着部
51、52 排紙ローラ
61 原稿挿入センサ
62 入口ローラ対
63 原稿レジストセンサ
64 密着センサ
64 密着センサ
65 白基準部材
66 原稿排出ローラ対
67 原稿挿入口
68 読み取り部カバー
71 テンキー
72 スタートキー
73 ストップキー
74 原稿緊急停止キー
75 原稿逆転排出キー
76 表示部
G1 動作判断問い合わせ画面
【先行技術文献】
【特許文献】
【0064】
【特許文献1】特開2002−46893号公報

【特許請求の範囲】
【請求項1】
広幅の原稿の画像を読み取る画像読み取り手段と、
原稿挿入口から挿入される前記原稿の先端部分を咥え込んで前記画像読み取り手段へ送り出す入口ローラと、
前記原稿挿入口から挿入される前記原稿を検出する挿入原稿検出手段と、
前記原稿の前記原稿挿入口への逆送を指示操作する原稿逆送指示手段と、
前記挿入原稿検出手段が前記原稿の先端を検出すると、前記入口ローラを前記画像読み取り手段へ送り出す方向に所定量回転駆動させて、該原稿の先端部を該入口ローラに咥え込ませて、一旦停止させた後、前記画像読み取り手段へ送り出すとともに、所定のタイミングで、前記原稿逆送指示手段が指示操作されると、該入口ローラを逆回転させて該原稿を前記原稿挿入口方向に逆送させる駆動制御手段と、
を備えていることを特徴とする画像読み取り装置。
【請求項2】
前記駆動制御手段は、
前記原稿挿入口から挿入された前記原稿を前記入口ローラが咥え込む前のタイミングに、前記原稿逆送指示手段が操作されると、該入口ローラに該原稿を咥え込ませて一旦停止させた後、該入口ローラを逆回転させることを特徴とする請求項1記載の画像読み取り装置。
【請求項3】
前記駆動制御手段は、
前記原稿挿入口から挿入された前記原稿を前記入口ローラが咥え込んで、停止させているタイミングで、前記原稿逆送指示手段が操作されると、速やかに該入口ローラを逆回転させることを特徴とする請求項1記載の画像読み取り装置。
【請求項4】
前記駆動制御手段は、
前記入口ローラが前記原稿を咥え込んだ後、前記画像読み取り手段方向への送り出しを開始して、所定位置まで該原稿が到達する前のタイミングに、前記原稿逆送指示手段が操作されると、該入口ローラを一旦停止させた後、逆回転させることを特徴とする請求項1記載の画像読み取り装置。
【請求項5】
前記画像読み取り装置は、
所定の表示手段と、
動作の選択操作を行う所定の選択操作手段と、
を備え、
前記駆動制御手段は、
前記原稿逆送指示手段が操作されると、前記入口ローラを停止させて、前記表示手段に、その後の前記原稿処理内容を選択させる処理選択画面を表示させ、該処理選択画面の表示に応じて前記選択操作手段で選択された処理を前記入口ローラに行わせることを特徴とする請求項1から請求項4のいずれかに記載の画像読み取り装置。
【請求項6】
前記画像読み取り装置は、
動作中の動作を停止させる既存の操作キーに、前記原稿逆送指示手段としての機能を割り付けられていることを特徴とする請求項1から請求項4のいずれかに記載の画像読み取り装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2012−173355(P2012−173355A)
【公開日】平成24年9月10日(2012.9.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−32494(P2011−32494)
【出願日】平成23年2月17日(2011.2.17)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】