説明

画像読取り装置、及びそれを備える画像形成装置

【課題】原稿ガイド板の端部の傾斜面(C面)を容易かつ低コストで透明かつ滑らかにした画像読取り装置を提供する。
【解決手段】原稿ガイド板44の傾斜面44bに透明シート82を貼り付け、同様に読取りガイド板56の端部56aの傾斜面56bに透明シート83を貼り付けて、原稿がガラス状の傾斜面44b、56bで削られたり、照明光L2がすりガラス状の傾斜面44bで散乱したりすることがないようにしている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、原稿を照明して読取る画像読取り装置、及びその画像読取り装置を備える画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
この種の画像読取り装置は、原稿を読取るものであって、単独で又は複写機等に搭載されて用いられる。単独で用いられる場合は、読取った原稿の画像が外部のプリンター等に出力され、また複写機に搭載されて用いられる場合は、読取った原稿の画像が該複写機で複写される。
【0003】
このような画像読取り装置としては、透光性を有するガラス板等からなる原稿ガイド板と、原稿ガイド板の下方に配置された読取りスキャナとを備え、原稿を原稿ガイド板上で搬送し通過させつつ、読取りスキャナにより原稿ガイド板上の原稿を照明して読取る。読取りスキャナは、原稿を照明する光源、及び原稿からの反射光を光電変換するイメージセンサ(CCD等)等を有する。
【0004】
ここで、搬送されて来た原稿が原稿ガイド板の端部に引っ掛かると、ジャムが発生する。このため、原稿ガイド板の端部に傾斜面(C面)を形成して、原稿を原稿ガイド板の端部の傾斜面から原稿ガイド板の上面へと速やかに導くようにしている。
【0005】
ところが、原稿ガイド板の傾斜面がすりガラス状になっていることから、原稿がすりガラス状の傾斜面で削られて、多くの紙粉が生じたり、あるいは読取りスキャナの照明光がすりガラス状の傾斜面で散乱して、原稿の照明光が不足したりすることがあった。
【0006】
例えば、特許文献1では、透明な原稿台のC面を透明になるまで研磨して、照明光のムラや不足を防いでいる。また、原稿台のC面を透明になるまで研磨した場合は、原稿がC面で削られることがない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開平9−93405号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、特許文献1のように原稿台のC面を透明になるまで研磨すると、原稿台のコストが非常に高くなった。これは、本来、原稿台のC面がすりガラス状であって、それらの面を透明になるまで研磨するには研磨工程と工程時間が別途必要になるからである。
【0009】
そこで、本発明は、上記従来の問題点に鑑みなされたものであり、原稿ガイド板の端部の傾斜面(C面)を容易かつ低コストで透明かつ滑らかにした画像読取り装置及びそれを備える画像形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を解決するために、本発明の画像読取り装置は、原稿を透光板上で搬送して通過させ、前記原稿を前記透光板を介して照明して読取る画像読取り装置であって、搬送されて来た前記原稿を前記透光板の上面へと導くための傾斜面を前記透光板の端部に形成しており、前記透光板の端部の傾斜面をすりガラス状とし、前記透光板の端部の傾斜面に透明な粘着剤又は透明な両面テープを介して透明なシートを貼り付けている。
【0011】
このように透光板の端部のすりガラス状の傾斜面に透明なシートが貼り付けられると、すりガラス状の傾斜面に透明な粘着剤が塗布された状態になるので、ガラス状の傾斜面が透明になり、この傾斜面の部位で照明光が散乱することはない。また、原稿が透光板の端部の傾斜面上を通過するときに、原稿がすりガラス状の傾斜面に直接接することがなく、原稿が透明なシートに接するので、原稿がすりガラス状の傾斜面に削られることはなく、紙粉が生じることもない。
【0012】
また、本発明の画像読取り装置においては、前記画像読取り装置の照明光が前記透光板の傾斜面を透過して前記原稿もしくは前記透光板に面するシェーディング補正用の白基準部材を照明する。
【0013】
先に述べたようにガラス状の傾斜面が透明になるので、原稿もしくは白基準部材を照明する照明光が傾斜面を透過しても、原稿もしくは白基準部材の照明レベルが不足することはない。
【0014】
更に、本発明の画像読取り装置においては、前記透明なシートは、前記透光板の上面と傾斜面間の境界線から所定の間隔を開けて貼り付けられている。
【0015】
このように透明なシートを透光板の上面と傾斜面間の境界線から所定の間隔を開けて貼り付けた場合は、透明なシートの粘着剤が滲み出しても、粘着剤がその境界線を越えて透光板の上面に及ぶことはなく、粘着剤により透光板の上面が汚れない。
【0016】
また、本発明の画像読取り装置においては、一対の前記透光板を離間させて対向配置し、前記各透光板間に前記原稿を搬送して通過させる。
【0017】
このように一対の透光板間に原稿を搬送して通過させる構成においても、本発明を適用し得る。
【0018】
一方、本発明の画像形成装置は、上記本発明の画像読取り装置を備えているので、同様の作用効果を奏する。
【発明の効果】
【0019】
このように本発明では、透光板の端部のすりガラス状の傾斜面に透明なシートが貼り付けられると、すりガラス状の傾斜面に透明な粘着剤が塗布された状態になるので、ガラス状の傾斜面が透明になり、この傾斜面の部位で照明光が散乱することはない。また、原稿が透光板の端部の傾斜面上を通過するときに、原稿がすりガラス状の傾斜面に直接接することがなく、原稿が透明なシートに接するので、原稿がすりガラス状の傾斜面に削られることはなく、紙粉が生じることもない。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明の画像読取り装置の第1実施形態を適用した画像形成装置を示す断面図である。
【図2】図1の画像形成装置1の本体上部に搭載された画像読取り装置を示す斜視図である。
【図3】図2の画像読取り装置を示す断面図である。
【図4】図2の画像読取り装置の読取り部を示す斜視図である。
【図5】(a)は図2の画像読取り装置における原稿ガイド板と読取りガイド板の周辺を拡大して示す断面図であり、(b)は原稿ガイド板と読取りガイド板間を通過する原稿を示す断面図である。
【図6】(a)はすりガラス状の傾斜面に対する入射光と反射光を示す図であり、(b)は透明シートが貼り付けられた傾斜面に対する入射光と反射光を示す図である。
【図7】(a)は図2の画像読取り装置における原稿ガイド板と読取りガイド板の配置構成の変形例を拡大して示す断面図であり、(b)は原稿ガイド板と読取りガイド板間を通過する原稿を示す断面図である。
【図8】(a)、(b)は、原稿ガイド板の傾斜面に対する透明シートの付着状態を拡大して示す側面図及び正面図である。
【図9】透明シートの変形例を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明の実施形態を添付図面を参照して詳細に説明する。
【0022】
図1は、本発明の画像読取り装置の第1実施形態を適用した画像形成装置を示す断面図である。この画像形成装置1は、スキャナ機能、複写機能、プリンター機能、及びファクシミリ機能等を有する所謂複合機であり、画像読取り装置2により読取られた原稿の画像を外部に送信したり(スキャナ機能に相当する)、この読取られた原稿の画像又は外部から受信した画像をカラーもしくは単色で記録用紙に記録形成する(複写機能、プリンター機能、及びファクシミリ機能に相当する)。
【0023】
この画像形成装置1は、画像を記録用紙に印刷するべく、光走査装置11、現像装置12、感光体ドラム13、ドラムクリーニング装置14、帯電器15、中間転写ベルト装置16、定着装置17、用紙搬送経路S、給紙トレイ18、及び用紙排出トレイ19等を備えている。
【0024】
画像形成装置1において扱われる画像データは、ブラック(K)、シアン(C)、マゼンタ(M)、イエロー(Y)の各色を用いたカラー画像に応じたもの、又は単色(例えばブラック)を用いたモノクロ画像に応じたものである。このため、現像装置12、感光体ドラム13、ドラムクリーニング装置14、及び帯電器15は、各色に応じた4種類のトナー像を形成するようにそれぞれ4個ずつ設けられ、それぞれがブラック、シアン、マゼンタ、及びイエローに対応付けられて、4つの画像ステーションPa、Pb、Pc、Pdが構成されている。
【0025】
各感光体ドラム13は、それらの表面に光感光層を有している。各帯電器15は、それぞれの感光体ドラム13の表面を所定の電位に均一に帯電させるための帯電手段であり、接触型であるローラ型やブラシ型の帯電器のほか、チャージャー型の帯電器が用いられる。
【0026】
光走査装置11は、レーザダイオード及び反射ミラーを備えたレーザスキャニングユニット(LSU)であり、帯電された各感光体ドラム13表面を画像データに応じて露光して、それらの表面に画像データに対応する静電潜像を形成する。
【0027】
各現像装置12は、それぞれの感光体ドラム13表面に形成された静電潜像を各色のトナーにより現像し、これらの感光体ドラム13表面にトナー像を形成する。各ドラムクリーニング装置14は、現像及び画像転写後にそれぞれの感光体ドラム13表面に残留したトナーを除去及び回収する。
【0028】
中間転写ベルト装置16は、各感光体ドラム13の上方に配置されており、中間転写ベルト21、中間転写ベルト駆動ローラ22、従動ローラ23、4つの中間転写ローラ24、及びベルトクリーニング装置25を備えている。
【0029】
中間転写ベルト21は、厚さ100μm〜150μm程度のフィルムを無端ベルト状に形成したものである。中間転写ベルト駆動ローラ22、従動ローラ23、各中間転写ローラ24等は、中間転写ベルト21を張架して支持し、中間転写ベルト21を矢印C方向に周回移動させる。
【0030】
各中間転写ローラ24は、中間転写ベルト21近傍に回転可能に支持され、中間転写ベルト21を介してそれぞれの感光体ドラム13に押圧されている。
【0031】
各感光体ドラム13表面のトナー像が中間転写ベルト21に順次重ねて転写されて、中間転写ベルト21上にカラーのトナー像(各色のトナー像)が形成される。各感光体ドラム13から中間転写ベルト21へのトナー像の転写は、中間転写ベルト21裏面に圧接されている各中間転写ローラ24によって行われる。各中間転写ローラ24は、直径8〜10mmの金属(例えばステンレス)軸をベースとし、その表面が導電性の弾性材(例えばEPDM、発泡ウレタン等)により覆われたローラである。各中間転写ローラ24には、トナー像を転写するために高電圧の転写バイアス(トナーの帯電極性(−)とは逆極性(+)の高電圧)が印加されており、その導電性の弾性材により高電圧が記録用紙に対して均一に印加される。
【0032】
こうして各感光体ドラム13表面のトナー像は、中間転写ベルト21で積層され、画像データによって示されるカラーのトナー像となる。このカラーのトナー像は、中間転写ベルト21と共に搬送され、中間転写ベルト21と2次転写装置26の転写ローラ26a間のニップ域で記録用紙上に転写される。
【0033】
2次転写装置26の転写ローラ26aには、中間転写ベルト21上の各色のトナー像を記録用紙に転写させるための電圧(トナーの帯電極性(−)とは逆極性(+)の高電圧)が印加されている。また、中間転写ベルト21と2次転写装置26の転写ローラ26a間のニップ域を定常的に得るために、転写ローラ26aもしくは中間転写ベルト駆動ローラ22の何れか一方を硬質材料(金属等)とし、他方を弾性ローラ等の軟質材料(弾性ゴムローラ、または発泡性樹脂ローラ等)としている。
【0034】
また、2次転写装置26によって中間転写ベルト21上のトナー像が記録用紙上に完全に転写されず、中間転写ベルト21上にトナーが残留することがあり、この残留トナーが次工程でトナーの混色を発生させる原因となる。このため、ベルトクリーニング装置25によって残留トナーを除去及び回収する。ベルトクリーニング装置25には、例えばクリーニング部材として、中間転写ベルト21に接触して残留トナーを除去するクリーニングブレードが設けられており、クリーニングブレードが接触する部位で、従動ローラ23により中間転写ベルト21裏側が支持されている。
【0035】
記録用紙は、中間転写ベルト21と2次転写装置26の転写ローラ26a間のニップ域でカラーのトナー像を転写された後、定着装置17へと搬送される。定着装置17は、加熱ローラ31及び加圧ローラ32等を備えており、加熱ローラ31と加圧ローラ32間に記録用紙を挟み込んで搬送する。
【0036】
加熱ローラ31は、図示しない温度検出器の検出出力に基づき、所定の定着温度となるように制御されており、加圧ローラ32と共に記録用紙を熱圧着することにより、記録用紙に転写されたカラーのトナー像を溶融、混合、圧接し、記録用紙に対して熱定着させる。
【0037】
一方、給紙トレイ18は、記録用紙を格納しておくためのトレイであり、画像形成装置1の下部に設けられて、トレイ内の記録用紙を供給する。また、手差しトレイ7は、記録用紙を載置するためのトレイであり、画像形成装置1の側壁に設けられて、このトレイ内の記録用紙を供給する。
【0038】
画像形成装置1には、給紙トレイ18又は手差しトレイ7から供給された記録用紙を2次転写装置26や定着装置17を経由させて用紙排出トレイ19に送るための、Sの字形状の用紙搬送経路Sが設けられている。この用紙搬送経路Sに沿って、用紙レジストローラ34、定着装置17、搬送ローラ35、及び排紙ローラ36等が配置されている。
【0039】
給紙トレイ18の端部には用紙ピックアップローラ33が、設けられており、この用紙ピックアップローラ33により給紙トレイ18から記録用紙が1枚ずつ引き出されて用紙搬送経路Sへと搬送される。また、手差しトレイ7の端部にはピックアップローラ8が設けられており、このピックアップローラ8により手差しトレイ7から記録用紙が1枚ずつ引き出されて用紙搬送経路Sへと送り出される。
【0040】
搬送ローラ35は、記録用紙の搬送を促進補助するための小型のローラであり、複数組設けられている。
【0041】
用紙レジストローラ34は、搬送されて来た記録用紙を一旦停止させて、記録用紙の先端を揃え、中間転写ベルト21と2次転写装置26の転写ローラ26a間のニップ域で中間転写ベルト21上のカラーのトナー像が記録用紙に転写されるように、各感光体ドラム13及び中間転写ベルト21の回転にあわせて、記録用紙をタイミングよく搬送する。
【0042】
更に、記録用紙は、定着装置17でカラーのトナー像を定着され、定着装置17を通過した後、排紙ローラ36によって用紙排出トレイ19上にフェイスダウンで排出される。
【0043】
また、記録用紙の表面だけではなく、裏面の印字を行う場合は、記録用紙を用紙搬送経路Sの排紙ローラ36により搬送する途中で、排紙ローラ36を停止させてから逆回転させ、記録用紙を反転経路Srに通して、記録用紙の表裏を反転させ、記録用紙を用紙レジストローラ34へと導き、記録用紙の表面と同様に、記録用紙の裏面に画像を記録して定着し、記録用紙を用紙排紙トレイ19に排出する。
【0044】
次に、図2、図3、及び図4を参照しつつ、図1の画像形成装置1の本体上部に搭載された画像読取り装置2を説明する。図2及び図3は、画像読取り装置2を示す斜視図及び断面図である。また、図4は、画像読取り装置2の読取り部41を示す斜視図である。
【0045】
画像読取り装置2は、下側の読取り部41と、上側の原稿搬送部42とを備えている。上側の原稿搬送部42は、その奥一辺をヒンジ(図示せず)により下側の読取り部41の奥一辺に枢支され、その手前部分を上下させることにより開閉される。原稿搬送部42が開かれたときには、図4に示すように読取り部41の原稿載置板43及び原稿ガイド板44が開放される。原稿載置板43及び原稿ガイド板44のいずれも、透光性を有するガラス板等からなる。原稿載置板43上には原稿が載置され、また原稿ガイド板44上で原稿が搬送されて通過する。
【0046】
読取り部41は、原稿載置板43、原稿ガイド板44、及び第1読取りスキャナ45等を備えている。第1読取りスキャナ45は、光源46、結像レンズ47、及びCCD(Charge Coupled Device)48、及び第1〜第4反射ミラー51〜54等を備えており、原稿載置板43及び原稿ガイド板44のいずれかの下方に移動され、原稿載置板43上に載置された原稿を読取ったり(第1読取りモード)、原稿ガイド板44上を通過する原稿を読取ったりする(第2読取りモード)。
【0047】
第1読取りモードでは、第1読取りスキャナ45を原稿載置板43の下方に移動させ、原稿搬送部42を開いて、原稿を原稿載置板43上に載置し、原稿搬送部42を閉じる。そして、第1読取りスキャナ45を副走査方向Yに原稿サイズに応じた距離だけ一定速度で移動させながら、原稿載置板43上の原稿を光源46によって照明し、その反射光を第1〜第4反射ミラー51〜54により順次反射して結像レンズ47へと導く。結像レンズ47は、原稿からの反射光をCCD48に集光して、原稿表面の画像をCCD48上に結像させる。CCD48は、原稿表面の画像を繰り返し主走査方向Xに走査し、その度に、1主走査ラインのアナログ画像信号を出力する。
【0048】
第2読取りモードでは、第1読取りスキャナ45を原稿ガイド板44の下方に移動させて位置決めし、原稿搬送部42により原稿を原稿ガイド板44上で副走査方向Yに搬送して通過させる。原稿が原稿ガイド板44上を通過するときに、第1読取りスキャナ45の光源46により原稿表面を原稿ガイド板44を介して照明し、原稿表面からの反射光を第1読取りスキャナ45の第1〜第4反射ミラー51〜54により順次反射して結像レンズ47へと導き、原稿表面からの反射光を結像レンズ47によりCCD48に集光させ、原稿表面の画像をCCD48上に結像させ、CCD48により原稿表面の画像を主走査方向Xに繰返し走査して、原稿表面の画像を読取る。
【0049】
また、原稿搬送部42に内蔵の第2読取りスキャナ55により原稿裏面の画像を読取ることができる。第2読取りスキャナ55は、原稿ガイド44の上方に配置されており、第1読取りスキャナ45と同様に、光源46、結像レンズ47、及びCCD(Charge Coupled Device)48、及び第1〜第4反射ミラー51〜54等を備えている。原稿搬送部42により原稿が副走査方向Yに搬送されて原稿ガイド板44と読取りガイド板56(透光性を有するガラス板等からなる)の間を通過するときに、第2読取りスキャナ55の光源46により原稿裏面を読取りガイド板56を介して照明し、その反射光を第1〜第4反射ミラー51〜54により順次反射して結像レンズ47へと導く。結像レンズ47は、原稿裏面からの反射光をCCD48に集光して、原稿裏面の画像をCCD48上に結像させ、CCD48により原稿裏面の画像を主走査方向Xに繰返し走査して、原稿裏面の画像を読取る。
【0050】
更に、第1及び第2読取りスキャナ45、55により原稿ガイド板44上を通過する原稿の表裏を同時に読取ることも可能である。
【0051】
こうして第1及び第2読取りスキャナ45、55のCCD48により読取られた原稿の画像は、CCD48からアナログ画像信号として出力され、このアナログ画像信号がデジタル画像信号にA/D変換される。そして、このデジタル画像信号(画像データ)は、種々の画像処理を施されてから画像形成装置1の光走査装置11へと送受され、画像形成装置1において画像が記録用紙に記録され、この記録用紙が複写原稿として出力される。
【0052】
一方、原稿搬送部42は、この原稿搬送部42が閉じられたときに原稿載置板43上の原稿を押さえる底板61、底板61並びに原稿載置板43の上方に配置された原稿トレイ62、原稿トレイ62から原稿ガイド板44を経由して直線状に延びるストレート搬送経路63、ストレート搬送経路63の途中から分岐して上方へと湾曲した湾曲搬送経路64、湾曲搬送経路64の終端側に設けられた第1原稿排出トレイ65、ストレート搬送経路63の終端側に設けられた第2原稿排出トレイ66等を備えている。
【0053】
原稿トレイ62は、固定トレイ62a及び昇降トレイ62bを備え、ストレート搬送経路63に近づくほど低くなるように傾斜している。原稿は、固定トレイ62aもしくは昇降トレイ62bに載せられ、その先端側を昇降トレイ62bに載せられる。昇降トレイ62bは、昇降機構(図示せず)を内蔵しており、通常は下降され、原稿が載せられると、原稿の先端がピックアップローラ67に当接するまで上昇される。
【0054】
ストレート搬送経路63では、その始端にピックアップローラ67が配置され、その終端に排出ローラ68が配置され、その途中に複数の搬送ローラ69及びレジストローラ71が配置されている。また、湾曲搬送経路64では、その終端に排出ローラ72が配置され、その途中に搬送ローラ69が配置されている。更に、ストレート搬送経路63と湾曲搬送経路64の分岐点には、切替え爪73が配置されている。
【0055】
通常、切替え爪73は、実線で示すようにその軸73a周りで時計回り方向に回転されて位置決めされている。この状態で、第2読取りモードが設定され、原稿が原稿トレイ62上に載せられると、原稿の先端がピックアップローラ67に当接するまで昇降トレイ62bが上昇し、ピックアップローラ67が回転して、ピックアップローラ67により原稿が原稿トレイ62から引き出されてストレート搬送経路63へと送り込まれる。ストレート搬送経路63では、搬送ローラ69により原稿が搬送され、原稿の先端がレジストローラ71に突き当てられ揃えられてから、レジストローラ71により原稿が原稿ガイド板44と読取りガイド板56の間へと搬送され、更に切替え爪73により原稿が湾曲搬送経路64へと搬送され、原稿が搬送ローラ63及び排出ローラ72を経由して第1原稿排出トレイ65へと搬送され排出される。
【0056】
このような原稿の搬送途中で、第1読取りスキャナ45もしくは第2読取りスキャナ55により原稿の表面もしくは裏面が読取られる。
【0057】
また、写真、葉書、カード、名刺等の厚紙原稿(0.8mm程度の厚み)の画像を読取るときには、切替え爪73が、点線で示すようにその軸73a周りで反時計回り方向に回転されて位置決めされる。この状態で、第2読取りモードが設定され、厚紙原稿が原稿トレイ62上に載せられると、厚紙原稿の先端がピックアップローラ67に当接するまで昇降トレイ62bが上昇し、ピックアップローラ67により厚紙原稿が原稿トレイ62から引き出されてストレート搬送経路63へと送り込まれる。ストレート搬送経路63では、搬送ローラ69により厚紙原稿が搬送され、厚紙原稿の先端がレジストローラ71に突き当てられ揃えられてから、レジストローラ71により厚紙原稿が原稿ガイド板44と読取りガイド板56の間へと搬送され、更に切替え爪73及び排出ローラ68を経由して第2原稿排出トレイ66へと搬送され排出される。
【0058】
ストレート搬送経路63は、略直線状であるため、ジャム等を生じることなく、厚紙原稿を速やかに搬送することができる。
【0059】
このような原稿搬送部42においては、第1読取りスキャナ45により原稿載置板43及び原稿ガイド板44上の原稿が読取られることから、第1読取りスキャナ45による原稿載置板43上での高さ方向の原稿読取り位置と原稿ガイド板44上での高さ方向の原稿読取り位置を一致させて、いずれの原稿読取り位置でも第1読取りスキャナ45のピントが合うようにしている。また、原稿トレイ62は、原稿載置板43よりも高い位置にある。そして、原稿搬送部42のストレート搬送経路63は、原稿載置板43よりも高い位置の原稿トレイ62から原稿載置板43と同一高さの原稿ガイド板44へと直線状に延びている。従って、ストレート搬送経路63は、原稿ガイド板44側でより低くなるように傾斜している。
【0060】
このため、図5(a)に示すようにストレート搬送経路63の一部を形成する原稿ガイド板44と読取りガイド板56も傾斜している。詳しくは、原稿の表面に直接重なる原稿載置板43の上面を基準とすると、原稿載置板43の上面に対して原稿ガイド板44と読取りガイド板56が傾斜している。
【0061】
ここで、図5(a)において、原稿の搬送方向Aの上流側に向く原稿ガイド板44の端部44aには、傾斜面(C面)44bが形成され、この傾斜面44bに透明シート82が貼り付けられている。傾斜面44b並びに透明シート82は、図5(b)に示すように搬送されて来た原稿Gの先端を受けて原稿ガイド板44の上面44cへと速やかに導くために設けられている。
【0062】
同様に、原稿の搬送方向Aの上流側に向く読取りガイド板56の端部56aにも、傾斜面(C面)56bが形成され、この傾斜面56bに透明シート83が貼り付けられており、搬送されて来た原稿Gの先端が傾斜面56b並びに透明シート83で受けられて読取りガイド板56の下面56cへと速やかに導かれる。
【0063】
このような原稿ガイド板44の傾斜面44b及び読取りガイド板56の傾斜面56bは、すりガラス状である。仮に、このすりガラス状の傾斜面44b、56bをそのまま露出させて用いたならば、原稿がすりガラス状の傾斜面44b、56bで削られて、多くの紙粉が生じる。この紙粉は、原稿ガイド板44の上面44cや読取りガイド板56の下面56cに付着し、第1及び第2読取りスキャナ45、55により読取られて、原稿画像の黒スジとなって現れ、画像品質の低下の原因となる。
【0064】
また、図5(a)に示すようにシェーディング補正用の白基準シート81が原稿ガイド板44の下面44dに設けられ、第2読取りスキャナ55の光源46から出射されて反射板49で反射された照明光L2がすりガラス状の傾斜面44bを通じて白基準板81に入射するものとすると、照明光L2がすりガラス状の傾斜面44bで散乱することから、白基準板81の照明レベルが低下する。これに対して図5(b)に示すように搬送されて来た原稿Gに対しては、光源46から出射されて反射板49で反射された照明光L2がすりガラス状の傾斜面44bを通らずに入射し、原稿Gの照明レベルが低下することはない。
【0065】
従って、照明光L2による白基準板81の照明レベルと照明光L2による原稿Gの照明レベルとは異なり、前者の照明レベルの方が低い。このため、第2読取りスキャナ55のCCD48で読取られた白基準板81の諧調が暗くなり、シェーディング補正が適確に行われなくなる。
【0066】
尚、光源46から出射された照明光L1がすりガラス状の傾斜面44bを通らずに白基準板81及び原稿Gに入射しているので、照明光L1による白基準板81の照明レベルと照明光L1による原稿Gの照明レベルとは同一であるが、一方の照明光L2による白基準板81の照明レベルが低下するだけでも、シェーディング補正に支障が生じる。
【0067】
そこで、本実施形態の画像読取り装置2では、原稿ガイド板44の傾斜面44bに透明シート82を貼り付け、同様に読取りガイド板56の端部56aの傾斜面56bにも透明シート83を貼り付けて、原稿がガラス状の傾斜面44b、56bで削られたり、照明光L2がすりガラス状の傾斜面44bで散乱したりすることがないようにしている。
【0068】
透明シート82、83のいずれも、透明合成樹脂シート(透明なシート)の裏面に粘着剤を均一塗布したものである。透明合成樹脂シートとしては、透光性に優れ、その表面が滑らかであれば、如何なる材質のものでもよい。また、粘着剤としては、透光性及び粘着性に優れれば、如何なる材質のものでもよい。
【0069】
例えば、透明シート82、83として、透明なPET(Polyethylene Terephthalate)のシートにアクリル系粘着剤を塗布したもの(日栄化工株式会社の透明50−SN等)を適用することができる。
【0070】
このような透明シート82、83により原稿ガイド板44の傾斜面44b及び読取りガイド板56の傾斜面56bが覆われると、原稿がすりガラス状の傾斜面44b、56bに直接接触せず、原稿が透明シート82、83の表面に接して滑って行くので、原稿がすりガラス状の傾斜面44b、56bで削られることはなく、紙粉が生じることもない。
【0071】
また、図6(a)に示すように入射光Lが原稿ガイド板44のすりガラス状の傾斜面44bに入射した場合は、入射光Lがすりガラス状の傾斜面44bに形成されている細かな凹凸で反射して散乱するとしても、図6(b)に示すように傾斜面44bに透明シート82が貼り付けられると、透明シート82裏面の粘着剤84が傾斜面44bの凹凸に充填されて一様に付着し、入射光Lが凹凸で反射されなくなる。粘着剤84の屈折率がガラスの屈折率に近いことから、入射光Lが粘着剤84と傾斜面44bとの界面を透過し、入射光Lが凹凸で反射することはない。
【0072】
このため、図5(a)に示すように第2読取りスキャナ55の光源46から出射されて反射板49で反射された照明光L2は、透明シート82及び傾斜面44bを透過し、白基準板81を明るく照明する。これにより、第2読取りスキャナ55のCCD48で読取られた白基準板81の諧調が明るく維持されて、シェーディング補正が適確に行われる。
【0073】
読取りガイド板56の傾斜面56bについても、透明シート83が貼り付けられると、透明シート83裏面の粘着剤が傾斜面56bの凹凸に充填され、入射光が透明シート83の粘着剤と傾斜面56bとの界面を透過し、入射光が凹凸で反射することはない。このため、図7(a)に示すように第2読取りスキャナ55の光源46から出射されて反射板49で反射された照明光L2が傾斜面56b、透明シート83、透明シート82、及び傾斜面44bを透過して白基準板81に入射する構成であって、かつ図7(b)に示すように照明光L2が傾斜面56b及び透明シート83を透過して原稿Gに入射する構成であっても、白基準板81及び原稿Gが同一の照明レベルで照明され、シェーディング補正を適確に行うことができる。
【0074】
図8(a)、(b)は、原稿ガイド板44の傾斜面44bに対する透明シート82の付着状態を拡大して示す側面図及び正面図である。
【0075】
図8(a)、(b)に示すよう透明シート82は、原稿ガイド板44の傾斜面44bと上面44cとの境界線44eから所定の間隔k(0.1〜0.2mm)だけ開けた状態で傾斜面44bに貼り付けられている。この場合、透明シート82の粘着剤84が滲み出しても、粘着剤84がその境界線44eを越えて原稿ガイド板44の上面44cに及ぶことはなく、粘着剤84により原稿ガイド板44の上面44cが汚れることはない。
【0076】
同様の理由で、透明シート83についても、読取りガイド板56の傾斜面56bと下面56cとの境界線から所定の間隔kだけ開けた状態で傾斜面56bに貼り付けるのがよい。
【0077】
図9は、透明シートの変形例を示している。この変形例の透明シート86は、透明合成樹脂シート87の裏面に透明な両面テープ88を張り合わせたものである。透明合成樹脂シート87としては、透光性に優れ、その表面が滑らかであれば、如何なる材質のものでもよい。また、両面テープ88は、透光性に優れた基材の両面に、透光性及び粘着性に優れた粘着剤を均一に塗布したものであれば、如何なる材質のものでもよい。例えば、両面テープ88として、透明PETシートの両面にアクリル系粘着剤を塗布したものを適用することができる。
【0078】
あるいは、両面テープ88として、基材レスであって、透光性に優れた粘着剤層からなるものを適用しても構わない。
【0079】
このような透明シート86は、両面テープ88を介して原稿ガイド板44の傾斜面44bもしくは読取りガイド板56の傾斜面56bに貼り付けられる。
【0080】
以上、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施形態及び変形例について説明したが、本発明は係る例に限定されないことは言うまでもない。当業者であれば、特許請求の範囲に記載された範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、それらについても当然に本発明の技術的範囲に属するものと解される。
【符号の説明】
【0081】
1 画像形成装置
2 画像読取り装置
11 光走査装置
12 現像装置
13 感光体ドラム
14 ドラムクリーニング装置
15 帯電器
16 中間転写ベルト装置
17 定着装置
18 給紙トレイ
19 用紙排出トレイ
41 読取り部
42 原稿搬送部
43 原稿載置板
44 原稿ガイド板(透光板)
45 第1読取りスキャナ
55 第2読取りスキャナ
56 読取りガイド板(透光板)
63 ストレート搬送経路
64 湾曲搬送経路
81 白基準板
82、83、86 透明シート(透明なシート)
84 粘着剤
87 透明合成樹脂シート
88 両面テープ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
原稿を透光板上で搬送して通過させ、前記原稿を前記透光板を介して照明して読取る画像読取り装置であって、
搬送されて来た前記原稿を前記透光板の上面へと導くための傾斜面を前記透光板の端部に形成しており、前記透光板の端部の傾斜面をすりガラス状とし、前記透光板の端部の傾斜面に透明な粘着剤又は透明な両面テープを介して透明なシートを貼り付けたことを特徴とする画像読取り装置。
【請求項2】
請求項1に記載の画像読取り装置であって、
前記画像読取り装置の照明光が前記透光板の傾斜面を透過して前記原稿もしくは前記透光板に面するシェーディング補正用の白基準部材を照明することを特徴とする画像読取り装置。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の画像読取り装置であって、
前記透明なシートは、前記透光板の上面と傾斜面間の境界線から所定の間隔を開けて貼り付けられたことを特徴とする画像読取り装置。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか1つに記載の画像読取り装置であって、
一対の前記透光板を離間させて対向配置し、前記各透光板間に前記原稿を搬送して通過させることを特徴とする画像読取り装置。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれか1つに記載の画像読取り装置を備えた画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2012−23452(P2012−23452A)
【公開日】平成24年2月2日(2012.2.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−158066(P2010−158066)
【出願日】平成22年7月12日(2010.7.12)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】