説明

画像読取装置、画像形成装置、画像読取装置の制御方法、および画像読取装置の制御プログラム

【課題】表面と裏面とで適切な画質を設定することができる画像読取装置を提供する。
【解決手段】液晶タッチパネルに、原稿の表と裏の画質を個別に設定する画面が表示される。「表」のキーと「裏」のキーとにより、ユーザはいずれかを選んで、その面の画像モード(文字原稿か、文字/写真原稿か、写真原稿か、薄文字原稿か)と、画像の濃度(画像の読取り濃度、およびコピー時のプリント濃度)とを設定することができる。読取り画像をメモリに格納する際、または出力(印刷など)する際、設定された画質に合わせて画像データの変換が行なわれる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、画像読取装置、画像形成装置、画像読取装置の制御方法、および画像読取装置の制御プログラムに関し、特に、両面原稿の表面と裏面とを読込むことが可能な読取部を備えた画像読取装置、画像形成装置、画像読取装置の制御方法、および画像読取装置の制御プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
電子写真式の画像形成装置(MFP(Multi Function Peripheral)、ファクシミリ装置、複写機など)には、両面原稿の表面と裏面とを読込むことが可能な読取部を備えたものがある。
【0003】
下記特許文献1は、表と裏との画質の差を無くした読取りを可能とするために、複数のモードを選択可能な画像読取装置を開示している。
【特許文献1】特開2007−82033号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来の技術においては、読取時に、原稿の表面と裏面とで同一の画像モード(読取画質)が設定されていた。両面原稿によっては、表と裏とで光沢の有無に差異がある場合があるが、従来の技術ではこのような原稿に対して、表と裏とに適切な画像モードを設定できないという問題があった。
【0005】
また、紙芝居のように、表は絵が描かれており、裏は文字が記載されている原稿が存在する。このような原稿の表面と裏面とに同一の画像モードが設定されると、ユーザが求める画像が得られない場合があった。
【0006】
すなわち従来の技術では、表と裏とで画質や内容が異なる原稿を読取りたい場合や、表と裏とで異なる原稿モード(文字モード、写真モード、図形モードなど)をユーザが設定したい場合に、対処できないという問題があった。
【0007】
この発明はそのような問題点を解決するためになされたものであり、表面と裏面とで適切な画質を設定することができる画像読取装置、画像形成装置、画像読取装置の制御方法、および画像読取装置の制御プログラムを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するためこの発明のある局面に従うと、画像形成装置は、両面原稿の表面と裏面とを読込んで画像データを作成することが可能な読取部と、表面と裏面とで異なる画質を設定することが可能な設定手段とを備える。
【0009】
好ましくは画像形成装置は、表面と裏面とで異なる画質の組合せをユーザが設定することができる操作部をさらに備え、設定手段は、読取部で作成される画像データの画質を、操作部で設定された表面と裏面の画質に切替える。
【0010】
好ましくは設定手段は、両面原稿の紙種または原稿種類に応じて、表面と裏面とで異なる画質を読取部に設定する。
【0011】
好ましくは画像形成装置は、表面と裏面との画質の組合せを、原稿の紙種または原稿種類に対応して記憶する記憶手段をさらに備え、設定手段は、記憶手段に記憶された原稿の紙種または原稿種類に対応する表面と裏面との画質の組合せに応じて、表面と裏面とで異なる画質を設定する。
【0012】
好ましくは画像形成装置は、読取部で原稿の両面を読取る時に、裏写り防止を実施する実施手段をさらに備える。
【0013】
好ましくは実施手段は、原稿の表面と裏面との両方の画像の濃度差が所定の値を超える領域に対し裏写り防止処理を行なう。
【0014】
好ましくは実施手段は、原稿の表面と裏面とで設定しようとする画質で読取られる画像が、反対面の画像の影響を受ける場合に、その設定を禁止する、または設定内容の変更を促す。
【0015】
好ましくは設定内容の変更は、紙種変更、または片面コピー、Nin1、週刊誌綴じその他の出力方法の変更である。
【0016】
好ましくは実施手段は、原稿の表面と裏面とにおける、画像の濃度、色相、およびカラーバランスの少なくとも1つに基づいて、読取られる画像が、反対面の画像の影響を受けるか否かを判定する。
【0017】
好ましくは画像形成装置は、設定に基づいて、原稿の置き方を表示する表示手段をさらに備える。
【0018】
好ましくは画像形成装置は、読取部で読取った原稿の表面と裏面との画像に基づいて、原稿種類を判別する原稿種類判別部をさらに備え、設定手段は、原稿種類判別部での判別結果に従い、表面と裏面とで異なる画質を設定する。
【0019】
好ましくは画像形成装置は、画像読取部で読取った原稿の表面と裏面との画像に基づいて、原稿の紙種を判別する原稿紙種判別部をさらに備え、設定手段は、原稿紙種判別部での判別結果に従い、表面と裏面とで異なる画質を設定する。
【0020】
好ましくは画像形成装置は、読取部で読取った画像から文字を識別する文字識別部と、文字識別部で識別された文字を文字識別情報として格納する格納部とをさらに備える。
【0021】
好ましくは画像形成装置は、設定手段で、画質として写真モードが設定されている場合には、文字識別部の機能を禁止する。
【0022】
好ましくは画像形成装置は、読取部で読取った画像の表面と裏面とが共に文字部となる場合は、設定手段で所定の濃度を超える設定が行なわれることを禁止する。
【0023】
好ましくは画像形成装置は、読取部で読取った画像の表面と裏面とで色文字が識別された場合は、色相またはカラーバランスの設定を禁止する。
【0024】
この発明の他の局面に従うと画像形成装置は、上述のいずれかに記載の画像読取装置と、読取部で作成された画像データに基づいて、用紙の両面に画像を形成することが可能な画像形成部とを備える。
【0025】
この発明のさらに他の局面に従うと、両面原稿の表面と裏面とを読込んで画像データを作成することが可能な読取部を備えた画像読取装置の制御方法は、表面と裏面とで異なる画質を設定する設定ステップを備える。
【0026】
この発明のさらに他の局面に従うと、両面原稿の表面と裏面とを読込んで画像データを作成することが可能な読取部を備えた画像読取装置の制御プログラムは、表面と裏面とで異なる画質を設定する設定ステップをコンピュータに実行させる。
【発明の効果】
【0027】
これらの発明に従うと、表面と裏面とで適切な画質を設定することができる画像読取装置、画像形成装置、画像読取装置の制御方法、および画像読取装置の制御プログラムを提供することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0028】
[第1の実施の形態]
【0029】
以下、本発明の第1の実施の形態における画像読取装置について説明する。
【0030】
画像読取装置は、画像形成装置に搭載されることもできるし、スキャナとして単体で動作することもできる。
【0031】
画像読取装置を備えた画像形成装置は、同時に原稿の両面を読取ることが可能な読取部と、原稿の表と裏とで別々の画質を設定することができる操作部と、原稿の表と裏とで別々の画質に応じた画像処理を実施する画像処理部と、画像処理部で設定されたデータに基づいて画像を形成する画像形成部とを備える。
【0032】
このような構成により、画像読取装置において、両面原稿の表と裏とのそれぞれの画像に対して、適切な画質を設定することが可能となる。また、ユーザが表と裏とで異なる画質を求める場合に対応することができる。
【0033】
図1は、第1の実施の形態における画像形成装置の概観を示す図である。
【0034】
図を参照して、画像形成装置は自動原稿送り装置を含む画像読取部1と、画像処理部3と、画像形成部5と、給紙部7と、排紙部9とを備える。
【0035】
画像形成装置がプリンタとして使用された場合には、画像読取部1で原稿が両面同時読み取りされる。画像処理部3は、表面および裏面の画像のそれぞれに対して異なる画質を設定することができる。画質に応じて画像処理が行なわれる。画像形成部5は、処理された画像を給紙部7から送られてきた紙にプリントする。プリント出力された紙は排紙部9から排出される。
【0036】
図2は、自動原稿送り装置を含む画像読取部1の構成を示す図である。
【0037】
自動原稿送り装置を含む画像読取部1は大きくは、読み取りユニット103と、原稿搬送装置101とで構成される。
【0038】
読み取りユニット103は、第一読み取り位置202と、プラテンガラス205と、露光装置206と、ミラー207,208,209と、レンズ211と、CCD(Charge Coupled Device)213とを含む。
【0039】
原稿搬送装置101は、給紙トレイ201と、給紙ローラー220と、分離ローラー221と、搬送ローラー222と、読み取り前ローラー223と、読み取り後ローラー224と、第二読み取り位置203と、CIS(Contact Image Sensor)320と、反転ローラー225と、排紙ローラー226と、排出トレイ204とを含む。
【0040】
原稿搬送装置101の給紙トレイ201に積載された原稿200は、給紙ローラー220で給紙され、分離ローラー221で1枚毎に分離され、搬送ローラー222および読み取り前ローラー223で第一読み取り位置202へ搬送される。読み取りユニット103は、第一読み取り位置202を通過する原稿200を露光装置206で露光し、プラテンガラス205、ミラー207,208,209、およびレンズ211を通して、CCD213からRGBデータとして画像データを生成する。第一読み取り位置202を通過した原稿200は、第二読み取り位置203へ搬送される。原稿200は、第二読み取り位置203のCIS320により読み取られ、画像データが生成される。第二読み取り位置203で原稿200が読み取られる面は、第一読み取り位置202で読み取られる面とは逆側の面である。原稿200は、第二読み取り位置203を通過後、反転ローラー225、排紙ローラー226よって搬送され、排出トレイ204へ排出される。このように画像を読み取ることにより、一回の通紙で両面の画像を同時に読み取ることができる。
【0041】
ここで、第一読み取り位置202においては、原稿200は搬送ガイド部材によって、プラテンガラスと非接触で搬送されるよう案内される。また、読み取り後ローラー224の回転速度は、読み取り前ローラー223の回転速度よりも若干速くすることで、原稿200が引っ張られるようになる。それにより、原稿200のたるみによるプラテンガラス205と原稿200との接触を防止する。読取位置のプラテンガラス205上に紙粉や粘着物などの異物があると、それらは読み取り位置に留まるため、原稿200の搬送方向に色筋ノイズとして現れる。異物は主に原稿200とプラテンガラスとの接触によってプラテンガラス上に供給される。上記のように、原稿200をプラテンガラスに接触させないことによって、これらの異物の供給を防いでいる。
【0042】
また、図示しないが、原稿搬送装置101の給紙トレイ201には、給紙時の傾きを防止するためのガイド部材が設けられている。そのガイド部材に連結された位置検出センサと給紙トレイ201の搬送方向に設けられた複数の原稿検出部材との組み合わせにより、給紙トレイ201上の原稿のサイズが判別可能となっている。
【0043】
さらに、原稿搬送装置101では、CIS320を使用せずに、片面読み取り後の原稿を反転させて再び第一読み取り位置202を通過させ、CCD213で原稿の裏面も読み取ることが可能になっている。
【0044】
図3は、図1の画像形成装置に含まれる制御部を示す図である。
【0045】
制御部300は、原稿を読み取る画像読取部1と、画像データを圧縮、伸長するなどの処理を行なう画像処理部5と、画像データを用紙などにプリントする画像形成部303と、データを記憶させる処理を行なう記憶部305と、画像データの印刷処理を制御する画像出力部307と、通信回線を通して画像データを送信するファクシミリ制御部309と、MFPと通信回線および他機器との接続を制御するネットワーク接続部311と、システム全体を制御するCPU(中央演算処理装置)313と、書き換え不可能な読み出しのみのデータが保存されているROM315と、データが一時記憶されるRAM317と、データの書き換えが可能である不揮発メモリ319およびHDD(Hard Disk Drive)321と、システムの情報を表示する表示部323と、システムに処理命令を与えることのできるパネル操作部325とを備える。
【0046】
また、CPU313内には、判別部313aと、削除部313bと、制御部313cと、通報部313dとが備えられ、CPUの各処理を担当している。
【0047】
ファクシミリ制御部309は、受信部309aを含む。
【0048】
さらに、パネル操作部325は、原稿表および裏のそれぞれで別の画質(読取モード)を設定することができる条件設定キー325aを備える。
【0049】
CPU313を中心に、各モジュールが通信および制御信号に基づいて制御される。CPU313は、画像読取部1、画像処理部301、画像形成部303、記憶部305、画像出力部307、ファクシミリ制御部309、ネットワーク接続部311、ROM315、RAM317、不揮発メモリ319、HDD321、表示部323、およびパネル操作部325と通信または信号の送受信を実施することで、制御部300全体を制御する。
【0050】
画像読取部1で読み取られた画像データは、RAM317上に確保されたファイルメモリエリアに一時的に格納される。
【0051】
図4は、画像形成装置の機能構成を示すブロック図である。
【0052】
画像形成装置は、画像読取部1と、原稿の表面と裏面の読取画質をそれぞれ設定することができる操作部401と、それぞれ設定された内容に応じた画像処理を表面と裏面の画像データに対して実施する画像処理部301と、処理された画像データを出力する画像形成部405とを備えている。
【0053】
また画像形成装置は、原稿表面と裏面とで設定すべき画質を、原稿種類または紙種に応じて格納する記憶部305を備える。
【0054】
さらに画像形成装置は、読取った画像データから原稿の紙種を判断する紙種判断部403aと、原稿を透過する光量を検出する透過光量検出部403bと、読取った画像データに基づいて原稿中の各領域を判別する領域判別部403cと、領域判別部403cで判別された情報から、原稿の種類を判断する原稿種類判断部403dとからなる紙種・原稿判断部403を具備する。
【0055】
図5は、記憶部305に格納される原稿種類に応じた画質設定、および紙種に応じた画質設定を示す図である。
【0056】
図5の左に示されるように、原稿種類ごとに設定される画質が格納される。すなわち、原稿が文字/写真原稿であれば原稿1の設定が、原稿が文字原稿であれば原稿2の設定が、原稿が写真原稿であれば原稿3の設定が採用される。ここで、設定は原稿の表と裏とで独自に行なうことが可能である。すなわち、表が文字主体であり、裏が写真主体の原稿であれば、表に対して原稿2の設定が、裏に対して原稿3の設定がなされる。
【0057】
図5の右に示されるように、原稿の紙の種類ごとに設定される画質が格納される。すなわち、原稿が薄紙1であれば紙1の設定が、原稿が薄紙2であれば紙2の設定が、原稿が厚紙1であれば紙3の設定が採用される。ここでも、画質の設定は原稿の表と裏とで独自に行なうことが可能である。すなわち、表が光沢紙であり、裏が普通紙の原稿であれば、表に対して光沢紙の設定が、裏に対して普通紙の設定がなされる。
【0058】
原稿種類は、予め登録されている文字/写真、文字、写真以外にも、ユーザが任意に登録することも可能である。同様に、紙種も予め登録されている薄紙や厚紙以外にもユーザが任意に登録することが可能である。
【0059】
図6は、パネル操作部325の液晶タッチパネルに表示される、原稿の表と裏の画質を設定する画面を示す図である。
【0060】
ここでは、「表」のキーと「裏」のキーとにより、ユーザはいずれかを選んで、その面の画像モードと画像の濃度とを設定することができる。すなわち、表と裏とでそれぞれに、画像モード(ここでは文字原稿か、文字/写真原稿か、写真原稿か、薄文字原稿か)を設定することができる。
【0061】
また、表と裏とでそれぞれに、画像の読取り濃度(およびコピー時のプリント濃度)を設定することができる。
【0062】
CCDセンサやCISの画像をメモリに格納する際、または出力(印刷など)する際、設定された画質に合わせて画像データの変換が行なわれる。たとえばRGBから別の色空間に変換が行なわれるときに、設定された画質に基づいてデータ変換が行なわれる。
【0063】
図7は、両面の画質の設定後に液晶タッチパネルに表示される、原稿の置き方を説明するメッセージ表示画面を示す図である。
【0064】
裏と表とで異なる画質がセットされたときには、原稿が表裏で正しく置かれる必要がある。このため、スキャン前に図7のような画面が表示され、原稿の置き方についてユーザに説明がなされる。
【0065】
図7の画面は、操作部で、表面と裏面とでの少なくとも一方の画質設定が実施された場合の表示画面であり、原稿の設定に応じて表面を上向きに原稿置き部材に設定するよう促すメッセージが表示されている。ここでは、表面を上向きに設定することを示すメッセージの例を示しているが、原稿搬送装置の構成に応じて裏面を上向きに設定することを示すメッセージが表示される。
【0066】
このような表示により、例えば表が光沢紙、裏が普通紙の原稿などを処理するときに、誤って裏表が逆になることが防止される。
【0067】
図8は、画像形成装置のコピー時の動作を示すフローチャートである。
【0068】
ステップS101において、両面コピー(両面の原稿画像を読取って、それを用紙の両面に複写するコピー)であるかを判定する。YESであれば、ステップS103で原稿の予備スキャンが行なわれ、裏写り防止調整(図9)が実施される。その後、ステップS105で原稿からの画像の両面読込みが行なわれ、画像形成処理が実施され、ステップS107で画像が出力される。
【0069】
片面コピーである場合(S101でNO)は、裏写り防止調整を実施しないで、画像形成処理および画像出力を実施する。
【0070】
裏写りとは、読取った画像を出力(印刷など)し、出力画像を見たときに、原稿の裏側の画像が気になる程度に写り込むこと(またはその印刷物をさらにコピーしたときに裏写りが発生すること)をいう。裏写り防止調整とは、そのような写り込みを防止するための処理である。
【0071】
なお、上述のように、裏写り防止調整は予備スキャンで得られた画像によって行なってもよいし、裏写り防止調整で行なうスキャンを本スキャンとしてもよい。すなわちこの場合、ステップS105ではスキャンが行なわれず、裏写り防止調整で得られた画像に基づいて画像形成が行なわれる。
【0072】
図9は、図8の裏写り防止調整処理(S103)の内容を示すフローチャートである。
【0073】
裏写り防止を実施するために、ステップS201で原稿のスキャンを行ない、表面と裏面との画像データの濃度差を算出する。ここでは、表面の画像データの平均濃度と、裏面の画像データの平均濃度との差を算出してもよいし、1ページ内で領域判別を実施し、表裏の各領域での平均濃度の差を算出してもよい。例えば、表裏の各文字領域での平均濃度の差を算出してもよい。
【0074】
ステップS203において、算出された濃度差が所定値aより大きいかを判定する。YESであれば、ステップS205で裏写り防止処理が実施される。
【0075】
裏写り防止処理とは、表と裏とで設定された濃度のいずれかを無効にする、または両方を無効にする処理である。例えば、画質設定で濃度が濃い側に設定されていても、デフォルトの状態にリセットする(画質の変更を禁止する)ものである。これにより、読取り側とは反対の面の画像が、読取り画像に写り込むことが防止される。
【0076】
なお、裏写り防止処理としては、表と裏とで設定された濃度を、逆の面が写り込まない程度に薄くする処理を実行してもよい。
【0077】
また、裏写り防止処理は、裏写りが生じる可能性がある領域のみに対して行なってもよい。たとえば、表と裏とで用紙の同じ位置に文字がある領域などである。
【0078】
[第2の実施の形態]
【0079】
本発明の第2の実施の形態における画像形成装置のハードウェア構成は、第1の実施の形態におけるそれと同じであるためここでの説明は繰り返さない。
【0080】
本実施の形態における画像形成装置も、表面および裏面で異なる画質の設定を行なうことが可能である。表面および裏面での画質設定の組み合わせでは、正常な画質とならない場合に、その組み合わせが禁止される。
【0081】
図10は、第2の実施の形態における画像形成装置の実行する画像設定内容の組み合わせ禁止(組禁)処理を示すフローチャートである。
【0082】
ステップS301において表面の、ステップS303において裏面のそれぞれの画質設定の内容(画質変更の内容)が取得される。ステップS305において、表と裏のそれぞれで設定された画質が、他方に影響を及ぼす組み合わせとなっているかを判断する。
【0083】
影響を及ぼす組み合わせの場合(S305でYES)は、ステップS307で、設定に応じて、組禁とするかを判定する。
【0084】
ステップS307でYESであれば、ステップS309で組禁を実施する。ステップS307でNOであれば、ステップS311で画質設定の変更を促す表示を行なう。
【0085】
ステップS305でNOであれば、図10の処理を終了し、設定された画質で原稿の読取り処理を行なう。
【0086】
図11は、図10のステップS309で表示される組禁を示すメッセージ画面を示す図である。
【0087】
組禁が実行される際には、先に設定した面(表面または裏面)の設定を優先させても良いし、設定順に関係なく表と裏とのいずれかを優先させるようにしてもよい。さらに、表と裏のいずれの設定も無効にしても良い。
【0088】
図12は、図10のステップS311で表示される設定変更を促すメッセージ画面を示す図である。
【0089】
この画面においては、ユーザに対して画質が他方の面に影響を出す可能性がある旨表示される。紙種の変更、または両面コピーから他の出力形態への変更を促す内容が表示される。
【0090】
図13は、組禁発生時のメッセージの切り替えを設定するための画面を示す図である。
【0091】
ここでユーザは、画質の変更に対するメッセージとして、図11のメッセージを表示するか、図12のメッセージを表示するか切り替えることが可能である。組禁発生時、この設定に応じて図11または図12のメッセージが表示される。
【0092】
[第3の実施の形態]
【0093】
本発明の第3の実施の形態における画像読取装置のハードウェア構成は、第1の実施の形態におけるそれと同じであるためここでの説明は繰り返さない。
【0094】
本実施の形態における画像読取装置も、表面および裏面で異なる画質の設定を行なうことが可能である。表面および裏面での画質設定は、原稿の紙の種類、および原稿の表と裏の領域の種類に応じて切り替えられる。
【0095】
図14は、第3の実施の形態における画像読取装置の実行する紙種に基づく画質切り替え処理を示すフローチャートである。
【0096】
ステップS401で、原稿の一部(端部)の画像を読込む。ステップS403で、原稿の透過光量を透過光量検出部403bにより測定する。これに基づき、ステップS405で原稿の紙の厚さが測定される。
【0097】
ステップS407で、読取られた原稿の画像の解析を行なう。ステップS409で画像解析に基づき、原稿両面の下地部分の色・濃度のマッチング結果と、透過光量と、紙の厚さとの組み合わせから、紙種を決定する。
【0098】
ステップS411において、図5の右のテーブルに基づいて、紙種に基づいて表と裏とで設定する画質が切り替えられる。
【0099】
図15は、図14のステップS409で用いられる紙種判断テーブルを示す図である。
【0100】
透過光量と、紙厚と、下地色の組み合わせ(表および裏)とに基づいて、複数の紙種からもっとも近いものが選択される。
【0101】
予め登録されている薄紙や厚紙といった紙種以外にも、ユーザは任意に、透過光量と紙厚と下地色との組み合わせで、対応する紙種を登録することが可能である。また、本実施の形態では透過光量、紙厚、および下地色から紙種を判別しているが、紙送りのトルクや、反射光量といった情報で紙種を判別しても良い。
【0102】
これにより、紙種に応じてその裏と表とで適切な画質を設定することができる。
【0103】
図16は、第3の実施の形態における画像読取装置の実行する原稿種類に基づく画質切り替え処理を示すフローチャートである。
【0104】
ステップS451において、原稿の表および裏の画像の読込みが行なわれる。ステップS453において、領域判別部403cで原稿の表面と裏面との双方の画像に対して領域判別が実施される。これは、画像中の文字領域、写真領域、図画領域などを検出するものである。
【0105】
ステップS455において、その領域判別の結果により原稿種類を決定する。ステップS457において、図5の左のテーブルに基づいて、決定された原稿種類に応じて表面と裏面との画質の設定を切り替える。
【0106】
ここでは、予め登録されている原稿の種類を識別することとしているが、領域判別の各判断パラメータのしきい値を個別に設定し、ユーザが任意に登録した原稿の種類を判別するようにしても良い。
【0107】
領域判別としては、一般的に知られている黒文字部、色文字部、白アミ点部、黒アミ点部、高周波数成分、および低周波数成分を検出し、それらの比率に応じて領域を判断する方法を用いても良いし、特殊な原稿を識別するために専用の領域判別方法を登録できるようにしても良い。
【0108】
[第4の実施の形態]
【0109】
本発明の第4の実施の形態における画像読取装置も、表面および裏面で異なる画質の設定を行なうことが可能である。表面および裏面での画質設定に基づいて、画像の読込みの時点で文字の識別機能の有効/無効を切り替える。
【0110】
図17は、第4の実施の形態における画像読取装置の全体構成を示すブロック図である。
【0111】
画像読取装置は、両面原稿の裏表を同時に読取ることが可能な読取部1と、読取った画像から文字部を識別する文字識別部501と、識別された文字データを文字の位置と合わせて格納する文字情報格納部503と、文字部と判断するレベルを設定したり読取モードや原稿モードを指定する操作部325と、設定された読取モードや原稿モードに応じて画像処理を実施する画像処理部301とを備えている。
【0112】
文字情報格納部503において格納される情報は、一般的に文字をコード化した状態であっても良いし、画像データそのものであっても良い。さらに文字の位置については、表面と裏面の文字部に対し、全て1文字毎の座標を持っても良いし、文字列として認識し、文字列の座標として持っても良い。
【0113】
図18は、第4の実施の形態における画像読取装置が実行する文字識別機能禁止処理を示すフローチャートである。
【0114】
図を参照して、ステップS501において原稿モード(設定された画質)を取得する。ステップS503で、表面が写真モードの設定である場合には、ステップS505で裏面の文字識別を禁止する。
【0115】
またステップS507で、裏面が写真モードであれば、ステップS509で表面の文字識別を禁止する。
【0116】
写真がプリントされた面は、下地が無い場合が多く、画像濃度も大きい。このため、文字画像の裏面が写真原稿であると、文字の識別性能が劣化し、誤判別が生じやすくなる。このため、写真モードが設定された面の裏側では、文字の識別を禁止するものである。
【0117】
なおここでは、一律に一方の面のモード設定に応じて、反対面の文字識別機能を禁止するか否か決めているが、一方の面で文字部と検出された領域の反対面の位置が写真部分であると検出されたときにのみ、その文字部の文字識別機能を禁止するようにしても良い。
【0118】
[第5の実施の形態]
【0119】
本発明の第5の実施の形態における画像読取装置のハードウェア構成は、第1の実施の形態におけるそれと同じであるためここでの説明は繰り返さない。
【0120】
本実施の形態における画像読取装置も、表面および裏面で異なる画質の設定を行なうことが可能である。表面および裏面のそれぞれの文字部の位置などに基づいて、画質設定の変更を許可するか否かが決められる。これにより、文字の画像に裏の画像が写り込むなどの影響が出ることが防止される。
【0121】
図19は、第5の実施の形態における画像読取装置が実行する文字部の画質変更禁止処理を示すフローチャートである。
【0122】
ステップS601において、原稿の両面の画像を読込み、ステップS603およびS605で、表面および裏面の文字部を抽出する。ステップS607で、抽出された文字部の解析を実施し、ステップS609で全ての文字部をチェックしたかを判定する。
【0123】
ステップS609ですべての文字部をチェックしていない場合は、ステップS611で表と裏の文字部の位置が同じかを判断する。同じ位置となる場合、ステップS613で表の文字部の文字属性と、裏の文字部の文字属性とが異なるかを判定する。YESであれば、片面の文字が他方の面の文字に、裏写りなどの影響を及ぼす可能性があるため、ステップS615で画質の変更を禁止とする。
【0124】
なおここに「文字属性」とは、黒文字、色文字、白抜き文字、ネガポジ文字(反転文字)などの文字の種類を示す。
【0125】
ステップS611またはS613でNOであれば、ステップS607に戻り、全ての文字部の解析が終了するまで、次以降の文字部の解析を繰り返す。
【0126】
ステップS609でYESとなれば、処理を終了し、画質変更を禁止しない。
【0127】
図20は、第5の実施の形態における画像読取装置が実行する色文字部の画質変更禁止処理を示すフローチャートである。
【0128】
ステップS701において、原稿の両面の画像を読込み、ステップS703およびS705で、表面および裏面の色文字部を抽出する。ステップS707で、抽出された色文字部の解析を実施し、ステップS709で全ての色文字部をチェックしたかを判定する。
【0129】
ステップS709ですべての色文字部をチェックしていない場合は、ステップS711で表と裏の色文字部の位置が同じかを判断する。同じ位置となる場合、ステップS713で、表と裏の色文字部の色相が所定のズレ以上あるか、またはカラーバランスが所定の差以上あるか(表と裏とでカラーバランスが異なるか)を判定する。
【0130】
ステップS713でYESであれば、一方の面の色相やカラーバランスの設定が他方の面の画像に影響を与える可能性があるため、ステップS715で画質変更を禁止とする。
【0131】
ステップS711またはS713でNOであれば、ステップS707に戻り、全ての色文字部の解析が終了するまで、次以降の色文字部の解析を繰り返す。
【0132】
ステップS709でYESとなれば、処理を終了し、画質変更を禁止しない。
【0133】
図21は、第5の実施の形態における画像読取装置が実行する文字部の画質変更禁止処理を示すフローチャートである。
【0134】
ステップS801において、原稿の両面の画像を読込み、ステップS803およびS805で、表面および裏面の文字部および写真部を抽出する。ステップS807で、抽出された文字部の解析を実施し、ステップS809で全ての文字部をチェックしたかを判定する。
【0135】
ステップS809ですべての文字部をチェックしていない場合は、ステップS811で原稿の一方の面の文字部の位置と、他方の面の写真部の位置が同じかを判断する。同じ位置となる場合、片面の写真部の画像が他方の面の文字に、裏写りなどの影響を及ぼす可能性があるため、ステップS815で画質の変更を禁止とする。
【0136】
ステップS811でNOであれば、ステップS807に戻り、全ての文字部の解析が終了するまで、次以降の文字部の解析を繰り返す。
【0137】
ステップS809でYESとなれば、処理を終了し、画質変更を禁止しない。
【0138】
図22は、第5の実施の形態における画像読取装置が実行する文字部の画質変更禁止処理を示すフローチャートである。
【0139】
ステップS901において、原稿の両面の画像を読込み、ステップS903およびS905で、表面および裏面の文字部を抽出する。ステップS907で、抽出された文字部の解析を実施し、ステップS909で全ての文字部をチェックしたかを判定する。
【0140】
ステップS909ですべての文字部をチェックしていない場合は、ステップS911で表と裏の文字部の位置が同じかを判断する。同じ位置となる場合、ステップS913で表の文字部の濃度と、裏の文字部の濃度との和が所定値Dを超えるか判定する。YESであれば、片面の文字が他方の面の文字に、裏写りなどの影響を及ぼす可能性があるため、ステップS915で画質の変更を禁止とする。
【0141】
ステップS911またはS913でNOであれば、ステップS907に戻り、全ての文字部の解析が終了するまで、次以降の文字部の解析を繰り返す。
【0142】
ステップS909でYESとなれば、処理を終了し、画質変更を禁止しない。
【0143】
なお、ステップS913では濃度の和と所定値Dとを比較して判断をするようにしたが、文字の濃度の差が所定の差D’を越える場合にYESと判断しても良い。
【0144】
図23は、第5の実施の形態における画像読取装置が実行する処理の具体例を示す図である。
【0145】
ここでは原稿の表面に、「A」、「B」、「C」、「D」の文字が記載されている状態を示している。原稿の右方向をX方向、原稿の下方向をY方向とする。
【0146】
「A」の文字は、黒字に白抜きの文字(反転文字)である。「B」の文字は、シアンの色文字である。「C」の文字は、通常の黒文字である。「D」の文字は、高濃度の黒文字である。
【0147】
原稿の裏面には、「あ」、「い」、「え」の文字、および写真が存在する状態を示している。
【0148】
「あ」の文字は、通常の黒文字である。「い」の文字は、赤の色文字である。「え」の文字は、低濃度の黒文字である。写真の部分は、写真領域を示す。
【0149】
「A」の裏に、「あ」が位置する。すなわち表と裏とで、「A」の文字部と「あ」の文字部とは同じ位置にある。同様に、「B」の裏に、「い」が位置する。「C」の裏に、写真部が位置する。「D」の裏に、「え」が位置する。
【0150】
表と裏とで同じ位置に、このような文字が存在することとなった場合、画質の設定が禁止される。
【0151】
すなわち、「A」と「あ」の組み合わせにおいては、図19のフローチャートにより、ステップS611で表と裏の同じ位置に文字がある(YES)と判断され、ステップS613で表の文字部の属性(白抜き文字)と、裏の文字部の属性(通常文字)とが異なる(YES)と判断される。
【0152】
表裏の関係になる「A」と「あ」において、「A」が反転(ハッチング)している場合、他方の「あ」に裏写りが起こりうる。また逆に、裏面の「あ」の文字も、白抜き文字部である「A」に影響する可能性がある。この場合は、画質の設定を禁止することで画像が濃くなりすぎないようにするものである。
【0153】
また、「B」と「い」の組み合わせにおいては、図20のフローチャートにより、ステップS711で表と裏の同じ位置に色文字がある(YES)と判断され、ステップS713で表の文字部の色相(青)と、裏の文字部の色相(赤)とでカラーバランスが異なる(YES)と判断される。
【0154】
表裏の関係になる「B」と「い」において、両者の色が異なりすぎる場合、それぞれが他方の面に裏写りする可能性がある。裏写りが生じると文字の色に影響が出てしまう。従って、画質の設定を禁止することで画像が濃くなりすぎないようにするものである。
【0155】
また、「C」と写真部の組み合わせにおいては、図21のフローチャートにより、ステップS811で表と裏の同じ位置に文字と写真がある(YES)と判断される。
【0156】
表裏の関係になる「C」と写真部において、写真部が他方の面の文字に裏写りする可能性がある。この場合は、画質の設定を禁止することで画像が濃くなりすぎないようにするものである。
【0157】
また、「D」と「え」の組み合わせにおいては、図22のフローチャートにより、ステップS911で表と裏の同じ位置に文字がある(YES)と判断され、ステップS913で表の文字部の濃度の和(または濃度の差)が大きい(YES)と判断される。
【0158】
表裏の関係になる「D」と「え」において、高濃度の文字「D」が低濃度の文字「え」に裏写りする可能性がある。この場合は、画質の設定を禁止することで画像が濃くなりすぎないようにするものである。また、「え」の文字部の濃度を低くするような設定がなされると、「え」が写らなくなるため、画質の設定を禁止するものである。
【0159】
なお、画質の設定(変更)を禁止することに代えて、所定の濃度を超える画質の設定が行なわれることを禁止してもよい。
【0160】
また、図20の処理において、表面と裏面とで色文字が識別されると、画質の設定(変更)を禁止することに代えて、色相またはカラーバランスに関する画質の設定が行なわれることを禁止してもよい。
【0161】
[第6の実施の形態]
【0162】
本発明の第6の実施の形態における画像形成装置のハードウェア構成は、第1の実施の形態におけるそれと同じであるためここでの説明は繰り返さない。
【0163】
本実施の形態における画像形成装置も、表面および裏面で異なる画質の設定を行なうことが可能である。表面および裏面のそれぞれの文字部の位置などに基づいて、片面の画像に裏の画像が写り込むなどの影響が出ることを防止する方法として、本実施の形態における画像読取装置は、出力形態を変更する。
【0164】
図24は、第6の実施の形態における画像形成装置が実行する出力形態変更を説明するための図である。
【0165】
両面原稿を処理する場合において、通常はそれを両面の出力物としてプリントする。
【0166】
第6の実施の形態における画像読取装置は、第1〜第5の実施の形態と同様の処理を行ない、
【0167】
(1)裏と表とで濃度差が大きくなり、裏写り防止処理を行なう場合(図9のS205)、
【0168】
(2)裏と表とで画質設定を組禁とする場合(図10のS309)、または、
【0169】
(3)裏面の同じ位置にある画像が、文字に影響を与えるため、画質変更を禁止する場合(図19のS615、図20のS715、図21のS815、図22のS915)、
【0170】
が生じると、それらの処理に代えて表裏の画像の位置をずらす処理を行なう。
【0171】
すなわち、両面コピーにおいて画質設定が反対面の画質に影響をする場合は、反対面のない片面出力に変更を行なったり、2in1(他、Nin1)出力に変更を行なったり、表と裏の位置関係が変化する週刊誌綴じ出力に変更を行なったりするものである。これにより、ユーザが所望とする画質を設定することができ、かつ画質設定による悪影響を防ぐことが可能となる。
【0172】
また、出力形態の変更を行なうときには、ユーザに所望のものを選択させても良いし、デフォルトの出力形態で出力を行なっても良い。
【0173】
なお、図10のステップS309では組禁を実施し、ステップS311において、図24のように出力形態を変更することをユーザに促す処理を行なっても良い。
【0174】
また、ここでは出力形態(出力方法)を変更することとしたが、両面コピーにおいて画質設定が反対面の画質に影響をする場合は、紙(原稿の紙、またはコピー用紙)の変更を促すようにしてもよい。
【0175】
[実施の形態における効果]
【0176】
以上のように、画像読取装置は、表と裏とで個別に画質を設定することが可能な操作部と、操作部によって指定された表と裏の画質に応じて、読取った両面原稿の画像を印字するために、画像処理を行う画像形成部とを備えている。
【0177】
操作部においては、原稿の表と裏とで、原稿モード、画質モード(カラーバランス、シャープネス、コントラスト、明度、色相、濃度等)、およびカラーモードが少なくとも個別に切り替え可能であることが好ましい。
【0178】
これにより、ユーザが求めるように、表と裏とで別々の画質で読取りデータを取得することができる。また、そのように読取られたデータでの画像出力が可能となる。
【0179】
また、設定内容が画質に影響することを防ぐことができ、ユーザの意図しない画像が出力されることが防止される。
【0180】
[その他]
【0181】
なお、原稿の紙の種類(厚さなど)は、裏写りに影響する。裏写りが生じる可能性がある場合には、現在の原稿の紙種では裏写りが発生する場合がある旨、ユーザに表示するようにしてもよい。また、このような表示は原稿の紙種を判断することで行なってもよい。
【0182】
上述の実施の形態における処理は、ソフトウエアによって行なっても、ハードウエア回路を用いて行なってもよい。
【0183】
また、上述の実施の形態における処理を実行するプログラムを提供することもできるし、そのプログラムをCD−ROM、フレキシブルディスク、ハードディスク、ROM、RAM、メモリカードなどの記録媒体に記録してユーザに提供することにしてもよい。また、プログラムはインターネットなどの通信回線を介して、装置にダウンロードするようにしてもよい。
【0184】
なお、上記実施の形態は、すべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【図面の簡単な説明】
【0185】
【図1】第1の実施の形態における画像形成装置の概観を示す図である。
【図2】自動原稿送り装置を含む画像読取部1の構成を示す図である。
【図3】図1の画像形成装置に含まれる制御部を示す図である。
【図4】画像形成装置の機能構成を示すブロック図である。
【図5】記憶部305に格納される原稿種類に応じた画質設定、および紙種に応じた画質設定を示す図である。
【図6】パネル操作部325の液晶タッチパネルに表示される、原稿の表と裏の画質を設定する画面を示す図である。
【図7】両面の画質の設定後に液晶タッチパネルに表示される、原稿の置き方を説明するメッセージ表示画面を示す図である。
【図8】画像形成装置のコピー時の動作を示すフローチャートである。
【図9】図8の裏写り防止調整処理(S103)の内容を示すフローチャートである。
【図10】第2の実施の形態における画像読取装置の実行する画像設定内容の組み合わせ禁止(組禁)処理を示すフローチャートである。
【図11】図10のステップS309で表示される組禁を示すメッセージ画面を示す図である。
【図12】図10のステップS311で表示される設定変更を促すメッセージ画面を示す図である。
【図13】組禁発生時のメッセージの切り替えを設定するための画面を示す図である。
【図14】第3の実施の形態における画像読取装置の実行する紙種に基づく画質切り替え処理を示すフローチャートである。
【図15】図14のステップS409で用いられる紙種判断テーブルを示す図である。
【図16】第3の実施の形態における画像読取装置の実行する原稿種類に基づく画質切り替え処理を示すフローチャートである。
【図17】第4の実施の形態における画像読取装置の全体構成を示すブロック図である。
【図18】第4の実施の形態における画像読取装置が実行する文字識別機能禁止処理を示すフローチャートである。
【図19】第5の実施の形態における画像読取装置が実行する文字部の画質変更禁止処理を示すフローチャートである。
【図20】第5の実施の形態における画像読取装置が実行する色文字部の画質変更禁止処理を示すフローチャートである。
【図21】第5の実施の形態における画像読取装置が実行する文字部の画質変更禁止処理を示すフローチャートである。
【図22】第5の実施の形態における画像読取装置が実行する文字部の画質変更禁止処理を示すフローチャートである。
【図23】第5の実施の形態における画像読取装置が実行する処理の具体例を示す図である。
【図24】第6の実施の形態における画像読取装置が実行する出力形態変更を説明するための図である。
【符号の説明】
【0186】
1 画像読取部
3 画像処理部
5 画像形成部
7 給紙部
9 排紙部
101 原稿搬送装置
103 読み取りユニット
200 原稿
201 給紙トレイ
204 排出トレイ
205 プラテンガラス
206 露光装置
220 給紙ローラー
226 排紙ローラー
300 制御部
301 画像処理部
303 画像形成部
305 記憶部
307 画像出力部
309 ファクシミリ制御部
323 表示部
325 パネル操作部
325a 条件設定キー
401 操作部
403 紙種・原稿判断部
403a 紙種判断部
403b 透過光量検出部
403c 領域判別部
403d 原稿種類判断部
405 画像形成部
501 文字識別部
503 文字情報格納部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
両面原稿の表面と裏面とを読込んで画像データを作成することが可能な読取部と、
前記表面と前記裏面とで異なる画質を設定することが可能な設定手段とを備えた、画像読取装置。
【請求項2】
前記表面と前記裏面とで異なる画質の組合せをユーザが設定することができる操作部をさらに備え、
前記設定手段は、前記読取部で作成される画像データの画質を、前記操作部で設定された前記表面と前記裏面の画質に切替える、請求項1に記載の画像読取装置。
【請求項3】
前記設定手段は、前記両面原稿の紙種または原稿種類に応じて、前記表面と前記裏面とで異なる画質を前記読取部に設定する、請求項1または2に記載の画像読取装置。
【請求項4】
表面と裏面との画質の組合せを、原稿の紙種または原稿種類に対応して記憶する記憶手段をさらに備え、
前記設定手段は、前記記憶手段に記憶された原稿の紙種または原稿種類に対応する表面と裏面との画質の組合せに応じて、前記表面と前記裏面とで異なる画質を設定する、請求項1から3のいずれかに記載の画像読取装置。
【請求項5】
前記読取部で原稿の両面を読取る時に、裏写り防止を実施する実施手段をさらに備えた、請求項1から4のいずれかに記載の画像読取装置。
【請求項6】
前記実施手段は、原稿の表面と裏面との両方の画像の濃度差が所定の値を超える領域に対し裏写り防止処理を行なう、請求項5に記載の画像読取装置。
【請求項7】
前記実施手段は、原稿の表面と裏面とで設定しようとする画質で読取られる画像が、反対面の画像の影響を受ける場合に、その設定を禁止する、または設定内容の変更を促す、請求項5に記載の画像読取装置。
【請求項8】
前記設定内容の変更は、紙種変更、または片面コピー、Nin1、週刊誌綴じその他の出力方法の変更である、請求項7に記載の画像読取装置。
【請求項9】
前記実施手段は、原稿の表面と裏面とにおける、画像の濃度、色相、およびカラーバランスの少なくとも1つに基づいて、読取られる画像が、反対面の画像の影響を受けるか否かを判定する、請求項7または8に記載の画像読取装置。
【請求項10】
前記設定に基づいて、原稿の置き方を表示する表示手段をさらに備えた、請求項1から9のいずれかに記載の画像読取装置。
【請求項11】
前記読取部で読取った原稿の表面と裏面との画像に基づいて、原稿種類を判別する原稿種類判別部をさらに備え、
前記設定手段は、前記原稿種類判別部での判別結果に従い、前記表面と前記裏面とで異なる画質を設定する、請求項1から10のいずれかに記載の画像読取装置。
【請求項12】
画像読取部で読取った原稿の表面と裏面との画像に基づいて、原稿の紙種を判別する原稿紙種判別部をさらに備え、
前記設定手段は、前記原稿紙種判別部での判別結果に従い、前記表面と前記裏面とで異なる画質を設定する、請求項1から11のいずれかに記載の画像読取装置。
【請求項13】
前記読取部で読取った画像から文字を識別する文字識別部と、
前記文字識別部で識別された文字を文字識別情報として格納する格納部とをさらに備えた、請求項1から12のいずれかに記載の画像読取装置。
【請求項14】
前記設定手段で、画質として写真モードが設定されている場合には、前記文字識別部の機能を禁止する、請求項13に記載の画像読取装置。
【請求項15】
前記読取部で読取った画像の表面と裏面とが共に文字部となる場合は、前記設定手段で所定の濃度を超える設定が行なわれることを禁止する、請求項13または14に記載の画像読取装置。
【請求項16】
前記読取部で読取った画像の表面と裏面とで色文字が識別された場合は、色相またはカラーバランスの設定を禁止する、請求項13から15のいずれかに記載の画像読取装置。
【請求項17】
請求項1から16のいずれかに記載の画像読取装置と、
前記読取部で作成された画像データに基づいて、用紙の両面に画像を形成することが可能な画像形成部とを備えた、画像形成装置。
【請求項18】
両面原稿の表面と裏面とを読込んで画像データを作成することが可能な読取部を備えた画像読取装置の制御方法であって、
前記表面と前記裏面とで異なる画質を設定する設定ステップを備えた、画像読取装置の制御方法。
【請求項19】
両面原稿の表面と裏面とを読込んで画像データを作成することが可能な読取部を備えた画像読取装置の制御プログラムであって、
前記表面と前記裏面とで異なる画質を設定する設定ステップをコンピュータに実行させる、画像読取装置の制御プログラム。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate

【図14】
image rotate

【図15】
image rotate

【図16】
image rotate

【図17】
image rotate

【図18】
image rotate

【図19】
image rotate

【図20】
image rotate

【図21】
image rotate

【図22】
image rotate

【図23】
image rotate

【図24】
image rotate


【公開番号】特開2009−171195(P2009−171195A)
【公開日】平成21年7月30日(2009.7.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−6717(P2008−6717)
【出願日】平成20年1月16日(2008.1.16)
【出願人】(303000372)コニカミノルタビジネステクノロジーズ株式会社 (12,802)
【Fターム(参考)】