説明

画像読取装置および画像形成装置

【課題】ピント調整機構を設けなくても、コンタクトガラス上の読取媒体の画像と、カード挿入口に挿入されたカードの画像とを鮮明に読み込むことができる画像読取装置および画像形成装置を提供する。
【解決手段】カード挿入口120にカードCを挿入して、スタートキー158を押すと、カード搬送ローラ104a,104bがカードCと当接し、カード搬送ローラ104a,104bによって、カードCが子圧板105と第2コンタクトガラス155との当接面へ搬送される。そして、カードCの先端が子圧板105のテーパ面に突き当り、カード先端によって子圧板105を第2コンタクトガラス155から離間する方向へ押しのけられ、カードCが、子圧板105と第2コンタクとガラス155との当接面へ挿入される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、スキャナ等の原稿読取装置および複写機、ファクシミリ等の画像形成装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
フラットベッドスキャナ等の画像読取装置においては、一般に、コンタクトガラスに載置された読取媒体たる原稿の画像面に沿って移動可能なキャリッジを備えている。この画像読取装置においては、コンタクトガラス上に原稿を置き、圧板で原稿を押え、キャリッジを移動させながらキャリッジ上の光源からの光をコンタクトガラス上の原稿の画像面に照射し、その反射光をCCD(Charge Coupled Devices)などの撮像素子で受光して画像を読み取る。また、自動原稿搬送装置(ADF:オートドキュメントフィーダー)を搭載した画像読取装置も知られている。この画像読取装置は、読取モードとして、上記と同様にキャリッジを移動させながら画像を読み取るフラットベッドスキャンモードのほか、キャリッジを所定の固定読取位置(ホームポジション)に停止させた状態でADFにより原稿を搬送しながらキャリッジ上の光源からの光を原稿の画像面に照射し、その反射光を撮像素子で受光して画像を読み取るADFスキャンモードを備えている。
【0003】
上記ADFの原稿搬送経路は、曲がっているものが多く、運転免許証などの曲げすぎると、塑性変形するようなカードは、上記ADFスキャンモードで読み取ることができない。このため、このようなカードは、上記フラットベッドスキャンモードで読み取っていた。上記フラットベッドスキャンモードでカードを読み取る場合、コンタクトガラスに対して開閉可能に取り付けられた圧板を開け、コンタクトガラス上にカードをセットし、圧板を閉じてから、カードの読み取りが行われる。一般的に、上記ADFは、圧板と一体的に設けられているため、圧板の開閉にある程度の力がいり、圧板の開閉動作が、煩雑であるという問題がある。
【0004】
特許文献1には、コンタクトガラスと圧板とで構成されたフラットベット読取部とは別に、カードを読み取るためのカード読取部を備えた画像読取装置が記載されている。
図15は、圧板とカード読取部とを取り外した状態の特許文献1に記載の画像読取装置の平面図であり、図16(a)は、特許文献1に記載の画像読取装置のカード読取部200周辺の斜視図であり、(b)は、カード読取部200の断面図である。
図15に示すように、原稿読取装置の原稿台210には、コンタクトガラス211と、カード読取窓212とが形成されている。図16(a),(b)に示すように、カード読取窓212上には、カード挿入口201が設けられたカード読取部200が対向している。一方、コンタクトガラス210には、コンタクトガラス211に対して開閉自在に原稿台210に取り付けられた不図示圧板が対向する。
カードの画像を読み取る場合は、図16(b)に示すように、カード読取部200のカード挿入口201にカードCを挿入する。すると、カードCが、カード読取窓212に対して、所定の間隔を開けて対向する。カード挿入口201にカードCを挿入した後、不図示のスタートボタンをユーザーが押すと、不図示のキャリッジが、カード読取窓212へ移動し、カードCの画像を読み取る。
【0005】
このように、特許文献1に記載の画像読取装置においては、圧板を開閉することなく、カードCの読取を行うことができ、カードの画像を読み取る際の作業を簡素化することができる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1に記載の画像読取装置においては、次のような問題があった。すなわち、特許文献1に記載の画像読取装置は、コンタクトガラス211に載置される原稿画像は、コンタクトガラス211に密接させて、画像が読み取られるのに対し、カードは、読取窓212に対して所定の間隔を開けて画像が読み取られる。従って、コンタクトガラス211に載置される原稿画像と撮像素子との距離と、カード読取部200にセットされたカードCと撮像素子との距離とが互いに異なる。その結果、コンタクトガラス211に載置される原稿画像とカード読取部200にセットされたカード画像との両方にピントを合わせるのが困難である。このため、コンタクトガラス上の原稿画像とカード読取部200にセットされたカードの画像とを鮮明に読み込むためには、ピント調整機構を設ける必要があり、コスト高に繋がるという問題がある。
【0007】
本発明は以上の問題点に鑑みなされたものであり、その目的は、ピント調整機構を設けなくても、コンタクトガラス上の読取媒体の画像と、カード挿入口に挿入されたカードの画像とを鮮明に読み込むことができる画像読取装置および画像形成装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために、請求項1の発明は、読取媒体を設置するコンタクトガラスと、コンタクトガラスに設置された読取媒体をコンタクトガラスに押し付ける圧板と、コンタクトガラスに設置された読取媒体の画像を読み取る画像読取手段とを備えた画像読取装置において、当該画像読取装置内にカードを挿入するためのカード挿入口と、該カード挿入口に挿入されたカードを、コンタクトガラスと圧板との当接面へ挿入するカード挿入手段とを備えた画像読取装置。
また、請求項2の発明は、請求項1の画像読取装置において、上記コンタクトガラスの上記読取媒体が設置される設置領域の一部が、上記カード挿入手段による挿入完了後のカードが設置されるカード設置領域の少なくとも一部として用いられることを特徴とするものである。
また、請求項3の発明は、請求項1または2の画像読取装置において、上記圧板の上記カード挿入口との対向面を、上記カード挿入口へ近づくにつれ上記コンタクトガラスから離間するテーパ面としたことを特徴とするものである。
また、請求項4の発明は、請求項1乃至3いずれかの画像読取装置において、少なくとも上記コンタクトガラスのカードが設置される部分と対向する第1圧板と、上記コンタクトガラスの第1圧板と対向していない部分と対向する第2圧板とを備えたことを特徴とするものである。
また、請求項5の発明は、請求項4の画像読取装置において、上記第2圧板に上記カードが突き当る付き当て面を設けたことを特徴とするものである。
また、請求項6の発明は、請求項1乃至5いずれかの画像読取装置において、上記カード挿入手段は、上記圧板とカード挿入口との間に配置され、上記カード挿入口に挿入されたカードをコンタクトガラスと圧板との当接面に向けて搬送する搬送手段を備えており、上記搬送手段のカード搬送方向長さを、カードのカード搬送方向長さ未満にしたことを特徴とするものである。
また、請求項7の発明は、請求項6の画像読取装置において、上記圧板は、上記コンタクトガラスを保持する筐体に対して開閉自在に取り付けられており、上記搬送手段は、上記筐体に上記カードを押付ながら上記カードを搬送するものであって、上記搬送手段を、上記圧板とともに上記筐体に対して開閉自在に設けたことを特徴とするものである。
また、請求項8の発明は、請求項7の画像読取装置において、上記カード挿入手段は、上記カード挿入口にカードが挿入されたことを検知するカード検知手段と、上記搬送手段を、上記筐体上のカードに対して接離させる接離手段とを備え、上記カード検知手段が、上記カード挿入口にカードが挿入されたことを検知したら、上記搬送手段を上記カードに当接させて、上記カードを上記当接面に向けて搬送し、上記カードの読取動作の終了を検知したら、上記カードを上記カード挿入口に向けて搬送したのち、上記搬送手段を上記カードから離間させるよう制御する制御手段を備えたことを特徴とするものである。
また、請求項9の発明は、請求項7または8の画像読取装置において、上記筐体の上記コンタクトガラスよりも上記カード挿入口側に、上記カード挿入時は、少なくともコンタクトガラス側の端部が、該コンタクトガラスの読取媒体設置面よりも突出し、上記カード抜き出し時は、少なくともコンタクトガラス側の端部が、該コンタクトガラスの読取媒体設置面と同一高さ以下となる底板を設けたことを特徴とするものである。
また、請求項10の発明は、請求項6乃至9いずれかの画像読取装置において、読取媒体がセットされる読取媒体セット部と、読取媒体が排出される読取媒体排出部とを有し、読取媒体セット部にセットされた読取媒体を画像読取手段の読取位置を経由して、上記読取媒体排出部へ排出する自動搬送装置を備え、該自動搬送装置は、上記圧板の上部に設けられており、上記自動搬送搬送装置に上記カード挿入手段を設けたことを特徴とするものである。
また、請求項11の発明は、請求項6乃至10いずれかの画像読取装置において、上記圧板の上部に上記自動搬送搬送装置の上記読取媒体排出部が設けられており、上記カード挿入手段を上記読取媒体排出部の読取媒体搬送方向下流部に設けたことを特徴とするものである。
また、請求項12の発明は、請求項1乃至11いずれかの画像読取装置において、上記カード挿入手段をユニット化して、装置本体に対して着脱可能に構成したことを特徴とするものである。
また、請求項13の発明は、請求項1乃至12いずれかの画像読取装置において、読取媒体がセットされる読取媒体セット部と、読取媒体が排出される読取媒体排出部とを有し、読取媒体セット部にセットされた読取媒体を画像読取手段の読取位置を経由して、上記読取媒体排出部へ排出する自動搬送装置と、上記カード挿入口にカードが挿入されたことを検知するカード検知手段と、上記読取媒体セット部に読取媒体がセットされたことを検知する読取媒体セット検知手段とを備え、コンタクトガラスに設置された読取媒体の画像を読み取るフラットベッドスキャンモードと、カード挿入口に挿入されたカードの画像を読み取るカードスキャンモードと、自動搬送装置で読取媒体を搬送しながら、読取媒体の画像を読み取るADFスキャンモードとを有し、上記カード検知手段の検知結果と、上記読取媒体セット検知手段の検知結果とに基づいて、上記モードを選択するモード選択手段を備えたことを特徴とするものである。
また、請求項14の発明は、請求項1乃至13いずれかの画像読取装置において、上記カード挿入口を、当該装置を操作するための操作部が設けられた側に設けたこと特徴とする画像読取装置。
また、請求項15の発明は、記録材に画像を形成する画像形成手段と、読取媒体の画像を読み取る画像読取装置とを備え、該画像読取装置で読み取った画像を該画像形成手段によって該記録材に形成する画像形成装置において、上記画像読取装置として、請求項1乃至14のいずれかの画像読取装置を用いたことを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、カード挿入手段で、コンタクトガラスと圧板との当接面へカードを挿入するので、カードは、圧板によってコンタクトガラスに圧接する。これにより、コンタクトガラスに設置された読取媒体と画像読取手段との距離と、カード挿入口に挿入されたカードと画像読取手段との距離が同一となり、ピント調整機構などを設けなくても、コンタクトガラスに設置された読取媒体の画像と、カード挿入口に挿入されたカードの画像とを鮮明に読み取ることができる。
また、カード挿入口にカードを挿入することで、カードの画像を読み取ることができるので、圧板を開閉することなく、カードの読取を行うことができ、カードの画像を読み取る際の作業を簡素化することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】実施形態に係る複写機を示す概略構成図。
【図2】同複写機における画像形成部の内部構成の一部を拡大して示す部分拡大構成図。
【図3】同画像形成部における4つのプロセスユニットからなるタンデム部の一部を示す部分拡大図。
【図4】同複写機の画像読取装置の概略構成図。
【図5】同複写機のスキャナ部及びADFを示す斜視図。
【図6】蝶番周辺の拡大斜視図。
【図7】複写機の斜視図。
【図8】(a)は、カード挿入機構を第2コンタクトガラス側からみたときの概略構成図。(b)は、画像読取装置の側面図。
【図9】(a)は、図8に示す点線aの位置の断面図。(b)は、図8に示す点線bの位置の断面図。(c)は、図8に示す点線cの位置の断面図。
【図10】カード読取フロー図。
【図11】カード挿入機構の動作を説明する図。
【図12】カード挿入ユニットを画像読取装置から取り外した様子を説明する図。
【図13】変形例1のカード挿入機構の動作説明図。
【図14】カード挿入口を装置正面に設けた構成を示す図。
【図15】圧板とカード読取部とを取り外した状態の従来の画像読取装置の平面図。
【図16】(a)は、従来の画像読取装置のカード読取部周辺の斜視図。(b)は、従来の画像読取装置のカード読取部の断面図。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明を、電子写真方式の複写機(以下、単に複写機という)に適用した実施形態について説明する。
まず、本実施形態に係る複写機の基本的な構成について説明する。図1は、本複写機を示す概略構成図である。この複写機は、画像形成手段たる画像形成部1と、白紙供給装置40と、画像読取装置50とを備えている。画像読取装置50は、画像形成部1の上に固定されたスキャナ部150と、これに支持される搬送手段たるADF51とを有している。
【0012】
白紙供給装置40は、ペーパーバンク41内に多段に配設された2つの給紙カセット42、給紙カセットから転写紙を送り出す送出ローラ43、送り出された転写紙を分離して給紙路44に供給する分離ローラ45等を有している。また、画像形成部1の給紙路37に転写紙を搬送する複数の搬送ローラ47等も有している。そして、給紙カセット内の転写紙を画像形成部1内の給紙路37内に給紙する。
【0013】
図2は、画像形成部の内部構成の一部を拡大して示す部分拡大構成図である。画像形成手段としての画像形成部1は、光書込装置2や、K,Y,M,C色のトナー像を形成する4つのプロセスユニット3K,Y,M,C、転写ユニット24、紙搬送ユニット28、レジストローラ対33、定着装置34、スイッチバック装置36、給紙路37等を備えている。そして、光書込装置2内に配設された図示しないレーザーダイオードやLED等の光源を駆動して、ドラム状の4つの感光体4K,Y,M,Cに向けてレーザー光Lを照射する。この照射により、感光体4K,Y,M,Cの表面には静電潜像が形成され、この潜像は所定の現像プロセスを経由してトナー像に現像される。なお、符号の後に付されたK,Y,M,Cという添字は、ブラック,イエロー,マゼンタ,シアン用の仕様であることを示している。
【0014】
プロセスユニット3K,Y,M,Cは、それぞれ、感光体とその周囲に配設される各種装置とを1つのユニットとして共通の支持体に支持するものであり、画像形成部1本体に対して着脱可能になっている。ブラック用のプロセスユニット3Kを例にすると、これは、感光体4Kの他、これの表面に形成された静電潜像をブラックトナー像に現像するための現像装置6Kを有している。また、後述するK用の1次転写ニップを通過した後の感光体4K表面に付着している転写残トナーをクリーニングするドラムクリーニング装置15なども有している。本複写機では、4つのプロセスユニット3K,Y,M,Cを、後述する中間転写ベルト25に対してその無端移動方向に沿って並べるように対向配設した、いわゆるタンデム型の構成になっている。
【0015】
図3は、4つのプロセスユニット3K,Y,M,Cからなるタンデム部の一部を示す部分拡大図である。なお、4つのプロセスユニット3K,Y,M,Cは、それぞれ使用するトナーの色が異なる他はほぼ同様の構成になっているので、同図においては各符号に付すK,Y,M,Cという添字を省略している。同図に示すように、プロセスユニット3は、感光体4の周りに、帯電装置23、現像装置6、ドラムクリーニング装置15、除電ランプ22等を有している。
【0016】
感光体4としては、アルミニウム等の素管に、感光性を有する有機感光材の塗布による感光層を形成したドラム状のものを用いている。但し、無端ベルト状のものを用いても良い。
【0017】
現像装置6は、図示しない磁性キャリアと非磁性トナーとを含有する二成分現像剤を用いて潜像を現像するようになっている。内部に収容している二成分現像剤を攪拌しながら搬送して現像スリーブ12に供給する攪拌部7と、現像スリーブ12に担持された二成分現像剤中のトナーを感光体4に転移させるための現像部11とを有している。
【0018】
攪拌部7は、現像部11よりも低い位置に設けられており、互いに平行配設された2本の搬送スクリュウ8、これらスクリュウ間に設けられた仕切り板、現像ケース9の底面に設けられたトナー濃度センサ10などを有している。
【0019】
現像部11は、現像ケース9の開口を通して感光体4に対向する現像スリーブ12、これの内部に回転不能に設けられたマグネットローラ13、現像スリーブ12に先端を接近させるドクタブレード14などを有している。現像スリーブ12は、非磁性の回転可能な筒状になっている。マグネットローラ12は、ドクタブレード14との対向位置からスリーブの回転方向に向けて順次並ぶ複数の磁極を有している。これら磁極は、それぞれスリーブ上の二成分現像剤に対して回転方向の所定位置で磁力を作用させる。これにより、攪拌部7から送られてくる二成分現像剤を現像スリーブ13表面に引き寄せて担持させるとともに、スリーブ表面上で磁力線に沿った磁気ブラシを形成する。
【0020】
磁気ブラシは、現像スリーブ12の回転に伴ってドクタブレード14との対向位置を通過する際に適正な層厚に規制されてから、感光体4に対向する現像領域に搬送される。そして、現像スリーブ12に印加される現像バイアスと、感光体4の静電潜像との電位差によってトナーを静電潜像上に転移させて現像に寄与する。更に、現像スリーブ12の回転に伴って再び現像部11内に戻り、マグネットローラ13の磁極間に形成される反発磁界の影響によってスリーブ表面から離脱した後、攪拌部7内に戻される。攪拌部7内には、トナー濃度センサ10による検知結果に基づいて、二成分現像剤に適量のトナーが補給される。なお、現像装置6として、二成分現像剤を用いるものの代わりに、磁性キャリアを含まない一成分現像剤を用いるものを採用してもよい。
【0021】
ドラムクリーニング装置15としては、ポリウレタンゴム製のクリーニングブレード16を感光体4に押し当てる方式のものを用いているが、他の方式のものを用いてもよい。クリーニング性を高める目的で、本例では、外周面を感光体4に接触させる接触導電性のファーブラシ17を、図中矢印方向に回転自在に有する方式のものを採用している。このファーブラシ17は、図示しない固形潤滑剤から潤滑剤を掻き取って微粉末にしながら感光体4表面に塗布する役割も兼ねている。ファーブラシ17にバイアスを印加する金属製の電界ローラ18を図中矢示方向に回転自在に設け、これにスクレーパ19の先端を押し当てている。ファーブラシ17に付着したトナーは、ファーブラシ17に対してカウンタ方向に接触して回転しながらバイアスが印加される電界ローラ18に転位する。そして、スクレーパ19によって電界ローラ18から掻き取られた後、回収スクリュウ20上に落下する。回収スクリュウ20は、回収トナーをドラムクリーニング装置15における図紙面と直交する方向の端部に向けて搬送して、外部のリサイクル搬送装置21に受け渡す。リサイクル搬送装置21は、受け渡されたトナーを現像装置15に送ってリサイクルする。
【0022】
除電ランプ22は、光照射によって感光体4を除電する。除電された感光体4の表面は、帯電装置23によって一様に帯電せしめられた後、光書込装置2による光書込処理がなされる。なお、帯電装置23としては、帯電バイアスが印加される帯電ローラを感光体4に当接させながら回転させるものを用いている。感光体4に対して非接触で帯電処理を行うスコロトロンチャージャ等を用いてもよい。
【0023】
先に示した図2において、4つのプロセスユニット3K,Y,M,Cの感光体4K,Y,M,Cには、これまで説明してきたプロセスによってK,Y,M,Cトナー像が形成される。
【0024】
4つのプロセスユニット3K,Y,M,Cの下方には、転写ユニット24が配設されている。この転写ユニット24は、複数のローラによって張架した中間転写ベルト25を、感光体4K,Y,M,Cに当接させながら図中時計回り方向に無端移動させる。これにより、感光体4K,Y,M,Cと中間転写ベルト25とが当接するK,Y,M,C用の1次転写ニップが形成されている。K,Y,M,C用の1次転写ニップの近傍では、ベルトループ内側に配設された1次転写ローラ26K,Y,M,Cによって中間転写ベルト25を感光体4K,Y,M,Cに向けて押圧している。これら1次転写ローラ26K,Y,M,Cには、それぞれ図示しない電源によって1次転写バイアスが印加されている。これにより、K,Y,M,C用の1次転写ニップには、感光体4K,Y,M,C上のトナー像を中間転写ベルト25に向けて静電移動させる1次転写電界が形成されている。図中時計回り方向の無端移動に伴ってK,Y,M,C用の1次転写ニップを順次通過していく中間転写ベルト25のおもて面には、各1次転写ニップでトナー像が順次重ね合わせて1次転写される。この重ね合わせの1次転写により、中間転写ベルト25のおもて面には4色重ね合わせトナー像(以下、4色トナー像という)が形成される。
【0025】
転写ユニット24の図中下方には、駆動ローラ30と2次転写ローラ31との間に、無端状の紙搬送ベルト29を掛け渡して無端移動させる紙搬送ユニット28が設けられている。そして、自らの2次転写ローラ31と、転写ユニット24の下部張架ローラ27との間に、中間転写ベルト25及び紙搬送ベルト29を挟み込んでいる。これにより、中間転写ベルト25のおもて面と、紙搬送ベルト29のおもて面とが当接する2次転写ニップが形成されている。2次転写ローラ31には図示しない電源によって2次転写バイアスが印加されている。一方、転写ユニット24の下部張架ローラ27は接地されている。これにより、2次転写ニップに2次転写電界が形成されている。
【0026】
この2次転写ニップの図中右側方には、レジストローラ対33が配設されており、ローラ間に挟み込んだ転写紙を中間転写ベルト25上の4色トナー像に同期させ得るタイミングで2次転写ニップに送り出す。2次転写ニップ内では、中間転写ベルト25上の4色トナー像が2次転写電界やニップ圧の影響によって転写紙に一括2次転写され、転写紙の白色と相まってフルカラー画像となる。2次転写ニップを通過した転写紙は、中間転写ベルト25から離間して、紙搬送ベルト29のおもて面に保持されながら、その無端移動に伴って定着装置34へと搬送される。
【0027】
2次転写ニップを通過した中間転写ベルト25の表面には、2次転写ニップで転写紙に転写されなかった転写残トナーが付着している。この転写残トナーは、中間転写ベルト25に当接するベルトクリーニング装置によって掻き取り除去される。
【0028】
定着装置34に搬送された転写紙は、定着装置34内における加圧や加熱によってフルカラー画像が定着させしめられた後、定着装置34から排紙ローラ対35に送られた後、機外へと排出される。
【0029】
先に示した図1において、紙搬送ユニット22および定着装置34の下には、スイッチバック装置36が配設されている。これにより、片面に対する画像定着処理を終えた転写紙が、切換爪で転写紙の進路を転写紙反転装置側に切り換えられ、そこで反転されて再び2次転写転写ニップに進入する。そして、もう片面にも画像の2次転写処理と定着処理とが施された後、排紙トレイ上に排紙される。
【0030】
次に、画像形成部1の上に固定された画像読取装置50について、説明する。
図4は、画像読取装置50の概略構成図である。
画像読取装置50は、スキャナ部150とADF51とを備えている。
スキャナ部150の筐体157の上面には、第1コンタクトガラス154と、第2コンタクトガラス155とを備えている。スキャナ部150内には、画像読取手段が設けられている。画像読取手段は、光源152aや第1ミラー152bを有する第1キャリッジ152、第2ミラー151aや第3ミラー151bを有する第2キャリッジ151、固定レンズ153、撮像素子(CCD)156などで構成されている。第1キャリッジ152、第2キャリッジ151は、第1コンタクトガラス155に平行に移動可能に設けられている。第2キャリッジ151は、第1キャリッジ152の1/2の速度で移動するよう構成されている。第1キャリッジ152は、未使用時は第1コンタクトガラス154と対向する位置をホームポジション(HP位置)としてそこで停止している。
【0031】
スキャナ部150の上に配設されたADF51には、読取媒体セット部たる原稿トレイ53、ピックアップローラ80、排紙ローラ対93、読取媒体排出部たる排紙トレイ55等が原稿搬送経路に沿って順次配設されている。排紙トレイ55は、排紙ローラ対93によって排出された読取媒体である原稿をスタックするための平面部エリア55aと、排紙トレイ55から原稿落下を防ぐために設けられた斜面部エリア55bとからなる。
【0032】
また、ADF51は、搬送路(イ)、排紙路(ロ)、スイッチバック搬送路(ハ)、反転路(二)を有している。搬送路(イ)はガイド83a、83bの間に形成されたものであり、分離部より分離搬送された原稿MSを第1コンタクトガラス154上へ搬送させるための経路である。排紙路(ロ)は、ガイド87a、87bの間に形成されてあものであり、第1コンタクトガラス154上を通って搬送された原稿MSを排出口94へ移動させるための経路である。スイッチバック搬送路(ハ)は、原稿トレイ53の下部で、かつ、排紙トレイ55の上方に設けられたガイド54a、54bと分岐爪95との間に形成されたものであり、排出口94から排紙された原稿MSをスイッチバックさせて、原稿後端から反転路(二)へ搬送するものである。反転路(ニ)はガイド84a、84bの間に形成されたものであり、搬送路(イ)と合流しており、スイッチバックされた原稿MSを再び搬送路(イ)へ搬送するための経路である。
【0033】
ADF51の排紙トレイ55の底部には、弾性部材を介して白色の圧板97が設けられている。圧板97は、第2コンタクトガラス155上に設置された原稿MSを第2コンタクトガラス155に浮き無く押さえつけるものである。前記の弾性部材は、スポンジ、マジックテープ(登録商標)を用いることができる。また、ブラケットを用いて圧板97と排紙トレイ55との間に隙間が形成されるよう圧板97を支持して、機械的に圧板97を弾性保持しても問題ない。図5に示すように、ADF51と圧板97との一体物は、スキャナ部150に固定された蝶番159によって上下方向に揺動可能に支持されている。そして、その揺動によって開閉扉のような動きをとり、開かれた状態でスキャナ部150の上面の第1コンタクトガラス154や第2コンタクトガラス155を露出させる。
【0034】
図6は、蝶番159周辺の拡大斜視図である。
図に示すように、蝶番159は、ADF51を支えるフレーム部159aと、スキャナ150の上面に固定される固定部159bと有しており、フレーム部159aが固定部159bに対して回動自在に固定されている。固定部159bには、フィラー部材323が取り付けられている。フレーム部159aには、センサ固定板159cが取り付けられており、このセンサ固定板159cに、開閉センサ321が取り付けられている。開閉センサ321は、光透過型センサであり、図に示すように、ADF51が閉じられているとき、センサの受光部と発光部とがフィラー部材323を挟んで対向している。ADF51が開放されると、開閉センサ321の受光部が、発光部からの光を受光し、ADF51が開かれたことを検知する。すなわち、本実施形態においては、開閉センサ321、フィラー部材323などで、開閉検知手段を構成している。
【0035】
また、図5に示すように、スキャナ部150の正面部には、テンキーやディスプレイ等からなる操作部たる本体操作部300を有しており、この本体操作部300は、操作者によって両面読取モードか、あるいは片面読取モードかを示す読取モード設定のためのキー操作や、コピースタートキー158の押下操作などが行われる。
【0036】
本画像読取装置50は、フラットベッドスキャンモードと、ADFスキャンモードとを備えている。フラットベッドスキャンモードは、第2コンタクトガラス155上に載置された状態の原稿の画像を読み取る動作モードである。
【0037】
フラットヘッドスキャンモードでは、第1キャリッジ152がHP位置から図4中右側へ移動しながら第1コンタクトガラス155上にセットされた原稿に光源152aから光を照射する。光源152aから発せられて原稿で反射した走査光は、第1ミラー152b、第2ミラー151a、第3ミラー151b上で順次反射して、固定レンズ153で結像された後、撮像素子(CCD)156に取り込まれる。取り込まれた結像データはデジタル信号として適宜処理され、ファクシミリ機能によって電話回線を介して遠隔地へ送られたり、画像形成部1に送られたりする。
【0038】
ADFスキャンモードでは、原稿トレイ53に原稿MSがセットされたことを原稿積置センサ57により検知され、かつ、テンキーやディスプレイ等からなる本体操作部300のスタートキー158(図5参照)押下操作などが行われると、ピックアップローラ80が待機位置から下降して原稿束における一番上の原稿に当接する。ピックアップローラ80が原稿と当接したら、ピックアップローラ80を回転駆動して、原稿MSを原稿トレイ53上から送り出す。
【0039】
ピックアップローラ80によって送り出された原稿MSは、フィードローラ81とリバースローラ82とで構成された分離部へ搬送される。そして、フィードローラ81とリバースローラ82とによって数枚の原稿が分離され最上位の原稿MSだけが搬送路(イ)へ搬送される。なお、リバースローラ82のかわりに分離パッドを用いてもよい。
【0040】
搬送路(イ)へ搬送された原稿は、搬送ローラ対86により、ガイド83a、83bにより形成された湾曲搬送路へ搬送される間に上下面が逆転され、読取入口ローラ対89のローラ間のニップへ搬送される。ピックアップローラ80、フィードローラ81、搬送ローラ86は、すべての原稿の読取動作が終了するまで常に回転しており、順次搬送ローラ対86へ原稿が搬送される。しかし、搬送ローラ86以降のローラの線速をフィードローラ81の線速に対して早く設定しているので、所定の紙間が形成されて、搬送路(イ)内を原稿が搬送される。
【0041】
読取入口ローラ対89を通過した原稿MSの先端は、レジストセンサ65の直下を通過する。このとき原稿MSの先端がレジストセンサ65によって検知され、読取開始タイミングがとられ、原稿の先端が第1コンタクトガラス154の読取位置を到達するタイミングにあわせて読取が開始される。また、レジストセンサ65により、原稿の後端が検知されると、読取終了のタイミングがとられ、原稿の後端が読取位置を通過するタイミングにあわせて読取が終了される。
【0042】
操作者によって片面読取モードが設定されている場合は、分岐爪95が常に図中実線位置あるため第1コンタクトガラス154を通過した原稿は、排紙ローラ対93によって排出口94から排紙トレイ55に排紙されて、画像面を下に積載されていく。すべての原稿の読取が終了すると、ピックアップローラ80を上昇させて待機位置に移動させる。
【0043】
操作者によって両面読取モードが設定されている場合は、原稿MSの先端がレジストセンサ65に検知されると、読取開始タイミングがとられるとともに、分岐爪95を図中点線位置に移動させ、反転ローラ対96を正転方向(図中時計回り方向)に回転させる。また、フィードローラ81およびピックアップローラ80の駆動をクラッチなどにより解除し、次原稿を給紙せずに待機しておく。第1コンタクトガラス154を通過した原稿は、排紙ローラ対93により排出口94からスイッチバック経路(ハ)に搬送される。
【0044】
レジストセンサ65が原稿の後端を検知してからT秒後(原稿後端が排出口94を完全に抜けるだけの時間を経過した後)に、分岐爪95を図中実線位置に切り替えるとともに、反転ローラ対96の回転方向を逆転方向(図中反時計回り方向)にし、原稿を反転路(ニ)へ導く。反転路(ニ)に進入した原稿は搬送路(イ)へ送り込まれる。そして原稿の先端が再びレジストセンサ65に検知され、読取開始タイミングがとられるとともに、再び分岐爪95を図中点線位置に移動し、反転ローラ26は正転方向に回転させる。そして、裏面の画像が読み込まれた原稿は、排紙ローラ対93により、スイッチバック経路(ハ)へ搬送される。そして、再び、反転路(二)、搬送路(イ)を経て、第1コンタクトガラス上を通過するが、このときは、読取動作は行わない。また、レジストセンサ65により原稿の先端が検知されても、分岐爪95を実線位置の状態にして、原稿を排紙トレイ55におもて面を下にして排紙させる。また、原稿後端の3回目の通過がレジストセンサ56によって検知されると、原稿積置センサ57が原稿を検知しているときは、次原稿の給紙動作が行われ、上述の動作が行われる。一方、原稿積置センサ57が原稿を検知していないときは、両面原稿読取が終了する。
【0045】
また、図7に示すように、スキャナ部150の側面には、運転免許証などの一般的なカードサイズのカードを挿入するカード挿入口120が設けられている。このカード挿入口120の幅と厚みは、一般的なカードサイズとほぼ同サイズとなっている。カード挿入口120に挿入されたカードは、図8、図9に示すような、カード挿入手段たるカード挿入機構100により、第2コンタクトガラス155と圧板との当接面に挿入される。
【0046】
図8(a)は、カード挿入機構100を第2コンタクトガラス155側からみたときの概略構成図であり、(b)は、画像読取装置の側面図である。図9(a)は、図8に示す点線aの位置の断面図であり、図9(b)は、図8に示す点線bの位置の断面図であり、図9(c)は、図8に示す点線cの位置の断面図である。
カード挿入機構100は、ADF51の排紙トレイ55の斜面部エリア55b内に設けられており、カードを第2コンタクトガラス155と圧板との当接面に搬送する搬送手段たる2個のカード搬送ローラ104a,104b、カード挿入口120にカードが挿入されたことを検知するカード検知手段たるカード検知機構110、カード挿入口120に挿入されたカードに対してカード搬送ローラ104a,104bを接離させる接離手段たる揺動アーム101a,101bなどを備えている。
【0047】
2個のカード搬送ローラ104a,104bは、所定の間隔を開けて、回転軸103に固定されており、回転軸103の両端部付近は、軸受などを介して揺動アーム101a,101bに回転自在に支持されている。回転軸103の一端は、不図示の駆動源と接続されており、駆動源の駆動力により、回転駆動する。カード搬送ローラ104a,104bは第2コンタクトガラス155の端部上に配置される。カード搬送ローラ104a、104bは、ゴムなどの部材で構成されている。また、回転軸103には、スポンジなどの柔らかい部材で構成される2個のカード呼び込みローラ102a,102bが、カード搬送ローラ104と揺動アーム101との間に固定されている。カード呼び込みローラ102a,102bの外周面には、カード挿入口120に挿入されたカードに搬送力を付与するための突起Xが形成されている。カード呼び込みローラ102a,102bの直径は、カード搬送ローラ104a,104bの直径よりも大きくなっている。
【0048】
図9(b),(c)に示すように、揺動アーム101bは、略中央部がADFの筐体52に回転自在に支持されている。揺動アーム101bのカード搬送ローラ104bが取り付けられた側と反対側の端部(非ローラ側端部という)には、アクチュエータ107bが設けられている。また、揺動アーム101aも揺動アーム101bと同様な構成を有している。
【0049】
ADF51の筐体52には、カード検知手段たるカード検知機構110が取り付けられている。カード検知機構110は、透過型光学センサからなるカード検知センサ113、フィラー部材111を有している。フィラー部材111は、図9(c)に示すように、鉛直方向に延びるカード当接部111aと、カード当接部に対して傾斜したフィラー部111bと有している。カード当接部111aとフィラー部111bとの間の貫通孔に支持ピン112が貫通している。支持ピン112は、ADF51の筐体52に支持されている。
また、図8(b)に示すように、カード挿入口120のフィラー部材111と対向する箇所は、他の部分よりも広く開口している。これは、読取後のカードをカード挿入口120へ搬送するとき、フィラー部材111のカード当接部111aが、ADF51の筐体52とぶつからないようにするためである。
【0050】
図8に示すように、圧板97の主走査方向両端部付近には、揺動アーム101a,101bの揺動の妨げとならにように、切り欠き97cが形成されている。また、図9(b)、図9(c)に示すように、圧板97のカード挿入口側端部付近には、第2コンタクトガラス155から離間する方向に延びる段差部97aと、第2コンタクトガラス155のカードが設置される部分と離間して対向するこの離間面97bとを有している。離間面97bには、弾性部材108を介して子圧板105が取り付けられている。子圧板105のカード挿入口側には、カード挿入口120へ近づくにつれて第2コンタクトガラス155から離間するテーパ面が形成されている。すなわち、本実施形態においては、子圧板105が、コンタクトガラスのカードが設置される部分と対向する第1圧板として機能し、圧板97が、コンタクトガラスの第1圧板と対向していない部分と対向する第2圧板として機能する。
【0051】
カード挿入口120は、スキャナ部150の筐体157の上面を削る形で構成されたカード案内溝120a(図12参照)と、ADF筐体52の底面とで構成されている。カード案内溝120aの幅方向長さは、カードの幅とほぼ同じとなっている。スキャナ部150の筐体157の上面を削る形で形成するので、第2コンタクトガラス155の表面とカード挿入口120の底面との高さをほぼ一致させることができ、カードを第2コンタクトガラス155の表面と平行に挿入することで、第2コンタクトガラス155上まで搬送することができる。
【0052】
また、スキャナ部150の筐体157の上面を削ることで、第2コンタクトガラス155の端部付近が露出している。図8に示すように、スキャナ部150の筐体157の上面を削ることで、第2コンタクトガラス155の露出した部分のカード挿入口側端部から、圧板97の段差部97aと対向する位置までが、第2コンタクトガラス155のカード読取領域H1となっている。また、第2コンタクトガラス155のフラッドベッドスキャンモードにおける原稿読取領域H2は、圧板97と子圧板105とが当接する領域であり、図8に示すように、原稿読取領域H2のカード挿入口側端部は、圧板97のカード挿入口側端部となる。カード読取領域H1は、原稿読取領域H2と一部重なっていて、この重なっている部分は、カード挿入機構100によってカードが、圧板と第2コンタクトガラス155との当接面に挿入される部分である。そして、圧板97とカード挿入口120との間に配置されるカード搬送ローラ104a,104b、カード呼び込みローラ102a,102bの直径は、カードの長さよりも十分に短くなっている。よって、原稿読取領域H2のカード挿入口側端部から、カード挿入口120までの長さL1を、カード長さよりも短くできる。一方、第2コンタクトガラス155と、カード挿入口120との間に、第2コンタクトガラス155とは別のカード読取用のガラスを設け、原稿読取領域H2の一部をカード読取領域H1として用いないものは、原稿読取領域H2のカード挿入口側端部から、カード挿入口までの長さが、カード長さより長くなる。よって、原稿読取領域H2の一部をカード読取領域H1として用いないものに比べて、装置を小型化することができる。
【0053】
次に、カードの読取動作について、説明する。
図10は、カード読取フロー図であり、図11は、カード挿入機構100の動作を説明する図である。
図10に示すように、カード挿入口120にカードCを挿入すると、図11(a)に示すように、フィラー部材111のカード当接部111aが押されて、フィラー部材111が図中時計回りに回動し、フィラー部材111のフィラー部111bが、カード検知センサ113の受光部113aと発光部113bとの間に位置して、発光部113bの光を遮断する。これにより、カード挿入口120にカードCがセットされたことが検知される。また、カード挿入口120は、ほぼカード幅であるので、カードCは、カード挿入溝120aにガイドされた状態で挿入される。このため、スキューの心配は無い。
【0054】
カード挿入口120にカードCがセットされたことが検知(S1のYES)されたら、不図示の制御部は、不図示の駆動源を駆動し、回転軸103を回転駆動させ、カード呼び込みローラ102a,102bを正回転(図中時計回りに回転)させる(S2)。そして、カードCの先端が、子圧板105の近傍まで搬送されたら、駆動を停止する。
【0055】
次に、本体操作部300のスタートキー158(図5参照)押下操作などが行われると、不図示の制御部は、読取媒体セット検知手段たる原稿積置センサ57の検知結果、カード検知センサ113の検知結果、開閉センサ321の検知結果を調べて、動作モードを選択する。すなわち、不図示の制御部が、モード選択手段として機能する。原稿積置センサ57が原稿「有り」、カード検知センサ113がカード「無し」、開閉センサ321が「閉」を検知しているときは、上述のADFスキャンモードが選択される。また、原稿積置センサ57が原稿「無し」、カード検知センサ113がカード「無し」、開閉センサ321が「閉」のときは、上述のフラットベッドスキャンモードが選択される。また、原稿積置センサ57が原稿「無し」、カード検知センサ113がカード「有り」、開閉センサ321が「閉」のときは、カード読取モードが選択される。また、開閉センサ321が「開」を検知しているときは、スキャン動作を禁止し、コピースタートキー158の押下操作されても、スキャン動作が開始されないように制御している。
【0056】
本体操作部300のスタートキー158(図5参照)押下操作をトリガーにして、原稿積置センサ57の検知結果、カード検知センサ113の検知結果、開閉センサ321の検知結果を調べた結果、カード読取モードが選択されたら、アクチュエータ107を駆動して、揺動アーム101a,101bの非ローラ側端部を図中上方へ移動させる。すると、スポンジなどの柔らかい部材で構成されたカード呼び込みローラがつぶれていき、カード搬送ローラ104a,104bが下降する(S3)。そして、図11(b)に示すように、カード搬送ローラ104a,104bがカードと当接したら、アクチュエータ107の駆動を停止する。
【0057】
カード搬送ローラ104a,104bがカードCと当接したら、カード搬送ローラ104a,104bを正回転(図中時計回りに回転)させる(S4)。すると、カードCの先端で子圧板105を押し退けて、カードCが、第2コンタクトガラス155と子圧板105との当接面に挿入される。このとき、子圧板105のカード挿入口側側面は、テーパ面となっているため、カードCの先端で、子圧板105を押し退けやすくなっている。また、本実施形態においては、第2コンタクトガラス155のカード読取領域H1に当接する圧板を、子圧板105として、圧板97とは別部材にしている。これにより、第2コンタクトガラス155全体と対向する圧板を押し退けるよりも、少ない搬送力で、圧板を押し退けることができる。カードCは、図11(c)に示すように、カードの先端が、段差部97aに突き当るまで搬送される。カードCの先端を段差部97aに突き当てることで、カードCのスキューを抑制することができる。すなわち、本実施形態においては、この段差部97aが、付き当て面として機能する。
【0058】
カードCの先端が、段差部97aに付き当ったら、カード搬送ローラ104a,104bの駆動を停止し、図11(d)に示すように、第1キャリッジ152を、移動させて第2コンタクトガラス155のカード読取領域H1に設置されたカードCに光源から光を照射し、カードCの画像を読み込む(S5)。このとき、カードは、カード読取領域H1の原稿読取領域H2と重なる部分は、子圧板105により第2コンタクトガラス155側へ押圧され、カード読取領域H1の原稿読取領域H2と重ならない部分は、カード搬送ローラ104a,104bと、カード呼び込みローラ102a,102bとにより第2コンタクトガラス側へ押圧される。よって、カードCの画像を読み込む際に、カードが第2コンタクトガラス155から浮き上がることはない。
【0059】
キャリッジ152が、HPの位置へ戻ったら、カード搬送ローラ104a,104bを逆回転(図中反時計回りに回転)させ(S6)、カードCをカード挿入口120へ向けて搬送し(S6)、図11(e)に示すように、カードCの後端がカード挿入口120から所定量露出したらカード搬送ローラ104a,104bの駆動を停止する。このとき、カードCのカード挿入口120の移動によって、フィラー部材111が図中反時計回りに回動するが、カード挿入口120のフィラー部材111と対向する箇所は、広く開いているため、フィラー部材111のカード当接部111aは、筐体52に当接することはない。これにより、フィラー部材111が、カード挿入口側への移動の妨げとなることはない。そして、図11(f)に示すように、アクチュエータ107を駆動して、カード搬送ローラ104a,104bをカードCから離間させる(S7)。
【0060】
取り込んだカード画像は、用紙の所定の位置に複写される。また、本体操作部300を操作するなどにして、カード画像を用紙のどの位置に複写するかを選択できるよう構成してもよい。
【0061】
このように、本実施形態の画像読取装置においては、カードを第2コンタクトガラスと圧板との当接面に挿入するカード挿入機構100を設けているので、ADF51と圧板97との一体物の開閉動作を行わずに、カードを第2コンタクトガラスにセットすることができる。これにより、カードの画像を読み込む際の作業の手間を簡素化することができる。また、挿入されたカードCは、子圧板105により第2コンタクトガラス155側へ押圧せしめられるので、カードが第2コンタクトガラスに密着し、良好な画像データを得ることができる。また、カードは、筐体157の案内溝120a内を移動し、カード挿入機構100は、ADF51に設けられているため、ADFと圧板の一体物を持ち上げることで案内溝120a内のカードが露出する。これにより、カード搬送不良が発生した際は、ADFと圧板の一体物を持ち上げることで処理を行うことができる。また、カード挿入機構100を搬送路などがないADFの排紙トレイ55の斜面部エリア55bに設けることで、搬送路などのレイアウトを考慮せずに、カード挿入機構100を設けることができる。また、ADF内にカード挿入機構100を設けるので、装置の小型化を図ることができる。
【0062】
また、図11(a)や図11(f)に示すように、カードを搬送するとき以外は、カード搬送ローラ104a、104bは、圧板97の第2コンタクトガラス155と当接する当接面や、子圧板105の第2コンタクトガラス155と当接する当接面よりも、ADF内部に位置している。これにより、ADF51の開閉動作により、カード搬送ローラ104a、104bが第2コンタクトガラス155とぶつかることがなく、第2コンタクトガラス155がカード搬送ローラ104a,104bにより傷つけられることがない。また、ADF51を閉じたときに、圧板97や子圧板105が、第2コンタクトガラス155表面から浮き上がることもない。なお、カード呼び込みローラ102a,102bは、スポンジなどの柔らかい部材で構成されているため、ADF51の開閉動作により、カード呼び込みローラ102a,102bが第2コンタクトガラス155にぶつかったとしても、第2コンタクトガラス155が傷つけられることがほとんどない。また、製造誤差などによって、呼び込みローラ102a,102bの一部が、圧板97や子圧板105の第2コンタクトガラス155との当接面よりも第2コンタクトガラス側に突出していたとしても、ADFを閉じたとき、カード呼び込みローラ102a,102bがつぶれるので、圧板97や子圧板105が、第2コンタクトガラス表面から浮き上がることもない。
【0063】
また、上述では、カード挿入口120から第2コンタクトガラス155にセットされたカードを圧板97とは別の子圧板105で押圧しているが、圧板97で押圧してもよい。このように構成することで、子圧板105や子圧板105を弾性的に支持するための弾性部材108が不要となり、装置を安価にできるというメリットがある。
【0064】
また、図12に示すように、カード挿入機構100をユニット化して、画像読取装置50に対して着脱可能に構成してもよい。
排紙トレイ55の斜面部エリア55bの下部にカード挿入機構100が存在するため、図12に示すように、カード挿入機構100を有するカード挿入ユニット140に排紙トレイの斜面部エリア55bを形成し、排紙トレイの平面部エリア55aからカード挿入ユニット140を着脱可能に構成している。カード自動搬送の機能を必要としないユーザーに対しては、カード挿入機構100が無い、すなわち、斜面部エリア14bの中が空っぽのユニットを装置本体に取り付け、カード自動搬送機能を必要とユーザーに対しては、斜面部エリア14bの中にカード挿入機構100を有するカード挿入ユニット140を装置本体に取り付ける。これにより、カード自動搬送機能を必要としないユーザーに対して、販売機種を安価に提供することもできる。また、カード挿入機構100が無い状態で購入して、後日カード自動搬送機能を必要とする場合に容易に追加することができる。
【0065】
[変形例1]
次に、変形例1について説明する。
上述では、図9(b)、(c)に示すように、第2コンタクトガラス155の表面とカード挿入口120の底面との高さをほぼ一致させているが、製造誤差により完全に一致させることは困難である。第2コンタクトガラス155の表面とカード挿入口120の底面との高さが異なっていると、カード搬送不良が生じるおそれがある。すなわち、カード挿入口120の底面が、第2コンタクトガラス155の表面よりも高さが低いと、カード挿入時に、カードの先端が第2コンタクトガラス155の端部に引っ掛かり、カード搬送不良となるおそれがある。逆に、カード挿入口120の底面が、第2コンタクトガラス155の表面よりも高さが高いと、カード取り出し時に、カードの後端(カード挿入口側端部)が、カード挿入口120の底面の端部に引っ掛かり、カード搬送不良となるおそれがある。そこで、変形例1においては、次のように構成して、カード搬送不良を抑制している。
【0066】
図13は、変形例1の画像読取装置のカード挿入機構周辺の概略構成図である。
図に示すように、スキャナ部150の筐体157のカード案内溝120aに底板131が設けられている。底板131のカード挿入口側端部が、カード挿入口120の側面(カード案内溝の側面でもある)に回転自在に取り付けられており、底板131の第2コンタクトガラス側の端部付近は、コイルスプリング132により筐体157上面から離間する方向へ付勢されている。カード案内溝120aは、第2コンタクトガラス155の表面から底板131の厚み以上削られている。また、筐体157のカード案内溝120aには、上記コイルスプリング132が貫通する貫通孔157aが設けられていて、コイルスプリング132がこの貫通孔157aを貫通して、一端が底板131に取り付けられている。また、コイルスプリング132の他端は、筐体157内部の不図示のバネ取り付け部に取り付けられている。また、揺動アーム101a,101bの搬送ローラ側の端部には、底板131の第2コンタクトガラス側端部を筐体上面へ押し付けるための押付部133が形成されている。
【0067】
図13(a)に示すように、カードCがカード挿入口120に挿入される前の状態においては、底板131の第2コンタクトガラス側端部は、コイルスプリング132の付勢力により筐体157のカード挿入口120の底面部分から離間しており、第2コンタクトガラス表面よりも底板131の第2コンタクトガラス側端部の方が高くなっている。よって、図13(b)に示すように、カードCがカード挿入口120に挿入されたとき、カードCの先端が、第2コンタクトガラス155のカード挿入口側端部に引っ掛かることなく、カードCを第2コンタクトガラス表面へ搬送することができる。
【0068】
次に、カード挿入口120に挿入されたカードCにカード搬送ローラ104a,104bを当接させるべく、揺動アーム101a,101bを図中時計回りに回転させると、揺動アーム101a,101bの押付部133が、底板131と当接する。そして、さらに、カード搬送ローラ104a,104bを当接させるべく、揺動アーム101a,101bを図中時計回りに回転させていくと、底板131が図中反時計回りに回転し、図13(c)に示すように、底板131の第2コンタクトガラス側端部が、カード挿入口120の底面部分と当接する。カード挿入口120の底面部分は、第2コンタクトガラス155の表面から底板131の厚み以上削られているため、底板131の第2コンタクトガラス側端部が、カード挿入口120の底面部分と当接すると、底板131の第2コンタクトガラス側端部は、第2コンタクトガラス表面の高さ以下となる。カード画像の読取が終わり、カード搬送ローラ104a,104bを逆回転させて、カードCをカード挿入口120側へ移動させるときは、底板131が、揺動アームの押付部133によってカード挿入口120の底面部分に押し付けられているので、底板131の第2コンタクトガラス側端部は、第2コンタクトガラス表面の高さ以下となっている。よって、カードCの後端(カード挿入口側端部)は、底板131の第2コンタクトガラス側端部に引っ掛かることなく、カードCをカード挿入口120へ移動させることができる。
【0069】
また、上述では、画像読取装置50の側面に、カード挿入口120を設けているが、図14に示すように、本体操作部300が設けられた側である画像読取装置50の正面にカード挿入口120を設けてもよい。ユーザーが装置を操作する際は、装置の本体操作部300が設けられた側である装置の正面にユーザーが立つので、その装置正面にカード挿入口120を設けることで、カード挿入口120へのカードの抜き出しや挿入の操作性が向上する。
【0070】
以上、本実施形態の画像読取装置によれば、カードが挿入されるカード挿入口120と、カード挿入口120に挿入されたカードを、第2コンタクトガラス155と圧板との当接面へ挿入するカード挿入手段たるカード挿入機構100を備えている。これにより、カード挿入口120にカードを挿入することで、第2コンタクトガラス155にカードをセットすることができる。その結果、第2コンタクトガラス155にカードをセットするために、圧板を開閉する必要がなくなり、カードの画像を読み取る際の作業を簡素化することができる。
また、第2コンタクトガラスと圧板との当接面にカードを挿入するので、カードは、第2コンタクトガラス表面にセットされる原稿と同様、第2コンタクトガラス表面と密接した状態で読取が行われる。よって、第2コンタクトガラス表面にセットされる原稿の画像を読み取るときと、カード挿入口に挿入されたカードの画像を読み取るときとで、ピントなどを変更する必要がない。その結果、ピント調整機構などを設ける必要がなく、装置を安価にすることができる。
【0071】
また、第2コンタクトガラスと圧板との当接面にカードを挿入して、第2コンタクトガラスの読取媒体設置領域たる原稿読取領域の一部を、カード設置領域たるカード読取領域として用いるので、第2コンタクトガラスとは別に、カード読取用のコンタクトガラスを設けるものに比べて、装置の大型化を避けることができる。
【0072】
また、圧板のカード挿入口120との対向面を、カード挿入口120へ近づくにつれ、第2コンタクトガラスから離間するテーパ面とした。これにより、カード挿入機構100によって、第2コンタクトガラスと圧板との当接面にカードを挿入するとき、カードの先端がテーパ面と当接して、カードの先端で圧板を第2コンタクトガラスから離間する方向へ持ち上げやすくなり、容易にカードを圧板と第2コンタクトガラスとの当接面に挿入することができる。
【0073】
また、本実施形態においては、第2コンタクトガラスに当接する圧板を、第2コンタクトガラス155のカードが設置される部分と対向する第1圧板たる子圧板105と、第2コンタクトガラス155の子圧板105と対向していない部分と対向する第2圧板たる圧板97とで構成した。このように、第2コンタクトガラス155のカードが設置される部分と対向する圧板を子圧板105として、圧板97とは別に設けることで、第2コンタクトガラス全面と密接する圧板を第2コンタクトガラスから離間する方向へ持ち上げる場合に比べて、圧板を持ち上げやすくすることができ、容易にカードを圧板と第2コンタクトガラスとの当接面に挿入することができる。
【0074】
また、圧板97にカードが突き当る付き当て面たる段差部97aを設けることによって、カード挿入口に挿入されたカードを第2コンタクト上の所定の位置にセットすることができる。これにより、読取スキューの発生を抑制することができる。
【0075】
また、カード挿入機構100は、圧板97とカード挿入口120との間に配置され、カード挿入口120に挿入されたカードCを第2コンタクトガラス155と圧板97との当接面に向けて搬送する搬送手段たるカード搬送ローラ104a,104bを備えており、カード搬送ローラ104a,104bのカード搬送方向長さであるカード搬送ローラの直径をカードのカード搬送方向長さ未満としている。これにより、圧板のカード挿入口端部から、カード挿入口120までの距離を、カードのカード搬送方向長さよりも短くすることが可能となる。よって、原稿読取領域H2の一部をカード読取領域H1として用いず、圧板と、カード挿入口との間にカード読取領域H1を設けたものに比べて、装置の小型化を図ることができる。
【0076】
また、カード搬送ローラは、第2コンタクトガラスを保持する筐体であるスキャナ部の筐体157上を、カードを搬送するものであり、カード搬送ローラ104a,104bを、圧板とともに筐体157に対して開閉自在に設ける。これにより、カードに搬送不良が生じたとき、圧板を開けることで、カードの搬送不良を処理することができる。
【0077】
また、カード挿入機構100は、カード挿入口120にカードが挿入されたことを検知するカード検知手段たるカード検知機構110と、カード搬送ローラ104a,104bを、上記筐体上のカードに対して接離させる接離手段たる揺動アーム101a,101bとを備えている。そして、制御手段たる制御部は、上記カード検知機構110が、上記カード挿入口120にカードが挿入されたことを検知したら、カード搬送ローラ104a,104bをカードに当接させて、カードを当接面に向けて搬送し、カードの読取動作の終了を検知したら、カードをカード挿入口120に向けて搬送したのち、カード搬送ローラ104a,104bを上記カードから離間させる。これにより、筐体上のカードを搬送するとき以外は、カード搬送ローラは、筐体から離間した位置に位置させることができる。よって、圧板を閉じるとき、カード搬送ローラが第2コンタクトガラスとぶつかることが防止され、第2コンタクトガラスの傷つきを抑制することができる。また、圧板を閉じたとき、カード搬送ローラによって、圧板の一部が第2コンタクトガラスから浮き上がることも防止することができる。
【0078】
また、変形例1に示すように、筐体157の第2コンタクトガラス155よりもカード挿入口側に、カード挿入時は、少なくとも第2コンタクトガラス側の端部が、第2コンタクトガラス155の原稿設置面よりも突出し、カード抜き出し時は、少なくともコンタクトガラス側の端部が、第2コンタクトガラスの原稿設置面と同一高さ以下となる底板131を設けてもよい。これにより、カード挿入時にカードの先端が第2コンタクトガラスの端部に引っ掛かることがなく、カード搬送不良を抑制することができる。また、カード抜き出し時も、カードの後端が、筐体に引っ掛かることがなく、カード搬送不良を抑制することができる。
【0079】
また、原稿がセットされる読取媒体セット部たる原稿トレイ53と、原稿が排出される読取媒体排出部たる排紙トレイ55とを備え、原稿トレイ53にセットされた原稿を画像読取手段の読取位置を経由して、排紙トレイ55へ排出する自動搬送装置たるADF51を圧板の上部に設け、上記カード挿入機構100を上記ADF51に設けた。これにより、ADFとは別にカード挿入機構を設けるものに比べて、装置の小型化を図ることができる。
【0080】
また、カード挿入機構を、原稿を搬送する搬送ローラなどから遠い排紙トレイ55の原稿搬送方向下流部に設けることで、ADF51の搬送路などを考慮せずに、カード挿入機構を設けることができる。
【0081】
また、カード挿入機構100をユニット化して、装置本体に対して着脱可能に構成することによって、カード自動搬送機能が欲しいユーザーに対してのみ、カード挿入機構100を取り付けることが可能となる。また、カード挿入機構100が故障した際、ユニットとして交換できるため、カード挿入機構100の交換を容易に行うことができる。
【0082】
また、コンタクトガラスに設置された読取媒体の画像を読み取るフラットベッドスキャンモードと、カード挿入口に挿入されたカードの画像を読み取るカードスキャンモードと、ADFで原稿を搬送しながら、原稿の画像を読み取るADFスキャンモードとを有し、モード選択手段たる制御部は、カード検知機構110の検知結果と、読取媒体セット検知手段たる原稿積置センサ57との検知結果に基づいて、上記モード選択する。これにより、ユーザーは、動作モードを選択する必要がなくなるので、読取時の作業を簡素化することができる。
【0083】
また、カード挿入口を、当該装置を操作するための操作部たる本体操作部300が設けられた側である装置正面に設けることで、カードを挿入口に抜き差しする操作性が、カード挿入口を装置の側面に設けた場合に比べて、向上する。
【符号の説明】
【0084】
1:画像形成部
50:画像読取装置
52:ADFの筐体
53:原稿トレイ
55:排紙トレイ
57:原稿積置センサ
97:圧板
97a:段差部
97b:離間面
100:カード挿入機構
101a,101b:揺動アーム
102a,102b:カード呼び込みローラ
103:回転軸
104a,104b:カード搬送ローラ
105:子圧板
108:弾性部材
110:カード検知機構
111:フィラー部材
112:支持ピン
113:カード検知センサ
120:カード挿入口
120a:カード案内溝
131:底板
132:コイルスプリング
133:押付部
140:カード挿入ユニット
150:スキャナ部
151:第1キャリッジ
152:第2キャリッジ
153:固定レンズ
154:第1コンタクトガラス
155:第2コンタクトガラス
157:スキャナ部の筐体
159:蝶番
300:本体操作部
321:開閉センサ
323:フィラー部材
【先行技術文献】
【特許文献】
【0085】
【特許文献1】特開2008−145487号公報

【特許請求の範囲】
【請求項1】
読取媒体を設置するコンタクトガラスと、
コンタクトガラスに設置された読取媒体をコンタクトガラスに押し付ける圧板と、
コンタクトガラスに設置された読取媒体の画像を読み取る画像読取手段とを備えた画像読取装置において、
当該画像読取装置内にカードを挿入するためのカード挿入口と、
該カード挿入口に挿入されたカードを、コンタクトガラスと圧板との当接面へ挿入するカード挿入手段とを備えた画像読取装置。
【請求項2】
請求項1の画像読取装置において、
上記コンタクトガラスの上記読取媒体が設置される設置領域の一部が、上記カード挿入手段による挿入完了後のカードが設置されるカード設置領域の少なくとも一部として用いられることを特徴とする画像読取装置。
【請求項3】
請求項1または2の画像読取装置において、
上記圧板の上記カード挿入口との対向面を、上記カード挿入口へ近づくにつれ上記コンタクトガラスから離間するテーパ面としたことを特徴とする画像読取装置。
【請求項4】
請求項1乃至3いずれかの画像読取装置において、
少なくとも上記コンタクトガラスのカードが設置される部分と対向する第1圧板と、上記コンタクトガラスの第1圧板と対向していない部分と対向する第2圧板とを備えたことを特徴とする画像読取装置。
【請求項5】
請求項4の画像読取装置において、
上記第2圧板に上記カードが突き当る付き当て面を設けたことを特徴とする画像読取装置。
【請求項6】
請求項1乃至5いずれかの画像読取装置において、
上記カード挿入手段は、上記圧板とカード挿入口との間に配置され、上記カード挿入口に挿入されたカードをコンタクトガラスと圧板との当接面に向けて搬送する搬送手段を備えており、
上記搬送手段のカード搬送方向長さを、カードのカード搬送方向長さ未満にしたことを特徴とする画像読取装置。
【請求項7】
請求項6の画像読取装置において、
上記圧板は、上記コンタクトガラスを保持する筐体に対して開閉自在に取り付けられており、
上記搬送手段は、上記筐体に上記カードを押付ながら上記カードを搬送するものであって、上記搬送手段を、上記圧板とともに上記筐体に対して開閉自在に設けたことを特徴とする画像読取装置。
【請求項8】
請求項7の画像読取装置において、
上記カード挿入手段は、上記カード挿入口にカードが挿入されたことを検知するカード検知手段と、上記搬送手段を、上記筐体上のカードに対して接離させる接離手段とを備え、
上記カード検知手段が、上記カード挿入口にカードが挿入されたことを検知したら、上記搬送手段を上記カードに当接させて、上記カードを上記当接面に向けて搬送し、上記カードの読取動作の終了を検知したら、上記カードを上記カード挿入口に向けて搬送したのち、上記搬送手段を上記カードから離間させるよう制御する制御手段を備えたことを特徴とする画像読取装置。
【請求項9】
請求項7または8の画像読取装置において、
上記筐体の上記コンタクトガラスよりも上記カード挿入口側に、上記カード挿入時は、少なくともコンタクトガラス側の端部が、該コンタクトガラスの読取媒体設置面よりも突出し、上記カード抜き出し時は、少なくともコンタクトガラス側の端部が、該コンタクトガラスの読取媒体設置面と同一高さ以下となる底板を設けたことを特徴とする画像読取装置。
【請求項10】
請求項6乃至9いずれかの画像読取装置において、
読取媒体がセットされる読取媒体セット部と、読取媒体が排出される読取媒体排出部とを有し、読取媒体セット部にセットされた読取媒体を画像読取手段の読取位置を経由して、上記読取媒体排出部へ排出する自動搬送装置を備え、
該自動搬送装置は、上記圧板の上部に設けられており、
上記自動搬送搬送装置に上記カード挿入手段を設けたことを特徴とする画像読取装置。
【請求項11】
請求項6乃至10いずれかの画像読取装置において、
上記圧板の上部に上記自動搬送搬送装置の上記読取媒体排出部が設けられており、
上記カード挿入手段を上記読取媒体排出部の読取媒体搬送方向下流部に設けたことを特徴とする画像読取装置。
【請求項12】
請求項1乃至11いずれかの画像読取装置において、
上記カード挿入手段をユニット化して、装置本体に対して着脱可能に構成したことを特徴とする画像読取装置。
【請求項13】
請求項1乃至12いずれかの画像読取装置において、
読取媒体がセットされる読取媒体セット部と、読取媒体が排出される読取媒体排出部とを有し、読取媒体セット部にセットされた読取媒体を画像読取手段の読取位置を経由して、上記読取媒体排出部へ排出する自動搬送装置と、
上記カード挿入口にカードが挿入されたことを検知するカード検知手段と、
上記読取媒体セット部に読取媒体がセットされたことを検知する読取媒体セット検知手段とを備え、
コンタクトガラスに設置された読取媒体の画像を読み取るフラットベッドスキャンモードと、カード挿入口に挿入されたカードの画像を読み取るカードスキャンモードと、自動搬送装置で読取媒体を搬送しながら、読取媒体の画像を読み取るADFスキャンモードとを有し、
上記カード検知手段の検知結果と、上記読取媒体セット検知手段の検知結果とに基づいて、上記モードを選択するモード選択手段を備えたことを特徴とする画像読取装置。
【請求項14】
請求項1乃至13いずれかの画像読取装置において、
上記カード挿入口を、当該装置を操作するための操作部が設けられた側に設けたこと特徴とする画像読取装置。
【請求項15】
記録材に画像を形成する画像形成手段と、読取媒体の画像を読み取る画像読取装置とを備え、該画像読取装置で読み取った画像を該画像形成手段によって該記録材に形成する画像形成装置において、
上記画像読取装置として、請求項1乃至14のいずれかの画像読取装置を用いたことを特徴とする画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【公開番号】特開2011−97338(P2011−97338A)
【公開日】平成23年5月12日(2011.5.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−249020(P2009−249020)
【出願日】平成21年10月29日(2009.10.29)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】