説明

画像読取装置および画像読取方法

【課題】 装置のコストをほとんど増加させることなく、ユーザーが好みに合わせて、所定の属性(例えば文字属性)の画像領域を検出するための条件を変更することができるようにする。
【解決手段】 読取制御部32は、画像読取を行い、基本解像度の第1画像データと、基本解像度とは異なる領域検出用解像度の第2画像データとを生成し、領域特定部33は、第2画像データにおいて、線数についての所定の条件を満たす画像領域を特定し、画像処理部34は、第1画像データにおいて、領域特定部により特定された画像領域に対して所定の画像処理を行う。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像読取装置および画像読取方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
画像データの画質向上のために、文字属性や線画などの画像領域には鮮鋭化処理が施され、写真などの中間調を有する画像領域には平滑化処理が施される。このため、例えば文字と写真が混在する原稿画像の場合、文字の画像領域と写真の画像領域とが分離される。
【0003】
他方、文字や写真の印刷物の場合、網点で文字や写真が表現されている。このような網点部分と非網点部分とを分離して原稿画像から抽出する装置がある(例えば特許文献1参照)。
【0004】
また、網点画像を含む印刷物を読み取る場合、印刷物から得られる網点画像における文字の画像領域と写真の画像領域とが分離される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平9−37073号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
印刷物から得られる網点画像における文字の画像領域と写真の画像領域とを分離する際、線数が所定の閾値以下の網点部は文字属性の画像領域として特定され、それ以外の網点部は中間調のある画像領域として特定される。そして、文字属性の画像領域については、鮮鋭化処理が施され、中間調のある画像領域については、平滑化処理が施される。
【0007】
一般的に、この閾値となる線数は装置設計時に予め決定されており、その閾値以下(あるいはその閾値以上)の線数の網点部を検出するためにチューニングされたパラメーターが予め画像読取装置に記憶され、そのパラメーターに基づいて、特定の線数範囲を網点部が検出される。
【0008】
このように、閾値となる線数は固定的に決められているため、通常、ユーザーが、好みに合わせて、この閾値となる線数を調節することができない。
【0009】
ユーザーがその閾値を選択できるようにするためには、各閾値に応じたパラメーターを予め記憶させておくことになり、多くの閾値に対応する多くのパラメーターを記憶させておく大容量の記憶装置が必要になってしまう。そのような大容量の記憶装置は、画像読取装置のコストの増加につながるため、好ましくない。
【0010】
本発明は、上記の問題に鑑みてなされたものであり、装置のコストをほとんど増加させることなく、ユーザーが好みに合わせて、所定の属性(例えば文字属性)の画像領域を検出するための条件を変更することができる画像読取装置および画像読取方法を得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記の課題を解決するために、本発明では以下のようにした。
【0012】
本発明に係る画像読取装置は、画像読取を行い、基本解像度の第1画像データと、基本解像度とは異なる領域検出用解像度の第2画像データとを生成する読取制御部と、第2画像データにおいて、線数についての所定の条件を満たす画像領域を特定する領域特定部と、第1画像データにおいて、領域特定部により特定された画像領域に対して所定の画像処理を行う画像処理部とを備える。
【0013】
これにより、領域特定部における線数の条件を固定としたままで、領域検出用解像度を変更することで、所定の属性(例えば文字属性)の画像領域を検出するための線数の条件が実質的に変更される。
【0014】
したがって、画像領域を検出するために使用されるパラメーターが1セットで済み、装置のコストをほとんど増加させることなく、ユーザーが好みに合わせて、所定の属性(例えば文字属性)の画像領域を検出するための条件を変更することができる。つまり、ユーザーが領域検出用解像度を変更すれば、所定の属性(例えば文字属性)の画像領域を検出するための条件が(実質的に)変更される。
【0015】
また、本発明に係る画像読取装置は、上記の画像読取装置に加え、次のようにしてもよい。この場合、領域特定部は、所定のデフォルト線数を閾値としその閾値に基づく所定の条件を満たす画像領域を特定する。そして、読取制御部は、デフォルト線数と調整後の閾値線数との比を基本解像度に乗じて領域検出用解像度を計算し、基本解像度の第1画像データと、領域検出用解像度の第2画像データとを生成する。
【0016】
これにより、領域特定部における線数の閾値を固定としたままで、領域検出用解像度を変更することで、所定の属性(例えば文字属性)の画像領域を検出するための線数の条件が実質的に変更される。
【0017】
例えば、領域特定部の閾値が100LPI(Line Per Inch)であり、調整後の閾値線数が150LPIである場合、基本解像度の1.5倍に領域検出用解像度が設定される。このため、領域検出用解像度における100LPIが基本解像度における150LPIに相当し、実質的には、第1画像データにおいて、150LPIを閾値として画像領域が特定される。
【0018】
また、本発明に係る画像読取装置は、上記の画像読取装置のいずれかに加え、次のようにしてもよい。この場合、画像読取装置は、ユーザー操作を受け付ける操作部をさらに備える。そして、調整後の閾値線数は、デフォルト線数と、操作部に対して入力された調整値とから計算される。
【0019】
これにより、ユーザーの好みに応じて調整後の閾値線数が設定される。
【0020】
また、本発明に係る画像読取装置は、上記の画像読取装置のいずれかに加え、次のようにしてもよい。この場合、領域特定部は、閾値以下の線数を有する第1画像領域を特定するとともに、閾値より多い線数の第2画像領域を特定する。そして、画像処理部は、第1画像領域に対して鮮鋭化処理を行い、第2画像領域に対して平滑化処理を行う。
【0021】
これにより、文字属性を有する画像領域には鮮鋭化処理が適切に行われ、写真などの中間調の画像領域には平滑化処理が適切に行われる。
【0022】
また、本発明に係る画像読取装置は、上記の画像読取装置のいずれかに加え、次のようにしてもよい。この場合、領域特定部は、文字属性を有する画像領域を特定する。そして、画像処理部は、特定した画像領域に対して鮮鋭化処理を行う。
【0023】
これにより、文字属性を有する画像領域には鮮鋭化処理が適切に行われる。
【0024】
また、本発明に係る画像読取装置は、上記の画像読取装置のいずれかに加え、次のようにしてもよい。この場合、画像処理部は、特定した画像領域以外の画像領域に対して平滑化処理を行う。
【0025】
これにより、文字属性を有する画像領域には鮮鋭化処理が適切に行われ、写真などの中間調の画像領域には平滑化処理が適切に行われる。
【0026】
また、本発明に係る画像読取装置は、上記の画像読取装置のいずれかに加え、次のようにしてもよい。この場合、画像読取装置は、上述の所定の条件を満たす画像領域を検出するためのパラメーター設定値を記憶する記憶装置をさらに備える。そして、領域特定部は、記憶装置からパラメーター設定値を読み出し、読み出したパラメーター設定値を使用して第2画像データにおいて画像領域を特定する。
【0027】
本発明に係る画像読取方法は、画像読取を行い、基本解像度の第1画像データと、基本解像度とは異なる領域検出用解像度の第2画像データとを生成するステップと、第2画像データにおいて、線数についての所定の条件を満たす画像領域を特定するステップと、第1画像データにおいて、特定した画像領域に対して所定の画像処理を行うステップとを備える。
【0028】
これにより、領域特定部における線数の閾値を固定としたままで、領域検出用解像度を変更することで、所定の属性(例えば文字属性)の画像領域を検出するための線数の条件が実質的に変更される。
【発明の効果】
【0029】
本発明によれば、装置のコストをほとんど増加させることなく、ユーザーが好みに合わせて、所定の属性(例えば文字属性)の画像領域を検出するための条件を変更することができる。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】図1は、本発明の実施の形態に係る画像読取装置の構成を示すブロック図である。
【図2】図2は、図1に示す画像読取装置を操作してユーザーが好みの画質を得るまでの手順を示すフローチャートである。
【図3】図3は、図1における操作パネルに表示される調整値の設定画面の一例を示す図である。
【図4】図4は、原稿コピー時の図1に示す画像読取装置の動作を説明するフローチャートである。
【図5】図5は、図1に示す画像読取装置において、異なる解像度の画像データを使用することで、線数の閾値を実質的に変更する原理を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0031】
以下、図に基づいて本発明の実施の形態を説明する。
【0032】
図1は、本発明の実施の形態に係る画像読取装置の構成を示すブロック図である。図1に示す画像読取装置は、コピー機であるが、この画像読取装置は、印刷機能を有さないスキャナー機や、コピー機能の他に様々な機能を有する複合機などとしてもよい。
【0033】
この画像読取装置は、プリンター11と、スキャナー12と、操作パネル13と、記憶装置14と、制御装置15とを備える。
【0034】
プリンター11は、画像を印刷用紙に印刷する内部装置である。スキャナー12は、原稿から原稿画像を光学的に読み取り、原稿画像の画像データを生成する内部装置である。
【0035】
また、操作パネル13は、画像読取装置の筐体表面に配置され、ユーザーに対して各種情報を表示する表示装置と、ユーザー操作を受け付ける操作部としての入力装置とを有する。表示装置としては例えば液晶ディスプレイが使用される。入力装置としては、キースイッチ、タッチパネルなどが使用される。
【0036】
また、記憶装置14は、各種データを記憶する不揮発性の記憶装置である。記憶装置14としては、ハードディスクドライブ、フラッシュメモリーなどが使用される。記憶装置14には、パラメーター設定値データ21が予め記憶されている。
【0037】
パラメーター設定値データ21は、線数についての所定の条件を満たす画像領域を検出するためのパラメーター設定値のデータである。
【0038】
線数についての所定の条件が、線数が所定の閾値以下(または以上)であることであり、その閾値が装置設計時に例えば100LPIなどと予め決定されている場合、その閾値以下(あるいはその閾値以上)の線数の網点部を検出するためにチューニングされたパラメーターの値が、パラメーター設定値データ21として記憶されている。パラメーターとしては、網点における点の連続数の閾値などがある。つまり、閾値以上の数の点が連続していなければ、条件を満足する網点部として検出されない。
【0039】
また、制御装置15は、プリンター11、スキャナー12、操作パネル13などといった内部装置を制御するとともに、各種データ処理を行う。
【0040】
例えば、制御装置15には、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)などを有するマイクロプロセッサーなどといったコンピューターが使用される。制御装置15では、ROM、記憶装置14などに記憶されているプログラムがRAMにロードされ、CPUにより実行されることで、各種処理部が実現される。この制御装置15では、調整値設定部31、読取制御部32、領域特定部33、画像処理部34、および印刷制御部35が実現される。
【0041】
調整値設定部31は、操作パネル13に調整値設定画面を表示させ、ユーザー操作によって操作パネル13に入力された調整値を特定する。
【0042】
読取制御部32は、スキャナー12を制御して画像読取を行い、基本解像度の第1画像データと、基本解像度とは異なる領域検出用解像度の第2画像データとを生成する。
【0043】
基本解像度は、画像読取で生成されその後の印刷などの出力に使用される画像データの解像度である。
【0044】
領域検出用解像度は、デフォルトでの検出条件とは異なる検出条件で網点領域を検出する際に使用される第2画像データの解像度である。
【0045】
この実施の形態では、読取制御部32は、所定のデフォルト線数と調整後の閾値線数との比を基本解像度に乗じて領域検出用解像度を計算し、基本解像度の第1画像データと、領域検出用解像度の第2画像データとを生成する。この調整後の閾値線数は、デフォルト線数と、調整値設定部31により入力された調整値とから計算される。例えば、デフォルト線数が100LPIであり、調整値が+50である場合、調整後の閾値線数は、150LPIとされる。
【0046】
領域特定部33は、上述の第2画像データにおいて、線数についての所定の条件を満たす画像領域を特定する。
【0047】
この実施の形態では、領域特定部33は、デフォルト線数を閾値としその閾値に基づく所定の条件を満たす画像領域を特定する。また、この実施の形態では、領域特定部33は、その閾値以下の線数を有する第1画像領域を文字属性を有する画像領域として特定するとともに、その閾値より多い線数の第2画像領域を特定する。また、この実施の形態では、領域特定部33は、記憶装置14からパラメーター設定値データ21を読み出し、読み出したパラメーター設定値データ21を使用して第2画像データにおいて画像領域を特定する。
【0048】
画像処理部34は、第1画像データにおいて、領域特定部33により特定された画像領域に対して所定の画像処理を行う。
【0049】
この実施の形態では、画像処理部34は、上述の第1画像領域に対して鮮鋭化処理を行い、上述の第2画像領域に対して平滑化処理を行う。つまり、画像処理部34は、第1画像領域以外の画像領域に対して平滑化処理を行う。
【0050】
なお、コピーの場合、画像処理部34は、このような画像処理を行った後に、ハーフトーニングなどの処理を行って画像データから印刷データを生成する。
【0051】
印刷制御部35は、プリンター11を制御し、印刷データに基づく画像を印刷させる。
【0052】
次に、上記画像読取装置の動作について説明する。
【0053】
図2は、図1に示す画像読取装置を操作してユーザーが好みの画質を得るまでの手順を示すフローチャートである。
【0054】
図2に示すように、ユーザー(サービスパーソンを含む)が電源をオンすると、画像読取装置が起動する(ステップS1)。ユーザーがコピーボタンを押下すると、画像読取装置は、後述のようにコピーを実行する(ステップS2)。ユーザーは、コピーで生成された印刷物を確認し、好みの画質となっているか否かを判定する(ステップS3)。好みの画質となっていれば、ユーザーは画質調整を終了する。好みの画質となっていなければ、ユーザーは、調整値を変更し(ステップS5)、再度コピー操作を行う。このようにして、好みの画質が得られるまで、調整値が変更される。
【0055】
ユーザーは、調整値を変更する場合、まず、調整値設定画面を表示させる操作を行う。図3は、図1における操作パネル11に表示される調整値の設定画面の一例を示す図である。画像読取装置では、調整値設定部31が、図3に示すような調整値設定画面を操作パネル13に表示させる。調整値設定画面には、調整ボタン101,102が表示される。調整ボタン101が押下されると、操作パネル13のタッチパネルなどでその操作が検出され、調整値設定部31は、調整値を減少させる。一方、調整ボタン102が押下されると、操作パネル13のタッチパネルなどでその操作が検出され、調整値設定部31は、調整値を増加させる。
【0056】
ここで、原稿コピー時(ステップS2)の画像読取装置の動作について説明する。
【0057】
図4は、原稿コピー時の図1に示す画像読取装置の動作を説明するフローチャートである。
【0058】
操作パネル13におけるコピーボタンが押下されると、読取制御部32は、現時点で設定されている調整値を特定し(ステップS11)、基本解像度を特定するとともに、基本解像度と調整値から領域検出用解像度を計算する(ステップS12)。
【0059】
そして、読取制御部32は、スキャナー12に画像読取を実行させ(ステップS13)、スキャナー12から供給される画像データから、基本解像度の画像データ(第1画像データ)と領域検出用解像度の画像データ(第2画像データ)とを生成する(ステップS14)。
【0060】
次に、領域特定部33は、パラメーター設定値データ21を記憶装置14から読み出し、そのパラメーター設定値データ21を使用して、領域検出用解像度の画像データ(第2画像データ)において、デフォルト線数条件を満たす網点領域を特定する(ステップS15)。例えば、デフォルト線数条件は、100LPI以下であるとされ、そのデフォルト線数条件についてのパラメーター設定値データ21が予め記憶装置14に記憶されている。
【0061】
図5は、図1に示す画像読取装置において、異なる解像度の画像データを使用することで、線数の閾値を実質的に変更する原理を説明する図である。
【0062】
線数条件のデフォルト閾値が100LPIであり、調整値が0である場合、図5(A)に示す100LPIの原稿画像内の1ドットが、図5(B)に示すように、3画素で読み取られる。
【0063】
一方、線数条件のデフォルト閾値が100LPIであり、調整値が+50であり、調整後の閾値が(実質的に)150LPIとされた場合、図5(C)に示す150LPIの原稿画像内の1ドットが、基本解像度では図5(D)に示すように2画素となるが、領域検出用解像度では図5(E)に示すように3画素となる。
【0064】
調整値に応じて領域検出用解像度が調節されるため、調整値に拘わらず、原稿画像内の1ドットが、第2画像データ内の3画素となる。したがって、領域特定部33は、線数条件の閾値が変化しても、原稿画像内の1ドットが第2画像データ内の3画素となるという一定の前提条件の下で、検出対象となる網点領域を特定する。
【0065】
このため、原稿画像における網点の1点が画像データにおける3画素に対応する場合にチューニングされたパラメーター設定値データ21のみが記憶装置14に記憶され、領域特定部33は、調整値に拘わらず、そのパラメーター設定値データ21に基づいて網点領域を特定する。
【0066】
このようにして第2画像データにおいて対象となる網点領域が特定されると、画像処理部34は、第2画像データにおいて特定された網点領域に対応する第1画像データにおける領域を特定する。つまり、第2画像データによる画像内での網点領域の形状および位置と同一形状および同一位置の領域が、第1画像データによる画像内で特定される。
【0067】
そして、画像処理部34は、第1画像データ、つまり基本解像度の画像データにおいて特定された線数条件を満たす網点領域に対して所定の画像処理を実行する(ステップS16)。例えば、線数が閾値以下の網点領域については、鮮鋭化処理が実行され、線数が閾値より多い網点領域については、平滑化処理が実行される。
【0068】
さらに、画像処理部34は、処理後の第1画像データから印刷データを生成する。
【0069】
その後、印刷制御部35は、印刷データに基づいてプリンター11に印刷を実行させる(ステップS17)。
【0070】
以上のように、上記実施の形態によれば、読取制御部32は、画像読取を行い、基本解像度の第1画像データと、基本解像度とは異なる領域検出用解像度の第2画像データとを生成し、領域特定部33は、第2画像データにおいて、線数についての所定の条件を満たす画像領域を特定し、画像処理部34は、第1画像データにおいて、領域特定部により特定された画像領域に対して所定の画像処理を行う。
【0071】
これにより、領域特定部33における線数の条件を固定としたままで、領域検出用解像度を変更することで、所定の属性(例えば文字属性)の画像領域を検出するための線数の条件が実質的に変更される。
【0072】
したがって、画像領域を検出するための使用されるパラメーターが1セットで済み、装置のコストをほとんど増加させることなく、ユーザーが好みに合わせて、所定の属性(例えば文字属性)の画像領域を検出するための条件を変更することができる。つまり、ユーザーが領域検出用解像度を変更すれば、所定の属性(例えば文字属性)の画像領域を検出するための条件が(実質的に)変更される。また、パラメーターが1セットで済むため、複数セットをチューニングせずに済み、開発者の負担も少なくて済む。
【0073】
なお、上述の実施の形態は、本発明の好適な例であるが、本発明は、これらに限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、種々の変形、変更が可能である。
【0074】
例えば、上記実施の形態において、ユーザーにより入力された調整値を、記憶装置14などの不揮発性の記憶装置に記憶しておき、次回からは、ユーザーによる調整値の入力を行わずに、その記憶装置から読み出すようにしてもよい。
【0075】
また、上記の実施の形態においては調整値が+50である例について説明しているが、調整値は負の値でもよい。例えば、線数条件のデフォルト閾値が150LPIであり、調整値が−50である場合、調整後の閾値が100LPIとなり、領域検出用解像度は、基本解像度の3分の2(=100/150)とされる。
【産業上の利用可能性】
【0076】
本発明は、例えば、コピー機、複合機などに適用可能である。
【符号の説明】
【0077】
13 操作パネル(操作部の一例)
14 記憶装置
32 読取制御部
33 領域特定部
34 画像処理部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像読取を行い、基本解像度の第1画像データと、前記基本解像度とは異なる領域検出用解像度の第2画像データとを生成する読取制御部と、
前記第2画像データにおいて、線数についての所定の条件を満たす画像領域を特定する領域特定部と、
前記第1画像データにおいて、前記領域特定部により特定された画像領域に対して所定の画像処理を行う画像処理部と、
を備えることを特徴とする画像読取装置。
【請求項2】
前記領域特定部は、所定のデフォルト線数を閾値としその閾値に基づく前記所定の条件を満たす画像領域を特定し、
前記読取制御部は、前記デフォルト線数と調整後の閾値線数との比を前記基本解像度に乗じて前記領域検出用解像度を計算し、前記基本解像度の第1画像データと、前記領域検出用解像度の第2画像データとを生成すること、
を特徴とする請求項1記載の画像読取装置。
【請求項3】
ユーザー操作を受け付ける操作部をさらに備え、
前記調整後の閾値線数は、前記デフォルト線数と、前記操作部に対して入力された調整値とから計算されること、
を特徴とする請求項2記載の画像読取装置。
【請求項4】
前記領域特定部は、前記閾値以下の線数を有する第1画像領域を特定するとともに、前記閾値より多い線数の第2画像領域を特定し、
前記画像処理部は、前記第1画像領域に対して鮮鋭化処理を行い、前記第2画像領域に対して平滑化処理を行うこと、
を特徴とする請求項2記載の画像読取装置。
【請求項5】
前記領域特定部は、文字属性を有する画像領域を特定し、
前記画像処理部は、特定した前記画像領域に対して鮮鋭化処理を行うこと、
を特徴とする請求項1記載の画像読取装置。
【請求項6】
前記画像処理部は、特定した前記画像領域以外の画像領域に対して平滑化処理を行うことを特徴とする請求項5記載の画像読取装置。
【請求項7】
前記所定の条件を満たす画像領域を検出するためのパラメーター設定値を記憶する記憶装置をさらに備え、
前記領域特定部は、前記記憶装置から前記パラメーター設定値を読み出し、読み出した前記パラメーター設定値を使用して前記第2画像データにおいて前記画像領域を特定すること、
を特徴とする請求項1から請求項6のうちのいずれか1項記載の画像読取装置。
【請求項8】
画像読取を行い、基本解像度の第1画像データと、前記基本解像度とは異なる領域検出用解像度の第2画像データとを生成するステップと、
前記第2画像データにおいて、線数についての所定の条件を満たす画像領域を特定するステップと、
前記第1画像データにおいて、特定した前記画像領域に対して所定の画像処理を行うステップと、
を備えることを特徴とする画像読取方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2012−95237(P2012−95237A)
【公開日】平成24年5月17日(2012.5.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−242785(P2010−242785)
【出願日】平成22年10月28日(2010.10.28)
【出願人】(000006150)京セラミタ株式会社 (13,173)
【Fターム(参考)】