説明

画像読取装置の補正方法及び画像処理装置

【課題】高価な測定器を用いることなく、簡単に画像読取時の読取歪みを精度良く補正する。
【解決手段】用紙上に補正パターンが形成された補正用チャート20の読取領域に対する方向を異ならせることにより、補正パターンが読取領域の複数の異なる位置に配置された状態で、それぞれ補正用チャート20を読み取って複数の画像データを取得する。取得された複数の画像データから補正パターンを抽出し、当該抽出された同一の補正パターン同士を比較して、読取領域内の各読取位置に対応する読取歪み量を算出し、算出された各読取位置に対応する読取歪み量に基づいて、画像データの読取歪みを補正する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像読取装置の補正方法及び画像処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、画像形成装置において用紙に画像を形成する際、用紙の曲がりや伸縮、プリントヘッドの湾曲や傾き等によって、出力される画像に歪みや位置ずれが発生する場合がある。例えば、本来、図24(a)に示す画像を出力しようとした場合に、図24(b)に示すように歪んだ状態で出力される場合がある。
【0003】
また、両面印刷においては、表裏の画像の位置関係を合致させる、所謂「見当合わせ」が必要となる。図25に示す例では、表裏の画像の位置及び倍率が異なり、表裏の画像間で位置ずれが生じている。見当合わせは、機械的あるいは電気的に画像書き込み速度や書き込み位置を調節したり、また、画像データに対して、表裏の位置ずれ、倍率ずれ等の歪みを矯正するような変形処理(画像処理)を施したりして実施される。
【0004】
ところで、表裏見当合わせを行うためには、現在の表裏位置ずれ量を知る必要がある。例えば、高精度の測定器を用いて表裏の位置関係を測定する方法があるが、高精度の測定器は高価であり、オンデマンド印刷等の小規模な印刷システムでは採用しにくいのが実情である。
【0005】
表裏見当合わせは、紙面表裏の相対的な画像の位置関係を把握できれば、ある程度の補正が可能である。そこで、スキャナを用いて、用紙の両面に形成されたマークの濃度の違いにより、読み取り面のマークと、反対面の裏写りしているマークとを識別して検出したり、用紙の端部や用紙に設けられた穴を基準位置としてマークの位置を検出したりする画像形成装置が提案されている(特許文献1参照)。
【0006】
しかし、濃度の違いにより表裏面のマークを識別して検出する方法は、裏面側に形成されたマークが表面から透けて見える必要があるため、対応可能な印刷用紙が制限される。
また、測定対象を裁断したり、穿孔したりして、この断面を基準に紙面表裏の相対的な位置関係を把握する方法は、印刷用紙に対する制約は少なく、一般的な画像スキャナで測定可能であるが、測定に際し、用紙への加工が必要となる。
また、紙面上のマークを読み取るスキャナ自体にも読取歪みがある場合があるが、特許文献1に記載の画像形成装置は、スキャナの読取歪みを補正する手段を持っていない。そのため、例えば、マークと紙端との距離を画像データ上で測定して表裏の位置関係を把握しようとしても、紙面表裏の相対的な画像の位置関係を適切に把握することはできない。
【0007】
画像読取装置の読取歪みを補正するものとして、スキャナ部により補正用チャートを読み取って得られた画像データから複数の特定点の位置を検出し、検出された各特定点の位置と、補正用チャートを実測して得られた各特定点の位置との差分値に基づいて、スキャナ部による距離の測定値を補正する画像測定装置が提案されている(特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2003−173109号公報
【特許文献2】特開2006−345367号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、画像読取装置の読取歪みの補正には、正確に作成され管理されている補正用チャートと、その実測値とが必要となり、補正用チャートの準備が煩雑であるとともに、多くのコストがかかっていた。
【0010】
本発明は上記の従来技術における問題に鑑みてなされたものであって、高価な測定器を用いることなく、簡単に画像読取時の読取歪みを精度良く補正することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記課題を解決するために、請求項1に記載の発明は、用紙上の画像を読み取って画像データを取得する画像読取装置の補正方法であって、前記用紙上に補正パターンが形成された補正用チャートの前記画像読取装置の読取領域に対する方向を異ならせることにより、前記補正パターンが前記読取領域の複数の異なる位置に配置された状態で、前記画像読取装置によりそれぞれ前記補正用チャートを読み取って複数の画像データを取得する補正用チャート読取工程と、前記取得された複数の画像データから前記補正パターンを抽出し、当該抽出された補正パターン同士を比較して、前記読取領域内の各読取位置に対応する読取歪み量を算出する読取歪み量算出工程と、前記算出された各読取位置に対応する読取歪み量に基づいて、前記画像読取装置の読取歪みを補正する読取歪み補正工程と、を含む。
【0012】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の画像読取装置の補正方法において、前記読取歪み量算出工程では、前記複数の画像データから抽出された補正パターンの面積及び長さのうち少なくとも一つの値を比較して、前記読取領域内の各読取位置に対応する読取歪み量を算出する。
【0013】
請求項3に記載の発明は、請求項1又は2に記載の画像読取装置の補正方法において、前記補正用チャート読取工程では、1枚の補正用チャートの前記画像読取装置の読取領域に対する方向を異ならせることにより、前記複数の画像データを取得する。
【0014】
請求項4に記載の発明は、請求項1又は2に記載の画像読取装置の補正方法において、前記補正用チャート読取工程では、複数の補正用チャートの前記画像読取装置の読取領域に対する方向を異ならせることにより、前記複数の画像データを取得する。
【0015】
請求項5に記載の発明は、請求項4に記載の画像読取装置の補正方法において、前記複数の補正用チャートのそれぞれは、当該補正用チャートの前記画像読取装置の読取領域に対する方向を示す読取方向情報を有する。
【0016】
請求項6に記載の発明は、請求項1又は2に記載の画像読取装置の補正方法において、前記補正用チャート読取工程では、複数の補正用チャートのうち少なくとも一つについては複数回読み取り、前記複数の補正用チャートのうち他の補正用チャートについては1回ずつ読み取ることにより、前記複数の画像データを取得する。
【0017】
請求項7に記載の発明は、請求項1から6のいずれか一項に記載の画像読取装置の補正方法において、前記補正用チャートは、複数の補正パターンを有する。
【0018】
請求項8に記載の発明は、請求項7に記載の画像読取装置の補正方法において、前記補正用チャートは、前記複数の補正パターンの種別を示す識別情報を有する。
【0019】
請求項9に記載の発明は、用紙上の画像を読み取って画像データを取得する画像読取手段を備える画像処理装置であって、前記画像読取手段は、前記用紙上に補正パターンが形成された補正用チャートの前記画像読取手段の読取領域に対する方向を異ならせることにより、前記補正パターンが前記読取領域の複数の異なる位置に配置された状態で、それぞれ前記補正用チャートを読み取って複数の画像データを取得し、さらに、前記取得された複数の画像データから前記補正パターンを抽出し、当該抽出された補正パターン同士を比較して、前記読取領域内の各読取位置に対応する読取歪み量を算出する読取歪み量算出手段と、前記算出された各読取位置に対応する読取歪み量に基づいて、前記画像読取手段の読取歪みを補正する読取歪み補正手段と、を備える。
【0020】
請求項10に記載の発明は、請求項9に記載の画像処理装置において、前記読取歪み量算出手段は、前記複数の画像データから抽出された補正パターンの面積及び長さのうち少なくとも一つの値を比較して、前記読取領域内の各読取位置に対応する読取歪み量を算出する。
【0021】
請求項11に記載の発明は、請求項9又は10に記載の画像処理装置において、前記画像読取手段は、1枚の補正用チャートの当該画像読取手段の読取領域に対する方向を異ならせることにより、前記複数の画像データを取得する。
【0022】
請求項12に記載の発明は、請求項9又は10に記載の画像処理装置において、前記画像読取手段は、複数の補正用チャートの当該画像読取手段の読取領域に対する方向を異ならせることにより、前記複数の画像データを取得する。
【0023】
請求項13に記載の発明は、請求項12に記載の画像処理装置において、前記複数の補正用チャートのそれぞれは、当該補正用チャートの前記画像読取手段の読取領域に対する方向を示す読取方向情報を有する。
【0024】
請求項14に記載の発明は、請求項9又は10に記載の画像処理装置において、前記画像読取手段は、複数の補正用チャートのうち少なくとも一つについては複数回読み取り、前記複数の補正用チャートのうち他の補正用チャートについては1回ずつ読み取ることにより、前記複数の画像データを取得する。
【0025】
請求項15に記載の発明は、請求項9から14のいずれか一項に記載の画像処理装置において、前記補正用チャートは、複数の補正パターンを有する。
【0026】
請求項16に記載の発明は、請求項15に記載の画像処理装置において、前記補正用チャートは、前記複数の補正パターンの種別を示す識別情報を有する。
【0027】
請求項17に記載の発明は、請求項9から16のいずれか一項に記載の画像処理装置において、前記用紙上に画像を印刷する印刷手段を備え、前記補正用チャートは、前記印刷手段により印刷されたものであり、前記読取歪み補正手段は、前記取得された複数の画像データのうち少なくとも一つの画像データに対して前記画像読取手段の読取歪みを補正し、当該補正された画像データに基づいて、前記印刷手段の印刷位置ずれを補正する印刷位置ずれ補正手段をさらに備える。
【0028】
請求項18に記載の発明は、請求項17に記載の画像処理装置において、前記印刷手段は、前記用紙の両面に画像を印刷するものであり、前記印刷手段の印刷位置ずれは、前記用紙の両面に印刷された表裏の画像間の位置ずれである。
【発明の効果】
【0029】
本発明によれば、補正用チャートの読取領域に対する方向を異ならせて複数の画像データを取得することにより、複数の異なる位置における補正パターンの読取結果が得られるので、高価な測定器を用いることなく、簡単に画像読取時の読取歪みを精度良く補正することができる。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】本発明の第1の実施の形態における画像形成装置の機能的構成を示すブロック図である。
【図2】補正用チャートの例を示す図である。
【図3】補正用チャートの読取方向を示す図である。
【図4】画像形成装置において実行される第1の歪み補正処理を示すフローチャートである。
【図5】補正パターン100aの読取位置を示す図である。
【図6】補正パターン100cの読取位置を示す図である。
【図7】補正パターン100hの読取位置を示す図である。
【図8】変形例1における補正用チャートの読取方法を示す図である。
【図9】変形例1における第2の歪み補正処理を示すフローチャートである。
【図10】変形例2における補正用チャートの読取方法を示す図である。
【図11】一つの補正パターンを、読取領域の略同一位置において、90度方向を変えて読み取った場合の画像データの例を模式的に示す図である。
【図12】補正パターン100eの読取位置を示す図である。
【図13】補正パターン100dの読取位置を示す図である。
【図14】補正パターン100fの読取位置を示す図である。
【図15】用紙両面にトンボパターンが印刷された補正用チャートを、表裏それぞれ読み取って得られた画像の例である。
【図16】第3の実施の形態における表裏位置ずれ量算出処理を示すフローチャートである。
【図17】第4の実施の形態における読取歪み情報更新処理を示すフローチャートである。
【図18】画像読取領域を格子状に区分した図である。
【図19】格子を構成する線分同士が結合しない場合の例である。
【図20】格子を構成する線分同士が結合するよう調節した後の格子の例である。
【図21】平行二重線を配置した補正パターンの例である。
【図22】格子を配置した補正パターンの例である。
【図23】格子パターンに基づく直交性歪みの判断を説明するための図である。
【図24】従来の画像形成装置における歪みを説明するための図である。
【図25】従来の画像形成装置における表裏位置ずれを説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0031】
[第1の実施の形態]
まず、本発明の第1の実施の形態について説明する。
図1に、第1の実施の形態における画像形成装置10の機能的構成を示す。画像形成装置10は、コピー機能、画像読取機能、プリンタ機能を備えた複合機である。
【0032】
図1に示すように、画像形成装置10は、CPU(Central Processing Unit)11、操作部12、表示部13、画像読取部14、印刷部15、通信部16、RAM(Random Access Memory)17、記憶部18等により構成され、各部はバス19により接続されている。
【0033】
CPU11は、画像形成装置10の各部の処理動作を統括的に制御する。CPU11は、操作部12から入力される操作信号又は通信部16により受信される指示信号に応じて、記憶部18に記憶されている各種処理プログラムを読み出してRAM17に展開し、当該プログラムとの協働により各種処理を実行する。
【0034】
操作部12は、数字入力キー、スタートキー、タッチパネル等を備えて構成され、ユーザによる操作入力を受け付ける。操作部12は、キーやタッチパネルの操作により入力された操作信号をCPU11に出力する。
【0035】
表示部13は、LCD(Liquid Crystal Display)を備え、CPU11から入力される表示信号の指示に従って、各種操作画面や各種処理結果を表示する。
【0036】
画像読取部14は、原稿を載置するコンタクトガラスの下部にスキャナを備えて構成され、用紙上の画像を読み取って画像データを取得する画像読取装置である。スキャナは、光源、CCD(Charge Coupled Device)イメージセンサ、A/D変換器等により構成され、光源から原稿へ照明走査した光の反射光を結像して光電変換することにより原稿の画像をRGB信号として読み取り、読み取った画像をA/D変換する。
画像読取部14は、用紙上に補正パターンが形成された補正用チャート20(図2参照)の画像読取部14の読取領域に対する方向を異ならせることにより、同一の補正パターンが読取領域の複数の異なる位置に配置された状態で、それぞれ補正用チャート20を読み取って複数の画像データを取得する。
【0037】
印刷部15は、画像データに基づいて、用紙上に画像を印刷する。例えば、印刷部15は、電子写真方式の画像形成を行うものであり、感光ドラム、感光ドラムの帯電を行う帯電部、画像データに基づいて感光ドラム表面を露光走査する露光部、感光ドラムにトナーを付着させる現像部、感光ドラム上に形成されたトナー像を印刷用紙に転写する転写部、印刷用紙上に形成されたトナー像を定着させる定着部等から構成される。また、印刷部15は、用紙の片面に画像を形成した後、裏面側に画像形成を行うために用紙を反転させる機構を備えており、用紙の両面に画像を印刷することができる。
【0038】
通信部16は、LAN(Local Area Network)アダプタ、ルータ、TA(Terminal Adapter)等によって構成され、ネットワークに接続された外部装置との間でデータの送受信を行う。
【0039】
RAM17は、CPU11により実行される各種処理プログラム及びこれらプログラムに係るデータを一時的に記憶するワークエリアを形成する。
【0040】
記憶部18は、不揮発性の半導体メモリやハードディスク等の記憶装置からなり、各種処理プログラムや各種処理に関するデータ等を記憶する。例えば、記憶部18は、歪み補正処理プログラム181、補正用チャートデータ182、読取歪み情報183等を記憶する。
【0041】
図2に、補正用チャート20の例を示す。補正用チャート20は、補正用チャートデータ182に基づいて、印刷部15により印刷された印刷結果であり、図2において、上側から先に出力されたものである。
補正チャート20は、15個の補正パターン100a〜100oを有する。各補正パターン100a〜100oは、画像読取部14の読取歪み測定用のサークルパターンと、印刷部15の印刷位置ずれ測定用のトンボパターンと、により構成される。一つの補正パターンを、画像読取部14の読取領域内の異なる位置で読み取って取得された複数の画像データの間で、補正パターンの形態や大きさに変化があった場合、画像読取部14が有する相対的な読取歪みを表していることになる。
【0042】
補正パターン100a〜100oは、それぞれ同一の形態でかまわないが、図2に示すように、いくつかの補正パターンについて識別可能なように、形態、線の太さ、線種(実線、点線、破線、二重線等)等を変えておいてもよい。また、図2に示すように、各補正パターン100a〜100oに対応する位置に、各補正パターンの種別を示す識別情報200a〜200oとして、文字やマーク等を付与してもよい。これらの方法により、画像読取後の各種処理で補正パターンが他の位置の補正パターンと読み間違えられることを防止できる。
なお、補正用チャート20は、印刷部15の印刷位置ずれの補正を必要としない場合等、目的によっては、予め別の印刷装置で印刷されたものであってもよい。
【0043】
画像読取部14は、図3(a)〜(d)に示すように、1枚の補正用チャート20が画像読取部14の読取領域に対して異なる方向に置かれた状態で、それぞれ補正用チャート20を読み取り、複数の画像データを取得する。図3(a)〜(d)において、読取領域を含む平面内の互いに直交する2方向をX方向、Y方向とする。1回目の読み取りでは、図3(a)に示す方向で補正用チャート20が読み取られ、2回目の読み取りでは、図3(b)に示す方向で補正用チャート20が読み取られ、3回目の読み取りでは、図3(c)に示す方向で補正用チャート20が読み取られ、4回目の読み取りでは、図3(d)に示す方向で補正用チャート20が読み取られる。
【0044】
なお、記憶部18には、何回目の画像データ取得時に、補正用チャート20が画像読取部14の読取領域に対していずれの方向で読み取られるかが予め記憶されている。また、記憶部18には、補正パターン毎に、何回目の画像データ取得時に、読取領域内のどのあたりの位置で読み取られるかが予め記憶されている。
【0045】
画像読取部14には、図3(a)〜(d)に示すように、補正用チャート20を正しい位置にセットするためのL字型の突き当て部141が備えられている。突き当て部141は、補正用チャート20の位置を決めるための部材であるが、補正用チャート20の位置を正確に示す指標があれば、特になくてもかまわない。ユーザは、補正用チャート20を90度ずつ回転させ、補正用チャート20の角を突き当て部141に合わせることにより、補正用チャート20の位置を固定する。
【0046】
なお、図3(a)〜(d)では、補正用チャート20の印刷面がこちら側を向くように描かれているが、実際は、画像読取部14が読み取る面に補正パターンが印刷されていることとする。ただし、補正パターン100a〜100oの補正用チャート20の紙面(二次元平面)上における位置は、図示したとおりとする。以下の説明においても、特にことわらない限り同様である。
【0047】
読取歪み情報183は、画像読取部14の読取領域内の各読取位置と、各読取位置における読取歪み量とを対応付けた情報である。読取歪み量は、X方向、Y方向それぞれにおける拡大率(又は縮小率)として求められる。拡大率は、実際の長さ(すなわち、読取歪みのない画像読取装置で読み取った、歪みのない画像データがあると仮定した場合の、前記歪みのない画像データから算出される長さ)に対する、画像読取部14により読み取られる長さ(画像データから算出される長さ)の割合である。
なお、読取歪み情報183としては、前記拡大率をそのまま保持してもよく、また、画像読取部14の所定の読取位置に対応した拡大率を一定の値(1.00倍や100%、他)として正規化した相対的な値であってもよい。
【0048】
CPU11は、画像読取部14により補正用チャート20を読み取って取得された複数の画像データから補正パターンを抽出し、当該抽出された同一の補正パターン同士を比較して、読取領域内の各読取位置に対応する読取歪み量を算出する。具体的に、CPU11は、複数の画像データから抽出された補正パターンの面積を比較して、読取領域内の各読取位置に対応する読取歪み量を算出する。
CPU11は、各読取位置に対応する読取歪み量に基づいて、画像読取部14の読取歪みを補正する。
【0049】
CPU11は、各読取位置に対応する読取歪み量に基づいて、補正用チャート20を読み取って取得された複数の画像データのうち少なくとも一つの画像データに対して画像読取部14の読取歪みを補正する。
CPU11は、補正された複数の画像データに基づいて、印刷部15の印刷位置ずれを補正する。
【0050】
次に、動作について説明する。
図4は、画像形成装置10において実行される第1の歪み補正処理を示すフローチャートである。この処理は、CPU11と記憶部18に記憶されている歪み補正処理プログラム181との協働によるソフトウェア処理によって実現される。
【0051】
まず、CPU11により、記憶部18に記憶されている補正用チャートデータ182が読み出され、印刷部15により、補正用チャート20が印刷される(ステップS1)。
【0052】
次に、CPU11により、補正用チャート20を画像読取部14の読取領域に対して所定の方向に置くよう表示部13に表示される(ステップS2)。ユーザは、画像読取部14の読取領域に対して所定の方向になるように、補正用チャート20を置く(図3参照)。そして、操作部12からの操作により、読み取り開始が指示されると、画像読取部14により、補正用チャート20が読み取られ、画像データが取得される(ステップS3)。
【0053】
ここで、CPU11により、読取歪み補正に用いるための、予め定められた数の読み取りが終了したか否かが判断される(ステップS4)。予め定められた数の読み取りが終了していない場合には(ステップS4;NO)、CPU11により、補正用チャート20の画像読取部14の読取領域に対する方向を変更するよう表示部13に表示される(ステップS5)。ユーザは、補正用チャート20の画像読取部14の読取領域に対する方向を変更する(図3参照)。そして、ステップS3に戻り、予め定められた数の読み取りが終了するまで処理が繰り返される。
【0054】
ステップS4において、予め定められた数の読み取りが終了した場合には(ステップS4;YES)、CPU11により、取得された複数の画像データから補正パターンが抽出される(ステップS6)。次に、CPU11により、抽出された同一の補正パターン同士が比較され、読取領域内の各読取位置に対応する読取歪み量が算出される(ステップS7)。具体的には、CPU11により、複数の画像データから抽出された補正パターンの面積が比較され、読取領域内の各読取位置に対応する読取歪み量が算出される。算出された読取歪み量は、CPU11により、各読取位置と対応付けられて、記憶部18に読取歪み情報183として記憶される。補正パターンの面積は、例えば、補正パターンのサークルパターンの外周により囲まれた領域の面積である。
【0055】
図5に、図3(a)〜(d)に示す各方向で順次補正用チャート20を読み取った場合の補正パターン100aの読取位置を示す。1回目〜4回目の読取位置においてそれぞれ読み取られた補正パターン100aを抽出し、各読取位置における補正パターン100aの面積を算出する。
【0056】
第1の実施の形態では、画像読取部14の同一の読取位置におけるX方向及びY方向の読取歪み量は等しいものとして、各読取位置におけるX方向及びY方向の読取歪み量を、式(1)により求める。
X方向の読取歪み量
=Y方向の読取歪み量
=(読取位置における面積/基準面積)^(1/2) (1)
なお、式中の「^」はべき乗を表す。a^(1/2)はaの平方根である。また、基準面積として、1回目の読取位置における補正パターン100aの面積を用いる。
【0057】
図6に、図3(a)〜(d)に示す各方向で順次補正用チャート20を読み取った場合の補正パターン100cの読取位置を示す。1回目〜4回目の読取位置においてそれぞれ読み取られた補正パターン100cを抽出し、各読取位置における補正パターン100cの面積を算出する。補正パターン100cの2回目の読取位置は、補正パターン100aの1回目の読取位置と一致するため、2回目の読取位置における補正パターン100cの面積を基準面積として、上記式(1)により、各読取位置におけるX方向の読取歪み量及びY方向の読取歪み量を算出する。
【0058】
補正パターン100aにより求められた4点における読取歪み量、及び、補正パターン100cにより求められた4点における読取歪み量に基づいて、各読取位置を結ぶ領域内部及び周囲の領域における読取歪み量を、空間スプライン補間等を利用して算出する。ここで、補正パターン100cの2回目の読取位置における読取歪み量(これを仮にAとする。)は、補正パターン100aの1回目の読取位置における読取歪み量(これを仮にBとする。)と共通だから、例えば、Bの値がAと一致するように、補正パターン100aの各回の読取歪み量に(A/B)を乗じて正規化すると、補正パターン100aの各読取位置における読取歪み量と、補正パターン100cの各読取位置における読取歪み量とを同一の相対スケールで扱うことができるようになる。以下、この操作を「結合」と称する。なお、正規化はこの方法に限られるものではなく、Aの値がBと一致するようにしてもよく、また、A、Bを、両者の平均等、A、Bとは異なる所定の値に一致するようにしてもよい。
【0059】
読取領域の中央部については、補正パターン100hの測定結果等を利用することができ、これを、例えば、補正パターン100cと補正パターン100aの二つの補正パターンを結合した読取歪み量の情報と、さらに結合することができる。
図7に、図3(a)〜(d)に示す各方向で順次補正用チャート20を読み取った場合の補正パターン100hの読取位置を示す。補正パターン100hにより、読取位置2点における相対的な読取歪み量が求められる。
【0060】
同様に、補正パターン100a〜100oにより求められた読取歪み量のうち一部又は全ての読取歪み量に基づいて、読取領域の全範囲について読取歪み量を算出する。サンプリング点が増えるほど、より正確な情報を得ることができ、好ましい。
【0061】
なお、補正パターン毎に、各読取位置における読取歪み量に基づいて、補正パターンの読取位置を結ぶ領域内部の読取歪み量を補間して求め、異なる補正パターンにより得られた結果同士を結合することとしてもよい。
【0062】
次に、CPU11により、算出された各読取位置に対応する読取歪み量に基づいて、ステップS3において取得された複数の画像データのうち少なくとも一つの画像データに対して、X方向、Y方向のそれぞれについて、画像読取部14の読取歪みが軽減されるように補正される(ステップS8)。具体的には、CPU11により、画像データから得られた各補正パターンのX方向、Y方向の長さや、紙端からトンボパターンの各線分までの距離に対して、読取歪み量の逆数(読取歪み補正値)が掛け合わされ、読取歪みが除かれる。
【0063】
次に、CPU11により、読取歪みが補正された画像データに基づいて、印刷部15における印刷位置ずれ情報が取得される(ステップS9)。具体的には、CPU11により、読取歪みが補正された画像データと補正用チャートデータ182とが比較されて、印刷位置ずれ情報が取得される。印刷位置ずれ情報は、印刷部15に起因する画像出力位置やサイズ、形態の歪みを示す情報であり、印刷結果の出力すべき画像からのずれを示している。
【0064】
次に、CPU11により、印刷位置ずれ情報に基づいて、印刷位置ずれ補正値が算出される(ステップS10)。印刷位置ずれ補正値は、印刷位置の各種ずれを補正するための値である。すなわち、これ以降は、印刷部15に出力される画像データに対し、印刷位置ずれ補正値に基づいて補正が行われることとなる。画像データに対する位置ずれ補正は、一般に公知技術として知られている、画像変形処理により実施すればよい。また、画像データに対する画像変形処理に代えて、印刷部15の画像出力位置やタイミングを電気的又は機械的に調整してもよい。
以上で、第1の歪み補正処理が終了する。
【0065】
以上説明したように、第1の実施の形態によれば、補正用チャート20の読取領域に対する方向を異ならせて複数の画像データを取得することにより、複数の異なる位置における補正パターンの読取結果が得られるので、高価な測定器を用いることなく、簡単に画像読取時の読取歪みを精度良く補正することができる。
また、読取歪みを補正した上で印刷位置ずれ情報を取得するので、容易に高精度の位置合わせを行うことができる。
【0066】
なお、読取歪み量を算出する際に、いずれの読取位置を基準とするかは、上記の例に限定されない。例えば、複数の読取位置で読み取られた結果の平均値を基準としてもよい。
【0067】
[変形例1]
次に、第1の実施の形態の変形例1について説明する。
第1の実施の形態では、1枚の補正用チャート20の画像読取部14の読取領域に対する方向を異ならせることにより、複数の画像データを取得する場合について説明したが、変形例1では、複数の補正用チャートを印刷し、各補正用チャートの画像読取部14の読取領域に対する方向を変えて1回ずつ読み取って複数の画像データを取得する。
【0068】
図8に、変形例1における補正用チャートの読取方法を示す。図8において、補正用チャート21〜28内の数字は何枚目の補正用チャートであるかを示しており、各補正用チャート21〜28は、当該数字の上側から先に出力されたものである。なお、補正用チャート21〜28内の数字は実際に印刷されている必要はない。各補正用チャート21〜28は、補正用チャート内の同じ位置にそれぞれ複数の補正パターンを有している。図8においては、各補正用チャート21〜28に4個の補正パターンが印刷されているが、補正パターンの数はこれに限定されない。また、各補正用チャート21〜28には、各補正用チャート21〜28の画像読取部14の読取領域に対する方向を示す読取方向情報として、マーク21a〜28aが印刷されている。マーク21a〜28aは、画像読取部14の突き当て部141に対応する角を示している。
【0069】
まず、ユーザは、1枚目の補正用チャート21のマーク21aが突き当て部141に合うように、すなわち、補正用チャート21内の数字が図8において上を向くように、画像読取部14の読取領域に補正用チャート21を置く。この状態で、画像読取部14により、1回目の読み取りが行われる。
【0070】
次に、ユーザは、2枚目の補正用チャート22のマーク22aが突き当て部141に合うように、すなわち、補正用チャート22内の数字が図8において左を向くように、画像読取部14の読取領域に補正用チャート22を置く。この状態で、画像読取部14により、2回目の読み取りが行われる。
【0071】
次に、ユーザは、3枚目の補正用チャート23のマーク23aが突き当て部141に合うように、すなわち、補正用チャート23内の数字が図8において下を向くように、画像読取部14の読取領域に補正用チャート23を置く。この状態で、画像読取部14により、3回目の読み取りが行われる。
【0072】
次に、ユーザは、4枚目の補正用チャート24のマーク24aが突き当て部141に合うように、すなわち、補正用チャート24内の数字が図8において右を向くように、画像読取部14の読取領域に補正用チャート24を置く。この状態で、画像読取部14により、4回目の読み取りが行われる。
【0073】
以下、同様に、5〜8回目の読み取りが行われる。
なお、記憶部18には、何回目の画像データ取得時に、補正用チャート21〜28のうちいずれの補正用チャートが画像読取部14の読取領域に対していずれの方向で読み取られるかが予め記憶されている。また、記憶部18には、複数の補正用チャート内の同じ位置に存在する補正パターン毎に、何回目の画像データ取得時に、読取領域内のどのあたりの位置で読み取られるかが予め記憶されている。
【0074】
図9は、変形例1における第2の歪み補正処理を示すフローチャートである。
まず、CPU11により、記憶部18に記憶されている補正用チャートデータが読み出され、印刷部15により、複数の補正用チャート21〜28が印刷される(ステップS11)。
【0075】
次に、CPU11により、1枚目の補正用チャート21を画像読取部14の読取領域に対して所定の方向に置くよう表示部13に表示される(ステップS12)。ユーザは、1枚目の補正用チャート21を所定の方向にして、マーク21aが突き当て部141に合うように、画像読取部14の読取領域に置く(図8参照)。そして、操作部12からの操作により、読み取り開始が指示されると、画像読取部14により、補正用チャート21が読み取られ、画像データが取得される(ステップS13)。
【0076】
ここで、CPU11により、読取歪み補正に用いるための、予め定められた数の読み取りが終了したか否かが判断される(ステップS14)。予め定められた数の読み取りが終了していない場合には(ステップS14;NO)、CPU11により、次の補正用チャートを画像読取部14の読取領域に対して所定の方向に置くよう表示部13に表示される(ステップS15)。ユーザは、画像読取部14の読取領域に対して所定の方向になるように、次の補正用チャートを置く(図8参照)。そして、ステップS13に戻り、予め定められた数の読み取りが終了するまで処理が繰り返される。
【0077】
ステップS14において、予め定められた数の読み取りが終了した場合には(ステップS14;YES)、CPU11により、取得された複数の画像データから補正パターンが抽出される(ステップS16)。
ステップS16〜ステップS20における処理は、図4に示したステップS6〜ステップS10における処理と同様であるため、説明を省略する。ただし、ステップS17における「同一の補正パターン」は、複数枚印刷された補正用チャート21〜28のうち異なる補正用チャート上の同一位置の補正パターンであることを意味しており、第1の実施の形態のように、同一の補正用チャート上の同一の補正パターンという意味ではない。
【0078】
複数の補正用チャート21〜28を用いることにより、画像読取部14による読み取りのばらつきや印刷部15による印刷のばらつきが平均化されるので、読取歪みの補正の精度を向上させることができる。
また、複数の補正用チャート21〜28のそれぞれにマーク21a〜28aが印刷されているので、ユーザが補正用チャート21〜28を画像読取部14の読取領域に置く際に、補正用チャート21〜28の方向を間違えるのを防止することができる。
【0079】
[変形例2]
次に、第1の実施の形態の変形例2について説明する。
変形例2では、第1の実施の形態において説明した1枚の補正用チャートの読取方向を変えて複数の画像データを取得する方法と、変形例1において説明した複数の補正用チャートのそれぞれの読取方向を変えて複数の画像データを取得する方法を組み合わせた場合について説明する。すなわち、変形例2では、複数の補正用チャートのうち少なくとも一つについては複数回読み取り、複数の補正用チャートのうち他の補正用チャートについては1回ずつ読み取ることにより、複数の画像データを取得する。
【0080】
図10に、変形例2における補正用チャートの読取方法を示す。図10において、補正用チャート31〜35内の数字は何枚目の補正用チャートであるかを示しており、各補正用チャート31〜35は、当該数字の上側から先に出力されたものである。なお、補正用チャート31〜35内の数字は実際に印刷されている必要はない。各補正用チャート31〜35は、同じ位置にそれぞれ複数の補正パターンを有している。図10においては、各補正用チャート31〜35に4個の補正パターンが印刷されているが、補正パターンの数はこれに限定されない。
【0081】
まず、ユーザは、1枚目の補正用チャート31内の数字が図10において上を向くように、画像読取部14の読取領域に補正用チャート31を置く。この状態で、画像読取部14により、1回目の読み取りが行われる。
【0082】
次に、ユーザは、1枚目の補正用チャート31内の数字が図10において左を向くように、画像読取部14の読取領域に補正用チャート31を置く。この状態で、画像読取部14により、2回目の読み取りが行われる。
【0083】
次に、ユーザは、1枚目の補正用チャート31内の数字が図10において下を向くように、画像読取部14の読取領域に補正用チャート31を置く。この状態で、画像読取部14により、3回目の読み取りが行われる。
【0084】
次に、ユーザは、1枚目の補正用チャート31内の数字が図10において右を向くように、画像読取部14の読取領域に補正用チャート31を置く。この状態で、画像読取部14により、4回目の読み取りが行われる。
【0085】
次に、ユーザは、2枚目の補正用チャート32内の数字が図10において上を向くように、画像読取部14の読取領域に補正用チャート32を置く。この状態で、画像読取部14により、5回目の読み取りが行われる。
【0086】
次に、ユーザは、3枚目の補正用チャート33内の数字が図10において左を向くように、画像読取部14の読取領域に補正用チャート33を置く。この状態で、画像読取部14により、6回目の読み取りが行われる。
【0087】
次に、ユーザは、4枚目の補正用チャート34内の数字が図10において下を向くように、画像読取部14の読取領域に補正用チャート34を置く。この状態で、画像読取部14により、7回目の読み取りが行われる。
【0088】
次に、ユーザは、5枚目の補正用チャート35内の数字が図10において右を向くように、画像読取部14の読取領域に補正用チャート35を置く。この状態で、画像読取部14により、8回目の読み取りが行われる。
【0089】
なお、記憶部18には、何回目の画像データ取得時に、補正用チャート31〜35のうちいずれの補正用チャートが画像読取部14の読取領域に対していずれの方向で読み取られるかが予め記憶されている。また、記憶部18には、複数の補正用チャート内の同じ位置に存在する補正パターン毎に、何回目の画像データ取得時に、読取領域内のどのあたりの位置で読み取られるかが予め記憶されている。
【0090】
補正用チャート31については、読取領域に対する方向を変えて複数回読み取り、補正用チャート32〜35については、それぞれ読取領域に対する方向を変えて1回ずつ読み取ることにより、画像読取部14による読み取りのばらつきや印刷部15による印刷のばらつきが平均化されるので、読取歪みの補正の精度を向上させることができる。
【0091】
なお、補正用チャートの読取回数や読取方向の変え方は、変形例1及び2に限定されるものではない。例えば、補正パターンの読取方向を少なくとも3方向に変えて読み取れば、各読取位置で得られた読取歪み量について二次元的な補間を行うことができる。
一方、読取方向が2方向のみの場合には、二次元的な補間を行うための情報を得ることができない。しかし、このような場合であっても、コピー機能を有する画像形成装置10の画像読取部14を用いる場合には、本来の原稿複写の機能から、極局部的に大きな読取歪みが生じる可能性は低いものとして、隣接領域の読取歪みを連続的に補間することができる。
【0092】
[第2の実施の形態]
次に、本発明を適用した第2の実施の形態について説明する。
第2の実施の形態における画像形成装置は、第1の実施の形態に示した画像形成装置10と同様の構成によってなるため、図1を援用し、その構成については図示及び説明を省略する。以下、第2の実施の形態に特徴的な構成及び処理について説明する。
【0093】
第2の実施の形態では、画像読取部14の読取領域における縦横(X方向、Y方向)の読取歪み量を別々に算出する場合について説明する。図4のステップS7において、読取歪み量をX方向とY方向とで別々に算出する点が第1の実施の形態と異なるが、その他の点については第1の実施の形態と同様である。また、補正用チャートの読取回数や読取方向についても、図8や図10に示した方法であってもよい。
【0094】
CPU11は、画像読取部14により補正用チャートを読み取って取得された複数の画像データから補正パターンを抽出し、当該抽出された同一の補正パターン同士を比較して、読取領域内の各読取位置に対応する読取歪み量を算出する。具体的に、CPU11は、複数の画像データから抽出された補正パターンの面積及び長さを比較して、読取領域内の各読取位置に対応する読取歪み量を算出する。
【0095】
図11(a)及び(b)に、一つの補正パターンを、読取領域の略同一位置において、90度方向を変えて読み取った場合の画像データの例を模式的に示す。
【0096】
図11(a)において、補正パターンを読み取って取得された画像データに基づくX方向の長さをp1、Y方向の長さをq1とする。
図11(b)は、図11(a)に示す状態から左回りに90度回転させた状態を示す。図11(b)において、補正パターンを読み取って取得された画像データに基づくY方向の長さをp2、X方向の長さをq2とする。
【0097】
実際に用紙上に形成された補正パターンの長さは、画像データ上の補正パターンの長さに「読取歪み量の逆数」を掛け合わせた値である。X方向の読取歪み量をx、Y方向の読取歪み量をyとすると、図11(a)と図11(b)の補正パターンは同一のものであるから、
p1×(1/x)=p2×(1/y) (2)
q1×(1/y)=q2×(1/x) (3)
となる。
【0098】
読取歪み量の縦横比率をR=x/yとすると、式(2)、(3)より、式(4)が求められる。
R=p1/p2=q2/q1
={(q2/q1)/(p2/p1)}^(1/2) (4)
【0099】
他の読取位置における読取歪み量の縦横比率Rは、いくつかの補正パターン及びその読取位置について、測定値(画像データから求められる補正パターンの長さ)と読取歪み量とをそれぞれ定義して、複数の連立方程式により算出することもできるが、このように1箇所について読取歪み量の縦横比率Rが求まれば、これに基づいて、他の読取位置における読取歪み量の縦横比率Rを求めることも可能である。
【0100】
図12に、図3(a)〜(d)に示す各方向で順次補正用チャート20を読み取った場合の補正パターン100eの読取位置を示す。補正パターン100eは、1回目と2回目の読み取りにおいて、同一の読取位置で90度異なる方向で読み取られることになる。上述したように、1回目と2回目の読み取りにより取得された画像データに基づいて、1回目と2回目の読取位置における読取歪み量の縦横比率Rがわかるので、この結果と、補正パターン100eの3、4回目の読み取りにより取得された画像データとに基づいて、補正パターン100eの3、4回目の読取位置における読取歪み量の縦横比率Rについても求めることができる。
【0101】
図13に、図3(a)〜(d)に示す各方向で順次補正用チャート20を読み取った場合の補正パターン100dの読取位置を示す。補正パターン100dの2回目の読取位置は、補正パターン100eの3回目の読取位置と一致するため、補正パターン100dの2回目の読取位置における読取歪み量の縦横比率Rがわかる。この結果と、補正パターン100dの1、3、4回目の読み取りにより取得された画像データとに基づいて、補正パターン100dの1、3、4回目の読取位置における読取歪み量の縦横比率Rについても求めることができる。
【0102】
図14に、図3(a)〜(d)に示す各方向で順次補正用チャート20を読み取った場合の補正パターン100fの読取位置を示す。補正パターン100fの1回目の読取位置は、補正パターン100eの4回目の読取位置と一致するため、補正パターン100fの1回目の読取位置における読取歪み量の縦横比率Rがわかる。この結果と補正パターン100fの2、3、4回目の読み取りにより取得された画像データに基づいて、補正パターン100fの2、3、4回目の読取位置における読取歪み量の縦横比率Rについても求めることができる。
【0103】
このような方法を繰り返すことにより、画像読取部14の読取範囲の全域について、充分な数の読取歪み量の縦横比率Rを取得することができる。X方向の読取歪み量、Y方向の読取歪み量は、以下の式(5)、(6)で求められる。なお、「面積から求められた読取歪み量」とは、第1の実施の形態において求められた読取歪み量(同一読取位置でのX方向及びY方向の読取歪み量が等しいと仮定した場合の読取歪み量)である。
X方向の読取歪み量
=(面積から求められた読取歪み量)×R^(1/2) (5)
Y方向の読取歪み量
=(面積から求められた読取歪み量)×(1/R)^(1/2) (6)
【0104】
以上説明したように、第2の実施の形態によれば、X方向、Y方向の読取歪み量を別々に算出するので、より精度良く読取歪みを補正することができる。
【0105】
なお、読取歪み量の算出式は、上記(5)、(6)に示したものに限定されない。詳細は省略するが、例えば、図13に示す補正パターン100dの2回目の読取位置は、図12に示す補正パターン100eの3回目の読取位置と一致するため、この位置で読み取られた画像情報から、補正パターン100dと補正パターン100eの相対的な大きさの差を容易に知ることができ、これに基づいて、補正パターン100eの所定の読取位置を基準とした、相対的な読取歪み量を算出することができる。同様の操作を、図14に示す補正パターン100fと補正パターン100dの間でも実施し、以下同様に繰り返せば、画像読取部14の読取範囲の全域について、充分な数のX方向、Y方向各々の読取歪み量を取得することができる。
【0106】
また、第2の実施の形態では、画像読取部14により補正用チャートを読み取って複数の画像データを取得し、この複数の画像データから抽出された補正パターンの面積及び長さを比較して、読取領域内の各読取位置に対応する読取歪み量を算出する場合について説明したが、複数の画像データから抽出された補正パターンの面積及び長さのうちいずれか一つを比較して、読取領域内の各読取位置に対応する読取歪み量を算出することとしてもよい。
【0107】
[第3の実施の形態]
次に、本発明を適用した第3の実施の形態について説明する。
第3の実施の形態における画像形成装置は、第1の実施の形態に示した画像形成装置10と同様の構成によってなるため、図1を援用し、その構成については図示及び説明を省略する。以下、第3の実施の形態に特徴的な構成及び処理について説明する。
【0108】
第3の実施の形態では、両面印刷における表裏の画像間の位置合わせについて説明する。なお、図4のステップS7までの処理は、第1の実施の形態と同様であるため、説明を省略する。また、補正用チャートの読取回数や読取方向についても、図8や図10に示した方法であってもよい。
【0109】
図15に、用紙両面の表裏の画像位置を合わせたい位置にトンボパターンが印刷された補正用チャートを、表裏それぞれ画像読取部14により読み取って得られた画像の例を示す。この補正用チャートは、図3に示した補正用チャート20のトンボパターン部分を利用してもよいし、トンボパターンのみを印刷したものであってもよい。
【0110】
読取領域の左上角に補正用チャートの角を合わせて画像を取り込んだ場合、表面と裏面は別の位置で読み取られることになる。図15において、画像データとして読み取られたトンボパターンを実線で示し、表裏逆側のトンボパターンを破線で示す。
【0111】
なお、記憶部18には、補正用チャートの表裏面のそれぞれが画像読取部14の読取領域に対していずれの方向で読み取られるかが予め記憶されている。また、記憶部18には、補正用チャート内の各トンボパターンが、読取領域内のどのあたりの位置で読み取られるかが予め記憶されている。
【0112】
図16は、表裏位置ずれ量算出処理を示すフローチャートである。
まず、トンボパターンが印刷された補正用チャートの表面が読み取られるように、補正用チャートが画像読取部14の所定の位置に置かれる。そして、画像読取部14により、補正用チャートの表面が読み取られ、表面の画像データが取得される(ステップS21)。
【0113】
次に、CPU11により、取得された表面の画像データから紙端及びトンボパターンが検出され、X方向及びY方向のそれぞれについて、紙端からトンボパターンの各線分までの画像データ上の距離x1,y1が求められる(ステップS22)。ここで、紙端や線分の検出は、既存の各種エッジ検出方法を用いればよい。
【0114】
次に、CPU11により、記憶部18に記憶されている読取歪み情報183から、紙端とトンボパターンを含む読取位置に対応する読取歪み量(X方向、Y方向)が取得される(ステップS23)。そして、CPU11により、取得された読取歪み量に基づいて、距離x1,y1が補正され、補正済み距離x11,y11が算出される(ステップS24)。具体的に、補正済み距離x11は、距離x1にX方向の読取歪み量の逆数を掛けた値である。また、補正済み距離y11は、距離y1にY方向の読取歪み量の逆数を掛けた値である。
【0115】
次に、トンボパターンが印刷された補正用チャートの裏面が読み取られるように、補正用チャートが画像読取部14の所定の位置に置かれる。そして、画像読取部14により、補正用チャートの裏面が読み取られ、裏面の画像データが取得される(ステップS25)。
【0116】
次に、CPU11により、取得された裏面の画像データから紙端及びトンボパターンが検出され、X方向及びY方向のそれぞれについて、紙端からトンボパターンの各線分までの画像データ上の距離x2,y2が求められる(ステップS26)。
【0117】
次に、CPU11により、記憶部18に記憶されている読取歪み情報183から、紙端とトンボパターンを含む読取位置に対応する読取歪み量(X方向、Y方向)が取得される(ステップS27)。そして、CPU11により、取得された読取歪み量に基づいて、距離x2,y2が補正され、補正済み距離x21,y21が算出される(ステップS28)。具体的に、補正済み距離x21は、距離x2にX方向の読取歪み量の逆数を掛けた値である。また、補正済み距離y21は、距離y2にY方向の読取歪み量の逆数を掛けた値である。
【0118】
次に、CPU11により、補正用チャートの表面から得られた補正済み距離x11,y11、補正用チャートの裏面から得られた補正済み距離x21,y21に基づいて、表裏位置ずれ量が算出される(ステップS29)。具体的には、X方向の位置ずれ量がx11−x21、Y方向の位置ずれ量がy11−y21として求められる。
【0119】
以上の処理を、表裏位置合わせに用いる全てのトンボパターンについて行うことにより、各トンボパターン位置における表裏位置ずれ量を算出することができる。表裏位置ずれ量に基づいて、画像データに対して表裏の画像間の位置ずれを解消するための画像変形処理を施したり、印刷部15の画像出力位置やタイミングを電気的又は機械的に調整したりして、表裏位置合わせ処理を行えばよい。
【0120】
以上説明したように、第3の実施の形態によれば、第1の実施の形態と同様の効果に加え、読取歪みを補正した上で表裏位置ずれ量を算出するので、表裏位置合わせを精度良く行うことができる。
【0121】
[第4の実施の形態]
次に、本発明を適用した第4の実施の形態について説明する。
第4の実施の形態における画像形成装置は、第1の実施の形態に示した画像形成装置10と同様の構成によってなるため、図1を援用し、その構成については図示及び説明を省略する。以下、第4の実施の形態に特徴的な構成及び処理について説明する。
【0122】
第4の実施の形態では、読取歪み情報の更新方法について説明する。なお、図4のステップS7までの処理は、第1の実施の形態と同様であるため、説明を省略する。また、補正用チャートの読取回数や読取方向についても、図8や図10に示した方法であってもよい。
【0123】
画像読取部14の読取歪み特性が安定していれば、一旦求めた読取歪み情報183を、その後の表裏位置合わせ処理やコピア処理に流用することができる。そこで、第4の実施の形態では、現状の読取歪み量が読取歪み情報183の値から大きくはずれた場合にのみ、読取歪み情報183を再作成することとする。
【0124】
図17は、読取歪み情報更新処理を示すフローチャートである。
まず、画像読取部14により、1枚の補正用チャートが読取領域に対して異なる方向で2回読み取られ、それぞれ画像データが取得される(ステップS31)。
次に、CPU11により、二つの画像データから対応する補正パターンが抽出され(ステップS32)、対応する補正パターンから各読取位置の読取歪み量が算出される(ステップS33)。
【0125】
次に、CPU11により、記憶部18に記憶されている読取歪み情報183から補正パターンが読み取られた位置と同一位置の読取歪み量が取得され(ステップS34)、ステップS33において算出された今回の読取歪み量と、読取歪み情報183から取得された読取歪み量との差分が算出される(ステップS35)。
【0126】
次に、CPU11により、算出された差分が所定値以内であるか否かが判断される(ステップS36)。画像読取部14の読取歪み特性が安定していれば、今回の読取歪み量は、読取歪み情報183から取得された読取歪み量と合致するはずである。差分が所定値以内である場合には(ステップS36;YES)、読取歪み情報183が再作成されることなく、処理が終了する。
【0127】
一方、差分が所定値より大きい場合には(ステップS36;NO)、画像読取部14の読取歪み特性が変化している可能性が高いと判断され、CPU11により、読取歪み情報183が再作成される(ステップS37)。具体的には、CPU11により、第1の実施の形態で説明したような一連の処理により、読取歪み情報183が再作成され、更新される。
以上で、読取歪み情報更新処理が終了する。
【0128】
以上説明したように、第4の実施の形態によれば、1枚の補正用チャートを少数回(上記の例では2回)読み取って得られた読取歪み量と、記憶部18に記憶されている読取歪み情報183から取得された読取歪み量との差分が所定値以内である場合には、保存されている読取歪み情報183を使用し続けるので、少ない工数で読取歪み情報183の信頼度を確認することができる。
【0129】
なお、読取歪み情報183の更新方法は、以上の方法に限られるものではない。例えば、定期的(所定枚数の印刷が終了する毎、所定時間毎等)に読取歪み情報183を再作成してもよい。また、上記のように、1枚の補正用チャートの読取領域に対する方向を変えて少数回(2回等)読み取り、その結果得られた読取歪み量と過去の読取歪み量を順次蓄積しておき、これらの情報を用いて所定の重み付けにより読取歪み情報183を再作成し、更新してもよい。
【0130】
[第5の実施の形態]
次に、本発明を適用した第5の実施の形態について説明する。
第5の実施の形態における画像形成装置は、第1の実施の形態に示した画像形成装置10と同様の構成によってなるため、図1を援用し、その構成については図示及び説明を省略する。以下、第5の実施の形態に特徴的な構成及び処理について説明する。
【0131】
第5の実施の形態では、読取歪み情報183を用いたコピア用画像の補正について説明する。なお、第2の実施の形態と同様に、X方向とY方向とで別々に読取歪み量が求められていることとする。
【0132】
まず、CPU11は、画像読取部14の読取領域を格子状に区分する。すなわち、読み取られた画像データに格子パターンを重ね合わせる。
次に、格子の各辺について、その位置と方向に対応する読取歪み量を読取歪み情報183から取得する。具体的には、X方向の辺にはX方向の読取歪み量の情報を適用し、Y方向の辺にはY方向の読取歪み量の情報を適用する。
【0133】
次に、格子の各辺の長さを、各辺の位置に対応する読取歪み補正値(読取歪み量の逆数)に基づいて補正する。この際、画像読取部14の歪みのパターンが複雑な場合、各辺の結合関係を維持すると、各々の歪み量に応じて、各々の矩形が歪むことになる。
このようにしてできたパターンが、コピア用画像を変形処理する際に必要な画像変形量となるので、変形前後の格子点座標を読み取り、同様の座標変換を行う画像変形処理を施せばよいことになる。
【0134】
図18において、実線41は読取領域を格子状に区分した状態を示し、破線42は変形後の格子を示している。図18は、画像読取部14が、読取領域の(図18において)左側ほど幅を広く読み取り、(図18において)右側ほど幅を狭く読み取る場合の例である。すなわち、読取歪み情報183に基づいて、読取領域の左側ほど幅を狭く補正し、右側ほど幅を広く補正する画像変形処理が施される。
【0135】
読取歪み量の誤差によっては、図19に示すように、各線分同士がぴったりと結合しない場合もある。例えば、線分51と線分52とは、お互い短すぎるため、線分同士が結合していない。また、線分53と線分54とは、お互い長すぎるため、線分同士が結合していない。このような場合は、線分同士が結合しない格子点近傍の各線分の長さを調節し、図20に示すように、線分同士が結合するようにする。具体的には、現在の線分が長すぎるか、短すぎるかを判断し、線分の端点同士がちょうど結合できるよう、かつ、各々の線分の長さの変化量が最小となるよう、長さを調節する処理を行えばよい。例えば、各々の線分について所定比率ずつ、少量の調節を繰り返してもよく、また、各々の線分を、線分と同一の長さを有し、かつ、各々同一強度のバネに見立て、バネの端点を結合して平面内に配置した際のバネの長さを、既存の方法で力学的に求め、これを線分の長さとしてもよい。
【0136】
以上説明したように、第5の実施の形態によれば、読取歪み情報183として保存されている、画像読取部14上の各読取位置の相対的な読取歪み量に基づいて、画像読取部14を用いて取得したコピア用画像に対し、画像変形処理を用いて読取歪みを補正することができる。
【0137】
なお、上記各実施の形態における記述は、本発明に係る画像形成装置の例であり、これに限定されるものではない。装置を構成する各部の細部構成及び細部動作に関しても本発明の趣旨を逸脱することのない範囲で適宜変更可能である。
【0138】
例えば、補正用チャートに形成される補正パターンは、サークルパターンやトンボパターンに限定されず、他の補正パターンであってもよい。
図21は、用紙の周囲に沿って平行二重線を配置した補正パターンの例である。図21(a)及び(b)に示すように、平行二重線が形成された補正用チャートの読取領域に対する方向を異ならせることにより、複数の画像データを取得する。図21(a)及び(b)は、補正用チャートの読取方向を180度変えた場合の例である。
この場合、平行二重線間の距離や各線の紙端からの距離を各々の箇所で求めることで、用紙の周囲に沿って詳細に読取歪み情報を取得することができる。一般的な印刷では、用紙周辺部の位置ずれが特に重視されるが、このような補正用チャートを用いることにより、用紙周辺部の位置合わせを精度良く行うことができる。
必要に応じて、さらに内側に平行二重線を追加してもかまわない。また、平行二重線に所定間隔で目盛りを打っておくと、測定対象点の位置決めがしやすくなり、好ましい。
【0139】
図22は、縦横方向に複数の格子を配置した補正パターン(格子パターン)の例である。図22(a)及び(b)に示すように、格子パターンが形成された補正用チャートの読取領域に対する方向を異ならせることにより、複数の画像データを取得する。図22(a)及び(b)は、補正用チャートの読取方向を90度変えた場合の例である。画像データから得られる各格子点の位置に基づいて、読取歪み補正を行うことができる。
【0140】
図23(a)及び(b)に、格子パターンが形成された補正用チャートの読取方向を90度変えて取得された画像データの一部を示す。なお、図23(a)及び(b)は、同一の格子部分を示している。
図23(a)に示す画像データから格子点間の距離v1,w1を算出し、図23(b)に示す画像データから格子点間の距離v2,w2を算出する。v1−w1=v2−w2である場合には、各格子点に対応する読取位置に直交性歪みがない(又は僅かである)と判断することができる。この場合、v1−w1(=v2−w2)の値は、補正用チャートの印刷歪み量となる。
複数の格子点の組み合わせについて測定すれば、詳細な読取歪み情報を得ることができる。
【0141】
以上の説明では、各処理を実行するためのプログラムを格納したコンピュータ読み取り可能な媒体として不揮発性の半導体メモリやハードディスク等を使用した例を開示したが、この例に限定されない。その他のコンピュータ読み取り可能な媒体として、CD−ROM等の可搬型記録媒体を適用することも可能である。また、プログラムのデータを通信回線を介して提供する媒体として、キャリアウェーブ(搬送波)を適用することとしてもよい。
【符号の説明】
【0142】
10 画像形成装置
11 CPU
12 操作部
13 表示部
14 画像読取部
15 印刷部
16 通信部
17 RAM
18 記憶部
19 バス
181 歪み補正処理プログラム
182 補正用チャートデータ
183 読取歪み情報

【特許請求の範囲】
【請求項1】
用紙上の画像を読み取って画像データを取得する画像読取装置の補正方法であって、
前記用紙上に補正パターンが形成された補正用チャートの前記画像読取装置の読取領域に対する方向を異ならせることにより、前記補正パターンが前記読取領域の複数の異なる位置に配置された状態で、前記画像読取装置によりそれぞれ前記補正用チャートを読み取って複数の画像データを取得する補正用チャート読取工程と、
前記取得された複数の画像データから前記補正パターンを抽出し、当該抽出された補正パターン同士を比較して、前記読取領域内の各読取位置に対応する読取歪み量を算出する読取歪み量算出工程と、
前記算出された各読取位置に対応する読取歪み量に基づいて、前記画像読取装置の読取歪みを補正する読取歪み補正工程と、
を含む画像読取装置の補正方法。
【請求項2】
前記読取歪み量算出工程では、前記複数の画像データから抽出された補正パターンの面積及び長さのうち少なくとも一つの値を比較して、前記読取領域内の各読取位置に対応する読取歪み量を算出する、
請求項1に記載の画像読取装置の補正方法。
【請求項3】
前記補正用チャート読取工程では、1枚の補正用チャートの前記画像読取装置の読取領域に対する方向を異ならせることにより、前記複数の画像データを取得する、
請求項1又は2に記載の画像読取装置の補正方法。
【請求項4】
前記補正用チャート読取工程では、複数の補正用チャートの前記画像読取装置の読取領域に対する方向を異ならせることにより、前記複数の画像データを取得する、
請求項1又は2に記載の画像読取装置の補正方法。
【請求項5】
前記複数の補正用チャートのそれぞれは、当該補正用チャートの前記画像読取装置の読取領域に対する方向を示す読取方向情報を有する、
請求項4に記載の画像読取装置の補正方法。
【請求項6】
前記補正用チャート読取工程では、複数の補正用チャートのうち少なくとも一つについては複数回読み取り、前記複数の補正用チャートのうち他の補正用チャートについては1回ずつ読み取ることにより、前記複数の画像データを取得する、
請求項1又は2に記載の画像読取装置の補正方法。
【請求項7】
前記補正用チャートは、複数の補正パターンを有する、
請求項1から6のいずれか一項に記載の画像読取装置の補正方法。
【請求項8】
前記補正用チャートは、前記複数の補正パターンの種別を示す識別情報を有する、
請求項7に記載の画像読取装置の補正方法。
【請求項9】
用紙上の画像を読み取って画像データを取得する画像読取手段を備える画像処理装置であって、
前記画像読取手段は、前記用紙上に補正パターンが形成された補正用チャートの前記画像読取手段の読取領域に対する方向を異ならせることにより、前記補正パターンが前記読取領域の複数の異なる位置に配置された状態で、それぞれ前記補正用チャートを読み取って複数の画像データを取得し、
さらに、
前記取得された複数の画像データから前記補正パターンを抽出し、当該抽出された補正パターン同士を比較して、前記読取領域内の各読取位置に対応する読取歪み量を算出する読取歪み量算出手段と、
前記算出された各読取位置に対応する読取歪み量に基づいて、前記画像読取手段の読取歪みを補正する読取歪み補正手段と、
を備える画像処理装置。
【請求項10】
前記読取歪み量算出手段は、前記複数の画像データから抽出された補正パターンの面積及び長さのうち少なくとも一つの値を比較して、前記読取領域内の各読取位置に対応する読取歪み量を算出する、
請求項9に記載の画像処理装置。
【請求項11】
前記画像読取手段は、1枚の補正用チャートの当該画像読取手段の読取領域に対する方向を異ならせることにより、前記複数の画像データを取得する、
請求項9又は10に記載の画像処理装置。
【請求項12】
前記画像読取手段は、複数の補正用チャートの当該画像読取手段の読取領域に対する方向を異ならせることにより、前記複数の画像データを取得する、
請求項9又は10に記載の画像処理装置。
【請求項13】
前記複数の補正用チャートのそれぞれは、当該補正用チャートの前記画像読取手段の読取領域に対する方向を示す読取方向情報を有する、
請求項12に記載の画像処理装置。
【請求項14】
前記画像読取手段は、複数の補正用チャートのうち少なくとも一つについては複数回読み取り、前記複数の補正用チャートのうち他の補正用チャートについては1回ずつ読み取ることにより、前記複数の画像データを取得する、
請求項9又は10に記載の画像処理装置。
【請求項15】
前記補正用チャートは、複数の補正パターンを有する、
請求項9から14のいずれか一項に記載の画像処理装置。
【請求項16】
前記補正用チャートは、前記複数の補正パターンの種別を示す識別情報を有する、
請求項15に記載の画像処理装置。
【請求項17】
前記用紙上に画像を印刷する印刷手段を備え、
前記補正用チャートは、前記印刷手段により印刷されたものであり、
前記読取歪み補正手段は、前記取得された複数の画像データのうち少なくとも一つの画像データに対して前記画像読取手段の読取歪みを補正し、
当該補正された画像データに基づいて、前記印刷手段の印刷位置ずれを補正する印刷位置ずれ補正手段をさらに備える、
請求項9から16のいずれか一項に記載の画像処理装置。
【請求項18】
前記印刷手段は、前記用紙の両面に画像を印刷するものであり、
前記印刷手段の印刷位置ずれは、前記用紙の両面に印刷された表裏の画像間の位置ずれである、
請求項17に記載の画像処理装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【公開番号】特開2012−165220(P2012−165220A)
【公開日】平成24年8月30日(2012.8.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−24543(P2011−24543)
【出願日】平成23年2月8日(2011.2.8)
【出願人】(303000372)コニカミノルタビジネステクノロジーズ株式会社 (12,802)
【Fターム(参考)】