説明

画像読取装置及びプログラム

【課題】原稿を搬送しながら読み取る画像読取装置において、原稿の湾曲態様の違いによる反射光量の変化の影響を抑えて、良好な読取画像データを生成可能とする。
【解決手段】画像読取装置は、原稿搬送を開始すると共に(S200)、原稿先端部が光量測定開始位置に到達した時点で、原稿搬送に同期して読取ユニットを搬送することにより(S250)、読取ユニットが常に原稿先端部を読み取るようにする。即ち、この搬送時には、読取ユニットに読取動作を繰返し実行させることにより(S260)、読取ユニットの搬送路における各地点での原稿先端部の反射光量を測定する(S270)。そして、反射光量が、予め定められたFB光量設定値と一致する地点を、読取最適位置に決定し(S320)、決定した読取最適位置まで読取ユニットを後退させつつ、その間に原稿読取を行う。そして、後退完了後には、この読取最適位置にて原稿読取を行う(S390)。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、読取対象の原稿を搬送して、原稿を読み取る画像読取装置及び当該画像読取装置に用いられるプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、画像読取装置としては、原稿搬送装置(所謂ADF(Auto Document Feeder))を搭載したものが知られている。この種の画像読取装置では、一般的に、読取ユニットを固定した状態で、原稿を副走査方向に搬送し、原稿を読み取る。
【0003】
また、この種の画像読取装置としては、原稿搬送時に、原稿が湾曲することによって、反射光量が変化する問題を解消するために、読取ユニットを移動させながら原稿を読み取り、そのときの反射光量を読取ユニットの位置情報と対応付けて記憶し、反射光量が最大となる位置を、読取ユニットの最適位置に決定して、実際に原稿を読み取る際には、予め決定した最適位置に読取ユニットを移動させておき、その位置に読取ユニットを固定して、搬送されてくる原稿を読み取るものが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
尚、原稿が湾曲することによって、反射光量が変化する理由は、原稿の湾曲態様によって、反射光の伝播方向が変化したり、読取ユニットから原稿位置までの光路長が変化したりするためである。
【特許文献1】特開平8−279881号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、従来技術では、予め最適位置を決定しておき、ユーザが読取指示した場合には、先に決定した最適位置にて、読取対象の原稿を読み取るため、原稿の湾曲の態様が、原稿搬送毎に変化する状況においては、適切な位置で、原稿を読み取ることができないといった問題があった。
【0006】
即ち、従来技術では、実際に、ユーザが読取指示した原稿について、反射光量を測定して最適位置を決定しているわけではないため、原稿に癖が付いている等の理由や、原稿の厚さや硬さ(コシの強さ)等の紙材の違いにより、反射光量が変化しても、その変化に対応できないといった問題があった。
【0007】
本発明は、こうした問題に鑑みなされたものであり、原稿を搬送しながら読み取る画像読取装置において、紙材の違い等による原稿の湾曲態様の違いによって生じる反射光量の変化の影響を抑えて、良好な読取画像データを生成できるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
かかる目的を達成するためになされた請求項1記載の画像読取装置は、読取対象の原稿を保持する給紙部から読取後の原稿を保持する排紙部へと、読取対象の原稿を、ローラの回転により搬送する原稿搬送手段と、ローラに近接した位置で、当該ローラの回転により搬送される原稿を、ローラの軸線と平行な主走査方向に、光学的に読み取る読取ユニットと、読取ユニットを、ローラの軸線と平行な平面内において主走査方向に直交する副走査方向(換言すれば、原稿搬送手段による原稿搬送方向の上記平面への射影成分方向)に、搬送するユニット搬送手段と、原稿搬送手段及び読取ユニット及びユニット搬送手段を制御して、読取対象の原稿を読取ユニットに読み取らせ、原稿の読取画像を表す読取画像データを生成する制御手段と、を備える画像読取装置であって、上記制御手段が、次の第一〜第四の手順により上記原稿の読取画像を表す読取画像データを生成する構成にされたものである。
【0009】
この制御手段は、原稿搬送手段に、読取対象の原稿を給紙部から搬送させると共に、原稿の先端部が読取ユニットの停止位置上に到達した時点で、ユニット搬送手段に、読取ユニットを、原稿の移動に合わせて、副走査方向に搬送させつつ、読取ユニットに複数回の読取動作を実行させることにより、原稿を原稿搬送手段に搬送させながら、読取ユニットに原稿の先端部を複数回主走査方向に読み取らせる(第一の手順)。
【0010】
また、上記第一の手順での複数回の読取動作により読取ユニットが生成した主走査方向の読取結果を表す各ライン画像データに基づき、読取ユニットの搬送路における「第一の手順により読取動作が行われた領域」内の各地点で読取ユニットに入力される光量を特定し、副走査方向において、光量が所定条件を満足する単一の地点を、読取ユニットの最適位置に決定する(第二の手順)。
【0011】
また、最適位置の決定後には、ユニット搬送手段に、読取ユニットを最適位置まで後退させる方向に搬送させつつ、その搬送時に、読取ユニットに原稿を読み取らせることにより、読取ユニットが最適位置に到達したときに読取可能な原稿位置までの原稿内の領域である原稿前方領域を、読取ユニットに読み取らせ、読取ユニットに、読取画像データを構成するライン画像データとして、原稿前方領域の読取結果を表す各ライン画像データを生成させる(第三の手順)。
【0012】
そして、読取ユニットの最適位置への到達後には、当該最適位置に読取ユニットを保持して、当該最適位置で読取ユニットに読取動作を実行させると共に、原稿搬送手段に原稿を排紙部へと搬送させることにより、原稿前方領域から原稿の搬送方向後方に続く原稿内の領域としての原稿後方領域を、読取ユニットに読み取らせ、読取ユニットに、読取画像データを構成するライン画像データとして、原稿後方領域の各ライン画像データを生成させる(第四の手順)。
【0013】
このように構成された画像読取装置によれば、原稿の搬送毎に、読取ユニットの最適位置を決定して、当該最適位置にて原稿を読み取るので、原稿の紙材の違い等によって、ローラ周辺での原稿の湾曲態様が変化しても、これによる反射光量の変化の影響を抑えて、良好な読取画像データを生成することができる。
【0014】
尚、制御手段は、読取ユニットに入力される光量(反射光量)が最大の地点を、読取ユニットの最適位置に決定する構成にされてもよいし(請求項5)、読取ユニットに入力される光量(反射光量)が、予め定められた基準値と一致する地点を、読取ユニットの最適位置に決定する構成にされてもよい(請求項6)。
【0015】
反射光量が最大の地点を、読取ユニットの最適位置に決定するようにすれば、原稿の湾曲態様に依らず、読取対象の各原稿を、常時、光量最大で読み取ることができて、読取画像データが表す画像が輝度の低い暗い画像となってしまうのを抑えることができる。
【0016】
また、反射光量が基準値と一致する地点を、読取ユニットの最適位置に決定するようにすれば、読取対象の各原稿を、常時、同じ光量で読み取ることができて、読取画像データが表す画像の輝度が、紙材の違いや原稿に癖が付いている等の理由により、原稿毎に変化するのを抑えることができる。
【0017】
また、制御手段は、第一の手順において読取ユニットにより生成された原稿の先端部の読取結果を表すライン画像データを、読取画像データを構成するライン画像データとして用いて、当該ライン画像データと、第三の手順により生成された原稿前方領域の各ライン画像データと、第四の手順により生成された原稿後方領域の各ライン画像データと、の組み合わせにより、読取画像データを生成する構成にされてもよい(請求項2)。
【0018】
即ち、原稿前方領域は、原稿の先端部を除く領域であって、原稿の先端部の搬送方向後方側に隣接する原稿位置を始点とし、読取ユニットが最適位置に到達したときに読取可能な原稿位置を終点とする原稿内の領域に定められてもよい。
【0019】
このように画像読取装置を構成すれば、光量の測定時に得られた原稿先頭部のライン画像データを用いて、原稿全体の読取結果を表す上記読取画像データを生成するので、最適位置を決定した時点で、再度、原稿先端部を読み取る必要がなく、原稿全体の読取速度が向上する。
【0020】
また、第三の手順では、読取ユニットを最適位置まで後退させつつ、原稿を前進方向に搬送して、原稿搬送及び読取ユニットの搬送を同時に実行しながら、読取ユニットに原稿を読み取らせるようにしてもよいが、原稿搬送及び読取ユニットの搬送を同時に実行しながら、読取ユニットに原稿を読み取らせる場合には、原稿読取の制御が煩雑になる。
【0021】
従って、制御手段は、第三の手順で、ユニット搬送手段に、読取ユニットを最適位置まで後退する方向に搬送させる際には、先駆けて、原稿搬送手段に、原稿の搬送を一旦停止させ、その停止後に、ユニット搬送手段に、読取ユニットを最適位置まで後退する方向に搬送させ、読取ユニットが最適位置に到達した後、第四の手順で、原稿搬送手段に、原稿の搬送を再開させる構成にされるとよい(請求項3)。
【0022】
このように、原稿の搬送を停止した状態で、読取ユニットを最適位置まで後退させれば、原稿搬送及び読取ユニットの搬送を同時に実行しながら、読取ユニットに原稿を読み取らせる場合のように、原稿読取の制御が煩雑になるのを回避することができる。
【0023】
また、読取ユニットを最適位置に移動させるまでの期間には、読取ユニットに入力される光量が変化するので、読取ユニットから得られたライン画像データに何ら補正を加えなければ、読取ユニットに入力される光量の変化に応じた輝度のムラが、原稿全体の読取画像データに現れる可能性がある。
【0024】
従って、制御手段は、第二の手順にて特定される各地点での光量の情報に基づき、読取画像データを構成する各ライン画像データの内、読取ユニットが最適位置に後退するまでの期間に行った読取動作により生成された各ライン画像データの輝度を、当該ライン画像データに対応する読取動作が行われた地点での光量と、最適位置において読取ユニットに入力される光量との差に応じた量補正し、補正後の各ライン画像データを用いて、原稿の読取画像を表す読取画像データを生成する構成にされるとよい(請求項4)。
【0025】
このように画像読取装置を構成すれば、読取ユニットを最適位置に移動させるまでの期間に読み取った原稿の領域に対応する上記読取画像データの領域に、光量の違いによる輝度ムラが生じるのを抑制することができる。
【0026】
また、ADFを搭載したフラットベッド型画像読取装置のように、読取ユニットの搬送路上に、ローラの軸線と平行、且つ、読取ユニットの搬送方向である副走査方向と平行に設置された透明な板状の台であって、読取対象の原稿を載置するための原稿載置台を備え、制御手段が、原稿載置台に載置された読取対象の原稿についての読取画像データを生成する際には、原稿載置台に載置された原稿の下方領域において、ユニット搬送手段に、読取ユニットを副走査方向に搬送させると共に、その搬送時に読取ユニットに読取動作を実行させることにより、当該読取動作により生成された各ライン画像データを組み合わせてなる原稿の読取画像を表す読取画像データを生成する構成にされた画像読取装置においては、原稿載置台に載置された原稿についての読取画像データ生成時において読取ユニットに入力される光量を、基準値に定めると共に、制御手段を次のように構成されるとよい。
【0027】
即ち、制御手段は、給紙部が保持する読取対象の原稿についての読取画像データを生成する際、上記第一から第四の手順によって、原稿の読取画像を表す読取画像データを生成すると共に、読取ユニットに入力される光量が、予め定められた基準値と一致する地点を、読取ユニットの最適位置に決定する構成にされるとよい(請求項7)。
【0028】
このように画像読取装置を構成すれば、フラットベッド読取時とADF読取時とで、読取画像データに明るさのバラツキが生じるのを抑制することができる。
また、上述の第一〜第四の手順は、プログラム(請求項8)によって、上述の原稿搬送手段と、読取ユニットと、ユニット搬送手段と、を備える画像読取装置のコンピュータに実行させることができる。
【0029】
また、上述の第一〜第四の手順をコンピュータに実行させるためのプログラムは、CD−ROMや、半導体製メモリ等の各種記録媒体に記録して、提供することが可能である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0030】
以下に本発明の実施例について、図面と共に説明する。
図1は、本実施例の画像読取装置1の電気的構成を表すブロック図である。画像読取装置1は、主に、制御部10と、読取ユニット21と、キャリッジ搬送機構30と、ADF(原稿搬送装置)40と、表示操作部50と、インタフェース60とを備える。
【0031】
制御部10は、CPU11、ROM13、及び、RAM15を備え、ROM13が記憶するプログラムをCPU11にて実行することにより、装置全体を統括制御するものである。
【0032】
一方、読取ユニット21は、CIS(コンタクトイメージセンサ)として構成された光学式のイメージセンサであり、主走査方向にNライン分の画像を読取可能な構成にされている。尚、値Nは、採用するイメージセンサによって定まる1以上の整数である。本実施例では、N=1であるものとして話を進める。
【0033】
この読取ユニット21は、光源(図示せず)を内蔵すると共に、ライン方向に、画素毎の受光素子が配列された構成にされており、光源から読取対象に対して光を照射し、その反射光を受光素子にて受光することによって、ライン毎に、受光量に応じた各画素の輝度値を配列してなるライン画像データを生成し、出力する。
【0034】
読取ユニット21は、このようにして、光源の出射方向に位置する読取対象を読み取って、読取結果を表す各ライン画像データを、制御部10に入力する。尚、読取ユニット21は、制御部10により、制御されて、読取動作を行う。
【0035】
また、キャリッジ搬送機構30は、読取ユニット21が搭載されたキャリッジ31(図2参照)を搬送するためのモータMT1及びキャリッジ31の位置を検出するセンサSN1を備え、モータMT1の駆動力により、キャリッジ31を、主走査方向とは直交する副走査方向に、搬送する構成にされている。
【0036】
尚、センサSN1の検出信号は、制御部10に入力され、モータMT1は、センサSN1の検出信号に基づく制御部10の動作によって、制御される。即ち、キャリッジ搬送機構30は、制御部10に制御されて、キャリッジ31を副走査方向に搬送する。
【0037】
また、ADF40は、後述する複数種のローラを備え、これらローラの回転により、原稿トレイ41に載置された読取対象の原稿を、読取ユニット21による読取位置へと搬送し、更に、原稿を、排紙トレイ42へと排出するものである。
【0038】
具体的に、ADF40は、ローラを回転させるためのモータMT2及び原稿位置を検出するための複数のセンサSN2を備える。センサSN2の検出信号は、制御部10に入力される。
【0039】
即ち、モータMT2は、センサSN2の検出信号に基づく制御部10の動作によって、制御される。換言すれば、ADF40は、制御部10に制御されて、読取対象の原稿を搬送する。
【0040】
また、表示操作部50は、各種情報表示用の液晶モニタ及びユーザが操作可能な各種操作キーを備え、ユーザインタフェースとして機能する。この他、インタフェース60は、外部装置100と通信可能な構成にされており、例えば、制御部10から入力される送信対象のデータを、外部装置100に送信する。
【0041】
続いて、キャリッジ搬送機構30及びADF40の詳細構成を、図2(a)を用いて説明する。図2(a)は、キャリッジ搬送機構30及びADF40の構成を示した画像読取装置1の概略断面図である。
【0042】
画像読取装置1は、周知の装置と同様、装置本体70の上方に、ADF40を内蔵するカバー80が、装置本体70に対して開閉可能に設けられた構成にされている。図2(b)は、装置本体70に対してカバー80が開かれた状態での画像読取装置1の構成を表す概略断面図である。装置本体70に対しては、図2(b)において点線で示す部位が、カバー80として開閉される。
【0043】
キャリッジ搬送機構30は、この装置本体70の外縁を構成する中空長方体形状の筐体71内に設けられている。具体的に、キャリッジ搬送機構30は、モータMT1及びセンサSN1の他、キャリッジ31、及び、キャリッジ31の搬送路を構成するガイド軸33等を備える。
【0044】
筐体71は、上面が開口された構成にされており、この開口部には、透明なプラテンガラス73が取り付けられている。即ち、装置本体70は、筐体71の上面に設けられた開口部が、プラテンガラス73によって閉塞された構成にされている。
【0045】
ガイド軸33は、このような構成の筐体71内で、プラテンガラス73と平行に、筐体71の長手方向に沿って、設けられている。具体的に、ガイド軸33は、キャリッジ31が、筐体71の長手方向に沿って、プラテンガラス下の全領域を移動可能なように、その長さが定められ、筐体71内に設けられている。
【0046】
そして、キャリッジ31は、このガイド軸33に摺動可能に設けられており、モータMT1の駆動力を受けて、ガイド軸33に沿って、プラテンガラス73の下方領域を移動する。即ち、上述の副走査方向は、ガイド軸33が延びる筐体71の長手方向に対応する。
【0047】
また、キャリッジ31には、プラテンガラス73に平行な面上で、ガイド軸33に垂直な方向(主走査方向)に、受光素子が配列されるようにして、読取ユニット21が搭載されている。
【0048】
尚、図2では、モータMT1からキャリッジ31への動力伝達系について、図示を省略するが、モータMT1の駆動力は、例えば、周知のように、無端ベルトを介してキャリッジ31に伝達される。
【0049】
モータMT1の回転軸に取り付けられたプーリーが、ガイド軸33の一端側に設けられ、当該プーリーと対となるプーリーが、ガイド軸33の他端側に設けられ、これら一対のプーリー間に、無端ベルトが巻回され、キャリッジ31が、この無端ベルトに、連結され、モータMT1が回転するとプーリーに従動して回転する無端ベルトの当該回転により、キャリッジ31が副走査方向に移動するといった具合である。
【0050】
また、カバー80は、装置本体70に対して閉じられた状態で、装置本体70のプラテンガラス73を被覆する形状にされている。そして、カバー80に内蔵されたADF40は、装置本体70を構成するプラテンガラス73内のADF読取領域R2(図3参照)の上方に、設けられている。
【0051】
図3は、仕切り板75,76によって区画化されたプラテンガラス73の各領域R1〜R3の関係を表す説明図である。図3に示すように、プラテンガラス73上には、主走査方向に延びる仕切り板75,76が設けられており、仕切り板75,76によって、プラテンガラス73は、ホームポジション領域R1、ADF読取領域R2、及び、FB(フラットベッド)読取領域R3に区画化されている。
【0052】
ここで、ホームポジション領域R1は、白基準部材79によって、被覆されている。白基準部材79は、シェーディング補正に必要なパラメータ等を求めるために用いられる。
また、FB読取領域R3は、原稿載置台として機能するものである。制御部10は、FB読取時において、このFB読取領域R3下で、キャリッジ31を副走査方向に搬送することにより、FB読取領域R3に載置された原稿Pを読み取り、原稿の読取結果を表す読取画像データを生成する。
【0053】
一方、ADF読取領域R2は、ADF40によって搬送されてくる原稿を読み取るための領域である。制御部10は、ADF読取時において、このADF読取領域R2の下方に、キャリッジ31(ひいては、読取ユニット21)を配置して、ADF40によって搬送されてくる原稿を読み取り、この原稿の読取結果を表す読取画像データを生成する。
【0054】
換言すると、ADF40は、このADF読取領域R2の上方に、原稿Pを搬送可能に設けられている。
具体的に、ADF40は、読取対象の原稿Pが載置される原稿トレイ41及び読取ユニット21による読取後の原稿Pが載置される排紙トレイ42を備えると共に、原稿トレイ41において積層された原稿を1枚ずつ分離する分離機構43、及び、分離機構43にて分離された原稿を転向させながらADF読取領域R2に搬送する搬送機構45、及び、搬送機構45により搬送されてくる原稿をADF読取領域R2側に押さえるための原稿押さえ47、及び、ADF読取領域R2に送り出された原稿を排紙トレイ42に搬送する排紙機構49を備える。
【0055】
分離機構43は、原稿トレイ41に積層された原稿Pを一枚づつ取り出して分離ローラ433に送り出す吸入ローラ431、及び、吸入ローラ431から搬送されてくる原稿Pに搬送力を付与する分離ローラ433、及び、吸入ローラ431及び分離ローラ433に対向配置されて原稿Pに搬送抵抗を付与するパッド435,436等から構成されている。
【0056】
一方、搬送機構45は、分離機構43から搬送されてきた原稿Pの搬送方向をADF読取領域R2側に転向させながら搬送力を付与する給紙ローラ451、及び、原稿Pを給紙ローラ451に押し付ける一対のピンチローラ453,455等から構成されている。
【0057】
また、原稿押さえ47は、搬送機構45から搬送されてきた原稿PをADF読取領域R2側に押さえるために、ADF読取領域R2の上方に設けられている。給紙ローラ451からADF読取領域R2へは、原稿Pが斜め下方に進行することになるため、原稿押さえ47には、原稿搬送方向上流から下流に向けて、下方向に傾斜した押さえ板471が取り付けられている。
【0058】
また、排紙機構49は、搬送ローラ491及びピンチローラ493等から構成されており、搬送ローラ491とピンチローラ493との間に、ADF読取領域R2から搬送されてくる原稿Pを挟持して、この原稿Pを排紙トレイ42に排出する。
【0059】
尚、給紙ローラ451を含むADF40が備える各ローラは、軸線が、主走査方向と平行に設けられており、モータMT2の駆動力を受けて回転することで、原稿Pを、主走査方向とは直交する方向に、原稿トレイ41から排紙トレイ42へと搬送する。
【0060】
ところで、本実施例の画像読取装置1では、給紙ローラ451によって原稿Pが反り返るように、ADF読取領域R2に誘導されるため、ADF読取領域R2周辺では、原稿押さえ47を基点に、原稿がU字状(図7(d)参照)に湾曲する。即ち、原稿Pの向きは、原稿押さえ47を境に、斜め下方から斜め上方の向きに変わる。
【0061】
また、原稿押さえ47を基点とする原稿Pの湾曲態様は、原稿トレイ41の原稿Pに癖が付いているか否かといった要因や、原稿Pの厚さや硬さ(コシの強さ)等の紙材の違いによって、変化する。
【0062】
また、湾曲の態様が異なることによって、ADF読取領域R2では、読取ユニット21を常に一定位置に配置し、この位置で原稿Pを読み取っても、光源から反射して受光素子に入力される光量(反射光量)が原稿P毎に変化する。そして、反射光量が弱いと、例えば、原稿の読取画像が、暗い画像となってしまうといった問題が生じる。
【0063】
そこで、本実施例の画像読取装置1では、ADF40を用いて原稿Pを読み取る際に、原稿P毎に、ADF読取領域R2における読取ユニット21の読取最適位置を求めて、読取最適位置にて、原稿Pを読み取るようにしている。尚、この機能は、制御部10がキャリッジ搬送機構30及びADF40を制御することにより実現される。
【0064】
以下では、この機能を含む画像読取機能を実現するために、制御部10が実行する一連の処理について説明する。図4は、制御部10が、CPU11にて実行する読取主制御処理を表すフローチャートである。制御部10は、画像読取装置1の電源投入直後から、この読取主制御処理を繰返し実行する。
【0065】
読取主制御処理を開始すると、制御部10は、まず、読取指令が入力されるまで待機する(S110)。尚、読取指令は、表示操作部50を通じて入力される。そして、読取指令が入力されると(S110でYes)、S120に移行し、ADF40に原稿Pが載置されているか否かを判断する。
【0066】
原稿トレイ41周辺には、原稿トレイ41に原稿Pが載置されているか否かを検出するためのセンサが設けられており、S120では、このセンサの検出信号に基づいて、ADF40に原稿が載置されているか否かを判断する。
【0067】
ここで、ADF40に原稿が載置されていないと判断すると(S120でNo)、制御部10は、S130に移行し、FB読取領域R3に、読取対象の原稿Pが載置されているとみなして、FB読取制御処理を実行する。そして、FB読取制御処理の終了後、当該読取主制御処理を一旦終了し、次の読取指令が入力されるまで待機する(S110)。
【0068】
具体的に、FB読取制御処理では、読取ユニット21をホームポジション領域R1に配置した状態で、原稿読取に必要なパラメータを求める等の初期処理を行う。即ち、ホームポジション領域R1にある読取ユニット21に、読取動作を実行させることにより、白基準部材79を、読取ユニット21に読み取らせ、白基準部材79の読取によって得られたライン画像データから、受光素子の感度の違い等による輝度ムラを補正するためのシェーディング補正用のパラメータを求める等の初期処理を行う。
【0069】
また、初期処理後には、キャリッジ搬送機構30を通じて、副走査方向正方向(ホームポジション領域R1から遠ざかる方向)にキャリッジ31を搬送し、FB読取領域R3における原稿Pの載置領域下方において、キャリッジ31を等速で、副走査方向下流に搬送しつつ、等時間間隔で読取ユニット21に読取動作を実行させることにより、読取ユニット21に、FB読取領域R3に載置された原稿を読み取らせ、当該読取動作により生成された各ライン画像データを組み合わせてなる原稿Pの読取画像を表す読取画像データを、RAM15に生成する。そして、原稿読取後には、読取ユニット21をホームポジション領域R1に移動させる。
【0070】
尚、このようにRAM15に生成された読取画像データは、別途、制御部10が実行する画像出力処理において、シェーディング補正等の画像補正がなされた後、外部装置100に出力される。外部装置100としては、印刷装置やパーソナルコンピュータ、ファイルサーバ等を挙げることができる。
【0071】
一方、S120で、ADF40に原稿Pが載置されていると判断すると(S120でYes)、制御部10は、S140に移行し、図5に示すADF読取制御処理を実行することにより、ADF40を制御して、原稿トレイ41から読取対象の原稿Pを一枚取り出し、これをADF40に搬送させ、更に、読取ユニット21を通じて、ADF読取領域R2で当該原稿Pを読み取り、この原稿Pの読取画像を表す読取画像データを、RAM15に生成する(詳細後述)。
【0072】
そして、ADF読取制御処理を終えると、原稿トレイ41に次原稿が載置されているか否かを判断し(S150)、次原稿が載置されている場合には(S150でYes)、S140に移行し、次原稿について、再び、ADF読取制御処理を実行する。即ち、制御部10は、原稿トレイ41に載置された原稿がなくなるまで、原稿毎に、ADF読取制御処理を実行して、各原稿の読取画像データを、RAM15に生成する。
【0073】
そして、原稿トレイ41に載置された全原稿についてADF読取制御処理を実行することにより、原稿トレイ41に原稿がなくなると、S150でNoと判断して、当該読取主制御処理を一旦終了し、次の読取指令が入力されるまで待機する。
【0074】
尚、このようにしてRAM15に生成された原稿毎の読取画像データは、FB読取制御処理と同様、別途、制御部10が実行する画像出力処理において、シェーディング補正等の画像補正がなされた後、外部装置100に出力される。
【0075】
続いて、制御部10がS140において原稿毎に実行するADF読取制御処理について説明する。図5は、制御部10が実行するADF読取制御処理を表すフローチャートである。
【0076】
ADF読取制御処理を開始すると、制御部10は、読取ユニット21をホームポジション領域R1に配置した状態で、原稿読取に必要なパラメータを求める等の初期処理を行う(S210)。具体的には、FB読取制御処理と同様に、シェーディング補正用のパラメータを求める等の処理を行う。尚、読取指令によって原稿トレイ41に載置された複数枚の原稿Pを読み取る際には、二枚目以降の原稿Pに対するADF読取制御処理の実行時において、S210の初期処理を適宜省略することができる。
【0077】
S210での処理を終えると、制御部10は、S220に移行し、ADF40を通じて、原稿トレイ41に載置された原稿Pを一枚、原稿トレイ41から取り出し、これを排紙トレイ42へと搬送する原稿搬送処理を開始する。
【0078】
また、この原稿搬送処理の開始と共に、キャリッジ搬送機構30を通じて、キャリッジ31を、予め定められた光量測定開始位置(図3参照)まで搬送し、光量測定開始位置でキャリッジ31(読取ユニット21)を待機させる(S230)。尚、光量測定開始位置は、ADF読取領域R2におけるホームポジション領域R1側の端縁近傍に予め定められている。
【0079】
また、S230の処理後には、S220で搬送が開始された原稿Pの先端部が、光量測定開始位置(読取ユニット21の読取位置)に到達したか否かを、ADF40のセンサSN2から入力される検出信号に基づいて判断する(S240)。例えば、光量測定開始位置の手前に設けられたセンサで原稿先端が検知されてからの経過時間によって、原稿先端部が光量測定開始位置に到達したか否かを判断する。
【0080】
ここで、原稿先端部が光量測定開始位置に到達していないと判断すると(S240でNo)、制御部10は、原稿先端部が光量測定開始位置に到達するまで待機する(S240)。尚、本実施例では、必ず、キャリッジ31(読取ユニット21)が光量測定開始位置に到達した後、原稿先端部が光量測定開始位置に到達するものとする。図7(a)は、原稿先端部が光量測定開始位置に到達した時点での原稿先端部とキャリッジ31との位置関係を表した説明図である。
【0081】
そして、原稿先端部が光量測定開始位置に到達したと判断すると(S240でYes)、制御部10は、S250に移行し、原稿搬送処理を継続しながら、キャリッジ31の同期搬送処理を開始する。
【0082】
尚、この同期搬送処理では、原稿Pの移動に同期させながら、キャリッジ31を、副走査方向正方向に移動させるように、キャリッジ31の搬送制御を行うことで、読取ユニット21の読取位置が原稿Pに対して常に同じ位置(原稿先端部)となるようにする。
【0083】
また、制御部10は、この同期搬送処理の開始と共に、読取ユニット21に一定時間間隔T0で読取動作を繰返し実行させる原稿読取処理を開始する(S260)。尚、時間間隔T0は、読取解像度に対応した値に設定される。
【0084】
また、制御部10は、原稿読取処理の開始と共に(S260)、図6(a)に示す光量記録処理を開始する。原稿読取処理の開始と共に、読取ユニット21では一定時間間隔T0で読取動作が行われて、読取ユニット21からは一定時間間隔T0で読取結果を表すライン画像データが制御部10に入力されることになるが、制御部10は、このライン画像データを、光量記録処理にて処理する。
【0085】
図6(a)は、制御部10が実行する光量記録処理を表すフローチャートである。
光量記録処理を開始すると、制御部10は、読取ユニット21から光量測定開始位置での読取動作によって生成されたライン画像データが入力されるまで待機し、このライン画像データが入力されると、当該ライン画像データから、輝度が最大の画素を検索し、輝度が最大の画素を、光量測定画素に決定する(S510)。
【0086】
また、S510で決定した光量測定画素の輝度値を、光量測定開始位置での反射光量として、光量測定開始位置の情報と関連付けて、RAM15に記録する(S520)。この際には、反射光量のRAM15への記録と共に、上記ライン画像データを、予備データとして、光量測定開始位置の情報と関連付けて、RAM15に記録する。
【0087】
また、この処理後には、S530に移行し、読取ユニット21から次のライン画像データが入力されたか否かを判断し、次のライン画像データが入力されていない場合には(S530でNo)、終了指示が入力されたか否かを判断する(S540)。
【0088】
そして、終了指示が入力されていないと判断すると(S540でNo)、S530に移行し、次のライン画像データが入力されるか、終了指示が入力されるまで待機する(S530,S540)
そして、次のライン画像データが入力されると(S530でYes)、このライン画像データにおける光量測定画素の輝度値を、反射光量の情報として、当該ライン画像データを生成する原因となった読取動作時のキャリッジ31の位置情報と関連付けて、RAM15に記録する。この際にも、制御部10は、上記ライン画像データを、予備データとして、上記読取動作時のキャリッジ31の位置情報と関連付けてRAM15に記録する。その後、S530に移行する。
【0089】
このようにして、制御部10は、ライン画像データが読取ユニット21から入力される度に、当該ライン画像データから上述した手法で特定される反射光量と、キャリッジ31の位置情報とを、関連付けて、RAM15に記録し、図6(b)に示すような反射光量とキャリッジ位置とが関連付けられてなる光量測定データを、RAM15に生成する。尚、図6(b)は、RAM15に生成される光量測定データを表す説明図である。
【0090】
そして、終了指示が入力されると(S540でYes)、制御部10は、当該光量記録処理を終了する。
このようにして、制御部10は、読取ユニット21の読取位置が原稿に対して常に同じ位置(原稿先端部)となるように、キャリッジ搬送機構30及びADF40を制御しつつ、光量測定を行う。
【0091】
また、S270での光量記録処理の開始後には、S280に移行し、光量記録処理によりRAM15に記録された最新の反射光量が、予めROM13が記憶するFB光量設定値より大きいか否かを判断する(S280)。
【0092】
尚、FB光量設定値とは、FB読取制御処理において、FB読取領域R3に載置された原稿を、下方の読取ユニット21にて読み取る場合の反射光量(原稿が白紙だった場合の画素の輝度値)として、予め求められたものである。このFB光量設定値は、設計段階でROM13に記録される。
【0093】
そして、RAM15に記録された最新の反射光量が、FB光量設定値以下であると判断すると(S280でNo)、制御部10は、キャリッジ31が光量測定終了位置に到達したか否かを判断し(S290)、キャリッジ31が光量測定終了位置に到達していないと判断すると(S290でNo)、S280に移行する。
【0094】
このようにして、S280及びS290では、RAM15に記録された最新の反射光量が、FB光量設定値より大きい値となるか、キャリッジ31が光量測定終了位置に到達するまで待機する。
【0095】
ここで、上記光量記録処理によってRAM15に記録される反射光量の変化の態様を、図7及び図8を用いて説明する。
図7(b)は、図7(a)に示す時点から所定時間進んだ時点での原稿先端部とキャリッジ31との位置関係を表した説明図である。ここでは、光量測定開始位置を位置PAとし、図7(b)に示すように、図7(a)に示す時点から所定時間進んだ時点でのキャリッジ31の位置を、位置PBとする。
【0096】
また、図7(c)は、図7(b)に示す時点から更に所定時間進んだ時点での原稿先端部とキャリッジ31との位置関係を表した説明図であり、図7(d)は、図7(c)に示す時点から更に所定時間進んだ時点での原稿先端部とキャリッジ31との位置関係を表した説明図である。ここでは、図7(c)に示すように、図7(b)に示す時点から所定時間進んだ時点でのキャリッジ31の位置を位置PCとし、図7(d)に示すように、図7(c)に示す時点から所定時間進んだ時点でのキャリッジ31の位置を位置PDとする。
【0097】
図7(a)〜図7(d)を比較すると理解できるように、この例では、キャリッジ31が位置PCに到達した時点で、原稿Pと読取ユニット21とが最も接近している。即ち、位置PBから位置PCに移動する過程において、徐々に接近した原稿P及び読取ユニット21は、キャリッジ31が位置PCから位置PDに移動する際には、次第に離れていくことになる。
【0098】
従って、光量記録処理によって位置PDまでの反射光量がRAM15に記録されると、光量測定データが示すキャリッジ31の位置と反射光量との関係は、図8に示すような、極大点を有する関数形状になる。尚、図8は、キャリッジ31の位置と反射光量との関係を表すグラフである。
【0099】
S280及びS290では、このように変化する反射光量の最新値を、FB光量設定値と比較し、位置PAからキャリッジ31が移動する過程で、反射光量がFB光量設定値を超えれば、その地点でS280でYesと判断し、S300に移行する。
【0100】
そして、S300では、S220で開始した原稿搬送処理を一旦中断して、原稿Pを一旦停止させると共に、S250で開始した同期搬送処理を終了して、キャリッジ31を一旦停止させ、更には、光量記録処理に対して終了指示を入力して、上述の光量記録処理を終了させる(S310)。その後、制御部10は、S320に移行する。
【0101】
一方、反射光量の最大値がFB光量設定値以下である場合、制御部10は、S280でYesと判断することなく、キャリッジ31が光量測定終了位置に到達するまで、光量測定をし、S290でYesと判断した後、S300〜S310の処理を実行する。その後、制御部10は、S320に移行する。
【0102】
そして、S320に移行すると、制御部10は、RAM15に記録された光量測定データに基づき、読取ユニット21による原稿の読取最適位置を決定する。ここで、読取最適位置の決定手法について詳述するが、読取最適位置の決定手法は、S280でYesと判断した場合と、S290でYesと判断した場合とで異なるので、以下では、場合分けして説明する。
【0103】
まず、反射光量がFB光量設定値より大きい値を採らずに、キャリッジ31が光量測定終了位置に到達したことで、S290でYesと判断した場合について説明する。この場合には、反射光量が最大となった時点でのキャリッジ31の位置を、RAM15に記憶された光量測定データから特定し、反射光量が最大となった時点でのキャリッジ31の位置を、読取最適位置に決定する(S320)。
【0104】
一方、反射光量が、FB光量設定値より大きい値となったことで、S280でYesと判断した場合には、反射光量がFB光量設定値より大きい値となった時点よりも、時間的に1つ前の時点で、RAM15に書き込まれた反射光量に関連付けられたキャリッジ31の位置を、反射光量がFB光量設定値に一致する地点であるとみなして、読取最適位置に決定する(S320)。
【0105】
このようにして、読取最適位置を決定すると、制御部10は、S330に移行し、これまでの光量測定に係る読取動作の過程で、上記予備データとして、RAM15に記録されたライン画像データの内、上記決定した読取最適位置での読取動作により生成されたライン画像データを、当該原稿の読取画像データを構成する原稿先端部のライン画像データとして、RAM15の読取画像データ生成領域に記録する。また、他の上記予備データをRAM15から削除する。
【0106】
また、S330での処理を抑えると、制御部10は、S340に移行し、キャリッジ搬送機構30を通じて、キャリッジ31を副走査方向負方向(後退する方向)へ、上記決定した読取最適位置まで搬送して、キャリッジ31を読取最適位置で停止させる後退搬送処理を開始する。尚、この際には、原稿Pの読取解像度に対応した速度V0でキャリッジ31を副走査方向負方向へ搬送する。
【0107】
また、この後退搬送処理の開始に合わせて、制御部10は、読取ユニット21に一定時間間隔T0で読取動作を繰返し実行させる原稿読取処理を開始する(S350)。
このようにして、制御部10は、キャリッジ31が読取最適位置に移動するまでの期間、読取ユニット21に、時間間隔T0で繰返し読取動作を行わせることで、読取ユニット21に原稿を読み取らせて、予め定められた読取解像度に対応する各ラインのライン画像データであって、原稿先端部の原稿搬送方向後方側に隣接する原稿位置から、読取ユニット21が読取最適位置に到達したときに読取可能な原稿位置までの原稿前方領域の各ライン画像データを読取ユニット21に生成させる。
【0108】
尚、図9は、読取最適位置決定後から、キャリッジ31が読取最適位置に配置されるまでの画像読取装置1の動作態様を表した説明図である。
また、S350での上記処理の開始後には、S360に移行し、読取ユニット21が読取最適位置に到達するまでの期間、読取ユニット21から順次出力される各ライン画像データに対して、そのライン画像データを生成する原因となった読取動作の実行地点(読取位置)での反射光量に対応した補正を加え、その補正後のライン画像データを、当該原稿の読取画像データを構成するライン画像データとして、RAM15の読取画像データ生成領域に記録する。
【0109】
ここでは、具体的に、補正対象のライン画像データを生成する原因となった読取動作の実行時にキャリッジ31が存在した位置Dnでの反射光量Qnと、読取最適位置での反射光量Q0とに基づいて、補正対象のライン画像データの各画素の輝度値Xを、次式
Y=X・(Q0/Qn)
により輝度値Yに変換する。このようにして、補正対象のライン画像データを補正し、補正後のライン画像データを生成する。
【0110】
尚、反射光量Qn及び反射光量Q0については、RAM15に記録された光量測定データから特定する。即ち、反射光量Q0については、RAM15(光量測定データ)において、読取最適位置に関連付けられた反射光量に設定する。
【0111】
また、反射光量Qnについては、RAM15が記憶する光量測定データにおいて位置Dnに関連付けられた反射光量に設定する。但し、位置Dnに関連付けられた反射光量QnがRAM15に光量測定データとして記録されていない場合には、RAM15に記録された光量測定データを補間処理(例えば、直線補間)して、位置Dnに対応する反射光量Qnを特定する。
【0112】
S360では、このようにして、キャリッジ31が読取最適位置に移動する過程で読取ユニット21により生成された各ライン画像データの輝度を、反射光量に応じて補正し、補正後のライン画像データを、読取画像データ生成領域に書き込む。この動作により、RAM15の読取画像データ生成領域には、読取動作時の反射光量を考慮した原稿前方領域の各ライン画像データが記録される。
【0113】
また、読取ユニット21が読取最適位置に到達して、読取最適位置で停止すると、制御部10は、S370でYesと判断して、S380に移行する。
そして、S380では、S300で中断した原稿搬送処理を再開することにより、ADF40に停止させていた原稿搬送を開始させる。尚、この再開後の原稿搬送処理においては、読取ユニット21を読取最適位置に固定した状態で、上記後退搬送処理におけるキャリッジ31の速度V0と、同速度V0で、原稿Pを排紙トレイ42へと搬送する。このようにして、読取ユニット21と原稿Pとの相対速度を、後退搬送処理時と一致させる。
【0114】
また、原稿搬送処理の再開時には、同時に、読取ユニット21に一定時間間隔T0で読取動作を繰返し実行させる原稿読取処理を開始する(S390)。
即ち、制御部10は、読取ユニット21を読取最適位置に固定した状態で原稿Pを速度V0で搬送しながら、読取ユニット21に一定時間間隔T0で読取動作を実行させることにより、上記原稿前方領域から原稿Pの搬送方向後方に続く原稿後方領域を、読取最適位置にて、読取ユニット21に読み取らせ、読取ユニット21に、原稿後方領域の各ライン画像データを生成させる。
【0115】
また、S390での上記処理の開始後には、S400に移行し、原稿の最終ラインまでのライン画像データの上記読取画像データ生成領域への書込みが完了するまでの期間、読取ユニット21から順次出力される原稿後方領域の各ライン画像データを、RAM15の読取画像データ生成領域に記録する。
【0116】
そして、原稿の最終ラインまでの書込みが完了して、先頭ラインから最終ラインまでのライン画像データの一群からなる読取画像データが完成すると、S410でYesと判断して、ADF40に、原稿を排紙トレイ42に排出させた後(S420)、当該ADF読取制御処理を終了する。
【0117】
尚、このようにして、ADF読取制御処理を終了すると、RAM15には、原稿の読取画像を表す読取画像データとして、図10に示すように、原稿先端部G1が、光量測定時に生成されたライン画像データからなり、原稿先端部G1に続く原稿前方領域G2が、読取最適位置までの読取ユニット21の後退時に生成されたライン画像データからなり、原稿後方領域G3が、読取ユニット21の読取最適位置への固定後に生成されたライン画像データからなる読取画像データが生成される。
【0118】
以上、本実施例の画像読取装置1について説明したが、この画像読取装置1によれば、原稿Pの搬送毎に、読取ユニット21の読取最適位置を決定して、当該読取最適位置にて原稿Pを読み取るので、紙材の違い等によって、原稿押さえ47周辺での原稿Pの湾曲態様が変化しても、これによる反射光量の変化の影響を抑えて、良好な読取画像データを生成することができる。
【0119】
特に、本実施例の画像読取装置1によれば、読取ユニット21に入力される光量(反射光量)が、予め定められたFB光量設定値と一致する地点を、読取ユニット21の読取最適位置に決定するので、読取対象の各原稿を、FB読取時及びADF読取時のいずれの場合でも、常時、同じ光量で読み取ることができて、読取画像データが表す画像の輝度が、紙材の違いや原稿に癖が付いている等の理由や、FB読取であるかADF読取であるかといった読取方法の違いにより、原稿毎に変化するのを抑えることができる。
【0120】
また、FB光量設定値に対応する反射光量となる位置が、ADF読取領域R2になくとも、光量最大の地点を、読取最適位置に決定するので、原稿の読取画像データが暗くなるのを回避することができ、原稿の湾曲態様による反射光量の変化の影響を抑えて、良好な読取画像データを生成することができる。
【0121】
更に言えば、本実施例の画像読取装置1では、光量測定を行いながら、原稿の読取画像データを構成するライン画像データとして、原稿先端部のライン画像データを生成する。そして、読取ユニット21を読取最適位置に調整しながら、原稿前方領域のライン画像データを生成する。従って、本実施例によれば、読取ユニット21の読取位置を、原稿毎に調整しつつも、効率的に原稿1枚分の読取画像データを生成することができて、各原稿の読取速度が劣化するのを回避することができる。
【0122】
また、本実施例の画像読取装置1によれば、読取ユニット21を読取最適位置に後退させる際に、原稿Pの搬送を一旦中断して、原稿Pを停止させた状態で、読取ユニット21が読取最適位置に到達するまでの原稿領域(原稿前方領域)の読取動作を制御するので、この領域での制御が、煩雑とならずに済む。即ち、原稿搬送及び読取ユニット21の搬送を同時に実行しながら、読取ユニット21に原稿を読み取らせる場合のように、原稿読取の制御が煩雑になるのを回避することができる。
【0123】
この他、本実施例の画像読取装置1によれば、読取ユニット21を読取最適位置に後退させる際に、読取ユニット21により生成されるライン画像データについては、その輝度を、反射光量に合わせて補正し、原稿の読取画像データを生成するので、読取ユニット21を読取最適位置に移動させるまでの期間に読み取った原稿の領域に対応する上記読取画像データの領域に、反射光量の違いによる輝度ムラが生じるのを抑制することができる。
【0124】
尚、「特許請求の範囲」に記載の原稿搬送手段は、本実施例のADF40に対応し、給紙部は、原稿トレイ41に対応し、排紙部は、排紙トレイ42に対応する。また、ユニット搬送手段は、キャリッジ搬送機構30に対応し、制御手段は、制御部10に対応する。
【0125】
この他、第一の手順は、制御部10がCPU11にて実行するS220〜S260の処理により実現され、第二の手順は、S270〜S320の処理により実現され、第三の手順は、S340,S350の処理により実現され、第四の手順は、S380,S390の処理により実現されている。また、原稿載置台は、プラテンガラス73のFB読取領域R3に対応し、基準値は、FB光量設定値に対応する。
【0126】
また、本発明は、上記実施例に限定されるものではなく、種々の態様を採ることができる。
例えば、ADF読取制御処理では、常に、読取最適位置を、反射光量が最大となる位置に、決定するようにしてもよい。この場合には、S280での判断が不要となるので、ADF読取制御処理は、S280のステップを省略した構成にされてもよい。即ち、図5に示すADF読取制御処理において、S280で常にNoと判断するのと等価な処理手順に、ADF読取制御処理を変更してもよい。
【0127】
また、S280は、反射光量が極大点を過ぎたか否かを判断するステップに置き換えてもよい。図8に示すように、光量測定により得られる反射光量は、初期段階においてキャリッジ31の移動と共に徐々に上昇していくが、ある地点を境に、減少に転じる。
【0128】
従って、S280では、反射光量が減少に転じた時点で、Yesと判断して、S300以降の処理を実行するように、ADF読取制御処理を構成してもよい。
このように、ADF読取制御処理を構成して、反射光量が最大の地点を、読取ユニット21の読取最適位置に決定すれば、原稿の湾曲態様に依らず、読取対象の各原稿を、常時、光量最大で読み取ることができて、読取画像データが表す画像が輝度の低い暗い画像となってしまうのを抑えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0129】
【図1】画像読取装置1の電気的構成を表すブロック図である。
【図2】キャリッジ搬送機構30及びADF40の構成を示した画像読取装置1の概略断面図である。
【図3】プラテンガラス73上の各領域R1〜R3を表す図である。
【図4】制御部10が実行する読取主制御処理を表すフローチャートである。
【図5】制御部10が実行するADF読取制御処理を表すフローチャートである。
【図6】制御部10が実行する光量記録処理を表すフローチャート(a)及びこの処理で生成される光量測定データの構成図(b)である。
【図7】原稿Pの搬送に伴う湾曲態様を示した説明図である。
【図8】キャリッジ31の位置と反射光量との関係を表すグラフである。
【図9】読取最適位置決定後から、キャリッジ31が読取最適位置に配置されるまでの画像読取装置1の動作態様を表した説明図である。
【図10】読取画像データの構成を表す説明図である。
【符号の説明】
【0130】
1…画像読取装置、10…制御部、11…CPU、13…ROM、15…RAM、21…読取ユニット、30…キャリッジ搬送機構、31…キャリッジ、33…ガイド軸、40…ADF、41…原稿トレイ、42…排紙トレイ、43…分離機構、45…搬送機構、47…原稿押さえ、49…排紙機構、50…表示操作部、60…インタフェース、70…装置本体、73…プラテンガラス、75,76…仕切り板、79…白基準部材、80…カバー、100…外部装置、451…給紙ローラ、453,455…ピンチローラ、471…押さえ板、MT1,MT2…モータ、SN1,SN2…センサ、P…原稿、R1…ホームポジション領域、R2…ADF読取領域、R3…FB読取領域

【特許請求の範囲】
【請求項1】
読取対象の原稿を保持する給紙部から排紙部へと、前記読取対象の原稿を、ローラの回転により搬送する原稿搬送手段と、
前記ローラに近接した位置で、前記ローラの回転により搬送される前記原稿を、前記ローラの軸線と平行な主走査方向に、光学的に読み取る読取ユニットと、
前記読取ユニットを、前記主走査方向に直交する副走査方向に搬送するユニット搬送手段と、
前記原稿搬送手段及び前記読取ユニット及び前記ユニット搬送手段を制御して、前記読取対象の原稿を前記読取ユニットに読み取らせ、前記原稿の読取画像を表す読取画像データを生成する制御手段と、
を備え、
前記制御手段は、
前記原稿搬送手段に、前記読取対象の原稿を前記給紙部から搬送させると共に、前記原稿の先端部が前記読取ユニットの停止位置上に到達した時点で、前記ユニット搬送手段に、前記読取ユニットを、前記原稿の移動に合わせて、副走査方向に搬送させつつ、前記読取ユニットに複数回の読取動作を実行させることにより、前記原稿を前記原稿搬送手段に搬送させながら、前記読取ユニットに前記原稿の先端部を複数回主走査方向に読み取らせる第一の手順と、
前記第一の手順によって実現される前記複数回の読取動作により前記読取ユニットが生成した主走査方向の読取結果を表す各ライン画像データに基づき、前記読取ユニットの搬送路における前記第一の手順により読取動作が行われた領域内の各地点で前記読取ユニットに入力される光量を特定し、前記副走査方向において、光量が所定条件を満足する単一の地点を、前記読取ユニットの最適位置に決定する第二の手順と、
前記最適位置の決定後、前記ユニット搬送手段に、前記読取ユニットを前記最適位置まで後退させる方向に搬送させつつ、その搬送時に、前記読取ユニットに前記原稿を読み取らせることにより、前記読取ユニットが前記最適位置に到達したときに読取可能な原稿位置までの原稿内の領域である原稿前方領域を、前記読取ユニットに読み取らせ、前記読取ユニットに、前記読取画像データを構成するライン画像データとして、前記原稿前方領域の読取結果を表す各ライン画像データを生成させる第三の手順と、
前記読取ユニットの前記最適位置への到達後、当該最適位置に前記読取ユニットを保持して、当該最適位置で前記読取ユニットに読取動作を実行させると共に、前記原稿搬送手段に前記原稿を前記排紙部へと搬送させることにより、前記原稿前方領域から前記原稿の搬送方向後方に続く前記原稿内の領域としての原稿後方領域を、前記読取ユニットに読み取らせ、前記読取ユニットに、前記読取画像データを構成するライン画像データとして、前記原稿後方領域の各ライン画像データを生成させる第四の手順と、
を実行することによって、前記読取画像データを構成するライン画像データとして、前記読取ユニットにより生成された各ライン画像データを組み合わせてなる前記原稿の読取画像を表す読取画像データを生成する
ことを特徴とする画像読取装置。
【請求項2】
前記原稿前方領域は、前記原稿の先端部を除く領域であって、前記原稿の先端部の搬送方向後方側に隣接する原稿位置を始点とし、前記読取ユニットが前記最適位置に到達したときに読取可能な原稿位置を終点とする前記原稿内の領域であり、
前記制御手段は、前記第一の手順において前記読取ユニットにより生成された前記原稿の先端部の読取結果を表すライン画像データを、前記読取画像データを構成するライン画像データとして用いて、当該ライン画像データと、前記第三の手順により生成された前記原稿前方領域の各ライン画像データと、前記第四の手順により生成された前記原稿後方領域の各ライン画像データと、の組み合わせにより、前記読取画像データを生成することを特徴とする請求項1記載の画像読取装置。
【請求項3】
前記制御手段は、前記第三の手順で、前記ユニット搬送手段に、前記読取ユニットを前記最適位置まで後退する方向に搬送させる際には、先駆けて、前記原稿搬送手段に、前記原稿の搬送を一旦停止させ、その停止後に、前記ユニット搬送手段に、前記読取ユニットを前記最適位置まで後退する方向に搬送させ、前記読取ユニットが前記最適位置に到達した後、前記第四の手順で、前記原稿搬送手段に、前記原稿の搬送を再開させる構成にされていることを特徴とする請求項1又は請求項2記載の画像読取装置。
【請求項4】
前記制御手段は、前記第二の手順にて特定される前記各地点での光量の情報に基づき、前記読取画像データを構成する各ライン画像データの内、前記読取ユニットが前記最適位置に後退するまでの期間に行った読取動作により生成された各ライン画像データの輝度を、当該ライン画像データに対応する読取動作が行われた地点での光量と、前記最適位置において前記読取ユニットに入力される光量との差に応じた量補正し、補正後の各ライン画像データを用いて、前記原稿の読取画像を表す読取画像データを生成する構成にされていることを特徴とする請求項1〜請求項3のいずれかに記載の画像読取装置。
【請求項5】
前記制御手段は、前記読取ユニットに入力される光量が最大の地点を、前記読取ユニットの最適位置に決定することを特徴とする請求項1〜請求項4のいずれかに記載の画像読取装置。
【請求項6】
前記制御手段は、前記読取ユニットに入力される光量が、予め定められた基準値と一致する地点を、前記読取ユニットの最適位置に決定することを特徴とする請求項1〜請求項4のいずれかに記載の画像読取装置。
【請求項7】
前記読取ユニットの搬送路上に、前記ローラの軸線と平行、且つ、前記読取ユニットの搬送方向である前記副走査方向と平行、に設置された透明な板状の台であって、読取対象の原稿を載置するための原稿載置台を備え、
前記制御手段は、前記給紙部が保持する読取対象の原稿についての前記読取画像データを生成する際には、前記第一から第四の手順によって、前記原稿の読取画像を表す読取画像データを生成し、前記原稿載置台に載置された読取対象の原稿についての前記読取画像データを生成する際には、前記原稿載置台に載置された前記原稿の下方領域において、前記ユニット搬送手段に、前記読取ユニットを副走査方向に搬送させると共に、その搬送時に前記読取ユニットに読取動作を実行させることにより、当該読取動作により生成された各ライン画像データを組み合わせてなる前記原稿の読取画像を表す読取画像データを生成する構成にされ、
前記基準値は、前記原稿載置台に載置された原稿についての前記読取画像データ生成時において前記読取ユニットに入力される光量に、定められていること
を特徴とする請求項6記載の画像読取装置。
【請求項8】
読取対象の原稿を保持する給紙部から排紙部へと、前記読取対象の原稿を、ローラの回転により搬送する原稿搬送手段と、
前記ローラに近接した位置で、前記ローラの回転により搬送される前記原稿を、前記ローラの軸線と平行な主走査方向に、光学的に読み取る読取ユニットと、
前記読取ユニットを、前記主走査方向に直交する副走査方向に搬送するユニット搬送手段と、
を備える画像読取装置のコンピュータに、前記原稿の読取画像を表す読取画像データを生成させるためのプログラムであって、
前記原稿搬送手段に、前記読取対象の原稿を前記給紙部から搬送させると共に、前記原稿の先端部が前記読取ユニットの停止位置上に到達した時点で、前記ユニット搬送手段に、前記読取ユニットを、前記原稿の移動に合わせて、副走査方向に搬送させつつ、前記読取ユニットに複数回の読取動作を実行させることにより、前記原稿を前記原稿搬送手段に搬送させながら、前記読取ユニットに前記原稿の先端部を複数回主走査方向に読み取らせる第一の手順と、
前記第一の手順によって実現される前記複数回の読取動作により前記読取ユニットが生成した主走査方向の読取結果を表す各ライン画像データに基づき、前記読取ユニットの搬送路における前記第一の手順により読取動作が行われた領域内の各地点で前記読取ユニットに入力される光量を特定し、前記副走査方向において、光量が所定条件を満足する単一の地点を、前記読取ユニットの最適位置に決定する第二の手順と、
前記最適位置の決定後、前記ユニット搬送手段に、前記読取ユニットを前記最適位置まで後退させる方向に搬送させつつ、その搬送時に、前記読取ユニットに前記原稿を読み取らせることにより、前記読取ユニットが前記最適位置に到達したときに読取可能な原稿位置までの原稿内の領域である原稿前方領域を、前記読取ユニットに読み取らせ、前記読取ユニットに、前記読取画像データを構成するライン画像データとして、前記原稿前方領域の読取結果を表す各ライン画像データを生成させる第三の手順と、
前記読取ユニットの前記最適位置への到達後、当該最適位置に前記読取ユニットを保持して、当該最適位置で前記読取ユニットに読取動作を実行させると共に、前記原稿搬送手段に前記原稿を前記排紙部へと搬送させることにより、前記原稿前方領域から前記原稿の搬送方向後方に続く前記原稿内の領域としての原稿後方領域を、前記読取ユニットに読み取らせ、前記読取ユニットに、前記読取画像データを構成するライン画像データとして、前記原稿後方領域の各ライン画像データを生成させる第四の手順と、
を前記コンピュータに実行させるためのプログラム。

【図1】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図8】
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【図2】
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【図7】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2010−87806(P2010−87806A)
【公開日】平成22年4月15日(2010.4.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−254038(P2008−254038)
【出願日】平成20年9月30日(2008.9.30)
【出願人】(000005267)ブラザー工業株式会社 (13,856)
【Fターム(参考)】