説明

画像読取装置及び画像形成装置

【課題】画像信号の調整処理に対する検査を、検査ミスの少ないタイミングで実施する画像読取装置及び画像形成装置を提供する。
【解決手段】画像読取装置は、遮光状態が維持されている場合(プラテンカバーが閉じている場合)に、黒レベル調整の検査を行い、遮光状態が解除されている場合(プラテンカバーが開いている場合)に、黒レベル調整の検査を延期する。これによって、黒レベル調整の検査が外光の影響で失敗することを防ぐことができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像読取装置及び画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、特許文献1には、基準部材を読み取った際の読取値に基づいて、原稿載置台への外光入射の有無を判断する画像読取装置が開示されている。
【0003】
【特許文献1】特開2006−311219号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、画像信号の調整処理に対する検査を、検査ミスの少ないタイミングで実施することができる画像読取装置及び画像形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
請求項1に係る本発明は、原稿の反射光に基づいて画像信号を生成する画像信号生成手段と、前記画像信号生成手段により生成される画像信号を調整する信号調整手段と、前記信号調整手段による調整結果が適切であるか否かを検査する検査手段と、既定の光源以外の光が原稿に照射されないように遮光を行う遮光手段と、前記遮光手段による遮光状態が既定の条件を満たすか否かを判定する遮光判定手段と、前記遮光判定手段により遮光状態が既定の条件を満たすと判定された場合に、前記検査手段による検査を実施させる検査制御手段と、を有する画像読取装置である。
【0006】
請求項2に係る本発明は、前記検査制御手段は、前記遮光判定手段により遮光状態が既定の条件を満たさないと判定された場合に、前記検査手段による検査を延期させる請求項1に記載の画像読取装置である。
【0007】
請求項3に係る本発明は、前記信号調整手段は、黒色に相当する画像信号が既定の目標範囲内に収まるように、画像信号を調整し、前記検査手段は、前記光源が消灯されている時に前記画像信号生成手段により生成された画像信号に基づいて、調整結果が適切であるか否かを判断し、前記遮光判定手段は、前記遮光手段による遮光状態が解除されているか否かを判定し、前記検査制御手段は、前記遮光判定手段により遮光状態が解除されていると判定された場合に、前記検査手段による検査を延期させる請求項1に記載の画像読取装置である。
【0008】
請求項4に係る本発明は、前記検査制御手段は、前記遮光判定手段により遮光状態が解除されていると判定された場合に、原稿の画像読取処理が指示されるまで、前記検査手段による検査を延期させる請求項3に記載の画像読取装置である。
【0009】
請求項5に係る本発明は、前記検査制御手段は、前記検査手段による検査を延期させた場合に、原稿の画像読取処理が指示された時から、画像読取処理が開始されるまでの間に、前記検査手段による検査を実施させる請求項4に記載の画像読取装置である。
【0010】
請求項6に係る本発明は、前記遮光手段は、原稿台を覆うカバーであり、前記遮光判定手段は、前記カバーが原稿台を覆う位置に存在するか否かを判定し、前記検査制御手段は、前記カバーが原稿台を覆う位置に存在すると判定された場合に、前記検査手段による検査を許可し、前記カバーが原稿台を覆う位置に存在しないと判定された場合に、前記検査手段による検査を禁止する請求項1に記載の画像読取装置である。
【0011】
請求項7に係る本発明は、前記検査手段は、前記信号調整手段による調整が適切でないと判断した場合に、前記信号調整手段に対して、画像信号の調整レベルの再設定を行うよう指示する請求項1に記載の画像読取装置である。
【0012】
請求項8に係る本発明は、生成した画像信号を出力する画像読取装置と、前記画像読取装置から入力された画像信号に基づき画像を形成する画像形成部と、を有し、前記画像読取装置は、原稿の反射光に基づいて画像信号を生成する画像信号生成手段と、前記画像信号生成手段により生成される画像信号を調整する信号調整手段と、前記信号調整手段による調整結果が適切であるか否かを検査する検査手段と、既定の光源以外の光が原稿に照射されないように遮光を行う遮光手段と、前記遮光手段による遮光状態が既定の条件を満たすか否かを判定する遮光判定手段と、前記遮光判定手段により遮光状態が既定の条件を満たすと判定された場合に、前記検査手段による検査を実施させる検査制御手段と、を有する画像形成装置である。
【発明の効果】
【0013】
請求項1に係る本発明によれば、画像信号の調整処理に対する検査を、検査ミスの少ないタイミングで実施することができる画像読取装置を提供することができる。
【0014】
請求項2に係る本発明によれば、請求項1に係る本発明が奏する効果に加えて、遮光状態が規定の条件を満たさないと判定された場合に、画像信号の調整結果が適切であるか否かの検査を延期させることができる画像読取装置を提供することができる。
【0015】
請求項3に係る本発明によれば、請求項1に係る本発明が奏する効果に加えて、遮光状態が解除されていると判別された場合に、画像信号の調整結果が適切であるか否かの検査を延期させることができる画像読取装置を提供することができる。
【0016】
請求項4に係る本発明によれば、請求項3に係る本発明が奏する効果に加えて、原稿の画像読取処理が指示されるまで、画像信号の調整結果が適切であるか否かの検査を延期させることができる画像読取装置を提供することができる。
【0017】
請求項5に係る本発明によれば、請求項4に係る本発明が奏する効果に加えて、画像信号の調整結果が適切であるか否かの検査を延期させた場合に、原稿の画像読取処理が指示された時から、原稿の画像読取処理が開始されるまでの間に、画像信号の調整結果が適切であるか否かの検査を行うことができる原稿読取装置を提供することができる。
【0018】
請求項6に係る本発明によれば、請求項1に係る本発明が奏する効果に加えて、カバーが原稿台を覆う位置にない場合に、画像信号の調整結果が適切であるか否かの検査を禁止することができる画像読取装置を提供することができる。
【0019】
請求項7に係る本発明によれば、画像信号の調整レベルを再調整することができる原稿読取装置を提供することができる。
【0020】
請求項8に係る本発明によれば、画像信号の調整処理に対する検査を、検査ミスの少ないタイミングで実施することができる画像形成装置を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
図1は、画像形成装置の断面図である。
図1に例示するように、画像形成装置1は、画像読取装置10と、画像形成ユニット200とを有する。
【0022】
画像形成ユニット200は、画像読取装置10から入力された画像信号に基づき画像を形成する画像形成部として用いられ、画像形成ユニット本体202を有し、画像形成ユニット本体202内に、像保持体として用いられる感光体ドラム204と、感光体ドラム204を帯電する帯電装置206と、帯電装置206によって帯電された感光体ドラム204に光を照射して静電潜像を形成する潜像形成装置208と、潜像形成装置208によって感光体ドラム204の表面に形成された静電潜像を、トナーを用いて現像してトナー像を形成する現像装置210と、形成されたトナー像を用紙に転写する転写装置212と、感光体ドラム204の表面をクリーニングするクリーニング装置214とが装着されている。
【0023】
また、画像形成ユニット本体202内には、用紙を収納する用紙収納部材232が装着され、用紙収納部材232から供給された用紙の搬送に用いられる搬送路230が形成されている。また、搬送路230に沿って、用紙の搬送方向上流側から順に、レジストロール234と、先述の感光体ドラム204及び転写装置212と、定着装置240と、排出ロール236とが装着されている。
【0024】
レジストロール234は、停止した状態から所定のタイミングで回転を開始し、感光体ドラム204にトナー像が形成されるタイミングと合致するように、感光体ドラム204と転写装置212との接触部に用紙を供給する。定着装置240は、転写装置212によって用紙に転写されたトナー像を用紙に定着する。排出ロール236は、トナー像が定着された用紙を排出部238に排出する。
【0025】
図2は、画像読取装置10の斜視図である。
図2に例示するように、画像読取装置10は、プラテンガラス100と、プラテンカバー102と、開閉検知センサ104とを有する。
プラテンガラス100は、原稿台の一例である。プラテンガラス100の上面には、原稿が配置される。画像読取装置10の内部にはランプ(不図示)が設けられており、このランプの光は、プラテンガラス100を透過して原稿に照射され、その反射光が、プラテンガラス100を透過して、画像読取装置10の内部に設けられた光電変換素子(後述)に読み取られる。
プラテンカバー102は、遮光手段の一例であり、プラテンガラス100の上面に覆い被さることにより、プラテンガラス100及び原稿に照射される外光を遮断する。例えば、プラテンカバー102は、ヒンジなどにより画像読取装置10に対して開閉自在に設置されている。
開閉検知センサ104は、遮光判定手段の一例であり、プラテンカバー102の開閉状態(すなわち、遮光状態)を検知する。例えば、開閉検知センサ104は、プラテンカバー102に設置された磁石の磁力を検知することにより、プラテンカバー102の開閉状態を検知する。
【0026】
図3は、画像読取装置10の内部に設けられた機能構成を例示する図である。
図3に例示するように、画像読取装置10の内部には、光電変換素子106、サンプルホールド回路108、黒レベル調整回路110、出力増幅回路112、AD変換回路114、シェーディング補正回路116、出力遅延回路118、画像処理回路120、素子駆動回路122、DA変換回路124、比較回路126、及びCPU128が設けられている。
光電変換素子106は、受光量に応じて画像信号を生成する素子であり、例えば、CCD又はCMOSなどである。本例では、RGBの各色成分について、光電変換素子106が別個に設けられている形態を具体例として説明する。
サンプルホールド回路108は、光電変換素子106から入力されるアナログの画像信号R,G,Bをそれぞれサンプリングする。
黒レベル調整回路110は、サンプルホールド回路108によりサンプリングされた画像信号R,G,Bに対して、黒画像データの出力レベルが最終的に黒レベル(ゼロ)になるように補正処理(以下、黒レベル調整)を行う。
【0027】
出力増幅回路112は、黒レベル調整回路110から入力された画像信号R,G,Bに対して、適正なレベルの画像信号となるように増幅処理を施す。
AD変換回路114は、出力増幅回路112から入力されたアナログの画像信号R,G,Bを、デジタルの画像データR,G,Bに変換する。
シェーディング補正回路116は、AD変換回路114から入力された画像データR,G,Bに対して、光電変換素子106の感度バラツキや光学系の光量分布特性に対応した補正(シェーディング補正)を施す。
出力遅延回路118は、シェーディング補正回路116から入力された画像データG,Bを、シェーディング補正回路116から入力される画像データGと同相の画像データとなるように、それぞれ遅延させる。
画像処理回路120は、出力遅延回路118によって同相となった画像データR,G,Bに対して、拡大縮小処理、地肌除去処理又は2値化処理などの画像処理を施す。
【0028】
素子駆動回路122は、光電変換素子106に対して駆動信号を出力して、画像信号R,G,Bを光電変換素子106に出力させる。
DA変換回路124は、比較回路126により算出されたデジタルの差分値r,g,bを、アナログの差分値r,g,bに変換する。
比較回路126は、AD変換回路114から出力される画像データR,G,Bと、目標値とを比較して、これらの差分値r,g,bを算出する。
CPU128は、サンプルホールド回路108、黒レベル調整回路110、出力増幅回路112、シェーディング補正回路116、画像処理回路120、素子駆動回路122、及び比較回路126を制御する。
【0029】
図4は、光電変換素子106をより詳細に説明する図である。
図4に例示するように、RGBそれぞれの光電変換素子106は、主走査方向に配列された光電変換素子群と、フィルタとで構成されている。フィルタの一部は、黒色で遮蔽されており、この遮蔽された部分の光電変換素子は黒遮蔽画素となり、所定の色フィルタに相当する部分の光電変換素子は有効画素となる。有効画素とは、原稿からの反射光を受光できる画素であり、画像信号の生成に寄与する。また、黒遮蔽画素は、ランプの点灯又は消灯に関わらず、黒色に相当する光を受光する画素であり、黒レベル調整に用いられる。
【0030】
次に、画像読取装置10の動作を説明する。
図5は、画像読取装置10の初期化動作(S10)を例示するフローチャートである。
図5に示すように、ステップ100(S100)において、画像読取装置10は、電源の投入を検知すると(S100:Yes)、ハードウェアの初期化を開始し、S105の処理に移行する。
【0031】
ステップ105(S105)において、画像読取装置10は、白レベル調整を行う。具体的には、画像読取装置10が、光電変換素子106の有効画素(図3)で、白基準板を読み取り、読み取られた画像データ(白基準データ)とそのときの画像信号(光量基準値)をシェーディング補正回路116に保持する。
なお、初期化完了後の画像読取処理では、シェーディング補正回路116が、画像読取処理の直前に白基準板を読みって採取した光量測定値と、初期化時に採取した光量基準値との比(光量変動比)を白基準データに積算して、白画像データの出力レベルがランプの光量変動などの影響でばらつかないように適正な白レベルに合わせ込む。
【0032】
ステップ110(S110)において、画像読取装置10は、黒レベル調整を行う。具体的には、画像読取装置10が、光電変換素子106の黒遮蔽画素(図3)で画像データを読み取り、比較回路126が、読み取られた画像データ(黒基準データ)と、黒レベルの目標値とを比較して、これらの差分値を算出し、黒レベル調整回路110が、算出された差分値に基づいて、黒遮蔽画素で読み取られた画像データが目標範囲内に収まるような補正量(黒レベル補正値)を決定する。
【0033】
ステップ115(S115)において、画像読取装置10は、開閉検知センサ104からの検知結果に基づいて、プラテンカバー102の開閉状態を判定する。
画像読取装置10は、プラテンカバー102が閉じていると判定した場合に、S120の処理に移行し、プラテンカバー102が閉じていないと判定した場合に、S125の処理に移行する。
【0034】
ステップ120(S120)において、画像読取装置10は、黒レベル調整の検査を実施する。黒レベル調整の検査については、図7を参照して後述する。
ステップ125(S125)において、画像読取装置10(CPU128)は、黒レベル調整の検査を延期する。
ステップ130(S130)において、画像読取装置10は、待機状態に移行して、画像読取指示を受信するまで待機する。
【0035】
図6は、画像読取装置10の待機中の動作(S20)を例示するフローチャートである。
図6に示すように、ステップ200(S200)において、画像読取装置10は、開閉検知センサ104からの検知結果に基づいて、プラテンカバー102の開閉状態を判定する。画像読取装置10は、プラテンカバー102が閉じていると判定した場合に、S205の処理に移行し、プラテンカバー102が閉じていないと判定した場合に、S200の処理に戻って、プラテンカバー102が閉じられるまで待機する。
【0036】
ステップ205(S205)において、画像読取装置10は、初期化動作(S10)において、黒レベル調整の検査を行ったか否かを判断する。画像読取装置10は、初期化動作において黒レベル調整の検査が行われた場合に、S215の処理に移行し、初期化動作において黒レベル調整の検査が行われていない場合に、S210の処理に移行する。
【0037】
ステップ210(S210)において、画像読取装置10は、黒レベル調整の検査を実施する。なお、画像読取装置10は、本ステップにおいて検査が終了すると、以後、初期化動作において黒レベル調整が行われたものとみなす。
【0038】
ステップ215(S215)において、画像読取装置10は、待機状態に戻って、画像読取指示を受信するまで待機する。
【0039】
図7は、待機中に画像読取指示を受信した場合の動作(S22)を例示するフローチャートである。
図7に示すように、ステップ220(S220)において、画像読取装置10は、待機状態において、画像読取指示を受信すると(S220:Yes)、S225の処理に移行し、これ以外の場合に、S220の処理に戻って、待機状態となる。
【0040】
ステップ225(S225)において、画像読取装置10は、初期化動作において、黒レベル調整の検査を行ったか否かを判断する。画像読取装置10は、初期化動作において黒レベル調整の検査が行われた場合に、S235の処理に移行し、初期化動作において黒レベル調整の検査が行われていない場合に、S230の処理に移行する。
【0041】
ステップ230(S230)において、画像読取装置10は、黒レベル調整の検査を実施する。なお、画像読取装置10は、本ステップにおいて検査が終了すると、以後、初期化動作において黒レベル調整が行われたものとみなす。
【0042】
ステップ235(S235)において、画像読取装置10は、待機状態に戻って、次の画像読取指示を受信するまで待機する。
【0043】
このように、画像読取指示がなされた場合に黒レベル調整の検査を許容するのは、このような場合には、プラテンガラス100上に原稿が置かれている可能性が高く、プラテンカバー102が閉じていると同様の遮光性が期待できるからである。
【0044】
図8は、黒レベル調整の検査動作(S30)を例示するフローチャートである。
図8に示すように、ステップ300(S300)において、画像読取装置10は、ランプを消灯した状態で、光電変換素子106の有効画素(図3)を用いて、画像データを読み取る。
【0045】
ステップ305(S305)において、シェーディング補正回路116は、画像平均化回路部分を用いて、読み取られた画像データの平均画素値を算出する。
ステップ310(S310)において、CPU128は、算出された平均画素値が、黒レベルの目標範囲内に収まっているか否かを判断し、平均画素値が目標範囲内である場合に、S315の処理に移行し、平均画素値が目標範囲外である場合に、S320の処理に移行する。
【0046】
ステップ315(S315)において、CPU128は、黒レベル調整が正常であると判断して、黒レベル調整の検査を正常に終了する。
【0047】
ステップ320(S320)において、CPU128は、黒レベル調整が異常であると判断して、黒レベル調整の検査を異常終了する。なお、画像読取装置10は、黒レベル調整の検査が異常終了した場合に、例えば、初期化動作(S10)をやり直してもよいし、異常状態をユーザに通知して装置を停止させてもよい。
【0048】
以上説明したように、本実施形態の画像読取装置10は、遮光状態が維持されている場合(すなわち、プラテンカバー102が閉じている場合)に、黒レベル調整の検査を行い、遮光状態が解除されている場合(すなわち、プラテンカバー102が開いている場合)に、黒レベル調整の検査を延期する。これによって、黒レベル調整の検査が外光の影響で失敗することを防ぐことが期待できる。
【0049】
[変形例]
次に、上記実施形態の変形例を説明する。
上記実施形態では、光電変換素子106の黒遮蔽画素(図4)を用いて黒レベル調整を行う形態を説明したが、光電変換素子106の有効画素(図4)を用いて黒レベル調整を行う形態を変形例として説明する。
【0050】
図9は、黒レベル調整の変形例(S40)を説明するフローチャートである。なお、画像読取装置10は、図2の機能構成から、DA変換回路124及び比較回路126を削除した構成をとる。
図9に示すように、ステップ400(S400)において、画像読取装置10のCPU128は、黒レベル調整回路110に対して、黒レベル調整値を設定する。黒レベル調整値は、デフォルトの値からスタートして、フィードバックによって順に更新されていく。
ステップ405(S405)において、画像読取装置10は、ランプを消灯した状態で、光電変換素子106の有効画素(図4)を用いて、画像データを読み取る。
シェーディング補正回路116は、画像平均化回路部分を用いて、読み取られた画像データの平均画素値を算出する。
【0051】
ステップ410(S410)において、CPU128は、シェーディング補正回路116により算出された平均画素値が、黒レベルの目標範囲(例えば、画像データが0〜255の値をとりうる場合に、目標値である0から10までの範囲を目標範囲とする)内であるか否かを判断し、平均画素値が黒レベルの目標範囲内である場合に、S415の処理に移行し、平均画素値が黒レベルの目標範囲外である場合に、S420の処理に移行する。
【0052】
ステップ415(S415)において、CPU128は、現在設定されている黒レベル調整値を確定値として黒レベル調整回路110に設定して、黒レベル調整処理を終了する。
【0053】
ステップ420(S420)において、CPU128は、黒レベル調整値の再設定回数をカウントしており、この再設定回数が既定回数未満である場合に、S430の処理に移行し、再設定回数が既定回数以上である場合に、S425の処理に移行する。
【0054】
ステップ425(S425)において、CPU128は、黒レベル調整値の設定に失敗したと判断して、黒レベル調整を異常終了する。
ステップ430(S430)において、CPU128は、シェーディング補正回路116により算出された平均画素値と、目標値である0との差分を算出し、算出された差分に基づいて、黒レベル調整値を更新する。黒レベル調整値の更新は、平均画素値が目標値に収束するようになされる。
【0055】
このように、黒レベル調整は、光電変換素子106の有効画素を用いて、実施されてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0056】
【図1】画像形成装置の断面図である。
【図2】画像読取装置10の斜視図である。
【図3】画像読取装置10の内部に設けられた機能構成を例示する図である。
【図4】光電変換素子106をより詳細に説明する図である。
【図5】画像読取装置10の初期化動作(S10)を例示するフローチャートである。
【図6】画像読取装置10の待機中の動作(S20)を例示するフローチャートである。
【図7】待機中に画像読取指示を受信した場合の動作(S22)を例示するフローチャートである。
【図8】黒レベル調整の検査動作(S30)を例示するフローチャートである。
【図9】黒レベル調整の変+形例(S40)を説明するフローチャートである。
【符号の説明】
【0057】
1・・・画像形成装置
10・・・画像読取装置
100・・・プラテンガラス
102・・・プラテンカバー
104・・・開閉検知センサ
106・・・光電変換素子
108・・・サンプルホールド回路
110・・・黒レベル調整回路
112・・・出力増幅回路
114・・・AD変換回路
116・・・シェーディング補正回路
118・・・出力遅延回路
120・・・画像処理回路
122・・・素子駆動回路
124・・・DA変換回路
126・・・比較回路
128・・・CPU

【特許請求の範囲】
【請求項1】
原稿の反射光に基づいて画像信号を生成する画像信号生成手段と、
前記画像信号生成手段により生成される画像信号を調整する信号調整手段と、
前記信号調整手段による調整結果が適切であるか否かを検査する検査手段と、
既定の光源以外の光が原稿に照射されないように遮光を行う遮光手段と、
前記遮光手段による遮光状態が既定の条件を満たすか否かを判定する遮光判定手段と、
前記遮光判定手段により遮光状態が既定の条件を満たすと判定された場合に、前記検査手段による検査を実施させる検査制御手段と、
を有する画像読取装置。
【請求項2】
前記検査制御手段は、前記遮光判定手段により遮光状態が既定の条件を満たさないと判定された場合に、前記検査手段による検査を延期させる請求項1に記載の画像読取装置。
【請求項3】
前記信号調整手段は、黒色に相当する画像信号が既定の目標範囲内に収まるように、画像信号を調整し、
前記検査手段は、前記光源が消灯されている時に前記画像信号生成手段により生成された画像信号に基づいて、調整結果が適切であるか否かを判断し、
前記遮光判定手段は、前記遮光手段による遮光状態が解除されているか否かを判定し、
前記検査制御手段は、前記遮光判定手段により遮光状態が解除されていると判定された場合に、前記検査手段による検査を延期させる請求項1に記載の画像読取装置。
【請求項4】
前記検査制御手段は、前記遮光判定手段により遮光状態が解除されていると判定された場合に、原稿の画像読取処理が指示されるまで、前記検査手段による検査を延期させる請求項3に記載の画像読取装置。
【請求項5】
前記検査制御手段は、前記検査手段による検査を延期させた場合に、原稿の画像読取処理が指示された時から、画像読取処理が開始されるまでの間に、前記検査手段による検査を実施させる請求項4に記載の画像読取装置。
【請求項6】
前記遮光手段は、原稿台を覆うカバーであり、
前記遮光判定手段は、前記カバーが原稿台を覆う位置に存在するか否かを判定し、
前記検査制御手段は、前記カバーが原稿台を覆う位置に存在すると判定された場合に、前記検査手段による検査を許可し、前記カバーが原稿台を覆う位置に存在しないと判定された場合に、前記検査手段による検査を禁止する請求項1に記載の画像読取装置。
【請求項7】
前記検査手段は、前記信号調整手段による調整が適切でないと判断した場合に、前記信号調整手段に対して、画像信号の調整レベルの再設定を行うよう指示する請求項1に記載の画像読取装置。
【請求項8】
生成した画像信号を出力する画像読取装置と、
前記画像読取装置から入力された画像信号に基づき画像を形成する画像形成部と、
を有し、
前記画像読取装置は、
原稿の反射光に基づいて画像信号を生成する画像信号生成手段と、
前記画像信号生成手段により生成される画像信号を調整する信号調整手段と、
前記信号調整手段による調整結果が適切であるか否かを検査する検査手段と、
既定の光源以外の光が原稿に照射されないように遮光を行う遮光手段と、
前記遮光手段による遮光状態が既定の条件を満たすか否かを判定する遮光判定手段と、
前記遮光判定手段により遮光状態が既定の条件を満たすと判定された場合に、前記検査手段による検査を実施させる検査制御手段と、
を有する画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2010−74528(P2010−74528A)
【公開日】平成22年4月2日(2010.4.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−239624(P2008−239624)
【出願日】平成20年9月18日(2008.9.18)
【出願人】(000005496)富士ゼロックス株式会社 (21,908)
【Fターム(参考)】