説明

画像読取装置及び電力制御方法

【課題】 例えば、USBバスを通して外部装置から電力が供給されて動作する場合でも、その画像読取動作中にLCD等の表示部のバックライトを点灯させることが可能な画像読取装置とその装置に適用される電力制御方法を提供することである。
【解決手段】外部装置から電力供給を受けて駆動しLEDからの光を間歇的に照射して原稿画像を読み取るCISと読取関連情報を表示するバックライト付LCDとを備えた装置において画像読取動作中の光源消灯期間にバックライトを点灯させるように制御する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は画像読取装置及び電力制御方法に関し、特に、例えば、シート状の記録媒体に記録された画像を光学的により読み取る画像読取装置及びその装置に適用される電力制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来よりスキャナのような画像読取装置には、特許文献1に開示されているようなLCD(液晶表示装置)を備え、画像読取時にそのLCD画面に文字情報や画像を表示させるものがある。また、特許文献2に開示されているようにカラーLCDのバックライトをRGB3つの光源を時分割で点灯させる制御を行うことにより低消費電力でのバックライト点灯を実現したものなどがある。
【特許文献1】特開2002−16744号公報
【特許文献2】特開平5−346570号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら上記従来例では、画像読取時にLCDのバックライトを点灯し文字情報、画像を表示させるので、画像読取装置を画像そのものの読取動作に必要な駆動電力に加えてLCDを駆動させるための電力が必要となる。
【0004】
このため、USBバスから電力供給を受けて駆動する画像読取装置では、USBバスの電力の制限(5V、500mA)のため画像読取時にLCDのバックライトを点灯させることができないという問題があった。
【0005】
本発明は上記従来例に鑑みてなされたもので、外部装置からの電力供給により動作する場合でも、瞬間的な電力消費を抑えつつ、画像読取と情報表示との両立が可能な画像読取装置とその装置に適用される電力制御方法を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するため本発明の記録装置は以下の構成からなる。
【0007】
即ち、外部装置から電力供給を受けて駆動し原稿に記録された画像を読み取る画像読取装置であって、前記原稿に光源の光を間歇的に照射して前記原稿に記録された画像を光学的に読み取る読取手段と、前記読取に関連した情報をバックライトを点灯させることにより画面に表示する表示手段と、前記読取手段による画像読取動作中において、前記光源が消灯している期間に前記バックライトを点灯させるように制御する点灯制御手段とを有することを特徴とする。
【0008】
ここで、前記読取手段の光源として、赤色LEDと緑色LEDと青色LEDとを用いることが望ましい。
【0009】
そして、前記画像読取の読取一周期毎に、これら赤色LEDと緑色LEDと青色LEDを時分割に順次点灯するよう制御することが望ましい。
【0010】
さて、前記読取手段は、赤色LEDと緑色LEDと青色LEDとからなる光源と、その光源からの光を原稿に対して均一に照射する導光対と、その原稿からの反射光を各画素毎に集光するセルフォックレンズとを含むコンタクトイメージセンサと、そのコンタクトイメージセンサを所定の方向に走査する走査手段とを備えていることが望ましい。
【0011】
なお、そのセルフォックレンズの各セルは走査手段による走査方向とは直角の方向に配列している。
【0012】
また、前記表示手段はLCDを含み、前記バックライトはそのLCDのバックライト光源となるLEDであることが望ましい。
【0013】
さらに、前記点灯制御手段は、読取一周期毎に、赤色LEDと緑色LEDと青色LEDの全ての点灯が終了後に、バックライトを点灯させるように制御しても良いし、或いは、その読取一周期毎に、赤色LEDと緑色LEDの点灯期間の間と、緑色LEDと青色LEDの点灯期間の間と、青色LEDの点灯が終了後に、バックライトを点灯させるように制御しても良い。このようにすることで、バックライトの光量が調整される。
【0014】
このため、前記点灯制御手段は、さらに、前記バックライトによる光量を指示する指示手段と、その指示に従って、前記光源が消灯している期間にバックライトの点灯時間を調整する調整手段とを有するが望ましい。
【0015】
またさらに、前記外部装置からの電力供給は、USBバスを介してなされることが望ましい。
【0016】
また他の発明によれば、外部装置から電力供給を受けて駆動し、原稿に光源の光を間歇的に照射して前記原稿に記録された画像を光学的に読み取る読取手段と前記読取に関連した情報をバックライトを点灯させることにより画面に表示する表示手段とを備えた画像読取装置における電力制御方法であって、前記読取手段による画像読取動作中において、前記光源が消灯している期間に前記バックライトを点灯させるように制御することを特徴とする電力制御方法を備える。
【発明の効果】
【0017】
従って本発明によれば、画像読取時でも画像読取用の光源が消灯している期間に読取に関連した情報を表示する表示手段のバックライトを点灯させるよう制御するので、画像読取期間においても瞬間的に消費電力が増えることがないという効果がある。
【0018】
これにより、消費電力の制限がある例えば、USBバスを通して外部装置から電力が供給されて動作する画像読取装置でもバックライトを点灯させることが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
以下添付図面を参照して本発明の好適な実施例について、さらに具体的かつ詳細に説明する。
【0020】
図1は本発明の代表的な実施例であるフラットベッド型の画像読取装置100(光学スキャナ)の外観斜視図である。この画像読取装置には、図1に示すように、バックライト付のLCD110が備えられており、画像読取時にはLCD110のバックライトを点灯させ、簡単な文字情報や画像を表示することができる。図1に示すLCD表示画面111には読取解像度、スキャンモード、読取の進行度を示すメータなどが表示される。また、画像読取装置100はUSBインタフェースでホストコンピュータ(以下、ホスト)などの外部装置と接続され、この画像読取装置を動作させる電力はUSBインタフェースを介してその外部装置より供給される。ホストとしては、パーソナルコンピュータなどが代表的なものである。
【0021】
図2は図1に示す画像読取装置100の内部構成を示す側断面図である。
【0022】
図2に示すように、画像読取装置100は本体部101と読取対象となる原稿107を押さえつけ外部からの光を遮光する圧板108とから構成される。本体部101には光学ユニット102、光学ユニット102と電気的に接続された回路基板103、光学ユニット102を走査させる際のレールとなるスライディングロッド104、原稿台ガラス105が備えられる。光学ユニット102には原稿107に光を照射し、その反射光を受光して電気信号に変換するするコンタクトイメージセンサ(CIS)ユニット106が内蔵される。
【0023】
画像読取の際には原稿台ガラス105上に置かれた原稿107を光学ユニット102が矢印Bの方向(副走査方向)に走査することにより原稿107に記録された画像の読取を行う。
【0024】
図3はコンタクトイメージセンサ(CIS)ユニット106の詳細な構造を示す側断面図である。
【0025】
CISユニット106は、図3に示すように、R(レッド)色の光を発光する赤色LED202と、G(グリーン)色の光を発光する緑色LED203と、B(ブルー)色の光を発光する青色LED204とを備えている。原稿読取時には1ライン毎に各色LEDを時分割で点灯させ、点灯した光を導光対205を通して均一に原稿に対し照射しその反射光をセルフォックレンズ201で画素毎に集光し、光電変換素子でその光を電気信号に変換する。このようにして、RGB3色成分の色信号からなる1ライン分の画像信号を出力する。CISユニット106を副走査方向に移動させることにより原稿全面の画像読取を行う。
【0026】
なお、セルフォックレンズ201の各セルの配列方向を示す矢印Aの方向を主走査方向という。主走査方向と副走査方向とは互いに直交している。図2では、主走査方向は紙面に対して垂直方向となる。
【0027】
図4は画像読取装置の制御回路の構成を示すブロック図である。
【0028】
なお、図4において、既に図1〜図3において説明した構成要素には同じ参照番号を付し、その説明は省略する。
【0029】
CIS106はLED駆動回路403において1ライン毎に各色のLED202〜204を切り替えて点灯させることにより、RGB線順次にカラー画像を読み取る。LED 202〜204は原稿の照射光量を変化させることが可能な光源である。増幅器(AMP)404はCIS106より出力された信号を増幅し、A/D変換器405はその増幅された電気信号をA/D変換して、例えば、各画素各色成分16ビットのデジタル画像データを出力する。
【0030】
シェーディングRAM407は、本体部101の原稿ガラス105に貼り付けられた指標板(不図示)の裏面に貼り付けられた標準白色板(不図示)を読み取ることによりシェーディング補正を行うために用いるデータを記憶している。そして、シェーディング補正回路406はシェーディングRAM407に記憶されたデータに基いて、A/D変換器405から出力された画像データにシェーディング補正処理を施す。さらに、ガンマ変換回路408では、ホストより予め設定されたガンマ曲線に従って、シェーディング補正がなされた画像データにガンマ変換を施す。
【0031】
バッファRAM410は、実際の読み取り動作とホストとの通信に於けるタイミングを合わせるために、画像データを1次的に記憶させるためのRAMである。パッキング/バッファRAM制御回路411は、ホストにより予め設定された画像出力モード(2値、8ビットグレー、24ビットカラー(RGB各色8ビット)、48ビットカラー(RGB各色16ビット))に従ったパッキング処理を行う。さらに、そのパッキング処理がなされた画像データをバッファRAM410に書き込むとともに、インタフェース制御回路411にバッファRAM410から画像データを読み込んで出力する。
【0032】
インタフェース制御回路411は、外部装置417であるホストとの間で、制御データの授受や画像データの出力を行う。
【0033】
以上のような一連の処理は、マイクロコンピュータ形態のCPU414により制御される。その制御はROM415に格納された処理プログラムをCPU414が読み出し、RAM416を作業領域として用いて実行することより実行される。
【0034】
さらに、図4において、412は例えば水晶発信器などの基準信号発信器(OSC)、413はCPU414の設定に応じて基準信号発信器412の出力を分周して動作の基本となる各種タイミング信号を発生するタイミング信号発生回路である。
【0035】
またさらに、417は操作ボタンからなる操作部であり、その出力信号はCPU414の入力ポートに接続されている。419はLCD110のバックライト光源となるLEDであり、タイミング信号発生回路413から出力される点灯信号により点灯制御される。
【0036】
次に以上の構成の画像読取装置におけるLCDバックライト制御について詳しく説明する。
【0037】
図5はLCDバックライト制御シーケンスを示すタイムチャートである。
【0038】
図5において、HSYNCはCIS106の同期信号であり、CIS106は同期信号HSYNCに従って1ライン毎に画像読取を行う。R_LED、G_LED、B_LEDはCIS106に備えられた画像読取の光源となるLEDの点灯制御信号であり、ライン単位で各色LED202〜204毎に点灯時間を変えることにより光量を調整することが可能である。また、3つのLEDは時分割に点灯される。この点灯時間はシェーディングデータを読み取る時に、即ち、シェーディング用の標準白色板を読み取るときに設定される。
【0039】
また、同期信号HSYNCの周期は、LED202〜204の最大点灯時間に対して、所定時間の余裕を持って設定されている。
【0040】
BKL_ON信号はLCD110のバックライト光源となるLED419の点灯制御信号であり、図5に示されるように、各色LED202〜204が消灯しているタイミングでバックライトを点灯させるように制御される。図5に示す例では、点灯制御信号BKL_ONがハイレベルとなり、1ライン読取動作の終了後にLED419を点灯するように制御している。なお、次の1ライン読取動作開始までの期間を1読取周期という。
【0041】
図6はLCDバックライト制御シーケンスの別の例を示すタイムチャートである。
【0042】
図6に示す例では、1ライン読取動作中の次の期間でLED419を点灯するように制御している。即ち、(1)赤色LED202が消灯し緑色LED203が点灯するまでの間、(2)緑色LED204が消灯し青色LED204が点灯するまでの間、(3)青色LED204が消灯後次の1ラインの読取動作のために赤色LED202が点灯するまでの間である。このような制御により、LCD110のバックライト光源の光量は多くなり、画像読取装置が明るい環境に設置された場合でもLCDの表示画像を明瞭に識別することができる。
【0043】
また図示してはいないが、1ライン読取動作中に、例えば、赤色LED202が消灯し緑色LED203が点灯するまでの間と、緑色LED204が消灯し青色LED204が点灯するまでの間にLED419を点灯するように制御しても良い。このようにすることで、図5に示す制御を行った場合と図6に示す制御を行った場合に得られる光量の中間の光量を得ることができる。
【0044】
このようなLCD110のバックライト光源の光量は操作部110のボタンにより調整することができる。
【0045】
従って以上説明した実施例に従えば、画像読取の光源として用いるLEDが消灯しているタイミングでLCDバックライトの光源となるLEDを点灯させるように制御される。このような制御により、これらのLEDが同時に発光することがなく、瞬間的な電力消費を低く抑えることが可能になる。これにより、電力供給量が限られているUSBバスから電力を供給される装置においても、LCDのバックライトを点灯させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0046】
【図1】本発明の代表的な実施例であるフラットベッド型の画像読取装置の外観斜視図である。
【図2】図1に示す画像読取装置の内部構成を示す側断面図である。
【図3】イメージセンサユニットの詳細な構造を示す側断面図である。
【図4】図1に示す画像読取装置の制御構成を示すブロック図である。
【図5】LCDバックライト制御シーケンスを示すタイムチャートである。
【図6】LCDバックライト制御シーケンスの別の例を示すタイムチャートである。
【符号の説明】
【0047】
106 CIS
110 LCD
202 赤色LED
203 緑色LED
204 青色LED
410 LCDバックライト光源LED
413 タイミング信号発生回路
414 CPU

【特許請求の範囲】
【請求項1】
外部装置から電力供給を受けて駆動し原稿に記録された画像を読み取る画像読取装置であって、
前記原稿に光源の光を間歇的に照射して前記原稿に記録された画像を光学的に読み取る読取手段と、
前記読取に関連した情報をバックライトを点灯させることにより画面に表示する表示手段と、
前記読取手段による画像読取動作中において、前記光源が消灯している期間に前記バックライトを点灯させるように制御する点灯制御手段とを有することを特徴とする画像読取装置。
【請求項2】
前記読取手段の光源として、赤色LEDと緑色LEDと青色LEDとを用いることを特徴とする請求項1に記載の画像読取装置。
【請求項3】
前記画像読取の読取一周期毎に、前記赤色LEDと緑色LEDと青色LEDを時分割に順次点灯するよう制御する読取制御手段をさらに有することを特徴とする請求項2に記載の画像読取装置。
【請求項4】
前記読取手段は、
前記赤色LEDと緑色LEDと青色LEDとからなる光源と、前記光源からの光を前記原稿に対して均一に照射する導光対と、前記原稿からの反射光を各画素毎に集光するセルフォックレンズとを含むコンタクトイメージセンサと、
前記コンタクトイメージセンサを所定の方向に走査する走査手段とを有することを特徴とする請求項2又は3に記載の画像読取装置。
【請求項5】
前記セルフォックレンズの各セルは前記走査手段による走査方向とは直角の方向に配列していることを特徴とする請求項4に記載の画像読取装置。
【請求項6】
前記表示手段はLCDを含み、
前記バックライトは前記LCDのバックライト光源となるLEDであることを特徴とする請求項1乃至5のいずれかに記載の画像読取装置。
【請求項7】
前記点灯制御手段は、前記読取一周期毎に、前記赤色LEDと緑色LEDと青色LEDの全ての点灯が終了後に、前記バックライトを点灯させるように制御することを特徴とする請求項3に記載の画像読取装置。
【請求項8】
前記点灯制御手段は、前記読取一周期毎に、前記赤色LEDと前記緑色LEDの点灯期間の間と、前記緑色LEDと前記青色LEDの点灯期間の間と、前記青色LEDの点灯が終了後に、前記バックライトを点灯させるように制御することを特徴とする請求項3に記載の画像読取装置。
【請求項9】
前記点灯制御手段は、
前記バックライトによる光量を指示する指示手段と、
前記指示手段による指示に従って、前記光源が消灯している期間に前記バックライトの点灯時間を調整する調整手段とを有することを特徴とする請求項1乃至8のいずれかに記載の画像読取装置。
【請求項10】
前記外部装置からの電力供給は、USBバスを介してなされることを特徴とする請求項1乃至9のいずれかに記載の画像読取装置。
【請求項11】
外部装置から電力供給を受けて駆動し、原稿に光源の光を間歇的に照射して前記原稿に記録された画像を光学的に読み取る読取手段と前記読取に関連した情報をバックライトを点灯させることにより画面に表示する表示手段とを備えた画像読取装置における電力制御方法であって、
前記読取手段による画像読取動作中において、前記光源が消灯している期間に前記バックライトを点灯させるように制御することを特徴とする電力制御方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2007−49316(P2007−49316A)
【公開日】平成19年2月22日(2007.2.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−230087(P2005−230087)
【出願日】平成17年8月8日(2005.8.8)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.セルフォック
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】