説明

画像読取装置

【課題】原稿の読み取りに伴い発生する裏写り画像を原稿の厚さや種類に関わらず除去することができる画像読取装置を提供する。
【解決手段】原稿20の両面同時読み取りに対応した画像読取部15に、原稿A面(表面)を読み取るA面読取部15Aと原稿B面(裏面)を読み取るB面読取部15Bとを設ける。A面読取部15Aは、反射率の異なる反射板22a1、22a2を背後にして光源21a1、21a2により照明された原稿A面をセンサ23a1、23a2が各々読み取るように構成し、B面読取部15Bは、反射率の異なる反射板22b1、22b2を背後にして光源21b1、21b2により照明された原稿B面をセンサ23b1、23b2が各々読み取るように構成する。この4つ読取画像を用いて原稿の透過率および背面反射率を含む裏写りの度合いを示す裏写り係数を算出し裏写り画像成分を除去する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、両面原稿などの読み取りで発生する裏写りの自動補正機能を備えた画像読取装置に関する。
【背景技術】
【0002】
スキャナ機や複写機、複合機などは、両面原稿などの読み取り(両面同時読み取り/片面読み取り)にて、原稿表面に透けた原稿裏面の画像を読み取ってしまう裏写りを抑えることが望まれる。
【0003】
一般には、反射板を背後にして原稿表面を照明し、その反射光を光センサなどで受光することにより原稿表面の画像を読み取っており、原稿裏面の画像は、反射板による反射光に照らされることで原稿表面側に写し出されている。そのため、反射板による反射光量が多くなるほど裏写り画像が現れやすくなり、この反射板反射光による裏写り成分を求めて原稿の読取画像から除去することにより裏写りを低減する技術が提案されている(たとえば、特許文献1参照)。
【0004】
上記の技術では、反射板の反射率を変えて同一原稿の画像を2回読み取り、この読み取りで得られた2つの読取出力の差分に補正係数を乗じて反射板反射光による出力成分(補正データ)を算出し、これを読取出力から差し引くことで裏写り成分を除去するようにしている。詳細には、A%反射率の読取出力とB%反射率の読取出力との差は、反射率の差(A−B)に対応した反射板反射光による出力成分の差であるとの考えに基づき、A%反射率の読取出力とB%反射率の読取出力との差に補正係数A/(A−B)を乗じることで、A%反射率の読取出力に含まれる反射板反射光による出力成分が求められるとし、これをA%反射率の読取出力から差し引くことで裏写り成分を除去するようにしている。あるいは、A%反射率の読取出力とB%反射率の読取出力との差に補正係数B/(A−B)を乗じることで、B%反射率の読取出力に含まれる反射板反射光による出力成分が求められるとし、これをB%反射率の読取出力から差し引くことで裏写り成分が除去可能であるとされている。
【0005】
【特許文献1】特開2002−290738号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
両面原稿などの読み取りで発生する上記の裏写り現象は、特許文献1に記載されている反射板反射光の他に、原稿の透過率も影響している。たとえば、原稿は厚さや種類の違いで透過率が異なり、透過率の大きい(薄い)原稿では透過率の小さい(厚い)原稿に比べて透過光量が多く(透けやすく)なり、裏写り画像が現れやすくなる。そのため、原稿の透過率を考慮していない特許文献1の技術では、原稿の透過率を要因とする裏写りの度合いの違いに対応することができず、裏写り画像を十分に除去できない問題がある。
【0007】
本発明は、上記の問題を解決しようとするものであり、原稿の読み取りに伴い発生する裏写り画像を原稿の厚さや種類に関わらず除去することができる画像読取装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
かかる目的を達成するための本発明の要旨とするところは、次の各項の発明に存する。
【0009】
[1]原稿の表面を照明する第1照明手段と、
前記第1照明手段に対応して前記原稿の裏面側に設けられた反射率の異なる第1反射板および第2反射板と、
前記第1照明手段により照明された前記原稿の表面を読み取る第1読取手段と、
前記原稿の裏面を照明する第2照明手段と、
前記第2照明手段に対応して前記原稿の表面側に設けられた反射率の異なる第3反射板および第4反射板と、
前記第2照明手段により照明された前記原稿の裏面を読み取る第2読取手段と、
前記第1反射板を背後にして前記第1照明手段に照明された前記原稿の表面を前記第1読取手段が読み取った第1読取画像と、前記第2反射板を背後にして前記第1照明手段に照明された前記原稿の表面を前記第1読取手段が読み取った第2読取画像と、前記第3反射板を背後にして前記第2照明手段に照明された前記原稿の裏面を前記第2読取手段が読み取った第3読取画像と、前記第4反射板を背後にして前記第2照明手段に照明された前記原稿の裏面を前記第2読取手段が読み取った第4読取画像とを用いて、前記原稿の透過率および背面反射率を含む裏写りの度合いを示す係数を算出し、該係数に基づいて裏写り画像成分を除去する画像処理手段と、
を備える
ことを特徴とする画像読取装置。
【0010】
上記発明では、第1読取手段は、第1反射板を背後にして第1照明手段により照明された原稿の表面を読み取って第1読取画像を取得し、第1反射板とは反射率の異なる第2反射板を背後にして第1照明手段により照明された原稿の表面を読み取って第2読取画像を取得する。また第2読取手段は、第3反射板を背後にして第2照明手段により照明された原稿の裏面を読み取って第3読取画像を取得し、第3反射板とは反射率の異なる第4反射板を背後にして第2照明手段により照明された原稿の裏面を読み取って第4読取画像を取得する。
【0011】
このように、原稿の読み取り面とは反対の背面側に反射率の異なる2つの反射板を設けて、原稿の表面および裏面からそれぞれ2つの読取画像を取得することにより、この計4つの読取画像を用いて、原稿の透過率および背面反射率(読み取り原稿の背面側に配置された反射板の反射率)を含む裏写りの度合いを示す係数が算出可能となる。この係数に基づいて裏写り画像成分を除去することにより、原稿の厚さや種類に関わらず裏写り画像を除去することができる。
【0012】
[2]前記画像処理手段は、前記裏写り画像成分の除去により、裏写りの無い前記表面の読取画像の出力と、裏写りの無い前記裏面の読取画像の出力とを行う
ことを特徴とする[1]に記載の画像読取装置。
【0013】
上記発明では、原稿の透過率および背面反射率を含む裏写りの度合いを示す係数に基づいた裏写り画像成分の除去を行うことで、裏写りの無い原稿表面の読取画像が得られると共に、裏写りの無い原稿裏面の読取画像が得られる。
【0014】
[3]前記第1反射板と前記第3反射板とは反射率が同一であり、前記第2反射板と前記第4反射板とは反射率が同一である
ことを特徴とする[1]または[2]に記載の画像読取装置。
【0015】
[4]前記第1読取手段は、前記第1照明手段と前記第1反射板との間を搬送される前記原稿の表面を読み取って前記第1読取画像を取得する第1センサと、前記第1照明手段と前記第2反射板との間を搬送される前記原稿の表面を読み取って前記第2読取画像を取得する第2センサと、を備え、
前記第2読取手段は、前記第2照明手段と前記第3反射板との間を搬送される前記原稿の裏面を読み取って前記第3読取画像を取得する第3センサと、前記第2照明手段と前記第4反射板との間を搬送される前記原稿の裏面を読み取って前記第4読取画像を取得する第4センサと、を備え、
前記第1センサによる前記第1読取画像の取得と、前記第2センサによる前記第2読取画像の取得と、前記第3センサによる前記第3読取画像の取得と、前記第4センサによる前記第4読取画像の取得とを前記原稿の1回の搬送で行う
ことを特徴とする[1]乃至[3]のいずれか1項に記載の画像読取装置。
【0016】
上記発明では、第1読取手段の第1センサによる第1読取画像の取得および第2センサによる第2読取画像の取得と、第2読取手段の第3センサによる第3読取画像の取得および第4センサによる第4読取画像の取得とを原稿の1回の搬送で1度に行う。これにより、たとえば第1〜第4読取画像を取得するために原稿を複数回搬送するような場合に比べて原稿の読取時間が短縮され、生産性を向上できる。
【発明の効果】
【0017】
本発明に係る画像読取装置によれば、原稿の読み取りに伴い発生する裏写り画像を原稿の厚さや種類に関わらず除去することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
以下、図面に基づき本発明の実施の形態を説明する。
【0019】
図1は、本発明の第1の実施の形態に係る画像読取装置10を備えた画像形成装置1の全体構成を示している。
【0020】
画像形成装置1は、原稿を読み取って対応する画像を用紙上に印刷して出力するコピー機能や、スキャナ機能、プリンタ機能、ファクシミリ機能などを備えた複合機として構成されている。コピーモードやスキャナモードにおけるスキャン動作では、原稿両面の各画像を1回のスキャンで読み取る両面同時読み取りに対応している。また、両面原稿などの読み取りで発生する裏写りを抑えるために、原稿の背後に配置する反射板(背面板)の反射率と原稿の透過率とを考慮して裏写り画像を除去する裏写り自動補正機能を備えている。
【0021】
上記の機能を実現するために、本実施形態の画像形成装置1は、CPU(Central Processing Unit)11と、記憶部12と、外部I/F(インターフェース)部13と、画像処理部14と、画像読取部15と、画像出力部16とを備えている。CPU11と、記憶部12と、外部I/F部13と、画像処理部14とはバス17を介して接続されており、画像読取部15と画像出力部16とは画像処理部14に接続されている。また、画像形成装置1が備える本実施形態の画像読取装置10は、CPU11、記憶部12、画像処理部14、画像読取部15などを含んで構成されている。
【0022】
CPU11は、演算処理機能、および画像形成装置1の動作を制御する制御部としての機能を備えている。記憶部12は、スキャン動作で読み取った原稿の画像データなどを格納する機能を果たす。外部I/F部13は、ネットワークを介して接続された外部機器との間で行う通信やデータの転送を制御する機能を果たす。
【0023】
画像処理部14は、スキャン動作で読み取った原稿の画像データから裏写りの画像成分を除去する裏写り補正処理などの各種の画像処理を行う機能を備えている。画像読取部15は、スキャン動作にて原稿を読み取る機能を果たす。画像出力部16は、画像データに基づく画像を電子写真プロセスにより用紙に印刷して出力する機能を果たす。
【0024】
図2は、画像読取部15の構成を示している。画像読取部15は、原稿20を副走査方向(矢印X方向)へ搬送する図示しない搬送機構と、原稿20の表面をA面とし裏面をB面とした場合に、原稿20のA面を読み取るA面読取部15Aと、原稿20のB面を読み取るB面読取部15Bとを備えている。
【0025】
画像読取部15は、A面を上側、B面を下側にして原稿20を略水平に搬送しつつ、A面の画像をA面読取部15Aで読み取り、B面の画像をB面読取部15Bで読み取るようになっており、1回のスキャン動作(搬送動作)で原稿20のA面およびB面の各画像が読み取り可能となっている(両面同時読み取り)。また、A面読取部15AおよびB面読取部15Bはそれぞれ、原稿20の画像読み取りを行うための光源(21)と、反射板(22)と、センサ(23)とを2組ずつ備えており、1回のスキャン動作で1つの原稿画像から2つの読取画像を取得するようになっている。したがって、画像読取部15は両面同時読み取りを行う際に1枚の原稿20のA面およびB面から合計4つの読取画像を取得するようになっている。
【0026】
詳細には、A面読取部15Aは、2つの光源21a1、21a2と、2つの反射板22a1、22a2と、2つのセンサ23a1、23a2とを備えている。光源21a1、21a2およびセンサ23a1、23a2は搬送される原稿20のA面側(上側)に配設され、反射板22a1、22a2は搬送される原稿20のB面側(下側)に配設されており、同じ種類の部品同士は原稿20の搬送方向(副走査方向)に沿って所定の間隔で配置されている。
【0027】
光源21a1、21a2は、搬送機構によって搬送される原稿20のA面に光を照射してA面の照明を行う機能を果たす。反射板22a1、22a2は、光源21a1、21a2から見て原稿20の背後に位置し、原稿20を透過した光を原稿20側へ反射する機能を果たす。
【0028】
この反射板22a1と反射板22a2とは反射率が異なっている。本実施形態では、反射板22a2の方が反射板22a1より反射率が低くされており(反射板22a1の反射率>反射板22a2の反射率)、その反射率の差は十分に大きくされている(反射板22a1の反射率>>反射板22a2の反射率)。
【0029】
センサ23a1は、反射板22a1を背後にして光源21a1により照明された原稿20のA面の画像を読み取る機能を果たす。センサ23a2は、反射板22a2を背後にして光源21a2により照明された原稿20のA面の画像を読み取る機能を果たす。
【0030】
センサ23a1に受光される光には、原稿A面での反射光(図示省略)に加えて反射板22a1による反射光La1も含まれている。センサ23a2に受光される光には、原稿A面での反射光(図示省略)に加えて反射板22a2による反射光La2も含まれている。そのため、原稿B面に画像がある場合には、その画像が反射板22a1、22a2による反射光La1、La2に照らされて原稿A面側に写し出され、裏写り画像としてセンサ23a1、23a2に読み取られることになる。
【0031】
B面読取部15Bは、A面読取部15Aと同様に、2つの光源21b1、21b2と、2つの反射板22b1、22b2と、2つのセンサ23b1、23b2とを備えている。これらの部品は、A面読取部15Aの各部品と同様の機能を果たし、A面読取部15Aの各部品とは上下の位置関係が逆に配置されている。
【0032】
すなわち、光源21b1、21b2およびセンサ23b1、23b2は搬送される原稿20のB面側(下側)に配設され、反射板22b1、22b2は搬送される原稿20のA面側(上側)に配設されており、同じ種類の部品同士は原稿20の搬送方向(副走査方向)に沿って所定の間隔で配置されている。
【0033】
光源21b1、21b2は、搬送機構によって搬送される原稿20のB面に光を照射してB面の照明を行う機能を果たす。反射板22b1、22b2は、光源21b1、21b2から見て原稿20の背後に位置し、原稿20を透過した照明光を原稿20側へ反射する機能を果たす。
【0034】
A面読取部15Aの反射板22a1、22a2と同様に、この反射板22b1、22b2も反射率が異なっている。本実施形態では、反射板22b2の方が反射板22b1より反射率が低くされており(反射板22b1の反射率>反射板22b2の反射率)、その反射率の差は十分に大きくされている(反射板22b1の反射率>>反射板22b2の反射率)。
【0035】
センサ23b1は、反射板22b1を背後にして光源21b1により照明された原稿20のB面の画像を読み取る機能を果たす。センサ23b2は、反射板22b2を背後にして光源21b2により照明された原稿20のB面の画像を読み取る機能を果たす。
【0036】
センサ23b1に受光される光には、原稿B面での反射光(図示省略)に加えて反射板22b1による反射光Lb1も含まれている。センサ23b2に受光される光には、原稿B面での反射光(図示省略)に加えて反射板22b2による反射光Lb2も含まれている。そのため、原稿A面に画像がある場合には、その画像が反射板22b1、22b2による反射光Lb1、Lb2に照らされて原稿B面側に写し出され、裏写り画像としてセンサ23b1、23b2に読み取られることになる。
【0037】
また、この画像読取部15は、裏写りが無い場合に任意の濃度の画像(たとえば透過率0%)をA面読取部15AおよびB面読取部15Bで読み取ったときに得られる4つの読取画像が同じ階調値となるように構成されている。すなわち、任意の濃度の画像を読み取ったときに、光源21a1とセンサ23a1との組み合わせで得られる読取画像の階調値と、光源21a2とセンサ23a2との組み合わせで得られる読取画像の階調値と、光源21b1とセンサ23b1との組み合わせで得られる読取画像の階調値と、光源21b2とセンサ23b2との組み合わせで得られる読取画像の階調値とが同一になるように構成されている。
【0038】
上記の構成は、たとえば4つの光源21a1、21a2、21b1、21b2の発光量(照射光量)を同一にし、4つのセンサ23a1、23a2、23b1、23b2の受光感度を同一にすることで実現できる。また、製造誤差などの要因で各光源の発光量または各センサの受光感度を同一にできない場合には、任意の濃度の画像を読み取ったときに得られる4つの読取画像が同じ階調値となるように各センサの出力値を補正するようにしてもよい。さらにこの補正は、画像読取装置10の製造時に行う他に、経時変化などを考慮して定期的に行うようにしてもよい。
【0039】
また反射板の反射率は、反射板22a1と反射板22b1とを同一にし、反射板22a2と反射板22b2とを同一にして2種類に設定している。
【0040】
・反射板反射率の関係
(反射板22a1=反射板22b1)>>(反射板22a2=反射板22b2
【0041】
これにより、A面読取部15Aにおける光源21a1、反射板22a1、センサ23a1からなる読取系(A1)と、B面読取部15Bにおける光源21b1、反射板22b1、センサ23b1からなる読取系(B1)とは、同一条件で原稿画像を読み取る読取系となり、A面読取部15Aにおける光源21a2、反射板22a2、センサ23a2からなる読取系(A2)と、B面読取部15Bにおける光源21b2、反射板22b2、センサ23b2からなる読取系(B2)とは、同一条件で原稿画像を読み取る読取系となっている。そしてこの読取系(A1)、(B1)と、読取系(A2)、(B2)における読取条件の違いは、反射板の反射率のみとなっている。
【0042】
・原稿画像の読取条件:読取系(A1)=読取系(B1)
読取系(A2)=読取系(B2)
・読取系の反射板反射率:(A1=B1)>>(A2=B2)
【0043】
また、画像読取部15は図示しない制御部を備えており、この制御部が原稿20の搬送制御、光源21a1、21a2、21b1、21b2の点灯制御、センサ23a1、23a2、23b1、23b2の動作制御などを行うようになっている。
【0044】
次に、上記の画像読取部15によって得られる4つの読取画像から、画像処理部14にて原稿の透過率および背面反射率を含む裏写り係数を算出し、この裏写り係数を元に裏写りの無い画像を算出する方法について説明する。
【0045】
本明細書中で使用する「背面反射率」とは、読み取り原稿の背面側に配置された反射板の反射率を指す。また「裏写り係数」とは、読み取り原稿の透過率および上記の背面反射率を含む、裏写りの度合いを示す係数を指す。この裏写り係数をkとすると、kは原稿の透過率と背面反射率を乗算した下記式で表される。
【0046】
裏写り係数 : k=原稿の透過率×背面反射率×原稿の透過率
【0047】
なお、裏写りを発生させる原稿背面側からの光(反射板での反射光)は、光源から出射され反射板で反射してセンサに入射するまでの間に原稿を2回透過する。すなわち、光源から反射板に至るまでに原稿を読取面側から背面側へ透過し、反射板からセンサに至るまでに原稿を背面側から読取面側へ透過する。そのため、上記式では原稿の透過率を2回乗算するようにしている。
【0048】
上記式によって算出される裏写り係数(k)の数値例を以下に示す。たとえば、原稿として一般的に用いられるコピー用紙の透過率は約30%であり、一般的な和紙の透過率は約40%である。また、反射板(背面板)として一般的に用いられる白光沢紙の反射率は約90%であり、一般的な黒印画紙の反射率は約10%である。これらの数値の場合には、コピー用紙からなる原稿を黒印画紙からなる黒背面板を用いて読み取った場合の裏写り係数は0.009となり、和紙からなる原稿を白光沢紙からなる白背面板を用いて読み取った場合の裏写り係数は0.144となる。
【0049】
−透過率の例−
コピー用紙 : 約30%
和紙 : 約40%
−反射率の例−
白光沢紙 : 約90%
黒印画紙 : 約10%
−裏写り係数の例−
コピー用紙・黒背面板 : 0.009(=0.3×0.1×0.3)
和紙・白背面板 : 0.144(=0.4×0.9×0.4)
裏写り係数の関係 : 和紙・白背面板>コピー用紙・黒背面板
【0050】
上記例のように、コピー用紙よりも透過率の高い和紙の原稿を高反射率の白背面板を用いて読み取った場合には、一般的なコピー用紙の原稿を低反射率の黒背面板を用いて読み取った場合よりも裏写り係数が大きくなる。したがって、和紙と白背面板の組み合わせの方がコピー用紙と黒背面板の組み合わせよりも裏写りが発生しやすくなる。
【0051】
図3は、両面(A面/B面)に画像のある原稿20の一例と、この原稿20を図2に示した画像読取部15にて両面同時読み取りした際に得られる4つの読取画像に含まれている画像成分を示している。
【0052】
ここで、原稿20のA面をXY座標で表した座標上における座標点(x,y)のA面画像をp(x,y)、原稿20のB面をXY座標で表した座標上における座標点(x,y)の原稿画像をq(x,y)とする。また、高反射率の反射板22a1、22b1での裏写り係数をk1、低反射率の反射板22a2、22b2での裏写り係数をk2とする(1>k1>>k2)。また、原稿20のA面をセンサ23a1で読み取って得られた読取画像をIa1、原稿20のB面をセンサ23b1で読み取って得られた読取画像をIb1、原稿20のA面をセンサ23a2で読み取って得られた読取画像をIa2、原稿20のB面をセンサ23b2で読み取って得られた読取画像をIb2とする。なお、この読取画像Ia1、Ia2、Ib1、Ib2の各画素(座標点(x,y))は階調が表現された輝度値(濃度値)によって表され、読取画像全体は輝度値の分布によって表される。
【0053】
図3に示すように、センサ23a1で得られる読取画像Ia1には、読取面となる原稿A面の画像成分P(x,y)と裏写りした原稿B面の画像成分k1Q(x,y)とが含まれている。この読取画像Ia1に含まれる画像成分P(x,y)は、光源21a1から原稿20へ照射された照明光のうちの原稿A面上で反射した光の輝度値であり、画像成分k1Q(x,y)は、同照明光のうちの原稿20をA面側からB面側へ透過し反射板22a1上で反射して原稿20をB面側からA面側へ透過した光(反射光La1)の輝度値である。
【0054】
センサ23b1で得られる読取画像Ib1には、読取面となる原稿B面の画像成分Q(x,y)と裏写りした原稿A面の画像成分k1P(x,y)が含まれている。この読取画像Ib1に含まれる画像成分Q(x,y)は、光源21b1から原稿20へ照射された照明光のうちの原稿B面上で反射した光の輝度値であり、画像成分k1P(x,y)は、同照明光のうちの原稿20をB面側からA面側へ透過し反射板22b1上で反射して原稿20をA面側からB面側へ透過した光(反射光Lb1)の輝度値である。
【0055】
センサ23a2で得られる読取画像Ia2には、読取面となる原稿A面の画像成分P(x,y)と裏写りした原稿B面の画像成分k2Q(x,y)とが含まれている。この読取画像Ia2に含まれる画像成分P(x,y)は、光源21a2から原稿20へ照射された照明光のうちの原稿A面上で反射した光の輝度値であり、画像成分k2Q(x,y)は、同照明光のうちの原稿20をA面側からB面側へ透過し反射板22a2上で反射して原稿20をB面側からA面側へ透過した光(反射光La2)の輝度値である。
【0056】
センサ23b2で得られる読取画像Ib2には、読取面となる原稿B面の画像成分Q(x,y)と裏写りした原稿A面の画像成分k2P(x,y)が含まれている。この読取画像Ib2に含まれる画像成分Q(x,y)は、光源21b2から原稿20へ照射された照明光のうちの原稿B面上で反射した光の輝度値であり、画像成分k2P(x,y)は、同照明光のうちの原稿20をB面側からA面側へ透過し反射板22b2上で反射して原稿20をA面側からB面側へ透過した光(反射光Lb2)の輝度値である。
【0057】
なお、図3では裏写り係数の大小に応じた裏写り画像成分k1Q(x,y)、k1P(x,y)と裏写り画像成分k2Q(x,y)、k2P(x,y)との違いを濃度差によって模式的に表しており、前者を高濃度、後者を低濃度で表している。
【0058】
上記の4つのセンサ23a1、23a2、23b1、23b2で得られる4つの読取画像Ia1、Ia2、Ib1、Ib2の画像成分は以下の式で表される。
センサ23a1: Ia1=P+k1Q ・・・(1)
センサ23a2: Ia2=P+k2Q ・・・(2)
センサ23b1: Ib1=k1P+Q ・・・(3)
センサ23b2: Ib2=k2P+Q ・・・(4)
【0059】
ここで、(3)、(4)式から
【数1】

(1)、(2)式から
【数2】

が得られる。
【0060】
また、(1)、(3)式からk1を用いてPを表すと
【数3】

が得られ、(2)、(4)式からk2を用いてPを表すと
【数4】

が得られる。
【0061】
上記の(7)式で表されたP1と(8)式で表されたP2とは、元は同じ画像成分PであるからP1=P2になるはずであり、最小二乗法を用いてΣ(P−Pを最小にするk、kを求める。
【数5】

は(7)、(8)式より
【数6】

となる。また
【数7】

は(7)、(8)式より
【数8】

となる。
【0062】
よって(9)、(10)式からそれぞれk1、k2が求められる。
【0063】
求めた裏写り係数k1、k2を(5)、(6)式に代入することで、裏写り成分の無いA面画像P(x,y)およびB面画像Q(x,y)が得られる。また、この裏写り係数の算出と裏写りの無い画像(輝度値)の算出による読取画像の裏写り補正処理は画像処理部14が実行するようになっている。
【0064】
次に、画像形成装置1の動作について説明する。
【0065】
図4は、画像形成装置1の画像読取部15によるスキャン動作と画像処理部14による裏写り係数の算出および裏写り補正の処理の流れを示している。
【0066】
たとえば、両面に画像のある原稿20の両面同時読み取りを行う場合には、本処理が開始されるとCPU11からの指令で画像読取部15は原稿20の両面の画像をスキャンする(ステップS101)。詳細には、図3に示したように画像読取部15は原稿20を副走査方向(矢印X方向)へ搬送しつつ、A面読取部15Aで原稿A面の画像を読み取り、B面読取部15Bで原稿B面の画像を読み取る。
【0067】
A面読取部15Aでは、光源21a1により反射板22a1を背後に原稿A面を照明してセンサ23a1による画像読み取りを行い、原稿A面の画像成分P(x,y)と、反射板22a1での反射光による裏写り画像成分k1Q(x,y)とを含む読取画像Ia1を取得する。また、光源21a2により反射板22aを背後に原稿A面を照明してセンサ23a2による画像読み取りを行い、原稿A面の画像成分P(x,y)と、反射板22a2での反射光による裏写り画像成分k2Q(x,y)とを含む読取画像Ia2を取得する。
【0068】
B面読取部15Bでは、光源21b1により反射板22b1を背後に原稿B面を照明してセンサ23b1による画像読み取りを行い、原稿B面の画像成分Q(x,y)と、反射板22b1での反射光による裏写り画像成分k1P(x,y)とを含む読取画像Ib1を取得する。また、光源21b2により原稿B面を照明してセンサ23b2による画像読み取りを行い、原稿B面の画像成分Q(x,y)と、反射板22b2での反射光による裏写り画像成分k2P(x,y)とを含む読取画像Ib2を取得する。
【0069】
画像読取部15は、4つのセンサ23a1、23a2、23b1、23b2で取得した4つの読取画像Ia1、Ia2、Ib1、Ib2を画像処理部14に送る。画像処理部14は、この4つの読取画像Ia1、Ia2、Ib1、Ib2から前述した方法で裏写り係数k1、k2を算出し(ステップS102)、裏写り係数k1、k2を用いて読取画像Ia1、Ia2、Ib1、Ib2を補正する(ステップS103)。そして画像処理部14は、補正した画像データを記憶部12に格納して保存し(ステップS104)、本処理を終了する。
【0070】
また、プリント時にはCPU11による指令で画像処理部14が記憶部12から画像データを読み出し、その画像データを画像出力部16に転送して印刷出力を行わせる。これにより、裏写りの無い印刷物を得ることができる。
【0071】
たとえば、A面画像p(x,y)およびB面画像q(x,y)の原稿20に対する読み取りで、センサ23a1、23a2、23b1、23b2から得られる読取画像Ia1、Ia2、Ib1、Ib2の画像成分が以下の輝度値であった場合には
センサ23a1: Ia1=P+k1Q=100
センサ23a2: Ia2=P+k2Q=80
センサ23b1: Ib1=k1P+Q=90
センサ23b2: Ib2=k2P+Q=60
前述の(9)、(10)式は
【数9】

【数10】

となり、裏写り係数k、kを計算すると
=0.75
=0.25
に近似される。
【0072】
したがって、裏写り画像成分の除去されたA面画像P(x,y)およびB面画像Q(x,y)は以下の輝度値になる。
【数11】

【数12】

【0073】
なお、ここでは本実施の形態で説明した裏写り画像成分を除去する補正処理の原理をわかりやすくするために、読取画像Ia1、Ia2、Ib1、Ib2におけるXY座標上の1つの座標点(x,y)をサンプリングして取得した輝度値を用いて裏写り係数を算出し、裏写り画像成分の除去されたA面画像およびB面画像の輝度値を求めているが、この座標点のサンプリングは1点に限らない。たとえば、XY座標上における任意の複数の座標点をサンプリングしてもよく、あるいは全ての座標点をサンプリングしてもよい。
【0074】
以上説明したように、本実施の形態に係る画像形成装置1では、原稿20の読み取り面とは反対の背面側に反射率の異なる2つの反射板を設けて、原稿20の表面(A面)および裏面(B面)からそれぞれ2つの読取画像を取得することにより、この計4つの読取画像Ia1、Ia2、Ib1、Ib2を用いて、原稿20の透過率および背面反射率を含む裏写り係数(k1、k2)が算出可能となる。この裏写り係数に基づいて裏写り画像成分を除去することにより、原稿20の厚さや種類に関わらず裏写り画像を除去することができる。したがって、裏写りの無い原稿表面の読取画像を出力し、裏写りの無い原稿裏面の読取画像を出力することができる。
【0075】
たとえば、背景技術で説明した特許文献1の画像読取装置において、仮に、光源、反射率の異なる2つの反射板、イメージセンサからなる読取系を原稿の表面用と裏面用とで2系統設け、原稿の表面と裏面から4つの読取画像を取得できるように構成したとしても、この特許文献1の技術では、前述したように原稿の透過率を考慮した処理を行っていないために、原稿の厚さや種類の違いによって裏写りが発生してしまうことになる。すなわち、上記の読取系を単に原稿の表面用と裏面用とで2つ設けただけでは、原稿の透過率を要因とする裏写りの度合いの違いに対応できないわけである。
【0076】
これに対し、本実施の形態では原稿の透過率を考慮した読取画像の補正処理にて裏写り画像成分を除去していることにより、原稿の厚さや種類が異なっても裏写りの無い読取画像を出力できるようになる。
【0077】
また、原稿20の表面と裏面とを原稿20の1回の搬送で1度に読み取ることにより(両面同時読み取り)、たとえば表面と裏面との読み取りを原稿20の複数回の搬送により複数回に分けて行う場合などに比べて読取時間が短縮されるようになり、生産性を向上できる。
【0078】
次に、画像読取部に設ける読取系(光源およびセンサ)の数を減らした変形例について説明する。
【0079】
図5は、本発明の第2の実施の形態に係る画像読取部25の構成を示している。第1実施形態の画像読取部15では、原稿20の両面から4つの読取画像を取得するために独立した4つの読取系を用いている。これを本実施形態の画像読取部25では、光源とセンサの共通化を図り反射板を移動させることで2つの読取系により実現する。
【0080】
詳細には、画像読取部25は、原稿20のA面を照明する1つの光源21a1と、原稿20のA面の画像を読み取る1つのセンサ23a1と、原稿20のB面を照明する1つの光源21b1と、原稿20のB面の画像を読み取る1つのセンサ23b1とを備えており、更に第1実施形態で説明した反射板22a1、22a2と反射板22b1、22b2とを備えている。本実施形態では、反射板22a1、22a2および反射板22b1、22b2は、それぞれ図示しない移動機構により原稿20の搬送方向(矢印X方向)に沿って移動され位置が変更されるようになっている。
【0081】
また、画像読取部25は図示しない制御部を備えており、この制御部が原稿20の搬送制御、光源21a1、21b1の点灯制御、センサ23a1、23b1の動作制御、反射板22a1、22a2および反射板22b1、22b2の移動制御などを行うようになっている。
【0082】
また、本実施形態の画像読取部25も第1実施形態の画像読取部15と同様に、裏写りが無い場合に任意の濃度の画像を2つの読取系で読み取ったときに得られる2つの読取画像が同じ階調値となるように構成されている。すなわち、任意の濃度の画像を読み取ったときに、光源21a1とセンサ23a1との組み合わせで得られる読取画像の階調値と、光源21b1とセンサ23b1との組み合わせで得られる読取画像の階調値とが同一になるように構成されている。
【0083】
この画像読取部25によるスキャン動作では、原稿20を2回スキャンして原稿両面(A面/B面)から4つの読取画像を取得する。たとえば、1回目のスキャンでは図5に示すようにA面側およびB面側共に高反射率の反射板22a1、22b1を使用した画像読み取りを行い、2回目のスキャンでは反射板22a1、22a2および反射板22b1、22b2を移動させ、A面側およびB面側共に低反射率の反射板22a2、22b2を使用した画像読み取りを行うことで、4つの読取画像を取得する。この4つの読取画像から画像処理部14が第1実施形態で説明した方法で裏写り係数(k1、k2)を算出し読取画像の補正を行う。
【0084】
このように、第1実施形態の構成に対して光源とセンサの共通化を図り読取系を2つに集約した画像読取部25においても、反射板の位置を変更し反射率の高低を切り替えて原稿20を2回スキャンすることにより、4つの読取画像が取得可能である。これにより、第1実施形態と同様に裏写り係数を算出して読取画像から裏写り画像を除去することができる。
【0085】
以上、本発明の実施の形態を図面によって説明してきたが、具体的な構成は実施の形態に示したものに限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲における変更や追加があっても本発明に含まれる。
【0086】
たとえば、第1の実施の形態で説明した裏写り補正処理は、透過率が同一の原稿に対して有効である。そのため、たとえば1束の原稿群の読み取りにて全ページに対し上記の裏写り補正処理を行うフルモードと、1ページ目のみ裏写り補正処理を行い2ページ目以降は1ページ目の処理で算出した裏写り係数を用いて裏写り画像成分の除去を行う簡易モードとを設け、このフルモードまたは簡易モードをユーザが選択できるようにしてもよい。
【0087】
そして、たとえば厚さや種類が同じで、同じ透過率の大量の原稿を連続的に読み取るような場合は、簡易モードを選択する。これにより、裏写り補正処理は1ページ目の原稿だけに行われて実行回数が少なくなり、画像処理部14に掛かる負荷が軽減されて処理速度の低下を抑制できるようになる。また、1束の原稿群に透過率の異なる複数種類の原稿が混在するような場合には、フルモードを選択する。これにより、透過率の異なる複数種類の原稿全てに対し、裏写りの無い読取画像が得られるようになる。
【0088】
また第2の実施の形態では、光源、反射板、センサからなる読取系を原稿の表面用と裏面用とで1つずつ設け、原稿の表面と裏面からそれぞれ背面反射率の異なる2つ読取画像を得るために、反射率の異なる2つの反射板を移動させて背面反射率を切り替えるようにしたが、この背面反射率を切り替える構成は反射板の移動に限らない。たとえば、反射率の異なる2つの反射板に換えて、電気的に反射率を変更できる液晶素子などの反射率可変反射手段を用いるようにしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0089】
【図1】本発明の第1の実施の形態に係る画像形成装置の全体構成を示す図である。
【図2】本発明の第1の実施の形態に係る画像読取部の構成を示す図である。
【図3】両面に画像のある原稿の一例と、この原稿の両面を読み取った際に得られる読取画像に含まれている画像成分を示す図である。
【図4】本発明の第1の実施の形態に係る画像形成装置による原稿の画像読み取りと裏写り画像の補正の処理の流れを示すフローチャートである。
【図5】本発明の第2の実施の形態に係る画像読取部の構成を示す図である。
【符号の説明】
【0090】
1…画像形成装置
10…画像読取装置
11…CPU
12…記憶部
13…外部I/F部
14…画像処理部
15…画像読取部
15A…A面読取部
15B…B面読取部
16…画像出力部
17…バス
20…原稿
21(21a1、21a2、21b1、21b2)…光源
22(22a1、22a2、22b1、22b2)…反射板
23(23a1、23a2、23b1、23b2)…センサ
25…画像読取部
La1、La2、Lb1、Lb2…反射光
k(k1、k2)…裏写り係数
Ia1、Ia2、Ib1、Ib2…読取画像
p(x,y)…原稿A面の画像
q(x,y)…原稿B面の画像
P(x,y)…読取画像に含まれる原稿A面の画像成分
Q(x,y)…読取画像に含まれる原稿B面の画像成分
1P(x,y)…読取画像に含まれる裏写りした原稿A面の画像成分
2P(x,y)…読取画像に含まれる裏写りした原稿A面の画像成分
1Q(x,y)…読取画像に含まれる裏写りした原稿B面の画像成分
2Q(x,y)…読取画像に含まれる裏写りした原稿B面の画像成分

【特許請求の範囲】
【請求項1】
原稿の表面を照明する第1照明手段と、
前記第1照明手段に対応して前記原稿の裏面側に設けられた反射率の異なる第1反射板および第2反射板と、
前記第1照明手段により照明された前記原稿の表面を読み取る第1読取手段と、
前記原稿の裏面を照明する第2照明手段と、
前記第2照明手段に対応して前記原稿の表面側に設けられた反射率の異なる第3反射板および第4反射板と、
前記第2照明手段により照明された前記原稿の裏面を読み取る第2読取手段と、
前記第1反射板を背後にして前記第1照明手段に照明された前記原稿の表面を前記第1読取手段が読み取った第1読取画像と、前記第2反射板を背後にして前記第1照明手段に照明された前記原稿の表面を前記第1読取手段が読み取った第2読取画像と、前記第3反射板を背後にして前記第2照明手段に照明された前記原稿の裏面を前記第2読取手段が読み取った第3読取画像と、前記第4反射板を背後にして前記第2照明手段に照明された前記原稿の裏面を前記第2読取手段が読み取った第4読取画像とを用いて、前記原稿の透過率および背面反射率を含む裏写りの度合いを示す係数を算出し、該係数に基づいて裏写り画像成分を除去する画像処理手段と、
を備える
ことを特徴とする画像読取装置。
【請求項2】
前記画像処理手段は、前記裏写り画像成分の除去により、裏写りの無い前記表面の読取画像の出力と、裏写りの無い前記裏面の読取画像の出力とを行う
ことを特徴とする請求項1に記載の画像読取装置。
【請求項3】
前記第1反射板と前記第3反射板とは反射率が同一であり、前記第2反射板と前記第4反射板とは反射率が同一である
ことを特徴とする請求項1または2に記載の画像読取装置。
【請求項4】
前記第1読取手段は、前記第1照明手段と前記第1反射板との間を搬送される前記原稿の表面を読み取って前記第1読取画像を取得する第1センサと、前記第1照明手段と前記第2反射板との間を搬送される前記原稿の表面を読み取って前記第2読取画像を取得する第2センサと、を備え、
前記第2読取手段は、前記第2照明手段と前記第3反射板との間を搬送される前記原稿の裏面を読み取って前記第3読取画像を取得する第3センサと、前記第2照明手段と前記第4反射板との間を搬送される前記原稿の裏面を読み取って前記第4読取画像を取得する第4センサと、を備え、
前記第1センサによる前記第1読取画像の取得と、前記第2センサによる前記第2読取画像の取得と、前記第3センサによる前記第3読取画像の取得と、前記第4センサによる前記第4読取画像の取得とを前記原稿の1回の搬送で行う
ことを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の画像読取装置。

【図1】
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【図4】
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【図2】
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【図3】
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【図5】
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【公開番号】特開2009−159342(P2009−159342A)
【公開日】平成21年7月16日(2009.7.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−335497(P2007−335497)
【出願日】平成19年12月27日(2007.12.27)
【出願人】(303000372)コニカミノルタビジネステクノロジーズ株式会社 (12,802)
【Fターム(参考)】