画像読取装置
【課題】原稿の画像データの乱れを抑制できる画像読取装置を提供する。
【解決手段】画像読取装置10は、開閉部11側の読取部24と本体部20側の処理部201とを電気的に接続するフレキシブルフラットケーブル7Aと、本体部20側に設けられ、フレキシブルフラットケーブル7Aが開閉部11の回動又は昇降に追従するように、フレキシブルフラットケーブル7Aを案内するガイド部300と、を備える。ガイド部300は、フレキシブルフラットケーブル7Aの所定箇所を位置固定するとともに、その位置固定された箇所と、開閉部11との間において、フレキシブルフラットケーブル7Aを、開閉部11の回動軸R1方向から見て略U字状に撓ませた状態で保持するためのリブ301を有する。
【解決手段】画像読取装置10は、開閉部11側の読取部24と本体部20側の処理部201とを電気的に接続するフレキシブルフラットケーブル7Aと、本体部20側に設けられ、フレキシブルフラットケーブル7Aが開閉部11の回動又は昇降に追従するように、フレキシブルフラットケーブル7Aを案内するガイド部300と、を備える。ガイド部300は、フレキシブルフラットケーブル7Aの所定箇所を位置固定するとともに、その位置固定された箇所と、開閉部11との間において、フレキシブルフラットケーブル7Aを、開閉部11の回動軸R1方向から見て略U字状に撓ませた状態で保持するためのリブ301を有する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は画像読取装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に従来の画像読取装置の例が開示されている。この画像読取装置は、本体部と、本体部に対して回動可能、かつ昇降可能に連結される開閉部とから成る。
【0003】
開閉部は、原稿が載置される原稿トレイと、原稿トレイに載置された原稿を1枚ずつ搬送経路に沿って搬送する搬送手段とを備える。本体部は、搬送経路に面して配設され、搬送経路を通過する原稿の画像を読み取る読取部と、少なくとも搬送手段及び読取部の動作に関わる各種処理を行う処理部とを備える。
【0004】
また、この画像読取装置は、開閉部側と本体部側の処理部とを電気的に接続するケーブル(図3のケーブル6)を備える。ケーブルは、開閉部から下方に伸びて、本体部の内部に導入されている。本体部において開閉部と連結される箇所の近傍には、ケーブルを折り曲げた状態で収容可能な凹部が設けられている。この凹部は、ケーブルの露出を抑制しつつ、ケーブルが本体部に対する開閉部の回動又は昇降に追従し易くするためのものである。
【0005】
上記構成である従来の画像読取装置では、搬送手段、読取部及び処理部が動作することにより、搬送経路を通過する原稿の画像を読み取る画像読取処理を行うことができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2001−197232号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところで、画像読取装置において、開閉部側と本体部側の処理部とを電気的に接続するケーブルとしては、特許文献1に図示されたケーブル6のように太く束ねられたケーブルではなく、複数本の被覆電線が帯状に一体化されてなるフレキシブルフラットケーブルが採用されることが多くなっている。
【0008】
しかしながら、一般的に、フレキシブルフラットケーブルは捩れたり、屈曲したりし易い。このため、上記従来の画像読取装置のように、の凹部に、フレキシブルフラットケーブルを折り曲げた状態で収容するだけでは、本体部に対して開閉部が回動又は昇降する際、フレキシブルフラットケーブルに過度の捩れや屈曲が生じて、フレキシブルフラットケーブルの断線や、フレキシブルフラットケーブルにより伝達される信号にノイズが発生する不具合が生じ易くなる。その結果、画像読取処理時に原稿の画像データの乱れが生じ易くなってしまうという問題がある。
【0009】
本発明は、上記従来の実情に鑑みてなされたものであって、原稿を読み取った場合に、その画像データの乱れを抑制できる画像読取装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
第1発明の画像読取装置は、本体部と、
前記本体部に対して回動可能、かつ昇降可能に連結される開閉部と、から成り、
前記開閉部は、原稿が載置される原稿トレイと、前記原稿トレイに載置された前記原稿を1枚ずつ搬送経路に沿って搬送する搬送手段と、前記搬送経路に面して配設され、前記搬送経路を通過する前記原稿の画像を読み取る読取部と、を備え、
前記本体部は、少なくとも前記読取部からの出力信号に基づいて前記原稿の画像データに関わる各種処理を行う処理部を備える画像読取装置であって、
複数本の被覆電線が帯状に一体化されてなり、前記開閉部側の前記読取部と前記本体部側の前記処理部とを電気的に接続するフレキシブルフラットケーブルと、
前記本体部側に設けられ、前記フレキシブルフラットケーブルが前記開閉部の前記回動又は前記昇降に追従するように、前記フレキシブルフラットケーブルを案内するガイド部と、を備え、
前記ガイド部は、前記フレキシブルフラットケーブルの所定箇所を位置固定するとともに、その位置固定された箇所と、前記開閉部との間において、前記フレキシブルフラットケーブルを、前記開閉部の回動軸方向から見て略U字状に撓ませた状態で保持するためのリブを有することを特徴とする(請求項1)。
【0011】
第1発明の画像読取装置では、ガイド部のリブにより、フレキシブルフラットケーブルの位置固定された箇所と、開閉部との間に配線されるフレキシブルフラットケーブルの途中に略U字状の撓みが保持される。このため、本体部に対する開閉部の回動又は昇降に伴って、フレキシブルフラットケーブルが引っ張られる場合でも、略U字状の撓みがフレキシブルフラットケーブルの引き回し経路の変化を吸収し、フレキシブルフラットケーブルに過度の引っ張り力が作用することを防止できる。また、フレキシブルフラットケーブルに過度の捩れや屈曲が生じ難くなる。これにより、フレキシブルフラットケーブルが、本体部に対する開閉部の回動又は昇降に良好に追従でき、その結果、フレキシブルフラットケーブルの断線や、フレキシブルフラットケーブルにより伝達される信号にノイズが発生する不具合が生じ難くなる。
【0012】
したがって、第1発明の画像読取装置は、読取部により読み取った原稿の画像データに乱れが生じることを抑制できる。
【0013】
第1発明の画像読取装置において、本体部は、搬送経路に面して配設され、搬送経路を通過する原稿の読取部によって読み取られる第1面とは反対側の面である第2面の画像を読み取る本体部側読取部を備え、処理部は、読取部からの出力信号及び本体部側読取部からの出力信号に基づいて原稿の第1面及び第2面の画像データに関わる各種処理を行うことが望ましい(請求項2)。
【0014】
原稿の両面を読取可能な上記構成では、開閉部側の読取部だけでなく、本体部側読取部と処理部とを電気的に接続する信号ケーブルの引き回し経路も確保しなければならない。この場合、読取部の出力信号を処理部に伝達するフレキシブルフラットケーブルの引き回し経路が複雑化し易い。このため、フレキシブルフラットケーブルの引き回しに対して何も対策を施さなければ、フレキシブルフラットケーブルに引っ張りや屈曲により破断等の不具合が生じ易くなる。この点、上記構成により、本発明の作用効果を確実に享受できる。
【0015】
第2発明の画像読取装置は、本体部と、
前記本体部に対して回動可能、かつ昇降可能に連結される開閉部と、から成り、
前記開閉部は、原稿が載置される原稿トレイと、前記原稿トレイに載置された前記原稿を1枚ずつ搬送経路に沿って搬送する搬送手段と、を備え、
前記本体部は、前記搬送経路に面して配設され、前記搬送経路を通過する前記原稿の画像を読み取る本体部側読取部と、少なくとも前記搬送手段及び前記本体部側読取部の動作に関わる各種処理を行う処理部と、を備える画像読取装置であって、
複数本の被覆電線が帯状に一体化されてなり、前記開閉部と前記本体部の処理部とを電気的に接続するフレキシブルフラットケーブルと、
前記本体部側に設けられ、前記フレキシブルフラットケーブルが前記開閉部の前記回動又は前記昇降に追従するように、前記フレキシブルフラットケーブルを案内するガイド部と、を備え、
前記ガイド部は、前記フレキシブルフラットケーブルの所定箇所を位置固定するとともに、その位置固定された箇所と、前記開閉部との間において、前記フレキシブルフラットケーブルを、前記開閉部の回動軸方向から見て略U字状に撓ませた状態で保持するためのリブを有することを特徴とする(請求項3)。
【0016】
第2発明の画像読取装置では、第1発明の画像読取装置と同様に、ガイド部のリブにより、フレキシブルフラットケーブルの位置固定された箇所と、開閉部との間に配線されるフレキシブルフラットケーブルの途中に略U字状の撓みが保持される。このため、上述したように、フレキシブルフラットケーブルが本体部に対する開閉部の回動又は昇降に良好に追従でき、フレキシブルフラットケーブルに過度の引っ張り力が作用することを防止できる。また、フレキシブルフラットケーブルに過度の捩れや屈曲が生じ難くなる。その結果、フレキシブルフラットケーブルの断線や、フレキシブルフラットケーブルにより伝達される信号にノイズが発生する不具合が生じ難くなる。
【0017】
したがって、第2発明の画像読取装置も、第1発明の画像読取装置と同様に、読取部により読み取った原稿の画像データに乱れが生じることを抑制できる。
【0018】
第1、2発明の画像読取装置において、ガイド部は、フレキシブルフラットケーブルの略U字状の撓み部分において、その湾曲形状部分より上方で対向する1対の略直線部分を所定の間隔に保持して、湾曲形状部分を所定の曲率以上に維持する間隔保持部を有することが望ましい(請求項4)。
【0019】
この構成によれば、間隔保持部により、湾曲形状部分の曲率が小さくなり過ぎることを防止できるので、フレキシブルフラットケーブルが過度の屈曲により破損することを抑制できる。このため、フレキシブルフラットケーブルの不具合を確実に抑制できる。
【0020】
第1、2発明の画像読取装置において、ガイド部は、フレキシブルフラットケーブルにおける1対の略直線部分のうち、処理部に近い側の略直線部分の上端をリブにより固定するとともに、開閉部の回動又は昇降に追従してフレキシブルフラットケーブルが引っ張られる際、間隔保持部が湾曲形状部分の形状を維持したまま、1対の略直線部分のうち、開閉部に近い側の略直線部分を昇降させるように構成されることが望ましい。また、開閉部に近い側の略直線部分において昇降により外部に露出する表面は帯電部材により被覆されていることが望ましい(請求項5)。
【0021】
この構成によれば、簡単な構成であるガイド部により、開閉部の動作に伴うフレキシブルフラットケーブルの移動をスムーズに案内することができる。また、簡素な帯電部材により、フレキシブルフラットケーブルの移動を阻害することなく、フレキシブルフラットケーブルを静電気放電や接触から保護できる。
【0022】
第1、2発明の画像読取装置において、開閉部は、本体部に対して回動軸を介して回動可能に支持され、開閉部が本体部の上面を覆う状態において、開閉部の回動軸側の下端縁及びフレキシブルフラットケーブルに対して、回動軸方向に直交する方向で対向するガイド部の対向面には、開閉部が本体部の上面を開放する際に、開閉部の回動軸側の下端縁及びフレキシブルフラットケーブルが入り込む逃げ部が形成されることが望ましい。また、開閉部の回動軸側の下端縁には、対向面とフレキシブルフラットケーブルとの間に位置して、開閉部が本体部の上面を開放した際に、フレキシブルフラットケーブルを開閉部の開放側から覆うカバー部が一体的に設けられていることが望ましい(請求項6)。
【0023】
この構成によれば、ガイド部の対向面に逃げ部が形成されていることで、装置の前後方向のサイズを大きくすることなく、開閉部を開閉する際に、開閉部の背面側の下端縁、さらに開閉部の開閉に伴って移動するフレキシブルフラットケーブルが入り込むスペースを確保することができる。その結果、開閉部とガイド部とにフレキシブルフラットケーブルが挟まれることを確実に防止できる。また、開閉部を開放する際には、フレキシブルフラットケーブルが開閉部に追従して上昇し、開閉部の開放側(本体部の前面側)から見て露出した状態となるが、カバー部によって露出部分を覆うことができるので、フレキシブルフラットケーブルを確実に保護できる。
【0024】
第1、2発明の画像読取装置において、ガイド部は、予めリブにフレキシブルフラットケーブルが固定された状態で開閉部と一体化されており、開閉部を本体部に取り付ける際に、本体部に設けられた開口部に嵌め込まれるように構成されていることが望ましい(請求項7)。
【0025】
この構成によれば、ガイド部は、本体部と別部品であり、予め開閉部側に取り付けられる。このため、リブにフレキシブルフラットケーブルを固定する作業を容易に行える。そして、開閉部を本体部に取り付ける際に、同時にガイド部を本体部の開口部に取り付けることができるので、組み付け作業を簡素化できる。
【0026】
また、フレキシブルフラットケーブルを交換する必要がある場合、ガイド部を開口部から取り外すことで、容易にフレキシブルフラットケーブルの交換を行なうことができる。
【0027】
第1、2発明の画像読取装置において、ガイド部は、回動軸方向から見た場合、一方の側面が開放されていることが望ましい(請求項8)。
【0028】
この構成によれば、開放された側面からガイド部内にフレキシブルフラットケーブルを容易に挿入できるので、フレキシブルフラットケーブルをリブに沿って配線・固定する作業を容易に行える。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】実施例の複合機の斜視図である(ADFが閉鎖状態)。
【図2】実施例の複合機の左側面図である。
【図3】実施例の複合機の背面図である。
【図4】実施例の複合機の上面図である。
【図5】実施例の複合機の斜視図である(ADFが開放状態)。
【図6】実施例の複合機に係り、図4のA−A断面を示す断面図である。
【図7】実施例の複合機の内部構成を示すブロック図である。
【図8】実施例の複合機に係り、図4のB−B断面を示す断面図である。
【図9】実施例の複合機に係り、図4のC−C断面を示す断面図である(ADFが閉鎖状態)。
【図10】実施例の複合機に係り、ガイド部の斜視図である。
【図11】実施例の複合機に係り、図4のC−C断面を示す断面図である(ADFが開放状態)。
【図12】実施例の複合機に係り、開口部、ガイド部及びカバー部を示す要部拡大斜視図である。
【図13】実施例の複合機に係り、図4のC−C断面を示す断面図である(ADFが開放かつ上昇した状態)。
【図14】実施例の複合機に係り、ガイド部を開口部に嵌め込む作業を説明する断面図である。
【図15】実施例の複合機に係り、フレキシブルフラットケーブル、本体部側フレキシブルフラットケーブル及び配線ケーブルの配線レイアウトを説明する斜視図である。
【図16】実施例の複合機に係り、接触防止機構を説明する斜視図である。
【図17】実施例の複合機に係り、接触防止機構を説明する模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
以下、本発明を具体化した実施例を図面を参照しつつ説明する。
【0031】
(実施例)
図1に示すように、本実施例の複合機10は、原稿の画像を読み取って電子データ化する画像読取処理、その読み取った電子データに基づいて、被記録媒体(例えば、用紙やOHPシート)に画像を形成する画像形成処理、及び外部と電子データの送受信を行う通信処理等の複数の処理を実行可能なものである。画像読取処理に着目すれば、複合機10は画像読取装置であるとも言える。図1では、複合機10の操作パネル3側を装置の前側と規定し、操作パネル3の反対側を装置の後側(背面側)と規定する。また、装置を前側から見た場合に左手に来る側(操作パネル3に向かって左側)を左側と規定し、その反対側を右側と規定して、前後、左右及び上下の各方向を表示する。そして、図2以降に示す各方向は、全て図1に示す各方向に対応させて表示する。以下、図1等に基づいて、複合機10が備える各構成要素について説明する。
【0032】
1.複合機の概略構成
図1〜図5に示すように、複合機10は、本体部20と、自動原稿搬送装置(ADF:Auto Document Feeder。以下、単に「ADF」と呼ぶ。)11とにより構成されている。ADF11は、本発明の「開閉部」の一例である。
【0033】
図1〜図4に示すように、ADF11は、本体部20の上面を覆うように配設されている。図2〜図5に示すように、本体部20の背面側の上端縁と、ADF11の背面側の下端縁との間には、1対のヒンジ部49R、49Lが左右方向に間隔を有して配設されている。ADF11は、ヒンジ部49R、49Lにより、本体部20に対して左右方向を向く回動軸R1周りで回動する。そして、ADF11の前部を上方に持ち上げる操作、又はその逆の操作を行うことにより、本体部20に対して、ADF11を図1に示す「閉鎖状態」と、図5に示す「開放状態」とに変位させることが可能となっている。ADF11が「開放状態」となっている場合、本体部20の上面が開放される。
【0034】
本実施例では、ヒンジ部49Rは、回動軸R1周りの回動を許容するだけの通常のヒンジ機構であるのに対して、ヒンジ部49Lは、周知のフリーストップ機構(図示省略)を有している。このフリーストップ機構により、閉鎖状態と開放状態との間の任意の角度で、ADF11を停止させることが可能となっている。なお、ADF11は、後述するように搬送手段42が左側に偏在していることにより、図3に示すように、重心Gが左側に偏っている。このため、フリーストップ機構を有するヒンジ部49Lは、本体部20及びADF11の背面側から見た場合、ADF11の重心Gを通る前後方向に延びる重心線に対して鉛直方向の下方に配設されている。こうすることにより、そのヒンジ部49LがADF11の重量をバランス良く支持して、ADF11の良好な開閉作業を実現できるとともに、ADF11を任意の角度で停止させても、ADF11をその角度に確実に停止させることができる。その結果、本体部20に対して、ADF11を開閉する際のユーザの操作性が向上する。また、ヒンジ部49Lと、本体部20の左側の側面20B(後述する制御基板201が沿うように配設される側面20B)とが離れた位置関係となるので、その空いたスペースに、後述するフレキシブルフラットケーブル7A及び本体部側フレキシブルフラットケーブル7Bのレイアウトスペースを確実に確保できる。
【0035】
図6(図4のA−A断面)に示すように、ヒンジ部49Lの下部は、下方に向けて柱状に突出しており、本体部20の背面側(後ろ側)上面から下方に向けて凹設されたガイド穴20Aに、ヒンジ部49Lの柱状の部分が昇降可能に内挿されることにより、本体部20に対する昇降が許容されている。図示は省略するが、ヒンジ部49Rの下部も、ヒンジ部49Lの下部と同様に下方に柱状に突出しており、本体部20に凹設されたもう1つのガイド穴20Aに、ヒンジ部49Rの柱状の部分が昇降可能に内挿されることにより、本体部20に対する昇降が許容されている。このようなヒンジ部49R、49Lによって本体部20に連結されるADF11は、本体部20に対して昇降可能となっている。
【0036】
2.本体部
図1に示すように、本体部20の前面側には操作パネル3が設けられている。操作パネル3は、ユーザからの入力を受け付けたり、複合機10の処理状況等を表示する。また、図2及び図3に示すように、本体部20の内部には、被記録媒体(例えば、用紙やOHPシート)に画像を形成する画像形成部29が収容されている。画像形成部29としては、電子写真式、インクジェット式、その他の周知の構成のものを搭載可能であるので、詳細な説明は省略する。画像形成部29により画像が形成された被記録媒体は、本体部20の前面側において操作パネル3の下方に開口しつつ、後方に向けて略水平に延在する本体部側排出トレイ29A(図1参照)に排出される。なお、説明は簡略するが、図6に示すように、本体部20の背面側には、本体部側排出トレイ29Aと同程度の高さに、本体部側ヒンジ部29Bが設けられている。そして、本体部20において本体部側排出トレイ29Aより上側の部分は、本体部側排出トレイ29Aから下側の部分に対して、本体部側ヒンジ部29Bを介して回動可能に連結されている。
【0037】
図7のブロック図に示すように、本体部20の内部には、ADF11内の構成要素、操作パネル3及び画像形成部29等の各種制御を行う処理部としての制御基板201、各構成要素に給電する電源部202、及びLAN回線や公衆電話回線を介して外部と通信する通信部203等が設けられている。
【0038】
図2及び図3に示すように、制御基板201は、本体部20の内部であって、本体部20の左側の側面20Bに対して略平行となるように配設されている。装置の小型化のため、制御基板201と、本体部20の左側の側面20Bとの間隔が狭くされている。本体部20の左側の側面20Bは、後述する読取部24に近い側の側面である。なお、電源部202から電磁ノイズが発生する場合があるため、電源部202は、電磁ノイズをある程度遮蔽する対策が施された上で、制御基板201及び通信部203等から離れた箇所に配設される。
【0039】
図5及び図8に示すように、本体部20の上面側には、コンタクトガラス22が設けられている。コンタクトガラス22は、左側の固定読取用ガラス79と、右側の移動読取用ガラス80とに二分割されており、双方の間に後述する原稿離反部材81が設けられている。移動読取用ガラス80の外面(上を向く面)は、各種の原稿(例えば、用紙、書籍。)が載置される載置面22Aとされている。
【0040】
2.1.本体部側読取部
図7及び図8に示すように、本体部20の内部において、コンタクトガラス22の下方には、本体部側読取部25が設けられている。本体部側読取部25としては、密着型イメージセンサ(CIS:Contact Image Sensor)やCCD(Charge Coupled Device)等の周知の画像読取センサを採用できるが、本実施例では密着型イメージセンサを採用している。図8に示すように、本体部20の筐体の内側側面には、左右方向に延在するスライド軸78が固定されている。本体部側読取部25は、スライド軸78にスライド自在に支持されており、待機状態では、移動読取用ガラス80の左端縁の下方に位置している。そして、本体部側読取部25は、制御基板201からの制御信号によりプーリー・ベルト機構(図示省略)が駆動されることにより、スライド軸78に沿って左右方向(本体部側読取部25の副走査方向)にスライドする。
【0041】
なお、図3に示すように、本体部側読取部25は、待機状態では、制御基板201の上方に接近しているとともに、後述する読取部24とは両者の主走査方向(前後方向。図3の紙面手前から紙面奥側に向かう方向)の位置が上方から見てずれている。具体的には、本体部側読取部25の方が、ヒンジ部49L寄りに位置しており、そこから所定間隔を空けて左側にずれて読取部24が位置している。これにより、後述するように、本体部側フレキシブルフラットケーブル7Bの配線レイアウトを、フレキシブルフラットケーブル7Aの右側で並走して下方に延びる状態に配線し易くなる。その結果、後述する重複区間L1〜L2を短くできる。
【0042】
ユーザが移動読取用ガラス80上に1枚の原稿又は書籍を載置して、それらの表面(移動読取用ガラス80と対向する面)の画像読取を行おうとする場合、すなわち、ADF11の自動原稿搬送機能を使用しない場合、本体部側読取部25は、移動読取用ガラス80の左端縁の下方から右端縁の下方に移動しつつ、上記原稿又は書籍の表面に形成された画像を読み取る。そして、本体部側読取部25の出力信号(画像データを含む)は、図7に示すように、本体部20において、本体部側読取部25と制御基板201とを電気的に接続する本体部側フレキシブルフラットケーブル7B(詳細は後述する。)を介して、制御基板201に伝達される。そして、制御基板201は、本体部側読取部25の出力信号に基づいて、原稿の画像の印刷データを作成し、又は、画像形成部29を制御し、被記録媒体に画像を形成するための各種制御を行う。
【0043】
3.ADF
図8に示すように、ADF11は、原稿としての複数枚のシートが積層された状態で載置される原稿トレイ12と、シートが排出される排出トレイ14とを備えている。原稿トレイ12及び排出トレイ14は、上下方向に二段に配設されている。
【0044】
また、ADF11は、原稿トレイ12に載置される複数枚のシート9を1枚ずつ取り出して搬送経路16に沿って自動的に搬送し、排出トレイ14へ排出する搬送手段42と、搬送経路16の途中でシート9の第1面9Aの画像を読み取る読取部24とを備える(シート9が原稿トレイ12に載置された状態において、下方を向く面を第1面9Aとし、第1面9Aとは反対側の面を第2面9Bとする。)。
【0045】
3.1.搬送手段
搬送手段42において、搬送経路16は、原稿トレイ12から左方向へ延びる第1搬送路26と、第1搬送路26に連続し、円弧状に下方へ向かって湾曲する湾曲搬送路27と、湾曲搬送路27に連続し、排出トレイ14へ向けて右上方向に延びる第2搬送路28とにより構成されている。
【0046】
搬送手段42は、本体フレーム30と、アッパーガイド34と、アンダーガイド36とにより構成されるベース部材と、アッパーガイド34の左側部分を上方から覆う上部カバー32とを備えている。本体フレーム30は、ADF11の底面及び側面を構成する箱状体である。アッパーガイド34は、第1搬送路26の一部を構成し、原稿トレイ12から、後述する供給ユニット50近傍まで延在する板状体である。また、アンダーガイド36は、第2搬送路28の一部を構成し、後述する主ローラ64の下方から、後述する排出ユニット70近傍まで延在する板状体である。
【0047】
上部カバー32の左端部は、本体フレーム30の左端部に揺動可能に支持されている。図示は省略するが、上部カバー32の右端部を上方に持ち上げることにより、第1搬送路26の上方を開放して、読取部24付近の清掃や、シート詰まり等の不具合対応を実施可能となっている。
【0048】
上部カバー32の内側には、複数本の補強リブ191、192が設けられている。各補強リブ191、192は、上部カバー32を閉じた状態において、下方に向かって突出しているとともに、上部カバー32の右側端部から左側端部まで延在している。この上部カバー32の各補強リブ191、192は、原稿トレイ12側から搬送されるシートの上面をガイドしており、第1搬送路26及び湾曲搬送路27の一部を構成している。
が形成される。
【0049】
本体フレーム30の左端部、及び上部カバー32の各補強リブ191、192の左端部の下方には、後述する主ローラ64が配設されている。本体フレーム30の左端側内壁面及び上部カバー32の各補強リブ191、192の左端部と、主ローラ64の外周面とは、第1搬送路26を搬送され、さらに搬送方向下流側に向けて搬送されるシートをガイドしている。つまり、本体フレーム30の左端側内壁面及び上部カバー32の各補強リブ191、192の左端部と、主ローラ64の外周とは、湾曲搬送路27を構成している。
【0050】
本体フレーム30の下側内壁面とアンダーガイド36とは、湾曲搬送路27を搬送され、排紙トレイ14に向けて搬送されるシートをガイドしている。すなわち、本体フレーム30の下側内壁面とアンダーガイド36とは、第2搬送路28を構成している。また、図5及び図8に示すように、ADF11の本体フレーム30の下面31には、開口84が設けられている。開口84は、第2搬送路28のうち湾曲搬送路27との境界部付近に位置している。第2搬送路28を搬送されるシートは、この開口84の上方を通過する際、本体部20側に向けて露出する。
【0051】
湾曲搬送路27から第2搬送路28へと搬送されるシートは、開口84を介して、本体部20に設けられた固定読取用ガラス79上を通過する。この際、固定読取用ガラス79と移動読取用ガラス80との間に設けられた原稿離反部材81は、固定読取用ガラス79に接しつつ搬送されるシートを固定読取用ガラス79からすくい上げて、第2搬送路28に確実に案内する。
【0052】
また、搬送手段42は、図8に示すように、以下に詳述する供給ユニット50と、搬送ユニット60と、排出ユニット70とを備えている。
【0053】
3.1.1.供給ユニット
供給ユニット50は、原稿トレイ12に対して、シートの搬送方向下流側に設けられ、原稿トレイ12に載置された複数枚のシート9を上から順番に1枚つづ取り出して、下流側に搬送するものである。供給ユニット50は、アッパーガイド34の上方に設けられた吸入ローラ52と、分離ローラ54と、分離パッド57を有している。
【0054】
分離ローラ54は、本体フレーム30に前端及び後端が回転可能に支持された第1回転軸56の中央に設けられている。第1回転軸56は、電動モータや多数のギヤからなる駆動源99(図2、図3、図4及び図7に示す。)に駆動されて所定の回転方向(図8において時計まわり)に回転する。それに伴って、分離ローラ54も第1回転軸56と一体回転する。
【0055】
第1回転軸56には、ホルダ58が揺動可能に支持されている。ホルダ58は、分離ローラ54を囲いつつ原稿トレイ12側に延在しており、その延在する部位において、吸入ローラ52を回動可能に支持している。吸入ローラ52は、ホルダ58内部に配設された図示しないギヤ群を介して第1回転軸56と連結されている。これにより、第1回転軸56が回転すると、分離ローラ54のみならず、吸入ローラ52も時計回りに回転する。それに伴って、ホルダ58は、吸入ローラ52を下方のアッパーガイド34に向かって押し下げるように揺動する。
【0056】
分離ローラ54と対向する位置には、分離パッド57が配設されている。分離パッド57は、分離ローラ54の外周面に対して、下方から圧接されている。分離パッド57は、典型的にはコルク片からなり、分離パッド57の上方を通過するシートの第1面9Aと摺接して、シートに対して大きな摩擦力を発揮する。
【0057】
吸入ローラ52は、原稿トレイ12に載置された複数枚のシートの第2面9Bに当接しつつ回転して、シートに搬送力を付与する。分離ローラ54は、吸入ローラ52により搬送されるシートの第2面9Bに当接しつつ回転することにより、シートに搬送力を付与する。この際、分離ローラ54と分離パッド57との間を複数枚のシートが通過しようとすると、分離パッド57の摩擦力により、分離ローラ54と接している最上方のシートのみが分離されてシートの搬送方向下流側に搬送される。つまり、吸入ローラ52とアッパーガイド34との間、及び分離ローラ54と分離パッド57との間をシートが搬送されることになり、供給ユニット50は、アッパーガイド34や上部カバー32の各補強リブ191、192等と協働して、第1搬送路26を構成している。
【0058】
3.1.2.搬送ユニット
搬送ユニット60は、供給ユニット50により原稿トレイ12から1枚ずつ取り出されるシートを第1搬送路26、湾曲搬送路27及び第2搬送路28に沿って搬送するものである。搬送ユニット60は、分離ローラ54より左側(第1搬送路26の途中において分離ローラ54よりも搬送方向下流側)に設けられた搬送ローラ61と、搬送ローラ61に対向するピンチローラ65とを有している。また、搬送ユニット60は、湾曲搬送路27に設けられた主ローラ64と、主ローラ64に対向するピンチローラ62、63とを有している。
【0059】
搬送ローラ61は、本体フレーム30に自己の前端及び後端が回転可能に支持された第2回転軸66の中央に設けられている。第2回転軸66は、第1回転軸56と同様に、駆動源99に駆動されて所定の回転方向(図8において時計まわり)に回転する。それに伴って、搬送ローラ61も第2回転軸66と一体回転する。
【0060】
そして、分離ローラ54により搬送されるシートは、搬送ローラ61及びピンチローラ65によりニップされる。そして、搬送ローラ61は、搬送されるシートの第2面9Bに当接しつつ回転することにより、シートに搬送力を付与する。つまり、搬送ローラ61及びピンチローラ65も第1搬送路26を構成している。
【0061】
主ローラ64は、本体フレーム30に自己の前端及び後端が回転可能に支持された第3回転軸67に設けられている。第3回転軸67は、第1、2回転軸56、66と同様に、駆動源99に駆動されて所定の回転方向(図8において反時計まわり)に回転する。それに伴って、主ローラ64も第3回転軸67と一体回転する。
【0062】
搬送ローラ61により搬送されるシートは、後述する読取部24の上方を通過した後、主ローラ64及びピンチローラ62によりニップされ、さらに、シートの搬送方向下流側で、主ローラ64及びピンチローラ63によりニップされる。そして、主ローラ64は、シートの第1面9Aに当接しつつ回転することにより、シートに搬送力を付与して、第2搬送路28の下流側に送り出す。つまり、主ローラ64、ピンチローラ62及びピンチローラ63は、本体フレーム30の左端側内壁面及び上部カバー32の各補強リブ191、192の左端部と協働して、湾曲搬送路27を構成している。
【0063】
3.1.3.排出ユニット
排出ユニット70は、搬送ユニット60により第2搬送路28を搬送されるシートを排出トレイ14に排出するものである。排出ユニット70は、アンダーガイド36の右側端部(第2搬送路28の最下流側)に設けられた排出ローラ72及びピンチローラ74を備えている。排出ローラ72は、本体フレーム30に自己の前端及び後端が回転可能に支持された第4回転軸71に設けられている。第4回転軸71は、第1、2、3回転軸56、66、67と同様に、駆動源99に駆動されて所定の回転方向(図8において反時計まわり)に回転する。それに伴って、排出ローラ72も第4回転軸71と一体回転する。そして、第2搬送路28に沿って送られたシートは、排出ローラ72及びピンチローラ74によりニップされ、排出トレイ14に排出される。つまり、排出ローラ72及びピンチローラ74は、本体フレーム30の下側内壁面とアンダーガイド36と協働して、第2搬送路28を構成している。
【0064】
3.2.読取部
読取部24は、上述の本体部側読取部25と同様に、密着側イメージセンサが採用される。読取部24は、搬送ローラ61よりもシート搬送方向下流側であって、第1搬送路26の下方において、その読取面が第1搬送路26に面するように配置される。すなわち、読取部24は、第1搬送路26の途中において、搬送ローラ61よりも下流側、かつ、主ローラ64よりも上流側に配設されており、第1搬送路26を搬送されるシートの第1面9Aが読取部24の上面側を通過するようになっている。上記のように配設された読取部24は、その主走査方向が、本体部20の左側の側面20Bと平行で、かつ左右方向に近接配置されている。
【0065】
読取部24の上方には、白部材76が設けられている。白部材76は、コイルバネにより、読取部24側へ弾性的に付勢されている。搬送ローラ61から搬送されるシートは、白部材76により、読取部24側に押し付けられながら、読取部24の上面側を通過する。これにより、読取部24は、シートの第1面9Aに形成された画像を読み取る。つまり、白部材76と読取部24の上面(イメージセンサの上方を覆うガラス部材)も第1搬送路26を構成している。そして、読取部24の出力信号(画像データを含む)は、図7に示すように、ADF11と本体部20との間に設けられたフレキシブルフラットケーブル7A(詳細は後述する。)を介して、制御基板201に伝達される。そして、制御基板201は、読取部24の出力信号に基づいて、シートの第1面9Aの画像の印刷データを作成し、又は、画像形成部29を制御し、被記録媒体に画像を形成するための各種制御を行う。
【0066】
3.3.ADF動作時における本体部側読取部
本体部側読取部25は、ADF11が動作する際に所定の画像読取位置18(図8参照)に移動して停止する。この状態では、本体部側読取部25の上面側は、開口84を介して第2搬送路28に臨む。搬送ユニット60により搬送されるシートは、開口84を介して固定読取用ガラス79上面の画像読取位置18に到達し、この際、シートの第2面9Bが本体部側読取部25の上面側を通過するようになっている。その後、そのシートは原稿離反部材81により固定読取用ガラス79からすくい上げられる。
【0067】
固定読取用ガラス79を挟んで、画像読取位置18で待機する本体部側読取部25と反対側には、白部材82が設けられている。白部材82は、コイルバネにより、画像読取位置18で待機する本体部側読取部25側へ弾性的に付勢されている。第2搬送路28に沿って搬送されるシートは、白部材82により、本体部側読取部25側に押し付けられながら、本体部側読取部25の上面側を通過する。これにより、本体部側読取部25は、シートの第2面9Bに形成された画像を読み取る。そして、本体部側読取部25の出力信号は、本体部側フレキシブルフラットケーブル7Bを介して、制御基板201に伝達される。そして、制御基板201は、上述した各種制御を行う。なお、固定読取用ガラス79、及び白部材も、その間をシートが通過する第2搬送路28を構成している。
【0068】
3.4.ADFの自動原稿読み取り動作
図8に示すように、ユーザが1枚又は複数枚のシート9を原稿トレイ12上に載置し、シートの先端部を供給ユニット50に挿入する。そして、ユーザが操作パネル3を操作して、ADF11による自動原稿読み取り処理の開始を入力すると、制御基板201は、ADF11内の搬送手段42、及び読取部24を制御して自動原稿読み取り処理を開始する。そうすると、原稿トレイ12上のシートは、1枚ずつ取り出されて、搬送経路16に沿って搬送される。その途中の第1搬送路26で、第1面9Aに形成された画像が読取部24により読み取られる。このシートは、さらに搬送経路16に沿って送られ、湾曲搬送路27を通過する際に表裏反転される。そして、シートの第2面9Bに形成された画像が本体部側読取部25によって読み取られる。その後、このシートは、第2搬送路28で第2面9Bを下にして排出トレイ14上に排出される。この一連の動作は、原稿トレイ12上のシートがなくなるまで、自動的に繰り返される。
【0069】
4.フレキシブルフラットケーブル及び本体部側フレキシブルフラットケーブル
図2、図3及び図7に示すように、複合機10は、ADF11側の読取部24と、本体部20側の制御基板201とを電気的に接続し、読取部24の出力信号を制御基板201に伝達するフレキシブルフラットケーブル7Aと、本体部20において、本体部側読取部25と制御基板201とを電気的に接続し、本体部側読取部25の出力信号を制御基板201に伝達する本体部側フレキシブルフラットケーブル7Bとを備えている。
【0070】
フレキシブルフラットケーブル7A及び本体部側フレキシブルフラットケーブル7Bは、多数の細い被覆電線が帯状に一体化されたものである。一般的に、フレキシブルフラットケーブルは、過度の捩れ、屈曲の繰り返し又は引っ張り等により断線等の不具合が生じ易く、また、静電気放電や電磁波ノイズ(例えば、電源部202や駆動源99から漏れる電磁波ノイズ。)の影響を受け易い。このため、本実施例では、フレキシブルフラットケーブル7A及び本体部側フレキシブルフラットケーブル7Bについて、以下に詳述する配線レイアウトを採用している。
【0071】
4.1.フレキシブルフラットケーブルの配線レイアウト
図2及び図9(図4のC−C断面)に示すように、フレキシブルフラットケーブル7Aの上端は、主走査方向が前後方向である読取部24の背面側(後方)の端部に配線されている。そして、フレキシブルフラットケーブル7Aは、図9に示すように、
読取部24の端部からADF11の底面に向けて延設され、ADF11の本体フレーム30の底部に沿って、ADF11の背面側(後方)に延びている。さらに、フレキシブルフラットケーブル7Aは、本体フレーム30の背面側の底部に貫設されたケーブル挿通孔31Bを介して下方に延び、本体部20の背面側上面に開口する開口部20Cに向けて垂れ下がっている。ケーブル挿通孔31Bは、ADF11の左右方向に細長く、フレキシブルフラットケーブル7Aの幅方向の長さよりもやや長めに形成され、また、前後方向は、フレキシブルフラットケーブル7Aの厚み方向の長さよりもやや長めに形成されている。そのため、フレキシブルフラットケーブル7Aは、ケーブル挿通孔31Bを上下方向にはスムーズに移動することができ、捩れは防止されるように形成されている。そして、ADF11の背面側の下端縁において、ケーブル挿通孔31Bの前側には、略平板形状をなして下方に突出するカバー部31Aが一体的に設けられている。
【0072】
本体部20の開口部20Cは、図12に示すように、ヒンジ部49Lよりも左側に設けられた矩形状の開口であり、固定読取用ガラス79の中心よりもやや右側にずれた位置に形成されている。そして、図9に示すように、下方に奥行きを有しており、その内部空間にガイド部300が嵌め込まれる。内部空間は、本体部20を構成するフレーム等により区画された空間であり、ガイド部300が嵌め込まれた状態で、さらに後側及び下方にスペースを有し、その部分がケーブル収容部20Dとされている。
【0073】
図9及び図10に示すように、ガイド部300は、開口部20Cに嵌め込まれた状態で、本体部20の上面と面一となる蓋部309(図12参照)と、蓋部309の右側端縁から下方に延びる側壁部308と、側壁部308の前端側に設けられ、左方向に突出するリブ301とを有する。リブ301は、蓋部309に対して略垂直な平板形状をなしており、その上端縁301Aは、蓋部309と上下方向に間隔を有して、下方に折り曲げられている。
【0074】
また、ガイド部300は、側壁部308の後端側に設けられ、左方向に突出する間隔保持部302を有する。間隔保持部302は、リブ301に対して前後方向に間隔を有して対面しており、その上端縁は蓋部309の後端縁と連結されている。間隔保持部302は、蓋部309に対して略垂直な平板形状をなして下方に延びる略平板形状部分302Aと、略平板形状部分302Aに連続し、略円筒形状(C字形状)をなす略円筒形状部分302Bとを有する。略円筒形状部分302Bは周方向に閉じておらず、その終端縁302Cは、リブ301の上端縁301Aと上下方向に間隔を有して対面している。また、略円筒形状部分302Bは、略平板形状部分302Aに対して後方に偏っている。すなわち、略円筒形状部分302Bの後ろ側表面は、略平板形状部分302Aの後ろ側表面よりも後方に突出しており、これにより、略円筒形状部分302Bの上側、かつ略平板形状部分302Aの背面側には、後述する逃げ部303が確保される。なお、ガイド部300において、リブ301及び間隔保持部302を挟んで側壁部308と反対側の側面は開放されている。
【0075】
図9に示すように、ケーブル挿通孔31Bを介して開口部20Cに向けて垂れ下がったフレキシブルフラットケーブル7Aは、逃げ部303を通過し、間隔保持部302の背面に沿いつつ、ケーブル収容部20Dの底部近くまで略直線形状に下方に延びた後に湾曲して、上方に向きを変える。なお、逃げ部303において、フレキシブルフラットケーブル7Aと間隔保持部302の背面との間には、上記したカバー部31Aが位置している。
【0076】
そして、上方に向きを変えたフレキシブルフラットケーブル7Aは、間隔保持部302の前面に沿いつつ、略直線形状に上方に延びた後、間隔保持部302の終端縁302Cと、リブ301の上端縁301Aとの間を通過する。その後、フレキシブルフラットケーブル7Aは、上端縁301Aの形状に沿って下方に向きを変える。また、フレキシブルフラットケーブル7Aは、リブ301の前面に両面テープ301Bで固定されており、リブ301の前面に沿いつつ、略直線形状にさらに下方に延びる。なお、図15等を示して後述するように、フレキシブルフラットケーブル7Aは、その後、第1保持部材111に保持されて、制御基板201に接近する方向(左右方向)に向きを変える。
【0077】
図9に示すように、上記構成であるリブ301は、フレキシブルフラットケーブル7Aの所定箇所を位置固定するとともに、その位置固定された箇所と、ADF11、より具体的には、ケーブル挿通孔31Bとの間において、フレキシブルフラットケーブル7Aを、左右方向(回動軸R1方向)から見て略U字状に撓ませた状態で保持して、略U字状の撓み部分700を確保することができる。また、上記構成である間隔保持部302は、フレキシブルフラットケーブル7Aの略U字状の撓み部分700において、その湾曲形状部分701より上方で対向する1対の略直線部分702A、702Bを所定の間隔に保持する。この所定の間隔は、湾曲形状部分701の曲率を、フレキシブルフラットケーブル7Aが繰り返し折り曲げられても断線等の不具合が生じ難い所定の曲率以上に維持できるように設定される。さらに、ADF11に近い側の略直線部分702Aにおいて昇降により外部に露出する表面は帯電部材709(例えば、周知の帯電防止テープ)により被覆されている。
【0078】
そして、図11に示すように、ADF11が回動軸R1周りに回動して、本体部20に対して開放状態となる際、ガイド部300は、間隔保持部302によりフレキシブルフラットケーブル7Aの湾曲形状部分701の形状を維持したまま、1対の略直線部分702A、702Bのうち、ADF11に近い側の略直線部分702Aを上昇させる。この際、略直線部分702Aの上昇により、湾曲形状部分701が上方に引っ張られることになるが、間隔保持部302により、フレキシブルフラットケーブル7Aの対向している部分の間隔は一定に保たれるため、湾曲形状部分701を所定の曲率以上に維持することができる。また、ADF11が回動軸R1周りに回動することで、ADF11の背面側の下端縁、フレキシブルフラットケーブル7A及びカバー部31Aが前方に変位することになるが、ガイド部300には、逃げ部303が形成されているため、ADF11の背面側の下端縁、フレキシブルフラットケーブル7A及びカバー部31Aはこの逃げ部303に入り込むことができる。すなわち、逃げ部303を形成しておくことにより、装置の前後方向のサイズを大きくすることなく、ADF11を開閉する際に、ADF11の背面側の下端縁、フレキシブルフラットケーブル7A及びカバー部31Aが入り込むスペースが確保でき、また、ADF11の下端縁とガイド部300とにフレキシブルフラットケーブル7Aが挟まれることを確実に防止できる。
【0079】
さらに、図12に示すように、ADF11が開放状態となる際、カバー部31Aは、フレキシブルフラットケーブル7AをADF11の開放側(前方)から覆う。これにより、フレキシブルフラットケーブル7Aが本体部20の前面側から見て露出した状態となることを抑制できるので、フレキシブルフラットケーブル7Aを確実に保護できる。
【0080】
そして、図13に示すように、ADF11が本体部20に対して上昇する場合、フレキシブルフラットケーブル7AのADF11に近い側の略直線部分702Aとともに湾曲形状部分701が上昇する。この際、略直線部分702Aの上昇により、湾曲形状部分701が上方に引っ張られることになるが、湾曲形状部分701が間隔保持部302の略円筒形状部分302Bに沿うので、湾曲形状部分701を所定の曲率以上に確実に維持できる。また、ADF11に近い側の略直線部分702Aが上昇して、その表面が外部に露出する場合でも、その表面を被覆する帯電部材709により、フレキシブルフラットケーブル7Aの移動を阻害することなく、フレキシブルフラットケーブル7Aを静電気放電や接触から保護できる。
【0081】
こうして、ガイド部300は、フレキシブルフラットケーブル7AがADF11の回動又は昇降に追従するように、フレキシブルフラットケーブル7Aをスムーズに案内することができる。この際、間隔保持部302は、湾曲形状部分701の曲率が小さくなり過ぎることを防止できるので、フレキシブルフラットケーブル7Aが過度の屈曲により破損することを抑制できる。また、フレキシブルフラットケーブル7Aは、所定箇所がリブ301の前面に両面テープ301Bで位置固定されているため、フレキシブルフラットケーブル7Aがガイド部300に対して位置ずれを生じることがなく、本体部20に対してADF11が回動又は昇降する際、間隔保持部302により、フレキシブルフラットケーブル7Aを良好にガイドすることができる。
【0082】
なお、ガイド部300は、本体部20と別部品であり、図14に二点鎖線で図示するように、予めリブ301にフレキシブルフラットケーブル7Aが両面テープ301Bにより固定された状態で、ADF11と一体化される。この際、ガイド部300は、回動軸R1方向から見た場合、リブ301及び間隔保持部302を挟んで側壁部308と反対側の側面が開放されているので、その開放された側面からガイド部300内にフレキシブルフラットケーブル7Aを容易に挿入できる。このため、フレキシブルフラットケーブル7Aを間隔保持部302及びリブ301に沿って配線し、リブ301の前面に両面テープ301Bで固定する作業を容易に行える。そして、ADF11を本体部20に取り付ける際、ヒンジ部49R、49Lの下方の柱状部分(図6参照)を各ガイド穴20Aに挿入しながら、フレキシブルフラットケーブル7Aの下端側を開口部20Cを介してケーブル収容部20Dに通し、次に、ガイド部300をADF11の開放側(前側)から開口部20Cに向けて挿入し、嵌め込む。こうして、ガイド部300を開口部20Cに容易に組み付けることができ、組み付け作業の簡素化を実現できる。また、フレキシブルフラットケーブル7Aを交換する必要がある場合、ガイド部300を開口部20Cから取り外すことで、容易にフレキシブルフラットケーブル7Aの交換を行なうことができる。
【0083】
次に、フレキシブルフラットケーブル7Aにおいて、リブ301に位置固定された箇所より下方の配線レイアウトを説明する。
【0084】
図15に示すように、フレキシブルフラットケーブル7Aは、リブ301の前面に沿いつつ、略直線形状に下方に延びた後、後方に向きを変えて短く延び、さらに下方に向きを変えて短く延び、本体部20の内部に設けられたフレーム部材20E(図16参照)の上側に到達する。図16に示すように、フレーム部材20Eは、略皿形状をなして水平に延在し、その左端縁は、制御基板201の上端縁の上方に位置している。フレーム部材20Eの略皿形状部分の中央には第1保持部材111が形成され、第1保持部材111の右側には第2保持部材112が形成されている。また、第1保持部材111の左側には、第1のフェライトコア121が配設され、第1のフェライトコア121の上側には、第2のフェライトコア122が積層された状態で配設されている。
【0085】
第1、2保持部材111、112、及び第1、2のフェライトコア121、122により、接触防止機構が構成されている。
【0086】
図15では、フレキシブルフラットケーブル7Aの配線レイアウトを解り易くするために、フレーム部材20Eの図示を省略しているが、図15において、フレキシブルフラットケーブル7Aの前方に向きをかえる部分711の直下に、図16に示すフレーム部材20Eに設けられた第1保持部材111が位置している。
【0087】
図16に示すように、第1保持部材111は、フレーム部材20Eの上面に対して下方に凹む第1段部111Aと、第1段部111Aに対して間隔を有して上方に位置する第1平板部111Bと、第1平板部111Bに対して間隔を有して上方に位置する第1押さえ部111Cとからなる。図17に示すように、フレキシブルフラットケーブル7Aは、前方に向きをかえる部分711から、第1段部111A上を前方に延びた後、第1平板部111Bの下側で45°の角度で捻られつつ折り曲げられて、右方に向きを変える。そして、第1平板部111Bの右側面及び上面に沿って、略U字状に折り曲げられて、左方に向きを変える。この際、第1押さえ部111Cと、第1平板部111Bとによりフレキシブルフラットケーブル7Aが上下方向に挟まれた状態となる。これにより、第1保持部材111は、フレキシブルフラットケーブル7Aを制御基板201に向かうように配線しつつ、その位置で固定することができる。
【0088】
そして、図15に示すように、フレキシブルフラットケーブル7Aは、第1のフェライトコア121に挿通される。第1のフェライトコア121は、フレキシブルフラットケーブル7Aにより伝達される電気信号に含まれるノイズを減衰させるためのものである。その後、フレキシブルフラットケーブル7Aは、制御基板201の上方まで延びた後、下方に向きを変える。制御基板201の左側を向く面の上方には、フレキシブルフラットケーブル用の扁平な第1のコネクタ131が配設されている。フレキシブルフラットケーブル7Aは、この第1のコネクタ131に対して上方から差し込まれることにより電気的に接続される。
【0089】
4.2.本体部側フレキシブルフラットケーブルの配線レイアウト
図2に示すように、本体部側フレキシブルフラットケーブル7Bの上端は、主走査方向が前後方向である本体部側読取部25の背面側の端部に配線されている。そして、本体部側フレキシブルフラットケーブル7Bは、図15に示すように、本体部20の背面側(後方)に延びた後、略直線形状に下方に延びている。この際、本体部側フレキシブルフラットケーブル7Bは、フレキシブルフラットケーブル7Aの右側で並走する状態となっている(図3参照)。そして、本体部側フレキシブルフラットケーブル7Bは、後方に向きを変えて短く延び、さらに下方に向きを変えて短く延び、フレーム部材20E(図16参照)の上側に到達する。図15では、本体部側フレキシブルフラットケーブル7Bの配線レイアウトを解り易くするために、フレーム部材20Eの図示を省略しているが、図15において、本体部側フレキシブルフラットケーブル7Bの前方に向きをかえる部分721の直下に、図16に示すフレーム部材20Eに設けられた第2保持部材112が位置している。
【0090】
図16に示すように、第2保持部材112は、フレーム部材20Eの上面に対して下方に凹む第2段部112Aと、第2段部112Aに対して間隔を有して上方に位置する第2平板部112Bと、第2平板部112Bに対して間隔を有して上方に位置する第2押さえ部112Cとからなる。第2保持部材112は、第1保持部材111に対して、高い位置に設けられ、かつ制御基板201に向かう方向(左右方向)に並列して配置されている。図17に示すように、本体部側フレキシブルフラットケーブル7Bは、前方に向きをかえる部分721から、第2段部112A上を前方に延びた後、第2平板部112Bの下側で45°の角度で捻られつつ折り曲げられて、右方に向きを変える。そして、第2平板部112Bの右側面及び上面に沿って、略U字状に折り曲げられて、左方に向きを変える。この際、第2押さえ部112Cと、第2平板部112Bとにより本体部側フレキシブルフラットケーブル7Bが上下方向に挟まれた状態となる。これにより、第2保持部材112は、本体部側フレキシブルフラットケーブル7Bが制御基板201に向かうように配線しつつ、その位置で固定することができる。
【0091】
そして、本体部側フレキシブルフラットケーブル7Bが第2保持部材112から左方に延びて、フレキシブルフラットケーブル7Aに対して上下方向(各フレキシブルフラットケーブル7A、7Bの厚さ方向)に重なった状態で左方に向けて並走する。この際、第2保持部材112が第1保持部材111により高い位置に設けられているので、フレキシブルフラットケーブル7Aと本体部側フレキシブルフラットケーブル7Bとの間隔を双方の厚さ方向(上下方向)に確実に確保でき、双方の接触を確実に防止できる。また、第1押さえ部111Cは充分な厚みが確保されており、本体部側フレキシブルフラットケーブル7Bが第1押さえ部111Cの上面に載る状態となる。このような構成によっても、両フレキシブルフラットケーブル7A、7Bの上下方向の間隔を確実に確保できる。
【0092】
そして、図15に示すように、本体部側フレキシブルフラットケーブル7Bは、第2のフェライトコア122に挿通される。第2のフェライトコア122は、本体部側フレキシブルフラットケーブル7Bにより伝達される電気信号に含まれるノイズを減衰させるためのものである。ここで、第1のフェライトコア121の上側に第2のフェライトコア122が積層されていることにより、フレキシブルフラットケーブル7Aと本体部側フレキシブルフラットケーブル7Bとの間隔を双方の厚さ方向(上下方向)に確実に形成することができ、双方の接触をより確実に防止できる。また、ノイズ対策のための両フェライトコア121、122が接触防止機構を兼ねているので、装置を簡素化できる。
【0093】
その後、本体部側フレキシブルフラットケーブル7Bは、制御基板201の上方まで延びた後、下方に向きを変える。制御基板201の左側を向く面の上方には、本体部フレキシブルフラットケーブル7B用の扁平な第2のコネクタ132が第1のコネクタ131に対して下方に間隔を有して配設されている。本体部側フレキシブルフラットケーブル7Bは、略L字状に湾曲しつつ、この第2のコネクタ132に対して横方向から差し込まれることにより電気的に接続される。なお、本体部側フレキシブルフラットケーブル7Bを第2のコネクタ132に差し込む方向としては、横方向だけでなく、例えば、下から上に向けて差し込むようにしてもよい。
【0094】
ここで、図15に示すように、フレキシブルフラットケーブル7Aと本体部側フレキシブルフラットケーブル7Bとの重複区間の始点L1は、フレキシブルフラットケーブル7Aが読取部24から下方に直線的に延びた後、回動軸R1と平行、かつ水平となる向き(左右方向)に曲がる箇所、すなわち、フレキシブルフラットケーブル7Aが第1保持部材111に保持される箇所である。また、重複区間の終点L2は、フレキシブルフラットケーブル7Aが第1のコネクタ131に差し込まれる箇所である。本実施例では、両フレキシブルフラットケーブル7A、7Bを上記配線レイアウトとすることで、重複区間L1〜L2を短くしている。また、第1のコネクタ131と第2のコネクタ132とを所定の間隔を有して配設し、フレキシブルフラットケーブル7Aの差込方向と本体部側フレキシブルフラットケーブル7Bの差込方向とを異ならせることにより、重複区間L1〜L2の終点L2においても、両フレキシブルフラットケーブル7A、7Bの間隔を双方の厚み方向(左右方向)に確実に形成した状態で各コネクタ131、132に接続できる。また、両フレキシブルフラットケーブル7A、7Bを各コネクタ131、132に差し込む際、両フレキシブルフラットケーブル7A、7Bの一方が他方の邪魔になり難いので、差し込み作業を容易に行える。
【0095】
5.配線ケーブル
図2、図3、図7及び図15に示すように、ADF11と本体部20との間には、ADF11側の搬送手段42と、本体部20側の制御基板201とを電気的に接続する配線ケーブル7Cが設けられている。配線ケーブル7Cは、ADF11の自動原稿読み取り動作時に、制御基板201からの制御信号を搬送手段42の駆動源99に伝達したり、搬送手段42が有する原稿検知センサ等の検知信号を制御基板201に伝達したりするものである。
【0096】
図3に示すように、配線ケーブル7Cの上端は、駆動源99の左側であって、読取部24及び本体部側読取部25から離れた箇所に接続されている。そして、図15に示すように、配線ケーブル7Cは、フレキシブルフラットケーブル7A及び本体部側フレキシブルフラットケーブル7Bから離れるように、本体部20の側面20Bの内壁に沿って下方に延び、制御基板201に向かって配線される。そして、制御基板201において第1、2のコネクタ131、132から離れた箇所に電気的に接続される。すなわち、図3に示すように、本体部20及びADF11の背面側から見た場合、配線ケーブル7Cは、本体部20の読取部24に近い方の側面20B側にフレキシブルフラットケーブル7A及び本体部側フレキシブルフラットケーブル7Bとの間隔を空けて配線されている。このため、搬送手段42用の配線ケーブル7Cにノイズが生じたとしても、その影響がフレキシブルフラットケーブル7A及び本体部側フレキシブルフラットケーブル7Bに及び難い。また、搬送手段42用の配線ケーブル7Cの配線経路を短くできる。
【0097】
<作用効果>
実施例の複合機10では、制御基板201を上記のように配設して、機幅を狭くしている。それとともに、図3に示すように、本体部20及びADF11の背面側から見た場合、フレキシブルフラットケーブル7Aの読取部24に接続された一端から、前方に向きをかえる部分711までの配線レイアウトは、ヒンジ部49Lよりも制御基板201に沿う平面P(図3参照)側に接近し、かつADF11と本体部20との間を上下方向に直線的に延在している。これにより、ADF11側の読取部24から本体部20側の制御基板201に至る配線経路の途中で、フレキシブルフラットケーブル7Aの捩れや屈曲を減らすことができる。
【0098】
また、読取部24と制御基板201とが接近し、双方の間にフレキシブルフラットケーブル7Aが直線的に配線されるので、フレキシブルフラットケーブル7Aの配線経路を短くできる。
【0099】
したがって、実施例の複合機10は、フレキシブルフラットケーブル7Aに断線やノイズの発生等の不具合が発生し難く、その結果、画像読取処理や画像形成処理において画像の乱れを抑制できる。
【0100】
また、この複合機10では、読取部24及びそれに接続されるフレキシブルフラットケーブル7A、本体側読取部25及びそれに接続されるレキシブルフラットケーブル7Bを制御基板201寄りに配置したことにより、双方の配線経路を短くすることができる。このため、配線経路の途中において、フレキシブルフラットケーブルを保持したり位置決めしたりするためのケーブル保持部材を第1、2保持部材111、112だけで対応することができ、その結果、装置の簡素化を実現できる。
【0101】
さらに、この複合機10では、読取部24が回動軸R1方向に対して直交する方向である前後方向に延在する密着型イメージセンサであり、図9等に示すように、フレキシブルフラットケーブル7Aの一端は、読取部24における背面側の端部24Aに配線されている。このため、フレキシブルフラットケーブル7Aの配線経路をより短くすることができ、フレキシブルフラットケーブル7Aによって伝達される読取部24の出力信号にノイズが発生することを確実に抑制できる。
【0102】
また、2つの読取部24、25を備え、原稿の両面読取が可能であるこの複合機10では、仮に何も対策を施さなければ、フレキシブルフラットケーブル7Aと、本体部側フレキシブルフラットケーブル7Bとが交錯し易く、配線レイアウトが複雑化することが予想される。特に、読取部24が設けられたADF11が本体部20に対して回動又は昇降するこの複合機10では、仮に何も対策を施さなければ、回動軸R1近傍において、フレキシブルフラットケーブル7Aの引き回し経路が複雑化して、ADF11が回動又は昇降する際にフレキシブルフラットケーブル7Aに引っ張りや屈曲により破断等の不具合が生じ易くなる。この点、この複合機10では、フレキシブルフラットケーブル7Aの配線レイアウトを上記構成とすることにより、フレキシブルフラットケーブル7Aと、本体部側フレキシブルフラットケーブル7Bとを交錯し難くすることができ、配線レイアウトを簡素化できる。また、回動軸R1近傍において、ADF11が回動又は昇降する際にも、フレキシブルフラットケーブル7Aに破断等の不具合が生じ難くなっており、本発明の作用効果を確実に享受できる。
【0103】
さらに、この複合機(画像読取装置)10では、接触防止機構としての第1、2保持部材111、112及び第1、2のフェライトコア121、122により、フレキシブルフラットケーブル7Aと、本体部側フレキシブルフラットケーブル7Bとの重複区間L1〜L2において、双方の接触を確実に防止している。このため、フレキシブルフラットケーブル7A、7B同士の接触に起因して各フレキシブルフラットケーブル7A、7Bにより伝達される信号にノイズが発生する不具合を確実に防止でき、その結果、原稿の画像データの乱れを確実に抑制できる。
【0104】
また、この複合機(画像読取装置)10では、ガイド部300のリブ301により、フレキシブルフラットケーブル7Aの途中に略U字状の撓み部分700が保持される。このため、本体部20に対するADF11の回動又は昇降に伴って、フレキシブルフラットケーブル7Aが引っ張られる場合でも、略U字状の撓み部分700がフレキシブルフラットケーブル7Aの引き回し経路の変化を吸収し、フレキシブルフラットケーブル7Aに過度の引っ張り力が作用することを防止できる。また。フレキシブルフラットケーブル7Aに過度の捩れや屈曲が生じ難くなる。これにより、フレキシブルフラットケーブル7AがADF11の回動又は昇降に良好に追従できる。その結果、フレキシブルフラットケーブル7Aの断線や、フレキシブルフラットケーブル7Aにより伝達される信号にノイズが発生する不具合が生じ難くなり、その結果、読取部24により読み取った原稿の画像データに乱れが生じることを抑制できる。
【0105】
以上において、本発明を実施例に即して説明したが、本発明は上記実施例に制限されるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更して適用できることはいうまでもない。
【産業上の利用可能性】
【0106】
本発明は画像読取装置に利用可能である。
【符号の説明】
【0107】
29…画像形成部、20…本体部、49R、49L…ヒンジ部、9…原稿
11…開閉部(ADF:自動原稿搬送装置)、12…原稿トレイ、16…搬送経路
42…搬送手段、24…読取部(密着型イメージセンサ)
10…複合機(画像読取装置)、201…制御基板(処理部)
20B…読取部に近い方の側面(左側の側面)、P…制御基板に沿う平面
7A…フレキシブルフラットケーブル、R1…回動軸、G…開閉部の重心
7C…配線ケーブル、22A…載置面
25…本体部側読取部(密着型イメージセンサ)
9A…原稿の第1面、9B…原稿の第2面
7B…本体部側フレキシブルフラットケーブル
L1〜L2…重複区間、L1…重複区間の始点、L2…重複区間の終点
111、112、121、122…接触防止機構(111…第1保持部材、112…第2保持部材、121…第1のフェライトコア、122…第2のフェライトコア)
131…第1のコネクタ、132…第2のコネクタ
300…ガイド部、301…リブ
700…フレキシブルフラットケーブルの略U字状の撓み部分
701…略U字状の撓み部分における湾曲形状部分
702A、702B…略U字状の撓み部分における1対の略直線部分
302…間隔保持部、303…逃げ部、31A…カバー部、20C…開口部
【技術分野】
【0001】
本発明は画像読取装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に従来の画像読取装置の例が開示されている。この画像読取装置は、本体部と、本体部に対して回動可能、かつ昇降可能に連結される開閉部とから成る。
【0003】
開閉部は、原稿が載置される原稿トレイと、原稿トレイに載置された原稿を1枚ずつ搬送経路に沿って搬送する搬送手段とを備える。本体部は、搬送経路に面して配設され、搬送経路を通過する原稿の画像を読み取る読取部と、少なくとも搬送手段及び読取部の動作に関わる各種処理を行う処理部とを備える。
【0004】
また、この画像読取装置は、開閉部側と本体部側の処理部とを電気的に接続するケーブル(図3のケーブル6)を備える。ケーブルは、開閉部から下方に伸びて、本体部の内部に導入されている。本体部において開閉部と連結される箇所の近傍には、ケーブルを折り曲げた状態で収容可能な凹部が設けられている。この凹部は、ケーブルの露出を抑制しつつ、ケーブルが本体部に対する開閉部の回動又は昇降に追従し易くするためのものである。
【0005】
上記構成である従来の画像読取装置では、搬送手段、読取部及び処理部が動作することにより、搬送経路を通過する原稿の画像を読み取る画像読取処理を行うことができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2001−197232号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところで、画像読取装置において、開閉部側と本体部側の処理部とを電気的に接続するケーブルとしては、特許文献1に図示されたケーブル6のように太く束ねられたケーブルではなく、複数本の被覆電線が帯状に一体化されてなるフレキシブルフラットケーブルが採用されることが多くなっている。
【0008】
しかしながら、一般的に、フレキシブルフラットケーブルは捩れたり、屈曲したりし易い。このため、上記従来の画像読取装置のように、の凹部に、フレキシブルフラットケーブルを折り曲げた状態で収容するだけでは、本体部に対して開閉部が回動又は昇降する際、フレキシブルフラットケーブルに過度の捩れや屈曲が生じて、フレキシブルフラットケーブルの断線や、フレキシブルフラットケーブルにより伝達される信号にノイズが発生する不具合が生じ易くなる。その結果、画像読取処理時に原稿の画像データの乱れが生じ易くなってしまうという問題がある。
【0009】
本発明は、上記従来の実情に鑑みてなされたものであって、原稿を読み取った場合に、その画像データの乱れを抑制できる画像読取装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
第1発明の画像読取装置は、本体部と、
前記本体部に対して回動可能、かつ昇降可能に連結される開閉部と、から成り、
前記開閉部は、原稿が載置される原稿トレイと、前記原稿トレイに載置された前記原稿を1枚ずつ搬送経路に沿って搬送する搬送手段と、前記搬送経路に面して配設され、前記搬送経路を通過する前記原稿の画像を読み取る読取部と、を備え、
前記本体部は、少なくとも前記読取部からの出力信号に基づいて前記原稿の画像データに関わる各種処理を行う処理部を備える画像読取装置であって、
複数本の被覆電線が帯状に一体化されてなり、前記開閉部側の前記読取部と前記本体部側の前記処理部とを電気的に接続するフレキシブルフラットケーブルと、
前記本体部側に設けられ、前記フレキシブルフラットケーブルが前記開閉部の前記回動又は前記昇降に追従するように、前記フレキシブルフラットケーブルを案内するガイド部と、を備え、
前記ガイド部は、前記フレキシブルフラットケーブルの所定箇所を位置固定するとともに、その位置固定された箇所と、前記開閉部との間において、前記フレキシブルフラットケーブルを、前記開閉部の回動軸方向から見て略U字状に撓ませた状態で保持するためのリブを有することを特徴とする(請求項1)。
【0011】
第1発明の画像読取装置では、ガイド部のリブにより、フレキシブルフラットケーブルの位置固定された箇所と、開閉部との間に配線されるフレキシブルフラットケーブルの途中に略U字状の撓みが保持される。このため、本体部に対する開閉部の回動又は昇降に伴って、フレキシブルフラットケーブルが引っ張られる場合でも、略U字状の撓みがフレキシブルフラットケーブルの引き回し経路の変化を吸収し、フレキシブルフラットケーブルに過度の引っ張り力が作用することを防止できる。また、フレキシブルフラットケーブルに過度の捩れや屈曲が生じ難くなる。これにより、フレキシブルフラットケーブルが、本体部に対する開閉部の回動又は昇降に良好に追従でき、その結果、フレキシブルフラットケーブルの断線や、フレキシブルフラットケーブルにより伝達される信号にノイズが発生する不具合が生じ難くなる。
【0012】
したがって、第1発明の画像読取装置は、読取部により読み取った原稿の画像データに乱れが生じることを抑制できる。
【0013】
第1発明の画像読取装置において、本体部は、搬送経路に面して配設され、搬送経路を通過する原稿の読取部によって読み取られる第1面とは反対側の面である第2面の画像を読み取る本体部側読取部を備え、処理部は、読取部からの出力信号及び本体部側読取部からの出力信号に基づいて原稿の第1面及び第2面の画像データに関わる各種処理を行うことが望ましい(請求項2)。
【0014】
原稿の両面を読取可能な上記構成では、開閉部側の読取部だけでなく、本体部側読取部と処理部とを電気的に接続する信号ケーブルの引き回し経路も確保しなければならない。この場合、読取部の出力信号を処理部に伝達するフレキシブルフラットケーブルの引き回し経路が複雑化し易い。このため、フレキシブルフラットケーブルの引き回しに対して何も対策を施さなければ、フレキシブルフラットケーブルに引っ張りや屈曲により破断等の不具合が生じ易くなる。この点、上記構成により、本発明の作用効果を確実に享受できる。
【0015】
第2発明の画像読取装置は、本体部と、
前記本体部に対して回動可能、かつ昇降可能に連結される開閉部と、から成り、
前記開閉部は、原稿が載置される原稿トレイと、前記原稿トレイに載置された前記原稿を1枚ずつ搬送経路に沿って搬送する搬送手段と、を備え、
前記本体部は、前記搬送経路に面して配設され、前記搬送経路を通過する前記原稿の画像を読み取る本体部側読取部と、少なくとも前記搬送手段及び前記本体部側読取部の動作に関わる各種処理を行う処理部と、を備える画像読取装置であって、
複数本の被覆電線が帯状に一体化されてなり、前記開閉部と前記本体部の処理部とを電気的に接続するフレキシブルフラットケーブルと、
前記本体部側に設けられ、前記フレキシブルフラットケーブルが前記開閉部の前記回動又は前記昇降に追従するように、前記フレキシブルフラットケーブルを案内するガイド部と、を備え、
前記ガイド部は、前記フレキシブルフラットケーブルの所定箇所を位置固定するとともに、その位置固定された箇所と、前記開閉部との間において、前記フレキシブルフラットケーブルを、前記開閉部の回動軸方向から見て略U字状に撓ませた状態で保持するためのリブを有することを特徴とする(請求項3)。
【0016】
第2発明の画像読取装置では、第1発明の画像読取装置と同様に、ガイド部のリブにより、フレキシブルフラットケーブルの位置固定された箇所と、開閉部との間に配線されるフレキシブルフラットケーブルの途中に略U字状の撓みが保持される。このため、上述したように、フレキシブルフラットケーブルが本体部に対する開閉部の回動又は昇降に良好に追従でき、フレキシブルフラットケーブルに過度の引っ張り力が作用することを防止できる。また、フレキシブルフラットケーブルに過度の捩れや屈曲が生じ難くなる。その結果、フレキシブルフラットケーブルの断線や、フレキシブルフラットケーブルにより伝達される信号にノイズが発生する不具合が生じ難くなる。
【0017】
したがって、第2発明の画像読取装置も、第1発明の画像読取装置と同様に、読取部により読み取った原稿の画像データに乱れが生じることを抑制できる。
【0018】
第1、2発明の画像読取装置において、ガイド部は、フレキシブルフラットケーブルの略U字状の撓み部分において、その湾曲形状部分より上方で対向する1対の略直線部分を所定の間隔に保持して、湾曲形状部分を所定の曲率以上に維持する間隔保持部を有することが望ましい(請求項4)。
【0019】
この構成によれば、間隔保持部により、湾曲形状部分の曲率が小さくなり過ぎることを防止できるので、フレキシブルフラットケーブルが過度の屈曲により破損することを抑制できる。このため、フレキシブルフラットケーブルの不具合を確実に抑制できる。
【0020】
第1、2発明の画像読取装置において、ガイド部は、フレキシブルフラットケーブルにおける1対の略直線部分のうち、処理部に近い側の略直線部分の上端をリブにより固定するとともに、開閉部の回動又は昇降に追従してフレキシブルフラットケーブルが引っ張られる際、間隔保持部が湾曲形状部分の形状を維持したまま、1対の略直線部分のうち、開閉部に近い側の略直線部分を昇降させるように構成されることが望ましい。また、開閉部に近い側の略直線部分において昇降により外部に露出する表面は帯電部材により被覆されていることが望ましい(請求項5)。
【0021】
この構成によれば、簡単な構成であるガイド部により、開閉部の動作に伴うフレキシブルフラットケーブルの移動をスムーズに案内することができる。また、簡素な帯電部材により、フレキシブルフラットケーブルの移動を阻害することなく、フレキシブルフラットケーブルを静電気放電や接触から保護できる。
【0022】
第1、2発明の画像読取装置において、開閉部は、本体部に対して回動軸を介して回動可能に支持され、開閉部が本体部の上面を覆う状態において、開閉部の回動軸側の下端縁及びフレキシブルフラットケーブルに対して、回動軸方向に直交する方向で対向するガイド部の対向面には、開閉部が本体部の上面を開放する際に、開閉部の回動軸側の下端縁及びフレキシブルフラットケーブルが入り込む逃げ部が形成されることが望ましい。また、開閉部の回動軸側の下端縁には、対向面とフレキシブルフラットケーブルとの間に位置して、開閉部が本体部の上面を開放した際に、フレキシブルフラットケーブルを開閉部の開放側から覆うカバー部が一体的に設けられていることが望ましい(請求項6)。
【0023】
この構成によれば、ガイド部の対向面に逃げ部が形成されていることで、装置の前後方向のサイズを大きくすることなく、開閉部を開閉する際に、開閉部の背面側の下端縁、さらに開閉部の開閉に伴って移動するフレキシブルフラットケーブルが入り込むスペースを確保することができる。その結果、開閉部とガイド部とにフレキシブルフラットケーブルが挟まれることを確実に防止できる。また、開閉部を開放する際には、フレキシブルフラットケーブルが開閉部に追従して上昇し、開閉部の開放側(本体部の前面側)から見て露出した状態となるが、カバー部によって露出部分を覆うことができるので、フレキシブルフラットケーブルを確実に保護できる。
【0024】
第1、2発明の画像読取装置において、ガイド部は、予めリブにフレキシブルフラットケーブルが固定された状態で開閉部と一体化されており、開閉部を本体部に取り付ける際に、本体部に設けられた開口部に嵌め込まれるように構成されていることが望ましい(請求項7)。
【0025】
この構成によれば、ガイド部は、本体部と別部品であり、予め開閉部側に取り付けられる。このため、リブにフレキシブルフラットケーブルを固定する作業を容易に行える。そして、開閉部を本体部に取り付ける際に、同時にガイド部を本体部の開口部に取り付けることができるので、組み付け作業を簡素化できる。
【0026】
また、フレキシブルフラットケーブルを交換する必要がある場合、ガイド部を開口部から取り外すことで、容易にフレキシブルフラットケーブルの交換を行なうことができる。
【0027】
第1、2発明の画像読取装置において、ガイド部は、回動軸方向から見た場合、一方の側面が開放されていることが望ましい(請求項8)。
【0028】
この構成によれば、開放された側面からガイド部内にフレキシブルフラットケーブルを容易に挿入できるので、フレキシブルフラットケーブルをリブに沿って配線・固定する作業を容易に行える。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】実施例の複合機の斜視図である(ADFが閉鎖状態)。
【図2】実施例の複合機の左側面図である。
【図3】実施例の複合機の背面図である。
【図4】実施例の複合機の上面図である。
【図5】実施例の複合機の斜視図である(ADFが開放状態)。
【図6】実施例の複合機に係り、図4のA−A断面を示す断面図である。
【図7】実施例の複合機の内部構成を示すブロック図である。
【図8】実施例の複合機に係り、図4のB−B断面を示す断面図である。
【図9】実施例の複合機に係り、図4のC−C断面を示す断面図である(ADFが閉鎖状態)。
【図10】実施例の複合機に係り、ガイド部の斜視図である。
【図11】実施例の複合機に係り、図4のC−C断面を示す断面図である(ADFが開放状態)。
【図12】実施例の複合機に係り、開口部、ガイド部及びカバー部を示す要部拡大斜視図である。
【図13】実施例の複合機に係り、図4のC−C断面を示す断面図である(ADFが開放かつ上昇した状態)。
【図14】実施例の複合機に係り、ガイド部を開口部に嵌め込む作業を説明する断面図である。
【図15】実施例の複合機に係り、フレキシブルフラットケーブル、本体部側フレキシブルフラットケーブル及び配線ケーブルの配線レイアウトを説明する斜視図である。
【図16】実施例の複合機に係り、接触防止機構を説明する斜視図である。
【図17】実施例の複合機に係り、接触防止機構を説明する模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
以下、本発明を具体化した実施例を図面を参照しつつ説明する。
【0031】
(実施例)
図1に示すように、本実施例の複合機10は、原稿の画像を読み取って電子データ化する画像読取処理、その読み取った電子データに基づいて、被記録媒体(例えば、用紙やOHPシート)に画像を形成する画像形成処理、及び外部と電子データの送受信を行う通信処理等の複数の処理を実行可能なものである。画像読取処理に着目すれば、複合機10は画像読取装置であるとも言える。図1では、複合機10の操作パネル3側を装置の前側と規定し、操作パネル3の反対側を装置の後側(背面側)と規定する。また、装置を前側から見た場合に左手に来る側(操作パネル3に向かって左側)を左側と規定し、その反対側を右側と規定して、前後、左右及び上下の各方向を表示する。そして、図2以降に示す各方向は、全て図1に示す各方向に対応させて表示する。以下、図1等に基づいて、複合機10が備える各構成要素について説明する。
【0032】
1.複合機の概略構成
図1〜図5に示すように、複合機10は、本体部20と、自動原稿搬送装置(ADF:Auto Document Feeder。以下、単に「ADF」と呼ぶ。)11とにより構成されている。ADF11は、本発明の「開閉部」の一例である。
【0033】
図1〜図4に示すように、ADF11は、本体部20の上面を覆うように配設されている。図2〜図5に示すように、本体部20の背面側の上端縁と、ADF11の背面側の下端縁との間には、1対のヒンジ部49R、49Lが左右方向に間隔を有して配設されている。ADF11は、ヒンジ部49R、49Lにより、本体部20に対して左右方向を向く回動軸R1周りで回動する。そして、ADF11の前部を上方に持ち上げる操作、又はその逆の操作を行うことにより、本体部20に対して、ADF11を図1に示す「閉鎖状態」と、図5に示す「開放状態」とに変位させることが可能となっている。ADF11が「開放状態」となっている場合、本体部20の上面が開放される。
【0034】
本実施例では、ヒンジ部49Rは、回動軸R1周りの回動を許容するだけの通常のヒンジ機構であるのに対して、ヒンジ部49Lは、周知のフリーストップ機構(図示省略)を有している。このフリーストップ機構により、閉鎖状態と開放状態との間の任意の角度で、ADF11を停止させることが可能となっている。なお、ADF11は、後述するように搬送手段42が左側に偏在していることにより、図3に示すように、重心Gが左側に偏っている。このため、フリーストップ機構を有するヒンジ部49Lは、本体部20及びADF11の背面側から見た場合、ADF11の重心Gを通る前後方向に延びる重心線に対して鉛直方向の下方に配設されている。こうすることにより、そのヒンジ部49LがADF11の重量をバランス良く支持して、ADF11の良好な開閉作業を実現できるとともに、ADF11を任意の角度で停止させても、ADF11をその角度に確実に停止させることができる。その結果、本体部20に対して、ADF11を開閉する際のユーザの操作性が向上する。また、ヒンジ部49Lと、本体部20の左側の側面20B(後述する制御基板201が沿うように配設される側面20B)とが離れた位置関係となるので、その空いたスペースに、後述するフレキシブルフラットケーブル7A及び本体部側フレキシブルフラットケーブル7Bのレイアウトスペースを確実に確保できる。
【0035】
図6(図4のA−A断面)に示すように、ヒンジ部49Lの下部は、下方に向けて柱状に突出しており、本体部20の背面側(後ろ側)上面から下方に向けて凹設されたガイド穴20Aに、ヒンジ部49Lの柱状の部分が昇降可能に内挿されることにより、本体部20に対する昇降が許容されている。図示は省略するが、ヒンジ部49Rの下部も、ヒンジ部49Lの下部と同様に下方に柱状に突出しており、本体部20に凹設されたもう1つのガイド穴20Aに、ヒンジ部49Rの柱状の部分が昇降可能に内挿されることにより、本体部20に対する昇降が許容されている。このようなヒンジ部49R、49Lによって本体部20に連結されるADF11は、本体部20に対して昇降可能となっている。
【0036】
2.本体部
図1に示すように、本体部20の前面側には操作パネル3が設けられている。操作パネル3は、ユーザからの入力を受け付けたり、複合機10の処理状況等を表示する。また、図2及び図3に示すように、本体部20の内部には、被記録媒体(例えば、用紙やOHPシート)に画像を形成する画像形成部29が収容されている。画像形成部29としては、電子写真式、インクジェット式、その他の周知の構成のものを搭載可能であるので、詳細な説明は省略する。画像形成部29により画像が形成された被記録媒体は、本体部20の前面側において操作パネル3の下方に開口しつつ、後方に向けて略水平に延在する本体部側排出トレイ29A(図1参照)に排出される。なお、説明は簡略するが、図6に示すように、本体部20の背面側には、本体部側排出トレイ29Aと同程度の高さに、本体部側ヒンジ部29Bが設けられている。そして、本体部20において本体部側排出トレイ29Aより上側の部分は、本体部側排出トレイ29Aから下側の部分に対して、本体部側ヒンジ部29Bを介して回動可能に連結されている。
【0037】
図7のブロック図に示すように、本体部20の内部には、ADF11内の構成要素、操作パネル3及び画像形成部29等の各種制御を行う処理部としての制御基板201、各構成要素に給電する電源部202、及びLAN回線や公衆電話回線を介して外部と通信する通信部203等が設けられている。
【0038】
図2及び図3に示すように、制御基板201は、本体部20の内部であって、本体部20の左側の側面20Bに対して略平行となるように配設されている。装置の小型化のため、制御基板201と、本体部20の左側の側面20Bとの間隔が狭くされている。本体部20の左側の側面20Bは、後述する読取部24に近い側の側面である。なお、電源部202から電磁ノイズが発生する場合があるため、電源部202は、電磁ノイズをある程度遮蔽する対策が施された上で、制御基板201及び通信部203等から離れた箇所に配設される。
【0039】
図5及び図8に示すように、本体部20の上面側には、コンタクトガラス22が設けられている。コンタクトガラス22は、左側の固定読取用ガラス79と、右側の移動読取用ガラス80とに二分割されており、双方の間に後述する原稿離反部材81が設けられている。移動読取用ガラス80の外面(上を向く面)は、各種の原稿(例えば、用紙、書籍。)が載置される載置面22Aとされている。
【0040】
2.1.本体部側読取部
図7及び図8に示すように、本体部20の内部において、コンタクトガラス22の下方には、本体部側読取部25が設けられている。本体部側読取部25としては、密着型イメージセンサ(CIS:Contact Image Sensor)やCCD(Charge Coupled Device)等の周知の画像読取センサを採用できるが、本実施例では密着型イメージセンサを採用している。図8に示すように、本体部20の筐体の内側側面には、左右方向に延在するスライド軸78が固定されている。本体部側読取部25は、スライド軸78にスライド自在に支持されており、待機状態では、移動読取用ガラス80の左端縁の下方に位置している。そして、本体部側読取部25は、制御基板201からの制御信号によりプーリー・ベルト機構(図示省略)が駆動されることにより、スライド軸78に沿って左右方向(本体部側読取部25の副走査方向)にスライドする。
【0041】
なお、図3に示すように、本体部側読取部25は、待機状態では、制御基板201の上方に接近しているとともに、後述する読取部24とは両者の主走査方向(前後方向。図3の紙面手前から紙面奥側に向かう方向)の位置が上方から見てずれている。具体的には、本体部側読取部25の方が、ヒンジ部49L寄りに位置しており、そこから所定間隔を空けて左側にずれて読取部24が位置している。これにより、後述するように、本体部側フレキシブルフラットケーブル7Bの配線レイアウトを、フレキシブルフラットケーブル7Aの右側で並走して下方に延びる状態に配線し易くなる。その結果、後述する重複区間L1〜L2を短くできる。
【0042】
ユーザが移動読取用ガラス80上に1枚の原稿又は書籍を載置して、それらの表面(移動読取用ガラス80と対向する面)の画像読取を行おうとする場合、すなわち、ADF11の自動原稿搬送機能を使用しない場合、本体部側読取部25は、移動読取用ガラス80の左端縁の下方から右端縁の下方に移動しつつ、上記原稿又は書籍の表面に形成された画像を読み取る。そして、本体部側読取部25の出力信号(画像データを含む)は、図7に示すように、本体部20において、本体部側読取部25と制御基板201とを電気的に接続する本体部側フレキシブルフラットケーブル7B(詳細は後述する。)を介して、制御基板201に伝達される。そして、制御基板201は、本体部側読取部25の出力信号に基づいて、原稿の画像の印刷データを作成し、又は、画像形成部29を制御し、被記録媒体に画像を形成するための各種制御を行う。
【0043】
3.ADF
図8に示すように、ADF11は、原稿としての複数枚のシートが積層された状態で載置される原稿トレイ12と、シートが排出される排出トレイ14とを備えている。原稿トレイ12及び排出トレイ14は、上下方向に二段に配設されている。
【0044】
また、ADF11は、原稿トレイ12に載置される複数枚のシート9を1枚ずつ取り出して搬送経路16に沿って自動的に搬送し、排出トレイ14へ排出する搬送手段42と、搬送経路16の途中でシート9の第1面9Aの画像を読み取る読取部24とを備える(シート9が原稿トレイ12に載置された状態において、下方を向く面を第1面9Aとし、第1面9Aとは反対側の面を第2面9Bとする。)。
【0045】
3.1.搬送手段
搬送手段42において、搬送経路16は、原稿トレイ12から左方向へ延びる第1搬送路26と、第1搬送路26に連続し、円弧状に下方へ向かって湾曲する湾曲搬送路27と、湾曲搬送路27に連続し、排出トレイ14へ向けて右上方向に延びる第2搬送路28とにより構成されている。
【0046】
搬送手段42は、本体フレーム30と、アッパーガイド34と、アンダーガイド36とにより構成されるベース部材と、アッパーガイド34の左側部分を上方から覆う上部カバー32とを備えている。本体フレーム30は、ADF11の底面及び側面を構成する箱状体である。アッパーガイド34は、第1搬送路26の一部を構成し、原稿トレイ12から、後述する供給ユニット50近傍まで延在する板状体である。また、アンダーガイド36は、第2搬送路28の一部を構成し、後述する主ローラ64の下方から、後述する排出ユニット70近傍まで延在する板状体である。
【0047】
上部カバー32の左端部は、本体フレーム30の左端部に揺動可能に支持されている。図示は省略するが、上部カバー32の右端部を上方に持ち上げることにより、第1搬送路26の上方を開放して、読取部24付近の清掃や、シート詰まり等の不具合対応を実施可能となっている。
【0048】
上部カバー32の内側には、複数本の補強リブ191、192が設けられている。各補強リブ191、192は、上部カバー32を閉じた状態において、下方に向かって突出しているとともに、上部カバー32の右側端部から左側端部まで延在している。この上部カバー32の各補強リブ191、192は、原稿トレイ12側から搬送されるシートの上面をガイドしており、第1搬送路26及び湾曲搬送路27の一部を構成している。
が形成される。
【0049】
本体フレーム30の左端部、及び上部カバー32の各補強リブ191、192の左端部の下方には、後述する主ローラ64が配設されている。本体フレーム30の左端側内壁面及び上部カバー32の各補強リブ191、192の左端部と、主ローラ64の外周面とは、第1搬送路26を搬送され、さらに搬送方向下流側に向けて搬送されるシートをガイドしている。つまり、本体フレーム30の左端側内壁面及び上部カバー32の各補強リブ191、192の左端部と、主ローラ64の外周とは、湾曲搬送路27を構成している。
【0050】
本体フレーム30の下側内壁面とアンダーガイド36とは、湾曲搬送路27を搬送され、排紙トレイ14に向けて搬送されるシートをガイドしている。すなわち、本体フレーム30の下側内壁面とアンダーガイド36とは、第2搬送路28を構成している。また、図5及び図8に示すように、ADF11の本体フレーム30の下面31には、開口84が設けられている。開口84は、第2搬送路28のうち湾曲搬送路27との境界部付近に位置している。第2搬送路28を搬送されるシートは、この開口84の上方を通過する際、本体部20側に向けて露出する。
【0051】
湾曲搬送路27から第2搬送路28へと搬送されるシートは、開口84を介して、本体部20に設けられた固定読取用ガラス79上を通過する。この際、固定読取用ガラス79と移動読取用ガラス80との間に設けられた原稿離反部材81は、固定読取用ガラス79に接しつつ搬送されるシートを固定読取用ガラス79からすくい上げて、第2搬送路28に確実に案内する。
【0052】
また、搬送手段42は、図8に示すように、以下に詳述する供給ユニット50と、搬送ユニット60と、排出ユニット70とを備えている。
【0053】
3.1.1.供給ユニット
供給ユニット50は、原稿トレイ12に対して、シートの搬送方向下流側に設けられ、原稿トレイ12に載置された複数枚のシート9を上から順番に1枚つづ取り出して、下流側に搬送するものである。供給ユニット50は、アッパーガイド34の上方に設けられた吸入ローラ52と、分離ローラ54と、分離パッド57を有している。
【0054】
分離ローラ54は、本体フレーム30に前端及び後端が回転可能に支持された第1回転軸56の中央に設けられている。第1回転軸56は、電動モータや多数のギヤからなる駆動源99(図2、図3、図4及び図7に示す。)に駆動されて所定の回転方向(図8において時計まわり)に回転する。それに伴って、分離ローラ54も第1回転軸56と一体回転する。
【0055】
第1回転軸56には、ホルダ58が揺動可能に支持されている。ホルダ58は、分離ローラ54を囲いつつ原稿トレイ12側に延在しており、その延在する部位において、吸入ローラ52を回動可能に支持している。吸入ローラ52は、ホルダ58内部に配設された図示しないギヤ群を介して第1回転軸56と連結されている。これにより、第1回転軸56が回転すると、分離ローラ54のみならず、吸入ローラ52も時計回りに回転する。それに伴って、ホルダ58は、吸入ローラ52を下方のアッパーガイド34に向かって押し下げるように揺動する。
【0056】
分離ローラ54と対向する位置には、分離パッド57が配設されている。分離パッド57は、分離ローラ54の外周面に対して、下方から圧接されている。分離パッド57は、典型的にはコルク片からなり、分離パッド57の上方を通過するシートの第1面9Aと摺接して、シートに対して大きな摩擦力を発揮する。
【0057】
吸入ローラ52は、原稿トレイ12に載置された複数枚のシートの第2面9Bに当接しつつ回転して、シートに搬送力を付与する。分離ローラ54は、吸入ローラ52により搬送されるシートの第2面9Bに当接しつつ回転することにより、シートに搬送力を付与する。この際、分離ローラ54と分離パッド57との間を複数枚のシートが通過しようとすると、分離パッド57の摩擦力により、分離ローラ54と接している最上方のシートのみが分離されてシートの搬送方向下流側に搬送される。つまり、吸入ローラ52とアッパーガイド34との間、及び分離ローラ54と分離パッド57との間をシートが搬送されることになり、供給ユニット50は、アッパーガイド34や上部カバー32の各補強リブ191、192等と協働して、第1搬送路26を構成している。
【0058】
3.1.2.搬送ユニット
搬送ユニット60は、供給ユニット50により原稿トレイ12から1枚ずつ取り出されるシートを第1搬送路26、湾曲搬送路27及び第2搬送路28に沿って搬送するものである。搬送ユニット60は、分離ローラ54より左側(第1搬送路26の途中において分離ローラ54よりも搬送方向下流側)に設けられた搬送ローラ61と、搬送ローラ61に対向するピンチローラ65とを有している。また、搬送ユニット60は、湾曲搬送路27に設けられた主ローラ64と、主ローラ64に対向するピンチローラ62、63とを有している。
【0059】
搬送ローラ61は、本体フレーム30に自己の前端及び後端が回転可能に支持された第2回転軸66の中央に設けられている。第2回転軸66は、第1回転軸56と同様に、駆動源99に駆動されて所定の回転方向(図8において時計まわり)に回転する。それに伴って、搬送ローラ61も第2回転軸66と一体回転する。
【0060】
そして、分離ローラ54により搬送されるシートは、搬送ローラ61及びピンチローラ65によりニップされる。そして、搬送ローラ61は、搬送されるシートの第2面9Bに当接しつつ回転することにより、シートに搬送力を付与する。つまり、搬送ローラ61及びピンチローラ65も第1搬送路26を構成している。
【0061】
主ローラ64は、本体フレーム30に自己の前端及び後端が回転可能に支持された第3回転軸67に設けられている。第3回転軸67は、第1、2回転軸56、66と同様に、駆動源99に駆動されて所定の回転方向(図8において反時計まわり)に回転する。それに伴って、主ローラ64も第3回転軸67と一体回転する。
【0062】
搬送ローラ61により搬送されるシートは、後述する読取部24の上方を通過した後、主ローラ64及びピンチローラ62によりニップされ、さらに、シートの搬送方向下流側で、主ローラ64及びピンチローラ63によりニップされる。そして、主ローラ64は、シートの第1面9Aに当接しつつ回転することにより、シートに搬送力を付与して、第2搬送路28の下流側に送り出す。つまり、主ローラ64、ピンチローラ62及びピンチローラ63は、本体フレーム30の左端側内壁面及び上部カバー32の各補強リブ191、192の左端部と協働して、湾曲搬送路27を構成している。
【0063】
3.1.3.排出ユニット
排出ユニット70は、搬送ユニット60により第2搬送路28を搬送されるシートを排出トレイ14に排出するものである。排出ユニット70は、アンダーガイド36の右側端部(第2搬送路28の最下流側)に設けられた排出ローラ72及びピンチローラ74を備えている。排出ローラ72は、本体フレーム30に自己の前端及び後端が回転可能に支持された第4回転軸71に設けられている。第4回転軸71は、第1、2、3回転軸56、66、67と同様に、駆動源99に駆動されて所定の回転方向(図8において反時計まわり)に回転する。それに伴って、排出ローラ72も第4回転軸71と一体回転する。そして、第2搬送路28に沿って送られたシートは、排出ローラ72及びピンチローラ74によりニップされ、排出トレイ14に排出される。つまり、排出ローラ72及びピンチローラ74は、本体フレーム30の下側内壁面とアンダーガイド36と協働して、第2搬送路28を構成している。
【0064】
3.2.読取部
読取部24は、上述の本体部側読取部25と同様に、密着側イメージセンサが採用される。読取部24は、搬送ローラ61よりもシート搬送方向下流側であって、第1搬送路26の下方において、その読取面が第1搬送路26に面するように配置される。すなわち、読取部24は、第1搬送路26の途中において、搬送ローラ61よりも下流側、かつ、主ローラ64よりも上流側に配設されており、第1搬送路26を搬送されるシートの第1面9Aが読取部24の上面側を通過するようになっている。上記のように配設された読取部24は、その主走査方向が、本体部20の左側の側面20Bと平行で、かつ左右方向に近接配置されている。
【0065】
読取部24の上方には、白部材76が設けられている。白部材76は、コイルバネにより、読取部24側へ弾性的に付勢されている。搬送ローラ61から搬送されるシートは、白部材76により、読取部24側に押し付けられながら、読取部24の上面側を通過する。これにより、読取部24は、シートの第1面9Aに形成された画像を読み取る。つまり、白部材76と読取部24の上面(イメージセンサの上方を覆うガラス部材)も第1搬送路26を構成している。そして、読取部24の出力信号(画像データを含む)は、図7に示すように、ADF11と本体部20との間に設けられたフレキシブルフラットケーブル7A(詳細は後述する。)を介して、制御基板201に伝達される。そして、制御基板201は、読取部24の出力信号に基づいて、シートの第1面9Aの画像の印刷データを作成し、又は、画像形成部29を制御し、被記録媒体に画像を形成するための各種制御を行う。
【0066】
3.3.ADF動作時における本体部側読取部
本体部側読取部25は、ADF11が動作する際に所定の画像読取位置18(図8参照)に移動して停止する。この状態では、本体部側読取部25の上面側は、開口84を介して第2搬送路28に臨む。搬送ユニット60により搬送されるシートは、開口84を介して固定読取用ガラス79上面の画像読取位置18に到達し、この際、シートの第2面9Bが本体部側読取部25の上面側を通過するようになっている。その後、そのシートは原稿離反部材81により固定読取用ガラス79からすくい上げられる。
【0067】
固定読取用ガラス79を挟んで、画像読取位置18で待機する本体部側読取部25と反対側には、白部材82が設けられている。白部材82は、コイルバネにより、画像読取位置18で待機する本体部側読取部25側へ弾性的に付勢されている。第2搬送路28に沿って搬送されるシートは、白部材82により、本体部側読取部25側に押し付けられながら、本体部側読取部25の上面側を通過する。これにより、本体部側読取部25は、シートの第2面9Bに形成された画像を読み取る。そして、本体部側読取部25の出力信号は、本体部側フレキシブルフラットケーブル7Bを介して、制御基板201に伝達される。そして、制御基板201は、上述した各種制御を行う。なお、固定読取用ガラス79、及び白部材も、その間をシートが通過する第2搬送路28を構成している。
【0068】
3.4.ADFの自動原稿読み取り動作
図8に示すように、ユーザが1枚又は複数枚のシート9を原稿トレイ12上に載置し、シートの先端部を供給ユニット50に挿入する。そして、ユーザが操作パネル3を操作して、ADF11による自動原稿読み取り処理の開始を入力すると、制御基板201は、ADF11内の搬送手段42、及び読取部24を制御して自動原稿読み取り処理を開始する。そうすると、原稿トレイ12上のシートは、1枚ずつ取り出されて、搬送経路16に沿って搬送される。その途中の第1搬送路26で、第1面9Aに形成された画像が読取部24により読み取られる。このシートは、さらに搬送経路16に沿って送られ、湾曲搬送路27を通過する際に表裏反転される。そして、シートの第2面9Bに形成された画像が本体部側読取部25によって読み取られる。その後、このシートは、第2搬送路28で第2面9Bを下にして排出トレイ14上に排出される。この一連の動作は、原稿トレイ12上のシートがなくなるまで、自動的に繰り返される。
【0069】
4.フレキシブルフラットケーブル及び本体部側フレキシブルフラットケーブル
図2、図3及び図7に示すように、複合機10は、ADF11側の読取部24と、本体部20側の制御基板201とを電気的に接続し、読取部24の出力信号を制御基板201に伝達するフレキシブルフラットケーブル7Aと、本体部20において、本体部側読取部25と制御基板201とを電気的に接続し、本体部側読取部25の出力信号を制御基板201に伝達する本体部側フレキシブルフラットケーブル7Bとを備えている。
【0070】
フレキシブルフラットケーブル7A及び本体部側フレキシブルフラットケーブル7Bは、多数の細い被覆電線が帯状に一体化されたものである。一般的に、フレキシブルフラットケーブルは、過度の捩れ、屈曲の繰り返し又は引っ張り等により断線等の不具合が生じ易く、また、静電気放電や電磁波ノイズ(例えば、電源部202や駆動源99から漏れる電磁波ノイズ。)の影響を受け易い。このため、本実施例では、フレキシブルフラットケーブル7A及び本体部側フレキシブルフラットケーブル7Bについて、以下に詳述する配線レイアウトを採用している。
【0071】
4.1.フレキシブルフラットケーブルの配線レイアウト
図2及び図9(図4のC−C断面)に示すように、フレキシブルフラットケーブル7Aの上端は、主走査方向が前後方向である読取部24の背面側(後方)の端部に配線されている。そして、フレキシブルフラットケーブル7Aは、図9に示すように、
読取部24の端部からADF11の底面に向けて延設され、ADF11の本体フレーム30の底部に沿って、ADF11の背面側(後方)に延びている。さらに、フレキシブルフラットケーブル7Aは、本体フレーム30の背面側の底部に貫設されたケーブル挿通孔31Bを介して下方に延び、本体部20の背面側上面に開口する開口部20Cに向けて垂れ下がっている。ケーブル挿通孔31Bは、ADF11の左右方向に細長く、フレキシブルフラットケーブル7Aの幅方向の長さよりもやや長めに形成され、また、前後方向は、フレキシブルフラットケーブル7Aの厚み方向の長さよりもやや長めに形成されている。そのため、フレキシブルフラットケーブル7Aは、ケーブル挿通孔31Bを上下方向にはスムーズに移動することができ、捩れは防止されるように形成されている。そして、ADF11の背面側の下端縁において、ケーブル挿通孔31Bの前側には、略平板形状をなして下方に突出するカバー部31Aが一体的に設けられている。
【0072】
本体部20の開口部20Cは、図12に示すように、ヒンジ部49Lよりも左側に設けられた矩形状の開口であり、固定読取用ガラス79の中心よりもやや右側にずれた位置に形成されている。そして、図9に示すように、下方に奥行きを有しており、その内部空間にガイド部300が嵌め込まれる。内部空間は、本体部20を構成するフレーム等により区画された空間であり、ガイド部300が嵌め込まれた状態で、さらに後側及び下方にスペースを有し、その部分がケーブル収容部20Dとされている。
【0073】
図9及び図10に示すように、ガイド部300は、開口部20Cに嵌め込まれた状態で、本体部20の上面と面一となる蓋部309(図12参照)と、蓋部309の右側端縁から下方に延びる側壁部308と、側壁部308の前端側に設けられ、左方向に突出するリブ301とを有する。リブ301は、蓋部309に対して略垂直な平板形状をなしており、その上端縁301Aは、蓋部309と上下方向に間隔を有して、下方に折り曲げられている。
【0074】
また、ガイド部300は、側壁部308の後端側に設けられ、左方向に突出する間隔保持部302を有する。間隔保持部302は、リブ301に対して前後方向に間隔を有して対面しており、その上端縁は蓋部309の後端縁と連結されている。間隔保持部302は、蓋部309に対して略垂直な平板形状をなして下方に延びる略平板形状部分302Aと、略平板形状部分302Aに連続し、略円筒形状(C字形状)をなす略円筒形状部分302Bとを有する。略円筒形状部分302Bは周方向に閉じておらず、その終端縁302Cは、リブ301の上端縁301Aと上下方向に間隔を有して対面している。また、略円筒形状部分302Bは、略平板形状部分302Aに対して後方に偏っている。すなわち、略円筒形状部分302Bの後ろ側表面は、略平板形状部分302Aの後ろ側表面よりも後方に突出しており、これにより、略円筒形状部分302Bの上側、かつ略平板形状部分302Aの背面側には、後述する逃げ部303が確保される。なお、ガイド部300において、リブ301及び間隔保持部302を挟んで側壁部308と反対側の側面は開放されている。
【0075】
図9に示すように、ケーブル挿通孔31Bを介して開口部20Cに向けて垂れ下がったフレキシブルフラットケーブル7Aは、逃げ部303を通過し、間隔保持部302の背面に沿いつつ、ケーブル収容部20Dの底部近くまで略直線形状に下方に延びた後に湾曲して、上方に向きを変える。なお、逃げ部303において、フレキシブルフラットケーブル7Aと間隔保持部302の背面との間には、上記したカバー部31Aが位置している。
【0076】
そして、上方に向きを変えたフレキシブルフラットケーブル7Aは、間隔保持部302の前面に沿いつつ、略直線形状に上方に延びた後、間隔保持部302の終端縁302Cと、リブ301の上端縁301Aとの間を通過する。その後、フレキシブルフラットケーブル7Aは、上端縁301Aの形状に沿って下方に向きを変える。また、フレキシブルフラットケーブル7Aは、リブ301の前面に両面テープ301Bで固定されており、リブ301の前面に沿いつつ、略直線形状にさらに下方に延びる。なお、図15等を示して後述するように、フレキシブルフラットケーブル7Aは、その後、第1保持部材111に保持されて、制御基板201に接近する方向(左右方向)に向きを変える。
【0077】
図9に示すように、上記構成であるリブ301は、フレキシブルフラットケーブル7Aの所定箇所を位置固定するとともに、その位置固定された箇所と、ADF11、より具体的には、ケーブル挿通孔31Bとの間において、フレキシブルフラットケーブル7Aを、左右方向(回動軸R1方向)から見て略U字状に撓ませた状態で保持して、略U字状の撓み部分700を確保することができる。また、上記構成である間隔保持部302は、フレキシブルフラットケーブル7Aの略U字状の撓み部分700において、その湾曲形状部分701より上方で対向する1対の略直線部分702A、702Bを所定の間隔に保持する。この所定の間隔は、湾曲形状部分701の曲率を、フレキシブルフラットケーブル7Aが繰り返し折り曲げられても断線等の不具合が生じ難い所定の曲率以上に維持できるように設定される。さらに、ADF11に近い側の略直線部分702Aにおいて昇降により外部に露出する表面は帯電部材709(例えば、周知の帯電防止テープ)により被覆されている。
【0078】
そして、図11に示すように、ADF11が回動軸R1周りに回動して、本体部20に対して開放状態となる際、ガイド部300は、間隔保持部302によりフレキシブルフラットケーブル7Aの湾曲形状部分701の形状を維持したまま、1対の略直線部分702A、702Bのうち、ADF11に近い側の略直線部分702Aを上昇させる。この際、略直線部分702Aの上昇により、湾曲形状部分701が上方に引っ張られることになるが、間隔保持部302により、フレキシブルフラットケーブル7Aの対向している部分の間隔は一定に保たれるため、湾曲形状部分701を所定の曲率以上に維持することができる。また、ADF11が回動軸R1周りに回動することで、ADF11の背面側の下端縁、フレキシブルフラットケーブル7A及びカバー部31Aが前方に変位することになるが、ガイド部300には、逃げ部303が形成されているため、ADF11の背面側の下端縁、フレキシブルフラットケーブル7A及びカバー部31Aはこの逃げ部303に入り込むことができる。すなわち、逃げ部303を形成しておくことにより、装置の前後方向のサイズを大きくすることなく、ADF11を開閉する際に、ADF11の背面側の下端縁、フレキシブルフラットケーブル7A及びカバー部31Aが入り込むスペースが確保でき、また、ADF11の下端縁とガイド部300とにフレキシブルフラットケーブル7Aが挟まれることを確実に防止できる。
【0079】
さらに、図12に示すように、ADF11が開放状態となる際、カバー部31Aは、フレキシブルフラットケーブル7AをADF11の開放側(前方)から覆う。これにより、フレキシブルフラットケーブル7Aが本体部20の前面側から見て露出した状態となることを抑制できるので、フレキシブルフラットケーブル7Aを確実に保護できる。
【0080】
そして、図13に示すように、ADF11が本体部20に対して上昇する場合、フレキシブルフラットケーブル7AのADF11に近い側の略直線部分702Aとともに湾曲形状部分701が上昇する。この際、略直線部分702Aの上昇により、湾曲形状部分701が上方に引っ張られることになるが、湾曲形状部分701が間隔保持部302の略円筒形状部分302Bに沿うので、湾曲形状部分701を所定の曲率以上に確実に維持できる。また、ADF11に近い側の略直線部分702Aが上昇して、その表面が外部に露出する場合でも、その表面を被覆する帯電部材709により、フレキシブルフラットケーブル7Aの移動を阻害することなく、フレキシブルフラットケーブル7Aを静電気放電や接触から保護できる。
【0081】
こうして、ガイド部300は、フレキシブルフラットケーブル7AがADF11の回動又は昇降に追従するように、フレキシブルフラットケーブル7Aをスムーズに案内することができる。この際、間隔保持部302は、湾曲形状部分701の曲率が小さくなり過ぎることを防止できるので、フレキシブルフラットケーブル7Aが過度の屈曲により破損することを抑制できる。また、フレキシブルフラットケーブル7Aは、所定箇所がリブ301の前面に両面テープ301Bで位置固定されているため、フレキシブルフラットケーブル7Aがガイド部300に対して位置ずれを生じることがなく、本体部20に対してADF11が回動又は昇降する際、間隔保持部302により、フレキシブルフラットケーブル7Aを良好にガイドすることができる。
【0082】
なお、ガイド部300は、本体部20と別部品であり、図14に二点鎖線で図示するように、予めリブ301にフレキシブルフラットケーブル7Aが両面テープ301Bにより固定された状態で、ADF11と一体化される。この際、ガイド部300は、回動軸R1方向から見た場合、リブ301及び間隔保持部302を挟んで側壁部308と反対側の側面が開放されているので、その開放された側面からガイド部300内にフレキシブルフラットケーブル7Aを容易に挿入できる。このため、フレキシブルフラットケーブル7Aを間隔保持部302及びリブ301に沿って配線し、リブ301の前面に両面テープ301Bで固定する作業を容易に行える。そして、ADF11を本体部20に取り付ける際、ヒンジ部49R、49Lの下方の柱状部分(図6参照)を各ガイド穴20Aに挿入しながら、フレキシブルフラットケーブル7Aの下端側を開口部20Cを介してケーブル収容部20Dに通し、次に、ガイド部300をADF11の開放側(前側)から開口部20Cに向けて挿入し、嵌め込む。こうして、ガイド部300を開口部20Cに容易に組み付けることができ、組み付け作業の簡素化を実現できる。また、フレキシブルフラットケーブル7Aを交換する必要がある場合、ガイド部300を開口部20Cから取り外すことで、容易にフレキシブルフラットケーブル7Aの交換を行なうことができる。
【0083】
次に、フレキシブルフラットケーブル7Aにおいて、リブ301に位置固定された箇所より下方の配線レイアウトを説明する。
【0084】
図15に示すように、フレキシブルフラットケーブル7Aは、リブ301の前面に沿いつつ、略直線形状に下方に延びた後、後方に向きを変えて短く延び、さらに下方に向きを変えて短く延び、本体部20の内部に設けられたフレーム部材20E(図16参照)の上側に到達する。図16に示すように、フレーム部材20Eは、略皿形状をなして水平に延在し、その左端縁は、制御基板201の上端縁の上方に位置している。フレーム部材20Eの略皿形状部分の中央には第1保持部材111が形成され、第1保持部材111の右側には第2保持部材112が形成されている。また、第1保持部材111の左側には、第1のフェライトコア121が配設され、第1のフェライトコア121の上側には、第2のフェライトコア122が積層された状態で配設されている。
【0085】
第1、2保持部材111、112、及び第1、2のフェライトコア121、122により、接触防止機構が構成されている。
【0086】
図15では、フレキシブルフラットケーブル7Aの配線レイアウトを解り易くするために、フレーム部材20Eの図示を省略しているが、図15において、フレキシブルフラットケーブル7Aの前方に向きをかえる部分711の直下に、図16に示すフレーム部材20Eに設けられた第1保持部材111が位置している。
【0087】
図16に示すように、第1保持部材111は、フレーム部材20Eの上面に対して下方に凹む第1段部111Aと、第1段部111Aに対して間隔を有して上方に位置する第1平板部111Bと、第1平板部111Bに対して間隔を有して上方に位置する第1押さえ部111Cとからなる。図17に示すように、フレキシブルフラットケーブル7Aは、前方に向きをかえる部分711から、第1段部111A上を前方に延びた後、第1平板部111Bの下側で45°の角度で捻られつつ折り曲げられて、右方に向きを変える。そして、第1平板部111Bの右側面及び上面に沿って、略U字状に折り曲げられて、左方に向きを変える。この際、第1押さえ部111Cと、第1平板部111Bとによりフレキシブルフラットケーブル7Aが上下方向に挟まれた状態となる。これにより、第1保持部材111は、フレキシブルフラットケーブル7Aを制御基板201に向かうように配線しつつ、その位置で固定することができる。
【0088】
そして、図15に示すように、フレキシブルフラットケーブル7Aは、第1のフェライトコア121に挿通される。第1のフェライトコア121は、フレキシブルフラットケーブル7Aにより伝達される電気信号に含まれるノイズを減衰させるためのものである。その後、フレキシブルフラットケーブル7Aは、制御基板201の上方まで延びた後、下方に向きを変える。制御基板201の左側を向く面の上方には、フレキシブルフラットケーブル用の扁平な第1のコネクタ131が配設されている。フレキシブルフラットケーブル7Aは、この第1のコネクタ131に対して上方から差し込まれることにより電気的に接続される。
【0089】
4.2.本体部側フレキシブルフラットケーブルの配線レイアウト
図2に示すように、本体部側フレキシブルフラットケーブル7Bの上端は、主走査方向が前後方向である本体部側読取部25の背面側の端部に配線されている。そして、本体部側フレキシブルフラットケーブル7Bは、図15に示すように、本体部20の背面側(後方)に延びた後、略直線形状に下方に延びている。この際、本体部側フレキシブルフラットケーブル7Bは、フレキシブルフラットケーブル7Aの右側で並走する状態となっている(図3参照)。そして、本体部側フレキシブルフラットケーブル7Bは、後方に向きを変えて短く延び、さらに下方に向きを変えて短く延び、フレーム部材20E(図16参照)の上側に到達する。図15では、本体部側フレキシブルフラットケーブル7Bの配線レイアウトを解り易くするために、フレーム部材20Eの図示を省略しているが、図15において、本体部側フレキシブルフラットケーブル7Bの前方に向きをかえる部分721の直下に、図16に示すフレーム部材20Eに設けられた第2保持部材112が位置している。
【0090】
図16に示すように、第2保持部材112は、フレーム部材20Eの上面に対して下方に凹む第2段部112Aと、第2段部112Aに対して間隔を有して上方に位置する第2平板部112Bと、第2平板部112Bに対して間隔を有して上方に位置する第2押さえ部112Cとからなる。第2保持部材112は、第1保持部材111に対して、高い位置に設けられ、かつ制御基板201に向かう方向(左右方向)に並列して配置されている。図17に示すように、本体部側フレキシブルフラットケーブル7Bは、前方に向きをかえる部分721から、第2段部112A上を前方に延びた後、第2平板部112Bの下側で45°の角度で捻られつつ折り曲げられて、右方に向きを変える。そして、第2平板部112Bの右側面及び上面に沿って、略U字状に折り曲げられて、左方に向きを変える。この際、第2押さえ部112Cと、第2平板部112Bとにより本体部側フレキシブルフラットケーブル7Bが上下方向に挟まれた状態となる。これにより、第2保持部材112は、本体部側フレキシブルフラットケーブル7Bが制御基板201に向かうように配線しつつ、その位置で固定することができる。
【0091】
そして、本体部側フレキシブルフラットケーブル7Bが第2保持部材112から左方に延びて、フレキシブルフラットケーブル7Aに対して上下方向(各フレキシブルフラットケーブル7A、7Bの厚さ方向)に重なった状態で左方に向けて並走する。この際、第2保持部材112が第1保持部材111により高い位置に設けられているので、フレキシブルフラットケーブル7Aと本体部側フレキシブルフラットケーブル7Bとの間隔を双方の厚さ方向(上下方向)に確実に確保でき、双方の接触を確実に防止できる。また、第1押さえ部111Cは充分な厚みが確保されており、本体部側フレキシブルフラットケーブル7Bが第1押さえ部111Cの上面に載る状態となる。このような構成によっても、両フレキシブルフラットケーブル7A、7Bの上下方向の間隔を確実に確保できる。
【0092】
そして、図15に示すように、本体部側フレキシブルフラットケーブル7Bは、第2のフェライトコア122に挿通される。第2のフェライトコア122は、本体部側フレキシブルフラットケーブル7Bにより伝達される電気信号に含まれるノイズを減衰させるためのものである。ここで、第1のフェライトコア121の上側に第2のフェライトコア122が積層されていることにより、フレキシブルフラットケーブル7Aと本体部側フレキシブルフラットケーブル7Bとの間隔を双方の厚さ方向(上下方向)に確実に形成することができ、双方の接触をより確実に防止できる。また、ノイズ対策のための両フェライトコア121、122が接触防止機構を兼ねているので、装置を簡素化できる。
【0093】
その後、本体部側フレキシブルフラットケーブル7Bは、制御基板201の上方まで延びた後、下方に向きを変える。制御基板201の左側を向く面の上方には、本体部フレキシブルフラットケーブル7B用の扁平な第2のコネクタ132が第1のコネクタ131に対して下方に間隔を有して配設されている。本体部側フレキシブルフラットケーブル7Bは、略L字状に湾曲しつつ、この第2のコネクタ132に対して横方向から差し込まれることにより電気的に接続される。なお、本体部側フレキシブルフラットケーブル7Bを第2のコネクタ132に差し込む方向としては、横方向だけでなく、例えば、下から上に向けて差し込むようにしてもよい。
【0094】
ここで、図15に示すように、フレキシブルフラットケーブル7Aと本体部側フレキシブルフラットケーブル7Bとの重複区間の始点L1は、フレキシブルフラットケーブル7Aが読取部24から下方に直線的に延びた後、回動軸R1と平行、かつ水平となる向き(左右方向)に曲がる箇所、すなわち、フレキシブルフラットケーブル7Aが第1保持部材111に保持される箇所である。また、重複区間の終点L2は、フレキシブルフラットケーブル7Aが第1のコネクタ131に差し込まれる箇所である。本実施例では、両フレキシブルフラットケーブル7A、7Bを上記配線レイアウトとすることで、重複区間L1〜L2を短くしている。また、第1のコネクタ131と第2のコネクタ132とを所定の間隔を有して配設し、フレキシブルフラットケーブル7Aの差込方向と本体部側フレキシブルフラットケーブル7Bの差込方向とを異ならせることにより、重複区間L1〜L2の終点L2においても、両フレキシブルフラットケーブル7A、7Bの間隔を双方の厚み方向(左右方向)に確実に形成した状態で各コネクタ131、132に接続できる。また、両フレキシブルフラットケーブル7A、7Bを各コネクタ131、132に差し込む際、両フレキシブルフラットケーブル7A、7Bの一方が他方の邪魔になり難いので、差し込み作業を容易に行える。
【0095】
5.配線ケーブル
図2、図3、図7及び図15に示すように、ADF11と本体部20との間には、ADF11側の搬送手段42と、本体部20側の制御基板201とを電気的に接続する配線ケーブル7Cが設けられている。配線ケーブル7Cは、ADF11の自動原稿読み取り動作時に、制御基板201からの制御信号を搬送手段42の駆動源99に伝達したり、搬送手段42が有する原稿検知センサ等の検知信号を制御基板201に伝達したりするものである。
【0096】
図3に示すように、配線ケーブル7Cの上端は、駆動源99の左側であって、読取部24及び本体部側読取部25から離れた箇所に接続されている。そして、図15に示すように、配線ケーブル7Cは、フレキシブルフラットケーブル7A及び本体部側フレキシブルフラットケーブル7Bから離れるように、本体部20の側面20Bの内壁に沿って下方に延び、制御基板201に向かって配線される。そして、制御基板201において第1、2のコネクタ131、132から離れた箇所に電気的に接続される。すなわち、図3に示すように、本体部20及びADF11の背面側から見た場合、配線ケーブル7Cは、本体部20の読取部24に近い方の側面20B側にフレキシブルフラットケーブル7A及び本体部側フレキシブルフラットケーブル7Bとの間隔を空けて配線されている。このため、搬送手段42用の配線ケーブル7Cにノイズが生じたとしても、その影響がフレキシブルフラットケーブル7A及び本体部側フレキシブルフラットケーブル7Bに及び難い。また、搬送手段42用の配線ケーブル7Cの配線経路を短くできる。
【0097】
<作用効果>
実施例の複合機10では、制御基板201を上記のように配設して、機幅を狭くしている。それとともに、図3に示すように、本体部20及びADF11の背面側から見た場合、フレキシブルフラットケーブル7Aの読取部24に接続された一端から、前方に向きをかえる部分711までの配線レイアウトは、ヒンジ部49Lよりも制御基板201に沿う平面P(図3参照)側に接近し、かつADF11と本体部20との間を上下方向に直線的に延在している。これにより、ADF11側の読取部24から本体部20側の制御基板201に至る配線経路の途中で、フレキシブルフラットケーブル7Aの捩れや屈曲を減らすことができる。
【0098】
また、読取部24と制御基板201とが接近し、双方の間にフレキシブルフラットケーブル7Aが直線的に配線されるので、フレキシブルフラットケーブル7Aの配線経路を短くできる。
【0099】
したがって、実施例の複合機10は、フレキシブルフラットケーブル7Aに断線やノイズの発生等の不具合が発生し難く、その結果、画像読取処理や画像形成処理において画像の乱れを抑制できる。
【0100】
また、この複合機10では、読取部24及びそれに接続されるフレキシブルフラットケーブル7A、本体側読取部25及びそれに接続されるレキシブルフラットケーブル7Bを制御基板201寄りに配置したことにより、双方の配線経路を短くすることができる。このため、配線経路の途中において、フレキシブルフラットケーブルを保持したり位置決めしたりするためのケーブル保持部材を第1、2保持部材111、112だけで対応することができ、その結果、装置の簡素化を実現できる。
【0101】
さらに、この複合機10では、読取部24が回動軸R1方向に対して直交する方向である前後方向に延在する密着型イメージセンサであり、図9等に示すように、フレキシブルフラットケーブル7Aの一端は、読取部24における背面側の端部24Aに配線されている。このため、フレキシブルフラットケーブル7Aの配線経路をより短くすることができ、フレキシブルフラットケーブル7Aによって伝達される読取部24の出力信号にノイズが発生することを確実に抑制できる。
【0102】
また、2つの読取部24、25を備え、原稿の両面読取が可能であるこの複合機10では、仮に何も対策を施さなければ、フレキシブルフラットケーブル7Aと、本体部側フレキシブルフラットケーブル7Bとが交錯し易く、配線レイアウトが複雑化することが予想される。特に、読取部24が設けられたADF11が本体部20に対して回動又は昇降するこの複合機10では、仮に何も対策を施さなければ、回動軸R1近傍において、フレキシブルフラットケーブル7Aの引き回し経路が複雑化して、ADF11が回動又は昇降する際にフレキシブルフラットケーブル7Aに引っ張りや屈曲により破断等の不具合が生じ易くなる。この点、この複合機10では、フレキシブルフラットケーブル7Aの配線レイアウトを上記構成とすることにより、フレキシブルフラットケーブル7Aと、本体部側フレキシブルフラットケーブル7Bとを交錯し難くすることができ、配線レイアウトを簡素化できる。また、回動軸R1近傍において、ADF11が回動又は昇降する際にも、フレキシブルフラットケーブル7Aに破断等の不具合が生じ難くなっており、本発明の作用効果を確実に享受できる。
【0103】
さらに、この複合機(画像読取装置)10では、接触防止機構としての第1、2保持部材111、112及び第1、2のフェライトコア121、122により、フレキシブルフラットケーブル7Aと、本体部側フレキシブルフラットケーブル7Bとの重複区間L1〜L2において、双方の接触を確実に防止している。このため、フレキシブルフラットケーブル7A、7B同士の接触に起因して各フレキシブルフラットケーブル7A、7Bにより伝達される信号にノイズが発生する不具合を確実に防止でき、その結果、原稿の画像データの乱れを確実に抑制できる。
【0104】
また、この複合機(画像読取装置)10では、ガイド部300のリブ301により、フレキシブルフラットケーブル7Aの途中に略U字状の撓み部分700が保持される。このため、本体部20に対するADF11の回動又は昇降に伴って、フレキシブルフラットケーブル7Aが引っ張られる場合でも、略U字状の撓み部分700がフレキシブルフラットケーブル7Aの引き回し経路の変化を吸収し、フレキシブルフラットケーブル7Aに過度の引っ張り力が作用することを防止できる。また。フレキシブルフラットケーブル7Aに過度の捩れや屈曲が生じ難くなる。これにより、フレキシブルフラットケーブル7AがADF11の回動又は昇降に良好に追従できる。その結果、フレキシブルフラットケーブル7Aの断線や、フレキシブルフラットケーブル7Aにより伝達される信号にノイズが発生する不具合が生じ難くなり、その結果、読取部24により読み取った原稿の画像データに乱れが生じることを抑制できる。
【0105】
以上において、本発明を実施例に即して説明したが、本発明は上記実施例に制限されるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更して適用できることはいうまでもない。
【産業上の利用可能性】
【0106】
本発明は画像読取装置に利用可能である。
【符号の説明】
【0107】
29…画像形成部、20…本体部、49R、49L…ヒンジ部、9…原稿
11…開閉部(ADF:自動原稿搬送装置)、12…原稿トレイ、16…搬送経路
42…搬送手段、24…読取部(密着型イメージセンサ)
10…複合機(画像読取装置)、201…制御基板(処理部)
20B…読取部に近い方の側面(左側の側面)、P…制御基板に沿う平面
7A…フレキシブルフラットケーブル、R1…回動軸、G…開閉部の重心
7C…配線ケーブル、22A…載置面
25…本体部側読取部(密着型イメージセンサ)
9A…原稿の第1面、9B…原稿の第2面
7B…本体部側フレキシブルフラットケーブル
L1〜L2…重複区間、L1…重複区間の始点、L2…重複区間の終点
111、112、121、122…接触防止機構(111…第1保持部材、112…第2保持部材、121…第1のフェライトコア、122…第2のフェライトコア)
131…第1のコネクタ、132…第2のコネクタ
300…ガイド部、301…リブ
700…フレキシブルフラットケーブルの略U字状の撓み部分
701…略U字状の撓み部分における湾曲形状部分
702A、702B…略U字状の撓み部分における1対の略直線部分
302…間隔保持部、303…逃げ部、31A…カバー部、20C…開口部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
本体部と、
前記本体部に対して回動可能、かつ昇降可能に連結される開閉部と、から成り、
前記開閉部は、原稿が載置される原稿トレイと、前記原稿トレイに載置された前記原稿を1枚ずつ搬送経路に沿って搬送する搬送手段と、前記搬送経路に面して配設され、前記搬送経路を通過する前記原稿の画像を読み取る読取部と、を備え、
前記本体部は、少なくとも前記読取部からの出力信号に基づいて前記原稿の画像データに関わる各種処理を行う処理部を備える画像読取装置であって、
複数本の被覆電線が帯状に一体化されてなり、前記開閉部側の前記読取部と前記本体部側の前記処理部とを電気的に接続するフレキシブルフラットケーブルと、
前記本体部側に設けられ、前記フレキシブルフラットケーブルが前記開閉部の前記回動又は前記昇降に追従するように、前記フレキシブルフラットケーブルを案内するガイド部と、を備え、
前記ガイド部は、前記フレキシブルフラットケーブルの所定箇所を位置固定するとともに、その位置固定された箇所と、前記開閉部との間において、前記フレキシブルフラットケーブルを、前記開閉部の回動軸方向から見て略U字状に撓ませた状態で保持するためのリブを有することを特徴とする画像読取装置。
【請求項2】
前記本体部は、前記搬送経路に面して配設され、前記搬送経路を通過する前記原稿の前記読取部によって読み取られる第1面とは反対側の面である第2面の画像を読み取る本体部側読取部を備え、
前記処理部は、前記読取部からの出力信号及び前記本体部側読取部からの出力信号に基づいて前記原稿の前記第1面及び前記第2面の画像データに関わる各種処理を行う請求項1記載の画像読取装置。
【請求項3】
本体部と、
前記本体部に対して回動可能、かつ昇降可能に連結される開閉部と、から成り、
前記開閉部は、原稿が載置される原稿トレイと、前記原稿トレイに載置された前記原稿を1枚ずつ搬送経路に沿って搬送する搬送手段と、を備え、
前記本体部は、前記搬送経路に面して配設され、前記搬送経路を通過する前記原稿の画像を読み取る本体部側読取部と、少なくとも前記搬送手段及び前記本体部側読取部の動作に関わる各種処理を行う処理部と、を備える画像読取装置であって、
複数本の被覆電線が帯状に一体化されてなり、前記開閉部と前記本体部の処理部とを電気的に接続するフレキシブルフラットケーブルと、
前記本体部側に設けられ、前記フレキシブルフラットケーブルが前記開閉部の前記回動又は前記昇降に追従するように、前記フレキシブルフラットケーブルを案内するガイド部と、を備え、
前記ガイド部は、前記フレキシブルフラットケーブルの所定箇所を位置固定するとともに、その位置固定された箇所と、前記開閉部との間において、前記フレキシブルフラットケーブルを、前記開閉部の回動軸方向から見て略U字状に撓ませた状態で保持するためのリブを有することを特徴とする画像読取装置。
【請求項4】
前記ガイド部は、前記フレキシブルフラットケーブルの略U字状の撓み部分において、その湾曲形状部分より上方で対向する1対の略直線部分を所定の間隔に保持して、前記湾曲形状部分を所定の曲率以上に維持する間隔保持部を有する請求項1乃至3のいずれか1項記載の画像読取装置。
【請求項5】
前記ガイド部は、前記フレキシブルフラットケーブルにおける前記1対の略直線部分のうち、前記処理部に近い側の略直線部分の上端を前記リブにより固定するとともに、前記開閉部の前記回動又は前記昇降に追従して前記フレキシブルフラットケーブルが引っ張られる際、前記間隔保持部が前記湾曲形状部分の形状を維持したまま、前記1対の略直線部分のうち、前記開閉部に近い側の略直線部分を昇降させるように構成され、
前記開閉部に近い側の前記略直線部分において前記昇降により外部に露出する表面は帯電部材により被覆されている請求項4記載の画像読取装置。
【請求項6】
前記開閉部は、前記本体部に対して回動軸を介して回動可能に支持され、
前記開閉部が前記本体部の上面を覆う状態において、前記開閉部の前記回動軸側の下端縁及び前記フレキシブルフラットケーブルに対して前記回動軸方向に直交する方向で対向する前記ガイド部の対向面には、前記開閉部が前記本体部の上面を開放する際に、前記開閉部の前記回動軸側の下端縁及び前記フレキシブルフラットケーブルが入り込む逃げ部が形成され、
前記開閉部の前記回動軸側の下端縁には、前記対向面と前記フレキシブルフラットケーブルとの間に位置して、前記開閉部が前記本体部の上面を開放した際に、前記フレキシブルフラットケーブルを前記開閉部の開放側から覆うカバー部が一体的に設けられている請求項1乃至5のいずれか1項記載の画像読取装置。
【請求項7】
前記ガイド部は、予め前記リブに前記フレキシブルフラットケーブルが固定された状態で前記開閉部と一体化されており、前記開閉部を前記本体部に取り付ける際に、前記本体部に設けられた開口部に嵌め込まれるように構成されている請求項1乃至6のいずれか1項記載の画像読取装置。
【請求項8】
前記ガイド部は、前記回動軸方向から見た場合、一方の側面が開放されている請求項7記載の画像読取装置。
【請求項1】
本体部と、
前記本体部に対して回動可能、かつ昇降可能に連結される開閉部と、から成り、
前記開閉部は、原稿が載置される原稿トレイと、前記原稿トレイに載置された前記原稿を1枚ずつ搬送経路に沿って搬送する搬送手段と、前記搬送経路に面して配設され、前記搬送経路を通過する前記原稿の画像を読み取る読取部と、を備え、
前記本体部は、少なくとも前記読取部からの出力信号に基づいて前記原稿の画像データに関わる各種処理を行う処理部を備える画像読取装置であって、
複数本の被覆電線が帯状に一体化されてなり、前記開閉部側の前記読取部と前記本体部側の前記処理部とを電気的に接続するフレキシブルフラットケーブルと、
前記本体部側に設けられ、前記フレキシブルフラットケーブルが前記開閉部の前記回動又は前記昇降に追従するように、前記フレキシブルフラットケーブルを案内するガイド部と、を備え、
前記ガイド部は、前記フレキシブルフラットケーブルの所定箇所を位置固定するとともに、その位置固定された箇所と、前記開閉部との間において、前記フレキシブルフラットケーブルを、前記開閉部の回動軸方向から見て略U字状に撓ませた状態で保持するためのリブを有することを特徴とする画像読取装置。
【請求項2】
前記本体部は、前記搬送経路に面して配設され、前記搬送経路を通過する前記原稿の前記読取部によって読み取られる第1面とは反対側の面である第2面の画像を読み取る本体部側読取部を備え、
前記処理部は、前記読取部からの出力信号及び前記本体部側読取部からの出力信号に基づいて前記原稿の前記第1面及び前記第2面の画像データに関わる各種処理を行う請求項1記載の画像読取装置。
【請求項3】
本体部と、
前記本体部に対して回動可能、かつ昇降可能に連結される開閉部と、から成り、
前記開閉部は、原稿が載置される原稿トレイと、前記原稿トレイに載置された前記原稿を1枚ずつ搬送経路に沿って搬送する搬送手段と、を備え、
前記本体部は、前記搬送経路に面して配設され、前記搬送経路を通過する前記原稿の画像を読み取る本体部側読取部と、少なくとも前記搬送手段及び前記本体部側読取部の動作に関わる各種処理を行う処理部と、を備える画像読取装置であって、
複数本の被覆電線が帯状に一体化されてなり、前記開閉部と前記本体部の処理部とを電気的に接続するフレキシブルフラットケーブルと、
前記本体部側に設けられ、前記フレキシブルフラットケーブルが前記開閉部の前記回動又は前記昇降に追従するように、前記フレキシブルフラットケーブルを案内するガイド部と、を備え、
前記ガイド部は、前記フレキシブルフラットケーブルの所定箇所を位置固定するとともに、その位置固定された箇所と、前記開閉部との間において、前記フレキシブルフラットケーブルを、前記開閉部の回動軸方向から見て略U字状に撓ませた状態で保持するためのリブを有することを特徴とする画像読取装置。
【請求項4】
前記ガイド部は、前記フレキシブルフラットケーブルの略U字状の撓み部分において、その湾曲形状部分より上方で対向する1対の略直線部分を所定の間隔に保持して、前記湾曲形状部分を所定の曲率以上に維持する間隔保持部を有する請求項1乃至3のいずれか1項記載の画像読取装置。
【請求項5】
前記ガイド部は、前記フレキシブルフラットケーブルにおける前記1対の略直線部分のうち、前記処理部に近い側の略直線部分の上端を前記リブにより固定するとともに、前記開閉部の前記回動又は前記昇降に追従して前記フレキシブルフラットケーブルが引っ張られる際、前記間隔保持部が前記湾曲形状部分の形状を維持したまま、前記1対の略直線部分のうち、前記開閉部に近い側の略直線部分を昇降させるように構成され、
前記開閉部に近い側の前記略直線部分において前記昇降により外部に露出する表面は帯電部材により被覆されている請求項4記載の画像読取装置。
【請求項6】
前記開閉部は、前記本体部に対して回動軸を介して回動可能に支持され、
前記開閉部が前記本体部の上面を覆う状態において、前記開閉部の前記回動軸側の下端縁及び前記フレキシブルフラットケーブルに対して前記回動軸方向に直交する方向で対向する前記ガイド部の対向面には、前記開閉部が前記本体部の上面を開放する際に、前記開閉部の前記回動軸側の下端縁及び前記フレキシブルフラットケーブルが入り込む逃げ部が形成され、
前記開閉部の前記回動軸側の下端縁には、前記対向面と前記フレキシブルフラットケーブルとの間に位置して、前記開閉部が前記本体部の上面を開放した際に、前記フレキシブルフラットケーブルを前記開閉部の開放側から覆うカバー部が一体的に設けられている請求項1乃至5のいずれか1項記載の画像読取装置。
【請求項7】
前記ガイド部は、予め前記リブに前記フレキシブルフラットケーブルが固定された状態で前記開閉部と一体化されており、前記開閉部を前記本体部に取り付ける際に、前記本体部に設けられた開口部に嵌め込まれるように構成されている請求項1乃至6のいずれか1項記載の画像読取装置。
【請求項8】
前記ガイド部は、前記回動軸方向から見た場合、一方の側面が開放されている請求項7記載の画像読取装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【公開番号】特開2011−205341(P2011−205341A)
【公開日】平成23年10月13日(2011.10.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−69862(P2010−69862)
【出願日】平成22年3月25日(2010.3.25)
【出願人】(000005267)ブラザー工業株式会社 (13,856)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年10月13日(2011.10.13)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年3月25日(2010.3.25)
【出願人】(000005267)ブラザー工業株式会社 (13,856)
【Fターム(参考)】
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