説明

画像読取装置

【課題】帳票上に蛍光インクで印刷された画像の読み取り性能を長期的に確保する。
【解決手段】画像読取装置1は、蛍光インクよって調整用画像3a及び管理番号の画像3bがそれぞれ異なる領域に印刷された帳票3上に紫外線を照射する紫外線ランプ51と、帳票3上からの紫外線の反射光を受光してこの反射光に対応した画像信号を出力するCCDイメージセンサ52と、CCDイメージセンサ52より出力される調整用画像3aからの反射光に対応した画像信号のレベルに基づいて、紫外線ランプ51による紫外線の照射光量を調光する調光部50と、調光部50にて紫外線の照射光量が調光された状態で、CCDイメージセンサ52より出力される管理番号の画像3b上からの反射光に対応した画像信号を取得するビデオメモリ56と、を備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像を読み取るための画像読取装置に関する。
【背景技術】
【0002】
蛍光インクにより帳票上に印字した文字に紫外線を照射して励起させ、これにより発光する可視光をイメージセンサで検出して文字を読み取る文字読取装置が知られている(例えば特許文献1参照)。
【0003】
また、蛍光インクを塗布した蛍光基準板を用いて、紫外線ランプの発光時にCCDセンサの出力を補正することで、蛍光インクで原稿上に印刷された画像を正確に読み取れるようにした装置が提案されている(例えば特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2002−15312号公報
【特許文献2】特開平6−139339号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上述した特許文献2の装置は、CCDセンサの出力の調整の度に蛍光基準板上に紫外線が照射されることになるため、蛍光基準板上の蛍光インクの特性が経時的に劣化する。したがって、特許文献2の装置は、ある期間ごとに蛍光基準板上の蛍光インクを塗布し直す必要性などがあり、メンテナンス性の点で課題を抱えている。
【0006】
本発明は、上記課題を解決するためになされたものであり、帳票上に蛍光インクで印刷された画像の読み取り性能を長期的に確保できる画像読取装置の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、本発明の一態様に係る画像読取装置は、蛍光インクよって第1及び第2の画像がそれぞれ異なる領域に印刷された帳票上に紫外線を照射する照射部と、帳票上からの紫外線の反射光を受光してこの反射光に対応した画像信号を出力するイメージセンサと、イメージセンサより出力される第1の画像からの反射光に対応した画像信号のレベルに基づいて、照射部による紫外線の照射光量を調光する調光部と、調光部にて紫外線の照射光量が調光された状態で、イメージセンサより出力される第2の画像からの反射光に対応した画像信号を取得する画像信号取得部と、を具備することを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、帳票上に蛍光インクで印刷された画像の読み取り性能を長期的に確保することの可能な画像読取装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明の実施形態に係る画像読取装置の外観図。
【図2】図1の画像読取装置の内部構造を示す図。
【図3】図1の画像読取装置の構成を機能的に示すブロック図。
【図4】図1の画像読取装置が備えた裏面側読取用のCCDイメージセンサを含むイメージセンサユニットの構成を示す図。
【図5】図1の画像読取装置による読み取り対象の帳票の裏面側の構成を示す図。
【図6】図1の画像読取装置のビデオメモリに取り込まれた図5の帳票のイメージを示す図。
【図7】図5の帳票と構成の異なる他の帳票の裏面側の構成を示す図。
【図8】図1の画像読取装置による画像読取方法を示すフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明を実施するための形態を図面に基づき説明する。
図1及び図2に示すように、本実施形態の画像読取装置1は、帳票3を装置内部で搬送しつつこの帳票3の紙面に記された文字や記号などをイメージとして光学的に読み取る帳票搬送型(シートフェッドタイプ)のスキャナ装置である。
【0011】
画像読取装置1は、図1、図2に示すように、昇降自在なホッパテーブル2、ピックアップローラ5、フィードローラ6、セパレートローラ7、搬送機構14、CCDイメージセンサ41、42、印字ヘッド28、帳票放出機構26、スタッカ30〜33を備える。
【0012】
図1及び図2に示すように、ホッパテーブル2には、装置内部に取り込まれる複数の帳票3が、その縦横を予め決められた所定の方向に向けた状態で積載される。ピックアップローラ5は、画像読取装置本体1aに内蔵された昇降機構により給紙位置に移送されたホッパテーブル2上の最上部の帳票3の上面に摺接してこの最上部の帳票3を順次装置内部に取り込む(給紙する)。セパレートローラ7は、図2に示すように、ピックアップローラ5によって装置内部に取込まれる帳票3の下面に接触し、(帳票3が複数枚重なっている場合)フィードローラ6と協働しつつ帳票3を一枚ずつに分離する。
【0013】
搬送機構14は、図2に示すように、ドライブローラ8、ピンチローラ9及び搬送路10により主に構成され画像読取装置1の内部で帳票3を搬送する。搬送路10は、所定の間隔を空けて対向配置されたプレート状の搬送ガイド(図示せず)によって、画像読取装置1内を搬送される帳票3の搬送経路を構成する。それぞれ複数個ずつ設けられたドライブローラ(駆動ローラ)8及びピンチローラ(従動ローラ)9は、搬送路10上において互いに対向するように配置され、帳票3を両面から挟持しつつ下流側へと搬送する。ドライブローラ8には、搬送モータ14a(図3参照)からの駆動力が伝達される。
【0014】
図2、図4に示すように、CCDイメージセンサ(ラインイメージセンサ)52を含むイメージセンサユニット41、42は、ランプ(後述する紫外線ランプ51)や反射ミラー47、レンズ48などの光学系を各々備えており、搬送路10上を搬送される帳票3の表(おもて)面、裏面の画像イメージをそれぞれ読み取る。印字ヘッド28は、CCDイメージセンサ52による読み取り処理を終えた帳票3に対しナンバリング(例えば連続番号などの印字)などを行う。
【0015】
帳票放出機構26は、印字ヘッド28の下流側(後段側)に配置され、合計4セットあるスタッカ30〜33に対応する数だけ設けられている。この帳票放出機構26は、搬送機構14から受け渡された帳票3を、対応するスタッカ30〜33側へ各々放出(排出)する。つまり、帳票放出機構26は、フラッパや分岐用ローラを備える帳票分岐機構部15、センサ24、駆動排出ローラ11、従動排出ローラ12、分岐路27などで構成される。
【0016】
具体的には、複数のスタッカ30〜33へ選択的に帳票3の排出(帳票3の仕分け)を行えるように、帳票分岐機構部15は、搬送路10上に沿って搬送される帳票3を分岐路27側へと導く。センサ24は、個々の分岐路27を通過する帳票3をそれぞれ検出する。つまり、センサ24は、搬送路10側から選択的に送り出した帳票3が、所定の分岐路27を通過したか否かの検出や、スタッカの手前でのジャムの発生の有無を検出する。
【0017】
駆動排出ローラ11は、上述した搬送モータ14aからの駆動力を付与される。駆動排出ローラ11及び従動排出ローラ12は、帳票3の両面を挟持しつつ帳票3をスタッカ30〜33側(下流側)へ送り出す。すなわち、駆動排出ローラ11及び従動排出ローラ12の回転が進みこれらのローラによる挟持状態の開放された帳票3は、スタッカ側へ放出されることになる。
【0018】
図1及び図2に示すように、スタッカ30〜33は、画像読取装置本体1aに対し多段にわたって設けられており、帳票放出機構26により放出された帳票3を集積する。これらのスタッカは、例えばリジェクトスタッカやアクセプトスタッカなどとして割り当てられている。リジェクトスタッカには、イメージの読み取り処理が正常に行われなかった帳票3が集積される。一方、アクセプトスタッカには、イメージの読み取り処理が正常に行われた帳票3が集積される。
【0019】
センサ22は、装置内部に取り込まれた帳票3の重送を検出するダブルフィード検出用のセンサである。また、センサ23は、CCDイメージセンサ52によるイメージの読み出しを適切なタイミングで行えるように、このCCDイメージセンサ52の手前の位置で帳票3の通過を検出する。さらに、例えば、センサ23、19、17は、印字ヘッド28により適切なタイミングで印字処理を行えるように、この印字ヘッド28の手前の位置で帳票3の通過を検出する。
【0020】
また、センサ19は、搬送路10上に所定の間隔空けて複数配置されており、これらの配置個所を帳票3が正しく通過しているか否かを検出する。また、センサ18は、搬送路10上において、スタッカの配置部分の近傍の複数個所に配置されており、帳票放出機構26の帳票分岐機構部15による搬送路10側から分岐路27側への帳票3の送り出し、つまり、ゲートの開閉を適切なタイミングで行うために設けられている。
【0021】
また、センサ20は、ホッパテーブル2が、給紙位置の下方の初期位置に定位していることを検出する。さらに、センサ21は、例えば帳票3の給紙時に、昇降機構を通じて上昇させたホッパテーブル2上の最上部の帳票3が、ピックアップローラ5の周面(底面)と接触する給紙位置に到達したことを検出する。
【0022】
次に、本実施形態の画像読取装置1の制御系について概略的に説明を行う。すなわち、図2に示に示すように、画像読取装置1(画像読取装置本体1a)には、図3に示すように、前述したCCDイメージセンサ52、センサ17〜25、印字ヘッド28などを含む各ハードウェアを統括的に制御するコントローラ61などが搭載されている。また、画像読取装置1には、上述した搬送機構14のドライブローラ8や帳票放出機構26の駆動排出ローラ11に駆動力を伝達する搬送モータ14aなども設けられている。
【0023】
また、画像読取装置本体1aには、所定のインタフェースを介して上位装置であるホスト装置75が接続されている。ホスト装置75は、例えばPCなどのコンピュータ装置で構成されており、CRTや液晶ディスプレイなどで実現される表示部77、キーボードやマウスなどの入力装置によるユーザからの入力操作を受け付ける(入力装置からの情報を入力する)入力受付部34、CPU76、メモリ35、外部記憶装置38を備える。上記の入力受付部34には、ユーザからの入力操作により、ホッパテーブル2上に置かれた帳票3の読み取りを開始させるための情報などが入力される。
【0024】
メモリ35にはパターン読取プログラム36が記憶されており、このプログラムを実行することによりパターン認識部37を実現している。また、外部記憶装置38には、パターン認識部37がパターン認識の際に参照する辞書60がデータベースとして格納されている。
【0025】
また、上記の辞書60内には、複数の文字イメージと複数の文字コードとが互いに対応付けられて記憶されている。すなわち、パターン認識部37は、辞書60を参照しつつ、帳票3の紙面上のイメージを基に文字認識を行う。具体的には、パターン認識部37は、帳票3の紙面上イメージから一文字ごとのイメージを切り出し(文字抽出処理を行い)、一文字ごとの文字イメージの文字認識を行う。より詳細には、パターン認識部37は、一文字ごとの文字イメージと辞書60内の文字イメージとのマッチングを複合類似度法などを用いて行い、辞書60内の一致した文字イメージに対応する文字コードを文字認識結果として出力する。
【0026】
ここで、本実施形態に係る画像読取装置1により実現される蛍光インクを用いた印刷機能とその蛍光インクで印刷された画像の読取処理について詳述する。
すなわち、上述した印字ヘッド28は、上記蛍光インクのインクリボンをカートリッジとして備えたインクリボン方式の印刷用ヘッドである。この蛍光インクは、例えば360nm〜380nm程度の紫外線を照射することで励起され可視光を発光する。なお、印字ヘッド28は、インクジェット方式のヘッドで構成されていてもよい。
【0027】
また、図5に示すように、この実施形態で帳票3は、税金や公共料金の支払いをするための帳票である。この帳票は、注意事項などが裏面側の全面にわたって印刷されている。この帳票の裏面上に蛍光インクで印刷を行うことで、注意事項(の画像)の上に蛍光インクの画像が重なった場合でも、注意事項の判読を妨害することがない。しかも紫外線を照射することにより、図6に示すように、蛍光インクの画像(3a、3b)を読み取ることが可能となる。
【0028】
より具体的には、この実施形態では、画像読取装置1内に対して帳票3を2回搬送させて、帳票3を処理する。まず、一回目の搬送では、帳票3の上面から読み取った例えば金額やその帳票の管轄の市町村名などに基づいて、図5に示すように印字ヘッド28により帳票3の裏面に蛍光インクで管理番号の画像(第2の画像)3bをナンバリングする。
【0029】
ここで、本実施形態の画像読取装置1は、図5に示すように、帳票3の裏面上において、管理番号の画像(第1の画像)3bが印刷された領域よりも、搬送機構14による帳票3の搬送方向Aの先端側の領域に調整用画像(第1の画像)3aを、印字ヘッド28により蛍光インクで印刷する。
【0030】
つまり、帳票3は、画像読取装置1内での同一の搬送回にて、読み取り対象画像である管理番号の画像3bと、調整用画像3aと、が蛍光インクで印刷される。これにより、帳票3の調整用画像3a及び管理番号の画像3b上における、蛍光インクの例えば反射特性などの経時的劣化は、同様に進行することになる。
【0031】
ここで、図5の例では、印字ヘッド28が、帳票3の搬送方向Aと直交する方向に印字を行うタイプのヘッドであるため、調整用画像3aは、帳票3の短手方向に延びる帯状のベタパターンとして印刷される。なお、これに代えて、図7に示すように、帳票3の搬送方向Aに沿った方向に印字を行う(管理番号の画像3dを印字する)タイプの印字ヘッドを適用する場合、この印字ヘッドが、正方形を塗り潰した形状の調整用画像3cを印刷するものであってもよい。
【0032】
次に、画像読取装置1内に対する帳票3の2回目の搬送では、画像読取装置1は、1回目の搬送で印刷された管理番号の画像3bを読み取って文字認識し、この結果に基づいて、スタッカ30〜33のうちの所定のスタッカに帳票3を排出し、例えば市町村ごとに帳票3の仕分けを行う。また、この2回目の搬送において、本実施形態の画像読取装置1は、管理番号の画像3bを読み取る前に、帳票3の先端(搬送方向A)側の領域に位置する調整用画像3aを用いて読み取り前の調整を行う。
【0033】
この調整用画像3aを用いた調整について詳述する。すなわち、本実施形態の画像読取装置1は、図3、図4に示すように、CCDイメージセンサ52に加え、照射部としての紫外線ランプ51と、調光部50と、信号増幅部である増幅器53と、利得制御器(利得制御部)54と、A/D変換器55と、信号取得部として機能するビデオメモリ56と、を備えている。
【0034】
紫外線ランプ51は、図3、図4に示すように、調整用画像3a及び管理番号の画像3bが各々異なる領域に印刷された帳票3上に紫外線を照射する。CCDイメージセンサ52は、帳票3上からの紫外線の反射光を受光して光電変換を行い、当該反射光に対応した画像信号を増幅器53に出力する。増幅器53は、CCDイメージセンサ52から画像信号として出力されたアナログ出力電圧を増幅する。
【0035】
利得制御器(利得制御部)54は、閾値記憶部54aに記憶された閾値に基づいて、増幅器53の利得を制御する。A/D変換器55は、増幅器53で増幅されたアナログ出力電圧をデジタルデータに変換する。ビデオメモリ56は、A/D変換器55でA/D変換されたデジタル信号を画像データとして一時記憶する。一時記憶された画像データは、パターン認識部37によって文字認識される。
【0036】
また、調光部50は、図6に示すように、CCDイメージセンサ52より出力される調整用画像3aからの反射光に対応した画像信号のレベルに基づいて、紫外線ランプ51による紫外線の照射光量を調光する。具体的には、調光部50は、閾値記憶部50aに閾値として記憶された所定の信号レベル(出力電圧)以上でかつCCDイメージセンサ52が飽和しない信号レベル以下になるように、紫外線ランプ51の調光を行う。
【0037】
したがって、ビデオメモリ56は、コントローラ61の制御下で、調光部50にて紫外線の照射光量が調光された状態で、CCDイメージセンサ52より出力される管理番号の画像3bからの反射光に対応した画像信号を、増幅器53及びA/D変換器55を介して取得する。
【0038】
また、上述した利得制御器54について詳述すると、閾値記憶部54aを参照しながら、当該利得制御器54は、増幅器53より出力される調整用画像3aからの反射光に対応した画像信号のレベルに基づいて、増幅器53の利得を制御する。さらに、コントローラ61により制御される上記ビデオメモリ56は、利得制御器54による制御下の増幅器53より出力される管理番号の画像3bからの反射光に対応した画像信号を、A/D変換器55を介してデジタルの画像信号として取得する。
【0039】
次に、本実施形態の画像読取装置1による画像読取方法を図8に示すフローチャートにより説明する。まず、紫外線ランプ51を点灯させた後(S1)、帳票3を画像読取装置本体1a内で取り込むと、装置内部の所定位置で帳票3上の調整用画像3aからの反射光をCCDイメージセンサ52が入力する(S2)。
【0040】
ここで、調光部50は、閾値記憶部50aを参照して、CCDイメージセンサ52より出力される調整用画像3aからの反射光に対応した画像信号のレベルが閾値内にあるか否かを判別する(S3)。画像信号のレベルが閾値を満足しない場合(S3のNO)、調光部50は、閾値記憶部50aに記憶された閾値内に当該画像信号のレベルが収まるように、紫外線ランプ51による紫外線の照射光量を調光する(S4)。
【0041】
さらに、調光部50は、閾値記憶部50aを参照して、CCDイメージセンサ52より出力される調整用画像3aからの反射光に対応した画像信号のレベルが閾値内にあるか否かを再度判別する(S5)。調光後も前記画像信号のレベルが閾値を満足しなかった場合(S5のNO)、例えばコントローラ61は、紫外線ランプ51の交換などをユーザに促すための報知情報(メンテナンスの要請情報)を、図3に示す表示部77へ表示させるための表示要求をホスト装置75へ通知する。
【0042】
さらにこの場合、利得制御器54は、(閾値記憶部54a内の閾値を参照しつつ)増幅器53より出力される調整用画像3aからの反射光に対応した画像信号のレベルに基づいて、増幅器53の利得を制御する(S6)。
【0043】
増幅器53の利得調整後(及びS3、S5のYESの場合)、画像読取装置本体1a内の所定位置で帳票3上の管理番号の画像3bからの反射光をCCDイメージセンサ52が入力する(S7)。さらに、このような利得制御器54による制御下で増幅器53より出力される管理番号の画像3bに対応した画像信号がA/D変換器55を介してビデオメモリ56に入力される(S8)。
【0044】
既述したように、本実施形態の画像読取装置1では、図5、図6に示すように、実際の読み取り対象となる管理番号の画像3bと、同一の帳票3上に、しかも同時期に蛍光インクで印刷された調整用画像3aによって、画像を読み取るための各部の設定の最適化を図ることができる。
【0045】
つまり、画像読取装置1によれば、帳票3上の調整用画像3a及び管理番号の画像3bを構成する蛍光インクの例えば反射特性などの経時的劣化が、同様に進行することになるので、反射特性の揃った画像にて最適な調整を行うことができる。
【0046】
ここで、CCDイメージセンサの出力の調整の度に、紫外線が照射されて基準だけが劣化して行く蛍光基準板を適用する画像読取装置などでは、ある期間ごとに蛍光基準板上の蛍光インクを塗布し直すメンテナンスなどが必要である。これに対して、この実施形態の画像読取装置1では、基準となる調整用画像3aも、読み取り対象の画像(管理番号の画像3b)と共に特性が同様に劣化して行くため、基準側をメンテナンスすることなどが実質的に不要となる。これにより、画像読取装置1によれば、帳票3上に蛍光インクで印刷された画像の読み取り性能を長期的に確保できる。
【0047】
また、本実施形態の画像読取装置1によれば、CCDイメージセンサ52からの出力の増幅率を単に増加させるのではなく、紫外線ランプ51の光量を例えば極力増加させた後、その不足分を上記増幅率の上昇に置き換えることなどが可能なので、S/N比を向上(ノイズを低減)させた品質の高い画像信号を得ることができる。
【0048】
以上、本発明を実施の形態により具体的に説明したが、本発明はこれらの実施形態にのみ限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能である。例えば、画像読取装置1では、蛍光インクによる画像の印刷機能とその画像の読み取り機能との両機能を一台の装置が備えていたが、上記印刷機能と読み取り機能とを別体の二つの装置がそれぞれ備えるものであってもよい。また、上記紫外線ランプ51は、紫外線のみを出射する光源であったが、これに代えて、可視光を含む紫外線を出射する光源を本発明の画像読取装置に適用してもよい。
【符号の説明】
【0049】
1…画像読取装置、3…帳票、3a,3c…調整用画像、3b,3d…管理番号の画像、52…CCDイメージセンサ、28…印字ヘッド、50…調光部、51…紫外線ランプ、53…増幅器、54…利得制御器、56…ビデオメモリ。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
蛍光インクよって第1及び第2の画像がそれぞれ異なる領域に印刷された帳票上に紫外線を照射する照射部と、
前記帳票上からの前記紫外線の反射光を受光してこの反射光に対応した画像信号を出力するイメージセンサと、
前記イメージセンサより出力される前記第1の画像からの反射光に対応した画像信号のレベルに基づいて、前記照射部による紫外線の照射光量を調光する調光部と、
前記調光部にて前記紫外線の照射光量が調光された状態で、前記イメージセンサより出力される前記第2の画像からの反射光に対応した画像信号を取得する画像信号取得部と、
を具備することを特徴とする画像読取装置。
【請求項2】
蛍光インクよって第1及び第2の画像がそれぞれ異なる領域に印刷された帳票上に紫外線を照射する照射部と、
前記帳票上からの前記紫外線の反射光を受光してこの反射光に対応した画像信号を出力するイメージセンサと、
前記イメージセンサより出力される画像信号を増幅させる信号増幅部と、
前記信号増幅部より出力される前記第1の画像からの反射光に対応した画像信号のレベルに基づいて、前記信号増幅部の利得を制御する利得制御部と、
前記信号増幅部より出力される前記第2の画像からの反射光に対応した画像信号を取得する画像信号取得部と、
を具備することを特徴とする画像読取装置。
【請求項3】
前記調光部により前記紫外線の照射光量が調光された状態で前記イメージセンサから出力される画像信号を増幅させる信号増幅部と、
前記信号増幅部より出力される前記第1の画像からの反射光に対応した画像信号のレベルに基づいて、前記信号増幅部の利得を制御する利得制御部と、
をさらに備え、
前記画像信号取得部は、前記信号増幅部より出力される前記第2の画像からの反射光に対応した画像信号を取得する、
ことを特徴とする請求項1記載の画像読取装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2011−65530(P2011−65530A)
【公開日】平成23年3月31日(2011.3.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−217083(P2009−217083)
【出願日】平成21年9月18日(2009.9.18)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【出願人】(301063496)東芝ソリューション株式会社 (1,478)
【Fターム(参考)】