説明

画像送信装置

【課題】 画像データに対応したパケットをネットワークを介して伝送し,画像再生装置が受信して再生するときに画像の表示間隔をスムーズにする。
【解決手段】 ネットワーク120に画像データに対応したパケットを送信する際,全てのパケットを直ちに送信するのではなく,タイマー部が表示間隔情報に従って,画像データ取得部にクロックAを供給し,パケット送信部にクロックBを供給する。パケット送信部は最後のパケットをタイマー部から受けるクロックのタイミングに合わせて送信する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は,エンコードされたカメラの画像をネットワークを介して伝送する画像送信装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
例えば,画像をネットワークを介して伝送する画像伝送システムでは,送信側においてカメラから出力されるアナログ映像信号をデジタルデータにエンコードし,このデジタルデータをネットワークに伝送可能なようにデータパケット化し,ネットワークに送信する。受信側では,伝送されたデータパケットを受信し,取り出したデジタルデータを,例えばWebブラウザで表示する。
【0003】
上記のような画像伝送システムにおいて用いられる画像再生システムの例を示す。図6は従来の画像再生システムの構成例を示すブロック図である。この画像再生システムは,ネットワーク420を介して接続される送信側のネットワークカメラ410と,受信側の画像再生装置430とからなる(例えば,特許文献1参照)。
【0004】
まず,ネットワークカメラ410について説明する。画像データ生成部412では,撮像部411で撮像した画像の各フレームにフレーム番号を付加して画像データを生成する。そして送信部413は画像データ生成部412で生成された画像データをネットワーク420に送信する。
【0005】
次に画像再生装置430について説明する。受信部431ではネットワーク420を介して画像データを受信する。データ蓄積部432は,前記画像データを蓄積する。このとき,画像データ再生部433の動作について以下に,図を用いて説明する。
【0006】
図7は画像データ再生部433の動作を示すフローチャートである。これによると,まず,画像データの各フレームのヘッダに付加されたフレーム番号を抽出して(ステップ501),フレーム番号に抜けがあるか調べる(ステップ502)。そして,フレーム番号に抜けがある場合には,所定間隔だけ時間を空けて次フレームを再生する(ステップ503)。また,フレーム番号に抜けがない場合には,各フレームを所定間隔毎に再生させる(ステップ504)。
【0007】
このようにすることで,画像データが遅延して画像再生装置430に到着した場合であっても,画像データ再生部433では,画像データの各フレームに付加されたフレーム番号を参照しているので,フレーム番号の順番に所定間隔で画像データを再生することができる。その結果,撮像部411の時間軸と同位置で,遅延した画像データを再生することができる。
【特許文献1】特開2003−158722号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら,従来の画像伝送システムの画像再生装置においては,画像を蓄積する必要がある,また,画像データの順番を管理する必要がある,また,所定間隔を管理する必要があり,そのために画像再生装置にメモリ容量と処理性能を要求してしまうという問題があった。
【0009】
本発明は,上記事情に鑑みてなされたもので,画像再生装置に多くのメモリ容量と高い
処理性能を要求する必要がない,画像送信装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の画像送信装置は,画像データの要求をネットワークを介して受け付ける画像要求受け付け部と,画像の表示間隔情報をネットワークを介して受け付けてタイマー部に登録する画像間隔設定部と,前記表示間隔に従いクロックを生成することが出来るタイマー部と,画像データを前記クロックのタイミングに従って取得する画像データ取得部と,前記画像データを複数のパケットデータにするパケット生成部と,前記パケットデータをネットワークに送信すると共に最後のパケットを送信するタイミングが前記クロックのタイミングに合わせることができるパケット送信部とを備えるものである。
【0011】
これにより,複数のパケットデータからなる1枚の画像データをネットワークに送信する際に,1枚の画像データに対応する全てのパケットデータを送信し終えるタイミングを制御することが出来るので,画像再生装置は簡易な処理によって画像の表示タイミングを画像送信装置が管理することができる。
【0012】
また,本発明は,上記の画像送信装置であって,前記パケット送信部は,最後のパケットを送信するときに,前記パケットと同一なパケットを2個以上送信することができるようにするものとする。
【0013】
これにより,最後のパケットが画像再生装置に届く確率を高くすることが出来る。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば,画像データをネットワークを介して画像再生装置で表示するときに,画像の表示タイミングを画像送信装置が管理することが出来るようになるので,画像再生装置に複雑な処理を必要としない効果が得られる画像送信装置を提供できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
本実施形態では,例として,画像送信装置からネットワークを介して伝送される画像を画像再生装置が受信して表示する構成例を説明する。
(第1実施形態)
【0016】
図1は本発明の実施形態に係る画像伝送システムの構成を示すブロック図,図2は画像データをネットワークに送信する画像送信装置の構成を示すブロック図,図3は画像データをネットワークから受信して表示する画像再生装置の構成を示すブロック図である。
【0017】
図1の構成において,画像送信装置110と,画像再生装置130とは,それぞれネットワーク120に接続されており,画像データは画像送信装置110からネットワーク120を介して画像再生装置130に伝送される。
【0018】
図2の構成において,画像間隔設定部220は,画像再生装置130(図示せず)もしくはネットワーク120に接続される装置(図示せず)からネットワーク120を介して画像を表示する間隔情報を受信することが出来る。そして,画像間隔設定部220はその間隔情報をタイマー部221に通知する。タイマー部221はその間隔情報に従って,画像データ取得部202にクロックAを供給すると共に,パケット送信部204にクロックBを供給する。ここで,このクロックAとクロックBとは,開始タイミングは同時ではなくオフセット可能である。画像データ取得部202は画像データ201をクロックAのタイミングに従って取得し,パケット生成部203に渡す。ここで,画像データ201とは例えば,撮像装置から出力されるアナログ信号をJPEG等のデジタルデータに変換したものや,不揮発性メモリ装置に記録されているJPEG等のデジタルデータである。
【0019】
画像要求受け付け部210は,画像再生装置130(図示せず)からネットワーク120を介して画像の要求を受信すると,パケット生成部203に通知する。
【0020】
パケット生成部203は,前記画像データを画像データ取得部202から受け取っているが,画像要求受け付け部210から画像の要求の通知を受け取ってから前記画像データのパケット化を行い,パケット送信部204に渡す。このパケット化とは,ネットワーク120に送出することが出来る形にすることである。尚,画像の要求の通知を受け取る前に次の画像データを画像データ取得部202から受け取った場合,前の画像データは廃棄する。
【0021】
パケット送信部204はパケット生成部203から受け取ったパケットをネットワーク120を介して画像再生装置130に向けて送信する。そのとき,最後の1個の送信だけはすぐに行わず,クロックBのタイミングに従って送信する。
【0022】
図3の構成において,画像要求送信部310は,ネットワーク120を介して画像送信装置110(図示せず)に向けて画像要求を送信する。
【0023】
パケット受信部301は画像送信装置110(図示せず)からネットワーク120を介して画像データに対応するパケットを受信する。そして,画像データに対応した全てのパケットを受信し終えると,画像復号化部302に渡すと共に,画像要求送信部310に次の画像の要求を行う。
【0024】
上記のように構成された画像送信装置110及び画像再生装置130について,図4を用いてその動作を説明する。
【0025】
まず,画像再生装置130は1枚目の画像を取得するために画像要求1(610)を行う。それを受信した画像送信装置110の画像要求受け付け部210は,パケット生成部203へ画像要求を通知し,画像データをパケット化する。そのパケットがn個であるとき,パケット送信部204から1個ずつ画像再生装置130に送信される(611,612・・・)。2個目以降のパケットも引き続き送信されるが,続けて送信するパケットはn−1個である。最後のn番目のパケット(619)に関しては,前記クロックBのタイミングが来るまで送信せずに待機する。そしてクロックBのタイミングで送信することで,画像再生装置130ではそのパケットを受信した時点で1枚の画像に対応したパケットが全て揃うこととなる。引き続き2枚目の画像に関しても同様の流れである。
【0026】
このようにすることで,本実施形態では,画像再生装置130が1枚1枚の画像データが全て揃うタイミングを画像送信装置110のクロックBに従って管理することが出来るので,画像再生装置130は画像を表示する間隔を意識する必要がなく,簡易な処理で済むようになる。
(第2実施形態)
また,パケット送信部204は,最後のパケットを送信するときに,前記パケットと同一なパケットを2個以上送信することができる。このときの動作について図5Aおよび図5Bを用いて説明する。
【0027】
図5Aは最後のパケットが画像送信装置110からネットワーク120を介して画像再生装置130に届くあいだに廃棄されてしまい,画像再生装置130に届かなかった例を示している(701)。このようなとき,例えばパケット送信にTCP/IPが用いられていた場合,画像再生装置130からパケットの再送要求が送信される(702)。それを受信した画像送信装置110は改めて廃棄されてしまったパケットと同じパケットを再
度送信する(703)。しかし,このように再送処理が入ってしまっては,画像再生装置に画像データに対応したパケット全てが届く時間がずれてしまう。
【0028】
そこで,図5Bのように最後のパケットを送信するときに,1個(711)だけではなく,2個以上(711〜719)送信する。
【0029】
これにより,仮にパケットが廃棄されたとしても(711),2個目のパケット(712)が届けば,全てのパケットが揃う時間のずれは微少で済む。このように,最後のパケットが画像再生装置に届く確率を高くすることが出来る。
【産業上の利用可能性】
【0030】
本発明は,画像データに対応したパケットをネットワークを介して伝送する際に,全てのパケットの送信を終えるタイミングを一定間隔にすることが可能となるので,画像再生装置では複雑な処理によって画像の表示タイミングを制御する必要がなく画像の表示間隔をスムーズにする効果を有し,画像データをネットワークを介して伝送する画像送信装置等に有用である。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【図1】本発明の実施形態に係る画像伝送システムの構成を示すブロック図
【図2】本発明の実施形態に係る画像送信装置の構成を示すブロック図
【図3】本発明の実施形態に係る画像再生装置の構成を示すブロック図
【図4】本発明の第1実施形態におけるパケット送出方法を示す説明図
【図5A】本発明の第2実施形態におけるパケット送出方法を示す説明図
【図5B】本発明の第2実施形態におけるパケット送出方法を示す説明図
【図6】従来の画像再生システムの構成例を示すブロック図
【図7】従来の画像データ再生時における動作を示すフローチャート
【符号の説明】
【0032】
110 画像送信装置
120 ネットワーク
130 画像再生装置
201 画像データ
202 画像データ取得部
203 パケット生成部
204 パケット送信部
210 画像要求受け付け部
220 画像間隔設定部
221 タイマー部
301 パケット受信部
302 画像復号化部
303 表示装置
310 画像要求送信部
410 ネットワークカメラ
411 撮像部
412 画像データ生成部
413 送信部
420 ネットワーク
430 画像再生装置
431 受信部
432 データ蓄積部
433 画像データ再生部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像データの要求をネットワークを介して受け付ける画像要求受け付け部と,
画像の表示間隔情報をネットワークを介して受け付けてタイマー部に登録する画像間隔設定部と,
前記表示間隔に従いクロックを生成することが出来るタイマー部と,
画像データを前記クロックのタイミングに従って取得する画像データ取得部と,
前記画像データを複数のパケットデータにするパケット生成部と,
前記パケットデータをネットワークに送信すると共に最後のパケットを送信するタイミングが前記クロックのタイミングに合わせることができるパケット送信部と,
を備える画像送信装置。
【請求項2】
請求項1に記載の画像送信装置であって,
前記パケット送信部は,最後のパケットを送信するときに,前記パケットと同一なパケットを2個以上送信することができる画像送信装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5A】
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【図5B】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2007−329628(P2007−329628A)
【公開日】平成19年12月20日(2007.12.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−158202(P2006−158202)
【出願日】平成18年6月7日(2006.6.7)
【出願人】(000005821)松下電器産業株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】