説明

画面作成装置、画面作成プログラムおよびそれを記録した記録媒体

【課題】 プログラマブル表示器などの画面を構成する部品などにPLCにおいてデータを格納するメモリのアドレスを効率的に設定する。
【解決手段】 画面を作成する作画エディタは、作画ウインドウ101上に編集領域102と併せてアドレス一覧領域104を表示する。アドレス一覧領域104に、アドレスのビットを表すアドレスアイコン116dを、アドレスの使用と未使用とで異なるように表示する。例えばワードアドレスの場合、所望のアドレスのアドレスアイコン116dの列の1つをドラッグして部品106にドラッグすると、機能一覧ウインドウ107が編集領域に表示されるので、そこにドロップ操作を行うと、選択されたアドレスを部品に設定する。作画エディタは、アドレス設定によるアドレス使用状況の変化を監視しており、アドレス使用状況に変化が生じると、その状態をアドレスアイコン116dの表示に反映させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プログラマブル表示器などの表示装置に表示させる画面に含まれる部品などへのアドレスの設定を容易にする画面作成装置、画面作成プログラムおよびそれを記録した記録媒体に関するものである。
【背景技術】
【0002】
プログラマブル表示器は、ホストコントローラ(PLC)とのインタフェースを備えており、ホストコントローラに接続されたデバイスの稼働状況を表示したり、デバイスへの制御指示を与えるための操作入力を画面から受け付けたりする機能を備えた操作型表示器である。一般に、プログラマブル表示器は、グラフィック表示機能を有するので、操作盤、スイッチ、表示灯等を表示することができ、制御システムにおける操作端末としての役割を果たす。
【0003】
このようなプログラマブル表示器で表示される画面は、制御システムの仕様に応じて、画面作成ソフトウェア(作画ソフト)を用いてユーザ独自で作成できるようになっている。画面作成に際しては、ユーザが、パーソナルコンピュータ等において作画ソフトによって提供される部品、描画機能等を用いて所望の画面を構成する。
【0004】
上記の部品は、スイッチ、テンキー、メータ表示器、グラフ表示器等をそれぞれ表す画像であって、実際の部品のごとく組み合わせて扱えるように、予めライブラリ形式で作画ソフトに用意されている。また、上記の部品は、部品を表すイメージと、そのイメージの動的変化を画面上の指定された位置で表現するための設定データとが組み合わされて用いられる。その設定データは、画面のデータの一部としてプログラマブル表示器のメモリに記憶される。
【0005】
作成された画面は、画面データとしてプログラマブル表示器に転送されて記憶される。そして、ホストコントローラの稼働時には、ホストコントローラに接続されたデバイスの状態に応じて、プログラマブル表示器の表示部に表示される画面上のメータ表示器等の出力部品が動的に変化する。また、スイッチ等の入力部品への画面上の入力操作が制御指示としてデバイスに与えられる。
【0006】
作画ソフトにおいては、通常、デバイスの状態を画面の表示に反映させたり、部品を介した入力指示をデバイスの状態に反映させたりするために、デバイスのデータを格納するPLCにおけるメモリのアドレスを部品に設定する。このアドレス設定のとき、使用可能な未使用のアドレスを把握する必要がある。従来、このような未使用のアドレスを把握する技術を開示した文献としては、特許文献1が挙げられる。特許文献1では、PLCのメモリ範囲を図形で表示するとともに、そのメモリ範囲内で、プログラマブル表示器から実際に参照されているアドレス範囲を図形によって表示することを開示している。これにより、全アドレスにおける空きアドレス部分を容易に把握することができる。
【特許文献1】特開2000−47775号公報(2000年2月18日公開)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
従来の作画ソフトでは、上記のようにして空きアドレスの状態を確認することができるが、空きアドレスを確認してから、空きアドレスを部品に設定する場合、以下のような不都合があった。
【0008】
まず、アドレスの使用状況を表示する上記のような図形(アドレス表示図形)の表示と、アドレス設定とは、別の処理で行われるため、空きアドレスを確認した後、一旦図形表示画面を閉じて、アドレス設定の画面を開く操作が必要である。このため、アドレス設定をしながら、アドレス表示図形を参照することができず、現在のアドレス設定のために使用したアドレスをアドレス表示図形でリアルタイムに確認することができない。
【0009】
また、アドレス表示図形を表示するときには、各部品にどのアドレスが使用されているかを、全画面の部品を一つずつスキャンして確認する処理が行われる。このため、画面が多くなるほど、アドレス表示図形の表示に時間がかかる。
【0010】
本発明は、上記の問題点に鑑みてなされたものであり、その目的は、アドレスの使用状態を確認しながらアドレス設定を行うことにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明に係る画面作成装置は、アドレスで特定されたメモリにおける領域にデータが読み書きされた状態を表示する表示要素を含む画面を作成する画面作成手段と、特定のアドレスのデータの読み書きを表示するように当該アドレスを前記表示要素に設定するアドレス設定手段とを備えている画面作成装置において、上記の課題を解決するために、前記画面作成手段は、前記アドレスの使用状況を示したアドレス一覧を前記画面を作成するための画面作成領域とともに表示することを特徴としている。
【0012】
上記の構成では、画面作成手段によって、アドレス一覧が画面作成領域とともに表示されるので、ユーザはアドレス一覧に表示されたアドレスの使用状況を確認しながら、表示要素にアドレスを設定することができる。
【0013】
前記画面作成装置において、前記画面作成手段は、前記アドレス一覧においてアドレスの使用状況をアドレス毎に図形で表して表示し、前記アドレス設定手段は、前記アドレス一覧に表示された図形の前記画面作成領域に配置された前記表示要素へのドラッグ&ドロップ操作により、選択されたアドレスを当該表示要素に設定することが好ましい。これにより、ユーザが、アドレス一覧でアドレスの使用状況を確認した上で所望のアドレスの図形を画面作成領域の表示要素にドラッグ&ドロップ操作するだけで、アドレス設定手段によって、その表示要素に選択されたアドレスが設定される。それゆえ、ダイアログボックスなどを表示させて別途所望のアドレスを入力する操作を必要とせず、素早くアドレス設定を行うことができる。
【0014】
あるいは、前記画面作成装置において、前記アドレス設定手段は、前記アドレス一覧に表示された図形の前記画面作成領域に配置された前記表示要素へのドラッグ操作により、該表示要素に関する情報を示した関連情報一覧を表示し、当該関連情報一覧へのドロップ操作により、選択されたアドレスを当該表示要素に設定することが好ましい。これにより、ユーザが、アドレス一覧でアドレスの使用状況を確認した上で所望のアドレスの図形を画面作成領域の表示要素にドラッグ操作すると、アドレス設定手段によって関連情報一覧が表示され、さらに、ユーザがその関連情報一覧にドロップ操作を行うことにより、アドレス設定手段によって、その表示要素に選択されたアドレスが設定される。それゆえ、ユーザは、その関連情報一覧によって選択したアドレスを設定してよいか否かを判断することができる。
【0015】
前記のいずれかの画面作成装置において、前記アドレスの使用状況を管理するアドレス管理手段と、前記アドレス設定手段のアドレス設定による前記アドレスの使用状況の変化を監視し、その変化を前記アドレス管理手段に知らせるアドレス監視手段とを備え、前記画面作成手段は、前記アドレス管理手段で管理されている前記アドレスの使用状況に基づいて、前記アドレス一覧を表示することが好ましい。このような構成では、アドレス監視手段は、アドレス設定手段によるアドレス設定が行われているときに、アドレスの使用状況を監視しており、アドレスの使用状況に変化が生じると、その変化をアドレス管理手段に知らせるので、アドレス管理手段は、常にアドレス設定の結果をアドレス使用状況に反映させる。これにより、アドレス一覧には、設定により使用済みとなったり使用されなくなったりしたアドレスの状況が即時に表示され、アドレスの設定結果を表示中のアドレス一覧にすぐ反映させることができる。それゆえ、従来のように、アドレス設定後にアドレス設定画面を一旦閉じて、アドレス一覧表示のために改めてアドレス管理部から全てのアドレスについて使用状況を読み込むといった処理が不要になる。
【0016】
本発明の画面作成プログラムは、前述のいずれかの画面作成装置を動作させるための画面作成プログラムであって、コンピュータを上記各手段として機能させるプログラムである。また、この画面作成プログラムは、コンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録される。これにより、プログラムをコンピュータに読み取らせて実行させることにより前記画面作成装置を実現することができる。
【発明の効果】
【0017】
本発明に係る画面作成装置は、以上のように、画面作成手段によって、アドレス一覧が画面作成領域とともに表示されるので、ユーザは、従来の手法のように、アドレスの使用状況をアドレス一覧で確認した後、アドレス一覧を一旦閉じてからアドレス設定を行うような手間のかかる操作から開放される。したがって、効率的なアドレス設定を容易に実現することができるという効果を奏する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
本発明の実施形態を図1ないし図10に基づいて説明すると、以下の通りである。
【0019】
図1に示すように、本実施形態に係る制御システム1は、ホストコンピュータ2と、プログラマブル表示器3と、PLC4と、共通ネットワーク5と、専用ネットワーク6と、デバイス7とを備えている。
【0020】
ホストコンピュータ2およびプログラマブル表示器3は、共通ネットワーク5を介して互いに接続されている。一方、プログラマブル表示器3およびPLC4は、専用ネットワーク6を介して接続されている。共通ネットワーク5は、共通の通信プロトコル(共通通信プロトコル)で通信を行うことが可能なイーサネット(登録商標)などからなるローカルエリアネットワーク(LAN)のようなネットワークである。専用ネットワーク6は、PLC4に固有の通信プロトコル(専用通信プロトコル)で通信を行うことが可能なシリアルケーブルなどからなるネットワークである。専用通信プロトコルは、PLC4がシーケンサから発達してきた経緯もあって、製造会社毎、あるいは、同一会社であっても製品毎など、PLC4の機種毎に異なっていることが多い。
【0021】
本実施形態に係る制御システム1は、各PLC4にそれぞれ接続されるプログラマブル表示器3とホストコンピュータ2とを共通ネットワーク5で接続するとともに、共通ネットワーク5で使用する共通通信プロトコルとして、専用通信プロトコルとは独立して定めた共通のプロトコルを採用している。さらに、プログラマブル表示器3は、後述するように、プロトコルを変換する機能も有しており、例えば、命令コードの変換や引数の変換あるいは伝送時の制御コードの変換などのプロトコル変換を行って、ホストコンピュータ2と自機器に接続されたPLC4との通信を中継する。
【0022】
このような構成において、プログラマブル表示器3は、HMIとして動作するためPLC4に比べて演算能力に余力があるので、通信の大半を処理する。例えば、画面データのダウンロードのように、PLC4を介さず、ホストコンピュータ2からプログラマブル表示器3へ直接通信できる。したがって、PLC4の負担を軽減でき、制御システム1全体に必要な演算能力を削減できる。なお、プログラマブル表示器3は、オペレータの操作を待ち受けている間、演算能力に余力があるので、プロトコル変換のために演算能力を向上させることなく、プロトコル変換できる。
【0023】
PLC4は、ユーザが作成した制御プログラム(ラダープログラム)にしたがって、入力ユニットを介して入力用のデバイス7から出力される出力データを取り込むとともに、出力用のデバイス7に制御データを与える。入力用のデバイス7しては、センサ(温度センサ、光センサなど)、スイッチ(押ボタンスイッチ、リミットスイッチ、圧力スイッチなど)のような機器が用いられる。出力用のデバイス7としては、アクチュエータ、リレー、電磁弁、表示器などが用いられる。これらのデバイス7…は、製造ラインなどの各種のターゲットシステムの所要各部に配置される。また、デバイス7は、後述するタッチパネル33などの入力装置から手動で入力されたデータを格納するための後述するメモリ部32における特定の領域であってもよい。
【0024】
PLC4内のメモリ(デバイスメモリ)は、デバイス7の状態やデバイス7の設定値などのデータ(ワードデータやビットデータ)を、デバイスアドレスで指定された領域に格納している。メモリにおいて、ワードデバイスは、入出力されるデータが数値のようなワードデータを格納する領域として設定され、ワードアドレス(デバイスアドレス)で指定される。また、ビットデバイスは、オン・オフ状態のようなビットデータを格納する領域として設定され、ビットアドレス(デバイスアドレス)で設定される。このような設定により、PLC4内の任意のワードデバイスまたはビットデバイスをアクセスするだけでデバイス7…を制御し、またはその状態に関する情報を個別に取り出すことができる。
【0025】
以降の説明では、デバイスアドレスを適宜アドレスと称する。
【0026】
プログラマブル表示器3は、CPUなどの演算処理装置を備えており、ユーザが作成した入力操作および表示用のプログラム(画面データ)を実行することによりプログラマブル表示器特有の操作機能および表示機能を実現するコンピュータである。制御システム1のHMIとして好適に使用されるプログラマブル表示器3は、後述する処理指示語(タグ)を組み合わせて決定される画面データに基づいて、デバイス7の状態を画面表示する際の動作や、画面への操作に応じてデバイス7の状態を制御する際の動作を特定する。このプログラマブル表示器3は、専用ネットワーク6を介したPLC4との通信により、自機に接続されたPLC4を介して表示画面に状態を表示する各デバイス7の状態を取得し、例えば、後述のディスプレイ34に各デバイス7の状態を表示する機能を有する。また、プログラマブル表示器3は、後述のタッチパネル33への操作に応じて、デバイス7へデバイスの状態制御を指示する機能を有する。
【0027】
なお、デバイス7の状態の取得/変更は、その都度指示してもよいし、プログラマブル表示器3内にキャッシュを用意し、取得/変更時には、キャッシュへアクセスするとともに、所定の時間間隔毎や所定のイベント毎に通信してデバイスアドレスの実体と同期を取ってもよい。
【0028】
プログラマブル表示器3は、上記の機能を実現するために、HMI処理部31と、メモリ部32と、タッチパネル33、ディスプレイ34およびインターフェース部(図中、I/F)35,36を備えている。以下、プログラマブル表示器3の主要各部について詳細に説明する。
【0029】
タッチパネル33は、ディスプレイ34の表示画面上で入力を行うために設けられている入力装置である。ディスプレイ34は、プログラマブル表示器3を薄型に構成するために、液晶ディスプレイやELディスプレイのような平板型ディスプレイが好適に用いられる。
【0030】
インターフェース部35は、プログラマブル表示器3が共通ネットワーク5上のホストコンピュータ2などとの間の通信を行うための通信制御部であり、共通ネットワーク5に接続されている。この共通ネットワーク5を介した通信により、ホストコンピュータ2などとの間でデータ送信が行われる。一方、インターフェース部36は、プログラマブル表示器3がPLC4との間の通信を行うための通信制御部であり、専用ネットワーク6に接続されている。この専用ネットワーク6を介した通信により、PLC4との間でデータ送信が行われる。
【0031】
このように構成される通信システムにおいては、PLC4からの出力データが、プログラマブル表示器3に送信され、さらにそのプログラマブル表示器3を介してホストコンピュータ2や共通ネットワーク5に接続された他の機器(図示せず)などに転送される。また、プログラマブル表示器3に設定されたデータは直接PLC4に送信されるだけでなく、ホストコンピュータ2や他の機器から送信されてきた設定データが、通信先のPLC4に接続されたプログラマブル表示器3を介してそのPLC4に転送される。
【0032】
HMI処理部31は、後述するユーザ画面の表示制御およびプロトコル変換の処理を行うために各種のデータ処理を行う。
【0033】
プロトコル変換処理は、両ネットワーク5,6での通信プロトコルが互いに異なる場合、FEPROM32bに記憶された後述のプロトコル変換データを参照しながら、一方の通信プロトコルから他方の通信プロトコルへ変換する処理である。プロトコル変換処理は、メモリ部32に格納されたプロトコル変換プログラムがCPUなどの演算処理手段に実行されることによって実現される。なお、表示制御処理(表示制御機能)については、後に詳しく説明する。
【0034】
メモリ部32は、DRAM32a、FEPROM(Flash Erasable and Programmable ROM)32b、SRAM32c等のメモリを含んでいる。
【0035】
DRAM32aは、主に、表示制御などの演算処理時の作業用に用いられる他、PLC4との間でやり取りされるデータの一時的な記憶に用いられる。特に、DRAM32aは、PLC4の入出力メモリに格納されるデバイス7の状態(デバイスアドレスの内容)を入出力メモリとの間で受け渡しするための状態メモリ領域を有している。
【0036】
SRAM32cは、PLC4から得られたデータをロギングしたり、PLC4に与える設定値データ(レシピデータ)を記憶したりするために用いられる。
【0037】
FEPROM32bは、書き替え可能な読み出し専用のフラッシュメモリであり、一般のパーソナルコンピュータにおけるハードディスクドライブの役割を果たす。フラッシュメモリは、可動部を持たず、かつ衝撃に強いので、劣悪な周囲環境でも安定して動作する。
【0038】
また、上記のFEPROM32bは、図2に示すように、表示制御システムプログラムと、プロトコル変換データと、通信プロトコルと、画面データとをそれぞれ格納するエリアを有している。
【0039】
表示制御システムプログラムは、画像表示制御を行うための基本機能を実現するためのプログラムである。この表示制御システムプログラムがHMI処理部31において実現する機能については、後に詳しく説明する。
【0040】
プロトコル変換データは、専用ネットワーク6と共通ネットワーク5との間で通信プロトコルを相互変換できれば、どのような形式でもよいが、本実施の形態では、専用ネットワーク6で伝送されるデータのフォーマットを示すデータ転送フォーマットと、両ネットワーク5,6で伝送されるコマンドコード間の対応関係を示すコマンド変換テーブルとを記憶している。
【0041】
通信プロトコル(専用通信プロトコル)は、PLC4との通信処理で用いられるプロトコルであり、PLC4の機種(メーカ)に応じて固有に定められている。この通信プロトコルには、PLC4へのデータの読み出しを指示するコマンドコードが含まれている。このコマンドコードは、PLC4の制御機能に対応付けられているアドレスと組み合わされることによって、所望の制御機能についてのデータをPLC4に送信することができる。
【0042】
画面データは、プログラマブル表示器3に表示される画面のデータであり、ディスプレイ34に表示すべきベース画面や部品のデータおよび各部品に付与された後述する処理指示語Wなどを含んでいる。画面データは、後述する作画エディタ23によって作成されて、FEPROM32bにダウンロードされている。この画面データは、ファイルの形式で画面ファイルとしてFEPROM32bに保存される。この画面ファイルは、図形データ部およびアドレスデータ部から構成されている。図形データ部は、円や四角形などの図形データ、部品のデータ、文字列、処理指示語Wなどを含んでいる。アドレスデータ部は、図形データ部における部品のデータや処理指示語Wなどのアドレスに対応付けられるデータについて、作画エディタ23で設定された前記のアドレスおよびアドレスに対応するコメントを含んでいる。
【0043】
コメントとしては、デバイスの動作状態のような事象名や、スイッチに対応するSWやランプに対応するLAMPのようなデバイス7に対応する符号や、操作指示などが挙げられる。また、コメントは、変数として扱うこともできる。このように定義されるコメントは、デバイス7に対応する所望の入出力端子番号(前述のデバイスアドレス)に予め対応付けられている。
【0044】
図3に示すように、画面データに含まれる処理指示語(タグ)Wは、ベース画面上で実行されるべき事象毎に作成されている。この処理指示語Wは、基本的には、表示制御動作を実行すべきベース画面のファイル番号Fと、このベース画面上で実行すべき動作内容を特定する事象名Tと、各実行事象毎に参照される1または複数のデータからなる参照情報Iとを一組として備えている。
【0045】
本実施形態に係るプログラマブル表示器4では、上記のタグとして、ベース画面上の領域(表示範囲)とその領域への表示に対応するデバイスのデバイスアドレスとの対応を示す表示タグ、および画面上の領域(入力範囲)とその領域へのタッチ入力に対応するアドレスとの対応を示す入力タグが規定されている。さらに、本実施形態では、各タグは、複数の単位画面の少なくとも1つと関連付けることができる。
【0046】
表示タグは、タッチパネル33の操作と連動して、ベース画面上における対応位置に所定の図形を表示可能とする。すなわち、表示タグは、ファイル番号Fとしてベース画面27のファイル番号を含み、事象名として図形などの表示対象の表示を特定する事象名を含み、表示対象の表示座標範囲、呼び出す表示対象を特定するファイル番号、および表示対象を表示時に参照するアドレスを含んでいる。
【0047】
また、入力タグは、例えば、タッチパネル33に対するタッチ操作と連動して、DRAM32a内に設けられた前述の状態メモリ領域内の所定アドレス位置に設定したビットデバイスを反転可能とする。すなわち、入力タグは、ファイル番号Fとして単位画面のファイル番号を含み、事象名Tとしてタッチパネル33の操作を特定する事象名を含み、参照情報Iとしてタッチパネル33からの入力操作を有効とする入力座標範囲、およびタッチパネル33のタッチ操作と連動してデータを書き替えるべきアドレスを含んでいる。
【0048】
図4に示すように、画面ファイルは、1または複数の単位画面ファイルUF1,UF2,…,UFn(以降、全単位画面に共通して述べる場合は単に「UF」とする)、および各単位画面UFから呼び出して表示するための関連する図形ファイルFF1,FF2,…,FFmからなるプロジェクトファイルPFによって構成される。プロジェクトファイルPFにおいては、例えば、メイン画面となる単位画面ファイルUF1から単位画面ファイルUF2を呼び出し、この単位画面ファイルUF2からさらに単位画面ファイルUF3を呼び出すというように、各単位画面ファイルUFが階層的に関連付けられている。また、単位画面ファイルUFは、ベース画面上で構成された各要素におけるデータを1つにまとめて1つの単位画面ファイルUFとして構成されている。
【0049】
HMI処理部31の表示制御機能は、画面データの表示、ユーザ画面への各種のデータの設定、設定されたデータのPLC4への送信およびPLC4から受信されたデータのユーザ画面への表示を、前述の表示制御システムプログラムをプログラマブル表示器3が備えるCPUなどの演算処理手段に実行させることにより実現する機能である。この表示制御機能は、画面データから、現在表示中の単位画面に関連する表示タグを抽出するとともに、各表示タグに関連するデバイスアドレスの内容をそれらの表示タグについて所定の周期毎に読み出し、表示タグで指定された表現形式の部品等を読み出した値に応じた形態で画面上の指定された領域へ表示する。一方、上記の表示制御機能は、タッチパネル33への入力操作を受け付けると、現在表示中の単位画面に対応し、その入力操作にマッチする入力タグを画面データから検索し、入力タグが示すデバイスアドレスの内容(デバイスアドレスで特定されるメモリ領域に格納されたデータ)を入力結果に応じて書き替える。これにより、プログラマブル表示器3は、画面データが示すデバイス7の状態を、画面データが示す表現形式で画面データが示す表示位置(部品など)に表示したり、画面データにおいて部品などによる入力操作に応じて制御したりできる。
【0050】
続いて、ホストコンピュータ2について説明する。ホストコンピュータ2は、一般の汎用パーソナルコンピュータと同様に、CPU、メモリ(RAM、ROMなど)、外部記憶装置(ハードディスクドライブ、MOドライブなど)、表示装置および入力装置(キーボード、マウスなど)を有している。また、ホストコンピュータ2は、図1に示すように、制御部21、インターフェース部(図中、I/F)22、作画エディタ23およびデータ記憶部24を備えている。
【0051】
インターフェース部22は、プログラマブル表示器3との間の通信を行うための通信制御部であり、共通ネットワーク5に接続されている。
【0052】
制御部21は、CPUやメモリを含む演算処理を行う部分であり、オペレーティングシステム上でアプリケーションプログラムである作画エディタ23を実行する。ホストコンピュータ2は、制御部21に作画エディタ23を実行させることにより、画面作成装置として機能する。作画エディタ23は、ホストコンピュータ2と分離可能に構成される記録媒体に記録され、この記録媒体からホストコンピュータ2にインストールすることが可能である。
【0053】
上記の記録媒体は、コンピュータに読み取り可能な記録媒体であり、磁気テープやカセットテープなどのテープ系、フレキシブルディスクやハードディスクなどの磁気ディスク系、CD−ROM、MO、MD、DVDなどの光ディスク系、ICカード(メモリカードを含む)、光カードなどのカード系が好適である。その他、上記のプログラムメディアは、マスクROM、EPROM、EEPROM、フラッシュROMなどによる半導体メモリを含めた固定的にプログラムを担持する媒体であってもよい。
【0054】
また、本制御システム1は、インターネットを含む通信ネットワークと接続可能なシステム構成であることから、通信ネットワークからプログラムをダウンロードするように流動的にプログラムを担持する媒体であってもよい。ただし、このように通信ネットワークからプログラムをダウンロードする場合には、そのダウンロード用プログラムは予めホストコンピュータ2に格納されるか、あるいは別な記録媒体からインストールされるものであってもよい。
【0055】
作画エディタ23は、画面作成部23a、アドレス設定部23b、アドレス管理部23cおよびアドレス監視部23dを含んでいる。
【0056】
画面作成部23aは、ユーザ独自の画面であるユーザ画面を作成できるように、スイッチ、ランプ、テンキー、各種表示器(例えば、数値表示器、メータ表示器およびグラフ表示器)などの部品、各種のタグ設定機能、描画機能、テキスト入力機能などを備えている。部品としては、単一の機能を有する部品だけでなく、複数の機能を有する、複合スイッチ、カウンタ、タイマといった複合機能を有する部品が用意されている。表示要素としての部品は、ユーザが容易に選択できるようにライブラリ形式で登録されており、部品の機能に応じた入力タグや表示タグなどが予め付与されている。描画機能は、直線や曲線の線図形(表示要素)を描画したり、円、四角形、三角形などの基本図形(表示要素)の描画および図形内の指定色や模様による塗りつぶしを行ったりするための機能である。また、画面作成部23aは、ベース画面上で構成された各要素におけるデータを1つにまとめて1つの単位画面ファイルPFを構成するとともに、複数の単位画面ファイルUFを1つにまとめて、前述のプロジェクトファイルPFを構成する。
【0057】
画面作成部23aは、画面作成のために、図5に示す作画ウインドウ101をユーザインターフェースとして提供している。作画ウインドウ101は、編集領域102と、画面一覧領域103と、アドレス一覧領域104と、リファレンス表示領域105とを含んでいる。画面一覧領域103、アドレス一覧領域104およびリファレンス表示領域105は、編集領域の左側にドッキング形式で設けられている。
【0058】
編集領域102は、スイッチ、ランプなどの部品106を配置したり、上記のように描画したりする画面を作成するための領域である。
【0059】
画面一覧領域103は、上記のプロジェクトファイルPFの構成を一覧表示する領域である。アドレス一覧領域104は、現在のアドレスの使用状況を表示する領域である。リファレンス領域105は、使用されているアドレスが設定された部品の機能の一覧を表示する領域である。
【0060】
図6に示すように、アドレス一覧領域104は、アドレスモード選択部111と、機種選択欄112、アドレス入力欄113と、キーパッド表示ボタン114と、ジャンプボタン115と、アドレス表示部116とを有している。
【0061】
アドレスモード選択部111は、ビットモード(ビットアドレス)またはワードモード(ワードアドレス)のいずれかを選択するためのラジオボタンを有している。ビットモードが選択されると、ビットアドレスの使用状況がアドレス表示部116に表示され、ワードモードが選択されると、ワードアドレスの使用状況がアドレス表示部116に表示される。
【0062】
機種選択欄112は、プログラマブル表示器3に接続されるPLC4の予め登録された機種名を予め登録された機種から選択するための欄である。
【0063】
アドレス入力欄113は、ジャンプボタン115でアドレス表示部116におけるアドレス表示範囲を移動させる移動先のアドレスをホストコンピュータ2のキーボードなどを用いて直接入力するための欄である。
【0064】
アドレス入力ダイアログ表示ボタン114は、アドレスを入力するダイアログボックスを表示するための操作ボタン114である。アドレス入力ダイアログボックスは、指定されたPLC4の機種に対応するアドレスを一覧表示やスピンボックスなどの形式で設定できるように構成されている。このアドレス入力ダイアログボックスによって入力されたアドレスは、アドレス入力欄113に入力されたアドレスと同様に、アドレス表示範囲を移動させる移動先のアドレスとして扱われる。
【0065】
ジャンプボタン115は、上記のアドレス表示範囲を移動させるための操作ボタンであり、押されると、画面作成部23aは、図7に示すように、アドレス表示部116に表示されるアドレス範囲をアドレス入力欄113または上記のキーパッドに入力されたアドレスを含む範囲で表示する。このとき、画面作成部23aは、アドレス管理部23cで管理されるアドレスを参照して表示範囲を決定する。
【0066】
アドレス表示部116は、デバイスラベル116a、オフセットラベル表示部116b、インデックスラベル表示部116cおよび複数のアドレスアイコン116dを有している。
【0067】
デバイスラベル表示部116a、オフセットラベル表示部116bおよびインデックスラベル表示部116cは、アドレスアイコン116dで表されるアドレスを構成する識別要素(ラベル)としての各部を表示する。デバイスラベル表示部116aに表示されるデバイスラベルは、アドレスを識別するためのラベルであり、PLC4のメーカによって独自のラベルが付与される。オフセットラベル表示部116bは、デバイスラベルに続く下部分のオフセットラベルを表示する。インデックスラベル表示部116cは、アドレスのビット位置0〜n(インデックス;nはワードデバイスのビット数)を示すインデックスラベルを表示する。
【0068】
アドレスアイコン116dは、アドレスのビットを方形などの図形(その他、円や三角形などでもよい)で表している。画面作成部23aは、後述のアドレス管理部23cで管理されているアドレス使用状況に関する情報に基づいて、使用されているアドレスのビットを表すアドレスアイコン116dを着色表示(あるいは塗りつぶし)し、使用されていないアドレスについてのアドレスアイコン116dを無色表示する。画面作成部23aは、ビットモードの場合、使用されているビットのみ着色表示し、ワードモードの場合、使用しているアドレスの全ビット(ビット位置0〜n)を着色表示する。ビットアドレスおよびワードアドレスの双方に対応している部品に対しては、両モードでアドレスが使用されると、それぞれのモードで使用ビットのアドレスアイコン116dが着色表示される。
【0069】
アドレス表示部116は、アドレスアイコン116dを表示できる範囲が限られており、図示した例では、n=9、すなわち10ビット分有するアドレスを表示している。しかしながら、アドレス表示部116は、上下および左右方向にスクロールバーによるスクロール操作により、隠れた部分を表示することができる。したがって、インデックスラベルを16ビット分有するアドレスであっても表示することができる。
【0070】
リファレンス表示領域105は、図8に示すように、各アドレス(使用されているアドレス)がそれぞれ設定されている部品に関する情報の一覧を表示する。このリファレンス表示領域105は、部品に関する情報として、機能表示部105a、部品名表示部105b、部品コメント表示部105cおよび画面番号表示部105dを含んでいる。
【0071】
機能表示部105aは、その部品の機能を表示する部分である。例えば、ON/OFF(点灯/消灯)のビット動作をするランプであれば「ランプビット」と表示される。部品名表示部105bは、ランプ、スイッチなどの部品の名称を表示する部分である。部品コメントは部品についての前述のコメントを表示する部分である。画面番号表示部105dは、各単位画面(単位画面ファイルUF)に1つずつ付与されている番号を表示する部分である。画面作成部23aは、この画面番号表示部105dがマウスのダブルクリック操作などで選択指示されると、その画面番号の単位画面ファイルUFを後述のデータ記憶部24から読み出して、編集領域102に表示する。
【0072】
ユーザは、上記の作画ウインドウ101上で表示された部品一覧(図示せず)からドラッグ&ドロップなどの操作によって編集領域102に表示されたベース画面に選択した部品106を配置したり、部品106の大きさを変更したりする。また、ユーザは、描画機能を用いて、従来の作画ソフトウエアとほぼ同様に、直線や曲線を主体とする線画あるいはその内部や基本図形の内部を所定の色や模様で塗りつぶすことにより、任意の描画図形をベース画面上で作成できる。さらに、ユーザは、タグ設定機能を用いて、プログラマブル表示器3が用意する処理指示語群から、必要とする機能の処理指示語Wをベース画面上に描画した任意の図形に個別に設定することにより、作画エディタ23に予め用意されている上記の部品と異なる新たな部品を作成することができる。
【0073】
アドレス設定部23bは、前述のアドレスと、各アドレスで特定されるワードデバイスまたはビットデバイスについてユーザにより設定されたコメント(変数)とを部品に設定する(対応付ける)。具体的には、アドレス設定部23bは、作画ウインドウ101のアドレス一覧領域104に表示されたアドレスアイコン116dを部品106にドラッグする操作によって、図5に示すように、部品106の側に機能一覧ウインドウ107を表示させ、この機能一覧ウインドウ107にドロップ操作が行われると、部品106(部品106の機能)にアドレスを設定する。また、アドレス設定部23bは、従来のように、アドレス設定用のダイアログボックスをユーザインターフェースとして提供し、そのダイアログボックスによって入力されたアドレスを部品に設定してもよい。これにより、部品106がアドレスと関連付けられる。また、アドレス設定部23bは、アドレスの設定の解除も行う。
【0074】
上記の機能一覧ウインドウ107は、図9に示すように、アイコン表示部107a、機能表示部107b、アドレス表示部107c、連続数表示部107d、部品名表示部107eおよび部品コメント表示部107fを含んでおり、部品106に関する情報の一覧を表示する。
【0075】
アイコン表示部107aは、部品の外観が縮小されて表されるアイコン形式で表示する部分である。機能表示部107bは、前述のリファレンス表示領域105における機能表示部105aと同様に、その部品の機能を表示する部分である。アドレス表示部107cは、現在その部品に設定されているアドレスを表示する部分である。アドレス表示部107cは、アドレスが未設定の状態では空欄表示となる。連続数表示部107dは、そのアドレスが連続して使用される回数を表示する部分である。部品名表示部107eは、前述の部品名表示部105bと同様に部品の名称を表示する部分である。部品コメント表示部107fは、前述の部品コメント表示部105cと同様に部品のコメントを表示する。
【0076】
また、機能一覧ウインドウ107は、図示はしないが、部品(機能)によっては異なる種類のアドレスを設定することができるので、設定するアドレスの種類を選択するためのリストを表示する。例えば、そのようなアドレスとして、通常のアドレス以外に、表示の切り替えのためのアドレスやインターロックのためのアドレスが挙げられる。表示の切り替えのアドレスは、1つのスイッチ部品で順次複数のラインで表示すべきデバイス7を切り替える場合、1つの部品でも対応するアドレスがライン毎に異なるので、その各アドレスを指定するためのアドレスが必要となる。このような場合は、上記のリストに表示の切り替えアドレスが表示される。また、インターロックのアドレスは、スイッチなどの部品に押下の操作を有効にするか無効にするかを設定するためのアドレスである。
【0077】
アドレス管理部23cは、PLC4の機種毎にプロジェクトファイルPFの各単位画面ファイルUFで使用している部品に使用(設定)されているアドレスを管理しており、アドレス毎に使用または未使用の情報を確保している。前述のアドレスアイコン116dの使用または未使用を表す表示は、このアドレス管理部23cで管理されているアドレスの使用または未使用の情報に基づいて行われる。
【0078】
アドレス管理部23cは、プロジェクトファイルPFについて、すべてのアドレスの使用/未使用の状態を管理している。具体的には、アドレス管理部23cは、制御部21のメモリなどを使用したメモリテーブルにおいて、すべてのアドレスについて、使用状態をフラグ“1”とし未使用状態を“0”としている。また、アドレス管理部23cは、アドレス一覧領域104に現在のアドレスの使用状況が表示されるときに、プロジェクトファイルPFの各単位画面ファイルUFに含まれる各部品に対して使用されているアドレスを読み取って、上記のメモリテーブルにアドレスの使用/未使用状態を作成する。また、アドレス管理部23cは、アドレス監視部23dによって通知されたアドレスの使用状況(使用/未使用状態)の情報を上記のメモリテーブルに反映させる。
【0079】
アドレス監視部23dは、アドレス設定部23cでのアドレス設定によって新たに使用されることになったアドレスや、アドレス設定解除によって使用されなくなったアドレスを常に監視している。また、アドレス監視部23dは、アドレスの使用状況に変化があれば、その情報を即座にアドレス管理部23cに通知する。これにより、アドレス管理部23cは、常にアドレスの使用状況についての最新の情報を確保することができる。
【0080】
データ記憶部24は、作画エディタ23によって作成されたプロジェクトファイルPFを記憶する記憶装置である。データ記憶部24は、メモリなどの記憶素子やハードディスク装置のような大容量記憶装置で構成される。データ記憶部24に記憶されているプロジェクトファイルPFは、実行環境にダウンロードするために、プログラマブル表示器3に転送されてFEPROM32bに保存される。
【0081】
ここで、上記のように構成される制御システム1における変数設定の動作について説明する。
【0082】
まず、作画ウインドウ101を開いた状態で、画面一覧領域103などから、アドレスを設定する対象となる部品を含む画面を選択して、編集領域102にその画面を表示させる。次に、アドレス一覧領域104における機種選択欄112からPLC4の機種を選択し、アドレスモード選択部111でビットモードかアドレスモードかを選択する。これにより、画面作成部23aは、アドレス管理部23cから選択された機種に応じたアドレスの使用状況に関する情報を取得し、その情報を基に、使用されているアドレスについてアドレス表示部116におけるアドレスアイコン116dを着色表示する。
【0083】
ユーザは、アドレス表示部116に表示されたアドレスアイコン116dの表示状態から所望のアドレスのビットについてアドレスアイコン116dをマウスポインタ120で指示して、編集領域102に配置されている部品106までドラッグする。このとき、ビットモードが選択されていれば、ドラッグしたアドレスアイコン116dのみが選択され、ワードモードが選択されていれば、ドラッグしたアドレスアイコン116dを含む列のアドレスアイコン116dが全て選択されたことになる。また、このとき、アドレスアイコン116dをドラッグしたことを視覚的にわかりやすくするために、アドレス設定部23bは、アドレスアイコン116dの外形を破線などで示すブロックをマウスポインタ120に付随させて表示してもよい。また、このとき、アドレス設定部23bは、アドレスアイコン116dに選択されたアドレスをマウスポインタ120に付随させて表示してもよい。
【0084】
アドレスアイコン116dが部品106にドラッグされると、アドレス設定部23bは、部品106の側に機能一覧ウインドウ107を表示する。マウスポインタ120が部品106の範囲外に出ると、アドレス設定部23bは、機能一覧ウインドウ107を非表示とする。このため、アドレス設定部23bは、マウスポインタ120を部品106から直接機能一覧ウインドウ107に移動できるように、部品106と機能一覧ウインドウ107とを付けてあるいは一部重ねて表示する。
【0085】
マウスポインタ120を機能一覧ウインドウ107に移動させる間に、マウス操作によってはマウスポインタ120が部品106の範囲外に出てしまうことがある。そのような場合でも機能一覧ウインドウ107を非表示とすると、機能一覧ウインドウ107を利用できなくなる。そこで、アドレス設定部23bは、マウスポインタ120が部品106の範囲外に出ても(図10参照)、所定時間は機能一覧ウインドウ107を表示させておき、その間にマウスポインタ120が機能一覧ウインドウ107内にあれば機能一覧ウインドウ107の表示を維持する。
【0086】
ユーザがマウスポインタ120を機能一覧ウインドウ107まで移動させてそこでドロップ動作を行うと、その部品106に対してドラッグしたアドレスアイコン116dによるアドレスが設定される。これにより、ユーザは、機能一覧ウインドウ107に表示される機能などを確認した上で、その部品106に対して選択したアドレスを設定してよいか否かを判断することができる。
【0087】
このとき、アドレス監視部23dは、上記のアドレスが設定されたことを認知すると、そのアドレスが使用状態となったことをアドレス管理部23cに知らせる。すると、アドレス管理部23cは、上記のアドレスについて使用済みであるとアドレス使用状況を更新する。画面作成部23aは、定期的にアドレス管理部23cのアドレス使用状況を読み取って、アドレス表示部116のアドレスアイコン116dの表示状態に反映させる。これにより、設定された上記のアドレスについて、アドレスアイコン116dが着色表示されるので、ユーザは、そのアドレスが使用済みとなったことを視覚的に確認することができる。
【0088】
以上のように、ホストコンピュータ2においては、作画ウインドウ101上に編集領域102と併せてアドレス一覧領域104を表示させ、アドレス一覧領域104のアドレス表示部116に表示されたアドレスアイコン116dを部品106にドラッグし、機能一覧ウインドウ107にドロップする操作によって、ドラッグしたアドレスアイコン116dのアドレスを部品106に設定するように構成されている。これにより、従来のようにアドレス一覧表示を画面を閉じることなくアドレス設定を行うことができる。
【0089】
また、ホストコンピュータ2においては、アドレス監視部23dがアドレス設定部23bによるアドレス設定が行われているときにアドレスの使用状況を監視しており、アドレスの使用状況に変化が生じると、その変化をアドレス管理部23cに知らせるので、アドレス管理部23cは、常にアドレス設定の結果をアドレス使用状況に反映させる。これにより、アドレス一覧領域104には、設定により使用済みとなったり使用されなくなったりしたアドレスの状況が即時に表示される。それゆえ、従来のように、アドレス設定後にアドレス設定画面を一旦閉じて、アドレス一覧表示のために改めてアドレス管理部から全てのアドレスについて使用状況を読み込むといった処理が不要になる。
【0090】
このように、本実施形態によれば、アドレスの使用状況を確認しながら、アドレス設定の作業を行うことができるとともに、アドレス設定をしながら未使用アドレスの確認を容易にすることができる。したがって、本実施形態によれば、アドレス設定を効率的に行うことができる。
【0091】
なお、上記の実施形態では、部品についてアドレスを設定する例について説明したが、タグにアドレスを設定する場合にも、同様の処理を行うことによって、アドレス設定を効率的に行うことができる。また、画面作成部23aは、使用済みのアドレスについてアドレスアイコン116dを着色表示しているが、使用済みアドレスをさらに使用すること(2回以上の使用)もあるので、この場合は1回使用したアドレスについての着色表示と異なる色でアドレスアイコンを着色表示するようにしてもよい。また、アドレス設定部23cは、使用済みのアドレスを設定(使用)できないように制限するモードを有していてもよい。さらに、本実施形態では、アドレス設定部23bは、部品106にドラッグ操作行うと機能一覧ウインドウ107を表示して、これにドロップ操作を行うことによりアドレスを設定したが、これに限らず、機能一覧ウインドウ107を表示せずに、部品106に直接ドロップ操作を行うことによりアドレス設定を行うようにしてもよい。
【0092】
本発明は上述した実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能である。すなわち、請求項に示した範囲で適宜変更した技術的手段を組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。
【産業上の利用可能性】
【0093】
本発明の画面作成装置は、プログラマブル表示器などに表示する画面に含まれる部品にアドレスを設定する作業を効率的に行うことができるので、プログラマブル表示器等を含む制御システムの開発に好適に利用できる。
【図面の簡単な説明】
【0094】
【図1】本発明の実施形態に係る制御システムの構成を示すブロック図である。
【図2】上記制御システムにおけるプログラマブル表示器のFEPROMに格納されるプログラム構成を示す説明図である。
【図3】上記プログラマブル表示器で表示されるユーザ画面の画面データに含まれる指示処理語の基本的フォーマットを示す説明図である。
【図4】上記FEPROMに格納される画面ファイルの構成を示す図である。
【図5】上記制御システムの作画エディタが用意している作画ウインドウの構成を示す図である。
【図6】上記作画ウインドウに設けられるアドレス一覧領域の詳細な構成を示す図である。
【図7】上記アドレス一覧領域においてジャンプボタンの操作によって指定アドレスを含むアドレスが表示された状態を示す図である。
【図8】上記作画ウインドウに設けられるリファレンス表示領域の詳細な構成を示す図である。
【図9】上記作画ウインドウの編集領域に表示される機能一覧ウインドウ107の構成を示す図である。
【図10】上記作画ウインドウにおけるアドレス設定の操作を示す図である。
【符号の説明】
【0095】
2 ホストコンピュータ(画面作成装置)
23 作画エディタ
23a 画面作成部(画面作成手段)
23b アドレス設定部(アドレス設定手段)
23c アドレス管理部(アドレス管理手段)
23d アドレス監視部(アドレス監視手段)
101 作画ウインドウ
102 編集領域(画面作成領域)
104 アドレス一覧領域(アドレス一覧)
106 部品(表示要素)
107 機能一覧ウインドウ(関連情報一覧)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
アドレスで特定されたメモリにおける領域にデータが読み書きされた状態を表示する表示要素を含む画面を作成する画面作成手段と、特定のアドレスのデータの読み書きを表示するように当該アドレスを前記表示要素に設定するアドレス設定手段とを備えている画面作成装置において、
前記画面作成手段は、前記アドレスの使用状況を示したアドレス一覧を前記画面を作成するための画面作成領域とともに表示することを特徴とする画面作成装置。
【請求項2】
前記画面作成手段は、前記アドレス一覧においてアドレスの使用状況をアドレス毎に図形で表して表示し、
前記アドレス設定手段は、前記アドレス一覧に表示された図形の前記画面作成領域に配置された前記表示要素へのドラッグ&ドロップ操作により、選択されたアドレスを当該表示要素に設定することを特徴とする請求項1に記載の画面作成装置。
【請求項3】
前記アドレス設定手段は、前記アドレス一覧に表示された図形の前記画面作成領域に配置された前記表示要素へのドラッグ操作により、該表示要素に関する情報を示した関連情報一覧を表示し、当該関連情報一覧へのドロップ操作により、選択されたアドレスを当該表示要素に設定することを特徴とする請求項1に記載の画面作成装置。
【請求項4】
前記アドレスの使用状況を管理するアドレス管理手段と、
前記アドレス設定手段のアドレス設定による前記アドレスの使用状況の変化を監視し、その変化を前記アドレス管理手段に知らせるアドレス監視手段とを備え、
前記画面作成手段は、前記アドレス管理手段で管理されている前記アドレスの使用状況に基づいて、前記アドレス一覧を表示することを特徴とする請求項1ないし3のいずれか1項に記載の画面作成装置。
【請求項5】
請求項1ないし4のいずれかに記載の画面作成装置を動作させるための画面作成プログラムであって、コンピュータを上記各手段として機能させるための画面作成プログラム。
【請求項6】
請求項5に記載の画面作成プログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2006−99568(P2006−99568A)
【公開日】平成18年4月13日(2006.4.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−286637(P2004−286637)
【出願日】平成16年9月30日(2004.9.30)
【出願人】(000134109)株式会社デジタル (224)
【Fターム(参考)】