説明

界面活性剤組成物の製造方法

【課題】ゲル分散性に優れる界面活性剤組成物の製造方法を提供する。
【解決手段】(A)アニオン界面活性剤と、(B)非イオン界面活性剤と、(C)両性界面活性剤と、(D)水膨潤性粘土鉱物と、(E)水とを含有する界面活性剤組成物の製造方法であって、(A)〜(C)成分と(E)成分の一部(E1)を質量比で(E1)/((A)+(B)+(C))=0.6〜1.0となるように常温で混合した後、50〜80℃に加温し、次いで(D)成分と(E)成分の一部(E2)を、質量比で(E2)/((A)+(B)+(C))=0.1〜0.3、及び(D)/((A)+(B)+(C))=0.001〜0.004となるように混合し、さらに(E)成分の残部(E3)を混合する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シャンプー、リンスインシャンプー、トリートメントインシャンプー、ハンドソープ、ボディソープ、食器洗い洗剤等の洗浄に好適に用いられる界面活性剤組成物の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
アニオン界面活性剤と非イオン界面活性剤、両性界面活性剤の組合せは洗浄性と肌マイルド性の点で好ましく洗浄剤組成物として有用であるが、製剤化の段階で原料から水希釈される過程で、強固なゲル相となる水分含有量を通過することで、均一分散溶解を阻害する。そのため、攪拌力により強制的にゲルを破壊する方法もとられるが、気泡の混入による保存安定性能の低下や、それにともなう充填包装時の充填量のばらつき、高分子を含む場合に高分子鎖切断による粘度低下が課題となる。さらに、気泡混入後の脱泡のため多大な時間を要するため、生産性において大きな課題となる。
【0003】
ゲル化抑制ために、これまでにも数多くの提案がなされている。例えば、特許文献1には、高濃度液体洗剤を製造する際に、予め両性界面活性剤及び一価アルコール類、多価アルコール類、芳香族カルボン酸類、芳香族スルホン酸類などをゲル化防止剤として混合後に、前記界面活性剤を添加することにより、複合液晶形成によるゲル化を防止できることが開示されている。しかし、常温では活性剤の原料粘度が高いことが多く、高い攪拌動力を要することから、混合時に加温することで減粘させることが多い。その際に、混合と加温を同時にスタートすることで、ゲル粒子が生成し、それらを溶解させるために多大な時間を要することが課題であったことから対策としては不十分であるという問題がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2003−238999号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、前記従来における諸問題を解決し、以下の目的を達成することを課題とする。即ち、本発明は、洗浄性と肌マイルド性の点で好ましいアニオン界面活性剤と非イオン界面活性剤、両性界面活性剤の組合せの界面活性剤組成物の製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記課題を解決するため本発明者らが鋭意検討を重ねた結果、
(A)成分:アニオン界面活性剤と、(B)成分:非イオン界面活性剤と、(C)成分:両性界面活性剤と、(D)成分:水膨潤性粘土鉱物と、(E)成分:水とを含有する界面活性剤組成物の製造方法であって、
工程1:前記(A)成分と、前記(B)成分と、前記(C)成分と、前記(E)成分の一部(E1)を常温で混合して、質量比で(E1)/((A)+(B)+(C))=0.6〜1.0である混合物を得る工程と、
工程2:工程1で得られた混合物を50〜80℃に加温する工程と、
工程3:工程2で得られた混合物と、前記(D)成分と、前記(E)成分の一部(E2)を、質量比で(E2)/((A)+(B)+(C))=0.1〜0.3、及び(D)/((A)+(B)+(C))=0.001〜0.004となるように混合して混合物を得る工程と、
工程4:工程3で得られた混合物と、前記(E)成分の残部(E3)を混合する工程
とを有することにより、界面活性剤組成物の製造時において、界面活性剤が高濃度の原料から希釈溶解される際に生じる、界面活性剤の水和ゲルがすみやかに消失し、均一溶解時間を短縮可能になる製造の効率化が得られることを見出した。
【発明の効果】
【0007】
本発明によると、本発明は、洗浄性と肌マイルド性の点で好ましいアニオン界面活性剤と非イオン界面活性剤、両性界面活性剤の組合せの界面活性剤組成物の調製の際に課題となる、均一分散効率の向上が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】本発明の界面活性剤組成物の製造方法の実施例に用いた混合装置を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
(界面活性剤組成物)
本発明の界面活性剤組成物は、(A)アニオン界面活性剤、(B)非イオン界面活性剤、(C)両性界面活性剤、(D)水膨潤性粘土鉱物、(E)水を含有し、必要に応じてその他の成分を含有してなる。
<(A)アニオン界面活性剤>
本発明の(A)成分であるアニオン界面活性剤は、洗浄実感、及びすすぎ時のなめらかさを増強する働きを有している。
【0010】
前記(A)成分のアニオン界面活性剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えばアルキルスルホン酸塩、アルキル硫酸塩、アルキルスルホコハク酸塩、アシル化アミノ酸塩、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル硫酸塩(アルキレン部分としては、ポリオキシエチレン、ポリオキシプロピレンが好ましく、ポリオキシエチレンがより好ましい)、アルキルベンゼンスルホン酸塩、N−アシル−N−メチルタウリン塩、α−オレフィンスルホン酸塩、高級脂肪酸エステルスルホン酸塩、アルキルエーテル酢酸塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテル酢酸塩、ヤシ油脂肪酸メチルタウリン塩;ラウリン酸カリウム、ミリスチン酸カリウム等の脂肪酸石ケン、アルキルリン酸エステル塩、N−ラウロイルグルタミン酸塩、N−パルミトイルグルタミン酸塩、N−ラウロイル−N−エチルグリシン塩、N−ラウロイルザルコシン塩、N−ミリストイル−β−アラニン塩、又はこれらのポリオキシエチレン付加物などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。これらの塩の対イオンとしては、例えばアルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩、アンモニウム塩、アルカノールアミン塩などが挙げられる。
【0011】
これらの中でも、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸塩(アルキル鎖長は10〜24、EO平均付加モル数は1〜10が好ましい)、テトラデセンスルホン酸塩、脂肪酸石ケン、アルキルスルホコハク酸塩、ヤシ油脂肪酸メチルタウリン塩が好ましく、洗浄実感、すすぎ時のなめらかさ、及び乾燥後のなめらかさの点からアルキル鎖長が12〜14、EOの平均付加モル数が2〜4のポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸塩が特に好ましい。
【0012】
前記(A)成分のアニオン界面活性剤の含有量は、前記組成物全体に対し10質量%〜30質量%であり、15質量%〜25質量%であることが好ましい。前記含有量が、10質量%未満であると、洗浄剤組成物としての十分な洗浄実感が得られず、乾燥後のさらさら感、及び乾燥後のなめらかさが低下してしまうことがあり、30質量%を超えると、すすぎ時のなめらかさ、乾燥後のさらさら感、及び乾燥後のなめらかさが低下してしまうことがある。
<(B)非イオン界面活性剤>
本発明の(B)成分である非イオン界面活性剤は、化粧品及び洗浄剤に一般的に用いられているものであればよい。具体的には例えば以下のものが挙げられる。
(1)平均炭素数10〜24の直鎖または分岐鎖のアルキル基またはアルケニル基を有し、エチレンオキサイド、プロピレンオキサイドまたはブチレンオキサイドを付加したポリオキシアルキレンアルキルエーテル、ポリオキシアルキレンアルケニルエーテル、またはポリオキシアルキレンアルキルエステル、ポリオキシアルキレンアルケニルエステル。
(2)炭素数8〜20のモノグリセライドまたはそのエトキシレート。
(3)炭素数8〜20の高級脂肪酸ショ糖エステル。
(4)炭素数8〜20のアシル基を有するポリグリセリン脂肪酸エステル。
(5)炭素数8〜20の高級脂肪酸モノもしくはジエタノールアミドまたはそれらのエトキシレート。
(6)ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油。
(7)炭素数8〜20のアシル基を有するポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル。
(8)炭素数8〜20のアシル基を有するポリオキシエチレンソルビット脂肪酸エステル。
(9)炭素数8〜18の直鎖または分岐鎖のアルキル基、アルケニル基またはアルキルフェニル基を有するアルキルサッカライド系界面活性剤。
(10)炭素数8〜20の直鎖または分岐鎖のアルキル基、アルケニル基を有するアルキルアミンオキサイドまたはアルキルアミドアミンオキサイド。
(11)炭素数8〜20の直鎖または分岐鎖のアルキル基またはアルケニル基を有する多価アルコールのエーテル化合物またはエステル化合物。
【0013】
上記のうち、洗浄性及びすすぎ性、すすぎ時の感触の点から、炭素数8〜20のアシル基を有するポリグリセリン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油が特に好ましい。これら、非イオン界面活性剤は一つまたは二つ以上の選ぶことが出来、選定した合計として組成物中における含有量は、1〜8質量%であり、好ましくは2〜4質量%である。含有量1質量%未満だと十分な洗浄力がえられず、8質量%を超えるとすすぎ時感触が低下することがある。
<(C)両性界面活性剤>
本発明の(C)成分である両性界面活性剤としては、例えば、炭素数が8から22の、アルキルアミノプロピルベタイン、アルキルアミンオキサイド、アルキルカルボキシベタイン等で、好ましくはアルキルアミンオキサイドを挙げることができ、これらは1種単独で又は2種以上を適宜組み合わせて使用することができる。
前記(C)成分の両性界面活性剤の含有量は、前記組成物全体に対し0.5質量%〜4質量%であり、1質量%〜3質量%であることが好ましい。前記含有量が0.5質量%未満だと十分な洗浄力と泡立ち性が得られず、4質量%超だとすすぎ性が低下してしまうことがある。
<(D)水膨潤性粘土鉱物>
本発明の(D)成分である水膨潤性粘土鉱物は、界面活性剤の水和ゲル化合物の構造を緩和し、性能面ではすすぎ時のなめらかさ、乾燥後のさらさら感、及び乾燥後のなめらかさを付与する働きを有している。
【0014】
前記(D)成分の水膨潤性粘土鉱物としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、膨潤力が20mL/2g以上である水膨潤性粘土鉱物が、すすぎ時のなめらかさ、乾燥後のさらさら感、及び乾燥後のなめらかさの点から好ましく、膨潤力が60mL/2g以上である水膨潤性粘土鉱物がより好ましい。
【0015】
前記膨潤力が60mL/2g以上である水膨潤性粘土鉱物は、層間に水分子を水和して取り込む交換性のイオンを含有しており、膨潤性、吸着性、結合性、懸濁性、増粘性などの性質を有し、他の粘土鉱物とは異なる性質を示すものである。
【0016】
ここで、前記膨潤力は、第15改正日本薬品局方に定められたベントナイトの試験方法を準用し、粘土鉱物2gの膨潤体積(mL)で表される。具体的には、粘土鉱物2gを取り、水100mLを入れた100mLのメスシリンダーに10回に分けて加え、これを24時間放置したときの器底の塊の見かけ容積を目盛りから読み取る。なお、粘土鉱物を10回に分けて水に加えるとき、先に加えた試料がほとんど沈着した後、次の試料を加える。
【0017】
前記(D)成分の水膨潤性粘土鉱物としては、天然もしくは合成スメクタイト粘土鉱物が挙げられる。前記膨潤力が20mL/2g以上である水膨潤性粘土鉱物としては、市販されているものを使用することもでき、例えば、ポーラゲル(アメリカンコロイド社製、膨潤力20mL/2g)、ベンゲルFW(豊順鉱業株式会社製、膨潤力38mL/2g)、ルーセンタイト(コープケミカル社製)、ベントナイト(クニピアG、膨潤力86mL/2g、クニミネ工業株式会社製)、モンモリロナイト(クニピアF、膨潤力70mL/2g、クニミネ工業株式会社製)、ベンクレイ(水澤化学工業株式会社製)、サポナイト(ビーガムT、バンダービルト社製、膨潤力60mL/2g)、ヘクトライト、ソーコナイト、スチーブンサイト、などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、ベントナイト、モンモリロナイト、ポーラゲル、ベンゲルFW、サポナイト、ヘクトライト、ソーコナイト、スチーブンサイト、ベンクレイ、ルーセンタイトが好ましく、すすぎ時のなめらかさ、乾燥後のさらさら感、及び乾燥後のなめらかさの点から、ベントナイト(クニピアG、膨潤力86mL/2g、クニミネ工業株式会社製)、モンモリロナイト(クニピアF、膨潤力70mL/2g、クニミネ工業株式会社製)が特に好ましい。
【0018】
前記(D)成分の水膨潤性粘土鉱物の含有量は、前記組成物全体に対し、0.01質量%〜0.5質量%であり、すすぎ時のなめらかさ、乾燥後のさらさら感、及び乾燥後のなめらかさを付与する点から、0.02質量%〜0.3質量%であることが好ましい。前記含有量が、0.01質量%未満であると、乾燥後のさらさら感、及び乾燥後のなめらかさが不十分となり、0.5質量%を超えると、すすぎ時のなめらかさが低下してしまうことがある。
<(E)水>
本発明の(E)成分は、水である。(E)成分は、特に限定されず、水道水、井水や、蒸留、イオン交換、ろ過又はこれらを組み合わせて処理した精製水等が挙げられる。特に、精製水が好適に用いられる。
<その他の成分>
前記その他の成分としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えばカチオン性界面活性剤、アニオン性ポリマー、ノニオン性ポリマー、カチオン性ポリマー、ポリオール類、有機酸類;BHT、α−トコフェロール等の酸化防止剤;脂肪酸モノエタノールアミド、脂肪酸ジエタノールアミド等の粘度調整剤;紫外線吸収剤、酸化防止剤、タンパク誘導体、動植物抽出液;グリチルリチン酸ジカリウム等の抗炎症剤;ケーソンCG等の防腐剤;クエン酸;トリエタノールアミン等のpH調整剤;乳濁剤、ハイドロトロープ、低級アルコール、ビタミン類、動植物油、揮発性油分、炭化水素、エステル油、シリコーン油、パール剤、清涼化剤、ふけ取り剤,色素、香料などが挙げられる
前記パール剤としては、例えばエチレングリコールのステアリン酸エステル、ジエチレングリコールのステアリン酸エステル、トリエチレングリコールのステアリン酸エステルなどが挙げられ、具体的には、エチレングリコールモノステアレート、エチレングリコールジステアレート、ジエチレングリコールモノステアレート、ジエチレングリコールジステアレート、トリエチレングリコールモノステアレート、トリエチレングリコールジステアレートなどが挙げられる。これらの中でも、液外観の点でエチレングリコールジステアレート(ジステアリン酸エチレングリコール)が特に好ましい。
【0019】
前記清涼化剤としては、例えばL−メントール、カンフル、ボルネオール、などが挙げられる。これらの中でも、洗い上がりのすっきり感の点でL−メントールが特に好ましい。
【0020】
前記ふけ取り剤としては、例えば、ピロクトンオラミン、トリクロサン、トリクロロカルバン、イソプロピルメチルフェノール;前記(C)成分以外の塩酸クロルヘキシジン、アルキルジアミノエチルグリシン、塩化セチルピリジニウム、塩化ベンザルコニウム、塩化ベンゼトニウム等のカチオン性界面活性剤などが挙げられる。これらの中でも、ピロクトンオラミンがふけ取り効果の点で特に好ましい。
(製造方法)
本発明の界面活性剤組成物の製造方法は、
(A)成分:アニオン界面活性剤と、(B)成分:非イオン界面活性剤と、(C)成分:両性界面活性剤と、(D)成分:水膨潤性粘土鉱物と、(E)成分:水とを含有する界面活性剤組成物の製造方法であって、
工程1:前記(A)成分と、前記(B)成分と、前記(C)成分と、前記(E)成分の一部(E1)を常温で混合して、質量比で(E1)/((A)+(B)+(C))=0.6〜1.0である混合物を得る工程と、
工程2:工程1で得られた混合物を50〜80℃に加温する工程と、
工程3:工程2で得られた混合物と、前記(D)成分と、前記(E)成分の一部(E2)を、質量比で(E2)/((A)+(B)+(C))=0.1〜0.3、及び(D)/((A)+(B)+(C))=0.001〜0.004となるように混合して混合物を得る工程と、
工程4:工程3で得られた混合物と、前記(E)成分の残部(E3)を混合する工程
とを有するものである。
<工程1>
工程1は、(A)成分と、(B)成分と、(C)成分と、(E)成分の一部(E1)を常温で混合して、質量比で(E1)/((A)+(B)+(C))=0.6〜1.0である混合物を得る工程である。
【0021】
本発明において、常温つまり好ましくは10〜40℃、より好ましくは15〜30℃で、5〜30分混合し、撹拌回転数については、目視で全体流動が確認出来る回転数以上であることが好ましく、過度の撹拌による泡立ちを抑制するためN/Vとして、0.01〜0.2となる撹拌回転数がより好ましい。なお、N:攪拌回転数[s−1]、D:攪拌翼径[m]、V:調製量[10kg]である。さらに、気泡混入防止のため、減圧条件下での撹拌が好ましく、大気圧に対し−0.5〜0.9kPaがさらに好ましい。
<工程2>
工程2は、工程1で得られた混合物を50〜80℃に加温する工程である。加温するための昇温速度は0.5〜3℃/分、好ましくは1〜2.5℃/分であり、撹拌速度N/Vとして、0.01〜0.2となる撹拌回転数で撹拌しながら50〜80℃、好ましくは60〜80℃まで加温する。さらに、気泡混入防止のため、減圧条件下での撹拌が好ましく、大気圧に対し−0.4〜0.7kPaがさらに好ましい。
<工程3>
工程3は、工程2で得られた混合物と、前記(D)成分と、前記(E)成分の一部(E2)を、質量比で(E2)/((A)+(B)+(C))=0.1〜0.3、及び(D)/((A)+(B)+(C))=0.001〜0.004となるように混合して混合物を得る工程である。
【0022】
(D)成分は、予め50〜80℃で調製した水膨潤性粘土鉱物の水分散液を工程2で得られた混合物に添加することが好ましく、活性剤に対し(E)水が質量比で(E)/((A)+(B)+(C))=0.1〜0.3、及び(D)/((A)+(B)+(C))==0.001〜0.004となるように、N/Vとして、0.01〜0.5となる撹拌回転数で10〜20分間混合することが好ましい。さらに、気泡混入防止のため、減圧条件下での撹拌が好ましく、大気圧に対し−0.4〜0.7kPaがさらに好ましい。
<工程4>
工程4は、工程3で得られた混合物と、前記(E)成分の残部(E3)を混合する工程である。(E3)成分は、50〜80℃に加温して添加するのが好く、N/Vとして、0.05〜0.2となる撹拌回転数で混合することが好ましい。
さらに、気泡混入防止のため、減圧条件下での撹拌が好ましく、大気圧に対し−0.4〜0.7kPaがさらに好ましい。
【0023】
工程2における加温時、工程3〜4における保温時において加熱操作する前に、事前に密閉状態で減圧状態を維持にすることで、加熱操作時に減圧操作をしないことが加熱部での局所加熱による蒸発によるゲル生成を抑制する点で好ましい。
(その他の工程)
本発明の界面活性剤組成物の製造方法においては、上記工程1〜4以外の工程としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、下記工程5〜6が挙げられる。
<工程5(冷却工程)>
上記工程4において、ゲルが消失し均一に溶解した後に、冷却速度0.3〜3℃/分、好ましくは0.5〜2℃/分でN/Vとして、0.05〜0.2となる撹拌回転数で混合しながら20〜45℃まで冷却する。さらに、気泡混入防止のため、減圧条件下での撹拌が好ましく、大気圧に対し−0.4〜0.7kPaがさらに好ましい。冷却水温度については特に規制されないが、冷却効率と冷却面での過冷却によるゲル生成抑制の点から、5〜20℃が好ましい。
<工程6>
上記工程5(冷却工程)終了後に、残りの成分を添加し目的とする界面活性剤組成物を調製してもかまわない。本願では任意成分を添加し毛髪用洗浄剤組成物を調製することを例示する。任意成分添加後にN/Vとして、0.01〜0.1となる撹拌回転数で混合することが好ましい。さらに、気泡混入防止のため、減圧条件下での撹拌が好ましく、大気圧に対し−0.4〜0.7kPaがさらに好ましい。
<用途>
本発明は、シャンプー、リンスインシャンプー、トリートメントインシャンプー、ハンドソープ、ボディソープ、食器洗い洗剤等の洗浄に好適に用いられる界面活性剤組成物の製造方法として好適に利用可能である。
【実施例】
【0024】
以下、実施例を示して本発明を詳細に説明するが、本発明は以下の記載によって限定されるものではない。なお、「%」は特に断りがない限り「質量%」を示す。
(使用原料)
各実施例及び各比較例における使用原料を以下に示す。
<(A)成分>
・POEラウリルエーテル硫酸ナトリウム(2E.O.):シノリンSPE−1250(商品名)、新日本理化株式会社製、純分69%
<(B)成分>
・モノラウリン酸ポリグリセリル:サンソフトM12−JW(商品名)、太陽化学株式会社製、純分50%
・POE硬化ヒマシ油(20E.O.):ブラウノンCW−20−90(商品名)、青木油脂工業株式会社製、純分90%
<(C)成分>
・ラウリン酸アミドプロピルベタイン液:エナジコールL−30B、ライオン株式会社製、純分30%
<(D)成分>
・ベントナイト:クニピア−G(商品名)、クニミネ工業株式会社製
<(E)成分>
・水:精製水
<その他の成分>
・安息香酸ナトリウム:安息香酸ソーダ、株式会社伏見製薬所製
・塩化ジメチルジアリルアンモニウム・アクリルアミド共重合体液:カヤクリルレジンM−50A(商品名)、日本化薬株式会社製、純分5.5%
・塩化ステアリルトリメチルアンモニウム液(50%):アーカードT−800(商品名)、ライオン株式会社製、純分50%
・高重合ジメチルシリコーンエマルジョン:シリコーンエマルジョン(6)(商品名)一方社油脂工業株式会社製、純分60%
・アモジメチコン:SM8904(商品名)、東レ・ダウコーニング株式会社製、純分40%
・クエン酸・1水和物 :クエン酸結晶L(商品名)、扶桑化学株式会社製
・ジステアリン酸エチレングリコール分散液:アルポールPH(商品名)、ライオン株式会社製、純分25%
・L−メントール:L−メントール(商品名)、高砂香料株式会社製、純分1%
・香料:FRAGRANCE TJP−F−006932、高砂香料株式会社製、純分0.5%

<共通成分>
表1に示す組成の共通成分を用いた。表1中の共通成分の配合量[kg]は、界面活性剤組成物中の配合量である。
【0025】
【表1】



【0026】
(実施例1〜7及び比較例1〜6)
−界面活性剤組成物の調製−
下記表2〜5に示す組成について、図1に示すみずほ工業株式会社製 PVT−1−20を使用し、下記工程順序により調製した。なお、表2〜5中の配合量の単位はkgで示す。
【0027】
また、本願実施例および比較例にて使用した装置におけるN/Vについての計算式を下記に示す。
【0028】
/V=(N+N)/V
:カキトリ翼回転数(回転数/秒)、N:タービン翼回転数(回転数/秒)
:カキトリ翼直径 0.3m、D:タービン翼直径 0.21m
V:仕込み量(10kg)
(調製方法)
表2〜5に記載の(A)成分と(B)成分と(C)成分と(E)成分とを図1に示す混合装置と同様の混合装置(PVT−1−20型、みずほ工業製)で25℃で攪拌し、混合液を得た。混合に当たっては、カキトリ翼30rpm、タービン翼20rpmで大気圧に対し−0.9kPaの減圧条件下で10分間撹拌した(工程1)。
【0029】
その後、2℃/分で昇温しながら、カキトリ翼30rpm、タービン翼20rpmにて撹拌しながら、大気圧に対し−0.7kPaの減圧条件下で80℃まで加温した(工程2)。
【0030】
さらに、予め調製した80℃の水膨潤性粘土鉱物の精製水分散液を添加し、カキトリ翼50rpm、タービン翼50rpmにて大気圧に対し−0.7kPaの減圧条件下で15分間撹拌した(工程3)。
【0031】
さらに、80℃に加温した残りの精製水を添加し、カキトリ翼50rpm、タービン翼50rpmにて大気圧に対し−0.7kPaの減圧条件下で目視にてゲルが消失するのを確認するまで撹拌を継続して界面活性剤組成物を得た(工程4)。
【0032】
続いて、冷却速度1℃/分、カキトリ翼50rpm、タービン翼50rpmにて大気圧に対し−0.7kPaの減圧条件下で40℃まで冷却した(工程5)。
【0033】
冷却終了後に、表1記載の共通成分添加後にカキトリ翼40rpm、タービン翼40rpmにて大気圧に対し−0.9kPaの減圧条件下で撹拌し(工程6)、毛髪用洗浄剤組成物を得た。
(評価方法)
前記調製方法において、残りの精製水を添加してから、ゲルが消失するまでに撹拌した時間を工程4のゲル分散時間とした。
【0034】
【表2】



【0035】
【表3】



【0036】
【表4】



【0037】
【表5】



【0038】
表2〜5に示すように、実施例1〜7は工程4のゲル分散時間が早く、比較例1〜6は工程4のゲル分散時間が遅いことが確認できた。


【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)成分:アニオン界面活性剤と、(B)成分:非イオン界面活性剤と、(C)成分:両性界面活性剤と、(D)成分:水膨潤性粘土鉱物と、(E)成分:水とを含有する界面活性剤組成物の製造方法であって、
工程1:前記(A)成分と、前記(B)成分と、前記(C)成分と、前記(E)成分の一部(E1)を常温で混合して、質量比で(E1)/((A)+(B)+(C))=0.6〜1.0である混合物を得る工程と、
工程2:工程1で得られた混合物を50〜80℃に加温する工程と、
工程3:工程2で得られた混合物と、前記(D)成分と、前記(E)成分の一部(E2)を、質量比で(E2)/((A)+(B)+(C))=0.1〜0.3、及び(D)/((A)+(B)+(C))=0.001〜0.004となるように混合して混合物を得る工程と、
工程4:工程3で得られた混合物と、前記(E)成分の残部(E3)を混合する工程
とを有することを特徴とする界面活性剤組成物の製造方法。


【図1】
image rotate


【公開番号】特開2012−131853(P2012−131853A)
【公開日】平成24年7月12日(2012.7.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−282870(P2010−282870)
【出願日】平成22年12月20日(2010.12.20)
【出願人】(000006769)ライオン株式会社 (1,816)
【Fターム(参考)】