説明

留守番電話装置

【課題】留守番メッセージの優先度を決定する際の指標となるキーワードを自動更新し、留守番メッセージに対して常に適正な優先度を設定できる留守番電話装置を提供する。
【解決手段】言語モデルを記憶した言語モデルDB12と、キーワードを重み値と対応付けて記憶するキーワードDB15と、音声メッセージを言語モデルに基づく音声認識処理でテキストに変換するテキスト処理部14と、テキストから単語を抽出する単語抽出部17aと、テキストに基づいて要約メッセージを作成する要約作成部17bと、要約メッセージに含まれるキーワードの重み値に基づいて優先度を決定する優先度決定部18と、抽出された単語に基づいてキーワードDB15を更新する更新部19と、要約メッセージまたはその音声メッセージおよびテキストのいずれかを優先度に応じた形態で出力する出力制御部20とを含む

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、発信者の音声メッセージを記録し、要求に応じて出力する留守番電話装置に係り、特に、記録された音声メッセージに対して優先度を適正に設定できる留守番電話装置に関する。
【背景技術】
【0002】
固定電話において着信者が留守の場合、あるいは携帯電話において着信者が会議中や公共交通機関による移動中であって通話が不可能な場合などに、発信者の音声メッセージを記録しておき、着信者が後に音声メッセージを聴取することにより伝達内容を知ることを可能にする留守番電話装置が知られている。
【0003】
会議中や移動中などは、着信者にとって通話は不可能であっても携帯電話等を用いたテキスト情報の閲覧であれば可能であることが多い。したがって、留守番電話装置に記録された音声メッセージの書き起こし、あるいはその要約をテキストで取得できれば、通話不可の状況下でも発信者からの伝達内容をリアルタイムで知ることができる。
【0004】
また、留守番電話装置に複数の音声メッセージが記録されている場合、そのうち何れが緊急性や重要度の高いものであるかという優先順位情報(メッセージ優先順位)を取得し、優先順位の高いメッセージのみを閲覧する、あるいは音声メッセージそのものを聴取するといった対応を取ることができれば、全ての音声メッセージを記録順に確認する場合よりも効率的である。
【0005】
特許文献1には、留守番電話装置に記録された音声メッセージを音声認識によりテキストに書き起こし、所定のメールアドレスへ送信する技術が開示されている。ここではさらに、予め設定されたキーワードを用いて音声メッセージ中の重要箇所を抜き出す技術が開示されている。
【0006】
特許文献2には、録音された音声メッセージをテキストに書き起こして着信者に内容を知らせる携帯電話が開示されている。ここではさらに、「緊急」、「重要」等のキーワードを抜き出し、音声メッセージの緊急性、重要度等を着信者に知らせることも提案されている。
【0007】
特許文献3には、音声認識により得られた書き起こしメッセージから、予め設定されたキーワードの重要度およびその頻度情報に基づいて音声メッセージの主題を抽出し、これを着信者に通知する装置が開示されている。ここでは、発信者毎にキーワードおよび重要度を設定しておくことで、発信者毎に異なるキーワードおよび重要度の組合せを用いることが可能になる。
【0008】
特許文献4には、予め設定されたキーワードが書き起こしメッセージに含まれる頻度の情報と、音声メッセージ自体の韻律等による感情分析結果とに基づいて、メッセージの優先順位を決定する装置が開示されている。
【特許文献1】特開2003−198763号公報
【特許文献2】特開2003−218999号公報
【特許文献3】特開2004−95602号公報
【特許文献4】特開2007−49657号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、上記の従来技術ではキーワード情報を着信者自身が手動操作により更新しなければならなかった。例えば、留守番電話装置の使用開始時に、着信者が発信者に対して「商談1」というキーワード情報を設定したとする。ここで、発信者と着信者との間で取り扱う話題は常に同様ではなく、その時期によって変化するため、音声メッセージに含まれる、キーワード情報を設定すべき重要度の高い単語も変化する。即ち、ある時期には発信者と着信者との間で「商談1」という単語が頻繁に話題に上っていたが、商談1の成立後は別の「商談2」という単語が話題に上る頻度が高くなるといったことが考えられる。
【0010】
従来技術では、キーワードやその重要度に変化が生じた場合に、着信者自身がそれぞれの設定を更新する必要があった。しかしながら、この設定更新作業を頻繁に行うことは煩わしく、また、その煩雑さ故に着信者がキーワード情報の更新を怠った場合、得られる要約メッセージに重要なキーワードが含まれなくなったり、あるいはメッセージ優先順位がその時期の着信者の望むものにそぐわなくなったりするといった事態を招いてしまう。
【0011】
本発明の目的は、上記した従来技術の課題を解決し、留守番メッセージの優先度を決定する際の指標となるキーワードを自動更新し、留守番メッセージに対して常に適正な優先度を設定できる留守番電話装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記の目的を達成するために、本発明は、発信者の音声メッセージを記録し、要求に応じて出力する留守番電話装置において、以下のような手段を講じた点に特徴がある。
【0013】
(1)言語モデルを記憶した言語モデルデータベースと、キーワードを重み値と対応付けて記憶するキーワードデータベースと、音声メッセージを前記言語モデルに基づく音声認識処理でテキストに変換するテキスト処理手段と、前記テキストから単語を抽出する単語抽出手段と、
【0014】
前記テキストに基づいて要約メッセージを作成する要約作成手段と、前記要約メッセージに含まれるキーワードの重み値に基づいて優先度を決定する優先度決定手段と、前記抽出された単語に基づいて前記キーワードデータベースを更新する更新手段と、前記要約メッセージまたはその音声メッセージおよびテキストのいずれかを前記優先度に応じた形態で出力する出力制御手段とを含むことを特徴とする。
【0015】
(2)発信者を特定する手段を具備し、キーワードデータベースが、キーワードおよび重み値のペアを発信者ごとに記憶する固有キーワードペア群と、キーワードおよび重み値のペアを発信者と無関係に記憶する汎用キーワードペア群とを具備し、更新手段は、固有キーワードペア群がキーワードデータベースに既登録の発信者のテキストから抽出された単語に基づいて当該固有キーワードペア群を更新し、固有キーワードペア群がキーワードデータベースに未登録の発信者のテキストから抽出された単語に基づいて汎用キーワードペア群を更新することを特徴とする。
【0016】
(3)優先度決定手段は、固有キーワードペア群がキーワードデータベースに既登録の発信者の要約メッセージの優先度を、当該固有キーワードペア群のキーワードおよびその重み値に基づいて決定し、固有キーワードペア群がキーワードデータベースに未登録の発信者の要約メッセージの優先度を、前記汎用キーワードペア群のキーワードおよびその重み値に基づいて決定することを特徴とする。
【0017】
(4)優先度決定に利用したキーワードを一覧表示する手段と、一覧表示されたキーワードをユーザに評価させる手段とを具備し、更新手段は、評価結果に基づいてキーワードデータベースを更新するフィードバック手段を含むことを特徴とする。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、以下のような効果が達成される。
【0019】
(1)本発明によれば、記録された音声メッセージに含まれるキーワードに基づいてキーワードデータベースが自動更新されるので、煩雑な更新操作をユーザに強いることなくキーワードデータベースを更新できるようになる。
【0020】
(2)キーワードデータベースにおいて、キーワードおよびその重み値のペアを発信者ごとに管理し、発信者に固有のキーワードペア(固有データベースペア群)は当該発信者の音声メッセージに含まれるキーワードに基づいて更新されるので、発信者ごとにキーワードデータベースを最適化できるようになる。
【0021】
(3)要約メッセージの優先度が、その発信者に固有のキーワードに基づいて決定されるので、要約メッセージに設定する優先度の確度を高くできるようになる。
【0022】
(4)更新手段がフィードバック手段を含むので、着信者の要望をキーワードDBに反映させることができるようになる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
以下、図面を参照して本発明の最良の実施形態について詳細に説明する。図1は、本発明の一実施形態に係る留守番電話装置の主要部の構成を示したブロック図であり、ここでは、本発明の説明に不要な構成は図示が省略されている。
【0024】
着信検知部8は、発信者からの着信呼を検知する。応答部7は、着信呼に対するオフフックが検出されないときに、音声メッセージの入力を発信者に促すメッセージを再生する。このとき、音声メッセージが音声認識によりテキストに書き起こされる旨も同時に通知されるようにしても良い。
【0025】
発信者特定部10は、たとえば着信呼の発信者番号に基づいて発信者xを特定する。メッセージ記憶部11は、発信者xの音声メッセージQ1を識別情報や着信日時等と共に記憶する。発信者データベース(DB)9には、例えば着信頻度の高い一部の発信者nに関して、その発信者番号、所属、性別、年齢等の属性情報が記録されている。前記発信者特定部10は、発信者xが発信者DB9に既登録の発信者nであれば、その属性情報も併せて記憶する。
【0026】
言語モデルDB12には、認識の対象としている単語同士の連接確率が記憶されている。この言語モデルは、多数の学習用文章データ(コーパス)における各単語の連なりの頻度情報を基に作成される。本実施形態では、着信頻度の高い既登録発信者nごとに作成された固有言語モデルM1,M2…が登録されており、これとは別に汎用言語モデルMcomも記憶されている。
【0027】
音声認識処理部13は、メッセージ記憶部11に記憶されている音声メッセージを対象に、前記言語モデルDB12に記憶されている言語モデルを用いて音声認識処理を施し、各音声メッセージをテキストに書き起こす。このとき、発信者xが既登録発信者nであって、その固有言語モデルMnが言語モデルDB12に既登録であれば、当該固有言語モデルMnを用いて音声認識が行われる。これに対して、発信者xが未登録であって、その固有言語モデルが言語モデルDB12に未登録であれば、汎用言語モデルMcomを用いて音声認識が行われる。書き起こされたテキストQ2はテキスト記憶部14に一時記憶される。
【0028】
キーワードDB15には、多数のキーワードおよびその重み値のペア(キーワードペア)が登録されている。本実施形態では、着信頻度の高い既登録発信者nごとに固有キーワードペア群K1,K2…が登録されており、これとは別に汎用キーワードペア群Kcomも登録されている。更新情報DB16には、多数の単語およびその出現回数のペア(単語ペア)が登録されている。本実施形態では、着信頻度の高い既登録発信者nごとに固有単語ペア群W1,W2…が登録されており、これとは別に汎用単語ペア群Wcomも登録されている。
【0029】
テキスト処理部17は、単語抽出部17aおよび要約作成部17bを備える。単語抽出部17aは、音声メッセージのテキストQ2を解析して単語を抽出し、各単語をその出現回数と対応付けて単語ペアとして更新情報DB16に登録する。このとき、発信者xが既登録発信者nであって、その固有単語ペア群Wnが更新情報DB16に既登録であれば、前記単語ペアが当該固有単語ペア群Wnに登録される。それ以外の発信者xについては固有単語ペア群が未登録なので、前記単語ペアが汎用単語ペア群Wcomに登録される。
【0030】
要約作成部17bは、音声メッセージのテキストQ2から、前記キーワードDB15に既登録のキーワードを抽出して要約メッセージQ3を生成する。このとき、発信者xが既登録発信者nであって、その固有キーワードペア群KnがキーワードDB15に既登録であれば、当該固有キーワードペア群Knからキーワードが抽出される。これに対して、発信者xが未登録であって、その固有キーワードペア群がキーワードDB15に未登録であれば、前記汎用キーワードペア群Kcomからキーワードが抽出される。優先度決定部18は、要約メッセージQ3に含まれる各キーワードの重み値に基づいて当該要約メッセージQ3、換言すれば留守録された音声メッセージQ1およびテキストQ2の優先度を決定する。
【0031】
更新部19は、更新タイミング記憶部19a,フィードバック部19bおよび設定変更部19cを含み、キーワードDB15に既登録のキーワードペアを、前記更新タイミング記憶部19aに登録されている更新タイミングで、前記更新情報DB16に登録されている単語ペアに基づいて自動更新すると共に、キーワードDB15に登録されているキーワードペアに基づいて言語モデルDB12を更新する。
【0032】
このとき、キーワードDB15の固有キーワードペア群K1,K2…は、それぞれ対応した固有単語ペア群W1,W2…に基づいて更新される。汎用キーワードペア群Kcomは、汎用単語ペア群Wcomのみに基づいて更新されるようにしても良いし、あるいは固有単語ペア群W1,W2…および汎用単語ペア群Wcomの双方に基づいて更新されるようにしても良い。同様に、言語モデルDB12の固有言語モデルM1,M2…も、それぞれ対応した固有キーワードペア群K1,K2…に基づいて更新される。汎用言語モデルMcomは、汎用キーワードペア群Kcomのみに基づいて更新されるようにしても良いし、あるいは固有キーワードペア群K1,K2…および汎用キーワードペア群Kcomの双方に基づいて更新されるようにしても良い。
【0033】
前記更新部19はさらに、操作部6における手動の更新操作に応答して言語モデルDB12を更新し、フィードバック部19bおよび設定変更部19cによりキーワードDB15を更新する。
【0034】
出力制御部20は、操作部6におけるメッセージ出力操作に応答して、前記音声メッセージQ1、テキストQ2および要約Q3を、その優先度に応じた出力形態でスピーカ21またはLCD表示部22へ出力する。本実施形態では、例えばメッセージ等が優先度順にソートされてLCD表示部22に表示されたり、あるいは優先度順に自動再生されてスピーカ21から出力されたりする。
【0035】
図2は、本実施形態の動作を示したフローチャートであり、ステップS9において、前記着信検知部8により着信呼が検知されるとステップS10へ進み、前記発信者特定部10により、例えば発信者番号に基づいて発信者xが特定され、当該発信者xに固有の発信者IDが出力される。ステップS11ではオフフックされたか否かが判定され、所定時間が経過してもオフフックが検知されなければステップS12へ進む。ステップS12では、前記応答部7から発信者へ、音声メッセージの入力を要求する応答メッセージが再生される。
【0036】
この要求に対して発信者が音声メッセージを発声すると、ステップS13では、当該音声メッセージQ1がメッセージ記憶部11に記録される。このとき、発信者の属性情報が発信者DB9に既登録であれば、音声メッセージQ1が属性情報と対応付けられてメッセージ記憶部11に記録される。本実施形態では、着信呼の検知日時および発信者DB9において前記発信者IDと対応付けられている当該発信者の所属、性別、年齢等が音声メッセージと対応付けられて記憶される。
【0037】
ステップS14では、前記発信者IDに基づいて、当該発信者に固有の言語モデルが言語モデルDB12に既登録であるか否かが判定される。発信者の固有言語モデルが既登録であればステップS15へ進み、当該固有言語モデル(例えば、固有言語モデルM1)が選択される。これに対して、固有言語モデルが未登録であればステップS16へ進み、汎用言語モデルMcomが選択される。
【0038】
ステップS17では、音声認識処理部13において、前記選択された言語モデルを用いて前記音声メッセージがテキストQ2に書き起こされる。ステップS18では、当該テキストQ2がテキスト記憶部14に記憶される。ステップS19では、前記テキスト処理部17の単語抽出部17aにおいて、前記音声メッセージQ1のテキストQ2から単語が抽出される。抽出された単語は、その出現回数と対応付けられて、当該発信者に固有の単語ペア(単語およびその出現回数のペア)として更新情報DB16に蓄積される。
【0039】
ステップS20では、前記発信者IDに基づいて、当該発信者に固有のキーワードペア群がキーワードDB15に既登録であるか否かが判定される。既登録であればステップS21へ進み、当該固有キーワードペア群(例えば、キーワードペア群K1)が選択される。これに対して、固有キーワードペア群がキーワードDB15に未登録であればステップS22へ進み、汎用キーワードペア群Kcomが選択される。
【0040】
ステップS23では、前記選択されたキーワードペア群を用いて、前記テキストの要約メッセージQ3が生成される。この要約メッセージQ3は、前記テキストQ2に含まれるキーワードの単純羅列でも良いし、あるいはキーワードを用いた簡易な文章でも良い。ステップS24では、前記要約メッセージQ3に含まれる各キーワードの重み値に基づいて、当該要約メッセージQ3の優先度が決定される。ステップS25では、前記要約メッセージQ3が優先度と対応付けられて出力制御部20の記憶部20aに記憶される。ステップS26では、メッセージの出力操作が監視され、出力操作が検知されるとステップS27へ進む。ステップS27では、記録されている音声メッセージQ1、テキストQ2および要約メッセージQ3のいずれかが、前記優先度に基づく適宜の形態で表示出力または音声出力される。
【0041】
図3は、前記更新部19により所定の周期で繰り返し実行されるキーワード自動更新処理の手順を示したフローチャートであり、図4は、このキーワード自動更新処理によってキーワードDB15が更新される様子を模式的に表現した図である。
【0042】
ステップS51では、更新情報DB16に登録されている単語ペア[単語/出現回数]の一つが抽出される。ステップS52では、抽出された単語ペアと対応付けられた発信者nに固有のキーワードペア群KnがキーワードDB15に存在するか否かが判定される。存在すればステップS53へ進み、更新対象として当該固有キーワードペア群Knが選択される。固有キーワードペア群Knが存在しなければ、汎用キーワードペア群Kcomのみを更新するために、後述するステップS57へ進む。
【0043】
ステップS54では、前記選択された固有キーワードペア群Knに、前記抽出された単語が既登録であるか否かが判定される。ここでは、図4に示したように、更新情報DB16には発信者nの更新情報すなわち[単語/出現回数]ペアとして、[契約/12],[商談/10],[支払/8],[見積/4]が登録されており、キーワードDB15の固有キーワードペア群Knには、[キーワード/重み値]のペアとして、[見積/5.0],[契約/4.0],[支払/3.0],[手形/2.0]が登録されているものとして説明する。
【0044】
したがって、更新情報DB16から抽出された単語が「契約」であれば、固有キーワードペア群Knに既登録と判定されてステップS55へ進む。ステップS55では、キーワード「契約」の重み値が出現回数に基づいて更新される。すなわち、出現回数の20%が重み値として加算されるものとすれば、キーワード「契約」の重み値が「4.0」から「6.4」に増量更新される。同様に、更新情報DB16に登録されている単語「支払」,「見積」も発信者nの固有キーワードペア群Knに既登録なので、その重み値が同様に増量更新される。
【0045】
これに対して、更新情報DB16に登録されている単語「商談」は発信者nの固有キーワードペア群Knに未登録なのでステップS56へ進む。ステップS56では、[キーワード/重み値]のペアとして[商談/2.0]が作成されて発信者nの固有キーワードペア群Knに新規登録される。
【0046】
ステップS57〜S60では、汎用キーワードペア群Kcomを更新対象として同様の処理が実行される。すなわち、ステップS57では更新対象として汎用キーワードペア群Kcomが選択される。ステップS58では、汎用キーワードペア群Kcomに前記抽出された単語が既登録であるか否かが判定される。既登録であればステップS59へ進んで重み値が更新される。未登録であればステップS60へ進んで[キーワード/重み値]のペアが作成され、汎用キーワードペア群Kcomに新規登録される。
【0047】
ステップS61では、更新情報DB16に登録されている全ての単語について更新が完了したか否かが判定され、完了するまではステップS51へ戻って上記の処理が繰り返される。ステップS62では、更新情報DB16に未登録であってキーワードDB15に既登録の未出現キーワードの重み値が減量更新される。本実施形態では、キーワードDB15に登録されているキーワード「手形」が更新情報DB16に未登録なので、その重み値が減量更新される。例えば、更新情報DB16に未登録のキーワードは重み値を一律に「0.5」だけ減量されるものとすれば、その重み値が「2.0」から「1.5」へ減量更新される。ステップS63では、各キーワードの重み値が、前記キーワードDB15に登録されている全てのキーワードの重み値の総和が所定値(例えば、100)となるように正規化される。
【0048】
なお、本実施形態では固有単語ペア群Wnに登録されている単語ペアは、ステップS53〜S56で固有キーワードペア群Knの更新に利用されるのみならず、ステップS57〜S60で汎用キーワードペア群Kcomの更新にも利用される一方、汎用単語ペア群Wcomに登録されている単語ペアは、ステップS57〜S60で汎用キーワードペア群Kcomの更新のみに利用されるものとして説明したが、固有単語ペア群Wnに登録されている単語ペアも、ステップS53〜S56で固有キーワードペア群Knの更新のみに利用されるようにしても良い。
【0049】
図5,6は、前記更新部19によるキーワードDB15の自動更新条件を、ユーザが操作部6から設定する方法を示したLCD表示部22の表示遷移図である。
【0050】
ユーザが操作部6からキーワード更新設定を要求すると、図5(a)に示したように、LCD表示部22には更新対象を選択させる画面が表示される。固有キーワードペア群の更新タイミングを設定するのであれば、その発信者を代表する識別子(ここでは、A,B…)が選択され、汎用キーワードペア群の更新タイミングを設定するのであれば「全て」が選択される。
【0051】
更新対象として発信者Aの固有キーワードペア群が指定されると、同図(b)に示した設定項目の選択画面が表示される。ここで、設定項目として「更新に使用する情報量」が選択されると、同図(c)に示した選択画面が表示される。ユーザにより「期間」が選択されると、同図」(f)に示した期間入力画面が表示される。ユーザにより日数(ここでは、30日)が入力されると、同図(g)に示した確認画面が表示される。ユーザにより「確認」ボタンがクリックされると、前記更新タイミング記憶部19aに「更新に使用する情報量」として「30日」が記憶される。したがって、これ以降は、更新周期ごとに直近の30日間に抽出されたキーワードを用いてキーワードDB15を自動更新するスケジュールが設定される。
【0052】
一方、同図(c)に示した選択画面において「メッセージ数」が選択されると、同図」(h)に示した入力画面が表示される。ユーザによりメッセージ数(ここでは、30通)が入力されると、同図(i)に示した確認画面が表示される。ユーザにより「確認」ボタンがクリックされると、前記更新タイミング記憶部19aに「更新に使用する情報量」として「30通」が記憶される。したがって、これ以降は、更新周期ごとに直近の30通分のメッセージから抽出されたキーワードを用いてキーワードDB15を自動更新するスケジュールが設定される。
【0053】
これに対して、図6に示したように、同図(b)の選択画面で「更新タイミング」が選択されると、同図(c)に示した設定方法選択画面が表示される。設定方法として「期間」が選択されると、同図(f)の更新間隔の入力画面が表示される。ユーザにより更新間隔(ここでは、30日)が入力されると、同図(g)に示した確認画面が表示される。ユーザにより「確認」ボタンがクリックされると、前記更新タイミング記憶部19aには、更新タイミングとして「30日」が記憶される。したがって、これ以降は30日ごとにキーワードDB15を自動更新するスケジュールが設定される。
【0054】
一方、同図(c)の選択画面で「メッセージ数」が選択されると、同図(h)に示した更新間隔メッセージ数の入力画面が表示される。ユーザによりメッセージ数(ここでは、40通)が入力されると、同図(i)に示した確認画面が表示される。ユーザにより「確認」ボタンがクリックされると、前記更新タイミング記憶部19aには更新タイミングとして「40通」が記憶される。したがって、これ以降は音声メッセージが40通話記録されるごとにキーワードDB15を更新するスケジュールが設定される。
【0055】
本実施形態によれば、発信者の各メッセージに優先度を設定する際の指標となるキーワードおよびその重み値が、記録される多数のメッセージの内容に基づいて自動的に更新されるので、利用者に負担を強いることなく常に適正な優先度設定が可能になる。
【0056】
なお、本実施形態では前記キーワードおよびその重み値を上記のように自動更新できるのみならず、必要に応じて手動でも更新あるいは設定できる。
【0057】
図7は、優先度に応じて出力された要約に対するユーザの評価をキーワードDB15に反映させるフィードバック処理の動作を示したLCD表示部22の表示遷移図であり、主に更新部19のフィードバック部19bの動作を示している。
【0058】
同図(a)に一例を示した要約の表示中にユーザが操作部6からフィードバック機能を選択すると、同図(b)に示したように、当該要約作成の指標となったキーワードが一覧表示される。ここでは、2つのキーワード「X社」、「製品Y」が一覧表示されている。ここで、キーワード「製品Y」は重要だがキーワード「X社」は既に重要でないと判断したユーザにより操作部6からキーワード「製品Y」が選択されると、同図(c)に示したように、キーワード「製品Y」の重み付けを高くする旨のメッセージが表示される。ユーザにより「確認」ボタンがクリックされると、前記更新部19により、キーワードDB15において発信者Aと対応付けられているキーワード「製品Y」の重み値が増量更新されると共に、キーワード「X社」の重み値が減量補正されるか、あるいはキーワード「X社」自体が削除される。
【0059】
図8は、キーワードDB15を手動設定する処理の動作を示したLCD表示部22の表示遷移図であり、主に更新部19の設定変更部19cの動作を示している。
【0060】
ユーザが操作部6からキーワードDB15の手動設定を要求すると、同図(a)に示したように、更新対象の選択画面が表示される。特定の発信者の固有キーワード群を更新するのであれば、当該発信者を代表する識別子(ここでは、A,B…)が選択され、汎用キーワード群を更新するのであれば「汎用」が選択される。
【0061】
ここで、更新対象として発信者Aの固有キーワード群Kaが指定されると、同図(b)に示したように、「新規キーワード追加」または「既存キーワード変更」を選択する画面が表示される。「新規キーワード追加」が選択されると、同図(c)のキーワード入力画面が表示される。ユーザが所望のキーワード(ここでは、「XX商事」)を入力すると、同図(d)に示した確認画面が表示される。「確認」ボタンがクリックされると、キーワードDB15の固有キーワード群Kaに、前記追加されたキーワード「XX商事」およびその重要度がキーワードペアとして登録される。
【0062】
一方、前記図(b)の選択画面で「既存キーワード変更」が選択されると、同図(e)に示したキーワード選択画面が表示される。変更対象のキーワード(ここでは、キーワード「製品Y」)が操作部6から指定されると、同図(f)に示した変更内容指定画面が表示される。本実施形態では、「重要度を高く」、「重要度を低く」および「リストから削除」の3つの選択肢が用意されている。操作部6から変更内容が指定されると、同図(g)に示した確認画面が表示される。「確認」ボタンがクリックされると、固有キーワード群Kaに既登録のキーワード「製品Y」に前記指定された変更が実行される。
【図面の簡単な説明】
【0063】
【図1】本発明の一実施形態に係る留守番電話装置の構成を示したブロック図である。
【図2】本発明の一実施形態の動作を示したフローチャートである。
【図3】キーワード自動更新処理の手順を示したフローチャートである。
【図4】キーワード自動更新処理を模式的に表現した図である
【図5】キーワードの自動更新タイミングの設定手順を示したLCD表示部の表示遷移図である。
【図6】キーワードの自動更新タイミングの設定手順を示したLCD表示部の表示遷移図である。
【図7】フィードバック処理の手順を示したLCD表示部の表示遷移図である。
【図8】キーワードを手動設定する手順を示したLCD表示部の表示遷移図である。
【符号の説明】
【0064】
7…応答部,8…着信検知部,9…発信者DB,10…発信者特定部,11…メッセージ記憶部,12…言語モデルDB,13…音声認識処理部,14…テキスト記憶部,15…キーワードDB,16…更新情報DB,17…テキスト処理部,18…優先度決定部,19…更新部,20…出力制御部,21…スピーカ,22…LCD表示部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
発信者の音声メッセージを記録し、要求に応じて出力する留守番電話装置において、
言語モデルを記憶した言語モデルデータベースと、
キーワードを重み値と対応付けて記憶するキーワードデータベースと、
音声メッセージを前記言語モデルに基づく音声認識処理でテキストに変換するテキスト処理手段と、
前記テキストから単語を抽出する単語抽出手段と、
前記テキストに基づいて要約メッセージを作成する要約作成手段と、
前記要約メッセージに含まれるキーワードの重み値に基づいて優先度を決定する優先度決定手段と、
前記抽出された単語に基づいて前記キーワードデータベースを更新する更新手段と、
前記要約メッセージまたはその音声メッセージおよびテキストのいずれかを前記優先度に応じた形態で出力する出力制御手段とを含むことを特徴とする留守番電話装置。
【請求項2】
発信者を特定する手段を具備し、
前記キーワードデータベースが、
キーワードおよびその重み値のペアを発信者ごとに記憶する固有キーワードペア群と、
キーワードおよびその重み値のペアを発信者と無関係に記憶する汎用キーワードペア群とを具備し、
前記更新手段は、
固有キーワードペア群がキーワードデータベースに既登録の発信者のテキストから抽出された単語に基づいて当該固有キーワードペア群を更新し、
固有キーワードペア群がキーワードデータベースに未登録の発信者のテキストから抽出された単語に基づいて汎用キーワードペア群を更新することを特徴とする請求項1に記載の留守番電話装置。
【請求項3】
前記更新手段は、固有キーワードペア群がキーワードデータベースに既登録の発信者のテキストから抽出された単語に基づいて当該固有キーワードペア群および汎用キーワードペア群を更新することを特徴とする請求項2に記載の留守番電話装置。
【請求項4】
前記更新手段は、テキストから抽出された単語およびその出現回数に基づいてキーワードデータベースを更新することを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載の留守番電話装置。
【請求項5】
前記優先度決定手段は、
固有キーワードペア群がキーワードデータベースに既登録の発信者の要約メッセージの優先度を、当該固有キーワードペア群のキーワードおよびその重み値に基づいて決定し、
固有キーワードペア群がキーワードデータベースに未登録の発信者の要約メッセージの優先度を、前記汎用キーワードペア群のキーワードおよびその重み値に基づいて決定することを特徴とする請求項2ないし4のいずれかに記載の留守番電話装置。
【請求項6】
前記言語モデルデータベースが、
発信者ごとに設けられた固有言語モデルと、
発信者と無関係に設けられた汎用言語モデルとを備え、
前記テキスト処理手段は、
固有言語モデルが言語モデルデータベースに既登録の発信者の音声メッセージを、当該固有言語モデルに基づく音声認識処理でテキストに変換し、
固有言語モデルが言語モデルデータベースに未登録の発信者の音声メッセージを、前記汎用言語モデルに基づく音声認識処理でテキストに変換することを特徴とする請求項2ないし5のいずれかに記載の留守番電話装置。
【請求項7】
前記更新手段がさらに、
固有言語モデルが言語モデルデータベースに既登録の発信者の音声メッセージのテキストから抽出された単語に基づいて当該発信者の固有言語モデルを更新し、
固有言語モデルが言語モデルデータベースに未登録の発信者の音声メッセージのテキストから抽出された単語に基づいて汎用固有言語モデルを更新することを特徴とする請求項6に記載の留守番電話装置。
【請求項8】
前記更新手段は、固有言語モデルが言語モデルデータベースに既登録の発信者の音声メッセージのテキストから抽出された単語に基づいて、当該発信者の固有言語モデルおよび汎用言語モデルを更新することを特徴とする請求項7に記載の留守番電話装置。
【請求項9】
キーワードデータベースの更新条件を設定する手段を具備し、
前記更新手段は、前記設定された更新条件でキーワードデータベースを更新することを特徴とする請求項1ないし8のいずれかに記載の留守番電話装置。
【請求項10】
前記更新条件が更新に使用する情報量であり、
前記更新手段は、設定された期間内に抽出された単語に基づいてキーワードデータベースを更新することを特徴とする請求項9に記載の留守番電話装置。
【請求項11】
前記更新条件が更新に使用する情報量であり、
前記更新手段は、設定された数のメッセージから抽出された単語に基づいてキーワードデータベースを更新することを特徴とする請求項9に記載の留守番電話装置。
【請求項12】
前記更新条件が更新タイミングであり、
前記更新手段は、設定された期間ごとにキーワードデータベースを更新することを特徴とする請求項9に記載の留守番電話装置。
【請求項13】
前記更新条件が更新タイミングであり、
前記更新手段は、設定されたメッセージ数ごとにキーワードデータベースを更新することを特徴とする請求項9に記載の留守番電話装置。
【請求項14】
前記優先度決定に利用したキーワードを一覧表示する手段と、
前記一覧表示されたキーワードをユーザに評価させる手段とを具備し、
前記更新手段は、前記評価結果に基づいて前記キーワードデータベースを更新するフィードバック手段を含むことを特徴とする請求項1ないし9のいずれかに記載の留守番電話装置。
【請求項15】
キーワードデータベースに既登録のキーワードを一覧表示する手段と、
前記一覧表示されたキーワードをユーザに評価させる手段とを具備し、
前記更新手段は、前記評価結果に基づいて前記キーワードデータベースを更新する設定変更手段を含むことを特徴とする請求項1ないし9のいずれかに記載の留守番電話装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2010−41414(P2010−41414A)
【公開日】平成22年2月18日(2010.2.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−202146(P2008−202146)
【出願日】平成20年8月5日(2008.8.5)
【出願人】(000208891)KDDI株式会社 (2,700)
【Fターム(参考)】