説明

畦塗り機

【課題】 畦塗り作業を性能が高い状態で安定して行う。
【解決手段】 畦塗り機は、前側から旧畦Kの上部を切り崩す天場処理部50、旧畦を切り崩して土盛りを行う前処理部60、盛られた土を切り崩された旧畦上に塗り付ける整畦部を備える。天場処理部50と前処理部60との間に前処理部60からの動力を天場処理部50に伝達する天場動力伝達フレーム52を配設する。この天場動力伝達フレーム52は、一端側が前処理ロータの回転中心軸に繋がる連結軸63の先端部に回動自在に取り付けられ、他端側が天場処理部60の回転中心軸に繋がる従動軸56に連結されて、連結軸63を回動中心として上下方向に回動可能である。天場動力伝達フレーム52は、基端側が旧畦Kの内側面Ksに沿って延び、先端側が旧畦Kの天場Ktに沿って延びて、旧畦Kとの間に天場処理部50によって天場処理された土を前処理部60側へ誘導する空間部80を形成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、水田を区画する旧畦を畦塗り修復して新畦を形成する畦塗り機に関する。
【背景技術】
【0002】
このような畦塗り機は、トラクタ等の走行機体の後部に装着されて、走行機体からの動力を受けて駆動され、旧畦に沿って移動しながら旧畦上に新畦を形成するものである。この畦塗り機は、旧畦の内側を切り崩して土盛りを行う前処理部と、前処理部によって盛られた土を切り崩された旧畦上に塗り付ける畦塗り部とを主要な構成として備えている。
【0003】
このような畦塗り機においては、旧畦の上面に雑草等が繁茂していたり、旧畦の上面が固くなっているような場合には、その上に新畦を形成しようとすると、旧畦と新畦との境界が分離し易くなり、形成後に新畦が崩れやすくなる虞があることから、旧畦の上面(天場)を切り崩す天場処理部を前処理部の進行方向前方に設けて、天場処理された旧畦の上面に新畦を形成するようにした畦塗り機が開発されている(特許文献1参照)。
【0004】
特許文献1に記載の畦塗り機100は、図5(正面図)に示すように、回転中心軸101aが旧畦Kの延びる方向に配置されて回転動自在に支持された前処理部101(回転ロータ)の前側に、前処理部101の回転中心軸101aと略同一方向に延びる回転中心軸103aを有した天場処理部103(文献では削出ロータ)を配設して構成される。前処理部101及び天場処理部103の各回転中心軸101a、103aの前側端部間には、旧畦Kの幅方向に延びて前処理部101からの動力を天場処理部103に伝達するギヤ104を内蔵した伝動フレーム105(文献ではギヤケース)が設けられている。この伝動フレーム105は前処理部101の回転中心軸101aを回動支点として先端側が上下方向に揺動可能であり、上下位置調整装置106を介して前処理部101を覆うカバー部材107に支持されている。つまり、伝動フレーム105は、天場処理部103及び前処理部101のそれぞれの前方位置に配設されている。
【0005】
【特許文献1】特公平4−64643号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1に記載の畦塗り機では、伝動フレームが天場処理部の前方に配置されて畦側に直線的に略水平方向に延びている。このため、旧畦の高さが高いときには、伝動フレームが旧畦に接触したり近接配置されたりする場合がある。このような場合に畦塗り機が前進すると、伝動フレームの前側部分に土が当たり、伝動フレームが当たった土を乗り越える毎に伝動フレームが上方へ揺動して所望の天場処理ができなくなるという問題が発生する。
【0007】
また、伝動フレームと旧畦との間の隙間は狭くなっており、天場処理部によって天場処理された土の一部は伝動フレームの進行方向前側に溜まり易い。その結果、天場処理された土の前処理部側への移動が抑えられて盛られる土の量が減少して十分に締め固めることができず畦塗り性能が低下するという問題が生じる。
【0008】
さらに伝動フレームの前側に旧畦の土が溜まり、これらの土を押しながら前進走行することになる。その結果、牽引抵抗が増大して作業安定性が低下して、新畦が曲がったりする等の畦塗り性能が低下するという問題を有する。
【0009】
本発明は、このような問題に鑑みてなされたものであり、伝動フレームの前方に土が溜まる虞がなく、畦塗り作業を性能が高い状態で安定して行うことができる畦塗り機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するために本発明の畦塗り機は、走行機体に装着され、該走行機体の走行位置に対して側方にオフセットした位置に配置され、旧畦の天場を切り崩す天場処理部、旧畦を切り崩して土盛りを行う前処理部及び盛られた土を切り崩された旧畦上に塗り付ける整畦部を備えた畦塗り機において、天場処理部に動力を伝達する伝動フレーム(例えば、実施形態における天場動力伝達フレーム52)は、前処理部の先端部に上下方向に回動可能に設けられて、該旧畦の天場及び内側面の間に天場処理部によって天場処理された土を前処理部側へ誘導する空間部を形成したことを特徴とする。
【0011】
この発明によれば、伝動フレームは、前処理部の先端部に上下方向に回動可能に設けられて、旧畦の天場及び内側面の間に天場処理部によって天場処理された土を前処理部側へ誘導する空間部を形成することにより、畦塗り機が前進すると、天場処理部によって切り崩された旧畦の天場の土は、空間部を通って前処理側に送られる。このため、伝動フレームの前方に土が溜まる虞はなく、天場処理された土の殆どが前処理部に供給されるので、畦塗り作業を性能が高い状態で安定して行うことができる。
【0012】
また本発明の伝動フレームは、旧畦の断面形状に略沿う形状としたことを特徴とする。
【0013】
この発明によれば、伝動フレームを旧畦の断面形状に略沿う形状にすることにより、天場の上方に形成される空間部と旧畦の内側面の側方に形成される空間部とによって形成されて天場処理部によって切り崩された土を流す流路としての向きの変化を滑らかにすることができる。このため、天場処理された土を前処理部側に確実に供給することができる。
【0014】
また本発明の伝動フレームは、少なくとも2つの部材を有してなり、該伝動フレームの中間部がさらに上下方向に回動可能であることを特徴とする。
【0015】
この発明によれば、伝動フレームが少なくとも2つの部材を有してなり、この伝動フレームの中間部がさらに上下方向に回動可能にすることにより、旧畦の高さに応じて伝動フレームの中間部を回動させることで、天場処理部によって切り崩された土を前処理部側に確実に流すことができる。
【発明の効果】
【0016】
本発明に係わる畦塗り機によれば、伝動フレームを、前処理部の先端部に上下方向に回動可能に設け、該旧畦の天場及び内側面の間に天場処理部によって天場処理された土を前処理部側へ誘導する空間部を形成することにより、伝動フレームの前方に土が溜まることがなく、天場処理された土の殆どを前処理部に供給して、畦塗り作業を性能が高い状態で安定して行うことができる畦塗り機を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下、本発明に係わる畦塗り機の好ましい実施の形態を図1から図4に基づいて説明する。本実施の形態は、走行機体の前進走行に応じて畦塗り作業を行なう畦塗り機を例にして説明する。なお、説明の都合上、図1(a)(平面図)に示す矢印の方向を前後方向及び左右方向として、以下説明する。
【0018】
畦塗り機1は、図1(a),(b)(A矢視図)及び図2(c)(側面図),(d)(正面図)示すように、走行機体90の後部に設けられた三点リンク連結機構(図示せず)に連結されて、走行機体90の前進走行に応じて進行する。畦塗り機1は、走行機体90に装着されて走行機体90からの動力が入力される入力軸15aを備えた装着部10と、装着部10に設けられた旋回シリンダ11によって装着部10から左右方向に移動可能なオフセット機構20と、オフセット機構20の移動端側(後端側)に垂直方向に延びる回転駆動軸21の回転中心軸線を回動支点Oとして水平方向に回動可能に配設されて入力軸15aから伝達される動力によってオフセット作業を行なう作業部30とを有してなる。
【0019】
装着部10は、左右方向に延びるヒッチフレーム12と、ヒッチフレーム12の前側に取り付けられて走行機体90の三点リンク連結機構に連結可能な連結フレーム(図示せず)とを有してなる。ヒッチフレーム12の左右方向の中央下部にはギアボックス15が設けられ、このギアボックス15には前述した入力軸15aが設けられている。入力軸15aは、走行機体90のPTO軸(図示せず)からの動力を図示しない伝動軸を介して伝達されるようになっている。
【0020】
オフセット機構20は、前端側をヒッチフレーム12に回動自在に連結されて後方側へ延びるオフセットフレーム22と、オフセットフレーム22の右側に沿って並設されて前端側がヒッチフレーム12の右側端部に回動自在に連結されたリンク部材23とを有してなる。リンク部材23の後端側は、オフセットフレーム22の後端部に回動自在に設けられた連結部材24に繋がる連結アーム部材25に回動自在に取り付けられている。オフセット機構20は、オフセットフレーム22、リンク部材23、ヒッチフレーム12及び連結アーム部材25によって平行リンク機構を形成している。
【0021】
オフセットフレーム22は、前述した旋回シリンダ11の伸縮動により左右方向に揺動可能であり、オフセットフレーム22内に設けられた図示しない動力伝達機構を介してオフセットフレーム21の後端側に設けられて略垂直方向に延びる従動軸(図示せず)を回転駆動させるようになっている。この従動軸の下部には作業部30の回動中心軸となる前述した回転駆動軸21が従動軸と同軸上に連結されている。
【0022】
回転駆動軸21の外側にはこれを覆う回転軸ケース32が設けられている。回転軸ケース32の上端部は、オフセットフレーム21の後端下部に回動可能に連結され、回転軸ケース32の下端部に作業部30が固定された状態で取り付けられている。また回転軸ケース32の上部には、回転軸ケース32に対して回動自在な前述した連結部材24が設けられている。つまり、連結部材24は、回転軸ケース32及び回転駆動軸21と非結合状態にあり、回転駆動軸21を回動中心として回動自在である。この連結部材24に前述した連結アーム部材25が繋がって横方向に延びている。
【0023】
作業部30は、連結アーム部材25と回転軸ケース32との間に繋がれた連結機構40により回転駆動軸21の回転中心軸線を回動支点(以下、回動支点Oと記す。)として回動可能であるとともに、連結機構40によりオフセット機構20の揺動に対して作業部30の作業方向を示す作業方向軸O2が走行機体90の進行方向Bと平行になるように保持される。ここで、連結機構40は、連結部材24と伸縮シリンダ(図示せず)とを有してなり、この伸縮シリンダは連結アーム部材25の先端部と回転軸ケース32の上部との間に枢結されている。このため、伸縮シリンダが伸縮動すると、作業部30は、連結アーム部材25を介して回動支点Oを回動中心として回動する。なお、作業部30の回動角度範囲は伸縮シリンダのストロークの大きさに応じて設定される。このため、大きなストロークを有した伸縮シリンダを用いた場合には、作業部30を走行機体90の左右両側の一方側から他方側に向きを反転させた状態で移動させることができる。
【0024】
また連結機構40は、作業部30の作業方向軸O2が前後方向に平行に延びた状態で伸縮シリンダの伸縮動作を規制すると、作業部30と連結部材24とを一体化させる。このため、作業部30と連結部材24とが一体化された状態で、オフセット機構20を左右方向に揺動させると、作業部30は、平行リンク機構を構成するオフセット機構20の連結アーム部材25に繋がる連結部材24を介して作業部30の作業方向軸O2が前後方向に平行に維持されたままで移動する。
【0025】
このように移動可能な作業部30は、図3(平面図)に示すように、前側から天場処理部50、前処理部60及び整畦部70を配置して構成される。天場処理部50は水田の周辺に沿って形成された旧畦の上部(天場)を切り崩し、前処理部60は切り崩した土の土盛りを行ない、整畦部70は盛られた土を切り崩された旧畦上に塗り付ける機能を有する。
【0026】
整畦部70は、左右方向に延びて回転動自在に支持された回転中心軸71に取り付けられた多面体ドラム73と、多面体ドラム73の右側端部に取り付けられて横方向に延びる円筒部75とを有してなる。整畦部70は整畦動力伝達ケース77を介して回転軸ケース32に連結されて支持される。整畦動力伝達ケース77内には図示しない整畦側動力伝達機構が内蔵され、この整畦側動力伝達機構は回転駆動軸21に繋がっており、回転駆動軸21からの動力が整畦側動力伝達機構を介して整畦部70に伝達されるようになっている。
【0027】
前処理部60は、回転動自在な前処理ロータ61を備える。前処理ロータ61は前処理動力伝達ケース64を介して回転軸ケース32に連結されて支持される。前処理動力伝達ケース64内には、回転駆動軸21からの動力を受けて回転駆動する前処理側駆動軸66を有した前処理側動力伝達機構65が内蔵されている。前処理側駆動軸66の先端部に前処理ロータ61が挿着されている。前処理ロータ61の回転中心軸62は前処理側駆動軸66と同軸上に配設されている。前処理ロータ61は、その回転中心軸62が平面視において整畦部70の回転中心軸71と交差する方向に延びて配置されている。このため、整畦部70の回転中心軸71を旧畦Kの延びる方向に対して略直交する方向に配置すると、前処理ロータ61の回転中心軸62は旧畦Kの延びる方向に対して斜め方向に配置されることになる。
【0028】
天場処理部50は回転動自在な天場処理ロータ51を備える。天場処理ロータ51は天場動力伝達フレーム52を介して前処理ロータ61に支持されている。天場処理ロータ51はその回転中心軸53に複数の天場処理爪54を放射状に取り付けてなる。天場処理爪54は基端側が真っ直ぐ延び、先端側が側方に屈曲して旧畦上部を削り取る。天場処理ロータ51は、その回転中心軸53が平面視において整畦部70の回転中心軸71と交差する方向、即ち、前処理ロータ61の回転中心軸62と略平行に延びる方向に配置されている。このため、整畦部70の回転中心軸71を旧畦Kの延びる方向に対して直交する方向に配置すると、天場処理ロータ51の回転中心軸53は旧畦Kの延びる方向に対して斜め方向に配置されることになる。
【0029】
天場動力伝達フレーム52は天場処理ロータ51と前処理ロータ61との間に配置されて天場処理ロータ51の回転中心軸53に対して直交する方向に延びる。天場動力伝達フレーム52の側面視形状については後述する。天場動力伝達フレーム52は、その基端部が前処理ロータ61の回転中心軸62の先端部から延びる連結軸63に上下方向に回動自在に取り付けられ、回転軸ケース32に固定された図1(a)に示す上下位置調整装置35を介して上下位置調整可能に支持されている。このため、天場処理ロータ51は連結軸63を回動中心として上下方向に回動可能である。その結果、天場処理爪54が大きな石等に当接して天場処理ロータ51の回転動が規制されようとすると、天場処理ロータ51は上方へ移動して天場処理ロータ51の回転動を許容する。このため、畦塗り作業の中断を未然に防止することができ、畦塗り作業を連続して行うことができる。
【0030】
天場動力伝達フレーム52内には天場側動力伝達機構55が設けられている。この天場側動力伝達機構55は、チェーン伝動式であり、連結軸63に設けられた駆動スプロケット55a、天場処理ロータ51の回転中心軸53に繋がる従動軸56に設けられた従動スプロケット55b、天場動力伝達フレーム52の中間部に設けられた中間スプロケット56c,56d、駆動スプロケット55a及び中間スプロケット56d間と中間スプロケット56c及び従動スプロケット55b間に掛け渡されたチェーン55e,55fを有して、前処理ロータ61からの動力を天場処理ロータ51に伝達する。なお、天場側動力伝達機構55はギヤ伝動式にしてもよい。
【0031】
天場動力伝達フレーム52は、図4(側面図)に示すように、旧畦Kの天場及び内側面の間に天場処理部50によって天場処理された土を前処理部60側へ誘導する空間部80を形成して旧畦K側に延びる。さらに詳細には、天場動力伝達フレーム52は、側面視において前処理部60に繋がる連結軸63から旧畦K側に斜め上方に延びる第1フレーム部52aと、第1フレーム部52aの先端部に繋がって斜め下方へ延びる第2フレーム部52bとを有して構成される。第1フレーム部52aは旧畦Kの内側面Ksに沿って延び、第2フレーム部52bは旧畦Kの天場Ktに沿って延びる。このように天場動力伝達フレーム52を形成することで、天場動力伝達フレーム52と旧畦Kとの間に形成される二点鎖線で示した空間部80の領域を広くすることができるとともに、天場処理部50によって切り崩された土を流すため流路となる空間部80の延びる方向の変化を滑らかにすることができる。このため、天場処理された土を前処理部60側に確実に供給することができる。
【0032】
次に、畦塗り機1の動作について水田の一辺を畦塗りする場合を例にして説明する。図1(a)に示すように、先ず、走行機体90を水田Sの一辺Saに沿うように配置する。そして、作業部30の作業方向軸O2が走行機体90の進行方向と平行になるように、連結機構40の伸縮シリンダを伸縮動させ、そしてこの伸縮シリンダの伸縮動作を規制する。その結果、作業部30は、図2(c)に示す連結部材24及び回転軸ケース32と一体化される。そして平行リンク機構をなすオフセット機構20を右側に揺動すると、作業部30の作業方向が前後方向に平行に保持されながら、作業部30は走行機体の前進走行により畦塗り作業が可能な右側オフセット作業位置に移動する。
【0033】
そして、走行機体90を前進動させるとともに作業部30を駆動させる。作業部30が前側に進行しながら駆動すると、図3に示すように、天場処理部50が水田Sの一辺Saの旧畦Kの上部(天場)を切り崩し、前処理部60が切り崩した土の土盛りを行ない、整畦部70が盛られた土を切り崩された旧畦K上に塗り付けて、水田Sの一辺Saが連続的に畦塗りされる。
【0034】
ここで、天場処理ロータ51によって天場処理された土は水田S側に向かって飛ばされて天場動力伝達フレーム52の下方に形成された図4に示す空間部80を通って旧畦Kの際の水田S内に落下する。前述したように空間部80は広く、またこの空間部80は天場処理部50によって切り崩された土を流すための流路としての向きの変化が滑らかであるので、天場処理部50によって切り崩された旧畦Kの天場の土は天場動力伝達フレーム52の前方に溜まる虞はなく、天場処理された土の殆どを前処理部60に供給することができる。このため、所望の天場処理を行うことができる。
【0035】
そして、前処理ロータ61は、旧畦Kを切り崩した土と天場処理された土の土盛りを行なう。つまり、前処理ロータ61は、十分の量の土によって切り崩された旧畦に土盛りする。そして、整畦部70がこの盛られた土を切り崩された旧畦K上に塗り付ける。このため、畦塗り作業を性能が高い状態で安定して行うことができる。
【0036】
なお、前述した実施例では、天場動力伝達フレーム52が一体的に構成されたものを示したが、天場動力伝達フレームを少なくとも2つの箱状部材を有して構成し、この天場動力伝達フレームの中間部を上下方向に回動可能に構成してもよい。このように天場動力伝達フレームを構成すると、旧畦Kの高さに応じて伝動フレームの中間部を回動させることにより、天場処理部50によって切り崩された土を前処理部60側へ流すための流路としての空間部を所望の形状にすることができ、天場処理された土を確実に前処理部60側へ供給することができる。
【0037】
また前述した実施例では、天場処理部50と前処理部60の各回転中心軸53,62の延びる方向が整畦部70のそれと交差するように天場処理部50及び前処理部60を配置した場合を示したが、天場処理部50と前処理部60の各回転中心軸53,62の延びる方向が整畦部70のそれと略平行になるように天場処理部50及び前処理部60を配置してもよい。このように天場処理部50及び前処理部60を配置した場合でも、前述した実施例と同様の効果を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0038】
【図1】本発明の一実施の形態に係わる畦塗り機を示し、同図(a)は畦塗り機の平面図であり、同図(b)は同図(a)中のA矢視に相当する畦塗り機の前側斜視図を示す。
【図2】この畦塗り機を示し、同図(c)は畦塗り機の側面図であり、同図(d)は畦塗り機の正面図である。
【図3】畦塗り機の作業部の平面図を示す。
【図4】前処理部を側面視したときの天場動力伝達フレームの側面図を示す。
【図5】従来の畦塗り機の作業部の正面図を示す。
【符号の説明】
【0039】
1 畦塗り機
50 天場処理部
52 天場動力伝達フレーム(伝動フレーム)
60 前処理部
70 整畦部
80 空間部
90 走行機体
K 旧畦

【特許請求の範囲】
【請求項1】
走行機体に装着され、該走行機体の走行位置に対して側方にオフセットした位置に配置され、旧畦の天場を切り崩す天場処理部、前記旧畦を切り崩して土盛りを行う前処理部及び盛られた土を切り崩された旧畦上に塗り付ける整畦部を備えた畦塗り機において、
前記天場処理部に動力を伝達する伝動フレームは、前記前処理部の先端部に上下方向に回動可能に設けられて、該旧畦の天場及び内側面の間に前記天場処理部によって天場処理された土を前記前処理部側へ誘導する空間部を形成したことを特徴とする畦塗り機。
【請求項2】
前記伝動フレームは、前記旧畦の断面形状に略沿う形状としたことを特徴とする請求項1に記載の畦塗り機。
【請求項3】
前記伝動フレームは、少なくとも2つの部材を有してなり、該伝動フレームの中間部がさらに上下方向に回動可能であることを特徴とする請求項1に記載の畦塗り機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2006−296365(P2006−296365A)
【公開日】平成18年11月2日(2006.11.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−126314(P2005−126314)
【出願日】平成17年4月25日(2005.4.25)
【出願人】(390010836)小橋工業株式会社 (198)
【Fターム(参考)】