説明

番組評価表示装置及び番組評価表示方法

【課題】コンテンツの言葉内容を解析し表示する番組評価表示装置及び番組評価表示方法を提供する。
【解決手段】基準とするコンテンツの言語内容を取得する取得手段と、入力された番組のコンテンツの言葉内容と前記言語内容とを比較し評価しこの評価結果を出力する評価手段とを具備することを特徴とする番組評価表示装置。また基準とするコンテンツの言語内容を取得し、入力された番組のコンテンツの言葉内容と前記言語内容とを比較し評価しこの評価結果を出力することを特徴とする番組評価表示方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、番組評価表示装置及び番組評価表示方法に関する。
【背景技術】
【0002】
コンテンツの内容を解析する試みが行なわれてきている。例えば、特許文献1には課題として、番組を視聴するユーザが、見るべき番組及びシーンを簡単、且つ、素早く見つけ出すためのユーザインタフェースと成り得る映像概要一覧を表示する装置を提供するとある。
【0003】
そのための解決手段としては、コンテンツの詳細情報をデータ化したメタデータを解析して、コンテンツに含まれる部分映像(シーン/セグメント)の開始時刻及び終了時刻と当該部分映像のジャンルとを求め、コンテンツの時間長を表すグラフ中に、部分映像の開始時刻及び終了時刻の間の継続時間帯を示す部分映像区画を表示し、この部分映像区画を、当該部分映像のジャンルに応じた色または模様で表現するようにしている。ユーザは、この映像概要一覧から、各コンテンツを対比しながら、それぞれのコンテンツのシーン/セグメント単位のジャンル構成を直感的に理解することができる。
【0004】
特許文献1は、コンテンツの詳細情報を解析してジャンルなどを求め、視覚的に表示し、構成を理解しやすくしている。しかし、コンテンツの言語内容(言葉内容)は解析しておらず、コンテンツ内容によるペアレンタルコントロールもかかっていないという問題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2006−80621号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、コンテンツの言葉内容を解析し表示する技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本発明の番組評価表示装置は、基準とするコンテンツの言語内容を取得する取得手段と、入力された番組のコンテンツの言葉内容と前記言語内容とを比較し評価しこの評価結果を出力する評価手段とを具備することを特徴とする。また本発明の番組評価表示方法は、基準とするコンテンツの言語内容を取得し、入力された番組のコンテンツの言葉内容と前記言語内容とを比較し評価しこの評価結果を出力することを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、コンテンツの言葉内容を解析し表示する番組評価表示装置及び番組評価表示方法が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】この発明の一実施形態の言語解析する内容を示す説明図。
【図2】同実施形態の言語解析の方式を示す説明図。
【図3】同実施形態の基本となるデータ構造(1):標準/基準言語データベースの構造を説明するために示す図。
【図4】同実施形態の基本となるデータ構造(2):コンテンツ評価/ペアレンタルロックデータベースの構造の例を説明するために示す図。
【図5】実施形態に用いられるシステム全体構成図。
【図6】実施形態の処理フローの説明、フローチャート(1):基準言語データベース構築時を示す図。
【図7】実施形態の処理フローの説明、フローチャート(2):評価結果表示/再生指定時を示す図。
【図8】実施形態の評価一覧画面表示例。
【図9】実施形態の再生画面表示例。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明による実施形態を図1乃至図9を参照して説明する。
図1は、この発明の一実施形態の言語解析する内容を示す説明図である。
要素としてまずアクセントについては、日本語では例えば「なる」という動詞に関して、成るが抑揚ありなのに対して鳴るは平板という、高低アクセントの違いがある。また英語では特徴として強弱アクセントがある。
【0011】
語彙に関しては、単語、新語、慣用句、発生回数という特徴的な観点が存在する。また文法に関しては、い抜き、ら抜き言葉など、文法的差異の状態が存在する。
さらに語の共起関係として、例えば「苦い薬」や「苦い思い」は通常使用される表現であり、他方で「苦い机」や「苦い米」は所謂文学的表現以外では余り用いられない表現である。
【0012】
また語調については、例えば「〜でございます」、「〜です」、「〜じゃん」といった表現の違いによる変化がある。
図2は、実施形態の言語解析の方式を示す説明図である。
アクセントとして解析対象となる特徴には、拍におけるピッチの上がり下がりや、音節における音の強度がある。国語学の分類としてアクセント型、東西の違いなど方言型がある。
【0013】
音声認識では音素を発声する確率モデルに用いられるHMM(隠れマルコフモデル)は、アクセント認識への応用にも用いることができる。図2(a)(HMM遷移図例で、状態遷移を示す矢印に付いている、a:1.0やb:0.0などは、出力確率である。
【0014】
即ち隠れマルコムモデル(HMM)は、二つの確率パラメータをもっている。
(1)状態遷移確率:(例)状態1にある時、0.7の確率で状態2に遷移し、残りの0.3の確率で状態1に留まる。
(2)出力確率:(例)a:0.5とb:0.5は、状態1から状態2に遷移する際に、0.5の確率でaを出力し、0.5の確率でbを出力する。
音声認識では、それぞれの音素を発声する確率になるが、アクセント認識への応用では、平坦調:0.4、上昇調:0.3、下降調:0.3のようなモデルとなる。即ち、それぞれのアクセントが現れる確率である。推定方法としては例えばビタビ・アルゴリズムを用いる。
【0015】
また図2(b)は、単語や慣用句の発生回数(ヒストグラム統計)を表し、特殊語や文法における活用の変形パターンなどの解析に用いることができる。
また図2(c)は、共起(collocation)関係ネットワーク図である。推定として相互情報量、尤度比などによる共起解析アルゴリズムを用いることができる。
【0016】
その他、前述の語調の型(フォーマル、標準、インフォーマル)や語尾などで分類することも解析に有効である。
図3は、実施形態の基本となるデータ構造(1):標準/基準言語データベースの構造の例を説明するために示す図である。
コンテンツ名(コード)として「HNKニュース7」(000)がある。アクセント型、方言型、HMM遷移図としてI(いち)、標準語、HMM遷移図(図2(a))がある。単語、慣用句(使用頻度ヒストグラム)、特殊語として、番組における単語/慣用句使用頻度ヒストグラム(図2(b))がありまた特殊語:「不作為」、「未必の故意」がある。
【0017】
文法、活用の特徴(ら抜き、い抜き)として標準がある。共起として共起ネットワーク図(図2(c))がある。また語調として、標準がある。
図4は、実施形態の基本となるデータ構造(2):コンテンツ評価/ペアレンタルロックデータベースの構造の例を説明するために示す図である。
コンテンツ名(コード)、レーティング、詳細情報(各項目の解析結果)、ペアレンタルロック、間違った言葉使いとその正しい意味として次の4レコードがある。
即ち、(「ヨーロッパ古城の旅」(001) 3 標準語、外国語 視聴可 )、(「○○クン」(002) 1 子供言葉 視聴不可(低俗語) )、(「中学1年数学」(003) 4 標準語、学術 視聴可 むずい→難しい、複雑だ)及び(「赤毛のアン」(004) 3 翻訳語、文学 視聴可 )である。
【0018】
図5は、実施形態に用いられるシステム全体構成図である。
番組評価表示装置50は、TVチューナー51、コンテンツデータ記憶装置52、表示制御装置53、コンテンツ言語内容比較装置54、データアクセス/検索装置55、コンテンツ評価、ペアレンタルロックデータベース56、コンテンツ言語内容解析装置57、基準言語データベース58、専門用語辞書59、ネットワークI/F部60などから構成されている。
【0019】
TVチューナー51は外部のアンテナから導かれた放送信号から選局を行い、コンテンツデータ記憶装置52へストリーム信号を送出する。データアクセス/検索装置55は図5のように表示制御装置53はじめ、各装置のデータのやり取りを仲介する。
【0020】
また専門用語辞書59は学術他の専門用語を保持し、ネットワークI/F部60はデータアクセス/検索装置55と外部のネットワークとのデータのやり取りを仲介する。他の部分の連関は、図6と図7の説明において後述する。
【0021】
なお番組評価表示装置50に更に出力装置(表示装置)61を含めても良い。
図6は、実施形態の処理フローの説明、フローチャート(1):基準言語データベース構築時を示す図である。
まずユーザが、録画コンテンツ中より、標準コンテンツ、子供に使わせたくない言葉などの個別指定を入力する。また、ネット経由で、基準的な不適切語のリストを取得する。(ステップS61)コンテンツ言語内容解析装置57が、コンテンツデータ記憶装置52より、標準コンテンツの音声データを取り出す。(ステップS62)
【0022】
次にコンテンツ言語内容解析装置が57、基準コンテンツの音声データに対して、各データ項目を解析する。(ステップS63)
次にコンテンツ言語内容解析装置57が、解析した内容を、基準言語データベース58に格納する。(ステップS64)
次にコンテンツ言語内容比較装置54が、各コンテンツの言語内容と、基準言語データベース58、及び公共の標準語データベースの内容とを比較し、レーティング、ペアレンタルロックOK/NG、使ってはいけない言葉、を判定する。(ステップS65)
【0023】
次に評価した結果を、コンテンツ評価、ペアレンタルロックデータベース56に格納する。(ステップS66)
図7は、実施形態の処理フローの説明、フローチャート(2):評価結果表示/再生指定時を示す図である。
まずユーザが指定した、検索条件などにより、録画コンテンツを抽出する。(ステップS71)
次にコンテンツ評価、ペアレンタルロックデータベース56より、各コンテンツの情報を取り出す(基準コンテンツ、または公共)。(ステップS72)
次に表示制御装置53が、評価一覧を表示装置に出力する。(ステップS73)
次にユーザ(子供)が、評価一覧から観たいコンテンツを選んで指定を入力する。(ステップS74)
次に表示制御装置53が、ペアレンタルロックにかかるか否かを判定し、OKならコンテンツを再生する。またNGなら拒否メッセージを表示する。(ステップS75)
【0024】
次に再生中に、使ってはいけない言葉とその言い換えを表示する。(ステップS76)
図8は、実施形態の評価一覧画面表示例である。基準コンテンツ「HNKニュース7」(標準語)で、録画コンテンツから評価している。表示内容は次の通りである。
【0025】
(1)「ヨーロッパ古城の旅」
ジャンル:旅行 レーティング:☆☆☆
言葉の特徴:標準語、外国語
ペアレンタルロック:視聴可
(2)「○○クン」
ジャンル:アニメ レーティング:☆
言葉の特徴:子供言葉、低俗語(表示色を変える等の強調表示)
ペアレンタルロック:視聴不可(表示色を変える等の強調表示)
(3)「中学1年数学」
ジャンル:教育学習 レーティング:☆☆☆☆
言葉の特徴:標準語、学術
ペアレンタルロック:視聴可
(4)「赤毛のアン」
ジャンル:外国映画(吹き替え) レーティング:☆☆☆
言葉の特徴:翻訳語、文学
ペアレンタルロック:視聴可
前述の図6の処理フローである、フローチャート(1):基準言語データベース構築時、の手順に基づいて評価された、レーティング(☆の数により表示)、詳細情報(ジャンル、言葉の特徴)、保護者により指定されたペアレンタルロックに関する視聴可/不可、の各項目は、「コンテンツ評価、ペアレンタルロックデータベース」に記録される。
【0026】
その内容が、前述の図7の処理フローである、フローチャート(2):評価結果表示/再生指定時、の手順によって画面に表示された、上記評価一覧画面の例である。
【0027】
評価を、録画されたコンテンツ毎に表示している。評価結果を基にして子供にコンテンツを視聴させる。ペアレンタルロック視聴可のものは、画像アイコンをクリックすると再生が始まる。ペアレンタルロック視聴不可のものは、クリックしても視聴できない。
【0028】
図9は、実施形態の再生画面表示例である。
上記図8において指定されたコンテンツを再生している時の画面表示例である。
前述の図6の処理フロー、フローチャート(1):基準言語データベース構築時、の手順に基づいて抽出された正しくない言葉が、コンテンツ再生中に出現した時、画面の一部に表示窓を開き、その言葉(超むずい数式…)と、本来使うべき正しい言葉(正しい言葉の勉強:むずい → 1.「難しい」 2.「複雑だ」)を表示し、視聴者に学習させる。
【0029】
他の実施例、変形例等を以下に記載する。
(1)データベース内から例を取り出し、視聴者に答えさせる学習機能を具備させてもよい。
(2)比較結果をリモコンなどに表示させても良い。
(3)基準言語データベースを構築する際、基準コンテンツは複数でもよい。
(4)各コンテンツの評価は、深夜など、リソースが空いている時に、自動で行うようにしてもよい。
(4)視聴者のフィードバック(口コミ情報)をネット上で共有し、コンテンツ評価の材料にしてもよい。
従来の技術では、テレビを娯楽機器としてとらえ、番組シーンの視覚化表示などを行うのみで、多様化するコンテンツ内容になんの規制もかけられていない、という問題があった。
【0030】
本実施形態は、言語内容比較/評価機能、評価結果表示機能、ペアレンタルロック機能をテレビに具備させることにより、テレビを、単なる娯楽機器ではなく、子供の言語形成を助ける教育器機として活用する。これにより、子供の言語教育に貢献する効果がある。
【0031】
本実施形態は、子供が、多様化しているテレビコンテンツを無制限に視聴した場合に起きる言葉の形成の障害を防ぎ、有害コンテンツから子供を守るための、以下の機能を持つテレビ受信機である。
【0032】
(1)公共の標準言語データベースにネットワーク経由でアクセスしたり、または、保護者によって選択されたコンテンツの言語内容を構文/アクセント解析したりして得た基準(テレビ内部のデータベースに記憶)と、各テレビコンテンツの言葉内容を解析/比較し、評価する。
【0033】
(2)その結果得られた、各コンテンツの評価(レーティング)と、必要ならば詳細情報(学術用語、文学/詩の表現、標準語、方言、若者言葉、俗語、の分類など)を、一覧画面に表示し、基準に合った言葉が使われているコンテンツを、視聴者が視覚的に把握できる。一覧画面のアイコンクリックによりコンテンツを再生できる。
【0034】
(3)有害コンテンツに対するペアレンタルロックを、保護者が入力端末から指定し、各コンテンツの視聴可/不可を、上記の評価一覧リストと一緒に表示し、レーティングとペアレンタルロックを総合的に判断できる。
【0035】
(4)ペアレンタルロックを通過したコンテンツを視聴している際、基準からずれた言葉が出現した時に、表示画面の一部に、その言葉と正しい言葉を表示する。
(5)意味が頻繁に変化し、新語も現れやすい、俗語などの使用不適切語に対して、ネットワーク経由で、公共の提供サイトから、最新の使用不適切語リストを常に取得する機能も具備している。
【0036】
実施形態の効果として、コンテンツの言語評価結果に基づいてテレビを視聴させることにより、子供が、自分の個性に合った、一貫性のある言葉を形成できる。また、ペアレンタルロックにより、子供を有害コンテンツから守ることができる。
【0037】
なお、この発明は上記実施形態に限定されるものではなく、この外その要旨を逸脱しない範囲で種々変形して実施することができる。
また、上記した実施の形態に開示されている複数の構成要素を適宜に組み合わせることにより、種々の発明を形成することができる。例えば、実施の形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除しても良いものである。さらに、異なる実施の形態に係わる構成要素を適宜組み合わせても良いものである。
【符号の説明】
【0038】
50…番組評価表示装置、51…TVチューナー、52…コンテンツデータ記憶装置、53…表示制御装置、54…コンテンツ言語内容比較装置、55…データアクセス/検索装置、56…コンテンツ評価、ペアレンタルロックデータベース、57…コンテンツ言語内容解析装置、58…基準言語データベース、59…専門用語辞書、60…ネットワークI/F部(インターフェース)、61…出力装置。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基準とするコンテンツの言語内容を取得する取得手段と、
入力された番組のコンテンツの言葉内容と前記言語内容とを比較し評価しこの評価結果を出力する評価手段とを
具備することを特徴とする番組評価表示装置。
【請求項2】
前記評価手段は前記評価結果を一覧表示出力し、
この表示出力に基づいて、前記入力された番組のコンテンツを外部から選択されて再生出力する再生手段を備えたことを特徴とする請求項1に記載の番組評価表示装置。
【請求項3】
更にペアレンタルロックを外部から指定する指定手段を備え、前記評価結果にこの指定の結果を加えて前記評価手段は一覧表示出力することを特徴とする請求項2に記載の番組評価表示装置。
【請求項4】
前記再生において、前記基準からずれた言葉が出現した時に、前記再生手段はこの言葉と正しい言葉を表示出力することを特徴とする請求項2に記載の番組評価表示装置。
【請求項5】
前記再生手段または前記評価手段の表示出力を入力して表示する表示手段を更に備えたことを特徴とする請求項1に記載の番組評価表示装置。
【請求項6】
基準とするコンテンツの言語内容を取得し、
入力された番組のコンテンツの言葉内容と前記言語内容とを比較し評価しこの評価結果を出力することを特徴とする番組評価表示方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2011−210199(P2011−210199A)
【公開日】平成23年10月20日(2011.10.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−79844(P2010−79844)
【出願日】平成22年3月30日(2010.3.30)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【Fターム(参考)】