説明

異なる対イオン含有量を有する吸収性ポリマー組成物、ならびにその調製および使用の方法

生理食塩水などの食塩水中でその質量の約20倍以上を吸収する、結合した対イオンを有する架橋高分子電解質ポリマーが開示される。ただし、他の唯一の対イオンが水素である場合、ナトリウムは、結合した対イオン全体の60%を超えない。開示されたポリマーを調製する方法と、体液除去ならびに/またはイオン(例えばナトリウムおよび/もしくはカリウム)の調節を必要とする患者などの対象を処置するための方法とが提供される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
開示の分野
本開示は一般に、食塩水中でその質量の約20倍、40倍以上吸収するものを含む、結合した対イオンを有する架橋高分子電解質ポリマーを含む組成物に関する。本開示はまた一般に、結合した対イオンを有する架橋高分子電解質ポリマービーズを含む組成物であって、ただし、水素が他の唯一の対イオンである場合、ナトリウムが結合した対イオン全体の60%を超えない組成物に関する。本開示はまた一般に、食塩水中でその質量の約20倍、40倍以上吸収するものを含む、異なる対イオン含有量を有する架橋高分子電解質ポリマーを調製する方法に関する。本開示はまた一般に、(i)対象中の1つまたは複数のイオンのレベルを調節する段階、(ii)対象から体液を除去する段階、および/または(iii)対象から老廃物を除去する段階を例えば含む、対象の処置のための方法に関する。本開示はまた、末期腎疾患(ESRD)、慢性腎疾患(CKD)、うっ血性心不全(CHF)または高血圧を処置するための方法を含む、イオンの不均衡および/または体液貯留の増加に関連する疾患または障害を有する対象を処置するための方法に関する。
【背景技術】
【0002】
背景
多くの疾患および障害がイオンの不均衡(例えば高カリウム血症、高カルシウム血症、高リン血症および高シュウ酸血症)ならびに/または体液貯留の増加(例えばうっ血性心不全および末期腎疾患(ESRD))に関連している。例えば、カリウムレベルの増加に苦しむ患者は、倦怠感、動悸、筋力低下、および重症例では不整脈を範囲とする種々の症状を示すことがある。また例えば、ナトリウムレベルの増加(例えば高ナトリウム血症)に苦しむ患者は、嗜眠、脱力感、易刺激性、浮腫、ならびに重症例では発作および昏睡を含む種々の症状を示すことがある。さらに、体液貯留に苦しむ患者は、浮腫(例えば肺水腫および/または下肢浮腫)ならびに血中老廃物(例えば尿素、クレアチニン、他の窒素性老廃物、ならびにナトリウム、リン酸塩およびカリウムなどの電解質または無機質)の蓄積に多くの場合罹患している。
【0003】
イオンの不均衡および/または体液貯留の増加に関連する疾患または障害の処置は、イオンの均衡の修復および体液貯留の低下を試みるものである。例えば、イオンの不均衡に関連する疾患または障害の処置は、イオンの均衡を修復するためにイオン交換樹脂を使用することがある。体液貯留の増加に関連する疾患または障害の処置は、利尿薬の使用(例えば利尿剤の投与および/または血液透析または腹膜透析などの透析)ならびに体内に蓄積する老廃物の改善(remediation)を包含することがある。さらにまたは代わりに、イオンの不均衡および/または体液貯留の増加の処置は、電解質および水の食事摂取に対する制限を含むことがある。しかし、現在の処置の有効性および/または患者コンプライアンスは、求められているものよりも低い。
【発明の概要】
【0004】
概要
結合した対イオンを有する架橋高分子電解質ポリマービーズを含む、結合した対イオンを有する架橋高分子電解質ポリマーの組成物、ならびにそのようなポリマーを作製および使用する方法が提供される。
【0005】
本開示は、食塩水中でその質量の約20倍、40倍以上吸収するものを含む、結合した対イオンを有する架橋高分子電解質ポリマービーズを含む組成物であって、ただし、結合した対イオンがナトリウムおよび水素からなる場合、結合したナトリウム対イオンが、結合した対イオン全体の60%未満であり、一方、結合した水素イオンが、結合した対イオン全体の40%を超える組成物を提供する。
【0006】
対イオンは無機対イオンおよび/または有機対イオンを含み得る。例えば、無機対イオンは水素、ナトリウム、カリウム、カルシウム、マグネシウムおよび/またはアンモニウムを含み、一方、有機対イオンはコリン、アルギニンおよび/またはリジンを含み得る。
【0007】
本開示はまた、本開示の1つまたは複数の組成物を得る段階および該組成物を対象に投与する段階によって対象中の2つ以上のイオンのレベルを調節する方法を提供する。
【0008】
本組成物が対象中の1つまたは複数のイオンに結合することで対象中の1つまたは複数のイオンのレベルが低下し得る。あるいは、本組成物が対象中の1つまたは複数のイオンを放出することで対象中の1つまたは複数のイオンのレベル(例えば全身、血清、糞便および/または尿中のレベル)が増加し得る。いくつかの態様では、本組成物が対象中の1つまたは複数のイオンに結合することで対象中の1つまたは複数のイオンのレベルが低下し得、かつ該組成物が対象中の1つまたは複数のイオンを放出することで対象中の1つまたは複数のイオンのレベルが増加し得る。
【0009】
本開示はまた、本開示の1つまたは複数の組成物を得る段階および該組成物を対象に投与する段階によって対象から体液を除去する方法を提供する。
【0010】
いくつかの態様では、胃腸管(例えば小腸)から体液を除去することができる。任意で、1つまたは複数の薬剤を(本ポリマーと一緒にまたは本ポリマーとは別に)投与することで腸内の体液の量を増加させることができる。
【0011】
本開示はまた、本開示の1つまたは複数の組成物を得る段階および該組成物を対象に投与する段階によって対象から1つまたは複数の老廃物を除去する方法を提供する。
【0012】
本開示はまた、高分子電解質ポリマービーズを得る工程、ビーズ上の結合した対イオンの100%が水素になるまで該粒子を酸で洗浄する工程、および洗浄したビーズを乾燥させる工程によって、食塩水中でその質量の約20倍、40倍以上吸収する架橋高分子電解質ポリマービーズを調製する方法を提供する。
【0013】
一態様では、ポリマービーズを含むポリマーを各種コーティングでコートすることができる。一態様では、ポリマーを例えば腸溶コーティングまたは遅延放出コーティングで実質的にコートすることができる。一態様では、ポリマーはコートされている剤形であり得るものであり、これは剤形が例えば腸溶コーティングまたは遅延放出コーティングで実質的にコートされている場合を含む。患者などの対象を処置するための方法も開示される。ある種の開示される態様では、体液過負荷状態を有する対象を処置する。ある種の開示される態様では、ナトリウムの除去(例えばナトリウムの減少)を必要とする対象も処置する。本方法は、開示される架橋高分子電解質ポリマーの投与を、そのような投与向けに選択される対象の腸に対して行う段階を含む。一態様では、胃腸管の特定領域にポリマーを投与することができる。例えば、ポリマーは腸管(例えば空腸)を対象とすることができる。ポリマーは経口投与することができる。
【0014】
架橋高分子電解質ポリマービーズを含む架橋高分子電解質ポリマーを調製するための方法も開示される。本方法は、架橋剤を用いて逆相懸濁を含む懸濁重合反応によって粒子形態の架橋高分子電解質を得る工程、該粒子を収集する工程、該粒子を酸で洗浄することで水素以外の対イオンを、例えばそのような対イオンが実質的になくなるまで除去する工程、および洗浄した粒子を次に、それが食塩水(例えば生理食塩水)中でその質量の少なくとも20倍、40倍以上吸収し得るまで乾燥させる工程であって、結合した対イオン全体の100%が水素である工程を含み得る。乾燥、洗浄した粒子の中和を、水素以外の対イオン(例えばナトリウム、カリウム、マグネシウム、カルシウム、アンモニウム、コリンおよび/またはリジン)を含む溶液と該粒子とを混合して行うことで、所望の対イオン含有量を有する粒子を生成することができる。
【0015】
さらなる特色および利点は本明細書に記載されており、これらは以下の詳細な説明および図面から明らかであろう。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】実施例3に記載の、投与されたCLPビーズにおけるナトリウム負荷の関数としてのラットの尿中のナトリウム排出量を示す。
【図2】実施例3に記載の、投与されたCLPビーズにおけるナトリウム負荷の関数としてのラットの糞便中のナトリウム排出量を示す。
【図3】各種のナトリウム負荷CLP組成物の時間の関数としての膨潤量を示す。
【発明を実施するための形態】
【0017】
詳細な説明
食塩水中でその質量の約20倍、40倍以上吸収しかつ異なる対イオン含有量を有する、架橋ポリアクリレートポリマービーズなどの架橋高分子電解質ポリマービーズを含む架橋高分子電解質ポリマーが開示される。これらのポリマーは、ナトリウムおよび/またはカリウムなどのカチオンを例えば含む異なる量の結合した対イオンを含有し得る。高分子電解質は、対イオンが占める(または占めるものと見込まれる)複数のイオン結合部位を有する。例えば、高分子電解質は、対イオンがそれに結合するカルボン酸基である複数のイオン結合部位を有する。本明細書に記載のように、架橋ポリアクリレートポリマービーズなどの架橋高分子電解質ポリマービーズを含む架橋高分子電解質ポリマーは、異なる対イオン含有量で、例えば95%の結合した水素対イオンおよび5%の結合したナトリウム対イオンで調製されている。結合した対イオン全体の95%である結合した水素対イオンを有するそのようなポリマーは、電解質のイオン結合部位の95%が水素に結合している(または結合しているものと見込まれる)ことを示す。驚くべきことに、ヒト対象を含む対象に投与する際に、本開示の高分子電解質ポリマーが1つまたは複数のイオン(例えば水素、ナトリウム、カリウム、マグネシウム、カルシウム、アンモニウム、コリン、アルギニンおよび/またはリジン)に結合しかつ/またはそれを放出することができることが判明した。したがって、これらの高分子電解質ポリマーは、ナトリウム、カリウムおよび/またはカルシウムなどのイオンの、対象からの除去を含む結合に使用することができる。さらにまたは代わりに、高分子電解質ポリマーは、1つまたは複数の結合したイオンを胃腸管(例えば小腸)に放出することで1つまたは複数のイオンのレベルを増加させる(例えば1つまたは複数のイオンが不足している場合)ことができる。
【0018】
食塩水中でその質量の約20倍、40倍以上吸収する、結合した対イオンを有する架橋高分子電解質ポリマービーズを含む組成物であって、ただし、結合した対イオンがナトリウムおよび水素からなる場合、結合したナトリウム対イオンが、結合した対イオン全体の60%未満であり、一方、結合した水素イオンが、結合した対イオン全体の40%を超える組成物が提供される。任意で、架橋高分子電解質ポリマービーズを含む架橋高分子電解質ポリマーをより小さい粒子に破壊する(例えば粉砕または微粉砕によって)ことができる。
【0019】
高分子電解質ポリマーの食塩水保持能力はインビトロで決定することができる。インビトロでの食塩水保持能力は胃腸管の生理条件を模倣した条件で決定することが好ましい。開示される高分子電解質ポリマーは食塩水中でその質量の20倍、40倍以上吸収することが好ましい。そのような決定のための食塩水は、インビトロで決定される0.15Mのナトリウム濃度を有することが好ましい。
【0020】
異なる対イオン含有量を有するポリマービーズを含む架橋高分子電解質ポリマーのいくつかの態様では、対イオンは無機対イオンである。さらなる態様では、無機対イオンは水素、ナトリウム、カリウム、カルシウム、マグネシウムおよびアンモニウムからなる群より選択される。
【0021】
いくつかの態様では、対イオンは有機対イオンである。さらなる態様では、有機対イオンはコリンおよびリジンからなる群より選択される。
【0022】
いくつかの態様では、少なくとも1つの対イオンは無機対イオンであり、少なくとも1つの対イオンは有機対イオンである。
【0023】
いくつかの態様では、無機対イオンは水素である。いくつかの態様では、水素は結合した対イオン全体の40%超〜100%を構成する。いくつかの態様では、水素は結合した対イオン全体の100%を構成する。いくつかの態様では、水素は結合した対イオン全体の75%を構成する。いくつかの態様では、水素は結合した対イオン全体の50%を構成する。いくつかの態様では、水素は結合した対イオン全体の25%を構成する。
【0024】
いくつかの態様では、無機対イオンはナトリウムである。いくつかの態様では、ナトリウムは結合した対イオン全体の50%を構成する。いくつかの態様では、ナトリウムは結合した対イオン全体の25%を構成する。
【0025】
いくつかの態様では、無機対イオンはカリウムである。いくつかの態様では、カリウムは結合した対イオン全体の100%を構成する。いくつかの態様では、カリウムは結合した対イオン全体の75%を構成する。いくつかの態様では、カリウムは結合した対イオン全体の50%を構成する。いくつかの態様では、カリウムは結合した対イオン全体の25%を構成する。
【0026】
いくつかの態様では、無機対イオンはアンモニウムである。いくつかの態様では、アンモニウムは結合した対イオン全体の100%を構成する。いくつかの態様では、アンモニウムは結合した対イオン全体の75%を構成する。いくつかの態様では、アンモニウムは結合した対イオン全体の50%を構成する。いくつかの態様では、アンモニウムは結合した対イオン全体の25%を構成する。
【0027】
いくつかの態様では、有機対イオンはコリンである。いくつかの態様では、コリンは結合した対イオン全体の100%を構成する。いくつかの態様では、コリンは結合した対イオン全体の75%を構成する。いくつかの態様では、コリンは結合した対イオン全体の50%を構成する。いくつかの態様では、コリンは結合した対イオン全体の25%を構成する。
【0028】
いくつかの態様では、有機対イオンはリジンである。いくつかの態様では、リジンは結合した対イオン全体の100%を構成する。いくつかの態様では、リジンは結合した対イオン全体の75%を構成する。いくつかの態様では、リジンは結合した対イオン全体の50%を構成する。いくつかの態様では、リジンは結合した対イオン全体の25%を構成する。
【0029】
いくつかの態様では、対イオンは水素およびナトリウムである。いくつかの態様では、水素は結合した対イオン全体の40%超〜100%を構成し、ナトリウムは結合した対イオン全体の0%超〜60%未満を構成する。
【0030】
いくつかの態様では、対イオンは水素およびカリウムである。いくつかの態様では、対イオンはナトリウムおよびカリウムである。いくつかの態様では、対イオンはナトリウム、カリウムおよび水素である。いくつかの態様では、対イオンは水素およびアンモニウムである。いくつかの態様では、対イオンは水素およびコリンである。いくつかの態様では、対イオンは水素およびリジンである。
【0031】
いくつかの態様では、ポリマービーズを含むポリマーはコーティングで実質的にコートされている。いくつかの態様では、ビーズは、コートされているものであれコートされていないものであれ、カプセルで囲まれている。いくつかの態様では、カプセルはコーティングでコートされている。いくつかの態様では、コーティングは腸溶コーティングまたは遅延放出コーティングである。
【0032】
いくつかの態様では、高分子電解質はポリアクリレートである。
【0033】
本開示の組成物を得る段階、該組成物を対象に投与する段階; および対象中の2つ以上のイオンを含む1つまたは複数のイオンのレベルを調節する段階によって、対象中の2つ以上のイオンを含む1つまたは複数のイオンのレベルを調節するための方法が提供される。
【0034】
いくつかの態様では、本方法は2つ以上のイオンの調節を必要とする対象を同定する段階をさらに含み得る。
【0035】
いくつかの態様では、調節は1つまたは複数のイオンのレベルの増加または低下である。
【0036】
いくつかの態様では、本組成物が対象中の1つまたは複数のイオンに結合しかつそれを除去することで対象中の1つまたは複数のイオンのレベルが低下する。いくつかの態様では、本組成物が対象中の1つまたは複数のイオンを放出することで対象中の1つまたは複数のイオンのレベルが増加する。いくつかの態様では、本組成物が対象中の1つまたは複数の第1のイオンに結合することで対象中の1つまたは複数の第1のイオンのレベルが低下し、本組成物が対象中の1つまたは複数の第2のイオンを放出することで対象中の1つまたは複数の第2のイオンのレベルが増加する。
【0037】
いくつかの態様では、本組成物はナトリウムを除去する。いくつかの態様では、本組成物はナトリウムを除去しかつカリウムを放出する。いくつかの態様では、本組成物はナトリウムを除去しかつカリウムを除去する。いくつかの態様では、本組成物は水素を放出することなくナトリウムを除去しかつカリウムを除去する。
【0038】
いくつかの態様では、架橋高分子電解質ポリマーを結腸に直接投与する。いくつかの態様では、架橋高分子電解質ポリマーを小腸に直接投与する。いくつかの態様では、ポリマーを空腸に直接投与する。
【0039】
本開示の組成物を得る段階、該組成物を対象に投与する段階、および対象から体液を除去する段階によって対象から体液を除去するための方法も提供される。
【0040】
いくつかの態様では、本方法は体液の除去を必要とする対象を同定する段階をさらに含み得る。
【0041】
いくつかの態様では、本方法は腸内の体液の量を増加させる1つまたは複数の薬剤を対象に投与する段階をさらに含み得る。
【0042】
いくつかの態様では、前記薬剤はマンニトール、ポリエチレングリコールおよびルビプロストンからなる群より選択される。いくつかの態様では、ポリエチレングリコールは400〜10,000ダルトンの分子量を有する。いくつかの態様では、ポリエチレングリコールは400〜4000ダルトンの分子量を有する。
【0043】
いくつかの態様では、本組成物を結腸に直接投与する。いくつかの態様では、本組成物を小腸に直接投与する。いくつかの態様では、本組成物を空腸に直接投与する。
【0044】
いくつかの態様では、本組成物を経口投与する。
【0045】
いくつかの態様では、対象は心疾患を有する。いくつかの態様では、心疾患はうっ血性心不全および/または高血圧である。いくつかの態様では、対象は腎疾患を有する。いくつかの態様では、腎疾患はネフローゼ、腎炎、慢性腎疾患(CKD)または末期腎疾患(ESRD)である。いくつかの態様では、対象は腸障害または栄養障害を有する。いくつかの態様では、栄養障害はクワシオルコルまたはグルテン過敏性腸症である。いくつかの態様では、対象は肝疾患を有する。いくつかの態様では、肝疾患は肝硬変である。いくつかの態様では、対象は内分泌障害、神経障害または免疫系障害を有する。いくつかの態様では、内分泌障害は子癇前症または子癇である。いくつかの態様では、神経障害は血管神経性浮腫である。
【0046】
本開示の組成物を得る段階、該組成物を対象に投与する段階、および対象からある量の1つまたは複数の老廃物を除去する段階によって対象から1つまたは複数の老廃物を除去するための方法が提供される。
【0047】
いくつかの態様では、本方法は1つまたは複数の老廃物の除去を必要とする対象を同定する段階をさらに含み得る。
【0048】
いくつかの態様では、老廃物は代謝老廃物である。いくつかの態様では、代謝老廃物は尿素、尿酸、クレアチニン、ナトリウムまたはカリウムである。
【0049】
いくつかの態様では、本方法は腸内の体液の量を増加させる1つまたは複数の薬剤を対象に投与する段階をさらに含み得る。
【0050】
いくつかの態様では、薬剤はマンニトール、ポリエチレングリコールおよびルビプロストンからなる群より選択される。
【0051】
いくつかの態様では、本組成物を結腸に直接投与する。いくつかの態様では、本組成物を小腸に直接投与する。いくつかの態様では、本組成物を空腸に直接投与する。
【0052】
いくつかの態様では、本組成物を経口投与する。
【0053】
架橋高分子電解質ポリマービーズを得る工程、ビーズ上の結合した対イオンの100%が水素になるまで該粒子を酸で洗浄する工程、および洗浄したビーズを乾燥させる工程によって、食塩水中でその質量の約20倍、40倍以上吸収する、100%の結合した水素対イオンを有する架橋高分子電解質ポリマービーズを調製するための方法も提供される。
【0054】
いくつかの態様では、高分子電解質はポリアクリレートである。
【0055】
いくつかの態様では、本方法は乾燥したビーズを微粉砕によって破壊する工程をさらに含み得る。
【0056】
いくつかの態様では、本方法は無傷のまたは破壊されたビーズと水素以外の対イオンを含む溶液とを混合する工程をさらに含み得る。いくつかの態様では、対イオンは水素、ナトリウム、カリウム、マグネシウム、カルシウム、アンモニウム、コリンおよびリジンより選択される。
【0057】
いくつかの態様では、本方法は無傷のまたは破壊されたビーズを洗浄する工程をさらに含み得る。
【0058】
いくつかの態様では、本方法は洗浄した無傷のまたは破壊されたビーズを乾燥させる工程をさらに含み得る。
【0059】
いくつかの態様では、ビーズは実質的にコートされている。いくつかの態様では、ビーズはカプセルで囲まれている。いくつかの態様では、カプセルはコーティングでコートされている。いくつかの態様では、コーティングは腸溶コーティングまたは遅延放出コーティングである。
【0060】
いくつかの態様では、架橋高分子電解質ポリマーは、胃腸管に存在する酸性条件を例えば含む酸性条件に耐性を有する。
【0061】
ナトリウムで中和されている架橋電解質モノマーを重合する工程; 結合したナトリウム対イオンを有する架橋高分子電解質ポリマービーズを重合によって得る工程、およびビーズ上の結合したナトリウム対イオンの割合を減少させる工程によって架橋高分子電解質ビーズを調製するための方法が提供される。
【0062】
60%を超える結合したナトリウム対イオンを有する架橋高分子電解質ポリマービーズを調製する工程、および結合したナトリウム対イオンを60%未満に減少させる工程によって、60%未満の結合したナトリウム対イオンを有する架橋高分子電解質ポリマービーズを調製するための方法も提供される。
【0063】
いくつかの態様では、本方法はビーズを破壊する工程をさらに含む。いくつかの態様では、破壊されたビーズは212〜500ミクロンの粒径を有する。
【0064】
いくつかの態様では、本方法は破壊されたビーズをカプセルに封入する工程をさらに含む。
【0065】
いくつかの態様では、モノマーはアクリル酸である。いくつかの態様では、高分子電解質はポリアクリレートである。
【0066】
いくつかの態様では、モノマーはナトリウムで約60%〜約100%中和されている。いくつかの態様では、モノマーはナトリウムで約80%中和されている。
【0067】
いくつかの態様では、重合は逆相懸濁重合法による。
【0068】
いくつかの態様では、結合したナトリウム対イオンを60%未満に減少させる。いくつかの態様では、結合したナトリウム対イオンを50%未満に減少させる。いくつかの態様では、結合したナトリウム対イオンを25%未満に減少させる。いくつかの態様では、結合したナトリウム対イオンを10%未満に減少させる。いくつかの態様では、結合したナトリウム対イオンを5%未満に減少させる。いくつかの態様では、結合したナトリウム対イオンを1%未満に減少させる。
【0069】
いくつかの態様では、結合したナトリウム対イオンをビーズの酸処理によって減少させる。いくつかの態様では、酸で処理したビーズを洗浄することで過剰な酸を除去する。いくつかの態様では、洗浄したビーズを乾燥させる。
【0070】
いくつかの態様では、ビーズはカプセルに封入されている。いくつかの態様では、カプセルはコーティングで実質的にコートされている。いくつかの態様では、ビーズはコーティングで実質的にコートされている。
【0071】
いくつかの態様では、ビーズは破壊されたビーズを含む。
【0072】
5%以下の結合したナトリウム対イオンを含む結合した対イオンを有する、架橋高分子電解質ポリマービーズが提供される。
【0073】
1%以下の結合したナトリウム対イオンを含む結合した対イオンを有する、架橋高分子電解質ポリマービーズも提供される。
【0074】
末期腎疾患(ESRD)の患者を処置する方法であって、60%未満、50%未満、25%未満、10%未満、5%未満または1%未満の結合したナトリウムを含む架橋高分子電解質ポリマービーズをESRDの患者に投与する段階を含む方法が提供される。
【0075】
うっ血性心不全(CHF)の患者を処置する方法であって、60%未満、50%未満、25%未満、10%未満、5%未満または1%未満の結合したナトリウムを含む架橋高分子電解質ポリマービーズをCHFの患者に投与する段階を含む方法が提供される。
【0076】
慢性腎疾患(CKD)の患者を処置する方法であって、60%未満、50%未満、25%未満、10%未満、5%未満または1%未満の結合したナトリウムを含む架橋高分子電解質ポリマービーズをCKDの患者に投与する段階を含む方法が提供される。
【0077】
高血圧の患者を処置する方法であって、60%未満、50%未満、25%未満、10%未満、5%未満または1%未満の結合したナトリウムを含む架橋高分子電解質ポリマービーズを高血圧の患者に投与する段階を含む方法が提供される。
【0078】
対象中の2つ以上のイオンのレベルを調節する方法であって、食塩水中でその質量の少なくとも20倍吸収する、結合した対イオンを有する架橋高分子電解質ポリマービーズを含む組成物であって、ただし、結合した対イオンがナトリウムと水素とからなる場合、結合したナトリウム対イオンが、結合した対イオン全体の60%未満であり、一方、結合した水素イオンが、結合した対イオン全体の40%を超える組成物を、対象に投与する段階を含む方法が提供される。
【0079】
対象から体液を除去する方法であって、食塩水中でその質量の少なくとも20倍吸収する、結合した対イオンを有する架橋高分子電解質ポリマービーズを含む組成物であって、ただし、結合した対イオンがナトリウムおよび水素からなる場合、結合したナトリウム対イオンが、結合した対イオン全体の60%未満であり、一方、結合した水素イオンが、結合した対イオン全体の40%を超える組成物を、対象に投与する段階を含む方法が提供される。
【0080】
対象から1つまたは複数の老廃物を除去する方法であって、食塩水中でその質量の少なくとも20倍吸収する、結合した対イオンを有する架橋高分子電解質ポリマービーズを含む組成物であって、ただし、結合した対イオンがナトリウムおよび水素からなる場合、結合したナトリウム対イオンが、結合した対イオン全体の60%未満であり、一方、結合した水素イオンが、結合した対イオン全体の40%を超える組成物を、対象に投与する段階を含む方法が提供される。
【0081】
結合した対イオンを有する架橋高分子電解質ポリマービーズを含む組成物であって、結合したナトリウム対イオンが、結合した対イオン全体の60%未満である組成物が提供される。
【0082】
結合した対イオンを有する架橋高分子電解質ポリマービーズを含む組成物であって、結合した水素対イオンが、結合した対イオン全体の40%を超える組成物も提供される。
【0083】
結合した対イオンを有する架橋高分子電解質ポリマービーズを含む組成物であって、結合したナトリウム対イオンが、結合した対イオン全体の60%未満であり、結合した水素対イオンが、結合した対イオン全体の40%を超える組成物も提供される。
【0084】
異なる対イオン含有量を有する超吸収性高分子電解質ビーズの調製
ポリアクリレートビーズを例えば含む超吸収性高分子電解質ビーズは、懸濁法を含む当技術分野で公知の方法によって調製可能である(例えばBuchholz, F. L. and Graham, A. T., "Modern Superabsorbent Polymer Technology," John Wiley & Sons (1998))。そのような方法としては逆相懸濁重合による高分子電解質ビーズの製造を挙げることができる。本開示は、異なる対イオン含有量を有するポリマービーズを含む架橋高分子電解質ポリマーを調製する新規方法を提供する。意外にも、ポリマービーズを含むそのようなポリマーは、ヒト対象を含む対象において異なる対イオンの結合特性および放出特性を有することがわかった。そのような異なった特性によって、これらはイオンの不均衡および/または体液の不均衡を包含する異なった疾患および状態用のデザイナー治療薬(designer therapeutic)として有用になる。例えば、ポリマービーズを含む架橋高分子電解質ポリマーを酸で洗浄することで水素以外の結合した対イオンを水素に置き換えるための方法が提供される。結合した水素対イオン(100%の結合した水素イオンを含む)を他の対イオンで置き換えるための方法も提供される。これらの方法では、ビーズを任意で粒子に粉砕することで、ビーズを破壊されたビーズとして使用することができる。架橋高分子電解質の一形態は、アルカリ金属と反応してポリアクリレートなどのポリカルボキシレートを生成可能な多くのカルボン酸基を含有するポリマーからなる。これらのポリカルボキシレートの多くは、0.9%食塩水(0.15Mナトリウム)中でその質量の20倍を超えて吸収する超吸収性ポリマーとして働く。例示的な方法を以下に示す。
【0085】
1. 超吸収性高分子電解質の製造
架橋高分子電解質ポリマービーズを含む架橋高分子電解質ポリマーは、当技術分野で周知の方法によって調製可能である。例示的な方法では、架橋高分子電解質ポリマーは、炭化水素中の水溶液の液滴の懸濁液として(例えば逆相懸濁重合によって)調製可能である。
【0086】
超吸収性ポリアクリレートは、適切な架橋剤が少量で存在する水性環境中での部分中和アクリル酸の重合によって調製可能である。超吸収性ポリマーが吸収する体液の量とポリマーの架橋度との間に反比例関係が存在することに鑑み、樹脂を依然として生成するための最小限の架橋を可能にすることが望ましい。しかし、架橋度と、架橋せず、したがって体液中に溶解することから樹脂の吸収度に寄与しない可溶性ポリマーであるポリマー鎖の割合との間にも反比例関係が存在する。例えば、超吸収性ポリアクリレートは、最大吸収度と最小限の可溶性ポリマーとの間の妥協として、生理食塩水中でその質量の約35倍吸収するように設計可能である。
【0087】
逆相懸濁重合反応で使用する反応物の量は反応器のサイズに応じて異なるため、ポリアクリレートなどの架橋高分子電解質ポリマーの調製において使用する各反応物の正確な量を当業者は決定することができる。例えば、500ガロンの反応器中では約190〜200ポンド(約85〜90kg)のアクリル酸を使用できる一方、3リットルの反応器中では150〜180gのアクリル酸を使用できる。したがって、架橋ポリアクリレートの調製に使用する各反応物の量は、アクリル酸に対する重量比として表される。そのため、アクリル酸の重量を1.0000とし、他の化合物をこの値に対して提示する。逆相懸濁重合による架橋ポリアクリレートの調製に使用する反応物の例示的な量を表1に提示する。
【0088】
(表1)逆相懸濁重合における反応物の例示的な量

【0089】
超吸収性ポリマーを形成するための例示的な逆相懸濁反応は、2つの異なった容器中での2つの混合物(例えば疎水性混合物および水性混合物)の調製、およびそれに続く、この混合物を組み合わせることによる反応混合物の形成を包含し得る。1つの容器は疎水性化合物容器として指定することができ、もう1つは水溶液容器として指定することができる。疎水性化合物は、反応容器となるより大きい容器中で混合可能であり、一方、水溶液は、反応容器へ放出できる、より小さい容器中で調製可能である。
【0090】
疎水性溶媒を反応容器に入れることができる。当業者が認識するように、疎水性溶媒(本明細書では「油相」とも呼ぶ)は、油相の密度および粘度、油相中の水の溶解度、油相と水相との間での中和および非中和エチレン性不飽和モノマーの分配、油相と水相との間での架橋剤および開始剤の分配、ならびに/または油相の沸点を例えば含む1つまたは複数の考慮事項に基づいて選択することができる。
【0091】
本開示での使用が想定される疎水性溶媒としては例えばIsopar L、トルエン、ベンゼン、ドデカン、シクロヘキサン、n-ヘプタンおよび/またはクメンが挙げられる。Isopar Lを疎水性溶媒として選択することが、その低粘度、高沸点、ならびにアクリル酸ナトリウムおよび/またはアクリル酸カリウムなどの中和モノマーの低溶解度が理由で好ましい。油でなく水相を液滴として水相でなく油中に懸濁させること、および、水相の大きな塊として合体することを防ぐために水相の液滴を十分に分離することを確実にするために十分な体積の疎水性溶媒を使用することを、当業者は認識するであろう。
【0092】
1つまたは複数の界面活性剤および1つまたは複数の架橋剤を油相に加えることができる。次に油相を攪拌し、窒素またはアルゴンなどの不活性ガスを吹き込むことで油相から酸素を除去することができる。反応で使用する界面活性剤の量が所望のビーズのサイズおよび攪拌機の攪拌速度に依存することが認識されよう。界面活性剤のこの添加は、反応が始まる前に初期反応混合物中に形成される水滴をコートするように設計されている。より大量の界面活性剤およびより速い攪拌速度によって、より大きい全表面積を有するより小さい液滴が生成される。球状から楕円体状までのビーズを調製するために架橋剤および開始剤の適切な選択を使用可能であることを当業者は理解するであろう。当業者は、特定の架橋高分子電解質の調製用に適切な架橋剤を決定することが可能であろう。例えば、架橋剤の選択は、それが疎水性である必要があるかもしくは親水性である必要があるか、または酸性外部条件に耐性を有する必要があるかもしくは塩基性外部条件に耐性を有する必要があるかに依存する。架橋剤の量は、どの程度可溶性ポリマーが許容されるか、およびどの程度食塩水保持能力が必要であるかに依存する。
【0093】
例示的な界面活性剤としては、疎水性シリカ(AerosilまたはPerform-O-Silなどの)および糖脂質(ポリエチレングリコールジステアレート、ポリエチレングリコールジオレエート、ソルビタンモノステアレート、ソルビタンモノオレエートまたはオクチルグルコシドなどの)を例えば含む、室温で固体である疎水性剤が挙げられる。
【0094】
多種多様な分子量、水溶性および/または脂溶性を可能とする、互いに共鳴しない2個以上のビニル基を有する架橋剤を使用できる。本開示での使用が想定される架橋剤としては、例えばジエチレングリコールジアクリレート(ジアクリルグリセロール)、トリアリルアミン、テトラアリルオキシエタン、アリルメタクリレート、1,1,1-トリメチロールプロパントリアクリレート(TMPTA)およびジビニルベンゼンが挙げられる。
【0095】
水相混合物を別の容器(例えば疎水性相の調製に使用したものとは別個の容器)中で、水をこの容器中に配置してこの水に塩基を加えることで調製することができる。容器中での塩基の使用量が所望のモノマーの中和度によって決定されることを当業者は認識するであろう。60%〜100%の中和度が好ましい。本開示の理論に拘束されることは望まないが、100パーセントの中和によって懸濁失敗の可能性が最小限に抑えられるが、高電荷モノマーはそれほど速やかに反応しないことがあり、また疎水性架橋剤をビーズに引き寄せないことがあると考えられる。中和度の選択における考慮事項は、当業者が決定することができ、例えば反応速度に対するモノマー電荷(例えば中和分子からのカチオンのイオン化によって決定される)の効果、油相と水相との間のモノマーおよび中和モノマーの分配、ならびに/または反応中のポリマー鎖の合体の傾向が挙げられる。アクリル酸ナトリウムおよびメタクリル酸ナトリウムの水中溶解度は限定されており、温度が低くなるほど低くなる(例えばアクリル酸ナトリウムの溶解度は70℃では約45%であるが20℃では40%未満である)。この溶解度は、中和工程において必要な水量の下限を確立し得る。水量の上限は、反応器のサイズ、水相を液滴として安定して懸濁させるために必要な油相の量、および/またはバッチ当たりのポリマーの所望の生成量に基づき得る。
【0096】
本開示での使用が想定される塩基としては例えば水酸化物、炭酸水素塩または炭酸塩が挙げられる。これらの塩基を使用することで、反応混合物中に残留アニオンが残ることなく酸性モノマーの中和が可能になる。塩基に使用するカチオンを超吸収性ポリマーの使用計画に基づいて選択できることは当業者には明らかであろう。超吸収性ポリマーは食塩水が遭遇する状況で使用されるため、通常はナトリウム塩基が選択される。しかし、カリウム塩基、アンモニウム塩基、および他のカチオンの塩基が本開示において使用が想定される。
【0097】
反応で使用する水は、精製水、または水道水もしくは井戸水などの他の源からの水であり得る。使用する水が精製水ではない場合、開始剤を破壊しないように鉄、カルシウムおよびマグネシウムなどの金属を制御するためにキレート化剤が必要になることがある。本開示での使用が想定されるキレート化剤としては例えばVersenex 80が挙げられる。反応混合物に加えるキレート化剤の量を、水中の金属の量の決定によって当業者は決定することができる。
【0098】
塩基を水に加えた時点で、水相溶液を冷却することで、塩基の希釈により放出される熱を除去することができ、また、1つまたは複数のクラスのモノマーを加えて塩基と反応させることができる。当業者が認識するように、モノマーは、反応液中の塩基の量により決定づけられる程度まで中和される。プレポリマーストランド、ダイマーの形成、および/または早期重合の可能性を防ぐために、水相溶液を冷却して(例えば35〜40℃未満)、好ましくは約20℃に保持することができる。
【0099】
モノマーを20〜40重量%の濃度で水に溶解させ、続いて水相中のフリーラジカルによって重合を開始することができる。酸形態(pH2〜4)または部分中和塩(pH5〜7)のいずれかとしてモノマーを重合することができる。モノマーを溶解させるために使用する水の最小量は、結晶化することなくモノマー(例えばアクリル酸ナトリウム)のすべてが水に溶解するように設定され、その最大量は、(蒸留量を最小限に抑えかつバッチ当たりの最大収率を可能にするために)最小体積の反応混合物が可能になるように設定される。
【0100】
本開示での使用が想定される例示的なモノマー単位としては、例えばアクリル酸およびその塩、メタクリル酸およびその塩、クロトン酸およびその塩、チグリン酸およびその塩、2-メチル-2-ブテン酸(Z)およびその塩、3-ブテン酸(ビニル酢酸)およびその塩、1-シクロペンテンカルボン酸および2-シクロペンテンカルボン酸ならびにその塩が挙げられる。他の架橋高分子電解質超吸収性ポリマーは、スルホン酸およびその塩、ホスホン酸およびその塩、またはアミンおよびその塩をベースとすることができる。
【0101】
水相を油相に移す直前に1つまたは複数の開始剤、フリーラジカル生成剤を水相に加えることができる。当業者が認識するように、重合反応で使用する開始剤の量および種類は、水対油の溶解度、およびより長い鎖長の必要性に依存する。例えば、より長い鎖長が望ましい場合は、より少量の開始剤を重合反応で使用することができる。
【0102】
いくつかの態様では、開始剤は過硫酸塩、2,2'-アゾビス(2-アミジノ-プロパン)-二塩酸塩、2,2'-アゾビス(2-アミジノ-プロパン)-二塩酸塩および/または2,2'-アゾビス(4-シアノペンタン酸)過硫酸塩もしくは2,2'-アゾビス(4-シアノペンタン酸)などの熱感受性化合物であり得る。熱感受性開始剤は、高温に達するまで重合を開始しないという欠点を有する。過硫酸塩では、この温度は約50〜55℃である。反応が非常に発熱性であるため、水相の沸騰を防ぐには反応熱の活発な除去が必要である。反応混合物を約65℃に維持することが好ましい。当業者が認識するように、熱開始剤は、反応混合物に酸素を適切に吹き込む際に反応の開始の制御を可能にするという利点を有する。
【0103】
いくつかの態様では、開始剤は過硫酸塩/重硫酸塩、過硫酸塩/チオ硫酸塩、過硫酸塩/アスコルビン酸塩、過酸化水素/アスコルビン酸塩、二酸化硫黄/tert-ブチルヒドロペルオキシド、過硫酸塩/エリソルビン酸塩、tert-ブチルヒドロペルオキシド/エリソルビン酸塩および/またはtert-ブチル過安息香酸塩/エリソルビン酸塩などの酸化還元対であってもよい。これらの開始剤は、室温で反応を開始し、それにより、熱を反応器の周りのジャケットを通じて除去することで反応混合物を水相の沸点に加熱する可能性を最小限に抑えることが可能である。しかし、反応を開始するまでに均一な混合が達成されないことがあり、また、液滴表面が急速に重合しかつビーズ内部がそれよりはるかに遅く重合することがある。
【0104】
好ましい態様では、最終反応器中で油相に対して水相を混合する直後には反応を開始しない。これは、水中に溶解する過剰量の酸素を水相が依然として有しているためである。過剰量の酸素が低い反応性を引き起こすことがあり、また不十分な混合が均一な液滴のサイズの確立を妨げることがあるということを当業者は認識するであろう。その代わり、すべての試薬(その開始剤系を使用する場合は酸化還元対を除く)を反応器に配置した後、最終反応混合物に不活性ガスを10〜60分間最初に吹き込む。反応器を出る不活性ガス中で低酸素含有量(例えば15ppm未満)が測定される際に、反応を開始することができる。
【0105】
アクリレートおよびメタクリレートモノマーでは重合が液滴中で始まり、ビーズの合体がより起こりやすくなる地点(「粘着性相」)まで進行することを、当業者は認識するであろう。この相の間に第2の追加の界面活性剤(例えば酸素を除去するために適切に脱気されている)を加えること、または攪拌速度を増加させることが必要なことがある。過硫酸塩の熱開始では、この粘着性相は約50〜55℃で生じ得る。酸化還元開始系では、初期表面重合によって追加の界面活性剤の必要性を低減させることができるが、追加の界面活性剤が必要な場合、発熱が確認され次第それを加えるべきである。
【0106】
モノマーを最大限消費してポリマーにすることを可能にするために、ピーク発熱を確認後4〜6時間反応を続けてもよい。反応後、流体を除去するために遠心機もしくはフィルターに反応混合物全体を移すか、または、水がそれ以上除去できなくなり、かつ蒸留温度が100℃を有意に超えて上昇するまで水と油相(例えば多くの場合共沸混合物)の一部とを最初に蒸留するかのいずれかを行い、続いて遠心分離もしくは濾過のいずれかによってビーズを単離することによって、ビーズを単離することができる。次に、単離したビーズを所望の残留含水量(例えば5%未満)まで乾燥させる。
【0107】
例示的な架橋高分子電解質であるポリアクリレートは、エチレン性不飽和カルボン酸と多官能性架橋性モノマーとを共重合することで形成可能である。酸性モノマーまたはポリマーは、水酸化物、炭酸塩または炭酸水素塩などのアルカリ金属塩で実質的または部分的に中和することができ、開始剤の添加により重合することができる。1つのそのような例示的ポリマーゲルは、アクリル酸/アクリル酸ナトリウムと種々の架橋剤のいずれかとの共重合体である。
【0108】
架橋ポリアクリレートなどの例示的な架橋高分子電解質ポリマービーズの合成用の反応物を以下の表2に示す。これらの架橋高分子電解質ポリマービーズは500ガロン容器中の100キログラムバッチとして生成可能である。
【0109】
(表2)架橋ポリアクリレートビーズの製造に使用する成分のリスト

【0110】
例示的な重合反応を以下に示す。

【0111】
2. 水素対イオンを有する架橋高分子電解質ポリマービーズの調製
100%の水素対イオン含有量を有する部分中和または非中和高分子電解質ポリマーを、酸でポリマーを洗浄することで調製することができる。本開示での使用が想定される好適な酸としては例えば塩酸、酢酸およびリン酸が挙げられる。
【0112】
ナトリウム原子などのカチオンを含む対イオンの水素原子による置き換えを多くの異なった酸および異なった酸濃度によって行うことができることを、当業者は認識するであろう。しかし、酸および濃度の選択では、ポリマーまたは架橋剤に対する損傷を回避するよう注意を払わなければならない。例えば、硝酸および硫酸が回避されるであろう。
【0113】
次に、酸で洗浄した高分子電解質ポリマーを真空オーブンまたは不活性雰囲気中で、残留する水分が5%未満になるまで乾燥させることで、軽度に架橋したポリアクリル酸の実質的に遊離酸形態である架橋ポリアクリル酸を生成することができる。任意で、部分中和した軽度に架橋したポリアクリレートの無傷のビーズの形態を使用する場合、架橋高分子電解質ポリマーは、オーブンから回収されるビーズの形態のままでもよく、または微粉砕して低ナトリウム架橋高分子電解質ポリマーのより小さい粒子を得てもよい。
【0114】
3. 異なる対イオン含有量を有する架橋高分子電解質ポリマービーズの調製
架橋ポリアクリル酸を例えば含む本開示の架橋高分子電解質ポリマーの遊離酸形態は、各種レベルの1つまたは複数の対イオン(例えばナトリウム、カリウム、カルシウム、マグネシウムおよび/もしくはアンモニウムなどの1つもしくは複数の無機対イオンならびに/またはコリンおよび/もしくはリジンなどの1つもしくは複数の有機対イオン)によってポリマーに変換することができる。これらの方法は、ポリアクリレートポリマーを例えば含む架橋高分子電解質ポリマーの無傷のビーズ、破壊されたビーズまたは粉末形態によって行うことができる。
【0115】
好適な対イオンとしてはナトリウム、カリウム、カルシウムまたはマグネシウムを例えば含むアルカリ金属およびアルカリ土類金属が挙げられ、水素が除かれる。対イオンは個々の患者の要求に基づいて選択可能である。例えば、対イオンの適切な選択によって、患者の電解質の不均衡を処置することができる。例えば、過剰なナトリウムを有する患者では、対イオンとして、ナトリウムは回避されるであろう。
【0116】
対イオンは、水溶液に十分な程度溶解する可能性がある塩として提供することができ、またポリマーの酸形態と混合することができる。塩の特に有利な選択は、ポリマーから容易に除去される生成物を生成するように酸を中和する塩であろう。そのような塩としては所望の対イオンの炭酸塩(例えば炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸カルシウム)、所望の対イオンの炭酸水素塩(例えば炭酸水素カルシウム、炭酸水素マグネシウム、炭酸水素リチウム)、または所望の対イオンの水酸化物もしくは酸化物(例えば水酸化ナトリウム、水酸化コリン、水酸化マグネシウム、酸化マグネシウム)が挙げられる。
【0117】
4. 増加した食塩水保持能力を有する架橋高分子電解質ポリマービーズの調製
架橋高分子電解質ポリマービーズを含む本開示の部分中和または非中和高分子電解質ポリマーを破壊することでその食塩水保持能力を増加させることができる。食塩水保持能力は実施例4に記載のように決定することが好ましく、実施例4には0.15Mのナトリウム濃度を有する中性pH(例えばpH7)食塩水と共にビーズまたは破壊されたビーズが含まれる。あるいは、0.9%食塩水(0.154Mナトリウム)を使用してもよい。
【0118】
架橋ポリアクリレートポリマービーズを含む架橋高分子電解質ポリマービーズを、例えば粉砕機中で微粉砕または破砕によってより小さい粒子に破壊することができる。破壊されたポリマービーズを洗浄して可溶性ポリマーを除去することが好ましい。好適な洗浄液としては、脱イオン水または蒸留水などの精製水、および各種アルコールが挙げられる。ポリマーを乾燥させなければならないため、乾燥ポリマー中に塩などのいかなる残渣も残らないように容易に蒸発する流体を使用することが望ましい。あるいは、架橋ポリアクリレートポリマービーズを含む架橋高分子電解質ポリマービーズを、精製水中にビーズを配置し、ビーズを攪拌する(例えば磁気攪拌子で攪拌するかまたは500rpmで終夜攪拌する)ことで破壊することができ、ポリマービーズ中の残留可溶性ポリマーを減少させるかまたは排除することができ、ポリマービーズの食塩水保持能力を増加させることができる。
【0119】
スクリーンなどの篩を通じて篩い分けすることで一定サイズの粒子を得ることができる。スクリーンを積層して、ある範囲のサイズを有する粒子を得ることができる。スクリーンを振盪することで、粒子を篩にかけ、その直径をわずかに下回る開口を有するスクリーンの上に捕えることができる。例えば、18メッシュスクリーンを通過して20メッシュスクリーン上に捕えられる粒子の直径は850〜1000ミクロンである。スクリーンメッシュおよび該メッシュを通過可能な対応する粒径としては、18メッシュ、1000ミクロン; 20メッシュ、850ミクロン; 25メッシュ、710ミクロン; 30メッシュ、600ミクロン; 35メッシュ、500ミクロン、40メッシュ、425ミクロン; 45メッシュ、35ミクロン; 50メッシュ、300ミクロン; 60メッシュ、250ミクロン; 70メッシュ、212ミクロン; 80メッシュ、180ミクロン; 100メッシュ、150ミクロン; 120メッシュ、125ミクロン; 140メッシュ、106ミクロン; 170メッシュ、90ミクロン; 200メッシュ、75ミクロン; 230メッシュ、63ミクロン; および270メッシュ、53ミクロンが挙げられる。したがって、異なるサイズの粒子を1つまたは複数のスクリーンの使用を通じて得ることができる。
【0120】
治療上の用途
開示されるポリマーおよび該ポリマーを含む組成物は、治療上の用途を含む種々の用途を有する。そのような用途としては体液の除去のための方法を挙げることができる。そのような用途としては、体液貯留の増加および/またはイオンの不均衡に関連する疾患または障害を処置するための方法を挙げることもできる。開示されるポリマーは、末期腎疾患(ESRD)、慢性腎疾患(CKD)、うっ血性心不全(CHF)または高血圧を処置するための方法において使用することができる。開示されるポリマーは、腸障害、栄養障害(例えばクワシオルコルもしくはグルテン過敏性腸症)、肝疾患(例えば肝硬変)、内分泌障害(例えば子癇前症もしくは子癇)、神経障害(例えば血管神経性浮腫)または免疫系障害を処置するための方法において使用することもできる。開示されるポリマーは、腸内の体液を増加させる薬剤(例えば浸透圧剤、刺激薬、ナトリウム吸収遮断薬および体液分泌を強化する薬剤)との組み合わせで投与することができる。
【0121】
本方法は、対象中の2つ以上のイオンを含む1つまたは複数のイオンのレベルを調節する上で有効な量で本開示の組成物を対象に投与することで、対象中の2つ以上のイオンを含む1つまたは複数のイオンのレベルを調節する(例えば増加または低下させる)ために使用することができる。
【0122】
本組成物が対象中の1つまたは複数のイオンに結合することで対象中の1つまたは複数のイオンのレベルが低下し得る。さらに、本組成物が対象中の1つまたは複数のイオンを放出することで対象中の1つまたは複数のイオンのレベルが増加し得る。あるいは、本組成物が対象中の1つまたは複数の第1のイオンに結合することで対象中の1つまたは複数の第1のイオンのレベルが低下し得、かつ本組成物が対象中の1つまたは複数の第2のイオンを放出することで対象中の1つまたは複数の第2のイオンのレベルが増加する。
【0123】
本組成物は、水素、ナトリウム、カリウム、カルシウム、マグネシウムおよびアンモニウムからなる群より選択される1つまたは複数のイオンを除去するために使用できる。
【0124】
いくつかの態様では、ポリマーをコーティングで実質的にコートすることができ、コーティングはそれが腸管を通過して腸内で開くことを可能にし、腸内でポリマーは腸のその特別な部分で濃縮される体液または特定のイオンを吸収することができる。いくつかの態様では、吸収性材料をカプセルに封入することができる。カプセルはコーティングで実質的にコートすることができ、コーティングはそれが腸管を通過して腸内で開くことを可能にし、腸内でカプセルはポリマーを放出して腸のその特別な位置で濃縮される体液または特定のイオンを吸収することができる。個々の粒子または粒子の群を封入することができ、あるいは、より大量のビーズまたは粒子を一緒に封入することもできる。
【0125】
例示的な方法では、粒子もしくはビーズのサイズ、および/または異なるレベルのイオン負荷を有するポリマーを選択してポリマーの膨潤速度を制御することで、広範な膨潤が生じる前に腸管内の特定の場所にポリマーを送達することができる。より粒径が大きい粒子はより遅い膨潤速度を有する。経口で与える場合、透析患者において透析処置を補完または代替するために、うっ血性心不全の患者において利尿療法を補完または代替するために、高血圧の患者において利尿療法および降圧療法を補完または代替するために、ならびに体内の体液貯留を引き起こすものを含む他の疾患および症状の患者において体液および/またはナトリウム過負荷および/またはカリウム過負荷の処置用のこれらの手段および食事手段を補完または代替するために、このポリマーを使用することができる。
【0126】
薬学的組成物
本開示の架橋高分子電解質ポリマービーズを含む架橋高分子電解質ポリマーを含む薬学的組成物が開示される。多種多様な投与経路または投与方式を使用する対象を含む対象に、これらの組成物を送達することができる。好ましい投与経路は経口または経腸である。
【0127】
薬学的組成物または剤形は、ポリマーが1つまたは複数の薬学的に許容される担体、賦形剤または希釈剤との混合物中にあるものを含む。本開示に従って使用される薬学的組成物は、ポリマーを薬学的に使用可能な製剤に加工することを容易にする、賦形剤および助剤を含む1つまたは複数の生理学的に許容される担体を使用して慣行的に調剤することができる。適切な調剤は選択される投与経路に依存する。そのような組成物は治療有効量のポリマーを含有し得るものであり、薬学的に許容される担体を含み得る。薬学的に許容される担体としては、動物、より具体的にはヒトにおける使用に関して、連邦政府もしくは州政府の規制当局に承認されているかまたは米国薬局方もしくは他の一般に認知されている薬局方において列挙されているものが挙げられる。担体は、開示される組成物がその形で投与される有効成分を含み得る。
【0128】
経口投与では、開示される組成物はポリマーと当技術分野で周知の薬学的に許容される担体とを組み合わせることで容易に調剤することができる。そのような担体は、本開示の組成物を、処置される対象を含む対象による経口摂取用に、好ましくはカプセル剤、あるいは錠剤、丸剤、糖衣錠剤、カプセル剤、液剤、ゲル剤、シロップ剤、スラリー剤、懸濁液剤、カシェ剤、サシェ剤、散剤、溶解性錠剤などの他の剤形で調剤することを可能にする。いくつかの態様では、本組成物または本組成物を含有するカプセルは腸溶コーティングを有さない。
【0129】
架橋高分子電解質ポリマービーズを含む活性架橋高分子電解質ポリマーの量は、治療上および/または予防上の利点を実現する上で有効な量を例えば含む有効量で存在する。有効量は、インビトロまたは動物モデルの試験系から誘導される用量反応曲線から推定することができる。所望の治療上の効果を維持する上で十分な、架橋高分子電解質ポリマービーズを含む架橋高分子電解質ポリマーのレベルを提供するために、投与量および投与間隔を個々に調整することができる。治療方法に関与する投与レジメンは、ポリマーの作用を改変する各種の要因、例えば対象の年齢、状態、体重、性別および食事、疾患の重症度、投与時間、ならびに他の臨床的要因を考慮して、主治医が決定することができる。
【0130】
当然、化合物の投与量は、治療される対象、対象の体重、病気の性質および重症度、投与様式、ならびに処方する医師の判断に依存する。症状が検出可能である間、さらにはそれが検出可能ではない場合でも、治療を断続的に繰り返すことができる。治療は単独でまたは他の薬剤との組み合わせで与えることができる。
【0131】
本開示の高分子電解質ポリマーは、他の治療薬との組み合わせで投与することができる。本開示の組成物と同時投与可能な治療薬の選択は、処置される状態に部分的に依存する。
【0132】
実施例
実施例1
この実施例は、ナトリウムで部分中和されている軽度に架橋したポリアクリル酸などの例示的な架橋高分子電解質ポリマーの調製を実証する。
【0133】
以下の成分で逆相懸濁プロセスを使用することができる: モノマー(例えばポリアクリル酸)、溶媒(例えば水)、モノマーの中和用の塩基(例えばNaOH)、親油性溶媒(例えばIsopar L)、懸濁化剤(例えばAerosil R972などのヒュームドシリカ)、キレート化剤(例えばVersenex-80)、重合開始剤(例えば過硫酸ナトリウム)および架橋剤(例えばTMPTA)。例えば、アクリル酸88キログラムおよび水約87キログラムを好適な攪拌容器に加え、空気を混合物に吹き込むことで、架橋ポリアクリレートビーズを調製した。混合物を連続的に攪拌および冷却している間に、混合物の温度を約40℃未満に有利に維持しながら、50%水酸化ナトリウム79キログラムを加えた。このようにして、アクリル酸の約80%中和が得られた。所望であれば、水酸化ナトリウムの量を変化させることで約60%〜100%の中和割合が得られるであろう。あるいは、炭酸ナトリウムあるいは炭酸水素ナトリウムなどの他の塩基性ナトリウム塩を、他のアルカリ金属の塩基性塩に加えて使用する。
【0134】
第2の好適な攪拌溶液に、Isopar L(またはトルエン、ヘプタン、シクロヘキサンなどの他の親油性溶媒)約700キログラムを、Isopar L(または他の親油性溶媒)約20キログラムに予め分散したヒュームドシリカ(Aerosil R972)0.3キログラムに加えた。次に、Versenex-80溶液約0.9キログラム部分中和アクリル酸溶液に加えた後、トリメチロールプロパントリアクリレート0.3キログラムをIsopar L/Aerosil R972分散液に加えた。水約3キログラム中の溶液としての過硫酸ナトリウム約0.06キログラムを部分中和アクリル酸溶液に加えた。次に部分中和アクリル酸溶液を濾過することができる。
【0135】
部分中和アクリル酸溶液を第2の反応器中のIsopar Lに移した。任意で、この時点で部分中和アクリル酸溶液を濾過することができる。混合物を約15〜30分間攪拌する一方、攪拌時間中に窒素(または他の好適な不活性ガス)を混合物に吹き込んで、水性モノマー液滴の懸濁液を得た。反応器温度を約50℃に増加させることができ、その時点でAerosil R972の第2の分散液(Isopar L約20キログラム中のAerosil R972 0.6キログラム)を反応混合物に加えることができる。反応混合物を約65℃に加熱し、ピーク発熱を観察した後約2〜4時間、内容物を約65℃に保持することで、混合物の重合を完了させた。次に反応器の内容物を冷却し、真空下に配置して水を除去した。留出物約220キログラムを収集した。ビーズを遠心分離で単離し、必要であれば窒素ブリードを用いて約100℃で真空乾燥させた。
【0136】
ビーズを選別して大きすぎる凝集物および微粉を除去した。典型的には、架橋ポリアクリレートビーズ約100キログラムが得られた。残留アクリル酸レベルが高すぎる場合、Isopar L、水および少量の過硫酸ナトリウムを含有する好適な容器に架橋ポリアクリレートビーズを再供給する。混合物に窒素を吹き込んだ後、ビーズを約70℃で約2〜3時間インキュベートした。次に混合物を冷却し、架橋ポリアクリレートビーズを先のように単離、乾燥および選別した。
【0137】
ビーズを選別する際のビーズの平均粒径は一般に約700ミクロン〜約1200ミクロンの範囲であった。より大きい選別サイズは840〜1400ミクロン(例えば24〜16メッシュ)の範囲であり、より小さい選別サイズは540〜840ミクロン(例えば36〜24メッシュ)の範囲であった。
【0138】
ビーズをカプセル(例えばハードサイズ00 HPMCカプセル)中に任意で配置する。そのようなカプセルを任意でコートする。以下の材料を使用して例示的なコーティング懸濁液を調製する(% w/w): Eudragite L30D-55(53.76%)、Plasacryl(6.45%)、クエン酸トリエチル(2.58%)および滅菌水(37.20%)。例えば、L30D-55を鉄製容器に、渦を作り出すように攪拌しながら分配する。次に滅菌水、Plasacrylおよびクエン酸トリエチルを渦に加える。次にカプセルに混合物を吹き付けた後、乾燥させることができる。
【0139】
実施例2
この実施例は架橋ポリアクリレートポリマーなどの実質的に金属を含まない架橋高分子電解質ポリマーの調製を実証する。
【0140】
例示的な方法では、1M HClなどの希酸2,200〜2,500ミリリットルを有する3〜5リットル反応器に氷アクリル酸(実施例1のようには中和されていない)140グラムを配置し、1,3-ジグリセレートジアクリレートなどの水溶性架橋剤を、所望の食塩水保持能力を生成するように選択される比率(例えば20倍、40倍以上)で、開始剤と共に加えることで、実質的に金属を含まない架橋ポリアクリレートを調製した。窒素などの不活性ガスを反応器に吹き込み、反応混合物を攪拌してほぼ同じサイズの液滴を生成した後、反応を開始し、ほぼ全部のモノマーが反応するまで2〜4時間反応を進行させた。次に、湿潤ポリマーの得られた塊を、より小さい断片(例えば側面1〜2センチメートル)に切断し、真空中または不活性雰囲気中で乾燥させた後、(例えば微粉砕により)破壊して粒子または粉末を生成した。
【0141】
実施例3
架橋ポリアクリレートポリマーなどの架橋高分子電解質ポリマーの食塩水保持能力を当技術分野で公知の方法によって決定することができる。
【0142】
例示的な方法では、食塩水保持能力を0.15Mナトリウム溶液によって以下のように決定した。19.0062グラムを純水約950ミリリットルに溶解させ、1N HClでpHを最終pH7±0.1に調整した後、1リットルに最終希釈して0.15Mのナトリウム濃度を有する溶液を得ることで、第三リン酸ナトリウム(Na3PO4・12H20; 分子量380.124)のpH7緩衝液を調製した。次に、ある量の架橋高分子電解質、例えば架橋ポリアクリレートビーズ(例えば0.1±0.025グラム)を自重濾過管に移し、ビーズの質量をW1として記録した。次に、管を天秤に戻して管+試料の重量をW2として記録した。次に、過剰(例えばポリマーの質量の70倍を超える)量のpH7.0緩衝液(例えば10ミリリットル)を、CLP試料を含有する管に移した。次に管を平台振盪機上に設置し、2時間、4時間または6時間振盪した。ナトリウムが減少した架橋ポリアクリレートポリマーを食塩水保持能力について試験する場合、この時間を24時間に延長することができる。振盪後、すべての過剰の流体を管から除去した(例えば管内に見える流体はない)。最後に、管および試料を秤量し、W3として記録した。食塩水保持能力(SHC)を、乾燥した架橋ポリアクリレートビーズの質量を吸収される流体の質量に割ることによって、例えばSHC(g/g)=(W3-W2)/(W1)によって算出した。本開示によれば、実施例1に記載のように調製したポリアクリレートビーズを含む架橋高分子電解質ポリマービーズは、1グラム当たり20グラム、1グラム当たり40グラム以上の食塩水保持能力を有していた。言い換えれば、高分子電解質がポリアクリレートであるものを含むそのような架橋高分子電解質ポリマービーズは、食塩水中でその質量の20倍、40倍以上吸収することができる。
【0143】
実施例4
異なる対イオン含有量を有する(例えば対イオンを加え、置き換え、除去または減少させた)架橋ポリアクリレートポリマーなどの架橋高分子電解質ポリマーは、当技術分野で公知の任意の方法によって調製可能である。
【0144】
100%水素の対イオン含有量を有する架橋高分子電解質ポリマーを調製した(例えば結合した対イオン全体のうち100%が水素である)。例示的な方法では、部分中和した架橋ポリアクリレートポリマー(例えば先の実施例1または実施例2に記載のように調製)などの架橋高分子電解質ポリマー100グラムを容器中に配置した。次に、純粋な(例えば金属が微量であるまたはそうでなければ金属が認証された低いレベルである)1M HCl約2,250ミリリットルを容器に加えた後、穏やかに2時間攪拌した。デカントまたは濾過によって液体を除去した。所望であれば、容器のサイズに起因してまたは質量の均衡の向上のために、1M HCl 2,250ミリリットルを複数のバッチに分割し、連続的に使用する。例えば、750ミリリットルを加え、ポリマーと共に攪拌し、除去した後、750ミリリットルを2回以上別々に加えた。次にポリマーを低金属含有量の水2,250ミリリットルですすいで、ポリアクリレートなどの高分子電解質を囲む過剰な酸を除去した。
【0145】
あるいは、架橋ポリアクリレートポリマーなどの架橋高分子電解質ポリマー100グラムを濾過漏斗または底面フィルターを備えたカラム内に配置した。次に、ポリマーを純粋な(例えば金属が微量であるまたはそうでなければ金属が認証された低いレベルである)1M HCl約2,250ミリリットルで約1時間以上すすいだ。次に、ポリマーを低金属含有量の水2,250ミリリットルですすいだ。
【0146】
実施例5
異なる対イオン含有量を有する(例えば対イオンを加え、置き換え、除去または減少させた)架橋ポリアクリレートポリマーなどの架橋高分子電解質ポリマーは、当技術分野で公知の任意の方法によって調製可能である。
【0147】
完全水素負荷ポリマーを生成するための例示的な方法では、1N HCl 50リットルを反応器内に配置し、攪拌機および反応器に応じて100〜1800rpmで攪拌した。次に、架橋ポリアクリレートポリマーなどの架橋高分子電解質ポリマー4000グラムを反応器に加えた。架橋高分子電解質ポリマーを1時間混合した後、容器から酸を排出した。1 N HCl 30リットルを容器に注ぎ、架橋高分子電解質を1500〜1800rpmで2時間混合した。次に混合機を停止させ、容器から酸性溶液を排出した。再度、1 N HCl 30リットルを容器に注ぎ、架橋高分子電解質を100〜1800rpmで2時間混合した。次に混合機を停止させ、容器から酸性溶液を排出した。次に、滅菌水40リットルを容器に加え、架橋高分子電解質ポリマーを100〜1800rpmで1時間混合した。混合後、容器から水を排出した。次に滅菌水40リットルを架橋高分子電解質ポリマーと共に容器に加えた。架橋高分子電解質ポリマーを100〜1800rpmで30分間混合した後、容器から水を排出した。再度、滅菌水40リットルを架橋高分子電解質ポリマーと共に容器に加えた。架橋高分子電解質ポリマーを1500〜1800rpmで30分間混合した後、容器から水を排出した。次に、架橋高分子電解質ポリマーを、95℃±5℃に設定した乾燥オーブン内に配置し、少なくとも3時間、好ましくは不活性ガス下で乾燥させた。
【0148】
100%水素の対イオン含有量を有する、得られた乾燥架橋ポリアクリレートを微粉砕して架橋ポリアクリレート粒子を生成することができる。例示的な方法では、粉砕装置(例えばCOMIL(登録商標)装置)にポリアクリレートビーズを、インペラ羽根の頂点の直下に対して供給した。次にインペラを作動させ、100%出力に設定した。粉砕装置は、30分おきに停止させ、微粉砕の再開前に10分間冷却することができる。次に、微粉砕した材料を、2つのスクリーン(例えばUS Mesh # 35およびUS Mesh # 70)を備えた篩い分け装置(例えばVORTI-SIV(登録商標)装置)を通じて注ぐことで、212〜500ミクロンのポリアクリレート粒子を収集した。500ミクロンを超える材料を収集し、再度微粉砕し、得られた粒子を再度篩い分けして212〜500ミクロンの粒子を得た。500ミクロンを超える材料の粒径がもはや減少しなくなるまで微粉砕および篩い分けを続けることができる。212ミクロン未満の粒子は粉砕および篩い分けプロセスを通じて、使用されるかまたは廃棄可能である粉末として収集することができる。
【0149】
実施例6
この実施例は、架橋ポリアクリレートポリマーなどの90%水素、10%ナトリウムの架橋高分子電解質ポリマー(例えばカルボキシレート部位の10%がナトリウムで占められ、カルボキシレート部位の90%が水素で占められる)の調製を実証する。
【0150】
例示的な方法では、10%ナトリウム、90%水素の架橋高分子電解質を得るために、炭酸ナトリウム5.2994グラムを水500ミリリットルに溶解させ、実施例5に記載のように調製した酸で洗浄した架橋高分子電解質ポリマーに加えた。次に、残留する水分が5%未満になるまでポリマーを真空オーブンまたは不活性雰囲気オーブン中で乾燥させた。
【0151】
カリウム、他の対イオンまたはその混合物を同様に所望のレベルまで加えてもよい。
【0152】
実施例7
この実施例は、異なるレベルの結合したナトリウム対イオン(例えば5%ナトリウム、95%水素; 20%ナトリウム、80%水素; または45%ナトリウム、55%水素)を有する架橋ポリアクリレートポリマーなどの架橋高分子電解質ポリマーの調製を実証する。
【0153】
架橋ポリアクリレートポリマーなどのx%ナトリウムおよび(1-x)%水素置換の高分子電解質ポリマーは、100%酸で洗浄したポリマー(例えば先の実施例4または実施例5に記載の)から、該酸性ポリマーGグラム(カルボン酸基G/72.0627モルを有する)を好適な塩の形態の所望の対イオン(x/100)(G/72.0627)モルの溶液に加え、混合し、望ましくない塩生成物が形成された場合はそれを純水でのすすぎによって除去し、乾燥させることによって調製することができる。本開示の理論に拘束されることは望まないが、炭酸塩、重炭酸塩、水酸化物塩または酸化物塩を使用することで、ポリマーから望ましくない塩をすすぐ必要性が一般に回避されると考えられる。
【0154】
例えば、架橋ポリアクリレートポリマーなどの5%ナトリウム/95%水素置換の架橋高分子電解質ポリマーの調製を、NaOH (0.05)(36.0313/72.0627)(39.9971)=0.9999グラムの希釈水溶液に完全酸負荷ポリマー36.0313グラムを加えることで行った。ポリマーに対するいかなる損傷も防ぎ、かつ、溶液に最初に加えたポリマーを湿潤させるために十分なだけの流体を有するのではなくてむしろ十分な流体がポリマーのすべてのビーズまたは粒子に入り込むようにするために、この希釈溶液を使用した。混合後、懸濁液を真空オーブン中に不活性ガスを流しながら配置し、含水量を5%未満にした。
【0155】
同様に、20%ナトリウム/80%水素を有する架橋ポリアクリレートポリマーなどの架橋高分子電解質ポリマーの作製を、NaOH (0.20)(36.0313/72.0627)(39.9971)=3.9997グラムの希釈水溶液に完全酸性化ポリマー36.0313グラムを加えた後、十分に混合し、乾燥させることで行った。
【0156】
同様に、架橋ポリアクリレートポリマーなどの45%ナトリウム/55%水素の架橋高分子電解質ポリマーの調製を、NaOH (.45)(36.0313/72.0627)(39.9971)=8.9993グラムの希釈溶液に完全水素ポリマー36.0313グラムを加えた後、十分に混合し、乾燥させることで行った。
【0157】
例示的な方法では、TMPTAを架橋剤として用いる80%中和アクリル酸の逆相懸濁重合によって調製した架橋高分子電解質ポリマーである部分中和ポリアクリレートビーズ12グラムを、フリットガラスを備えたカラム中に配置した。次に、1M HCl 300ミリリットルのカラム通過を2時間かけて行った。次に、ビーズを蒸留水300ミリリットルですすぎ、カラムから除去し、真空オーブン中100℃で終夜乾燥させた。次に、得られたナトリウムを含まない軽度に架橋したポリアクリル酸ビーズをビーカーに移した。次に、炭酸ナトリウム7.09グラムの蒸留水500ミリリットル溶液をビーカーに加えた。溶液を穏やかに混合し、数時間静置した。次にビーズを真空オーブン中に100℃で終夜配置した。
【0158】
実施例8
この実施例は、異なるレベルの結合したカリウム対イオン(例えば25%カリウム、75%水素; または25%カリウム、25%コリン、50%水素)を有する架橋ポリアクリレートポリマーなどの架橋高分子電解質ポリマーの調製を実証する。カリウム対イオン、水素対イオンおよびコリン対イオンを有する混合カチオンポリマーも実証する。
【0159】
例えば、架橋ポリアクリレートポリマーなどの25%カリウム/75%水素の架橋高分子電解質ポリマーの調製を、KOH (.25)(36.0313/72.0627)(56.1056)=7.0132グラムの希釈水溶液に完全酸性化ポリマー(例えば先の実施例4または実施例5に記載の)36.0313グラムを加えた後、十分に混合し、乾燥させることで行った。同様に、架橋ポリアクリレートポリマーなどの25%カリウム、25%コリン、50%水素置換の架橋高分子電解質ポリマーの調製を、KOH 7.0132グラムおよび水酸化コリン15.1473グラムの水溶液に完全酸性化ポリマー36.0313グラムを加えた後、十分に混合し、乾燥させることで行った。
【0160】
実施例9
この実施例は、異なるレベルの結合したコリン対イオン(例えば50%コリン、50%水素)を有する架橋ポリアクリレートポリマーなどの架橋高分子電解質ポリマーの調製を実証する。
【0161】
例えば、50%コリン/50%水素のポリマーの調製を、水酸化コリン(.50)(36.0313/72.0627)(121.1781)=30.2945グラムの希釈水溶液に完全酸形態ポリマー36.0313グラムを加え、好適に混合し、乾燥させることで行った。
【0162】
実施例10
架橋ポリアクリレートポリマービーズ(例えば実施例6および実施例7に記載の方法によって生成されるもの)などの架橋高分子電解質ポリマービーズを使用することでインビボで体液を除去することができる。
【0163】
例示的な方法では、実施例7で調製した任意のレベルの結合したナトリウム(例えば0%ナトリウム、100%水素; 10%ナトリウム、90%水素; 20%ナトリウム、80%水素; 45%ナトリウム、55%水素; または80%ナトリウム、20%水素)を有する架橋ポリアクリレートを使用してラット中の流体を除去した。4つの群の各々に3匹の雄Sprague Dawleyラットを配置した。代謝ケージ内に収容している間、各群に通常のPMI 5012ラット用固形飼料を6日間与えた。毎日の食物および水の摂取ならびに毎日の糞便および尿の排出を重量で記録した。6日後、PMI 5012ラット用固形飼料の食餌に無傷の架橋高分子電解質ポリマービーズを、架橋高分子電解質ポリマービーズが食餌の3%になるように混合して、これらの群に与えた。4つの異なったナトリウムレベルの架橋高分子電解質ポリマービーズを使用した。架橋高分子電解質ポリマービーズは、約20%の水素に結合したカルボン酸部位および約80%のナトリウムに結合したカルボン酸部位を有する(例えば実施例1に記載のように調製)。さらに、55%水素(45%ナトリウム)の架橋高分子電解質ポリマービーズ、80%水素(20%ナトリウム)、90%水素(10%ナトリウム)の架橋高分子電解質ポリマービーズ、および100%水素(0%ナトリウム)の架橋高分子電解質ポリマーも使用した(例えば実施例2に記載のように調製)。架橋高分子電解質ポリマービーズは、腸を通じて吸収されることはなく、身体から体液を吸収した。この体液は糞便中に排泄され、糞便排泄の重量増加を引き起こした。ベースライン期間の最後の3日間を処置期間の最後の3日間と比較して、表2に示すように糞便重量の増加の平衡レベルの決定を可能にした。例えば、4日目、5日目および6日目(例えば処置期間の最後の3日間)にかけてこれらの群の糞便重量を平均することで平衡ベースライン糞便重量を決定した。同様に、10日目、11日目および12日目(例えば処置期間の最後の3日間)にかけてこれらの群の糞便重量を平均することで平衡処置糞便重量を決定した。ベースライン糞便重量から平衡糞便重量を差し引くことで糞便重量の増加を決定した(表2)。
【0164】
(表2)糞便重量の増加の平衡レベル

【0165】
したがって、生成されるCLP中のナトリウム負荷の5つの異なるレベルの各々は、糞便液排泄量が統計上有意に増加する(p<<0.001)。架橋高分子電解質ポリマービーズにおけるナトリウム負荷の5つの異なったレベルのいずれの間でも、架橋高分子電解質ポリマービーズ1グラム当たりの糞便液排泄量に統計上有意な違いはない。このデータは、酸で洗浄したまたは低ナトリウムの架橋高分子電解質ポリマービーズが、20%水素、80%ナトリウムの架橋ポリアクリレートとしての調製直後に存在する架橋高分子電解質ポリマービーズと同様に、哺乳動物から体液を除去することを示唆する。
【0166】
同日のこれらのラットからのナトリウム排出量(例えば糞便中および尿中)も図1および図2に示すように調査した。図1は尿中ナトリウム排出量を示す。糞便中のナトリウムの変化を図2に示す。20%酸(20%水素、80%ナトリウム)のCLP(X)では、ラットはCLPから1日当たり余分な120mgの食餌性ナトリウムを受容し、このナトリウムのうち約25mgが糞便中で、約80mgが尿中で排泄された。100%酸の形態(100%水素、0%ナトリウム)のCLPでは、ラットには余分な食餌性ナトリウムは与えられなかったが、ベースラインに対して余分な約10mgのナトリウムが糞便中で排泄され、尿中ナトリウム排泄量に変化はなかった。
【0167】
実施例11
この実施例は、様々な量のナトリウムを含有する破壊されたおよび無傷のCLPビーズの膨潤を実証する。
【0168】
遊離酸としての100%カルボキシレート(100%水素)、遊離酸としての90%カルボキシレート(90%水素、10%ナトリウム)および遊離酸形態の80%カルボキシレート(80%水素、20%ナトリウム)を含有する無傷のおよび破壊された架橋高分子電解質ポリマービーズならびにその食塩水中での膨潤を決定した。図3の結果は、すべての試料が超吸収性ポリマーである(例えばポリマー1グラム当たり20グラムを超える食塩水を吸収する)が吸収速度が異なるということを実証する。
【0169】
実施例12
この実施例は、異なるレベルの結合した対イオンを有する架橋高分子電解質ポリマー(CLP)を投与したラットにおける、イオン(例えばナトリウムおよびカリウム)の調節(例えば除去もしくは供与)ならびに/または体液(例えば食塩水)の除去を実証する。
【0170】
例示的な方法では、9匹のSprague Dawleyラットを順化後に個々の代謝ケージ内に配置し、微粉PMI 5012げっ歯類用固形飼料(固形飼料100グラム当たりカルシウム1010ミリグラム、カリウム1080ミリグラム、マグネシウム210ミリグラムおよびナトリウム280ミリグラム)を与えた。異なる形態の架橋高分子電解質ポリマー(「CLP」)を受容する3つの群にラットをランダム化した。CLPを実施例1に記載のように調製し、対イオン含有量を実施例6および実施例7に記載のように変化させた。各ラットはそれ自身の対照としての役割を果たし、ベースライン期間には対照食餌が与えられ、次に処置期間には食餌にCLPが含まれた。代謝ケージ内に収容している間、ラットにPMI 5012ラット用固形飼料を6日間与えた。6日目に、ラットの5つのランダム化群の各々についてその食餌を100%、90%、80%、55%または20%水素に結合したCLPビーズで置き換える。CLP上の残存部位をナトリウムで置換した(例えば、80%水素に結合したCLPでは、部位の20%がナトリウムに結合している)。毎日の食物および水の摂取ならびに毎日の糞便および尿の排出を重量で記録した。糞便重量、糞便中ナトリウムレベル、および糞便中カリウムを4日目、5、6、10、11日目および12日目に計算した。ラット群の各々について、4日目、5日目および6日目に得たレベルを10日目、11日目および12日目に得たものとそれぞれ比較する。例えば、体液の除去量を、4日目の糞便重量から10日目の糞便重量を差し引くことで決定した。同様に、4日目の糞便中ナトリウムのレベルを10日目の糞便中ナトリウムのレベルと比較した。ラットの3つの群に関する3つの比較における糞便重量、糞便中ナトリウムおよび糞便中カリウムの差を決定し、平均および標準偏差を計算する(表3)。表3のデータは、実施例10に記載のラット実験で得たデータの別の表現である。
【0171】
すべての群で、体液の除去量および使用したCLPの種類に統計上有意な差は存在しなかった(例えば100%酸洗浄CLPは20%酸形態のCLPと全く同量の体液を除去する)。尿中および糞便中のナトリウムは投与したCLP中のナトリウムの量に対して増加した(例えば100%酸(ナトリウムなし)は20%酸(80%ナトリウム)よりも増加が少なかった)。尿中ナトリウムレベルもCLP上のナトリウムの量に対して増加した。このことは、このナトリウムの少なくとも一部が身体に対して利用可能になり(例えば放出または供与し)かつ尿中で排泄することができることを示唆している。100% H-CLPを投与したラットでは、ナトリウムがラットから除去された(例えば10.74mg)(表3)。逆に、55%または20% H-CLPの投与によってナトリウムがラットに供与された。しかし、90%〜80% H-CLPによるナトリウムレベルの変化はほぼ正味ゼロであった(表3)。尿中カリウムはすべての処置群で増加したようであったが、55%酸洗浄CLPでのみ有意であった(p<0.01)。糞便中カリウムはすべての処置で有意に増加した(p<0.01)(表3)。マグネシウムレベルおよびカルシウムレベルの統計上有意な変化は観察されなかった。
【0172】
CLPの用量の増加に対する影響を決定するために、ラットにおける食餌全体の3、4、5、6または10パーセントとしての100% H-CLPの用量設定を使用して上記の実験を行った。予想通り、食餌中のCLPの増加によって体液除去量が増加した。しかし、H-CLPが食餌の10%に達した際に、おそらくはCLPの味または感触が理由で、ラットはその食餌摂取量を低下させた。したがって、食餌摂取量の低下がCLPの全消費量に影響を与えたため、意図した試験用量全部を受容したとは考えにくい(表4)。
【0173】
さらに、ラットの食餌において20% H、80% Na-CLPのパーセントに上昇させる影響を評価するために用量設定を行った。使用したCLPビーズを以下の通りとしたことを除き、上記の方法に従った: 20% H、80% Na。CLPはラットの食餌の3、6および10パーセントからなった。予想通り、食餌全体におけるCLPの割合の増加によって糞便中と尿中との両方のナトリウムレベルが増加した(例えば食餌の3パーセントから6パーセント)(表5)。先に論じたように、CLPがラットの食餌の10%に達した際に、ラットが意図した用量を消費したとは考えにくかった。
【0174】
(表3)食餌全体の3%としてのH-CLPの各種形態

【0175】
(表4)食餌全体の割合としての100% H-CLPの用量設定

【0176】
(表5)食餌全体の割合としての20% H 80% Na-CLPの用量設定

【0177】
実施例13
この実施例は、異なるレベルの結合した対イオンを有する架橋高分子電解質ポリマー(CLP)を投与したラットにおける、イオン(例えばナトリウムおよびカリウム)の調節(例えば除去もしくは供与)ならびに/または体液(例えば食塩水)の除去を実証する。CLPを実施例1に記載のように調製し、対イオン含有量を実施例6および実施例7に記載のように変化させた。
【0178】
使用したCLPビーズを以下の通りとしたことを除き、実施例7記載の方法に従った: 100% H; 75% H、25% K; または50% H、50% K。
【0179】
すべての群で、尿中および糞便中のカリウムは、投与したCLP中のナトリウムの量に対して増加していた(例えば100%酸(カリウムなし)は50%酸(50%ナトリウム)よりも増加が少なかった)(表6)。尿中および糞便中のカリウムは、投与したCLP中のナトリウムの量に対して増加していた(例えば100%酸(カリウムなし)は50%酸(50%カリウム)よりも増加が少なかった)(表6)。尿中カリウムレベルもCLP上のカリウムの量に対して増加した。このことは、このカリウムの少なくとも一部が身体に対して利用可能になりかつ尿中で排泄することができることを示唆している。マグネシウムレベルおよびカルシウムレベルの統計上有意な変化は観察されなかった。体液の除去量および使用したCLPの種類に統計上有意な差は存在しなかった(例えば100%酸洗浄CLPは50%酸洗浄50%カリウム形態のCLPと全く同量の体液を除去する)(表6)。
【0180】
(表6)食餌全体の割合としての100% H-CLPの用量設定

【0181】
実施例14
この実施例は、異なるレベルの結合した対イオンを有する架橋高分子電解質ポリマー(CLP)を投与したラットにおける、イオン(例えばナトリウムおよびカリウム)の調節(例えば除去もしくは供与)ならびに/または体液(例えば食塩水)の除去を実証する。
【0182】
使用したCLPビーズを以下の通りとしたことを除き、実施例7記載の方法に従った: 食餌の5%としての100% H-CLP; 食餌の5%としての50%コリンCLP; 食餌の5%としての100%コリンCLP; 食餌の5%としての100% L-リジンCLP。さらに、使用したCLPビーズおよび投与用量を以下の通りとしたことを除き、実施例7記載のように第2の実験を行った: 食餌の5%としての100% H-CLP; 食餌の5%としての100% NH4 CLP; 食餌の10%としての50% NH4 CLP; 食餌の10%としての100% NH4 CLP。
【0183】
食餌の5%としての50%コリンCLPの投与によって100% H-CLPと同様の体液除去が得られた(表7)。特に、食餌の5%としての50%コリンCLPによるナトリウムおよびカリウムの除去は100% H-CLPよりも少なかった。このことは、身体のナトリウムレベルおよびカリウムレベルに悪影響を与えることなく水素を代替するためにコリンを使用できることを示唆している。同様に、100% NH4 CLPは、100% H CLPと同様の量の体液を除去した一方、有意に減少した量のナトリウムおよびカリウムを除去した(表8)。マグネシウムレベルおよびカルシウムレベルの統計上有意な変化は観察されなかった。
【0184】
(表7)食餌全体の割合としての100% H-CLPの用量設定

【0185】
(表8)食餌全体の割合としての100% H-CLPの用量設定

【0186】
実施例15
この実施例は、異なるレベルの結合した対イオンを有する架橋高分子電解質ポリマー(CLP)を投与したラットにおける、イオン(例えばナトリウムおよびカリウム)の調節(例えば除去もしくは供与)ならびに/または体液(例えば食塩水)の除去を実証する。
【0187】
使用したCLPビーズおよび投与用量を以下の通りとしたことを除き、実施例7記載の方法に従った: 食餌の3%としての20% H、80% Na CLP; 食餌の6%としての20% H, 80% Na CLP; または食餌の10%としての20% H, 80% Na CLP。
【0188】
より大きい割合のラットの食餌としてのCLPを投与することで体液の除去量が増加した(例えば、食餌の6%としての20% H 80% Na CLPを投与することで食餌の3%としての20% H 80% Na CLPよりも多く体液が除去された)(表9)。また、糞便中および尿中のナトリウムレベルが示すように、投与量が増加するにつれて、ラットに対するナトリウムの供与量が増加した(表9)。マグネシウムレベルおよびカルシウムレベルの統計上有意な変化は観察されなかった。
【0189】
(表9)食餌全体の割合としての100% H-CLPの用量設定

【0190】
実施例16
例示的CLPの治験を行った。治験の目的は以下を含んでいた: 絶食状態のベースライン期間と比較する便の重量によって評価する、投与CLP 1グラム当たりの体液の吸収量の決定; 浸透圧剤であるマンニトールがベースライン期間および単独投与CLPと比較して便の重量の増加を強化するか否かの決定; ならびにカルシウム、マグネシウムおよびカリウムの除去に対するカプセル腸溶コーティングの効果の決定。
【0191】
一次エンドポイントは以下を含んでいた: 処置群および対照群の間で比較するナトリウムの正味バランス。二次エンドポイントは以下を含んでいた: 処置群および対照群の間で比較する便の重量の変化; 処置群および対照群の間で比較するカルシウム、マグネシウム、カリウム、鉄、銅、亜鉛およびリンの正味バランス; 対照群と比較する、処置群において消費および排泄される体液; ならびにバイタルサイン、臨床安全性実験室および有害事象の検討に基づく安全性および耐容性。
【0192】
各群対象3人の2つの群に分割した健康な対象6人において非盲検の非ランダム化した複数用量試験を行った。対象は6日間のベースライン期間に参加し、その期間に食事を制御し、便の重量および体液のバランスを決定した。処置期間は7日目に始まった。処置期間に、CLPカプセルの投与を行い、食事を制御し、便の重量および体液のバランスを決定した。選択された対象は、CLP投与を含む試験で毎日最大27個のカプセルを飲み込む能力を有していた。
【0193】
毎日の便の平均重量が全群でほぼ等しくなるように、過去5日間の便の重量に基づいて6日目に2つの群のうち1つに対象を配置した。第1群は腸溶コーティングカプセルとしてCLPを受容した。第2群はマンニトールと混合した腸溶コーティングカプセルとしてCLPを受容した。マンニトール有りまたは無しのCLPをハードサイズ00 HPMC腸溶コーティングカプセルとして供給し、最終投与量として渡された。
【0194】
試験で使用した封入されたCLPは、pH約5.5で溶解する一方、より酸性のpH値では不溶性であると報告されている腸溶コーティングを包含している。胃内pHは、胃が空の間は通常pH 2未満であり、食物摂取によってpH約7に上昇し、食事開始10〜15分以内に胃腸ホルモンが分泌されて大量の塩酸が分泌されることから約pH 2に再下降する。十二指腸ではより高いpHに遭遇し、コーティングは溶解する。十二指腸の通過には約5分間かかるため、CLPは、上部空腸において最初に腸液に晒され、小腸通過の90分間にその流体容量の90%を吸収するものと予想される。
【0195】
処置期間において、一日の全経口用量10グラムのCLPを4つの用量に分割し、6日間、処置期間中合計24回の連続用量で投与した。第I群では、CLPの用量をカプセル当たり0.73グラムに微粉砕し、カプセル単位で4つの用量に分割した。第2群では、CLP 10グラムをカプセル当たり0.365グラムに微粉砕し、マンニトール10グラムを同一カプセルに入れ(カプセル当たり0.365グラム)、カプセル単位で4つの用量に分割した。
【0196】
CLP投与が行われない6日間のベースライン期間を含む試験全体を通じて、標準化された食事を投与した。対象に与えるすべての食事はカロリー数、脂肪および繊維含有量が制御されている。CLPは絶食状態で、4回の食事/間食(例えば朝食、昼食、夕食および間食)の各々の少なくとも1時間前に投与し、水と共に投与した。対象には投与の1時間前および1時間後にさらなる水分が制限された。
【0197】
すべての尿は各24時間で別々に収集し、測定した後、廃棄したが、ただし、試験5日目および試験11日目には、1日全体の尿をプールして、アリコートをカリウム、マグネシウムおよびカルシウムの分析にまわすようにした。
【0198】
すべての糞便を収集し、各試料を個々に秤量し、便の色および軟度を記録した。重量を合計して、毎日の摂取により得られる全糞便重量を決定した。また、色マーカー間で便の全重量を別々に、ベースライン期間と実験期間との両方について合計した。
【0199】
最初の制御された食事の消費後に排出されたすべての糞便を、自重収集容器中に個々の試料として収集し、ラベリングし、正確に秤量した後、凍結させ、-20℃以下で保管した。各24時間間隔中の個々の便を収集し、別々に保管した。プロトコール番号、対象番号、試験日、試料収集の日付および時間、ならびに試料および容器の重量を、個々の便について収集容器上に明確かつ恒久的に表示した。試料の時間、ビーズの存在、色、軟度および重量も診療記録に記録した。5日目および11日目の糞便および尿の収集物をカルシウム、マグネシウムおよびカリウムの分析にかけた。
【0200】
糞便重量の公式の統計的分析は行わなかった。記述した統計量(平均、標準偏差、中央値、最小値および最大値)を適宜使用して糞便重量のデータを要約した。ベースライン期間中に排泄されたすべての便の試料の累積的重量と、処置期間中に排泄された便の試料の累積的重量との比較を、各対象についてベースライン値からの変化を計算することで行った。処置群内および2つの処置群間の両方において比較を行った。
【0201】
5日目および11日目のカルシウム、マグネシウムおよびカリウムの糞便中および尿中濃度(ならびに5日目から11日目への変化)に関する要約統計量を処置群ごとに提示した。記述した統計量(例えば平均、標準偏差、中央値、最小値および最大値)を適宜使用して体液バランスのデータを要約した。試験中、各24時間の水分摂取量および体液排出量を測定した。これらの測定値をベースライン期間と処置期間との間で比較した。
【0202】
CLPの異なる投与での糞便中金属排泄量(例えばナトリウム、カリウム、マグネシウムおよびカルシウム)の変化を表10に示す。
【0203】
(表10)糞便中金属排泄量の変化(mg/日)

【0204】
実施例17
例示的CLPの治験を行った。治験の目的は以下を含んでいた: ナトリウム、カルシウム、マグネシウム、カリウム、鉄、銅、亜鉛およびリンの除去に関するCLPの安全性、耐容性および有効性の決定; 処置群および対照群の間で比較する便の重量によって評価する、投与CLP 1グラム当たりの体液の吸収量の決定。
【0205】
一次エンドポイントは以下を含んでいた: 処置群および対照群の間で比較するナトリウムの正味バランス。二次エンドポイントは以下を含んでいた: 処置群および対照群の間で比較する便の重量の変化; 処置群および対照群の間で比較するカルシウム、マグネシウム、カリウム、鉄、銅、亜鉛およびリンの正味バランス; 対照群と比較する、処置群において消費および排泄される体液; ならびにバイタルサイン、臨床安全性実験室および有害事象の検討に基づく安全性および耐容性。
【0206】
この治験では、5つの群に分割した健康な対象最大35人において、非盲検のランダム化した複数用量漸増試験を行った。第1の群の別の対象5人が対照群としての役割を果たした。さらなる対象最大5人を後続の対照群として追加することができる。第I群では、CLPの用量を15グラムとし、カプセル単位で4つの用量に分割した(カプセル当たり0.75グラムに微粉砕)。第2群では、CLPの用量を25グラムとし、カプセル単位で4つの用量に分割した(カプセル当たり0.75グラムに微粉砕)。第3群では、CLPの用量を35グラムとし、カプセル単位で4つの用量に分割した(カプセル当たり0.75グラムに微粉砕)。第4群では、CLPの用量を45グラムとし、カプセル単位で4つの用量に分割した(カプセル当たり0.75グラムに微粉砕)。第5群では、CLPの用量を55グラムとし、カプセル単位で4つの用量に分割した(カプセル当たり0.75グラムに微粉砕)。
【0207】
CLPの初期量を1日当たり15グラムとし、1日4回与えた。後続の群では1日当たり10グラムの増分で増加させることができる。1日当たりに見られるナトリウム除去を15グラムを限度として、CLPの用量を増加させるのではなくそれを減少させることを決定することができる。
【0208】
9日間の処置期間中に、CLPカプセルの投与を行った。同一の食事を取るすべての参加者について食事を制御した。便の重量、電解質のバランスおよび体液のバランスを決定した。
【0209】
第1の投与群では、毎日、対象1人を表すすべての食事および間食を均質化し、そのナトリウム、カリウム、カルシウム、リン、鉄、銅、亜鉛およびマグネシウムの含有量を決定した。対象に提供するすべての食事を、カロリー数、ナトリウムレベル(1日当たり約5000mg+/-100mg)、繊維含有量(1日当たり10〜15g)、脂肪含有量、および推奨されるおおよその食事摂取基準について制御した。
【0210】
CLPは、4回の食事/間食の各々の直前に投与し、水と共に投与した。対象は試験期間中、臨床研究施設に留まった。対象はその食事のすべてを消費するよう要請された。完全には消費されない食事を24時間全体について収集し、秤量し、予想される金属分析用に凍結させた。
【0211】
すべての尿は各24時間で別々に収集し、測定した後、1日全体についてプールして、アリコートをナトリウム、カリウム、カルシウムおよびマグネシウムの分析にまわすようにした。しかし、午後の試料をプールする前に、尿中pHおよび重量オスモル濃度を、廃棄する2ミリリットルのアリコートについて決定した。
【0212】
すべての糞便を収集し、各試料を個々に秤量し、便の色および軟度を記録した。重量を合計して、毎日の摂取により得られる全糞便重量を決定した。便の収集と尿の収集との両方について24時間は午前0時から午前0時までと見なした。
【0213】
各用量レベルについて、CLPの経口用量を4つの用量に分割し、9日間、合計36回の連続用量で投与した。各対象にはスケジュールされた時間の10分以内に用量を与えた。
【0214】
臨床実験室検査用に血液および尿の試料を収集する前に、検診時には少なくとも8時間、入院時には4時間、対象は絶食することが要求された。試験中に尿および血液の試料を収集する前には絶食は要求されなかった。絶食期間中に水は自由に許可された。
【0215】
最初の制御された食事の消費後に排出されたすべての糞便を、自重収集容器中に個々の試料として収集し、ラベリングし、正確に秤量した後、凍結させ、-20℃以下で保管した。各24時間間隔中の個々の便を収集し、別々に保管した。糞便収集物をナトリウム、カルシウム、マグネシウム、カリウム、鉄、銅、亜鉛およびリンの分析にかけた。
【0216】
尿を毎日プールし、ナトリウム、カリウム、マグネシウム、カルシウムおよびリンについて分析した。1日目〜9日目の午後の試料からの2ミリリットルのアリコートをpHおよび重量オスモル濃度の分析に送った。9日目にはシュウ酸塩も分析した。
【0217】
記述した統計量(平均、標準偏差、中央値、最小値および最大値)を適宜使用して処置群ごとに毎日の糞便重量のデータを要約した。1〜9日目および4〜9日目に排泄されたすべての便の試料の累積的重量について要約統計量を処置群ごとに提示した。「定常状態」期間を同定した場合、累積的糞便重量の要約統計量をこの期間についても同様に処置群ごとに提示した。群の間で非公式の比較を行った。
【0218】
ナトリウム、カルシウム、マグネシウム、カリウムおよびリン(それに加えて便のみにおいて銅、鉄および亜鉛)の毎日の糞便中および尿中の含有量および濃度の要約統計量を処置群ごとに提示した。試験中(例えば1〜9日目、4〜9日目)の累積的濃度について要約統計量を処置群ごとに提示することもできる。毎日収集した尿の重量オスモル濃度およびpHならびに9日目のシュウ酸塩を処置群ごとに要約した。さらに、処置群のナトリウム、カルシウム、マグネシウム、カリウム、リン、鉄、銅および亜鉛の毎日の平均値を試験日に対してプロットすることができる。
【0219】
記述した統計量(平均、標準偏差、中央値、最小値および最大値)を適宜使用して体液バランスのデータを要約した。試験中、各24時間の水分摂取量および体液排出量を測定した。これらの測定値を要約し、処置群の間で比較した。ナトリウム、マグネシウム、カルシウム、カリウムおよびリンの正味バランスを食事、尿試料および便試料の分析に基づいて計算した。記述した統計量を使用してこれらの正味バランスのデータを処置群ごとに要約した。
【0220】
CLPの異なる用量での糞便中金属排泄量(例えばナトリウム、カリウム、マグネシウムおよびカルシウム)の変化を表11〜14に示す。
【0221】
(表11)糞便中金属排泄量の変化(mg/日)、CLP 0グラム

【0222】
(表12)糞便中金属排泄量の変化(mg/日)、CLP 7.5グラム

【0223】
(表13)糞便中金属排泄量の変化(mg/日)、CLP 15グラム

【0224】
(表14)糞便中金属排泄量の変化(mg/日)、CLP 25グラム

【0225】
実施例18
例示的CLPの治験を行った。治験の目的は以下を含んでいた: 摂食状態と絶食状態との両方のベースライン期間と比較する便の重量によって評価する、投与CLP 1グラム当たりの体液の吸収量の決定; 浸透圧剤であるマンニトールがベースライン期間および単独投与CLPと比較して便の重量の増加を強化するか否かの決定; ならびにCa、MgおよびKなどの微量元素の潜在的除去に対するCLPの影響の決定。
【0226】
一次エンドポイントは以下を含んでいた: 処置群および対照群の間で比較するナトリウムの正味バランス。二次エンドポイントは以下を含んでいた: 処置群および対照群の間で比較する便の重量の変化; 処置群および対照群の間で比較するカルシウム、マグネシウム、カリウム、鉄、銅、亜鉛およびリンの正味バランス; 対照群と比較する、処置群において消費および排泄される体液; ならびにバイタルサイン、臨床安全性実験室および有害事象の検討に基づく安全性および耐容性。
【0227】
この治験では、各群対象3人の6つの群に分割した健康な対象18人において非盲検の非ランダム化した複数用量試験を行った。毎日の便の平均重量が全群でほぼ等しくなるように、過去5日間の便の重量に基づいて6日目に6つの群のうち1つに対象を配置した。処置群の要約を表15に示す。
【0228】
(表15)処置群

【0229】
マンニトール有りおよびマンニトール無し(第1群、第2群、第5群および第6群)のCLP(微粉砕)は、コートされていないサイズ00 HPMCカプセルとした。CLP(ビーズ)および単独のマンニトールをビンで供給して、それらをサイズ00 HPMCカプセルに入れることができるようにした(第3群および第4群)。
【0230】
CLPは絶食状態で処置割り当て(第1群、第2群、第3群および第4群)に従って、4回の食事/間食の各々の少なくとも1時間前に投与し、水と共に投与した。対象には投与の1時間前および1時間後についてさらなる水分が制限された。第5群および第6群では、CLPを、食事および夕方の間食の終了後30分に絶食状態で投与し、水と共に、またいかなる水分制限もなしに投与した。
【0231】
対象に与えるすべての食事はカロリー数、脂肪および繊維含有量が制御されており、ベースライン期間および処置期間の対応する日には同一の食事が与えられた。
【0232】
すべての尿は別々に収集し、秤量した後、廃棄したが、ただし、試験5日目および試験11日目には、1日全体の尿をプールして、アリコートをK、MgおよびCaの分析にまわすようにした。すべての糞便を別々の容器に収集した。
【0233】
各試料を個々に秤量し、便の色および軟度を記録した。重量を合計して、毎日の摂取により得られる全糞便重量を決定した。また、色マーカーの間の便の全重量を、ベースライン期間と実験期間との両方について別々に合計する。処置期間中のビーズの存在についても便を調査した。
【0234】
処置期間において、一日の全経口用量10グラムのCLPを4つの用量に分割し、水と共に6日間、処置期間中合計24回の連続用量で投与した。各対象にはスケジュールされた時間の10分以内に用量を与えた。
【0235】
最初の制御された食事の消費後に排出されたすべての糞便を、自重収集容器中に個々の試料として収集し、ラベリングし、正確に秤量した後、凍結させ、-20℃以下で保管した。各24時間間隔中の個々の便を収集し、別々に保管した。5日目および11日目の糞便収集物をカルシウム、マグネシウムおよびカリウムの分析にかけた。
【0236】
各尿試料を収集し、秤量した。試験5日目および11日目に尿をその日についてプールし、K、MgおよびCaについて分析する。
【0237】
CLPの異なる投与での糞便中金属排泄量(例えばナトリウム、カリウム、マグネシウムおよびカルシウム)の変化を表16に示す。
【0238】
(表16)糞便中金属排泄量の変化(mg/日)

【0239】
実施例19
例示的CLPの治験を行った。治験の目的は以下を含んでいた: ナトリウム、カルシウム、マグネシウム、カリウム、鉄、銅、亜鉛およびリンのCLPによる取り込みの安全性、耐容性および程度の決定; ならびにベースライン期間と処置期間との間で比較する便の重量によって評価する、投与CLP 1グラム当たりの体液の吸収量の決定。
【0240】
一次エンドポイントは以下を含んでいた: 処置群および対照群の間で比較するナトリウムの正味バランス。二次エンドポイントは以下を含んでいた: 処置群および対照群の間で比較する便の重量の変化; 処置群および対照群の間で比較するカルシウム、マグネシウム、カリウム、鉄、銅、亜鉛およびリンの正味バランス; 対照群と比較する、処置群において消費および排泄される体液; ならびにバイタルサイン、臨床安全性実験室および有害事象の検討に基づく安全性および耐容性。
【0241】
この治験では、末期腎疾患(ESRD)患者最大5人において、非盲検の複数用量試験を行った。すべての患者はCLPを受容した。患者は3日間のベースライン期間に参加し、その期間、食事が制御され、便の重量、糞便の電解質および体液のバランスが決定された。処置期間は4日目に始まった。選択された患者は、CLP投与を含む試験日の各々の間、試験用量の各々について6個のカプセルを飲み込む能力を有していた。
【0242】
CLPの用量を1日当たり15グラムとし、1日当たり4回与えた(QID)。これらのESRD患者において1日当たりに見られるナトリウムおよび他のカチオンの除去を15グラムを限度として、CLPの用量を減少または増加させることを決定することができる。効果の速度を理由として、CLPをサイズ00ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)カプセルに封入した。異なる用量のCLPを投与した5つの群を試験した(例えば第1群、15グラム; 第2群、25グラム; 第3群、35グラム; 第4群、45グラム; および第5群、55グラム)。
【0243】
9日間の処置期間中に、CLPカプセルの投与を行った。試験の全12日間食事を制御した。3日間の反復食事スケジュールを試験全体にわたって投与した。便の重量、糞便の電解質、および体液バランスを12日間全体にわたって決定した。
【0244】
CLPは、4回の食事/間食の各々の1時間前に投与し、水と共に投与した。患者はその食事のすべてを消費するよう要請された。完全には消費されない食事を、各々の食べ残しの食品の重量に関して記録した。
【0245】
すべての尿は各24時間で別々に収集し、測定した後、1日全体についてプールして、アリコートをナトリウム、カリウム、カルシウム、リンおよびマグネシウムの分析にまわすようにした。しかし、午後の試料をプールする前に、尿中pHを、廃棄する2ミリリットルのアリコートについて決定した。
【0246】
すべての糞便を別々の容器に収集した。各試料を個々に秤量し、便の色および軟度を記録した。重量を合計して、毎日の摂取により得られる全糞便重量を決定した。便の収集と尿の収集との両方について24時間は午前0時から午前0時までと見なした。
【0247】
CLPをサイズ00 HPMCのハードカプセルとして供給し、スポンサーから最終投与量として渡された。15グラムのCLP用量を実現するために、1日当たり23個のカプセルを以下のように分割した: 6個のカプセルを朝食、昼食および夕食の各々1時間前に投与; 5個のカプセルを各々の夕方の間食の1時間前に投与。
【0248】
CLPの経口用量を4つの用量に分割し、9日間、合計36回の連続用量で投与した。各患者にはスケジュールされた時間の10分以内に用量を与えた。
【0249】
臨床実験室試験用に血液および尿の試料を収集する前に、検診時には少なくとも8時間、入院時には4時間、患者は絶食することが要求された。試験中に尿および血液の試料を収集する前には絶食は要求されなかった。絶食期間中に水は自由に許可された。臨床スタッフは、試験中に供給される食事および消費される水を含むすべての飲料の摂取を、患者が飲食する際にモニタリングおよび記録した。
【0250】
0日目の夕食での最初の制御された食事の消費後に排出されたすべての糞便を、自重収集容器中に個々の試料として収集し、ラベリングし、正確に秤量した後、凍結させ、-20℃以下で保管した。午前0時に開始される各24時間間隔中の個々の便を収集し、別々に保管した。プロトコール番号、患者番号、試験日、試料収集の日付および時間、ならびに試料および容器の重量を、個々の便について収集容器上に明確かつ恒久的に表示した。試料の時間、色、軟度および重量も診療記録に記録した。糞便収集物をナトリウム、カルシウム、マグネシウム、カリウム、鉄、銅、亜鉛およびリンの分析にかけた。
【0251】
各尿試料を収集し、体積を記録した。尿を毎日プールし、ナトリウム、カリウム、マグネシウム、カルシウムおよびリンについて分析した。1日目〜12日目の午後の試料からの2ミリリットルのアリコートをpHの分析にまわした。
【0252】
CLPの異なる投与での糞便中金属排泄量(例えばナトリウム、カリウム、マグネシウムおよびカルシウム)の変化を表17に示す。
【0253】
(表17)糞便中金属排泄量の変化(mg/日)

【0254】
実施例20
結合した水素対イオンを有する架橋ポリアクリレートポリマービーズを含む、結合した対イオンを有する架橋高分子電解質ポリマー(CLP)を使用して、末期腎疾患(ESRD)などの腎臓関連の疾患および障害を処置する。そのような組成物は対象中の1つまたは複数のイオン(例えばナトリウム、カリウム)を放出および/または結合させることができ、一方、他のイオンレベルは一定に保持される。さらに、CLPポリマーは対象から体液を除去するために有用であり得る。
【0255】
種々の原因による末期腎不全(ESRD)の患者(例えば透析中または残留糸球体濾過中のいずれかである)を処置する。例示的な方法では、CLPを1日当たり約1グラム〜約50グラム、例えば約4グラム〜約16グラムの量で投与する。CLPは摂食前後に1日当たり1回、2回、3回、4回またはそれ以上投与することができる。
【0256】
ナトリウムおよび/またはカリウムの除去に有効な量でCLPを投与する。さらにまたは代わりに、患者中の体液の減少に有効な量でCLPを投与する。さらに、患者中の血圧の減少に有効な量でCLPを投与することができる。摂食前後に、例えば朝食、昼食および夕食の後にCLPの用量を投与する。糞便中または尿中のナトリウムレベルおよび/またはカリウムレベルの増加は、投与される用量の有効性を示す。一過性の代謝性アシドーシスが存在する場合、経口で炭酸カルシウム、他のリン吸着剤、またはアルカリを投与してアシドーシスを処置する。選択される薬剤にかかわらず、最初の余分のアルカリが100mEq(例えば炭酸カルシウム5g、PhosLo 8g、Revela 44gまたはMgO 2g)を与えるものと見込まれることが示唆される。
【0257】
CLPは、単独でまたはESRDの処置用の薬剤、例えば降圧薬、ビタミンD、酸遮断薬、抗生物質および/または麻酔薬との組み合わせで投与することができる。さらに、CLPは、浸透圧剤などの、胃腸管(例えば小腸)から体液を除去、吸収するCLPの能力を増強する薬剤と同時投与することができる。さらにまたは代わりに、同時投与される薬剤は、腸内へのイオン(ナトリウムまたはカリウムなどの)の分泌を増加させることができる。さらに、CLPは、水酸化アルミニウム(例えばAlucaps)、炭酸カルシウム(例えばCalcichewもしくはTitralac)、酢酸カルシウム(例えばPhosexもしくはPhosLo)、炭酸ランタン(ホスレノール(Fosrenol))またはセベラマー(例えばレナジェル(Renagel)もしくはRenvela)などのリン吸着剤と同時投与することもできる。
【0258】
上記のCLPを使用して慢性腎疾患、うっ血性心不全または高血圧を処置する。
【0259】
各種の特定の材料、手順および実施例を参照して本開示を本明細書において説明および例証してきたが、その目的のために選択される材料および手順の特別な組み合わせに本開示が制限されないものと理解される。当業者が理解するように、そのような詳細の数多くの変形を暗示することができる。明細書および実施例は例示的なものと見なされ、本開示の真の範囲および精神は以下の特許請求の範囲によって示されるということが意図される。本出願において言及されるすべての参考文献、特許および特許出願はその全体が参照により本明細書に組み入れられる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
結合した対イオンを有する架橋高分子電解質ポリマービーズを含む組成物であって、ただし、結合した対イオンがナトリウムと水素とからなる場合、結合したナトリウム対イオンが、結合した対イオン全体の60%未満であり、一方、結合した水素イオンが、結合した対イオン全体の40%を超える、組成物。
【請求項2】
ビーズが食塩水中でその質量の少なくとも20倍吸収する、請求項1記載の方法。
【請求項2】
対イオンが無機対イオンである、請求項1記載の組成物。
【請求項3】
無機対イオンが水素、ナトリウム、カリウム、カルシウム、マグネシウムおよびアンモニウムからなる群より選択される、請求項2記載の組成物。
【請求項4】
対イオンが有機対イオンである、請求項1記載の組成物。
【請求項5】
有機対イオンがコリン、アルギニンおよびリジンからなる群より選択される、請求項4記載の組成物。
【請求項6】
少なくとも1つの対イオンが無機対イオンであり、かつ少なくとも1つの対イオンが有機対イオンである、請求項1記載の組成物。
【請求項7】
無機対イオンが水素である、請求項3または6のいずれか一項記載の組成物。
【請求項8】
水素が、結合した対イオン全体の40%超〜100%を構成する、請求項7記載の組成物。
【請求項9】
水素が、結合した対イオン全体の約100%を構成する、請求項7記載の組成物。
【請求項10】
水素が、結合した対イオン全体の約99%を構成する、請求項7記載の組成物。
【請求項11】
水素が、結合した対イオン全体の約95%を構成する、請求項7記載の組成物。
【請求項12】
水素が、結合した対イオン全体の約90%を構成する、請求項7記載の組成物。
【請求項13】
水素が、結合した対イオン全体の約50%を構成する、請求項7記載の組成物。
【請求項14】
無機対イオンがナトリウムである、請求項3または6記載の組成物。
【請求項15】
ナトリウムが、結合した対イオン全体の5%以下を構成する、請求項3記載の組成物。
【請求項16】
ナトリウムが、結合した対イオン全体の25%未満を構成する、請求項3記載の組成物。
【請求項17】
無機対イオンがカリウムである、請求項3または6記載の組成物。
【請求項18】
カリウムが、結合した対イオン全体の約25%、50%または75%を構成する、請求項17記載の組成物。
【請求項19】
無機対イオンがアンモニウムである、請求項3または6記載の組成物。
【請求項20】
アンモニウムが、結合した対イオン全体の約25%、50%または75%を構成する、請求項19記載の組成物。
【請求項21】
有機対イオンがコリンである、請求項4または6記載の組成物。
【請求項22】
コリンが、結合した対イオン全体の約25%、50%または75%を構成する、請求項21記載の組成物。
【請求項23】
有機対イオンがリジンである、請求項4または6記載の組成物。
【請求項24】
リジンが、結合した対イオン全体の約25%、50%または75%を構成する、請求項23記載の組成物。
【請求項25】
対イオンが水素およびナトリウムである、請求項1記載の組成物。
【請求項26】
水素が、結合した対イオン全体の40%超〜100%を構成し、かつナトリウムが、結合した対イオン全体の0%超〜60%未満を構成する、請求項25記載の組成物。
【請求項27】
対イオンが水素およびカリウムである、請求項1記載の組成物。
【請求項28】
対イオンがナトリウムおよびカリウムである、請求項1記載の組成物。
【請求項29】
対イオンがナトリウム、カリウムおよび水素である、請求項1記載の組成物。
【請求項30】
対イオンが水素およびアンモニウムである、請求項1記載の組成物。
【請求項31】
対イオンが水素およびコリンである、請求項1記載の組成物。
【請求項32】
対イオンが水素およびリジンである、請求項1記載の組成物。
【請求項33】
ビーズがコーティングで実質的にコートされている、請求項1記載の組成物。
【請求項34】
ビーズがカプセルで囲まれている、請求項1記載の組成物。
【請求項35】
カプセルがコーティングでコートされている、請求項34記載の組成物。
【請求項36】
コーティングが腸溶コーティングまたは遅延放出コーティングである、請求項33または35記載の組成物。
【請求項37】
高分子電解質がポリアクリレートである、請求項1記載の組成物。
【請求項38】
請求項1〜36のいずれか一項記載の組成物の有効量を対象に投与する段階を含む、対象中の2つ以上のイオンのレベルを調節する方法。
【請求項39】
2つ以上のイオンの調節を必要とする対象を同定する段階をさらに含む、請求項38記載の方法。
【請求項40】
調節が1つまたは複数のイオンのレベルの増加または低下である、請求項38記載の方法。
【請求項41】
組成物が対象中の1つまたは複数のイオンに結合し、それにより対象中の1つまたは複数のイオンのレベルが低下する、請求項38記載の方法。
【請求項42】
組成物が対象中の1つまたは複数のイオンを放出し、それにより対象中の1つまたは複数のイオンのレベルが増加する、請求項38記載の方法。
【請求項43】
組成物が対象中の1つまたは複数の第1のイオンに結合し、それにより対象中の1つまたは複数の第1のイオンのレベルが低下し、かつ該組成物が対象中の1つまたは複数の第2のイオンを放出し、それにより対象中の1つまたは複数の第2のイオンのレベルが増加する、請求項38記載の方法。
【請求項44】
組成物がナトリウムを除去する、請求項38記載の方法。
【請求項45】
組成物がナトリウムを除去しかつカリウムを放出する、請求項38記載の方法。
【請求項46】
組成物がナトリウムを除去しかつカリウムを除去する、請求項38記載の方法。
【請求項47】
組成物が水素を放出することなくナトリウムを除去しかつカリウムを除去する、請求項38記載の方法。
【請求項48】
架橋高分子電解質ポリマーを結腸に直接投与する、請求項38記載の方法。
【請求項49】
架橋高分子電解質ポリマーを小腸に直接投与する、請求項38記載の方法。
【請求項50】
ポリマーを空腸に直接投与する、請求項49記載の方法。
【請求項51】
請求項1〜36のいずれか一項記載の組成物の有効量を対象に投与する段階を含む、対象から体液を除去する方法。
【請求項52】
体液の除去を必要とする対象を同定する段階をさらに含む、請求項51記載の方法。
【請求項53】
腸内の体液の量を増加させる1つまたは複数の薬剤を対象に投与する段階をさらに含む、請求項51記載の方法。
【請求項54】
薬剤がマンニトール、ポリエチレングリコールおよびルビプロストンからなる群より選択される、請求項53記載の方法。
【請求項55】
ポリエチレングリコールが400〜10,000ダルトンの分子量を有する、請求項54記載の方法。
【請求項56】
ポリエチレングリコールが400〜4000ダルトンの分子量を有する、請求項54記載の方法。
【請求項57】
組成物を結腸に直接投与する、請求項51記載の方法。
【請求項58】
組成物を小腸に直接投与する、請求項51記載の方法。
【請求項59】
組成物を空腸に直接投与する、請求項58記載の方法。
【請求項60】
組成物を経口投与する、請求項51記載の方法。
【請求項61】
対象が心疾患を有する、請求項51記載の方法。
【請求項62】
心疾患がうっ血性心不全である、請求項61記載の方法。
【請求項63】
対象が腎疾患を有する、請求項51記載の方法。
【請求項64】
腎疾患がネフローゼ、腎炎、慢性腎疾患(CKD)または末期腎疾患(ESRD)である、請求項63記載の方法。
【請求項65】
対象が腸障害または栄養障害を有する、請求項51記載の方法。
【請求項66】
栄養障害がクワシオルコルまたはグルテン過敏性腸症である、請求項65記載の方法。
【請求項67】
対象が肝疾患を有する、請求項51記載の方法。
【請求項68】
肝疾患が腹水症または肝硬変である、請求項67記載の方法。
【請求項69】
対象が内分泌障害、神経障害または免疫系障害を有する、請求項51記載の方法。
【請求項70】
内分泌障害が子癇前症または子癇である、請求項69記載の方法。
【請求項71】
神経障害が血管神経性浮腫である、請求項69記載の方法。
【請求項72】
対象から1つまたは複数の老廃物を除去する方法であって、以下の段階を含む方法:
請求項1〜36のいずれか一項記載の組成物の有効量を対象に投与する段階。
【請求項73】
1つまたは複数の老廃物の除去を必要とする対象を同定する段階をさらに含む、請求項72記載の方法。
【請求項74】
老廃物が代謝老廃物である、請求項72記載の方法。
【請求項75】
代謝老廃物が尿素、尿酸、クレアチニン、ナトリウムまたはカリウムである、請求項74記載の方法。
【請求項76】
腸内の体液の量を増加させる1つまたは複数の薬剤を対象に投与する段階をさらに含む、請求項72記載の方法。
【請求項77】
薬剤がマンニトールおよびルビプロストンからなる群より選択される、請求項76記載の方法。
【請求項78】
組成物を結腸に直接投与する、請求項72記載の方法。
【請求項79】
組成物を小腸に直接投与する、請求項72記載の方法。
【請求項80】
組成物を空腸に直接投与する、請求項79記載の方法。
【請求項81】
組成物を経口投与する、請求項72記載の方法。
【請求項82】
食塩水中でその質量の約20倍以上吸収する、100%の結合した水素対イオンを有する架橋高分子電解質ポリマービーズを調製する方法であって、以下の工程を含む方法:
(a.)架橋高分子電解質ポリマービーズを得る工程;
(b.)ビーズ上の結合した対イオンの100%が水素になるまで該粒子を酸で処理する工程; および
(c.)洗浄したビーズを乾燥させる工程。
【請求項83】
高分子電解質がポリアクリレートである、請求項82記載の方法。
【請求項84】
乾燥したビーズを微粉砕によって破壊する工程をさらに含む、請求項82記載の方法。
【請求項85】
破壊されたビーズと水素以外の対イオンを含む溶液とを混合する工程をさらに含む、請求項82記載の方法。
【請求項86】
対イオンが水素、ナトリウム、カリウム、マグネシウム、カルシウム、アンモニウム、コリン、アルギニンおよびリジンより選択される、請求項82記載の方法。
【請求項87】
破壊されたビーズを洗浄する工程をさらに含む、請求項82記載の方法。
【請求項88】
洗浄したビーズを乾燥させる工程をさらに含む、請求項87記載の方法。
【請求項89】
ビーズが実質的にコートされている、請求項82または88記載の方法。
【請求項90】
ビーズがカプセルで囲まれている、請求項82または88記載の方法。
【請求項91】
カプセルがコーティングでコートされている、請求項90記載の方法。
【請求項92】
コーティングが腸溶コーティングまたは遅延放出コーティングである、請求項82または88記載の方法。
【請求項93】
架橋高分子電解質ビーズを調製する方法であって、以下の工程を含む方法:
(a.)ナトリウムで中和されている架橋電解質モノマーによって重合する工程;
(b.)結合したナトリウム対イオンを有する架橋高分子電解質ポリマービーズを(a.)の重合によって得る工程; および
(c.)前記ビーズ上の結合したナトリウム対イオンの割合を減少させる工程。
【請求項94】
60%未満の結合したナトリウム対イオンを有する架橋高分子電解質ポリマービーズを調製する方法であって、以下の工程を含む方法:
(a.)60%を超える結合したナトリウム対イオンを有する架橋高分子電解質ポリマービーズを調製する工程;
(b.)結合したナトリウム対イオンを60%未満に減少させる工程。
【請求項95】
(d)ビーズを破壊する工程をさらに含む、請求項93記載の方法。
【請求項96】
破壊されたビーズが212〜500ミクロンの粒径を有する、請求項95記載の方法。
【請求項97】
(e)破壊されたビーズをカプセルに封入する工程をさらに含む、請求項95記載の方法。
【請求項98】
モノマーがアクリル酸である、請求項93記載の方法。
【請求項99】
高分子電解質がポリアクリレートである、請求項93記載の方法。
【請求項100】
モノマーがナトリウムで約60%〜約100%中和されている、請求項93記載の方法。
【請求項101】
モノマーがナトリウムで約80%中和されている、請求項93記載の方法。
【請求項102】
重合が逆相懸濁重合法による、請求項93記載の方法。
【請求項103】
結合したナトリウム対イオンを60%未満に減少させる、請求項93または94記載の方法。
【請求項104】
結合したナトリウム対イオンを50%未満に減少させる、請求項93または94記載の方法。
【請求項105】
結合したナトリウム対イオンを25%未満に減少させる、請求項93または94記載の方法。
【請求項106】
結合したナトリウム対イオンを10%未満に減少させる、請求項93または94記載の方法。
【請求項107】
結合したナトリウム対イオンを5%未満に減少させる、請求項93または94記載の方法。
【請求項108】
結合したナトリウム対イオンを1%未満に減少させる、請求項93または94記載の方法。
【請求項109】
結合したナトリウム対イオンを、酸によるビーズの酸処理によって減少させる、請求項93または94記載の方法。
【請求項110】
酸で処理したビーズを洗浄することで過剰な酸を除去する、請求項109記載の方法。
【請求項111】
洗浄したビーズを乾燥させる、請求項110記載の方法。
【請求項112】
ビーズがカプセルに封入されている、請求項111記載の方法。
【請求項113】
カプセルがコーティングで実質的にコートされている、請求項112記載の方法。
【請求項114】
ビーズがコーティングで実質的にコートされている、請求項111記載の方法。
【請求項115】
ビーズが破壊されたビーズを含む、請求項110記載の方法。
【請求項116】
請求項93〜115のいずれか一項記載の方法により調製される架橋高分子電解質ビーズを含む薬学的組成物。
【請求項117】
5%以下の結合したナトリウム対イオンを含む結合した対イオンを有する、架橋高分子電解質ポリマービーズ。
【請求項118】
1%以下の結合したナトリウム対イオンを含む結合した対イオンを有する、架橋高分子電解質ポリマービーズ。
【請求項119】
末期腎疾患の患者を処置する方法であって、60%未満、50%未満、25%未満、10%未満、5%未満または1%未満の結合したナトリウムを含む架橋高分子電解質ポリマービーズを該疾患の患者に投与する段階を含む、方法。
【請求項120】
うっ血性心不全の患者を処置する方法であって、60%未満、50%未満、25%未満、10%未満、5%未満または1%未満の結合したナトリウムを含む架橋高分子電解質ポリマービーズを該疾患の患者に投与する段階を含む、方法。
【請求項121】
慢性腎疾患の患者を処置する方法であって、60%未満、50%未満、25%未満、10%未満、5%未満または1%未満の結合したナトリウムを含む架橋高分子電解質ポリマービーズを該疾患の患者に投与する段階を含む、方法。
【請求項122】
高血圧の患者を処置する方法であって、60%未満、50%未満、25%未満、10%未満、5%未満または1%未満の結合したナトリウムを含む架橋高分子電解質ポリマービーズを該疾患の患者に投与する段階を含む、方法。
【請求項123】
以下の組成物を対象に投与する段階を含む、対象中の2つ以上のイオンのレベルを調節する方法:
食塩水中でその質量の少なくとも20倍吸収する、結合した対イオンを有する架橋高分子電解質ポリマービーズを含む組成物であって、ただし、結合した対イオンがナトリウムおよび水素からなる場合、結合したナトリウム対イオンが、結合した対イオン全体の60%未満であり、一方、結合した水素イオンが、結合した対イオン全体の40%を超える、組成物。
【請求項124】
以下の組成物を対象に投与する段階を含む、対象から体液を除去する方法:
食塩水中でその質量の少なくとも20倍吸収する、結合した対イオンを有する架橋高分子電解質ポリマービーズを含む組成物であって、ただし、結合した対イオンがナトリウムおよび水素からなる場合、結合したナトリウム対イオンが、結合した対イオン全体の60%未満であり、一方、結合した水素イオンが、結合した対イオン全体の40%を超える、組成物。
【請求項125】
以下の組成物を対象に投与する段階を含む、対象から1つまたは複数の老廃物を除去する方法:
食塩水中でその質量の少なくとも20倍吸収する、結合した対イオンを有する架橋高分子電解質ポリマービーズを含む組成物であって、ただし、結合した対イオンがナトリウムおよび水素からなる場合、結合したナトリウム対イオンが、結合した対イオン全体の60%未満であり、一方、結合した水素イオンが、結合した対イオン全体の40%を超える、組成物。
【請求項126】
結合した対イオンを有する架橋高分子電解質ポリマービーズを含む組成物であって、結合したナトリウム対イオンが、結合した対イオン全体の60%未満である、組成物。
【請求項127】
結合した対イオンを有する架橋高分子電解質ポリマービーズを含む組成物であって、結合した水素対イオンが、結合した対イオン全体の40%を超える、組成物。
【請求項128】
結合した対イオンを有する架橋高分子電解質ポリマービーズを含む組成物であって、結合したナトリウム対イオンが、結合した対イオン全体の60%未満であり、かつ結合した水素対イオンが、結合した対イオン全体の40%を超える、組成物。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公表番号】特表2010−538016(P2010−538016A)
【公表日】平成22年12月9日(2010.12.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−523164(P2010−523164)
【出願日】平成20年8月29日(2008.8.29)
【国際出願番号】PCT/US2008/074861
【国際公開番号】WO2009/029841
【国際公開日】平成21年3月5日(2009.3.5)
【出願人】(510053994)ソーベント セラピューティクス インコーポレイテッド (1)
【Fターム(参考)】